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財政制度等審議会 財政制度分科会
法制・公会計部会
議事録

令和3年9月17日
財政制度等審議会


財政制度等審議会 財政制度分科会 法制・公会計部会
議事次第

令和3年9月17日(金)10:00~10:44

於 Web開催

1.開会

 

2.議題

  • 〇 部会長代理の選任について
  • 〇 「独立行政法人会計基準」等について

 

3.閉会


配付資料

資料1 法制・公会計部会委員名簿
資料2-1 「『独立行政法人会計基準』及び『独立行政法人会計基準注解』」に係る
共同ワーキング・チームにおける検討結果等(報告)
資料2-2 独立行政法人会計基準の改訂について(案)
資料2-3 「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」(案)
資料2-4
「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」(案)の
新旧対照表
  参考資料2-1 パブリックコメント及び各府省意見照会の概要
  参考資料2-2 共同ワーキング・チーム構成員名簿

4.出席者

部会長
委員


臨時委員

藤谷 武史
赤井 伸郎
土居 丈朗

大塚 成男
黒川 行治
小林 慶一郎
佐藤 綾子
椎名 弘
宍戸 常寿
関根 愛子
田近 栄治
冨田 俊基
山内 暁

           奥主計局次長
           八幡総務課長
           藤﨑法規課長
           大久保司計課長
           園田公会計室長
           山嵜会計制度調査官
                宮嶋課長補佐
           桑野課長補佐
                          <総務省行政管理局> 
           久山管理官
           笈川副管理官

午前10時00分開会

〔園田公会計室長〕 
 お時間になりましたので、ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会法制・公会計部会を開催させていただきます。

 皆様におかれましては、ご多用中のところ、ご出席いただきまして、ありがとうございます。

 私、事務局の公会計室長の園田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 新型コロナウイルス対策のため、本日はウェブ会議システムを活用して会議を開催させていただくこととしました。皆様には大変ご不便をおかけしますが、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。また、ご参加の委員の方に音声が明瞭に伝わりますよう、できるだけパソコン等のマイクに近づいてご発言いただきますよう、お願いいたします。

 まず、本日の議題に入ります前に、事務局職員の異動がございましたので、ご紹介をさせていただきます。

 主計局次長の奥でございます。

〔奥主計局次長〕 
 奥でございます。よろしくお願いいたします。

〔園田公会計室長〕 
 総務課長兼調査課長の八幡でございます。今、立て込み中で失礼いたしました。

 法規課長の藤﨑でございます。

〔藤﨑法規課長〕 
 法規課長の藤﨑でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

〔園田公会計室長〕 
 司計課長の大久保でございます。今、立て込み中で失礼いたしました。ありがとうございます。

 なお、本日は、総務省より久山管理官と笈川副管理官に出席いただいております。

 次に、当部会の所属委員と本日の出席状況について報告させていただきます。

 当部会所属の委員につきましては、お配りしております資料1の法制・公会計部会委員名簿のとおりでございます。新たに宍戸委員、関根委員に審議に加わっていただくこととなりました。各委員の先生の方々から一言ずつご挨拶いただけますでしょうか。

 宍戸委員、お願いいたします。

〔宍戸委員〕
 東京大学の宍戸でございます。私は専門は憲法でございますけれども、その中でも財政に関する規律には関心を持って勉強してきたところでございます。とはいいながら、まだまだ不勉強でございますので、藤谷部会長ほか、先生方からいろいろご指導を受けて学んでいきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

〔園田公会計室長〕
 ありがとうございます。

 関根委員、よろしくお願いいたします。

〔関根委員〕
 早稲田大学の関根でございます。どうぞよろしくお願いいたします。私は公認会計士として、長年活動しており、早稲田大学には昨年着任し、会計と監査を教えております。会計は主に企業会計ではありますけれども、公会計にも学生に興味を持ってもらうよう少し教えているところでございます。とはいえ、この分野は、私は専門というわけでもございませんので、ぜひ皆様に教えていただきながらお役に立ちたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

