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財政制度分科会(平成30年4月17日開催)議事録

財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録

平成30年4月17日
財政制度等審議会


財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第

平成30年4月17日(火)15:00〜16:40
第3特別会議室(本庁舎4階 中-412)

1.開会

2.議題

  • 経済団体からのヒアリング
    「わが国財政の健全化に向けた基本的考え方」
    −日本経済団体連合会
  • 文教・科学技術

3.閉会

出席者

分科会長代理

田近栄治

うえの副大臣

木原副大臣

今枝大臣政務官

長峯大臣政務官

岡本主計局長

茶谷次長

大鹿次長

神田次長

中野司計課長

奥法規課長

若原給与共済課長

関口調査課長

江島主計官

安出主計官

小宮主計官

中島主計官

阿久澤主計官

岩佐主計官

竹田参事官

前田主計官

中山主計官

内野主計官

北尾主計企画官

遠藤典子

倉重篤郎

黒川行治

神 津 里季生

武田洋子

竹中ナミ

中空麻奈

宮島香澄

臨時委員

井堀利宏

岡本圀衞

葛西敬之

小林 毅

進藤孝生

末澤豪謙

田中弥生

冨田俊基

増田寛也

~子田 章 博

宮武 剛

 

 


午後3時00分開会

〔 田近分科会長代理 〕 時間になりましたので、開始させていただきたいと思います。

本日は、お手元にあるように議題は2つあります。1つは、日本経済団体連合会からの御報告、続いて文教・科学技術について主計官からの説明と、その審議ということになります。

本日は冒頭でカメラが入りますので、少しお待ちください。

(報道カメラ 入室)

〔 田近分科会長代理 〕 それでは、財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。皆様には、御多用中のところ御出席いただきまして、ありがとうございます。

本日は、経済団体からのヒアリングと、文教・科学技術を議題としております。

それでは、報道関係者の方は御退室ください。

(報道カメラ 退室)

〔 田近分科会長代理 〕 それでは、本題に入らせていただきます。

本日は、日本経済団体連合会の井上隆常務理事、そして岩村有広経済政策本部長に来ていただいています。お手元の、「わが国財政の健全化に向けた基本的考え方」をもとに10分程度、井上常務理事から御説明をいただき、その後、質疑ということにさせていただきたいと思います。

それでは、井上常務理事、お願いいたします。

〔 日本経済団体連合会井上隆常務理事 〕 御紹介いただきました経団連常務理事の井上でございます。本日は、貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございます。よろしくお願いいたします。

経団連では、2015年の「経済・財政再生計画」の策定時にも意見書を取りまとめておりますけれども、今回、政府におかれまして議論が行われている新たな健全化計画に向けまして、改めて基本的考え方を取りまとめました。ちょうど本日の昼に機関決定いたしましたので、その提言につきまして御説明を申し上げたいと思います。

画面にあります横長の資料の1ページ目でございますけれども、本提言のアウトラインということになります。まずは、提言の全体構成を御理解いただければと思います。

それでは、具体的な中身につきまして御説明をさせていただきます。

2ページ目、お願いいたします。はじめにというところでございますが、本提言の趣旨、背景でございますが、財政健全化は将来世代への責任ということで、我が国の厳しい財政状況を踏まえまして、政府のコミットメント、また改革の断行が必要であるといった視点から、経済界といたしまして、今年の夏に政府が決定する財政健全化計画の枠組みに関する考え方を取りまとめたものでございます。

3ページ目をお願いいたします。3ページ目以降では、3年間の集中改革期間のこれまでの動向を整理しておるところでございます。

この審議会でも、御議論を通じて様々な御指摘があったと思いますけれども、集中改革期間におきますプライマリーバランスの改善は横ばいに留まっているということと、一方で、当初予算における歳出の伸びは、いわゆる目安どおりに収まったということをこのページでは確認させていただいております。

4ページ目をお願いいたします。とりわけ規模の大きい社会保障関係費の伸びでございます。先程申し上げましたとおり、目安は達成されたということでございますけれども、その大宗、中身につきましては、薬価の引下げ、あるいは所得の比較的高い現役世代、また大企業に対する負担増ということで対応がなされたことを示しております。

5ページ目、このような中、経団連が2015年5月に公表した提言の歳出改革に関する評価をしてみました。例えば、医療・介護の利用者負担の適正化はまだ実現できていないのではないか、あるいは地方財政計画におけるPDCAサイクルの改善がまだまだ進んでいないのではないかということで、我々、経団連といたしましては、歳出改革の成果はまだまだ不十分なものと評価をさせていただきました。

このような取組を踏まえまして、今後の財政健全化の枠組みの在り方につきましてまとめたところでございます。

6ページ目をお願いいたします。まず、財政健全化の目標でございますけれども、国・地方を合わせたプライマリーバランスの黒字化、そして債務残高対GDP比の安定的な引下げ、こういうことを堅持すべきだと主張しております。また、目標の前提となります経済・財政の見通しにつきましては、税収増の見込みが楽観的にならないように配慮し、足元のトレンドに近いベースラインケースを念頭に、経済活性化の効果を適切に織り込みながら、信頼に足る現実的、かつ実効性のある枠組みをつくるべきと主張しております。そして、経済成長に配慮いたしまして、過度な財政引き締めを回避しながら歳出改革を徹底して行い、中間評価年を設けた上で、2020年代半ばにおけるプライマリーバランス黒字化を目標とすべきとまとめております。

7ページ、お願いいたします。収支改善に向けた基本的な考え方でございます。(1)総論といたしまして、経済再生による税収増だけに頼ることなく、収支改善の効果が確実に見込める歳出改革をまず徹底して行い、歳出の伸びを抑制すべきだと主張しております。歳出の中で、とりわけ規模の大きい社会保障、地方財政における取組の重要性を指摘させていただいております。

8ページをお願いいたします。毎年の予算編成上の対応でございますけれども、こちらにつきましては、今後、いわゆる団塊の世代の方々が75歳を迎えることから、高齢者の人口動態に十分配慮しながら、中間評価年までの期間につきましては歳出の伸びの目安を設けて、その後は目安に照らしまして、また進捗状況を評価し、必要な場合には更なる追加措置を検討すべきであるとまとめております。

社会保障につきましては、これまでの集中改革期間の目安以下とすべきとしております。その際、冒頭に申し上げましたように、企業、あるいは現役負担増となるような財政調整による財源捻出には頼るべきではないと主張をさせていただいております。

社会保障以外の分野でございますけれども、集中改革期間の目安を原則維持すべきとしております。こちらのほうは硬直化が懸念される歳出も多いので、メリハリの効いた予算編成のもとで、例えばイノベーションの創出、生産性の向上に資するようなものに対して重点的な配分を行うということを主張しております。

9ページを御覧ください。今、御説明申し上げたような点は、今回の健全化計画に対するものでございますけれども、社会保障制度の在り方につきましては、この提言に基づく毎年の予算編成とは別に、より長期的、かつ制度横断的な全体像を踏まえた検討が必要であると考えております。とりわけ、全ての団塊世代が75歳以上に到達する2025年以降を見据えた負担と給付のあるべき姿を示すことが重要と考えております。そのためには、まず景気変動への機動的な対策を講じた上で、2019年10月の消費税率10%への引上げを着実に実行すること、これによって全世代型社会保障制度の確立に向けた一歩を踏み出すべきと考えております。さらに、将来不安の払拭に向けまして、広く国民全体で社会保障制度を支える観点から、税率10%超への消費増税も有力な選択肢一つとして、国民的な議論の喚起を求めたいと考えております。

最後に、経団連は国連が掲げる持続可能な開発目標、SDGsというものをサポートしております。これは、会員企業にも呼びかけているところでございます。企業が社会の一員としてその発展を支えるためには、まずは企業自らの経営、財政状態が健全であることが大前提でございます。国の財政健全性につきましても同様のことが言えるのではないでしょうか。財政の健全性が確保されなければ、国民は将来不安を持ち続けますし、また日本をベースとしている企業の活動にとっても、消費動向、あるいは市場におけるリスクの要因となってしまいます。持続可能性とは、国連の定義では、将来の世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、本日の世代のニーズを満たすこととされております。まさに冒頭に申し上げたとおり、将来世代への責任として、景気が持ち直している今こそ、財政再建に向けたしっかりとした議論を進めるべきと考えております。

私からは以上でございます。

〔 田近分科会長代理 〕 井上常務理事、どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの御発言、御報告に対して、御意見、御質問等ありましたら、お願いします。いつものとおり、御意見がある方はネームプレートを立てていただければと思います。どこからでもお願いします。

では、冨田委員。

〔 冨田委員 〕 どうもありがとうございました。多くのところで私も同じ意見です。

お聞きしたいことが3点ありまして、1つは、目標年度を2020年代半ばとされております。それまでに中間評価があるということは、まさに半ばということですが、その半ばとされた背景をお聞きしたいということが第1です。

2つ目は、私どもはここで補正予算の議論を色々と行うのですが、それについての考え方をお伺いしたいというのが2点目です。

3点目は、中間評価の時点で評価するということはおっしゃっていまして、これは現在の「経済・財政再生計画」と同じですが、実は3年間やらなかったから、これまで議論ができなかったことも色々とあると思うのです。ここでは、中間評価時点までの財政健全化計画と毎年度の進捗についての整合性の議論について書かれていないのですけれども、そういう毎年の評価をなされるのかどうか。

