財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録
財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第
平成30年10月16日(火)10:00~12:10
第3特別会議室(本庁舎4階 中-412)
1.開会
2.議題
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外交関係
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農林水産
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社会資本整備
3.閉会
分科会長代理 |
増田寛也 |
伊佐大臣政務官 渡辺大臣政務官 太田主計局長 阪田次長 宇波次長 奥総務課長 安出司計課長 阿久澤法規課長 中澤給与共済課長 一松調査課長 西山参事官 寺岡主計官 日室主計官 北尾主計官 斎須主計官 前田主計官 中島主計官 吉野主計官 関口主計官 森田主計官 岩佐主計官 内野主計官 渡邉主計企画官 佐藤主計企画官 |
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委員 |
倉重篤郎 黒川行治 佐藤主光 角 和夫 武田洋子 竹中ナミ 土居丈朗 中空麻奈 宮島香澄 |
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臨時委員 |
秋池玲子 井堀利宏 老川祥一 大槻奈那 加藤久和 小林 毅 末澤豪謙 十 河 ひろ美 田近栄治 田中弥生 冨田俊基 神子田 章 博 吉川 洋 |
午前10時00分開会
〔 増田分科会長代理 〕 定刻になりましたので、会議を始めたいと思いますが、本日、冒頭、カメラが入りますので、そのままでお待ちをいただきたいと思います。
(報道カメラ 入室)
〔 増田分科会長代理 〕 ただいまから、財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。
本日は、お忙しい中御出席をいただきまして、ありがとうございます。
本日は、外交関係、農林水産、社会資本整備、この3つを議題としております。
また、冒頭から、今回の内閣改造によりまして政務官に御就任をされました方にお越しをいただいております。御出席賜りまして、誠にありがとうございます。
私のほうから御紹介をさせていただきます。まず、伊佐政務官でございます。
〔 伊佐大臣政務官 〕 伊佐です。よろしくお願いいたします。
〔 増田分科会長代理 〕 渡辺政務官でございます。
〔 渡辺大臣政務官 〕 渡辺です。御指導ください。
〔 増田分科会長代理 〕 どうもありがとうございます。
それでは、報道関係の皆様方、ここまでとさせていただきますので、御退室、よろしくお願いいたします。
(報道カメラ 退室)
〔 増田分科会長代理 〕 それでは、審議に先立ちまして、昨日閣議決定されました30年度の補正予算(第1号)について、一松課長から説明をお願いいたします。
〔 一松調査課長 〕 調査課長でございます。資料1に沿いまして、昨日の閣議で概算の決定がなされました今年度の第1号補正予算について、御説明させていただきたいと思います。
お進みいただきまして、1枚目の一般会計のフレームでございます。左側にございます歳出面の補正につきましては、1つ目の柱といたしまして、災害からの復旧・復興がございまして、7月豪雨、北海道胆振東部地震、台風21号、大阪北部地震などの災害への対応が盛り込まれております。2つ目の柱といたしまして、学校の緊急重点安全確保対策がございまして、熱中症対策としてのエアコン設置、倒壊の危険のあるブロック塀改修等の対応が盛り込まれております。3つ目の柱といたしまして、今後の災害対応等を勘案した予備費の追加を行うこととしておりまして、全体で9,356億円の追加となります。
次に、右側にございます歳入面の補正につきましては、建設公債を発行するとともに、前年度決算剰余金の一部を活用する等の対応を行うこととしております。
歳出の具体的な中身につきましては、2ページ目以降を御覧いただきたいと思います。補正予算の1つ目の柱の災害からの復旧・復興のうち、(1)といたしまして7月豪雨への対応につきましては、生活の再建、生業の再建、災害応急復旧、災害救助という4項目から構成されております。生活の再建の具体的内容といたしましては、1つ目の丸にございますが、産業廃棄物の処理や廃棄物処理施設の普及などが盛り込まれております。生業の再建の具体的内容といたしましては、グループ補助金や資金繰り支援など中小企業等の支援、さらには農林漁業者への支援が盛り込まれております。
(2)平成30年北海道胆振東部地震への対応についても、対応に万全を期すための項目立てが並んでおりますが、1つ御紹介申し上げますと、3つ目の丸にございますとおり、厚真町等で発生した大規模な山腹崩壊への対応などが盛り込まれております。
(3)台風21号、大阪北部地震等対応につきましては、4つ目の丸にございますとおり、台風21号の影響により、タンカー船が衝突した関空連絡橋の復旧支援などが盛り込まれております。
補正予算のもう一つの柱であります学校の緊急重点安全確保対策でございますが、本年の猛暑によりまして、自治体によっては学校におけるエアコンの設置が進んでいないことが明らかになりました。また、大阪北部地震の被害によりまして、建築基準法に適合していないブロック塀が小学校等に存在しているという問題も明らかになりました。これらへの緊急的な対応といたしまして、熱中症対策としてのエアコン設置、倒壊の危険性のあるブロック塀対応が盛り込まれております。
予備費につきましては、当初予算において3,500億円計上していたところですが、既に現時点でこれらの災害対応等のために2,000億円弱を使用しておりますことから、予備費を1,000億円追加させていただくこととしております。
以上、御説明した内容で、合計9,356億円の歳出ということになりまして、昨日、概算の閣議決定をいただきまして、今後さらに補正予算の国会提出へ向けて作業を進めていく段取りとなっております。なお、昨日の臨時閣議におきましては、総理から、来年10月の消費税率引上げとそれに伴う対応について、あらゆる政策を総動員し、経済に影響を及ぼさないよう全力で対応する旨の御発言がなされたところであります。
私からの説明は以上になります。
〔 増田分科会長代理 〕 御苦労さまでした。
それでは、外交関係、農林水産、社会資本整備の順に審議に入って、必要であれば補正予算に関しても御質問いただければと思います。
まず外交関係について、北尾主計官、説明をお願いします。
〔 北尾主計官 〕 外務・経済協力担当の主計官の北尾でございます。私からは、外交関係、外務省予算の課題について説明させていただきます。
まず、資料の1ページでございますけれども、予算の課題に入る前に外交政策の前提となる国際環境等についてでございます。
左上から見ていただきますと、ロシアとは北方領土問題や平和条約、北朝鮮とは核・ミサイル問題、拉致問題、中国とは深い経済関係の一方で軍事力の拡大等もございます。右側、米国とは日米同盟が基軸でありつつも、トランプ政権下での米国第一主義、貿易問題等々があり、そのほかにも各地域で様々な課題を抱えています。
これらを踏まえて、上の四角い赤い枠の中で、外務省は重点分野として6分野を設定しております。特に、その中でも「自由で開かれたインド太平洋戦略」の推進については、米国やアジアとの首脳会談等でも言及されているところでございます。
続きまして、2ページでございます。このような国際環境のもとで、2019年、2020年の主要な日程ということでございますが、赤字で書いてある外交行事、これは例年にない行事でありまして、陛下の御退位、皇太子殿下の御即位が4月から5月にございます。10月には、この関連で即位の礼において、外国の賓客、代表団の来訪が多数見込まれています。また、6月下旬には、G20サミットが大阪で開催される。8月下旬の第7回アフリカ開発会議(TICAD7)にはアフリカ50カ国以上の首脳が来訪される予定となっております。
続きまして、3ページでございますけれども、このような中で外務省の平成31年度予算要求は、対前年度1,135億円の増となります8,102億円の要求をしている状況でございます。
以上を踏まえた上で、論点1のODA予算の執行管理ということでございます。
5ページをお開きいただければと思います。皆様、よく御存知の方も多いかもしれませんけれども、ODAの種類、大きく分けますと、バイの2国間支援、それからマルチの国際機関への拠出等に分けられますが、さらに2国間援助の中では有償資金協力、無償資金協力、技術協力に分けられます。予算の中では、無償資金協力と技術協力が大きなウエイトを示しているという状況でございますので、これらの予算の使われ方、金額の妥当性はよく見ていく必要があります。
そのような中で、次の6ページでございますけれども、国際協力機構(JICA)は、昨年の10月以降、2017年度内の支出を伴う新規契約を原則先送りするとともに、契約済みの企業に対しても、事業スケジュール延期や、年度内支出の圧縮を依頼したということがございました。これらにより、JICAは資金不足に陥っているのではないかと報道もされたところであります。
これは、JICAの内部で、2014年度の段階での執行残額を踏まえまして、2015年度から新規案件の採択を増加、加速させたということに起因します。技術協力のプロジェクトは5年から6年ぐらいかかるものが通常ですので、当然、新規採択は後年度に影響を及ぼすことになりますけれども、そのような影響も把握できないままに、その後の新規案件採択を適切に管理しなかったために、新中期計画1年目の2017年度の執行率が非常に上昇しまして、年度末には予算を超過しかねない水準にまで上昇しました。これを受けて、今度は同年度に急ブレーキを踏んで執行を抑制した、新規契約の抑制などを行ったことが報道されたということでございます。一言で言えば、当たり前にやるべきことができていなかったということでございます。
次の7ページですけれども、まずはJICAとして対応すべきことをまとめています。今年7月に予算執行管理室をJICAの内部に設置しまして、さらに大規模な案件は理事会に諮るということにしています。それから、外部有識者による「予算執行管理に関する諮問委員会」を立ち上げまして、さらなる改善策を検討しており、年内に提言を取りまとめて公表する予定ということになってございます。結論としては、独立行政法人、これは事業実施、財務運営に一定の自主性が確保されているということでございますので、まずはJICA自身が資金の逼迫を二度と起こさないように、後年度負担の適切な管理、把握を含めまして、予算執行、事業進捗管理を徹底すべきと考えております。これは、当たり前にやるべきことをきちんとやることに尽きるということでございます。
続きまして、8ページですけれども、今度はJICAを監督し、技術協力の案件選定を行う外務省のほうでもできることがあるのではないかということでございます。外務省の選定プロセスの中では、個別の技術協力案件ごとにA、B、C、Dの評価をつけることになってございます。A案件というのは、通常は予算上、円滑に全案件を実施できるもの、B案件というのは、案件内容は問題ないけれども、予算があれば実施していくものというのが、本来の評価基準ということになっております。ところが、実際に起こったことというのは、A案件を全て実施しようとしたら資金ショートを起こしそうになって、慌てて急ブレーキを踏んで執行抑制をかけたということでございます。
普通に考えれば、まず翌年度の予算額がありまして、そこから過去に契約した分の執行予定額を差し引いて、さらに一定の安全率等を見込んで、残った金額が翌年度の契約可能額であり、こういうものを見ながら案件選定すべきだと考えますけれども、この当然のことができていなかったということであります。左下の表がございますけれども、翌年度契約可能額が把握できていなかったということでありますので、JICAだけではなくて、外務省のほうもきちんと責任を持って案件選定を管理していくべきでありますし、我々といたしましても、案件リスト等の提出を求めて、今後チェックしていきたいと考えております。
今回の問題の根底にあるものは、やはりあればある分だけお金を使ってしまう、国庫に返納しなくて済むように、むしろ余らせないようにしようという意識、漫然と相場観だけで仕事を進める、こういうような体質とか、組織文化が本質的には問題なのではないかと考えております。それから、既に指摘しましたとおり、実務的な管理も問題としてある。さらに言えば、左下の表で言いますと、2017年度の選定案件数は157件となってございます。これは、いざ抑制しようとすればできた、政策的重要性、我が国の国益といった観点から、予算面でも効果の高い案件に重点化できる余地が十分にあるのではないかと考えております。このような観点からは、単にA、B、C、Dだけではなくて、A案件の中でも政策的重要性等に基づく分類を行うべきだと考えてございます。