〔園田公会計室長〕
 ありがとうございました。

 本日ですけれども、赤井委員のほうがまだ……。

〔赤井委員〕
 今、入りました。遅くなりました。

〔園田公会計室長〕
 どうも、おはようございます。よろしくお願いいたします。

 本日は、全委員の皆様にご出席いただいております。皆様方におかれましては、当部会の委員として引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

 また、本年4月7日に開催されました財政制度分科会におきまして、藤谷委員が新たに部会長として指名されましたので、ご報告いたします。

 なお、本日、委員の皆様にはウェブで参加いただいておりますが、事務局の議場出席につきましては、配席図をご覧ください。

 次に、資料ですが、議事次第をご覧ください。配付資料につきましては、参考資料含め2.のとおりでございまして、事前にご郵送させていただいております。

 それでは、ここから藤谷部会長に議事進行をお願いいたします。

〔藤谷部会長〕
 このたび、法制・公会計部会長に指名されました藤谷でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 早速ですが、本日の部会の進行についてご説明いたします。

 本日の議題ですが、まず、当部会の部会長代理の選任を行います。

 続いて、「独立行政法人会計基準」等の改訂について、事務局からの説明と、それについての質疑応答を行う形で進めさせていただきます。

 では、議事に入る前に、奥主計局次長からご挨拶がございます。奥主計局次長、どうぞ。

〔奥主計局次長〕
 ありがとうございます。委員の先生方、本日は大変お忙しい中、ご出席を賜りまして、誠にありがとうございます。

 去る7月に主計局の次長を拝命いたしまして、法規課公会計室を担当することとなりました奥でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。

 当部会の運営に当たりましては、黒川前部会長、そして藤谷部会長をはじめ、各委員の先生方に、一方ならぬお力を賜っております。ここに厚く御礼を申し上げます。また、今回新たに加わっていただいたお二人の先生方におかれましても、どうかよろしくお願い申し上げます。

 私事になりますけれども、私は公会計との関わりということで申し上げますと、去る2010年からの2年間、今日も出席をしておられますが、総務省の行政管理局に勤務をしたことがございました。また、2017年からは主計局法規課長、その後、総務課長として公会計との直接的な関わりを持ってまいりました。今回が都合3回目の担当ということになります。

 この間、経済産業情勢もいろいろと変化をしてまいりまして、会計の世界でも、国際会計基準の動きも含め、様々な変化が生じてまいりましたが、行政事務の代行を担う独立行政法人を含めて、国、公会計のなすべき役割、その重要さにつきましては変わりはないと考えております。

 公会計の基本的な役割といたしましては、財務状況を、歴史的な積み重ねを経てこられた企業会計の視点から捉えるということで、経営体としての国の財政状況を把握し、国民にこれを開示するといったことと、その他方で、国家財政が徴税権というものに代表されるように、民間企業とは根本的に異なる収入、支出構造を持っているということを踏まえた上で、行政事務の遂行に伴い生じる国民負担というものをできるだけ分かりやすく国民に説明をするという、この2点に集約できると思います。

 こうした公会計に期待される役割をどのように的確に果たしていくか、経済社会情勢の変化に応じまして、これを不断に検討し、試行錯誤を重ねていかなくてはならないと考えております。

 委員の皆様方には、引き続き幅広い観点から、私ども主計局法規課公会計室事務局をご指導賜りたく、何とぞよろしくお願い申し上げます。

〔藤谷部会長〕
 では、初めに、部会長代理の選任を行いたいと思います。本件につきましては、「財政制度等審議会令」第7条第5項の規定により、部会長が指名することとされています。

 部会長代理には、前部会長の黒川委員にお願いしたいと思います。

 黒川委員、よろしいでしょうか。

〔黒川部会長代理〕
 黒川でございます。ご指名でございますので、謹んでお受けしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

