財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録
財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第
平成30年10月9日(火)14:00~16:05
第3特別会議室(本庁舎4階 中-412)
1.開会
2.議題
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社会保障について
3.閉会
分科会長 |
榊原定征 |
うえの副大臣 鈴木副大臣 太田主計局長 神田次長 阪田次長 宇波次長 奥総務課長 安出司計課長 阿久澤法規課長 中澤給与共済課長 一松調査課長 西山参事官 寺岡主計官 日室主計官 北尾主計官 斎須主計官 前田主計官 中島主計官 吉野主計官 関口主計官 森田主計官 岩佐主計官 内野主計官 佐藤主計企画官 渡邉主計企画官 |
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分科会長代理 |
増田寛也 |
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委員 |
秋山咲恵 遠藤典子 黒川行治 神 津 里季生 角 和夫 武田洋子 竹中ナミ 中空麻奈 藤谷武史 宮島香澄 |
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臨時委員 |
雨宮正佳 伊藤一郎 大槻奈那 葛西敬之 喜多恒雄 北尾早霧 小林 毅 末澤豪謙 十 河 ひろ美 田近栄治 冨田俊基 南場智子 神子田 章 博 宮武 剛 |
午後2時00分開会
〔 増田分科会長代理 〕 それでは、ただいまから始めたいと思いますが、本日は冒頭でカメラが入りますので、しばらくそのままでお待ちいただきたいと思います。
(報道カメラ 入室)
〔 増田分科会長代理 〕 ただいまから、財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。
皆様には、御多用中のところ御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
本日は、社会保障を議題としております。
また本日は冒頭から、引き続き財務副大臣をお務めになりますうえの副大臣、今回新たに財務副大臣に御就任されました鈴木副大臣にお越しいただいております。私のほうから、改めて紹介をさせていただきたいと思います。
まずは、うえの副大臣でございます。
〔 うえの副大臣 〕 どうも、よろしくお願いいたします。
〔 増田分科会長代理 〕 続きまして、鈴木副大臣です。
〔 鈴木副大臣 〕 どうも、よろしくお願いいたします。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
それでは、ここで、報道陣の皆様、御退室をお願いしたいと思います。
(報道カメラ 退室)
〔 増田分科会長代理 〕 それでは、初めに、会長のほうから御挨拶をお願いしたいと思います。
〔 榊原分科会長 〕 皆様、こんにちは。最初に一言だけ申し上げたいと思います。
前回の会議でも申し上げましたけれども、この秋の財審では、平成31年度予算編成に関する建議の取りまとめに向けた議論を進めていくわけでございますが、この31年度予算には2つの側面があるということを申し上げたいと思います。1点目は、この6月に閣議決定された「骨太方針2018」における「新経済・財政再生計画」をもとに行う初年度の予算編成ということでありまして、2025年度のPB黒字化に向けて計画に沿った歳出改革を確実に実現していく必要があるという側面があります。2点目でございますが、これも前回の議論に上がった点でありますけれども、今回の予算編成は平成最後の予算編成となります。次の新たな時代につなげていくためにも、責任ある予算をつくる必要があります。
本日は、社会保障について議論していただくことになっておりますけれども、財政の在り方を議論するということは、本日の社会保障はもちろんのこと、文教・科学技術、あるいはエネルギー・環境、農水、公共事業、防衛、外交、このようなあらゆる政策分野の在り方を考えることに等しいわけでございます。特に本日のテーマ、社会保障はその中核テーマの一つでございますので、しっかりとした議論が必要と考えます。委員の皆様には、実りある活発な御議論をお願いしたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
私からは以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
それでは、社会保障の審議に入りたいと思います。初めに、吉野主計官、関口主計官から説明をお願いします。
〔 吉野主計官 〕 失礼します。御説明させていただきます。
お手元の資料に沿いまして、御説明を始めさせていただきますが、時間に限りがございますので、ポイントをかいつまんでと考えております。よろしくお願いいたします。
早速、入らせていただきます。先生方におかれましては、社会保障の総論、相当御覧いただいてまいりましたので、本日のポイントにつながるところのみ御紹介したいと思います。
総論からでございます。10ページに参ります。年齢区分別の人口見通しについて。この前の資料におきましては、社会保障、一般会計ベースで33兆円等々の資料がついておりますけれども、これから起きますことは、かねてから申し上げていますように、65歳以上につきましては今後も急激に増加を続けますけれども、右側のグラフのとおり、65歳未満の若年現役世代につきまして、今後、一貫して大幅に減少する見通しでございます。資料は今回、飛ばしますけれども、今後20年、30年の間に50万人から100万人単位で現役世代が減っていくという状況にございます。このような中で、今後の社会保障をどう考えていくかというところがまず出発点かと考えております。
めくっていただきまして、14ページまで飛んでいただけますでしょうか。そのような中で医療・介護に係る保険料負担につきまして、緑の四角に書いてございますとおり、高齢化により医療費・介護費の伸びは増加が見込まれるのに対しまして、グラフのとおりでございますけれども、雇用者の総報酬は生産年齢人口の減少に伴い大幅な増加は見込めない状況にございます。このまま医療費・介護費を放置いたしますと、基本的に雇用者の実質賃金の伸びは抑制され、保険料負担が増えていかざるを得ないといった現状にあるかと考えております。
そういった医療・介護の伸び、仮に医療の伸びを分析したものを15ページにつけております。後ほど社会保障の自然増なり、高齢化による増という御説明をしてまいりますけれども、仮に医療を取り出しまして、その伸びについて一応、あらあらの分析をしたものでございます。グラフを見ていただきますと、オレンジ色のカラーがついておりますところとブルーのところがございますけれども、主に下の半分が、これまで我々が人口増減、高齢化の影響とされるということで御説明してきた部分でございます。おおむねもう半分、オレンジ色の部分がその他の影響ということでございまして、後ほどの「骨太の方針」の中でも御説明いたしますけれども、新規医薬品の保険収載でありましたり、医師数、医療機関数の増加でありましたり、診療報酬の改定でございましたり、いろいろな政策要因を含めまして、ここに要因があると考えております。このようなものを分析いたしまして、政策的にどのように対応していくということがこれからの課題になるかと思います。
16ページに飛んでいただきます。そのようなことを前提といたしまして、将来の社会保障給付の見通しをつけてございます。よく御覧いただいているグラフでございますけれども、基本的には先ほど申し上げた高齢化による増、デモグラフィーによる増加分と、先ほど医療の高度化、高額化といった類いのことを申し上げましたけれども、そのトレンドにつきまして、これまでのトレンドが継続するということで延伸しました前提で数字を書いております。
見ていただきますと、GDPが1.22倍、2025年から2040年に向かって伸びるところ、医療は1.4倍、介護は1.7倍、年金は1.2倍ということで、年金につきましてはマクロスライドを入れました結果、ある程度のところで落ちついておりますけれども、医療・介護につきましてはこのような伸びが予想されるところでございます。先ほど申し上げましたように、医療の高度化、高額化が更に加速いたしますと、この伸びはもっと高まると予想されております。
そうした中で、17ページでございます。支え手の減少への対応ということでつけております。社会保障改革がいろいろなところで議論されてまいりますけれども、総理もおっしゃっておられますけれども、支え手の減少が見込まれる中ということで、まず支え手を増やすといった観点から3つの看板が掲げられております。高齢就労を前提とした環境整備、高齢者が引き続き支え手となるための取組、真ん中でございます。女性が再び働くための環境整備等々ございますけれども、これにつきましては、財務省といたしましても非常に重要な課題だと考えております。特に、留意点のところに書いてございますとおり、経済活力の維持の観点からは予防医療というのは非常に重要な課題で、予算をかけてでも実現すべき課題と考えております。実績として社会保障費の自然増が減少いたしますれば、後ほど申し上げるような社会保障費の伸びもおのずから抑制されることにつながりますので、まずやるべきことかと考えております。
その一方、予防医療等につきまして、医療費や介護費の節減効果が必ずしも定量的に明らかでない部分もございます。一部には、むしろ増大させるのではないかといったエビデンスをお示しになられる先生方もおられます。そのために、社会保障制度の持続性を確保するために、上記の3つの施策に加えまして、医療・介護提供体制の改革ですとか、給付と負担の見直しですとか、制度全般にわたる改革を進めていく必要があるのではないかと考えております。
少し分かりやすく御説明いたしますと、基本的には寿命が一定であれば、健康長寿が伸びた場合には、お医者様にかかる最後のお時間が短くなりますので、医療費は少なくなるのではないかという議論も当然ございますけれども、健康長寿が延びますと寿命も若干延伸することもございますし、結果としてお医者様にかかる時間帯が短くはならないといったことですとか、健康長寿の間にも生活習慣病用のお薬を飲まれたりとかいうことで、医療費がとかく伸びがちであるといったエビデンスもございますので、予防医療にあわせまして、給付と負担のバランスを含めた改革を進めていく必要があると考えているところでございます。
引き続きおさらいが続きますけれども、21ページに飛んでいただければと思います。消費税の増収分の使途のイメージでございます。5%から10%まで消費税率を引き上げてくる過程におきまして使途の変更も一部に行われましたので、ここで一度、立ち止まりまして数字を整理しておきたいと考えております。
足元の8%から10%、右側の四角囲いのところでございますけれども、ボトムの社会保障の充実のところにちょっとミシン目を入れて、8%から10%の右側の部分が1.1兆円程度、その上に矢印が乗っております薄緑色のところが、新しい経済政策パッケージで教育の無償化等に使う1.7兆円程度でございまして、その上に乗っております後代への負担の先送りの軽減等、肌色のところが2.8兆円程度ということで、8%から10%のときには大体1対1ということでございました。
5%から8%のところを申し上げておきます。社会保障の充実、緑の濃い部分でございますけれども、ここは5%から8%で1.7兆円程度、肌色の中の基礎年金国庫負担2分の1へ引上げのところが3.2兆円程度、5%から8%の裸のところ、後代への先送りの軽減等のところが3.5兆円程度ということで、全体を構成しているところでございます。
それを踏まえまして、24ページに飛んでいただきます。基本的に全世代型の社会保障ということでございますので、ゼロ歳児から65歳以上まで、消費税率引上げによって実現する施策を左上から右下まで並べております。31年度予算は消費税率引上げを前提に編成していく予算でもございますので、こうした資料で国民の皆様のお手元に届く社会保障の面も御説明してまいりたいと考えているところでございます。
25ページ、その内訳でございますけれども、これは社会保障・税一体改革、改革の当初にお約束した歳出のメニューでございます。先ほど、使途の変更も含めました兆円単位の御説明をいたしましたけれども、緑の濃い部分、社会保障の充実のところの、残り何がこれから実施される施策かということを御説明しておきたいと思います。
3つ申し上げます。一番下からまいりまして、現行制度の改善、年金のところでございます。低所得高齢者・障害者等への福祉的給付でございます。それから、右側の黄色い四角の介護保険の1号保険料の低所得者軽減強化も、来年10月にあわせて実施する予定でございます。それから、31年度予算も含めましてこれから詰めてまいりますけれども、左側のやや上段のところにございます黄色い四角、医療・介護サービスの提供体制改革、これは地域医療構想等を含めての資金ということになりますが、そこも含めまして、あわせて1.1兆円程度ということでございます。
