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財政制度等審議会 財政制度分科会
法制・公会計部会
議事録

令和3年3月23日
財政制度等審議会


財政制度等審議会 財政制度分科会 法制・公会計部会
議事次第

令和3年3月23日(火)10:00~11:37

於 財務省第3特別会議室

1.開会

 

2.議題

  • 〇 「独立行政法人に対する会計監査人の監査に係る報告書」の改訂について
  • 〇 令和元年度「連結財務書類」等について

 

3.閉会


配付資料

資料1-1
 
「独立行政法人に対する会計監査人の監査に係る報告書」
 に係る共同ワーキング・チームにおける検討結果(報告)
資料1-2 「独立行政法人に対する会計監査人の監査に係る報告書」(案)
資料1-3 「独立行政法人に対する会計監査人の監査に係る報告書」新旧対照表
  参考資料1-1  パブリックコメント及び各府省等意見照会の概要
  参考資料1-2  共同ワーキング・チーム構成員名簿
資料2  令和元年度「国の財務書類」
  参考資料2-1  令和元年度「国の財務書類」のポイント
  参考資料2-2  令和元年度「国の財務書類」の骨子
  参考資料2-3  令和元年度連結財務書類の財務諸表(4表)一覧

4.出席者

部会長
部会長代理
委員


臨時委員

黒川 行治
田近 栄治
赤井 伸郎
藤谷 武史

鵜川 正樹
大塚 成男
小林 慶一郎
佐藤 綾子
椎名 弘
土居 丈朗
冨田 俊基
長谷部 恭男
山内 暁

           青木主計局次長
           日室司計課長
           園田公会計室長
           山嵜会計制度調査官
                宮嶋課長補佐
           桑野課長補佐
                                <総務省行政管理局> 
           久山管理官
           笈川副管理官

午前10時00分開会

〔黒川部会長〕 

それでは、ただいまから、財政制度等審議会財政制度分科会法制・公会計部会を開催いたします。

皆様におかれましては、ご多用中のところ、ご出席いただきまして、ありがとうございます。

 新型コロナウイルス対策のため、本日はウェブ会議システムを活用して会議を開催させていただくことにいたしました。皆様には、大変ご不便をおかけしております。ご協力のほど、よろしくお願いいたします。また、ご参加の委員の方に音声が明瞭に伝わりますよう、できるだけパソコン等のマイクに近づいてご発言いただきますよう、お願いいたします。

 次に、当部会の所属委員の本日の出席状況、そして資料の確認を事務局からお願いいたします。

〔園田公会計室長〕

 本日は、土居先生が後ほどいらっしゃると思いますが、全員の皆様にご出席いただいております。なお、議場出席委員、ウェブ参加委員等につきましては画面上の配席図をご覧ください。

 次に、議事次第をご覧ください。配付資料につきましては、参考資料を含め2.のとおりでございまして、お手元に配付、または事前にご郵送させていただいております。

 資料の紹介は以上でございます。

 なお、本日は総務省より久山管理官と笈川副管理官に出席いただいております。

〔黒川部会長〕

 管理官、副管理官、どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 では、本日の部会の進行についてご説明いたします。

 本日の議題ですが、まず、「独立行政法人に対する会計監査人の監査に係る報告書」の改訂について事務局より説明をいただき、質疑応答を行います。続いて、令和元年度「連結財務書類」等について事務局からの説明と、それについての質疑応答を行う形で進めさせていただきます。

 では、議事に入る前に青木主計局次長からご挨拶がございます。

 青木主計局次長、どうぞよろしくお願いいたします。

〔青木主計局次長〕

 青木でございます。本日はお忙しい中、ご出席を賜りまして、誠にありがとうございます。

 先ほど黒川部会長からもご紹介がございましたが、本日はまず「独立行政法人に対する会計監査人の監査に係る報告書」の改訂につきましてご審議をいただきます。こちらは当部会と総務省の独立行政法人評価制度委員会会計基準等部会の下に設置されました共同ワーキング・チームにおきましてご検討いただき取りまとめをいただいたところでございます。黒川部会長をはじめといたしましてワーキング・チームに参加をいただいた先生方、鵜川委員、大塚委員、佐藤委員、椎名委員、山内委員にはこの場を借りて御礼を申し上げます。

 次に、一般会計・特別会計合算の「国の財務書類」については、前回部会でご報告させていただいた上で、1月末に公表をいたしました。本日は国の業務と関連する事業を行っている独立行政法人などを連結した「連結財務書類」を作成しましたので、先生方にご報告をいたします。

 法制・公会計部会の先生方には引き続きご指導をお願い申し上げて挨拶に代えさせていただきます。どうもありがとうございました。

〔黒川部会長〕

 ありがとうございました。

 それでは、青木さん、どうぞ国会のほうに。

〔青木主計局次長〕

 すみません。失礼します。

〔黒川部会長〕

 頑張ってきてください。お疲れさまです。

 では、議題の「独立行政法人に対する会計監査人の監査に係る報告書」の改訂について、事務局からご説明をしていただきます。

 室長、よろしくお願いします。

〔園田公会計室長〕

 それでは、「独立行政法人に対する会計監査人の監査に係る報告書」の改訂につきまして、資料1-1、共同ワーキング・チームにおける検討結果(報告)でご説明させていただきます。

 まず1.背景等でございます。令和2年11月6日に企業会計審議会より「監査基準の改訂に関する意見書」が公表されまして、企業会計の監査基準が改訂されたところでございます。

 具体的には、①監査した財務諸表を含む開示書類のうち当該財務諸表と監査報告書とを除いた部分の記載内容(以下、「その他の記載内容」という。)につきまして、監査人の手続を明確にするとともに、監査報告書に必要な記載を求める。また、②近年の公認会計士・監査審査会(金融庁)の検査結果におきまして、重要な虚偽表示のリスクの評価に係る手続や特別な検討を必要とするリスクに対応する手続が適切に実施されていないとの指摘がなされている点、国際的な監査基準との整合性を確保する点などを踏まえまして、リスク・アプローチの強化を図るといった内容となってございます。

 これらを踏まえまして、現行の「独立行政法人に対する会計監査人の監査に係る報告書」(以下「独立行政法人の監査基準」という。)につきまして、改訂の要否及び改訂が必要とされる内容を検討した結果を、改訂案としてご報告するものでございます。

 2の改訂案の内容でございます。企業会計の監査基準の改訂を踏まえまして、「その他の記載内容」及びリスク・アプローチの強化について修正を行ったところでございます。

 まず①「その他の記載内容」についてでございますが、1つ目のポツで、監査報告書において記載すべき事項を明確にすることにより、会計監査人の「その他の記載内容」に係る役割をより一層明確化する。また、2つ目のポツで、会計監査人の「その他の記載内容」に対する手続として、「その他の記載内容」を通読し、「その他の記載内容」と財務諸表等または会計監査人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうかについて検討することを明確化してございます。

 続きまして、②のリスク・アプローチの強化についてでございます。

 まず1つ目のポツでございますが、会計監査人は、財務諸表等項目レベルにおいて、重要な虚偽表示のリスクのより適切な評価のため、固有リスクと統制リスクを分けて評価することとした。また、2つ目のポツでございますが、さらに特別な検討を必要とするリスクについては、固有リスクの評価を踏まえた定義とした。3つ目のポツでございますが、会計上の見積りについて、リスクに対応する監査手続として原則、独立行政法人の長が採用した手法並びにそれに用いられた仮定及びデータを評価する手続が必要である点を明確化したところでございます。

 最後に③その他でございますが、こちらは会計監査人が監査の過程で識別した内部統制の重要な不備を報告する方法につきまして、書面に限定していたものを書面以外の方法でも可能とするなど、今回の改訂と併せて一部表現を修正してございます。

 これらの適用時期でございますが、「その他の記載内容」につきましては令和4年3月決算に係る監査から実施、リスク・アプローチの強化につきましては令和5年3月決算に係る監査から実施、それ以外につきましては令和3年3月決算に係る監査から実施することを予定してございます。

