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財政制度分科会(平成30年11月20日開催)議事録

財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録

平成30年11月20日
財政制度等審議会


財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第

平成30年11月20日(火)10:00~11:05
第3特別会議室(本庁舎4階 中-412)

1.開会

2.議題

とりまとめに向けた審議

3.閉会

出席者

分科会長

榊原定征

鈴木副大臣

渡辺大臣政務官

太田主計局長

神田次長

阪田次長

奥総務課長

安出司計課長

阿久澤法規課長

中澤給与共済課長

一松調査課長

西山参事官

寺岡主計官

日室主計官

北尾主計官

斎須主計官

前田主計官

中島主計官

吉野主計官

関口主計官

森田主計官

岩佐主計官

内野主計官

渡邉主計企画官

佐藤主計企画官

分科会長代理

増田寛也

秋山咲恵

黒川行治

神津里季生

佐藤主光

角 和夫

土居丈朗

中空麻奈

藤谷武史

宮島香澄

臨時委員

雨宮正佳

老川祥一

大槻奈那

進藤孝生

末澤豪謙

十河ひろ美

田近栄治

田中弥生

冨田俊基

宮武 剛

吉川 洋


午前10時00分開会

〔 増田分科会長代理 〕 ただいまから、財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。

御多用中のところ御出席いただきまして、ありがとうございます。

本日は、前回に引き続きまして、建議の取りまとめに向けて、お手元にお配りをしております建議(案)について審議をしていただきます。

今回の建議(案)ですけれども、前回、11月8日の会議においていただいた御意見、そして、その後に書面でいただいた御意見を踏まえて、起草委員会の中で議論をし修正を行ったものでございます。

お手元には、2つお配りされているかと思いますが、前回のバージョンからの修正を見え消しにしたもの、これは見え消し部分が赤字で記載されているかと思います。それから、その修正を溶け込ませた、いわゆるクリーン版を配付しております。御参考にしていただければと思います。

審議に先立ちまして、前回の会議でお配りしたバージョンからの主な変更点について、事務局のほうから補足説明をお願いしたいと思います。

それでは、お願いします。

〔 一松調査課長 〕 それでは、私のほうから、お手元の見え消し版に基づいて、前回からの主な修正箇所を御説明させていただければと思います。

まず、1ページ目の総論からでございますが、20行目でございます。老川委員より、文章のつながりを分かりやすくすべきと御指摘いただいたことを踏まえて、修正させていただいています。

また、脚注1につきましては、倉重委員より、非募債主義について記載の充実を求める御意見がありましたので、修正しております。

2ページ目にまいります。9行目でございます。宮島委員より、人口を投資の受益者を確保するためのものと捉えられかねない表現を改めるべきとの御指摘をいただいたことを踏まえて、修正させていただいています。

2ページ目の21行目から22行目でございますけれども、末澤委員、十河委員、神子田委員より、PB黒字化が必要である理由を記載すべき、PB黒字化の重要性を強調すべきとの御指摘をいただきました。基本的に、その部分の記載は、後ほど御説明します5ページ25行目から6ページ4行目で修正していますが、その部分も踏まえて修正しております。

脚注2でございます。倉重委員より、複数の債務の相互の関係性の記載を充実すべきとの御指摘を踏まえまして、脚注2で記載を充実しております。

3ページ目の2行目から8行目については、複数の委員から「共有地の悲劇」について御指摘をいただきました。8日の案文では、公費が共有地であるとして、次の2.受益と負担の乖離の項目に記載しておりましたが、いただいた御指摘等を踏まえまして、財政資源が共有地であるとして、1.平成財政の総括の最後に持ってくることとしております。

3ページ目の23行目、24行目にかけましては、佐藤委員からの御指摘で、受益と負担の乖離によって、負担水準の変化というシグナルが失われていることをメッセージとして入れるべきではないかとの御指摘を踏まえて、修正したところでございます。

5ページにまいります。5ページ目の25行目から6ページ目の4行目は、先ほど言及させていただきましたPB黒字化が必要である理由の記述になっています。

6ページ目の21行目から7ページ目の5行目にかけてでございますけれども、大槻委員や神子田委員より、平易な表現を用いるべきとの御指摘をいただいたことなどを踏まえまして修正しております。

7ページ目の11行目から14行目につきましては、小林慶一郎議員より、将来世代の代理人についての記載の充実を求める御意見がありましたので、そこを踏まえて修正させていただいております。

8ページ目でございます。21行目につきましては、十河委員より、「首の皮1枚」という表現は適当ではないとの御指摘をいただいたことを踏まえ、修正させていただいております。

8ページ目の同じく21行目から22行目につきましては、永易委員より、春の建議で「遅くとも2025年度のPB黒字化を確保すべき」との表現をしていたことを踏まえた表現とすべきという御指摘をいただきましたので、そこを踏まえて修正しております。

また、23行目から24行目については、同じく永易委員より、前計画では歳出の目安が機能したことを踏まえた表現とすべきとの御指摘をいただいたことを踏まえ、修正しております。

8ページ目の26行目から9ページ目の2行目にかけましては、神津委員、永易委員、神子田委員より、補正予算も含めて歳出改革に取り組むべきという春の建議のトーンから後退すべきでないとの御指摘を踏まえて、記載を充実しております。

9ページ目の8行目から9行目につきましては、佐藤委員より、臨時・特別の措置が将来的な財政の膨張につながらないものとすべきとの内容を盛り込むべきとの御指摘をいただいたことを踏まえ、修正させていただいております。

続きまして、1.社会保障の修正点について御説明いたします。

11ページ目の22行目につきましては、神津委員より、単に「能力」では多義的なので、「負担能力」と書きかえるべきとの御指摘をいただいたことを踏まえ、修正させていただいております。

