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令和元年5月16日
財政制度等審議会 財政制度分科会 歳出改革部会


 
〔土居部会長代理〕 皆様、こんにちは。本日13時より、財政制度等審議会財政制度分科会のもとに置かれました歳出改革部会を開催いたしました。

 本日は歳出改革部会の初回ということで、先日、部会長に指名されておりました増田部会長から、私、土居が部会長代理を指名されましたので、これから私から説明をさせていただきたいと思います。今後、歳出改革部会については、会議終了後の記者の皆様への御説明も私が進めさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、まず、増田部会長から皆様に御挨拶をお願いいたします。

〔増田部会長〕 部会長の増田でございます。引き続き、よろしくお願いいたします。

本日、第1回目が開かれましたが、改めて私のほうから、この部会の背景を少し申し上げますと、2019年2月に、財政制度分科会の全メンバーの中で、「委員の意見の整理」というものを行いました。これはもう公表してございますが、その中で、財審として十分な意見交換をしていく上で、こうした部会を設置してはどうかという提案がございました。そこで、「歳出改革部会」という名称で部会を設けて、本日の第1回目に至ったということであります。

分科会との役割分担ですが、分科会においては、財政総論や社会保障の総論、地方財政総論、こういった財政全体の議論を引き続き行っていきます。今年度になってからも、これまで行ってまいりましたし、来週も分科会という形で行いますが、この歳出改革部会は、より少ない人数で、各歳出分野における予算編成上の課題について集中的に議論を行っていくということで、その各歳出分野の予算編成上の課題ということで、本日、文教・科学予算、それから社会資本整備を取り上げたということになっております。

 第1回目ということで、冒頭、以上のことをあえて申し上げさせていただきました。引き続き皆様方の御理解と御協力、よろしくお願いしたいと思います。

 あとは、部会長代理の土居先生にお任せします。

 〔土居部会長代理〕 増田部会長、どうもありがとうございました。

 それでは、改めまして本日の会議の概要について御紹介をいたします。

 本日は、事務局より、文教・科学技術、社会資本整備について、お配りの資料に基づきまして説明を行い、質疑を行いました。各委員からの主な質疑や意見について、委員の個人名は伏せて紹介いたします。なお、議論の詳細につきましては、後日、公表される議事録を御参照いただきたいと思います。

 最初に、文教・科学技術につきまして、各委員から出ました主な意見を御紹介したいと思います。

 文教・科学技術においては、アウトカム、教育、研究の成果で見ていく必要があるというのは、その通りだという御意見がありました。

 それから、国立大学への評価ですけれども、国立大学への評価による予算配分を客観的指標で、緊張感を持って行うことが重要であるという御意見。研究面だけではなく、教育面でもアウトカムの指標を入れて、しっかり配分に反映させていく必要がある。国立大学の中では、そもそも学部間の配分に加えて、教育と研究で区分経理ができていないということは問題だという御意見がありました。

 それから、教職員定数が実質20万人、これまで増えてきているということに対して、その間、公立小・中学校における年間総授業時間数が増えていること、それから発達障害認知数や外国人生徒の増加があったということも考慮に入れるべきではないかという御意見がありました。

 それから、義務教育であれ、大学であれ、自治という名のもとに何でも教員が行ってきたということに問題があり、経理など授業以外の事務分担については、アウトソーシングを図るなど改善が必要であるという御意見がありました。。

 それから、人口が少なくなっている以上、私立大学など供給過剰の状況を改善すべきだという御意見がありまして、財政支出は供給側の再編や小規模学校の統合・再編を後押しする形で行うべきである。大学の人事、組織の硬直性、閉鎖性については、その委員御自身も若い人からよく耳にするという意味で、実感に合っているというような御意見がございました。

 それから、教育は子供第一で考えるべきだが、そうはなっていないという面があるのではないか。教員が実は授業以外のことで忙しく、子供のためになっていない。本来、教員は授業に集中すべきである。生徒の数が減っており、1人当たりの教員が増えているというのは効率化に逆行していて、学校統廃合などができないのは、子供のためという理由ではなく、地元の反対があるからではないかという御意見がありました。

 それから、アウトカム指標を重視していくという方針には賛成である。人材は、日本の将来を左右する大事な要素であり、質を上げていくことにつながるものについては支出をしていくべきである。その際、新陳代謝が重要で、学生に勉強をさせている大学かどうか、しっかりチェックをする必要がある。それから、勉強させているかどうかまでを見られるような指標をセットして、評価や予算配分に反映させていく必要がある。それから、我が国での人材の流動性をもっと高めていく必要があるのではないかという御意見がありました。