 事務局からの説明は以上になります。

〔黒川部会長〕

 ありがとうございました。

 では、ただいまの事務局からの説明についてご意見、ご質問等ございましたら、ご発言をお願いいたします。ウェブ会議システムを通じてご参加いただいている皆様方は、ご意見等がある場合はウェブ会議システムの「挙手する」ボタンのクリックをお願いいたします。システムの運営の便宜上、まず議場に出席されている委員を先に指名させていただきます。いかがでしょうか。「挙手する」ボタンは今のところないでしょうか。ウェブ会議システムを通じて出席されている委員、いかがでしょうか。赤井先生、よろしくお願いします。

〔赤井委員〕

 赤井ですけれども。

〔黒川部会長〕

 赤井先生、よろしくお願いします。

〔赤井委員〕

 大して私も専門家ではないので確認なんですけれども、企業会計でこういうような視点が新たに重要だということになって、それに併せるような形での改訂という、全体で理解しているんですけれども、企業会計とは少し違った形で企業会計の方向性を編集して入れたというような側面があれば、その辺りを教えていただいて。ほぼ企業会計と同じことを入れたという部分と、企業会計を少し工夫して新たな視点として入れたという部分があると思うんですけれども、そういうようなところも少し教えていただいてもいいでしょうか。素人質問なので、この質問が適正かどうか分からないです。

〔黒川部会長〕

 それでは、今日は笈川さんがいらしていますので、担当の笈川さんからご説明いただきます。

〔笈川副管理官〕

 それでは回答させていただきます。私、総務省の笈川と申します。よろしくお願いいたします。

〔赤井委員〕

 ありがとうございます。

〔笈川副管理官〕

 企業会計と同じように入れたのか、あるいは工夫して入れたのかというところのご質問かと思いますけれども、今回「その他の記載内容」とリスク・アプローチ、2点ございまして、いずれも基本的には企業会計と同じような形で改訂をしております。細かいところは違いまして、というのも、例えば「その他の記載内容」であれば、企業会計における「その他の記載内容」と独法における「その他の記載内容」というのは場所が違いますので、その辺りを少し明確化したというところが違いますけれども、基本的な考え方は同様でございます。

 私からは以上になります。

〔黒川部会長〕

 赤井先生、いかがでしょうか。

〔赤井委員〕

 大丈夫です。ありがとうございます。

〔黒川部会長〕

 ご質問ありがとうございます。

 ほかに。小林先生、どうぞよろしくお願いします。

〔小林委員〕

 では簡単に。固有リスクというのは、企業の場合は売上げをごまかすというか、そういうことが何となく簡単に想像できるんですけれども、独立行政法人の場合、具体的にどういうようなリスクというのが想定されるのかというのを、例示で構わないので幾つか教えていただけると分かりやすいんじゃないかと思います。よろしくお願いします。

〔黒川部会長〕

 室長から。

〔園田公会計室長〕
 固有リスクですけれども、基本的には内部統制がない場合にどれだけ発生する可能性が高いかというところのリスクでございますけれども、当然、業種規模、環境によってリスクの内容というのは変わってくるものかと思っております。一般的には、先生がおっしゃったように売上げとか、あと特に見積り項目、資産の評価であったり引当金とか、そういったところが一般的には固有リスクが高い、そこの部分については独立行政法人も基本的には同じであろうと思っております。ただ、独立行政法人の場合は、企業に比べてある程度の統制や、売上げとかの部分についてのリスクは低いのかなとは思っております。独法によっていろいろなリスクは変わりますけれども、研究法人とかであれば、どちらかというと、予算執行とか、そういったところについてのリスクがもしかしたら高いかもしれませんが、いずれにしても、会計監査人の判断によるものと思っております。

〔小林委員〕

 ありがとうございました。

〔黒川部会長〕

 笈川さんのほうで補足があれば。

〔笈川副管理官〕

 大丈夫です。

〔黒川部会長〕

 大丈夫ですか。あるいは委員の中で実際に独立行政法人の監査をされている、あるいはされた経験のある委員はいらっしゃいますか、今回。いないかな。椎名さんはどうだろう。

〔椎名委員〕

 椎名でございます。

〔黒川部会長〕

 おはようございます。

〔椎名委員〕

 おはようございます。

〔黒川部会長〕

 すいません、今の小林委員のご質問なのですが、公認会計士の現役の椎名先生から、固有リスクはどういうものかというのを、今、園田さんからも説明があったのですけれども、企業会計の場合はこういう固有リスクであり、独立行政法人あるいは公的な機関とか非営利、そういうような組織においての固有リスクというのが企業会計と同じなのか、あるいは特別に何か別にあるのか、こんなところを小林委員がお知りになりたいところだと思うので、もし椎名委員のほうで、今までのご経験から照らして、何かご回答あるいはご知見があればお話しいただけますでしょうか。

〔椎名委員〕

 私自身は独立行政法人の監査の実務に携わったことはないんですけれども、固有リスクの理解としては、今もしかしたらご説明があったかもしれませんけれども、内部統制がなかったというふうに仮定した場合に重要な虚偽表示が生じるリスクということでございまして、勘定科目の性格ですね。例えば分かりやすい例で言いますと、現金・預金とかというのは着服とか横領、そういったようなリスクが総体的に高いとか、あと民間企業の例で言えば、売上高というのも粉飾のときに最も使用される勘定科目であるというようなことで固有リスクが高いというふうに理解されるのかなと思っています。独立行政法人等の場合は、ちょっと民間企業と違って業績を他と競うとか市場のプレッシャーとか、そういったようなお話は違うかなというふうに思いますので、今言った売上高の例とかというのは、独立行政法人の場合には当てはまらないかなというふうには思いますけれども、現金の例なんかはどのような組織体でも当てはまる固有リスクの高い勘定科目かなというふうに理解しております。

 こんな形でよろしいでしょうか。

〔黒川部会長〕

 非常に分かりました。小林委員、いかがでしょうか、今の椎名委員からのご説明で。

〔小林委員〕

 はい、分かりました。どうもありがとうございました。

〔黒川部会長〕

 それでは次、土居委員、どうぞ。

〔土居委員〕

 今の固有リスクの点ですけれども、本当は事前説明で事務局と話をしたときには申し上げて、あまりこんな品のない話はしないほうがいいのかなと思いながら、今の話が、もう少しリアリティーを持って考えられる独立行政法人が幾つかあると思うんですが、さっき室長おっしゃったように、研究開発法人はそのとおりだし、あとはJOGMECですね。鉱物資源を扱っていて、しかも海外の案件をしばしば扱っていて、埋蔵量がどれぐらいあるのかとか、そういうようなものについては、もちろん現地の鉱山とかの運営者が一番よく知っているということなんだろうけれども、それをどれだけ正確に把握できるかということがJOGMECとかには問われていて、だけれども、JOGMECとしては、1回投資した案件をなかなか撤退するという決断は、できればやりたくないというインセンティブがありながら、でも、正直に報告しなければいけないということなんだけれども、果たしてそこが本当にそういうことになるのかどうかというところは、例えばということですけれども、そんなに多くの独立行政法人で似たような例があるわけではありませんが、典型的な例じゃないかと私は思っているのは、その点を申し上げたいと思います。

〔黒川部会長〕

 ありがとうございました。全く同感です。昔の石油開発、あのときも投資勘定の評価が大変だったわけです。今、土居委員、ご説明、的確な一つ例を挙げていただきました。ありがとうございました。

 ほかに何かご質問、ご意見等ございますでしょうか。

 それでは、ほかにご質問等がないようですので、当該議題については当部会として了承ということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

〔黒川部会長〕

 異議なしということで、ありがとうございました。

 異議がないようですので、当部会では当該議題について了承とさせていただきます。

 なお、総務省の独立行政法人評価制度委員会会計基準等部会は3月26日に持ち回り開催の予定と伺っておりますので、会計基準等部会でも了承されましたら両部会決定ということになります。

 ここで総務省からの出席者は退席されます。どうもありがとうございました。お疲れさまでした。

 久山さん、どうもありがとうございました。

(総務省 退席)

