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財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録

令和元年6月19日
財政制度等審議会


財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第

令和元年6月19日(水)15:00~15:45
第3特別会議室(本庁舎4階 中-412)

1.開会

2.とりまとめに向けた審議

3.閉会

出席者

分科会長

榊原定征

うえの副大臣

伊佐大臣政務官

太田主計局長

神田次長

阪田次長

宇波次長

奥総務課長

安出司計課長

阿久澤法規課長

中澤給与共済課長

一松調査課長

西山官房参事官

寺岡主計官

日室主計官

斎須主計官

北尾主計官

前田主計官

中島主計官

吉野主計官

関口主計官

森田主計官

岩佐主計官

内野主計官

渡邉主計企画官

佐藤主計企画官

分科会長代理

増田寛也

遠藤典子

大槻奈那

黒川行治

武田洋子

中空麻奈

宮島香澄

臨時委員

葛西敬之

河村小百合

進藤孝生

末澤豪謙

竹中ナミ

田近栄治

伊達美和子

田中弥生

田中里沙

土居丈朗

冨田俊基

冨山和彦

平野信行

広瀬道明

堀真奈美

神子田章

村岡彰敏

横田響子


午後3時00分開会開会

〔 増田分科会長代理 〕 時間になりましたので、ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。

本日は、前回に引き続いて建議の取りまとめに向けて、お手元にお配りしております「令和の財政の在り方に関する建議(案)」ついて御審議をいただきます。なお、本日はこの内容を確定させて、後で大臣に手交することを予定しておりますので、どうぞよろしくお願いします。

今回の建議案ですが、前回6月6日に会議においていただいた御意見や、その後、書面でいただきました御意見を踏まえて、起草委員において修正を行ったものでございます。お手元に2種類あるかと思いますが、前回の会議でお配りしたバージョンからの修正を見え消しにした見え消しバージョンと、その修正を溶け込ませたクリーン版、2種類を配付しております。御参考にしていただければと思います。

それでは、審議に先立ちまして、前回の会議でお配りしたバージョンからどのような点を変更したのか、その主な変更箇所について、事務局から補足説明をお願いします。

〔 一松調査課長 〕 調査課長の一松でございます。お手元に、6月6日の審議で使用した原案からの修正案を見え消し版で配付しておりますので、この見え消し版に基づきまして、修正がなされた主な箇所につきまして御紹介したいと思います。

本文の総論から順に御説明させていただきます。

まず、総論でございます。1ページ目、5行目の建議冒頭の一文につきましては、竹中委員、遠藤委員からの御指摘を踏まえまして、字句修正を施したうえで、改行せず次の段落につなげられています。

同じく、1ページ目の20、21行目につきましては、大槻委員、別所委員の御指摘を踏まえまして、文言を適正化いただいております。

25行目から26行目につきましては、武田委員や神子田委員より、財政政策の出口とは何かとの問題提起をいただきました。前回の分科会で、起草委員である土居委員から述べられたとおり、出口の在り方も含めて、今後検討を深めていくべき課題であるということで、その趣旨が明確化されております。

2ページ目に参ります。10行目、およびこれ以降に出てくる言葉でございますが、「現世代」という表現につきましては、藤谷委員等の御指摘を踏まえまして、現役の世代などと混同しないよう、趣旨を明らかにする意味で「現在の世代」に用語を統一いただいております。

13行目でございます。大槻委員、村岡委員からの御指摘を踏まえまして、将来世代の国債保有等について言及する趣旨が明確化されております。

3ページ目でございます。2行目から5行目につきましては、村岡委員からの御指摘を踏まえまして、経済の成長と分配の好循環の余地を将来世代に残すためにも、財政健全化を進める必要があるとの趣旨が書き加えられております。

12行目から13行目でございますが、財政の悪化の構造的要因が社会保障である、あるいは社会保障改革が進んでいないために、ほかの政策への財源を増やしにくい状況になっているとの趣旨を盛り込むべきとの佐藤委員、宮島委員の御指摘を踏まえまして、修正されております。

25行目から28行目でございますが、権丈委員からの、近年の我が国の1人当たり実質GDPの伸びが、ほかの先進諸国と比べて遜色ないということを本文にも記載すべきとの御指摘を踏まえまして、修正されております。

