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財政制度等審議会 財政制度分科会
法制・公会計部会
議事録

令和6年3月18日
財政制度等審議会


財政制度等審議会 財政制度分科会 法制・公会計部会
議事次第

令和6年3月18日(月)10:00~11:30

財務省第一会議室

1.開会

 

2.議題

  •        令和4年度「連結財務書類」等について
  •        令和4年度事業別フルコスト情報の開示について

3.閉会


配付資料

 資料1ー1  令和4年度「国の財務書類」のポイント
 資料1ー2  令和4年度「国の財務書類」(連結)について
 資料1ー3  令和4年度「国の財務書類」
  参考資料1ー1  令和4年度「国の財務書類」ガイドブック
  参考資料1-2  国の財務書類等の財務諸表(4表)一覧
  参考資料1-3  国の財務書類等の財務諸表(4表)一覧(英訳)
 資料2ー1  令和4年度事業別フルコスト情報の開示について
 資料2ー2  令和4年度事業別フルコスト情報(ダイジェスト版)
  参考資料2  事業別フルコスト情報の解説パンフレット

 

4.出席者

部会長
部会長代理
委員


臨時委員

藤谷 武史
黒川 行治
小林 慶一郎
土居 丈朗

赤井 伸郎
大塚 成男
金子 靖
佐藤 綾子
宍戸 常寿
福田 慎一
山内 暁


           三原司計課長
           西村法規課長
           小田切公会計室長
           柘植会計制度調査官
           田村課長補佐
           川中課長補佐
           
          

午前10時00分開会

〔藤谷部会長〕 
 それでは、ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会法制・公会計部会を開催いたします。

 皆様におかれましては、ご多用のところ、ご出席いただきまして、ありがとうございます。

 本日は、前回に引き続きウェブ会議システムを活用し、会議室における対面形式とオンライン形式を併用して、会議を開催させていただくことにしました。よろしくお願いいたします。

 また、ご参加の委員の方に音声が明瞭に伝わりますよう、できるだけパソコン等のマイクに近づいてご発言いただきますよう、お願いいたします。

 まず、本日の議題に入ります前に、本日の委員の出席状況、そして、資料の確認を事務局からお願いいたします。

〔小田切公会計室長〕 
 本日は、関根委員、滝澤委員がご欠席となっております。金子委員、宍戸委員、土居委員は途中からご参加いただく予定と伺っております。なお、一部の委員の皆様にはウェブで参加いただいております。議場出席の状況につきましては、配席図をご覧ください。

 次に、議事次第をご覧ください。配付資料につきましては、参考資料を含め、2ポツのとおりでございまして、事前にご郵送させていただいております。

 資料の紹介は以上でございます。

〔藤谷部会長〕 
 では、本日の部会の進行についてご説明いたします。本日の議題ですが、令和4年度「連結財務書類」等について、事務局からの説明と、それについての質疑応答を行います。続いて、令和4年度事業別フルコスト情報の開示について、事務局からの説明と、それについての質疑応答を行う形で進めさせていただきます。

 それでは、令和4年度「連結財務書類」等について、事務局から説明をお願いいたします。

〔小田切公会計室長〕 
 それでは、資料1-1、令和4年度「国の財務書類」のポイントを用いてご説明させていただきます。27ページをご覧ください。連結財務書類の作成目的、連結対象範囲、令和4年度における連結対象法人を記載しております。

 連結対象範囲としましては、国の業務と関連する事務・事業を行っている特殊法人等を連結対象としております。業務関連性の有無は、監督権限の有無及び財政支出の有無によって判断しております。具体的には、国が監督権限を有しているとともに財政支出を行っている独立行政法人、国立大学法人等に加え、国の監督権限が限定されていても、相当程度の財政支出(国の出資割合については50%以上)を行っている特殊会社等を連結対象としています。

 また、連結対象法人の数は、令和4年度は大学の統廃合があり、前年度の200法人から3法人減少し、197法人となっています。

   なお、連結対象範囲についての枠の下にある(注2)において、日本郵政株式会社について記載してございます。日本郵政株式会社については、令和3年度に連結対象法人ではなくなったことにより、令和3年度は貸借対照表は連結していませんでしたが、損益計算書は連結していました。令和4年度は貸借対照表、損益計算書ともに連結していません。

 続きまして、29ページをご覧ください。連結財務書類と国の財務書類(一般会計・特別会計)の比較になります。

 令和4年度末の国の財務書類の資産合計は740.7兆円、連結財務書類の資産合計は962.7兆円、国の財務書類の負債合計は1,442.7兆円、連結財務書類の負債合計は1,544.5兆円となっております。

 30ページをご覧ください。連結財務書類は国の財務書類と比べて、資産が222.0兆円、負債が101.8兆円増加し、その結果、資産・負債差額はマイナスの幅が120.2兆円縮小しています。これはGPIFの純資産、つまりプラスの資産・負債差額85.4兆円が加算されることなどによりますが、連結においても資産・負債差額がマイナスの状態は変わりません。

 連結による増減の主な要因でございます。例えば、有価証券であれば237.3兆円の増加となっていますが、これはGPIFが保有する有価証券が時価により200.1兆円計上されることのほか、科学技術振興機構が大学ファンドの運用資産として保有する有価証券が10.0兆円、中小企業基盤整備機構が行う小規模企業共済事業の運用資産などとして保有する有価証券が7.2兆円加わることなどによるものです。

 また、有形固定資産であれば、連結により87.0兆円増加していますが、これは連結対象法人の保有する土地、建物、高速道路等が加わることなどによるものです。

 負債の部ですと、例えば、独立行政法人等債券が61.9兆円の増加となっていますが、これは連結対象法人である住宅金融支援機構の20.8兆円、日本高速道路保有・債務返済機構の18.6兆円の独立行政法人等債券が加わることなどによるものです。

 また、一番下の資産・負債差額ですが、プラス120.2兆円となっておりまして、これはGPIFの純資産85.4兆円が反映されることや、連結対象法人が国からの運営費交付金、補助金等により資産を取得していることなどから、国の財務書類の資産・負債差額に比べてマイナスの幅が小さくなっています。

 31ページをご覧ください。連結業務費用計算書及び連結資産・負債差額増減計算書の国の財務書類との比較でございます。

 連結により、国に比べて業務費用が11.0兆円、財源が19.4兆円増加し、その結果、超過費用はマイナスの幅が8.4兆円小さくなっています。これは連結対象法人の収益である資産運用収益、保険料等収入、高速道路料金収入などが財源に加算されることなどによりますが、連結においても超過費用の状態は変わらないところでございます。 

 続きまして、32ページをご覧ください。令和3年度と令和4年度の連結財務書類の比較でございます。

 大きな増減としては、連結貸借対照表の負債の部の公債が、国における公債残高の増加に伴い、連結においても残高が増加しております。

 連結業務費用計算書は、大きな増減はございません。

 続きまして、33ページをご覧ください。連結ベースでの資産の対前年度末比の説明になります。

 資産は、全体として962.7兆円、対前年度末比プラス19.9兆円となりました。

 主な増減要因等でございますが、有価証券について、2ポツ目、GPIFが保有する運用資産が3.5兆円増加の200.1兆円となったこと、また、3ポツ目、科学技術振興機構が保有する運用資産が4.8兆円増加の10.0兆円となったことなどにより、有価証券は全体として9.3兆円増加の363.0兆円となっています。

 また、一番下の出資金は、国際通貨基金等への出資金の評価替えや、日本たばこ産業等の株式の時価評価に伴う評価額の増加により、全体として2.5兆円増加の24.8兆円となっています。

 34ページをご覧ください。

 負債は、全体として1,544.5兆円、対前年度末比プラス30.1兆円となりました。

 主な増減要因等ですが、公債が対前年度末比プラス29.8兆円となりました。これは国の財務書類で30.0兆円増加した一方で、連結対象法人が保有する公債残高が0.1兆円増加したことなどによるもので、相殺後の公債残高は対前年度末比29.8兆円増加の1,132.9兆円となりました。

