財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録
財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第
令和元年10月3日(木)10:00~11:35
第3特別会議室(本庁舎4階 中-412)
1.開会
2.議題
- わが国財政の現状等について
- 麻生財務大臣とのフリーディスカッション
3.閉会
分科会長 | 榊原定征 | 麻生財務大臣 遠山副大臣 藤川副大臣 井上大臣政務官 宮島大臣政務官 岡本事務次官 太田主計局長 阪田次長 角田次長 宇波次長 阿久澤総務課長 日室司計課長 前田法規課長 斉須給与共済課長 森田調査課長 西山官房参事官 寺岡主計官 大久保主計官 佐藤主計官 渡邉主計官 吉沢主計官 関口主計官 八幡主計官 一松主計官 中澤主計官 中島主計官 岩佐主計官 井上主計企画官 飯塚主計企画官 | ||
分科会長代理 | 増田寛也 | |||
委員 | 遠藤典子 大槻奈那 黒川行治 角 和夫 武田洋子 中空麻奈 南場智子 藤谷武史 宮島香澄 | |||
臨時委員 | 秋池玲子 雨宮正佳 上村敏之 宇南山卓 葛西敬之 河村小百合 喜多恒 雄 木村旬 小林慶一郎 小林毅 末澤豪謙 竹中ナミ 田近栄治 伊達美和子 冨山和彦 平野信行 広瀬道明 別所俊一郎 堀真奈美 神子田章博 村岡彰敏 |
午前10時00分開会
〔 増田分科会長代理 〕 おはようございます。ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。
委員の皆様方には、ご多用中のところご出席をいただきまして、ありがとうございます。
今日は、我が国財政をめぐる現状等について、こちらを議題としております。また、秋の陣のキックオフということになりますので、後ほど麻生財務大臣にもお越しいただいて、令和2年度の予算編成等について、委員の皆様方とのフリーディスカッションの場を設けたいと思います。
本日は、遠山副大臣、藤川副大臣、井上大臣政務官、宮島大臣政務官にお越しいただいております。
ご出席を賜りまして、まことにありがとうございます。
初回でございますので、両副大臣、両大臣政務官に一言ご挨拶を頂戴したいと思います。
まずは、遠山副大臣、よろしくお願いします。
〔 遠山副大臣 〕 皆様、おはようございます。先月、財務副大臣を拝命いたしました衆議院議員の遠山清彦と申します。公明党所属でございます。担務は、主計局、国際局、日銀関係、衆議院対応となっております。よろしくお願いいたします。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
藤川副大臣、よろしくお願いします。
〔 藤川副大臣 〕 おはようございます。このたび、副大臣を拝命いたしました自由民主党、藤川政人でございます。担務は、主税局、関税局、理財局等でございます。予算を本格化する前、皆様方の貴重なご意見を頂戴し、しっかり取り組んでまいりたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございます。
井上大臣政務官、お願いいたします。
〔 井上大臣政務官 〕 このたび、大臣政務官を仰せつかりました井上でございます。今年ですけれども、G20の財務大臣・中央銀行総裁会議がございましたが、財務大臣補佐官として、皆様方にご協力をいただいて、すばらしい成果を上げることができました。引き続き、政務官としてやらせていただくことになりましたので、何とぞこれからもよろしくお願い申し上げます。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
宮島大臣政務官、お願いいたします。
〔 宮島大臣政務官 〕 おはようございます。再任を受けましたので、引き続き政務官を続けさせていただきます。よろしくお願いいたします。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
続きまして、事務方幹部は私のほうからご紹介させていただきます。
初めに、岡本次官です。
〔 岡本事務次官 〕 よろしくお願いいたします。
〔 増田分科会長代理 〕 続きまして、太田局長です。
〔 太田主計局長 〕 よろしくお願いします。
〔 増田分科会長代理 〕 阪田次長です。
〔 阪田次長 〕 よろしくお願いします。
〔 増田分科会長代理 〕 角田次長です。
〔 角田次長 〕 よろしくお願いします。
〔 増田分科会長代理 〕 宇波次長です。
〔 宇波次長 〕 よろしくお願いします。
〔 増田分科会長代理 〕 最後に、阿久澤総務課長です。
〔 阿久澤総務課長 〕 よろしくお願いします。
〔 増田分科会長代理 〕 その他、各分野の主計官等については、委員の皆様方、お手元に配付の座席表に記載しておりますので、ご確認をいただきたいと思います。
それでは、議事に入る前に、榊原会長から一言ご挨拶を頂戴したいと思います。
〔 榊原分科会長 〕 皆様、おはようございます。榊原でございます。
本日は、委員の皆様におかれましては、大変ご多忙の中ご出席いただきまして、まことにありがとうございます。
春の財審では、委員の皆様に大変活発な、密度の濃いご議論を行っていただきまして、平成の時代の財政を厳しく総括した上で、令和の時代は受益と負担の乖離、そして将来世代へのツケ回し、これに歯止めをかける時代としなければいけない。そのためには、財政が抱える問題と正面から向き合って、財政健全化を揺るぎなく前に進める時代としなければいけない、そういったメッセージを含む建議を取りまとめたところでございます。
一昨日、10月1日でございますが、ご案内のとおり消費税の引上げが実施されました。2025年のPB黒字化と債務残高対GDP比率、この安定的な引き下げに向けて、引き続き本格的な歳出改革に取り組んでいく必要がございます。
来年度予算は、令和時代になって策定される最初の予算編成でございます。財政健全化を揺るぎなく前に進める時代にするためにも、非常に重要な予算編成になると考えます。
委員の皆様におかれましては、春の財審に引き続きまして、闊達にご議論いただいて秋の建議につなげてまいりたいと思います。先ほど、ある委員の方から、いよいよ秋の陣ですねといった声がかけられましたけれども、まさに秋の陣でございまして、しっかりとした意義深い建議につなげていきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
それでは、議事に移ります。我が国財政をめぐる現状等について、こちらは森田調査課長から簡潔に説明をお願いします。今回も、財審はペーパーレスでやっていますので、もし何か不都合があれば、近くにおります職員のほうにお申しつけをいただきたいと思います。
それでは、お願いします。
〔 森田調査課長 〕 紹介にあずかりました調査課長の森田でございます。よろしくお願いいたします。
私からは、資料1と資料2に沿いまして、ごく手短に、財政健全化目標の確認、経済や財政健全化の現状、それから令和2年度の予算編成に当たっての視点など、ポイントを絞ってご説明申し上げたいと思います。
資料1でございます。右下にページがございます。1ページ目をお開きください。財政健全化目標の確認ということになります。2018年度の骨太、ピンク色の部分でございますが、財政健全化目標、2025年度に国・地方を合わせたプライマリーバランスの黒字化、同時に債務残高対GDP比の安定的な引き下げ、これが目標となってございます。
2022年度からは、ご案内のように団塊の世代が後期高齢者に入ってまいりますので、その手前3年間、基盤強化期間と呼んでおりますが、2019年度から2021年度の3年間における予算編成の歳出改革の方針がブルーの部分に書いてございます。社会保障関係費、非社会保障関係費、地方それぞれに、数値入りのものではございませんけれども、目安が書いてございまして、社会保障関係費の実質的な増加を高齢化による増加分に相当する伸びに抑える、非社会保障関係費は歳出改革の取り組みを継続する等の目安を設けているところでございます。
2ページ目でございます。経済状況の確認でございます。政府のほうでは、1月に経済の見通しを出しました後、夏場に、年央試算と呼んでございますが、経済の見通しについて修正をかけてまいります。内閣府の試算ということになってございますが、右側、赤枠で囲ってある部分が7月に出された修正後のものでございます。0.9%というヘッドライン、これが今年度の実質経済成長率の見通しということになってございます。その左側、1.3%、これが1月時点での経済成長見通しでございましたが、下方修正をかけられております。
