財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録
財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第
平成30年5月21日(月)10:00~11:40
第3特別会議室(本庁舎4階 中-412)
1.開会
2.議題
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取りまとめに向けた審議
3.閉会
分科会長 |
榊原定征 |
木原副大臣 今枝大臣政務官 岡本主計局長 茶谷次長 大鹿次長 神田次長 青木総務課長 中野司計課長 奥法規課長 若原給与共済課長 関口調査課長 江島主計官 安出主計官 湯下主計官 小宮主計官 高橋主計官 中島主計官 岩佐主計官 竹田参事官 前田主計官 中山主計官 内野主計官 |
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分科会長代理 |
田近栄治 |
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委員 |
遠藤典子 倉重篤郎 黒川行治 神 津 里季生 角 和夫 武田洋子 竹中ナミ 土居丈朗 中空麻奈 宮島香澄 |
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臨時委員 |
雨宮正佳 伊藤一郎 老川祥一 大槻奈那 岡本圀衞 葛西敬之 小 林 慶一郎 小林 毅 進藤孝生 末澤豪謙 十 河 ひろ美 田中弥生 冨田俊基 増田寛也 神子田 章 博 吉川 洋 |
午前10時00分開会
〔 田近分科会長代理 〕 ただいまから、財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。皆様には御多用中のところ、御出席いただきましてありがとうございます。
本日は、お手元に建議の草案が配られていると思いますけれども、前回いただいた御意見を反映したバージョンを用意しています。お手元に修正を反映させた案文と、見え消しの両方があると思います。適宜御参照ください。
本日は榊原会長にも御出席いただいております。我々のミッションは財政健全化それ自身ではあるものの、財審として、財務省における昨今の問題についてどのようなメッセージをこの建議に反映させるかというところで、起草委員会のほうでも、また皆様の御意見も承っても、色々な御意見がありましたので、榊原会長に御相談させていただきました。そこで、まずはこの点について会長から御発言をいただき、本文の審議に入りたいと思います。よろしくお願いします。
〔 榊原会長 〕 おはようございます。榊原でございます。前回の分科会において、委員の皆様から出された様々な御意見について、田近会長代理から報告を受けました。また、あわせて、財審としてどういった対応をするかということについて相談を受けたわけでございます。
私としても、財務省において国民の信頼を損ないかねない事案が続いていることを大変残念に思っているわけでございます。しかしながら、この財審は、財務大臣の諮問に応じて、我々が専門家の立場で我が国の財政運営を調査・審議する機関であるわけでございまして、今回の一連の事案というのは、財政運営とは本質的に異なるものであり、建議に書き込むべき問題ではないと考えます。また、仮にそうした問題を建議に書き込むとしますと、建議が本来伝えるべきメッセージが薄まってしまう、あるいはゆがんで受けとめられてしまう、そういった懸念もあります。
さはさりながら、財政健全化を進めるに当たっては、皆様からも御意見がございましたように、国民の信頼を得るということが不可欠でありまして、その努力を怠ってはならないと考えます。このため、今回、麻生財務大臣にこの建議を手交するわけでございますけれども、手交する際に、私から大臣に対して、国民の信頼や後押しを得て着実に財政健全化を進めていくために、財務省においてもしっかりと信頼回復に取り組むようお伝えするということにしたいと思います。
また、その後の記者会見においても、私から麻生大臣に対してそのようなメッセージをお伝えしたということを発信させていただくことにしたいと、そういった考え方で対応したいと思いますので、委員の皆様の御理解をお願い申し上げたいと思います。
〔 田近分科会長代理 〕 ということで、この件に関しては建議手交の折、大臣に申し上げると、そして記者会見についてもその旨を報告するということで進めていきたいということにさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
次に前回いただいた修正も踏まえて、建議の審議に移らせていただきたいと思います。できれば、この見え消し版のほうで、御指摘の箇所をおっしゃっていただいて、議論したいと思います。
前回いただいた御意見をどのように修正させたかということについて事務局の調査課長より説明していただきたいと思います。よろしくお願いします。
〔 関口調査課長 〕 調査課長の関口でございます。今、田近会長代理から御説明いただいたとおり、前回の分科会でいただいた御意見ですとか、あるいは書面でいただいた御意見について、起草委員会において御審議いただいたところでございます。先般の原案からの修正案はお配りしている、その見え消し版のほうで御確認いただければと思いますけれども、私のほうから、前回、議論となりまして、修正した主な箇所とコメントをいただいたものの原案維持とさせていただいた箇所のうち、主なものについて御説明申し上げたいと思っております。
まず、先般の分科会で議論となり、その修正した主な箇所について御説明を申し上げたいと思います。前回の審議でプライマリーバランスの黒字化の達成時期を2025年度からもともとの2020年度に近づけていく努力が必要といった御意見をいただきました。起草委員のほうで御検討いただいた結果、2025年度までに一時的ではなく安定的にプライマリーバランス黒字を確保していくというメッセージをより強めるために、10ページの11行目から12行目にかけての記述を修正させていただきました。
また、新しい計画は内閣府の中長期試算のベースラインケースを前提とすべき、経済がベースラインケースから更に下振れする可能性にも留意すべきといった御意見もいただきました。これに対しては、プライマリーバランス黒字化の目処が立つ試算となっているかにも留意する必要があるという御意見もございました。これを踏まえまして、12ページの23行目において、「『ベースラインケース』を前提にすべきとの意見が強い」と記載を修正するとともに、脚注の18におきまして、「経済の実績が『ベースラインケース』の前提より下振れする可能性も念頭に置く必要があるとの指摘もあった」という記載を追加させていただきました。
また、消費税率について10%に引き上げた後の対応について検討することにも言及すべきと御意見をいただきました。これを踏まえまして、12ページの脚注16におきまして、「更なる歳入改革についても国民的な議論を開始する必要があるとの指摘があった」との記載を追加させていただきました。
また、14ページの最後の段落について、メッセージが不明確である、財政健全化にとって国民の信頼が必要であることを明記すべきといった御意見もいただきました。これを踏まえまして、6行目におきまして、「国民の信頼・後押しなくして財政健全化を実現することはできない」という記載を追加させていただくとともに、8行目におきまして、「国民からの信頼確保に努めつつ、財政健全化を進めていくことで、国民の不安に応えていくことが求められる」という形に修正させていただきました。
続きまして、御意見をいただいたものの原案維持とさせていただいた箇所について主なものを御説明申し上げます。
まず総論において、新しい経済政策パッケージについて財審としての評価を示すべきといった御意見をいただきました。こちらにつきましては、1ページ目で、政府がプライマリーバランス黒字化目標を先送りした旨を記述した直後の13行目において、「これ以上の財政健全化の遅れは許されない」と記述させていただいておりまして、財審としての姿勢を明らかにしているため、原案維持とさせていただいております。
また、昨今の報道を踏まえて新しい計画に中間目標を設けるのであれば、対GDP比ではなく実額で設定すべきとの御意見もいただきました。これにつきましては分科会において、中間目標よりも毎年度の進捗状況の把握が重要という御意見もあったものですから、原案維持とさせていただいております。
また、補正予算をルール化すべきという御意見もいただきました。これについては、補正予算はこれまでも財政法にのっとって緊要性のある事業に限定して計上しているということ、それから13ページ目の5行目にあるように、「安易な補正予算の編成は厳に慎むべきであることは論をまたない」と、過去の建議の記述に比べても強いメッセージが示されているということから原案維持とさせていただいております。
続きまして、次に社会保障でございますけれども、20ページの18行目、「小さなリスクは自分で負担し、大きなリスクは公的に」といった表現は削除すべきではないか、あるいはその21ページ目の30行目から32行目にかけまして、医薬品等に係る費用対効果評価のあり方については中央社会保険医療協議会で慎重に議論されるべきではないかといった御意見をいただきました。これにつきましては、分科会における多数の意見を反映したものではない、財審としてこれまでも提言してきた考え方、内容である等の理由から原案維持とさせていただいているところでございます。
