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財政制度等審議会 財政制度分科会
法制・公会計部会
議事録

令和6年11月15日
財政制度等審議会


財政制度等審議会 財政制度分科会 法制・公会計部会
議事次第

令和6年11月15日(金)14:00~14:40

財務省第一特別会議室

1.開会

 

2.議題

  •        少額随意契約の基準額等について

3.閉会


配付資料

資料 少額随意契約の基準額等について

 

4.出席者

部会長
部会長代理
委員

臨時委員

藤谷 武史
黒川 行治
小林 慶一郎

大塚 成男
金子 靖
佐藤 綾子
宍戸 常寿
福田 慎一
山内 暁


           前田次長
           小澤法規課長
           片山調査課長
           小田切公会計室長
           内堀法規調査官
           橋本課長補佐
           上田課長補佐
   
           
          

午後2時00分開会

〔 藤谷部会長 〕 
 それでは、ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会法制・公会計部会を開催いたします。皆様におかれましては、ご多用のところ、ご出席いただきまして、ありがとうございます。

 本日は、ウェブ会議システムを活用し、会議室における対面形式とオンライン形式を併用して、会議を開催させていただくことにしました。どうぞよろしくお願いいたします。

 委員の皆様方におかれましては、他の委員の方に音声が明瞭に伝わりますよう、できるだけパソコン等のマイクに近づいてご発言いただきますよう、お願いいたします。

 まず、本日の議題に入ります前に、事務局より事務局職員のご紹介をしていただきます。小澤課長、よろしくお願いいたします。

〔 小澤法規課長 〕 
 法規課長の小澤でございます。それでは、事務局職員の紹介をさせていただきます。

 次長の前田でございます。

 調査課長は所用のため、恐らく後から出席になるかと思います。

 それから、公会計室長の小田切でございます。

 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

〔 藤谷部会長 〕 
 ありがとうございました。

 続きまして、本日の委員の出席状況、そして、資料の確認を事務局からお願いいたします。

〔 小澤法規課長 〕 
 本日は、土居委員、赤井委員、関根委員、滝澤委員はご欠席となっております。また、一部の委員の皆様には、オンライン形式でご参加いただいております。議場出席の状況につきましては、配席図をご覧ください。

 次に、議事次第をご覧ください。配付資料につきましては、2ポツのとおりでございます。

 資料の紹介は以上でございます。

〔 藤谷部会長 〕 
 では、本日の部会の進行についてご説明いたします。本日の議題ですが、少額随意契約の基準額等について、事務局からの説明及び質疑応答を行う形で進めさせていただきます。

 議事に入る前に、前田主計局次長からご挨拶がございます。前田主計局次長、よろしくお願いいたします。

〔 前田次長 〕 
 先生方にはご多用中のところ、本日お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 通常、法制・公会計部会は、専ら公会計、財務諸表について先生方からご意見を賜り、ご議論いただいているところでございますが、今回は法制面についてご議論いただければと思ってございます。タイトルにございますように「少額随意契約」ということで、これは会計法に定められている、一定以下の価格のものについては随意契約が可能であるという、その基準額について、昨今の物価上昇等を踏まえて多少引き上げるべきではないかというご意見がございます。その妥当性について、先生方よりご意見を賜ればと思ってございます。

 この後、事務方よりご説明をさしあげますが、もともと両方の要請がございまして、1つは、やはり会計法の原則は一般競争入札である。随意契約は極めて例外である。それは特に平成の初め頃、行政改革の流れでは当然そうなのだという議論があったわけでございます。

 他方、特にこれは地方自治体においては、あまり細かいところまで全部入札を求めると、職員の負担、事務負担が大変大きい。特に、昨今、地方自治体職員も非常にスリム化してきていまして、そういう地方の切実な声があるのも現実であろうかと思っております。

 その中で、どのぐらいのところでやっていくのが適切なのか、ぜひ先生方のご意見を伺えればと思っております。

 本日はよろしくお願いをいたします。

〔 藤谷部会長 〕 
 ありがとうございました。

 それでは、少額随意契約の基準額等について、事務局から説明をお願いいたします。

〔 小澤法規課長 〕 
 それでは、資料に沿ってご説明させていただきます。

 まず、資料の1ページでございますが、国の契約においては、競争原則が採用されています。これは1ページ、下の囲みのところに記載されていますが、機会均等の思想とオープンの競争に付することにより、最も公正な処理を図るという理由から、競争入札が原則とされているということであります。