下のほう1点だけ、外需寄与度、1月時点ではマイナス0.0でございましたが、現時点では▲0.3、政府としても下押しのプレッシャーがあるということを見込みながら、こういった下方修正をかけている。経済的には、こういう若干厳しい環境の中で予算編成に当たっていくという難しい問題に取り組むことになります。
3ページ目にお移りください。以上の経済見通しなどを踏まえまして、財政状況の健全化の進捗状況ということでございます。こちらは、内閣府の中長期試算と呼んでございますけれども、これも同じく1月と夏場の年2回、財政のパスを描くプロジェクションを行っているものでございます。
右側の2枚の絵、右上がプライマリーバランス、フローの財政状況、右下が債務残高対GDP比ということになります。赤い線が成長実現ケース、ブルーの線がベースラインケースということで、潜在成長率並みに経済成長がとどまった場合ということでございますが、点線が1月時点、実線が7月31日に内閣府が新たに試算したものでございます。
右上をごらんいただきますと、緑色のドットがございますが、これが2025年度にプライマリーバランスを黒字化するという目標点になります。これに対しまして、1月の試算では、点線の中に書いてございます▲0.2%GDP比、実額では1.1兆円のギャップがある状態でした。残念ながら、今回の試算ではこれが悪化いたしまして、▲0.4%、実額で2.3兆円の穴があくという状況になってございます。このギャップをどのように埋めるべく頑張っていくかということになります。主に下押しした理由といたしましては、経済の今後のパスについて下方修正を受けたことで、税収の見通しなどが下方修正になっていることが主因となって、若干、悪化している状況になります。
右下、債務残高対GDP比、ストックの指標でございます。特に赤い線をごらんいただきますと、非常に安定的に引き下がっていくということで、楽観視してしまうような絵柄になっているということでございます。
春の財審でも大分ご議論いただきましたけれども、この債務残高対GDP比が安定的に引き下がっていく絵柄、我々は若干、問題提起をしております。1点目は、この試算が2028年度という比較的短期で切れるような形で終わっている点。それから、左側に目を転じていただきますと、名目成長率と名目金利の想定がございます。例えば、赤い線の右端をごらんいただきますと、成長率が3.2%まで高まっている一方で、左下、金利のほうは2.9%ということで、いわゆるrとgのどちらが高いかという論争でございます。この試算の中では、金利がまだ成長率を追い抜かずに済んでいるということで、右下のメッセージは少し誤解を招くのでないかと財審の建議等でも申し上げており、より長期のコンサバティブ、保守的な前提に基づいた推計などが第三者などからなされる必要性を訴えて、我々も取り組んでいるところでございます。
4ページ目をお開きください。今年の予算編成は、令和に入って最初の予算編成ということになります。その令和2年度予算編成等について、考え方、6月に骨太の方針を閣議決定しておりますが、こちらに何点かポイントを既に書き込んでいるところでございます。
第4章の2.に5点ほどございますけれども、私からは①から③まで、まず1点目、まさに10月1日に消費税が引き上がった年でございますので、臨時・特別の措置を既に講じておりますが、下線部、令和2年度当初予算においても適切な規模の臨時・特別の措置を講じ、その具体的な内容について予算の編成過程での検討、こういったことになってございます。
②でございます。海外発の下方リスクに十分目配り、経済・金融への影響を迅速に把握して、リスク顕在化の際に機動的なマクロ経済政策の実行、こういったことが明記してございます。
③でございますが、以上のような点に配慮しながらも、骨太2018及び本方針に基づき、経済・財政一体改革の着実な推進、それから新経済・財政再生計画で定めた目安に沿って予算編成を行う。
こういった大きな3つの視点などを考慮しながら、予算編成に当たっていくことになります。
5ページ目をお開きください。歳出の各分野とも、それぞれ課題があるわけですけれども、特に大きなシェアを占める社会保障の分野、政府のほうでは議論の受け皿という形で新たな会議体を立ち上げてございます。ごらんいただきますように、総理をヘッドとする関係閣僚、それから重立った審議会等から有識者に9名ほどお集まりいただく形の会議体で、既に9月20日に第1回を開催してございます。年末に向けて中間取りまとめを行い、来年夏に向けて最終的な取りまとめを行うという形で、議論が行われていくと承知をしてございます。
6ページ目をお開きください。春の財審でも、諸外国の財政事情なりをご紹介してきておりますけれども、足元で少し動きがある話、2点ほどアップデート、紹介ということになります。上半分がEUの財政規律、財政ルールをめぐる動き、下半分はドイツの財政出動に絡む話でございます。新聞報道などでは、どちらかというと財政出動、あるいは財政規律を緩めるという点が若干強調されているように、我々、感じておりますけれども、少し中身を見てまいりますといろいろなインプリケーションがございますので、今後、よく情報をとっていきたいと思います。
上半分、EUの財政規律、左側に予防的措置ということでフローのルール、構造的財政収支は▲0.5%以内、右側の是正的措置では債務残高対GDP比を6割以下に抑えること、こういったものを破ると、罰則を伴うような制裁措置が発動するといった大きな仕掛けになってございますけれども、現状はなかなかうまく回っていないということで、これを見直すべきだという議論がございます。
9月11日に、European Fiscal Board、欧州財政委員会というところが出しました提言書では何点か指摘がございます。その主立ったものを吹き出しのような形にしてございますが、左上、構造的財政収支を見ようということにしておりますけれども、この構造的財政収支というものの理解がなかなか困難、観察が不可能で検証のしようがない、推計手法ばかり極端に細かい。春にも若干指摘させていただきましたが、こういった問題点がございます。
その下には、評価指標ということで①、②とございますけれども、都合のよいほうで評価される傾向などがあります。
右側に目を転じていただきますと、債務残高対GDPが高まった場合、①、②とございますけれども、②のようにこの超過が例外的かつ一時的である場合には仕方ないといった詳細なルールにはなっておりますけれども、その際には、吹き出しにございますように、GDPギャップ等を見ながら判断しようということになってございます。残念ながら、GDPギャップ等の推計値が大きくぶれるということで、欧州委員会と当該メンバー国間で意見が異なり、最終的には外交交渉となってしまい、うまくワークしていないというような問題点が指摘されておりまして、大きな方向性としては、よりシンプルでワーカブル、エンフォーサブルなほうに見直すべきだという提言でございます。
11月1日から、新しいフォン・デア・ライエン委員長のもとで新EUが始まりますけれども、このもとで、場合によっては年末までに少し変更の可能性があるということで、引き続き我々、よくアンテナを張って情報収集してまいりたいと考えてございます。
下半分、ドイツの話でございます。ドイツにつきましても、財政出動という観点から非常に注目が集まっているところでございますが、先般、連立政権のもとでまとまりましたパッケージ「気候変動対策プログラム2030」ということで、まず、必ずしも景気対策ということで打っているものではありません。それから、緑の中の2つ目にございますけれども、財政規模は4年間で対GDP比約1.7%ございますが、一方で収入面の施策を多分に含むものとなってございます。メルケル首相の会見などでも、財政収支を均衡させる方向ということはまだ明言されておりますので、そういったところも、今後、よく見ていく必要があります。
右下に、歳入面の具体的な事例、青い四角にございますけれども、自動車税をさらに炭素排出量に連動するような強化の方向。航空税を導入しておりましたけれども、飛行機は環境にとって非常によくないということで、さらに引き上げるという話。それから、自動車や暖房機器等の燃料の販売企業、つまりリテールレベルで排出権取引のようなものを導入する。こういったことが盛り込まれてございまして、よく見てまいりたいと思います。
ただ、やはり日本と比べて留意しなければいけない点、2点ほどあると思っております。ドイツの場合は、経常収支の黒字のインバランスが国際的にも指摘されているという点が1点です。それから、対策を打つ際、財政余力をふだんから維持してきているところが我が国とは大きく異なりますので、そういったことも踏まえながらの情報収集に引き続き努めてまいりたいと考えてございます。
資料1、最後、7ページでございます。少し中長期を見据えまして、今後の経済・財政の課題という形で、過去の財審の建議などのキーワードを若干拾いながら、少しコンセプチュアルなものとしてイメージを模式化してみたものでございます。