4ページ目、2行目でございます。非正規雇用労働者という用語について、使い方を注意すべきではないかとの別所委員の御指摘を踏まえまして、修正いただいております。

また、8行目から15行目につきましては、吉川委員よりいただきました、名目金利と名目成長率の関係に関する御指摘を踏まえまして修正されております。

4ページ目の一番下の脚注3でございますが、末澤委員からの、プライマリーバランスという言葉はまだまだ浸透しているとは言えず、より分かりやすい説明が必要との御指摘を踏まえ、脚注が追加されております。

続きまして、5ページ目の10行目から11行目でございますが、村岡委員からの御指摘で、直ちにハイパーインフレーションが起きると考えているとの誤解が生じないようにという指摘をいただきましたので、修正されております。

6ページ目に参ります。6ページ目の16行目、17行目でございますが、別所委員、村岡委員からの、バックキャストという表現は馴染みが薄い等の御意見を踏まえまして、表現が修正されております。

7ページ目、7行目でございますが、宮島委員よりいただきました、長期推計は国民に信頼されるものであるべきとの御指摘を踏まえまして、修正されております。

23行目でございます。遠藤委員からの、片仮名はできるだけ日本語に置き換えるべきとの御指摘を踏まえ、言い換えられております。

7ページ目の27行目から28行目につきましては、広瀬委員からの、消費税率10%への引上げの意義を丁寧に説明すべきとの御指摘を踏まえ、追記されております。

8ページ目に参ります。11行目から13行目につきましては、6月11日に開催されました経済財政諮問会議で示された、いわゆる骨太の方針2019の原案における取扱いを踏まえまして、アップデートされております。

21行目につきましては、進藤委員からの、今後の公聴会の開催を明言すべきとの御指摘を踏まえまして、修正いただいております。

27行目から30行目につきましては、先ほど申し上げた遠藤委員からの御指摘を踏まえました片仮名語の言い換えが続いております。

9ページでございます。2行目につきまして、田中弥生委員、村岡委員からの、財政教育については、若年層だけでなく、有権者である現役層についても対象とすることが重要ではないかとの御指摘を踏まえまして、修正されております。

9ページ目の20行目から21行目でございますが、別所委員からの、教育の文脈で「正しい」という表現を安易に用いるべきではないとの御指摘を踏まえまして、修正されております。

総論は以上でございまして、続きまして社会保障の修正点について御説明します。

11ページの5行目からでございます。この後でございますが、章や節の立て方、体裁につきまして、十河委員からの御指摘を踏まえまして、以降、再整理されております。

12ページでございます。8行目から12行目までについてですが、十河委員、宮島委員からの、改革について今すぐにやるべきということをより強調した表現にすべき、団塊の世代が後期高齢者となり始める2022年度までに制度改革を実現する必要との御指摘を踏まえ、修正されております。

13行目から15行目につきましては、末澤委員からの、人口動態の状況を分かりやすく書いておくべきとの御指摘を踏まえ、修正されております。

26行目につきましては、進藤委員、横田委員からの、女性や高齢者が働くことを強制するように読み取れる文章は誤解を招くため、働く意欲のある人の就労を促進するなどとして趣旨を明確化すべきとの御指摘を踏まえ、修正されております。

13ページ、7行目でございますが、神津委員、平野委員より、更なる歳入改革の必要性を記載すべきとの御指摘を踏まえ、修正されております。

12行目から15行目でございますが、平野委員よりいただきました、改革工程表の改革項目についてより厳格な進捗管理を実施すべき旨を記載すべきとの御指摘を踏まえまして、修正されております。

19行目から21行目にかけて、同じく平野委員からの、骨太2020の内容が2025年度のプライマリーバランス黒字化達成の蓋然性をも左右しかねないとの認識を共有すべきとの御指摘を踏まえ、修正いただいております。

23行目から25行目につきましては、堀委員からの、改革の時間軸等をより分かりやすく記載すべきとの御指摘を踏まえ、修正されております。

14ページに参ります。12行目から14行目でございますが、同じく堀委員からの、小さなリスク、大きなリスクの内容がより伝わるようにすべきとの御指摘を踏まえ、修正されております。

