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財政制度等審議会 財政制度分科会 歳出改革部会
〔議事要旨〕

  • 1.日時令和2年10月26日(月)9:30~11:30

  • 2.場所財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

  • 3.出席者

    (委員)

    遠藤典子、佐藤主光、武田洋子、土居丈朗、中空麻奈、増田寛也、宮島香澄、秋池玲子、上村敏之、葛西敬之、河村小百合、木村旬、権丈英子、小林毅、進藤孝生、末澤豪謙、竹中ナミ、田近栄治、田中里沙、冨田俊基、広瀬道明、堀真奈美、神子田章博、村岡彰敏、横田響子

    (オブザーバー)

    大槻奈那、黒川行治、神津里季生、十河ひろ美、宇南山卓、小林慶一郎、平野信行

    (財務省)

    伊藤副大臣、元榮大臣政務官、矢野主計局長、角田主計局次長、宇波主計局次長、青木主計局次長、中山主計局総務課

4.

    • 事務局説明

  • 文教・科学技術について

  • 中小企業、エネルギー・環境について

  • 防衛について

5.議事内容

    • 本日は、「文教・科学技術」、「中小企業、エネルギー・環境」、「防衛」について審議を行った。

    • 各委員からの質疑や意見は以下のとおり。

【文教・科学技術】

<委員からの御意見>

  • 出生数の減少に伴い当面の児童生徒数の減少は避けられない。学校の事務作業の外部化等を進めるにしても、学校の数が多いと非効率であり、統廃合を進めるべき。

  • 学校施設について他の施設との複合化が進まない理由は、学校施設の管理責任者は校長であり、子どもの教育以外に活用して何かあった場合に責任がとれないため。学校施設の管理責任は首長部局が担うとともに、校長には施設の管理経営だけを任せるべき。

  • 経済的事情による教育機会の不均衡の解消は喫緊の課題であり、義務教育の改革は、この前提に立って検討されるべき。家庭の貧富の差が広がっており、恵まれない家庭が多い地域や学校に教員の配置を重点化すべき。

  • 新型コロナウイルス感染症の拡大を防止する観点でも、少人数学級の推進、教員定員数の改善は必要。

  • コロナの一時的な対応と、恒久的な政策対応は別。少人数であればあるほど質が良いとは限らないので、メリハリをつけるべきであり、エビデンスベースで対応を決めるべき。

  • 日本の教員は、業務の負担が際立って大きい。ICT支援員や、部活動への外部人材の活用が必要ではないか。また、教員は忙しいというが、具体的に効率化を図れない業務はどのようなものなのか詳細な検証が必要。

  • 民間のシステムや人材を投入することによりEdTechが成果を上げている。民間との連携を進めることで、GIGAスクールをより有効なものとするとともに、業務の効率化を目指すべき。

  • 今後オンライン教育を推進し、効果検証を行っていくに当たり、導入初期であるため低い評価となる要素も生じうるが、トライアル&エラーで考えていくべき。オンライン教育が個別教育に合致している面をポジティブに見ていくべき。

  • 大学の運営費交付金に関して、相対評価の取組は重要であり、評価について高い透明性の確保と明確な説明が必要。

  • 国立大学は法人化されたものの、独法とは異なり、区分経理も全然できていない。大学の自立性を尊重する視点も大事であるが、経理はきちんとしてもらうべき。そのうえで、アウトカムを重視した指標を用いるべき。

  • ポストコロナの大学教育について。リモートが良い、対面が良いという一面的な議論ではなく、アウトカムの指標は一体何かという部分から議論するべき。その上で、メディア授業の修得単位上限数の撤廃に賛成。また、大講義室は必要なのか、Wi-Fiの設置はどうするかなど、今後の教室の在り方についても検討が必要であり、設置基準の見直しに賛成である。

  • 研究費について、大昔であれば一人の天才がイノベーションを起こすこともあったが、今はある程度年齢と経験も必要となるので、年齢以外をみる研究費も考えてほしい。加えて、研究成果は偶然の産物でもあるので、広範囲のチームで有機的で国際的な研究ができるよう取り組みを進めてもらいたい。

  • 博士人材のキャリアパスについて、海外の例も参考にしながら、公務員への活用も検討すべき。また、博士人材は自分の研究テーマにワクワクドキドキして研究を行う経験を有していることから、このような人に高校の先生になって、その喜びを伝えて欲しい。