左上、プレッシャーの最大のものとして、やはり人口動態、現役世代が減少していくという話。大きく2つのルート、左上には潜在成長率の低下、つまり生産活動の担い手が減っていくという点、その下には受益と負担の乖離ということで支え手が減っていく。この大きな2つの点からのインパクトが顕著になってくるということでございます。
右側には、それに対応した質の高い予算編成、どのような視点から取り組むかということでございますが、右上には、構造改革の推進なども含めながら潜在成長率を引き上げるような予算にうまくしていくか。その際には、真に必要な分野への重点的、効率的な資源の投入が求められるということ。受益と負担の乖離の右側におきましては、やはり最大のものは社会保障制度の持続可能性ということでございますが、給付を受ける側、負担する側双方の視点に立って、どうバランスをとっていくかという話。その際には、やはり痛みを伴う改革もあり得るということで、その下に財政健全化に向けた国民の理解の促進とコンセンサスの形成がやはり求められる。我が審議会の情報発信のあり方についても、こういった点からさらなる強化が求められるかと思います。
一番下は、国際的な環境の不透明性の拡大ということでございます。外需の下押しということで、経済にネガティブなインパクトがあるという面がございますが、財政上のインプリケーションということから、さらに中長期も考えますと、不透明性に対しては右側、財政への信認の維持ということで、常にマーケットアクセスできることにやはりうぬぼれていてはいけないということで、そういった気配り。それから、いざというときに出ていけるような財政力の確保を、極力、平時には整えていく必要がある。こういったキーワードを少し散りばめさせていただきました。
資料2でございます。概算要求でございまして、こちら大きく2点程度でございます。
1ページ目を開きますと、今年のシーリングの構造、基本的にはここ数年のものを変えていないということでございます。
数点だけごらんいただきますと、青い部分、自然増ということで矢印が打ってございますが、5,300億円程度になってございます。この数年間は高齢化のペースが若干踊り場に入るということでございますので、自然増は5,300億円。それから、左上、臨時・特別の措置の具体的な内容等について、予算編成過程での検討ということになっています。先ほど言及させていただいた点でございます。
2ページ目に参りますと、先般9月5日に公表いたしました各省庁からの概算要求・要望額の数字でございます。赤い丸で3カ所ほど囲っておりますが、総額では105兆円に迫る要求、要望。それから、ターゲットとなりますプライマリーバランスの対象経費63.6兆円、これは前年度予算からの比較でございますと3.7兆円ほどの増加になっている。しかも、これは臨時・特別の措置を踏まないベースでございますので、こういった中での予算編成にこれから取り組んでいくということになります。
簡単でございますが、私からの説明は以上とさせていただきます。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
今日の全体の時間の見積もりですが、大臣がご到着された後、最初に大臣よりご挨拶いただき、フリーディスカッションを大体10時40分をめどに考えております。したがって、それまで今のご説明に対しての質疑を行いたいと考えております。
今日、欠席の神津委員から、お手元に意見書が配られていると思います。そちらにお目通しをいただくのと、限られた時間でありますけれども、今の説明に対してご意見、ご質問等ある方はネームプレートを立てて、そして、こちらからご指名しますので、従来どおりのやり方で進めていきたいと思います。
それから、もう一度申し上げておきますが、後の大臣とのディスカッションのとき、できるだけ多くの方にご発言をしていただきたいので、極力手短にお願いします。恐縮ですが、その点はお願いしたいと思います。
それでは、ただいまの資料1、資料2、課長の説明に対して、ご質問、ご意見ある方はネームプレートを立てて、どうぞ、お願いいたします。
すみません、右側のほうで立てている方。初めに広瀬委員、それから平野委員と、こういう順番でお願いします。
〔 広瀬委員 〕 ありがとうございます。
2点ほど申し上げたいと思います。1点目は、10月1日からスタートいたしました消費税率の引き上げについてです。一部に、混乱というか、戸惑いというのでしょうか、あるようでございますけれども、全体的に見れば、ほぼ順調に移行しつつあるのではないかと受けとめております。ただ、まだ3日目でございますから、これからいろいろ出てくると思いますので、ぜひ政府におかれましては、これからもウォッチをして、何かあれば機動的な対応をお願いしたいと思います。特に、今回の税率引き上げを価格に適切に転嫁できるかどうかが一つ大きな課題になるわけですけれども、ぜひ中小企業等にしわ寄せが寄らないように、その辺についても引き続き監視というか、ウォッチをお願いしたいと思っております。
2点目は、今日の本題の財政再建についてです。今回、スタートする全世代型社会保障検討会議については、国民の期待が非常に大きいのではないかと思っております。今度こそというか、今回は相当改革が進むのではないかと、多分、そういうような期待ではないかと思っております。
ポイントは、社会保障、いわゆる給付と負担のバランス、世代間のバランスということです。これから会議ではいろいろなことが検討されると思うのですけれども、ぜひ総論的な、大きな方向づけをしていただいた上で、今回は、1つでも2つでもいいと思うんですけれども、具体的な実行案を提示できれば大変いいのではないかと思っております。もう待ったなしというのは国民の皆様はわかっているわけですから、そういう意味でぜひ実効性のある提言を期待したいと思っております。
以上でございます。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
それでは、平野委員、お願いします。
〔 平野委員 〕 ありがとうございます。
いよいよ秋の陣という話がございました。先ほどの森田課長のお話、それから、これまでの振り返りも踏まえまして、2点だけ申し上げたいと思います。
前回の春の建議でありますけれども、保守的な経済見通しを前提とすべきだという点が盛り込まれたのは、今後に向けての一歩前進だと思っております。楽観的な見通しをよりどころにして必要な対応を怠るであるとか、先延ばしにするということがあってはいけないと思います。しかしながら、先ほども少しお話がありました7月の内閣府による試算によると、2020年代前半に名目3%、実質2%という高い成長率を前提にしたとしても、プライマリーバランスの黒字化の時期が2026年から2027年に1年延期される一方で、来年度の概算要求金額が105兆円という規模に膨らんでいるという状況があるわけです。
したがって、今回の秋の財審では、第1に財政規律の重要性について、具体策の提示も含めて、改めて警鐘を鳴らす必要があるのではないかと思います。これまでも、歳出削減、あるいは抑制に役立った枠組みはありました。例えば、社会保障関係費の金額のめどであるとか、地方財政の一般財源総額を実質同水準に抑制する3年更新ルールといったものです。こうした単純明解なものは、実効性が高いのではないかと思っております。その意味で、例えば社会保障関係費の金額目安を、2020年度から2021年度は4,000億円程度として復活させる。さらに、それに加えて、補正予算が財政の抜け穴とならないように、骨太2018でも示された、当初予算との一体で歳出改革の取り組みを進めるという方針に基づいて、具体的な規律の導入をすべきだと思います。
2つ目、今回の建議は、今、広瀬委員からもありましたけれども、今後の社会保障制度のあり方を示す来年の骨太2020の議論に向けて、実質的に基礎をつくっていくものだと思っています。したがって、我が国財政の持続可能性を確保することに向けて、極めて重要な位置づけを占めるものです。
今の議論を聞いておりますと、例えば先般の全世代型社会保障検討会議でもそうだったように、高齢者の就業促進に焦点が当てられています。これは、もちろん社会保障財源の確保に加えて、高齢者の応能負担能力を高めていくという観点から極めて有効な施策だと思います。しかし、残念ながら、これだけで2040年に向けた社会保障関係費の増加を全て補う、賄うことはできないと思います。やはりこの財審が従来から社会保障制度改革の本丸として掲げてきた給付と負担の見直し、そして医療提供体制の効率化に踏み込むことが不可欠だと思っています。
こうした改革、痛みを伴うわけでありますけれども、後期高齢者の医療費自己負担比率の2割への引き上げ、そして地域医療構想の推進といった具体策を骨太方針2020に盛り込めるように、私どもも努力するべきであると考えております。