 次に、責任準備金は、国の財務書類で0.4兆円増加の9.7兆円となったことに加え、中小企業基盤整備機構が行う小規模企業共済事業における責任準備金が、共済在籍者数の増加に伴い0.4兆円増加したことなどにより、対前年度末比1.0兆円増加の29.8兆円となりました。

 また、このページの一番下で資産・負債差額の説明をしております。資産・負債差額は、前年度末マイナス571.6兆円から10.2兆円悪化のマイナス581.8兆円となりました。これは、令和4年度は超過費用が23.8兆円となったこと、時価評価に伴う評価減等により資産評価差額がマイナス4.6兆円生じたこと、為替相場の変動により為替換算差額が18.4兆円生じたことなどによるものです。

 35ページをご覧ください。費用の対前年度比の説明になります。

 業務費用は188.5兆円、対前年度比マイナス10.5兆円となっています。下に棒グラフが3つございますが、真ん中の棒グラフは、仮に日本郵政株式会社を連結しない場合の令和3年度の試算額を参考として記載しております。また、緑色の字で日本郵政株式会社以外の増減額を記載し、赤色の字で令和3年度に計上されていた日本郵政株式会社に係る金額、言い換えると、日本郵政株式会社に係る減少額を記載しております。

 主な増減要因ですが、補助金・交付金等は、エネルギー・食品等の価格高騰への対応として、燃料油価格激変緩和強化対策事業費補助金等が増加している一方、新型コロナウイルス感染症対策として、地方創生臨時交付金等が減少したことなどにより、全体として3.3兆円減少の55.4兆円となりました。

 その他については、一番下のポツの記載のとおり、日本郵政株式会社が連結されなくなったことにより1.6兆円減少し、また、中小企業基盤整備機構において事業の増加に伴い助成金や利子補給金事業費が0.4兆円増加したことなどから、全体として0.8兆円減少の39.3兆円となりました。

 なお、日本郵政株式会社の損益計算書が連結の対象でなくなったことによる影響額を除く増減はマイナス3.5兆円となります。

 36ページをご覧ください。財源は164.7兆円、対前年度比マイナス6.4兆円となっています。

 主な増減要因等としては、3つ目のポツ、その他が31.4兆円、対前年度比マイナス12.3兆円となったことによるものです。これは日本郵政株式会社が連結対象ではなくなったことにより、日本郵政株式会社の収益分9.5兆円減少した一方、令和3年度において連結上相殺消去されていた郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構の保険料等収入等が相殺消去されなくなったことにより2.8兆円増加したほか、GPIFの資産運用益が7.1兆円減少したことなどから、財源全体では6.4兆円減の164.7兆円となりました。

 なお、日本郵政株式会社の損益計算書が連結の対象ではなくなったことによる影響額を除く増減額はプラス3.0兆円となります。

 一番下に記載しております連結ベースの超過費用につきましては、財源から業務費用を差し引いて、マイナス23.8兆円となっております。

 続きまして、37ページをご覧ください。連結ベースのストックの経年推移を示しております。令和4年度末は、資産、負債ともに残高が増加しておりますが、下の棒グラフが示す資産・負債差額は過去最大となっております。

 38ページをご覧ください。連結ベースの費用と財源、超過費用の経年推移を示しております。

 下のグラフをご覧ください。参考としておりますが、GPIFの資産運用損益を除いた場合の超過費用の推移も記載しております。折れ線がGPIFの資産運用損益、棒グラフがこれを除いた超過費用となっております。財源の一部であるGPIFの資産運用損益は、その大半が年度末の株価に左右される評価損益であり、直接、各年度の財源に影響を及ぼすものではないことから、これを除いてフローの状況を見ることも有用でございます。GPIFの資産運用損益を除いた令和4年度の超過費用はマイナス26.8兆円となりましたが、依然として新型コロナウイルス感染症が拡大する前の令和元年度、マイナス16.7兆円を上回る水準となっています。

 39ページでは、参考として日本郵政株式会社を連結した場合と、日本郵政株式会社が連結対象法人ではなかったものと仮定した場合のストックとフローの状況について、平成30年度から令和3年度までの推移を記載しております。

 40ページ以降は、国の財務書類のポイントで記載されていた内容と同様になりますので、ご説明は省略させていただきます。

 続きまして、資料2「令和4年度国の財務書類(連結)について」をご覧いただけますでしょうか。前回の法制・公会計部会の議論を受けまして、国の財務書類の内容を簡潔かつ読みやすい形で要約した資料を作成いたしました。

 1ページをご覧ください。国の財務書類がどういったものなのかを説明しております。

 具体的には、企業会計の考え方や手法を準拠して作成したものであること、決算数値であること、一般会計と特別会計の合算した国の財務書類と連結対象法人の財務諸表等を連結していることなどを記載しております。

 次に、2ページをご覧ください。令和4年度の連結財務書類の概要になります。

 まず、令和4年度はコロナ禍からの正常化が進みつつあり、また、エネルギー・食料価格の高騰等による景気後退の懸念が生じ始めた経済動向下での財政運営であったことを背景として記載しております。その結果としての財務状況の説明を経済動向の下に記載しておりますが、具体的な内容については、先にご説明したとおりです。

 3ページをご覧ください。主要な勘定科目の主な増減要因を記載しております。ページ半分の左側がストック、右側がフローで、上段に5ヶ年推移、中段にイメージ図、下段に主な増減要因という構成としております。主な増減の内容については、先にご説明したとおりです。

 4ページと5ページは参考資料としてストックとフローの各勘定の内容の説明を記載しております。

 6ページも参考としてストックとフローの経年推移を記載しております。

 事務局からの説明は以上になります。

〔藤谷部会長〕 
 ありがとうございました。

 ただいまの事務局からの説明について、ご意見、ご質問等ございましたら、ご発言をお願いいたします。

 ご発言を希望される委員を順番に指名させていただきますので、委員の皆様方は、ご意見等がございます場合は、議場にてご出席の委員の皆様方は挙手いただき、ウェブ会議システムにてご出席の委員の皆様方は挙手するボタンのクリックをお願いいたします。システムの運営の便宜上、まず、議場に出席されている委員を先に指名させていただきます。

 それでは、どうぞよろしくお願いいたします。

 大塚委員、お願いいたします。

〔大塚委員〕 
 大塚です。1点、発言させていただきたいと思います。

 今お配りいただいた資料の内、資料1-1については、特に大きく申し上げる点はありません。日本郵政株式会社の扱いについても配慮していただいていますし、それを踏まえた前年度比較もできるようになっているという点で、ここについては特によいのですが、少し気になったのは資料1-2の3ページで、いわゆる資産・負債差額について、「債務超過に相当」という書き方をされている点が少し気になりました。

 というのは、国の貸借対照表においては、債務超過が増加していることはやっぱり課題ではあるのですが、債務超過が存在するというか資産・負債差額がマイナスになっているということ自体はある意味必然的なもので、解消できるものではないと考えています。

 理由としては、参考資料1-1として配付していただいた「国の財務諸表のガイドブック」の26ページにも書かれているように、国の資産は必ずしも将来の支払い財源とはならないということは明確に説明されているわけですから。とすると、資産の金額が負債を上回っている必要はないし、負債を返す財源は将来の税収ですので、そういう点で「債務超過」というネガティブな表現、これはやっぱり企業会計でみると非常にネガティブに取られる言葉で、これは解消しなければいけないというものになってしまうのですが、そういうものではないだろうと考えています。

 さらに、先ほど申し上げたように必然というふうに話をしましたのは、市町村の貸借対照表では、債務超過というか負債が資産を上回っている市町村は1つもないと思います。これは、結局、基礎自治体のインフラ、公共資産の整備にあたって、国からのお金が投入されている関係で、市町村では明確に、資産、固定資産ですね、その金額が負債を上回っています。それが生じるのは、やはり国側が負債をその分を負っているからであって、そういう構造である以上は、どうしても国だけ見れば負債のほうが大きくなる。

 だから、債務超過という形で、これは解消しなければいけないという議論になってしまうと、そこは少し問題なのかと考えています。ですから、この点、多少説明する上での配慮が必要かと。