以上、3点でございます。

〔 田近分科会長代理 〕 お答えいただければ。

〔 日本経済団体連合会岩村有広経済政策本部長 〕 経済政策本部長でございます。ただいまの冨田委員の御質問にお答えいたします。

まず、PB黒字化の目標年度でございますけれども、これは色々と内部でも議論がございまして、ある程度幅を持って集約したものでございます。我々の考え方としては、半ばまでには黒字化を達成してほしいと、こういうメッセージでございます。

2つ目、補正の考え方でございますけれども、御案内のとおり、平均すると年約5兆円の補正予算を組んできたということで、経済財政諮問会議の中間評価でもPB黒字化が足踏みしている要因の一つになっているとの指摘があります。我々としては、必要な歳出については当初予算でやってもいいのではないか、特に来年、消費税率が上がりますので、その際に機動的な対策と申し上げてございますけれども、そのあたりについては少し考えていただいてもいいのではないかということでございます。

3つ目、中間評価までの進捗をどうするかということでございます。経済財政諮問会議の下に、経済財政一体改革推進委員会という委員会がございまして、このようなところで毎年の進捗状況なりはチェックをしているということでございますし、我々も予算編成過程の中で必要なことは色々と申し上げてございますので、3年間を通じて何もしない、フォローもしないというわけではなくて、そういう取組を通じてしっかりと目標に向かって進捗している状況をチェックしていくことが必要だと考えてございます。

以上でございます。

〔 冨田委員 〕 ありがとうございました。

〔 田近分科会長代理 〕 では、井堀委員。

〔 井堀委員 〕 冨田委員の質問とも重なるのですけれども、考え方といいますか、本日のお話は非常にもっともらしいお話で、特にそれに関してどうこうということはないのですけれども、問題は、このような財政健全化の中間目標も含めて、それからプライマリーバランスの黒字化の目標設定というのは、これまでも実はこういう形でやってきたわけです。ただ、結果として、2020年度のプライマリーバランス黒字化ができなかったので、もう一回仕切り直してやるとすれば、これまでの枠組みを基本的にそのまま踏襲するのではかなり難しいのではないか。もう一段、財政健全化に関して厳しい踏み込みをしないと、なかなか達成できないのではないかという気がするのです。

その意味で、2020年半ばに黒字化を目標にすべきというのはもっともらしいのですけれども、その持続可能性に対してどの程度の裏づけというか、コミットメントがあるのか。例えば、2020年半ばに関しては、これ以上は先送りしないようなコミットメントを追加で何か検討されているのかどうか。今までの健全化の取組との違いがあれば教えていただきたいのですが。

〔 日本経済団体連合会井上隆常務理事 〕 今回、我々が強調しているのは、最も健全化に確実な成果の出る歳出抑制、先程前回の私どもの提言との比較をしましたけれども、まだまだ社会保障分野で歳出自体を抑制するような仕組みの改善が図られていないという問題意識を持っておりまして、まさにこの分野にどういうように取り組んでいくかが一つの大きな鍵になると思います。今のところ、我々としては、2020年半ばまでに強い意思を持ってコミットすべきだというところまでしか言っておりませんけれども、これまで取組がまだまだ不十分であった歳出の抑制項目につきまして、今回は特に強く取り組むべきだと考えております。

〔 田近分科会長代理 〕 では、田中委員、お願いします。

〔 田中委員 〕 私からは少し細かなディテールの質問になります。

6ページ、黒ポツの2番目のところにベースラインケースのことが書かれているのですけれども、逆に成長実現ケースについて、経団連ではどのようにお考えになっているかということをお聞かせいただきたいのですが。

〔 日本経済団体連合会岩村有広経済政策本部長 〕 成長実現ケースを否定しているものではなくて、これまでの成長率の見通しを踏まえると、より保守的に考えれば、ベースラインを念頭に、経済活性化策の効果を織り込むべきというところに考え方の基本を置いてございます。それが成長実現ケースに近づけば近づくほど、望ましい姿という理解でございます。

〔 田中委員 〕 もう少し踏み込みますけれども、経済成長のほうですけれども、実現可能だと思われますか、現実になりますか。

〔 日本経済団体連合会岩村有広経済政策本部長 〕 実は、私ども経団連は、もう20年ぐらい前から、実質2%、名目3%というのは常に掲げている目標でございます。それになるべく近づくように、企業活動のほうも頑張っていきたいというのが私どもの主張でございますので、そうなるのが望ましいと考えております。

〔 田近分科会長代理 〕 増田委員。

〔 増田委員 〕 ありがとうございます。この提言の方向に賛成であります。

最後のところに、消費税10%超の話が書いてあるのですが、その場合、来年10月の引上げは着実に実行せよと。10%超の議論というのは、本来は今ごろもう盛んにやられていたはずだろうと思うのですが、現実には行われていないわけです。社会保障についても、今回の提言とは別に、より長期の全体像を踏まえた検討が必要で、私もそうですが、やはり危機感があって、相当早くから議論しないと、この問題はなかなか解決しない。2030年代、2040年代、あるいは2050年代辺りまで見通して、少子超高齢化社会の社会保障の在り方を検討しないといけないと思います。

問題は、消費税の十数%、それは15%なのか、18%なのか、色々あると思うのですが、そういった国民的な議論の喚起を求めるとあえて書いているので、経団連としては、来年10月に上げたら、即、その後に議論を始めろと、そのようなスタンスで考えておいてよろしいのですか。私は早ければ早いほうが良いとは思うのですが、さすがに来年10月の前からやるのは世の中の空気に合うのかということはあるのですけれども、このあたり、せっかく最後に書かれていて、多分、その議論の場というのは、まさに財審が一番重要だと思うのです。経団連としては、我々に対して早く議論しろと言っているのだろうと思うのですが、いつごろからその議論をせよと言っているのでしょうか。

〔 日本経済団体連合会井上隆常務理事 〕 経団連は、4年に1回程のペースで中長期のビジョン、会長が交替されるところでよくビジョンというものを出すのですけれども、榊原現会長が会長になられた直後、平成27年1月に「経団連ビジョン」というものを出しております。そのビジョンがもとになって、我々は活動をしているわけですけれども、平成27年1月のビジョンにはこのように書かれております。「中長期的に持続可能な財政構造を確立するためには、消費税率を欧州諸国の水準に倣い、2030年までに10%台後半に引き上げる必要がある」ということをその時点で提言しております。したがいまして、我々の主張としては、かねてから明示的にこの方向で検討すべきだということでございます。まずは来年の10%の着実な引上げということがございますので、その引上げが円滑に行われた段階で、更なる引上げという議論を経団連としても続けていきたいと思っております。

〔 田近分科会長代理 〕 他に御意見、御質問ございますか。末澤委員、お願いします。

〔 末澤委員 〕 すみません。どうもありがとうございました。

基本的に、御提言の内容に賛成でございます。ただ、先程井堀委員もおっしゃいましたが、実はプライマリーバランス黒字化の問題は、かつての小泉政権下では確か2010年代初頭にと。内閣府の試算では黒字化は2011年だったと記憶しております。これは、団塊世代が前期高齢者になることを見据えて、そういう目標が出ておったわけでございますが、結果的に今回ですと団塊世代全員が後期高齢者になる年ということで、ある面では、後がない目標だと思うのです。私も、ここは確実に達成する必要があると思うのですが、やはり国民的な議論を巻き起こして、歳出を抑制するにしても、歳入を増やすにしても、有権者の賛同を得られないと、なかなか難しい問題だと思います。それに際して、経団連として、会員企業向けに何か啓蒙活動といいますか、議論を盛り上げるような取組というのはなされているのか、ないしは今後御予定があるのか、そのあたりをお伺いしたいと思います。

以上でございます。

〔 日本経済団体連合会井上隆常務理事 〕 このような提言をまとめるときには、経団連会員企業、最終的には全ての会員企業に周知をもちろんいたしますし、まとめるに至るまでの間にも、主要な会員企業の中で極めて濃密で真剣な議論がなされております。ただ、今、御指摘にあったように、その議論が国民に本当に伝わるのかどうかというところが一番問題でございまして、その辺は我々、今後も十分に留意して、国民的な議論をもう少し盛り上げていく努力を引き続き続けていきたいと考えております。

〔 田近分科会長代理 〕 他に御意見等はございますか。

それでは、このセッションはここで終わりにさせていただきたいと思います。井上常務理事、岩村経済政策本部長、ありがとうございました。

井上常務理事、岩村経済政策本部長におかれましては、御所用のため、ここで退室されます。御多忙中のところ、大変ありがとうございました。

〔 日本経済団体連合会井上隆常務理事 〕 どうもありがとうございました。

(井上常務理事・岩村経済政策本部長 退室)

〔 田近分科会長代理 〕 続きまして、文教・科学技術について、中島主計官より25分程度で御説明をお願いいたします。

中島主計官、よろしくお願いします。

〔 中島主計官 〕 文部科学担当主計官、中島でございます。よろしくお願いいたします。

まず、1ページ、目次を御覧いただきまして、この後に資料で説明しない部分だけ、ここで簡単に御紹介させていただきたいと思います。

総論のところは、教育と科学技術分野ともに、予算の量は主要先進国並みだと思っておりますけれども、成果が十分ではないのではないか。したがって、ここで申し上げたいことは、問題は予算の量ではなくて、予算の使い方なのではないかということです。これは、この資料全体に通じることであります。