その内訳を少し御説明します。26ページでございます。来年度に起こることでございますので御説明いたしますが、介護保険の1号保険料の低所得者軽減強化でございます。グラフを見ていただきますと、下ごしの矢印がオレンジ色と青色で出ておりますけれども、青色の矢印が来年10月に実施を予定しているところでございます。軽減の度合いを御説明するに当たりまして、一番大きな矢印、のところで御説明しようとか考えてございます。民税非課税でございまして、本人の年金収入が80万円から120万円程度の世帯にどれぐらいの軽減が効くかということでございますが、所得第5段階の月額5,514円に対しまして、0.75軽減が本則のところ0.5まで軽減いたしますので、0.25、約4分の1軽減されますので、1,300円ぐらいでしょうか、千二、三百円の軽減がこうした家庭にまいるということでございます。
27ページにまいります。先ほど年金のところで申し上げましたが、年金生活者支援給付金でございます。文字のところを追っていただきますと、基準額月額5,000円を納付期間数に応じまして480カ月納めていただいた方につきましては月額5,000円、年額6万円の給付を行うということで、数字は当時の数字でございまして、若干動くと思いますけれども、所要額は5,600億円程度ということになっております。
あわせまして、28ページ、これまでは消費税率引上げに伴いまして、低所得者世帯に向かいまして軽減、もしくは配慮を行うという施策を並べてまいりましたけれども、あわせまして28ページにございますことが予定されているところでございます。後期高齢者の保険料軽減特例の見直しということで、グラフにございますとおり、低所得者の後期高齢者の保険料に係る軽減特例につきましては、かねてから実施してまいりましたが、現在、残っておりますのは均等割のところ、ピンクで9割軽減、8.5割軽減と書いてございます。どれぐらいの軽減度合いかと申しますと、左下の赤い文字で7割軽減、本則1,140円と書いてございます。この本則の保険料を、現在、年金80万円以下の方は380円、80万円から168万円の方は570円まで軽減しておりますので、年金収入80万円でございますれば800円程度でしょうか、軽減が効いておりますけれども、均等割を見直して本則に戻させていただくと。これにつきましては、中段にございますとおり、社会保障制度改革推進本部決定にもございますし、毎年の厚生労働大臣との大臣合意でも一応、確認させていただいているところでございます。
29ページに行かせていただきまして、先ほど全世代型の社会保障と申し上げました。これは負担と給付の、幼児教育が無償化になる前の厚生労働省の作成資料でございますが、見れば分かりますとおり、負担は現役世代に偏っておりますところ、高齢者の方々の負担がやはり若干手薄になっているということでございまして、全世代型の社会保障を実現していくに当たりまして、全世代型の負担もあわせてお願いをしていくということが基本的な考え方になるのではないかと考えております。
総論を終わりまして、31年度を含めまして、これからの社会保障改革に当たりまして起きること、我々、考えなければならないことにつきまして御説明に入らせていただきます。
34ページまで飛んでいただけますでしょうか。高齢者人口の伸び率をつけております。もう新聞紙上でもうたわれておりますとおり、75歳以上の人口の伸び率が2019年度から3年間、抑制されます。戦時中にお子様が生まれなかった世代の方々が75歳に到達する年次でございますので、このようなことになっております。この結果、我々がこれまで申し上げてきた高齢化による社会保障の増といった部分が、自然体で若干抑制されるということが予想されるところでございます。
35ページでございます。今後の社会保障関係費の歳出水準の考え方、これは31年度も含めてのことでございますけれども、文字でも書いてございます。目で追っていただければと思いますが、絵のほうで申し上げますと、下段にありますとおり、点々が入っておりますが、これまでシーリング等で我々が申し上げてきた自然増でございます。
この内訳を御覧いただきますと、緑の点々が入っているところの下の部分、これが高齢化による増加分、それより上、矢印が入っておりますが、その白抜きのところが制度改革効率化ということで我々が努力する、本来であれば医療の高度化、高額化、その他の要因で伸びてしまうところをどれだけ圧縮するかということでございます。
高齢化による増加分の内訳を申し上げますと、年金スライド分と人口構造の変化の変動分と分けることができます。年金スライド分につきましては、物価、賃金等、実績に応じてお支払いするもので、これにキャップをはめることはなかなか困難でございますので、ねずみ色に塗り潰した部分につきまして、高齢者数の伸びによる見込みを踏まえた増加分の範囲で予算の伸びを抑えるということでございまして、予算編成過程を通じて高齢化による増加分、ないしは我々の改革努力の成果を御説明していくということになろうかと思います。
36ページでございます。今後の社会保障改革に当たって、我々が頭の中で思い描いておかなければならないことを整理したものでございます。我が国の医療・介護制度の特徴と課題ということでございます。
上段からまいりますが、我が国の医療・介護の特徴でございます。国民皆保険、フリーアクセス、自由開業制、出来高払ということで、皆様も御存知のとおりの特徴でございます。これをプレーヤーに分解いたしますと、患者側と医療機関側に分かれまして、患者側には、患者負担が低くコストを意識しづらい、インセンティブが働きづらい、それから誰もがお医者様にフリーにアクセスが可能である。医療機関側におきますと、情報の非対称性もございますので、それも手伝ってか、患者数や医療行為数が増加するほど収入が増加ということで、もちろん出来高払の病院もございますけれども、やはり診療の回数によりまして収入が増える傾向にあるということが言えるかと思います。
これを左側に落としまして、供給サイドの増加に応じて医療・介護費の増大を招きやすい構造であるところに加えまして、時代背景といたしまして、緑側の社会構造の変化で、かねてから申し上げている高齢化、先ほど申し上げた支え手の大幅な継続的な減少、それから医療の高度化、高額化を含めましたイノベーションが拍車をかけておりまして、国民皆保険を将来世代にこのまま安全な形で譲り渡していくために、我々が観点として持たなければいけないと考えておりますのは一番下にございます3点でございます。
保険給付の在り方の見直し、後ほど個別のお話を御説明申し上げますけれども、保険の範囲、公的範囲で面倒を見ていく範囲をどのように考えるべきなのかということが1点。それから、真ん中、必要となる保険給付の効率的な提供、いわゆる提供体制でありますとか、サプライサイドに対してどういうコントロールを及ぼすべきなのかということでございます。中には、地域医療構想、それから報酬改定等が含まれるかと思います。右下でございますけれども、高齢化や人口減少下での給付と負担の適切なバランス。やや抽象的に書いてございますけれども、基本的にはこうした構造変化の中で、公平な負担とはどうあるべきなのか、人口構造の動態変化に応じまして、やはり自己負担率の低い後期高齢者の方、高齢者の方々がウエイトとして大きくなっていきますと、基本的に自己負担割合が減る分、実効給付率が上がっていってしまうということがございますので、それに対して何らかの取組を行うべきではないのかという観点から、書かせていただいているところでございます。
こういった観点を踏まえまして、31年度、ないしは将来に向けた個別の項目の御説明に入りたいと思います。
41ページまで飛んでいただきますと、31年度予算編成の課題です。社会保障改革から少し離れまして、若干、31年度のテクニカルなお話も御紹介させていただきます。
引き続きまして、飛びまして44ページ、31年度は消費税率が10月1日に引き上がる予定の年でございまして、それを踏まえた若干のファインチューニングが必要な部分がございます。医療に係る消費税でございます。通常の消費税の取引でございますれば、課税売上げから課税仕入れを引いて、現状であれば108分の8を掛けたものを各段階で事業者さんが納めるという税制でございますけれども、非課税取引につきましては、上段にありますとおり、最後にサービス提供を行う事業者さんが非課税取引でありますので、累積した税額につきまして仕入れ税額控除ができませんので、上段のピンクのところにございますとおり、仕入れ税額相当額を消費者が負担ということになっております。
保険診療につきましても同様の非課税取引でございますので、税が累積してまいりまして、医療機関から患者に診療が提供されるときに税額が8なり4なり累積しておりますが、これについても仕入れ税額控除ができませんので、医療機関に対しては、右下のピンクでございますけれども、医療保険制度全体で診療報酬による補塡を行っているところでございます。
そのやり方につきまして、45ページを御覧いただければと思います。やや技術的ですけれども、上段の絵を見ていただきますと、医療機関の費用(仕入れ)が左側でございます。収入(売上げ)が右側でございます。非課税売上げの白抜きのところは横に置いておきまして、ねずみ色に塗りました左側の課税仕入れがございます。課税仕入れにつきまして、医療材料、医薬品といった患者様に1対1で提供できるようなものにつきましては、いわゆる実態調査に基づきまして、直近のデータでこのようなものが幾ら購入されて、提供されているかが分かりますので、消費税率が引き上がるときに際しましても、それに消費税率を掛けまして、右側の収入のほうの長靴のような水色の太いところがございますが、そこの部分はある程度正確な数値でお渡しすることが可能と、報酬のほうに補塡することが可能ということになっております。
ただし、医療機器、委託費、光熱費等、ねずみ色の一番上のところでございますが、これは購入された場合、患者に1対1で提供されるものではございません。医療機器を買っても、その医療機器を使って患者さんにたくさんサービスされますものですから、1対1で対応しないところでございます。それについて、仕入れ税額控除ができない部分を医療機関側に診療報酬に補塡する形で、具体的に申し上げると初・再診料や入院基本料という、クリニックであっても、大病院であっても一様に生ずる可能性のある診療報酬に薄く上乗せして補塡してまいったところでございます。
その結果、大病院につきましては医療機器を比較的多く買っておられますので、仕入れ税額控除ができないわりに報酬の補塡が少ない。クリニックの方々におかれますと、機械は買われない場合が多くございますので、結果として診療報酬でやや収入超過で益税のような形になっているということが、最近の厚生労働省の発表で明らかになったところでございます。ピンクの四角書きのところにございますとおり、今般の消費税率の引上げに伴いまして、医療機関の負担する仕入れ税額相当額について対応するに当たりましては医療保険制度内で対応するということ。医療界は税金の還付を要望しているようでございますが、基本的には保険料と税金と自己負担という保険料の制度の中で対応すべきだということ。それから、総額におきまして医療機関等が負担する仕入れ税額相当額の範囲内、直近のデータで正確に予算をお渡しいたしますので、その範囲内で配分していただくこと。につきましては、先ほど申し上げたように各科間、診療所・病院間でやや不平等が起きておりますので、精緻な配り方を心がけること。この3点をもって、年末に向けてセットしてまいりたいと考えております。
46ページ、医薬品の薬価改定でございます。31年度は消費税率が引き上がる予定の年でございますので、薬価につきましても消費税を乗せる必要がございますけれども、実勢価格、赤字のところが一番下にございますけれども、市場実勢価格を反映させないで消費税を乗せますとやや過剰転嫁といった形になりますので、市場実勢価格を落としまして、反映させまして、それに消費税率を乗せるということで、いわゆる通常の薬価改定ではございませんけれども、イレギュラーな形の薬価改定が生ずる年ということでございます。
続きまして、医療制度改革の今後のお話に移ってまいります。52ページ、保険収載の在り方でございます。先ほど3つの視点があると申し上げました。保険の在り方をどう考えるか、サプライサイドに対するコントロールをどう考えるか、公平な負担をどう考えるか、この3点でございますが、その1番目の要素でございます。保険収載の在り方というページでございます。
最近、ノーベル生理学・医学賞を受賞されたオプジーボのようなお薬が、かねてから言われていることですが、左隅、下段から5段目に書いてございます。費用は、お一人様当たり年間3,500万円程度ということでございます。さらに、薬事承認がほぼ済んでおりまして、日本に上陸することがもう見えてきておりますお薬の中に、左下から3番目、キムリアという急性リンパ性白血病のお薬がございます。これは1回投与で寛解する可能性もあるということで、お一人様当たり5,400万円というお値段がついております。
これについて高いか、安いか、いろいろな議論があると思いますが、公的保険で面倒を見ていくに当たりまして、上段の新規収載までのプロセスの概要等が左から右に流れておりますけれども、一番上の医薬品で見ていただければ、安全性、有効性が審査された後は、ほぼ自動的に保険収載されるという構造でございます。よって、安全性、有効性は考慮されておりますが、費用対効果でありますとか、財政への影響については、現状においては少なくとも考慮要素となっていないということでございます。
こういった状況の中で、公的保険で医療を支えていくに当たって、我々の視点としては、ピンクの四角書きに書いてございますが、新たな医薬品、医療技術につきましては、安全性、有効性に加えまして、費用対効果や財政影響など経済性の面からの評価も踏まえて、保険収載の可否も含め公的保険での対応の在り方を決めるべきではないか、そういう仕組みを導入するべきではないかということでございます。