 その横にある「赤字決算」は検討が必要なことだと思います。やはり財源を上回っているということは問題で、だとするとその点でも、債務超過と赤字決算が対等に横に並んでいるのですが、検討の優先度ということに関しては、赤字決算のほうがやはり優先度は高いのだろう。そういった部分、もう少し説明も必要なのかと思いました。

 以上です。

〔藤谷部会長〕 
 大塚委員、ありがとうございました。

 ただいまのご指摘につきまして、事務局からレスポンスを簡単にいただければと思います。

〔小田切公会計室長〕 
 ご質問ありがとうございます。

 「債務超過」という言葉の使い方のご指摘があったところでございます。こちら資料1-1のポイントのほうには「債務超過」という言葉は全く使っていないのですが、今回の資料1-2で初めて記載しているという状況でございます。

 この背景としましては、分かりやすさを優先したところではございます。まず、1ページで企業会計との比較を示しておりまして、そこで分かりやすいように、国の財務書類を企業会計に例えるというような記載とのつながりで、債務超過という断言をしているわけではないのですが、債務超過に相当するものというところで、分かりやすさを優先させて記載しております。

 ただ、今後こういった書き方をポイントに載せる機会がある場合や、ポイント以外でもその他の資料で債務超過というところを記載するケースがある場合は、例えば説明書きをするとか、ないしはなるべく「債務超過」という言葉を使わないようにするとか、そういう配慮はしたいと思っております。

〔藤谷部会長〕 
 ありがとうございます。

 黒川委員、お願いいたします。

〔黒川委員〕
 私、今の大塚委員のお話に対して、前部会長として少々責任があるかもしれないので、私の考え方をお話しさせていただきます。

 まず、事務局に確認ですが、国債で建設国債と言われているものについては、貸借対照表に負債は上がりますけれども、固定資産に上がりますね。そのときの通年のバランス、貸借対照表上のバランスを見た場合に、有形固定資産は減価償却していきますので少しずつ減っていきますが、その財源である建設国債における償還年限、これが大体対応していれば、とんとんで減っていく、圧縮されていくので、これは貸借対照表上のバランスは崩れない。

 ですが、何が一番問題かというと、消えてなくなってしまうようなものに、要するに企業会計上でいう費用ですね。費用に相当する、例えば人件費であるとか、補助金であるとか、そういうものに使ってしまう。その財源として、本当は収支がとんとんであればよいのですが、当年度の税収やその他の収入によって賄い切れないということになると、国債を発行しなくてはならない。

 ですから、そういう状況になると、貸借対照表ではバランスが崩れて資産側に計上されないので国債が増えていく。ポイントのほうですごく、10年ぐらい前でしょうか、国債の残高と、それからここで言っている赤字、バランスシート上の負債超過の部分が、かなりパラレルに連動しているというところが発生主義の会計上、今、私が説明したように、資産がなくなってしまっているようなものを、公債を発行して手当てしているということが、バランスシート上では、いわゆる債務超過に相当する。これで発生主義の会計と、国の会計が非常に連動していてとてもよく分かる。要するに、今まで収支とんとんであるはずの財政法上の原則を、ある意味逸脱しているようなものが累積していくと、そうすると発生主義で見ると、資産・負債差額がちょうどアンバランスになって、負債が超過している額とほとんど一致している。こういうふうに見えるというので、「債務超過に相当」という言葉は、我々としては、そんなに違和感がなかったのです。

 でも、今日、室長がこれからはやめるかもしれない、気をつけるとおっしゃったのですが、これは、そこまでというか、我々がせっかくこういうことを言ったのに、ここで大塚委員がおっしゃったので、それを弱めるというのでしょうか、そこは強く言わないほうがよいかもしれないというのは、少し残念だなという気がしました。

 ただ、私は大塚委員のことを昔からもう何十年と知っていて、私も教えていただくことが多いのですが、大塚委員の専門の1つは、たくさん研究業績がございますけれども、地方の財政問題について非常に詳しくて、私も教えていただいていて、地方の財務諸表を見ればほとんどみんな黒字ばかりで、黒字というか資産が多い。それは大塚委員がご説明になったようなものであって、本来ならば、政府といった場合には、私が部会長になった10年ぐらい前の夢は、国の中央政府と地方政府を合算して見るとどうなるのだろうというのが目標だったのですが、約10年間それが残念ながら叶わなかったのですね。それを大塚委員から示唆されていて、資産がある地方政府を合算すれば、かなりこれが圧縮されて、公的部門の財政状態というものを発生主義で見たときに、今は中央政府だけに限定しているわけですが、もう少し日本国全体の状況というものが分かってくるかもしれないし、それから日本国政府の国債の格付などにおいても、中央政府だけ見ているのではなくて、やはり地方政府のほうも見ないといけない。ここがほかの国はどうなっているのかということもありますので、中央政府だけ見れば日本は突出して悪いわけですが、地方政府のほうを併せて見れば、もう少し緩和される可能性があって、国債の格付にも参考情報として重要ではないか、こういうことは私も分かる。

 ですから、大塚委員はそれも念頭に置いておっしゃっているので、大塚委員のおっしゃっていることはとても分かるのですが、とりあえずはエビデンスがない。中央政府と地方政府の合算は、どういう状況になるか分からないので、何とも言えない。

 ですから、ここでは中央政府に限定してみればよい。さっき一番初めに言ったような理由で、企業会計で見れば債務超過に相当と、これは自然の解釈だろうと思いました。

 一応、私も責任があったので、言い訳をさせていただきました。

 2点目ですが、これは教えていただきたいのですが、私も部会長を辞めると責任が軽くなるのか、いろいろな資料を、また前回に引き続き眺めることができるようになりまして、ウェブ参加の委員の皆様にも開いていただきたいのですが、それで国の財務書類の190ページから191ページに、連結区分別収支計算書というのがございます。これはポイントの説明では一切省いているのですが、本当は国の財務書類は、キャッシュフロー表に相当するものも作ったんです。これは予算決算の国のいわゆる現金主義的なものと連動しているので、国の財務諸表の会計基準を作った時に、これは企業のほうもこういうキャッシュフロー表はあるのですが、発生主義会計を特に導入するとどうなるということを強調していたので、収支計算書は今までの国の会計とそう変わらないだろうというわけで、あまり強調しなかったのですが、気が楽になりますと、これを全く無視とは言わないですが、あまり取り上げていなかったかなと、そういうのが気になってきたんです。

 そこで、区分別なんて変な名前ついているのですが、取りあえずそういう経緯があります。さて、そこで、キャッシュの動きというのは、やっぱり国の1年間の中央政府がどういう活動をしたのかということを見たときに、結構、直接的にというのでしょうか、イメージしやすいですね。

 そこで、これからはもう少し我々は、せめて部会での議論においては、少しこういうものも注目をして、せっかく作っているのですから、取りあえず議論ぐらいはしたほうがよいのかな。特に、省庁別みたいなものもありますし、前回の1月も話しましたが、この部会でもう少しこういうところも資料を見て、どういうことだったのだろうということを、我々専門家がいるわけですから、一般の市民向けだけではなくて、専門家としての議論に少し時間を取ったほうがよいのかな。そういうふうに思いまして、190ページから191ページを開いていただきたいのですが、そこで、前会計年度と今会計年度で、120兆ぐらい財源合計も違っている。かなり大きな動きがある。これは何だったのだろうと思うのですが、これは前年度剰余金受入という、これが見にくいんですよね。実を言うと、これは非常に特有なのですが、会計学者から何でこんなのを入れるんだと言われる場合もあるのですが、これは本当にキャッシュフローだけというわけにいかなくなってしまう特有のものですが、しかし、前年度剰余金受入が、前会計年度はその前の期首ということになり、143兆円になってそれが72兆円になった。これも経年変化を見なくてはいけないのですが、あるいは支出のほうもかなり動いているのですが、この理由は、日本郵政株式会社が連結から除かれたということに関係があるのか、あるいは、それもあるけれどもほかにもあるのか。要するに、前年度剰余金受入ということになると、いわゆる国会で議論されているような、使い残しがいっぱいあったとか、その前の年にそういうようなものが反映してくるのか、私もここをあまり見てなかったのですが気になる。