 それから、国立大学で効率的な予算配分や運営が行われていないのは、ガバナンスが効いていないことが本質的な原因ではないかという御指摘がありました。また、大学行政の改革も重要であると。予算配分が前例踏襲になっていることは改善すべきで、大学では相対的評価も行われていないのではないかという御意見であります。

 それから、確かに重点支援評価による配分というものもあるわけだけれども、幾つかの複数の評価が設けられていて、結果的に全体で評価すると、さまざまな評価が予算配分などに差がつかないで、大学に逃げ場をつくっているようなことになってはいないかという御意見であります。

 それから、国立大学運営費交付金、科研費についてでありますけれども、予算配分が変わらず、メリハリがないのは、護送船団的で、硬直的な日本型システムの性格を端的に表していると思うと。科研費の評価対象の大括り化を行うべきであるという御意見がありました。

 それから、教育機関は緊張感のある客観評価にもっと晒されるべきである。全く研究成果を問わずに、研究をやっていると言えばどんなものでも予算を配分し、実質的に国として奨励しているような状況が本当に正しいものなのかという疑問を投げかけた御意見もございました。

 それから、教員数が少子高齢化にもかかわらず足りないのは、教員の仕事が増えているからにほかならないのではないか。教師が必ずしも行う必要のない業務について、減らしていくというコンセンサスをつくるべきであるという御意見。

 それから、高等教育について低所得者家庭の無償化が始まるわけですけれども、定員割れ大学の延命措置にならないようにするべきであるという御意見。

 それから、子供が多くとも指導ができている先生もいるし、逆に、子供は少ないが、指導ができていないという先生もいる。子供と教員の比率だけで予算を語るべきではなく、実際にきちんと指導ができているかどうかというのを見るのが重要ではないかという御意見。

それから、最後に、アウトカム重視ということは基本的に賛成である。学生の多様性が足りないのではないか。18歳まで、そのままストレートで大学に行くというプロセスが本当によいのかということについて、疑問を投げかける御意見がございました。

以上が、文教・科学技術に関するセッションでの御意見ということであります。

続きまして、社会資本整備についても、主な委員の御意見を御紹介したいと思います。

社会資本整備は大事である中、民間資本の活用が必要であるという御意見がありました。

それから、中長期的な課題について重点的に検討したのはよかった。今回の議論ということでありますけれども、人口減、高齢化、防災・減災などを、長期的な視点で議論をする必要がある、新たな技術の活用を進めていく必要があって、その活用が進んで新技術が多く使われれば、更にコストが下がっていくので、そういうことを進めていくべきだ。その先に、プラットフォーム化や横展開というものも図っていくべきではないかという御意見がありました。

続きまして、防災・減災について、全国均一的な対応では無理なので、戦略的観点から国主導でやるべきではないかという御意見。

それから、今回の会合で取り上げられた個別補助化は、とても良い取組だという評価をされた委員がおられまして、ただし、その個別補助化に頼り過ぎて予算が膨張してしまうのはよくないので、考え方の整理が必要ではないか。

予防保全については、画像処理やAIなど新技術をふんだんに活用して精度を高めてほしいという御意見であります。

それから、今後のインフラ整備は広域化がキーワードになる。その意味では、都道府県の役割が重要であるという御意見であります。

コンセッションが広がらないのは、受益と負担の連動が見えにくいのではないか。公共料金が安過ぎて、費用構造も見える化されていないという背景があって、それを改めるにはコストの見える化が必要で、例えばイギリスのように客観的な監視機関を設けるという観点も重要ではないかという御意見。

それから、インフラについては、今後の人口減少を踏まえると、戦略的な撤退という観点も重要ではないか。バランスシート上の資産の圧縮ということは今後も必要である。

続きまして、PPP/PFIの推進そのものを否定するわけではないが、上下水道など健康、命にかかわるインフラについては、地元の住民や地方自治体に対する丁寧な説明が必要であるという御意見がありました。

それから、今後の消費増税の中で国民に新たな負担をお願いするのだから、より効率的なインフラ整備が大切になるだろうし、その意味では新技術や民間資金の活用という視点はよいという御意見がありました。

そして、最後に空き家問題について御意見がございまして、空き家は地方の過疎地域の問題という印象があるが、都市部におけるマンションでの空き家が生じることが、今後、懸念される。本来、この分野は民間資本ストックの問題ではあるが、きちんと管理組合がメンテナンスできているかどうかが不明であるという実情があるということなので、国としても民間の管理の取組をウォッチしていったほうがいいのではないかという御意見がございました。