以上でございます。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございます。
それでは、神子田委員、小林委員、木村委員、多分、ここで時間いっぱいになってしまうと思いますが、よろしくお願いします。
〔 神子田委員 〕 ありがとうございます。
私は、今回の消費税率引き上げで、使い道を変更したということに非常に注目しておりまして、要は、半分は社会保障の充実、教育・保育の無償化に充てられて、非常に受益感を感じられるものになっているのではないかと思っております。ただ、その受益の中でも、例えばゼロ歳から2歳と、3歳から5歳ではちょっと差が出ているとか、私たちが受益しているのではなくて幼稚園の経営者が受益しているのではないかとか、いろいろ言われていて、その受益を受けているというところで納得感が得られないのはよくない。本年度、来年度予算で直せるところは、早速、直していってもらいたいと思っております。
財政の健全化に向けて、後世に負担をかけるからということが一つの説得材料としてあるのですけれども、なかなか後世の子供たちというのが実感できなくて、それよりも今の子供たちが受益しているほうがわかりやすいと思っています。まず受益というものを感じてもらって、では、この受益はどうやって受けられたのだろう、それは税の負担をしたからだと。その受益と負担が1対1で国民の中に意識づけできるようにしていくことが、これから大事だと思っております。
それから、この財審の進め方ですけれども、せっかく学会や経済界から有識者の方々が集まっているので、この方々と事務方のやりとり、あるいは委員同士の意見交換を通じて、新しいアイデアが出てくるような活発な委員会に、この秋の陣はしていってもらいたいと思っております。そのためには、今日、事務局の説明は10分ということですけれども、毎回、事務局が1時間ぐらい時間を使ってしまうと、委員の先生の発言時間が削られていってしまうので、ぜひこれからは、10分というのはなかなか厳しいと思いますので、毎回の事務方の説明は20分以内ということでお願いできればと思います。よろしくお願いします。
〔 増田分科会長代理 〕 これは、各主計官、聞いていましたので、よろしくお願いします。
それでは、小林委員、どうぞお願いします。
〔 小林(慶)委員 〕 ありがとうございます。
今日の論点の一つの、保守的な経済・財政見通しに基づいて財政運営を考えるべきだという点についてです。資料の3ページにも載っておりましたけれども、やはり金利が成長率よりも低い状態がこれからも続くのではないかということは、論点として言われるだろうと思います。確かに、世界経済、あるいは民間経済の不確実性が非常に高まっているときには、安全資産の金利が成長率より低くなるということは十分あり得ることで、現実に今、起きているわけでございますので、理論的にも、民間で不確実性が高まっているときには、金利が低くなる状態が長く続くということはどうしても出てきてしまう。論の立て方として、仮に金利が成長率よりも低い状態が長く続いても、こういう財政規律が必要であるというような論の立て方も準備しておく必要があるのかなと、最近、感じております。
例えば、2つ論点があって、金利が成長率より低いときに財政が安定化するのは、プライマリーバランスが十分小さいというか、赤字が小さい、または黒字であるという状態ですから、やはりプライマリーバランスを長期的にゼロに近づけるという目標は、金利が成長率より低くても必要であるということが1点。
もう一つは、安全資産の金利は成長率より低いということは言えるわけですけれども、国債が安全資産かということは必ずしもわからないわけであります。そういう意味で、国債が安全資産であるというマーケットの信認を維持するということは極めて重要なことです。経済学の理論の外の話ではありますけれども、経済学では国債は安全資産と仮定して議論するわけですけれども、国債は本当に安全資産なのかということは、やはり財政再建に対する決意が非常にかたいということが国民に知られているということ。それから、財政再建への信頼とか、信認がマーケットに強く持たれていることが必要なので、そういう信頼と信認を得るような財政再建への取り組みは、そもそも国債を安全資産にするために必要だという議論が必要なのではないかと思います。
すみません、以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 それでは、木村委員。すみません、手短にお願いします。
〔 木村委員 〕 ありがとうございます。
消費税が上がって、今回、初めての財審ということで1点だけお伺いしたいのですが、国民に随分不人気な政策を導入されるということで、財政当局の方も随分ご苦労されたと思います。今日、3日目ということですけれども、これまでの導入状況ですね。混乱とか、いろいろ言われていましたけれども、もしわかれば、ここ3日ぐらいどういうように、スムーズに導入されたのか、導入状況について簡単に、主税局の方かもしれませんけれども、教えていただきたいのと、今後の課題について簡単にご説明いただければと思っています。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
それでは、これを最後にして、局長、お願いします。
〔 太田主計局長 〕 ありがとうございます。
導入後、混乱というような報道も含めていろいろとあるのはよくよく承知しています。今のところは、いろいろな意味での私どもの最大の執行機関は国税庁ということになりますし、税そのものは主税局ということですが、主計局長ですけれども、私どもの承知している限り、問題がないというわけではありませんけれども、非常に大きい問題が生じているということは承知しておりません。いずれにせよ、これは油断できないので、今までそうだから、これで大丈夫だと我々は全く思っていません。これからしばらくの間、やはり常に気をつけて、何かあればすぐ対応できるようにという姿勢でやっていくことが政府全体として、特に責任のある財務省としての対応だと思っております。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
それでは、ここから麻生大臣とのフリーディスカッションのほうに移りたいと思います。
初めに、カメラが入りますので、そちらを先に入れます。そのままお待ちいただきたいと思います。
(報道カメラ 入室)
〔 増田分科会長代理 〕 それでは、麻生大臣にご入室をいただきますが、もう少しお待ちください。
(麻生財務大臣 入室)
〔 増田分科会長代理 〕 それでは、これから麻生大臣とのフリーディスカッションを行いたいと思います。
初めに、早速で恐縮でございますけれども、麻生大臣のほうから一言ご挨拶をお願いしたいと思います。
〔 麻生財務大臣 〕 麻生太郎です。財政制度等審議会財政制度分科会の開催に当たり、一言ご挨拶をさせていただきます。
榊原会長をはじめ、委員の皆様におかれましては、日ごろから幅広く熱心にご議論いただきまして、大変感謝申し上げるところです。
ご存じのように、一昨日、消費税率の10%への引き上げを実施させていただいております。今回の引き上げは、人口構成が大きく変わる中、全世代型社会保障の構築に向けまして、少子高齢化対策を含みます社会保障制度の充実を進めるとともに、財政と社会保障の持続可能性を維持していくために、急速な高齢化により伸びていく社会保障の安定財源を確保するためのものと、基本的にそういう理解をいたしております。
日本は、引き続き人口減少、少子高齢化と、長期的には最大の課題に直面しております。経済再生と財政健全化の両立を図っていくためには、経済社会の構造改革を加速して、こうした課題を解決し、希望ある社会をつくっていかなければならない。そのためには、2025年度のプライマリーバランス黒字化、同時に債務残高対GDP比を安定的に引き下げていくという目標に向けて、経済再生と歳出改革をしっかり進めていかねばならないと考えております。
令和という時代になりまして、最初の予算編成となります令和2年度の予算につきましても、経済再生、財政健全化の両立を図っていくために、本格的な歳出改革をはじめ、新しい時代にふさわしい、質の高い予算をつくってまいりたいと考えております。ぜひ、委員の皆様からも、引き続き活発なご意見をいただきますように心からお願い申し上げて、ご挨拶とさせていただきます。ありがとうございます。
〔 増田分科会長代理 〕 大臣、どうもありがとうございました。
それでは、報道の皆様方は、ここでご退室をお願いいたします。
(報道カメラ 退室)
〔 麻生財務大臣 〕 それでは、ご質問を頂戴する前に一言だけ。皆様方と、置かれている状況についてご認識を共通にできればと思います。