〔黒川部会長〕

 それでは、次の議題の令和元年度「連結財務書類」等について事務局からご説明をいただきます。

 園田室長、よろしくお願いします。

〔園田公会計室長〕

 それでは、令和元年度の連結財務書類について、参考資料2-1、令和元年度「国の財務書類」のポイントでご説明させていただきます。

 27ページをご覧いただけますでしょうか。連結財務書類について。連結財務書類は、国(一般会計・特別会計)と、国の業務と関連する事務・事業を行っている独立行政法人などの財務状況を一体的に分かりやすく開示する観点から「国の財務書類(一般会計、特別会計)の参考情報として作成しているものでございます。

 連結対象法人の範囲についてでございますけれども、連結対象法人を、「国が監督権限を有し、国から財政支出を受けている法人」とし、監督権限の有無及び財政支出の有無によって連結対象法人の判断をすることとしております。

 令和元年度の連結対象法人は202法人となっておりまして、資産、負債額や業務費用の規模が大きい連結対象法人には、日本郵政株式会社、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、日本高速道路保有・債務返済機構、住宅金融支援機構などがございます。

 なお、日本銀行については、国の監督権限が限定されていること、政府出資額は僅少であり、補助金等も一切支出していないことから、連結対象ではございません。

 また、このページにおきまして、連結財務書類作成に当たっての会計処理を簡単にご説明させていただいているところでございます。

 28ページのほうをご覧ください。令和元年度連結財務書類の概要についてでございます。連結貸借対照表でございますが、元年度末の資産合計は1,022.9兆円、対前年度末比で10.0兆円の増加、負債合計は1,545.9兆円、対前年度末比で28.5兆円増加となってございます。資産・負債差額はマイナスの523.0兆円、対前年度末比で18.5兆円の悪化というふうになってございます。

 左下の連結業務費用計算書でございますが、令和元年度は169.7兆円、対前年度比で1.3兆円の増、右側の連結資産・負債差額増減計算書でございますが、財源合計が144.8兆円、対前年度比でマイナス13.0兆円、財源から業務費用を差し引いた結果、超過費用がマイナスの25.0兆円、対前年度比で14.3兆円の悪化となっております。この結果、資産・負債差額がマイナスの523.0兆円となってございます。

 29ページをご覧ください。連結財務書類と国の財務書類(一般会計・特別会計)の比較についてでございます。当該ページで強調すべき内容を冒頭に記載させていただいておりますが、連結により、資産が341.6兆円、負債が272.8兆円増加し、その結果、資産・負債差額はマイナスの幅が68.8兆円小さくなっておりますが、資産・負債額がマイナスの状況は変わらないという状況にございます。

 なお、こちらのページに記載しております3表においては、左から国の財務書類の計数、差額を記載しておりまして、この差額の大きい項目につきまして、30ページのほうでご説明させていただいてございます。

 30ページをご覧いただけますでしょうか。まず資産の部でございますが、現金・預金が連結により81.0兆円増加いたします。こちらは連結対象法人である日本郵政の保有する現金・預金53.0兆円が加わることなどによるものでございます。

 有価証券でございますが、こちらは連結により272.3兆円増加いたします。こちらの主たる要因でございますが、2つございまして、まずGPIFが保有する売買目的有価証券が時価により149.7兆円計上されることによるものでございます。これは国の財務書類の資産に計上している運用寄託金が連結財務書類においては有価証券として計上されるものでございます。また、日本郵政が保有する有価証券200.2兆円のうち、国及び他の連結対象法人が発行した公債、独法等債券などが相殺された後の102.6兆円、これは連結対象外の主体が発行した外国証券、地方債、社債などでございますが、これらが有価証券として計上されることによるものでございます。

 続きまして貸付金でございますが、連結により45.0兆円増加いたします。これは連結対象法人の貸付金が116.3兆円加わる一方で、国から連結対象法人への貸付金(主に財政融資資金貸付金)などの71.4兆円を相殺消去したことによるものでございます。

 続きまして有形固定資産でございますが、こちらは連結により88.4兆円増加いたします。こちらは連結対象法人の保有する土地、建物、高速道路などが加わることによるものでございます。

 出資金でございますが、これは連結により58.1兆円減少いたします。国の財務書類に計上されている出資金76.3兆円のうち、連結対象法人への出資金59.7兆円ございます。したがいまして、連結財務書類の出資金には、国及び連結対象法人から連結対象外の法人への出資金18.2兆円が計上されることになります。

 負債の部でございますが、公債が連結により99.7兆円減少いたします。これは国の財務書類の負債に計上されている公債残高998.8兆円のうち、日本郵政などの連結対象法人が資産として保有している公債残高99.7兆円が相殺されることによるものでございます。

 また、郵便貯金、責任準備金が連結により181.4兆円、82.1兆円それぞれ増加いたします。これはゆうちょ銀行の負債である郵便貯金勘定、かんぽ生命保険の保険業法の規定に基づく準備金勘定が加わることによるものでございます。

 資産・負債差額でございますが、連結により68.8兆円増加いたします。こちらはGPIFや日本郵政株式の純資産が加算されることや、連結対象法人が国からの運営費交付金や補助金を財源とし資産を取得していることなどから、国の財務書類の資産・負債差額に比べてマイナスの幅が小さくなっております。

 連結業務費用計算書でございますが、保険金等支払金は連結により6.4兆円計上されます。これは、かんぽ生命保険から支払金が大部分を占めております。

 なお、かんぽ生命保険の経常収益のうち、保険料3.2兆円、責任準備金戻入益2.8兆円などは連結資産・負債差額増減計算書の財源のその他に含まれております。

 補助金・交付金等は、連結により17.0兆円減少いたします。これは国の財務書類の補助金・交付金等に計上されている保険料等交付金10.6兆円や運営費交付金3.4兆円等は、連結対象法人である全国健康保険協会や独立行政法人との収益などと相殺されます。

 なお、これらの収益に対応する連結対象法人の事業費用は、主にその他の業務費用に含まれることになります。

 支払利息でございますが、連結により0.1兆円減少いたします。これは主に負債の部において、国の財務書類における公債998.8兆円のうち99.7兆が相殺され、公債残高が減少することによるものでございます。

 その他の業務費用は、連結により22.2兆円増加いたします。これは先ほど補助金・交付金等のところでご説明した全国健康保険協会の主な事業費用(保険給付費6.4兆円、拠出金等3.6兆円、介護納付金1.1兆円)が計上されることなどによるものでございます。

 31ページのほうをご覧ください。ストックの状況についてご説明いたします。

 まず現金・預金でございますが、国の財務書類の現金・預金が5.2兆円減少した一方、ゆうちょ銀行が資産として保有している国債などの債券の償還等により日本郵政の現金・預金が1.3兆円増加、財政融資資金1.6兆円の借入れ等により、日本高速道路保有・債務返済機構の現金・預金が1.2兆円増加したことなどによりまして、全体として0.5兆円減の127.2兆円となってございます。

 有価証券でございますが、こちらは、まず国が保有する外貨証券につきましては、全体として7.3兆円増の124.6兆円となりました。一方で、GPIFが保有する運用資産、売買目的有価証券でございますが、令和元年度はGPIFの運用収益率がマイナス5.20%と4年ぶりにマイナスに転じたことなどにより、GPIFの運用資産は8.6兆円減の149.7兆円となりました。

 また、日本郵政が保有する外国証券・地方債などの有価証券が2.7兆円増加いたしました。これらの要因により、全体で有価証券は1.6兆円増加の398.8兆円となってございます。

 32ページのほうをご覧いただけますでしょうか。負債についてでございます。

 まず公債でございますが、国の財務書類の公債残高は平成30年度末から12.7兆円増加し998.8兆円になりました。一方で、日本郵政など連結対象法人が保有する公債残高は105.6兆円から99.7兆円に5.9兆円減少いたしました。そのため、相殺後の連結財務書類の公債残高は18.6兆円増の899.2兆円となってございます。

 責任準備金でございますが、かんぽ生命保険における準備金が契約件数の減少に伴い2.9兆円減収したことなどから、全体として2.4兆円減の91.7兆円となってございます。

 これらの結果としまして、資産・負債差額でございますが、前年度末マイナス504.5兆円から18.5兆円悪化のマイナス523.0兆円となっております。こちらは①のほうのGPIFにおける資産運用損8.3兆円が発生したことなどにより超過費用が25.0兆円となったこと、②時価評価に伴う評価増等が生じ資産評価差額が3.2兆円生じたことなどに起因するものでございます。