 そこで今の、2つ目の感想というか意見は、もう少し区分別収支計算書を見ましょうということと、もう1点、190ページから191ページを開いてみたらかなりの大きな動きだったので、何か事務局のほうで集計しているときに原因が思い浮かんでいたら、教えて欲しい。でも、すぐに分からなかったら後でメールでもいただければ、そういうふうに思いました。

 以上です。長くなりました。失礼いたしました。

〔藤谷部会長〕
 黒川委員、ありがとうございました。

 それでは、1点目、2点目とそれぞれあると思います。よろしくお願いします。

〔小田切公会計室長〕
 ありがとうございます。まず、1点目ですが、「債務超過」という言葉のところで、大塚委員のご意見も踏まえて、「債務超過」という言葉自体を使うことは否定されるものではないところだと思います。もし「債務超過」という言葉を使用する場合は、例えば誤解のないように注釈をつけるとか、そういったような説明書きをつけることで、「債務超過」という言葉を今後使用しないというような形ではなくて、誤解のないような形で説明することで、使用できるのではないかと理解させていただきましたので、今後の資料作成の念頭に置かせていただきます。

 2つ目の連結区分別収支計算書の点について、こちらも、4表といっているもののポイントには3表しか触れていないというところがございますので、こちらは区分別収支計算書で特徴的なところを反映させるべきなのかを検討させていただきまして、来年度触れるところの特徴として適切であれば、こちらも組み込むような形の配慮なりとか、検討させていただければと思います。

 具体的なところ、前年度剰余金の原因ですが、大変恐縮ですが、事務局のほうでこの場での即答はできませんので、後日に改めてご回答させていただきます。

〔藤谷部会長〕
 ありがとうございます。

 大塚委員、補足のご質問ということですね。よろしくお願いします。

〔大塚委員〕
 質問というか意見で、今、黒川先生のご意見も踏まえてですが、さっき少しだけ触れたのですが、債務超過の金額が増えていっているということは、非常に問題であると私も考えております。ですから、この部分をある程度取り上げていく必要はある。決してこれを安易に認めるべきだということではなくて、その点は改めて、同じ意識を持っているということは申し上げておきたいと思います。よろしくお願いいたします。

〔藤谷部会長〕
 大塚委員、ありがとうございました。

 部会長から一言だけ。前回の部会で問題になりましたが、この辺り、今回この表は分かりやすさ重視ということで出したのですが、この短いスペースで書こうとすると、どうしても大塚委員が的確にご指摘くださったように、ミスリーディングになりかねないということは、まずあろうかと。その上で、分かりやすさと正確さといいますか、どう両立させるかという意味では、まだまだ試行錯誤の段階なのだろうと思います。

 いみじくも黒川委員がおっしゃいましたように、割とポイントのほうでは、経年変化が積み重なっているのだということは、毎年かなり強調しているところでありまして、例えばここを見たときに、あそこが連動し意識されるようなことであれば、今の大塚委員のご指摘にもかなうわけでありまして、本当に引き続き考えていかなければいけないことだと思うのですが、考える方向性として事務局にご検討いただきたいこととしては、分かりやすさの資料と的確さの資料ということであるということだろうと思います。

 2つ目については、事務局から改めてフォローいただけるということで、よろしくお願いいたします。

 それでは、ウェブ参加の委員の先生方、大変お待たせいたしました。今、4名の先生方がお手を挙げておられますので、2人ずつ指名させていただいて、2人まとめてご回答させていただくということで、時間管理の関係もありますので、させていただければと思います。

 それでは、まず小林委員、それから福田委員という形でご指名させていただきます。

 では、小林委員からお願いいたします。

〔小林委員〕 
 小林です。資料をどうもありがとうございました。

 前回、福田先生から話があったことでもありますが、日銀と政府の連結について議論しても良いのではないかという話があったと思いますが、何か検討されましたでしょうか。

 確かに連結対象ではないのだということかもしれないですが、国債の保有主体としての日銀の存在感というのは非常に大きくなっていて、マクロ経済学者の観点からすると、多分日銀と政府の連携、統合政府というか、統合した政府部門でどれだけ対民間との間で国債が発行されているのか。あるいは、貨幣も含めた債務が発行されているのかということは大変重要な情報だと思いますので、一般向けの資料ということであれば、当然マーケットの人たちなんかも関心あるでしょうから、そういう情報を載せてもよいのではないか。何か公会計の国の財務書類をつくることの趣旨と反するというか、趣旨と違っているということだと、それはそれで問題なのでしょうが、必ずしもそうでもないのではないか。ある種、啓発的な情報としては、日銀との連結もあってよいのかと思います。

 また、その際、日銀の当座預金が増えるわけ、要するに、政府の国債が日銀の保有分と相殺されると、結局は日銀の当座預金が債務として出てくるわけですが、それは債務ではないのだという、要するにマネーというのは債務ではないという意見が、確かに一部に、世の中にありますが、そこは淡々と事実を載せるということでよいのではないかと思いますし、また、本当に貨幣が債務ではないのだという議論に対しては、もしそうであるならば、当然、税金はゼロにして何でも貨幣発行で国の費用を賄うことができるというロジックに最終的には行ってしまうので、とても現実には認められないのではないかということを一言、どこかで書いておけばよいのではないかと思いました。

 すみません、雑談ですが私からは以上でございます。

〔藤谷部会長〕
   小林委員、ありがとうございました。

 それでは福田委員、引き続いてお願いいたします。

〔福田委員〕 
 日本銀行の件に関しては、小林委員がおっしゃられたので、私から追加的に申し上げることもございません。GPIFの件に関して申し上げます。GPIFは、今日の資料でもかなり大きなウエイトを占めています。このGPIFの資産をどういうふうに考えるかということは整理しておく必要があって、確かに今は黒字ではあるわけですよね。ところが、10年後ぐらいになると、収入よりも支出のほうがやっぱり増えていって、多分2050年代ぐらいになると、相当のレベルで取崩しをしなければいけないというものです。このため、GPIFがもうかっているから何かほかに使ってよいというものでは決してない。そういう性質の資産なのだということだとは思います。

 これも当然だといえば当然ですが、先ほどの日本銀行の議論もそうですが、足下でもうかっているのならほかに使えばよいみたいな変な議論にならないようにして、議論をしておく必要はあります。例えば、確かに今株が好調なのでもうかってはいるのですが、他方では少子化が予想以上のスピードで進んでいますので、そういう意味では、それは年金の支出という面では、足下、非常にマイナスの面の現象も一方では起こっているわけです。これは現在、貸借対照表などでは顕在化はしていませんが、非常に長い目で見た年金財政という意味では、決して余裕があるわけでも何でもないという状況の下です。足下で大変な状況を少し緩和するような黒字が発生しているというレベルでしかないわけですので、何かすごくもうかっていて、日本はよい状況になっていますねというような感じの記述ではないほうがややよいかなと思います。将来的にこのお金というのは、非常に厳しい年金財政を賄うためのものなのだという、そういう問題意識がどこかにあった方がよいような気もいたします。非常にGPIFが突出して、資産が大きくて、かつ、足下では少なくとも利益が上がっていますので、そこら辺は少し注意した記述があってもよいのかとは思いました。

 以上です。

〔藤谷部会長〕 
 福田委員、ありがとうございました。

 それでは、今のお二方からのご指摘、ご質問につきまして、事務局からお願いいたします。

〔小田切公会計室長〕 
 ありがとうございます。お二方とも日銀に関する点と理解しております。

 私どもとしましても、情報の有用性自体はあるとは考えているのですが、会計以外の論点も含めて様々な議論がある領域でもありますので、資料の見せ方次第では正確な理解がされないおそれがあるというような懸念もございます。

 ですので、今後、そこは見せていくべきなのか、ないしは見せるとしても国の財務書類の資料とすることが適切かというのは、今後の課題として、引き続き、その点を考慮しながら、検討させていただければと思っております。