令和という新しい時代になっておりますけれども、我々は、財政健全化等々をやらせていただくに当たって、今は金があっても人が借りに来てくれないという時代になっております。そういう時代になっている中で、我々は財政運営をしていく必要があります。
少なくとも、平成という時代が始まりました1989年、天安門事件とか、冷戦が終わったとか、いろいろありましたけれども、この年の12月29日、株価は3万8,915円の最高値をつけて以来、これを超えたことは1回もありません。それから、株はずっと下がりっ放しでした。そして、赤字公債を再発行し始めたのは94年、土地のバブルもはじけた93年の翌年から、赤字公債の再発行をやらざるを得なくなっていきました。
その後、企業は、全部借金を返して、新たな設備投資をしないという時代がやってきました。債務超過を消して、少なくとも資本の不足を補って、間違いなく借入金の返済に充てました。我々の企業の歴史だと思いますけれども、決して悪いことではありません。借金を返しているのですから。
しかし、1人残らず借金を返したら、金融というものは成り立たなくなりますから、当然のこととして、どんどん、どんどん借金を返し始めたら、企業はそれなりの自己資本比率が高くなり、極めて高い水準になっていったのです。また、ご存じのように、銀行はばたばた店じまいをすることになりました。それほど銀行も厳しい状態になったんです。昔の何々銀行、今は何と、すらすら答えるのは金融庁の役人ぐらいのもので、あとはほとんどわからんというものになっていった。それだけ世の中は大きく変わったのです。私は、基本的にはそう思います。
そういった中で何が起きているかといえば、安倍内閣になりまして、日本の企業がいろいろ立て直してきた。円は、79円がスタートだったと思いますが、それが107円、108円になっていきました。企業は、2012年のとき、現預金で190兆円ぐらいだったものが、今は240兆円、約50兆円の現預金を増やしています。金融資産ではありません。金融資産は、個人金融資産で1,835兆円、この3月まででたまった金です。同じように、個人も、873兆円の家計の現預金が、今、977兆2,000億円、1,835兆円の半分以上は現預金です。これが今、置かれている現状です。
そうすると、個人も、企業も金を持っています。しかも、その金には金利は全くつかないのです。1万円を金利で金を稼ごうと思ったら、10億円の預金を持っていないと、金利がつかないのですから。しかも、分離課税がかかりますから、12億円ないと1万円稼げません。そんな金額持ってる人なんか大していませんよね。それが現実です。したがって、金はどんどんたまっているのです。
こういうことに当たって、何で金を使わないのですかという世論調査があるけれども、その世論調査の答えの一番に上がってくるのは買いたいものがないから。これが一番の理由です。
企業は、新しい設備投資をしない。同時に、R&D、リサーチ・アンド・ディベロップメント、研究開発をやっていない。そういうことに金を使っていない。それで、自己資本比率を増やして、民間の給料は約10兆円、設備投資が約14兆円だったかな、そんな金しかこの6年間で使っておられません。内部留保と自己株償却に金を使っておられる。日本は、経営者としておかしいじゃないですかという話も、よく経営者の方々と話をするときに申し上げるのです。
おととし1年間で、企業の内部留保は40兆円増えています。前の年までの4年間は24~25兆円がずうっとたまりっ放し、おととしは40兆円に一挙に増えて、去年は17兆円。それでも税を払った後、内部留保が増えております。
そういった意味では、このたまりにたまった四百何十兆円の内部留保なり、個人金融資産を何かにということを考えない限りは、個人消費は伸びない。民間の設備投資は伸びないから、GDPが伸びるわけありません。残るところは、大きなものは政府支出からありません。だから、財政投融資を使ってでもやらねばならんということを財務省に言って、きました。それを少しずつ、少しずつここまでやってきた結果、日本の増えっこないと言われたGDPが約60兆円増えました。その間、財政とはバランスをやりながら、かつ財政投融資等々の名前を使って、少しずつ財政支出も増やして、ここまでやらせていただいたと思っています。
今後とも、この金を何とかすることを考えないと、それは規制があるからやらないのか、何でやらないのかが、話を聞いていてもよくわからない。直接聞いても、いや、どうもと言われるだけです。しかし、考えてみれば、30年近くデフレになって、金を持っておきさえすれば、物価がどんどん下がって、その金の値打ちが上がっていくという時代の経営者です。それを、危険負担を顧みず、ぼんと投資して当てるということをやったことがあるかといえば、なかなかないというのがこの30年間、言えることではないのかと思っています。
もちろん、例外もあります。例えば、生分解性ポリマーの開発。プラスチックのごみを海に捨てることが大問題になっていますけれども、これは間違いなく、しばらくすると分解して土に戻ります。そういった生分解性ポリマーを使ったストロー、プラスチックを開発している会社があるけれども、ずっと毎月2億円の赤字をこれに突っ込んだ。結果として、今、それが花開いて、もう工場を増設、増設ということになっています。それは1つの例です。
ほかにも、小さな例は幾つもあるのだと思いますが、そういった例をぜひ考えていただいて、どうしたらたまっている、寝ている金利のつかない金が外で動き始めるかということも、あわせて考えていただければとお願い申し上げます。
〔 増田分科会長代理 〕 率直なご意見を賜りまして、どうもありがとうございました。
せっかくの機会ですので、皆様方、従来どおり名札を当てていただいて、ご発言をお願いしたいと思うのですが、今、かなりの方、挙げていますので、3人ぐらいまとめて発言していただいて、それで大臣にお話を伺うと、こういう形で進めていきたいと思います。極力、大勢の皆様方にご発言していただくという意味で、手短にお願いしたいと思います。
それでは、宇南山委員からお願いしましょうか。お願いします。
〔 宇南山委員 〕 一橋大学の宇南山と申します。
今の大臣のお話、経済学者として、例えば企業の内部留保みたいなものを分析する必要性というのは非常に共感しておりまして、私、何度かチャレンジしたことがあるのですが、最後のところで何が問題かというと、統計の誤差、脱漏でどうしても分析できない壁がたくさんあるのです。私、統計行政にもいろいろ意見をする機会は多いのですが、やはりスタッフの不足と統計リソースの不足というのは非常に深刻で、こう言うと何ですが、統計というのは政治的に弱いもので、すぐに予算が削減される側です。もし可能であれば、この厳しい中ではありますが、統計にもっともっとリソースを割いていただかないと適切な分析はできないのではないかと思います。それについて、ぜひ大臣のご意見をいただければと思います。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
それでは、黒川委員お願いします。
〔 黒川委員 〕 ありがとうございました。
今は、通貨は信用に基づくものであるということは、当然、論をまたないのですけれども、そこで、最近、暗号資産の伸展について、何か国際的な議論、麻生大臣は出ていらっしゃるので、何かご知見がありましたら教えていただければと思います。
〔 増田分科会長代理 〕 それでは、武田委員。ここで1回、区切りたいと思います。
〔 武田委員 〕 ありがとうございます。
私からは意見を述べさせて頂くとともに、大臣にもご見解を伺いたいのですけれども、この秋から社会保障制度の改革を議論する会議が立ち上がっていると理解しております。私は、受益と負担のバランスの観点、世代間格差是正の観点から、社会保障制度の改革にしっかり取り組んでいただきたいと考えております。その点についての大臣のお考えを、ぜひお伺いできればと思います。よろしくお願いいたします。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
それでは、大臣、お願いします。
〔 麻生財務大臣 〕 まず、宇南山委員の統計リソース、これは正しいです。
今、物価が伸びている、物がたくさん売れている一番大きな理由は通販ではないかと思います。その通販をのせる方向で統計委員会がスタートすることになったのですけれども、きちんとした統計が必要です。統計はおっしゃるとおりなので、このリソースは増やさないといけません。
2つ目、黒川委員のクリプトアセット、暗号資産、この話は正直、結構大変でして、今、両面を見ながら静々と進めているのは、多分、先進国では日本だけです。中国、韓国など、ほかの国も軒並みとめています。