そこで、9ページでございますけれども、こちらは外務省の指針「開発協力重点方針」が国益に沿って重点化できる指針足り得ているのかということでございます。実態としては、途上国のどのような援助要望にも隙間なくお応えできる文章となっております。途上国との関係もあるので、こういうものはこういうものとしてあって良いとは思いますけれども、他方でODAといえども国費を使っているわけでございますので、納税者の立場としては、見返りとして何が得られるのかという費用対効果や、それに基づく重点化というのはしっかり求めていく必要があると、このように考えております。
一般論としては、相手国国民の心に残る、心に刻まれるような質の高い案件に重点化するということだと思いますし、戦略的観点というのも別途あって良いと思いますので、例えばインド太平洋地域の海洋の安全保障や、我が国の国益にも資する、相手国の発展にも資する、こういう案件に重点化していく、例えば、「戦略枠」、「一般枠」という切り分けで重点化を図っていくというのも一つの考え方なのではないかと考えております。
続きまして、11ページ、2つ目の論点、国際機関等の分担金・拠出金についてでございます。
これは特に任意拠出金の方の話でございますけれども、こちらも重点化が必要という、問題点としてはやや似たような側面がございます。これは、過去の財審でも御指摘いただきまして、外務省は国際機関の評価基準と評価結果を公表しておりますけれども、左下の表を御覧いただくと、B評価に偏ってきている傾向がございます。この外務省による評価というのは全体の総合評価だけが開示され、それとともに、真ん中の青い四角枠の中で評価基準は開示されていますけれども、評価基準ごとの評価というのはなかなか表に出てきていません。これが開示されていれば、見る人が見れば、この国際機関はそんなに影響力は大きくないとか、この機関は日本人職員が重要ポストにいないということで、総合評価A、B、C、Dの妥当性もより検証しやすくなる。それに基づいて、適正な評価に基づく予算の重点化を図ることも可能なのではないかと、このように考えております。
総合評価がAからBにダウングレードしているような機関、資料の右下でございますけれども、こういうところでも増額要求となっている機関がありますので、適正な評価、妥当な評価にするとともに、それを予算に反映させるということを取り組んでまいりたいと、このように考えてございます。
また、12ページで参考として掲げておりますけれども、定量的評価というものも、客観性を高めていくために検討していってはどうかということです。一案として、我が国の拠出と比べて、その国際機関が日系企業からどの程度調達しているのかということを掲げてございます。特に、任意拠出金につきましては、このような指標や、調達のための努力、周知・広報を徹底しているのか、説明会を開いているのか等々の努力が適切に行われているのかということも、拠出の前提となるよう評価基準の一つとして検討してはどうかと考えてございます。
最後に論点3でございます。14ページ以降になりますけれども、こちらの論点としては、定員を増やしてほしい、それから在外公館の数を増やしてほしいという、毎年出てきている要求でございます。
ただ、定員につきましては、左上のグラフの中で青の折れ線グラフにございますように、政府全体としては非常に抑制的に定員を管理してきている。こういう中で、外務省の定員、これは同じグラフの赤の棒グラフになりますけれども、ここ数年では相当程度配慮してきている状況にございます。もちろん、外交実施体制の強化という目的自体は大変結構なことではありますけれども、近年はメール、それから電話会議、テレビ会議と遠隔地でも直接やりとりできるツールも非常に充実してきてございます。また、電信等をはじめ各種システムを導入してきております。こうした実態も踏まえて、まず幅広い人員の再配置等の検討も必要だと考えてございます。
また、公館の新設につきましては、右上の方のグラフになりますけれども、以前はイギリス、ドイツ並みの在外公館数にしたいという考え方に基づいて要求が行われてきたわけですけれども、現在、もうそれが実現している。そうなると、今度は250を目指して公館を増やしたいという要求になってきているわけでございます。右下の円グラフでお示ししておりますけれども、例えば我が国が大使館を設置していない国と我が国との結びつきということで見ますと、人的、経済的結びつきというのは残念ながら薄い。限界効用という意味では低いというのが現状でございますし、我が国のリソースも限られておりますので、是非限られたリソースの中で戦略的に配置を考える。中国が大使館を置いているから日本も大使館を置きたい、こういう考え方も分からないではないですけれども、単に横並びと相場観の発想に基づく要求ではなく、限られたリソースの中でどう効率的に配置していくか、是非こういう視点、発想を求めていきたいと考えてございます。
16ページには、これまで議論させていただいた内容をまとめてございます。
私からの説明は以上でございます。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
これ以降、御意見や御質問を頂戴しますが、本日の議論に関して、欠席の赤井委員、神津委員から意見書が提出をされております。お手元に配付されているかと思いますので、そちらもお目通しをいただきたいと思います。
それでは、外交関係のところについて、御意見がある方はネームプレートを立てていただければ幸いです。田中委員、小林委員、黒川委員、老川委員の順番で指名していきます。
田中委員、どうぞ。
〔 田中委員 〕 6ページのJICAの予算管理問題について述べたいと思います。確かに御説明あったように、かなりずさんな管理だとは思うのですが、私が一番疑問に思ったのは、この10%ぐらいの振れ幅なのですけれども、この幅に対してなぜ組織の外のコンサルタントに犠牲を強いらなければいけなかったのかというところであります。ODAというのはかなり不確実性の高いものなので、普通はリスクバッファーを持って、10%ぐらいのぶれであれば、組織の中の資金でカバーするものだと思います。これができないというのは、単年度主義のカルチャーが残っているのではないかと思います。JICAは独立行政法人ですので、5か年計画に基づけば繰越しは可能で、ある程度の留保はできるはずなのに、それができていなかったということが問題で、これはJICAの中での組織文化の問題か、あるいは外務省からの指導があるのか、このあたりを明確にして、リスクに対応できるような予算管理の体制を持つべきではないかと思います。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
次、佐藤委員、お願いします。
〔 佐藤委員 〕 では、時間も限られているので1点だけ。
在外公館のところですけれども、やはり業務の内容を精査したほうがいいのかなと思います。つまり、同じ在外公館でも、やっている仕事の量が違う。例えば、パスポートを発行するだけであるとか、たまにパーティーをやるだけだったらその公館の必要性は低いはずなので、公館の数とあわせて定員の配置と、あとは中でどんな業務をやっているのかを精査し、小さいほうからカットしていくか、業務量の多いほうにむしろ機能を重点化していくとか、そういった思考があっていいのではないかと思いました。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございます。
小林委員、お願いします。
〔 小林(毅)委員 〕 国際機関の評価の話ですが、前はAに集まり過ぎるというのが、今度はBに少し寄ってきたと。これは、いかにも人情というか、我々もそういうところがあるかなという気がしながら聞いておりました。ただ、その場合に、評価基準は分かっているのだけれども、その評価基準ごとの評価が開示されていないということのほうが問題であります。基準ごとの評価結果が開示されるということは、ただ単に予算の執行だけではなくて、外交政策全般の評価にもつながっていくと思うのです。したがって、これを開示しなくていいという理由が分からない。まず、この開示は求めていく必要があるのではないでしょうか。それが出せないようなことはないと思いますので、是非その点を強く求めていってもらいたいと思っております。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございます。
黒川委員、お願いします。
〔 黒川委員 〕 資料が大変充実しておりまして、勉強になりました。私は総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会委員を10年ぐらいやっていたのですけれども、そのときにJICAの担当にもなったことがあって、それを踏まえて2つ、少し細かい話ですけれども、意見を述べたいと思います。
1つは、日本は、お金は出していても現地であまり評価されていないということを聞きました。それを改善するためには、もっと宣伝効果を上げるようなことをしたらどうかという意見もあります。これは確かにそのとおりだし、今回もその方向性を感じます。さらに言うと、お金を出すだけではなくて、人も一緒に送るということが評判を上げることには大切だし、やはり人と人とのつながりがあると長期的なつながりができると思います。
ここの審議会でもいろいろな意見が出ていて、海外青年協力隊のようなところの予算をもっと充実したらどうかという意見が出たときに、数年前から大量に退職しているシニアの方々がノウハウを持っているから活用したらどうかという話になった。シニアがどれくらい退職しているのか調べていただいたところ、シニアの方々が200人から300人ぐらい減っているようです。一方で、1人当たりの待遇改善は進んでいる。
このシニアの方々の活用という話に関して、僕の友人たちが皆大量に退職しているのですが、商社などに勤めていた人の話を聞くとやはりおもしろいのですね。例えば、友人の1人は、インドネシアに十何年いて材木をいっぱい輸入したと言っていました。彼らはすごくいろいろな情報を知っている。現地のニーズは、大使館でもJICAの人たちでも把握しているとは思うのですけれども、65歳から70歳ぐらいの海外経験が豊富な方々の意見を聞くといった、国内で意見を聞く制度みたいなものを、もっと大々的に宣伝して懇談をする。
つまらない話ですけれども、そういう友人、知人たちは、もう65歳を超えると名刺に何も書くことがなくなってしまうのです。65歳を超えると社会的に少しでも貢献したいという気も出てくるので、お金よりも何か名刺に懇談会オブザーバーとか、委員とかと書けるとモチベーションが上がる。これが1点。
長くなりますが、もう1点だけ。ボランティアの各国からの要望、派遣要請の資料もいただいたのですけれども、1番はコミュニティー開発で、2番目は小学校教育なのですね。2番目は小学校教育のために来てくださいと言っているわけですけれども、数年前、カンボジアに旅行に行ったときに、小学校の教員になるような人がいないということを知りました。だから、お金を出して小学校の建物をつくっても、本当に教員がいない。ポル・ポト時代のこともあって、その世代に教員になるような層がいなくなっている。それから数年たっているので、大分改善は進んだと思うのですが。教育というものは、直接ではないけれども、長期的に見て非常に重要です。
そこで、1つ提案ですけれども、現地に人を送るだけではなくて、そういうところの先生方を日本に招いて、日本の初等教育のノウハウを学ぶ機会を提供するといったことも大事なのではないかと思うのです。今の日本の社会はすごく素晴らしいので、彼らは理想みたいな状況を見て帰って、現地でノウハウも含めて子供たちにお話しすると、もう倍々ではなくて何十倍という親日家が増える効果もあるかもしれない。そういうわけで、外に出ていくだけではなくて、お呼びして日本のノウハウを教える。これはJICAや文部科学省、あるいは厚生労働省などがやっていらっしゃるかもしれませんけれども、そういう意見があったということだけ受け止めていただければと思います。
長くなりまして、失礼いたしました。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
それでは、老川委員、大槻委員、中空委員、神子田委員、冨田委員。
〔 老川委員 〕 11ページの国際機関の分担金・拠出金について、小林委員からも御意見ありました。評価基準をもう少し透明化して適正化させるというのは大事なことだと私も思うのですが、同時に、現実に費用対効果どころか不効果、つまりマイナスの効果とでも言ったらいいのかと思うのですが、お金を出して日本が悪口を言われる、そういうケースがここのところ続いているのです。
例の世界記憶遺産ですか、あれも見当違いな対日批判が専門委員会から出されている。加えて、2年ぐらい前でしたが、人権委員会から日本には報道の自由がないと、こういう奇妙な報告書が出て、放送法があるから日本には報道や放送の自由がないと。民放連とか、正式な機関はそういうことはないのだとさんざん強調しているにもかかわらず、1点もそういうことは反映されないで、専門委員なる学者の言うとおりの報告書が出されて、日本が全く民主国でないかのような誤解を生じさせているわけです。