〔藤谷部会長〕
 お受けいただき、ありがとうございます。

 それでは、次の議題の「独立行政法人会計基準」等の改訂について、事務局に説明をさせます。

〔園田公会計室長〕
 事務局より説明させていただきます。お手元の資料2-1、「『独立行政法人会計基準』及び『独立行政法人会計基準注解』」に係る共同ワーキング・チームにおける検討結果等を用いてご説明させていただきます。

 まず、1.背景等でございます。近年、企業会計においては、国内外の企業間における財務諸表の比較可能性を向上させる観点から、日本基準を国際的に整合性のあるものとするための取組に関する課題の検討が進められており、「収益認識に関する会計基準」、「時価の算定に関する会計基準」、「会計上の見積りの開示に関する会計基準」といった会計基準が公表されております。

 独立行政法人の会計は、独法通則法におきまして「原則として企業会計原則による」とされておりますので、これらの企業会計基準の趣旨、会計処理及び開示を独法会計基準及び注解に反映することにつきまして、その必要性も含め、独法評価制度委員会会計基準等部会と当部会の下に設置されました共同ワーキング・チームにおきまして検討を行った結果を、今回、基準及び注解の改訂案としてご報告するものでございます。

 2.改訂案の主な内容についてご説明させていただきます。

 まず、(1)収益認識でございますが、企業会計の考え方を参考に、基準及び注解におきまして、「実現主義の原則に従い」とされている部分、すなわち「独立行政法人がそのサービスの提供等により得た収入」に関連する取引を対象に、以下の内容の改訂を行うということとしております。

 ①適用範囲でございますが、独立行政法人がそのサービスの提供等により得た収入のうち、「顧客との契約」から生じた取引に対して、改訂後の会計処理及び開示を適用する整理としております。従いまして、「顧客との契約」から生じた取引に該当しない運営費交付金などに関する会計処理及び開示は、本改訂の適用範囲外としております。また、独立行政法人における「顧客」とは、独立行政法人に対して対価を支払い、サービス等を直接的に受益する者が該当する旨を規定しております。

 次のページに移りまして、②基本となる原則でございますが、収益を認識するために、❶顧客との契約を識別する、❷契約における履行義務を識別する、❸取引価格を算定する、❹契約における履行義務に取引価格を配分する、❺履行義務を充足した時に又は充足するにつれて収益を認識するという5つのステップを適用いたします。

 なお、企業会計基準においては、取引価格の算定の際に第三者のために回収される額(例えば、消費税等)を除くとしていることから、消費税等の税込方式による会計処理は認められない、とされておりますが、現行の独立行政法人における消費税等の会計処理は、税込方式及び税抜方式の双方が認められておりますので、その扱いについて消費税にかかる実務や実態を踏まえ、ご検討いただいたところでございます。

 まず、消費税等にかかる実務でございますが、消費税等の会計処理として税込方式または税抜方式があり、現状においては双方の処理が認められておりますが、選択した方式は、その法人が行う全ての取引に適用するのが原則でございます。また、独立行政法人における消費税等の会計処理の実態でございますが、多種多様な業務の実施や国からの多様な財源措置の方法により、現在、それぞれの法人が実態に応じて、消費税等の会計処理について税込方式または税抜方式を選択している状況にございます。

 税込方式を採用しているのが78法人と大半を占めておりますが、その税込選択の理由としましては、❶業務運営の財源の大部分を国からの運営費交付金が占める法人の多くは、消費税等の最終負担者となることや、国の予算制度の下、業務の実施に必要な消費税等を含めた支出を、税金等の国費による不課税の財源措置により行われていること等、また、❷業務運営の財源の大部分を交換取引の対価収入が占める法人でも、当該対価収入の多くが非課税取引である等、❶の考え方に当てはまる場合等でございます。

 一方で、税抜方式は9法人と少数でございますが、その選択理由としましては、業務運営の財源の大部分を交換取引の対価収入が占め、その多くが課税取引であること等でございます。