ただ、将来、ブロックチェーンという技術はえらいものになり得るということだけはよくわかるものですから、今、財界というか、金融界と、ITの人たちの間を取り持って、日経新聞が会議を主催しておられるのだと思います。いわゆるそういったプロと銀行のプロが一緒に会議をする。これを今年で3年だか、4年連続でやらせていただいているのですが、何せ背広にネクタイ、靴を履いているのと、Tシャツ、ジーパン、スニーカーが一緒の席で会合するんです。互いに全然、話が合わないところから少しずつ、少しずつみんなでやっていって、3年たちますと、何となくお互いに服装も変わってくるなど、大分変わってきてはいると思います。
同時に、今度、フェイスブックがああいうことをやりましたけれども、先ほど言いました日本の業界と違って、設備投資の最も激しいのがいわゆるGAFA、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの4つです。利益のほとんどを投資している。最も投資しているのはこれらの企業です。M&Aが一番多いのもこれらの企業です。自分たちの持っているビジネスモデルが、あと10年続くと思っていないので、今のうちから銭になりそうなもの、人がまだ見つけてきていないものに投資をして、どれが当たるという話を堂々とします。
クリプトアセットの一番の特徴は、送金手数料が安いことです。フェイスブックの場合、信用がなかったものを保証し、27億人のメンバーを相手に、これをやろうといっています。今、アメリカは、正面切って何とか言い合っていますけれども、少なくとも送金手数料が下がります。日本にいる外国人が銀行でフィリピンに送金してほしいと銀行に言うと、手数料が高く取られますが、別の方法ですぐに送金してくれるのであれば、別の方法に行きますよ。
そういった話というのは、正直言って、国との関係、ドルとの関係を考えておかないといけないのですけれども、個人的には、送金のところまでは間違いなくクリプトアセットという分野が広がってくるだろうという感じがしますので、そう思って、こっちはやっておかなければならないというところまでです。
もう一つ、武田委員の社会保障の関係です。これは、先ほど申し上げましたように、昭和35年に国民皆保険という制度ができ上がったのですけれども、労働人口、いわゆる若い人たちは16歳以上55歳で切っていたと思います。あのころ、高齢者1に対して働く人の比率は6であったのですが、今は2.2対1になっていると思います。このままでいきますと、子供の数を入れて65歳以上の人を計算すると、あと十数年で1.5対1ぐらいの比率になってきます。今までの社会保障制度では、もつはずがありません。今までのやり方をすれば、勤労者に対する負担と給付と言えば、負担の比率はどんどん上がってくるわけですから、どうしたってこれ以上、上げるべきではありません。
それをどうするかということで、例えばお金を持っている人は、今の窓口負担の1割負担を2割や3割に、払えるのであれば、払っていただくという話をしないとぐあいが悪いのではないか。こういったことを主張すると、おまえは金持ちだから、すぐそういうことを言うのだと、大体そういう話になります。だから、金持ちが言うからいいのではないのか、貧しい人が言い始めたらどういうことになるのだと、よく話をします。
正直なことを申し上げて、もっと高邁な理想やら、もっと幅広い見識を持った人の知識を集めないと、現場に追われたような役人の話だけでは、ちまちました改革にしかなりません。大胆な改革をやるなら、もっと全体的に考えるべきということで、厚生労働省以外も、全体で考えなければならないということで、今、全体会議をつくろうという話になりつつあるというところで、それをどうするというところはこれからだと思いますが、基本はそういう考えでやろうと思っております。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
それでは、次、竹中委員、お願いします。
〔 竹中委員 〕 どうも、ナミねぇです。こんにちは。
チャレンジド、障害のある人をタックスペイヤーにできる日本ということで、非営利活動をして30年になるのですけれども、活動を始めてしばらくして麻生大臣の勉強会に招いていただいて、こういうお話をしたときに、補助金は要らんから仕事をくれと言ったのが大変琴線に触れたみたいで、それからずっと親しくさせていただいております。財審も、私、長い間参加させていただいています。
来年は、オリンピック、パラリンピックもあり、とりわけオリンピック以上にパラリンピックがおもしろいよという声をたくさん聞きます。それは、やはり不可能に挑戦していく人たちのすばらしさみたいなことを、たくさんの人が感じてくださっているのだと思います。
私たちの活動の中でも、一昔前なら本当にただの保護の対象だったような、全盲で、脳性麻痺で、鉛筆も持てなくて車椅子に乗っている人が、今や得意の英語で、ナミねぇがしゃべったことを全部世界に発信するような仕事をしてくださっております。ベッドの上で身動きできない人が、本当にわずかに動くまぶただけ使って、ベッドの上で身動きできない、介護を受けているような方が、その場所で情報通信技術を使って働いていただいている。
そういう意味で、福祉の概念も、それから収益といいますか、税を支える側の概念も、大きく転換できる時期が日本は来ていると思うのです。それだけの技術を持っていると思うので、ぜひ、この財審だけではないですけれども、日本国家として不可能を可能にしていく挑戦に向けて、ビジネス以外も含め、大きな取り組みをやっていっていただければうれしいなと。ぜひ、大臣に、そのリーダーシップをとっていただければということです。よろしくお願いします。
〔 増田分科会長代理 〕 それでは、田近委員、お願いします。
〔 田近委員 〕 社会保障、医療について述べようと思ったのですけれども、大臣から経済の活性化、企業の内部留保の問題を触れられたので、刺激されまして、1点、年金についてお話ししたいと思います。
私は、こう思うのですけれども、財政的には規律をどう保つか。ここでさんざんやってきたように、マクロ経済スライド、そして税制では公的年金等控除の見直しをしっかりやる。今日、申し上げたいのは、一方、経済の活性化の面で、今、いろいろと問題はあると思うのですけれども、時間が限られていますから、1点、集中的に申し上げたいと思います。
在職老齢年金です。我々が、65歳以上になったとする。そして、基礎年金の上に、厚生年金を毎月10万円もらっていたとする。それに対して、65歳以上で働いて毎月の給料が37万円、10万円と37万円と足すと47万円で、37万円を超えると年金がカットされる。39万円になると1万円カットされる。ということは、給料が57万円になると10万円の年金が全部なくなる。在職老齢年金は年金カットではないかと思うのですけれども、言葉の由来は、働いても年金をあげるのだというのが在職老齢年金だったのですけれども、今や10万円の厚生年金に対して、37万円から年金カットが始まって、57万円で消える。これを経済活性化との面でどう考えるか。
厚生労働省は、37万円以上給料をもらっているのは高額所得者ではないか、だから年金はカットさせてくださいと。それは一つの考え方ですけれども、私が言いたいのは、それはあまりにも年金で閉ざされた議論だと。働く我々からすれば、37万円を超えたら50%の税金がかかる、37万円から39万円になったら1万円なくなってしまうわけです。だから、在職老齢年金の問題は、働く65歳以上の人は50%の限界税率がかかる。さらに、ほかの税金もかかりますから働く意欲がなくなる。
それでは、65歳から年金をもらうのをやめて、70歳に年金を繰り下げようではないかと。今の仕組みだと、1年繰り下げると8.4%支給が増えて、5年だと42%。ああ、よかった、65歳から年金をカットされるけれども、70歳になったら42%、170万円もらえると思いきや、今、言った毎月の給料が仮に57万円以上の人は、我々も結果的にそういうところで生きてきたわけですけれども、あなたは57万円以上もらっているのだから、年金はただじゃないですか、あげてないじゃないですか。あげてないものに42%を掛けてもゼロですから、割り増しはないですよと。したがって、65歳で37万円以上稼ぐ人は、年金は限界税率50%でカットされて、繰り下げをしようとしても効果がない。
私は、決して脇を甘くしてはいけないと。マクロ経済スライド、それから税制面の公的年金等控除の改革はしっかりしつつ、やはり高齢者に対して、65歳以上に対してしっかり働いてくださいと。今、計算したら、1年で、37万円だと444万円、57万円だと684万円です。そうすると、65歳を超えて400万円から600万円稼ぐ人というのは、ある意味で日本の高齢者の宝ではないか。まさに、そこに税金をかけるのは、税金なのですから、私はおかしいと。仮に、10万円カットされなければ、1年間で120万円ですよね。税金を引いて100万円です。それを使ってもらえば、ものすごい経済活性化になるわけです。いっぱい書き物もしていますから、脇を甘くしないで、この点は今回の会議でぜひ突破していただきたいと、私は思います。
