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〔土居部会長代理〕皆様、こんにちは。歳出改革部会の部会長代理をしております、慶應義塾大学の土居でございます。

本日13時30分より財政制度等審議会財政制度分科会の歳出改革部会を開催いたしました。

本日はまず、財政総論(補足)、文教・科学技術、外交・デジタルについて、事務方から説明を受けました。そして、事務方からの説明については、財政総論では、英国の財政運営状況のアップデート、PDCAの取組、特に行政事業レビューの予算編成プロセスでの活用、それから、フューチャーデザインについて御紹介がありました。それから、文教・科学技術については、義務教育、高等教育、科学技術、文化におけるそれぞれの課題を中心としたものとなっておりました。そして、外交につきましては、日本の厳しい経済・財政の現状とODAの在り方、ODA事業の現状や評価、JICA無償・技協資金の有効活用、分野や地域の重点化、民間資金の動員を含めたODAの戦略的・効率的活用、公電文化など在外公館独特の業務の働き方改革等を中心としたものとなっております。そして、デジタルについては、情報システム関連予算の運用等経費の削減、マイナンバー関連システム、デジタル化で効率化される経費の特定を中心とした説明となっております。

各委員からの主な質疑や意見について、通例どおり、委員の個人名を伏せまして御紹介をさせていただきます。なお、議事の詳細につきましては、後日公表される議事録を参照してください。今回三つとか四つとか分野がまたがっておりますが、委員の皆様からはそれぞれ一括して意見を言っていただきましたので、委員ごとに分野がまたがりまして順不同になるところもありますが、御紹介をさせていただきます。

まず行政事業レビューにつきまして、行政事業レビューは、事業を多年度で評価するということを良いことに、一つ一つのプロジェクトで必ずしも数字が入らないものがある。多年度ということを言い訳にするようなことがたくさん起きてはならないということで、PDCAをきちんとやれるように管理していただきたいという御意見。それから、文教・科学技術につきましては、働き方改革を求めるのであれば、自助努力をしたということについては見ていく必要があるし、どういう努力をしたか、工夫をしたかということも明らかにしてもらう必要があるという御意見をいただきました。

それから、次の委員の方は、教員の量と質の関係について、これは重要な指摘であるという御意見。定員の合理化による財源を教員の質向上に活用するというのは、予算のメリハリをつける上で重要であるという御意見です。デジタル関係ですが、過去の政府の取組では、政府情報システムの運営経費3割削減の目標が達成されたが、単純比較ではむしろ増加しているというのは残念な結果である。司令塔のデジタル庁の組織改革が急務であるという御意見です。それから、フューチャーデザインにつきまして、経済とか財政の持続可能性の観点からすごく良いものであると考える。矢巾町のような住民参加の活用事例がもっと広まることを期待したいという御意見をいただきました。

それからまた次の委員の御意見では、文化財の保存修理について、コロナ禍においてクラウドファンディングを使う事例が増えてきている。自ら資金調達をしているところにインセンティブを厚くしていくべきであるという御意見をいただきました。それから、外交、ODAに関連してですが、失敗事例に心を痛めている。なぜ使われていないのかという理由は資料に書いてありますが、なぜ使われないようなところに造ったのかが書かれていない。使い方を過去に遡ってきちんと正していかなければ、いつまでも直らないという御意見です。それから、フューチャーデザインに関して、ワイズスペンディングで今の現役世代がちゃんとやっているのかという視点をこども世代が持って育つことで将来この国が変わっていくので、その視点も大切にしながら財政の問題を考えてもらいたいという御意見をいただきました。

それからまた次の委員からは、教職員の働き方改革と教職員定数に関連するところで、今、教職員の働き方改革が進んでおらず、応募率も過去最低となっている。これを改善するには、統廃合とアウトソーシングとICT化しかない。将来の推計人口に照らして、学校教育はもつのかという観点で考えてほしいという御意見です。それから、デジタルについてですが、民間ではシステム予算全体を減らした上で効率化もしている。デジタルの評価は、従来と違うメルクマールや指標をつくっていかないといけない。DXやGXを推進するに当たって、単に予算をつけただけということになりかねないという御意見をいただきました。それからPDCAについて、総務省行政評価局や財務省の調査などが連携すれば、より大きな効果が得られる。

それから、私学助成のことですが、今後も人口減少は続くので、私学の定員充足率は今後も下がっていく。教育の質が落ちないように、より強い形で適正化するとか、私学の在り方を見直すような制度づくりをするのが良いという御意見をいただきました。それから、文化財予算に関連してですが、税金を払うのは嫌だが文化を守るならよいという人は実際に多くいると思う。そうした価値があるものにお金を出してもよいという人からお金を出してもらうのは、文化財保護の意味でも財政再建の意味でもすごく良い価値があることであると思う。外国人観光客のインバウンドの人もこれから増えるので、そうした人に文化財保護に貢献してもらうことも積極的にやるべきであるという御意見をいただきました。それから、フューチャーデザインについて、私たちは必ず将来世代から承認をされるのであるという意識を持つことで、世代を超えた時間軸を持って物事を考えることができるようになる。多くの国民の皆様がフューチャーデザインのような経験をすることは、財政健全化の議論を自分事として考えるようになるため、非常に有効であるという御意見をいただきました。