論点2は、私立高校無償化の話です。消費税10%引上げのタイミングで、年収590万円未満世帯を対象に実質無償化していくことになっていますけれども、安定的な財源を確保していく必要があるということと、資産の勘案といった制度の適正化をきちんとしていくべきではないかというようなことを申し上げているものであります。

論点3−(4)の大学院改革のところでありますけれども、ここは博士課程進学者が減少しているので、経済的支援を充実させるべきではないかといったような御指摘がありますけれども、大学院教育のところは就職などの出口を見据えた改革を先にやっていただく必要があるのではないかといったことを申し上げているものであります。

それでは、中身に入っていきますが、11ページ、「幼児教育の無償化」をお開きください。ここでは、消費税率を10%へ引き上げた場合、3歳から5歳の幼稚園と保育所の無償化をすることになっておりますけれども、残されている課題は、幼稚園で言うと預かり保育の議論が残っております。仮に預かり保育を無償化の対象にしていくということであれば、どういったことが必要なのかをここで論じたいというものであります。

14ページを御覧ください。幼稚園の預かり保育における保育の必要性ということで、左側の帯グラフの黄色いところは保育所です。保育所は、短時間ケースですと8時間お預かりすることになっております。その際には、保育の必要性の認定と称しまして、月48時間から64時間の就労が必要ということになっておりますが、上の幼稚園は、標準時間4時間の前後に預かり保育をつけることが可能になっております。しかしながら、右の帯グラフにありますように、公立、私立とも預かり保育をする際の条件が必ずしも設定されているわけではありませんので、仮に預かり保育を無償化の対象にしていくのであれば、そういった保育の必要性の認定が必要ではないかということであります。

それから、15ページに行っていただきまして、仮に預かり保育を無償化する場合にはどういった給付水準なのかといったことを論じたいわけでありますが、上の棒グラフ、3つ並んでいるもの、左2つは幼稚園、左側が旧制度、真ん中が新制度であります。いずれも園児1人当たりの利用者負担と公費を合わせた金額が年額50万円程度になっております。無償化されますと、利用者負担のところが公費負担になりますので、幼稚園であれば50万円程度が公費の対象になる。保育所であれば、同様に70万円程度が公費の対象になります。

一方、下の面積で表しているところですが、幼稚園でお預かりする時間は1日4時間が標準で、かつ土日、夏休みもございますので、200日程度ということになります。一方、保育所の場合は8時間から11時間お預かりし、かつ土曜も一応やっている前提でありますので、300日程度開いている状況であります。

こうした預かっている時間が違うということも勘案して、給付水準を議論する必要があるのではないか。つまり、幼稚園の時間当たりの公費負担が保育所を既に大きく上回っている水準でありますので、そういったことを踏まえた給付水準を考えなければいけないのではないかということであります。

続きまして、23ページを御覧ください。ここから大学の世界に入ってまいります。ここのページは、消費税率10%への引上げ時に大学無償化をした場合に、教育の質を損ねることのないようにしなければいかんということと、HECS制度、いわゆる授業料後払い制度がまだ論じられておりますので、これについてどう考えるのかといったことでございます。

27ページ、御覧いただきまして、教育の質をきちんと確保しておく必要があるだろうということで、まずはシラバス(授業計画)、例えばB大学と右のほうに書いてありますが、授業内容のところを御覧いただきますと、予習で60分,こんなことをやってください、復習で90分、こんなことをやってくださいということを書くシラバスというものがございます。こうして教育内容を外に見えるようにしていく大学を、無償化の対象にしていく必要性があるのではないかということ。

28ページを御覧いただきまして、今、申し上げたシラバスで教育内容を見せた上で、厳正に成績評価をしている大学を対象にしていく必要性があると思います。例えば、GPA制度でありますけれども、GPA制度自体はかなりの大学で導入されているのですが、中身を見ますと、右の棒グラフの下から3つ目、各教員間や各授業間の平準化にはあまり使っておられないので、このようなものを使ってきちんと教育の質を担保していっていただきたいということであります。

29ページを御覧いただきますと、教育内容だけではなくて、経営状況も公開していただく必要があるだろうということであります。左のほうの赤い字で書いてあるところ、在学する者、利害関係人と書いてあります。私立学校法上は、財務諸表をこのような方々に公開することになっておりますが、必ずしも一般に公表することにはなっていないので、これから大学に入りたいと思っている皆さんなどにもよく伝わるように、一般に公開してほしいということ。

我々、大事だと思っていますのは、右の赤字で書いております就職状況に関することであります。これは、学校教育法上、一般にオープンにすることになっておるわけですが、左下の表で色々な就職率があって、特に11を御覧いただきたいわけですが、11は基本的に分母が違うわけであります。1の分母は就職希望者ということで、様々な方々を除外して分母を小さくしている。それで就職率が高目に出ているということであります。1の分母は、進学も就職している者と扱うので、進学者だけは除いてありますけれども、根本的には卒業者を分母にとっているので、1に比べて率が低目に出ているということで、やはり1のような就職率を子供たちに見せていく必要があるだろうということであります。

32ページに飛んでいただきまして、今回の高等教育の無償化におきましては、大学のみならず専門学校を対象にすることになってございますが、専門学校の情報公開が必ずしも十分ではないというのがこの表を見ていただくとおわかりかと思いますので、情報公開をきちんとしていただくということ。

33ページを御覧いただきますと、専門学校の評価です。左から自己評価、真ん中が関係者による評価、右が第三者評価ですが、第三者評価があまりなされておりませんので、第三者評価も含めて評価をきちんとしていただく必要性があるだろうということです。

36ページを御覧いただきますと、HECSの議論です。上のキャプションのところにありますように、高所得者も含めた授業料後払い制度といった議論がなされております。しかしながら、課題1に書いてありますように、今は低所得者だけに無利子奨学金を付して、高所得者との差を縮めようとしているにも関わらず、高所得者にも無利子の恩典を置くことによって、格差をかえって拡大させてしまうのではないかということ。

課題2は、HECSの導入目的は親負担主義からの脱却というようなことが言われるわけでありますが、現行の所得連動の奨学金でも、低所得の場合には子供が返還することになるので親負担主義から脱却していると言えますし、高所得の場合はご家庭で約束をしていただいて、お子さんが後で親に返済すれば、家庭内で親負担主義から脱却することも可能であります。また、HECSを導入しましても、高所得世帯は親が払う可能性がありますので、必ずしも親負担主義から脱却できないという意味において、目的に対して合理的ではないのではないかということを書いております。

課題3は、利子負担、あるいは未回収分の負担をどうするのかといった財政負担の問題も残っている。そういう課題がありますので、なかなか適切ではないのではないかと考えております。

39ページに行っていただきまして、「大学改革に向けた資金配分」であります。

資金配分の在り方につきましては、40ページを御覧いただきますと、国立大学の運営費交付金は1兆1,000億円ぐらいありますが、各大学に配る話と、各大学の中で各学部に配る話と、各学部の中で各先生に配る話と、この3段階がありますので、分けて考えないといけないだろう。

41ページに行っていただきますと、大学間への配分で、左の下のほうの帯グラフを見ていただきますと、平成30年度1兆971億円、これが国立大学運営費交付金でございます。一番大きな固まりは9,078億円の基幹経費ということで、これは基本的に対前年同額で配られております。例えば、東京大学が昨年800億円でありますれば、今年も基本的に800億円ということで配られます。赤いところに285億円とありますが、毎年1%、つまり約90億円ずつ加算していって、評価をして配るというものがございます。しかし、ここの評価をして配る額は285億円に留まっているのではなくて、これをもう少し大きくしてほしいということ。

右のほうに重点支援評価とありますが、後ほど御覧いただきますが、この評価の仕方が甘いのではないかということ。

それから、基幹経費の中に緑色の字で学長裁量経費と書いてございます。基本的には基幹経費の中がよく見えません。一部、学長裁量経費としてくくり出されている400億円ほどは中身が見えますので、これも使い方がうまくないのではないかということを後でちょっと見ていただきたいと思います。

42ページを御覧いただきますと、まず評価の1つ目ですけれども、国立大学法人評価というものがございます。X大学の実例を拾ってあります。この大学の目標は、世界ランク100位を目指すことになっております。実績は、ブルーのところを見ていただきますと、右端601位から800位という状態でありますが、緑色の評価のところを見ていただきますと、それでも達成状況はおおむね良好になっておりますので、これは評価としていかがなものだろうかということであります。

44ページに行っていただきまして、もう一つの評価、重点支援評価の実例を御覧いただきたいと思います。これはA教育大学の実例であります。真ん中あたりの表を見ていただきますと、評価はTOEICのスコア、目標は500点となっています。上の字で書いてあるところの1つ目の丸を見ていただきますと、TOEICの平均スコア500点というのは英検準2級程度ということになっております。その下の丸に、「しかしながら」とあって、教育大学ですので小学校の先生を養成するところでありますが、英語も教科化されますので、小学校の先生に求められる英語の能力は準1級程度とされております。それと比較して、準2級程度の500点という目標はいかがなものかということと、基準値が平成28年度は450点となっていましたが、実績値は445.3点で横ばいぐらいの水準になっております。これでもって、左下端のところにありますように、自己評価はA、改善状況もAということなので、これも評価としていかがなものだろうかと思います。