 これらの消費税等に関する実務や独立行政法人における財源措置の実態を踏まえますと、企業会計と同一に一律に税抜方式とするのではなく、税込方式及び税抜方式の双方を認めることとしております。

 続きまして、(2)時価の算定でございます。こちらにつきましても、企業会計と同様に、金融商品の時価を、算定日において市場参加者間で秩序ある取引が行われると想定した場合の、当該取引における資産の売却によって受け取る価格または負債の移転のために支払う価格と定義し、また、「市場価格のない株式等」について、関連する基準及び注解を改訂することとしております。

 最後に、(3)会計上の見積りの開示についてでございます。「当該事業年度の財務諸表に計上した金額が会計上の見積りによるもののうち、翌事業年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある項目における会計上の見積りの内容について、国民その他の利害関係者の理解に資する情報を開示する」と開示目的を明確にし、財務報告利用者への情報提供の充実を図ることとしております。

 これらの適用時期でございますが、会計上の見積りの開示については、令和3事業年度から適用、時価の算定については、令和4事業年度から適用、また、会計上の見積りの開示及び時価の算定を除く箇所(収益認識)につきましては、令和5事業年度から適用することを予定しております。

 検討結果等の説明は以上になります。

 なお、お手元の配付資料、資料2-2から資料2-4は基準及び注解の改訂案の本体、また、参考資料2-1は各府省等からのご意見と、それに対する考え方を整理したものでございますので、ご参考いただければと思います。

 事務局からの説明は以上となります。

〔藤谷部会長〕
 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの事務局からの説明について、ご意見、ご質問等ございましたら、ご発言をお願いいたします。

 ご発言を希望される委員を順番に指名させていただきますので、委員の皆様方は、ご意見等があります場合には、ウェブ会議システムの「挙手する」ボタンのクリックをお願いいたします。

 それでは、まず、椎名委員、どうぞよろしくお願いいたします。

〔椎名委員〕
 ありがとうございます。参考資料2-1、パブリックコメント及び各府省等意見照会の概要、こちらの資料は最終版の基準書とともに、ウェブ掲載するのでしょうかというのが1点目でございます。

 それから、2点目、同じ資料の中に書いてあるコメントNo.14、これはグッドクエスチョンだなと思いまして、何が書いてあるかといいますと、「今回の改訂により、消費税及び地方消費税以外のものであって、第三者のために回収していると考えられるものは収益に含まれるという理解でよいか」とありまして、これに対する回答は、「収益に含まれるか否かについては、会計監査人等に御相談の上、法人において適切に御判断ください」と、このようにあります。

 しかしながら、これは会計監査人等に相談しても判断がばらつく可能性があるので、コメント対応の中で回答を記載するか、またはQ&Aで明確に見解を示すほうがよろしいのではないかと存じます。

 まず、その収益に含まれるという見解について、これは、このご質問者ご自身がそう考えているようでありまして、その確認を求めているように読めます。それから、第三者のために回収する額の代表格である消費税等すらも収益に含めることができるというふうにされているのだから、まして、それ以外のものも当然そうだろうと思っておられるのかなと思います。

 企業会計基準の括弧書きに、「ただし、第三者のために回収する額を除く」という、これが独法の会計基準では丸ごと削除されているということで、消費税等だけでなくて、それ以外のものも除く必要はないというふうに解するのも無理がないことかなと思うところであります。一方、収益に含まれないというふうにする見解も考えられまして、まず、会計理論上、常識的にといいますか、そういったものは当然収益には含めないはずのものという考え方もあります。また、消費税だけは、先ほど掲げておられました理由で、政策的に税込方式でもよいと、あえてこう明記されているわけですから、言わばその例外については、明記されているもの以外は拡張解釈をすべきではないということで、こういう消費税以外のその他の第三者のために回収する額は収益には含まないんだという、両方の考え方が考えられるものですから、会計監査人に判断を委ねるとばらつくということで、先ほど申し上げたように、Q&A等での明記を願いできればということでございます。

