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財政制度等審議会 財政制度分科会 歳出改革部会
〔議事要旨〕

  • 1.日時令和3年10月20日(水)10:00~12:00

  • 2.場所財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

  • 3.出席者

    (委員)

    赤井伸郎、遠藤典子、佐藤主光、武田洋子、土居丈朗、中空麻奈、増田寛也、宮島香澄、秋池玲子、上村敏之、河村小百合、木村旬、熊谷亮丸、小林毅、末澤豪謙、田近栄治、田中里沙、冨田俊基、広瀬道明、福田慎一、別所俊一郎、堀真奈美、神子田章博、神津里季生、十河ひろ美、平野信行(敬称略)

    (財務省)

    奥主計局次長、坂本主計局次長、阿久澤主計局次長、八幡総務課

4.

    • 事務局説明

      • 社会資本整備について

      • 農林水産について

      • 外交、デジタルについて

5.議事内容

    • 本日は、「社会資本整備」、「農林水産」、「外交、デジタル」について審議を行った。

    • 各委員からの質疑や意見は以下のとおり。

【社会資本整備】

<委員からの御意見>

  • 災害リスクの高い地域で人口が増えている所とそうでない所もあるので、その差はどこにあるのかを調べ、どういった対策が良いのか、分析を進めるべき。

  • 災害が起こりやすい地域に人が住み始めてしまう一つの大きな原因は地価の安さだと考えられるため、地価があまり高くない安全な場所へ人を誘導する工夫が必要。

  • ソフトとハードを一体としてPDCAサイクルを回すことが重要。費用便益分析が甘いことがよくあるため、事後的なペナルティを科すことを事前に決めておくこと等も重要。

  • 浸水災害レッドゾーンに人が住まなくなるよう強制力の在り方を検討すべき。

  • 災害リスクが低く安全な場所に居住地を誘導するため、固定資産税などの活用も検討すべき。

  • 介護施設、病院、学校等を災害リスクの低い土地にいかにして誘導していくか、対応を考える必要。

  • 災害時に人命を救うことをボトムラインとして、まず避難計画の策定、住民への危険の周知等のソフト施策や、災害時の伝達手段の確保を進めることが重要。

  • 防災・減災対策、PDCAサイクルの御提案は非常に重要。今後の地方自治体の計画などへの落とし込みや規制の在り方が重要。

  • 防災・減災対策について、現場と直面する市町村が判断しやすくなるような国の支援が必要。

  • 費用対効果、優先順位付け、重点化について、政策的なバックボーンも重要だが、最終的には合意形成が非常に重要。

  • コンパクト・プラス・ネットワークを改めて推進していく必要。そのために、民間資金・PFIの活用、ハードよりもソフトを促すための予算や規制緩和、データや技術の上手な活用、省庁横断での取組が必要。

  • 人口減少下で人手不足のため、幾ら予算をつけても執行できず災害が起こり、本当に必要な公共投資ができなくなるおそれがある。ICTの活用と統合、民間へのアウトソーシングを進めていく必要。

  • 生産性向上のために建設業などでのITの活用は、産業政策の観点から見ても重要。ハードとソフトを融合させることでGAFAに対抗可能。これから日本で最も商機のある分野であることを踏まえ、建設業におけるITの活用を徹底的に進めていくべき。

  • 公共事業の執行の平準化により人件費が圧縮されるが、行政にとっても民間にとってもメリットは大きいため、国庫債務負担行為などで工夫できるのであれば進めていくべき。

  • インフラの維持更新費用の抑制に加えて、自治体サービスの効率化、減災・防災、高齢住民の利便性の向上を進める上でコンパクト化の推進は重要。しかし、国が財政支援メニューを用意していながらも、立地適正化計画の進捗状況ははかばかしくない。これまでの事例から得た教訓に基づき、今後の方針を明確化すべき。

  • 大企業の優れた技術・ノウハウと、地場の中小企業が長年培ってきた地域の実情やニーズをミックスしながらインフラ整備を進めていく必要。

  • 過疎になるとインフラ維持が困難になるため、2050年までの地域の人口動態・人流を念頭に、身の丈にあった計画をつくることが重要。

  • インフラの老朽化対策について、新規の施設導入についてはその必要性自体をよく吟味する必要がある一方で、既存施設の更新、長寿命化に最大限重点を置くべき。そのために、ICTなど新技術の活用等による早期検知を図ることが重要であり、維持管理・更新費も結果的に抑制できる予防保全を積極的に進めるべき。

  • 土木構築物に加え、高層マンションなどの本来民間が責任を負うべき民間社会資本ストックの老朽化対策についてもどう取り組んでいくかを考えていくべき。

  • インフラの経年化と頻発化、激甚化、広域化する自然災害への対応という2つの課題をミックスさせながら、最適な解を求めていくことで、効率的かつ実効性のあるインフラ整備ができていくのではないか。