47ページを御覧いただきまして、基幹経費9,000億円の中の学長裁量経費402億円の中身を見ていただきたいと思います。左側、ブルーで書いてあるところで、成果指標を半分の大学が設定していないということ。具体的な中身、何に使っておられるかというのは、エンジのDのところを見ていただきたいわけですが、武道場屋根の改修、ボイラーの更新、人型ロボットのレンタル、心臓除細動器のAED、トイレ改修といったような使い方になっておりまして、これが学長のビジョンに沿った使い方になっているのかというのは、やや疑問を感じるところであります。

49ページを御覧いただきまして、私立大学に関しましては、これも常々申し上げていますように、左側、定員割れ大学の数が4割に上りますので、このような大学が無償化によって救済されてしまうようなことがないように考えなければいけません。

51ページを御覧いただきますと、私学事業団におきまして、経営困難な法人をレッドゾーン、イエローゾーンと分けて掲げていまして、662法人のうち103法人ほどがレッド、イエローに属するものということが出ております。こうした大学が同様に無償化によって救済されてしまうことがないようにする必要もあろうかと思っております。

55ページに行っていただきまして、これは各教員レベルでの話であります。研究費と研究時間が減ってきているというような御指摘が時折ございます。

56ページ、御覧いただきまして、まず研究費のほうですが、左のグレーのところのグラフを見ていただきますと、10年前と比べて個人研究費が、大きく減っているが15%、少し減っているが28%、合わせて43%の先生方が、個人研究費が減っているとおっしゃっています。ただ、注1に書いてありますように、これは外部資金を除いたものでありまして、大学本部から降りてくるような研究費だけをとってみれば減っているとお答えになっています。

他方、真ん中の棒グラフを見ていただきますと、これは受託研究費を含めた外部資金を入れたものであります。それで見ますと、年々増えてきているのがおわかりかと思います。したがって、特定の先生の一部の研究費は減っているかもしれませんけれども、全体としては増えていることに留意が必要だろうということ。

57ページを御覧いただきますと、研究時間も減ってきているといった御指摘がございます。左のグレーのグラフを見ていただきますと、2002年、2008年、2013年と3回調査して、確かに年々、減ってきている数字にはなっているわけです。しかしながら、赤字で書いてありますように、この3回の調査はサンプリングが異なりますので、必ずしも比較していいものではありませんので、本来はそういったことに留意が必要だと思われます。

真ん中のグラフと右端のグラフは、大学の先生の頭数に、今、申し上げたような研究時間の割合を掛けて、フルタイムで研究をしている人数に直せばどの程度になるかというフルタイム換算値の各国比較を載せてございます。これで見ると、実数で見れば日本は14万人、人口1万人当たりでも11人ということなので、諸外国とそれほど遜色があるわけではありません。

したがって、今、申し上げてきましたように、研究費や研究時間の総量に問題があるというよりも、大学の中でそれぞれの先生の研究費や研究時間をどう配分するのかという問題なのではないだろうかということであります。

最後、科学技術は67ページを御覧いただきたいと思います。科学技術も、最初に申し上げましたように、量の問題というよりは使い方の問題ではなかろうかということであります。

68ページを御覧いただきまして、公的な科学技術関係予算で、左側がGDP比で、右側が実額になります。左側のGDP比で見ていただきますと、ブルーないしピンクのところは民生であります。グレーが軍事、オレンジが研究開発減税ということになります。研究開発減税まで合わせて見ますと、日本は主要先進国と比べてそれほど遜色があるわけではございませんし、実額で見ましても主要先進国と比べて遜色があるとは思えないわけであります。

他方、69ページを御覧いただきまして、研究開発の中身、質がどうかということを考えますと、論文の大宗は大学部門ですので、左側のグラフは大学部門、高等教育部門における研究開発費の総額を見ておりますが、これはドイツと同額ぐらい、200億ドル前後ということになっています。

真ん中は、大学部門で生み出していますトップ10%論文、引用度合いが極めて高い、上位10%の良い論文ということですが、この論文の本数がドイツに比べて半分ぐらい、3,000本と6,000本とで倍の差がある。したがって、単純に使っている研究費を良い論文数で割り算をした1件当たりの総額が右、660万ドルと340万ドルなので、ドイツの倍ほどのコストがかかっている。裏返せば、研究開発の生産性が低いということだろうと思います。この問題の改善がまず必要なのではないだろうかということであります。

この理由として、色々なことが考えられるのかもしれませんが、70ページを御覧いただきまして、左のグラフは先程も御覧いただきました大学部門における研究開発費の総額です。ドイツと同じぐらいであるにもかかわらず、真ん中のグラフは、良い論文が書けている分野の数ということになりますが、それがドイツよりも少ない。その中でも、右の学際的・分野融合的な分野、つまりAIだとか、燃料電池だとか新しい分野で書けている論文が少ないということであります。したがって、旧来分野から新たな分野への進出とか、新陳代謝みたいものが妨げられているのではないかと思われるわけです。

そのことの裏付け、なかなか数字ではないのですが、71ページを御覧いただきますと、上は黒川先生、真ん中は野依先生、一番下は橋本先生の言葉で書いてあるものを拾ってあります。太字のところを御覧いただきますと、教授を頂点とする権威主義的なヒエラルキーとか、自由闊達な研究の足かせになっているとか、家元制度、タコつぼ、縦社会といったような言葉が並んでございます。野依先生のところを御覧いただきますと、9割以上の准教授と助教が教授の支配下に留まってしまっている。その下、日本では大学の方針でなく教員たちの意向で伝統分野が受け継がれるため、人工知能やビッグデータ解析などの分野が決定的に遅れてしまった。一番下、橋本先生のところであれば、教授を選考する会合は全会一致が原則なので、新しい先生を入れようとする発想がないといったようなことが指摘されているということであります。こうした大学における人事組織の硬直性も、新陳代謝が妨げられている一端ではなかろうかと思います。

72ページを御覧いただきまして、ここは日本の研究者の論文の書き方の特徴のアンケートをとったものであります。日米比較でありますが、上はトップ1%なのでかなり良い論文、下のグレーのところは一般の普通の論文ということです。必ずしも質の高くない論文です。それぞれの論文の著者に、現実の具体的な問題解決を大事にしましたかとか、基礎原理の追求を大事にしましたかとお聞きになったようであります。それに対して、どちらでもないとお答えになった割合が日本のほうが高い。特に、一般の論文、普通の論文のほうにその傾向が強いわけであります。引用度合いを上げようと思えば、多分、他の研究者の関心を引くようなことを書かなければいけない。つまり、現実の問題解決だとか、根本原理の追求といったところで書く必要があるのでしょうが、他の研究者の関心を必ずしも引けないような部分で論文をお書きになっているということなのかなと推測されます。

74ページを御覧いただきまして、ここはちょっと個別の話を御覧いただきます。官民の役割分担ということで、SIPといった事業を見たいと思います。戦略イノベーション創造プログラムということで、書いておりませんが、これは年間300億円ぐらいを5年間かけてやる。つまり、1,500億円ぐらいの事業で、10個ぐらいのプロジェクトを選びます。そのうちの1つのプロジェクトが、左下にありますようにエンジンの開発プロジェクトであります。これに対して、国から19億円、民間からAICEというコンソーシアム、注書きにありますように個別の大きな会社のコンソーシアムから4億円ということになっています。これはエンジン開発ですので、極めて商品化に近い世界でありますし、名だたる大企業を対象にした事業であるわけですが、官民の役割分担はこれで適切なのだろうかという問題意識を持っております。

75ページを御覧いただきまして、ImPACTという事業があります。これは平成25年度補正のときに550億円ほど基金を積みまして、やはり5年間で10個ぐらいのプロジェクトをやるという事業であります。例示は素材の開発でありますが、これは先程のコンソーシアムとは違って、各個別の会社を相手に大学ないしは研究所が共同で研究をするということになるわけですが、こちらは国から48.5億円に対して、民間企業の皆さんからは資金拠出をいただいていないような状況です。これも名だたる大企業を対象にしたものでありますので、官民の役割分担として本当に適切なのかといったような疑問を持っております。

76ページを御覧いただきまして、右下の図ですけれども、基礎研究のところは国が負担して、社会実装、あるいは商品化みたいなところは民間にご負担いただくということが、多分、妥当なのだろうと思うのですが、今、申し上げたSIPやImPACTのように社会実装に近いところを国が持っていくのはいかがなものかということでございます。

79ページを御覧いただきまして、使い方というか、執行上の問題ですが、基金方式といったものがあります。左下の模式図を見ていただきますと、先程申し上げたImPACTの事業が例示です。5年分550億円を基金で積んで、基金管理法人、この場合はJST(科学技術振興機構)に550億円を一括してお渡しして、5年ほどかけて色々なプログラムに使っていくといったような事業です。