 以上でございます。

〔藤谷部会長〕
 ありがとうございました。

 それでは、今のご質問につきまして、事務局から回答をお願いいたします。

〔笈川副管理官〕
 総務省の笈川でございます。ご質問いただきました、ウェブ公開されるかという点ですけれども、こちらは基準とともに公開されます。

 2点目No.14の「消費税及び地方消費税以外のもの」というところのご指摘ですが、確認したところ個別的な事案から生じるものであったため、独法会計基準は一般的かつ標準的なものという性格を踏まえて考え方を記載しております。一方で、椎名委員がおっしゃったとおり、判断がばらつくとか、あるいはそういった可能性ももちろんございますので、この辺りは今後、Q&Aを設定していきますので、そこで取り上げるかどうかというところは、検討していきたいと思っております。

 以上でございます。

〔藤谷部会長〕
 ありがとうございました。

 椎名委員、今のお答えでよろしゅうございますでしょうか。

〔椎名委員〕
 承知いたしました。そうしますと、先ほどの回答欄は、今のような書き方ではなくて、ほかの項目のところでも、Q&Aで対応する予定ですみたいな書き方をしている箇所が多数ございますので、同様に書き換えていただけるとよろしいんじゃないかと思いました。

 以上でございます。ありがとうございました。

〔藤谷部会長〕
 ありがとうございました。

 そのほかの委員の先生方、土居委員、よろしくお願いいたします。

〔土居委員〕
 土居でございます。今の椎名委員のご発言に関連するコメントということなんですけれども、経済学的に見ると、これは従価税ですね。従量税だと、量に比して課税されるということだから、取引価格というよりかは取引量ということで、税金が量に比してかかるわけですけれども、消費税の場合は従価税という、ほかの税とは違う性質を持っているということで、そういう税込価格か税抜価格かということの違いを、会計上どちらかに統一することを求められる性質があるということだとすると、あまりそんなにたくさんは従価税はありませんので、なので、該当するものは消費税ぐらい、あと関税はあるのかもしれませんが、独法が関税で関わるということもあまりないかもしれませんので、そういう意味では、例は税にまつわるところでは少ないのかなという、コメントです。

 以上です。

〔藤谷部会長〕
 ありがとうございました。

 コメントということですので、特に事務局のお答えは想定しておられないということかと存じます。

 それでは、お手が挙がっておりますので、大塚委員、そして関根委員の順にご発言をお願いします。まず、大塚委員から、よろしくお願いいたします。

〔大塚委員〕
 大塚です。今、土居先生のご発言もあったので、関連して1点だけ発言をさせていただきたいと思います。今回のまとめの中にもあったように、その検討に当たっては、税抜方式、税込方式というのは非常に大きな論点になって、私自身もかなりこだわってしまったところなんですけれども、結論について、特に異論を申し上げるつもりはありません。

 ただ、その税抜、税込のどちらかでなければならないというのは、やはり、まだ少し納得できていない部分があります。今回の議論の中で、この税抜、税込というのが、単に収益認識だけではなくて、地方公共団体の会計全体に関わるような大きな、かなり深い問題であるということも分かりましたので、今後の検討が必要かと思いますけれども、ただ、今、土居先生が会計的にどちらかでなければと言われたんですが、会計的に考えても、実は私の理解では、最終負担者である消費税と、最終負担者でない消費税は、やっぱり扱いが違っていいんだと思っています。そういう考え方を今後含めていくことができるかどうかという点も含めて、今後、この税抜、税込については継続的に検討していただきたいと考えております。これはコメントとして申し上げておきます。

〔藤谷部会長〕
 大塚委員、ありがとうございました。

 今、挙手されておりますが、関根委員、山内委員となっておりますので、まず、関根委員、山内委員のご質問、ご意見を承ってから、まとめて事務局に回答させるというふうにいたしたいと存じます。それでは、関根委員、よろしくお願いいたします。