 2ページ目、ただし、この例外として随意契約も認められています。左上の囲みでは、「随意契約によるものとする場合」について記載してありますが、例えば①にありますように、契約の性質又は目的が競争を許さない場合には、競争が成り立たないので随意契約によるべしということにされています。

 また、右上の四角の囲み、「随意契約によることができる場合」として、①の一番上、契約の予定価格が少額である場合については、随意契約によることができるとされているわけですが、この少額とは一体幾らかということが問題になります。

 少額については、普遍的な定義があるわけではなくて、物価水準との兼ね合いで決めてきておりまして、3ページの資料中段には、戦後の基準額の推移を示しております。

 例えば、一番上段の「工事又は製造」をご覧いただきますと、1947年には7万円以下の工事または製造については随意契約によってよいこととされておりましたが、その翌年に早速50万円に引き上げられております。その後幾度かの変遷を経て、1974年に250万円に引き上げられて、今日に至っているということであります。

 ということで、現行の基準が定められてから50年間経っているということですが、この背景について次の4ページの資料をご覧いただきながら、その理由を考えてみたいと思います。

 この基準額は、これまで企業物価指数を基に引上げを行ってきたわけでして、企業物価指数の推移をこちらの表では青色の折れ線グラフで示してあります。1974年にはこの指数が79.8であり、この前後においては企業物価指数が大きく上昇していますが、1980年頃からは横ばい、ないしは下落方向に転じるような推移になっていまして、その次の5ページの上段のところに記載しておりますが、前回の改定後、特に1980年代以降は、一層の競争性や透明性の確保の観点から、随意契約は極力縮減すべきといった考え方があったほか、物価の下落ないし横ばい傾向が長らく続き、少額随意契約の基準額を引き上げる状況にはなかったと考えられます。

 それがコロナ禍後、急速に物価が上昇しておりまして、かつ、契約事務の簡素化等の観点から少額随意契約の基準額を引き上げるべきではないかという要望が、いろいろ寄せられております。

 5ページの中段のところ、「最近における主な意見・要望」ということで、国会でもそういった議論が行われていることを紹介しております。

 また、その下のところには、我々、行政事務を行うに当たって各省庁の契約部署の担当者と意見交換などを行っていますが、約75%の省庁の方が、人手不足や仕様の複雑化等により円滑な調達の実施が困難となっていると感じる。その改善策として、ほぼ全ての省庁が少額随意契約の基準額の引上げを要望しているといったことを記載しております。

 それで、現在の国の契約における契約方式別の割合がどうなっているのかを、6ページの資料でご覧いただきたいと思いますが、前回改定を行ったときと今回と調査を行っておりまして、その状況を円グラフで比較をしております。

 上段が件数ベース、下段が金額ベースになっておりますが、上段の内側の円をまず、ご覧いただきますと、昭和48年当時においては、随意契約が96.5%、競争契約は3.5%でした。会計法においては、競争が原則ということになっているわけですが、競争契約は件数ベースで見ると3.5%しかなく、かつ、その外側の円、競争契約の外側の円のところをご覧いただきますと、ほとんどが指名競争入札ということになっていました。

 これが令和5年度になってみると、随契の中の少額随契の割合が90.4%から76.0%に縮小をしています。これは、恐らく物価が上昇する中で、基準価格を据え置いたことによって、少額随契できる範囲が縮小したということが考えられます。

 この反面、この反射的な効果だと思いますが、競争契約の割合が広がっていまして、内側の円グラフをご覧いただきますと競争契約が17.4%、かつ、この外側は競争契約の内訳ですが、指名競争ではなく一般競争となっているということで、全体としては、競争性を確保していくという取組は、着実に実現してきている、進捗していると言えるかと思います。

 下の金額ベースをご覧いただきますと、少額随契の割合は、件数は多いけれども金額ベースでいうと4.3%にとどまっていたものが、今日においては、それがさらに縮小して0.8%となっているということでありまして、これを仮に今回、少額随意契約の基準価格を引き上げるということになると、恐らく件数ベースで、上の件数ベースで見ると少額随契の割合が増えていく。そうなると全体として行政事務の簡素化ということにつながっていくのではないか。それがどのぐらいの金額的なインパクトがあるかというと、下側のところで、現在少額随契が0.8%となっていますので、仮にこの基準価格を引き上げたとしても、全体としてのインパクトは僅かにとどまるのではないかと考えられます。

