このページの本文へ移動

財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録

令和元年6月6日
財政制度等審議会


財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第

令和元年6月6日(木)10:00~12:05
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)

1.開会

2.とりまとめに向けた審議

3.閉会

出席者

分科会長代理

増田寛也

うえの副大臣

鈴木副大臣

伊佐大臣政務官

宮島大臣政務官

太田主計局長

神田次長

阪田次長

宇波次長

奥総務課長

阿久澤法規課長

中澤給与共済課長

一松調査課長

西山官房参事官

寺岡主計官

日室主計官

北尾主計官

前田主計官

中島主計官

吉野主計官

関口主計官

森田主計官

岩佐主計官

内野主計官

渡邉主計企画官

佐藤主計企画官

遠藤典子

大槻奈那

黒川行治

佐藤主光

十河ひろ美

武田洋子

中空麻奈

藤谷武史

宮島香澄

臨時委員

雨宮正佳

上村敏之

河村小百合

権丈英子

小林慶一郎

末澤豪謙

竹中ナミ

田近栄治

伊達美和子

田中弥生

土居丈朗

冨田俊基

平野信行

広瀬道明

堀真奈美

神子田章

横田響子


午前10時00分開会

〔 増田分科会長代理 〕 ただいまから、財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。

本日は冒頭から、うえの副大臣、鈴木副大臣、伊佐政務官、宮島政務官に御出席をいただいております。どうもありがとうございます。

本日は、建議の取りまとめに向けて、お手元にお配りしております「令和時代の財政の在り方に関する建議(案)」について御審議をいただきます。

本日、お配りしております建議案につきましては、これまで小林毅委員、田近委員、土居委員、冨田委員、中空委員、吉川委員に御議論いただきまして、案として取りまとめていただきました。どうもありがとうございました。

本日は、その審議と申し上げましたが、審議に先立ちまして、4月17日の会議において、一松課長から説明がございましたIMFの財政モニターについて、当審議会の佐藤委員、小林慶一郎委員が事務方とともに、IMFのガスパール財政局長と意見交換をされましたので、初めにその模様を佐藤委員のほうから御報告いただきたいと思います。

それでは、よろしくお願いします。

〔 佐藤委員 〕 よろしくお願いいたします。資料1を見ていただければと思います。

早速、1ページですけれども、これが前回、一松課長から示された図ですけれども、去年の財政モニターにおきまして各国のバランスシートが公開されたわけです。単に負債とかだけを見るのではなく、資産面も把握した上で財政の健全化を評価するべきではないかという趣旨に基づいて、この種のバランスシートが示されているわけです。

その中で、実はこのフィスカルモニターの中で、我々はメインではなかったのですが、日本がちょうど良い位置といいますか、資産と負債がバランスしていて、これではゼロではないかと、つまりネットの負債はないのではないかという立ち位置になっているわけです。実は、これは幾つかの本に出ていまして、これをもって日本は財政再建しなくていいのではないかと、そういう議論が出てきて、支障が出てきているというのが問題の背景にあります。

そこで、実際のところどうなのかということを、この担当だったガスパール局長に、実際、4月に小林(慶)委員と一緒に会ってきました。それが3ページになるのですけれども、彼からのコメントは黒字で書いているとおりの4点でありまして、もともと彼らとしましても、別にこの図だけで、財政健全化を評価するつもりはなかったということです。もちろん、フィスカルモニター2018を読んでいただくと、実際、そうなっているわけです。決して、これだけで全てを議論しているわけではないわけであります。

議論として、ポイントは4点ありまして、もちろんネットの負債という話もありますけれども、やはりグロスの意味での債務も第一の優先事項であって、このグロスの債務残高、及び財政赤字などに基づく評価というのは、やはりこれまでに続いて重要であるということであります。それから、これもさんざん議論されていることですが、資産といいましても、流動性を欠くキャッシュフローを生まない資産が多いというときに、資金需要を満たすことができないということになれば、政府の財政は脆弱になります。この辺も、実はフィスカルモニターに書いてあることです。

もともとIMFといたしましては、一貫して日本の財政健全化を支持しているということになりますので、そのスタンスをこの図は変えるものではないということです。特に大事だったのは、こういう財政健全化を評価するに当たって、やはり単に一つの指標だけ、例えばネット資産といった一つの指標だけを見るのでは十分ではない、いわゆる十分統計量ではないということでありますので、その辺は総合的に見ていかなければ、グロスの試算もあわせて総合的に評価しなければならない、ということを指摘されているということであります。

フィスカルモニター2018では、例えばストレステストなどをやりまして、財政の健全性がリスクに対してどのような脆弱性を持っているかということを、実はアメリカとか、フィンランドのケースなどで評価しているわけです。日本についてはやられていません。よって、単に一つの指標だけで良い悪いという議論はできませんということ、これはもちろん、フィスカルモニターにも書いてあることでありますので、IMFとしては、別に我々が聞いたから何かコメントを変えたわけではないということになります。

以上です。

〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。

ただいまの報告に対する御意見、御質問等につきましては、この後の建議の総論における審議の中でお伺いしたいと思いますので、そちらのほうでよろしくお願いいたします。

続いて、春の建議についてです。

審議に先立ちまして、取りまとめのスケジュール、お手元にいろいろ資料が配付されていますが、上のほうに「建議取りまとめスケジュール(現時点の予定)」というペーパーが1枚あると思いますので、そちらを御覧いただきたいと思います。

まず、本日、これから建議の本体、参考資料、概要について御審議いただきます。これが一番上の6月6日。そして、後ほど申し上げますが、これに対しての意見の締切がございまして、次回の分科会は6月19日の15時から16時、これは取りまとめということになりますので、そこで審議した後、本体を同日中に麻生財務大臣にお渡しすることを予定しております。建議の大臣への手交、そして記者会見ということです。マスコミにも19日にオープンということでございます。

このため、円滑な意見集約のために、先ほど申し上げましたように、本日の御審議のほか、書面のコメントの機会を設けるということでございます。まず、本日の会議について、この場で皆様から御意見をいただきますが、さらに本日の会議終了後に追加でコメントがある場合には、ショートノーティスで恐縮ですが、明日7日、金曜日の12時までに事務局にメール等で提出いただきたいと思います。様式は自由で結構でございますので、この点についてこうだということで、修文案も含めて御提出をいただければと思っております。

本日の審議や、書面で提出をいただきましたコメントを踏まえて、起草委員会において改訂版を作成し、次回の会合の前に事務局からお送りをするということにしたいと思います。

委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中でありますが、しかも短い時間で御確認をお願いするということになり恐縮ですが、何とぞ御理解いただきたいと思います。

それでは、議事に移りまして、建議の審議の進行ですけれども、これから12時までの間に全体を3つに分けて審議したいと思います。まず、建議の総論と、後ほど御説明する意見募集に寄せられた主な意見について、この部分に先ほどの佐藤委員からの御説明の質疑ももしあれば含めていただいて結構ですが、こちらについておおよそ30分程度。その後、各論のほうになりますが、まず1番目の社会保障、そして2番目の地方財政について同じく30分程度。最後に、3番目の文教・科学技術、4番目の社会資本整備について、こちらも30分程度。おおよそ3つに分けて、30分、30分、30分をめどに審議を進めていきたいと思います。

それから、本文に加えて、お手元に概要版もお配りしております。分厚い資料になりますが、参考資料もお配りしておりますので、概要や参考資料につきましても各審議のパートで御意見をいただければと思います。

あとは、やり方ですが、委員の皆様方から御意見、あるいは御質問を含めて御発言があった場合には、本日、私から見て右側に座っていらっしゃる起草委員の方々からお答えをしていただくという形で、従来どおり進めていきたいと思います。

それから、本日、御欠席の赤井委員、神津委員から意見書を提出していただいておりますので、お手元にまた配付してございます。こちらもお目通しをいただきたいと思います。

それでは、今、意見募集のことを申し上げましたが、審議に入る前に、参考資料1ということで「『平成の財政を振り返り、次の新たな時代に向かう意見募集』に寄せられた主な意見について」という資料がございますので、こちらについて簡単に御説明申し上げたいと思います。表紙に、今、申し上げましたタイトルが書いてあります。

当分科会では、本年2月から4月にかけて「平成の財政を振り返り、次の新たな時代に向かう意見募集」ということで、昨秋に分科会で建議を出しましたが、これを素材に、平成の税制を振り返る御意見や、財政健全化、効率化のアイデアを国民の皆様方から募集いたしました。寄せられた意見は、全部で364件になります。重複する意見をまとめ、要約を行うなどして、お手元の資料のとおり主な意見を整理しました。これがお手元に配付されているかと思います。

そのうえで、財政総論に関する主な意見については、国民の皆様の間でより良い議論が行える素地をつくっていくために、起草委員の皆様方に当分科会としての考え方を整理していただきました。なお、財政総論以外の意見、あるいはアイデア等については、今後の審議の参考にすることとして、資料の後半のほうにまとめて掲載をしております。手元を御覧いただきますと、要約されていますが、左側が主な意見、右側がそれに対する分科会の考え方ということで、参考資料の番号も明示して整理をしたということでございます。

この資料については、19日の建議取りまとめの際に、本建議の参考資料としてあわせて公表することとしております。この点についても、御承知いただきたいと思います。

それでは、総論と、ただいま御説明した意見募集に寄せられた主な意見について審議をいたします。議論の時間はおよそ30分を目安としますが、本文、概要、参考資料について御意見がある場合は、ネームプレートを立てて、こちらのほうから指名しますので、それで合図をしていただければと思います。

なお、お手元の資料ですが、事務局が事前に送付させていただいたもの、数日前に送付したかと思います。それと、昨日の夜遅くまで、いろいろ修正作業が引き続き並行で行われておりますので、今、お手元に配られているものは、以前、送付したものから若干の修正が変わっております。もし、御発言でページ数や行数、実際にはそういう形で言及される場合が多いと思いますが、混乱を避けるために、すみませんけれども、本日、積み上げて配付してございます、お手元の最新資料のページ数や行数をお示しいただけると幸いでございます。御自分で、事前にお配りしたものでいろいろ書きとめておられる方あるかと思いますが、最新資料でページ数や行数を御確認いただいて、お示しをいただければと思います。