ちなみに、保険収載が結果として見送られた医薬品がございますれば、それにつきまして安全性、有効性があれば、右下の絵にもございますとおり、保険外併用療養制度が若干拡大してきておりますので、その中に柔軟に取り込んで一部保険診療で面倒を見る。高額の医薬品につきましては、かねてからの準備として民間保険が参入するといったことも考えていくべきではないのかと考えております。
続きまして、53ページ、保険の範囲の在り方とある意味地続きのお話でございます。先ほど、費用対効果評価と申し上げました。試行的に導入をもう行っております。基本的に薬価算定のときに、何らの新規性があるということで加算が行われた品目につきまして、右側のグラフのような手法で費用対効果を分析しつつございます。比較対照からの健康状態の改善分につきまして、どれぐらい効果があったか、費用がどれぐらいかかったか、ICERと言うようでございますけれども、こういった費用対効果分析を行いまして、今後の保険収載、ないしは薬価算定につなげていくということでやっているところでございます。
そういう観点から申し上げますと、我々の観点はピンクの四角囲いにございますとおり、算定方式は原価計算方式でも、類似薬価比較方式でも費用対効果評価を義務づけまして、費用対効果が悪いものにつきましては保険収載を見送るか、公的保険として対応するのであれば、費用対効果に見合う水準まで薬価を引き下げるべきではないかということを、我々の視点として持ち合わせたいと考えております。
ちなみに、先ほど申し上げたキムリアという急性リンパ性白血病の薬でございますが、イギリスは費用対効果等の観点から公的保険への収載を、仮決定でございますが、見送っているという現状にございます。
54ページでございます。今まで大きなリスクのお話をしてまいりましたが、大きなリスクは、高額療養費制度も含めまして、やはり公的保険で面倒を見るべきだといった御意見もあると思います。ゼロサムではないかと考えておりますけれども、仮に公的保険で面倒を見る高額医薬品の部分も若干、もしくはある程度残るということでありますれば、小さなリスクについてもやはり考えざるを得ないのではないかと考えております。
各国とも、いろいろな工夫をしております。上段左にございますとおり、薬剤の自己負担率という意味において、ドイツは10%の定率負担、フランスにつきましては、薬に応じて自己負担割合を変えております。スウェーデンは、900クローナ、1万円程度でしょうか、定額の全額自己負担枠を持っております。
ちなみに、ここでは新しく加えてみたのですけれども、フランスの表が右上にございますとおり、フランスはビタミン剤ですとか、頭痛薬といったものにつきましては自己負担100%とか、85%とか負担率を高くいたしまして、そうではない費用対効果の高いもの、有効性の高いものにつきまして負担割合を下げる。こうした取組をすることによりまして、先ほど申し上げた実効給付率を引き下げる取組を一貫として行っているところでございまして、大きなリスクは大きなリスクなりに、小さなリスクは小さなリスクなりの負担、自己給付率を引き下げるような改革、努力が必要なのではないかと考えているところでございます。
58ページ、地域医療構想でございます。先ほど申し上げた2番目の手法、サプライサイドへのコントロールはいかにあるべきかというお話の流れでございます。地域医療構想につきましては、ここ数年、進めておりまして、58ページにありますとおり、理想の病床数は、2025年におきまして、一番上の赤い文字でございますが、119.1万病床、在宅医療等、約30万人を前提というところまで、都道府県から報告がなされているところでございます。
この進捗状況につきまして、はかりましたのが59ページでございます。左上でございますけれども、表にございますとおり、2025年までに地域医療構想に基づきまして増減させるべき病床数、ベッドの数が数字で記載されております。高度急性期、急性期病床につきましては▲21万病床ということで、2025年までに21万ベッドを減らさなければいけないところでございますが、具体的な対応、合意済みは今のところ1,989にとどまっているところでございます。
公立病院、公的医療機関の合意状況、進捗状況が右側のグラフに出ております。赤いグラフ、上に出ておりますのは具体的な方針が合意済みの施設の割合、議論が開始されていない施設の割合、ある意味成績の悪い部分がブルーで、下に出ております。もちろん、報告の統一性がとれていない部分もあるのだとは思いますけれども、仮にこれで評価いたしますと、公的病院ですら、これだけ進捗に地域差がある。よって、公立病院の後に民間病院との折衝が待っておりますので、これは何とか、少しでも早く進捗させなければいけないと考えているところでございます。
さらに、下段にありますとおり、病床機能報告における定量的基準の設定というところでございますが、高度急性期、急性期につきましては、定量的な定義がございませんものですから、比較的緩い定義になっております。これにつきましても定量的な定義を設定いたしまして、KPIを設定して、やはりよりお金のかかる病床でございますので、進捗管理をしていく必要があるのではないかと考えているところでございます。
続きまして、地域医療構想の60ページでございます。地域医療構想の推進のために、私たちといたしましてはいろいろインセンティブを、一応、資金枠としては設けておりまして、左側の絵にございますとおり地域医療介護総合確保基金、注書きのところにございますとおり、平成30年度分で934億円用意しております。これにつきましては、地域医療構想の推進に一役も二役も買っていただく医療機関等に対しまして、インセンティブとしてお金をつけていくということを事業区分Ⅰと用意しておりますが、それ以外の事業区分Ⅱ、ないし事業区分Ⅲといった今までの国庫補助によって行われてきた事業も、この基金の中のメニューに含まれておりまして、我々といたしましては、少しでも地域医療構想の推進に役立てるような使い方にしていきたいと考えているところでございます。
右側は、保険者努力支援制度でございます。これも国保の世界ですけれども、やはり保険者の努力に対してインセンティブをつけるということで、地域医療構想もその支援すべき要素になっておりまして、各項目、加点がこの表になっているところでございますが、いまだこの加点方式がふわっと抽象的なところもございます。保険者努力支援制度、毎年1,700億円程度準備しておりますが、これも含めまして、ピンクのところに書いてございますとおり、進捗状況に係る明確な指標に基づくメリハリづけの実績を見える化するとともに、その実績を踏まえて2025年度に向けてメリハリづけを強化する観点から、指標の水準の引上げ、ウエイトづけを行っていくといったことを目指してまいりたいと考えております。もし、これで不十分なインセンティブでございますれば、新たなダウンサイジングに向けた追加的な支援策も検討すべきと、最後に書かせていただいているところでございます。
63ページ、外来診療等に係る提供体制の在り方でございます。内容としましては御説明したことあると思いますけれども、要素を少し変えておりまして、緑の四角の中に書いてありますとおり、「骨太の方針」にも、かかりつけ機能の在り方を踏まえながら、かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師の普及に努めるとともに、外来受診時等の定額負担と書いてございます。
かかりつけ機能は非常に重要でございますが、医師ないしは薬剤師におきましても役割は各々違うのではないかということでございますが、左側にグラフが2つございます。地域包括診療加算の算定回数の推移とございます。ある特定の患者さんとの関係で、かかりつけ医を標榜されまして、一定の施設基準を満たしまして、糖尿病等の病気を2つ以上有する患者に対しまして同意を得て診療を行った場合、1回診療ごとに再診料に加算するという制度がございます。これは報酬を加算する形でインセンティブを加えているわけですが、その算定回数は必ずしも増えていないというのがこのグラフでございます。
ただ、本来、地域包括診療加算のようなことを考えますと、かかりつけ機能を標榜するわけですから、本来は概算払であるべきで、左下のように地域包括診療の届け出医療機関数につきまして月1回限り算定いたしまして、基本的に何回お医者様に来られても、かかりつけ医でございますので、個々の再診料や処方料は算定できないという制度でございます。これに手を挙げておられる医療機関数が全国ではまだ200程度ということでございますので、こちらもまだ進行していない。
それから、薬局については、中段上ですけれども、かかりつけ薬剤師がございます。後ほど出てまいりますが、一定の要件を満たしますと、調剤いただいたときにかかりつけ薬剤師指導料が加算されております。これもプラスのインセンティブですけれども、これにつきましても処方箋の枚数にして1.28%ということであまり伸びていない。
それから、皆様がよく御存知の400病床以上、いわゆる大病院に、かかりつけ医にかからずにいきなりかかった場合、5,000円お支払いいただくというものがございますけれども、この患者数の割合も、いきなりかかる方々の割合が必ずしも減っていない。右のグラフのように、やはり大病院にかかりがちであるということでございます。
これを踏まえまして、64ページでございます。左隅の絵が紹介状なく受診する際の自己負担の在り方で、一番左でございます。かかりつけ医で受診する場合、先ほど申し上げた地域包括診療加算、毎回、算定のプラスがついてしまう場合、かかりつけ医にかかりますと診療報酬が加算されておりまして、その分、医療費が伸びまして、患者の負担、それから保険給付が伸びているという構造にございます。
真ん中、大病院に患者さんが訪れる場合でございますが、これは400病床の類いのお話として読んでいただければと思いますが、5,000円をお支払いいただきますので、大病院にとっては、診療報酬ではございませんが、収入は増加いたします。患者の負担でそれが賄われることになっております。
こうして見てまいりますと、左側のかかりつけ医にかかる場合、かかりつけ医にかかったほうが結果としては医療費が伸びて、診療報酬がコスト高になっておりますので、結果としてかかりつけ医以外に向かって誘導するような形に、むしろ逆の効果にコスト上はなっているのではないか。真ん中は、大病院にとっては収入が増え、嫌がるものでもございませんので、必ずしもかかりつけ医に対するインセンティブが強くないのではないかと考えております。
よって、64ページの一番右の棒グラフのように、本来、かかりつけ機能を標榜するお医者様であれば概算払のほうがよろしいかと思いますけれども、それを前提に、かかりつけ医以外にかかったときに、患者の自己負担が保険給付を侵食するというか、診療報酬の丈が変わらないまま、患者負担が保険給付を減らすような形でインセンティブをつけていく必要があるのではないかと考えております。上段左のフランスを見ていただきますと、あらかじめ登録したかかりつけ医への受診と、それ以外の医師への直接受診で自己負担の割合に差がついております。こういったことも、今後、考えていくべきではないかと考えております。
65ページ、66ページ、地続きでございますが、予算執行調査の結果でございます。MRIとか、CTとか高額医療機器につきまして、日本のお医者様は比較的多く持っておられるということはよく言われているところでございますが、これをOECD諸国と比較しましたところ、各県を見ましてもどのOECD諸国よりもCTやMRIを持っているということでございます。
66ページ、グラフを見ていただきますと、右軸が診察回数、左が台数でございます。当たり前のことでございますが、診察回数が増えれば増えるほど台数が少ない地域、台数が増えれば増えるほど診察回数が少ないということになっております。そんなさなか、CTとMRIの共同利用が行われているかどうかが右上の表に出ておりますが、必ずしも共同利用が進んでいるわけでもないということが見てとれるかと思います。これについても、地域医療構想、ベッド数のみならず、今後、高額医療機器を新たに購入されたり、制度を更新する際に当たりまして、サプライサイドに対するコントロールの一環として何らかの工夫が必要なのではないかと考えているところでございます。
67ページ、法定外一般会計繰入の速やかな解消ということで、基本的に消費税率を引き上げてくる中で、我々、総額として3,400億円を予定しておりますけれども、少なくとも今までの間に1,700億円程度を地方自治体の国保のほうに投入いたしまして、法定外一般会計繰入をなるべく減らしていただいて、基本的に負担と給付の見える化を行ってくださいと働きかけてまいったところでございます。グロスの額が必ずしも大きな意味を持つとは考えておりませんけれども、公費1,700億円も投入して、いまだ法定外一般会計繰入が2,500億円残存しておりまして、今後、もう1,700億円、いろいろな意味で投入するお金が先ほどの確保基金等々ございますけれども、その中で、この法定外一般会計繰入の速やかな解消に向かって、もう一役努力をいただきたいと考えております。
右側のグラフを見ていただきますと分かるとおり、赤いグラフは全国平均からの負担率の乖離、下に下がれば下がるほど全国平均より低いということになりますが、赤いグラフが下がるところほど青いグラフが上に若干伸びている傾向がございまして、やはり負担率を議論するに当たりましても、一般会計繰入を速やかに解消していただく必要があるのではないかと考えているところでございます。