 最後のページ、7ページには、今回もし少額随意契約の基準価格を見直すということになると、予決令においては、いろいろ基準価格を金額で定めているものがあります。こちらについても同様に見直す必要があるのではないかということを記載しておりますが、今回の議題とは外れますので、こちらについての説明は割愛させていただきます。

 私からの説明は以上です。

〔 藤谷部会長 〕 
 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの事務局からの説明について、ご意見、ご質問等がございましたらご発言をお願いいたします。ご発言を希望される委員を順番に指名させていただきますので、ご意見等がある場合は、議場にてご出席の委員の皆様は挙手いただき、ウェブ会議システムにてご出席の委員の皆様は挙手するボタンのクリックをお願いいたします。

 それでは、まず会場で黒川委員、そしてその後、ウェブ参加で福田委員、佐藤委員という順番でお願いします。

 まず、黒川委員からお願いします。

〔 黒川委員 〕 
 それでは、6ページの円グラフ、すごくきれいなグラフを見せていただいて、ありがとうございます。

 確認ですが、少額以外の随意契約が大変多いということですが、これは例えば不落、一般競争入札をして、契約ができなかったということになりますと、その後、随意契約に移る、そういう可能性が高いと思います。そういう理解でよろしいのか。その他の、少額以外のところの理由がもし分かれば、少し、検討する上で情報になるかと思います。

 まずは1つ、質問です。

〔 藤谷部会長 〕 
 ありがとうございます。

 それでは、まず、今の点について、事務局からお願いいたします。

〔 小澤法規課長 〕 
 少額以外の随意契約の内訳ですが、内訳というのはデータではまだ整理ができておりませんでして、おっしゃっていただいたように、資料の2ページに、随意契約によることができる場合と随意契約によるものとする場合という事例が幾つか並べてあります。今おっしゃっていただいたのは、右上の四角の②のほう、競争に付しても入札者がいないとか、再度の入札をしても落札者がいない、こういった場合には随意契約になります。

 予決令第99条各号と、簡単に書いてしまっておりますが、全部で25号にわたって随意契約でできる事例が書いてあります。ですので、この分析がどこまでできるのか検討をしていますが、今のところその内訳は何かというのは申し上げられない状況です。

〔 黒川委員 〕 
 分かりました。ありがとうございます。

 本日のテーマは、公開入札に関する金額要件の見直しの是非についてですが、そもそも、公開入札制度がいかなる場合にも最善の契約を結べるとは限らないことにも留意したいと思うのです。

 公開入札制度の推進の動機は、購入部署と取引業者とのなれ合い等による不適切な契約防止にあったと思います。中央、地方政府関係部門の契約においては、良質な財・サ-ビスを適切な金額で発注することが国民に対する最終目的であることを念頭におくと、長期的な観点に立って判断することが重要だと思うのですね。

 とくに、毎期継続的に必要性があって発注するような案件の場合、取引業者側の事情に目を向けると、その業者が小規模であるほど、その業者は継続的に経営を行う上で、固定費の期間的負担を考えると思うのです。そうすると、毎期受注が安定しているような契約の方が、受注にリスクがある公開入札の場合よりも、安価な金額で受注可能になるという可能性は論理的にあり得る。例えば、複数年の随意契約の方が、ウィンウィンだとも言えます。

 もちろん、なれ合い関係の発生に対する疑念はありますので、できれば、発注部門とは独立したチェック部門を組織内部に持てると安心度が増しますね。

〔 藤谷部会長 〕 
 ありがとうございます。大変貴重なご経験からのご示唆がございました。今のはコメントということでよろしいですね。ありがとうございます。

〔 黒川委員 〕 
 参考、私の経験で参考意見です。

〔 藤谷部会長 〕 
 非常に重要な情報提供を賜りまして、ありがとうございます。

 それでは、お待たせしておりまして、申し訳ございません。ウェブ参加で、福田委員、佐藤委員、山内委員の順に指名させていただきます。

 それでは、まず、福田委員からお願いいたします。

〔 福田委員 〕 
 ありがとうございます。私は、少額随意契約の基準額を今回引き上げることは、基本的には賛成です。実際、私が使っている研究費でも、数年前までは100万円をかなり下回っていたものが、足元で、超過して、いきなり事務の負担が一気に増えていることは多発しています。

 どういう金額、物価で調整すべきかはやや難しいと思います。私の周りで発生しているのは、明らかに海外からの購入で、これは円安が本当に効いていまして、このレベル以上に厳しくなっている状況もあります。買うものにもよるので、どれを使うのかというのはやや難しいところですが、何となく個人的に妥当かもしれないと思うのは、やはり企業物価指数かとは思ってはいますというのが第1点です。