 以上でございます。

〔藤谷部会長〕 
 福田委員のGPIFも同じでよろしいですか。

〔小田切公会計室長〕 
 GPIFについても、こちら資料、ポイントの38ページで切り分けて出しているところではありますが、GPIFのところも同じく財政に与える影響もどう見せていくかを今後の課題として、引き続き検討しながら開示していくところで説明させていただければと思います。

〔藤谷部会長〕 
 ありがとうございます。

 この辺りは、やはり、財務書類のポイントという性質のものと、しかし、国民の皆さんが求めている情報というものの間をどう埋めていくか、どこまで広げられるかというのは、これは前回の部会でも問題になり少し申したことですが、やはりその辺りはアドホックに対応するというよりは、しっかり腰を据えて考える必要があるのではないかと思います。

 そうですね、まだ実は、本日議題が2つ目もございますので、先ほどお二方ずつと申しましたが、大変恐縮ですが、お三方、一遍にご指名させていただきまして、これで一応この第1の議題については締めくくりとしたいと存じます。

 大変長らくお待たせいたしました。佐藤委員、山内委員、赤井委員の順にご発言をお願いいたします。

 まず、佐藤委員、お願いいたします。

〔佐藤委員〕 
 ありがとうございます。今回、資料1-2を分かりやすくおまとめいただきましてありがとうございます。こちらについて、表示と分かりやすさという点について、3点感想を申し上げたいと思います。

 メッセージ性を持たせるということについては、中立性の観点から非常に難しいことであるというのはこれまでもお話にあったのですが、資料1-2の2ページにつきまして、ここで色づけで令和4年度の経済動向というものが目立つようになっているのですが、ここはやはり、フローとストックのポイントをしっかりと目立たせるべきかと思います。特に資産・負債差額のマイナスというのは、単体よりは連結のほうがよいとはいえ、やはり悪化が進んでいるということが、後ろの7ページの参考資料をしっかり見るまで伝わらないという構成になっておりますので、ここは資産・負債差額の状況が、ぱっと分かるようにするとよいように思います。

 それから、2点目が1ページ目の国の財務諸表の説明のところですが、先ほどの大塚先生、黒川先生のご意見、それぞれごもっともだと思って聞いておりましたが、ここに「国の財務書類」ではというような見せ方で、やはり、資産・負債差額、借方が前提となっています。ここのページは、多分初めて見る人用の説明のページなのかと思うのですが、誤解を生む可能性があるかなと思いました。先ほど誤解がないように注釈を入れたいということでしたので、こういったところも併せてご検討いただければと思いました。

 それから最後に、3点目がGPIFですが、これは最後の6ページですか、ポイントのほうにはなかった運用益を除いた財源の推移なども入れていただいて、非常に分かりやすいと拝見していたのですが、ここについては、先ほど福田委員もおっしゃったとおり将来のこともございますし、足下もかなりボラタイルな状況で、市場の影響も出てくるかと思います。ここはしっかりと、例えば、ポイントのほうなどでは、日本郵政株式会社に関する説明というのが次年度などは少なくなろうかと思いますので、こういったところにGPIFについてのコラムのようなものを入れても、また理解可能性があるのではないかと思いました。

 以上です。

〔藤谷部会長〕 
 佐藤委員、ありがとうございました。

 それでは、引き続き山内委員、お願いいたします。

〔山内委員〕 
 3点ほどコメントさせていただければと思います。

 まず、細かい文言など、前回いただいた資料からいろいろ修正いただきましてありがとうございます。より簡潔で分かりやすく、ミスリードしないような形で、分かりやすくなったかと思っております。

 次に、大塚委員のご意見を伺いながら考えていたのですが、債務超過の箇所につきまして、債務超過ですというような言い方ではなくて、例えば債務超過が増加していますとか、そういう言い方に変えたほうが、もしかするとよいのかと思いました。ご検討いただければと思います。

 また、黒川委員のご意見には賛成で、連結区分別収支計算書も今後やはり議論は増やしていったほうがよいと思いますので、今後その点も検討していただければと思います。

 以上です。

〔藤谷部会長〕 
 山内委員、ありがとうございました。

 それでは、赤井委員からのご発言を賜って、そしてレスポンスということでお願いいたします。

〔赤井委員〕 
 簡潔に2点ほど。まず、GPIFの議論が出ていましたが、30ページに有価証券というのがあって、今度大学ファンドで10兆円追加され、あとの中小企業基盤整備機構のところはよく分からないですが、多分大学ファンドの10兆円も、ほぼGPIF的に、いわゆる資産運用みたいにして運用されていると思います。ベースが財政投融資というところありますが。ですので、GPIFが多いのでGPIFを取り上げているのだと思いますが、その10兆円ファンドも含めたGPIF等みたいな感じでの取り上げ方もあるのかと思いました。

 それからもう1点は、39ページで、日本郵政株式会社だけを取り出した部分を出していただいて、これはすごく分かりやすいのですが、この3738ページのうちの、4つぐらい表があるうちの最後の3つで日本郵政株式会社を取り出した場合を示していただいているのですが、やっぱりみんな注目が行くのは、全てに行くと思いますが、37ページのいわゆる一番負債と資産がどう動いているのか。ここは、がくんときているところが、やっぱり、きちんと見れば分かりますが、何だと興味を持つ人が多いような気もするので、構成次第だと思うのですが、39ページの3表のところを何か工夫をして、いわゆる37ページのがくんとしているところ、いわゆるこの表も、日本郵政株式会社の効果がなければどうだったのかという表を、37ページにも39ページと同様につくっていただくと、読んでいる人もより分かりやすいのかと。特にがくっときているので、それがもし日本郵政株式会社ではなかったら、これががくんときてないということになると思うのですが。だから、この年度は難しいので、39ページで取り上げている4年度分だけでも、この表に対応するような、そうですね、これは4年度分ですが、がくんときていたグラフに対しても、こんな表があると分かりやすいかと思いました。

 以上です。

〔藤谷部会長〕 
 ありがとうございました。

 いずれも資料の改善についてのコメントをいただきました。事務局から、もし何かございましたらお願いいたします。

〔小田切公会計室長〕 
 コメントありがとうございます。

 まず、佐藤委員のフローとストックを強調したほうがよいのではないかというご意見ですが、こちらもより分かりやすい見せ方がどうなのかというところは、検討させていただきます。また、工夫ができるかというところは、こちらは引き続き検討させていただきます。

 資産・負債のところで誤解のないよう注意するというところも、こちらは今後の見せ方として、注意書きをするとか、そういったところも含めて、こちらも恐縮ですが、引き続き検討させていただきます。

 あと、GPIFのコラムを入れてはというご意見ですが、こちらも将来やはり影響が大きくなってくるところではないかというところもありますので、こちらもどういった形の見せ方がよいのかは今後また、来年以降、検討させていただければと思っております。

 山内委員の債務超過の言い方も含めて、こちらも言い方をどうするのか、説明書きをどうするのかといったところを、大塚委員のご意見も含めて、今後こちらも念頭に置きながら、資料を作成したいと思っております。

 連結収支計算書のところも、黒川委員と同様にご賛同いただいているというところですので、ポイント上にどういうふうに見せていくのか、また、ページを割いて説明するのか、注意書きというか、大きな項目について記載を盛り込むとか等々、どういった形ならば分かりやすい記載になるのかも引き続き検討させていただければと思っております。

 赤井委員のご質問のところ、GPIFに加えて大学ファンドも同じというご意見ですが、こちらも、もし記載する場合、大学ファンドも含めての記載にする、性質を同じくするところで誤解のないような記載の仕方を考えていかなくてはいけないのかと思っているところです。

 あと、37ページの日本郵政株式会社の影響の取上げ方につきましても、こちらは、下がっているところは大きな影響で、見た目として気になるところではあると思いますので、こちらもどう見せたらよいのか、引き続き検討させていただければと思います。