字で書いてある一番上の丸のところにありますように、多年度にわたる研究開発が安定的に進められることが大事で、それに対して基金を使うべきだといったような御指摘がありますが、我々も、ここに書いてありますように、例えば研究機関のマネジメントによる運営費交付金費をうまく使うということ。あとは、後年度負担をちゃんと見極めた上での話ですが、中長期プロジェクトの採択、例えばiPSや、スパコン「京」といったものは、1,000億円規模で10年とかかけて、基金を使わずとも適切にやっているわけであります。あとは繰り越し制度の改善など、できる限り柔軟に対応しているところですけれども、この基金方式を用いてしまいますと、やや問題がある場合がある。

2つ目の丸でポツが3つ並んでいますが、1つ目のポツを御覧いただきますと、外部専門家による進捗状況の評価を4年経過するまで未実施だった、4年後になってようやく評価を実施した。2つ目のポツは、C評価だったものがあるわけですけれども、これも減額できていない。右の真ん中、30年2月と書いてあるところの評価で、当初30億円の予定が、そのまま30億円で据え置きになってしまっている。3つ目のポツは、十分なエビデンスがない結果を公表してしまうという問題が発生した。注にありますように、高カカオチョコレートの効果があるといったことを、エビデンスがあまりないまま公表してしまった。

このことについては、右下のオレンジの四角でのところで書いてありますが、国の研究プロジェクトで当たり前の中間評価がImPACTには存在しないので、批判を受けるような機会がなかったことが原因ではないかという指摘がなされたということで、基金でどんとお金を渡してしまうことによって、評価や批判がされるといった緊張感をちょっと欠いてしまう部分があるので、問題が生じやすいということであります。

最後、80ページを御覧いただきまして、そういったこともあるので、緑のところを御覧いただきたいのですが、国会での議論も批判を強くされています。1つ目のポツは、基金の執行管理が十分されていない、余剰な資金が無駄に積み上がっている。すなわち、国債金利を払いながらお金を積み上げて、5年後なら5年後にしか使わないのに持っているのは無駄ではないかという御指摘。当初予算を小さく見せるために、粉飾予算になってしまっているのではないかといった指摘がありますので、エンジのところにありますように、我々は基金という方式は厳に抑制していかなければいけないのではないかと思ってございます。

駆け足になりましたが、私のほうからは以上でございます。ありがとうございました。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました。

時間の都合上、お話にならなかった点もまだ色々あると思いますけれども、それも含めて資料全般、御意見、御質問を承りたいと思います。

それでは、今、見える範囲で、武田委員、田中委員、冨田委員、中空委員という順番でお願いします。

〔 武田委員 〕 ありがとうございます。

中島主計官が冒頭におっしゃったとおり、量ではなく使い方に重点をというお考えについて大変賛同いたします。それを踏まえた上で、2点、意見を申し上げたいと思います。

1点目、教育ですけれども、とにかく質の向上を徹底すべきということだと思います。特に、数年前から衝撃を受けておりますのは、4ページ目、1日1時間未満の勉強にとどまる学生が全体の6割以上という現実です。この点については、国も教育機関も大いに反省が必要なところではないかと思います。そこで、どうすればいいかという議論に移ったほうがいいと思いますが、まずは大学の学生に対する評価をもう少し統一的に厳しくすることは必要だと思います。海外の大学に留学すると感じますけれども、入学すれば卒業できるというカルチャーは少なくとも海外にはございません。もう少し勉強を促進するような仕組みづくりが必要ではないかと思います。

また、先生の評価や、新陳代謝も重要になってくると思います。研究、教育、ティーチング、それぞれ役割は違いますので、それぞれの分野でどう貢献しているかという評価を行っていく必要があると思います。

さらに、大学の新陳代謝を高めること。前回も申し上げましたけれども、定員割れが全てではないにせよ、これだけ定員割れの大学が数多く存在する現実を踏まえますと、新陳代謝をもっと進めて、その浮いた財源をグローバルでの競争力を高める質の向上に使っていく、そういった財源のシフトが早急に必要だと思います。

2点目、科学技術に関する意見でございます。先程経団連の方がお話しされておりましたけれども、イノベーションを創出する分野に重点を置いていくべきということについては私も強く同意致します。これまで日本は科学技術の分野が非常に強い国でしたけれども、その分野でさえ、様々な心配材料や競争力後退を示すデータが出てきているのは事実でございます。イノベーションには不確実性が伴うわけですが、ここで日本が負けてはならないという分野ですので、予算全体の策定におかれましては、財務省だけではなくて、識者の意見も踏まえてきちんと見極めて、まさにメリハリ、削減するところは削減し、負けてはいけない分野にしっかりつけていくことも必要ではないかと思います。

といいますのも、例えば2030年ごろを展望して、未来の産業連関表などを使って、自動車業界でEVとシェアと自動運転が進んだら、どの程度付加価値が増減するのか試算などを行ってみますと自然体では厳しい結果になります。逆にイノベーションを起こして、付加価値の高い分野を高めていくことができれば、良い結果になるわけです。つまり、新技術の活用をしっかり進め、勝つところは勝ち抜くという戦略がないと、日本経済全体として大変なことになってしまいます。社会保障と同じく、科学技術の面でも、今後の日本経済を左右する岐路に立っているのではないかと思います。まさにメリハリ、重点分野にしっかり充塡する、そのために他で無駄な予算を削って科学技術予算に回していくといった視点が必要で、そこをぜひお願いしたいと思います。

以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございます。

では、田中委員。

〔 田中委員 〕 ありがとうございます。

本日は、資料そのものが突っ込みどころ満載だったので、色々と指摘があるのですけれども、最初に私はお詫びをしなければいけないと思います。国立大学の評価に10年ほど従事した者として、こんな恥ずかしい評価をやっていたのかと、まずお詫びをしてから2点申し上げたいと思います。1つは、無償化そのものに関すること、特に高等教育の無償化です。もう一つは大学改革であります。

高等教育の無償化というのは、政府は一体どこの政策目標に位置づけているのかと言えば、教育そのものの向上というよりは、格差是正が主たる目的で、その手段として無償化が入ってきたのではないかと理解しております。そのように考えると、私は格差是正でも機能しないだろうと思います。なぜならば、先程御説明いただいたような高等教育の状況では、仮に入学できたとしても、将来の所得に必要な知識や技術を身につけるような教育の質を保障できている状態にないからであります。その意味では、教育目標でなかったとしても、多分、それを達成する手段にはならないだろうと思います。したがって、HECSなどは愚の骨頂ではないかと申し上げたいと思います。

2番目の大学改革に関することですが、今まで大学改革というと大学組織の改革、ガバナンスの改革であったり、運営の改革に焦点が当てられたと思うのですけれども、本当は、ここで示されたように大学行政の改革もセットでしないと、大学の改革は進まないということがよく示されていると思います。大学行政の肝というのは、まさに評価と資源配分だろうと思います。この説明にあるように、まず評価は機能していないということがエビデンスで説明されましたけれども、加えて言うならば、やはり大学の先生、身内で評価をしていて、現在、大学に対するプレッシャーが大きい中で、あまり差をつけない、相対評価をしない、メリハリをあえてつけないように調整が働いていると私は思います。

さらに申し上げれば、41ページのところに配分がありますけれども、これ、さらっと説明していただいているのですが、要は運営費交付金が丸々渡されるのではなく、少しメリハリをつける、競争的な環境をつくるというところで運営費交付金から切り取って、それを競争的に評価して再配分するというものでした。当初は国立大学法人評価だけだったのですけれども、多分、これが機能していないと、特に財政当局が判断されて、強いレコメンデーションがあって、3つの重点分野による評価がありますが、これは大学側から見ればどういうことかと言えば、メリハリのついた評価と資源配分が2種類あるのです。しかも、評価結果が結構食い違っているのです。結果的にメリハリを相殺してしまうような形になっていますので、この制度自体が乱立していて、うまく機能しないということですので、やはり制度設計そのものにメスを入れていく必要があるのではないかと思います。

以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました。

質問を進めさせていただいて、冨田委員、中空委員までお願いします。

〔 冨田委員 〕 評価の話が出ましたが、私から、まず1点目に申し上げたい点は、先程話がありました28ページのGPA、成績管理についてです。評価する場合は、やはり最低限、基準と分布、A、B、C、Dの4段階評価の場合は、例えば2、3、3、2のウエートで統一するようにいたしませんといけない。1つの母集団、何々学部においてGPAで何点というようにある学生の平均点が計算されたとしても統計、数字としての意味がないからです。活用しようがないのです。みんな甘い点数の先生の科目をたくさん受けるようになるし、もし奨学金が連動するようになったら、ますますそうした安易な方向になるので、やはり評価というのは統一されたウエートで採点することが必要です。これは、科学技術のS、A、B、C、D評価も同じようなことが言えると私は思います。

2点目は、最後にお話があった科学技術の官民の役割分担です。先程お話があったのは、ImPACTという5年間の基金と、SIPという毎年300億円、5年間つけるというものです。そのほかにも、官民ファンドとして、2012年度の補正予算で1,200億円つけているわけです。これは、それぞれ期間が過ぎているわけで、どういうプロジェクトだったらどの形が望ましいかとか、評価の在り方はどうするかといったことをやはり考えるべきだと思うのです。

官民ファンドのほうを見ますと、会計検査院の検査では、出資分1,000億円のうち450億円ほどが未使用なのです。だから、予算がない、ないとよく言われるのですけれども、未使用の部分があって、官民ファンドですから民間も出資するとなると、やはり民間はシビアに考えますので、本日、お話のあったImPACTで民間資金が全然入っていないものもあったので、やはり安易に流れる可能性は否定できない。