 あと、これからも物価が上がるときに毎回やっていくことがいいのか、そのように対応せざるを得ないのかもしれません。これまで日本は、数年前までは、物価は基本的に上がらない国だったのが、急に上がるようになって、今後もそれなりに上がっていく中で、どう対応すべきかということは、1つまたテーマとしてはあるのかとは思います。

 あと最後に、例えば私が関係しそうなものは100万円の基準額が多いのですが、やはり100万円を超えるか超えないかで一気に手続が煩雑化するというのではなくて、何か段階的にしていただけるとありがたい。100万円あるいは基準額を少し超えると、多少の手続が入るのはやむを得ないと思うのですが、ただ、1,000万円のものと100万円を少し超えるもので手続の煩雑さが一緒だというのは、何となくあれかもしれませんので、そこら辺の手続の煩雑さに関しても何らかの段階を踏んでいただくことが、可能なのであれば、少しご検討いただくのももう一つの方法かと思いました。

 私からは以上です。

〔 藤谷部会長 〕 
 福田委員、ありがとうございました。今のご発言は、ご示唆が主でしたが、ご質問も含んでいたように思いますが、まず今手を挙げていただいている委員の方々のご質問を頂戴してから、まとめて事務局に、お答えできる範囲でお答えいただくことにいたしたく存じます。

 お待たせいたしました、佐藤委員、お願いいたします。

〔 佐藤委員 〕 
 私は、物価上昇に伴う見直しという点は、ある程度理解できるのですが、1つ、今回の改定が地方の契約にも影響を及ぼすこと、そこまで視野に入れた場合、コンサルなどの役務の随契に対する影響を少し心配しています。過去に私が見たコンサルの随契の中には、やはりなぜこの金額なのか、建設工事の材料費が上がったとかというのと比べて、計算根拠が分かりにくいものがございました。

 ですので、今回、上限を見直したときに、コンサルが上限に合わせて全国で一斉に引き上げるといった事例が多発しないような仕組みが必要かと考えます。

 ただ、ここで、先ほどガバナンスの話がありましたが、難しい仕組みを入れてしまうと、コストの問題で本末転倒になりますので、少なくとも見積り根拠の透明性が確保されるような注意喚起とか、改めてする必要があるのかと考えております。

 以上です。

〔 藤谷部会長 〕 
 佐藤委員、ありがとうございました。大変貴重なご指摘だと思いました。

 それでは、山内委員からご質問、ご意見賜ればと思います。

〔 山内委員 〕 
 私からはコメント2つと質問1つ、させていただければと思います。

 まず、コメントですが、金額を上げる場合ですが、今回1974年以来ということで非常に突然感がありますので、できるだけ突然感が出ないように、説明責任として、その引上げと金額の根拠と同時に、50年間変更がなかった理由について、よく強調し、きちんと説明していただく必要があるかと思っております。

 また、2点目のコメントですが、具体的な運用につきまして、先ほど黒川委員からもチェック機能についての発言がございました。重要な点なので、私からも指摘させていただきます。現時点でもモニタリングの仕組みはあると思うのですが、適正に運用されているか、モニタリングの仕組みをきちんとしていただく必要があると考えております。

 最後に質問です。今後、例えば、5ページ目の下の箇所で挙げられていたオープンカウンター方式の実施といった、他の方法に切り替えていくことなどは、何かちょっとした議論として、出ていたり考えられていたりするのでしょうか。

 以上です。

〔 藤谷部会長 〕 
 山内委員、ありがとうございました。最後の点は、事務局での検討状況についてのご質問ですので、後でまとめてお答えいただくということで、よろしくお願いいたします。

 それでは、大塚委員、ご発言をお願いいたします。

〔 大塚委員 〕 
 大塚です。簡単に。最初の黒川委員のご意見に賛成意見として申し上げておきたいと思います。

 私自身は、自治体のほうですが、地方自治体の入札の検討に幾つか関わらせていただいた経験があります。その経験からすると地方自治、これは国の話ですが、先ほどお話あったように自治体に影響を持つということになると、競争入札を成立させるコストが非常に大きくなっています。たとえ指名競争入札であっても、複数の業者を見つけてこなければいけないという負担が大きい。と同時に、競争入札のほうが安くなるという話であったとしても、現在の入札の仕組みとして、安ければ安いで低入札価格調査が必要になりますので、それはそれでまた手間がかかってしまうことになる。