 以上になります。

〔藤谷部会長〕 
 1点だけ確認ですが、39ページの参考は、ポイントのほうですが、これは来年は載せない、載せる、どちらになりますか。

〔小田切公会計室長〕 
 基本的には、日本郵政株式会社の影響が前年対比で完全になくなるというところではありますので、こちら39ページ自体はなくなるところではありますが、37ページでがくんと下がっているところがありますので、こちらのほうでどう見せていくかを検討させていただければと思っております。

〔藤谷部会長〕 
 ますます重要になるところですね。

 ありがとうございます。先生方、よろしゅうございますでしょうか。ありがとうございます。議事進行にご協力賜りまして、誠にありがとうございます。

 それでは、時間もございますので、次の議題に進ませていただきたく存じます。次の議題、令和4年度事業別フルコスト情報の開示について、事務局から説明をお願いいたします。

〔小田切公会計室長〕 
 それでは、資料2-1「令和4年度事業別フルコスト情報の開示について」を用いてご説明させていただきます。

 1ページをご覧ください。令和4年度事業別フルコスト情報の概要でございます。

 令和4年度は補助金・給付金事業型、受益者負担事業型、その他の事業型の3類型、合計で206事業を公表予定です。

 令和3年度からの変更点は、より精緻な横断比較を可能にするため、受益者負担事業型をさらに試験・資格関連事業と施設運営関連事業の2つに区分しました。

 続きまして、2ページをご覧ください。ダイジェスト版の主な改訂内容になります。

 まず、改訂内容の①ですが、各事業のフルコストと、人にかかるコスト、物にかかるコスト、及び事業コストの構成割合の経年比較情報をグラフで見えるようにしました。

 次に、①の経年比較グラフの下の②の部分で、事業従事者数、単位当たりコスト及びアウトプット件数といった、事業実績データも経年比較できるように記載しております。

 また、③では、横断比較情報として、各事業類型の平均コスト構成割合及び関連指標の平均値を掲載しました。

 さらに、一番下の④の部分では、「4.補足情報」を新設し、各事業のフルコストや、関連指標の経年比較による増減要因や、事業コスト、物にかかるコストの具体的内容を記載することとしました。

 続きまして、3ページをご覧ください。補助金・給付金事業型と受益者負担事業型につきまして、経年比較及び横断比較の分析を行ったものでございます。

 左側と中央の図が受益者負担型の自己収入比率を示したものになりますが、推移をご覧いただくと、どちらも新型コロナウイルス感染症の影響により、令和2年度に一時的に低下したものの、令和3年度以降は、その影響が緩和され緩やかに回復しています。

 事業別に見ると、試験・資格関連事業は約10%から100%の間に幅広く分布する一方、施設運営関連事業は概ね50%以下の範囲で分布していることが分かります。

 右側の図の補助金・給付金事業の間接コスト率は、概ね10%強の水準で安定的に推移しています。

 事業別に見ると、10%以下の範囲にほとんどが分布する一方、20%以上の範囲にも各年度10事業程度分布していることが分かります。

 その上で、お手元の事業別フルコスト情報ダイジェスト版から、事業類型ごとに幾つか事業の具体例をご紹介させていただきます。

 まず、受益者負担事業型の試験・資格関連事業の1つである、環境省の土壌汚染調査技術管理者試験業務です。

 当事業の自己収入比率をご覧いただくと、毎年度10%前後の水準で推移しています。これは、申込者数が毎年度1,000人程度で推移しており、受験料も比較的高くないことによるものと考えられます。そのため、右側に示されている試験・資格関連事業の平均自己収入比率が年度によって変動している中で、当事業の自己収入比率は硬直的であることが分かります。

 続きまして、同じく試験・資格関連事業の内閣府で実施している公認会計士試験事業です。

 当事業の自己収入比率は、令和2年度で約60%まで落ち込みましたが、基本的に80%を超える水準となっています。これは、令和2年度は一時的に落ち込んだものの、もともと出願者数が比較的多い事業であり、受験料も比較的高いことによるものと考えられます。そのため、当事業の自己収入比率は、出願者数の多寡に応じて大きく影響を受けることが分かります。

 続きまして、受益者負担事業型の施設運営関連事業である内閣府の赤坂迎賓館参観事業です。

 当事業の自己収入比率をご覧いただくと、右側に載っている施設運営関連事業の平均自己収入比率と同じ動きをしていることが分かります。これは、施設運営関連事業が、全体として、令和2年度は新型コロナウイルス感染症の影響により利用者が減少したものの、令和3年度以降は回復傾向にあり、迎賓館の参観者数も同様であったためと考えられます。ここから、当事業の自己収入比率も参観者数に比例するということが分かります。

 次に、補助金・給付金事業型の事業である経産省の事業承継・引継ぎ支援事業です。

 当事業の経年比較情報をご覧いただくと、フルコストは緩やかに減少傾向にある中で、間接コスト率は令和3年度に大きく上昇しています。これは、資源配分額が、令和2年度から令和3年度にかけて、13億円から3.8億円へと大幅に減少していることによるものです。そのため、補助金を交付するためには一定のコストが必要であり、補助事業件数に応じてフルコストが発生するものの、当事業の間接コスト率は、資源配分額の多寡に大きく影響を受けているということが分かります。

 最後に、補助金・給付金事業型の事業である内閣府の子供の未来応援地域ネットワーク形成支援事業です。

 当事業の経年比較情報をご覧いただくと、フルコストは令和3年度に大きく増加し、その後は概ね一定、一方で間接コスト率は年々減少していることが分かります。これは、事業実施自治体件数の増加に伴い、資源配分額である補助金の給付額が増額したことによるものと考えられます。そのため、間接コスト率の増減は、フルコストの増減と資源配分額の増減の両者に影響を受けますが、当事業の間接コスト率は、資源配分額の多寡に影響を受けやすいということが分かります。

 資料2-1に戻りまして、4ページをご覧ください。事業別フルコスト情報の更なる活用に向けて、今後の方向性を記載しております。

 1ポツ目ですが、ダイジェスト版の改訂により、経年比較及び横断比較のための情報が示され、各事業の相対的位置が容易に把握できるようになりました。これにより、各事業担当者において、受益者負担事業型では利用料・手数料などの自己収入の見直しや、利用者数増加のための広報戦略といったマネジメントの意識が高まる補助金・給付金事業型では、事業従事者数の見直しをはじめコスト意識をもって実施されているかどうかの点検が可能になるなど、事業効率化への気づきにつながることが期待されます。

 2ポツ目につきまして、受益者負担事業型では受益と負担の関係性が分かりやすい事業、補助金・給付金事業型では、間接コスト率の実益が高い外部機関利用型の事業、その他事業型では減価償却資産を保有する事業などを中心に、今後は、事業別フルコスト情報になじむ事業選定を各省と協力しながら進めていく必要があると考えております。

 3ポツ目は、事業別フルコスト情報の作成に関する点になりますが、より効率的かつ効果的な作成のため、各省への説明会を通じて引き続き本取組に対する一層の浸透・定着を図っていく予定です。

 4ポツ目は広報に関してですが、事業別フルコスト情報の認知度向上を目的に、行政事業レビューシートなどの各種媒体からのアクセスチャネルを増やし、情報発信を進めていく予定です。

 以上、事業別フルコスト情報が一層活用されることで、各事業担当者がコスト意識やマネジメント意識をさらに高め、行政の効率化・適正化の動きが広がるよう努めてまいりたいと考えております。

 事務局からの説明は以上になります。

〔藤谷部会長〕 
 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの事務局からの説明につきまして、ご意見、ご質問等ございましたら、先ほどと同じ要領でご発言をお願いいたします。恐縮ながら、システムの運営の都合上、まず、議場に出席されている委員を先にということで、では、大塚委員からお願いいたします。

〔大塚委員〕 
 大塚です。簡単にですが、今回作成していただいた資料の中で、いわゆる経年比較、それから横断比較がかなり重視されている点は非常に重要ですし、この方向をぜひ進めていただきたいと考えています。やはり財務情報ですから、比較をしなければいけないわけで、結局つくったものをどのように使うかというのは、あくまで比較なのだというところを強く打ち出す必要があるかと。ですから、この方向は非常に望ましいと思っております。

