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財政制度等審議会 財政制度分科会
法制・公会計部会
議事録

令和2年6月15日
財政制度等審議会


財政制度等審議会 財政制度分科会 法制・公会計部会
議事次第

令和2年6月15日(月)11:01~11:56

財務省第3特別会議室

1.開会

 

2.議題

  • 〇 「個別事業のフルコスト情報の開示」について

 

3.閉会


配付資料

資料 個別事業のフルコスト情報の開示について

4.出席者

部会長
部会長代理
委員

臨時委員

黒川 行治
田近 栄治
赤井 伸郎
藤谷 武史
大塚 成男
佐藤 綾子
椎名 弘
冨田 俊基
長谷部 恭男
山内 暁

           阪田主計局次長
           阿久澤総務課長
           前田法規課長
           森田調査課長
           園田公会計室長
           山嵜会計制度調査官
             宮嶋課長補佐
           髙橋課長補佐
          

午前11時01分開会

〔黒川部会長〕
 皆さん、おはようございます。ただいまから、財政制度等審議会財政制度分科会法制・公会計部会を開催いたします。
 
皆様におかれましては、ご多用のところご出席いただきまして、ありがとうございます。
 また、新型コロナ対策のため、本日はウェブ会議システムを活用して会議を開催させていただくことといたしました。委員の皆様には大変ご不便をおかけしております。ご協力のほど、よろしくお願いいたします。
 また、本日、マスク越し、ウェブ会議越しの開催となりますので、ご参加の委員の方に音声が明瞭に伝わりますよう、できるだけマイクに近づいてご発言いただきますよう、お願いいたします。
 まず、議事に入る前に、法制・公会計部会において、去る3月に持ち回りでご審議いただきました案件がございますので、ご報告いたします。
 1つは、「独立行政法人会計基準」等の改訂につきましてご審議いただき、原案のとおり了承されました。また、もう一つ、「平成30年度連結財務書類等」につきましても、様々なご意見を頂き、ありがとうございました。頂いたご意見を踏まえて、3月31日に財務省ウェブサイトにて公表したところでございます。
 次に、本日の出席状況、そして資料の確認を事務局からお願いいたします。
〔園田公会計室長〕
 本日は、鵜川委員、土居委員はご欠席となっております。
 なお、議場出席委員、ウェブ参加委員等につきましては配席図をご覧ください。
 次に、資料ですが、「個別事業のフルコスト情報の開示について」のみでございまして、お手元に配付、または事前にお送りさせていただいております。
 資料の紹介は以上でございます。
〔黒川部会長〕
 ありがとうございました。
 本日の部会では、「個別事業のフルコスト情報の開示について」を議題とします。議題について事務局からのご説明の後、ご意見等を伺う形で進めさせていただきます。
 それでは、個別事業のフルコスト情報の開示について、事務局から説明をお願いいたします。
〔園田公会計室長〕
 事務局からご説明させていただきます。お手元の配付資料、「個別事業のフルコスト情報の開示について」をご覧ください。
 まず、令和元年度のフルコスト情報の取組についてご説明いたします。
 3ページをご覧ください。個別事業のフルコスト情報の取組の現状でございます。本年1月に開催しました法制・公会計部会でご説明した内容の概要となっております。令和元年度におきましては、「昨年度より11事業多い76事業のフルコストを算定、公表」、また、「予算のPDCAサイクルへの活用を目指し、概算要求前に主計局予算係とフルコスト情報を共有するなどの早期化を図ったほか、解説資料の作成などにも取り組んだ」ところでございます。このような取組の現状につきまして、本年度2月から3月にかけて活用状況の意見聴取を行ったところでございます。
 続きまして、4ページをご覧ください。まず、主計局予算係からの意見聴取結果でございます。令和元年度における主計局予算係からの意見聴取結果の結果、「フルコスト情報を参考にした」、「予算の査定の参考とした」といった意見が平成30年度に比べ大きく増加、また、フルコスト算定事業の査定担当者ではない査定担当者において、「フルコスト情報を参考にしたい」とする意見も平成30年度に比べて大きく増加している状況でございます。一方で、「あまり参考にならなかった」理由として、「分析になじまなかったから」といった意見が一定程度みられたものの、全体としては、フルコスト情報の取組成果がうかがえるところでございます。