  • 国土強靭化予算について、これまで、手厚く配分されてきたが、ソフト対策の強化がどこまで反映されてきたのか不明な点があり、今後も規模ありきで進めてよいのかをよく検討すべき。

  • 公共事業予算の繰越しが多額であるのは、補正予算が過大であった可能性もあり、執行のキャパシティーを見極めた予算措置を行うべき。

  • 人口減少、空き家問題が大きな問題となっている中で、新しくつくるところをこれ以上広げすぎないということは非常に重要。

  • 無秩序な郊外化を抑制するためには、補助金のインセンティブだけでは限界があるので、規制やディスインセンティブとの組み合わせが必要。

【農林水産】

<委員からの御意見>

  • 農業の大規模化、集約化を進め、日本農業の体質強化を進めることは重要。水田の転作地の大半が収益性の低く補助金交付の多い転作作物に充てられる仕組みを抜本的に見直していく必要。

  • 現場における実効性を伴う形で支援のあり方を考えていく必要。転作にあたって、収益性の高い作物を作って自立していく必要。

  • 農地の集約化を進め、農業の競争力を高めるためには、農業の経営形態やガバナンスを改善していく必要。

  • 日本の米の価格はコロナ禍で外食、中食が減っている関係で下がっているが、世界的に見ると気候変動、温暖化によって大雨と干ばつの二極化が著しくなり穀物価格全体が急騰しており、日本国内の米の価格と国際価格がリンクしていない。将来的には穀物価格が更に上昇する可能性があるところ、日本の農業の持続可能性をより高める必要。

  • 日本はジャポニカ米であるが、コメの輸出市場の中心はインディカ米なので、対応を考えていく必要。また、太陽光パネルの設置は、農地の集約の制限にならぬよう進めていく必要。

  • 農産物の輸出にあたっては、低価格ではなく、品質にふさわしい価格で適正な利潤が上がることが、農業が産業として回るために重要。また、事業としてやっていくために、高収益の産物の種苗の知財を保護することも大事。

  • 農業の大規模化の推進と同時に、価格競争力の高い商品を作ることが必要。

  • 農業の高齢化が進んでいるが、若者をどうやって引き寄せるかを考える必要。

  • スマート農業について、規模の広い農地に支援するなど効率的に実施して欲しい。

  • 農地の出し手と受け手が現れるタイミングに乖離があることを考慮した仕組みを考える必要。

  • 人・農地プランの実質化について、現場の農業者で話し合うだけではなく、プランを作る段階から外部人材や若手の登用・参加を促す必要。

  • マーケティングセールスプロモーション体制を組み、海外市場ニーズに合わせた輸出重点品目の策定と生産体制の構築を加速すべき。

  • 農業の持続可能性を高め成長産業化させることと、食料安全保障の観点から自給率を高めることをバランスよく実現する解が輸出。マーケットインの発想で米などの輸出を推進すべき。

  • 農業における外国籍の担い手の労働条件や生活環境の整備は、喫緊の課題。

【外交・デジタル】

<委員からの御意見>

  • 世界で突出して大きな債務残高を抱える我が国では、ODA予算については少なくとも抑制基調とせざるを得ないのではないか。

  • 国際情勢の変化を踏まえた外交戦略、経済安全保障の在り方を前提に、重点施策に力点をおいた予算のつけ方をお願いしたい。

  • JICAの資金滞留について、滞留している間は新たな予算をつけずに、別の緊急に必要な予算に振り向けていただきたい。

  • JICAの資金滞留は一過性ではなく、構造的な問題であり、放置できない異常な状況。今後例年どおりの予算投入は避けるべき。

  • JICAの執行遅れや管理費の問題にも関するものとして、コロナ禍でも外国の関係者との打合せをリモート化させて続けられたのであれば、コロナが落ち着いた後でも引き続きデジタルの活用により、効率化を進めていってはどうか。

  • 在外公館は増やすだけでなく廃止や縮小も含めて考えていかなければならない。

  • デジタル化の課題は、デジタル庁が一元的にグランドデザインを描いて全体のコストを下げることと、付加価値を創造すること。

  • 行政全体の効率化につなげるため、国から地方自治体、住民までのエンド・ツー・エンドでのデジタル化を進めて欲しい。行政手続きと業務改革をセットで進める必要。

  • デジタル化がなかなか進まないボトルネックは何か、例えば、個人情報保護法制の問題なのか、自治体や現場でのローカルルールや慣行の問題なのか、セキュリティーやその責任の問題なのか、などを速やかに検討すべき。

  • マイナンバーカードについて。今後の日本にとって重要なインフラであるものの、金銭インセンティブを設けたにも関わらず、あまり普及に役立っていない現状をよく考えるべき。

  • マイナンバー制度は、持続可能で包摂的な社会保障基盤の構築に不可欠な、公平・透明な税制実現のために作られた制度で、この基本認識のもとに対応が必要。

  • 情報システム化によりどれだけ効率化が図られるかの裏付けのため、デジタル庁に具体的な工程表を示させる必要。