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 財政制度等審議会 財政制度分科会 歳出改革部会
〔議事要旨〕

1.日時 令和元年10月23日(水)9:00~11:00


2.場所 財務省第3特別会議室(本庁舎4階)


3.出席者


(委員)
赤井伸郎、遠藤典子、武田洋子、中空麻奈、増田寛也、宮島香澄、上村敏之、河村小百合、木村旬、小林毅、末澤豪謙、竹中ナミ、田近栄治、田中里沙、冨田俊基、広瀬道明、別所俊一郎、堀真奈美、神子田章博、横田響子(敬称略)

(オブザーバー)
黒川行治(敬称略)


(財務省)
遠山副大臣、藤川副大臣、井上大臣政務官、宮島大臣政務官、太田主計局長、阪田主計局次長、角田主計局次長、宇波主計局次長、阿久澤主計局総務課長 他


4.議題

○ 事務局説明

  • 外交関係等
  • 防衛
  • 中小企業、エネルギー・環境


5.議事内容

○ 本日は、「外交関係等」「防衛」「中小企業、エネルギー・環境」について、事務局から資料に基づいて説明があったのち、質疑を行った。
○ 各委員からの質疑や意見は以下のとおり。


【外交関係等について】

<委員からの御意見>

  • 二国間ODAについて、将来予見可能なプロジェクトにかかる費用を主務官庁であれば認識しているにもかかわらず、後年度負担を考慮せずに要求ばかりするのは問題ではないか。
  • 無償資金協力について、地域別・分野別の実績をまとめたマトリックスを作成したことは評価できるのではないか。
  • 在外公館について、外務省としては増やしたい思いがあると考えられるが、一方で、一度増やすと、減らしたり、縮小したりしにくいという点も考える必要があるのではないか。
  • 国全体として見たときに、新たに増やした在外公館に人的資源を投入するのか、訪日外国人が増えてきている国の在外公館に人的資源を投入していくのか、ということを考える必要がある。
  • 今後、国際情勢は比較的厳しい状況が続く中で、財政でメリハリをつけるのは賛成。同時に、そうした中で日本のプレゼンスを守り、国際秩序へ貢献することについて、どのように実現するかという戦略性が大事なのではないか。人材面での戦略性はより重要。
  • 情報システムについて、一元的な管理をする方向は進めていただきたい。民間と協力してお互いに効率的にできないか。一方で、一元化するとリスクが増すため、セキュリティも2、3段階上を要求されるのではないか。
  • 情報システムについて、データの標準化がしっかりなされることで、統合効果が出やすい分野と考えられる。


【防衛について】

<委員からの御意見>

  • 防衛関係費をある程度かけなければならないのは理解するが、防衛省の調達にそもそもコスト意識がないのではないか。防衛予算全体を厳しく見ていくべきではないか。
  • 基地周辺対策費について、地元からの強い意見もあり、甘くなっている部分があるのではないか。他地域に住む国民の目から見て、国費で負担すべき部分がどのようなものであるか、防衛以外の分野とも比較しながら検討を行う必要。
  • 中期防の単価には、過去の調達単価より高い価格で設定されているものがある。積算根拠をきっちり示していただかないと、コスト削減のインセンティブを高めることにつながらないのではないか。
  • 後年度負担がどんどん増えており、結果として部隊の訓練費が削減されるおそれがある。防衛関係費を引き上げずに防衛力を強化していくために、民生品の活用、FMS(有償援助)調達の管理、将来戦闘機の国際共同開発の検討の3つが重要ではないか。
  • 「良いものをより安く」はそのとおりであるが、ESG投資が金融の世界で中心になりつつあり、その中で「武器」は投資されなくなる傾向があると言える。
  • 防衛関係費の在り方について、民間のファイナンスの在り方が変化してきていることも踏まえて検討することも重要ではないか。


【中小企業、エネルギー・環境について】

<委員からの御意見>

  • 中小企業について、単なる企業の維持ではなく、前に進んでいることをしっかりと示すことが重要。
  • 中小企業支援策について、どこで市場が失敗しているのか、なぜ政府が介入しなければならないのかしっかりと議論した上で、詳細について議論をすべきではないか。
  • 中小企業支援策について、自治体の補助金も甘くなっている。どこまで国がやるべきで、どこから地方に任せるのかについて、生産性、収益性、付加価値といった点で見るべきではないのか。
  • 中小企業は事業承継が最大の課題。承継者対策に重点的な取り組みをすべき。
  • 人材不足の中、IT投資やクラウド化を進めるためには人材のシェアリングが重要ではないか。
  • やる気を持って連携する挑戦的な事業者を国は支援すべき。そういう意味では、「ものづくり補助金」はまさにこの考え方の具現化と言えるのではないか。やる気がある事業者側も目的・評価がはっきりした方が挑戦しやすく、現場からも見ても有益。技術的に走って使いづらい制度とならないよう注意しつつ、現場・事業者としっかりと話し合いながら進めていくべき。
  • 中小企業支援について、あくまで政策金融・税制が優先で、補助金は必要なところに絞ってやるべきではないか。
  • 補助金だけでなく、租税特別措置をどうするかについても重要。補助金と租税特別措置とのすみわけを整理して考える必要があるのではないか。
  • 若い経営者の企業は柔軟に取り組んでいるのではないか。成功の要因を分析して対策を考えるべき。
  • 若い経営者には公的支援を必要とせず、産官学協同のケースも増えている。若い経営者に絞って配分するなど、ターゲットを絞っていく方向性も必要ではないか。
  • エネルギー需給を巡る世界情勢が変わってきている。資源開発にあたっても、官民の資金がそれぞれどのようにリスクを分担していくか、官民の緊張関係を保ちつつ、過剰な投資にならないように進めるべき。
  • エネルギーについて、世界的に環境問題の認識が深まっている。民間企業にとってもビジネスチャンスということで、側面支援の形の方が持続可能性は高い。マクロの環境の中どういった支援をしていくかという観点が必要。
  • エネルギーについて、経済性・安定供給性・環境性の3つの観点がある。経済性については、マーケットメカニズムをベースとして進めていくことに賛成。他方、安定供給性・環境性は今後の課題。今般の災害も踏まえ、どのようにエネルギーインフラを作っていくか、官民の連携が必要。
  • 中小企業やエネルギー分野は、補助金の費用対効果について定量的評価を行いやすいので、より厳密な費用対効果分析を求めていくべき。
  • CO2削減コストがすべての事業のレビューシートに入っているはずであり、政策の優先順位付けに活用すべき。
  • コストをかけずに国民に省エネの必要性を訴えていくことを財務当局としても促していくべき。
  • エネルギー・環境について、ファイナンス面で民間資金の活用を促すための取り組みを考えるべき。
  • エネルギー特別会計の中身が、導入支援も技術開発も細分化されすぎ・ばらまきすぎ。前回も議論したが変わっていかない。
  • エネルギー研究開発について、中間評価をしている有識者会議が実証事業の評価を甘くつける傾向がある。当初の段階で規模を精査し、過去のものについても、うまくいったものそうでないものを評価することが必要ではないか。
  • 2019年6月に閣議決定された「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」において、「環境と成長の好循環」が打ち出されたが、政府は技術革新等を支援しつつ、短期的に成果が出ない分野もあるので、幅広い視点で見てほしい。

(以上)