一番下の脚注7につきましても、同じく堀委員からの、公助の役割を注書きで記載すべきとの御指摘を踏まえ、追記いただいております。

15ページの一番下の脚注10につきましては、別所委員からの、医療費の総額と給付費の総額の違いが分かりにくいとの御指摘を踏まえ、修正されております。

16ページでございます。14行目ですが、上村委員からの、法定外繰入れの縮小を目指すための保険料率の設定を行う市町村の役割も意識付けするよう修正すべきとの御指摘を踏まえ、修正されております。

17行目から19行目、及び一番下の脚注11でございますが、佐藤委員、十河委員の御意見や、昨秋の建議の表現を踏まえ、修正されております。

同じページで少し戻りますが、22行目から23行目にかけては、小林慶一郎委員からの、適時の情報公開の必要性についても記載すべきとの御指摘を踏まえ、追記されております。

17ページ、16行目から17行目につきましては、平野委員からの、地域医療構想の実際の進捗が極めて遅れていることについて危機意識を喚起する必要があるとの御指摘を踏まえ、追記されております。

26行目から、次の18ページの2行目にかけて、神津委員からの、地域医療構想の実現に向けた提供体制の整備は直ちに前進させる必要があるとの御指摘を踏まえ、修正されております。

23ページの17行目でございますが、神津委員からの、2号保険者の保険料について、負担を保険者ごとに変えるのではなく、財源を保険者に傾斜配分する仕組みの検討が必要との趣旨を明確化すべきとの御指摘を踏まえ、修正されております。

23ページの22行目から23行目につきましては、同じく神津委員からの、介護療養病床等の転換に際しては、平成30年度介護報酬改定で転換を促進するための加算が創設されていることも踏まえ、6年間の経過措置期間内に介護病院等に確実に移行させるよう対応すべきとの御指摘を踏まえ、修正されております。

25ページに参ります。一番下の行でございますけれども、同じく神津委員からの、施設型給付は公費を利用しているため、経営実態を適切に反映した実態調査を行うことを前提とすべきとの御指摘を踏まえ、修正されております。

27ページに参ります。10行目から11行目につきまして、同じく神津委員からの、自助努力の促進を国庫負担への影響と並列で論じるべきではないとの御指摘を踏まえまして、修正されております。

同じく、17行目から19行目ですが、村岡委員からの、噛み砕いた表現にすべきとの御指摘を踏まえ、修正されております。

28ページに参ります。4行目から5行目、及び脚注20、21でございます。権丈委員からの、被用者保険の適用拡大は就職氷河期世代や母子家庭の方の支援にもなることを踏まえた記載とすべきとの御意見を踏まえ、修正されております。

社会保障の修正点は以上になりまして、続きまして地方財政の修正点について御説明いたします。

31ページに参ります。22行目から23行目にかけて、伊達委員からの、プライマリーバランスが改善してきた要因を記載すべきとの御指摘を踏まえ、修正されております。

32ページ、下の脚注26でございますが、同じく伊達委員からの、国の債務が30年間で5倍になっている事実に触れるべきとの御指摘を踏まえ、修正されております。

その下、脚注27につきましては、河村委員、伊達委員、平野委員からの、国や地方の財政状況等を踏まえて交付税の在り方を検討すべき、地方のみならず国における歳出規律の重要性を強調すべきとの御指摘を踏まえ、追記されております。

33ページの8行目から9行目にかけては、平野委員からの、地方の歳出規律の有効性を高く評価するような表現を入れるべきとの御指摘を踏まえ、修正されております。

同じ33ページ、一番下の脚注32でございますが、赤井委員からの、一般財源実質同水準ルールにより臨財債は減っているものの、その外枠での建設地方債は増加していることを認識すべきとの御指摘を踏まえ、修正して追加されております。

同じ33ページの24行目、及びおめくりいただきまして34ページの20行目でございますが、この2カ所につきましては、田中弥生委員からの、地方財政が好調な今こそ構造改革に取り組むべきであることを明記すべきとの御指摘を踏まえ、修正されております。