 5ページをご覧ください。続きまして、各省庁からの意見聴取の結果でございます。各省庁からの意見聴取の結果、「令和元年度における各省庁からの意見聴取の結果、単位当たりのコスト等の有用性を示唆する意見がある程度みられたものの、フルコスト情報はほとんど活用されていない、活用されない理由としては、分析結果をどのように予算要求に反映させればいいか分からない、フルコスト情報の算定時期が予算要求作業の時期と合わない」という回答が多数ありました。また、各省庁からの改善要望としましては、フルコスト情報の「把握や開示目的、活用方法等の整理」という意見のほか、依然として「作業負担の軽減」を求める意見が多く、ヒアリングでは「作業期間の確保」を求める意見もあったところでございます。このように、各省庁からの意見聴取からは、フルコスト情報の目的、活用方法等の整理や、作業負担への配慮が必要な状況がうかがえるところでございます。
 7ページをご覧ください。ここからは、これまでのコスト情報に係る取組の成果と課題についてご説明させていただきます。まず、コスト情報の作成経緯でございます。コスト情報については、平成19年度に「新たなコスト情報の開示の在り方について」の検討がなされた結果、行政活動の効率化・適正化や、予算のPDCAサイクルに活用することを目的として開示すべきという提言がなされ、平成21年度決算分から政策別コスト情報を作成・公表しております。しかしながら、政策別コスト情報が活用されていないことから、平成27年度にコスト情報の活用方法(政策別コスト情報の改善)に関する提言がなされ、平成26年度決算分から「個別事業のフルコスト情報」を試行的に作成・公表しており、現状は2つのコスト情報が並存している状況でございます。
 8ページをご覧ください。「個別事業のフルコスト情報の開示」の取組の経緯でございます。1年目から3年目は、「行政活動に対する国民の理解の促進」を図るため、フルコストの算定事業数を拡大させながら、事業の単位当たりコスト、非財務情報の開示など、情報開示の充実に重点を置いてまいりました。また、4年目から5年目は、これまでの取組を踏まえつつ、「予算のPDCAサイクルに役立つ情報の提供」に資する取組にも重点を置いているところでございます。
 9ページをご覧ください。政策別コスト情報と個別事業のフルコスト情報の比較でございます。政策別コスト情報は、各省庁が設定している政策評価項目の中程度の政策目標を基礎単位として作成、平成30年度決算分は各省庁全体で151の政策単位に区分して、全ての政策に係るコスト情報を公表しております。一方、個別事業のフルコスト情報は、行政事業レビューにおける事業単位、全5,141事業を基礎単位とすることを原則として作成、平成30年度決算分は76事業のコスト情報を公表しております。下記のイメージ図をご覧いただきますと、政策別コスト情報の基礎単位と、個別事業のフルコストの基礎単位の大きさの違いがよりイメージしやすいかと存じます。
 10ページをご覧ください。政策別コスト情報の課題でございます。政策別コスト情報は、全省庁の全政策についてのコストの状況を網羅的にみることができるという利点はございます。しかしながら、コストの集計単位が大き過ぎるため、定量化されたアウトプット・アウトカムを設定することが困難であり、行政活動の効率化・適正化の検討などに活用できない状況でございます。この点が、平成27年度の報告におきまして、「政策別コスト情報が活用されていない」と提言された要因であろうと認識してございます。
 11ページをご覧ください。個別事業のフルコスト情報の利点と工夫の成果でございます。フルコスト情報は、全省庁の全事業についてのコストの状況を網羅的にみるものではございませんが、定量化されたアウトプット・アウトカムを設定することが可能な事業についてフルコストを算定しておりますので、予算編成過程においてフルコスト情報が参考とされるなどの活用につながっております。そして、このような定量化されたアウトプット・アウトカムの設定可能な事業単位で作成することにより、様々な工夫が可能となっております。
 まず、工夫①「分かりやすい情報開示」でございますが、事業名と各コストの数値の情報に加えて、「事業の概要・イメージ図」、「単位当たりコスト」といった非財務情報も含めた情報としておりますので、事業とコストの関係が具体的にイメージしやすくなっております。