また、30ページの給付率を自動的に調整する仕組みの導入につきまして、給付率の引下げにつながる制度に対する国民の信頼性を損なうことから提言を避けるべきではないかといった御意見をいただきました。これにつきましては、支え手の減少が見込まれる中で医療費の増加による影響、保険料を公費のみに負担増という形でしわ寄せを続けることは持続的ではなく、自動給付率調整は制度の持続性を確保するためのものであると考えております。このため診療報酬の抑制やその他の制度改革などに不断に取り組みつつ、本制度については検討を開始すべきとしている、その原案を維持させていただいております。その上で脚注36ということで、国民にわかりやすく説明していく必要性について記述を加えております。
続きまして、支給開始年齢を更に引き上げることについて慎重な御意見がございました。これにつきましては31ページの26行目の本文におきまして、「議論を深めていくべき」という表現に和らげさせていただいているほか、脚注38において、支給開始年齢の引上げの影響を受ける世代を含め国民の理解を得る必要について記載するなど慎重な御意見を踏まえたものにしていることから原案維持とさせていただいております。
続いて、文教・科学技術につきまして、教員の労働時間の是正のため教職員定数を確保すべきとの記述を求める意見をいただきました。これにつきましては、分科会における多数の意見を反映したものとは必ずしも言えない、過去の建議の記述と矛盾が生じるなどの理由によりまして、原案維持とさせていただいております。
私からの補足説明は以上でございます。
〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました。
ということで、まず総論について御審議いただきたいと思います。次に各論のうち社会保障、地方財政、最後に文教・科学技術、社会資本整備、農林水産、防衛について議論していただきたいと思います。
いつものとおり、御意見のある方はネームプレートを上げていただきたいのですが、起草委員の方からまず何か、更に補足的なことがあれば説明いただきたいと思います。よろしいですか。
では、委員の皆様からの御意見を伺いたいと思います。そのプロセスで改訂に当たっての我々の議論というのも御紹介することになるかもしれませんけれども、どこからでも御意見いただきたいと思います。よろしくお願いします。
では、倉重さん、お願いいたします。
〔 倉重委員 〕 全体としては非常に骨太で、よくできていると思いまして、本当に起草委員会の先生方、御苦労さまでしたということでございます。私からは各論について論究する能力がないので、総論について気がついたことを2点ばかり申し上げたいと思います。
まず1つは、財政健全化の必要性について、まさにこの2ページの(1)で持続的経済成長の前提としての健全化。国民、消費者にとっての将来不安、民間から見ても将来が確定しないことに対する不安ですね。この不安を解消するための健全化の必要性はまさに現行の経済政策と整合的な御指摘だと思うので、非常にわかりやすいと思っていいと思います。
その次の(2)の持続可能な社会を支える財政基盤の構築として、様々なリスクがあるので、財政対応余力を持たなければならないという趣旨のところですが、1つは、まず2022年に高齢者が急に増えるということ。これも重要な指摘だと思います。2つ目に金利上昇リスク、3つ目に天災・戦争リスクとあります。私はこれをざっと読んで、確かに考慮されるべきリスクの本質を書き込んであると思うのですが、第3のリスクは常にあるリスクです。あらゆる時代のあらゆるところにあるリスクです。第1のリスクは非常に日本的で、急に来て、これは指摘しなければならないリスクです。第2のリスクは、これまた今の段階であまり見えていないけれども、実際起きた場合は、これこそ経済的なダメージが相当広範にあるだろうという、取り返しのつかないリスク的なものだと思います。しかも第1は、もう初めから起きることがわかっているリスクでありますし、第3もそうなのですが、第2は、もしかするとこれは人為的に防ぐことができるリスクだと思います。そういう意味で、この第2のリスクの位置づけを、ずらっと1、2、3と流すのもいいのですが、別格の扱いをして、これについてもう少し強く強調してもいいのではないかという感じを抱きました。特に、実際にこのリスクの結果起きることとして、様々なことが書かれております。国債の利払いは極めて多くなることが見込まれ、要するに財政運営における非常に危機的なことが起きるというリスクを指摘されていますよね。財審だからその点が中心になるのですが、それ以外に、金利が上がって、国債価格が下がることによるリスクというのは、保有する国債が不良資産化するということがあります。これまでのリスクとは質の違う大きなリスクを生むということの強調がもう少しあってもいいのではないか。具体的には、別立てといっても1つ別項目を設けるだけのことはないかもしれませんけれども、1番目と3番目のリスクを書いた後、最も懸念する第3のリスクとしてかくかくしかじかあるということで、もうちょっと起こり得ることのリスクをつけ足しで書いていただく形で、強調していただいて、これは人為的に避けることができる可能性のあるリスクであって、それに向かって何らかの対処が必要だという趣旨の文言も入れていただけると、この部分のメリハリがついて生きるのではないかという印象を持ちましたのが1点です。
それからもう一つ、先ほど榊原会長から言っていただいた箇所ですが、これをざっと読んで、蒸し返すわけではありませんが、やはり森友問題が何も言及されていないことに読む者として違和感を覚える。理由は、財政運営に当たって最も重要なことは、様々な技術とか制度等仕組みがありますけれども、やはり財政に対する信頼だと思うのですね。その信頼の部分の最も大きなところが今回損傷されたと。一理財局の問題ではない、財務省全体の問題として、これは非常に無視し得ないファクターであって、これについては何らかの形でぜひ言及すべきだと思っておりましたので、今のような榊原会長の仕分けで私も納得するのですが、やはりこの財政運営と無関係なのかどうかというところについては、財政運営とやはり私は関係あるのではないかと思います。やはり財政というのは人の嫌がることをぶった切って成立することであり、この役所が持っている、税金を徴収する機能からしても、信頼がないととても立ち行かない。その信頼を今回大きく失ったということを、我々有識者としてメッセージの通るような形で、ぜひまとめた上で、大臣へ手交をしていただきたいと思います。
〔 田近分科会長代理 〕 特に前者は重要なことをおっしゃったので、ここで起草委員のほうに対応していただきたいと思うのですが、リスクが3つあって、2番目の金利上昇リスクというのは、内生的なリスクであり、ほかのリスクと質が違うということを言及すべきだという御意見ですが、聞かれて私の考えを言うと、4ページの2に、財審としては金融政策に対して、要するにイールドカーブ・コントロールするべきではないとかするべきだとか言う立場ではないし、言うべきではないと思うので、このような低金利環境が、つまりイールドカーブ・コントロールを続けていくことを前提とした経済財政運営は持続可能とは言えないと。そのリスクに対して備えようということで、金融政策としては、財審として口は挟まないけれども、それに伴うリスクについては勘案すべきだというように受けているのかなと私は読みました。
あともう一つ、実はこの節で重要なのは、4ページの16行目から、実は様々なリスクがあるので、17行目、GDPギャップの改善が続いている今のうちに、財政健全化をする必要があると。3つのリスクを言っておいて、今GDPギャップが改善しているから、今、改善しなくてはならないと。プラクティカルにはそこに意味があると思うのですが、この金利に関するリスクのクオリティーをどう我々として判断するかというのは起草委員の方でお願いします。
では、雨宮さんからお願いいたします。
〔 雨宮委員 〕 日銀の雨宮ですが、金融政策運営についてコメントをいただきましたので一言コメントさせていただきます。まず長期金利上昇のリスクと言う場合、このリスクというのをどういうふうに捉えるかということの基本認識として申し上げたいのは、これはこの建議にも丁寧にきちんと書いてありますけれども、基本的に経済・物価環境が好転すれば、それに応じて金利が上昇していくと、あるいは経済・物価情勢に応じた金利水準が実現するということは、これはある種自然なことなわけでありますし、そのこと自身が経済環境に悪影響を与えるということはないのだろうと思います。我々が目指しているのは物価の安定のもとでの経済成長ですので、それに応じた金利が成立するということは当然の前提だろうと思います。では、そこにめぐるリスクは何があるかということをもう一度区分けして考えてみますと、1つは、経済・物価情勢が好転しても、この低金利が続くかのような前提で物事を考えてしまうリスク。もう一つは、そうした経済・物価情勢の実態に応じない、経済・物価情勢の実態から乖離した金利の上昇が生じてしまうこと。多分この2つなのだろうと思います。
1つ目について言うと、これは今回の建議でもきちんと指摘されていることでありまして、低金利がいつまでも続くことを前提にする、あるいはそれに依存した絵を描くことは適切ではないというのは、この建議が指摘していることだと思います。