それから、これは毎度毎度で恐縮ですが、御発言は2分程度を目安に、手短にお願いするということと、建議の最終段階に差しかかっていますので、修文の提案はもちろんあるかと思いますが、できるだけ具体的な修文案でいただけますと議論が建設的に進むと思いますので、そのようなことを踏まえて、よろしくお願いしたいと思います。

少し事務的なことも含めて申し上げましたが、以上でございます。

それでは、総論と、ただいまお手元の参考資料として御説明した意見募集に寄せられた主な意見について、それから先ほどの佐藤委員の御説明に対する御質問もあれば、それも含めてお願いをしたいと思います。

佐藤委員、小林(慶)委員と、こういう順番で順次、行きたいと思います。

では、佐藤委員、よろしくお願いします。

〔 佐藤委員 〕 では、手短に。

まず、参考資料ですけれども、参考資料の中で、いわゆる財政再建の奇策の一つとしてシムズ理論が挙げられておりますし、本文のほうでもそういう奇策はないのだということを強調しているのですが、最近の流れでいくとMMTを少し、参考資料の中ででも言及しておいたほうがいいのかなと思いますというのが1つ目です。

もう一つは、意見書の中で出てくるのは、日本はこれまで緊縮財政をやってきて、それが何かいけないのではないかという議論が、例えば意見募集、参考資料1の7ページなどに出ているのですが、我々、緊縮財政をやった覚えがなくて、増税もしてこなかったし、歳出もカットしてこなかった、つまりやっていないのです。なので、参考資料も含めて、実はここ10年、特にリーマンショック以降、実は財政は膨張してきたのだということを、本文、及び参考資料において明記するほうがよくて、それは歳出の構造的な要因、社会保障とか、いわゆる構造的な収支にかかわるものであるということで、この辺りは強調したほうがいいのかなと思います。

それから、財政再建について何のためにやるのかということで、今回はどちらかというと受益と負担のバランス、将来世代に対する負担の回避が強調されていますけれども、もう一つ、同じような視点ですが、やはりリスクマネジメントという観点で、将来、例えば大震災、南海トラフ地震が起きるかもしれませんし、リーマン級のショックが起きるかもしれない。財政再建は何のためにやるかというと、将来、借金するためにやるのですという、将来の財政出動に対する柔軟性も確保するのだと。そういった視点も一つあったほうがいいのかなと思いました。

最後に、9ページのオデュッセイアの話、すごくいいと思いますが、この間の「共有地の悲劇」に続けてなかなかいいとは思いますけれども、これ、いろいろ甘い幻想の話が出てきますけれども、要するにこれがMMTを含めた奇策であったり、そういったものなのだということは明記したほうがいいのかなということと、少し出し方に気をつけなければいけないのは、オデュッセイアの話というのは、要するに目をつぶっているのですよね。だから、見方を変えると、国民の意見を聞かないのかという話にもなりかねないので、そういう意味ではなく、自分の内なる誘惑に勝つために目をつぶるのであって、外の意見を聞かないという意味ではないということ。この辺りを、多分、オデュッセイアの中にもそういう記述はあると思うので、その辺りは書きぶりを考えたほうがいいのかなと思いました。良い例だとは思いますが。

以上です。

〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。

整理は、最後に起草委員にお願いしたいと思います。先に順次、指名しますので、御意見等々をお願いします。

小林慶一郎委員、お願いします。

〔 小林(慶)委員 〕 私は、修正の意見ではなくて、むしろ来年に向けての課題として考えてみたらいいかなということを2点だけ申し上げたいのですけれども、先ほどの佐藤委員のお話の中にあったように、何のために財政再建するのかというポイントは強調することが必要だと思います。文章を読んでいて、総論は非常に格調高くて、志の高い文章で、素晴らしいと私は思います。ただ、そう思うのは、きっと財政再建をやらなければいけないと思っている人はそう思うけれども、そもそも財政再建を何でやるのかという人の心にどうやったら響くのかという気がします。

そのときに思うのは、先ほど佐藤委員も言われた、何のために財政再建するのかということについて、どういう価値観というか、どういう国を将来世代に残すべきなのか。何か財政という枠にとらわれない、政治的な価値観みたいなものとしてどういう国を残すのか。それを残すために財政再建が必要なのだという論の立て方をもしできたら、来年、以降少し考えたらいいのではないか。そういう意味では、国の在り様として何を求めるのかということを、財政審でも議論をしてもいいのかなというのが1点目。

2つ目は、将来世代にツケを先送りするといったときに、なかなかピンとこないのは、将来世代というのは一般的な名詞で、イメージできないからだと思います。だから、文章を読んだときに、自分の家族とか子供がイメージできるような、固有名詞を思い浮かべるような文章にできないか。これ、どう書けばいいのか、私、夕べ考えましたけれども、なかなかアイデアがなくて思いつかないのですが、読んだ人が自分の家族の固有名詞を思い浮かべるような文章を何か書けないかということを、来年以降の課題として考えたいと思います。

〔 増田分科会長代理 〕 はい、分かりました。

総論の部分なので、ページ数、行数を示して、どうのこうのというのは若干言いにくいところがあるのですが、できるだけ具体的におっしゃっていただいたほうが、あとで作業をやりやすいかと思います。

木村委員、お願いいたします。

〔 木村委員 〕 建議案をまとめていただいて、ありがとうございました。

特に、5ページにある財政の長期集計の必要性というのは非常に重要と思いました。確かに、ここに指摘されているように、これまで内閣府が公表している中長期の財政試算というのは、対象期間が10年程度と短く、財政の構造に大きく影響する高齢化や人口減少といった社会的変化はその後に本格化していくという見方があるので、そういう意味でも、長期推計は是非しっかりやっていただきたいと思っております。

あと一つ、私が少し気を回し過ぎなのかもしれないのですけれども、冒頭、出てくる令和のことです。「一人ひとりの日本人が明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる、そうした日本でありたいとの願いが込められている」というのは、総理も説明していて、希望をつなぐために財政健全化が必要だというのは、私もそうかなと思います。冒頭に令和を出してくるというのも、新しい時代が幕を開いたという意味では、それにあわせたものなのでしょうけれども、令和の受け止め方というのは国民の間でも様々な意見があると思います。そこで少しひっかかる人もいるのかなという気がしないでもないので、これでも構わないのですけれども、そこの部分が気になりました。これは、あくまで私の感想です。

〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。

権丈委員、お願いします。

〔 権丈委員 〕 建議の取りまとめ、ありがとうございます。

木村委員も言われたところですが、財政の長期推計の必要性を説いているところに賛同いたします。特に、社会保障にとって非常に重要な面ですので、堅実な経済前提に基づいて将来像を見えるようにしておく、国民が建設的な議論をできるようにしておくということは、強調しておいてよいと思います。

1点、案でございますが、参考資料1に「寄せられた主な意見」がございます。そちらの7ページの上の最後のほうに、近年の我が国の1人当たり実質GDPの伸びは、他の先進諸国と比べて遜色がないという分科会の考え方が示されております。この点は非常に重要なところだと思いますので、建議の3ページの15行目辺りにも挿入して、遜色がないことを考慮して、堅実な経済前提に立って考える必要があるとされてもいいのではないかと思います。一つの案ということで、お話しさせていただきました。

以上です。

〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。

末澤委員、お願いします。

〔 末澤委員 〕 起草委員の方々、取りまとめどうもありがとうございました。昨年末の建議に続いて、相当、格調高い文書でございまして、しかも昨年より専門用語がやや減って、分かりやすくなっていると思って感心しております。

その中で2点ほど、1つは「セイレーンの誘惑」、これはいいと思います。若い方によく読んでいただくということで見ると、セイレーンというのは割と映画とか、ゲームの世界でもよく使われていまして、いいと思います。ただ、プライマリーバランスです。実は、これは毎年、申し上げているのですけれども、プライマリーバランスについて、今回、4ページの第5番目のところに「その時点で必要とされる政策的経費を、その時点の税収等でどれだけ賄えているかを示す財政指標である」と書かれています。前回、参事官のほうからも御説明いただきましたが、昨年、財務省のアンケート調査で、プライマリーバランスの意味が分かっている人は、まあまあも含めて20.5%、うち、人に説明できるのはわずか4%です。ということは、やはり96%の方向けに、注釈でも結構なので、もう少しプライマリーバランスの定義と、何で必要なのかという分かりやすい説明が、私は必要だろうと思います。

最後、細かい点ですが、例えば5ページの23のところに、「団塊世代(昭和22年から24年生まれ)が全て後期高齢者となる2025年度」とあります。何が言いたいかというと、要は1947年から49年生まれの方が2025年度には75歳になると、こういう意味です。ただ、今年、令和にかわりましたので、多分、今後、昭和、場合によったら明治、大正、令和と西暦の関係が相当ややこしくなると思います。今回、少し見えにくくなるかもしれませんが、昭和とか、令和を書くときは、一応、西暦を下に括弧書きでつけていたほうが、これから数年たつと、これは何年だろうと、多分、計算ができない方も増えてくると思いますので、そこの配慮があったほうがよろしいのかなと思います。

以上でございます。

〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございます。

次、田中(弥)委員、お願いします。

〔 田中(弥)委員 〕 ありがとうございます。

おまとめ、大変お疲れ様でした。私は、質問が1点と、それからコメントが1点になります。

まず、質問ですが、参考資料1の主な意見についてであります。この一覧を拝見させていただいて、主な意見とは書いてあるのですけれども、一体、誰がこのコメントをしたのかと素朴に思いました。財政について、あるいは、こういう分野について、かなり予備的な知識がないと、ここまで書けないのではないかと思うようなコメントもあります。そういう意味で、これを公表するときに、どういうようにアップするのかというのが質問であります。例えば、これはこうこう、こういう機会に意見を募集して、主にこういう年齢層で、こういう属性の方からの意見であったということがないと、これは一体、誰の意見なのだろうというような印象を持ちました。この点が質問であります。