11ページ目の24行目から12ページ目の2行目、さらには、その下の脚注13につきましては、武田委員より、改革の期限を明確に記載すべき、優先的に取り組む課題を記載すべきといった御指摘、また、永易委員より、改革工程表に記載されている施策の現状の進捗状況と反省を記載すべきといった御指摘をいただいたことを踏まえ、修正しております。

12ページ目の4行目から10行目、及び脚注15につきましては、岡本委員、老川委員、佐藤委員より、予防医療等の取組を否定しているのではなく、改革の手を緩めるべきではないということを強調する趣旨であることが、より分かるようにすべきとの御指摘をいただいたことを踏まえ、修正しております。

16ページ目の10行目から12行目については、永易委員より、地域医療構想の進捗の遅れに関しまして危機意識を喚起すべきとの御指摘をいただいたことを踏まえ、修正しております。

19ページの5行目、及びその下の脚注29ですが、佐藤委員より、普通調整交付金の配分に当たって勘案するのは年齢構成のみではないとの御指摘をいただいたことを踏まえ、修正しております。

20ページにまいります。8行目ですが、宮武委員より、かかりつけ機能を評価するためには、包括払い方式とすることが本来は望ましいと修文すべきとの御指摘をいただいたことを踏まえ、修正しております。

22ページにまいります。22ページの24行目から25行目につきましては、永易委員より、後期高齢者の窓口負担割合は、できるだけ早い時期に引き上げる必要があるとの御指摘をいただいたことを踏まえ、修正しております。

26ページにまいります。26ページの1行目から4行目につきましては、神津委員より、軽度者の認定率と在宅等のサービスの給付費で地域差に相関関係があることについては、その根拠が示されていないとの御指摘をいただいたことを踏まえ、修正しております。

同じく26ページの27行目でございますが、宮武委員より、調整交付金のインセンティブとしての活用を実施時期まで含め提案するのが早急との御指摘や、神津委員より、調整交付金をインセンティブとして活用することは、同交付金の趣旨にはなじまないとの御指摘をいただいたことを踏まえ、修正しております。

27ページの29行目から28ページの1行目にかけては、神津委員より、介護療養病床等の転換に際しては、30年度介護報酬改定で転換を促進するための加算が創設されていることなどを踏まえ、6年間の経過措置期間内に確実に移行させるよう対応すべきとの御指摘をいただいたことを踏まえ、修正しております。

29ページの5行目から6行目に関しましては、神津委員より、生産性向上に向けた各種取組による報酬上の評価については、事業者から得られたエビデンスを公表しつつ、丁寧に議論し進めるべきとの御指摘をいただいたことを踏まえ、修正しております。

32ページまで飛びます。32ページの下の脚注43でございますが、伊藤委員より、子ども・子育てについて事業主負担が増しており、中小企業の負担感が増していることに配慮すべきとの御指摘をいただいたことを踏まえ、修正しております。

続いて、2.地方財政にまいりたいと思います。40ページになります。

40ページの12行目から14行目にかけましては、岡本委員より、地方財政改革が進まない要因の一つは、現行の改革工程表が真にPDCAが機能するようなものとなっていないことであり、議論を進めるよう促すべきとの御指摘をいただいたことを踏まえ、修正しております。

42ページ目の1行目から7行目にかけてでございますが、佐藤委員より、財政の悪化が、地方公共団体が提供する様々な行政サービスの悪化につながることで、人々が財政について考えるきっかけとなるはずだが、受益と負担の乖離により、それを阻害している旨を記載すべきとの指摘をいただいたことを踏まえ、修正しております。

43ページの4行目から6行目、及び脚注57については、佐藤委員より、公共施設運営・管理、窓口業務等について、広域化や民間委託などを推進すべき旨を記載すべき、また、地方交付税の算定方法が広域連携の取組を阻害しないことが重要である旨を記載すべきとの御指摘をいただいたことを踏まえ、修正しております。

44ページの13行目から14行目にかけましては、佐藤委員より、遍在是正に関して、地方の問題は税収が法人2税に偏り過ぎていることであり、その見直しに言及すべきとの御指摘をいただいたことを踏まえ、修正しております。

続きまして、3.文教・科学技術の修正点について御説明いたします。

45ページの11行目までにかけましては、武田委員より、日本の置かれている国際環境を踏まえ、予算の量ではなく、使い方を見直すことで質を高める必要がある旨を記載すべきとの御指摘をいただいたことを踏まえ、修正しております。

46ページの1行目から3行目でございますが、佐藤委員より、無償化を契機にした便乗値上げがないよう、利用料金の推移などをしっかり観察すべきとの御指摘をいただいたことを踏まえ、修正しております。

47ページの6行目ですが、老川委員より、「総量規制を含めた」という記載では分かりにくいため、回数や位置付け等、具体的に記載すべきとの御指摘をいただいたことを踏まえ、修正しております。

48ページの8行目から9行目ですが、老川委員より、東京都の公立高校生が少ない理由は、私立高校の授業料負担の軽減にあることを明確にすべきとの御指摘をいただいたことを踏まえ、修正しております。

49ページの脚注60につきましては、神津委員より、経済的なハンディキャップを抱える子どもの進学率を上げるため、給付型奨学金の拡充等を記載すべきとの御指摘をいただいたことを踏まえ、修正しております。

55ページに飛びます。55ページの13行目でございますが、老川委員より、企業が大学に研究開発そのものを促す寄附をしやすい税制措置が必要と考えており、言及すべきとの御指摘をいただいたことを踏まえ、修正しております。

56ページの3行目から4行目につきましては、進藤委員より、基金化について、研究開発は複数年度にわたることが多いため基金の利点は大きいことから、表現は慎重な検討が必要であるとすべきとの御指摘をいただいたことを踏まえ、修正しております。

続きまして、4.社会資本整備に移ります。

57ページの10行目から12行目でございますが、武田委員より、文章のつながりの観点から、生産性の高い事業にも重点化と防災・減災対策に向けた重点化という記述を入れ替えるべきとの御指摘をいただいたことを踏まえ、修正しております。