 お尋ねしたいのは、資料2-1の3ページ目の下のグラフです。ドットで打たれているグラフは公表されるのか。ダイジェスト版で見る限りは平均が出ているだけですが、でも正直、横断比較で平均しかないというのは情報が不足しているように思います。ですから、ここはもう少し将来的に充実させていただく必要はあるのかと。ただ、3ページの図を公表するにしても、少し注意はやはり必要で、特に3ページの3枚目の図、どの図もそうですが、一番右側を見たときに私が気になるのは、一番上にあるドットは、必ずしも同じ事業ではないのではないか。事業自体がかなり順位が入れ替わっているような情報も実は重要ですが、それが出てきにくいようなやり方にもなっている。その点で、単純にこの図を公表してしまうことにも懸念はあるのですが、やはり平均だけでも、さっき申し上げたように、横断的分析には不足するので、ぜひ追加的に情報を開示できるような方向で、今回でなくとも将来的にでよいのですが、ご検討いただきたいと思います。よろしくお願いします。

〔藤谷部会長〕 
 大塚委員、ありがとうございました。

 黒川委員、併せてお願いいたします。

〔黒川委員〕 
 資料2-2の事業別フルコスト情報のダイジェスト版を自宅のほうに前もって送っていただいたので、全ページちらちらと、200ページを超えていましたので、結構時間をかけて全ページ見せていただいて大変勉強になったというか、こういうことまでやっているんだということで、私としてはとても参考になりました。

 そこで、さっと見た感想ですが、事業全体の金額がかなり大きい、そういうものも幾つか散見されるのですが、結構、国全体から見ると非常に小さい、こういう事業もやっているのかとさっき言いましたが、その反対からいえば、国全体から見るとあまり大きな影響はないような事業が結構並んでいる。

 そこで、これから毎年毎年これをやっていくということで、事務局は大変だと思うのですが、やはりすごく重要なのですが、国全体としての中で、今回このダイジェスト版で200ページぐらい挙げたものは、どのぐらいの割合になっているのか。例えば件数でもよい。件数でいくと、全体的に事業は幾つあって、今回、こういうふうに各省庁が手を挙げてやりましたというのを出してきたわけですよね、省庁のほうで。それはどのぐらいの割合を出してきたのかということと、それから、予算措置されているわけですから、どのぐらいの規模に相当するものを、各省庁がこういう測定をして協力してくれたということをどこかで書いてあるのかな、そういうのも大事だと思います。そうすると毎年毎年、各省庁ごとに、向こうの省庁はこんなに出しているのか、あるいはどんどん多く出しているのかというのも分かる。そういうふうになればよいですよね。ですから、そういう集計結果の、これはあくまでもサンプルで、一部ですから。全部ではないので、それがどのぐらい選ばれているのかというものを、金額ベースと、それから件数、そういうものを事務局は分かっていると思いますので、どこかで、一番初めに出すとか、何か表に出すとか、そういうふうにされたらどうかと思いました。

 以上です。

〔藤谷部会長〕 
 ありがとうございました。

 それでは、今の両委員からのご指摘につきまして、お願いいたします。

〔小田切公会計室長〕 
 ありがとうございます。

 まず、大塚委員のコメントですが、資料2-1の3ページ目の下の表を出すのかですが、当部会の資料として公表されますが、ダイジェスト版はダイジェスト版で、この形で公表されますので、ダイジェスト版の中には組み込まれていないというのが現状でございます。ですので、将来的にはこちらをダイジェスト版にも組み込むかどうか、組み込む場合は、ご指摘があったように、現状はドットが連結していない状況ではありますが、連結した場合に見やすくなるのか、ないしは連結してどう見やすくするのか、そういったところも含めて、今後の改善点として認識させていただければと思っております。

 黒川委員のご指摘とご質問ですが、まず、今後の事業の選定というところで資料2-1の4ページ目のポツの2つ目ですが、今回は206事業ありまして、これを中身のあるものにいくことを考えております。ですので、そういったところの中身もどんどん有用なものと入れ替えていきたいところでございます。

 どれくらいの規模感、どれくらいの割合なのかですが、行政事業レビューを分母として、その中の206事業ですが、細かいところは川中補佐から補足させていただきます。

〔川中課長補佐〕 
 公会計室の川中でございます。貴重なご意見ありがとうございます。

 基本的には、行政事業レビューの事業数をベースとしておりますので、事業数で約5,000となります。そこから、各省において、基本的には事業コストが大きい順で選定する建付となっておりますが、それ以外にも例えば、各省において事業の効率化・適正化に適当な事業とか、あとは国民の関心が高い事業を事務連絡で依頼させていただいており、省内調整の結果、現在の206事業になっているということでございます。黒川委員にご指摘いただきましたとおり、非常に金額が大きいもので何兆円単位という事業から、何百万単位といった僅少な事業もございます。そのような僅少な事業に関しては、事業単体で見ると、効率化、適正化に資するところはあるのかもしれないですが、ただ、やはり歳出改革とか、長い目で見ると得るものは少ないというところもあるとは思いますので、そういう金額が僅少な事業に関しては、資料のうち「事業別フルコストの更なる活用に向けて」で挙げております受益と負担がわかりやすい直接サービス事業型タイプのもの、例えば試験資格関連事業や施設運営関連事業とか。あとは間接補助のタイプ、補助金・給付金事業型の中でも外部機関利用型だとか。そういう事業と入れ替えることについて、一気にというのは正直難しいと考えておりますので、そこは順々にと考えております。

 大塚先生からご指摘いただきました点も、事務局としても非常に悩み深いところだったというのが正直なところでございます。実は、我々も平均のほかに最大値とか最小値とか分布をもう少し見せられないか、また資料中の個別事業を線で結んだりなど試行錯誤してみたのですが、その結果、やはり情報が渋滞するというところもございました。そのため、まずは、今年改訂1年目、要領を変えて1年目ということもございましたので、シンプル過ぎるところもあるかもしれないですが、まずは平均と分布といった視点から分かりやすくし、部会資料で諮らせていただいたところでございます。

 以上でございます。

〔藤谷部会長〕 
 ありがとうございました。

 それでは、ウェブ参加の委員の先生方を順にご指名させていただきます。挙手順にということで、それでは、山内委員、赤井委員のお二方から、まずご意見を賜ります。よろしくお願いいたします。

〔山内委員〕 
 ご説明いただきましてありがとうございました。この資料につきましては、非常に進化しておりまして、かなり苦労されてこの新しい様式を考えられたのだなと思っております。ありがとうございました。

 例えば、いろいろな形態の事業がありますので、各指標について一律にこれは何%がよいよというようなことは難しいとは思うのですが、今回のように、類似の事業の指標の結果を確認して、それを比較することができるというのは非常によいと思いました。

 また、これまで委員会でいろいろ議論がありましたが、それらの議論がよく反映されている様式だと思います。

 ただ、逆に、このような新しい様式にすることですとか、また、類似の事業と比較されてしまうことに対する現場の抵抗感というものもあるかもしれないと思っております。この辺りについてよくご理解いただけるように、現場の方とコミュニケーションを密に取っていただきたいと思っております。ありがとうございました。

〔藤谷部会長〕 
 ありがとうございました。

 それでは、引き続き赤井委員からお願いいたします。

〔赤井委員〕 
 ありがとうございます。同じく4年目ということもありまして、かなり充実してきていますし、見せ方の工夫というのも、大分ある程度収れんしてきたのかなというところを感じております。どういう事業を取り上げるかは、その事業の特性によって説明の仕方が若干変わると思うのですが、でも、それにも統一して見せられるようなもの、それもだんだん見えてきたのかと思います。

 私に関しては1点だけ、この情報の開示についての4ページですが、フルコスト情報のさらなる活用に向けてというところで、気づきにつながるのではないかと1段落目にありますが、まさにこの資料が効率化につながるということ、浸透していくことが重要ですので、例えばそれで気づいて改善をしたとか、気づいたことによるとか、この資料によってより、今やっていることの価値があることが明らかになったとか、何か実際にこのコスト情報で現場がどういうふうに感じたのかとか、そういう事例を把握してみても、そこからまた改善にもつながりますし、逆にコスト情報の価値も高まるのかと思いました。