もう一つ、経済・物価の実態から乖離した長期金利の上昇はどのように起こるのかというと、これは様々な状況が考えられますけれども、少なくとも私どもは金融政策運営上は、全体としてのイールドカーブの安定ということを維持しながら出口を迎えていくことは可能だと思っておりますので、多分、一番危険な要因は、やはり諸外国の例を見ましても、財政再建に対するマーケットのコンフィデンスが失われるということが一番大きなリスク要因でありますし、それに対する警鐘というのは、この建議全体が発しているところだと思いますし、最も基本的なメッセージだと思います。今の説明は、倉重先生の御指摘されたリスクということの中身をもう少し区分けして考えてみると、先ほどの田近代理の御指摘でいいのかなと思うということでございます。
〔 土居委員 〕 倉重委員が御指摘の点については、順不同でこの3つのリスクを並べておりましたので、理解の順序として、確かにこの2番目のリスクというのは、1番目と3番目のものとは違う質のものだということで整理いたしますと、1番目、2番目を先に書いて、3番目にこの金利リスクの話をするというほうが順序の流れとしては読みやすいということはあるかもしれません。ただ、あくまでも我々としては、基本的にその3つのうちの軽重が順序によって示されるというわけではないので、説明の理解がどれだけスムーズなものになるのかというところで少し文章の並び順を変えるとなると、少し接続詞とか様々な形で文章を改めなければいけないので、その点は引き取らせていただきつつ、御指摘を踏まえる方向で検討させていただきたいと思います。
〔 小林(毅)委員 〕 倉重さん、どうもありがとうございました。質が違うとおっしゃったのは、まさにそのとおりだとは思います。ただ、でも別に言葉尻を捉えるつもりは全くないのですが、最も懸念されるという言葉を書くかどうかということについては、それはまた別の話かなと思います。この3つのリスクはいずれも起きると困るからリスクでありまして、必ず来るリスクは軽い、あるいはいつ起きるかわからないものも軽いという、そういった話でもないと思いますので、そこの順番につきましては、またこちらのほうで様々な形で御検討させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
〔 冨田委員 〕 この順番なのですが、実は私の頭の中ではよく考えてこの順番にしたつもりなのです。コントローラビリティということで言えば、社会保障については、もうこれだけずっと高齢化に伴って社会保障の持続可能性が問題になっているわけだから、これはまず解決しましょう。2番目の問題は、これ、マーケットの評価ということもありますので、必ずしもコントローラブルかどうかということは言えない。自然災害になると、もちろん大きな震災になるかどうか、人災の部分もあるにしても、やはり自然災害ということで3番目にしているのですね。だからそういう順番で書かせていただいているということは御理解いただきたいと思うのです。
〔 田近分科会長代理 〕 一言で言えば、リスクをどう考えるかというところで、文面を考えてみますけれども、大分議論したので、こちらで引き取らせていただいて、御相談させていただきたいと思います。
あと、最後の財務省に対する反省を求める件に関しては、我々としては議論して、会長から大臣にきちんとそれをおっしゃっていただく。記者会見でもその旨、それを話すということでしっかり対応するということで進めさせていただきたいと思いますが、よろしいですね。
〔 榊原会長 〕 ありがとうございます。14ページに、先ほど御説明がございましたが、国民の信頼や後押しなくして財政健全化を実現することはできないといったこと、そういった中での国民からの信頼確保に努めるということも明示してござまして、ここが一番の本質的なポイントだと思います。この建議の中で、こうした本質的なポイントは書き込むものの、一連の事案についての記載は避けて、私から大臣に口頭でお伝えするといったやり方で対応したいと考えます。しかもその内容は、記者に対してもきちっとメッセージとして発信するというふうにしたいと思いますので、御了解いただきたいと思います。
〔 田近分科会長代理 〕 では、伊藤さんから順番でお願いいたします。
〔 伊藤委員 〕 ありがとうございます。10ページから11ページにかけて書かれている文ですが、PB黒字を2025年度までに確保しておく必要があるというふうに書き直していただいたのはそのとおり、それはそれで大変結構だと思うのですが、しかし、その前提となる経済成長率等については、やはり今までの議論があったので、12ページの10行目に、消費税率10%への引上げを約束どおり実施するということが書いてある。その注として、「加えて、更なる歳入改革についても」ということが書かれているのですが、前回、永易委員と私が申し上げたのは、いずれにしても社会保障費が膨らんでいく部分を、本当に10%だけでこの先もいけますかということで、ポスト10%ということを早く言ったほうがいいのではないでしょうかということを申し上げたので、それがこの表現なのだということなのかもしれませんけれども、この書き方だと少し弱いような気がいたします。「更なる歳入改革についても国民的な議論を開始する必要があるとの指摘があった」という表現は少し弱いような気がすると思いますので、「消費税ポスト10%について議論をすべきである」というふうに書いていただいてもいいのではないかという気がしております。
それからこれは質問なのですが、先週のある新聞に、今回3年やってきた例の目安について、財務省と厚労省の間で何か意見調整ができていないという記事が載ったのですが、あれはどっから出た話なのでしょうか。すみません、余計なことかもしれませんが。
〔 田近分科会長代理 〕 ポスト10%の話も重要なことで、起草委員会の方に答えていただきたいと思いますけれども、私のアイデアはここで、基本的に今回は2025年度までにPB黒字を安定的に確保してほしいと。そのためには22年度の前までに、つまり19、20、21年度を中間的な期間として、健全化の取組をやってほしいというところが重要で、全体としてのメッセージを送るときに、あまり他に強いことを書いて、そちらで強調していくのがいい方向なのかということで先ほどの注釈にしたのですが、それは私からの意見です。起草委員会のほうで、御回答お願いします。
〔 土居委員 〕 御意見ありがとうございます。私も、更なる歳入改革については、早急に議論すべきだという個人的な意見を持っておりますが、これは2020年度までにという時間視野のもとでの議論というのがこの12ページの前提ということで、プライマリーバランス黒字化の道筋の中に10%では足らない、10%超の税率にしないといけないということまでをここで議論したかというと、そこまでは議論していないということなので、当然2025年度で日本は終わるわけではありませんから、その先もありますが、今、この建議としては2025年度よりも前の議論として消費税率のことについてここで言及しているということですので、脚注という位置づけは、なかなかほかにうまくはまるところがなかったという腐心の跡なのですが、この場所で更なる歳入改革について言及させていただくということをできるだけ御意見を踏まえながらということで、表現ぶり、つまり「開始する必要がある」という表現ぶりでは指摘としても弱いということでありましたら、今御指摘されたような修文を検討させていただきたいと思いますし、位置づけということでありますと、今申し上げたように2025年度までという文章の中では、10%よりも上という話はなかなか本文として書き込むには時期が少し前のほうに来ているということなので、その点を御理解いただければと思います。
〔 田近分科会長代理 〕 財務省と厚労省の見解について、本日の本題ではないですが、もし情報があれば主計官のほうで手短に。
〔 岩佐主計官 〕 縷々報道があることは承知しておりますけれども、まだ何も決まっているわけではありませので、建議の案文でもいただいておりますが、社会保障関係費の目安に関しては、高齢化による増加分に相当する伸びにおさめることを目指すという基本的な考え方は変わるべきではないと思いますし、また歳出改革のモメンタムが緩むようなことがあってはいけないと思っていますので、そういった意味でしっかりとまた調整させていただきたいと考えております。
〔 田近分科会長代理 〕 それでは大槻さん、お願いします。
〔 大槻委員 〕 すみません、2点ほど。まずは13ページ目の(4)のところ、国民の後押しの重要性ということで、やはり理解という形にすると、私もネットを通じて個人の方々とやりとりをすることが多いのですが、極端な言い方をすると炎上するような、自分たちの理解が足りないのが悪いかのようなイメージとして協力を得づらい形にならないかということを懸念していましたので、これはこの形で直していただいてありがとうございます。
それともう1点が、4ページ目なのですが、今、雨宮委員からのお話もあったので、遅ればせながらの気づいたことなのですが、この11行目の「我が国においても金融緩和が『出口』を迎える前に」という書き方でありますと、あたかも金融緩和の出口がリスク要因のようにニュアンスとして捉えられかねなくて、雨宮委員の御説明にもあったとおり、景気が改善し物価が上昇してくるという正常化の表れでもあるということを考えると、あと、雨宮委員御指摘のとおり、それ以外にも金利上昇の可能性がある中で、リスクとしては金利上昇ということなのだと思いました。であれば、ここの表現はもう少しストレートに、「金利が上昇する前に」ですとか、「金利が低い今のうちに」ですとか、何かそういうストレートな形のほうがというふうに思った次第であります。