2点目は、コメント、意見になります。総論に関するものであります。総論の8ページ辺りを開いていただきたいのですが、いわゆる広報の大事さというものを説明されていて、これまでの財務省としての様々な取組についても説明をしていただいていると思います。前回の議論を聞いていて、そして、この文書を読んでみて、はたと思ったのは、どうしても教育というと若い層をターゲットにしているのですね。ただ、若い層は、先送りをされる対象であるのです。今現在、ディシジョンメイキングをできる立場にはなく、納税をしているわけではないのに、若い方への教育、発信にウエイトが置かれてしまうと、負担だけではなくて責任まで先送りしてしまうような印象を与えかねないと思います。そこで、例えば8ページの最後の文章の最後のところに「また、納税、あるいは投票権を有する現世代に対する理解を促進すべく発信をすることが重要であることは言うまでもない」とか、今の確定権を持つ立場の方たちに対する働きかけもしているのだということを、きちんと建議書の中でも私どものスタンスとして示すべきではないかと思いました。

以上です。

〔 増田分科会長代理 〕 神子田委員、お願いします。

〔 神子田委員 〕 取りまとめ、どうもお疲れ様でした。

田中(弥)委員がおっしゃったところで言えば、8ページのところは、若い世代に対してこれだけのページというか、分量を割いたということは、非常にいいと思っております。というのは、大体ここにいらっしゃる先生方、私より上の方とかは特にそうだと思いますけれども、この財政危機から辛うじて逃げ切れるといいますか、年金ももらって、医療給付も受けて、それで死んでいかれるのではないかという感じですが、若い世代は、これからツケを受け継ぐので、たまったものではないという意識ですね。要は、将来世代に何を残すかということで、田中(弥)委員おっしゃったように、今、責任ある人たちがどう考えるかということを訴える意味で、こういう将来世代を意識することは良いことかなという感想を持っています。

それと、具体的な中身で、例えば1ページの25行目に「出口」とありますし、ほかに5ページの11行目にも「出口」とあるのですけれども、金融政策の出口というと異次元金融緩和、この異常な政策がいつ終わるのか。それは、物価が上がっていって、ようやく普通に戻せるみたいなイメージがつかめるのですけれども、この出口というのは、別にプライマリーバランスがということではなくて、もっと長期的に負担と給付のバランスがとかいうことなのか、あるいは後期高齢者が何分の1も占めてというしんどい時代が、やがてその方は皆死んでいくので、亡くなると、今度、負担が軽くなるのですけれども、そこを出口というのか。この出口というのが、少し聞いただけでは分からないので、定義をもう少し具体的に示していただければと思いました。

もう1つは、具体的な修文です。3ページの大項目3番「堅実な……」というところが、要は現実味のあるということなのかなと思っています。例えば、これまでの反省を言いますと、10行目の「我が国の財政の見通しについて」の後に「達成しようのない高い成長を前提に置くことなく」と入れて、「エビデンスに基づかず、甘い幻想や楽観を振りまくことは」とつなげたら、よりこれまでとの決裂がはっきりするのではないかと思いました。

以上です。

〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございます。

次、宮島委員、お願いします。

〔 宮島委員 〕 ありがとうございます。

大変な取りまとめ、どうもありがとうございます。3点、申し上げます。

1つは、長期推計、本当に必要だと思っております。私どもメディアも含めて、実は今の推計から、単純にやはりかために、下のほうを見たほうがいいのではないかというのとともに、この推計は本当に信用できるのだろうかというような疑念がないこともないのが正直なところです。ですので、例えば文言で言うと「より堅実な推計で」「堅実で信頼性の高い」みたいなところを、少しだけ入れていただければと思います。その心は、今すぐにはできないと思いますけれども、やはり海外のいろいろなお話を聞いても、それが別の組織ですとか、より信頼性の高い形で推計がなされているというような現状があります。今の日本で、すぐにどうしたらいいかということは非常に難しい問題だとは思いますけれども、この推計の信頼性が高いということは非常に重要なのではないかと思って、ほんの一言だけ、それを入れていただければと思います。

2つ目は、総論のほうがいいのか、社会保障のほうがいいのか分かりませんけれども、社会保障を立て直すためにいろいろ改革が必要なだけではなくて、社会保障にとらわれているために、ほかの必要な歳出のところになかなか割けないという日本の現状を、どこかで入れていただければと思います。実際、今の状態で、災害が続いたときなどにお金を十分に割けないでしょうという心配もあるのですけれども、そのほかの歳出も、結局のところ、国民は必要だと思っていても、現状、抑えられている分野がとてもたくさんあると思います。人材の面でも、お金の面でも、実際、本来、AIとか、先端のところに行くべき人材や金が、実は今、医療などの社会保障にとられ過ぎているのではないかというような意識もありますので、どちらかで、社会保障の改革の必要性のところか、総論かどこかに入れていただければと思います。

3つ目は、IMFの財政局長との面会、非常に興味深く拝見しました。やはり専門家同士のこういうやりとりというのは非常に参考になりますので、IMFのように比較的、財務省と意見が遠くないであろうと世の中に思われている人だけではなく、少し遠いのではないかというような方々とも意見交換をしていただいて、それを共有いただくということがあれば、非常にありがたいと思います。

以上です。

〔 増田分科会長代理 〕 藤谷委員、お願いします。

〔 藤谷委員 〕 ありがとうございます。取りまとめにお礼を申し上げます。

私が少し気になりましたのは、総論4ページ、7行目辺りから出てくる「現世代」という言葉です。去年の秋は「現在の世代」という言葉を使っていましたが、今回「現世代」という表現に変わっているような感じがします。それ自体は、別にただの言葉尻のように思われるかもしれないのですが、現世代と言ったときに、普通、現在の世代と読みかえると思いますが、気になりますのは、現役の今、働いている世代からすると、受益よりも負担のほうが大きいという感覚がやはり強いと思うんです。その辺り、現世代として確かに受益と負担はつり合っていない、税財源だけで賄えていないというのはそのとおりですけれども、他方で全世代型社会保障ということもありますし、もう少し何というのか、負担と受益をバランスさせるのだと言ったときに、誰に向かって言っているのかということを、多少、センシティブというか、意識したほうがいいのではないかということが、若干、気になりました。メッセージに異論があるというわけではないのですが、少しその点に、特に今、働いている世代に対するメッセージの伝え方というのは、多少、工夫の余地があるのではないかと思いました。

簡単ですが、以上です。ありがとうございます。

〔 増田分科会長代理 〕 平野委員、お願いします。

〔 平野委員 〕 ありがとうございます。

今回、短期間でこれだけ、とても充実した内容の建議案をまとめていただきまして、とりわけ起草委員の皆様にお礼を申し上げます。

今回のドラフト、まさに日本の財政が直面している様々な課題を的確に指摘しておられますし、かつ、その対策もかなり踏み込んで書いておられるということで、基本的に異存はありません。ただ、幾つかの点については、重要性であるとか、深刻度であるとか、あるいは時間の切迫度をもう少し強目、あるいは率直に書いてしまってもいいのではないか、表現したほうがいいのではないかと感じているところもありますので、この後、それぞれコメントさせていただければと思っています。

まず、総論ということでありますけれども、何といっても、今年10月の消費税率の引上げは、これ以上の延期は決して許されないということでありますし、この消費税率の引き上げが実現した後も、今、問題になっている低負担・中福祉の是正に向けて、今のうちから、さらなる税率の引上げについても国民的な議論を始めておく必要があると、私自身は思っています。

そのため、2つほど修文といいましょうか、付け加えられないかということです。2ページの29行目を「財政健全化に向けた大前提として、今年10月に消費税率を10%に確実に引き上げる」というようなことを書いていただいてはいかがか。念押しですね。

それから、先へ飛びますけれども、社会保障のところに入ってしまいますが、13ページの2行目ぐらいのところで「社会保障の伸びの抑制に取り組むことが不可欠」となっているのですが、今、言った脈絡で「更なる歳入改革について検討を開始する必要がある」と。抑えるだけではなくて、入るほうもやはり必要だと思うと、どこかに入れていただけないかと思います。

それから別の話で、概要ペーパーを御覧いただきたいのですが、これで見ると、今回、私どもが一番重要だと思っている社会保障のボリュームが少ないです。1ページ目の下のほうに、かなりコンパクトにおさめられております。記載内容も、医療提供体制の効率化などといった、議論された重要なキーワードがここには書いていないということであります。政治家の先生など時間がない方は、やはり概要版を御覧いただく機会が多いと思いますので、できれば2ページの文章量を抑えて、社会保障についてもう少しここに書き込んでいただいたほうがいいのではないかと思っています。

以上です。

〔 増田分科会長代理 〕 概要版の関係も含めて、御意見を承りました。

先に起草委員以外の方に全部、意見を伺いたいと思うので、武田委員、伊達委員と、この順番でお願いします。

武田委員からお願いします。

〔 武田委員 〕 どうもありがとうございます。

私も、基本的に大変よくまとめられている建議ではないかと思っておりまして、その点では起草委員の皆様に心から感謝申し上げたいと思います。その上で、1点質問と、1点コメントでございます。

1点の質問でございますが、1ページ、下から3行目に「財政状況を乗り越える財政問題の『出口』を」と書かれています。もちろん、財政を健全化していくということだと思いますけれども、あえて「出口」と書かれたからには、何を出口の目安としてお考えのうえでここに書かれているのか、起草委員の皆様の見解を確認させていただければと思います。

また、8ページ目にございますが、先ほど平野委員が時間軸の問題をおっしゃられたのですけれども、私も、その時間軸という観点では、もう少し切迫感を出されたほうがよいと思います。

例えば、「2040年代半ばごろに社会の支え手となっている世代があり、そのころまでに受益と負担の乖離の解消がなされていなければ」と書かれているのですけれども、高齢者が一番増えるのは2022年からの数年であるということを考えると、私は、受益と負担の関係はそこまでに是正をされていないといけないという認識でおります。この建議の時点で既に先送りを提唱しているかのようにみえますが、訴えたいことは、本来、支え手が減るので、中長期的にサステイナビリティを議論していきましょうという視点だと思います。とくに、受益と負担に限定しますと、もう少し手前で高齢者が増える時期の危機感が、やや後退するのではないかという問題意識を持っております。

その点では、概要の2ページについても、先ほど社会保障についての言及が足りないという御指摘が平野委員からございましたけれども、私も、切迫感、時間軸という意味で、もう少しその点を意識した記述にしていただくことを希望いたします。