その地続きで68ページ、地域別診療報酬でございます。子細は申し上げませんけれども、法定外一般会計繰入をなるべく圧縮いただくということを前提に、給付と負担の見える化を行って、その結果として保険料を上げるのか、もしくは地域別診療報酬を考えるのかといった取組を都道府県知事にお願いしているところでございますが、ピンクの四角書きに書いてございますとおり、まだ国として具体的に活用可能なメニューをお示ししておりません。これにつきまして、どういったことが活用可能なのか、第三期医療費適正化計画の達成に向けても、柔軟活用していくという意味でも、枠組みを整備すべきではないかと考えているところでございます。
続きまして、少し飛ばしていただきまして71ページ、サプライサイドへのコントロールの中の、いわゆるPとQで言うとPのところでございますが、薬価制度の抜本改革でございます。これは本日は御説明いたしませんけれども、30年度予算でセットさせていただいた内容の中で、今後の検討となっておりますものが右隅に3つございます。費用対効果評価の導入、先ほど触れました。それから、毎年薬価調査・薬価改定、それから技術的なその他がございます。毎年薬価調査につきましては、33年度から毎年薬価改定の新しい年になってまいりますが、それまでも結果としては例年、薬価改定が進んでまいりますので、その過程でいろいろな検討を進めていくということになっております。
毎年の薬価改定に向けまして、我々として若干、世の中に申し上げておきたいことが73ページでございます。薬価改定につきましていろいろな御議論がございますが、我々としましては、イノベーションが非常に重要だと考えていることはもう議論を待たないところでございまして、よって参考にありますとおり、製薬企業のイノベーションに対して下支えしている政策を一応御紹介しておきたいと考えております。
左上、薬価の算定ですけれども、新規に収載されたときにつきまして、有用性加算、画期性加算等、新しい効能があるということで加算が行われているものが収載品目のうちの17%でございますが、右の棒グラフのオレンジを見ていただきますと、新薬創出等加算ということで、定期の改定になりますと新薬創出等加算で加算が行われる品目が、もちろん目的は違うにせよ55%ということになっておりまして、やはり新薬創出等加算で若干、薬価が下がっていくところを下げとどめることによって、投資の回収を容易にしているということでございまして、これによる財政効果が2,700億円程度と試算されるところでございます。
左下、日本創薬力強化プランでございます。数字だけ申し上げると、AMEDという機構がございますけれども、そこから29年度、30年度補正予算で830億円の研究開発費が、主に製薬企業に向かって投入されているところでございます。
右上、研究開発税制です。これは、もちろん製薬企業だけではなくて、鉄の企業も、自動車の企業も使う税制でございますけれども、一定の試算を内閣府さんのほうで行っていただいたときには、赤い字が参考2のところにございますとおり、800億円弱の利用が認められているということでございますので、3,000億円、4,000億円のオーダーで製薬企業の毎年のイノベーションを下支えしているということを念頭に、毎年の薬価改定を国民負担の軽減の観点から冷静に議論していきたいと考えております。
74ページ、毎年の薬価改定の中で一言だけ申し上げておくべきことがございます。国民負担の軽減の観点からは、全品、毎年薬価改定というのがある意味理想の形かもしれませんけれども、なかなか手間等々、いろいろ業界の御議論もあるところかと思います。議論の中では、右下のように一定の乖離幅によりまして、一定の乖離率以上の薬品につきまして、毎年薬価改定をするべきだという議論が行われているようでございます。
これにつきまして、我々の考えているところを表しておりますけれども、グロスの金額のずれがその表にも書いてございますが、乖離率といたしますと、同じ金額のずれでも新薬のほうが分母の価格が高うございますので、乖離率が非常に小さくなってしまうという傾向にございます。なので、一定の乖離幅をもって薬品を絞り込んで、毎年薬価改定を単純にやってしまいますと、右上の棒グラフのように、金額ベースで見ますと後発医薬品は1割、14%程度しかございませんので、7割、8割が先発品であったり、長期収載品でございます。こういった観点から、乖離率のみで絞り込むことが本当に妥当なのかどうか。ピンクの四角に書きましたとおり、金額ベースで国民負担の軽減に十分につながるような毎年薬価改定にしていく必要があるのではないかと考えているところでございます。
続きまして77ページ、調剤薬局の報酬等につきましては30年度の改定でもいろいろな見直しを行ったところでございますが、引き続き調剤報酬につきまして議論を展開したいと考えておりまして、グラフにございますとおり、投与日数や剤数に比例した調剤料というものがいまだ、見直しは行われてきましたけれども、まだまだ残っていると見てとれると思います。
それから、右の文字のところで恐縮ですけれども、かかりつけ薬剤師指導料について、要件がございます。患者の手帳、お薬手帳をつくっていただくとか、24時間相談体制に応じるとか、投薬の状況を聞いて指導するとか、いろいろな要件はございますけれども、これを満たせば普通の調剤薬局さんでありましてもかかりつけ薬剤師指導料が加点されまして、よって自己負担も伸びるし、保険も伸びるということが現実に生じているところでございます。
そう考えていきますと、ピンクの四角の中にありますとおり、2行目でしょうか、かかりつけ機能の在り方を改めて検討した上で、地域においてかかりつけ機能を担っている薬局を適切に評価する一方、こうした機能を果たしていない薬局の報酬水準は適正化していくべきではないか。重ねまして、報酬改定の効果も検証しつつ、投与日数や剤数に比例した調剤料の設定の妥当性についても引き続き検討を行っていくべきということでございまして、特にかかりつけ薬局の機能について、全国一律にかかりつけ薬局が評価されていきますと、日本で多くの薬局がかかりつけ薬局になってしまう、報酬が加点されるということにもなりかねませんので、やはり薬局ビジョンの在り方から議論し直すべきではないかと考えております。
80ページ、これは3番目の視点と申し上げた公平な負担というところでございます。もう皆様に御説明するまでもございませんが、後期高齢者の窓口負担の在り方でございます。70歳から74歳の方々を2割負担に引き上げまして、新たに70歳になられた方々から3割から2割負担にとどめることで、1割負担になることを防止して何年かやってまいりました。平成30年にその方々が74歳に到達してしまいますので、制度改正がなかりせば、現在、74歳の方が来年、75歳になられた場合には、1回、1割負担に落ちてしまうことになります。ですが、一番右のグラフのとおり、団塊世代の方々が75歳に到達するまでには、2022年までもう少し間がありますので、それまでの間に、少なくとも74歳から新しく75歳になっていく方々について、1割負担ではなくて2割負担を導入するという形で制度改革を行っていきたいと考えているところでございます。
82ページまで飛んでいただきまして、やはり後期高齢者の自己負担の類いのお話でございますけれども、現役並み所得の算定方法でございます。左隅にございますとおり、課税所得を基準にまずは考えるところでございまして、課税所得145万円が現役並み所得の水準となっておりまして、社会保障に適用するに当たりまして、取得税控除を足し上げまして収入要件も設定しております。
右側を見ていただきますと145万円の課税所得で、公的年金等控除等、高齢世帯特有の控除を積み上げますと世帯収入は520万円ということで、520万円以上の世帯収入であり、かつ課税所得が145万円の世帯について現役並みという判定になっております。一方、左側にありますとおり、現役でありますと386万円で収入は止まりますので、この不均衡をどう考えるかということでございます。中段下にございますとおり、協会けんぽベースで見ましても年間の総報酬額が減っております。現役世代の総報酬は減っておりますので、現役の所得が減っていく、収入が減っていく中で、この現役並み所得の判定方法がアンバランスのままでよろしいのかどうかということにつきまして、やはり見直しを行っていくべきではないかと考えているところでございます。
医療をこの辺りにいたしまして、介護にまいります。
86ページ、今まで介護給付はどのように伸びてきたかを記しているところでございます。見ていただきますと、3.6兆円が11.1プラス0.7兆円と載っております。総額にして11.8兆円まで伸びてきておりまして、介護保険につきましてもやはり保険の範囲をどう考えるか、提供体制についてどう考えるか、公平な負担をどう考えるか、この3つの視点から御説明をしてまいりたいと思います。
ちなみに、この保険の範囲を考えるに当たりまして、グラフのオレンジに塗り潰した部分、最後のところにひげがついておりまして、総合事業に移行と小さな字で書いてございます。これは、介護保険給付の対象から外しまして、地域の総合事業、予算事業に、地域の実情に応じた創意工夫に基づくサービスの予算事業といたしまして、保険の給付から外した部分でございまして、このような保険の在り方、範囲の在り方についても、今後、検討していく必要があると考えておりまして、個別具体の玉を御説明します。
90ページまで飛んでいただけますでしょうか。介護保険給付の範囲の在り方ということでございまして、先ほど少し申し上げましたように、今までは要支援1、2といった方々の生活援助サービス、お買い物をしていただいたり、夕食をつくっていただいたりという、いわゆる軽度のサービスにつきまして、左にありますとおり、介護給付の範囲から総合事業、いわゆる予算制約のかかる地方自治体の予算事業のほうに移しまして、国庫補助も入れまして、予算事業の中で多様な価格設定、創意工夫をしながら、地域の実情に応じたサービスをということを平成27年度からやってまいりまして、平成30年3月末をもって移行が完了いたしました。
右側のグラフを見ていただきますと、当初、厚生労働省が作成した資料ですけれども、緑の斜線が入っておりますが、ここについて予算事業に移すことによって、お買い物とか、お夕食をつくるのは、必ずしも専門性の高い介護士にやっていただく必要はないということであれば、都道府県ないしは市町村の認定したヘルパー等々が、安い単価で充実したサービスを行うことも可能ではないのかといった観点から、質を維持しつつ、保険の給付から外してきたという経緯がございます。
91ページを見ていただきます。そういった中で、自治体がいろいろな取組をされております。左上に載っておりますのは武蔵野市の取組で、非常にうまくいっている例でございます。先ほど申し上げた地域の高齢者の方とか、いわゆる認定ヘルパーさんとかが単価を下げた形で、受給者の選択によっていろいろなサービスを受けるというような形で、予算制約の中でも円滑に移行が進んでいるという部分がございます。こうしたことをより進めていく必要があると思いますし、1つの市町村ではなかなかそういう展開が難しいということであれば、左下にございますとおり、都道府県の支援も含めまして、今後、要支援1、2の方々の生活援助サービスについて、総合事業に移した部分がきちんと着地していくということが必要であろうと考えております。
ピンクの四角に書きましたとおり、の3点をまずは進めてまいりたい。国が成功事例を横展開すべく方針を示す、多様な価格設定を自治体にお願いする、市町村だけで無理であれば都道府県の支援も仰ぐといった形で、まずはこの移行をより円滑に着地させたい。その先に、最後、白丸に書きましたように、右上のグラフにありますとおり、残された要介護1、2の方々も、居宅でサービスを受ける方々が多くございますけれども、生活援助中心型の生活援助サービスを多く受けておられることが分かっておりますので、今後、保険給付の厚みを引き下げていく観点から、第8期介護保険事業計画期間中の更なる地域支援事業への移行や利用者負担の在り方、これにつきましては保険から全て外すということだけではなくて、自己負担率を上げるとか、いろいろなことが考えられると思いますので、見直しをしていくべきではないかと考えております。
93ページにまいりまして、これは介護の世界の供給体制のコントロールのお話です。地域差が非常にはっきり出ております。上段のグラフ、軽度サービスの認定率です。軽度者介護の認定率がオレンジ色のグラフでございます。左が非常に認定しにくい地域、右が非常に認定しやすい地域ということで、オレンジ色の軽度の認定率の差が地域差つながっていることが分かると思います。下段のグラフは1人当たり介護給付費の月額でございますが、これも居宅の軽度のサービスが、オレンジですけれども、やはり地域差につながっていることが見てとれると思います。
これにつきまして、ピンクの四角にもございますとおり、地域差に係る要因を分析しまして、この縮減に向けましてインセンティブ、もしくはPDCAサイクル、あらゆる手を使って縮減に努めてまいりたいと考えております。
95ページ、在宅サービスについての保険者等の関与の在り方ということでございます。左側を見ていただきますと、1号被保険者で軽度の訪問介護を受けている方々へのサービス提供者の数が横軸、縦軸は1人当たり給付月額で見ていただきますと、やはり軽度のサービスの従事者数が多いほうが給付月額が多いという傾向にございます。もちろん、認定した以上、その枠を使い切る傾向にあることは悪いとは申しませんけれども、必ずしも必要でないサービスまで、供給側の事情で伸びてしまっている部分があるとすれば、これについてはコントロールを及ぼす必要があるのではないかということで、右側の表にございますとおり、訪問介護、通所介護につきまして、現在、条件付与の仕組みを導入しておりますが、認定をしないという権限が都道府県知事に与えられておりませんので、供給計画を大きく超えた場合には認定しないことも権限として加えるべきではないか考えております。