〔 増田分科会長代理 〕 それでは、中空委員お願いします。ここで、1回、区切ります。
〔 中空委員 〕 ありがとうございます。
先ほど、大臣は内部留保の話をしておられました。その問題と同じぐらいかそれ以上に、金融市場にいると、金利はいつ上がるのだろうか、という悩ましい問題があります。当面上がりそうにないと思っています。しかも、今年に関しては、金融政策の煮詰まり感がありますから、財政政策のほうにシフトするでしょう。それも、世界中、財政政策のほうに行くのではないかという懸念があります。そんな中で、財務省は、これから50年債を出す、永久債を出す、前倒し債を出すと、さまざまな話が出てきています。これを大臣としてどうお考えかが1点目です。
2点目としては、これは私見でいいのですけれども、内閣府の見通しによると2023年に金利は上がってくるのですが、上がると思われますか。
3点目は、これも簡単でいいのですが、実際、今年の財政再建への道筋は難しいのではないかと思っているのですが、その中で、質をよくしていこうということに焦点を当てる、クオリティーをよくしていくことが大事だろうと思っています。一つの意見として、ドイツの気候変動対策プログラムが出ていますが、こういうものへの入れかえは大臣の中であり得ることかどうか。これは、看板のつけかえではありますが、中身を見ると、例えば地方創生とか、国土強靱化とか、そういうものを入れかえることで質の良化といった説明が可能になるのではないかと思うのです。つまり、財政再建ができないとしても財政の質をどのように担保するかが大事なのではないかと思います。どのようなお考えがあるか教えてください。
簡単でいいですが、3点、質問させていただきました。
〔 増田分科会長代理 〕 それでは、大臣お願いします。
〔 麻生財務大臣 〕 最初に、竹中委員のお話ですけれども、間違いなく今、コンピューター、AI、ロボット等々が発達したおかげで、結果として重度心身障害者は別にしても、かなりの身体障害者の方が稼げるようになった。これは、すごく大きいと思います。
例えば、今、上場しましたけれども、いわゆるひきこもりのオタクばかり集めて、その人たちをハッカーに養成した会社がある。日本から連れていったひきこもり10人と、アメリカのウルトラ有名なハッカー100人と、同じプログラムをハッキングさせて、どれだけ穴があいているか調べてみてくれと。与えられた時間は同じで、向こうは三つ、こちらは三十幾つ見つけ切る。
さすがに向こうも驚いて、一言、皆様方の言葉が欲しいと言ったら、そのひきこもりのオタク、全然英語もできない子ですけれども、「こいつらは俺がしゃべるようなレベルのやつらじゃない」と。アメリカ人は、全員スタンディングオベーションだったそうです。
それで、何とかしていただけませんかと来たのが、その日本人。そういう人がいるんですよ。今の社会に行けば、全く受け入れてもらえない人たちばかり集めている。その会社の社長に、ローソンの新浪氏の後の社長になった玉塚氏がなっている。そういう会社がある。日本で何にも知られていないです。でも、世界で最も認められているハッキングの会社です。それが日本の、いわゆる心身障害者のほうになるのかね、この人たちがやっているという時代もありますので、一つ流れが変わってきていると思っております。
田近委員の話、これは間違いないですよ。あなたの言っておられる数字の上では。これは、どうするかという考え方ですよ。俺、79歳だよ。この中で、年が一番上だろう。榊原会長は、ほぼ同じようなものだろうけどね。俺、毎朝、歩いているし、まあまあやっているから元気でいられるのです。
時代は変わってきているとは思っていますけれども、働いている人に関して変な意味でのイコール、平等意識があるから、能力のある人は働かないという状況が生まれている。能力があって健康だったら、働いて税金を納めてもらったほうが、得になる。
だから、いろいろなことを考えなければいけない時代になっている前提は元気なことです。何たって、私が生まれた1940年頃、日本人の平均寿命は47歳ですから、もうほとんど終わっています。昭和22年、戦後の統計が始まったときは50歳。あのころは、今の時代から考えたら、もうはるかに若く、亡くなっておられます。幼児死亡率も高いのですけれども、55歳の定年というのはそれなりの効果、意味があったわけです。
今は、男性80歳ですから、この70年間で平均寿命が30年延びていますから、もう全く発想を変えないといけません。だから、厚生労働省とほかの役所、全員の知能を集めてやる以外に手はないのだということも、もうこの3年ぐらい申し上げているのですけれども、やっと全世代型になってきましたので、今、言われたような意見を含めて、ぜひまた率直な意見を聞かせていただければと思っております。
最後の中空委員の話、ドイツ等、やり方を変えようとしているのは確かです。ただ、どううまくいくかは、結果が出てみないと何とも言えません。ただ、外国人労働者、トルコからの移民が多いという問題がものすごい勢いで大問題になってきています。
先日来日したヨーロッパのある財務大臣は、その点、日本は今後どうするのだと聞いていましたけれども、日本人は働くと答えました。どういう意味だと言うので、労働は神がアダムに与え給うし罰ですから、みんな65歳とか、55歳とか、とにかく定年前にやめるというのが罪の解放です。旧約聖書はみんなそうなっているはずです。
ところが、日本の場合を見てください。「機織り小屋から出でたまい、神々がいかにしておわすぞと天の岩戸を開けたまい、高天原を眺むれば神々は野に出て働いていた」と、古事記の1ページ目に書いてあります。天照大神という女の神様は、機織り小屋から出てきたのですから働いていたんです。日本は、神様でも働くのですから。外国人は、労働は罰ですからWork is a punishment、こっちはwork is a virtueですから、もう全然違うのです。俺たちは働くのが当たり前。
そういう発想と旧約聖書をもとにした人たちの発想とは、もう根本が違いますから。僕は、この話を外国人に、よく大学などに頼まれて、何が働き過ぎだ、考え方の根本が違うと言って、反論されたことは1回もありませんから、多分、みんな嫌なところをつかれるのです。
だけど、これを言うと、やはりキリスト教でも、いわゆる原理主義者みたいな宗派にいる人たちは全く賛成しますからね。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございます。
堀委員、宮島委員、末澤委員、大槻委員、4人です。時間、11時半なので、発言だけになるかもしれませんけれども、よろしくお願いします。
〔 堀委員 〕 手短にお話しします。
大臣は、医療とか、社会保障のことも非常にお詳しいので、ちょっとご意見というか、伺いたいのですが、これまでの考え方ですと、先ほど国民皆保険ができた時代の話もありましたけれども、イノベーションと負担と給付の見直しというのは、私は両立ができるのではないかと思うのですが、これまで議論されていなかったものとして、保険給付の中身の見直しというのはされていなかったと思うのです。例えば、新しいものが保険給付に入る、あるいは保険に収載されたら、今まであったものは既得権益のように残っているのではなくて、ちょっと別の形にするという考え方があると思うのです。古い家電製品が残っていたまま、新しい家電製品がどんどん入るというようなことが、日本の医療保険とかで起きているのではないかと思うのですけれども、そういうことを考えると、イノベーションと社会保障の給付のあり方というのは見直せるのではないかと、時間がないと思うので、意見として思います。
〔 増田分科会長代理 〕 宮島委員お願いします。
〔 宮島委員 〕 日本テレビの宮島です。
軽減税率がいよいよ入ってみて、いろいろ聞きに行きますと、何でこんなに面倒くさいのだ、だったら一斉に10%にしてくれ、今から10%にならないのかという声まであります。結局のところ、5年前、あれだけ話し合った軽減税率の意思決定プロセスが、私たちメディアの報道も含めて十分だったのかどうかという疑念がありまして、今、軽減税率はいいと思うかと聞くと、結構意見はわかれています。これはもう決まってしまったことだからいいのですけれども、今後も、いや、言ってくれれば、それ、もっと考えたのにというようなことを後で国民に言われないように、不都合なことも全部含めて国民と議論したいなと思っていますが、どうでしょうか。
加えて、社会保障の会議には、麻生大臣と増田分科会長代理に大変期待しているのですけれども、特に医療においては、おっしゃるように単にここをどうするかという話ばかりしていて、最終的に、この困った状態で、みんなこれからどんな医療にしてほしいのですかという議論が足りないような気がしております。ぜひ、そこをよろしくお願いします。
〔 増田分科会長代理 〕 末澤委員、どうぞお願いします。