また、基金と毎年の予算を比較する表がありましたが、真ん中のプログラムCと書いてあるところです。毎年、違うような予算の形で御説明あったのですけれども、SIPを見ると、毎年5年間、ほぼ均等の金額がついていて、どこがどう違うのか。だから、これまでの経験を生かして、武田委員がおっしゃった、これからの国の命運を左右する実用的な科学技術の進展にどれが一番良いのかという話が必要だと私は思うのです。

本日、もう一点感じたのは、最後の82ページです。民間企業が自己資金で実施することが可能と考えられる分野に公費投入するのではなく、官民の役割を厳正に捉えると。まさにそうだと思いますが、この厳正とはどういうことかということをもう少し詰めておく必要があると思います。

それから、71ページに先生方のお話がありました。徹底した縦社会の論理であるとか、これはもう御指摘のとおりのだと思うのですが、では具体的にどうするという話が全然ないので、多分、毎年の予算で必要なことは、どういう具体的な考え方でもって臨むかということなので、これもこれで終わってしまったら残念だと思うわけです。何か良い知恵があって申しているわけではないのですけれども、一緒に考えていきたいと思います。

以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 では、中空委員。

〔 中空委員 〕 今まで各先生から、例えば量より質であるとか、それぞれの見方につき、すでに御指摘していただきましたので、私からは、このお話を聞いている過程で、何かおかしいとずっと思っていたことについてお話ししたいと思います。

本日のお話も、一個一個の話を聞いていると、なるほど、そうだなと思って聞くのですが、全体的に見ると何かしっくりこない。なぜかと考えますと、幼稚園は無償で、高校も実質無償化して、大学になると急に質の議論、出来が悪いと言われてくる。基本的に日本国としてどういう人材が欲しいのかという絵がないので、こうなっていくのではないか、と考えます。例えば、科学技術が大事です、科学技術のほうにみんな行ってもらいたいですというのであれば、それなりのプログラムを用意して、その方向での評価があってしかるべきだと思う。そうではなくて、みんながみんな勉強できれば、同じチャンスが与えられればと聞こえるので、大学生の出来が悪くても仕方がないと私は思えてならない。なので、基本的に行き当たりばったりのお金の使い方をしてきたから、こうなっていると見えていますということかと思います。

そういう厳しい見方に則って、例えば40ページを見ると、国立大学の法人運営費も、大学に配って、大学内の予算配分もあって、学部内の予算配分もある。正直言って、ここまで面倒を見切れないというのが普通だと思います。民間がやっていた場合、ここまで一々言われなくても一番儲かるところ、すなわち学生に一番人気のあるところにお金は行くはずなのです。本当に放っておいたら。でも、そうではなくて違う形でお金が配分されるから、おかしなことがたくさん起きてくるのではないかと思えてなりません。

なので、今まであったことありきで配分することからちょっと脱却して、そもそも大学の在り方とか、教育の在り方を考えないと、おかしなお金の使い方をし続けることになるのではないかと思って、何か気持ち悪さがあったのだと思います。ただ、大風呂敷を敷いたところで細かいことは変わっていかないので、御提案のあったようなことを少しずつ変えていくしかないかとは思います。

あと、無償化などの話ですが、安易に無償化というのも少し考えなくてはいけないのではないでしょうか。例えば社会保障などでは高所得世帯には応分の負担をという形になっているので、590万円等のそれなりの線引きはあるのでしょうけれども、やはりどの世代にも裕福な家庭はありますので、どうせやるのだったらきちんとそれを打ち出さないといけないのではないでしょうか。子供にだけたくさん配分があるというお年寄りの声はたくさん出ていますので、その辺は意識して条件設定等々を明確にしていかないと、日本は財政再建が一生できないのではないかと思いますので、厳しく考える必要があると思います。あれこれ言いましたが、質のほうに入れ替えていきましょうという考え方には賛成です。

以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございます。

では、岡本委員、神津委員、井堀委員ということでお願いします。

〔 岡本委員 〕 ありがとうございます。

2点あるのですが、1点目は武田委員が言われたこととほぼ同じです。この場で長い間財政健全化の議論をしていますが、財政のポートフォリオをどのように考えるのかということです。年々、社会保障費はどんどん伸びていく。そして、重要な文教や、防衛や、社会資本整備はどんどん削っていく。何か取りやすいところから取っていくという感じがするのです。やはり国家百年の計といいますか、日本は本当に教育しかないわけですから、あるいは科学技術の振興等しかないわけですから、そういうところから無駄が多いからと削るばかりというのはどうかと思うのです。

もちろん、今、中島主計官が説明した無駄というところはどんどん取っていったらいいと思います。ただ、それを他に回すというよりも、この場には先生方も多いと思うのですが、先生方は本当はもっと予算を欲しいと思っておられるのでしょうから、やはりこういうことにお金を使いたいとか、ああいうことに使いたいということは聞いて、なるべく水準を維持しながらポートフォリオを守っていかないといけないのではないか。

今、大学の世界におけるランキングとか、小学生の国際的な学力テストとか、ノーベル賞とか、論文とか、様々なことが言われて、国民全体として、本当に日本は将来どうなってしまうのかということがよくありますので、やはり先行投資をきっちりやっていく。そのようなスタンスで文教予算についてはやらないと、先程も話がありましたけれども、ばらばらにして全部、聖域なく減らすのだといっても、別途、地方財政等の巨大な聖域があるではないかと言われかねない。そのような姿勢でやってもらったらありがたい。これが1点です。

もう一つは、少し話は違うのですけれども、2兆円の政策パッケージです。2兆円もこれに使うということで、今後、どのように使われていくのかといったら、2018年度は文部科学省のほうはゼロです。2019年度に少し出て、2020年度を見たら幼児教育の無償化が8,000億円と。これは、幼児のほうは文部科学省で、保育のほうは厚生労働省かと思います。あと、高等教育無償化が8,000億円で文部科学省、私立高校無償化も文部科学省となりますと、約1兆6,000億円程度が2020年度から増えてしまうのです。現在、5兆4,000億円の中でどうしようとやっているのに、1兆6,000億円増えることになると、この中身はどういうものなのかという検証がかなり必要だと思いますし、それがのってくる場合、既存の制度との関係はどうか。例えば、育英会のほうはどうなっているのか、あるいは地方公共団体との負担関係はどうか。そのようなものも見ていかないと、このままこれを入れると、現行の歳出規模からある年に急に3割も増えてしまうということになる。

まだ先の話ではありますが、今からその辺を、本当に実態を掴みながら、どのように整合性をとっていくのかということを考えないと、閣議で決まったといっても、このまま唯々諾々と受け入れられるものではないのではないかと思います。

以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 神津委員、お願いします。

〔 神津委員 〕 ありがとうございます。

本日、説明いただいた内容については、それぞれ重要な論点、あるいは議論が必要な論点だと思いますが、私のほうからは、勤労者、生活者の立場から優先すべき内容について、文教関係で3点、申し述べさせていただきたいと思います。

1つは、教員の長時間労働の是正に向けた対応の強化について、これはこれまでにもこの場で何度か申し述べていますが、本日の御説明の中では、10ページ目の16行目、丸の3つ目のところで、予算の量ではなくて使い方の改善が必要とされています。それはそれで大事なことだと思いますが、現状の教員の労働時間の実態からしますと、教員が自主的に行ってきている努力というのはもはや限界に達していて、国として本気で長時間労働の是正に取り組まないと、公教育の質を維持できなくなると思っています。長時間労働を是正して、教員が授業などの本来的な仕事に専念するために学校運営の仕組みを見直す、このことももちろん大事なことです。そのこととあわせて、教職員定数の改善がないと根本的には解決にはならないということは認識する必要があると思います。

2点目ですけれども、待機児童の解消に関してです。17ページのところに幼児教育に関する論点があります。無償化の論点が示されているわけですけれども、無償化を急ぐばかりに重要な対策が置き去りになってはならないと思っています。限られた財源の中で最優先すべきは、待機児童を解消し、質の高い保育を実施することではないかと思います。そのためにも、施設の整備、それから保育士の処遇改善、それらの財源を確保することが必要だと思います。また、幼稚園における預かり保育も重要ではあると思いますが、同じ地域で過ごす全ての子供たちが同じ幼児教育、保育環境で育つという観点から、まずは幼保連携型認定こども園への移行を促進していく必要があると思います。

3点目であります。高等教育の経済的負担の軽減についてです。37ページの3行目では、真に支援が必要な低所得世帯の若者に絞った対応とすべきではないかと書かれていますが、これについては、このことの意味をしっかりと政府として明確に示すことが必要だろうと思います。現在、学生の2人に1人が奨学金を借りて大学に通っているという現実があります。また、現行の給付型奨学金の対象者数をよく見ますと、対象となる子供に関する文部科学省の推計からすると、実は約4万人が対象からこぼれ落ちていると認識しています。高額化が進んできている授業料の引下げ、あるいは給付型奨学金の対象者や給付額の一層の拡充を行うことが重要だと思います。教育の質を高めるとともに、これらについても進めるべきだと思います。