引き続きサプライサイドへのコントロールが続きますけれども、100ページまで飛んでいただけますでしょうか。介護現場の生産性向上ということでございます。左側のグラフにございますとおり、2025年までに介護人材、約55万人、毎年6万人の増加が必要ということでございます。よって、外国人材も入ってくるということかと思いますけれども、左下を見ていただきますと、特養の施設設備運営基準での1人当たりの、いわゆるサービスを受けている方々に対する職員の配置の上限が3.0となっておりますが、現実におきましては2.0、若干加配の状態になっております。充実したサービスを提供するためには必要なことかとも思いますけれども、このままでは介護人材55万人では足りないということにもなりかねません。
ということで、右側にございますとおり、我々も予算事業として介護ロボットですとか、介護の現場はなかなかICT化しておりません。事業記録は基本的に手書きで紙に書くという時代のままでございますので、これにつきまして、やはりICT化を進めて効率性を上げ、生産性を上げまして、ピンクの四角の中にございますとおり、その成果を人員や設備基準の緩和といった形で報酬改定なり、制度改革につなげていくといったことが財政面からも必要なのではないかと考えているところでございます。
102ページ、引き続き供給体制のお話ではあるのですけれども、予算執行調査の結果なので一応御紹介しておきます。介護報酬改定を3年に一度やらせていただいておりますけれども、それに当たりまして経営実態調査というものを厚生労働省からいただいて、それを念頭に社会福祉法人の収支差、経営状況なども踏まえまして報酬改定を行ってまいりますが、右のグラフのように、赤は我々が介護報酬改定に当たりまして見ているアンケート、ブルーもしくは濃い青はその他のアンケートでございます。そうしますと、基本的に我々が見ている実態調査のほうが、一番下で見ていただきますと収支差が悪い経営実態調査が我々の手元に届いております。その他のアンケートによりますと、収支差が非常に良い結果が出ていたりします。なので、我々のところに実態がちゃんと届いているのかどうか。この経営実態調査の精度も向上させまして、3年後の報酬改定につなげていかなければならないのではないかという視点で、ここにつけさせていただいておるところでございます。
103ページは、こういった介護報酬改定をやっていくに当たりまして、左下のように、我々、良いサービス、悪いサービス、もしくはそれをインセンティブとして、一定方向に誘導するために介護報酬改定をしてまいりました。新設加算が147、廃止加算が11ということで、非常に加算が複雑になっております。よって、右上のようにサービスの質を反映したものになっているのか、インセンティブとして機能しているのか、それが患者にとって分かりにくくて、サービスを選ぶことが不可能になっているのではないかといった観点でよく検証いたしまして、3年後の報酬改定につなげていきたいと考えているところでございます。
106ページに飛んでいただきまして、介護保険の利用者負担でございます。これは、もう一言で申し上げますと、1割負担の方々がまだまだ多くございます。若干、引き上げてまいりましたけれども、この1割負担のところを世代間公平の観点から引き上げていくという観点で、引き続きつけさせていただいているところでございます。
飛んでいただきまして、108ページ、施設で介護を受けていただいている方々と在宅の公平性の確保のお話です。数年前から、預金通帳を見せる形で、資産も一応勘案する形で、施設で給付を受けられるときに、いわゆる補足給付ということで、お食事とかのサービスがただになるかどうかの判定をしてまいりましたけれども、その判断基準になりますのは右上にありますとおり1,000万円でございます。この1,000万円の基準は、なかなかまだ高いのではないか、もうちょっと引き下げることが可能なのではないか。試算を勘案した負担ということでは、引き続き議論していきたいと考えております。
最後、子育てにまいります。子育てにつきましては、今までやりましたことを、冒頭、つけておりますけれども、改革の視点ということで113ページまで飛んでいただきたいと思います。
児童手当の見直しでございます。これは、もうご案内のとおり、字でも書いてございますが、年収960万円未満の方々に、上段、真ん中にございますとおり、0-3歳未満であれば一律1万5,000円を給付しております。ただ、この960万円という所得の判定基準が、基本的に主な稼ぎ手お一人の収入で判断することになっておりますので、これはいかがなものなのか、保育料につきましては世帯合算で判断していることをどう考えるのかという視点。もう一つは、960万円以上の方々でも一律5,000円お配りしておりますが、これにつきましては、右側の円グラフのように足元の子育てに使っていないということもございますので、この特例給付自体、存続が必要なのかどうかについても議論をしていきたいと考えております。
114ページ、公定価格の適正化でございます。単価の水準等と書いてございます。公定価格の適正化につきましては、緑の四角に書いてございますとおり、基本額と各種加算等という構成になっております。基本額というのは、一定の職員配置をしていただいたときに、定員幾らの保育園であればということで基本額の単価を積み上げまして、それをお渡しする。追加でサービスをされるような保育園につきましては各種の加算があるという構造でございますが、この基本額の中に、分かりやすいところで申し上げますと、図4のように職員配置の基準がございます。非常勤職員を配置することが必須になっております。その理由といたしましては、保育士が研修とかで席をあけられることがあるときに、非常勤の先生がその日はクラスに入られるということかと思います。よって、必置なのですけれども、これにつきましては半数のこども園や幼稚園が置いていないということで、基本額としてはお渡ししているところでございますので、公定価格の適正化の余地があるのではないかと考えております。
最後に、115ページ、食材料費でございます。これにつきましては、ブルーの四角がございますとおり、内閣官房の子ども・子育ての会議、検討会の報告書でも指摘をされているところでございますが、論点のところにもございますとおり、障害児の施設、もしくは先ほど申し上げた介護施設であっても、食費は基本的に実費徴収でございまして、所得の低い方については免除という形になっております。
一番下にございますとおり、今まで実費徴収なり、保育料なりで取り方が各々によって違っております。幼稚園1号認定につきましては実費徴収、食事代です。2号認定、3歳から5歳につきましては主食費、白いご飯と思っていただければ、これは実費徴収ですが、副食費、おかずのほうは保育料に上乗せ、2歳の3号認定は両方とも保育料に乗せまして自己負担をしていただいております。幼児教育の無償化をいたしますと、保育料が無料化されることに当たりまして、2号認定、3号認定の保育料のところが右のとおり公費で空洞化、まさにただになるということでございまして、このままでまいりますと保育園の2号認定の3歳-5歳と幼稚園のみ実費徴収が残ってしまい、アンバランスが生じるということでございます。これにつきましては、ピンクの四角にもございますとおり、幼稚園等との均衡の観点から、やはり引き続き利用者負担、ただし低所得の方々については引き続き免除といった配慮が必要なのではないかと考えております。
私からは以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 では、関口主計官、お願いします。
〔 関口主計官 〕 続きまして、厚生労働係第二担当主計官の関口でございます。自分のほうから、ごく簡単に年金と生活保護について発言させていただきたいと思います。
まず、年金でございますけれども、参考資料の60ページをちょっと御覧いただければと思います。これは、昨年12月に取りまとめられた、いわゆる改革工程表の年金部分の記述でございまして、中に赤枠で囲まれているとおり、財政検証について言及されております。
財政検証というのは、5年に一度、年金財政の健全性を検証するものでございまして、来年2019年がその財政検証の年に当たります。前回、2014年に行われている検証の例でございますと、賃金上昇率など経済前提を変えた8つのケースについて試算を行うとともに、その後の年金制度改革の検討に資するように一定の制度改正を行った場合、年金財政にどのような影響が及ぶかを試算したオプション試算が初めて実施されています。こういった財政検証の結果が6月に公表されているところでございます。
改革工程表に様々な課題が書かれてございますけれども、そういったものを念頭に、今後、厚生労働省の社会保障審議会年金部会において、財政検証に向けた議論が進んでいくことが想定されていまして、必要に応じて財審の場でも御議論いただくことになるのではないかと思ってございます。
続いて、生活保護についてでございます。参考資料の78ページを御覧いただければと思いますけれども、こちらも年金と同じく改革工程表の生活保護の部分でございます。本年前半に生活保護法などの改正が行われていまして、後発医薬品の使用の原則化など規定されたり、様々な改革が進んでいるところでございます。他方で、頻回受診対策ですとか、就労促進、あるいは級地制度の見直しといった大きな課題が積み残しになってございまして、このような課題については引き続き厚生労働省ともよく議論して、見直しに向けて取り組んでいきたいと思ってございます。今回は、御参考までに関係する資料だけつけさせていただいたところでございます。
私からは以上でございます。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
それでは、皆様から御意見、御質問を頂戴することとしたいと思います。なお、本日御欠席の岡本委員、土居委員から意見書を提出いただいております。お手元に配付されているかと思います。お目通しいただければ存じます。
御意見ある場合は、従来どおりネームプレートを立ててお願いしたいのですが、社会保障、大変大玉でありますけれども、全体の時間配分を考えると2分程度を目安ということで、手短にお願いしたいと思います。
それでは、私のほうから向かって左側、宮武委員から進めていきます。お願いします。
〔 宮武委員 〕 最初に当てていただくのは、本当に久しぶりでございます。ありがとうございます。
1つは総論的なことですが、来年10月に消費税率が2%、予定どおり引き上げられれば、そこで一連の社会保障と税の一体改革は完了ということにされているわけです。そうしますと、この議論は来年度の予算編成に関する議論ではありますけれども、来年度中に社会保障と税の一体改革が完了するのであれば、その先の財源確保策もまた、当然ながら議論していかなければいけないわけでありますので、今回の議論を踏まえて、どこかに財政再建と社会保障の維持のためには次の財源確保策が必要であるということを、起草委員の方のお知恵に頼りますけれども、是非組み込んでいただきたいと思っております。
それから、医療分野についてだけ申し上げます。主計官から御説明がありましたけれども、36ページに日本の医療制度の特徴が書いてあるわけです。国民皆保険で、フリーアクセスで、自由開業制で、出来高払という、その特徴のところに大きな問題点が潜んでいることも確かです。
フリーアクセスということをずっと守っていれば、当然ながら医療機関の役割分担が明確にならない。そこで、かかりつけ医にまずかかってもらって、必要があれば、病院なり、専門医にかかってもらうという流れをつくっていかないと、現在取り組まれている病床を機能別に再編成するという地域医療構想もなかなか進まない。これをもっと明確に、強力に打ち出していただきたいと思います。
同時に、出来高払もこのままで良いとはとても思えない。診療行為を重ねれば収入も増えるということですので、当然ながらたくさん薬を出す、何度も検査をすれば収入が上がる、多剤投与とか、重複投与は目に余るものがあるわけであります。高額薬剤についての危機感も分かりますけれども、実は多剤投与、重複投与のほうが総額としては大きいのかもしれません。ここにメスを入れるためには何をするのかというと、出来高払から基本的に1カ月幾らの定額払に切りかえていくということを、方向としてもっと打ち出していただきたいと思います。
そういう意味では、64ページにフランスの改革が取り上げられていて、病院に直行すると、通常は3割負担から7割負担になるドラスティックな方策をとったわけです。これは前にも申し上げましたけれども、フランスは病院に直行した場合の7割負担と同時に、外来においても出来高払から基本的に定額払に切りかえているのです。その2つが、いわば二人三脚で強力な改革になっている。これは、やはり学ぶべきことだと思います。
たまたまフランスの例が出たので申し上げるのですけれども、54ページ、フランスは薬剤によっては、あまり役に立たないものは7割分、8割分払えと大変厳しい施策をとっているわけです。ただし、どうしてフランスの人たちはこれに耐えているのかというと、実は公的な医療保険とは別に、補足的な医療保険がございます。主計官は重々御存知だと思いますけれども、これは準公的な性格で、主に共済組合が運営していて、国民の9割強が加入しています。実は、2016年から、民間企業の場合は労使折半で保険料を払って、この補足的医療保険に入ることが義務づけられた。ここに入っていますと、今、申し上げたような薬剤費の負担とか、一般的な3割負担、これは容易に払うことができるわけです。もちろん、病院直行で7割負担のところは対象になりません。
