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財政制度等審議会 財政制度分科会 歳出改革部会
〔議事要旨〕

  • 1.日時令和3年11月1日(月)13:00~15:00

  • 2.場所財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

  • 3.出席者

    (委員)

    増田寛也、土居丈朗、赤井伸郎、遠藤典子、佐藤主光、中空麻奈、宮島香澄、安永竜夫、秋池玲子、上村敏之、河村小百合、木村旬、熊谷亮丸、権丈英子、小林毅、末澤豪謙、竹中ナミ、田近栄治、冨田俊基、広瀬道明、福田慎一、別所俊一郎、神子田章博、堀真奈美、横田響子、大槻那奈、神津里季生、小林慶一郎、平野信行(敬称略)

    (財務省)

    高村大臣政務官、茶谷主計局長、奥主計局次長、坂本主計局次長、阿久澤主計局次長、八幡総務課

4.

  • 文教・科学技術について

  • 中小企業、エネルギー・環境(グリーン)について

5.議事内容

    • 本日は、「文教・科学技術」、「中小企業、エネルギー・環境(グリーン)」について審議を行った。

    • 各委員からの質疑や意見は以下のとおり。

【文教・科学技術】

<委員からの御意見>

  • 働き方改革で熊本市や戸田市の例が説明資料にあったが、これはもう効果が上がってきているのか。もし実際に効果があれば、実際の先生方の感覚として他の学校でも有効と言えるのか。

  • 学校の働き方改革については好事例の横展開が重要。熊本市や戸田市の事例は良い事例であると評価したい。国や地方自治体の縦割りの弊害を乗り越え、連携して情報共有を図ることが重要。

  • 天然資源に乏しい我が国は人材が資源であり、教育が重要。学校の統廃合や小中の一貫教育、負担の大きい部活動等の民間へのアウトソーシング、コロナ対応で一部進んだICTの3つを本当に着実に進めていかないと、持続可能性は乏しい。

  • 人の取り合いになっている中で、人数を増やすということを仮に決めてしまうと結果的に質が犠牲になってしまうと思うが、公教育に対し不安になった親が塾等の教育費にお金をかけ、その結果子育てにはすごくお金がかかるため少子化が進んでいるということがある。限られた人数の中でどうやって効率的にやるか考えるべき。

  • 日本では、人材をどういうところで、どれぐらい生み出したいのかという観点が、そもそも論として随分抜けているのではないか。

  • 過去と比べて子供や保護者の質が変容し、先生方の時間を奪って負担となっており、その結果、子供に対する教育の質が全体的に下がることになる。

  • 教科担任制について、エビデンスも分析も実験なども進んでいないので、データを見ながら進めていくべき。

  • 教育現場における外部人材の活用について、頭数や時間数など量的問題だけでなく、多様性、国際性、専門性など質の向上のため、企業人を含む外部人材を積極的に活用できるような仕組みを作るべき。

  • ICT化について、小中学生一人一台端末を整備したことは本当に評価したいが、いかに有効活用するかが課題。

  • 外部人材の活用について、教育行政のガバナンス問題のように思われる。地方交付税交付金という一般財源の措置があるにもかかわらず使われていない。

  • 先生が忙しいから授業時間数を減らすという考え方はどうかと思う。実際、先生は生徒と触れ合うことで人を教育できる。

  • 特別免許があまり進んでいない状況に鑑みて、免許の交付主体の在り方、外部人材活用の在り方を、都道府県の教育委員会や各学校長に任せるべきなのか、ある程度の横串をさすことを国としてやるべきなのか、実効性を重視した仕組みづくりをすべき。

  • 今と同じの体制のままで教員の定員数をただ増やせばよいわけではなく、学校の統廃合を含め集約する仕組みに転換する必要。

  • 私立大学に関して、全体として定員割れとなる状況で、再編なのか、撤退なのか、維持するためにどうするかということだけではなく、今後全体としてどうしていくのかという議論をしてほしい。

  • 効率性の観点が毛頭ないため、いきなり「稼ぐ大学」になれと言われても、大学としてもなかなか難しい。効率性の議論をもう少し組み入れていくべき。

  • 高等教育について、出口、つまり、教育の効果の把握や教育の質を担保するための取組は十分かどうかが大事。

  • 大学運営費交付金がどの大学に幾ら配分されているかについて、オープンに透明化していくことは必要。また、交付金の効果については、横並びの指標をつくり、客観的な評価をすべき。

  • 大学の運営交付金の配分について、共通指標としてしっかりしたものをつくり、それを全大学、全教員及び全研究者が見られるようにし、どの大学がどの位置で、どういう頑張りをしているのか、そのようなデータを自分で分析できるようにすべき。