以上です。ありがとうございます。

〔 増田分科会長代理 〕 伊達委員、お願いします。

〔 伊達委員 〕 ありがとうございます。

将来世代にフォーカスというところが当初から言われていると思いますが、それについては当然のものであると思います。それを解釈すると、当然、無駄な扱い方をしないということであり、さらに必要なことは、これは、将来のための投資だということです。

そういう意味で、後半の38、39ページ、教育の部分です。教育をするに当たって無駄な事務等々は効率化していくということはあるのですが、もう一歩踏み込んでいただいて、そもそも教育のカリキュラムをもう少し抜本的に見直しながら、将来欲しい人材とは何かということを議論するような方針を打ち立てていただきたい。特に、基礎教育というのは何十年もノウハウがあるのですから、それ自体はノウハウによってもう少し効率的にすることができ、その分、思考のトレーニングであるとか、ITリテラシーであるとか、語学であるとか、もしくは将来を見据えたものを初等教育、高等教育カリキュラムの中に入れていく仕組みを構築する。そういったことが、将来に向かった生産的な投資になるので、そうした視点も加えていただけないかと思っています。

もう一つは、社会資本整備も長期的な投資です。これは、量から質へという言い方は、そのような言い方でもう何十年も言われているように思っています。47ページを見ますと、量から質へと言い、その後は基本的にパーツ、パーツの各論の議論が永遠に繰り返されていくような印象を持っています。そもそも質とは何かということを、もう少し上段のところで方針を明確化されてはいかがかと思います。民間企業もそうですが、生産性を上げる必要があり、投資は集中と選択であり、効率化していく必要があり、そしてまた、同じように将来のための投資ということを考えなければいけない、持続性というものを考えなければいけない。さらには、ITの技術が進化していくことにより、IoTということを考えながら投資をしていく必要があり、そして、その背景にあるビッグデータを活用し、将来の戦略を立てていく。そういったトータルソリューションを持って、社会インフラのための高額な投資をし、管理、運営していくからこそ、持続された社会が築かれるのだということだと思います。

そういう意味で、この4番の社会資本整備の方針の上位の方針は、この30年間、ほとんど変わらないように感じますから、もう少し踏み込んだ言い方をしていただけたらと思いました。

以上です。

〔 増田分科会長代理 〕 今の点は、後ほどまた文教と社会資本のところをやりますので、そのときに起草委員からお答えしていただければと思います。

遠藤委員、お願いします。

〔 遠藤委員 〕 おまとめありがとうございます。私は、内容というより、少し細かいところ、表現の問題で指摘をさせていただきたいと思います。

令和の時代の財審の建議は、こういう新しい形になるのかなと感慨深いものもあるのですが、総論を拝読しますと片仮名が非常に多くて、2ページの「チェックするインセンティブ」とか、5ページの「バックキャスト」も、「フォーキャスト」の反対なので分かるのですけれども、7ページの「エビデンスに基づいたファクト」とか、8ページの「チャネルとコンテンツ」、こういうのはSNS絡みなので難しいかもしれないのですけれども、「モニタリングしながらアップデート」とか、9ページの「アドバンテージも活かしつつ、リスクマネジメントを適切に」とか、編集者的には片仮名を使うということは意味をぼかすという意味もあるので、日本語に置き換えられるものについては、できれば置き換えたほうが建議らしいかなと思った次第です。これは、もう好き嫌いなので、最終的には起草委員の皆様にお任せしたいと思います。

あと、これも好き嫌いなのですが、総論の最初の「新たな時代が幕を開いた」というところが、もちろん文学的にはどうなのか分からないのですが、別に次の万葉集を典拠とするというようなことから始まってもよいのかなと。1ページ目を読むと、ちょっとびっくりする冒頭の文言だなと思いました。これも好き嫌いの問題ですので、お任せいたします。

〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございます。

大槻委員。

〔 大槻委員 〕 ありがとうございます。

私も少し細かい話ですけれども、2ページ目のところについて2つほど、あと、もう一点ですが、12行目のところで公債負担の話が出ています。ここ、なるべく細かく、批判がないように入れようとされている趣旨は分かるような気がするものの、「将来世代のうち国債保有層は」というところは、おそらく将来世代で、少なくとも直接的に国債を保有している層はほとんどいらっしゃらないでしょうから、わざわざここで行を入れると、誰のことかしらと思わないでもないかもしれない。それよりは、やはり素直に読めるように、「将来世代の負担について」という後の行だけ生かせばいいのかなと思いました。ここをカットしてもいいのかなと思いました。

もう一点は、平野委員も御指摘の消費税増税の引上げということについて、皆様からは意外かもしれませんが、個人、特に市場等に絡んでいるような人々は、今でも、消費増税を今、引上げというのはあり得なくないか的なコメントも多く見られるので、やはりそうではなくて、これはもうマストであり、原則としては引上げなのだということが分かるような書き方で、「確実に」と入れることは私も賛成です。

それから、8ページ目のところで、今回は個人の、特に若年層に対してリーチしたということを入れているのは、やはり非常に新しい試みであり、強調もされるべきだと思いますので、ここが入っていることは非常にいいと思いますが、ついでにというか、できることならば、最初の段落にある発信のところにリンクを入れることができないのか。資料を参照してください、クリックすれば出ますということよりは、ワードの情報発信というところをクリックすると、すぐにその内容が見えるとか、コンテンツのところとかも、そういった形でより多くの人に、せっかくの成果ということで見ていただけるようにしてもいいのかなと思った次第です。

以上です。

〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。

では、竹中委員。

〔 竹中委員 〕 すみません。言わないでおこうかなと思ったのですけれども、総論の最初の1行の「新たな時代が幕を開いた」というのは、「新たな時代の幕が開いた」のほうが日本語としてどうでしょうか。つまらないことですが、何かそのほうが、落ち着きがいいような。

〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。

それでは、起草委員ということで、吉川委員と土居委員ですが、吉川委員、どうぞ。

〔 吉川委員 〕 ありがとうございます。私、起草委員を仰せつかっていながら、十分に参加できなかったものですから、ほかの委員に御礼を申し上げるとともに、このオープンの場で、一言、具体的なコメントをさせてください。

建議、3ページの下の25行目、最後のパラグラフから4ページの頭です。もちろん、この建議が言わんとすること、その趣旨は私、理解できますし、完全に賛成ですが、具体的な、てにをは的なことになります。3ページの一番下、30行目でしょうか、その1つ上からですと、「過去の経験則から確かなものとは言えず」というのはもとよりそうで、私であれば「言えない。」で切って、その次は個人的に若干の異論があります。つまり、「少なくとも名目成長率は、名目金利と同程度と考えることを基本とすべきである」というのは、金利と名目成長率の統合を基本とすべきだと読めるわけですが、私自身は、中長期的には厳密な不等式が成り立つという考えです。この建議が批判的に言及している内閣府の長期試算でも、御存知のとおり終わりのほうでは、シミュレーションは金利が成長率を上回ってくるようになっているかと思います。最後の辺りです。

同じく、4ページの一番上「仮に名目成長率が名目金利を上回るとしても」という文章、これは「上回る時期があるとしても」が正しい。足元もそうですし、短期的には、実はその短期が10年になることはあるかもしれませんが、財政再建はそれより長いスパンで考えるべきだと。長期試算のことも、我々は建議で提案している。10年も含めた、いわば短期的にはどういう気持ちで、「名目成長率が名目金利を上回る時期があるとしても」と、これが先ほども申し上げたとおり正しいステートメントだと思いますが、そのような修文はどうでしょうか。

ありがとうございました。

〔 増田分科会長代理 〕 どうもありがとうございました。

それでは、総論の部分は土居委員が起草されていますので、土居委員にまとめていろいろお答えいただいて、次、田近委員ということにいたします。

〔 土居委員 〕 お答えもさせていただきますけれども、私、財政モニターの話で意見がございます。

大変良いディスカッションを、IMF当局の方とされたと思います。こういう形で面会の記録を対外的に公表するということも、とても大事だと思います。

私が一つコメントしたいのは、こういう1ページのような資産と負債のバランスを見るというのは、公会計的に見ても、生産価値で測っているというような感じですね。つまり、明日、日本政府が解散してしまうとしたら、幾ら債務が返せるのか、返せないのかということを言っているだけであって、本来ならば継続価値ではかるべきである。日本政府を、明日、解散させたいなど誰も思っていないということであると、継続価値で測ったときにバランスシートをどういうように評価するのかということを、もっと正面から考えるべきだと。IMFの分析にケチをつけるつもりはないですけれども、特に日本国民に対するメッセージということで言えば、継続価値で測ったらこういう見方にはならないということは強く言ってもいいのかなと思います。

以上です。

〔 増田分科会長代理 〕 それでは、田近委員、土居委員と、こういう順番で行きましょう。

〔 田近委員 〕 大きなリプライは土居委員からしてもらうことにして、私も、まず財政モニターについて、これは非常に良い機会だったなと。今、いただいたものを読みましたけれども、IMFも、ネットデットがゼロに近いから財政的に安全だとか言っているわけでは全然ないわけですよね。財政問題を考えるときにはグロスのネットを考える必要がある。また、資産も、売却できないものもあれば、評価が下がることもあるということで、日本の財政健全化については第4条の報告で言ったとおりということだと思います。

ということは、逆に言えば、この財審の場でも、もっと国のバランスシートを正面から議論してもいいのではないか。実際、黒川委員がここにいらっしゃいますけれども、発生ベースでバランスシートもつくっているし、P/Lに相当するものもつくっているわけです。そうすると、試算についても、ITとかいろいろ進んでいますから、売却できなくても、それを運用してマネタライズすることも可能かもしれない。ということで、決してネットデットで財政問題がクリアされるわけではないということを前提にして、だからこそ、しっかりここで共有して、財政健全化との関連を議論すべきではないかと思います。

あと、この表でも分からないのは年金債務をどうやって扱っているかで、実は日本のバランスシートは、年金債務は入っていないということも含めて、是非発生ベースのバランスシートのセンスで日本の財政を議論するコーナーというか、セッションがあってもいいのではないかと思います。