〔 末澤委員 〕 ありがとうございます。
先ほど大臣おっしゃっていた話にちょっと関連するのですが、週末にオーストリアで総選挙がございまして、一応、国民党が第1党なのですが、実は緑の党がゼロだった議席が26議席、占有率で14%に躍進しています。また、今、ドイツでは、CDU/CSUと緑の党の支持率はほとんど拮抗している。アメリカでは、来年、大統領選がございますけれども、民主党のジョー・バイデンは、10年間で、連邦費で1.7兆ドル、官民合わせて5兆ドルの気候変動対策プランというものを出していまして、私は、来年にかけては相当、気候変動対策が世界的なブームになるのではないかと思っています。先ほどの成長戦略との関連で、多分、日本はそこには相当ノウハウがあると思いますので、一つ、国の政策に加えるのはいかがかと。大臣の見解をお伺いしたいと思います。
〔 増田分科会長代理 〕 それでは、最後、大槻委員お願いします。
〔 大槻委員 〕 マネックスで、個人の投資行動などのリサーチをしております大槻と申します。
一言だけ申し上げるとすると、若い人に夢をもっとくださいということだと思います。最近の消費増税前の駆け込みの様子を見るのに、年齢別でどれぐらい消費に回しているかをアンケートで調査したところ、高齢者のほうは、2,000万円問題とかもあり、預金をむしろ増やしている。個人の中でも、若い人は結構、消費、投資をしていると、如実に分かれてきたということがありました。それで考えてみると、大臣が先ほどおっしゃった企業が投資しないというところについても、もしかしたら、コーポレートガバナンスでダイバーシティーが増えているといっても、女性や外国人はいても、若い人はあまり増えていない。もっと若者が夢を持てるような投資減税ですとか、投資促進策などがあれば、よりいいのではと思っている次第です。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございます。
それでは、大臣お願いします。
〔 麻生財務大臣 〕 時間があれなので、最初の堀委員でしたか、保険給付の話が出ていましたけれども、どういったやり方をするかは、間違いなく先ほど言った全体会議の中で考えなければいけない大きな問題になると思っています。
宮島委員の言われたメディアの話ですけれども、メディアは反省すべきです。私は、軽減税率は断固反対したほうですから。軽減税率をやったって、計算ができなくなるなんて言うから頭にきて、イタリア人が計算できて、何で日本人が計算できないのだ、そんなことがあるかと言ったところ、イタリア人に対する差別だと、また足を引っ張るのがメディアというものですから、その程度の話です。これは、もっと正しく理解しておけばよくて、自分の新聞だけはしっかり盛り込んで別にするなんて、手口としてはかなりいかがなものかと、私らはそう思っています。
それから、末澤委員のグリーン改革、これは確かに今からどう出てくるかわかりません。ただ、日本の場合、国土緑化率は75%を超えていますから、ヨーロッパみたいに20%、30%なんていうのとわけが違います。そういった意味では、グリーンに対する感覚というのはなかなか理解されないですけれども、この間、新しく、数百億円ですけれども、税は取れることになりましたので、少し動いてくるとは思います。形として、こういった環境の話というのは、さらに出てくることは確かだろうと思っています。
最後の大槻委員の言われた話ですけれども、やはり新しいものに対する投資は、高齢者しか、という話がありましたけれども、各社の製品開発に、何回か企画室などに行ったことがあるのですけれども、企画室に高齢者はいませんものね。だから、若者の開発しか頭にないのですよ。
有名な話がありまして、昔、「たまごっち」というおもちゃがあった。若い世代に対応できるほど頭がやわらかいかどうか知りませんけれども、あるおもちゃ会社から「たまごっち」というものが出て、はやったのですけれども、すぐに、にせものがいっぱい出まして、開発したもとの会社は大量の返品になった。この返品をどうするかという話になったときに、ある文書課の年をとったじいさんが、みんなの話をそばで通りながら聞いて「そんなの万歩計と一緒にすればいいんだ」と言ったのです。社長が偉くて、「おい、ちょっと待て。今、何て言った?」「これ、万歩計と一緒にすればいいんだと申し上げたのです」と言ったら、「考える」と言って、歩けば歩くほど餌をどんどん食わせるようなシステムに変えるんです。「たまごっち」という名前が「あるこっち」という名前に変わって、ばか売れして商品が全部なくなりました。これは一つの例です。
だから、高齢者に考えさせたほうが、よっぽど今の高齢者向けの商品は開発できるのではないか。僕は、この話を聞いて、その社長は若い人ですけれども、すごくへえーっと思ったことがあります。先ほど980兆円と言いましたけれども、今、65歳以上の人が大量の金を持っているのですから。980兆円のうち、600兆円は高齢者が持っているのだから。若い人は持っていない。若い人に売るよりは、高齢者に売ることを考えたほうがいいのですよ。だから、高齢者が金を移動するようにということで、教育資金だったらただにしますとか、税金を何とかしますとか、いろいろやらせていただきました。あれも財務省は随分反対でしたけれども、とにかく強引にやらせていただきましたけれども、少なくともあれで金は動きました。
それから、NISAとかいうのもやらせていただいたり、いろいろ金融庁で考えてやらせていただいたのですけれども、高齢者が高齢者に遺産相続しても、受け取ったやつはまた使わないのですから同じですよ。だから、ぽんと飛んでいくようなことを考えないと、なかなか金は動かないのではないかと思っているのと、やはり高齢者向きのあれがない。ただ、高齢者のクルージングなんて、この間、乗ったやつの話を聞いたけれども、「おい、おまえみたいな金持ち以外に、どんなやつが乗っているのだ」と言ったら、それは精いっぱい驚きました。7割は日本人だと。へえーっと思う人がお金を持って、世界一周をやっておられるのですよ。
昔では考えられない時代になっているという感じがしますので、ぜひ、いろいろな意味で、税金とか、収入とか、売り上げとか、もっと根本的なところを考えないと、なかなかいけないのだと思いますので、研究開発やら何やらにもっと金が行くようなことを考えるとか、経営者がその意欲を持たないといかんでしょう。消費者もちょっとと思うのですけれども、やはり平均年齢100歳まで生きるということになったもので、80歳のつもりで生きてきたら、あと20年分貯金しておかないといかんのかという意欲を与えた、意識を与えたのが、貯金をばーっと増やしてきている大きな理由の一つかなと思わないでもありません。
ぜひともそういった点、いろいろなことを考えないとちょっと、これから財審でいろいろなお話をしていただけることを期待しております。すみません。
〔 増田分科会長代理 〕 大臣、どうもありがとうございました。率直にいろいろご意見を頂戴しました。
大臣、ここで退席をされます。どうもありがとうございました。
(麻生財務大臣 退室)
〔 増田分科会長代理 〕 どうもありがとうございました。
今後の進め方ですけれども、社会保障、地方財政などの個別の歳出分野についてご議論いただいて、令和2年度予算の編成に関する考え方という形で、従来どおりでございますが、建議として、この秋、取りまとめをしてまいりますので、今後の進め方についても皆様方のほうからご意見がございましたら、率直にお願いしたいと思います。
今日、予定されている議事は以上でございます。よろしゅうございますね。これで議題のほうは終了させていただきたいと思います。
本日の会議の内容は、会議後、記者会見で私のほうから紹介させていただきますので、会議の個々の発言につきましては、皆様方のほうから直接、報道機関等にお話しすることのないようにご注意いただきたいということが1点。
最後になりますけれども、審議会資料の保秘ということで改めて確認しておきたいと思いますが、委員間の率直な意見の交換や審議、ひいては建議の中立性を確保する観点から、建議の素案等については対外非公表という扱いにしております。今後も、そうした取り扱いとさせていただきたいと考えております。委員の皆様におかれましても、対外非公表の資料の取り扱いにつきましては、改めて保秘にご注意いただきますようにお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
今日は、ご発言の途中で次に移ったりと、大変失礼を申し上げまして、おわび申し上げたいと思います。いろいろ審議にご協力いただきまして、ありがとうございました。
次回につきましては、10月9日、14時からということで、改めてご連絡を差し上げることになると思いますが、ご予定をお願いしたいと思います。
本日は、これにて閉会いたします。どうもありがとうございました。
午前11時35分閉会