58ページの下の脚注68でございますが、神津委員より、今次の災害では地域自主防災の重要性が指摘されておりまして、高齢化に伴い、なり手不足等による装備不足が顕著であり、早急に充実・強化すべきであるとの御指摘をいただいたことを踏まえ、修正しております。

62ページにまいります。62ページの12行目から17行目、及び脚注75については、佐藤委員より、PFIの重要性についてもっと積極的に明記すべき、また、道路や下水道だけではなく、上水道、公営住宅、会議場も対象にしていることを記載すべきとの御指摘をいただいたことを踏まえ、追記しております。

続きまして、5.農林水産を飛ばしまして、6.エネルギー・環境における修正点を御説明させていただければと思います。72ページまで飛びます。

72ページの6行目から12行目につきましては、進藤委員から、賦課金減免制度についての御指摘をいただいたことを踏まえ、修正しております。

73ページの7行目から9行目については、進藤委員より、省エネ促進のためには規制より革新的技術が重要であるとの御指摘をいただいたことを踏まえ、修正しております。

続きまして、75ページ、7.中小企業における修正点を御説明いたします。

75ページの4行目から6行目につきましては、神津委員より、中小企業の生産性向上に向けた課題は環境整備等であるとの御指摘をいただいたことを踏まえ、修正しております。

同じく13行目につきまして、佐藤委員より、補助金がゾンビ企業の存続につながる可能性もあり、中小企業支援はメリハリのある形とすべきとの御指摘をいただいたことを踏まえ、修正しております。

次の76ページ、8.出入国在留管理・治安関係に関する修正部分でございますが、8行目から11行目につきまして、神津委員より、今後、外国人労働者の一層の増加が予想され、受け入れや共生のための環境整備が重要との御指摘をいただいたことを踏まえ、修正しております。

次のページから9.外交関係が始まります。81ページを御覧いただければと思います。

81ページの4行目につきましては、神津委員より、タイトルと内容に齟齬があるとの御指摘をいただいたことを踏まえ、修正しております。それに伴いまして、戻りますけれども、77ページの18行目や80ページの1行目についても修正を加えているという関係になります。

続きまして、概要について御説明させていただければと思います。お手元に、参考1という形で概要をお配りしていると思います。概要については、基本的に本文に合わせて修正をしているところでございます。

まず、総論でございます。1つ目のポツのところでございますが、神子田委員、宮島委員から、より分かりやすい表現とするよう御指摘をいただいたことを踏まえまして、本文と合わせる形で、「厳しい財政状況を後世に押し付けてしまう格好となっている」という文章に修正しております。

3つ目のポツでございますが、これも本文に合わせた修正でございますが、「財政健全化を進められなかった過ち」とされていた原案を、「財政健全化どころか一段と財政を悪化させてしまった過ち」に修正しております。

4つ目のポツでございますが、神子田委員より、エビデンスに基づく政策立案と審議会の発信強化は、主体が異なるので切り離すべきとの御指摘をいただいたことを踏まえまして、両者を切り離して文章を再整理しております。

1枚おめくりいただきまして、2ページの2.地方財政でございます。宮島委員より、地方財政において給付と負担のバランスが崩れている結果、財政健全化の必要性を感じにくくなっていることについて、概要にも盛り込むべきとの御指摘を踏まえまして、上から3つ目のポツにおきまして、地方においても受益と負担の関係の「見える化」を進めるといった形で追加をさせていただいている次第でございます。

概要の主な修正は以上でございます。

本文、概要の主な修正について、事務局のほうから説明させていただきました。

〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。

お手元に、神津委員から意見書が提出をされておりますので、配付をしてございます。そちらのほうもお目通しをいただければと思います。

それでは、建議(案)ですけれども、こちらについてなお御意見、あるいは、本日は年内の最後ということになりますので、感想等も含めて委員の皆様方からございましたら、ネームプレートを立てて、いつものとおり少し合図をしていただければ指名しますので、よろしくお願いします。秋山委員、老川委員、神津委員という順番でいきたいと思います。

秋山委員からお願いします。

〔 秋山委員 〕 ありがとうございます。

大変申し訳ございません、前回、出席ができなかったものですから、本日の段階でということなのですけれども、1点のみ、最終ドラフトの中で強い違和感を覚える部分がありますので、この点のみコメントというか、是非修正を希望いたします。

それは、53ページの研究開発に関する部分、それから概要のほうでもこれに関して、3.文教・科学技術にかかわるところです。全体として、検討すべき点、見直すべき点についていろいろな示唆、指摘をさせていただいている中で、ここだけが削減目標について具体的な数値が書かれているのです。私自身、実は京都大学の経営協議会の議員をさせていただいていることもありまして、民間企業の経営者の経験に基づいて大学の経営というものにかかわらせていただく中で、民間企業の経営と少し感覚が違うなと強く感じている部分があります。

それは、やはりいろいろな意味で経営の自由度、特に予算の制約に基づく経営の自由度というのはかなり少ないと思っております。運営費交付金を見直していくという方向性はよろしいと思うのですけれども、その分は補助金でカバーして、全体として金額はそんなに大きく減っていませんよねということが書いてあって、一方で運営費交付金の使途と補助金で使える使途の制約がありますので、必ずしも金額だけで、アップル・トゥ・アップルで見られるものではないと理解しておりますので、ここら辺は丁寧な議論が必要だとは思っておりました。

ただ、最終的にまとめたときに、運営費交付金に関してのみ、今まで年間数%ぐらいで減らしてきたものを突然10%、しかも1,000億円程度という、ここだけ突然、数値が出てきているというところに非常に強い違和感を覚えます。ですので、例えば見直しをさらに拡大していく方向で検討するというような表現であれば、全体としてのバランスはよろしいかと思いますけれども、ここだけ数字が具体的に、しかも唐突に出てきているというところは違和感があるということを申し述べておきたいと思います。