 また、工夫②「国以外の機関のコストの把握」でございますが、国で発生する各コストと、国以外の機関で発生する各コストをそれぞれ算定して集計しておりますので、機関ごとにコスト構成の把握が可能でありまして、課題発見につながりやすい効果が期待されます。
 さらに、工夫③「資金配分事業の場合の間接コストの把握」でございますが、事業費に含まれる資源配分額を「現金の給付額」として把握することとしております。したがいまして、「現金の給付額」と「間接コスト」を対比した指標である間接コスト率が算定できることで、資源配分に係る事務の効率性に関する点検材料の一つになりうると考えております。
 12ページをご覧ください。これらを踏まえました今後のコスト情報の改善に向けた課題でございます。フルコスト情報は、各省庁ではまだ活用に至っていないものの、事業担当部局において、「受益者負担事業型の自己収入比率は受益者負担の適正性等の検討に役立つ」といった意見は増加傾向にあります。また、フルコスト情報を実際に活用するために、「目的や活用方向の整理」や、「作業期間の確保」といった意見が多くみられることから、このような課題の解決を図るには、現行の取組方法を見直して仕組化することも含めた検討が必要であるものと考えております。一方、活用されていない政策別コスト情報は、その作成目的等に鑑み、廃止、すなわち発展的解消も展望しながら、その在り方を検討すべきと考えております。
 14ページをご覧ください。今後の取組方針についてご説明いたします。令和2年度におきましては、これまでの取組により把握された課題の解決に向けて、本部会の下に本部会の委員で構成される小グループを設置し、政策別コスト情報の廃止を展望しつつ、コスト情報が活用されるための仕組化についての検討が必要と考えております。また、予算のPDCAサイクルに役立つ情報の提供に係る現状の取組についても、引き続き行っていきたいと考えております。小グループでは、これまでの試行的取組を踏まえつつ、コスト情報が活用されるための課題の整理、また、仮称としておりますが、事業別フルコスト情報の「基本的考え方(作成基準)」の草案の検討をお願いできればと考えております。
 事務局からの説明は以上になります。
〔黒川部会長〕
 ありがとうございました。
 では、ただいまの事務局からの説明について、ご意見、ご質問がございましたらご発言をお願いいたします。なお、二、三名にご発言をいただいた後、逐次、事務局が回答する形で進めさせていただきます。
 また、ウェブ会議システムを通じてご参加いただいている皆様方は、ご意見等がある場合は、ウェブ会議システムの「挙手する」ボタンのクリックをお願いいたします。
 システムの運営の便宜上、まず、議場に出席されている委員、田近先生と冨田先生から何かご意見を。では、冨田先生からお願いしたいと思います。
〔冨田委員〕
 お話の中に、5ページでいただいた話で、作業負担の軽減を求める声が大きいという指摘がありました。これは、多分、政策別コストの分析と、並行して試行的にフルコストの分析を求めることについての改善要望だと思うんですが、やはりあらゆる事務事業というのは予算制約の中で行われるわけであって、それはマンパワーもある、予算もある、いわゆる行政資源の制約の中で、あれか、これかを選択するということが非常に大事なことであって、その非常に重要なことがさらっと書いてあるんだけれども、私はそのように受けとめました。
 その上で、やはり今回のものを見ていると、政策別コスト情報についてはずっと以前にここで議論があって、私、意見で申し上げたと思うんです。もう10年ぐらい前かも分かりませんが。それは、政策というのは評価がすごく難しくて、マーケットでできないことをやるのだから、評価は政治が下すわけです、民主主義が下すわけです。そうすると、コストにどれだけ意味があるかというのは難しいんです。同じ目的があって、それに対してどれだけコストがかかるかということの比較はできても、目的がもう、一つしかない、これだと、それがなかなか記述できないものであると評価しがたいわけです。そういう意味で考えて、政策別コストというのは、今日もお話があったけれども、151の体系だというんですけれども、この区分けは、予算でいえば主要経費別分類、あるいは、もう少し細かく見れば主要経費の下ぐらいで大体カバーできる話であって、フルコストで計算することの意味は大きくないように、私は思うんです。