以上です。
〔 田近分科会長代理 〕 起草委員の方、どうですか。基本的には、このさきほど言った2行目を受けたということですよね。低金利が続いている間にやってくださいということ。よろしいですか、起草委員の方。
〔 土居委員 〕 ええ。
〔 武田委員 〕 ありがとうございます。まずは起草委員の皆様、取りまとめどうもありがとうございます。感謝申し上げます。
私は12ページの(3)プライマリーバランス黒字の確実かつ安定的な達成に向けてのところで、1点コメントでございます。社会保障については、総論でも、それからその後の各論でもきちっと書かれていることは理解しておるわけですが、(3)のプライマリーバランス黒字の確実かつ安定的な達成に向けての箇所でも、歳出では社会保障の制度改革が鍵となると考えております。したがって、まず消費税という文章が来ていると思うのですが、その下の、「さらに」と「まず」の間に、「また、同時に我が国が今後直面する社会構造の3つの変化を踏まえれば、社会保障制度の改革を着実に」、または、「早急に進めるべきである」という文章を1つ入れて頂ければと思います。社会構造の変化というのは後段に書かれている3つの社会構造の変化だとしますと、高齢化と支え手の減少と医療の高度化です。その部分については脚注でもいいのかもしれませんけれども、社会保障制度も、これからの社会構造の人口等の変化を踏まえれば、今すぐ取り組まなければならないと思います。更に、社会保障以外の歳出改革についてもしっかり見直していきましょうという書きぶりのほうがよいのではないかと考えます。
なぜかといいますと、「さらに」では、「経済成長率が想定を下回ることに伴って税収が下振れる可能性などを踏まえ」と書いてあるのですが、社会保障制度改革は税収云々ではなくて、人口構造の変化などを踏まえれば、これは不可避であるということなので、分けて書いた方がよいのではないかと考えた次第でございます。
以上です。よろしくお願いします。
〔 土居委員 〕 御提案ありがとうございます。その文意が入るような形で検討させていただきたいと思うのですけれど、この(2)と(3)、特に今御指摘をいただいて気がついたのですが、(3)のタイトルが、大上段に構え過ぎたタイトルで、実は今の(3)の中身というのは、どちらかというと歳入面の話をしているという形になっていて、(2)で歳出で、(3)で歳入というような位置づけに今の文章だとなってしまっていて、御指摘はまさにごもっともで、その点は我々としても全く異存はなくて、その御意向はできるだけ文章の中に反映させたいと思うのですが、場所については引き取らせていただいて、検討させていただきます。
〔 末澤委員 〕 どうもありがとうございました。今回も相当、取りまとめが大変だったと思いますが、適当な形でおさまっていると思います。
細かい点を2点、恐縮なのですが、毎回、老川先生がおっしゃっていることなのですが、平成でスタートするか2020年度でスタートするかということで、これ、読んでいると初め平成でスタートしているのが途中から2020年度というのが多くなってきて、今、別に決定していただく必要はないと思うのですが、来年になるとやや複雑化する可能性がございまして、どこかで、来年までにルール化をしておいたほうがよろしいのかなというのが1つです。
あとは3ページ目の上から4つ目の、「第一に、いわゆる『団塊の世代』(昭和22年~24年生まれ)」、ここについては、今回でも1947年から49年にしておいたほうが、プラス75歳で2022年ということになりますので、わかりやすいのではないかなと。多分、来年以降、このパターンでいくと色々と読んでいてわかりにくい部分もあるかなと思いました。
あと、その関係で、毎回この注釈で、読者、国民の皆様に対してわかりやすく表現するということで、今回もプライマリーバランス等を掲載していただいているのですが、Pay-As-You-Goの原則が今回載っておりまして、これは米国のルールですので、上に定義はあるのですが、急に洋文字が出るとあれですので、これも注で書いていただいたほうがわかりやすいので、なるべく有権者の方々に読んでいただいて、本当に理解しやすいような表現に全般的にしていただいたほうがよろしいかと思います。
以上でございます。
〔 田中委員 〕 ありがとうございます。皆様、大変お疲れさまでした。
私は13ページの補正予算について申し上げたいと思います。先ほど事務局のほうから、この文章を維持をするという理由を説明されたときに、基本、今の補正予算についてはルールに従っていると。なおかつここにも、この文章の中に、「安易な補正予算の編成は厳に慎むべきである」と書いてあるので、それで今この文章を維持するというふうにおっしゃったのですが、前回の永易委員はじめ複数の委員から出されている補正に対する認識が、今の事務局の御説明との間に私はギャップがあるように感じました。こちらのこの審議委員のほうについて、やはり補正については、現状のルールに守っているだけで、あるいはこれまでのやり方についてかなりまずいという認識を持っていますので、例えばこの文章の12行目でありますが、「補正予算を含めて厳しい財政規律を維持・向上」あるいは「改善」ですね、という言葉を加えていただきたいと存じます。そしてこの言葉を置いたならば、やはり補正予算そのものについても単体で、今後、在り方について、過去のエビデンスに基づいて何が課題で、そこをどう改善していったらいいのか、そのためにはルールが必要なのか、あるいは施策が必要なのかということについて、次に検討をするべきではないかと思います。
以上です。
〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました。
じゃあ神子田さん。
〔 神子田委員 〕 何点かありますが、今、田中先生がおっしゃった補正の部分は全く同感でありまして、要は、これまでもちゃんとやってきたから、新たに書き込む必要はないという、一言で言うとそのような事務局の説明だったと思うのですが、ちゃんとできていないから先週色々と指摘があったということで、修文にその点があまり反映されていないなというのは非常に感じました。それだけ財審は補正の問題について、真剣に考えているということを御理解いただければと思います。
それで幾つかあるのですが、今まで出た中で金利上昇リスクに関して、3ページの17行目なのですが、「第二に、金利上昇に伴う利払費の増加リスクに備える必要がある」と、このリスクという言葉なのですが、金利に関して言えば今が不正常な状態で、先ほど雨宮先生がおっしゃったように、普通に経済が回復していけば金利というのは上がっていくものなわけです。つまりこれから金利が上がっていくというのは、別に不正常なことではなくて通常のことであると考えれば、ここで、あえてリスクという言葉を使わなくても、「将来の金利上昇に伴う利払いの増加に備える必要がある」ということで十分いいのではないかと。何かよほど異常なことが起きて上がってしまうということで、先ほど雨宮先生もおっしゃった第2番目のリスクとしての金利上昇という意味であれば別なのですが、ここはそうではないと思うので、こちらはリスクという言葉を使うと、何か本当はそれはあり得ないのだけれども、あるかもしれないというふうに読み取れて、でも実際にこれから起こることは、普通にやっていれば金利は上がっていく。そうすると利払い費は増加していく。だから考えないといけません。今が異常な状態なのですということを強調したい部分だと思うので、そこはそういうことでいいのではないかと思いました。
それと財務省の不祥事に関しては、私は榊原会長のおっしゃった、この建議とは別にメンションするということで賛同いたします。ただ、先週の議論で私が指摘したことは、財務省では色々あったけれども、そのことと財政再建をきちんと進めなければいけないということは別なのですと。世の中には財務省があんな状態だから、もう消費税を上げろなんて言えないだろうというような雰囲気を持っている人もいるわけです。だけど、それとこれとは別なのだと。別に財務省のために財政再建をやっているわけではないのだから、そこのところはきちっとわかってください。ただ、これは財務省自らの口から言うと、それはおまえが言うなということになるので、離れた財審から言う。だからこそ会長がおっしゃったような、それをやるためにも国民の信頼回復が不可欠だというような趣旨で私は発言をしましたので、ぜひ大臣におっしゃるときも、記者会見でも、そういった含意をお酌み取りいただければと思います。