これは多分、任意拠出ではなくて分担金のほうだから、簡単に削ったりするというのはできないのかもしれないのだけれども、少なくとも、報告書には当事国の言い分であるとか反論であるとかいったものをきちんと反映させるとか、専門委員の選び方自体、当事国として意見を言えるようにするとか、何かそういうことをやってもらわないと、お金を出しておいて見当違いの批判を世界中に振りまかれるということは受け入れがたいと思うので、その辺りを是非お願いしたいと思います。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございます。
大槻委員、どうぞ。
〔 大槻委員 〕 9ページ目のSDGsの関係で、神津委員も事前の意見書で出していた点でありますけれども、重点項目に載っていますけれども、これは是非とも全力で集中していただきたいということであります。理由としては、先ほどの防災の観点からいっても、日本は特にこの意識が高いエリアでありますが、株式市場で見ていると、欧州ではSDGsなりESG投資というものが、もうファンドの半分以上を占めるような状態なのですが、日本ではいまいち意識や盛り上がりが低いと感じております。重要度からいったらもう少し盛り上がって良いのかなと思うのです。これらは、9ページ目に書いていただいていますような単年度での費用対効果計測には、多分、最もなじまない項目の一つであり、相当長い目で見ていかないといつの間にか重点項目から落ちていってしまうのではないか、ということを心配してしまう次第でございまして、改めてここを強調していっていただきたいと思います。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございます。
中空委員、お願いします。
〔 中空委員 〕 11ページの国際機関等の分担金・拠出金に対する評価のところですが、評価基準の中に、日本人がどれぐらいいるかとか、日本の拠出金等の執行管理等々という指摘があって、これは当たり前だと思うのですが、一方で、先ほど老川委員からもありましたけれども、日本というのは、お金を出すだけというところもあります。中国がAIIBであれだけプレゼンスを上げていることを考えると、どういう日本でありたいか、どういうように見られたいかというストラテジーが必要ではないかと思います。なので、評価基準で言えば、国際機関等の専門分野における活動の成果・影響力というところのストラテジーをしっかりと持つ必要があるにもかかわらず、それをやらずして形だけ整えるので、どうしても日本企業による落札額もついてこないのではないかと思います。そこをもう1回固めることから始めるべきではないかと考えました。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございます。
神子田委員、お願いします。
〔 神子田委員 〕 外務省の費用対効果の問題についてお話ししたいと思います。
効果を測るときに、例えばその国から日本にたくさん観光客がやってきてくれるというような金銭面で換算できるものとともに、日本の価値観を世界に広げていくという効果も考えなくてはいけないと思うのです。最近、日中関係が改善していますが、やはり基本的な価値観の対立というのはあります。中国はは全体主義であり、共産党の一党独裁であり、ペンス副大臣がこの間言ったように報道の自由もないし、宗教の自由もないところです。
これに対して、日本は民主主義と自由経済の国であります。こういった価値観を広めていくということは、すぐにお金につながってくるものではないですけれども、長い目で見て日本の国益につながるものだと考えます。ただ、それは別に外務省の定員を増やせば問題が解決するということではありませんので、どうしたらその目的に合致した業務になるのか。先ほどJICAのところで旧来の仕事を漫然と続けているというようなところがあり、今回も158人の増員要求ということでした。これは、外務省に限ったことではないのですが、一旦、総員というか総枠を決めて、どれが重要でどこに配置したらいいか考えさせてみればいいのだと思います。そしたら、重要な業務に人を充てるというか、どこが重要かというのを真剣に考えるのではないかと思います。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございます。
冨田委員、お願いします。
〔 冨田委員 〕 JICAの問題についてですけれども、主務省との関係というのは、やはり独立行政法人の制度との関係で考える必要があろうかと思います。国の仕事を企画立案と執行に分離いたしまして、執行面においてはより自由裁量度と自主性を高める。その一方で、事後評価を厳しくするということで、21世紀になってからできた制度なわけです。
ところが、本日、御指摘ありましたように、7ページの資料にもあるのですけれども、執行面において、予算編成配分時の積み上げが甘く、また、予算の実行の乖離は独立行政法人化に伴うものだという指摘は、私は大きな方向としてはこのとおりだと思うのです。つまり、予算として、多年度や中期目標期間といった形で、大括りで予算を決めてしまう。そうすると、国会の統制がきかないのです。これは、戦前、我が国では海軍予算とか陸軍予算があったのですけれども、戦争が終わるまでの多年度予算なのです。だから、国会では、当時は議会ですけれども、統制がきかない状態が続いてしまった。そういう執行面で自由度を与え過ぎたことで、国民からの統制が及びにくくなっているということが大きな背景にあるということです。
それと、企画立案の問題ですけれども、8ページ、9ページにそのことが書かれて、ダイレクトには書かれていないですけれども、結局、主務省としては、執行主体から上がってくる、現場の声に応える、つまり要請主義という援助の傾向に陥ってしまって、我が国の政策で重点方向といったものがあまりにも浸透しないということがやはり問題だったと思うのです。
ですから、独立行政法人の問題は企画立案と執行を分けて、主務省は主務省としての役割をやはりきっちりやらなければならないということが問われていると思うのです。どうも独立行政法人という名前に皆惑わされてしまっているようですが、私は、本質は行政に従属する、行政を効率的に執行する法人として位置づけられるべきものだと思うのです。もちろん、自主的にやったほうが効率的に、より国民負担が少なくて実行できるのであればそのとおりなのですけれども、果たしてそうなのか。つまり、多年度大括り予算ということの問題点がここにあらわれていると思います。
〔 増田分科会長代理 〕 最後に土居委員、お願いします。
〔 土居委員 〕 論点3の外交実施体制の抜本的強化というところに関して、先ほど来、議論がありますけれども、外務省の定員を単に増やすだけではなくて、効率的な人員配置も検討していただくべきだと思います。特に、各国の館員数をどうするかは極めて重要で、最近は在外公館の数を増やすという方向に重点を置いてきたところがありましたから、館員数の配置や、特に先進国に置かれた大使館の館員数についてはあまりうまく目配せが行っていなかったのではないか。実態は、いわゆる外務省のプロパーの職員だけではなくて、各省から出向しているアタッシェが大使館におられるわけで、そういう方々が本省の方針を酌みながら各国で活動されている。したがって、アタッシェの配置なども工夫をすることで、むしろ全体としての日本の外交力が高まってくると思いますので、各国の大使館の館員数をどのように工夫して効率的に配置するかというところも、あわせて検討していただきたいと思います。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
それでは、一旦ここで区切って、続いて農林水産の審議に入りたいと思いますので、よろしくお願いします。説明は、森田主計官からお願いします。
〔 森田主計官 〕 資料3を御覧ください。農林水産予算の担当の森田です。よろしくお願いいたします。
1ページ目おめくりいただきまして、目次でございます。1.の全体像を御確認いただきました後で、2.の米政策、それから3.の農地中間管理機構、この大きく2つの点について、昨年秋や今年の春の財審でも触れさせていただきました流れですけれども、メインに御審議いただければと思います。それから、足元で進んでいる4.の水産改革につきましても、予算編成上の課題を簡潔に御説明できればと思います。
2ページ目でございます。農業生産構造の現状ということで、左側に黄色でハイライトをしてございますけれども、農業就業人口が減少、高齢化が進んでいるという現状。右側にピンク色でハイライトしてございますが、都府県の経営規模が農家1戸当たり1.6ヘクタールという規模になってございまして、今後の課題としては、担い手の確保と大規模化等による生産コスト低減が引き続き課題となっているということでございます。
3ページ目、農業生産構造の現状でございます。左側の円グラブでございますけれども、黄色の米は単品としては引き続き一番の品目でございますが、ウエイトを下げてきておりまして、現在、2割を割るぐらいの生産規模になっています。右側にまいりますと、農家の戸数ですと引き続き6割程度が圧倒的に稲作を行っている現状。右下、財政面でございますけれども、予算措置として、米そのものだけではなくて、麦ですとか、大豆ですとか土地利用型農業全体でございますが、直接的な補助金が6,000億円上回る規模、その他の例えば緑色で示しているような野菜ですとか果実といったものが右下、240億円程度ということに比べますと、こういった土地利用型農業に充てられている予算、これを中心的に考えていくことが課題になってございます。
1つ目の課題として、米政策、5ページ目でございます。転作助成金の現状までの経緯ということで表してございますけれども、左側に2つほど青い矢印と緑色の矢印で説明がございます。昭和46年から国が米の作付面積を削減するということで、いわゆる減反が始まっております。その後、様々な制度改正、流通、備蓄の見直しなども経まして、ほぼ50年ぶり、正確には47年ぶりに、今年、国による生産調整の数量の配分というものからようやく抜け出たということ、これはエポックメーキングなことでございます。
ただ、すぐ右側にございます緑色の矢印、この転作を可能にならしめる財政面での助成措置として、転作作物への助成が同じく昭和46年から始まってございます。その途中で若干、性格などを変えておりますけれども、下にまいりまして、赤く囲った部分、現在でも水田活用の直接支払交付金という形で継続されています。右側に、その概要と要求額がございますが、3,000億円を超える規模の予算がここに張られているという現状にございます。
こういった固まりを、今後、どのように質を高めていくか、見直していくかということが課題になってございます。
この単価の設定について、次の6ページ目に、春の財審でも御説明申し上げている点ですが、御確認いただきたいと思います。一番左側、1反当たり10アールから生まれる主食用米の収入、毎年の米価で変動いたしますけれども、足元ですと11万8,000円、経費を差し引いて5万円の所得になります。これと同じような所得を確保するインセンティブ措置を講ずることによって転作を進める、こういった発想で単価を組んでおりますので、例えば左側から3つ目、飼料用米、いわゆる餌米と称しているものですけれども、マーケットバリューはこのベースですと販売収入7,000円にしかなりませんけれども、8万円の単価をインセンティブとして措置することによって、手取りの所得を3万2,000円、主食用米と同等のようなものに近づけていくということになってございます。
それから、一番右側ですけれども、飼料、餌を国産のもので自給率を高めていくという目標もあわせて入ってきてございまして、より収量が高いものにはさらにインセンティブ措置を乗せることが行われている結果、一番右ですと単価ベースで11万7,000円、こういった高い単価を張っています。そういたしますと、一番左側の米そのものに比べまして非常にインセンティブが効いているといった状況になってございます。
転作を推進するという観点からは、こういった助成でもって達成されている成果もございますけれども、インセンティブが少し行き過ぎた面が生まれているのではないか。そもそも減反をやめた後のあるべき姿としては、農家自身がマーケットで望まれるものを自分の経営判断としてつくっていく必要があるが、こうしたことをゆがめているのではないか。あるいは、最後に申し上げました餌を自給にしていくという観点からも少し見直しが必要ではないか。以上のような点から、今年の予算編成に臨みたいということでございます。
7ページ目には、今、申し上げました転作を助成するインセンティブをつけることの結果で、水田がどのように活用されているかということを平成22年と平成30年、上の2つのグラフで比較してございます。一番左側に、普通の主食用米の面積、右側の赤で囲った部分が転作の結果として膨らんできている部分です。足元では、4割程度が転作のほうへ回っているわけでございますが、真ん中ほどにあるオレンジ色の部分、1.5万ヘクタールから8万ヘクタールに急速に拡大している部分、ここがいわゆる餌米に当たる部分でございます。
転作の目的は達成しているという結果ではございますが、先ほど申し上げた行き過ぎた部分について、下を御覧いただきますと主食用米の生産量の推移がございます。緑色の部分は、日本国の中で主食用米の需要量ということでございますが、それに対応する青い部分、主食用米の生産量でございます。水田が余っている中で、過剰な供給が行われてきたという歴史がありますけれども、足元ではオレンジ色の部分、餌米の作付が増えた結果、緑と青の需給のギャップが逆転してございまして、過去3年、27年、28年、29年、赤い矢印でお示ししているところでは、国内の需要量に対して生産量がなされていないというオーバーシュートのような弊害も出ているということであります。