本日の審議における各委員からの主な質疑や御意見は以上であります。

私からは以上です。

〔幹事〕 冒頭、幹事社から2問、お願いします。まず、お二人にお伺いしたいのですが、今回、歳出改革部会として初会合だったわけですが、普段出られている審議会と比べて集中的な議論ができたのか、比較してみて御感想を一言ずついただければと思います。

〔増田部会長〕 私は、できたと思います。出席者も、というか定員上は、全体の分科会は45名、こちらは30名ですが、前回の分科会のときの出席者が31名、それから本日は、オブザーバーの方も1人いましたが、その方を入れて23名、それでほぼ同じ時間の中でいろいろ議論しましたので、議論がより、皆様余裕を持って言えたのではないかと、そういうふうに思います。

それから、本日は割と個別のテーマだったので、文教・科学技術とか、社会資本整備、公共事業と、こういう感じだったので、もう少しほかの分野に行くと、やはりそれぞれ御関心の分野がいろいろ出てくる中で、より突っ込んだ議論が出てくるので、私はこういうやり方のほうが、やはり今までよりは深い議論がこれからもできるのではないかと、こんなふうに思いました。

〔土居部会長代理〕 増田部会長おっしゃるとおりだと思います。それに加えて、私から申し上げるとすると、大局的な議論が必要な場合と、個別、各論で、個別の施策についての意見を議論する必要がある場合と2つ局面があると思いまして、今まではどちらかというと、それは両方混ざった形で分科会をずっと継続して開いてきていたということだと思いますけれども、今回、部会という形で新たにつくられて、個別、各論で細かい議論をする、しかも、それを深掘りしながらするというものについて、今回、議論がうまくできたのではないか。そういう意味では、うまく親会と子会議といいましょうか、分科会と部会の役割分担というのがこれからどんどん明確化されていくといいと思いますし、今回、初回ということではありましたけれども、そういう明確化に非常に重要な1回目だったのではないかというふうに思います

〔幹事〕 ありがとうございます。

もう1問、各論についてですけれども、社会資本整備の最後のところで、新幹線、整備新幹線の話も、今回出ていますが、これについては何か特段、意見というのはなかったのでしょうか。

〔土居部会長代理〕 主計官からの説明はありましたけれども、個別に新幹線についての御意見というのは出ませんでした。

〔幹事〕 分かりました。ありがとうございます。

〔質問〕 今回、歳出改革部会ということで、最初に2つテーマでしたけれども、どちらのテーマもすごく分かりやすい歳出削減というものではなくて、どちらかというと、より良い効果に持っていくにはどうするか、それから今後の変化を見据えたときにどうするかという形の議論だったかのように聞こえたのですが、そのあたり歳出改革部会として、そういう議論の、歳出改革という面で見たときの議論の仕方というのを、どういうように捉えていらっしゃるかというのを教えていただけますか。

〔増田部会長〕 改革の中身をこれから、今年度の予算は一応、決まっているので、来年度に向けてより深めていくということだと思うんですよね。だから、必ずしもそれが、100兆円の大台に乗りましたので、歳出として膨れ上がらないということが非常に大事ですが、中身を精査して、より質の高いものにしていくということが改革の大きな中身ですし、それと同時に、やはり歳出をもっともっとスリム化して、それで良い形にしていくと。多分、両面あるだろうと思います。本日、個別のテーマでいきなり議論していますが、大きくそういう名前も、内容を表したような名前になっていると思いますが、歳出の大きな全体の膨れ上がっているものをこれからどう切り込むか、それから中身と、そういうことをきちんとこの部会でミッションとしてやらなければいけないという思いでやっていきたいと思います。

〔土居部会長代理〕 文教・科学技術の中では義務教育と国立大学の議論が、割と意見が集中していたところだというふうに思います。特に義務教育については、教職員の数は実質的に増えていて、主要先進国の中でも遜色ない人数ではあるわけなので、人数というよりかは、むしろ業務の縮減をどういうふうに図っていくかと。教員は、授業により専念していただくと、他の業務に煩わされることにならないようにするということ。ないしは、教師でなければできないことに教師はより集中していただけるようなところが重要で、数を増やせば問題が解決するという単純な話ではないというような御意見が多かったというふうに思います。

それから、国立大学の話ですけれども、何かと運営費交付金の総額ばかりに焦点が集中しがちですが、公的な支援というのは総額としては増えているということであり、学生1人当たりの水準も主要先進国の中でトップレベルということでありますから、課題は、予算額のレベルというよりかは、むしろ硬直的な予算配分に問題があるということなので、そこでアウトカム指標といいましょうか、成果を尺度にしながらメリハリづけをしていくという方向に、予算の配分の仕組みを変えていくということが必要だという御意見が、結構たくさん出たのではないかというふうに思います。それが、まず文教・科学技術のほうであります。