〔 増田分科会長代理 〕 ここは、削減というよりは、配分の中のウエートと変えるという記述になる、多分、おっしゃっているのは53ページの17、18行目のところですかね。

〔 秋山委員 〕 そうですね。

〔 増田分科会長代理 〕 だから、ここは全体を削減するというよりはウエートを変えるという表現だと思うのですけれども、そのウエートを変えることもまずいという御趣旨ですか、今のは。

〔 秋山委員 〕 はい。ここだけ数字が出ているということが、少しどうかなと思っているのですが。

〔 増田分科会長代理 〕 分かりました。いずれにしても、御意見をお伺いしておいて、最後にまとめて起草委員のほうからお話をいただきたいと思います。初めに、皆様方から御意見を先にお伺いしておきたいと思います。

次は、老川委員からお願いいたします。

〔 老川委員 〕 どうもありがとうございました。

原案についていろいろ手を加えていただきまして、起草委員の皆様方の御努力に感謝申し上げます。その上で、私としてはどうしても賛成しかねる部分がありますので、意見を申し上げたいと思います。

それは、見え消し版の12ページの8行目、9行目、本体のほうでは11ページの前段のほうです。予防医学について、若干表現、工夫されてはいるのですが、脚注で、見え消し版で言うと15のところに、これは東大の康永先生の主張、論文を根拠にしているようで、予防医学などやっても社会保障費の削減効果はほとんどない、むしろ増大するのだと、こういうことをこの方はおっしゃっているのですが、私もこの論文を読みました。これだけではなく、この論文を根拠にして、ほかの2人の研究者も同じようなことを言っておられます。

削減効果がないというのは医療経済学の常識であるという主張で、では何でそういうことを言うのかというと、例えば禁煙して寿命が延びても、死ぬときはどうせ医者にかかって金がかかるのだから、その点では同じだと。むしろ、禁煙しないで早く亡くなってしまう人は、その後は医療費も何もかからないのだからお金がかからないと、こういう論理なのです。それからがん検診も、がん検診をして助かって、早期発見して寿命が延びたといっても、長生きすれば認知症になる、金がかかると、こういう論理なのです。要するに、早く死んだら金はかからないのだと、長く生かしたらむしろ金がかかってしようがないと、こういうことになります。

こんなことがエビデンスと言えるのでしょうか。こんなことだったら、予防医学だけではなく、医学そのものがなくていいということになってしまいます。つまり、病気になったらお医者さんにかかる、お医者さんにかかって治った、そうすると金がかかる。医者に見せないで早く死んでもらったほうがお金はかからないと、こういうことが医療経済学の常識だと言うのだけれども、僕はどうかしているのではないかと思います。少なくとも、こういうことを論拠にして財審の建議が、これをありがたがって予防医学の効果に疑問を投げかけるということは、私は適切ではないのではないかと思います。

もちろん、こういうようにおっしゃっている方も、予防医学は大事だ、禁煙は進めるべきだということをおっしゃっているのだけれども、そう思うのだったら何も否定的なことを言う必要はないので、予防医学の費用削減効果に過大な期待を抱いてはいけないと、もっと削るところは削ればいいと、こういうように素直に言えばいい。あたかも、予防医学の費用削減効果を否定するために、早く死んだほうが金はかからないというようなことを財審の建議として言うのは、僕は適切ではないと思いますし、ここを削除なり修正できないのであれは、少なくとも私としては、建議に名前を連ねる者の1人として、この場でそういう異議を唱えたということを議事録にしっかり残していただきたいという意味で発言をしています。

以上です。

〔 増田分科会長代理 〕 どうもありがとうございました。後で起草委員のほうからもお話しいただきたいと思います。

次は、大槻委員お願いします。

〔 大槻委員 〕 すみません、ありがとうございます。

本当に短い時間でこれだけのものを、起草委員の方々、ありがとうございました。御苦労様でした。

細かい文言の点で2点と、コメント1つなのですが、見え消し版の7ページ11行目ですけれども、ここのところで次世代を代弁する者がいないという形ですと、本当にゼロのように、全くいないように捉えられることもあり得るかと思いますので、いないというか、ごく少ないとか、限られるとか、そういう感じがいいのかなと思ったのと、同じところで、これは揺らぎの問題ですが、「将来世代」と「将来の世代」が両方出ているので、「将来世代」で統一されたらということでございます。

それと、細かい点の2つ目は、見え消し版9ページ目の13行目のところで、「平成の次の新たな時代」ということで、もともとこれは「平成の次の」ということで一括りだったかと思うのですが、「次の」を残していると「次の新たな」と重なってしまう感じがしましたので、「次の」も一緒に削ってもいいかと思ったという細かい点です。

それから、コメントを1つ。これで概要のほうも含めましてすごく読みやすくなったという感想を持っているのですが、ここでも発信力の強化と書いていらっしゃるので、今後、幅広い層に対しての発信力を我々も考えていかなければという感想を持った次第です。

以上です。

〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。

神津委員、お願いします。

〔 神津委員 〕 ありがとうございます。取りまとめ、大変な御苦労があったと思います。敬意を表しておきたいと思いますし、また、随所に意見を取り込んでいただきましたので、その点は感謝申し上げたいと思います。

その上で、まだ申し上げたいことが多々あるということで、先ほど触れていただきましたが、この期に及んでというように思われるかもしれませんが、意見は意見として意見書を出させていただいています。ごくごくポイントを絞って、発言させていただきたいと思います。

まず、医療・介護ですが、様々な改革は、私は当然必要だと思います。その一方で、そのことがかえって制度の安定性とか、信頼性を毀損するようなことになってはいけないということは十分注意を図っていく必要があると思います。具体的には、14ページにあります薬剤自己負担の引上げ、あるいは受診時定額負担の導入、それから29ページの介護保険の利用者負担の引上げ、このようなことについては所得格差がストレートに健康面に影響してしまう。あるいは、介護において、結果的に介護離職がまた増大してしまうとかいうようなことを引き起こさないよう、十分慎重に進めていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