〔関根委員〕
 ありがとうございます。私のほうから2点、確認をさせていただきたいと思います。

 1点目は、最初の椎名委員の話にも関連しますが、パブリックコメントの中の考え方について説明をしている中で、会計監査人等と相談の上ご確認くださいというような記述が何件かあります。これらにつきましては、会計監査人を務めていた経験からいいますと、どちらか明確であるのであれば明確に示していただいて、明確でないもの、基準に書くものではないのであれば、考え方等をQ&Aに書いてもらうのがよいのではないかと思います。先ほどおっしゃっていたように、個別的で、そこでだけで考えればいいという場合もあるかと思います。しかしながら、このパブリックコメントの回答だけを見ていますと、会計監査人に相談くださいとしているのが多いように感じており、そのため、椎名委員が気にされていたように判断がばらつき、またそこで議論が起きて、Q&Aに入れてほしいという声が出てくるということもあり得るのかと思っています。したがって、どのような場合にどのような回答とされているのかを一度教えていただきたいということが1つでございます。

 もう1点、消費税の税抜と税込については、いろいろと議論が出ていたものの、今回、一旦の整理をしたと理解しています。今までの議論の流れからは大丈夫だと思いますけれども、会計監査人の観点とかを考えますと、税込があっていると思われる、つまり、先ほど少しお話がありましたように、ほとんど実際に最終負担者となるような場合というのは税込にする、そうでないところは税抜にするというふうに、最終負担者かどうかで変えているということであれば、実態に合わせているとも言えるとは思いますが、基準の書き方だと、どちらでもよいというようにも読まれてしまい、継続的に使われないといったことにもなりますと、これもまた議論になると思いますので、その辺りはQ&Aでしっかり書いていただきたいと思っております。

 なお「第86 サービスの提供等による収益の会計処理」というところを改めて読んでみますと、今、言ったような考え方に至るのではないかと思いますので、こういったところを参考に、Q&Aでもしっかり整理して、また、その上で実務で議論があるのであれば、引き続き議論をするということでお願いしたいと思っております。

 以上です。

〔藤谷部会長〕
 関根委員、ありがとうございました。

 それでは、山内委員、お願いいたします。

〔山内委員〕
 私もワーキングのメンバーを務めさせていただいておりました。今回のポイントは、先ほど大塚委員や関根委員よりご発言がありましたように、ワーキングのほうでかなり議論となった消費税であると考えています。消費税につきましては、事務局のほうからご説明いただきましたように、企業会計のほうでは消費税の税込方式による会計処理は認められないとされている一方、独立行政法人のほうでは、今回、税込方式と税抜方式の選択が示されているということで、これが適用された場合、やはり、私は適正に選択されるという点が非常に重要かと思っております。

 そのため、先ほど継続的に議論されるという話もあったのですけれども、ある程度の時期を置いて、これが適正に選択されているのかどうか、つまり、税込のものがきちんと税込方式とされているのか、税抜のものが税抜方式とされているのかという、適正に選択されているかどうかという実態調査というものをしていただけるといいのではないかと思っております。これは依頼です。よろしくお願いします。

 以上です。

〔藤谷部会長〕
 山内委員、ありがとうございました。

 それでは、ただいまの大塚委員、関根委員、山内委員からのご発言、ご指摘につきまして、事務局よりお答えをお願いいたします。

〔園田公会計室長〕
 大塚委員からいただきました、税込、税抜というものは、コスト面からも、どちらかの画一的なものではなくて、そこは実態に見合った形で開示するべきという、あるべき会計上の姿というものは、我々としても検討に値するかと思いますけれども、現状においての実務慣行というところを踏まえつつ、そういった点についても検討は進めていければと思ってございます。