それから、建議の総論については、いただいた御意見はそれぞれごもっともだなと思っていても伺いました。ただ、起草に加わった者の一人として、私がどう考えて加わったかということですけれども、2015年の骨太があって、これをずっと財審の要の一つにして、2020年度までに国・地方のプライマリーバランスを黒字化するということを言ってきたわけですよね。それが昨年、2018年の骨太で、そのゴールが2025年度に延びて、2021年度に中間の検証を行うと。したがって、今回の建議というのは、2018年にそういうことになってしまった、そして2021年度に中期検証が設定されている中で、私は、3ページ、4ページ、5ページ辺りが、今、字句的な、内容的なことで吉川委員が修正を要求されましたけれども、やはり財審としては、健全な経済前提と名目成長、それから金利の関係も含めて、そういうきちんとした前提で議論して負担と給付の関係を調整していくべきだと。今回は、これが一番の我々のメッセージだと思ってつくったということです。字句については、この後に修正させていただきます。

〔 増田分科会長代理 〕 土居委員、お願いします。

〔 土居委員 〕 多岐にわたる御意見、誠にありがとうございます。基本的には、できるだけ反映させる方向で承りたいと思いますけれども、少し個別にお答えをさせていただきたいと思います。

まず、佐藤委員から出てきたMMTの話ですけれども、参考資料1の4ページにMMTに対する意見ということで書かせていただいております。それから、リスクマネジメントに関しては、基本的には、6ページの冒頭ですけれども、そういうニュアンスを書かせていただいているつもりでおります。地震とか、自然災害とか、そこまで露骨には書いておりませんけれども、そういう将来的なことを見越した財政運営ということであります。

小林(慶)委員からの御意見は、できるだけ近い将来に検討したいと思います。

木村委員と遠藤委員、それから竹中委員もおっしゃった冒頭というところですね。そこは、表現ぶりを相談して、改めて改訂案を皆様に御覧いただこうと思います。

権丈委員から、成長率に関する記述を本文の3ページに挿入してはどうかということは、基本的にはお受けする方向で反映させたいと思います。

末澤委員から、プライマリーバランスの表記を平易にするということは、注にでもできるのかなと思いながら、どういう形で平易に書くかは起草委員のほうで検討させていただきたいと思います。それから、元号についてですけれども、基本的に全編にわたって、過去については元号であらわしていて、将来にわたる、つまり2020年以降に関しては併記という形にしています。全部を西暦と元号併記すると、なかなか冗長な感じになってしまうので、一応、過去については、皆様、時代感覚がおありなのかなと思って、昭和とか、平成ともう書いてしまっていて、西暦は併記していない形になっているのですけれども、もう一度、見直してみたいと思います。

田中(弥)委員の御指摘については、もともと教育ということで書いておりましたので、有権者に今さら教育して、啓蒙するというのは少しおこがましい感じもあったものですから、若い人たちに、教育をこれから受けようという方々に対してということになっていますけれども、基本的におっしゃる意味はよく分かりますので、決して若い世代にだけ言いたいわけではないということなので、ここも考えさせていただければと思います。

それ以外に、神子田委員と武田委員から「出口」という言葉に関して指摘がありましたけれども、抽象的に言えば平時に戻るということなので、金融政策の出口という言葉遣いと、抽象的には同じような意味合いを持ってはいます。ただ、おっしゃるとおり、危機政策の出口というのは、また抽象的な意味以外の、具体的なニュアンスも入ってきているということがありますので、明確に定義づけた文書を入れるかどうかは、起草委員のほうで検討させていただきたいと思います。

それから、「堅実な」という言葉に対して、神子田委員から、どうすればいいか、表現をもう少し付け加えてはどうかと。宮島委員からも、同様の「信頼性の高い」という文言を付け加えてはどうかという御意見がありましたので、そのような文言が入れられるかどうか検討させていただきたいと思います。

藤谷委員の「現世代」という言葉ですが、あえて現世代という言葉に変えたのは、現在の世代というと文章が冗長になると思っただけでそう判断したのですが、確かに現役世代という言葉が現世代という言葉と何となく表現、字面が似ていることとかを考えると、どうすればいいかというのは改めて見直してみたいと思います。

平野委員と武田委員から、時間に関する切迫度がもう少し伝わるようにということですけれども、あくまでも2ページ下から2行目、29行目の消費税率の引上げについては事実を書いたという程度で、ここに何か我々の思いとか、そういうものは特に載せずに表記をしているということですので、ここの文章でいいのかどうかは検討させていただきたいと思いますけれども、もう少し早い時期に財政健全化をする必要があるのではないかという点に関しては、おっしゃるとおり、そういう認識を我々も持っております。

念のため、先ほど田近委員もおっしゃいましたけれども、4ページの5行目からの段落で、2025年度のプライマリーバランス黒字化ということは明記をしていますし、確認をしておりますので、当然、これはもうやるべきだと。そのための財政収支の改善、ないしは財政健全化の取組というのは、もう当然、近い将来やるべきだということですので、それがあるので、そこまで強調していろいろなところに、節々にそういう表現は入れなかったのですけれども、思いは全く同感でありますので、検討させていただきたいと思います。

遠藤委員の片仮名の用語が多いというのは、日本語になるものについてはできる限り修正できればと思います。

大槻委員の国債保有層の話ですけれども、国債は、政府の負債かもしれないけれども、国民にとっては資産だという意見が世の中にはあって、資産を持っているから財政健全化など別に要らないのだと、私の主観ですが、誤った認識があるのではないかということなので、百歩譲ってみたいなニュアンスがここには入っていて、試算だから、そういう形で政府が出した利払費、償還費は、国民には間接的であれ渡るということである。でも、おっしゃるように本質的な話はそこではなくて、御指摘のとおり、その後ろに書いていることが一番言いたいことでありますので、表現ぶりについては検討させていただきたいと思います。

もう一点、PDFファイルだと、リンクが張ってあって、そこをクリックするとその資料に飛ぶというアイデアは、私もよくそういう仕掛けをPDFファイルに入れたりしますので、事務局がそれをできるかどうか。私はできると思いますけれども、できるような方向で、もし事務局にそれはできないと言われたら、私もPDFファイル作成の技術指導をしたいと思います。

以上です。

〔 大槻委員 〕 7ページ目の動画、インターネット中継というのも、多分、これだと永久に見てくれない。動画のリンクもあるといいかなと思いました。

〔 増田分科会長代理 〕 土居委員、よろしいですか。

それでは、冨田委員。

〔 冨田委員 〕 たくさんの御意見、ありがとうございました。その中で、3点だけお答えさせていただきたいと思います。

第1は、吉川委員の御指摘、全くそのとおりでございまして、さらに加えて、まだ不十分なところがあるので、少し申し上げたいと思います。

3ページの一番下、これは金利と成長率を見た場合、金利大なりイコール成長率ということを言いたいのですが、少し気合いが入り過ぎて逆の表現になっているので、熟考させていただきます。

さらに、その次の4ページの1行目「仮に名目経済成長率が名目金利を上回る時期についても」と御指摘があって、そのとおりでありますが、次に「堅実な経済前提に立つ限り」と書いてあるのですけれども、これを取ろうと思います。堅実な前提だったら、こんなこと前提にしないわけです。かわりにというか、ここで本来、入るべきものは「プライマリーバランスが赤字である限り」とか、そういうことが言いたいのです。だから、次のパラグラフは、末澤委員御指摘のプライマリーバランスのところにつながっているので、ここのところは手落ちでございます。だから、今、申しましたように、「堅実な経済前提」のかわりに「プライマリーバランスが赤字である限り」としたいと思います。

これに関連してですけれども、先ほど吉川委員も御指摘を途中までされました。5ページの16行目「同試算では対象期間中には」ということで、金利が成長率を最終年度のほうで上回る形になっていますので、そのことを書いておいたほうが私は分かりやすいと思いますので、「対象期間中には名目金利が成長率を上回ることが想定されているが、これまで」で、以下、続きます。「名目経済成長率も、低い金利で発行された既発債のより高い金利への借換えが一巡しない前提となっている」。つまり、低金利で発行されたものにどんどん変わっていく過程では利払費は増えないので、発行額も増えなくて、残高の対GDP比が低下を続けるという文章になっております。

以上が1点目です。

2点目は、何人もの方から御指摘いただいた「出口」です。これは、先ほど土居委員の答えのとおりですけども、むしろ出口のイメージを、やはり我々、出口に向けたイメージをこうした審議会を通じ、また、公聴会等を通じてつくっていくということが目的なので、ここでも「いわゆる」としております。ということで、何か定義をと言われても、機械的なものでは決してなく、これは多分、本日、副総裁がお見えですけれども、金融政策も同じことだと思います。これが2点目です。

3点目は、神子田委員、それから武田委員も御指摘になりました現実的な経済見通しの話です。神子田委員の言われたとおりだと思います。「達成しようもない高い成長を前提とすることなく」と言われました。私どものイメージにあるのは、現在、試算は内閣府が二通り持っていて、成長実現ケースとベースラインケースで、より現実的なものがベースラインケースであって、少なくともそちらをベースに財政健全化の議論をやっていただきたいというのが我々の考えです。

それで、言われたとおりですけれども、「達成しようもない前提」ということで、そのとおりだと私も思いますが、結局、過去、バブル期以降の生産性の上昇率が一番高い時期を前提にして生産性の上昇率を比較している、そのために成長戦略をやっているのだというのが我が国政府の考え方なので、それを全く否定するというのも、逆にこの提言がお聞きいただけないことにもなってしまいかねない。気持ちはそのとおりですけれども、「甘い幻想や楽観論を振りまくことなく」というのが精いっぱい頑張った表現ということで、御理解いただきたいと思います。

以上、3点でございます。

〔 増田分科会長代理 〕 また、起草委員の中でいろいろ議論して、最終案に向けての作業をお願いするということになります。少し時間がかかりますので、必ず事前に皆様方のほうにバックいたしますけれども、よろしくお願いしたいと思います。

続いて、各論に移って、先ほど申し上げましたように各論を2つに分けて、1番目、2番目の社会保障と地方財政を先に取り上げて、そこで意見をいただいて、1回、お答えをお返しする。それから、後半が文教・科学技術と4番目の社会資本整備と、こういうようにパーツを2つに分けます。時間の関係もございますので、2分以内で手短にということをまた繰り返させていただきます。