8ページ目に、その副作用、弊害といったものをもう少しお示ししてございます。下に2つ折れ線グラフがございますが、青の線が長期に渡って米の消費量、需要量がずっと減ってきているという現状でございます。直線で示しているのは回帰分析を掛けたトレンドでございますけれども、各年、8万トンベースぐらいで減ってきているというのが現状でございます。
そのような中で、米をつくり過ぎている傾向の結果、赤い線、米の価格でございますけれども、こちらも長期では低下してくるというトレンドがございました。先ほど申し上げました需給のミスマッチが、若干オーバーシュートで逆転現象を起こしている。このような結果、ここ3年間を御覧いただきますと、米価が非常に高騰しているという現状がございます。さらに、そのあおりを受けて、米価の高止まり、米離れが進んだ結果、青い折れ線もトレンドをさらに上回るようなペースで落ちてきている。農林水産省としては、米の需要をできるだけ増やしていきたい、とどめていきたいという思いがあるわけですが、こうした弊害が残念ながら足元では生じているということになります。
今年が減反初年度になりますが、右下に日経新聞の記事の抜粋を御紹介していますとおり、4年連続で今年も米価は上昇しそうだということでございますので、若干このような行き過ぎの面があるということでございます。
ここからは、どういった方向性に変えていくべきかということをお示ししているもの、9ページ目はまず高収益作物への転換ということで、やはりマーケットで望まれるものに農家が自分の判断でシフトしていく、こういった姿をどうつくっていくかということでございます。
9ページ目、左側のほうは静岡県の事例でございますが、ハイブリッド型で付加価値を高めている例があるということでございます。一番左下には、春、夏、秋、冬、春とシーズンでどのような作付をしているかというイメージ図でございますが、例えば水田のほかにトウモロコシを導入する、裏作、冬の間にレタスを一部に導入する、そしてまた、その裏にコーンをつくるということで、畑、水田の栄養も保ちながら、さらに付加価値を上げている事例でございます。
こういったことを進める上で、右上にございますようなところがポイントになります。主食用米は11万8,000円と申し上げました。それに比べますと、同じ面積からとれるレタスは49万5,000円ということで圧倒的にマーケットバリューは高いわけでございますが、1つの大きなポイントは、緑でハイライトしている部分、非常に労働集約的な方向へシフトする必要がございます。米作であれば、1反当たり24時間で済んだものが146時間となりますけれども、先ほど左下で御覧いただきましたように、一部でこういった経営に取り組むといったこと。それから右下にございますように、稲をつくるためにつくられた資本装備である水田、これを野菜に適したような状態にするための事業、ここでは水田の汎用化ということで野菜や麦などにも適した状態にする、こういった事業も既存事業のメューの中にはあります。このような後押しでもって、農家自身の経営判断による作付へ移行する、こうしたケースを広げていくことが良い方向性ではないかというのが1点でございます。
次の10ページ目には、餌の需給、飼料の需給を国内産に移していく、こうしたことも課題であるということを触れさせていただきましたが、そのような観点からも見直しができる点があるのではないかということです。左側に、コストと労働時間の比較ということで、飼料用米のほかにトウモロコシなどを例に挙げてございます。コストの面でも、労働時間の面でも、統計的にはこういったものの比較優位は分かっている。それから、右側に少し目を転じていただきますと、1反当たりから生まれる作物、収入ベースですと7,000円にしかならない餌米に対して、3万7,000円ということで付加価値も高い。その結果、赤い部分、助成の単価ですけれども、8万円に対して3万5,000円ということで、財政的な持続可能性もこちらのほうが高い。もちろん、お米をつくっている農家がそのままトウモロコシに移るためには、様々な機械装備の変更、新たな投資等も必要となる場合がございますけれども、こういった方向への後押し、これも一つの視点ではないかと考えてございます。
11ページには、若干細かい点でございますけれども、餌米の助成、左側にありますように8万円という平均単価をもとに、収量が増えた場合にはより多くの単価、10.5万円まで、さらに吹き出しがございますように、多収品種を使った場合に対する1.2万円の加算のインセンティブ措置、こうしたものが二重にかかってございます。先ほどのようなインセンティブが行き過ぎて、弊害を招いている実態を考えれば、こういった部分の見直しが必要ではないか。右側には飼料用米、532キログラムで8万円となっていますが、実際に農家の取組もございまして、現状では549キログラムまで単収が伸びております。こういったことで基準を少しずつ高めていく、インセンティブを効率的に使っていく、そうした制度の改善もできないかということをにらんでおります。
次に、12ページ目、中扉、農地中間管理機構を挟みまして、13ページ目でございます。農地の集積・集約ということで、こちらも昨年の財審で触れさせていただきました。右側に模式図がございます。農地の集積、真ん中の図ですが、担い手の経営規模は初期の時点から比べると増えております。ただ、これだけでは効率性が完全には上がりませんで、一番右下、農地の集約ということで、隣同士にうまく農地をくっつけていく、このようなところまで持っていきたいということがありそうでございます。
こういった観点から、左側にございます農地中間管理機構を5年前に設立いたしまして、緑色の協力金、あるいは事業費のピンク色のような予算措置も講じつつ5年を経てきている。今年がちょうど5年目の見直しの期間に当たってございまして、これから規制改革会議などの場で検証作業が本格化いたします。それにあわせた予算措置の見直しも図ってまいりたいと考えております。
今、足元で、14ページでございますけれども、実績として農林水産省が示しているもの、左側に集積のグラフがございますが、オレンジ色で囲った部分、5年間で大分伸びた絵にはなってございますけれども、民主党政権の時代の停滞からトレンドが戻っているとともに、足元では少し鈍化しているという現状でございます。したがって、インセンティブを今後どのように措置していくかということは、このようなことを踏まえてしっかりとメリハリをつけていくということでございます。
右下には、集積のうち機構が関与したものが赤い部分で示されてございますけれども、この機構が関与した部分で本当に付加価値がついていたのか、機構がなければ出なかったようなものなのかという観点から、検証作業には我々もしっかりと関与していきたいと考えております。
15ページですが、実際に機構が絡んだ、良好な事例を農林水産省はホームページなどで紹介しておりますけれども、この事例などを見ても、地域のまとめ役が存在していた、現地確認、意向調査、情報提供、人・農地プランと呼ばれる集約・集積に向けたプラン設計がきめ細やかにできていたということがポイントになっている、こういったものが多くございます。研究論文もございまして、機構が設立されたから農地が動いたのではなく云々ということが指摘されてございます。こういった面から、個別のケースについても、どんなところで機構が実際に付加価値を発揮できたのかという点をしっかりと見てまいりたいと思います。
16ページ目、実際に予算にかかわる部分ですけれども、12ページの緑の矢印で協力金ということを申し上げました。国から県市町村を通じての、農地の出し手に対する協力金、それから地域全体に対する協力金というものがございます。こうした協力金についてどのようにメリハリをつけていくのが、今後5年間、目標に向かって進めるために必要か、効果的かという観点から見てまいりたいと考えております。
1つのポイントとしては、農地の出し手に対する協力金、これは5年間でそろそろ伸び率も鈍化してきている実態を踏まえますと、今後、出し手にインセンティブをさらに付加してドライブをかけていくという方向性ではなく、より前向きに農地を受け取って使っていくほう、あるいは先ほどのミクロのレベルでポイントとなっているところへ協力金を充てる方向、こちらのほうへ見直していきたいと考えてございます。
17ページ目には、そういった観点からのエビデンスとしまして予算執行調査、昨年も御紹介申し上げたものですが、左側に赤字で書いてございます。農地の貸し手側、出し手側に対するアンケートということで、リタイア、縮小した方、こうした答えが出ておりますので、ある意味、高齢化の中では農地が出てくる部分はトレンド的にいずれ出てくるということでございます。その下には、協力金をもらえるから28件とございますが、複数回答ベースでの回答数でございますので、限界的なインセンティブの効用というのは低下しているのではないかという問題意識です。
そういたしますと、18ページ目に見直しの方向性ということで、今予算編成で取り組んでいきたい点として、出し手への協力金から集約化する地域の農業への支援に軸足を通してまいりたい、生産性向上を推進すべきではないかということで、出し手側のインセンティブ措置というのはかなり抜本的な見直しを図れないかということを考えてございます。
2つ目ですが、人・農地プランに集積や集約について具体的に書き込んでいくようなことになってございますけれども、最終的には農地の集約化まで含めたような計画をしっかりと書き込んでいただく、場合によっては、それを協力金交付の要件とするような形で、効果的、効率的な集約に向けていきたいという点でございます。
3つ目は、そもそも論にも近いですけれども、協力金の見える化についてはさらに一層の努力をしていただきたい、こういった方向で見直しを図ってまいりたいと思います。
最後、3点目でございますが、20ページ目、水産改革ということでございます。
漁業の現状を簡単に御説明しますと、右側が日本のグラフですけれども、食文化の変化などもございますが、ピークからはかなり漁獲量が減ってきています。左側を御覧いただきますと、世界全体は増えている、中でも中国が増えております。中国のあおりを受けて減った、こういったことも当然あるわけではございますけれども、過剰な漁獲によって適切な資源管理が行われてこなかったという面も、日本の漁業について指摘されてございます。このようなことを念頭に置きながら、70年ぶりに漁業法を改正するという水産改革を、現在、臨時国会を目指して取り組んでいるところです。
21ページ目に、そのエッセンスがございます。日本の資源管理、左側のインプットコントロールという絵でございますが、2つ目、漁船の総トン数の制限ということで、船のサイズなどを規制いたします。大きい船を使わせると大量に魚をとってしまうと、そういった発想ですが、この間接的な規制はあまりうまくいってこなかったということで見直しをしていきたい。北欧など諸外国では、右側のアウトプットコントロールと呼ばれるもの、こちらに既に移っていっております。
そのポイントは、右側の1つ目のポツ、科学的な資源評価に基づき、漁獲量そのものの上限を設定するということでございます。ただ、その総枠だけですと早い者勝ちで獲りに行くといった状況が悪循環を繰り返しますので、さらに右下、漁獲量を個別の漁業者に割り当てる、個別割当てというところまで取り組んでおります。そういったことをいたしますと、年間にとれる漁獲量が定まりますので、最もマーケットバリューが高い、例えばサバであれば脂がのった季節に、最も効率的な漁法でもって漁を行うような方向へ経営マインドがシフトしてまいりますので、こういったことを進めてまいりたいと取り組んでございます。
22ページには、成長産業に向けた課題として、流通過程の複層化、直接取引の増加などが要されるという点を簡単に御紹介しており、23ページに関連する予算を示しています。
水産関係予算は表の一番上で1,770億円程度、農林水産予算2兆3,000億円程度のうちのこれぐらいの規模でございますが、中でも上から5つ目ぐらいに裁量的経費と呼ばれるものが800億円ほどございます。この中に、今でも資源調査・評価推進対策31億円といった予算などがございますが、先ほど申し上げたような資源管理の徹底、構造改革を進めていくためには、例えばこのような資源調査、増額要求が来ておりますけれども、構造改革がしっかり進むのかどうかということをにらみながら予算編成に当たっていきたいと考えてございます。
以上でございます。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
それでは、ネームプレートを立てて、御意見、御質問をお願いします。田近委員からお願いいたします。
〔 田近委員 〕 まず、実態の理解の確認ですけれども、3ページの農業生産ですけれども、要するにお米の生産額が大体1.6兆円ですよね。それに対する予算が右側にあって、土地利用型というのは基本的にお米でしょうから、足し合わせると6,100億円、ミニマムアクセス、備蓄のところは1,500億円、全体で7,500億円ですよね。だから、1.6兆円の生産額に対して7,500億円のサポートをしている、そういう全体像でいいわけですよね。