 関根委員からいただきました、まず、こちらの各省からの概要のほうのQ&Aで対応すべきなのか、監査法人にというところでございますけれども、今現状、先生もおっしゃったとおり、個別事案の部分については、その契約の中身に応じて変わってきますので、通則的な取扱いというのは、なかなかここで明文化しづらいところがございますけれども、当然、通則的な取扱いが必要ということであれば、Q&A対応というのは、我々としてはしていきたいと思っておりますので、若干そこの明確な判断基準というのはないんですが、こちらの例えば、No.10で授業料等収入とか、普通の授業料であれば、生徒からお金を受け取っている授業料であれば、それは今回の顧客との契約というふうにありますけれども、それ以外の等に何が含まれるかとか、そういったいろいろなものがございますので、そこら辺につきましては、実際に、その中身を見て個々に対応するというところがありますので、そういった点で、今、こういった記載としておりますけれども、当然、通則的な取扱いが必要であればQ&Aに明示していきたいと考えてございます。

 また、先ほどのもう一つ、関根委員から、消費税は双方認めるけれども、どちらでもよいというような考え方では我々もございませんので、本当に実態に即した会計処理を独立行政法人には求めるという原則的な考え方の下、我々としても、そこら辺は進めていきたいと思っております。こちらの考え方は、山内委員からいただいた実態調査というところも関係してくるかと思いますけれども、我々の整理としましては、こういった独法の実態を踏まえて、現状においては双方を認めるという整理で進めさせていただきたいと思ってございます。

〔藤谷部会長〕
 ありがとうございました。

 ただいまのお答えにつきまして、関根先生、これはもう1回挙手をしておられる、追加のコメントということでよろしゅうございますか。お願いいたします。

〔関根委員〕
 すみません。消し忘れました。

〔藤谷部会長〕
 失礼いたしました。ありがとうございます。

 それでは、冨田委員よりお手が挙がっておりますので、冨田委員にお願いいたします。

〔冨田委員〕
 ありがとうございます。私は、この消費税の問題というのは、基本的に預り金かどうかということだと思うんです。だから、企業であれば、最終消費者から消費税をもらっても、それを国庫に納付するということが当然必要なわけですので、預り金処理なので、そういう企業会計のほうでは改訂があった、基本、税抜方式だということだと思うんですね。

 ところが、独法の中の多くの依存財源は、国民からの税金であるところの運営費交付金とか補助金とか、国からの委託金なわけです。そうすると、その場合、最終負担者というのは、今日先ほど、奥次長からお話があったんですけれども、行政事務の代行を担う独法がやっぱり負担をしなければ、誰も負担しないことになるわけですね。

 だから、ここで、資料2-1の2ページに、僕はうまく整理されていると思うんです。消費税等の最終消費者となることやという説明です。それから、税抜方式についてもきちんと説明があると思うんです。それから、預り金のないようなものを、例えば賃貸などだと、そういう業務を行っている独立行政法人というか、行政事務の代行を行っている法人があるわけですけれども、そういうところは、そもそも預り金がないわけなので、この整理、税込方式を選択するというのでいいんだと私は思います。

 以上です。

〔藤谷部会長〕
 ありがとうございました。

 ただいまのはコメントということで承ったということでよろしいかと存じます。

〔冨田委員〕
 はい。

〔藤谷部会長〕
 ありがとうございました。

 それでは、ほかにご質問等はございませんでしょうか。椎名委員、挙手しておられます。どうぞよろしくお願いいたします。

〔椎名委員〕
 税込、税抜に関する基準につきましては、さんざん共同ワーキングで議論を重ねて、今回パブリックコメントのプロセスに入って、今、この段階まで来ていますので、この方向性についての異議ではないんですけれども、今の理由づけの部分、冨田先生がおっしゃられた、ここについては、例えば企業会計においても、信用金庫とか労働金庫のように、消費税が最終負担者になってしまう業種、業態があると。そのことも検討、考慮された上で、それでもなお税抜方式しかないと結論づけられたということと、それから、公会計の分野でも、国際公会計基準、IPSASでは、こういったものは収益に含めないという扱いになっておりまして、やはりワールドワイドでも、バリューアディドタックス、VATとか、GSTとかそういった形で、こういった付加価値税があって、同じように最終負担者になってしまう場合もあろうかと思いますが、それでもやはり収益に含めない扱いになっているということもございますので、先ほど、どなたかのご発言にあったと思いますけれども、今後、検証を経て、中期、長期的にまた検討していくということが必要になるのかと思っております。