 したがって、私の考えは、今日、お話のあったフルコストも、具体的な話でぴんと来たのは、11ページに工夫①②③とあります。一番分かりやすく書いているのは、私、工夫③だと思うんです。③は、要するに間接コストと政策が明確に分かれている。分けて計算するというか、間接コストの部分は、多分、効率化という意味で全て会計的にも比較ができるものです。ただ、事業のほうは、補助金をどういうふうに配るかではなしに、何の目的で配るかということであって、このコストというのはまさに予算そのものであって、このコストを計算しても何が出てくるか。効率化のために計算するというのも意味がないと思うんです。先ほど言ったように、マーケットで評価できるものではないから。
 そうすると、間接コストをやはりフルコストで、今だと金利が非常に低いので、皆さんあまり意識ないでしょうけれども、ただ、今日、明確にお話はなかったんだけれども、この間接コストの中にはやはりIT費用というものも、当然、入ってくるべきだと思うので、これは質問ですけれども、IT費用は入っているのかどうか。オーバーヘッドのコストの中に、IT費用は当然、入ってしかるべきですけれども、どういうことかということについてです。
 それから、順番、あちこち行くんですけれども、お話をいただいた中で5,000項目ほどの事業だと言われました。これ、どういうイメージで考えたらいいか。1つの係、課とか、要するにフルコストの計測対象はマネジメントの単位としてあるのか、どういう単位なのかということについて、イメージを持ちやすいためにちょっとご説明いただきたい。
 取りあえず以上です。
〔黒川部会長〕
 ありがとうございました。
 では、もう一方、田近先生、お願いします。
〔田近委員〕
 全体的な話と、これからの進め方についての感想です。
 ここに長いこといるので、冨田委員とか、黒川部会長はいきさつを比較的知っているという意味で、まず全体ですけれども、日本の公会計というのは私の理解する限り、マクロで一般会計と特会を合わせたものが一つ、それから独法まで合わせて連結、それを企業会計、つまり発生ベースの会計で示すというものがあったわけです。ただ、その中でさんざん議論したのは、年金の負債とかはどうやって入れるんだとか、入れないんだとか、社会保障といっても地方でやっているものは入らないとか、国とは言うけれども、どこまで入れるか。それは、注記に書くものは書く。そこは、長い長い議論をしてきて収まって、出来上がったものもよくなってきている。
 それに対して、政策別のコスト情報、それから事業別で、政策のほうは、これも私が知っている限り、9ページの政策別コスト情報と個別事業のフルコスト情報の比較ということで、囲みの上ですけれども、政策別コスト情報は各省庁が設定している政策評価項目の中程度の政策目標を基礎単位ということで、これ、僕の記憶だと、各省庁に予算を政策評価できるように組み替えてもらった経緯ですよね。それで、発生ベースでつくりましょうと、そのイメージが10ページにあって、この中でも各政策の公債部分をどう割りつけるんだとか、黒川部会長とさんざんやりましたよね。
〔黒川部会長〕
 はい。
〔田近委員〕
 それで、割りつけることにしたんですよね。それに対して、我々にとっては比較的新しく個別事業が出てきた。そこまでが経緯ですよね。
 だから、長く関わって、そういう形でマクロと政策と個別でできてきたものを変えようとしているわけで、私の意見というか、確認ですけれども、14ページ、今後の取組方針の一番上の囲みですけれども、「令和2年度においては解決に向けて政策別コスト情報の廃止を展望しつつ検討を行う」と。いろいろいきさつはあっても、見直すべきものは見直すというのは大切ですけれども、質問はコミッティというか委員会の議論することの範囲です。
 いきなり政策別コスト情報の廃止を前提にして議論するのか、あるいは日本の公会計の在り方を踏まえて、そして、今日、議論したようなことを整理し直して、客観的にやると。どういう方がいらっしゃるか分からないので、何も僕はノスタルジーで言っているわけではなくて、議論を進めていくときに、やはり3本柱で出てきたものの真ん中を除く限り、それはこの場で決めるようなものではなくて、託された委員会がそこも議論するということを踏まえて進めたらどうかと思います。経済学者が形式なことを言うのは超珍しいんですけれども、やはり日本の公会計全体をどういうふうに位置づけるのかという議論をしておくべきだ、というのが私の意見です。
〔黒川部会長〕
 分かりました。ありがとうございました。