35ページの2行目から7行目の段落でございますが、神子田委員からの、より問題意識を明確に記載すべきとの御指摘を踏まえ、修正されております。

36ページに参ります。23行目から26行目でございますが、佐藤委員からの、住民生活により身近な地方財政を通じて住民のコスト意識を高めることが重要との御指摘を踏まえて、追記されております。

37ページの19行目から、38ページの2行目にかけての修正でございますが、横田委員、神津委員、佐藤委員、平野委員から、職員数の増加の背景には防災や福祉など必要な分野で増加しているという事実を記載すべき、業務の広域化には標準化が必要、人口集約による体制のコンパクト化は行政サービスの効率的な提供にも資するため、地方財政の文脈でも記載すべきとの御指摘を踏まえて、修正されております。

38ページ、下の脚注40でございますが、平野委員からの、業務の広域化は地方公共団体の広域連携推進の形で、行政区分の見直しや社会システムの在り方の見直しにもつながるとの御指摘を踏まえ、追記されております。

続いて、文教・科学技術の修正点について御説明いたします。

39ページの7行目から22行目にかけて、及び下の脚注43、44につきましては、田中弥生委員、伊達委員よりいただいたコメントを踏まえまして、インプットやアウトカムといった言葉や、文章全体の趣旨を明確にする観点から修正されているものでございます。

41ページの5行目でございますが、宮島委員からの、教育へのICT機器の整備は喫緊の課題であるとの御指摘を踏まえ、追記されております。

一番下の脚注46でございますが、伊達委員からの、将来を見据え、求められる人材を明確にしたうえで、その成果が得られるようカリキュラム等を見直すべきとの御指摘を踏まえ、追記されております。

45ページ、20行目から21行目にかけて、進藤委員からの、教育の指標には様々あるだろうから、決め打ちせず、教育による効果を適切にはかる指標を評価に加えるべきとの御指摘を踏まえまして、修正されております。

46ページの脚注53でございますが、広瀬委員よりいただいたコメントを踏まえまして、追記いただいております。

47ページの27行目から、次のページ、48ページの8行目まででございますが、田中弥生委員からの、大括り化や若手の参画が必要な背景も記載すべきとの御指摘を踏まえ、修正いただいております。

48ページの9行目以降につきましては、村岡委員からの、民間企業と大学の連携強化を促す環境整備についても触れるべきとの御指摘を踏まえまして、追記いただいております。

続きまして、4.社会資本整備の修正点について御説明いたします。

50ページに参ります。50ページの1行目から5行目、及び下の脚注58についてです。伊達委員からの、ITインフラへの投資の視点は重要であるため記載すべきとの御指摘等を踏まえまして、追記されております。

51ページ、17行目から23行目にかけてですが、佐藤委員からの御指摘を踏まえ、修正いただいております。

52ページの6行目から8行目にかけては、村岡委員からのコメントを踏まえまして、文意が明確になるよう修正されております。

9行目から11行目にかけましては、別所委員からの、地域からの戦略的撤退の観点を強調すべきとの御指摘を踏まえ、修正されております。

55ページに参ります。55ページの26行目でございますが、上村委員からのコメントを踏まえまして、文意を明確にする観点から修文されております。

56ページの14行目から17行目、及び一番下の脚注65でございますが、佐藤委員からの御指摘を踏まえ、修正されております。コンセッション事業の重点分野に上下水道が含まれている点を脚注65で追記されております。

59ページの7行目から12行目でございますが、葛西委員より、貨物鉄道事業は物流に占める割合としてみれば大きくない等のコメントをいただいたことを踏まえ、削除いただいております。

なお、この本文全体につきまして、大槻委員より、ホームページ上で資料、あるいは地方公聴会の動画ページにリンクを張って参照しやすくすべきとの御意見をいただいております。この御意見を踏まえまして、今般の建議公表からはそのような措置をとらせていただきたいと思っております。

続きまして、概要ということで2枚紙がお手元に配られていると思いますが、概要につきましては本文に合わせた修正を加えていただきました。また、十河委員、平野委員から、社会保障分野の分量を増したうえで強調すべきである、他方で、文教・科学技術や社会資本整備については、太字が多く、伝わりにくいため精査すべきである、との御指摘を踏まえ修正されております。