それから、同じ高齢者の中でのサービス利用者と非利用者の給付と負担の均衡といった観点も示されているのですが、これは、そもそも社会連帯を基盤に成り立っている社会保険制度の在り方に関する議論が必要な論点だと思いますので、医療保険を含めて単純に言えることではないと思いますので、今後、十分な議論のもとに、慎重に検討していただきたいということを申し上げておきたいと思います。

それから、子ども・子育てですが、やはり何といっても喫緊の課題は、質の確保された保育所や放課後児童クラブによる待機児童の解消ということだと思います。30ページ、31ページのあたりですが、この間、政府においても取り組まれているということですし、そのことは理解しております。また、優先順位付けにも触れておられます。これは大事だと思います。保育士等の処遇改善、それから待機児童解消、これが最優先に取り組まれるべきであるということを明確にしていっていただきたいと思います。

それから、文教・科学技術の中で教職員定数です。エビデンスをもとに精査すべきということはもちろん当然のことだと思うのですが、それ以前に、今、起きていることの実態、教員の長時間労働、それから過労死、過労自殺が非常に多い職種になってしまっているということです。このことに社会の関心も高まっております。したがって、教育を担う若者が、近い将来いなくなってしまうということも、これは危険性、現実味を帯びているのではないかと思います。エビデンスに基づく精査はもちろん重要ですが、それ以前に、既に起きているファクトから目を背けては、将来に禍根を残すことになりかねないと思います。やはり文部科学省の概算要求による教職員定数の改善というのは、私は必要だと思います。

最後に、出入国在留管理です。これは、言い方はそつがあるかもしれませんが、目下、パンドラの箱が開いたような状況になっているのではないかと思います。現行の技能実習制度にかかわる問題を含めて、問題が非常に多岐にわたりますので、決して出入国在留管理という観点のみならず、多岐にわたる分野において、やはり財源の確保を図っていただく必要があると思いますので、その点を申し上げておきたいと思います。

あと、先ほど老川委員の御指摘は、前にも意見を申し述べていますが、私も賛同するところです。この脚注については、かえってそういう疑念とか、物議を醸すのではないかと思います。

以上です。

〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。

それでは、佐藤委員、お願いします。

〔 佐藤委員 〕 ありがとうございます。

では、今、物議を醸している12ページからですけれども、素直に考えれば脚注15は要らないかなと思います。なぜかというと、特定の文献とかに依存して物を言うというのは少し危険なので、もし真面目にやるのだったら文献リストをたくさんつくって、その中の最大公約数でこれですと言わないといけない。

それから、素直に書けばいいことで、例えば8ページのところから、こうした中、予防医療等による医療費の削減効果については「様々な見解がある」と言うと、何かいろいろ語弊があるので、定量的な削減効果があればいいわけではないので、1円削減しても大したことはないので、定量的な削減効果については「いまだエビデンスが十分ではないことから楽観視は禁物である」でいいのではないですかね。つまり、こちらが何を警戒するかというと、予防すればいいんでしょう? だから診療報酬は下げなくてもいいんでしょう? とか、ベッド数を減らさなくてもいいんでしょう? という議論がまかり通るのが嫌だと言っているわけですから、楽観視は禁物だよというスタンスでよろしいのではないかと思います。

念のため、予防医療が役に立たないというのは、別に医療経済学のコンセンサスではないので、やはりいろいろな人がいますということだけ注釈です。

あと、19ページ、脚注29ですけれども、意見を入れていただいたのはありがたいのですが、年齢構成のほかに、性別だけだとあまり知恵がなさそうなので、本当は違うのですよ、疾病構造とか何とかいろいろあるのです。だけど、ここで議論してもしようがないので、「性別なども考えられる」としていただくと、もう少し幅が広がるかなという気がしました。

以上です。

〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございます。

角委員、お願いします。

〔 角委員 〕 文章を変更していただきたいという事ではありません。先日、本庶先生のお話を聞く機会がありました。1つは、制度の持続可能性を踏まえた保険給付範囲、高度・高額な医療技術や医薬への対応と、これは以前から議論になっていますけれども、例えばオプジーボは、御承知のように特殊な皮膚がんからスタートして、かなりいろいろながんにも保険適用が広がっていっています。ただ、このスピードはアメリカのほうが圧倒的に速くて、アメリカではほとんどのがんが対象になっていくような改正がもう進んでいっており、これで3割ないし4割の人はがんが消えてしまうということですので、ますます適用対象が増えてくると思います。

そうなったときに、やはり以前から申し上げていますように、高額療養費制度のさらなる見直しが必要になるのではないか。それでカバーできない部分は、これも前から主張していますけれども、民間保険を適用していかざるを得ないと思いますので、そこは是非とも来年度以降も継続して主張をお願いしたいと思います。

もう1点、これは蛇足で、本庶先生と製薬メーカーが少し微妙な関係にあるのは御承知のとおりですけれども、本庶先生の意図は、山中先生がノーベル賞をもらう前に、例えばマラソンを走ったり、講演会を多数やったり、研究費を稼ぐためにいろいろ活動されたわけです。ノーベル賞をもらわれてからは、一応、研究のほうのお金は出るようになったのですけれども、ただ、その研究をするスタッフの身分までは保証されていないわけです。例えば、5年の期限つきとか。それを何とか、雇用形態も含めて安定させてあげたいという思いでいろいろ活動されて、今、20億円を超える基金が集まっています。将来にわたって安定的に再生医療の研究が続けられるようにということで、そういうことをされているわけです。

本庶先生も、ノーベル賞をもらっても賞金は基金に入れたいと。いわゆる基礎研究について、国からのお金がつくことはまずないだろうということで、将来にわたって後輩たちが基礎研究をできるような基金を、本庶基金としてつくりたいという思いで、特許の話についてもいろいろと考えておられるようなので、そこは御理解をいただければと思います。