それで最後に、1ページ目なのですが、なかなかスムーズに文章が頭に入ってこなかったのは、2段落目の「これ以上の財政健全化の遅れは許されない」という部分が、結論としては全くそのとおりなのですが、これを読んでいくと、非常に唐突感があります。この文意からすると、まず2020年度の黒字化目標の達成は困難となったという事実があって、しかし、PB黒字化の達成の遅れがこんな悪い事態をもたらすと。それゆえ、これ以上の財政健全化の遅れは許されないというふうに書かないと、なかなか頭に入ってこないのではないかと。私の会社も報道機関として、このPBの話をよく取り上げるのですが、やはりPBの黒字化が延期になりましたと言っただけでは、なかなか視聴者が理解できないということで、実は今週の日曜日の時間を使ってニュースでやったのですが、そもそもこのPBとは何かとか、PBが黒字化できないと、どういうことになってしまうのかというところがなかなか一般の人はわからないと思うのです。もちろん財務大臣はわかっていらっしゃると思うのですが、この建議が国民に広く訴えるものであるとするならば、やはりそこから説いていかないといけないのではないかと思います。PBとは何かということ自体に関しては、この1ページ目の注釈の1番に書いてあるのですが、黒字化の意味合いについても注釈で書いていただけると、よりわかりやすい建議になるのではないかなと思いました。
〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました。
リスクのところですが、例えば病気になるリスク、今、健康だけれども、病気になるかもしれない。今は金利は低いけれども、いつか上がるかもしれないリスクということで、あまりそれ自身に価値的な判断はなくて、病気になるリスク、あるいは金利が上がるリスク、同じようなリスクの1つなのではないかと。そうしたリスクにどう備えていくかということで、書きぶりをどうするか分かりませんけれども、ここのリスクを何か外してしまうというのも、また何か書きぶりの整合性がないとも思います。
〔 神子田委員 〕 今おっしゃったように、特別な意味がないならなくてもいいのではないかと思います。
〔 田近分科会長代理 〕 いや、でもそれは健康、病気になるリスクもあるではないですか。それと同じことです。
〔 神子田委員 〕 でも、それは健康な状態の方が正常ですよねということなのですが。
〔 田近分科会長代理 〕 正常でないことがいつ起きるかわからないから保険に入るわけですよね。
〔 神子田委員 〕 これに関しては、等しく願っているのはやはり経済回復でありまして、経済回復に伴ってリスクは起きるというのは病気の議論とは違うのではないかと思います。
〔 冨田委員 〕 おっしゃったように経済が健康体になって金利が上がるということに加えて、財政リスクプレミアムですね。我が国の異常な財政の状況からして、やはり通常ではない、高い金利でないと投資家が買わなくなってしまうということも含めてリスクという言葉をここでは使っているのです。
〔 田近分科会長代理 〕 では、小林さん。
〔 小林(慶)委員 〕 2つコメントいたします。最初のリスクの話についてですが、金利が上がることはもちろん望ましいことで経済が正常化することなのですが、今現に国債の残高が非常に大量にあって、正常な金利水準に上がると、今、冨田委員がおっしゃったような財政的なプレミアムというか財政的な破綻リスクみたいなものを高めてしまうので、だから、そこはいちいち表現はしなくていいと思うのですが、そういう意味で金利のリスクというふうに表現してもいいのではないかなと思います。ですから現状の財政の状態が不正常であるという中で、健全な金利上昇が起こると、不健全な財政的なインプリケーションがあるという意味で、金利のリスクという表現はあっていいのではないかというように私は感じております。
それからもう1つ。13ページの1行目は、少しだけ言葉を変えてもいいかなと思ったのですが、12ページの終わりから13ページにかけて、ベースラインケースを前提とすべきか、それとも成長実現ケースを前提とすべきかというような話が書いてあるのですが、成長実現ケースを前提として2025年度の安定的なPB黒字実現を達成しようという目標なのですが、なかなか成長実現ケースというのは実現できるかどうかがよくわからないという議論が先週もあったと思います。ですから、13ページの1行目には、「『成長実現ケース』を前提とするのであれば、税収が下振れする蓋然性が」例えば「非常に高いことを踏まえ」とか何かそういう、もっとちゃんとシナリオが実現しなかったときのこともしっかり考えようという姿勢を言葉で示されたらいいのかなと感じました。
以上でございます。
〔 田近分科会長代理 〕 これも角委員からの御意見ですよね。まさに小林さんが御指摘のところで、税収の下振れというのは要するに経済予測がずれてということなのです。だから直接的には経済予測が楽観的過ぎてそうなっていると。要するにそのようなことを今おっしゃったわけです。
〔 小林(慶)委員 〕 ですから、今「蓋然性を踏まえ」と書いてあるのですが、そこはもう少し強調して「蓋然性が高い」とか、「蓋然性が非常に高いことを踏まえ」とかいうふうにしてもいいかなと思います。
〔 田近分科会長代理 〕 では、それは、もう少しこの文面を分かりやすくというかストレートに書けということだと思いますけれども、それで引き取らせていただいて。
宮島さん。
〔 宮島委員 〕 まず補正予算に関しての考え方は、今までの御意見と同じ意見であります。それから先ほど大槻委員がおっしゃった国民の後押しの部分なのですが、私も理解というものに関して、国民の中でももはや、理解はしているのだと、厳しいことは分かっているよと。だけど、もう自分の生活はもたないだとかですね、増税には耐えられないというような方々も多くいらっしゃると思いますので、そこら辺はこのように書いたことがよかったと思います。
それから、かねてより議論にあります国民の信頼のところですが、今の14ページで言葉を追加していただいたことと、会長が会見などでおっしゃっていただくということで理解します。重ねてですが、この財審の建議は、やはりできるだけ広い国民の人に読んで関心を持ってほしいと思います。その中で財審が、何か難しい人たちが難しいことを言っているから自分たちには関係ない、あるいは国民の気持ちと全く近くないというふうに思われてしまうことを私は恐れています。ですので、会見でこの建議を御紹介するときに、財務省に対する反省ということだけではなくて、財審の中でこの点について様々な議論があり、財審が財務省に対してどうあるべきかを指摘するような話し合いがあったということを記者に対して御紹介いただければと思います。
〔 田近分科会長代理 〕 一通り総論の議論をいただきましたけれども、いただいた御指摘を1つずつまた検討させていただいて、回答ということで踏まえさせていただきます。よろしいですね。
〔 冨田委員 〕 念のためなのですが、大槻さんがおっしゃった「金融政策が『出口』を迎える前に」という表現なのですが、何かここでは金融政策が出口を迎えることをリスクだなんて全然思っていないです。それは念のために申しておきたいということです。
それから更に、これは書けなかったことなのですが、金融政策が出口を迎えるまでに財政の健全化は入り口に立たねばならないということです。その財政健全化の入り口というのはプライマリーバランスを安定的に確実に黒字にするということです。しかしながらそうした表現をとると、かえって分かりにくくなってしまうので、金融政策が出口を迎えるまでに財政の健全化は入り口に立たねばならないということが心の中にあることであり、リスクではないということで、お願いします。
〔 田近分科会長代理 〕 先ほど小林さんがおっしゃったことで、金利が正常化されることはリスクではないが、リスクではないことがリスクになることが財政のリスクだということで私も賛成いたします。文面は今、冨田さんのおっしゃったことと宮島さんの御指摘を踏まえて、できるだけわかりやすいように直していきたいと思います。
続いて、遠藤さん、どうぞ。
〔 遠藤委員 〕 本日、委員の方何名かの方から、財務省の問題をこの建議の中にという御意見があったように思いますが、私は組織のガバナンスの件と財政に対する建議のことは全く別だと思いますので、この長期的な財審の議論の中で、そのようなものを反映するということには極めて違和感があるなと思いましたので、一言。最終的には会長にお任せしますが、そのように考えております。
以上です。
〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございます。
それでは、各論について移らせていただきたいと思います。社会保障、地方財政についても、どこからでもご意見をお願いいたします。
では、神津さん。
〔 神津委員 〕 まず、起草委員の皆様方の大変な御苦労な中だと思います。総論を含めて意見書を出させていただいた中、幾つか取り込んでいただきまして感謝申し上げたいと思います。
その上で、社会保障で4点申し上げたいと思っています。まず1つ目は23ページの1行目から7行目あたりのところなのですが、かかりつけ医の問題とのかかわりです。かかりつけ医への誘導自体が大変重要だと思いますし、今後に向けて不可欠なポイントだと認識しています。ただ、かかりつけ医については、まだ概念の明確化、それから定着に向けた取組が必要な段階だと思っていますし、かかりつけ医に対する問題について共通認識が取れているとは言いがたいと、その点は直視をすべきだと思います。したがって、そのことを抜きにして、現時点で記載されているような受診時定額負担を導入すると混乱を招くということは必至だと思っています。したがって、このような問題意識に基づく定額導入については削除していただいて、診療報酬での評価が逆方向のインセンティブとなってしまうという、その問題自体については記述をするとしても、「別途そのことを解消するための方策について検討を進める」といった内容に記載をとどめるべきではないかというのが1点目です。