主な修正点は以上になります。

〔 増田分科会長代理 〕 本日の議論を通じて、神津委員から意見書が出ております。お手元にお配りしているかと思いますのでお目通しいただきたいと思います。

この後、質疑に移りたいと思いますが、本日は会議時間等も限られているので、建議の案文に焦点を絞った形で御意見を出していただくようにお願いしたいと思います。

修文の御提案については、今は見え消しバージョンで申し上げましたが、前回からの修正が溶け込んだクリーン版で最終的には出そうとしていますので、そのクリーン版でページ数と行数を明示していただいて、できるだけ具体的な修文案でいただけますと、議論が建設的に進むかと思います。質疑について、ある程度まとまったところか、場合によっては最初のところで、起草委員からお返しをするという形で進めていきたいと思いますが、適宜、途中で起草委員からお答えいただく部分も出てくるかとも思います。いずれにしても、建議の案文に焦点をできるだけ絞って、建議の案文に焦点を絞って議論していただけるようにお願いしたいと思います。

それでは、どの部分の内容からでも結構ですので、いつものようにネームプレートを立てて、御意見がある方はお願いしたいと思います。よろしくお願いします。本日、ネームプレートが今のところ立っていないですけれども、どうしましょう。

〔 榊原分科会長 〕 出尽くしましたか。

〔 増田分科会長代理 〕 一応、かなり丁寧に、起草委員の先生方も意見を全部拾っていますので。

そうしましたら、これはこれとして、コメントという形でも結構ですので何かございますか。それでは宮島委員、お願いします。

〔 宮島委員 〕 ありがとうございます。

文教のところについてです。今までずっと、教員の数でばかり議論をするのはナンセンスだと思っていまして、今回、そうではなくて成果だということを、より言葉を多く、いろいろな形ではっきりと書いていただいたのはいいと思います。

また、私が申し上げた教育のICT機器ですけれども、これに関しましては、今の自治体の現状を見ますと、確かに単純にお金を配ったら、機器がそのまま放置されて、ほこりをかぶっているというようなことが考えられるので、すぐにお金を足すというものではないのかもしれませんけれども、実際問題としてお見合いをしていると、世界の状況に日本の子供たちが遅れをとっていくことに、さらになると思います。ですので、今後、自治体とか、文部科学省をうまく誘導しつつ、連携しつつ、現場をしっかりと動かしていく必要があるのではないかと思います。

〔 増田分科会長代理 〕 どうもありがとうございました。今の関係については、今後の関係で、秋の審議のときに参考にさせていただきたいと思います。

それでは、ほかに意見ございますか。木村委員、お願いします。

〔 木村委員 〕 起草委員の先生方におかれましては、建議案をまとめていただいてありがとうございました。いろいろと大事な話が盛り込んであって、非常に大事な提言だと思っています。中でも、財政問題の出口を明記したということで、ここは財政健全化を進めていくうえで非常に重要な表現だと思っています。

建議がまとまるということで一つ要望です。建議案には出口が、将来、模索すべきものと書かれていますけれども、本来、政府も認めていますように、財政健全化というのは経済が回復しているときに進めておく必要があるということだと思います。政府は今、戦後最長の景気拡大が続いているということを認めているわけで、財政問題の出口というのは、本来はとっくに着手していなければならないのではないかと思っています。ある意味、政府の中で、建議と政府の景気認識とが矛盾しているところがあるのではないかと、国民に受け止められるかもしれません。矛盾をできるだけ早期に解消していくように、今後当局でもしっかり努力していただければと思っています。

以上です。

〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。我々の立場で建議をつくって、まさに政府でどう取り組むか。本日、最後に会長からも御意見をいただく予定にはしておりますが、もし時間があれば、是非局長など政府サイドからも一言いただければと思います。よろしくお願いします。

それでは、ほかにはございますか。伊達委員、お願いします。

〔 伊達委員 〕 ありがとうございます。いろいろな形で意見を取り入れていただきまして、ありがとうございます。

49ページ、社会資本整備についてですが、今回ではなく、今後として是非考えていただきたいのは、現在、ビッグデータ、AIと言われている中で、デジタルトランスフォーメーションが重要なテーマです。その中で、社会のインフラ、社会の在り方、都市の在り方は変わってくるのだという大前提に、新たな都市インフラを想定した予算の配分をすることが必要です。そのためには、未来の社会インフラの在り方を、上位概念のところで議論をすべきではないかと考えます。ぜひ、今後、考えていただけないかと思いました。