それからまた別の委員の方からは、フューチャーデザインに関して、水道料金の例も、住民の納得感と、自分自身が受益者でもあり負担者でもあるという自分自身の中でのバランスの理解が進んで行動ができたという事例であると思う。各領域において地域で優先課題があり、行政がきちんと入って未来への責任を勘案しながら結論を出していくことが大きな前進になるという御意見をいただきました。

それから、次の委員の方からは、行政事業レビューシートについて、どう工夫してもアウトカムが設定できない事業をどうするかということも考えておく必要がある。そうした事業は、原則的にスクラップしてしまうという方針もあり得るのではないかという御意見です。そうした方針を提示することで、事業を担当する部局は真剣に新しいレビューの指標の作成に向き合うのではないかという御意見をいただきました。それから、同じく行政事業レビューシートについての意見ですが、事例をいかに共有するかが重要で、ベストプラクティスになるような事業を選んで、それを目指すということが重要であるという御意見をいただきました。

それからまた別の委員からは、PDCAについて、すばらしいので是非実施をしていただきたい。何をもってワイズなのかというところの価値判断が非常に難しいので、指標の整備が必要であるということです。それから次は、教員の量と質に関してですが、教員の量と質を考えると、統廃合とICT活用を両方進めない限りバランスが難しいという御意見です。それから、学校における働き方改革については、ワイズスペンディングを奨励するための指標と、そのためのストラクチャーとプロセスがどうなっているか、この3者のつながりが分かるようにしないといけない。また、検証できるようにする必要があるという御意見をいただきました。

次の委員からは、フューチャーデザインについては、国民一人一人が当事者意識を持って予算について考えること。ただ批評するのではなく、自分ならどうか、議論に加わることで自分の擬似的な経験になるということが非常に重要であるという御意見です。それから、研究開発についてですが、論文数が少ないという話は財審でも毎回のようにあるが、成果につながるお金の使い方、ちょっとした投資によって大きなリターンがある領域があれば考えてみてもよいのではないかという御意見をいただきました。

それから、次の委員からは、文教についてです。まず義務教育に関しては、教員の採用倍率が大幅に低下している中、働き方改革や免許制度、採用方法に関する新たな仕組みの検討などを通じた教員の質の向上が喫緊の課題となる。働き方改革については、構造的にインセンティブが働きにくい状況であるので、国が行う一定の補助事業について、学校ごとに働き方改革の取組を公表することを要件とする仕組みなどを是非導入していただきたいという御意見です。高等教育に関しては、学生の能力向上の見える化などを通じて大学にアウトカムに対する徹底的な説明責任を求めてPDCAサイクルを確立し、EBPMを推進する必要が最も高い分野の一つであると考える。教育の質を高めるためには、国立大学運営費交付金や私学助成についても、引き続きメリハリの強化や執行の改善などが不可欠であるという御意見です。科学技術に関しては、大学のガバナンス改革や国際化への取組などを促す政策誘導を強化することに加え、研究人材の流動化向上が極めて重要であるという御指摘をいただきました。

それから、外交分野につきましては、国民の血税を使用するわけだから、量ありきではなく、費用対効果等を踏まえた質的な改善が不可欠である。具体的には、ODAについてはマクロ的なデータに頼ったインプットありきのものではなく、ミクロ的な個別プロジェクトのアウトカムをデータで丁寧に検証していくことが求められる。国際機関等への拠出も、我が国の中長期的な国益などに照らしてメリハリづけが不可欠であるという御意見をいただきました。それから、デジタルに関しては、デジタル庁には、司令塔としての責任と自覚を持ってクラウドへの移行や縦割りの撤廃などを推進するとともに、デジタル化によって効率化する経費をしっかりと特定した上で、新たなメルクマールを導入することなどを通じて運用と経費総額の抑制に取り組んでいただきたいという御意見です。それから、フューチャーデザインについては、すばらしい取組であるので、是非とも具体的なアクションにつなげていただきたいという御意見をいただきました。