 33ページをご覧ください。フローの状況でございます。

 保険金等支払金でございますが、対前年度比の0.6兆円減の6.4兆円となっております。これは保険金等支払金の大部分を占めているかんぽ生命保険において、満期保険金等の減少により0.7兆円減の6.2兆円となったことが主要因でございます。

 補助金・交付金等でございますが、1.7兆円増の36.9兆円となっております。この要因は、基本的に国における補助金・交付金等の増加要因と同じでございます。

 「その他」のうち、全国健康保険協会の主な事業費用でございますが、0.5兆円増の11.1兆円となっております。これは保険給付費の増加等により0.5兆円増となっております。

 なお、この財源は国からの保険料等交付金10.6兆円等により賄われております。

 34ページをご覧ください。財源でございますが、租税等収入、社会保険料につきましては、基本的に国における租税等収入、社会保険料の増減要因と同じでございます。

 その他についてでございますが、これはGPIFの資産運用損益が平成30年度2.4兆円でありましたが、令和元年度マイナス8.3兆円へと10.7兆円減少したことにより全体として11.6兆円減の28.0兆円となってございます。

 下のほうに記載しております超過費用と公債発行でございますが、超過費用は14.3兆円増加しており、その主な要因はGPIFの資産運用損益が10.7兆円減少したことによるものですが、当該損益に関わらず公債の発行等により必要な財源を確保しているということには変わらない状況でございます。

 35ページをご覧いただけますでしょうか。ストックの状況でございますが、平成21年度以降で見ると、平成21年度末から令和元年度末に資産は244.9兆円、負債は410.4兆円それぞれ増加しており、その結果、資産・負債差額は165.5兆円の悪化となってございます。

 36ページのほうですが、フローの状況になります。各年度の超過費用は財源の一部であるGPIFの資産運用損益に大きく影響されてございますが、これを除けば、平成24年度以降は減少傾向にありますが、1年間の業務費用を財源で賄い切れない状況が継続しているという状況にございます。

 事務局からの説明は以上になります。

〔黒川部会長〕

 ありがとうございました。

 では、ただいまの事務局からの説明についてご意見、ご質問等ございましたら、ご発言をお願いいたします。ご発言を希望される委員を順番に指名させていただきますので、委員の皆様方は、ご意見等がある場合はウェブ会議システムの「挙手する」ボタンのクリックをお願いします。システムの運用の便宜上、まず議場に出席されている委員を先に指名させていただきます。

 では、本日は3名の委員がご出席です。何かご質問、ご意見等ございましたら、どうぞ。

 それでは、議場のほうの委員には保留ということで、ウェブ参加者の委員でどなたか。藤谷委員と山内委員から手が挙がっております。

 では、藤谷先生、まずお願いいたします。

〔藤谷委員〕

 ご説明ありがとうございました。今、ちょうど画面に共有されているページが、都合がいいのですけれども、こちらを拝見しておりまして、このグラフから、そこに書かれておりますGPIFの資産運用損益を除けば超過費用というのは、減少傾向にあるということはこのグラフだけからは読み取れないという理解でよろしかったでしょうか。それが確認です。

 質問の趣旨はこちらになりますけれども、財務書類としては、当然、キャピタルゲインは含めて、資産運用益というのを含めて全体としての費用、財源というのをカウントしてく、これは全く正しいのですけれども、ただ、ここで、まさに上の囲みにありますとおり、この書類を通じて国民に伝えたいメッセージというのは、まさに業務費用というのは財源で賄い切れていないということなんだろうと思います。そうしますと、財務書類として正しい内容というのと、国民に向けてのプレゼンテーションの内容というのには、もう一段、ご検討いただく余地があるんではないかなということを今、このページを拝見しながら感じたという次第です。

 以上でございます。ありがとうございます。

〔黒川部会長〕

 室長、どうぞ。

〔園田公会計室長〕

 まず1つ目のご質問いただいたところで、これでGPIFを除いた超過費用というのは見えない状況でありますけれども、逆に言えば、そこの代替的な推移というものを、このGPIFの運用損益が上振れするときには超過費用は小さくなったりとか、いわゆるこの財源の動きとGPIFの損益の動きが基本的に連動しているというところをご覧いただいて、今の会計の枠組みでは見えない部分を、こういうパンフレットで見せようという工夫を現時点においてはしているところでございます。おっしゃるとおり、GPIFの運用損益が果たして連結財務書類のフローのところで何かメッセージがあるかというと、あくまでもGPIFのキャピタルゲインのところは将来の年金給付財源でありますので、それが現時点の財政云々というところとはちょっと別世界の話でもあろうかと思います。今の現時点の工夫に何かしらまた追加すべき工夫があれば、引き続き検討していきたいなというふうに思っております。

〔黒川部会長〕

 部会長のほうから発言するのも何なんですが、今日配付している12ページを開けて、見られますか。連結ではないほうの結果が出ているのです。これを見ると、GPIFは連結対象ではない。連結しなければここの評価損益は、ここには入ってこない。そうすると、そこの12ページを見ると、しっかりと、しっかりとっていうのでしょうか、超過費用がずっと存在していることが分かる。連結のほうを見ると、GPIF、どこの企業もいまや有価証券の評価損益の影響が大きいですね、利益に対する。これは企業会計上も、みんなそれが問題にはなっているのですけれども、それが連結になると、このように違いが出てくるというのがよく分かる。だから今回は、連結だけ説明がありましたけれども、取りあえずこのパンフレットは、連結しないものも全部含めた上での連結の結果ということで、より特徴が出てくる。先生がおっしゃったように、ここの文章については、また来年、連結は個別と違うと、そういうところをもし工夫ができるようであれば検討していただきましょう。

 それでよろしいですか。

〔藤谷委員〕

 大変よく分かりました。ありがとうございます。

〔黒川部会長〕

 それでは次に、順番で山内委員、どうぞ。

〔山内委員〕

 これは確認ということですけれども、個別のほうにつきましては、参考資料2-1の2ページ、最初の箇所と注の箇所で、新型コロナが及ぼす影響に関係する事項を記載していただいております。一方で、連結につきましては、特にそのような記載は見当たらないようです。連結のほうでは、個別ほど新型コロナが及ぼす影響はないという理解で、よろしいでしょうか。

 また、個別と連結の関係ですけれども、個別が主で連結は従ということですので、新型コロナの影響があったとしても、それは個別からのものであるため、個別のほうを確認してもらいたいという理解で、よろしいでしょうか。よろしくお願いします。

〔黒川部会長〕

 それでは、園田室長。

〔園田公会計室長〕

 今、先生からいただいた、まず新型コロナの影響、これは2ページに記載させていただいているところでございますけれども、ここで書いた内容というものは、令和2年度においては新型コロナウイルス感染症対策に係る補正予算が編成されているというところで、令和元年度というのは、いわゆる財政に対する影響というのは非常に少ない状況で、実際に補正予算が措置されたのでは令和2年度からだというところで、まだ影響が少ないというメッセージで、こういう形で注書きをさせていただいたところでございます。

 そういった意味では、この連結を含めたパンフレットを一体で見ていただくという形で、冒頭にまずそういったメッセージを入れさせていただいております。

 ただ、連結でどういう影響があったかというところにおいては、今回、このGPIFの運用損が非常に大きくなった、株価が一時的に下落したというのは、コロナと直接的な話ではないかもしれませんが、非常に一時的に下落したというのが、今は回復しておりますので、明示的には記載しておりませんけれども、そういったところは、これまでの動きの中で見えてくるのかなというふうに思っております。

〔黒川部会長〕

 そうですね。

〔山内委員〕

 ありがとうございました。

〔黒川部会長〕

 それでは次に、椎名委員、どうぞ。

〔椎名委員〕

 ありがとうございます。

 私からは2点ございまして、1点目は英訳というお話でございまして、これは非常に充実した分かりやすい資料が幾つもあるわけでございますが、納税者を考えましても、必ずしも日本語の分かる方ばかりとは限らないということで、在留外国人の数も相当な数になっているということもありますので、英訳をしてウェブサイトに掲載し公表してはどうかというふうに思います。ただ、いきなり最初から全部ということですと非常に大変なので、今回の資料の中でも、参考資料2-3の4表一覧、これは連結のものですけれども、前回の1月の資料でも個別のほうの財務書類の4表一覧も関わっていただきましたが、4表一覧ぐらいからスタート、着手をするのが手頃かなということを思っております。