それと、社会保障はそういうことなのですけれども、公共工事について、もちろん民間資金の活用ということは書いていただいているのですけれども、これも前に申し上げましたけれども、例として挙げましたのはホームドアです。阪急は、十三では3ホームで20億円近くお金がかかります。これを、スピードを上げてやれと言われても民間会社はできないので、やはり乗っておられる方に運賃でいただいて、そのお金でホームドアを整備していく。それには消費者団体も、1乗車10円程度ならいいのではないかというような結果も出ているわけですから、公共工事をこの苦しい中で進めていくにはやはり受益者負担をもっと考え方として入れていくべきではないかと思います。

以上です。

〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございます。

田中委員、お願いします。

〔 田中委員 〕 ありがとうございます。

起草委員の先生方、それから事務局の皆様、これを短期間にまとめていただき、ありがとうございました。特に、平成の総括を入れていただいたことによって、この建議書の重みがぐっと増したと、私は思います。

その上で、53ページについて意見を申し上げたいと思います。先ほど、国立大学の運営費交付金の削減額を入れていることについて、削除した方がよいという御意見があったのですが、私は、この部分は残したほうがいいと思っています。理由は4つあります。

1番目に、これは現存の運営費交付金の中で、いわゆる評価に基づいて傾斜配分をするという内容で、決して削減ではないということです。

2番目ですが、運営費交付金というのは、国立大学が法人化した年には算定根拠はあったのですが、それ以降は前年踏襲型で一切算定がなく、前年踏襲のまま配分をされてきた。1兆円ぐらいのものに関して前年踏襲型というのは、私はやはり不透明であると思います。

3番目の理由ですが、この傾斜配分については過去から100億円ずつ積み増して、6年目で600億円になろうとしていまして、いきなり1,000億円の傾斜配分ではなく、段階を踏んできたということです。

4番目の理由ですが、先週、国立大学運営費交付金について行政事業レビューが行われました。ここでも、議論になったのですが、現状をそのまま維持して先延ばしにするという対応が各委員の方々から厳しく指摘されたという点がありました。そういう意味でも私は必要ではないかと思います。

以上です。

〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。

宮島委員、お願いします。

〔 宮島委員 〕 ありがとうございます。

いろいろなところで、文章を平易にしていただこうと、分かりやすくしていただくような配慮がされていると思いまして、大変感謝申し上げます。

そして、皆に必ず注目される社会保障の目安については、この後、いろいろな人がどう書かれたか注目する一つだと思います。今回、数字を書くよりも、書かないほうが現実に削減効果が、歳出の抑制がきくのではないかというような判断で、このような書き方になっているのですけれども、10ページの最後「財政健全化の手綱を緩めることなく、これまでと同様、改革を実現していく必要がある」と書いてあるのですけれども、「これまでと同様」というのは、これまでで十分なのかなと、少し思ってしまいました。

つまり、これだけの財政赤字の中で、5,000億円にしてきたのはもちろん大変厳しい目安だと承知しつつも、財政全体から見れば、もっと一気に行かないと、この国は心配なのではないかと思わざるを得ません。なので、修文の要求まではしないのですが、「これまでと同様」というか、「これまでよりさらに」とか、「これまでに増して」とか、改革をより実現するような意欲を示せるといいかなと思いました。

さらに、この先の予算編成、皆様御苦労されると思うのですけれども、実際には多分、参院選とか、いろいろな背景の影響を受けることと思います。ただ、そうした背景はいろいろ大きいですけれども、その声を前に、財務省は結局、何もできなかったというような指摘を受けることがどうぞないようというか、厳しく戦っていただければという希望です。

さらに、本日の建議の提出は、私たち財審の最大の発信のチャンスなのですけれども、昨日、起こった大きなニュースの影響を受けそうな雰囲気もありまして、本日に限らず、今後の予算編成の過程においても、この建議の意思をいろいろな形で発信できればと思います。よろしくお願いいたします。

〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございます。

吉川委員、お願いします。

〔 吉川委員 〕 ありがとうございます。

建議の文言ではないですが、感想のようなものでもよろしいんでしょうか。

〔 増田分科会長代理 〕 はい、どうぞ。

〔 吉川委員 〕 今回の建議は、平成最後の予算編成に向けての建議ということで、総論で平成30年を振り返るというようなこともやっているわけですが、そこで改めてということなのですが、席上に配付されています参考資料、右上、(参考2)となっているものの97ページです。

債務残高(対GDP比)の推移(国際比較)という図があります。これで平成30年を振り返ると、グラフですので正確な数字ではないですが、平成の頭ですと、どうでしょう、対GDP比70%くらいですね。現在、OECDのデータで言うと、これが各国と比べて突出しているわけです。繰返しになりますが、30年前には70%くらいだったのが、現在まで上がってきていると。確かにこの間、バブル崩壊が一番大きな出来事としてあって、リーマンショックがありました。日本の場合は、東日本大震災等もありました。ただ、繰返しになっていますが、対GDP比70%が、220~230%のところまで来たと。

とりわけ、安倍政権のもとでも、やはり上昇を続けているわけです。安倍政権成立の直前、2012年の11月というのは景気の谷で、今、11月ですが、これで年を明けて1月、2月になってくると、おそらくは景気拡張が続くと思うのですが、皆様御承知のとおり戦後最長の景気拡張ということになるわけです。ですから、安倍政権下、5年、6年近く景気拡張が続いていて、天下周知の人手不足の経済と言っているわけですけれども、超完全雇用下でもデットGDP比は上がり続けてきていると。また、デットGDP比を抑えるためにどうしても必要なフローのほうでのPB黒字化、これも先延ばしされているというわけですから、やはり日本の財政は、現状、厳しいというだけではなくて、財政再建に向けての足どりという点でも厳しいと言わざるを得ないのではないでしょうか。