そういう形で、フランスもまさに皆保険でありますが、皆保険が皆保険であるためのいろいろなシステムをつけ加えてやっているということは、我々は学ぶべきだと思っております。特に、低所得者の方で保険料を払えない場合は、補足的医療保険についても同様に公費等で補助して使うことができるようにしています。
負担の形というのはいろいろあって、窓口で負担するのか、保険料で負担するのか、様々でありますけれども、いずれにしろちゃんと負担しなければまともな給付は受けられないということは、しっかり念頭に置くべきだと考えております。
〔 増田分科会長代理 〕 宮島委員、是非手短によろしくお願いします。
〔 宮島委員 〕 では、3点、短く申し上げます。
まず、医療費に関してですけれども、何よりも国民の中での議論が、医療費が上がって困ります、だから負担をどうするか、削らなくてはいけませんというところで止まっているときに、国民がやはり、必要ならばどこかお金のある人から、あるいは国が払ってくれるのではないかというような感覚を持ち続けていることで、進んでいない部分があると思います。ですから、法定外繰入をやめるなど、できるだけ負担意識を高めて、1対1であるということを分かっていただくことがまずは必要です。
かつ、高度医療などを見ますと、今後、どこまで進んでも全部払うのは無理だということは普通の人から見ても明らかだと思います。ですから、あれもこれもは無理だ、どれを選択するのかという問いかけから国民に対して始めることが必要ではないかと思います。ノーベル賞もありまして、オプジーボに関心がありますけれども、ここのところの一般の人を見ますと、自分もオプジーボを受けたいと、対象でない人も含めて問い合わせが殺到して、やはり皆高度医療を受けたいわけです。もし高度医療を受けたいのであれば、余分にもらってしまっている薬とか、念のため受けているような検査とか、そういうものを代わりにやめる。どちらかしか選べないというように持っていく必要があると思います。
その上で、高額医療に関しましては、もはや全部、保険を適用することは無理だと思っておりまして、どこまでを保険で見るのかという議論を、いよいよ本当に始めるべきだと思います。さらに、高額医療の保険適用に関しては、厳しく言えば年齢ですとか、そういうところでも国民の中で納得のある線引きを探っていく時期に来ているのではないかと思います。
2つ目は、かかりつけの問題です。都市部のサラリーマンなどは必ずしも自宅近くの病院には行かなくて、自宅近くのかかりつけ医に薬を取りに行くというような行動をとらないわけですけれども、かかりつけのプラスアルファが診療に乗せられているということは現実的ではないと思います。この薬局の部分でも、あるいは医療の部分でも、お金をつけているのに結果に結びついていないというところがやはり幾つかあると思いますので、これを是正していく必要があると思います。
3つ目は、子育てのところです。今回、子育てを支えるために幼児教育無償化を進める。これは非常に良いと思うのですけれども、詳細設計のところでいかに不公平感を減らすかということが非常に大事になってきます。さらに、無償化されたことで、需要がどうしても膨らむというようなところを何とかコントロールしていかなければいけないと思っております。
その中で、現在、認可保育園では給食費が含まれておりますけれども、ここはちゃんと切り取って、食費に関しては必ず実費徴収するということをやっていただきたいと思います。この大きな政策変更の段階で1回ゼロにしてしまいますと、改めて後から食費を徴収するというのはかなり難しいと思います。逆に言うと、保育園はゼロなのに、なぜ幼稚園はゼロではないのか、いや、小学校だって無償化でしょう、小学校のお弁当は無料じゃないのみたいな形で話が進んでいくおそれもあります。
さらに、今回の無償化は公平感で言うと、ゼロだと言うものの、実際は全員ゼロにはなっていないわけです。やはり認可外に預ける方はある程度負担をしていただかなければいけない。あるいは、全体から見れば、ちょうど今年、子供が卒園したばかりなのに、この1年の差は大きいわよねというような不公平感もなくはありません。それは施策ですから、そこの不公平感はしようがないのですけれども、そういったトータルの不公平感を考えれば、給食費というか食費ぐらいは、取らないことのほうが明らかに不公平になると思いますので、これは確実に徴収の方向でお願いしたいと思います。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
神子田委員、お願いします。
〔 神子田委員 〕 できるだけ短く言います。
社会保障の支え手として高齢者の現役世代を増やすということで、17ページのところです。岡本委員から意見が出ているように、あたかも健康経営が無意味なもののように見える表現はいかがなものかと思いましたけれども、先ほどの吉野主計官のお話でも、健康長寿が延びても寿命自体が延びたら、やはり国の負担が増えるとか、健康である間も生活習慣病などで負担がかかるとかありました。何か聞いていると、長生きすると負担がかかるから良くないみたいなニュアンスにも聞こえてきて、決してそういうように思われていることはないと思うので、その辺り、くれぐれも誤解のないように表現ぶりは必要かなというのは一つ思いました。
もう一つは、そもそも高齢者の現役世代というのは、車でもそうなのですが、新車から10年ぐらいは故障もないのですけれども、10年経ったらやはり故障もあるし、メンテナンスもより頻度を高めてやっていかないと動かないというものですので、やはり30歳から50歳までと、50歳から70歳までの世代というのは全然違うと思うのです。だから、そもそも高齢者の支え手というのは、ある程度支えてもらうための負担というのはやはりあるのではないかと思うのです。ただ、その一方で、社会保障にとっては支え手にもなってくれというベネフィットも大きいので、この辺りのコストとベネフィットのところを大局的にどういうように考えるか、というところを整理したら良いのではないかと思いました。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
南場委員、お願いします。
〔 南場委員 〕 小さなリスクは自助、大きなリスクは公助という考え方に沿って、大胆に進めていくべきではないかと思っております。しかし、少し難しい議論だと思って聞いていましたのは、費用対効果を保険収載の判断に入れるということです。
これは、さっと聞くと、それはそうだと皆言いがちだと思うのですけれども、費用対効果が悪い薬剤ですね。マクロで見れば悪くても、効く人にはとことん効くのですよね。分かりやすいバイオマーカーがあれば良いのですけれども、そうでない場合もあるといったときに、マクロで見たら費用対効果が悪いので保険収載しませんとなったときに、やはり治療の現場でそれが用いられなくなっていって、逆にどういった人に効いて、どういった人に効かないのかというサイエンスも進まなくなるというのは最悪のシナリオですし、先ほど情報の非対称性のお話もありましたけれども、患者は自分の命にかかわることでも、やはり自分でリサーチをする能力を持っている人はとても少ないのです。ですから、医者に言われるままの治療をしてしまい、国民のウェルフェアという意味でも非常に問題があると思います。ですから、費用対効果という言葉は極めてミスリーディングになり得るということに注意する必要があります。
また、大きなトレンドとして、プレシジョンメディシンに移行しようという時代ですが、プレシジョンメディシンの考え方とマクロの費用対効果というのは相入れないものですので、どうかそこだけは注意をして進めていただきたいと思います。
また、高額薬剤の部分は大きなリスクに該当するのです。ですから、小さなリスクは自助、大きなリスクは共助といったところの大きな考え方としては、極めて注意して取り組まなければいけない課題だと思います。
また、民間保険がそういった部分について、一定の大きな割合を果たすようにはなると思うのですけれども、その民間保険の規制緩和、具体的にはもっと新しい攻めの商品を、いわゆる健康支援型保険などですけれども、もう少し社会の要請を受けて緩和していくべきところもあるのではないかと考えます。
あと、もう皆様発言していらっしゃるのですけれども、予防医療というものが実際は医療費の削減にはつながらないのだということの言い方については、非常に気をつけて、センシティブに発言されないと、国民のウェルフェアがそっちのけなのかということになります。
あと、単年度の効果だけではなくて、やはり産業の盛り上がりによる税収ですとか、あるいは健康長寿が延びることによって、仮に非健康長寿もそれに伴って延びたとしても、いわゆる労働力の提供という、稼ぐ年齢が長くなるということのメリットもあるわけですので、十分に気をつけた打出し方をしていただきたいということも重ねて申し上げます。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
中空委員、お願いします。
〔 中空委員 〕 ありがとうございます。
小さいところから申し上げたいと思いますが、今、南場委員のほうからも医薬品の話が多くありました。お話を聞いていて思っていたのが、今年もまた薬価が焦点なのだなということです。薬価は、毎年毎年、引下げの話が出てきていて、そういう意味では、私はアナリストという業務をやっていますが、医薬品メーカーは大変だなと思って聞いています。これは日本の技術が低いのか、それとも、ほかの国のほうがうまくやっているのか分かりませんが、もしかしたら、様々な補塡、補助金があったせいで日本企業がたるんでしまった面もあるのかもしれないです。
そう思いながらも、言いたいことは、日本の医薬品の競争力を阻害するようなことが行われないように考えなければいけないということです。今まで委員の方々に、ウェルフェアはどうあるべきかという観点でお話をしていただいたのですが、やはり日本企業の競争力ということもここには組み入れるべきであろうと思います。これが1つ目。
2つ目は、どこかで高齢者の方の金融資産についても考えていきましょうとあったのですが、それは当然だと思います。いっぱいお金を持っている人が必要なお金を支払うというのは当たり前だと、負担と給付の公平の観点からは思うのですが、金融資産を入れてしまう前には整理しなければいけないことがあるのではないでしょうか。含み益のときは良いですけれども、含み損になったら徴収をやめて、さらに支払うのかとか。ややこしく、難しくなってしまいますが、そこも配慮しながら考えなければいけないのではないでしょうか。
もう一つ、来年、財政検証があります。公的年金や医療を考えるときには線引きをどこまで厳しくするか、これに尽きると思っています。現在、日本は財政難、お金がないわけなので線引きをどんどん厳しくしていくしかない。そういう状態の中で財政検証するので、より国民に訴えがきくような財政検証をしていきたいものであるし、そういう注文をしたいと思います。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
冨田委員、お願いします。
〔 冨田委員 〕 ありがとうございます。
質問と、確認をさせていただきます。いずれも、年齢構成の変化によります社会保障関係費の増加分ということについてです。これは、これまで3年間、あるいは6年間、予算編成において決定的に重要な指標だったわけですが、今年は、本日の35ページの資料でもありますように予算編成過程を通じて精査となっていて、これまで毎年5,000億円となっていたものがまだ示されていないわけです。
34ページでは、75歳以上人口の増加分が非常に減ってくることが示されておりまして、この金額はかなり減るだろうという予想ができるわけですけれども、予算編成の過程で明らかにするとはいえ、あと2カ月ちょっとしか残っていないわけでして、この数字がないと何か不安というか、政府内でやはりこういうことが共有されていませんと、予算編成をより具体的に進めることが難しいのではないかと思うのです。この数字はまだ明らかになっていないと思うのですけれども、それを明らかにすることはできるのでしょうかということです。「骨太方針」の中で、これから3年間についても同じことが書かれていますので、これは機械計算でできるはずのものだと思うので、予算編成過程を通じて精査ということが必要なのかどうかということです。これが1点です。
もう1点は、今年の春の建議で、給付と負担のバランスの自動調整ということを非常に重点的に、イメージ図も示して、文章でもかなり書いたわけです。今回はそれが出ていないのですが、本日、お話で、69ページの普通調整交付金の配分方法というところが飛ばされましたけれども、その前のほうに地域別診療報酬の設定について、都道府県で行うとか、あるいは法定外繰入の解消といったことがあります。これらを合わせて読むと、給付と負担の見える化、バランス調整といったことの方向性が見えてくるように私には見えるし、また、そういう方向がとられるべきだと思うのですけれども、その点、いかがでしょうかということです。
ただ、基本方向はこのとおりだと思うのですけれども、地方が行うことでして、これまでどうしても予算がソフト化してしまうというか、地方公営企業であっても、独立採算が前提でも、基準外の繰入れとか、普通会計から繰入れがなされております。したがって、本日、御指摘のように普通調整交付金の配分方法見直し、そして法定外繰入を解消する、そういったことを前提として、やはり大きく方向をこちらの方向に進めていくことが大事なのではないか。