それでは、前半の社会保障、それから地方財政、こちらについて御意見や、御質問等がある方は名札を挙げていただきたいと思います。まず、河村委員からお願いいたします。

〔 河村委員 〕 取りまとめ、ありがとうございます。

先ほど総論のところでいろいろ議論が出ていましたけれども、1ページのところの書き方ですね。平成の繰り返しにならないように、令和に入ったのだからということで、特に1ページは22行目から27行目に書いてある辺り、「平成時代の過ちを繰り返すことは許されず、この厳しい財政状況を乗り越える財政問題の『出口』」と書いてくださっていて、本当にそのとおりだと思います。ただ、各論を見たときに、それに対応する記述が入っているかという気がいたしました。要するに、根本的なところをいろいろ変えていく検討をしなければいけないのに、今までのやり方、今までの制度をそのまま引きずってしまっていて、そこで何とかとりあえず今年の予算編成を乗り切ればというか、いろいろなところで財務省は大変御苦労されていると思いますけれども、それでいいのか、やはりもう少し目を向ける必要はないのかというのが問題意識でございます。

具体的には、地方財政のところで申し上げます。前回の分科会の地方財政のところでも意見を言わせていただきましたが、建議案の30ページ以降に書いてあるところだと思いますけれども、今の状況とか、少し税収が上がってよくなってきていることであるとか、31ページの地方一般財源総額実質同水準ルールをずっと堅持していらして、一応、頭を抑えつけているような形、そういうことをお書きくださっているのですけれども、果たしてこれでいいのかどうか。

前回の地方財政のときに資料として出していただいたものを、本日の参考資料2-2-4のところにもお付けくださっていますけれども、交付税の制度ですね。どういうように回ってきているかということを見ると、国が国税五税の一定割合を回すということで交付税を渡していたのが、その金が足りない状態になってもう久しい。最初は交付税特会の借入金だけでやっていたけれども、臨財債を出すようになった。それが誰の借金かというのは、いろいろ認識の違いもあって問題ではありませんかというような御意見、赤井委員からも出ていたと思いますが、やはりこれだけギャップが大きく開いたままになっているということをよく直視して、本当にこれは持続できるものなのかを考えるべきときなのではないかと、私は個人的に思っています。

地方交付税制度というのは、財政力の強弱が地方によってあるときに、高度成長期のような成長のポテンシャルがどの地方にも本当にあった時代には、国がお金を配るときに本当に公平にやらなければいけないわけですよね。そういうことを達成する上では極めて優れた制度だったのではないかと、私は個人的には思っております。

ただ、今は違いますよね。交付税を配りたいといっても、実はもうお金が足りない。借金しながら、借金もあわせて国が配っているような状態になって、それが二、三年ではなくて、もう20年ぐらいこういう状況をやっていると。しかも、債務残高が、交付税特会の借入金と臨財債を合わせて、もう85兆円ぐらいあるわけです。やはりこれは地方にとっては非常に大きな額で、こういうやり方を続けていくのがいいのかどうか、もう少し前向きに制度を見直していったほうがいいのではないかと、私は思っております。

そういったところを書かなくて、果たして建議案の冒頭のところに呼応するような形になるものかどうか。具体的には、32ページの真ん中辺りのところでお書きくださっているのですが、18行目、19行目の辺り、税収が好調なときにこそ着実に財政健全化をと。もちろん、この建議案でも、臨財債の残高を放っておいていいわけではなくて、縮減に着実に充てていくべきだとお書きくださっていて、そのとおりですが、そこで止めていいのかどうか。この記述だと、何かまるで財審までが、地方財政のギャップの解消はもう税収頼みというか、景気頼みというか、成長頼みというか、課税頼みみたいになっているようなところが出てしまわないか。

そうではなくて、これももちろん大事ですが、例えば17行目の文章の切れ目の辺りであるとか、19行目の終わった辺りとかでもいいのですけれども、可能であれば「加えて、我が国の経済社会情勢の中長期的な変化を見据えつつ、国から地方への財政移転の在り方」、ないしは「交付税制度の在り方」と書いていいかどうか迷いますけれども、「そういったことも検討していくべきである」というような一文を盛り込んでいただけないかというのが私の意見でございます。

以上です。

〔 増田分科会長代理 〕 上村委員、お願いします。

〔 上村委員 〕 起草された委員の皆様、本当にありがとうございました。私からは2点です。

15ページから16ページにかけて、地方公聴会の取り上げた国保についての記述があります。国保は、都道府県単位化しましたけれども、法定外繰入の縮減に必要な保険料率、保険税率の設定については市町村のかかわりが相当大きいと思っておりますが、ここの文章に市町村の話が全く書かれていない。例えば、16ページの2行目に「国保改革に伴う財政支援の拡充等を活用した先進事例も参考としつつ、市町村とも連携し」というように書くことを提案したいと思います。

もう一つですけれども、36ページの上のほう、35ページからの文章ですけれども、こちらは地方単独事業を巡る課題になっています。35ページの一番下に「消費税の増収分を活用して幼児教育の無償化が実施されることとなっており」とあるのですけれども、要は地方公共団体が単独事業としてやっていた同様の政策に係る財源は不要となると。その後の文章で「将来世代へのツケ回しを減らし」とありますが、この最後の文章の主語がないところが気になります。おそらく「地方公共団体は」を入れたほうがいいのかなと思います。

以上です。

〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。

それでは、小林慶一郎委員ですね。

〔 小林(慶)委員 〕 私は一言だけですけれども、今、お話にあった15ページから16ページ辺りの国保の件について、インセンティブ付けをより強化すべきだという論調が非常に強く出ていると。それ自体、私はいいと思いますけれども、インセンティブをどういう形で、資金的にやるというのは結構難しくて、ここで書かれていることとは少し違うかもしれませんけれども、情報の公開だとかによって、要するに太陽は一番良い消毒薬だというような言葉もありますので、なるべく適時なタイミングで人目に情報を晒すことによって、規律というものがつくという面があると思うのです。それを何か入れられないか。例えば、16ページの11行目「インセンティブを強化すべきである。」と文章は終わっているのですけれども、その直前に「適時な情報公開などを徹底することにより」というような文章を入れられるといいのではないかと思いました。

以上です。

〔 増田分科会長代理 〕 佐藤委員、お願いします。

〔 佐藤委員 〕 先ほど、土居委員と田近委員からIMFとの会合についてのコメントが来ていたので、簡単にお答えさせてください。

まず、年金ですけれども、年金負債については、公務員関係は入っているらしいです。ただ、民間は入っていないということになります。

もう一つ、土居委員からのコメントに関連しますけれども、もちろんバランスシートはスタティックにというか、生態的に理解すべきものではなくて、実際、IMFのフィスカルモニターでもストレステストとかやって、資産構造、これは田近委員のコメントにかかわりますけれども、資産の構成がどのようにリスクの影響を被りやすいかという強靱性を確認したり、インターテンポラル・バランスシートという形で、将来の税収とかを見込んで、これからどうなるのかということもやっていたりします。ただ、日本のケースはないです。フィンランドとか、アメリカとか、そういったところで取り上げていますので、その分析の知見は使えるのかもしれないということです。

次に、建議へのコメントになります。最初に、細かいところからですけれども、社会保障について、まず16ページ、この間も議論なりましたけれども、例の7ページから見て、年齢構成のみを勘案した標準的な医療費の話、まあ、今回はいいやと思って、ただ、年齢構成のみの標準的な医療費の、標準的な医療費とは何なのかと考えたときに、やはりきちんとデータに基づいて分析をするという視点は必要なので、「データに基づき試算された標準的な医療費」とか、そういった一文はあっていいのかなと思います。

それから、ここで言っていいのかどうか分かりませんけれども、29ページのところで、今回の在老の見直しに伴って、一つの提案としてクローバックが出ておりますけれども、本来の王道は税制改正でありまして、これは公的年金等控除等々の縮減なので、「税制改正等を含めて検討する」としてもらうと、もしかしたら……。

〔 土居委員 〕 4行目。

〔 佐藤委員 〕 4行目?

〔 土居委員 〕 年金改革の見直し。

〔 佐藤委員 〕 そうですね、その辺りで。では、そんな感じでお願いします。

それから、36ページですけれども、ここで業務の広域化の話が出ているのですけれども、実は業務の広域化は標準化しないとできないのです。例えば、同じ仕事を自治体は違うやり方でやっていますので、ICTを入れるにしても標準化が不可欠になりますので、広域化とあわせて、標準化をキーワードとして少し入れられてはいかがかと思います。

あと、大きな話になるのですけれども、これも簡単に。17ページのところで、特に地域医療構想について、なかなか現場での取り決めが進んでいないということですけれども、やはり現場との温度差があるのです。当局はこう思っていても、現場はそう思わない。現場とのコミュニケーションがちゃんとできているのかということは、自治体レベル及び厚生労働省レベルで検討してもらったほうがいいのかなということ。

それから、地方財政のところに書くべきなのか分からないですけれども、やはり財政というのはどうしても身近な問題としてなかなか捉えられていない。でも、国の財政が行き詰まったら一番困るのは自治体であります。ごみの収集はできなくなりますし、道路のメンテナンスもできなくなる。したがって、やはり財政というのは、本当は地方財政を通じて住民と一番密接にかかわっている。だからこそ、地方の財政規律が重要であり、住民のコスト意識の喚起が重要なのだと、そういった旨の一文はどこかにあっていいかなと思いました。

以上です。

〔 増田分科会長代理 〕 次は横田委員で、その後、権丈委員のほうに振ります。

では、横田委員、お願いします。

〔 横田委員 〕 おまとめいただき、ありがとうございます。私からは、社会保障と地方財政、1点ずつお伝えできればと思います。

12ページの支え手側が減少している部分です。先ほど武田委員もおっしゃっていますが、支え手が減っていて財政が厳しい折だから、女性、高齢者、障害者、働いてくれと聞こえるのは非常に反感を買う。女性には子供も産んでほしい、働いてほしいと。21行目のところ、政策対応によってというのはありますけれども、例えば意欲を高めたり、意欲のある人が働きやすいようにということだと思いますので、少し丁寧に補足をしていただいたほうがよろしいかと思います。