 ちなみに英語圏以外の国で、例えば韓国とかスイス、そういったところで資料は見つけておりますけれども、ドイツ、フランス、イタリア、そういう辺りは、私はちょっと見つけられていないんですけれども、我が国として英語での開示ということもすると、その点に関して先進的な取組になるんじゃないかなというふうにも思っております。

 それから2点目は、今回の資料ではなくて1月の資料の話で恐縮なんですけれども、連結の資料も兼ねているということで申し述べさせていただきますと、国の財務書類ガイドブックというのがありまして、そのコラム、前回の参考資料の2-3の16ページに「諸外国におけるインフラ資産の取扱い」というコラムがございまして、アメリカ、イギリス、韓国の状況が紹介されていて、諸外国においてはそれぞれと異なる取扱いがなされていますというふうに書かれています。私は、これはすばらしい取組だなというふうに思いますので、ぜひこのようなコラムをもう少し増やして、インフラ資産以外の重要な国際比較上の論点も追加してはどうかなというふうに思っております。そのためのリサーチなどにつきましては、日本公認会計士協会もお手伝いをさせていただければというふうに思います。

 以上でございます。

〔黒川部会長〕

 ありがとうございます。

 室長、今のはご意見だったと思いますけれども、今答えられる部分があればお答えください。

〔園田公会計室長〕

 まずできるところからというところで、4表そのものの部分、例えば科目のみの変更で対応できるようなものについては、比較的対応しやすいものかと思ってございます。

 また、ガイドブックにつきましては、先生や、会計士協会様もいろいろな情報をお持ちであろうかと思っておりますので、我々としても協力いただきながら検討をさせていただければというふうには思っております。

〔黒川部会長〕

 椎名先生、貴重なご意見、またご提案ありがとうございました。

 それでは次に、冨田委員、お待たせいたしました。どうぞ、ご発言をお願いします。

〔冨田委員〕

 お願いします。2つあって、1つは費用のところで33、34ページなんですけれども、費用のところについて、全国健康保険協会が、その他の中に保険給付費とか、いろいろな項目が出てくるんですけれども、昔の話で恐縮なんだけれども、これは政管健保であり協会けんぽなわけですよね。そうすると、国民の認識の仕方としては、社会保障給付と密接に関わっているという認識はあります。この33ページの図ですと、社会保障給付の下にかんぽ生命が出てきますよね。これは、なぜ社会保障給付の下が保険金等支払金という順番になっているのか、何かそういう取決めがあるのかどうか。実態的な意味を考えると、全国健康保険協会の事業費用は11兆1,000と大きくて、上のほうに持っていったほうが分かりやすいんじゃないかなというのが1つです。その他の中に入れるにしても大きいし、社会保障という関係から考えたって、つまり実態的な意味からも、上のほうに、社会保障給付の下に持っていったほうが分かりやすいんじゃないかということです。

 それからもう一つは、これは前回も確かお聞きしたんですけれども、連結で見ても、28ページですが、有形固定資産の増加が4兆6,000というふうに、ほかのものに比べて非常に大きいんです。これはなぜかということの説明について、ご説明いただきたいということが1点です。

 以上、すみません。よろしくお願いいたします。

〔黒川部会長〕

 ありがとうございました。2つありました。1つ目は、いわゆる協会けんぽの費目の場所ですけれども、何か。室長がなければ、個人的に対応しましょうか。

 個人的なのですけれども、確かに冨田先生のおっしゃるように、ここのところ、その他に入っている。仮にこれを上の保険金等支払金のほうに持っていくということは、技術的には可能だと思うのです。これは検討していただこうと思うのですが、そうなりますと、今度、34ページの財源のその他のところに全国健康保険協会があるんですね。もし費用のほうを上に持っていくとすると、こっちは収入のほうなので、上のほうの社会保険料のところにこっちも連動して持っていくと、そういうことですよね。これを合わせて科目の位置、費用と収益の科目の、どこの中項目ぐらいのところに持っていくかというようなご提案だということでいいですよね。

〔冨田委員〕

 はい。

〔黒川部会長〕

 今回はもう無理なんですけれども、検討してみましょうということぐらいでよろしいですか。両方、科目の位置を。

〔冨田委員〕

 検討をお願いします。

〔黒川部会長〕

 では、そういうことで、もう一つ、有形固定資産が増えた中身なのですけれども、これはすぐ分かりますか。

 室長、どうぞ。

〔園田公会計室長〕

 1つは、2ページ、今回、実は連結のほうでの増減要因というよりも国のほうの増減、国の増減要因は結局、連結のほうの増減要因と同じになってはおるんですが、そういう意味で、2ページの3.のところで「国有財産の価格改定や道路整備等による公共財産の増加等により」という、ここの特色のところで有形固定資産は説明しておるんですが、恐らくここだけではなかなか分からないというところのご趣旨だと思っております。今回、固定資産の増減要因の中で一番大きいものは、物品でございます。物品の増加がございます。ここは防衛物品の価格が、今回、今まで防衛物品というのは総合償却法でやっておるんですけれども、今回見直し、精緻化したというのがございます。それによって防衛物品の残高が非常に増えたと。これは精緻化による特殊要因でありますので、国全体の財政云々ではちょっと記載しづらいところがございましたので、そういったところによる増加というのは、実はかなり大きいところでございます。

 もう一つが、それ以外にも国有財産の価格改定であったり、耐用年数が今回延長したことによって減価償却がちょっと減ったとか、そういった要因がもろもろに含まれておりますので、4.3兆円の中で一番大きい要因としましては、国有財産の価格改定と防衛物品の価格評価を精緻化したことによる増加というものが大きいのかなというところでございます。

 山嵜さん、何か補足するのは。

〔山嵜会計制度調査官〕

 大丈夫です。

〔黒川部会長〕

 冨田先生、今のご説明で大体よろしいでしょうか。

〔冨田委員〕

 多分テクニカルにはそういうことだとしても、それが例えば防衛品のライフサイクルコストに実態としてどういう影響があるんだとか、あるいは中期防衛計画との関係ではどうかとか、これだけ大きな変更であれば、当然いろいろな注目を浴びるはずだと思うんですよね、今申したような観点から。そういうものに影響があるやなしやということについてお聞きしたい。

〔園田公会計室長〕

 実態を正確に反映するという今回の価格改定ですので、そこに変更というのはないのかなというふうに認識しております。

〔冨田委員〕

 だけど、実態をよく反映するように直したら、当然、実態のほうに、これからの計画に影響を与えますよ。そういうことはないんですか。

〔園田公会計室長〕

 実態というのは、実態に合わせて算定方法を見直したという話でございますので、実態が変わったというよりも、実態に合うような算定方法に見直したというところでございます。

〔黒川部会長〕

 会計上の実態は変わったのかもしれませんけれども、哲学論争になりそうですけれども、同じものをどういうふうに会計上、測定するかという方法が、今の説明だと総合償却か個別償却という。

〔園田公会計室長〕

 総合償却の精度を上げたということでございます。

〔黒川部会長〕

 だから、より会計上の測定は精緻化されたという。

〔園田公会計室長〕

 そうです。

〔黒川部会長〕

 物自体が減ったとか増えたとかいう話ではない。

〔冨田委員〕

 もちろんそうですけれども、それがよくある……。

〔黒川部会長〕

 先生がおっしゃったのは、予算との関係ですかね。

〔冨田委員〕

 予算に影響し得るわけですよね、これだけ大きな変化であれば。そういうことについての議論はなされたかどうかということです。

〔黒川部会長〕

 それは購入計画とか、そういうものですか。

〔冨田委員〕

 つまり、単に会計で状況だけこういうふうにしましたよという話では困るわけですよね。より現実を表すような評価方法を採用しましたということであれば、当然それは具体的な、政策的な判断に影響を与えてしかるべきだと思うんですけれども、そういうことを全く関係なしに、会計の仕方を変えただけだというご説明のように聞こえてしまったんですけれども、それはいかがでしょうか。