以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました。

井堀委員。

〔 井堀委員 〕 本日のお話は、それぞれ非常にもっともらしい話だと思うので、特にどうこうということはないのですけれども、1つは教育無償化全体に対する考え方として、やはり所得に応じて、高所得者と低所得者で負担に格差を求めるべきだと、無償化は低所得者に限定したほうがいいという議論はもっともだと思うのですけれども、それがなかなか受け入れられていない一つの要因は、やはり所得の捕捉に問題がある。必ずしも経済的に恵まれていない人だけが低所得者ではないという問題があるので、要するにこれが問題ですけれども、結果として全員を無償の対象にしたほうが世論として受け入れやすいと、こういった問題があると思うのです。これは、やはり基本的には所得の捕捉をきちんとして、本当に経済力の格差と所得の格差がきちんと連動しているようになれば、無償化の話を低所得者だけに限定するということは、かなり世論から受け入れられるのではないかと思います。

高等教育無償化に関しては、やはり所得ではなくて、要するに奨学金は基本的に学生の成績、あるいは研究能力に応じて出すのが原則だと思います。出すにしても、無償で出すのではなくて、ティーチングアシスタントか何かで、それなりに働くことを条件に出すほうが本人にとっても教育的に意味があると思います。

それから、大学教員の研究に関しての話ですけれども、大学一般の話は私も利害関係者なのでなかなか言いにくいのですが、日本の大学の一番大きな問題は、特に研究という面で言うと、やはりグローバル化に関して圧倒的に条件が悪いと思います。ヨーロッパもアメリカも、大学というと、特に研究をちゃんとやっている大学は、スタッフも学生も完全にグローバル化しているわけです。その国の学生がマジョリティーというのはほとんどないです。世界中どこからも来ていますし、スタッフも世界中と交流しています。そういうところだと、色々な切磋琢磨で研究はネットワーク化、国際的に広がりますから、いい研究も生まれやすいのですけれども、日本の場合は相当ドメスティックなので、ここが変わらないと、幾らいい大学にお金をたくさん出してもなかなか難しい。規制の問題とか、教員の雇用の問題とか、給料の払い方の問題とか、色々あると思うのですけれども、そういうことを含めて規制を大胆に撤廃して、あるいは緩和して、よりグローバル化が進むような大学環境をつくらないと、日本の高等教育の研究開発はなかなか難しいと思います。

以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 最後の部分は誰に向けての御意見でしょうか。

〔 井堀委員 〕 予算の使い道としては多少あるかもしれません。例えば、大学の経済学部で、田近分科会長代理もそうだと思うのですけれども、優秀な若手の教員を、外国の若いドクター論文を終えたような人を日本で雇用しようとなると、日本の給料を払わないといけないので、なかなかいい人が来ないわけです。香港や中国は、かなり高い給料で、良い人材をどんどん雇えるわけです。日本の場合、給与面での制約がありますから、そういったところの様々な工夫、確かに多少はやっているのですけれども、もっと大胆に、教員の待遇を含めて、要するに大学の教官は年齢で、横並びで給料がほぼ決まるという世界を、今、大分改善されてきていますけれども、もう少し大胆に変えないといけないのではないでしょうか。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました。

~子田委員、宮島委員、お願いします。

〔 ~子田委員 〕 ありがとうございます。

先程からたびたびお話が出ていますが、やはり教育や、科学技術等の、人材育成と技術開発というのは将来の成長力の礎となりますので、私も、この間、海外調査の報告をしたときにも申し上げたかもしれないのですけれども、68ページに国際比較が出ています。私は、イタリアに行ってきたのですけれども、イタリアの債務危機のときに教育・科学技術費を非常に減らしたということで、これでイタリアの将来はどうなるんだと大学の先生が非常に嘆いていたことが記憶にあったのですけれども、やはりイタリアは低いんだなという感じでこのグラフを見ておりました。

日本は、今、アメリカ、ドイツ並みに高いというお話がありましたけれども、本来、技術立国であるならば、もっと予算が増えてもいい気もするのですが、本日のお話を聞くと有効に使われていないということでありますので、まずは有効な使い方が先なのではないかと思いました。

一つ、47ページのところで、私、学長の裁量経費というのはどういうものなのかよくわからないのですけれども、お話を聞いていると、学長のビジョンに沿った執行内容の執行実績に、ボイラーの更新やトイレの改修工事とあります。学長の裁量経費は、本来、こういった使われ方をすべきものなのかというようなお話があったのですけれども、もし本来の使われ方でないとするならば、色々な実績、こんなものに使われましたということがリストアップされたら、こういうものは本来の使われ方、趣旨とは少し違うのですみたいなネガティブリストのようなものを翌年度に向けてつくってはどうかと思うのです。大学の自治という問題もあると思うので、渡した金は全部自由に使わせないと自治に介入することになるのか、その辺のところはよくわからないのですけれども、これは別に学長の裁量でなくても、通常経費みたいなところに使っているということに関しては、やはり厳しく世に問うていく必要があると思います。何々大学の学長はこんなものに使いましたといったように発表していったらいいのではないと思いました。

最後に、先程無償化は格差を縮めることにならないという御指摘があったのですけれども、私も、無償化である程度、一斉にスタートラインに立つというところまでは、子供たちをそういった立場に立たせてあげたいと思うのですけれども、そこから先はやはりやる気や能力で、学力がばらけてくるのは仕方がないと思うのです。むしろ人材育成という観点からは、能力のある子をどうやって支援して、国にとって優秀な人材に育てていくかというような発想も必要なのではないかと思います。

それと同時に、今、いい高校へ行って、いい大学へ行って、いい会社へ入ってという日本の価値観が画一化しているのですけれども、実際には別にそれだけが生きる道ではないし、社会に貢献する方法でもないと思います。そういった教育の多様化という観点からも、予算編成において何ができるかを長期的な課題として考えていってもらいたいと思います。

〔 田近分科会長代理 〕 宮島委員、お願いします。

〔 宮島委員 〕 ありがとうございます。

大きな予算を使うことになった教育無償化についてですけれども、これはこの先の詳細や制度設計、それから運用の仕方で、大変なモラルハザードと余計な出費が起こる可能性があると思いますので、この点については財務省にも大いに口を出していただきたいと思っております。それから、少しディテールについて申し上げます。

まず、幼稚園の預かり保育ですけれども、そもそもこれを無償化にすると幾らかかるのかすら調査中ですが、今の段階では預かり保育の条件がばらばらで、きっちり統一できるのか不安です。保育の必要性の認定はしっかりやって、そして過剰なニーズですとか、過剰な公費負担にならないようにしっかりと監督する制度にするべきだと思います。やはり子育ては大変なので、少しだけ働いたことにして、何時間か無料で預かってもらえるのだったらば、それはやってほしいというニーズは当然のように出てくると思うのです。お金が幾らでもあるのだったらいいのですけれども、そうでないならば、主旨を超えた需要の膨らみに関してはしっかりとした歯止めが必要だと思います。

それから、子ども・子育て新制度で認定こども園への移行を促しているにもかかわらず、今、幼稚園が全然乗ってきていません。ですから、預かり保育の一部無償化をやる上では、認定こども園への移行へのインセンティブをしっかりとつけるべきだと思います。幼稚園が、旧制度のままで自由にやりたい、だけど公費はたくさん欲しいというようなことにならないようにお願いしたいと思います。

高校のほうですけれども、こちらの実質無償化は財源の確保が大前提だと思います。それにしても、もらえるお金が収入によって変わりますが、崖の前後で、親が低所得に抑えれば得をするような誘因が起こりやすい状況になっているかと思います。これは大学無償化も同じだと思うのですけれども、ここのところはやはり相当な工夫が必要かなと。さらに、既に無償化を実施している自治体は負担軽減になりますけれども、そのお金をどうするかという点も問題だと思います。モラルハザードをとにかく蔓延させないことが大事だと思います。

また、話題になっていますHECSに関しては、私も全体としての導入に反対をしております。国全体で見ますと、現在、日本は子供の教育を親が出して、そして社会保障も含めて考えると、大きくなったら子供の世代が親の社会保障を支えるという発想にあります。完全なHECSを導入すると、たった今の親だけは、教育費は自分の親に出してもらって、子供の教育費を出さなくても済むのでとてもハッピーかもしれないのですけれども、それを受ける側の子供にとっては、自分は自分の教育費も出さなければいけないし、将来の親の社会保障費なども背負わなくてはいけないという、一時的に得する世代ができるだけという不思議な状況に私には見えますので、そのあたり、世代間やバランスも含めてしっかりした検討が必要だと思います。

大学や専門学校につきましては、低所得者の無償化とあわせて、徹底的な情報公開と質の向上が必要だと思います。専門学校は、今、自治体が見ているのですけれども、実態がよくわからないものも色々とありますので、質の伴わない大学や専門学校の救済にならないように、とにかくしっかりと情報公開、ちゃんとした監督が必要かと思います。

以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございます。

それでは、竹中委員、黒川委員と御質問を承って、一応、締めて、中島主計官から、様々な御意見があったことに対して、できる範囲でお答えいただきたいと思います。

では、竹中委員、お願いします。

〔 竹中委員 〕 ありがとうございます。

前回、この議論のときも、たしか同じことを言ったのですけれども、日本の若者は世界の中でも非常に学習時間が短いけれども、彼らが大学へ行くためにたくさんの予算が使われていて、しかも、その中身に関してはものすごく問題が大きいというようなことが、今回も、全体の中で見えたと思います。