 では、事務局のほうで、冨田委員のご質問が2つございました。IT費用関係、共通費か、あるいは、どこかで配付しているのかということの確認と、もう一つは9ページ、行政事業レビュー単位ぐらいのイメージだけれども、もう少し明確にしてほしいということ、まず、そこのご回答をお願いします。
〔園田公会計室長〕
 IT費用につきましては、システム費というところで、当然、フルコストに計上して、減価償却として算定されるという状況でございます。そういう部分で、フルコストの中に算入されるということでございます。
 もう一つ、事業単位でのほうでございますけれども、今、我々の考え、方向性としましては、各省、また各事業の担当者がフルコスト情報を把握することでコスト意識が向上する。また、それが事業単位での効率的なマネジメントを生み出す。それをするためには、やはり一定のアウトプット・アウトカムが設定される事業単位が適当なのではなかろうかと考えております。そういった意味で、冨田委員のご認識に関しては、事業単位という部分はあくまでも各省、もっと言えば各省の事業担当者がマネジメントできる単位だと考えてございます。
〔黒川部会長〕
 今のところに関連して、9ページ、行政事業レビューとございますよね。これと、今回、事務局がご提案されているフルコストというものの位置づけですか、行政事業レビューではこういうコストみたいなものは把握されているのか、いないのか、その辺、ちょっと確認をさせていただきたいんですが。
〔園田公会計室長〕
 この取組自体は、行政事業レビューと直接的に関連して進めているものではございません。当然、行政事業レビューとは、まず事業費を発生主義ベースで開示している、また、共通費は、国で管理している人件費、物件費をトータルして、発生主義ベースでコスト情報を開示しているといったところで、コストの目的は違います。そういう意味では、行政事業レビューとの情報の整理は、今後、検討するに当たってしなければいけないと思っております。行政事業レビューと直接的に関係はないものの、行政事業レビューにも補足できるような、参考情報になり得る可能性はあるかと思ってございます。
〔黒川部会長〕
 今の点は、赤井先生もウェブ会議で出席されているので、後ほど行政事業レビューに携わっている方の意見もお聞きしたいと思います。
 では、2つ目の田近先生のお話で、やはり9ページ、政策別コスト情報の会計単位は、たしか局ぐらいのイメージでつくったんですよね。
〔田近委員〕
 そうそう、そうそう。
〔黒川部会長〕
 それから、どこまでそこに、いわゆる共通費とか、間接費みたいなものを入れていくかというのは難しかったので、たしか注記みたいなものと2段階、2段構えでやったような気がします。先ほど、田近先生の突然のご質問だったんですけれども、国債費の利子費用はどこまで、注記くらいでしたかね。確認だけお願いします。
〔園田公会計室長〕
 参考情報として注記で開示してございます。
〔黒川部会長〕
 いずれにせよ、参考情報にしても、そういう議論をして何か発信していることは確かということですね。
 それでは、ウェブ会議ですので、ウェブ会議システムを通じて出席していただいている委員を指名させていただきます。現時点において、「挙手する」ボタンをクリックしていただいているのは山内先生と承知しております。ほかにもご発言を希望されている委員がいらっしゃいましたら、いま一度「挙手する」ボタンをクリックしていただくよう、お願いいたします。ご不明点などございましたら、事前のご案内に沿ってメール、電話等で事務局までご連絡をお願いいたします。また、できるだけマイクに近づいてご発言いただきますよう、お願いいたします。
 皆さん、「挙手する」ボタン、ついていますか。パソコン上、出ていますかね。もし、なかったらリモートか何かを押して、そこで言っていただければこちらのほうで整理させていただきますので、ご発言ございましたらぜひとも積極的にお願いします。
 では、山内先生、まず挙手がありましたので、お願いいたします。
〔山内委員〕 
 事務局の方、ご説明いただきまして、ありがとうございます。大変苦労して整理されたことと思います。
 全体的なことで、2つ意見を述べさせていただければと思っております。