あと、地方財政の36ページの地方行政の職員数のところです。私も総論は賛成です。AIなどによって抜本的に体制を変えて、コンパクトに動ける体制にしていくというのは賛成ですが、6行目の職員数が4年連続増加しているというのが、警察だったり、消防だったり、福祉といった分野であると聞いております。むやみやたらと増やして増加しているわけではないと聞いておりますから、事実を踏まえて、必要な分野に人を増やすのは問題はないので、書き加えるか、そのままいくかはご判断お任せしますけれども、対応していただきたいと思っています。

もう一点は、8行目から12行目のところです。自治体運営において、人口減少が加速して、労働力不足が最大の制約要因であると言いながら抑制もしてくれというのは、文章のちぐはぐ感を感じます。表現をもう少し調整したほうがよい、総論は問題ないと思っているのですが、気になるところです。

以上です。

〔 増田分科会長代理 〕 権丈委員、お願いします。

〔 権丈委員 〕 取りまとめ、ありがとうございます。

私は、27ページの社会保障の年金のところで、被用者保険の適用拡大の辺りです。被用者保険の適用拡大は、この国の今の社会保障、労働政策の中で非常に重要な課題となっておりますので、こちらに明記していただきまして、ありがとうございます。

平成28年に若干の適用拡大が行われまして、その効果は既に報告されているところです。未婚者などを中心に、適用拡大の後に労働時間を延ばしたという短時間労働者が相当数おりました。一方で、企業側の保険料負担を回避しようとする動きは意外に弱く、人手不足が適用拡大の追い風になっていると見られております。次の改革で適用拡大を進めることができると、就職氷河期の人たちも恩恵を受け、高齢期の貧困を自ら予防できるようにもなります。現在、企業規模要件は501人以上となっておりますが、こちらは平成28年改正時に、中小企業への負担を考慮した激変緩和の観点から設けられたものです。是非、次の年金改革で、規模要件をはじめとした適用拡大を大幅に進めていただければと考えております。

また、少し気になりましたのは、27ページの「女性や高齢者の労働参加を背景に、パート、アルバイトは増加傾向にある一方で」という表記と、それから26ページの10行目辺りからですが、「子育て支援の充実等を背景に女性の就業率が上昇するとともに、平均寿命の伸長等を背景にした高齢者の就労が進展し」と書かれているところです。確かに、非正規労働の最近の増加分は女性や高齢者による部分が大きいのですけれども、ここを読むと何となく、課題としてはそれほど深刻ではないように受け止められるのではないかと少し危惧をしております。非正規労働者の中にも、未婚者やシングルマザーもおりますし、就職氷河期から続く非正規雇用という問題もありますので、その点も、考慮した表現にしていただければと思います。

以上でございます。

〔 増田分科会長代理 〕 末澤委員、お願いします。

〔 末澤委員 〕 どうもありがとうございます。

11ページ、社会保障の23行目のところです。「OECD諸国と比較しても中福祉・低負担」と。これは、参考資料2-1-1、OECD諸国における社会保障支出と国民負担率の関係という、毎回、出てくるグラフでございますけれども、この一番右上、つまり高負担・高福祉の代表格、一番右上の高負担・高福祉の国はデンマークです。

実は、デンマークで昨日、総選挙がございまして、先ほど結果が出ました。結論的に申し上げると、現行の中道右派政権が負けて、多分、中道左派政権、社会民主党主体の政権にかわると思います。何でこうなったかというと、1つは中道右派政権が社会保障費を相当カットした。もう一つは、移民に寛容政策を出していた中道左派が移民抑制策に大転換した。この2つで、多分、こういう選挙結果になっている。要は、高負担・高福祉の国でも、受益と負担の関係については相当うるさい、センシティブだということです。

今、日本は、受益と負担がアンバランス、つまり負担のほうが少ないので、そんな大きな問題は出ていませんけれども、これから是正していくと相当大きなハレーションが出てくるのは間違いない。そうするためには、やはり相当御理解いただく必要があって、デンマークでも何でそうなったかというと、やはりベビーブーマーの高齢化等で、徐々に、「つり鐘型」ではあるのですけれども、以前ほどの人口ボーナスがなくなってきたので、そういうことをやっているのです。日本は現在、「逆ひょうたん型」で、将来的には「つぼ型」に変化しますから、やはり社会保障のところで人口動態の変化をもう少し詳しく、分かりやすく書く。以前ですと、いわゆるみこし型、騎馬戦型、肩車型というのが載っていたと思いますけれども、私は、その話をもう少し分かりやすく書いておいたほうが、細かいところも必要ですけれども、まず、やはり皆様に、今の状況では持続可能性は全くゼロですということを御理解いただくことが重要ではないかと思っております。

以上でございます。

〔 増田分科会長代理 〕 田中(弥)委員、お願いします。

〔 田中(弥)委員 〕 ありがとうございます。私は、33ページを中心に、2つ申し上げたいと思います。地方のほうであります。

1点目は、地方財政については、主計官の御説明もありましたけれども、かなり上向き、良い状況になっていますが、そういうときだからこそ、こういうときに構造改革をすべきだということを、冒頭に入れるべきではないかと思います。

そして、33ページに注目すると、ここのページは注がとても多いのです。興味を持ち詳細を読ませていただいたのですが、かなり不透明な部分がはっきりと書かれていまして、かなり厳しい内容になっているのです。では上段の本文の部分でどうなっているかというと「検証できる必要がある」にとどまっています。例えば、ここに「透明性の向上を促すような改善が必要である」と、もう一つ踏み込んで記してもいいのではないかと思いました。

以上です。

〔 増田分科会長代理 〕 それでは、平野委員、堀委員と、こういう順番でお願いします。

〔 平野委員 〕 ありがとうございます。社会保障について2点ほどと、若干、総論的なことについて触れたいと思います。

まず、先ほどから話題になっているとおりで、団塊世代が後期高齢者入りする、いわゆる2020年問題が差し迫っているということを考えると、逆算すれば2021年度に法制化しないといけない。そのためには、骨太方針2020の内容に詰め込んでもらう必要があるということでありますので、第1点、13ページの14行目辺りからの書きぶりですけども、「2022年以降の社会保障費の伸びを抑制できるかどうかは、骨太2020の内容にかかわっており、2025年度のプライマリーバランス黒字化の蓋然性を左右しかねないというような危機感を持って取り組む必要があるのではないか」というトーンに変えられないかということであります。

同じことですけれども、20ページに、後期高齢者の自己負担の引上げについて「できるだけ速やかに」といった記述がありますが、これも2022年という時期を明記してはいかがかというのがその一つです。

それから、少し前後しますけれども、13ページの7行目辺り、先ほど武田委員からも御指摘がありましたけれども、改革工程表に関してです。書き方としては「改革項目をスケジュールに沿って着実に実施すべき」となっているのですが、実際、改革工程表の進捗状況は芳しくないわけでありまして、かつ進捗管理も必ずしも十分ではないということで、今回は従来以上に厳格な、私ども民間用語で言うとPDCAの管理が求められると思います。そこで、この部分については少し強めて、例えば「各項目の進捗状況につき、一定の期限を区切って検証するとともに、遅れが生じた項目は速やかに挽回策を講じるなど厳格な管理を実施すべき」といった表現に変えられないかというのが2点目であります。

それから、総論的な部分ですが、無理矢理こじつけると地方財政に絡んで、31ページです。言いたいことは、財政規律の重要性ということであります。あまりおさまりはよくないのですけれども、例えば31ページの地方一般財源総額実質同水準ルールに関する書きぶりを「財政規律の観点から、こうしたルールの有効性をさらに高く評価する」というような文言に変更していただいて、それも念頭に置きつつ、どこに書いたらいいかよく分かりません。この建議書のどこかで、例えばほかにも歳出目安が社会保障費の抑制に寄与してきたことであるとか、あるいは逆に、補正予算の規律の欠如がプライマリーバランスの黒字化の遅れにつながってきたということなどを引き合いに出して、国家財政における歳出規律の重要性に改めて触れていただけないかと思っております。

以上です。

〔 増田分科会長代理 〕 堀委員、お願いします。

〔 堀委員 〕 今、平野委員がお話しされたこととかなり近いところがあったので、そこのところは省略しようかなと思いますが、私、今年から委員をしているということもあるので、だからこそ気がつくというか、素人なのかもしれませんが、この建議は、おそらく大臣に出して、そして国民、あるいは広く多くの人にも読んでいただきたい、あるいは政治家の方にもという思いがあるかと思います。だからこそ、総論の部分が非常に高尚な文章になっているかと思いますし、皆様も様々な議論をされていたので、そういう思いでつくられているということは非常に分かります。

ただ、社会保障のところを見ますと、何といいますか、トーンがいろいろありまして、例えばかかりつけ医のことであるとか、病床再編についても、私が知る限り財政審は相当昔から同じようなことを言われていると思います。私は、それを受ける側の部会にいると、それがなぜだめなのかもある意味分かるので、おそらくこれまでと同じ論調で主張されても、受け手には届かない可能性があるではないかと。財審の皆様は、財政審のこれまでをふりかえりPDCAをされていて、未来に向けて新しく変わるという決意を持ってやられていると思いますので、ここに書かれてある内容そのものは、私は全く反対するものではありません。財政健全化が重要なことは理解しておりますが、財政ありきではない社会保障の在り方も求められていますし、もう少し表現の仕方を変えたほうがいいのではないかと思いました。

次に、「べきである」と書いてあっても、理由が書いてあるものもあればないものもある。工程表には、早急に取り組むべきである、と書いてあるのですけれども、おそらく早急の中にも優先順位、本当に早急にすべきものと、10年間言ってもほとんど変わっていないものと、私が見る限りあると思うのです。今回、地方公聴会もされていて、国保の改革とか、非常に具体的で斬新ですし、私はうまくいけばより良い方向に変わるのではないかと思いますけれども、そういう新しいものと昔から言われているものが一緒くたになってしまっているので、そこのところをもう少し濃淡を分けて書かれると、おそらく皆様の思いが伝わるのではないかと思いました。