さらには、翌年度予算の繰上げ充用といったことも行われているようにも見受けられますので、そうした予算のソフト化といったことはやはり厳しく禁止していく方向で行っていくべきではないかと思います。
以上です。
〔 吉野主計官 〕 先生の御指摘のとおり、資料にはそう書いてございまして、機械的に出ます部分と、必ずしもそうでないトレンド等もございます。現状お答えできますのは、あと2カ月しかなく、我々も焦るところでございますが、予算編成過程で目安として我々が掲げなければいけない数字と、それに対しまして我々が講じた施策とを御説明していくタイミングが必ず来ると思っておりますので、そこに場所を譲りたいと考えております。
それと、マクロスライドのような絵がついていましたよねというお話がございました。我々としては必ずしもその看板をおろしたわけではございませんが、小さい字で書きましたように、実効給付率の推移のところに、患者負担は定率であるが、高額療養費制度により負担限度額が定められているため、医療の高度化等によって医療費が増加するにつれて、実効負担率が下がっていくと書かせていただきました。考え方としてはそれが肝だと思っておりまして、自動的に調整するのか、いろいろな仕組みを、先ほど委員がおっしゃられたように見える化のプロセスの中で、それは地方にお願いすることもあれば、国でやらなければいけないこともあると思いますけれども、いろいろな仕組みを自動調整ではない形でもやっていかなければいけないことも、今までも、これからもあると思っているものですから、この支え手減少下の中での総合的な対応というのはまさに総合的な対応なので、自動調整のみならず、ほかの話もできることから、あれもこれもやっていきたいと考えております。
〔 増田分科会長代理 〕 増加分を抑え込む数字、間もなく出てくると思いますので、よろしくお願いします。
それでは、田近委員、お願いします。
〔 田近委員 〕 まさにその数字について質問しようとしたのですけれども、本日の35ページ、冨田委員も指摘されました。本日は、来年度予算についてこれから議論するということで、社会保障について、この財審で心づもりにすることは何かを共有すべきだというのが私の意見で、35ページが本日の一番重要な資料の一つだと思うのですけれども、冨田委員からもあったように、基本的には18年度、今年の「骨太方針」で、2016年度、2017年度、2018年度の「経済・財政再生計画」を踏まえて、19年度以降も人口増加の範囲で増加をとどめようと。しかし、冨田委員がまさにおっしゃって、繰返しは避けますけれども、終戦のときに生まれた世代が多少少ないということで高齢化が止まる。ということは、端的に言えば1年5,000億円では済まない、それをもっと切り込まないと財審としては議論が成り立たないのではないかというのが第1点。
第2点は、一方、去年の秋の終わりのほうで取りまとめられた新しい政策パッケージの2兆円分のうち公費負担分の1.7兆円は、端的に言えば後代世代への負担の先取りの軽減を取ってしまうわけですから、今、人口構成で5,000億円が出発点ではないか。更に状況はここで厳しくなっているわけですから、その2点からいっても、我々、財審の委員としての心づもりというのは、端的に言えば5,000億円が出発点ではないか。それを切る形で議論すべきだというのが私の意見です。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
まだまだ札が上がっているので、武田委員、十河委員、角委員、末澤委員、神津委員、北尾委員、伊藤委員、まずそこまでということで、時間の進行管理を見て、その後できるか、また判断したいと思います。
それでは、武田委員、お願いします。
〔 武田委員 〕 ありがとうございます。意見を3点、申し上げます。
1点目は、責任ある制度改革をしっかり行っていくことだと思います。冒頭、榊原分科会長より、責任ある予算というお話がございましたけれども、責任ある予算は大変重要と考えます。より未来に対して責任ある政策運営ということでは、やはり鍵は社会保障制度改革だと私は考えております。まず、支え手を増やすことは重要で、また、健康長寿を延ばしていくことも必要なのですが、それと同時に制度改革をしっかりやっていかないとサステナブルではないということを、まずは共通認識として持っていきたいと考えております。
2番目は、優先順位をいかにしてつけるかという点です。改革メニューは44項目ありまして、このうち何がどこまで行われて、現在、どのくらいの抑制効果を発揮できそうなのかという点をまず押さえる必要があり、その上で、今後、何をいつ実行していくかという優先順位を是非明確にしていただきたいと思っています。時間軸で工程表を書き直しても良いかもしれません。2022年には団塊世代がいよいよ後期高齢者になりますが、一度、自己負担割合を2割から1割に引き下げたら、今後、それを2割に戻すのはほぼ不可能ではないかと思っていますので、ここは是非とも優先順位を高くして取り組んでいただきたいと思います。
3点目は総合的な視点についてです。制度改革はしっかり行う。しかし、制度改革だけでは、社会の持続可能性や経済といった観点ではなかなか難しいと思いますので、技術や地域社会での支え合いの仕組みなども活用し、総合的に進めていく視点は大事だと思います。ちょうど高齢化が進んでピンチの段階で、技術の面では非常にチャンスも出てきている。技術を活用し、自立支援をして、民間のビジネスで解決して、イノベーションを促進し、経済の活力にもつなげていくという、民での解決につなげていくことがポイントではないかと思います。それができれば、地域社会でより高齢者が長く働けるようになりますので、おのずと支え合いの構図もできて、制度改革という痛みを伴うものと、よりポジティブな動きと同時解決が得られるのではないかと考えます。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
十河委員、お願いします。
〔 十河委員 〕 ありがとうございます。
あまりにたくさんの課題があり過ぎて、どこからどう述べていいのかというところではございますけれども、大変御苦労なさって、いろいろな削減、あるいは是正を進めていらっしゃるということは非常に感じております。
その中で、私はやはり女性の委員として一つ申し上げたいことは、これから高齢者と女性の就労を促進していくということで、特に社会保障に関しまして、介護士ですとか保健師は、女性が恐らく割合として多いのではないかと思われます。本来であれば、介護士などは力仕事でもありますので男性が多くいても当然なのですけれども、やはりデータとかを拝見いたしますと女性のほうが多い。それでいて、神津委員も述べられているように、やはり年収が非常に低いということがございます。こちらは、削減とはまた別の観点から、やはり働きやすい状況をつくっていくことが離職率を減らしたり、あるいは女性や高齢者の就労支援にもなっていくと思いますので、また別の視点からそういった部分を考えていただけないかと思っております。
それから、先ほど来ずっと出ておりますかかりつけ医、かかりつけ薬局について、ここはまだ成果が出ていないのだなということを改めて感じておりまして、やはり日本人は大病院病といいますか、非常に大きなところに頼るところがございまして、これはなぜかということをもう一度考えていく必要があるのではないかと思いました。ただ、金銭的な補助や制度だけではなくて、なぜ国民がそのような動きを改善できないのか、やはりかかりつけになれていないのかというところをもう一度考えた上で、それが結果的に削減になるような形になっていくことが重要ではないかと思いました。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
角委員、お願いします。
〔 角委員 〕 ありがとうございます。
今、武田委員から優先順位の話がございましたけれども、私も54ページのOTC医薬品の自己負担割合の見直し、それから80ページの後期高齢者2割負担、並びに113ページの児童手当について所得制限の見直し、この3点目は確実に実行すべきであると思います。
それと、かなり技術が進歩して、画像伝送なんて幾らでもできるわけで、私が8年前に食道がんを患って入院したとき、入院患者は当然、その病院自前のCT、MRIを使うのですけれども、退院して経過観察を行うときなどは、近くにある民間の病院でCTを撮って、画像伝送して主治医が診断する。こんなことは幾らでもたやすくできるのにもかかわらず、さきのデータを見ると、年間800件というと1日4回ぐらいしか撮影しない。ということは、大病院に集中するといいますけれども、やはり大病院というのは多くの診療経験がある。ですから、経験豊富なので診断ミスが少ないということですから、1日に3回とか4回ぐらいの撮影なんてとんでもない話です。ベッド数の話も含め、ペナルティとインセンティブを活用して、適正な数字へ持っていっていただく御検討をお願いしたい。
基礎的財政収支が2020年度から2025年度と後ろに延びたのは残念ではありますけれども、今回の「骨太方針」の中で、まずは70歳まで働ける社会をつくりましょうという柱を立てていただいて、その後、2年間で社会保障の改革をもう一度、工程も含めて見直すということを言っていただいたのは非常にありがたいと思います。
70歳まで働くということは2つ意味があって、当然のことながら65歳から70歳まで支え手に回る社会ということで、年金の持続性を高める。もう一つは、やはりいろいろ議論ありますけれども、予防費の話もありましたけれども、要するに働いておれば生活習慣病であるとか、あるいは認知症であるとか、そういうことが少しでも良い方向に行くのは当然ですので、できるだけ早く70歳までの方針を立てていただいて、経団連さんもそれにコミットしていただいて、そうしたら全国の財界もついていくと思いますので、とにかく大企業が率先して70歳まで働ける社会に協力していくべきであろうと思います。
そして、ちょっと長くなってすみません、2015年に日本医学会総会が京都大学で開かれたときに広域開催されました。そのときに、関西健康・医療創生会議というものができまして、その中の5つのチームのうちの1つが千年カルテプロジェクト、これはAMEDの支援も得て、今現在、142、ベッド数にして3万5,000を超える病院の医療データが集まって、それが札幌のデータセンターに集まります。要するに今年の5月、次世代医療基盤法ができまして、本人同意なしに医療情報が匿名化されて、ビッグデータとして創薬、あるいはいろいろなことに活用できていく、もちろん健康長寿の増進にも役に立つ。現在、142医療機関ですけれども、これを300に増やしていくということで、計画が進んでいっています。病院の医療情報というのは病気にかかった人の情報しかないので、健康な人のデータ、人間ドックのデータとか、健康診断のデータもここに載せていかなければならない。そういうことをすることによって、ビッグデータ解析によって創薬にも役立つし、それがいよいよ来年度から、19年度からスタートを切りますので、是非この御支援のほうもよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
それでは、末澤委員、お願いします。
〔 末澤委員 〕 大部の御説明、ありがとうございました。
私のほうからは、少しマクロ的な話をさせていただきたいのですが、たしか15ページに国民医療費の総額があったと思います。これは御覧いただくと、このグラフに出ている2016年度は前年比で、0.4%ほどだったと思いますけれども、減少しておりまして、医療費は一服したという感じがあるのですね。ただ、その前の2015年度は急増しております。これは実は、先ほど出ましたオプジーボを含めて、新たな高額薬剤が相当普及したことが背景でございまして、ちょうど2年前に、まだこの国民医療費が出ていないタイミングですけれども、2015年度の概算医療費が相当伸びていると、調剤費が10%ほど伸びていますと、こういう話をさせていただきました。実は、そのときも、ちょうどその直前にノーベル生理学・医学賞を大隅教授が、前年の大村教授に次いで2年連続で受賞されまして、今回、本庶教授が、オプジーボの生みの親でございますけれども、受賞されまして、極めておめでたい話だと思います。
ただ、ちょっとグラフに戻りますと、2017年度は、国民医療費の98%に相当する概算医療費はもう既に2.3%伸びておりまして、これは9月に厚生労働省から発表ございましたが、そのうち調剤費は2.9%増と。これまた、既に総額の医療費を超える伸びに調剤費がなってきているわけです。今回のノーベル賞の受賞もございまして、やはりマスコミだとか、厚生労働省、私の知り合いのお医者さんのところにも相当オプジーボの照会等も来ておりまして、多分、このままでは相当また調剤費が伸びる可能性は高いと思います。
私は、これは国民の生命にかかわりますから、一律に削減するような問題ではないと思うのですけれども、財審としまして医療費を抑えるに当たってどうすべきなのか。私はむしろ、今回のノーベル賞の受賞をきっかけとしまして、これだけ現在の医療費はかかっている一方で、これだけの新しい夢のようなお薬も出てきている。そのような全体像を、有権者の皆様に明らかにしていく。これだけ良い薬もあるのだけれども価格が高い一方で、その負担は、特にこれは健保組合を通じて現役世代に相当かかってきています。2022年度から2025年度にかけて団塊世代が相次いで後期高齢者になる。今回、この全体像を是非アピールする機会にしていただければよろしいのではないかと考えている次第でございます。