〔園田公会計室長〕

 そういう意味では、物品の管理につきましては、償却前の残高で物品管理はされております。この財務諸表をつくるときのみ、減価償却を加味した物品残高が出てくるようになっております。そういった意味では、まだここの部分が、その物品の管理のほうに直接影響を与えるような話にはなっていないのかなというふうに感じております。

〔冨田委員〕

 ただ、ライフサイクルコストの議論は非常に大事になってきている段階において、当然そのライフサイクルコストをより正確に計測しようということで計測方法を変えられているように理解するんですけれども、そうだとしたら、そういう議論があってしかるべきですよね。

〔園田公会計室長〕

 そこまでに至っていないという状況だとは思います。

〔冨田委員〕

 私、いつもこの場で申し上げている、目的は何なのかと。単に会計の書類をつくるためだけにやっているのか、あるいは実際により現実をきちんと見るためにやって、それが様々な計画に反映されることを当然目指しているんだろうなと私は思っているんだけれども、そういうふうになっていないような気がしたんですけれども、どうなんでしょう。一番大事なことだと僕は思います。

〔園田公会計室長〕

 先生おっしゃったように、そういうふうになる方向性が望ましいと思いますけれども、現時点においては、そこに至ってないというところだとは思っております。

〔黒川部会長〕

 冨田先生、今、事務局のほうから聞いたところなのですが、具体的には、事実かどうかは分からないのですけれども、今のところ事務局のほうが認識しているものだとすれば、例えば護衛艦に積んでいる速射砲とかミサイルの発射台とか、こういうのが固定資産になると。こういうようなものについて、ミサイル発射台とかたくさんありますから、一つ一つ償却するというのは個別法なのですけれども、そこまではしていないらしい。そこで、同じようなものをグルーピングして償却するというのが総合償却というやり方であり、これは企業会計でも総合償却というやり方は多いんです。その総合償却ということになると、どこまでを一括して、同じようなものだとして、同じ耐用年数で償却をするかという、そのグルーピングが問題になってくる。今、事務局が把握しているのは、そのグルーピングをもうちょっと精緻化して、細かくグルーピングして総合償却をしたらしいと。それを受け、防衛省の会計から数値が来たと。その数値を、この公会計としては合算をしているということなので、防衛省のほうがそういうことをしたというのは、確かに経営管理上にも、先生がおっしゃるように、より細かくグルーピングしたという点では精緻化されたと、防衛省のほうも。そういうことは推測できるのですが、それ以上は、我々としては、その中について、ライフサイクルコストがどうなったとか、そういうようなことまでは、干渉するという用語は変ですけれども、我々はただ数値をいただいたものを合算するだけなので、今のところ公会計室としてはそこまでは防衛省のほうに関与していない、これが状況だろうと思います。

 先生が今おっしゃったように、そこをもうちょっと関与したほうがいいとか、あるいはこの部会でそこまで議論するかどうかということは、今回は保留ということで、先生のご意見はよく分かりましたので、そのようなことでよろしいですか。

〔冨田委員〕

 SNA統計では、防衛は投資じゃなしに完全に政府消費なんですよ。だから、償却という概念でなくて全て消耗品だという扱いで統計をつくっているんですね。それを前回の改訂で、防衛でも研究開発に関わる部分については投資というふうに見なすようになったんですよね。だから、この防衛装備品についての減価償却についての考えというのは、私なんかは非常に大事なことのように思います。

 すいません、余分なことを申しましたけれども、そういうこととの関係で質問してみたんですけれども、とにかく有形固定資産の増加幅が大きい理由について知りたかった。

〔黒川部会長〕

 分かりました。ありがとうございます。

 土居委員、何かご意見ございますか。

〔土居委員〕

 瑣末な話ですけれども、2008年のSNA、国民経済計算体系の基準の見直しで、防衛装備品は固定資本形成にカウントされることになったということで、当然今もSNAベースでは減価償却を立てるという形にはなっているという理解を私はしております。

〔黒川部会長〕

 ありがとうございます。

〔冨田委員〕

 研究開発だけね。

〔土居委員〕

 違いますよ。全部は入りました。結局、昔、日本が90年代、2000年代前半ぐらいまで欧米諸国よりも公的固定資本形成が、対GDP費が突出して高いという統計が、1993年基準のSNAではそういう数字が出ていて、しばしば日本の公的固定資本形成は欧米よりも対GDP比で大きいんだという、そういう話をしていたわけですが、2008年基準に変わった途端、国際比較をすると、むしろスウェーデンが結構大きくなっていて、あまり日本の突出性というのは目立たなくなっちゃったと。アメリカなんかも結構高い公的固定資本形成対GDP比を持っていて、日本と大きくかけ離れているという感じではなくなった。それは防衛装備品が公的固定資本形成の中に含まれるということによって、それだけ諸外国の比率が上がったということに伴って、日本の突出性というのが埋没するぐらいまで他国の公的固定資本形成はより大きくカウントされることになったというのは、特に防衛装備品だという話は内閣からも私は聞いておりましたけれども、そういう事実はあるということなので、防衛装備品はフローでもきちんと公的固定資本形成としてカウントされているということかと思います。

〔黒川部会長〕

 一応、参考意見。ありがとうございました。

 それでは、この議論はここでストップして、ほかにあと3名、ウェブ上で手が挙がっているので、大塚委員、どうぞ。

〔大塚委員〕

 大塚です。1点だけ、質問というよりは意見として申し上げさせてください。既にほかの委員からも出ているんですけれども、費用の面で、国の財務書類が貸借対照表から始まって、資産・負債の分析がかなり細かく行われていると。ここの重要性は今後も変わらないと思うんですが、今後に向けては費用分析が非常に重要になってくると、私としては考えています。特に、支出ではなくて発生主義に基づいて費用を計算している。その発生主義に基づく費用の金額というのが、行政活動の規模を表すというふうに解釈すれば、まだ完全に裏づけが取れているわけではないんですけれども、費用の増大というのは活動規模の増大で、それは将来の支出を増加させる圧力になり得るとすれば、その点からすると、じりじりじりじり費用の金額が増えてきているというのは、場合によっては今後の支出がどんどんまた増えていく可能性があるという点で、しっかり中身の分析が必要になってくるんじゃないかというふうに考えています。

 また、その点からいうと、連結財務諸表で見ると、費用の内訳、計算書ではもうちょっと細かく分かれているんですけれども、資料の33ページで見たときに、2番目に大きいその他というのがちょっと収まりが悪いというか、やっぱりもう少しこの中身の分析をしていく必要もあるし、また、内訳の整理の仕方も、先ほどご意見が出ているように、もうちょっと中身の見直しもしていく必要があるんじゃないかなと。ですから、今後に向けてということで、貸借対照表の分析とともに、もう少し費用の分析、それも収益との差額、36ページにある差額の増減ということだけではなくて、費用そのものの増加要因、変化要因といったものをしっかり見ていくことで、行政改革なり将来の効率化に向けた何らかの提案というような形で、その話ができればいいのではないかなというふうに考えています。ですから、今後に向けては費用の分析の拡充を検討していただきたいということを意見として1点申し上げたいと思います。

 以上です。

〔黒川部会長〕

 ありがとうございました。先ほどの冨田委員のご意見とも連動して、確かにその他がこんなに大きいというのは、中項目というんでしょうか、それにしては目立つので、どこに入れるか。保険金か、あるいはその上の社会保障給付費というのもありますし、いろいろ科目の分類について、いい機会なので、これは宿題ということで、今までずっと慣習でこれをしていましたので、この際に検討していただきましょう。

 では次に、佐藤委員、どうぞ。

〔佐藤委員〕

 私は、連結のメッセージということについて、1点意見を述べさせていただきたいと思います。ページでいうと、29ページと30ページのところでございまして、29ページの最初に2行、要約が書かれております。この2ページは、単年度かつ各勘定の差額の説明については非常に充実しているのですけれども、この各勘定の説明と最初の2行からどういうメッセージを読み取り、理解をすればよいのか少し分かりにくいように思います。