  • 稼げる部門が稼いだお金を基礎研究に充てる、という資金の流れが重要。

  • 大学への交付金について、アウトカム重視でメリハリのある配分を目指すという方向は正しいが、相当性格が異なる大学間で、共通指標をつくる場合の難しさを常に意識しておく必要。評価という手段自体が自己目的化してはならない。

  • 大学ファンドについて、大学改革を促進し、研究大学の自立した経営、寄付獲得増加などを促進し、つなぎの財投資金を寄附収入、ライセンス収入などの自己資金に置き換え、それにより科学技術振興機構(JST)の借入れを返済するという、イノベーションエコシステムを設計すべき。

  • 科学技術の研究資金について、入口では科研費、大学自身の民間資金投入、大学ファンド、企業のオープンイノベーションがある。一方、出口としてはグリーン関係の戦略的な研究がある。研究資金の入口、出口の全体像の中で、大学ファンドはどのくらいの規模で、何を目指すのか、議論してほしい。

  • 科学技術投資の効果については、国際性が低いこと、若手研究者の活用ができていないことは深刻に受け止めなくてはいけない。国際性の向上、若手の活用をうまく組み合わせたような仕組みを早急に検討する必要がある。

  • 産学連携について、ボトムアップには限界があるため、企業側の経営トップ層がトップダウンで連携していくことが重要。

  • 宇宙分野は安全保障の観点もしっかり踏まえつつ、長期的視点で運用すべきであり、集中的投資が必要な部分とそうでない部分にメリハリをつけるべき。

【中小企業、エネルギー・環境(グリーン)】

<委員からの御意見>

  • 今後の資金援助について、その業界・業態にとどまることが最適かは場合によるため、デットガバナンスをしっかりきかせてより良い資源配分に配慮していくべき。

  • デジタル化を進めるにあたり、資金面の支援のみならず、ハンズオンでどれだけ効率的になるか説明することから、導入支援、利用方法まできめ細やかな支援をしていく必要。

  • 中小企業に対する補助金について、補助金の効果を事後検証し、補助金のリピーターを生まないようにする必要。

  • 債務のリストラクチャリングを早い段階で政策的に推進すべき。債務のリストラを進めるべき。金融機関に対する支援政策と中小企業の事業再構築は一体で進めるべき。

  • 中小企業について、コロナ後の最近の経済動向を見ると、日本は成長が戻ってきているアメリカなどと動きが異なる。前回のリーマンショック後の対応では、日本だけだらだら支援を続けたことが、結果的に成長率が上がらなかった大きな要因の1つではないか。

  • 中小企業支援について、補助金を呼び水として民間の事業を金融機関がサポートできる在り方が、ワイズスペンディングと言えるのではないか。

  • 中小企業支援について給付対応を進めてきたが、そろそろ事後検証すべき。真に支援が必要な層に対応できるよう、施策の複合的活用を含め、現状分析をすべき。

  • 今回のコロナで否応なく中小企業もデジタル化を進めたが、これを元に戻さず定着させ、更にデジタル化を進めていけるような支援の在り方が、中小企業対策として大きなポイントになるのではないか。

  • 中小企業支援について、日本は現状維持のために財政を使い、結果無駄使いになっている。例えば、中小企業はどれくらいの割合が必要か、グランドデザインに基づいて見直していくべき。

  • 中小企業に関しては、効果や支援の重複についてきちんと評価する必要。

  • カーボンプライシングについて、痛みを伴う炭素税・排出量取引の導入・拡大に関する結論をいつまでも先延ばしにしてはいけない。財政資金の投入と併せて、それを賄うための財源を手当てするための仕組みを検討していく必要。

  • 環境政策は、地球環境のサステナビリティを問うもので、そのための技術支援や事業支援に予算が要るが、一方で、財政のサステナビリティも問われている。

  • 環境と財政のサステナビリティは両立することが重要だが、産業として持続できるのかという視点も含めて確認する必要。

  • そもそもグリーン化は持続可能な社会をつくることが最終的な目標であり、その財源を赤字国債など次世代へのツケ回しで行うのは持続可能とはいえず、論理矛盾。ペイアズユーゴールールを貫くとともに、戦略的分野にワイズスペンディングを行っていくべき。

  • カーボンニュートラル実現のため、具体的な財源の裏づけを含め、産官学で目標とそこに向けたステップを共有する必要。

  • カーボンニュートラルに向けてのロードマップが重要であり、これにいかに財政をいかに連動させるかが、日本の2050年に向けた産業に死活にかかわる問題。

  • エネルギーについて、何を国の資金でやって、何を民間資金でやるのか役割分担が重要。

  • グリーンについて民間の自助努力で行われるべきところは、しっかりとそれを果たしていくべき。

  • バイデン政権は、ビルド・バック・ベター・アクトの修正案を財源とセットで議論しているが、このように中長期的な歳出・歳入、2つのプランを見せた上で進めなければ、民間企業もついてこられない。