背景としては、超低金利、その他あると思いますが、やはり財政が厳しいということを財審としては強く訴えていく必要があるのではないか。建議ですから、とりあえずは財務大臣にということですが、財務大臣として、また経済財政諮問会議等でも、この我々の意見が述べられるのだろうと思いますが、是非ともこの財政の状況について、平成を振り返りつつ、強く訴えてもらいたいと思います。

ありがとうございました。

〔 増田分科会長代理 〕 どうもありがとうございました。

それでは、幾つか皆様方から御指摘等もありましたので、起草委員のほうからございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

〔 田近委員 〕 では、総論部分。

〔 増田分科会長代理 〕 田近委員からお願いします。

〔 田近委員 〕 ノートで漏らしていたら、また指摘いただくとして、大槻委員から幾つか字句について修正の案をいただいて、今、1つずつ振り返りませんけれども、私のほうでは全て理解できる内容ですけれども、ただ、将来世代を代弁する者がいなくなるか、限られるか、少し微妙なところでもあるし、それはこちらで引き取らせていただいて、大槻委員とは連絡させていただきたい。

宮島委員がおっしゃったことは、僕から聞いているとかなり重要なところで、10ページの社会保障のところで、「骨太2018」の「新経済・財政再生計画」で、いわゆる「骨太2015」の「経済・財政再生計画」で示された目安が落ちたわけです。したがって、ここで書ける範囲としては、健全化の手綱を緩めることなく、だから、これまで同様、頑張るしか、これが精いっぱいではないかというのが私の意見です。

実は、それは前回、私の記憶にある限り永易委員に御指摘いただいて、見え消し版の8ページの23行目、前計画期間というのは、今、申し上げた「骨太2015」の「経済・財政再生計画」ですけれども、「前計画期間中においては、3年間の目安の設定は着実な歳出改革につながったことを踏まえ……」、だから、ここも読めば「……踏まえ、だから続けて3年も目安が必要だ」と書くのは、文法はつながるのでしょうけれども、それがつなげられないというところが今回の苦渋のところです。

申し上げたかったことは、したがって宮島委員にいただいたところは、手綱を緩めることなく、気持ちとしては、特に人口高齢化もこの数年間は少し頭打ちになるので、これまで同様、頑張ってくださいと、そういう趣旨です。

〔 増田分科会長代理 〕 社会保障のところはありますか。土居委員、どうぞ。

〔 土居委員 〕 御意見ありがとうございました。

老川委員、神津委員、佐藤委員からそれぞれ、見え消し版の12ページの予防医療に関連して御意見をいただきました。私も、決して、予防医療が結局のところ長生きにつながって、それがトータルで見た生涯の医療費を増やすという意見に荷担するつもりはありません。ただ、財審の外に出ると、老川委員も御懸念を示されたように、過大な期待を抱いている、医療費が下がるから改革してなくてもいいのではないかと、そういう御意見を持っている方も財審の外にはいらっしゃる。我々からすると、ある種当たり前というか、予防医療で費用を抑制するという効果は、それはそれとして期待するのだけれども、かといって、改革の手を緩めるべきではないということをセットで考えるということですけれども、世の中は必ずしもそうではないということで、少しこういうように書き込んでしまったところがございましたので、過大な期待を抱くなというお言葉、佐藤委員は楽観視は禁物であるというお言葉、それを踏まえて修文させていただきたいと思います。

〔 増田分科会長代理 〕 冨田委員、どうぞ。

〔 冨田委員 〕 1つは、佐藤委員がおっしゃられた19ページの注29です。これは、いろいろな要因がここで指摘されるとすると、やはり大事なことは、新しい地域医療構想が始まる、保険者として都道府県がなるという中で、いろいろなものがあるのだということになって、客観的な指標ができることが遅れてしまうことが懸念されますので、佐藤委員がおっしゃることはよく分かるのだけれども、つまり地方公共団体でコントロールできないというのはあるのですけれども、都道府県単位で考えたら、かなり統計的な処理がマスでできるので、それほど顕著なのかなと。むしろ、いろいろなファクトが大事だということで、かえって指標ができることが遅れることが、改革を遅らせるのではないかということが懸念されます。ただ、「など」を入れても、それほど本質は変わらないと思うので、結構だと思います。

それと、冒頭、文部科学省の運営費交付金の話が出ました。私は、田中委員がおっしゃったように、やはり運営費交付金という交付金そのものが持っている大きな問題というのは今回の審議の過程でも幾つかあったわけでして、そういう観点からもやはりここは、中空委員が御指摘になると思いますけれども、このままでよろしいのではないかと思います。

〔 増田分科会長代理 〕 中空委員、お願いします。

〔 中空委員 〕 ありがとうございます。

今、冨田委員のほうからも指摘ありました運営費交付金の話からです。秋山委員に指摘していただいた点については、いささか出し方が唐突だということだと思います。出し方を何とか工夫できないかとは思います。しかしながら、30年度の運営費交付金は285億円、全体の2.6%にとどまっていたということを反省し、もっと増やしていくべきだということを考えれば、ある程度の目標も必要だと考えます。そのため、10%という目標についてはやはりとどめおくべきだろうと思っています。ここは、そのように御理解いただければ幸いです。

ほかにも、御指摘いただきました点がございました。神津委員から、細かくいろいろいただきました。全て反映できるかどうかわからないのですが、例えば神津委員から配っていただきました意見書の10ページにあります「配偶者の就労意欲を抑制するという負の効果等も見極めつつ」という文言については、私も入れたほうがいいかなと思うぐらいのところでして、ここについては再検討が必要かなと考えます。ただ、今回間に合わなくて次回になったらごめんなさいというところです。

あとのところにつきましては、ほかの委員の方々とも検討しますが、細かいところまですべて書き込めるがどうかについては、少しお任せいただければと思います。

ただ、1つだけ、在留管理のところで御指摘いただきました「労働行政」とか、「関係法令上の」という言葉があるのですが、法律についてここで言及することはどうかなと考えますので、この修文については前文のままということにさせていただければと思います。