 1つ目は、フルコスト情報の活用についてです。私は現時点で、やはりフルコスト情報は、あまり活用されていないという印象を受けております。フルコスト情報が活用されていない理由として例えば、4ページ目のところで「分析になじまなかったから」ですとか、5ページ目のところで「分析結果の使い方がちょっとよく分からない」というご意見が示されておりました。これは、前回の会議でも発言をさせていただいたのですが、例えば、各事業の実態に沿った形の分かりやすい分析方法をこちら側からある程度示すですとか、先ほどご意見がありました間接コストの把握などは非常に分かりやすい例かと思うのですが、使い方も示す必要があるように思いました。また、これは予算の問題もあり難しいかもしれませんが、長期的に考えて、やはりこういう時代ですし、事務手続の手間を省くという意味でも、システムのオンライン化について、長期的にではございますが、検討をしても良いのではないかと思いました。これが、1つ目です。
 2つ目は、政策別コスト情報と個別事業のフルコスト情報の関係についてです。先日、これらについてのご説明を受けたときには、政策別コスト情報の方は廃止の方向で検討しても良いのではないかとも思ったのですが、今日、改めて伺ってみると、例えば会計の連結と個別の関係のように、うまく、政策別コスト情報と個別事業のフルコスト情報とのリンクが分かるような形で、それぞれの情報を示す工夫のようなものがあれば、政策別コスト情報についても、未だ活用できる可能性もあるのではないかと思いました。
 質問ではなくて意見になります。以上です。
〔黒川部会長〕
 ありがとうございました。
 あと、赤井先生と大塚先生からもご発言の希望があります。では、赤井先生、大塚先生の順番でいきまして、そこで3人になりますので切りまして、事務局のほうから回答すべきことがございましたら回答させていただきます。
 では、赤井先生、よろしくお願いします。
〔赤井委員〕
 ありがとうございます。2点ほど述べたいと思います。
 まず、1つ目が行政事業レビューに関してということで、資料でいうと9ページのところに、行政事業レビューというものが基本的にいろいろなレビューをしているということで、年に2回、レビューシートで議論する場合があって、そのものとの整理をしていただいています。やはり省庁が違うので、なかなか連携は難しいと思うんですけれども、外から見た人は、このレビューシートと、今回、フルコスト情報の違いというか、それぞれどういうメリットがあるのか、そこが補完し合っているのか、そういうところに興味が出てくると思うので、レビューシートで捉えられていないことがフルコスト情報でどのぐらい捉えられているのかとか、それが両方合わさることで行政事業の評価がどのように変わるのかといったところも、行政事業レビューの事務局ともすり合わせが必要かもしれませんけれども、もう一度整理しておいたほうがいいかと。
 もう一つは、12ページのところで、ちょうど赤のところですけれども、「エビデンスになりうるものではないが、受益者負担の在り方の検討材料や手数料の額の見直しのきっかけにはなりうる」というところを増やしていただいているんですけれども、担当部局に何が必要なのかという観点で、今後、それぞれの意見に応じて、どのような形で対応するのかを検討していくことが大事だと思います。
 ありがとうございました。
〔黒川部会長〕
 先生、すみません、今、聞き取れた範囲でちょっと確認させていただきます。赤井先生、聞こえますか。
〔赤井委員〕
 はい、聞こえます。
〔黒川部会長〕
 ありがとう、僕のほうは聞こえる。今、先生がおっしゃったことをちょっと確認させていただきます。まず、1つ目が、9ページの行政事業レビューとの違いをもうちょっと明確にすべきですということ。それから、12ページの受益者負担のところについても、やはりよく検討したほうがいいと。結局、おっしゃったことはそういうことですか。
〔赤井委員〕
 はい、そうです。ありがとうございます。以上です。
〔黒川部会長〕
 ありがとうございます。
 では、お待たせしました。大塚先生、お願いします。
〔大塚委員〕
 大塚ですが、聞こえていますでしょうか。
〔黒川部会長〕
 はい、大丈夫です。
〔大塚委員〕
 今回の方針に関して言うと、コスト情報を誰が使うかということで、政策別の場合には、先ほどご意見もあったように、やはり政治に関係するんですけれども、これを事業別にすることによって、まさにコスト情報をつくっている人自身がコスト情報を使うというような方向で考えていくということなんだろうと思います。その方向は、私はいいのではないかと思っています。やはりコストということ自体が、必ずしも十分まだ理解されていないように思っているんです。やはりコストというのは、間接コストという形でも出てきますが、人の使い方、あるいは物の使い方をちゃんと把握しようというものですから、現実に人を使っている、物を使っている人がしっかり使っていく必要があって、その単位で言えば、事業別コストというものをしっかり計算して、まさにコストを計算した人がちゃんと自分で使っていくという形にしていくことが必要なんだろうと思っています。