それから2点目は、24ページの10行目にかかわるところなのですが、軽度者の重度化回避は不可欠だということについてです。これは前回、発言もしたところなのですが、介護分野において、この間の施策として要支援者の訪問介護、通所介護の市町村事業への移行、これが2017年7月全面移行、そして8月には3割負担の導入、こういった制度見直しが相次いで行われることになっている。この上、保険給付範囲を見直しますと、適切な介護が早期に受けられずに結果的に重度化を進めて、介護をする家族の離職をも促進しかねないと思います。こうした見直しによる影響、要介護者であるとか介護家族における影響の検証がまだ不十分だと思います。その中で「要介護1・2の者の生活援助サービス等の更なる地域支援事業に移行を進めていくべき」と記述されるのは拙速に過ぎるのではないのかと思います。したがって「要介護者等や介護家族に対する影響を検証した上で慎重に検討を行う」という記述に変更していただきたいというのが2点目です。
それから3点目なのですが、30ページの4行目から31ページの2行目ですが、ここは給付率を自動的に調整する仕組みの導入についてです。これは前回、意見書でも申し述べているのですが、全て削除していただきたいというのが意見です。国会で法律として国民に約束をしている給付水準の保証を反故にするものでありまして、極めて重大な社会保障制度の方針転換ですから、これを軽々に進めるということにならないはずだと思っています。給付水準の引上げについては、医療保険制度への国民の信頼性を著しく毀損し、国保財政の悪化、あるいは被用者保険財政にも影響を及ぼしかねないと思います。持続可能性の確保には消費税率の着実な引上げ、応能負担の徹底、給付の効率化、こういった施策の遂行こそ進めるべきだと考えます。
それから年金に関してなのですが、31ページの19行目です。支給開始年齢の引上げに関してです。支給開始年齢の更なる引上げについては、現行制度を前提に老後の生活を設計している現役世代に大変大きな影響を及ぼすわけです。また、公的年金制度に対する国民の信頼を著しく損ね、近年、国民年金の保険料の納付率、これは回復傾向にあるのですが、再び低下させる懸念もあるのではないのかと思います。31ページのところにはこうした論点が明記されていません。議論を深めていくべきとされるのであれば、現役世代への影響や国民からの公的年金制度に対する信頼性の維持の観点等を踏まえる、そういったことをきちんと明記していただきたいと思います。
以上4点です。
〔 田近分科会長代理 〕 それぞれ具体的な御意見ですが、起草委員の方でどう考えて対応するか判断したいと思います。
〔 土居委員 〕 御意見ありがとうございます。基本的にはこれまでの建議でも述べてきていたということで、ある種これまでにも多くの委員の方に御支持をいただいているという部分の記載、特に例えば受診時定額負担、それから軽度者への介護サービスの在り方というところについては、御意見を反映させるとなると、これまでの建議との整合性というところも問われるところになってしまいますので、できれば原案どおりにさせていただきたいなと思っておりまして、部分的な修正で御納得いただけるかどうかということについては、またちょっと御相談をさせていただきたいと思います。
それから30ページの給付率の自動調整の話なのですが、確かに唐突な印象を持たれる方があるかとは思いますが、私も会合で申し上げさせていただいたように、現役世代、被用者保険への悪影響が及ばないようにするというような方法で、この給付率の自動調整へ誘導できるというアイデアもございますので、あくまでもこの31ページの1行目にありますように、具体的な方策について検討を開始するということという点で、何とか御理解をいただきたいなと思います。つまり、いきなり導入せよと言っているわけではなくて、検討を開始すると。検討した結果どうなるかというところについては、財審の場なのか、ほかの場なのかは全くわかりませんけれども、その検討に委ねられるということだと思います。
それから年金については、確かに現役世代に対する信頼を損ねないようにするというところは、まさに私も同感であります。その点について、今の文章の中でも書けているというふうに見るのか、それとも御指摘のようにもう1段踏み込んだ文言が要るかというのは、検討させていただきたいと思います。
以上です。
〔 神津委員 〕 今お話しいただいたように、これまでもずっと議論してきている内容を今さら全部ひっくり返すというのは確かに難しいと思うのですが、お話しいただいたように新しい要素であるとか、あるいは自動調整の仕組みについては、やはり唐突感があると思いますし、言葉尻を捉えるわけではありませんが、「仕組みの導入に向け」とあるので、導入ありきというふうに読めます。全般にわたり、社会保障に対する信頼が揺らいでいるということは、様々な意味で内需の活性化等に相当重く雲が垂れ込めているということであると思いますので、そういう意味で少し新しい要素を含めて気を使っていただければありがたいと思います。具体内容は委ねますが、よろしくお願いしたいと思います。
〔 田近分科会長代理 〕 そうすると神津さんの御指摘としては、文面的にはどのような形をお考えになっているのですか。
〔 神津委員 〕 削除していただきたい。
〔 田近分科会長代理 〕 いや、そうではなくて、仕組みの導入に向けというところを。
〔 神津委員 〕 それはもう削除が、我々言っていることなのですが、そこが難しいとすれば、唐突感を和らげていただくか、導入ありきではないということにしていただきたいと思います。
〔 田近分科会長代理 〕 導入も含めて検討というのをどう書けるかわかりませんが、引き取らせていただきます。
〔 角委員 〕 先ほど遠藤委員がおっしゃった件については、私も同感ですので、少し違う言い方でしたけれども、前回も発言させていただきました。消費税については、やはり使い道を変えるということで、後の子供たちを助けるのではなくて今の子供たちを助けましょうということですから、要するに借金を減らすのではなくて、今の方たちに使おうということで解散総選挙をされて勝たれたわけですから、それは当然のごとく実行していただくべきことだと思いますが、一般の国民の方も今回の財務省の一連の問題と消費税については分けて考えておられるように私は思います。したがって直接的な世論調査をされていないけれども、消費税について、若い人たちをはじめ絶対困るという層が増えたということはないように思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
それと、やはり社会保障は将来不安の問題も含めて、いかに若い世代に納得感を持って負担をしていただくかということですから、そうなると対策の王道は、健康寿命をいかに延ばすかということだと思います。今回、本文を変えていただきたいということではありませんが、前回も技術の進歩ということを言いました。ようやく5月から医療情報がビッグデータとして使えるように法改正がなされますので、これをいかに前へ進めていくかということを、もし可能であれば注書きにでも書いていただければありがたいなと思います。
2点目は、やはり元気で働いているほうが病気になりませんので、公的年金の支給開始年齢を遅らせるということは、要するに各企業が、いわゆる70歳定年に向けてかじを切るということですから、要するに、支え手は70歳まで、生産年齢人口は70歳までという議論をスタートしていただくということが、年金の問題ではなくて健康寿命を延ばすという観点からも大事かなと思います。
それと3点目、36ページに広域連携の更なる推進というのがあるのですが、これは、たまたま私が関西にいる関係で申しますと、関西には関西広域連合というのがありまして、いわゆる道州制反対をしている方もおられるのですが、基礎自治体があって府県があって広域連合がある。ただ、この広域連合には当然予算措置がないので、各自治体から拠出をしているわけですが、例えば観光立国を目指すのであれば、関西が自由に使える観光予算が欲しいと。全くの一例ですが、各基礎自治体が宿泊税をかけますが、私はこれまで関西で言っていたのは、宿泊税を全府県がかけて、その例えば10%でもいいから広域連合に出してもらって、それで広域観光を推進するような仕組みを構築してもらえないかと3年程前から言っているのですが、大阪と京都は宿泊税がスタートしますが全体となると、なかなかうまくいかない。そうなれば、いわゆる広域連合が徴税権を持つと。ですから広域連合が、例えば1泊50円でもいいのです、30円でもいいのです。それを関西広域連合の宿泊施設全部にかけて、それにプラスして基礎自治体がオンしたければすればいいというように、広域連合に税がつけられるとなると、例えば九州も四国も中国地方もとか、他の自治体も広域連合の方向に向かって進む可能性がないかなという淡い期待を持っております。
最後に、総論のほうに戻りますけれども、補正予算については、前回も申しましたが、やはり財政規律が法で定められていないというのは、さすがにもうそんな時代ではないということを思いますので、具体的なGDP比何%までしか赤字はだめだとか、そこまですぐ記載してくれということではありませんが、少なくとも財政規律は本来守るべきであるので、何らかの形の法制化に向けて御議論を開始していただければなと思います。将来的には年度のキャップが決まれば、当然、当初予算との関係で補正予算にもキャップがかかってくるわけですから、そのほうが自動的だし、消費税を上げるにしても、そういった法律のもとに計画的に上げていくということは、それを国会で決めていただく先生方にとっても、法律があったほうがやりやすいのではないかと思いますのでよろしくお願いいたします。