それから、社会資本整備でありますけれども、社会資本整備は、基本的には新技術や民間資金の活用というのをもっと積極的にするべきではないかということが、多く意見としては出されたのではないかというふうに思います。あと、もう1つは、インフラの集約化とか、戦略的な撤退という言葉も委員の方から出ましたけれども、そういう選択と集中というか、人口が減るということですので、必要なインフラはしっかり残さなければいけないけれども、人口減少に合わせた形で、インフラの保全を進めていくということが求められるのではないかという御意見が多かったというように思います。

以上です。

〔質問〕 重ねてもう1点ですけれども、小規模校の統廃合に関してはどのような意見が交わされましたでしょうか。

〔土居部会長代理〕 そんなにたくさんは出ていませんけれども、やはり一つにありましたのは、供給過剰になっているという、大学だけではないですけれども、小規模校も含めて供給側の再編というものが必要で、やはり小規模校の統合、再編を予算面からも後押しをするということが必要なのではないかという話であるとか、統廃合ができないのは、子供のために統廃合できないと言っているよりか、むしろ地元が反対しているから、なかなかうまくできていないというようなことがあるのではないかという認識を委員がお示しになったというところが小規模校に関連するところではないかと思います。

〔質問〕 先ほどもおっしゃられていた、民間資金の活用を積極的にするべきではないかという委員の御意見というのは、例えば整備新幹線でもうちょっとJRさんに貸付料を負担してもらってですとか、そのようなことをイメージされての御意見だったという認識でよろしかったでしょうか。

〔土居部会長代理〕 委員からは新幹線のシの字は出ていないので、そこまで含んでいるかどうかまでは、御本人に確認しなければいけない面がありますけれども、議論の文脈からすると、新幹線を想定しているというよりかは、むしろPPP/PFIとか、コンセッションとか、そういう広い意味での民間資金の活用ということを示唆されたのだというふうに、私は思っております。

〔質問〕 今日の財審の中では触れられなかったということですけれども、今回、資料の中で今までと違って、30年としていた貸付期間を50年に延長してはどうかですとか、そもそも貸付料の算定ルール自体を見直すべきではないかですとか、施設を売却した益を充てるべきではないかという新しい提言も出ているようですけれども、そういった30年から50年といった新しい規模等について、お二人がどう捉えていらっしゃるかという御意見をお聞きしたいのですが。

〔増田部会長〕 春の財審だとかなり広い観点でいろいろ議論するということなので、その中での一つの問題意識と、こんなふうに受け止めています。それをどうするかというのはこれからの議論と、こんなふうに思います。

〔土居部会長代理〕 やはりコストの上振れというのは、なかなか容認できないことなのではないかと。そういう前もってコストがどれぐらいかかるかということをかために予測をして、その範囲でうまくおさめるということを前提に整備新幹線が建設されるということが、そもそもの前提なのではないか。それが、コストが上振れして、新たな財源が必要になるというような話になったところで、まさに御質問があったような幾つかの選択肢が考えられるので、上振れしたコストをどう賄うのかといったときに、では、それは全部税金で賄えますかといったら、いきなり税金で賄えという話は全然筋が違うだろう。むしろ、ほかにいろいろ方策があって、民間資金の活用というのもその中には含まれますけれども、そちらのほうからまずは検討していくべきものなのではないかというふうには思います。

〔質問〕 歳出改革部会のところでお伺いしたいのですけれども、総論と各論との役割分担みたいな話もありましたけれども、最終的に出したい成果としては、やはり令和の時代に入って、今までよりも一歩踏み込みたいというか、切り込みたいというか、そういう思いもあっての部会設立だというふうに思ってよろしいでしょうか。

〔増田部会長〕 私の理解だと、やはり2つあって、前回までの委員の皆様方が、やはり議論の中で自分たちの意見を十分に、いろいろな時間的な制約で十分言えなかった、あるいは、委員同士の議論の時間もほとんどありませんでした。やはり消化不良のところがあるというのが一つ。それが、もっと小人数で、しかも専門的な議論をしたいと。それから、もう1つは、今おっしゃったように、前回の建議で書いたようにやはり強烈な反省がありますから、令和の時代に向けて、そういうより突っ込んだ議論の上で我々の建議、当面、来年度、つまり令和2年の、令和の時代にふさわしい予算を政府としてつくってもらう。そのために、我々としても意見を言っていこうと。それが大きな目標ではないかと思います。