そういう意味では、まだこの文書の中で投入されている技術は、過去に言われているものであり、まだ現実に取り入れ切れていないものを拾っているにすぎないところがあると思っています。将来、この10年、20年後に起きることを予見して、ビジョンを策定し、全体設計をしたうえで、予算を配分する計画をつくっていくという次の段階に進むべきだということを、是非言っていただきたいと思いました。

〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。バックキャスト的な関係でもあるかと思います。これも、次回の秋のときの審議に十分、参考にさせていただきたいと思いますので、起草委員の先生方もよろしくお願いします。

竹中委員、どうぞ。

〔 竹中委員 〕 ありがとうございます。

社会保障のところで、障害者も支え手にということで、女性、高齢者、障害者と入れていただいたのは大変嬉しく思っております。やはり受け手から支え手にということが大変重要で、私たちは、「障害者」というのはどうしてもネガティブな表現なので、「チャレンジド」という彼らの中にある可能性に着目した言葉を使わせていただいています。もちろん、できるだけ英語を排したほうがいいというのは分かりますけれども、やはり「チャレンジド(障害者)」とか、その逆にするとか、財務省から積極的に取り入れていただくと、そういう感覚が広がっていくのかなと思います。御検討いただけたらうれしく思いますので、よろしくお願いします。

〔 増田分科会長代理 〕 今のは、「チャレンジド(障害者)」か「障害者(チャレンジド)」。

〔 竹中委員 〕 「チャレンジド(障害者)」と書くほうが、私は望ましいかなと。自分たちが発信ときはそのような感じで。

〔 増田分科会長代理 〕 「チャレンジド(障害者)」。

〔 竹中委員 〕 はい。よろしく御検討ください。

〔 増田分科会長代理 〕 それではこれは今後の検討ということで。ありがとうございます。

ほかには、いかがでしょうか。神子田委員、どうぞ。

〔 神子田委員 〕 すみません、これも次に向けての意見ですけれども、今回、1ページの26行目、例の「出口」というところで、「出口」とは何ぞやというところで、今回は明確にこれが出口というものはないというお話でしたけれども、そこで、この文章でも「模索していく」ということになって、それはそれでいいですけれども、最近の2,000万円問題で思うのは、将来、こんな大変なことになると言われるだけでは、やはり不安が広がっていくという結果を生んでしまう例なのではないかということで、解決策としては、こういうようにしていけば解決できるではないか、まさに出口の具体像を示していくことがこれからの課題かなと思いました。今回は非常によく直していただいて、ありがとうございました。

〔 増田分科会長代理 〕 次回以降の課題を示していただきました。その点も十分踏まえて、今後も審議していきたいと思います。

それでは、よろしゅうございますか。特にないようでございますので、今、それぞれの方からの御意見については、今後の審議の御参考という位置付けでございますので、本文についてはこれで確定ということにさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

この後の段取りですが、本日、麻生大臣に手交いたしますが、榊原分科会長から最後に御意見をいただくということにして、先ほどちょっと言いました、政府のほうの太田局長から何かございますか。

〔 太田主計局長 〕 委員の先生方には毎回熱心に御議論いただいて、本当にありがとうございます。いつも時間に制約があるので、増田会長代理には随分御迷惑をおかけしています。委員の先生方からは本当に貴重な御意見をいただいて、恐らく10分でも30分でもいろいろなご意見がいただけるところを2分にしていて、大変申し訳ないと思っております。ただ、事前に主計官なりが、場合によってはお時間を先生方に頂戴して御相談に伺わせていただいて、そのときにいろいろな御意見を承って、それも含めて説明させていただいているつもりです。

春の陣は、わりと短期間でやらざるを得ないので、このような格好になりますが、今年は春から新しい委員の方にも入っていただいて、秋の審議は、本当に予算そのものをつくるときのことになりますので、もう少しお時間をいただいて、ほかの項目、社会保障、文教、地財、公共事業以外の予算項目もありますので、そういうことも御議論いただかないといけないと思っています。