 私自身、今回、連単差を過去に遡って各勘定等で見てみたのですが、結果としては、そんなに大きな発見があったわけではなく、変動という意味で見ると、やっぱりGPIFだなと確認した程度です。ですから、ある意味、連単差に限定したメッセージがないということもあるのかと思いますけれども、そうであれば最初の2行のところに、連単差以上に、まず国単独が重要であると強調しても良いと思います。そして連単差のところに影響を及ぼしているのは、例えば大きな項目で、GPIFとゆうちょ、かんぽであるとか、少し分かりやすいメッセージがあると良いと思います。対国民ということを考えた場合、例えば新聞記者の方なども、ここを見ても多分理解するのは難しいのではないかなと思いましたので、最初のこの2行のところにもうちょっとメッセージを入れてもいいのではないかということを申し上げる次第です。また、GPIFなど影響が大きいのであれば、その1法人だけサマリーを入れてもよろしいのではないかと感じました。

 以上です。

〔黒川部会長〕

 ありがとうございました。ご意見としてお伺いいたしました。

 では次に、赤井委員、どうぞ。

〔赤井委員〕

 ありがとうございます。私もほぼ出ている意見と、今言われた意見と似ているんですけれども、この変化というのはGPIFの効果をかなり受けていて、会長もおっしゃったように、連結する前のものと比較すれば分かるという話ですけれども、連結したときとその前との差は、GPIFのような金融資産の動きみたいなものから生まれているものと、それ以外のものとに分けられますよね。そういう金融資産の動きの、金融資産というか、それぞれの収益で生まれているGPIFとの影響がどのくらい影響しているのかというのを、そういうのも表していただいたとは思うんですけれども、36ページの下のところにGPIF資産運用損益という緑の線を引いていただいているのは、多分これが上の動きに大きな影響を与えていますよという意味だとは思うんですけれども、この度合いがどのぐらいなのか。要するに、それによって動いている連結の効果と、独立行政法人とかの実際の運用、難しいですけれども、実際の運営の変化とか、評価替えによるものとか、そういうところの大ぐくりで、パーセンテージがどのぐらいなのかというところもイメージできると理解しやすいかなと。何となく分かれば教えてください。GPIFが動きの7割ぐらいとか8割ぐらいなんだとか、5割ぐらいだとか、そういうイメージはありますでしょうか。

 以上です。

〔黒川部会長〕

 分析はそんなにしてないか。

〔赤井委員〕

 分析というほどのレベルじゃないんですけど、感触的に。今までの議論だと7割、8割がGPIFみたいに見えるんですけれども、感触はどのぐらいの割合なんでしょうか。連結する前と後で生まれてくる、36ページのがたがたした割合。上のブルーの動きと緑の動きの差みたいな。分からなければ、いいです。

〔黒川部会長〕

 またこれも検討して、少し事務局のほうも分析を、検討したら先生のほうとメールでやり取りして、それでもよろしいでしょうか。

〔赤井委員〕

 先ほどおっしゃられたように、多分一般の人も、そこをどのぐらいGPIFがこの連結の動きに影響を与えているかという度合いみたいなものは興味があると思うので、そういうのを載せられたらもうちょっといいかなと思いました。先ほどの意見と同じです。

〔黒川部会長〕

 分かりました。ありがとうございます。また来年はすごく上がる、大きくプラスになるんじゃないかと思うんですけれども、もうあと1週間後。

〔赤井委員〕

 GPIFを取り除いた連結のものというのはどんな感じなのかというのも、ちょっと……。

〔園田公会計室長〕

 36ページであれば、元年度はマイナス25で、マイナス8.3となっていますけれども、差引しますとマイナス16.7です。30年度であれば2.4プラスで、マイナス10.7で、差引しますとマイナスの13.1、そういったところで、その数字自体を出すかどうかという部分につきましては、要検討だと思っております。

〔赤井委員〕

 36ページの下の棒グラフと折れ線の差を見れば分かるという。

〔園田公会計室長〕

 そうです。29年度であればマイナス6.1となっていますが、10.1が入っていますのでマイナスの16.2という話になります。

〔赤井委員〕

 そのイメージと、実際、先ほど冨田委員が言われていた話も含め、評価替えとかのイメージとのバランスみたいなのが分かるといいかなと思います。

 以上です。ありがとうございます。

〔黒川部会長〕

 ありがとうございます。36ページの緑色の運用損益というのは、非常にいいですよね。これは今年だけじゃなくて今までのGPIFの、15年度からの、プラスになったりマイナスになったりというのが、この折れ線で非常によく分かるという。これと赤いところの線を照らし合わせて、自分で考えるということなのかもしれません。赤井委員、どうもありがとうございました。

 それから、それ以外のところの影響との分析をしろという、これは確かにそのとおりだと思うんです。GPIFだけに原因を押しつけるというのは問題なので。それ以外にも、先ほどから防衛装備品のこともありましたし、ほかのことも含めて公会計室としても留意しなさいということで大変貴重なご意見をいただきました。どうもありがとうございました。

 それでは、お待たせいたしました。フロアの鵜川委員、田近委員、土居委員と3名いらっしゃいますので、ではまず鵜川委員、ご意見、どうぞ。

〔鵜川委員〕

 鵜川です。ご説明ありがとうございました。この国の財務書類は、こういう会計によって分かることで、国の財政状況を説明するという意味ではすごく有用だと思います。

 特に会計情報の有用性としては、今、皆さんのご意見出たように、市場のリスクを反映するということがあると思います。具体的には、今、金利とか、あるいは年金、株式市場とか外国為替市場なんですけれども、そういったものがよく工夫されて説明されていますけれども、もしできれば、一つ、コラムみたいなものをつくって、企業でいうと事業リスクの評価みたいな形になるかもしれませんが、国の財政を取り巻く経済的なリスクを、そういうコラムをつくって説明していただくと分かりやすいかもしれません。

 もう一つ、希望としましては、支払利息については特に記載していないんですが、実際には、お聞きしたら、今のゼロ金利政策で支払利息からその分がマイナスされているということですよね、償却原価法なので。ですから、そういう影響もどっかで注記していただいたら分かりやすいのかなと思いますし、もしそういう経済的なリスクの説明をするのであれば、よく感応度分析みたいなものもされるといいように思うんです。もし金利が上がれば、あまりそういうことは書けないかもしれませんけれども、これぐらいの影響があるとか。特にアメリカのほうの長期金利が上がっていますので、日本の金利も上がる可能性が高いですので、そういった場合に、例えばこのぐらいの影響が出るのではないかとか、そんなことも書いてはいかがかと思います。

 それからもう一つは、年金については、年金財政というのが長期的には破綻はしなくて維持できるという話なんですが、所得の代替率が減っていくわけですので、その部分は生活保護的な保障というんでしょうか、そんな形で増えてくる可能性もありますので、年金財政について、現在、厚労省の引用をしていますけれども、もうちょっと会計的に評価するというんでしょうか。今、未払金だけ計上していますけれども、受給基準というんでしょうか、そういう会計的な試算みたいものができれば、そういうものも出していただいて、厚労省の財政の試算と比較するとか、あるいは厚労省のものを会計的に分析するということができればということで、検討していただければというふうに思います。

 以上、希望です。

〔黒川部会長〕

 なるほど。3点、大きな議論で、先ほど赤井委員、その他のご意見がありましたように、金融資産とか、そういうようなものを扱うところの変動、財務省に対する変動が大きくなってきたと。それは確かに、普通、企業だったらリスクとして完全に認識する、為替についても。そういうものをまとめてどこかに書くということを検討してくださいという、こういうご意見だったと思います。これは事務局のほうで宿題という、よろしいですよね。検討はしましょうと。

 それからあと、利子の点については、これは個別のところだったんですけれども、5ページの説明の4つ目のところに、公債等の債務残高が増加しているけれども、平均金利の低下によって支払利息は低下しているというのがあったので、連結はこことあまり変わらないので、ここで今のところは説明があったんだろうと思います。