それで、私の意見は2点で、8ページです。これも確認ですけれども、転作とかをやめて自由につくらせて調整していくと。その結果どうしたかというと、主食のお米の生産が減って、価格が上がったところか需要が下がってしまった。需要が下がって価格が上がったということで、これに対してはいろいろ対策があるのでしょうけれども、これだけ価格が上がったときに、トリガー価格みたいなことで緊急輸入とかできなかったのかというのが質問です。
それを前提で、御説明を伺っていて、例えば3ページですかね、何を議論していいのかが難しい。要するに、政策として、細かなことはともかく、農業の生産性を上げる、それから世代の円滑な交代を進める、あるいは経営の効率化を進める、そして貿易の自由化等が進みますから適切な補償を行う。幾つか政策の柱があると思うのですよね。それに対して、具体的に今回の転作がどう失敗したかとか、そういう議論するわけで、だから個別の話に入る前に、農業政策のフレームワークをまず示すべきではないか。それは1回でできるわけではなくて、ここで何回も議論しながらつくっていくものだと思うのです。だから、私の意見は、農業政策の政策フレームワークを示し、その上で現実の施策を張りつけて議論していったらどうかというのが提案です。
質問と提案ですけれども、以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 2点確認ありましたので、森田主計官からお願いします。
〔 森田主計官 〕 3ページ目の生産額と予算額でございますけれども、予算額のところは土地利用型ということで御説明しましたとおり、米、麦、大豆などが入った土地を利用しての農業ということになりますので、米そのものの生産を奨励するためということとは少し違うということです。ただ、米をつくらない補償というものが、いわば転作助成として、水田の利活用の交付金という形になっている。そのほか、畑、麦などの生産に当たるものがございますけれども、そういったものを含めての6,000億円という点でございます。
輸入のことに関してでございますけれども、米価のグラフが8ページ目にございます。平成8年産から始まっておりますけれども、平成5年産、作況が74ということで大不作がございました。冷害に見舞われて、そのときに実はタイなどからの緊急輸入があった。同時に、ウルグアイラウンドの話がございましたので、それをきっかけにミニマムアクセス米を現在では77万トン輸入するということになっております。ただ、ミニマムアクセス米は、いろいろな国内での議論の結果、主食用には基本的に使わないという前提での輸入ということになっておりますので、国内で食べるものが足りないときに主食として輸入するという形にはなっておりません。別途、備蓄が民間に200万トン弱、国として100万トン弱あり、米不足の場合にはこうした備蓄により対応するということが基本であり、トリガー価格で緊急輸入ということは制度としてはない。平成5年には、実際にそこまで米価が上がった、作況74のときに実績として緊急輸入をしたということでございます。
〔 田近委員 〕 結局、ミニマムアクセスのお米も口には入れないお米だということですね。
〔 森田主計官 〕 77万トンのうち、正確には10万トンぐらいがSBSという方式、Simultaneous Buy and Sellということで、売却先がしっかり決まっていることを前提に、直接マッチングする部分はございます。業務用米などの需給のミスマッチの関係で、その10万トンをめぐってそちらの需要が増えているということも足元では生じております。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございます。
佐藤委員、小林委員、加藤委員、宮島委員、神子田委員、中空委員、田中委員、倉重委員、吉川委員、あと9名、上がっています。ここまでにしたいと思いますので、今の指名の順番でお願いします。
佐藤委員から。
〔 佐藤委員 〕 では、お願いします。
今のフレームにかかわるかどうか分からないのですけれども、これから、いわゆる2025年までが農業政策においても勝負というのは、おそらく退職するか、高齢化していく人たちの問題です。このタイミングで集約化が進まないと、耕作放棄地になるか、あるいは、都会からサラリーマンを辞めた息子が帰ってきて零細農家を続けるかというところになるので、格好良い言い方をすれば集約化の加速期間が、多分、これからの5年間、6年間になるのではないか。そういう意味では、重点的に取り組むべきことかなと思います。
多分、前にも申し上げましたが、農地中間管理機構に関して言うと、かなりの地域差を見たほうが良い気がするのです。つまり、頑張っている地域と、頑張っていない地域とがはっきりしている。農業委員会とかとうまく連携して集約化を進めているところもあれば、実は形だけあって全く機能していない地域もあると思うので、我々、内閣府の一体改革でよくやりますけれども、どういう要因によって地域差が生まれるのかということを見せることによって、ある意味、進めていない地域に対してもう少しプレッシャーをかけるということはあっていいのかなと思います。
あと、「担い手」という言葉がよく出てくるのです。この担い手、もしかして地域によって違うかもしれない。前、行政事業レビューのときに担い手とは誰だという議論をしましたが、地域や業種によって定義が微妙に違っていた。担い手というところも、安易に担い手を集めれば良いというわけではなくて、どんな担い手なのかということを考えたほうがいいのかなと思いました。
最後に1つだけ。経済学っぽい話をすると、水産のIQの話ですけれども、非常に良いとは思うのですが、これは、移転可能にすると、排出権取引ではないけれども、格好いいかなと思います。うちの財政学のテキストでも使っているので、是非考えていただければと思います。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 小林委員、お願いします。
〔 小林(毅)委員 〕 集約と集積という言葉の問題もあると思うのですけれども、集積・集約計画を推進するという言い方をしていて、これを見ていると、機構集積協力金、集積に対しての協力、つまり最終目標が集積になっていると誤解しているところもあるのではないかと思うのです。
だから、集積まで至ったところで、ある程度目的が達成されたと思っているようなところもあるのではなかろうか。むしろ、集積から集約に移行していくステップ、ここがどういうようになっているのか、あるいは、それが可能なのか。もう集積で人手に渡ってしまったのだから、あとはどうにでもなるという世界なのか。あるいは、そこでお終いですということなのか。その辺りのところが実はちょっと分かりにくい。だから、集積が終わったところから、次に集約に向かっていく段取りのところが明確にされる必要があるのかなと、この資料を見ていて思いました。
もし、集積と集約の間に高いハードルがあるのであれば、そこは何か別の手を考えるのか。あるいは、そこは一連の作業として、最終的に集約まで行った段階でお金が出るなり何なりかするのか。そういう形のものをつくっていかないと、集積は進んだけれども集約が進まないという現状は、なかなか打破できないのではないかという気がいたしました。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 加藤委員、お願いいます。
〔 加藤委員 〕 ありがとうございます。短く2点ほど。
1点目は、8ページの図ですが、需要が下がったのだけれども、それ以上に生産が下がったから価格が上がる。なぜ生産が下がったかといえば、餌米への交付金が多いと、そういうロジックになるのだろうと思います。このときに、そういったロジックが果たして本当にでき上がっているのかどうかということは、きっちり示したほうが良いと思います。もしそうであるならば、やはり交付金自体を、今後どういうように見ていくのか。さらに言えば、生産量が予想以上に下がっているといった場合には、最適な生産量であるとか、どの辺りまでが好ましいのかというようなことを前提とした上で、交付金はどの程度必要なのかという逆算も必要ではないかというのが1点目です。
2点目は、先ほど佐藤委員が言ったことと同じで、水産を割当てにした場合、これは本当に独占的な権力になってしまうので、そこについては慎重にやらなければいけないと思ったのですけれども、先ほど既に佐藤委員からトレーダブルという話がありました。
最後に、漁獲の場合ですと海外との関係があって、乱獲であるとか経済推計の信用とかありますので、外交の問題と絡めて議論をしていただければと思っています。
以上であります。
〔 増田分科会長代理 〕 宮島委員、お願いします。
〔 宮島委員 〕 普通の視点から見て、飼料米のほうに誘導し過ぎたらお米が足りなくなりました、そして値段が上がりました、また食べる人が減るかもしれませんというのは、とても変だと思いますので、少なくともここの見直しは必要だと思います。
さらに言いますと、財審というよりは、むしろ農林水産省かもしれませんけれども、まさにエポックメーキングな今年から、一体、米というものを日本にとってどういうものとして考えていくかということをもう一度きちんと議論して、国民とも共有したほうがいいと思います。米に関しては、一時は弁当に入れるとか、もっと食べなくてはというような運動もありましたけれども、最近はその感じもなくなったかなと思います。米に対しての視点はいろいろ変わってきていると思うのです。例えば、カロリーベースでの自給率が大切だと言われていたときには米というのは大事なのですけれども、エネルギーも自給していない国で食品の自給率をカロリーで考えていていいのか。あるいは、食品ロスがこれだけ発生して問題になっているときに、米をどう考えていくのかなどがあると思います。
結局、兼業農家で米を支えているということで、米ならつくれるけれども、野菜などほかのものはつくれないという人たちもいるということです。これから人生100年時代を迎える中で、中高齢者、元気な高齢者が農業に対してポテンシャルがあるのだとしたら、兼業農家を全部淘汰して良いとかいう話でもないと思うので、高齢期の生き方と米の関係というのもあると思います。
さらに言うと、このところの防災の観点で、やはり水田の水との関係は非常に大事だと思って、これをよく米政策に対する意見として言われることもありますが、では一体どのぐらい防災のために田んぼが必要かとか、どの程度が高齢者の生き方のために必要かなど、いろいろな側面を持っている米に関して、長期的な視野をもって国民にとってどういうものと考えるべきかという議論が、フレームとして少し足りないのではないかと思います。これは短期の話ではないと思いますけれども、しっかり国民と共有する形をつくりたいと思います。
同じように、水産については、過去において長期的な視野が足りなかったということだと思いますので、これを機会に、目先をどうするかだけではなくて、この先、かなり長期に渡った持続可能性を考えていただきたいと思います。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 神子田委員、お願いします。
〔 神子田委員 〕 25ページのTPP、日EU・EPA対策の基本的な考え方についての質問です。
一番下に、経営安定化対策、協定の発効に合わせて講ずるものとあります。これは、もともとアメリカがTPPに入れば農業への影響は非常に大きいということで、こういう体制が考えられたと思うのですけれども、まずTPPからアメリカが離脱したということになって、この対策の規模感というものはどうなるのか。
〔 増田分科会長代理 〕 今の関係はいかがですか。
〔 森田主計官 〕 25ページ目でございますけれども、アメリカやオーストラリアの米の輸入枠については、アメリカがTPPから離脱した影響を受けて、実際に発効した後に買わなければいけない部分が軽くて済むといったような面があろうかと思います。
〔 増田分科会長代理 〕 中空委員、お願いします。
〔 中空委員 〕 先ほど田近委員からありました、もう少し政策としての骨子を、というところに私も賛同したいと思っています。というのは、先週、香港に行っていたのですが、日本のトマトが1つ350円ぐらいで売っていました。日本のものに対する憧れが非常に強い国はたくさんあるという現状を考えると、農業政策というのはこれから先の日本を支え得るとても大事なものになってくると思います。外貨を稼ぎ得る重要なセクターだと考えるからです。話をお聞きしている限り、現状、どう対応していくかということについてはかなり腐心されていると思うのですが、もう一歩引いて、長期的に農業政策というのはどうあるべきで、日本はどこでどういう外貨を稼いでいくかという視野も入れていけるといいなと思いました。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 倉重委員、お願いします。