以上です。
〔 田近分科会長代理 〕 幾つか御指摘がありましたけれども、起草委員の方で承って、反映できるところはするということで諮りたいと思います。
それでは、社会保障、地方財政、またそれも含めて残りの分野について御意見を承りたいと思います。
では岡本さん。
〔 岡本委員 〕 ありがとうございます。今まで財務省に責任があるかどうかということで、確かに消費税の問題と財務省の今回のことは関係がないという整理は、私はそのとおりだと思います。ただ、国有財産の処分等の面において、そうしたところが結構ずさんなのではないか等、そのような気持ちを国民は持つところもあるわけです。国民から見ると、あのようなことがあるのだったら、という気持ちから消費税に跳ね返るという要素もありますので、これを文言に入れるか入れないかということでいえば、これはもう入れる必要はないと思いますけれども、これは違うからいいのだと胸を張ることでもないので、結論は、榊原会長が大臣にきっちりとそこは言うということでいいと思いますが、我々としては国有財産のほうも全部関係がありますから、そういうところも関わりがあるという気持ちを持っていないといけないのではないかと思いまして、感想でございます。
〔 田近分科会長代理 〕 では、老川さん、田中さん、お願いします。
〔 老川委員 〕 ありがとうございます。極めて細かいことなのですが、40ページの文教・科学技術のところで、14行目からの2行、学習という言葉を修正していただきましてありがとうございました。その上で、この文章が煩わしいというか、「学習をしていない学生や、その学習に必要な仕組みを構築していないなど、学習をさせていない大学」、こういうふうに入れるかって、「学習をさせていない大学が指摘されており」という文、ここはなくても、「学習に必要な仕組みを構築していないなど、我が国の高等教育の『質』が」と、こういうふうに続けたほうが読みやすいのではないのかなと思います。
私の意見はそれだけで、全体として、私が前回申し上げたポイントは、それぞれ反映をさせていただきまして、それについては感謝を申し上げます。
それから、なお付言すると、今、岡本委員がおっしゃったことですが、文書管理の問題、次官の言動含め様々な不祥事がありますが、こういうものをひっくるめて国民の間に、財務省は何をやっているのだという気分がありますから、それについて意識しているということは対外的に表明する必要はあると思います。ただ、この建議の中に盛り込むべきかということになると、そこはまた少し性格が違うでしょうから、冒頭、榊原会長がおっしゃったような形で、そこら辺について言及していただければいいのではないかなと思います。
以上です。
〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました。
葛西さん、神津さん、お願いします。
〔 葛西委員 〕 64ページの防衛の箇所です。「今般の当審議会での検討においても、防衛装備品を調達するに当たっては、費用対効果」、以下書いてあるのは、大体その防衛装備品というのはもう決まっていて、費用対効果でできるだけいいものを安く買えばいいという論旨だと思います。それは対象においては正しいと思うのですが、ただ、今やはり昨年から今年にかけて北朝鮮問題などを焦点にして防衛環境というのは変わってきておりますよね。ですから、例えば通達するに当たっては、抑止なのか防御なのか。つまり抑止・防御を総合的に判断して、どういう防衛体系にするのかというところを考えた上でコストパフォーマンスを大事にしたほうがいいというふうにしたほうがよろしいのではないかと思います。ミサイル防衛システムはものすごく高いですよね。あれをたくさんつくっていくという形。いかに安くつくるかは別としてということも大切かもしれないのですが、例えばその片一方で、非常に比喩的に言えばトマホークを装備するというのはこれ、抑止力ですよね。抑止力、基地攻撃能力を持つということもありますから、今やはり中期防を前にして、財審として何かを言うのであれば、これから新しい事態に対して新しい覚悟が必要だと。その覚悟の1つは、抑止か防御か、その総合性を見ろということをそこに入れられたらどうかと思います。そうすると少し上の行の9行目から13行目辺りに書いてあるのですが、「昨年秋の当審議会の建議で指摘したように、実効的な防衛力の整備は、国民の信頼の下に」と。「信頼の下に」で全部包括できるのですが、この辺にやはり「覚悟」というのを入れて、「覚悟と信頼の下に」というぐらいにしておくと、後の抑止か、あるいは防御か、それを総合した防衛力はいかにあるべきかという議論につながっていくような気がするので、御一考いただいたらどうかと思います。
〔 田近分科会長代理 〕 防衛担当の起草委員、冨田さん。
〔 冨田委員 〕 この点、抑止なのか防御なのかはなかなか、そこまで明示的に書くのは、私は難しいように思うのですが、大事なことは、委員御指摘のことは、「目的に照らして」ということだと思うのですね。目的に照らしてどういった性能が必要かとか、そういった文言でここに、費用対効果の前に入れるという形ではいかがでしょうか。
〔 葛西委員 〕 「目的」、「やり方」って書けますよね。そこは防衛論の本質だとは思うのです。ですから「目的に照らして」で含められますかね。
〔 冨田委員 〕 それが防御かですね。
〔 葛西委員 〕 防衛というのは防御と抑止と両方ですよね。アメリカに抑止を頼んで日本は防御一点張りだということでやってきていいのかどうかという時期に来ていると。これは私の認識で、多くの人もその認識をしていると思うのですが、書くときに、やはり次の時代に向かって何かが転換しなくちゃいけないと。調達方式が変わると、これはいいと思うのですが、調達方式は調達方式でありますが、もう少し、何というか根本的なところに問題を提起されるほうがよろしいのではないかなという気はするのですがね。お任せします。
〔 神津委員 〕 文教の41ページ目の(2)の教職員定数についてです。とりわけこれは教職員の長時間労働問題とのかかわりなのですが、これまでにも申し述べているのですが、昨年、文科省が公表した数字でも、いわゆる過労死ラインを超えて勤務をしている教職員が小学校で3割強、中学校に至ってはおよそ6割という実態です。この深刻さについて全くもって認識が甘いのではないのか。あるいはその認識を持っているのかどうかが見えないということであります。教職員定数について、そういった厳しい職場実態を精査するということがまず必要でありまして、その点が曖昧な中で、生徒数が減っているからというこの自然減を優先するということは、これ、教職員というのは職種の中で過労死・過労自殺が多い職種というのは明確になっているわけでして、更なる過労死・過労自殺を誘発するおそれすらあると言わざるを得ないと思います。そういったことを考慮した内容に修正をいただけないかということです。具体的にはこの41ページの24行目あたりですが、こういった表現を入れられないだろうかということです。「教員の長時間労働が看過できない状況にある中で、十分な授業時間を確保し教育の質を高められるよう、地域の協力や外部人材の活用などを含め学校の指導体制を充実した上で、必要な教職員定数を定める」。御検討いただきたいと思います。
〔 田近分科会長代理 〕 引き取らせていただくということで。
では黒川さん、田中さん。
〔 黒川委員 〕 ありがとうございます。起草委員の皆様、それから事務局の皆様、お疲れさまでした。 45ページの15、16あたりなのですが、この辺を少し書き加えていただけないかということをお願いしたところ入れていただき感謝しています。さて、私は慶應義塾大学を3月に定年になり、千葉商科大学大学院に移りました。このキャンパスは江戸川を越えただけなので、まだ都心ですが、何か思うところがあります。この文章では100法人程度の4割が定員割れしていると。これがどういう問題なのかということなのですが、やはり全体的に子供たちが少なくなっているという原因がすごく大きいのではないか。これだけ地方のほうにもたくさん大学があったということは、これまではそれぞれその地方において存在理由があったから存在してきたのだろうと思います。だから、それらは、果たして経営が悪かったからというだけで定員割れを起こしているだけではないのではないか。私がお願いしたのは、大事なのはそこに住んでいる子供たちの問題でありまして、東京にいるとわからないのですが、地方に行くと、あるといっても近くにそんなに大学があるわけではない。それで、上から目線のような書き方で、定員割れしたからもうだめだ、あるいはカットするというようなことで大学が消滅するということになると、ではここに住んでいる子供たちが高等教育を受けたいと思ったときに、みんな都会に出てこなくてはいけないのか、そんなことを考えてしまったということです。お願いしたいのは、病院の地域における再編成というような例を念頭に置いて、地方にある国公立や専門学校など全てひっくるめて、少なくとも子供たちのことを考えた上で、大都市に行かなければ高等教育を受けられないというような事態は防ぎたいということです。危機感を持って大学の経営者の方々に子供たちのことを考えて、抜本的な再編成も含めて促すために、厳しいことも指摘したというようなニュアンスで書いてほしいなと思った。ここで「大学経営の抜本的見直しを図るため」という言葉だけで私の本意が伝わるか分からなかったので、起草委員の先生方に、ここで説明させていただきましたので、御検討いただけないか。