 それから3つ目については、何か意見ありますか。

〔園田公会計室長〕

 年金の話でしょうか。

〔黒川部会長〕

 年金のところ。

〔園田公会計室長〕

 そこはちょっと検討できるかどうかも含めて対応させていただきたいと思います。

〔黒川部会長〕

 そうですね。取りあえず23、24ページのここのところをどういうふうに解釈するかは、企業会計上の発生主義で解釈するとそうなんですけれども、今の年金制度の建前というか、立てつけと企業会計上の退職給付等の考え、年金会計、退職給付会計との考え方が違うということで、一応はこれまでも議論には上がってきたけれども、我々としては、今はそういう現状だと。でも、ご意見としてはお伺いいたしました。

 では、田近先生、どうぞ。

〔田近部会長代理〕

 いろいろ参考になる意見を聞かせていただき、ありがとうございます。

 私のほうは、制度というよりは実態的に平成30年と元年度でどう変わったのかと。30年、元年、2018年度、19年度、それから国と特会と連結と、クロスして何が見えるのかなということですけれども、5ページ、復習みたいになりますけれども、これは国の財務諸表のほうですよね。特会と。このフローですけれども、ここである意味、思わせぶりじゃないんですけれども、社会保障関係費というのがありますよね。上の赤いところは、基本的には給付費、黄色いところが補助金というんですかね。それで点々というところをくくると86.4が2018年度、19年度にこれが88で上がる。これがポイントの一つだと。それが連結のほうになると、33ページですけれども、連結すると相殺し合うわけですよね。だから、5ページのほうの社会保険関係経費に関わる補助金・交付金のほうがどう相殺し合ってくるのかというのが、説明があったらよかったのかなと。

 というのは、これは議論しましたよね。公会計で扱う社会保障の範囲はどこかという、21ページ。要するに、制度的には割り切らざるを得なくて、分かりやすく地方は入ってないわけですよね。ここで社会保障、社会保障というけれども、ここで扱っている範囲は、この赤が財源で、ここの範囲でやっていますよと、これを頭に入れてくださいよと。その上で、国、特会の範囲で社会保障に関する関係費はこれですと。連結すると、これが相殺し合ってこうなりますと。そこはあったほうがいいし、個人的には見たいなと思いました。

 それから財源のほうは、連結しても見えるものは、私はそんなに変わらないと思って。そうすると、18年、19年度の違いは何かというところだと思うんですけれども、具体的には6ページが国と特会の財源です。34が連結ですけれども、一言で言えば、財源については、19年度で消費税が増えたのにほかの所得税、法人税が減っちゃったと。これがメッセージなんですか。

 伺いたかったのは、18、19年と連結でクロスして見えるものは何かということで、連結関係では社会保障関係費が連結するとどう相殺し合うのかというのが、私は見たかったということ、あればいいと思っています。

 それからあと、財源に関してはいろいろあるけれども、GPIFの評価の話でありますけれども、要するに税収が減ったというのが、このメッセージかなと。いかがですか。

〔園田公会計室長〕

 先生の理解で、おっしゃるとおりだと思います。

〔田近部会長代理〕

 相殺のほう。

〔園田公会計室長〕

 相殺のところは、もうちょっと見れるようにするということでしょうか。

〔田近部会長代理〕

 うん。一般会計と特会のときで、結構大きいわけですよね。これが相殺し合うと、かなり小さくなってくる。肝心の社保障関係のところが相殺して消えていくわけですよね。

〔園田公会計室長〕

 そういう意味では、今日議論があった協会けんぽの事業費用とかというのをどの程度、表に出すべきかどうかというところなのかなと。

〔田近部会長代理〕

 さっきの話ですよね。そこはあるよね。前のほうで思わせぶりに囲って、これだけ外づけで出しているんだぞと言っているわけですよね。

〔黒川部会長〕

 先生おっしゃったように、33ページのほうになると、思わせぶりの点線がなくなって、確かにそうですね。何だったんだろうと、どことどこが相殺されて、どこが残ったのかという。

 分かりました、これもまたね。

〔園田公会計室長〕

 今の連結の、各省から上がってくる数字がそのままその他の場合ですと、その内訳がちょっと我々にも見えないところもありますので、どこまで抜き出すかというところの作業量もいろいろ絡んではきますので、そこは検討させていただければと思います。

〔田近部会長代理〕

 はい。

〔黒川部会長〕

 ありがとうございました。貴重なご意見をいただきました。

〔田近部会長代理〕

 財源のほうはいいよね。結局、減ったんだね、税収が。

〔黒川部会長〕

 はい。

 では、土居先生、お待たせしました。最後。

〔土居委員〕

 すいません、時間もないんですけれども、先ほど冨田委員がおっしゃった全国健康保険協会の連結ベースで見たときの件なんですけれども、私もそれは確かに、社会保障と密接に関係しているところですので、その他扱いでいいのかというところは、なるほどと思いました。

 その際、協会けんぽだけじゃなくて私立学校振興・共済事業団も同様なんですね。規模が小さいから内訳に出てないだけで。そうすると、私立学校、慶應は入っていないんですけれども。

〔黒川部会長〕

 今務めている大学は入っているので、私もばっちり取られています。

〔土居委員〕

 すみません、時間ないのに。その分は完全にその他扱いになっているということなんですが、ややこしいのは、実は33ページ、34ページ、両方見比べるとなるほどというところが見えてくるのは、特に34ページの社会保険料のところは、基礎年金とかの拠出金は年金特別会計に入れなければいけないので、そっちのほうで年金特会の収入として財源になっているという部分が、どういうふうに相殺消去されているのかというところが、実は冨田先生の問題提起をどういうふうに今後表し直すかというところにかかっているということかなと思います。ですから、つまり、一旦は単体の決算、財務諸表でいえば、協会けんぽは、当然、協会けんぽの加入者から保険料収入を得て、それで給付しているということなんですけれども、基礎年金とかは、一旦年金特会にその分を、保険料収入を元手にして拠出しなければいけないので、その分が一旦年金特会に入っていて、年金特会では財源という扱いになっているというのがあって、かつ、それをまた今度は給付するという形になるので、そこは恐らく連結しているので相殺消去をされているだろうと思うんですけれども。そうすると、相殺消去されてもなお残っているところというのが、この33ページとか34ページに、協会けんぽという名で残っているということ、ないしは私立学校振興・共済事業団という形で残っているということです。

 恐らく残っているのは、介護保険は明らかに年金特会と関係ないので、それは協会けんぽなり私立共済なりから単体で第2号被保険者の介護保険料とかという形で徴収して、かつ、それを納付金とかといって払っているという、そういうのがこちらでその他扱いに今はなっているんだろうと思うんですけれども、それを社会保障と関係あるということでありますから、そういう形で、これは協会けんぽをやるなら私立共済も両方やったほうがいいと思いますけれども、それを社会保障給付費ないし社会保険料類似のものであるというふうな形で、彼らは全部きちんと財務諸表を出していますので遡って見ようと思ったら簡単に見られる話ではあると思うんですけれども、連結するときの処理をどういうふうにしているかというのは、ちょっと私もつぶさに存じませんので、何とも申し上げられないんですけれども、相殺消去の処理の仕方と整合的になるように、その他から外して別途示すということはあり得るのかなというふうに思いました。

 以上です。

〔黒川部会長〕

 ありがとうございました。それでは、どうしますか、室長。検討させていただくということでよろしいですか。

〔園田公会計室長〕

 そうですね。

〔黒川部会長〕

 貴重なご意見をありがとうございました。それでは、この辺の社会保障関係については、もう一度、この機会に、次年度に向けて検討をしていただくということにいたしましょう。

 時間が過ぎましたけれども、ウェブ上の委員の方々、よろしいでしょうか。ぜひとももう一言ということがあれば、お一人ぐらいは受けますけれども、よろしいでしょうか。ありがとうございました。

 それでは、以上をもちまして本日予定しておりました議題は終了いたしました。

 なお、令和元年度連結財務書類は3月30日に公表される予定と聞いておりますので、ご承知おきください。最後に事務局から連絡事項をお伝えいたします。

〔園田公会計室長〕

 本日、お手元にお配りした資料を含め、連結財務書類やパンフレット等につきましては、公表後、郵送させていただきます。そのまま机の上に置いてお帰りいただければと思います。もちろんお持ち帰りいただいても構いません。

 以上でございます。

〔黒川部会長〕

 それでは、本日はこれにて終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。

 

午前11時37分閉会