〔 倉重委員 〕 6ページの表を見てショックを受けているのですけれども、飼料用米の販売収入がこんなに低くて、補助金がこれだけある。これが先ほど田近委員が御指摘になった、1.6兆円の収入に9,000億円の補助金のおおもとになっているのかなと思うのです。どうしても市場原理が働きにくいものではありますが、それにしても、あまりにも市場原理に合っていないというか、これでは耕作している人たちのプライドが維持できないのではないか、そもそも制度設計自体に問題があったのではないかという気がしているのです。大体、設計したときにどういうところで最終的な調整をしようとしていたのか。要するに、飼料用米のシェアをどのぐらいのところまで持ち込もうとしていたのか、そのときに国費からどのぐらいの補助金が出るということを想定していたのか。そういうことをしっかり考えた上でここまでやってきたのかどうかということが、疑問です。もし、それが分かりましたら教えてほしい。
もう一つは農地の集約と担い手の育成です。農地の集約は確かに進んでいると思うのですけれども、担い手こそ、あと10年、20年でいなくなってしまう。それを外からどうやって入れるか、あるいは世代交代をどうするかというところに対しても予算がいろいろ組まれて、制度もあると思うのだけれども、そちらのほうも今後、紹介していただきたいと思います。
〔 増田分科会長代理 〕 前半の、転作の当初の制度設計のときに何か目標があったか、という質問についてはいかがですか。
〔 森田主計官 〕 財政的な点から直接は外れますけれども、現在、9万ヘクタールで50万トンぐらいの餌米の供給が、この助成金の結果としてなされています。最終的な生産の目標的なイメージとしては、これを14万ヘクタール、110万トンぐらいまで増やしていっても、需給のミスマッチは起こさずに、うまくはけるのではないかといった目標が一方で示されておりますが、それを財政的に全て支援してそこまで持っていくのかどうか、そこまでの議論は行われておらず、足元で生じているのは、残念ながら先ほどのようなオーバーシュートであり、助成金に依存した状態からてこ入れをしなければならない現状にあるということでございます。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
それでは最後になります。吉川委員、お願いします。
〔 吉川委員 〕 2点ほど発言したいのですが、やはり日本の農政というのは基本的な考え方が混迷していると思うのです。長いこと同じことを言っているのですが、第一には、例えば工業など、その他の分野では、もともと所有と経営というのは一致していたわけです。20世紀の真ん中くらいに、所有と経営というのは分離したわけです。小規模の農業については経営体と所有者が一致しているというのは、あるところまではそれなりの合理性があったけれども、20世紀の終わりくらいに日本の農業を想定しても、その合理性がなくなった。したがって、所有と経営は分離しなくてはいけないということで、農地を真の担い手、経営体に集積・集約していくと、そういうことだと思うので、方向は正しいと思います。それによって生産性を上げようとする方向性は正しい。ただ、問題は遅いということだと思います。
もう一つは、先ほどからもう何人もの方が言われていますが、6ページ、例えば飼料用米でも何でもいいのですが、こうした農政の在り方というのは、東京で農林水産省が全体として計画する、強い言葉で言えば計画経済ですよね。ただ、農業といえども、個々の農家は独立した経営体であり、彼らの裁量性に任されるべきだと思います。例えば、野菜をつくるといったって、キャベツもあれば、ルッコラもある。何をつくるかというのは、個々の経営体としての農家が判断すべきことだと思うのです。その中で、個々の経営体に優勝劣敗があるべきだと思います。ただし、土地を持っている人は、農業をリタイアして、その土地を真の農業経営体としてやっていける人に貸すという形で農地が集約されていくということでしょう。
戻りますが、農業経営体、農家というのは独立した経営体で、彼らが判断すべきだ、という大原則が守られていないのではないかと思います。一言つけ加えさせていただけば、1960年くらいの農業基本法というのは、東畑精一先生という農業経済の大先生がつくられたのですが、東畑先生は中山伊知郎先生とお二人、シュンペーターの愛弟子で、旧農業基本法のスピリットというのは、実は農家はイノベーターだという、いわば夢を持って、60年くらい前に書かれたということです。しかし、残念ながらその夢は全く実現しないで、日本の農業は全く逆の状態になっているわけです。
繰返しになりますが、私は、個々の農家が個々の独立した経営体で、日本の農業というのは彼らのイノベーションによってサバイブすべきもので、そこに優勝劣敗もあると、そういうプリンシプルが守られるべきだと思います。日本の農政は、そのことを忘れているのではないか、そこに大きな問題があるのではないかと思っています。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
それでは、次に公共事業です。
〔 岩佐主計官 〕 社会資本整備予算担当の岩佐でございます。
資料4、目次でありますけれども、まずは財審でのこれまでの議論のポイントを簡単に整理した上で、30年度予算における重点課題について種々論点を提起したいと思います。
2ページでございます。これは昨年、取りまとめいただきました財審の建議の社会資本整備分を要約したものでありまして、田近委員の言われる、ある意味フレームワーク的なものでございます。詳細には触れませんけれども、大胆に要約いたしますれば、社会資本整備は量から質を求める時代にフェーズは変わってきた。安全・安心の向上、それから生産性の向上といった重点分野に重点を置いて、いわば賢く整備して、賢く使うことが何より重要ということであります。こうした基本的な哲学は変わるものではないと考えてございます。
4ページでございます。これまでの公共事業関係費の推移を整理したものですが、ピーク時と比べるとおおむね半分程度に抑制されている中で、国際比較の面では、一般政府の総固定資本形成のベースで見ますと、先進国との比較では引き続き高い水準にあるのも事実でございます。
5ページ、社会資本整備の状況を30年前と比較したものでございます。整備の水準が大きく進展しているのは明らかかと思います。社会インフラは概成しつつある。こうした中で、今後の社会資本整備に当たりましては、将来の人口減少等も踏まえまして、当然、新規の採択は厳選する、既存ストックの長寿命化を図りながら最大限活用していくということが基本だと考えてございます。
本題のほうに移りますけれども、7ページでございます。安全・安心の向上について。量より質と申し上げましたけれども、昨今、大変大きな災害が頻発している状況にございまして、防災・減災対策については3年間でしっかりやるということになってございます。7月豪雨で想像を超える雨が降ったり、その後も台風21号が来たり、大型の台風が続いて、北海道で地震も起きた。物的、人的な被害が出ているといったようなことも踏まえまして、どう対応していくかということであります。
大切なことは、こういった大きな被害が出た要因をしっかり分析して、真に必要な対策をソフト・ハード一体で講じていくことだと考えてございます。この資料、国土交通省の審議会で話題に上がっている各種の課題を、中間的に整理したものでございますけれども、よく読み込みますと、左上のほうから、災害に対する危機感が共有されていない、災害のリスク情報が公表されていない、一番右下まで行きますとリスクの高い地域に立地する住宅の存在等々、ハード面のみならず、ソフト面でもいろいろな課題が指摘されているのが現状でございます。
現在、政府部内でインフラの緊急点検を行って、11月末を目途に今後の対策を取りまとめるということになってございますが、その際、真摯に昨今の災害の反省、分析を踏まえた上で、有効かつ現実的な対策を講じていくことが最大の課題だと考えてございます。
次のページからは、実際のソフト対策の例を若干掲げてございます。時間の関係で詳細は省略いたしますけれども、要すれば自治体によってかなり取組状況にばらつきがあると、そういったファクトの指摘でございます。
11ページまで飛んでいただきたいと思いますが、ダムの運用のお話でございます。これは春の財審でも御紹介させていただきましたけれども、国土交通省は最近、ダムを賢く整備して、賢く使うという方針を強く打ち出してございます。例えば、降雨予測などを踏まえまして、洪水調節を柔軟に行って、電力等の利水ダムとも協力して洪水調節をしっかりやるということでありますけれども、こうした運用面の工夫が今回の災害時に本当にうまく機能していたのかということも、やはりしっかり検証すべきだろうと思います。
次のページ、12ページでございますけれども、今回、相当数のダムで実際に洪水調節は行われています。もちろん、ダムが耐え切れなくなって、最後に放流して被害が出てしまったような例もございますけれども、実はうまくいった事例もございます。大切なことは、こういった運用面での工夫で、うまくいったところにはしっかり学ぶ。悪かったところは、改善の余地がなかったのかしっかり検討した上で、さらに必要なハード対策は何なのかということを考えていくべきだということかと思います。
次に、予算の制度面の話に若干触れたいと思います。13ページであります。従前、地方自治体で行う社会資本整備につきましては、個別の補助金で対応してきた歴史がございます。一方、民主党政権下で、自由度が高く地方の創意工夫を生かせる仕組みとして、いわゆる一括交付金的な枠組みに移行いたしました。防災・安全対策も、この交付金の枠内で、右側の30年度予算1兆1,117億円と書いてあります防災・安全交付金の中で行われているのが現状でございます。
14ページに行きまして、一方、この交付金については従来よりいろいろな問題点も指摘されてまいりました。繰越しが多いとか、不用が多いとか、あるいは有効に使われていない、さらには優先的に取り組むべき事業がそもそもはっきりしないといったような問題点が縷々指摘されてきまして、それに沿って各種見直しもこれまで図ってきたのが現状でございますけれども、ここでの問題意識は、この交付金制度の枠内で種々の見直しを行うことで、防災・減災に真に必要な事業の実施がしっかり確保されるのかということでございます。
15ページでありますけれども、端的に言えば、昨今の災害も頻発も踏まえて、交付金から切り出してでも個別補助金化すべきものもあるのではないかということであります。河川の例を考えると一番分かりやすいと思いますけれども、下流の大きな河川は国管理、上流の支川等の小さな河川は都道府県管理と、同じ水系の中で責任主体が分かれてございます。
治水対策は、やはり水系全体を見て考えないと最適解は見出しがたいと思いますし、国と地方の目線がずれているということでは、全体として意味がないということでありまして、やはり優先的にやるべき事業については個別補助金としてしっかり切り出して、国と地方が目線を合わせて、計画的、集中的に支援していくべきなのではないかと考えております。現に道路事業では、大規模な橋梁修繕等を個別補助金化してきた歴史もございます。こういった切出しを、ほかの分野でも真剣に考える時代が来たのではないかと思っております。
また、その交付金のメリットを考慮すれば、全体が切り出せるわけではないと思いますけれども、残る交付金の部分につきましても、配分に当たって地方のソフト事業への取組状況を考慮するなど、自治体のソフト対策へのインセンティブを高める仕組みもビルトインさせていくことが考えられるのではないかと思います。
16ページ、これは春の財審でも御説明したので詳細は省きますけれども、今後、防災・減災対策はこれまで以上にしっかりやらなければいけないということであれば、既存インフラの維持、修繕、それから更新等のコストはなおさら知恵を絞って抑制していく必要があるだろうということです。長寿命化や予防保全等に真摯に取り組むことでコストを抑えられるという事例も明らかになってきておりますので、トップランナーをしっかり横展開していくことが重要ということであります。
それでは、生産性の向上のパートに移ります。
18ページでございます。既存のストックを有効に使う方策ということで、これも春の財審で御紹介しましたけれども、道路の速度規制の在り方についてでございます。いろいろ速度規制の見直し、進捗も見られますけれども、例えばまだ暫定2車線の区間などでは、いまだ規制速度は低く抑えられているのが現状でございます。ワイヤロープで中央を仕切って安全性の向上を図ったり、また、ASVという先進安全自動車技術の進展等もございますので、もう一段、規制速度の引上げについて検討する余地がないのかという問題提起です。
次に19ページ、高速道路の料金の問題でございます。地方部においては、有料、無料区間が混在しているところが結構ございます。有料区間を避けるために、左下のイメージ図のように、並行する一般国道に有料部分から下りてしまって一般国道が渋滞してしまう、何のために高速道路を整備したのか良く分からないというような事例も、正直、出てきているのが現状でございます。今後の維持管理などを考えた場合に、有料、無料の整備区分にいつまでもこだわり続けるのではなくて、ある意味、全体を有料化して、広く薄く料金をいただくといったような工夫も、そろそろ真剣に考えていいのではないかといった問題提起でございます。