それから、次の委員からは、まず行政事業レビューについて、行政事業レビューシートの見直しや予算編成プロセスでの活用は大変良い取組である。EBPMは運用の段階で形骸化しないようにしっかりレビューしてほしいという御意見をいただきました。それから、研究開発に関連するところでは、研究活動の国際化の取組について、国際化の取組を推進するにはそうしたことができる人材の層を厚くしていく必要がある。また、そうしたことができる人材を社会として評価していかなければならないという御意見をいただきました。それから、義務教育の教員確保についてですが、ビジネスの経験のある企業人をどうやって教員にするか、このルートの拡充を検討してほしいという御意見。それから、ODAにつきまして、ODAが将来にわたって土木中心でよいわけがなく、デジタル、DX、グリーンあるいは人材育成や医療・衛生といった、日本が得意とする人間の安全保障につながっていくスコープを変えていく必要があるという御意見をいただきました。

それからまた別の委員からは、フューチャーデザインについて、現代世代の立場の視点が目の前の現実課題に注視されがちなので、将来世代の立場に立って広く議論してもらうように発信していく必要があるという御意見をいただきました。

それからまた別の委員につきまして、フューチャーデザインについて、高校生などと話しても、自分たちがいくら勉強してもすぐに投票できないむなしさがあるということを聞く。それから、若者が少ないという人口比率の中で、どうにもならないというむなしさを感じると言っている。大人たちが責任ある視点を取り戻すということが一番大事であると思うという御意見をいただきました。それから、学校における働き方改革に関連しての御意見ですが、教員の意見だけで働き方改革を進めると、必ずしもそれが社会や企業の意識と一緒にならない可能性がある。こどもたちに完全にためになる働き方にならないということもあるので心配している。働き方改革をする上で十分に外の視点が入るようにするべきであるという御意見をいただきました。

それから、次の委員の方からは、ODAについて、4事例についてはがっかりした。短期的には公共事業として現地で喜ばれるものの、中長期的には全く役に立っていないものであると考えられる。こうした事例については、初期のマーケティングで精査、事後的に見える化していくといったことも考えるべきであるという御意見をいただきました。それから、行政事業レビューにつきまして、行政事業レビューを予算編成プロセスで活用していくことは本当に重要なことである。具体事例を含めどのようにアウトカムデータを取っていくか、地域別でどんな分析ができるのか、総務省の政策評価審議会でも検証しているところなので注視してほしいという御意見をいただきました。

それからまた別の委員からは、イギリスについて、イギリスの事例については、日本は謙虚に受け止めてほしい。中央銀行の考え方が日英で違うが、慢心せず、為替相場が警告を発していると受け止め、謙虚に地に着いた財源を確保した政策運営をやっていけるように考えるべきであるという御意見をいただきました。それからPDCAに関しては、行政事業レビューで各省庁が触れてほしくない事業から逃げることのないようにやっていただきたいという御意見です。それから、高等教育につきまして、高等教育の場合は、社会に出て活躍できるための能力を身につけてもらう、エンプロイアビリティーを身につけてもらうことが大事で、社会からの評価、卒業生の年収の水準とかもきちんと調査をやっている国もあるので、そうしたことも参考にしながら、客観評価の枠組みをつくっていくことを促すように財務省としてもやっていくのが良いのではないかという御意見をいただきました。それから、国立大学運営費交付金について、シニア教員に関する指標の認定が甘い。シニア教員に対して何らかの給与施策をオプションとして出せばよいことになっている。厳格にきちんと評価する指標を入れて、教育・研究の両面で成果が上げられるように促していくのが良いのではないかという御意見をいただきました。

それからまた別の委員からは、大学ファンドについて、配りっ放しではなくて、研究のパフォーマンスについてもしっかり検証していくプロセスを入れていただきたいという御意見です。

それからまた別の委員からは、PDCAについて、制度を有効に実行するためのポイントが三つある。まずは、検査機能。各省の自己評価を総務省が取りまとめ、財務省も予算執行調査で関与することにはなっているが、これらは本当に機能しているのかということが問われる。そして、2点目として、制度を活用する人の意識がある。予算には全力で使いながら、決算は簡素に済ませてしまうという全省庁・議会全体のカルチャーには違和感を覚えるということです。3点目、人材の育成。政策の評価には政策立案とは別のスキルが必要で、そうした人材を育成する必要があるのではないかという御意見をいただきました。

それから、これが最後の委員の御意見です。まず義務教育については、現行の特別非常勤講師制度や特別免許制度にはなぜ応募がないのかの検証も必要であると考える。それから、デジタルについて、マイナンバーについてはシステム構成の見直しによって経費を抑えていくことも必要である。個人情報管理体制の強化と安全性の周知を推進し、いまだ根強く残るマイナンバーカードへの不安や誤解の払拭に努めていただきたいという御意見をいただきました。

委員の皆様からの御意見は以上となります。

〔幹事〕御説明ありがとうございました。少し予定の時間を過ぎていますが、会場の方で会長代理に質問ある方、挙手をお願いします。大丈夫ですか。ありがとうございました。

〔土居部会長代理〕よろしいでしょうか。では、どうもありがとうございました。