【中小企業、エネルギー・環境】

<委員からの御意見>

  • コロナ対策について、緊急時対策を平時の対策に戻すタイミングは慎重に検討すべき。

  • 新たな日常に対応する企業を支援すべき。債務の問題は、1・2年後に顕在化する。今から債務処理について、必要な処理をできるよう準備を進めるべき。

  • 資金繰り対策について、モラルハザードを回避するために、緊急支援を恒常化させないことが重要。期限を明確に示し、貸し手・借り手の双方で、出口に向けて検討を行うべき。

  • コロナ対応について、出口対策は重要だが、予定どおり終了すべきと明確に打ち出してよいのだろうか。状況を鑑みながら柔軟に対応していくといった書き方でもよいのではないか。

  • コロナ下で倒産件数が少ないのは、適切な支援ができている証拠だと考える。しかし、事業が芳しくない企業の長い延命を図ってしまっていることも懸念している。こうした、企業への支援は、適切なタイミングで適正化を図るべき。人材の流動化・拡大、M&A促進等をしないと、成長業界の恩恵に預かれない。

  • 中小企業に関して、生産性向上を図る取組は重要であるとともに、優良企業に収斂させていくことに目をむけるべき。国がしっかりとした雇用とセーフティーネットを担保したうえで進めていく必要があると考える。

  • 事業継承の円滑化や新陳代謝の促進については、技術を持つ労働者の雇用の維持にも支援が必要。持続化給付金等は予定通り終了するにあたり、感染の収束状況に応じ、柔軟に検討できるよう、事業の経過措置を設けるべき。

  • 中小企業の定義を今後整理するにあたっては、「新陳代謝を促す」、「ゾンビは許さない」、「生産性を高める」の3点は必須。

  • 中小企業支援政策の基本は、頑張っている企業や意欲ある企業を応援することであり、この姿勢は堅持すべき。また、デジタル化に加えて、柔軟な働き方をセットで組み入れているかも併せて評価すべき。

  • 企業における省エネや再エネのインセンティブはCSRや投資コストの文脈で十分に発揮されており、財政による過度な誘導は見直されるべき。

  • 中小企業支援の「デジタル化」、「ワンストップ化」を進めるべき。社会保障分野に対しても中小企業支援も講ずるべき。

  • エネルギー・環境について、菅政権が2050年までの脱炭素化実現を掲げれば、パラダイムシフトとなる。

  • エネルギー・環境について、諸外国、特に欧州等と日本の温度差が大きい。日本においても、民間の取組に任せるばかりではなく、財政措置やESG投資について議論・検討すべき。同時に、判断のための指標がまちまちなので、政府として何らかの方向性、ガイダンスを示すべき。

  • エネ特の事業は行政事業レビューの常連にもなっており、中身について精査が必要。

  • 現状の予算措置による事業は環境省・経産省にまたがっているところ、その事業が何故その予算額が必要であるかがわからず、ただ目的を達成するために多額の予算を取っていることになっていないかが心配である。CO2削減コストが低いものから高いものまで並べれば事業の優先順位が分かるはずで、あまりにコストの高い事業は見直すべき。優先順位付けは重要であり対外的な説明性も強化できるので有用。

  • 温室効果ガスの排出実質ゼロに向けて、中身は変えていきつつも、規制と財政措置を上手く連動させながら、パッケージで取組を進めるべき。

  • デジタル化・DXに関しても、小さな中小企業にデジタル化・デジタルトランスフォーメーションの目的や具体的な内容を正しく理解してもらうことが必要。国がそれらをわかりやすく示す必要がある。

【防衛】

<委員からの御意見>

  • 日本の安全は最終的には、米国の核抑止力・日米同盟であり、米国との信頼を構築する上で、宇宙分野でパートナーになるべき。

  • 日本でも若年層の減少に伴って、RMAを進めるしかないだろう。このとき、調達の課題をどう捉えるかが重要であり、ワイズスペンディングを行う必要がある。

  • 装備や人を揃えば、それで良いというわけではない側面がある。民間人材との交流など、人材の流動化も視野に入れながら進める等、人材を最大限生かすということが重要。自衛隊の組織はまだまだ硬直的であるともきく。財政当局からも、改革を促していくべき。

  • 調達について、部分的に海外の企業も対象に含めることなども考えるべき。特殊な分野だからといってこのままで良いとなってしまわないようにすべき。

  • 防衛力の整備水準の引上げについて。C-2とP-1のライフサイクルコスト(LCC)が増加しているとのことだったが、5年前に防衛装備庁が設置されたのは、こうした問題を解決するためだったはず。指摘のあった調達改革をきっちりと進めていくことが大事で、予算規模の大小だけでなく、防衛力の整備水準を引き上げていくことが重要。