それから、良い悪いは別として、ある意味で私どものほうから御提案というか、提起をさせていただいて、それを御議論いただくと、基本的にそういうスタイルになっております。反省を込めて言いますと、ややもすれば、毎年毎年、同じような課題を取り扱っており、そんなに課題が簡単に解決しないので、必然的にそうなる面がありますけれども、我々なりには、もっともっと考えて、新たにこういう視点で考えて、あるいは、こういう課題についてということで、また秋以降、御相談させていただきたい、是非御議論いただきたいと思っております。どこまでできるか分かりませんが、秋以降は更にそういう課題を取り上げて、御議論いただきたいと思っておりますので、また秋以降、よろしくお願い申し上げます。本当にありがとうございました。

〔 増田分科会長代理 〕 どうも御苦労さまでした。

今、局長からもお話ありましたが、どのように審議時間を確保するか等々、いろいろ課題があるのは重々承知しておりますけれども、大変短い時間の中で御意見いただいて恐縮です。秋以降の点については、また会長ともよく相談して進めていきたいと思いますので、各委員の皆様方からも随時御意見をいただければと思います。

それでは、榊原分科会長から、最後に締め括りということで、御挨拶をいただきたいと思います。

〔 榊原分科会長 〕 それでは、一言御挨拶をさせていただきます。

委員の皆様におかれましては、今回の建議作成に向けまして、大変熱心に御議論いただきました。本日を含めまして、大変貴重な御意見をいただいたこと、感謝申し上げたいと思います。

また、いつもでございますけれども、建議の文書策定に向けて御尽力いただきました起草委員の先生方に感謝申し上げたいと思います。

昨年秋の建議におきましては、平成最後の予算編成という節目のときということで、平成の財政を総合的に振り返ったうえで、大変厳しい総括をしたと思っております。今回の建議は、令和時代の財政の在り方を提言するものございまして、幾つかのポイントがありますけれども、重要なポイントの第1点は、やはり令和の時代は受益と負担の乖離といった問題、それから将来世代へのツケ回し、この2つにしっかりと歯止めをかける時代にしなければいけない、これが一番大きなポイントだろうと思います。

税・財政運営においては、巷間、甘い幻想、根拠のない楽観論を含めたいろいろな意見がありますけれども、そういったものについてはやはり謹むべきということを指摘しております。

短期的には、やはり2025年のPB黒字化をしっかりと実現するということとあわせて、長期的な財政のあるべき姿、2040年代半ば、高齢者の数がピークになりますけれども、その時期を想定したうえで、あるべき姿を想定して、バックキャスト型の観点で検討するといったことも、今回指摘をしております。

それから、やはり令和の時代は、財政が抱える問題に正面から向き合う、財政健全化を揺るぎなく前に進める時代にしなければいけない。平成の時代の過ちを二度と繰り返さず、令和の時代にはしっかりと健全化を進めるといった決意を盛り込んでいると思います。

特に今回は、財政健全化を難しい航海に例えているわけで、その中で「セイレーンの誘惑」というエピソードも紹介しております。お読みになったとおりでございますけれども、ギリシャ神話のエピソードです。誘惑に負けない強い意思が必要という意味で、自戒も込めてこのようなエピソードを紹介して、しっかりと財政健全化を進めていく。あわせて、我々の審議会というのは、将来世代の代理人として、今後、進むべき航路を指し示していく羅針盤の役割をしっかりと果たすべきと、そういった決意も盛り込ませていただいたと思っております。

また、当審議会では、今年2月から4月にかけまして、昨年秋の建議を材料として一般の方々から意見募集を行いまして、364件、大変多くの御意見をいただきました。これは参考資料1にまとめておりますけれども、寄せられた御意見に対しまして、財政制度分科会としての考え方をできる限り丁寧にお示ししたところでございます。今、御覧いただいたとおりでございます。