 その後説明会もされていると、3ポツの丸ぐらいに書かれていますが、まさに行政事業レビューと同じような目的で見ているような取組もありますので、この説明のときも行政事業レビューの担当者とか行政事業レビューの試みと連携しながら説明していくと、よりこの価値が出ていくのかと思いました。

 以上です。活用について、またご検討ください。

〔藤谷部会長〕 
 ありがとうございました。

 それでは、今の両委員からのご指摘につき、何かございましたらお願いします。

〔川中課長補佐〕 
 山内委員、貴重なご意見ありがとうございます。今回、やはり経年比較と横断比較情報を載せた趣旨は、4ページ目にございます各事業の相対化です。これまで、資料の中で自分たちが時系列でどの位置にいるのか、同じ事業類型の仲間内でもどのような位置づけにいるのかが分からなかったところがございましたので、それはこのダイジェスト版の1ページで集約するように努めたところでございます。そういう中でも、こちらの資料にも書いておりますが、まだまだ、各省の皆さんと我々事務局との間で取組に関し温度感に差はございます。ただ、このような情報は行政事業レビューの中でもない情報でございます。人にかかるコスト、物にかかるコスト、事業コストというのが一覧で見えて、経年変化で関連指標やコストの構成まで見える。その中から気づきを補足情報欄に書いているというもの、このシンプルな一枚紙の資料ならですので、せっかくなら、説明会なり研修もそうですが、良いものをつくっていこうというところで、引き続きコミュニケーションを図っていければと考えております。

 また、赤井先生からも、貴重なご意見ありがとうございます。4ページの浸透という点につきましては、実際に、今回この資料をつくるに当たって、一部各省の方にヒアリングをいたしました。その意味では、この資料をもって、例えば行政経営の効率化とか適正化に気づきがあったかという点は、今回目立ったものはなかったところでございます。ただ、分かりやすく仕上がっておりますので、この1枚紙やダイジェスト版を見て、国民の皆様の前に、まずは作成されている各省の皆様で気づきがあればというところは期待するところでございます。行政事業レビューとの連携ということに関しても、今ダイジェスト版のそれぞれ右上に行政事業レビューの番号を付しておりますが、今後レビューシートの方にも、何らかリンケージをできないかといった点は調整していこうと考えております。

 以上でございます。

〔赤井委員〕 
 すみません、赤井です。説明会とかされるときも、行政事業レビューの担当の人とかとも連携しながらやるとよいのかと思いました。

 以上です。

〔川中課長補佐〕 
 ご意見ありがとうございます。連携するよう努めてまいります。

〔藤谷部会長〕 
 ありがとうございました。

 それでは、お待たせいたしました佐藤委員、金子委員の順にお願いをいたします。

〔佐藤委員〕 
 私も先生方のご意見とほとんど重なってしまうのですが、今回の経年比較とか横断比較分布の分析等、本当にありがとうございました。感想というか質問、感想2点となります。

 まず、1点目は、今、ちょうどお答えいただいたところですが、私も、まず、国民の前に省庁内での利用に変化が見られるかというところをお伺いしたいと思っていました。特に、今回のデータなどは、予算査定に影響しそうな、参考にできそうなデータなどもいろいろあるかと思いましたので、これは既にということかと思ってお伺いしようと思ったのですが、まだこれからということですので、また、今後何か分かりましたら、教えていただきたいと思います。

 それから2点目が、先ほど黒川委員からもお話がありましたサンプリングに関するところです。目次も少し工夫いただいて、非常に読みやすいものとなっています。この事業を見たいという、ピンポイントで探す場合はこれだけで十分ですが、全体の冊子から何かを探そうという場合は、やはりここに1つ目安として目次に入れなくてもよいのですが、最初のサマリー表などでそれぞれの事業の金額が記載されていると良いと思います。もちろん、こういった事業というのは成果が重要であって金額ではないというのも理解できるのですが、以前はサンプリングを選ぶときもやはり金額というのが1つの目安になっていたかと思いますので、金額とそれぞれの省庁における構成比など、目次に対応するような一覧表があると、なお分かりやすいのではないかと思いました。

 以上です。

〔藤谷部会長〕 
 ありがとうございました。

 それでは、金子委員、お願いいたします。

〔金子委員〕 
 ありがとうございます。フルコスト情報の開示ということで、4年分のデータがたまりましたので、先ほど赤井先生が言われたとおり、これがアクションにつながっていくものだと思いますので、そういった意味で気づきといいますか、どういうふうに具体的に行動につながったのかということを来年度以降、この資料の中で併せて開示ができないかというのが1つ感想でございます。

 もう一つは、やはり黒川先生からもお話ありましたが、対象になっている事業を選定する側のお立場というか気持ちもあるのかもしれませんが、やはり、金額の大きなものですとか、目立ったものに関しての説明というところになろうかと思いますが、この事業の選定されているかされていないかで、また何か説明をするしないといったところで、変な事務的な手間あるいは手数の要不要に関して、担当者の方の負担が変わってしまって、結果として本来出さなければいけないような事業の選定に影響しないようなことがないかということが懸念としてございましたので、発言させていただきました。

 以上でございます。

〔藤谷部会長〕 
 金子委員、ありがとうございました。

 それでは、今の両委員からのご指摘につきまして、お願いいたします。

〔小田切公会計室長〕
 ありがとうございます。佐藤委員と金子委員まとめての回答にはなりますが、今後、PDCAを回すというところまでしっかりと繋げていかなくてはいけないと思っております。現状こういった形で作成はしているものの、各種、現場との協力関係といったところでは、まず、作成することで精いっぱいというところが現状はございますので、今後、資料2-1の4ページ目でも書いてあるところですが、ポツとしては3つ目で、今後の一層の浸透・定着を図っていくというところの中では、各現場の担当者が、こちらのコスト意識を高めるといったところも含めての記載にはなっておりますので、こういったところ、今後PDCAを回すといったところまで公会計室できちんと繋げていく必要があるのかと思っております。

 また、サンプリングの観点で佐藤委員、金子委員からご意見がありました。こちらも、目次の見せ方についてはやはり金額があったほうがよいというようなところはいただきましたので、今後はそういったところも含めて工夫をしていければと思っております。

 以上になります。

〔藤谷部会長〕 
 ありがとうございました。

 なお、この間、土居委員からチャットでコメントをいただいております。電波の状態が悪く、また途中退席ということでしたので、こちら私のほうで読み上げさせていただいてよろしいですか。

 そのまま読み上げさせていただきます。

 事業別フルコスト情報を継続的に推計して公表することは有意義だと思う。行政事業レビューとの連携は今後も重要である。行政事業レビューは、EBPMの推進に役立てられるよう、行政事業レビューシートもロジックモデルを立てるなどして、改善が進められている。事業別フルコスト情報もその動きに資するように役立ててほしいということでございました。

 今の委員の先生方のご発言と同じ流れかと存じます。

 ほかにご発言をご希望の先生方おられますでしょうか。

 ありがとうございます。議事の進行にご協力を賜りまして、誠にありがとうございました。大変活発なご議論をいただきまして、本日すぐに解決できなかったことにつきましては、事務局より追ってご報告を申し上げるということでお願いをいたします。

 それでは、以上をもちまして、本日予定しておりました議題は終了いたしました。

 なお、令和4年度連結財務書類等について、令和4年度事業別フルコスト情報、いずれの書類も、3月26日に公表される予定と聞いておりますので、資料の扱いにつきましても、保秘にご注意ください。

 最後に、事務局から連絡事項をお伝えいたします。

〔小田切公会計室長〕 
 本日配付資料の連結財務書類やポイント等につきましては、公表後、郵送させていただきます。

 以上でございます。

〔藤谷部会長〕
 それでは、本日はこれにて終了とさせていただきます。お忙しい中ありがとうございました。

 

午前11時30分閉会