以上であります。
〔 田近分科会長代理 〕 この点どうですか。起草委員の皆様。反映させるとしたら、例えばどんな表現があり得ますか。
〔 黒川委員 〕 私がペーパーでお願いしたのは、例えばということで、今言ったように、要するに国公立それから専門学校も含めて、そのような再編成も含めて、ということを例に入れるということで抜本的な見直しを、危機感を持って考えてほしい。「抜本的な見直しを促すために減額を強化すべき」とか、そのような文章にすれば上から目線ではないだろうと思い、提案しました。
〔 田近分科会長代理 〕 言葉が少し直接的過ぎますけれども、受け皿を確保するということですよね。
〔 黒川委員 〕 あくまでも子供たちのことを考えて。
〔 田近分科会長代理 〕 考えると、その改革にとって受け皿がなくなるようなことがあっては困るということがボトムラインですよね。
〔 黒川委員 〕 そうです。
〔 田近分科会長代理 〕 その点ということで、文面は引き取らせていただきます。
田中さん。
〔 田中委員 〕 44ページの15行目になります。先週、議論をしたときには、私もこの感じでいいかなと思っていたのですが、たまたまある調査データを見てわかったことなのですが、実はもうグローバルレベルで戦っていける日本の大学は非常に限られているのですが、そこが、いわゆる投入量と、それから質の高い論文の相関を見ていると限界に達していて、伸び率が小さくなっています。ある意味、やはり勝てるところというのは限られたために、競争的資金を結果的にそこの大学に投入し続けたために、先生の数も限られているので、もう限界に達していると。むしろその少し下辺りのところのほうが伸び率が高くなっているというようなことも出ています。そのこと、そのエビデンスをもっと精査する必要がありますけれども、そうするとこの「グローバルレベルの高い大学に」というところ、投入するというふうにしてしまうと、もしかすると現状と乖離していくのではないかと思います。そういった意味では、ここのグローバルレベルに重点投下しろというところの表現は、やはりもしかすると避けたほうがよくて、むしろメリハリのある予算のポートフォリオが今後は問題になっているのではないかと思いました。
以上です。
ですから、ここのところを少し変えて、「メリハリある予算を」というところを、「編成」とか「ポートフォリオ」と書いたほうがいいのではないかと思います。
〔 小林(慶)委員 〕 私も45ページの1行目のあたり、大学の評価について書かれていますが、44ページの下の赤字で直されたところ、身内の評価によって評価が曖昧になったりというようなことが書かれたので、それから見ると第三者評価というと例えば企業経営者等の学者ではない人たちによる第三者評価のように何となくイメージができてしまう。ただ、ノーベル賞を将来取れるような人たちが日本から出てこなくなるのではないかという心配をされている理科系の先生たちもいらっしゃいますから、そうした意味で、学問の水準を高めるような評価というようなニュアンスが伝わるように変えたほうが、よりふさわしいのではないかなという感じを持っています。ですので、例えば45ページの1行目のところ、第三者評価の前に、例えば「国際的な学問水準を反映した第三者評価」等、何かそういった学問の水準を落とさないような配慮というか文言に直されたらいいのではないかなと思いました。
〔 岡本委員 〕 今話を伺って、2つほどあるのですが、1つは補正予算ですね。これについて財政法の条文に明確に書いてあります。これは本当に緊要のときですね。田中委員も先ほど言われていましたように、「財政規律を維持・向上」等、様々な言葉でここをもっと強くすると言われるのですが、補正予算に対する定義というものが明確にあるわけではないですし、「本来の法の趣旨に則って」という表現や、そこに戻すべきだという表現等のほうが何か強いような感じがします。
全般的に定義問題で言うと、このかかりつけ医の話も、社会保障を何とか健全化しようという中での1つの努力であって、そうだとするとかかりつけ医のところが不明確だからこれを明確にしようと、そしてこれを実行しようというのが本来です。一方で、これが明確ではないからやめようという話ではないのではないかなと思います。
以上でございます。
〔 土居委員 〕 岡本委員がおっしゃっている点について全く同感でありまして、ほかの委員の方からも、補正予算に関しては記述が甘いのではないかという御指摘があって、確かに表面的には「厳に慎む」とか、「論をまたない」とか、言葉のトーンとしては強い言葉遣いはしてはいるのですが、心に響かないというか、おっしゃっている趣旨を反映した文案に今のところなっていないというようなことだと私なりにも理解をいたしております。そういう意味で言いますと、例えば確かに法律、つまり財政法とか、そういった法律に基づいて補正予算は編成されていて、そこから顕著に逸脱するようなルーズな補正予算の編成をしているわけではないという建前的な説明というのはあるのかもしれないけれども、やはり国民に対して補正予算の内容や必要性についてきちんとした説明責任を十分に果たしているのかという部分が問われるところなのではないかというふうに、今、皆様の御意見を伺って私なりに思ったところです。そうした意味で言いますと、ありていな言葉かもしれませんけれども、更なる説明責任をきちんと補正予算についても果たしてもらわないといけないというような趣旨をこれに加えるというようなことが、皆様の御意見をそれなりに踏まえて修文する1つの方法なのかなと思いました。
〔 田近分科会長代理 〕 補正予算については多くの方から本日御指摘いただきましたから、更に検討させていただきたいと思います。
ここで、審議を終了させていただきます。本日いただいた議論の御指摘については、起草委員会の起草委員のメンバーで1つずつ検討させていただいて、その反映について判断させていただきたいと思います。
ただ、最終的な文面、修文等については、会長に御一任いただくということで本日お願いしたいのですが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございます。
ここで榊原会長より一言いただきたいと思います。会長、よろしくお願いします。
〔 榊原会長 〕 委員の皆様におかれましては、この建議の取りまとめに向けて、このように大変熱心に御議論いただきまして、また貴重な御意見、御指摘もいただきまして感謝申し上げたいと思います。また、この建議の取りまとめに御尽力いただいた起草委員の先生方にも感謝申し上げたいと思います。
本日、様々な御意見をいただきました。私もお聞きしていて、御指摘のとおりと、修文すべきだと思ったポイントもございますし、原案に近いほうがいいのかなと思った点もございます。この後、田近会長代理、起草委員の先生方、よく相談をして、ベストな形でのまとめ方にしたいと思います。御一任いただいたということですので、責任を持ってまとめ上げたいと思います。
また、今回の建議は、団塊の世代が2025年度には全て後期高齢者になるという非常に厳しい状況の中で、社会保障制度の持続可能性確保の問題、財政健全化に向けて、まさに後がない、待ったなしの状況であることを指摘しています。この建議を近日中に、麻生大臣に手交することにしたいと思っておりますけれども、その際にはこの建議の内容、特に後がない、厳しいといった状況を踏まえて、政府あるいは国会がこうした事実から目をそらすことなく、この建議を踏まえた財政健全化に不退転の決意で取り組んでいただきたいと思います。遅くとも2025年度までにPB黒字化を安定的に確保するよう強く求めてまいりたいと思います。
あわせまして、財務省における昨今の事案に関しまして、本日、冒頭にも申し上げ、本日も多くの委員の方々から御意見いただきましたけれども、大臣にお会いするときに、国民の信頼・後押しを得て着実に財政健全化を進めていただくために、財務省においてもしっかりと国民の信頼回復に取り組むよう大臣にお願いをしたいと、お伝えをしたいと思います。
建議の手交後、記者会見が行われますけれども、私から麻生大臣に対して、そのようなメッセージを伝えた旨をしっかりとマスメディアに対して発信をしたいと考えております。
委員の皆様におかれましては、今後ともこの審議会において、我が国財政の健全化あるいは社会保障制度の持続可能性確保に向けた様々な課題について、活発な御議論、御意見をいただきたいし、また御提案もいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。本当にありがとうございました。
〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました。
それでは、これで、本日の議題は終了とさせていただきます。
今、会長から御挨拶があったとおり、この後、起草委員会で最終的な文面を詰めて、会長と我々起草委員で大臣に建議をお渡しし、その後、会長と私とで記者会見に臨むという運びとさせていただきます。
それでは、今年の1月からという長い間になりますけれども、様々な形で御審議いただきましてありがとうございました。
午前11時40分閉会