 ですから、ここでまず問題とされるのが、競争入札に伴うコストの増大であれば、そのとおりだと思いますし、それへの対策として少額随意契約の基準を上げるということはあり得る方法だと思っております。

 ただし、これは山内委員からのお話もあったように、それだけでやるのではなくて、チェック機能の強化とセットでやらなければいけない。つまり、あくまで最終的にそれが、つまり一番恐れるのは、少額随意契約の基準を上げたことで、形式的にそれさえ満たせばもう随契でいいのだと決めてかかられることが問題であって、随契を使える余地を広げるとともに、随契でやったことが効率的であったかどうかをチェックする部分を強化する。そのセットで常に考えていく必要があるだろうと思います。この点を考慮した上で進めていただければと思っています。

 以上です。

〔 藤谷部会長 〕 
 大塚委員、ありがとうございました。

 それでは、小林委員、お待たせいたしました、よろしくお願いいたします。

〔 小林委員 〕 
 先ほどの4ページのグラフが大変分かりやすいと思うのですが、やはり、物価の動向が、これまではあまり上がってこなかったので、すみません、この次のページのグラフですが、それに対して足元では急激に物価が上がっている。先ほど福田先生がおっしゃったように、急激に円安による物価の上昇というのもあって、それが現場の事務を煩雑にしているということだろうと思うので、プログラム化できないのかと思ったところです。要するに、基準額を改定するトリガーとして、例えば企業物価指数がこういう条件になったときには基準額の見直しをするとか、そういうことをあらかじめプログラムとして決めておくとか、あるいは、もっと機械的にやろうと思ったら、基準額自体を企業物価指数に何らかの数式で連動させるとか、そういうことも考えられるのかと思いました。

 もちろん、先ほど来、皆さんご議論されているようなチェックをしなければいけない、いろいろなガバナンス的な問題もあるので簡単ではないかもしれませんが、少なくともこういうときには見直しをするというトリガーを入れておくとか、そういったことが考えられるのかと思いました。

 私からは以上です。

〔 藤谷部会長 〕 
 小林委員、ありがとうございました。

 それでは、ひとまず、ここまでのご質問、ご発言を踏まえて、事務局からお答えいただきたいと思うのですが、私の理解したところで大きくは2つありまして、1つはチェック機能ということですね。今回、事務コスト等に配慮して、随契の基準価格を引き上げるという案には、委員の先生方皆様ご異論はないと承りましたが、多くの方から、その分、チェック体制が必要ではないか、その点はどう考えているのか、というご質問をいただきました。

 あるいは、競争が成立しないというような状況も踏まえて、どう考えるのか。これは山内委員から、オープンカウンター方式など、競争入札か随契かの二者択一ではない、いろいろな方法も考慮しているのかどうか、というご質問がございました。

 関連して、今回の基準価格引下げに伴って、疑わしい例が出てこないかにも目を光らせる必要があるとの、佐藤委員からのご指摘もございました。

 もう一つのグループのご質問は、福田委員と小林委員からご指摘ございましたが、今回の基準価格改定については異論はないが、今後また再改定するときに、アドホックにやっていくのか、もう少し何か考え方があるのではないか、この点どう考えるか、ということで、第1のご質問とあわせ、事務局内でのご検討状況についてのご質問と理解いたしました。

 以上、よろしくお願いいたします。

〔 小澤法規課長 〕 
 先生方、いろいろ貴重なご意見をどうもありがとうございました。

 私から、現時点でお答えできる範囲は限られてはいますが、今回、随意契約の基準額を見直し、基準額を引き上げるということに伴って、チェック機能を強化していく必要があるのではないかというご指摘であります。

 これについては、そもそも現在の基準額の中においても、随意契約については適切に行ってもらわなければいけないので、そういった観点から周知といいますか指導は徹底をしているところでありますが、今回基準額を引き上げるに当たって、再度、ガバナンスの強化みたいな仕組みを入れられるかどうかというのは、まだ検討できていないわけですが、取組方法については、いろいろ考えていきたいと思っております。

 それから、オープンカウンター方式の話が出ました。これはあくまで随意契約を行う範囲内において、例えば金額が比較的高いものについては、より透明性が高い手続で、より競争性を、随意契約の中においても競争性を働かせる観点において行っているものなので、随意契約と競争入札ではない新しい類型があるということではなくて、随意契約の中での取組を強化するということですので、チェック機能を強化するという観点において、例えば今回金額を引き上げるに当たって、できるだけまた、オープンカウンター方式の採用も検討するようにと促していくとか、そういったことはあるかもしれないと思っています。