それから、この春、財政審議会の発信力の強化の一環として、地方公聴会を開催いたしました。5月でございますけれども、開催するのは13年ぶりでございます。今回は、大阪で開催をいたしまして、滋賀県、奈良県、それから大阪府の各知事・副知事の方にも御出席をいただきまして、経済界の代表の方にも出ていただきました。特に、3府県の知事・副知事からは、府県内の保険料水準の統一、受益と負担の見える化、そういった取組を御紹介いただきまして、先進優良事例だと思っています。こうしたことを全国展開していく必要性を感じたところでございます。このことは、今年の骨太の方針の中にも盛り込まれることになると承知しております。

今回の建議では、このほか、社会保障をはじめとする主要分野におきましても、密度の高い、密度の濃い議論を行っていただきまして、取り組むべき事項を明確に示すことができたと思っております。

財務省におきましては、この建議を踏まえながら、今後の財政運営に当たっていただくように改めてお願い申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。

本日、この後18時から、委員の皆様を代表して起草委員会の先生方にも御同席いただいたうえで、麻生財務大臣にこの建議を手交することになっております。建議のメッセージをしっかりと大臣にお伝えをしたいと思っております。

最後でございますが、田中弥生委員におかれまして、今般、会計検査院の検査官に御就任されるということで、今回が最後の御出席となります。田中委員は、平成19年から当審議会の委員を務めていただきまして、教育分野をはじめとして、当審議会での議論に多大な御貢献をいただきました。これまでの御尽力に改めて感謝を申し上げたいと思います。今後、会計検査院の検査官としても、引き続き財政につきまして厳しくチェックをしていただくようにお願い申し上げたいと思います。

私からは以上でございます。

〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。

もしよければ、田中委員からも一言。どうぞ、厳しくチェックする心意気を。

〔 田中(弥)委員 〕 このような機会をいただきまして、大変光栄でございます。また恐縮しております。

本日は、本当にありがとうございます。12年、務めさせていただきまして、最後の最後になります。

ざっと振り返ってみますと、たくさん印象に残っていることがありますけれども、2つほど申し上げたいと思います。

1つは、ここに参加させていただいた当初ですけれども、当時は、田原総一朗さん等、重鎮の方々がいらっしゃり、すごい議論をされていて、とにかく格調が高い審議の場であるという印象を強く持ちました。その中で自分が言葉を発するということは、緊張感と恐怖感で、殆どできなかったと記憶しています。しかしながら、そのプロセスで言葉の重さというものを学ばせていただいたと思います。

それから、もう一つ印象に残っているのは、2009年8月に起こった政権交代でありまして、そこで財審のメンバーがわずかに6名か7名に絞られてしまったのです。一時は、財政審の存続が危ぶまれたのですが、こうした時代を経て、また徐々にこの人数に戻されたのです。おそらく、事務局は相当苦労されていたのではないかと思う時期でありました。

12年の間にいろいろありましたけれども、今、申し上げたことをとっても、財審のヒストリーというものがあるのではないかと思います。

今後に向けては、既に会長からもおっしゃっていただきましたけれども、ポスト2020、それから2025年問題等、まじかに迫る非常に厳しい問題に直面する中で、面と向かって、真正面から財政健全化について議論できる、非常に珍しいというか、希少な審議会であると思いますので、是非聖域を持たずに、質の高い御審議を国民に開示していただければと思います。

本当にありがとうございました。

〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。今後の御活躍を期待しております。

それでは、以上で本日の議題は終了とさせていただきます。

この後の段取りですが、会長から御挨拶ございましたとおり、この後、会長と私と起草委員で麻生大臣に建議をお渡しし、その後、記者会見を行う運びとなっております。そういう状況でございますので、報道関係者等にその前の段階でお話しすることのないよう、御注意いただきたいと思います。

それから、大変恐縮ですが、本日お手元に配付しております建議案でございますが、取扱い厳重注意、会議後、要回収ということで番号が振ってあるかと思います。本文見え消し版、それから概要、資料、全て保秘の観点から、会議後、回収させていただきます。お持ち帰りにならずに、机の上にお残しいただきますようお願いします。

なお、建議については、本日、事務局において印刷、製本の後、明日以降、速やかに皆様方のお手元に送付する予定でございます。御理解、よろしくお願いします。

本日はこれにて閉会いたします。大変ありがとうございました。

午後3時45分閉会