 それから、現実に今の計算しているコスト情報が、そこまでしっかり使えるかどうかということに関して言うと、やはり計算の仕方についてはまだいろいろ見直しをしなければいけないところがあると思いますし、数字の信頼性を高めるような工夫が必要になってくるだろうと。そういうことで、今回、事務局が出された今後の方針については、私としては適切な方向になっているのではないかと考えています。
 取りあえず簡単にですけれども、以上、意見として申し上げておきたいと思います。
〔黒川部会長〕
 それでは、今、3名の先生方のお話を伺ったところで、何か事務局のほうで答えるべきものがありましたかね。
〔園田公会計室長〕
 ご意見で。
〔黒川部会長〕
 では、特に質問はなかったように思いますので、ほかに先生方、ご意見ございましたら。聞き取り状態が大変厳しくなっているんですけれども、何かご意見ございますか。
 佐藤先生から挙手があります。では、佐藤先生、ちょっと声を出していただけますか。
〔佐藤委員〕
 佐藤です。聞こえますでしょうか。
〔黒川部会長〕
 聞こえます。ちょっとしゃべってください。
〔佐藤委員〕
 田近先生、大塚先生のご意見に関わるものですが、やはり廃止というのは大きな柱の廃止になりますので、効率性の観点からだけではなくて、そもそもの作成目的等々の関係からきっちりと検証する必要があろうかと考えております。
 私、この委員会、まだ新参者なので、「平成22年の政策別コスト情報の把握と開示について」というものを改めて見ておりましたところ、この情報の意義、目的として、行政担当者のコスト意識の醸成、それから費用の全体像を国民に情報提供すると2点挙げられております。行政担当者のコスト意識の醸成は、今、まさしく大塚先生がおっしゃったとおり、この事業レベルのもので非常に、これは公会計室の皆様のご努力のたまものだと思うのですが、着実に浸透してきているのではないかと感じでいます。ただ、ここで廃止によって費用の全体像を国民に情報提供するという役割、つまり政治家、もしくはマスコミ、もしくは国民に対する外部報告の役割に近いものになろうかと思いますが、この役割を失わないためにも、政策別コストを廃止したとき、こういうものを見れば代替できるというような分析手法などを示すことが必要かと思います。
 あと、使われない要因として、アウトプットとの整合性がないというご指摘もあったのですが、一方で事業別のところが浸透してきた背景には、本当に公会計室の皆様の啓蒙活動というものが非常に大きかったと思います。今、啓蒙活動は、主に行政担当の方を対象にしていると思うのですが、例えばこれを外部の利用者に広げることによって利用価値が高まるのかなどという点も、また検討項目になろうかと感じました。
 以上でございます。
〔黒川部会長〕
 ありがとうございました。よく聞こえました。
 先生のご意見を言うと、廃止については、もともと平成22年度の目的が2つあって、1つ目の行政担当者のコスト意識ということになると今のままでは大き過ぎるんだけれども、費用の全体的な把握の一つの役立つ情報ではないか。国民への説明責任という点では、新しい、これからやろうとしているもので本当にできるのかどうか疑問だと。ですから、政策別コストについては、もう少し使い方を検討すればまだまだ役立つかもしれないと、そういうようなご意見でよろしかったでしょうか。
 どうぞ。私の声、聞こえましたか。先生のご意見は、大体、今のでよろしかったですか。ところどころ聞こえなかったものですから。
〔佐藤委員〕
 どうしても政策別コスト情報を残そうというのでは、もし廃止するのであれば、それに代わる機能を国民に提供する必要があろうかと思います。
〔黒川部会長〕
 はい、分かりました。政策別コスト情報を廃止するのであれば、それに代わるような情報を検討しなくてはいけないのではないかということですね。
 ほかに、先生方、何かご意見ございますか。ないですか。
 すみません、今日、通信状態が悪くて、先生方のご意見を100%、こちらで理解できたかどうかちょっと心配ですけれども、なるべく努力して先生方のご意見は聞いたつもりです。