以上でございます。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
神津委員、お願いします。
〔 神津委員 〕 ありがとうございます。
社会保障全般ということですので、申し上げたいことが山ほどあるものですから、意見書を提出させていただいています。これ、当然2分では説明できませんので、この場ではごくごく絞って発言したいと思います。
まず、医療でありますけれども、持続可能性の確保ということについては非常に重要であると思います。ただ、将来にわたる給付割合が法律で定められているということ自体は大変重いことだと思っています。その約束が守られるということは、国民の安心の基盤だと考えます。
それと、支え手の減少にどう対応していくのかという視点は極めて重要であります。本日の御説明の中、17ページのところで予防や健康づくりの取組の促進の問題、必要性についていろいろな観点のお話がありました。私たち一人一人にとって、充実した暮らしを送っていくためには予防、健康づくりは不可欠です。予防医療のプラスとマイナスの財政効果が留意点として示されているということですけれども、例えばがんの早期発見と治療による経済効果ですとか、あるいは労働力率の変化ですとか、エビデンスを持って検討していき、そして効果のあることについては制度や仕組みにビルトインすべきではないかということを付加しておきたいと思います。
そのほか、59ページにあります地域間の医療偏在の解消、それから81ページにあります後期高齢者医療制度の負担能力に応じた負担の在り方を検討すること、これらについては是非進めるべきだと考えます。
一方で、54ページの薬剤自己負担の引上げ、それから55ページの受診時定額負担の導入、これらにつきましては先ほど申し述べたように、基本は7割給付だと思いますので、そのことは堅持をすべきだと考えます。
そのようなことのためにも、消費税率の着実な引上げですとか、応能負担の徹底による負担の在り方の見直しなどは先決だと思います。そのようなことを含めて、先ほど宮武委員から御提起あったことについては私も賛同するものであります。
それから、介護であります。高齢化、寿命長寿化、単身化、こういった中でますます介護については重要性が増していくわけです。介護保険サービスが確実に利用できる体制の必須条件は介護人材の安定確保であります。そうした中、先ほど十河委員にも触れていただいていますけれども、処遇改善の実現、これは最も重要なことだと思います。その観点で、介護人材の更なる処遇改善を行うといった方針が出ていることは非常に大事なことだと思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
また、介護現場でのロボット、センサー、それからAIの活用、これも期待するところであります。
その一方で、いわゆる軽度者を介護保険給付の対象から外す提案ですとか、介護保険の原則2割負担化の提案が示されているのですが、いつもこの場でも申し上げていますが、懸念をすることとして、適切な介護が早い段階から受けられないで、結果として重度化を進めてしまうのではないか、そして、そのことによって家族と介護者の離職を促進してしまうのではないか、そのようなことになってはならないということは申し上げておきたいと思います。この点は、昨年の地域包括ケアシステム強化法の国会附帯決議でも対応が求められているところであります。慎重な検討を求めたいと思います。
最後、子ども・子育てであります。111ページから115ページのところですが、待機児童の解消、保育の質の向上のため、少子化社会対策大綱を踏まえて、消費増税を待たずに1兆円超の財源確保について早急に対応し、保育士等の更なる処遇改善による人材確保、それから保育の質の確保、これを確実に進めていくべきと思います。
以上であります。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
北尾委員、よろしくお願いします。
〔 北尾委員 〕 いろいろな制度の改革を考えるときに、制度が与えるインセンティブへの影響とか、個人の行動の変化というのは、コストベネフィットアナリシスをする上でも非常に重要だと思います。
医療・介護について非常に詳しくされているのですけれども、年金についても同じようなことをするのはすごく大切で、例えば年金受給開始年齢の引上げによって労働インセンティブがどう変わるかといった研究も多くなされていますので、そのようなことをすることが非常に重要かと思います。特に年金受給開始年齢について、これまでも議論されてきましたけれども、年金財政の面だけではなくて、労働インセンティブとか、投資インセンティブ、貯蓄インセンティブにも大きくかかわってくる影響ですので、こうしたことも含めて議論していく必要があると思います。
ただ、年金だけではなくて、医療保険の改革とか行った場合に、そのプログラム自体の財政の改善につながる一方で、ほかの制度の財政収支に及ぶ影響も考慮する必要があると思います。例えば、受給開始年齢が65歳から68歳、70歳になったとき、そのつなぎの5年間をどうするのか。十分な資産、所得がなければ生活保護に移行して、結局、最終的に、総合でマクロで見れば財政収支プラスマイナスゼロになってしまうかもしれない。制度改正がほかの制度に及ぼす影響というのも分析の上で、視野に入れていく必要があると思います。
先ほど角委員からもお話あったのですけれども、制度を支える側の人を増やしていくという努力はすごく必要だと思います。ただ、企業に70歳までの雇用をお願いしますというのは、恐らく方向的に違うのではないかと思います。企業負担を増やして、海外と比較した競争力も減らしかねず、それから労働の流動性も大きく阻害する可能性もあると思います。経済学の研究で、労働はここまでという終わりがあると、高齢者の労働意欲だけではなくて、若いときの人的資本に対するスキルアップのインセンティブも大きく変わってくるというような研究もなされています。
そうしたことから、働く意欲があったり、元気がある人は70歳とは言わず75歳、80歳でも働ける中、政府がここで終わりということを決める必要はないと思います。時間をかけて、ゆっくり検討していくことだと思うのですけれども、これから先、雇用における年齢差別とか年齢による扱いの違いというのは無くしていく方向が正しいのではないかと、個人的には思います。
あと、手短に2点目、5年に一度の財政検証が来年行われるということで、これはその後5年間にわたって、経済学の研究でも、政策においても、大いに使われていく大切な検証だと思うので、非常に現実的な足元のデータに基づいたシナリオをベースにして、これなら信用できるというものをつくっていただくことがすごく大事だと思います。過去5年なり、10年なりの数字を見て、それをもとにベースラインのケースを考えて、楽観的なシナリオ、悲観的なシナリオ、上下両方を示していくこと。それから、政策の違いによってベースラインのシナリオがどう変わっていくのかということを、一つ一つオプションの政策シナリオとして考えていくことが必要かと思います。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
伊藤委員、お願いします。
〔 伊藤委員 〕 ありがとうございます。
私、出身母体が商工会議所なので、中小企業の立場から意見を申し上げようと思います。中小企業の現在の最大の課題は人手不足です。そのために、防衛上、賃金を上げざるを得ないなんていうことがあって、中小企業の労働分配率はもう73%ぐらいになっているのです。大企業は、御承知のように四十三、四%だと思います。そういう負担能力の限界に近づいてきている。しかし、その中で必要なことはやはりやっていかないといけないということでございますので、日本の社会保障制度の持続性、あるいは不安解消という視点から言うと、軸足を将来の安心にも置いて社会保障制度の改革をやっていただきたい。全世代型社会保障といいますけれども、そういうことではないのかということが一つあります。
それから、誰もおっしゃらなかったのですけれども、これは中小企業だけの話ではないのですけれども、来年10月に消費税率は絶対上がるのですよね。もうそういう前提で議論が進んでいるわけですけれども、また延ばすということはないようにお願いしたいと思います。
それから、医療について申し上げますと、支え手としての健康保険組合、健保組合の財政の悪化を何とかしないといけないと思うのですけれども、9月の健康保険組合連合会の調査ですと、赤字組合が41.6%、昨年度は12組合が解散しております。健保組合が解散しますと、受け皿となる協会けんぽの国庫負担の増加につながりますので、財政再建が更に遠のくということになりかねませんので、支え手としての立場を含めた高齢者医療制度といいますか、制度としてやらなければならないものはきちんとやっていただかないといけないだろうと思います。
最後ですけれども、子ども・子育てにつきまして、子ども・子育て拠出金というものがありますよね。企業主主導型の保育事業の財源である事業主拠出金は、赤字企業も含めて全ての企業が対象に、厚生年金とともに徴収されているわけでございまして、料率の引上げが続いていることから、特に中小企業にとっては負担感が大きくなっているので、そういうところをよく見ていただきたい。こういう教育に関する部分というのは拠出金ではなく、税による恒久財源をやはり確保する方向で考えていただきたい、こう思っております。
以上です。ありがとうございました。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
担当の次長は宇波さんですけれども、何か事務局のほうで総括してありますか。
〔 宇波次長 〕 恐縮です。時間がない中で一言だけ。
神子田委員、南場委員から御指摘のあった、17ページ、健康経営、あるいは予防医療ですけれども、説明ぶりについては十分に気をつけたいと思います。私たち事務局としても、この取組について何か批判的なことを申し上げる考えを持っているわけではありません。既に御承知のように、「骨太2006」という昔の財政構造改革をしていたときには削減額を最初に決めてやっておりました。自然増がどうなろうと、とにかく決まった削減額を削減するというようにやっておりましたけれども、この3年間、財審から御提言をいただいて、現在、やっている取組はこういう取組ではなくて、給付の伸びを高齢化の伸びの範囲内に抑えようと、いわばアウトカムというのでしょうか、伸びを抑制しようということを目標にやっております。
したがいまして、いろいろな取組をする中で社会保障の自然増の伸びがおさまってくれば、当然ながら高齢化の伸びまでの幅は短くなってくるわけですので、17ページにも書いたように、予防などを進めることによって皆が健康になって、それを通じて医療費の自然増が減少すれば、その分だけほかの改革に対するプレッシャーは当然小さくなってくる。目指すべきなのは給付と負担の伸びの均衡であり、削減額を稼ぎたいということではありません。あくまでもそういうことでありますので、この取組については私たちも是非進めるべきだと思っています。
そういう意味では、神津委員から御指摘のあったように、いろいろなエビデンスのある地域の取組とか健保組合の取組を横展開するということは、これまでもかなりの予算をつけてやってきておりますけれども、引き続きこういうことについては積極的に取り組んでまいりたいと思っています。
ここで申し上げたかったことは1点でありまして、この取組を進める中で、例えば1つの小さな地域の取組で、このぐらいの医療費がこういう取組で削減できた、したがって、これをそのまま全市町村の倍数で掛けると兆円オーダーの医療費が節減できるといった推計が時々示されることがございます。財政当局として申し上げたいのはこの点だけでありまして、こういった推計をすることによって、他の制度改革の努力とか、取組の手を緩めることがあってはいけない。やはり先ほどから出ているように、総合的に取り組むことで伸びを確実に抑制することが必要であって、何か定量的な分析をあらかじめ置いて、それを見込んで、改革は進めなくても良いのであるといった議論には、なかなか財政当局としてはのれませんということだけを申し上げたかったわけであります。
健康予防への取組については、先ほどおっしゃっていたように支え手を増やすという意味では非常に大事な取組でありまして、政府としても未来投資会議などで積極的な議論が行われておりますので、財政当局としても、それに対してきちんと進めるよう取組を進めてまいりたいと考えております。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
本日は、もう時間が多少過ぎましたので、ここまでとしたいと思います。いろいろ意見が出ましたけれども、全体をまとめて、いつもどおり、毎回のとおり起草委員の皆様に、それをどう集約して建議としてまとめていくかをお考えいただいて、そのたたき台をまた皆様に御議論いただく場がございますので、是非そこでまた御意見を頂戴したいと思います。
それでは、本日の議題は以上とさせていただきます。
会議の内容については、会議後の記者会見で御紹介させていただくこととしておりますので、会議の個々の発言につきましては、恐縮ですが、皆様から直接、報道関係者にお話をすることのないよう、御注意をいただきたいと思います。
次回は、10月16日、10時から開催を予定しておりますので、よろしくお願いします。
本日は、これにて散会をいたします。ありがとうございました。
午後4時05分閉会