次に20ページ、空港整備勘定の問題でございます。歳入のグラフを見ていただきますと、ここのところインバウンドの増加、それから空港コンセッションの進展などを背景に、自主財源は増加してきております。一方、赤い部分が一般会計からの繰入れでございまして一部行っています。縮小してきているのが現状でございますが、一部まだ続いているというような状況です。一方、歳出側の面を考えてみますと、現在、進めている那覇の第二滑走路ですとか、羽田空港の機能強化は間もなく一段落する見込みでありまして、空港整備の重点は新たな施設の建設から維持管理等にシフトしていく見込みでございます。こうした中で引き続き、例えば諸外国でも一部行われている発着枠オークションの導入など、自主財源をさらに充実する方策を真摯にお考えいただいて、一般会計からの繰入れをしっかり縮減していくべきだということが私どもの考え方でございます。
次に21ページ、実際の既存ストックの有効活用の具体例でありますけれども、新千歳空港の話です。かなり利用が増えておりまして、空港容量が限界に近づいているのが現状です。決して3本目の滑走路をつくるというわけではなくて、実は隣接する防衛省の千歳飛行場がありますので、そこの滑走路を、国防上、支障が生じないように調整するということが大前提でありますけれども、例えば混雑する時間帯に一部融通させていただくとか、そういった工夫を図っていくべきではないかという問題提起です。
次に22ページ、これも北海道の事例であります。北海道の物流、人流のボトルネックは青函トンネルにあると考えております。新幹線と貨物列車が共用することで、新幹線の速度は140キロに制限されまして、重い貨物が通るために線路も傷みやすいということで、その修繕費用が、ただでさえ経営の厳しいJR北海道の収支を圧迫してしまうといったような悪循環に陥っている状況です。決してもう1本トンネルを掘れと言うつもりはありませんが、青函トンネルで行われている貨物輸送を、例えば十勝港ですとか、函館港ですとか、港を利用して海上輸送に切り換えていって、ボトルネックも解消して、皆でウイン・ウインとなるような状況をつくれないかというのが問題意識であります。関係者の今後の議論の進展を期待したいと思います。
続いて23ページです。民間資金の活用についてです。具体的には、PPP/PFIをさらに活用すべきという論点でございます。空港は進捗しておりまして、現在、北海道では7空港一括でコンセッションを進める動きがあります。千歳をとりたいということでかなり人気があるようでして、相応の収入も期待できるものと考えております。空港のみならず、上下水道等も含めて政府の事業目標がございますので、その達成に向けて引き続き各種の取組を推進すべきというのが総論であります。
25ページ、春の財審で上下水道について、PFI等の導入とあわせて、そもそも単独の自治体だけでやるのではなく、広域化や共同化を進めるべきではないか、あるいは公営企業会計の導入を推進すべきではないかといった論点も提示させていただきました。
これとあわせて、今回は、26ページでありますけれども、料金体系の在り方についても論点を提起したいと思っております。汚水処理に係る下水道事業につきましては、受益者負担の原則と整合的であることが重要であるわけでありますけれども、現行の料金体系を見ますと、費用構造として固定費が大半であるのに対し、収入面では基本使用料ではなく従量の使用料に頼り過ぎているといった現状が見られます。人口減少、あるいは節水の流れなどを考えますと、今のままではやはりサステナブルではなかろうということで、公費に頼らない望ましい料金体系の在り方についても、広域化や共同化とあわせて、国による積極的な働きかけがあって良いのではないかということが問題意識でございます。
27ページ、新技術の活用についての論点でございます。右下の図にありますけれども、ドローンによる測量、それからショベルの動きを自動制御するような建機なども大分出てまいりまして、こうしたICTの活用により、少なくとも労務費の縮減や時間短縮はかなり実現できる目途が立っております。もっとも機器の投資に最初はお金が要りますので、直ちにこういった工法が広く普及するわけではございませんけれども、最新技術の活用によるコストダウンに向けて、財政的にも効果的に支援をしていく必要があるだろうということです。
次に28ページ、インフラの維持管理なりにも最新技術を活用して、安くできる取組があるだろうということで春に御紹介しました水位計の話について、非常にコストダウンができまして、昨年、補正で措置したこともあって、実は生産が追いつかないほど、今、大人気ということで、こういう安くて良いものがどんどん広まればいいということでありまして、官民連携して引き続き横展開をしっかりしていくべきだろうということであります。
29ページ、新幹線の話にほんの少しだけ触れたいと思いますが、最新の事業費の欄のところを見ていただきますと、北陸、九州新幹線の整備中の事業費が大幅に増える見込みとなってございます。春の財審でも、適切なコスト管理ができていないのではないかといったことを厳しく指摘させていただきました。もちろん、コスト縮減の余地がないのか、改めて精査いただくことは重要かと思いますけれども、交通需要の変化等、最新の状況を踏まえた費用効果分析、B/Cの分析を早急に行っていただく必要があると思います。救いは、既に開業した新幹線の輸送人員等が好調なことでありまして、B/CのBの部分も実は上振れする要素もあるのではないかということです。決して鉛筆をなめて、いいかげんな数字をつくれと言うつもりはありませんけれども、B/Cの早期の再検証は必須ということです。
次のページでありますが、こうした事業費の増加について、公共事業関係費を積増しで対応すべきとの声も一部に聞かれます。現状、整備新幹線の財源は、JR各社からいただいております貸付料も公共事業関係費に加えて充てています。この貸付料につきましては、鉄道会社に生ずるであろう便益をもとに算定するという仕組みになってございます。その前提となる需要については実績が予測を上回っているということでありまして、要するに貸付料のベースも実は上がっているのではないかということであります。安易に公共事業に頼るのではなくて、こうした貸付料を最大限確保して整備新幹線の整備に当たっていくことが妥当だろうと考えているということでございます。
以下、若干資料も用意させていただきましたけれども、細かな論点ですので、時間の関係で省略をさせていただきます。駆け足の説明で恐縮ですが、私からは以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
それでは、ネームプレートを立ててお願いします。冨田委員、土居委員の順でいきます。
〔 冨田委員 〕 先ほどの外交関係では運営費交付金の問題について指摘させていただきましたが、社会資本整備では、本日お話の14ページにあります社会資本整備総合交付金、及びその前のページに説明ありますけれども、13ページの防災・安全交付金という、やはり交付金と名前のついたものが持っている本質的な問題が、財政の規律を弱めているのではないかということをお話ししたいと思います。
総合交付金も、紐付きの補助金は良くないという批判のもとに、事業実施主体の自由裁量、自主性を重視しよう、その代わり事後評価をやるということで始まった制度でして、やはりこれも多年度で大括りの形になっていて、予算の積算が十分なされていない。また、なされなくても良いという中で予算編成が進められてきたのではないかと思いますが、これらを合計すると、13ページにあるように2兆円です。この2兆円もの大きな金額の交付金が、従来は補助金として事前審査があって査定されていたものの、その規律が非常に弱くなってきて、国から配付されていることがいろいろな問題をもたらしているということで、14ページにこれまでの問題点、それから改善しようということも指摘がありました。結局は、必要性とか緊急性といった積み上げの根拠が十分でない中でつくられているように思います。
加えて、会計検査院のこの点についての検査を紹介させていただきますと、社会資本整備総合交付金等でありますが、例えば整備計画、つまり地方公共団体がつくるべき整備計画や評価手法が適切でない計画、評価手法にアウトカム指標がないもの、中間評価を行わずに計画期間の延長を行っていたもの、さらに事後評価を行っていないものや、実績値の正確性に疑義のあるものが数多く指摘されております。
こうしたことで、総合交付金制度が財政支出の効率を低下させているだけではなしに、国民の安全・安心が脅かされているとすれば大問題であります。ということで、15ページで主計官がお示しになられた個別補助金化という方向はやはり推進されるべきだと思います。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございます。
土居委員、田中委員、武田委員、角委員、末澤委員、佐藤委員、老川委員、そして神子田委員、それぞれ2分ぐらいでおまとめいただければ幸いでございます。
土居委員からお願いします。
〔 土居委員 〕 冒頭、資料1で平成30年度補正予算の話がありました。その中で、大阪北部地震で大変痛ましい事故があったわけですけれども、ブロック塀の対応が必要だということについてはそのとおりだと思います。早急に倒壊の危険性のあるブロック塀に対応するために、259億円の予算を計上するということは良いと思いますけれども、ブロック塀の問題は今に始まったことではないということは、きちんと理解した上で予算執行すべきだと思います。
1978年の宮城県沖地震でブロック塀の危険性が指摘されていたにもかかわらず、いまだに残っているブロック塀に予算をつけるということだと。これは、はっきり言って経済学でいうところのモラルハザードなわけです。結局、予算がつかないなら改修しないで放置してあったということではまずいので、今回は259億円出すのだけれども、受け取った自治体は肝に銘じて、こういうことを二度と起こさないのだと、お金がつかなければやらないという防災・減災ではないのだと、危険性のあるものが身近にあるならば、たとえ国から補助金が来ようが来まいが、きちんと自分たちの予算を使って改めていくというぐらいの気持ちでやっていただきたい。今回は緊急性を要しますから、この補正予算でしっかり対応していただくということで良いと思いますけれども、お金がつかなければ防災・減災に消極的とか、先送りするとかいうようなことが繰り返されないように、予算の執行をお願いしたいと思います。
そういう観点からしますと、先ほど来議論がありますけれども、資料4の15ページにもありますように、個別補助金化するということは、それはそれでいいと思います。その上で、やはり計画的、集中的に支援することにした事業については、早目に各自治体に防災・減災として対応していただく。予算をつけるからは早期に実施していただき、モラルハザードなんていうことにならないようにしていただくということが、この部分でも必要になるのではないかと思います。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 田中委員、お願いします。
〔 田中委員 〕 7ページについて申し上げたいと思います。冒頭、岩佐主計官が、まず原因を追及した上で対応策を考えるべきだとおっしゃったのですけれども、そのとおりだと思います。原因を追及しないと対処療法になりがちで、結果、ハード面に偏りがちで、効果がないというようなことも招きがちだと思います。その視点で7ページを拝見しますと、ハード面というよりもソフト面、人的な要因によるものが多いと思います。これは、先ほどの土居委員の意見とも重なるところがあるのですが、この中には勧告があったにもかかわらず行動しなかった、対応しなかったというもの、情報を持っていても対応しなかったというものがありますが、そこはやはり自己責任の部分があると思います。そこを全て補助金でカバーすべきか、ということについて、私は疑問に思うところであります。やはり対応しなかったものについては何らかのペナルティーなり、措置が加わるような仕組みが必要ではないかと思います。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 武田委員、お願いします。
〔 武田委員 〕 冒頭に、質の改善だという大きなフレーム、おっしゃっていただきましたけれども、私もそのフレームの考え方に賛成でございます。その上で、意見を2点申し上げたいと思います。
1点目は、ソフト対策の徹底については、今回の災害を踏まえてより力を入れていくべきだと考えます。7ページの(12)にありますけれども、リスクの高い地域に立地する住宅の存在についてはそろそろ日本全体としてしっかり考えていかなければいけないと思います。もちろん、住まれている住民の方の感情など、いろいろな難しい課題はあるのですけれども、国として何が重要かと言われれば、国民の命を守る、これが第一ですので、この点をしっかり考えていかなければいけない。
日本は人口が減少していくということも中長期的に見えているわけですから、全ての地区のハード面の対策は難しいと思います。その点については、コンパクト化も踏まえて、中長期的なビジョンとして、(12)の辺りをしっかり国としても考えていくべき時期に来ているのではないかと思います。
また、9ページにございますような地域別の差、建築規制をかける災害危険区域が指定なしの県が6県もあるということですが、他の県でできているということを考えると、決して予算の話ではなく、地方自治としての取り組みや、地方自治のプライオリティーや意識とも関係しているのではないかと思います。予算と同時に、こういったところがまず見直されるべきではないかと考えます。