 それからもう一つ、今後どうしていくのかということ。これから物価が上がっていく時代に入りつつあって、今後も上がっていったらどうするのか、それは何らかの指標に基づいて引き上げていくのか、プログラム的に引き上げていく、その辺については、また今後検討していきたいと思います。

 私からは以上です。

〔 藤谷部会長 〕 
 ありがとうございました。

 今の事務局からのご回答を踏まえまして、さらにご質問、ご意見等ございましたら、まだ時間はございますので、承りたく存じますが、いかがでございましょうか。

 福田委員、どうぞお願いいたします。

〔 福田委員 〕 
 4ページ目の図は非常に分かりやすい図ではあったのですが、1点だけ、説明するのに大事かもしれないのは、74年に引き上げて、その後もしばらく物価上昇はありました。この図を見ても明らかです。そのときには引き上げなかったのに、今回引き上げた。その後80年ぐらいからはずっと横ばいだというのはそのとおりで、足元がまた上がり始めているというのは、そのとおりですが、70年代、74年から80年ぐらいは物価が上がっていたのに引き上げていなかったという時期があったので、そういう意味では説明責任的に考えると、その時期はなぜ上げなかったのかということの説明は、ある程度丁寧にしないと、必要かもしれないとは思いますが、そこら辺はどのようにお考えなのか、もしあれば教えていただければと思います。

〔 小澤法規課長 〕 
 当時の資料をいろいろ探してはいるのですが、基本的に、物価が上がる中において、例えば中小企業庁の中において、官公需を拡大するという観点から、少額随意契約の基準額を引き上げてくれという議論はあったり、もしくはそういった取りまとめが行われたりはしていたようです。ただし、社会全体の流れというか動きの中においては、このとき物価上昇に伴って国の財政赤字が初めてどんどん拡大をしていくという時代にありまして、とにかく行政改革を行って、行政コストを縮減しなればいけないということで、第二次臨調なども開かれまして、契約面においては競争性をより拡大して導入していくべきといった提言が行われています。

 ですので、政府全体として見ると、そういった行政コストをできるだけ縮減するもしくは競争性のある契約を行っていくべきだという考え方の中で、基準価格の引上げが見送られたと理解をしております。

〔 藤谷部会長 〕 
 ありがとうございます。

 それでは、いかがでございましょうか。

 宍戸委員、お願いいたします。

〔 宍戸委員 〕 
 東京大学の宍戸でございます。今の点にも関連するのですが、資料の6ページを拝見していると、これは非常に分かりやすい図で、割合の変化をお示しいただいているのですが、数字を見ますと件数ベースでも、昭和48年から令和5年まで3倍になっている。金額にいたってはもっとでございますが、やはり、単に割合が増えているとか、それから今ご指摘ありましたような、物価水準が変わっているというだけではなく、恐らく件数も非常に増えてきている。それによる行政の負担も非常に多くなっているということも併せて、1970年代からの、民営化であったり、民間からの役務ないし物品の提供を受けて行う行政の領域の拡大と併せて考えたときに、今のタイミングで物価水準に合わせて、少額随契の基準を上げることは合理性があるということを、もう一枚絵をつくっていただく必要があるのかどうか分からないですが、訴求していただくとよろしいのではないかと思ったところです。

 今の発言からもお分かりいただけると思いますが、私、今回少額随契の基準を上げるということには賛成でございます。

 以上です。

〔 藤谷部会長 〕 
 ありがとうございました。大変貴重なご指摘を頂戴したと思います。

 それでは、本日ご出席の委員の方々からは一わたり、ご意見を頂戴したところでございますが、追加でさらにということがもしございませんようでしたら、以上をもちまして、本日の議題は終了したということにさせていただきたく存じますが、よろしいでしょうか。

 ありがとうございます。それでは、本日の議題はここまでとさせていただきます。

 最後に、事務局から連絡事項をお伝えいたします。

〔 小澤法規課長 〕 
 先生方、本日はどうもありがとうございました。

 次回の部会につきましては、来年1月の実施を予定しております。既に事務局から日程調整のご連絡をいたしておりますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

〔 藤谷部会長 〕 
 よろしくお願いいたします。

 それでは、本日はこれにて終了とさせていただきます。ご多用中のところ、ご出席賜りまして、誠にありがとうございました。

午後2時40分閉会