〔質問〕 イメージとしては、建議が前までよりももっと具体化するということですか。

〔増田部会長〕 そこは、ちょっとなかなか。それは、秋の議論というか、そこでよく委員の皆様方お話をまた聞きたいと思いますが。

〔質問〕 確認ですけれども、そうすると春の財審としては、歳出改革部会というのは、今回、この2テーマで終了というふうなことで、ほかのものが今後、あるというわけではないということですか。

〔増田部会長〕 (うなずく)

〔土居部会長代理〕 (うなずく)

〔質問〕 分かりました。

あと、もう1個、文教のほうで、義務教育のところが結構話題になったということだったと思いますけれども、免許の話も提案があったと思いますが、その辺りについては御意見ありましたでしょうか。

〔土居部会長代理〕 直接、免許に言及される委員はおられませんでした。ただ、やはり教員の質については結構議論がありまして、ちょっと直接、先ほどは御紹介しませんでしたが、やはり教員養成課程の中で本当に質の高い教員を養成できているのかと、そういう疑問を呈される委員はおられました。ですので、そういう意味では、免許とは全くおっしゃっていませんけれども、やはり質の高い教員養成をもっときちんと担保するべきなのではないかというようなニュアンスの御意見はありました。

〔質問〕 今後の話で恐縮ですけれども、今後、歳出改革の本丸となる社会保障にも切り込んでいかれるかと思いますけれども、聖域なきという、言葉では簡単に出るものですけれども、この社会保障改革が待ったなしの中で、どのように部会として臨まれていくのか、お二人、お願いします。

〔増田部会長〕 結構、重たい質問ですね。この間、御承知のとおり社会保障の総論をやったんですよね、分科会で。それで、いろいろな、かなり資料自体が医療に重きを置いたものだったのですが、この間の大阪での地方公聴会でも、主に国保を中心に議論し、自治体の皆様方からも申入書を我々は受けています。前回の社会保障全般の問題提起に、一つの問題提起に対して、いろいろな関係する団体もそれについてコメントしているところもあるようですし、その辺りを見た上でやっていきたいと。今のところは、非常に本丸的なところでもあるし、秋に向けて、いろいろ我々も資料、スタンスを準備して臨みたいと思っています。

〔土居部会長代理〕 私も特に付け加えることはなくて、もう増田部会長がおっしゃったとおりだと思います。秋にどう臨むかということについて、まだ少し今の段階では見えませんので、議論に参画する一委員としては、秋にしっかり議論ができるようにスタンバイしたいというふうに思います。

〔質問〕 今回、文教のほうに、事務局が刺激的な資料のつくり方をしている部分があって、大学間の教育の質の差について、英語の到達度などを例に挙げて、こんな程度で本当に高等教育と言えるのかという感じのニュアンスの資料がありますけれども、この辺り、お二人、今、大学に身を置かれる立場として、個人的にどんなふうに受けとめられるのか、御所感を聞かせていただいていいですか。

〔増田部会長〕 本日、若干そこについて、意見を言った方がおられました。私は、教育大学ですから、一般大学もたしか5大学ぐらいあって、上3つぐらいが国立の教育大学、それから一般の総合大学、最後に教育大学で、やはりそういう人たちが教えるということに対して危惧を、もっときちんとしていないといかんのではないか。率直に申し上げると、学生のレベルに合わせた結果、そうなっているのかどうか、大学のヒアリングもしていないので分かりませんけれども、ただ、それを、目標到達度をそこに置いてやるというのはいかがなものかというふうに、私は率直に思いますが。

〔土居部会長代理〕 私は、ずっと大学にいて、大学以外にあまり身を寄せたことがない人間ですので、こういうことを財務省から指摘されるという大学は本当に恥ずかしいと、大学人の一人として思いますね。本来は、恥ずかしいと思われないように、自らの身を律して、自らの大学を律してカリキュラムを組んでいくべきものですけれども、今回の指摘を受けるまでもなく、日本の大学は結構閉鎖的なところがあるので、ほかの大学からどう見られているかとか、世の中からどう見られているかということに対しての感度が弱いというのが、まさに今回の資料に記載のあったような形で、まさかこんなことが起こっているとは思わなかったというような、そういう状態が今の大学の現実だというふうに思います。ですから、そういうところはむしろ、これをもって、もう二度とそんな指摘は受けまいぞということで、奮い立って大学のレベルを上げていくというほうに、大学人としては身を律して向上していく、そういう機運が高まってくれるということを、一大学人としては願うばかりです。

〔幹事〕 よろしいでしょうか。ありがとうございました。

(以上)