私がこの資料の中で一番ショックなのは、37ページの丸の最後「大学改革においては、大学教育・研究の成果を問うことで、大学(=供給者)と学生(=需要者)が、その成果(=「稼ぐ力」)」となっているのですが、これは本気に書いているのですか。私は、「その成果=社会を支える力」としない教育というのは何なのだろうとすごく思って、私たちはチャレンジドをタックスペイヤーにと言いながら、チャレンジド(障害のある方々)の高等教育はまだまだ、世界の先進国の中では進学率も一番低いぐらいなのです。でも、社会を支える力を持とうよと言いながら、日々、一生懸命活動しております。国家としては大学教育の成果は「稼ぐ力」で本当にいいのですか、という問題提起をさせていただきたいと思いました。

以上です。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございます。

黒川委員、お願いいたします。

〔 黒川委員 〕 ありがとうございました。資料が大変豊富で、綿密に調べていただきまして感謝申し上げます。

私は、今、竹中委員がお話になったようなことを今回は意見として話したいのですけれども、私自身は今年3月で慶應義塾を退職して、その次に中堅の大学の社会人向けの大学院の教師になったわけですが、どちらを通じても教育という面について、私の拙い経験ですけれども、長年考えていることがあります。

まず、studyという言葉とlearnという言葉の違いです。我々、教育者としての立場とすると、studyということばかりさせればいいのかというと、そうではなくて、やはり気づきというニュアンスも含めて、learnというものを念頭に置いて教育したいと常々思うわけです。

どういうことかというと、やはり問題意識を、特に社会系であれば社会の問題意識をすごく持つ。理系の場合だったら、どのようにすれば、具体的に言えば我々人間社会がより便利になるようなものを考え出そうとか、一番初めに大事なのは、課題を自分でいつも設定できるか、それをいつも見つけようという努力をする習慣をまずもって見つけてほしいと思うわけです。そうすると、何もある一定レベルのものを、studyという形で、反復練習、訓練して、というようなものではない、学生に対する接し方が必要になってくる。これがどのように定量的に評価できるかというのは難しいのですけれども、それを常々心がける。

2番目は、教師としてどのようにしたら学生に対して教育効果が上がるかということですけれども、オリバー・サックスだけが言っているわけではなくて、我々教育者として考える、皆さん感じていると思うのですけれども、やはり教師が情熱を持って授業中に語る。こんなおもしろいんだよ、おもしろいんだよというようなことをすると、学生は目を輝かせておもしろいのかと思うのです。ですから、教師として学習能力を上げるということになったら、学生とのコミュニケーションの場で、教師自身がおもしろいと思って学生たちに情熱を持って語るということがすごく大事なのです。これを忘れてはいけなくて、これもなかなか定量化できない問題なのです。これがどのように財政の問題と関係するかはわかりませんけれども、教育ということになるとそういうことがある。

3番目に、相対評価の問題がすごく一方的に取り上げられていて、私もそうだとは思うのですけれども、高等教育と、それまでの教育との違いかもしれません。あるいは、本日もシラバスをばっちり書けと書いてあるわけです。我々はもう既に、どこまでがこの科目に求められている水準ですという達成目標まで、シラバスにきちんと書くことになっているのです。そうすると、例えば受講した学生20人全部が達成目標に達したとしても、まだA、B、C、D、Eをみんなに相対評価でつけなければいけないのですかね。要するに、シラバスをきちんと書いて、達成目標まで書いて、学生が全員その達成目標に達したならば、みんなAだっていいじゃないですか。相対評価はそういう問題があるということは、やはり我々として認識していなくてはいけないのではないか。

そういうことで、本日は文部科学省を擁護するわけではないのですけれども、竹中委員がおっしゃったように、やはり我が国としてどういう人を育てるのかということが大事で、稼ぐ力だけではないだろうと思ったので、ちょっと言わせていただきました。長く失礼しました。

〔 田近分科会長代理 〕 では、遠藤委員で終わらせていただきます。

〔 遠藤委員 〕 すみません、申しわけありません。

1点だけ質問させてください。78ページに宇宙開発における効率化というページが1枚挟まっているのですが、これが何を言わんとする資料なのか、今、拝読していてわかりません。宇宙開発の打上げ費用だけを比べて、しかもH−UとSpaceXのものを比べて高いから、非効率だからということで、宇宙関連予算を削ろうという文脈になっていくとするとかなり危険です。今は官需に支えられている宇宙開発が、民間が宇宙利用をすることによって広がっていって、その中で新しい産業が生まれて打上げ費用が安くなるという構造にありますので、今の時点のこれを比較して効率が悪いからどうのこうのということになると、今の流れとかなり違うと思ったものですから、御質問を兼ね意見を言わせていただきました。

〔 田近分科会長代理 〕 ありがとうございました。

それでは、中島主計官のほうから。

〔 中島主計官 〕 まず、誤解のないように申し上げておきますと、教育も科学技術も私は大事だと思っていまして、今回の資料は基本的に何かをどう削るということを申し上げているわけではなくて、増やす必要性があるということはよく言われるわけですが、必ずしも増やすことが解決策ではないのではないのか、ということを申し上げたかったということであります。その点、言葉が足りなかったことはお詫び申し上げます。

かつ、今回の資料は、様々な主張が多方面からある中で、それに対する反論という形での資料のつくり方になっておりますので、様々な意味で誤解を生じたり、どうあるべきなのかというものが足りていないといったような御批判があったかと思います。その点、お詫びをしなければいけない点を4点ぐらい、少し御説明を申し上げます。

1つは、71ページ、先生方のタコつぼだとか、縦社会というところで、これに対して解決策をどのように考えるのかといったような御趣旨のお話がございました。これに対して、我々は、例えば基盤的経費と言われる運営費交付金ではなくて、競争的資金に振っていって、様々な人たちから評価をしていただいて、研究、教育、いずれも様々な評価を加えていただいて、必要なところを適切にやっていく。そうでない方には我慢いただいて、みんなが必要だと評価するところに持っていくことをしてもらいたい。そのような中で、こういった硬直性も徐々に打破できていくのではないかと考えております。それが1点です。

それから、先程も申し上げましたけれども、教育と科学技術を削るばかりではだめだという御指摘もございました。私は、この資料で教育と科学技術を削るということを言っているつもりは全くありません。先程申し上げましたけれども、増やすという必要性があるのであれば、それは適切な説明が要るのではないだろうか、その説明なり、解決手法が別にあるのではないかということを申し上げたかったということであります。それが2つ目です。

3つ目は、37ページ、供給者、需要者、「稼ぐ力」というところは「社会を支える力」ではないかという御指摘ございました。それは、おっしゃるとおりだと思います。私も、そこは全く異存ございません。すみません、ここで誤解がある表現になっていたのは、1つは、大学の利益が子供たちの利益になっているのではないかといった感じで受け止められがちなので、大学と子供たちとは違うのではないかといったことが言いたくて、供給者と需要者で分けているということ。

それから、「稼ぐ力」というところは、奨学金を得て、借りたはいいのですが、卒業して、返すことがなかなか困難になってしまっているお子さんがたくさんいらっしゃるという御指摘があるものですから、そもそも文部科学省自体も、大学に行けば生涯賃金が7,000万円、7,500万円増えると述べている状況の中で、そこまで稼ぐ力が高まらなかったというところが、やはり教育の中身として問題なのではないかということを言いたかったので、このような書き方になっていますが、「社会を支える力」にすることについて全く異存はございません。

最後に、宇宙の話がございました。すみません、本日、ここは御説明申し上げなかったのですが、ここで言いたかったことは、我々、宇宙はもちろん大事だと思っております。宇宙の中でも様々な需要が出てきそうでありますので、このような打上げの効率化を中でしていただいて、宇宙の中でメリハリをつけて、新たな需要に対応してほしいという趣旨で申し上げたものであります。必ずしも、これで宇宙の関連予算を削る等を言っているつもりはありません。

以上であります。ありがとうございました。

〔 田近分科会長代理 〕 量へのプレッシャーがある中で、質をどう高めていくかということで、主計官のほうから御説明いただいたと思います。

本日は、これで議題は終了ということにさせていただきます。

今後の進め方について、幾つか申し上げておきたいことがあります。

その前に、本日、欠席の赤井委員、伊藤委員より御意見をいただいています。皆様のお手元に配付しておりますから、参考になさってください。

今後のことですけれども、各論については次回で終わりということを考えています。その後、建議に向けて検討を深めていくわけですけれども、建議の起草に当たっては、これまでお願いしております小林毅委員、土居委員、冨田委員、中空委員、吉川委員の5名の委員にお願いしたいと思いますけれども、この点、よろしいですか。それでは、小林委員、土居委員、冨田委員、中空委員、吉川委員にお願いしたいと思います。

そういうことで、次回、各論を進めて、それ以降は建議についての審議を行います。前回も申し上げましたけれども、特に社会保障や総論の箇所で、時間がなくて御意見を十分いただいていないかもしれません。御意見は、事務局のほうに御遠慮なくお寄せください。よろしくお願いします。

本日は、どうもありがとうございました。

午後4時40分閉会

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