 以上でございます。

〔藤谷部会長〕
 ありがとうございました。

 それでは、冨田委員、よろしくお願いいたします。

〔冨田委員〕
 今、椎名委員のご指摘の件ですけれども、私は運営費交付金自体を収益化するという概念が基本にある限りにおいて、それは成り立たないと思うんです。国民から見れば、運営費交付金というのはコストなわけです。ところが、行政を執行する、行政事務の代行を行う法人、独立行政法人から見ると、売上げだというふうにして、企業会計に従って経理しているわけですよね。そういうところに、やっぱり今回の消費税の問題のいろいろ議論の根幹があるように思うんです。

 消費税というのは一体何かといえば、最終負担者が支払うべきものなわけですよね。そういう体系になっている。そこを行政事務の代行を行う法人について、企業と同じような会計を行うということにすると、先ほどご指摘のような問題が出てくるので、私は資料2-1の2ページに整理されているように、預り金かどうかということで認識すべきだと思います。少しくどいですけれども、そのように思います。

〔藤谷部会長〕
 冨田委員、ありがとうございました。

 ここは本当に根本的な考え方がどうしてもどこまでもあるところで、最後は割り切ったというところ、椎名委員からもご紹介がございましたけれども、本当に議論は尽きないところでしょうし、だからこそ、実態調査も含め、今後も継続的に見ていくということが大事なんだろうと承った次第でございます。

 それでは、今の点でも……、佐藤委員、よろしくお願いいたします。

〔佐藤委員〕
 消費税とは関係ない点なのですが、よろしいでしょうか。パブリックコメントのNo.4の会計基準に収益認識を準拠させることによってステークホルダーに何がよいのかということで、丁寧な考え方のご説明をいただいているのですが、もし可能であれば、ここが企業会計の考え方を参考に改訂したからメリットがあるというような結びに読めなくないため、企業会計の考え方を踏まえつつも、やはり独立行政法人の特質に考慮したといったようなニュアンスを1つ入れていただいたほうが、その違いが分かるかと思いました。1点、感想でございます。

〔藤谷部会長〕
 ありがとうございます。

 今の点につきましては、事務局のほうから、一応、考え方というか、若干補足があってしかるべきかと存じますが、いかがでしょうか。

〔笈川副管理官〕
 ありがとうございます。

 No.4のところで、先生からご指摘をいただきましたけれども、独法の特質性という点については、まさにそのとおりだと思いますが、ここに入れるかどうかは、少し考えてから対応したいと思いますので、そういった方向でよろしいでしょうか。

〔佐藤委員〕
 どうもありがとうございました。

〔藤谷部会長〕
 佐藤委員、ありがとうございました。

 それでは、ほかの委員の方からご発言、ご質問等ございませんでしょうか。

 ございませんようでしたら、それでは、当該議題につきましては、当部会として了承ということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

〔藤谷部会長〕
 ありがとうございます。それでは、ご異議がないようですので、当部会では、当該議題について了承とさせていただきます。

 なお、総務省の独立行政法人評価制度委員会会計基準等部会は、9月21日に開催の予定と伺っておりますので、会計基準等部会でも了承されましたら、両部会決定ということになります。

 以上をもちまして、本日予定しておりました議題は全て終了いたしました。

 最後に、事務局から連絡事項をお伝えいたします。

〔園田公会計室長〕
 次回の部会については、また近くなりましたら事務局から日程調整のご連絡をさせていただきますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

 以上でございます。

〔藤谷部会長〕
 ありがとうございます。

 それでは、本日はこれにて終了とさせていただきます。ありがとうございました。

 

午前10時44分閉会