あと、これは意見であり、感想なのですが、大槻委員からSNSなどを駆使した分かりやすいものはどうかという提案を受けました。実は私は、起草委員をさせていただいていて、いつも自分自身も揺らいでしまうのですが、この建議の文章は誰向けに書いているのだろうかと。国民といっても、国民の誰のことを言っているのか、大学生なのか、高校生なのか、それとも興味のある人なのか、ない人なのかで書き方は全然違ってくるだろうと思います。雨宮委員がいる前であれですけれども、BOEのホームページがレイヤーごとに分かれていて分かりやすくなっているのは参考になります。ああいうものを意識して、各レイヤーの下に、どんどん細かく見ていけるようなやり方を工夫していけたらいいなと思っていて、これなどについては次回以降の課題にできたらと思っています。

以上です。ありがとうございます。

〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございます。

本日、いただいた意見ですけれども、幾つかの問題については、処理の方向性について、今、起草委員から御紹介ございました。まだ中で議論しなければいけないので、確定案はお見せできませんけれども、そういうことで処理させていただきたいということ。

あと、そのほか幾つか御意見いただいていますが、皆様方にお諮りをしたいのですが、最終的な修文等につきましては、是非会長に御一任ということにさせていただいて、この建議の取りまとめについて、お手元に配付している案で基本的にやらせていただきたいと思っていますが、よろしゅうございますか。

(「異議なし」の声あり)

〔 増田分科会長代理 〕 それでは、会長御一任ということで処理をさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

今年の9月から、この分科会を開催してきましたけれども、一応、こういう建議の形にまとめることができましたので、最後に締め括りで榊原会長から一言御挨拶をお願いしたいと思います。

〔 榊原分科会長 〕 委員の皆様におかれましては、これまで大変熱心に御議論いただきまして、感謝申し上げたいと思います。特に、建議を取りまとめていただいた起草委員の先生方には改めて感謝を申し上げたいと思います。

また、本日、委員の方々から様々な御意見をいただきました。この後、修文の時間もとっておりますので、御相談をして、極力、皆様方の意見を、適切な形で反映に努めたいと思いますし、重要な御指摘については、反映しない場合でも、老川委員から御指摘あったように議事録で記載いたしたいと思いますので、後ほどまた、まとめて御報告をさせていただきたいと思います。

今回の建議では、本日も議論がございましたけれども、2つのポイントがあります。1つは、平成31年度の予算編成は、平成最後の予算編成ということで、平成30年の財政を振り返りながら、新たな時代では財政を悪化させてしまった過去の過ちを繰り返さないようにする必要があるということを強調しています。それから、もう1つ、2025年度の国・地方を合わせたPB黒字化目標の達成に向けて、「背水の陣」という言葉を使っています。したがって平成31年度予算編成については、「骨太2018」で策定した「新経済・財政再生計画」に則って予算編成を行う必要があるとしており、これら2点を建議のポイントとしております。

それから、社会保障をはじめとした各分野につきましても、密度の濃い議論を行っていただきまして、平成31年度予算編成に向けた歳出改革の方向性を示すことができたと思っております。

財務省におかれましては、この建議を踏まえて、しっかりと平成31年度予算編成に反映をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

それから、この後、委員の皆様を代表いたしまして、起草委員会の先生方とともに鈴木財務副大臣にこの建議書を手交させていただくことになります。この建議に示されたメッセージを、しっかりと改めてお伝えをしたいと思っております。

また建議では、この審議会の役割について、将来世代を負担の先送りによってもたらされる悲劇から守る代理人でありたいという考え方を示しております。そのためにも、本日も御議論いただきましたけれども、この審議会の発信力の強化を含めた審議会の体制とか、運営の在り方を改革していく、そのようなことを辞さない覚悟だということも明記しております。

したがいまして、今後、この審議会の改革の方向性につきまして、先日、分科会でも委員の皆様から幾つかの御議論をいただきましたが、この建議を起草いただいた起草委員の先生方と、増田分科会長代理に、まず審議会の改革の方向性について御議論をいただいて、アイデアを整理していただきたいと思います。年明けの分科会はまだ日程が決まっておりませんけれども、その場で増田分科会長代理からアイデアを御紹介いただいてはどうかと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

〔 榊原分科会長 〕 それでは、よろしくお願いいたします。次回の会合前に、アイデアをまとめていただきたいと思います。

また、委員の皆様からも是非、審議会の運営、在り方についてこうあるべきという御意見がございましたら、事務局のほうにお寄せいただきたいと思います。

それでは、起草委員の皆様方、増田分科会長代理には、引き続き鈴木財務副大臣への建議書提出がございますので、御準備をよろしくお願いいたします。

それから、本日の会議とは直接関係ないですけれども、2025年の万博の投票が今月23日、金曜日にございます。私が誘致委員会の会長を務めておりまして、明日からパリにまいりますが、是非勝ち取るように頑張ってまいります。国民のマインドに対して相当ポジティブな効果があると思っていますので、是非応援をしていただきたいと思います。良い報告ができるように頑張ってまいりたいと思っております。

本日は、本当にありがとうございました。

〔 増田分科会長代理 〕 どうもありがとうございました。

それでは、以上で本日の議題は終了とさせていただきたいと思います。

ただいまの会長の挨拶からありましたとおり、この後、会長と私と、それから起草委員で鈴木副大臣に建議をお渡しして、その後、記者会見をする運びとなっておりますので、御了承いただきたいと思います。

なお、本日お手元に配付しております建議(案)ですが、建議(案)の見え消し版と、それから溶け込み版と2つあると思うのですが、恐縮ですが、保秘の観点から会議後回収ということにさせていただきたいと思います。お持ち帰りにならず、机の上にそのまま置いていただきますようにお願いしたいと思います。建議については、本日事務局において印刷、そして製本の後、明日以降できるだけ可及的速やかに皆様方に送付したいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

以上で、本日の会議を閉会したいと思います。どうもありがとうございました。

午前11時05分閉会