2点目の意見は新技術の活用です。これは毎回申し上げているのですが、まず、中長期的にはコスト抑制につながるということで、多面的に活用は進められるべきではないかと思っています。新技術の活用は、コスト削減だけではなく、人手不足への対応にも資すると思います。人手不足でコストが上がり、それが建築コストの上昇につながっているという面があるのは事実です。これがIT化されれば、人手不足が和らぐだけではなくて、若者にとって魅力のある現場にもなるということもあります。
また、インフラの長寿命化が大事だというお話がありましたけれども、メンテナンスにもっと技術を入れていかないと、これからインフラの更新費、非常にかかってしまいますので、そこにITをもっと活用するべきではないかと思います。
事例で、公共事業において新技術を活用するところをより採択できるような工夫はできないものか、そのインセンティブとして、より技術を活用してコストや人手不足、あるいは安全・安心性を高めるところに、事業を担っていただくという方向性をつくる施策は打てないのか、意見として述べさせていただきたいと思います。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 角委員、お願いします。
〔 角委員 〕 今回の御提案は、全てにおいてほぼ納得できる提案だと思います。その中で、既に出ていますけれども、総合交付金に一部B/Cを入れていく、あるいは個別補助化していく、これはまさに早急に取り組んでいただければと思います。
それと、農業の話の次に出たのですけれども、農業と同じように緊急性があるという意味で、やはり上下水道の民間資金の活用については、農業の担い手がいなくなっていくことと同様の状況にあるため、企業がどんどん参入できるような形にしていかなければならないという緊急性がある。上下水道の民間資金の投入も、設備の老朽化や地域の過疎化が背景にあります。心ある首長さんは、上下水道について、将来、非常に不安を持っておられます。ですので、これは是非とも早急に取り組むべきことだと思います。
それと、冒頭の補正とも関係するのですけれども、おかげさまで、関西で関空と伊丹空港と神戸空港の3空港一体運営が非常にうまくいっている中で、在り方懇でも空港の在り方についてこれから議論をしようとするときに、残念ながら関空であのような事故が起こってしまいました。
1つは、先ほど補正の中で不可抗力ということに配慮していただいき、国のお金を補正の中から入れていただけるということは非常にありがたいのですけれども、人災と言うとちょっと言い方がきついかも分かりませんが、海上交通安全法で海保はそこで停まっていたらだめだと2度警告したわけです。道路交通法であれば、例えば違法駐車をしておれば法的に移動させられます。ところが、海上交通安全法というのは法的裏づけがないので、警告はしたが、それきりだったと。30メートルを超える風が吹き続ければ、いかりは用をなさないということは船乗りであれば誰でも知っている話です。にもかかわらずこうした事故が起きたということは、ある意味で人災的な要因があると思います。その際、法整備についてもご検討いただければと思いますので、よろしくお願いします。
これから日本の空港は、全部コンセッションをやっていこうという方向だと思いますので、こういうときはこういう対処ができるのだという、そのあたりの基準がどうなっているのかを教えていただければと思います。
以上です。ありがとうございました。
〔 増田分科会長代理 〕 末澤委員、お願いします。
〔 末澤委員 〕 自然災害対応は、やはり社会資本整備の中でも、今回、冒頭御説明ありました第1次補正予算、そして多分、これから来る第2次補正予算でも大きなテーマになると思うのです。実際、自然災害は日本だけではございませんで、WEF(世界経済フォーラム)、これは毎年1月に「グローバルリスクレポート」というものを出しているですが、2017年、2018年、世界経済に影響を与える一番可能性の高いグローバルリスク、ナンバーワンが異常気象になっています。実は昨年、NOAA、米海洋大気局の集計では、米国の自然災害の損失額は3,000億ドルを超えておりまして、これは過去最高です。今年も米国では、御案内のとおりフローレンスに続きマイケルという、カテゴリー5に極めて近いハリケーンがメキシコビーチに上陸しておりまして、まだ被害額も分かっていない。
日本でも台風の被害は多いのですが、今年、西太平洋で発生した台風のうち猛烈な台風に発達したのは6個と、これは1983年と並んで過去最高でございまして、そのうち多くがスーパー台風になっていると。ですから、異常気象というのは、もう異常ではなくなってきて、やはり地球温暖化の影響は大きい。
また、先般、北海道で大きな地震がございました。たしか札幌市は最終的に震度6弱に上方修正されたと思いますが、春に政府の地震調査委員会が出した札幌市の30年以内に発生する震度6弱の発生確率は、47都道府県の県庁所在地で最低の1.6%です。1.6%が起きたということでございます。そういう意味では、先般のインドネシアの地震を含めて、リング・オブ・ファイアー(環太平洋火山帯)でも相当地震が発生している。相当大変な状況なのですね。
そういう意味では、異常気象、また地震、火山も含めて、こういう対応はこれから極めて重要な状況になって、社会資本整備もかつてのような景気対策というよりも、むしろ国家安全保障の域に達しつつあると思います。ただ、一方で、足元の好景気もございまして、人手不足はバブル期並みの状況です。日本でも、人手不足というのは製造業よりも非製造業、大企業よりも中小企業なのですね。建設業というのは、その多くが中小企業・非製造業でございまして、この状況で一気に対策をやるといっても限界がございます。むしろ、本来必要なリスク度合いの高いところに行き届かないという問題もございますので、今回の自然災害対応は是非ともリスク度合いにあわせて優先順位づけをきちんとやる必要があると思います。
その中でも、選択と集中で、短期でやらなければいけないところと、もう少し長期的にやったほうがコストパフォーマンスも上がるし、いろいろな地方への対応もできるところで、短期計画と長期計画をきっちり分けてやっていく。これはもう、景気対策の域を超えたレベルで、しかもコスト管理をきちんとした上で、先ほど冨田委員からもございましたけれども、長期計画であるのであれば、毎年の進行状況、また予算管理が必要だと思います。そういうところも含めて、従来とは違う次元で社会資本整備というのは位置づけていく必要があるのではないかと考えております。
以上でございます。
〔 増田分科会長代理 〕 佐藤委員、お願いします。
〔 佐藤委員 〕 まず、防災についてですけれども、これだけ毎年、災害が起きるということが何となく分かっているのであれば、災害が起きてから補正を組むというよりは、当初予算の段階で防災関係の予算を上乗せしておくとか、基金化しておくという必要があると思います。これは単に防災に対する強化というよりは、同じ社会資本整備の中で優先順位を考えたときに、防災に重点化させるという方向を初めから当初予算に反映させるということがあっていい。さもなければ、あまり優先順位の高くない社会資本整備が当初予算に入ってきて、本当は優先順位の高かった防災関係が補正予算に回るというよく分からないことになりますし、財政の膨張にもつながりますので、その辺りは初めから当初予算の中に組み込んでいくということが、原則としてあっていいと思います。
そのときに一つの原則は、先ほど御指摘あったと思うのですが、いわゆる災害待ちは困るのですね。ですから、自治体に対する支援であれ、あるいは中小企業に対する支援であれ、やはりちゃんと何らかの防災対策、減災対策をしたところ、例えばBCPをちゃんとつくっていましたとか、ハザードマップを公開しましたとか、そういったところに対してはちゃんと手当てをする。そうではないところは、ペナルティーとは言いませんけれども、対応を考えると、そういったメリハリ付けはあっていい。
それから、やはり人口減少がありますので、もとに戻しても人は住まない、あるいは、かえって危ないところに住み続けることになりますので、やはりコンパクト・プラス・ネットワークという形で災害を契機に地域の再編成を進めると、そういう方針をあらかじめ打っておくということがあっていいのかなと思いました。
先ほど冨田委員などから御指摘のあった交付金の個別補助金化ですけれども、これは少し気をつけたほうが良いと思っています。今、重要なのは防災だということであれば、そちらのほうに重点的に交付金が配分されて、優先順位が低いほうには配分されないのですけれども、個別として切り出されてしまうと、優先順位の低いほうがそのまま交付金として既得権益化していくということもありえます。もし個別補助金化するのであれば、交付金も含めた全体のパイを変えないで何が優先的なのか、きちんとメリハリをつけてやらないと、新しいニーズを新しい財源でと言われてしまったら交付金、補助金の膨張になってしまいますので、気をつけたほうがいいのかなと思いました。
最後に道路料金ですけれども、今、ICTが普及しているので、一般道路からも取ろうと思えば取れると思うのです。カメラ技術もありますし、ナビゲーションもありますので、ある意味、これからは一般道路からも取るという道路料金のやり方も、混雑緩和の一環にもなりますので、提案、検討されてはいかがかと思いました。ちなみに、それはロンドンでやっており実例はありますので、取り組む価値はあるかなと思います。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 老川委員、お願いします。
〔 老川委員 〕 今、他の委員も何人かおっしゃったとおり、私も防災・減災について申し上げたいのですが、今回、想定外の激しさ、いろいろな災害がもう次から次とあったわけですが、やはり世界的に見てもこの状況というのは、異常気象が原因なのですけれども、異常気象がもう常態になっていると、こういう前提で想定をし直さなければいけない時期に来ているのではないかと思います。それは、単に建築土木の基準だけではなくて、都市工学的な発想とか、あるいはソフトの面、例えば先ほど角委員がおっしゃったように交通安全、海上安全、そういった法体系自体も見直すとか、そういうことが必要だと思います。
特に、今回、非常に印象的だったのは停電です。これについては、もちろんエネルギー問題として経済産業省などが担当なのだろうと思うのですが、この停電によって何が起きたかというと、一般生活がいろいろ不便だっただけではなくて、交通信号が動かない、それによって交通がマヒする、物流がとまってしまう、そのように、経済的にも大損害になっている。それから一般の生活も、例えばマンションまでたどり着いても、オートロックで、電気が通っていないから家に入れない。あるいは、ATMが全部使えない。つまり、生活自体が破壊されてしまうということになる。
そういう意味で、いろいろな問題を総合的に検討し直す時期に来ているのではないかと思います。これは、もちろん財務省だけの話ではないので、政府全体の各省庁、各省の連絡会議のようなものがあると思うのですが、もう少し専門の学者も入れて、全体的な発想のもとで総合的に対策を講じる、そういう時期に来ているのではないかと思いますので、申し上げたいと思います。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 最後になります。神子田委員、お願いします。
〔 神子田委員 〕 30ページの整備新幹線の貸付料、前提となる需要が、実績が予測を上回るということですけれども、実績が予測を上回った場合にはより多く取る、路線ごとの収益を明らかにさせ、より収益が出ているのだったら貸付料も多く取るという仕組みをつくってはどうでしょうか。ただ、その際、実績が予測を下回った場合には貸付料を下げるのかという問題も出てくると思いますので、その辺り、どういうシステムなら良いのか考えていただけたらと思います。
それから、7ページの災害のところですけれども、ソフトウエア対策は大切なのですけれども、7ページの(4)、なかなか避難行動を決断できないということがありますが、これに関しては、雨量とか、災害の予測の精度をより上げるとともに、実際早い段階で、もう逃げたほうがいいですよと言っても、自力では逃げられない高齢者が寒村地帯には多く住んでいらっしゃると思うので、そういう人たちをどうやって安全に助け出すかというところで、ソフト面もさることながら、ハード面でもできることがあれば予算をつけていったら良いと思います。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
本日いただいた意見は、御承知のとおり、後の建議のまとめのところでいろいろ議論していただきますので、よろしくお願いします。
時間が10分近く延長になりましたけれども、本日の議題は以上で終了させていただきます。
会議の内容については、私のほうで記者会見にて御紹介させていただきます。個々の発言につきましては、従来どおり報道関係者には直接お話をすることのないように、御注意をお願いいたしたいと思います。
次回は10月24日、午後3時から開催を予定しておりますので、よろしくお願いします。
以上で本日は閉会します。ありがとうございました。
午後0時10分閉会