 では、そろそろ終わりにしたいと思うんですけれども、今後の進め方について、今日の事務局の説明だと、政策別コスト情報の廃止も少し考えつつ、新たな、行政事業レビューに近いような、もっと小さい単位でフルコスト情報を何とか測定しようという試みを拡充していこうということで、複数名の小グループで検討を行いたいということが事務局のご提案でした。
 今現在ある政策別コスト情報については、今回は151の政策でしたけれども、複数名の委員の意見として、廃止というよりも、もう少しこれについてマクロ的な観点、あるいは公会計全体の体系の中の位置づけ、あるいは、先ほど佐藤委員からは、もともとこれは国民に対する費用の全体的な説明ということが触れられました。今日、頂いた資料ですと、公会計室が作っている30ページぐらいのポイントでいくと、10ページをちょっと開けていただきたいんですけれども、「平成30年度国の財務書類のポイント」のトップ10とか、非常に分かりやすく国民に対して説明している部分、ここに政策別コストが使われているんです。恐らく平成22年度の政策別コスト情報の意義、目的を受けてこういうような図ができていて、みんな厚生労働省関係ということがよく分かるんです。佐藤先生がおっしゃったようなこと、あるいは田近先生や山内先生のお話を伺うと、こういうような情報に代わるものがほかにあるか、ないかということも踏まえて、検討しなくてはいけないのではないかと。
 冨田先生、どうぞ。
〔冨田委員〕
 先ほど、私、申しましたように、主要経費別分類というものが予算にあるんです。だから、そういうものをまず見ないと、こんなにアグリゲートしたり、何ていうんだろう、国会で意思決定する、審議する、あるいは予算を組むときにやはり主要経費というものを基にしてやっているわけです。それを基に、やはり国民も物事を考えているし、新聞も書いているわけです。そもそもこれは何なのか、私、よく分からないんです。何のためにつくったか。ためにする議論でつくったのだったら意味ないわけで、やはり元から使っているものについて説明していくことが大事だ。
 だから、この意味については、先ほどいろいろご意見あったんだけれども、皆さん、もう1回ちょっと考えていただきたい。つまり、我々は問題を認識するときに、予算については主要経費別分類で議論しているんだということです。それと違う体系があるんだと言われても、使っていないものはしようがないでしょうという話です。
〔黒川部会長〕
 公会計の中に企業会計の考え方を入れて実績を示すものとして、基本財務諸表の、体系をつくりました。だけど、先生は、いつも政策決定になると予算という問題があるので、予算単位との連関、関係性で実績を見ないといけないのではないかと。私は、先生のご意見をずっと拝聴させていただいて、議論しているんですけれども、公会計基準をつくったときには、予算とは別に発生主義ベースで基本財務諸表をつくり、この「平成30年度国の財務書類のポイント」も、そういうようなものでつくられたうちの、特に説明をするとこういうことが実績としてよく分かったと、そういうような意味で見ているわけです。
 時間がないのでここで終わりですけれども、先生のおっしゃっていることはよく分かりましたので、小グループの検討でも今のご意見を、要するに廃止を前提に置くのはどうか、そういうように置いて進めるのはちょっと問題だというご意見と、それから先生が今、おっしゃったように、もともとこういうものは意味がないということも含めて、小グループで検討を行っていこうと思います。
 それでは、小グループの構成員につきましては私に一任いただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
 ありがとうございました。それでは、ご参加いただく方には、別途、事務局からご相談があるかと思いますので、ご多忙の折とは思いますが、よろしくお願いいたします。
 以上をもちまして、本日、予定しておりました議題は終了いたしました。
 なお、一つご連絡させていただきたい事項がございます。総務省からは、今年度も共同ワーキング・チームを開催し、最近の企業会計の基準の公表を踏まえた独立行政法人会計基準の改訂についての検討などを行うことが想定されると聞いております。共同ワーキング・チームのメンバーについては、後日、事務局から連絡いたしますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 それでは、本日はこれにて終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。

午前11時56分閉会