あと一点、細かいところは後で文書で送ることができるということですので、送らせていただきたいと思いますが、13ページの小さなリスク、それから14ページの大きなリスクは共助、小さなリスクは自助の考え方ということで、これは別紙の資料にもございますし、これまでの分科会でも幾つか意見があったかと思いますが、私自身は分かるのですけれども、多分、この文章だけだと、大きなリスクのところで1つは「高額」となっていますけれども、ほかは鍵カッコだけであったり、共助と自助はあるのですけれども、公助は本当になくていいのか。実際、意見交換に対する回答であるとか、この文章の中にも、税金はこういう役割を果たしていると書かれているので、私自身は、大きなリスクは共助、小さなリスクは自助という考え方はいいと思いますけれども、では公助は一体何なのかというところも、脚注でも何らかの形で書いておかないと、結局は社会保険と国民に負担を投げているように見えてしまう。理解を得て、納得してもらって、行動変容まで行っていただきたいと思っているにもかかわらず、何か負担をほかの人たち、ほかの組織にツケ回しているような印象を与えかねないのは、個別の中身がいいだけに、もったいないと思いました。

以上です。

〔 増田分科会長代理 〕 十河委員、伊達委員、神子田委員。そこまでにさせてください。

それでは、十河委員から。

〔 十河委員 〕 まずは、起草委員の先生の皆様、大変お疲れ様でございました。

今までに比べて読みやすく、全体的にすっと入ってくる感じがございました。

その中で、やはり社会保障のボリュームが非常に大きく、その読後感としては、今すぐ着手しなければという点をもっと強く押し出したほうがよいのではと思いました。長期的な視点ももちろん大切ですが、特に前半の12ページには、2040年という数字がたくさん出てくるため、今こそが大切な時期であることを、より強く訴えるべきではないかと思います。

それから瑣末なことで恐縮ですが、表記統一についてです。まず社会保障の箇所は大変なボリュームがあり、1の社会保障に総論が2つございます。その後に各論ということで、医療、その他が続いていきますけれども、その各論の中にも1があって、総論も12とあり、重複して見えますので、この総論に関しての11とせず、あえて1行あけるとか、あるいはとんがり括弧ですとか、総論を読みやすくしてはどうかと思いました。

同様に、後ろの年金の部分は、(4)の年金からそれぞれのパートが括弧でのキャッチになっておりまして、これは統一性からいくと12という形になるのではないか。

教育も、国公立大学の部分ですとか、やはり同様の表記になっておりますので、統一されてはいかがでしょうか。

あとは、先ほど冒頭に平野委員がご指摘されておりましたが、確かに社会保障に関してのまとめは短く、後ろの説明が長い。特に、3番と4番に関しては強調語句が多過ぎるので、少し減らしてみてはどうかと思いました。

以上です。

〔 増田分科会長代理 〕 伊達委員、お願いします。

〔 伊達委員 〕 地方財政についてです。30ページのところですが、21行目から26行目までのところで、地方財政はプライマリーバランスが黒字化しているとあります、その黒字化は、ある種成功した事例ということだと思いますので、その辺りをもう少し分かりやすく説明してあげてもいいのではないかと思いました。

一方で、資料2-2-3のところで資料の参照というのがあるわけですけれども、国については赤字であるということがさらりと書いてあります。単に地方と比較して、赤字というだけではなくて、資料の下のほうを見てみますと、国の場合は30年前から5倍、15年前から言うとさらに2倍に膨らんでいるという事実もありますから、もう少しはっきりと書いてもいいのではないかと思いました。

結果として、やはり地方の場合においては、限られた予算、つまりキャップ管理がされている中で、生産性を上げるであるとか、コストコントロールをするであるとか、あらゆる努力をなされた結果、維持することがどうにかできたのだと思います。それと比較したときに、国に関して同じような試行錯誤が実行されていたのかどうか。不足したところが多々あるのではないかと仮説を持ちますので、今後、その部分に国は踏み込んでいくべきではないかという指摘も必要ではないかと思います。

一方で、地方の税収というのは、交付金が国から回り、その借金で賄われている部分もありますので、やはり黒字化された暁には、次のステップとしては、国と地方の借金の持たせ方の関係にも一歩踏み込んでいく時代が来たのではないかということをコメントしていただきたいと思いました。

〔 増田分科会長代理 〕 神子田委員、お願いします。

〔 神子田委員 〕 私は、33ページの13行目からの基金のところで、地方自治体の基金残高についてはいつも不思議に思っているのは、毎年、地財の方から説明を受けるときに、こういう問題がありますとあって、解決されないまま、翌年もこういう問題がありますとなっていくんですよね。地方自治体からすれば、自らの歳出改革努力でありますとか、もちろんルールに従ってやっていることでありますし、あるいは不慮の災害とかに備えてということで、言い分はあると思いますけれども、それにしても、国の財政も厳しい中で限度というものがあるのではないか。例えば、自治体の財政規模で一定の割合以上あるところに関しては、ふるさと納税みたいに国からの交付金を減らすとか、何かそういった新しい手だてがあってもいいのかなと。まだ勉強不足ですけれども、漠然とそんなことを思ったりもします。

その意味で、最後の一文を見ると、「基金を取り崩しながら、何とかやりくりしているといった財政状況にはなっていないことにも留意すべきである」と非常に迂遠な書き方をしてあって、要は基金を取り崩しながら何とかやってくれと言いたいのかなと思いますけれども、この後、何か書いてあるかなと思って次のページに行くと別の話になって、この辺にもやもや感が非常に残るので、ここを何とかしてください。

〔 増田分科会長代理 〕 では、意見等は、御質問を含めてこの程度にしまして、あとは起草委員の皆様方のほうから、地方財政のところは主に冨田委員がやっておられるようですけれども、この場でお返しできることをお願いしたいと思います。

〔 冨田委員 〕 地方財政についても、たくさん御意見をいただきました。

増田分科会長代理が教育のところで、地方交付税で手当てされている部分をあまり使わないことの理由を御説明になったときに、この制度については非常に大きな建前と、実態とで全く違っていて、なかなか理解しにくいところがあるのだと思います。本来ですと、地方税で独自の財源を確保するというのが、多分、自治の基本だと思いますけれども、実はどこへ行っても地方税は皆同じなわけです。そういう中においてどうするかいう実態との大きな違いがあるので、本日もいろいろ御意見がありましたけれども、いろいろ違っている。その象徴的なところが基金のところかもしれない。先ほど神子田委員がおっしゃったところです。

ここで言っていることは、目次で言うと③で、地方財政計画の計画と決算の乖離。では、計画は何のためにつくるかというと、国から見ると交付税の総額を決める。足りないと、いろいろ赤字国債を発行して補塡する。だけど、実態はそれほど使っていないですという話です。では、どこに行ったのかという話です。

そういう実態からすると、これから先の運営については計画と決算との乖離を是正する。それと、財政規律としての重要性について平野委員がおっしゃったんだけれども、一般財源ルールをこれからも守っていこうという2点になるわけです。だから、地方財政、苦しいと言うところがあるかもしれないのだけれども、決してそうではなくて、一般財源ルールのもとに、極めて安定的な、将来の安定的な、将来を見て安定的な地方財政の運営が各公共団体においてできるような形を、ある意味、保障しているわけです。そういう保障が、まだここに大きなお金でありますよという話なのです。だから、それ以上に、取り崩しながらやってくれとか、そういうことを強く言いたいわけではないのです。ただ、ここの場所にあることを御理解いただきたいということでございます。

〔 増田分科会長代理 〕 それでは、社会保障について、土居委員、お願いします。

〔 土居委員 〕 御意見ありがとうございました。個別の点については、できるだけ反映させる方向で承りたいと思いますけれども、少し私から付言させていただきたいことを申し上げたいと思います。

一番大きなポイントは、平野委員、堀委員、十河委員がおっしゃった点で、具体的な場所というよりは、濃淡といいましょうか、結局、淡々とやるべきであると書いていても伝わらないのではないかという点であります。

今年、どうするかという話は、私は承っていないのですが、例年、この建議は、財務大臣にお渡ししましたら、経済財政諮問会議で財務大臣から建議について御報告があって、骨太の方針に反映していただくべくお願いをすると。そういうことを当然、我々、意識しながら、つまり骨太の方針に我々の意見をできるだけ多く反映していただきたいという思いを込めて建議を出すと、例年、そういう形になっております。ただ、言いたいことを全部、率直に言い過ぎても、経済財政諮問会議で逆に受け付けてくれないという可能性もなくはなくて、まさに優先順位をある意味つける必要はあるけれども、分かりやすくつけ過ぎてしまうと、逆に拒まれるということも意識しないといけないということでもあり、大臣に、これが我々の思いです、是非このとおりにやってくださいと申し上げても、そのままストレートに反映できない時期もあるかもしれない。

そういう微妙な濃淡の付け方というものがあるものですから、それがあまり分かりにくい形ではなく、できるだけ多くの読者の方にもお分かりいただけるような形で、書けるだけは書きたいとは思いますけれども、強く書き過ぎて、逆に受け入れられないという形に、ある種、勇み足的な表現になってしまうというところも、少し我々、起草委員としてもケアしなければならない部分であります。その部分で御覧いただくと、若干、本当はもっと強く書くべきなのに、何でそこで文章が緩くなっているのだと捉えられるかもしれませんが、その点はいろいろとまたディスカッションさせていただければと思いますけれども、おっしゃっている御意見についてはとてもよく分かります。ですので、本当は強く書くべきところはしっかり書くべきだと思いますし、できるだけ今すぐやるべきことが分かりやすく書けるような形にさせていただきたいと思いますけれども、今、申し上げたような点があるということもお含みいただければと思います。

あと、横田委員と権丈委員から、表現に配慮が必要だということ、幾つか御指摘いただきまして、できるだけそういう配慮がにじみ出るような表現に改めたいと思います。

上村委員から、市町村と連携するというのは、そのとおりだと思いますので、そのようにさせていただきたいと思います。

お答え漏れあるかもしれませんが、以上です。

〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。

あと、御承知のとおり、文教・科学技術と社会資本整備が残っているので、そちらのほうに移りますが、明日お昼までにメールで御意見を受け付けると、冒頭、申し上げました。そういった手段もございます。時間は押しておりますが、どうしてもという御意見にできるだけ絞っていただいて、ほか、メール等の手段で事務局のほうに言っていただければ、責任を持って起草委員会のほうで、それに基づく処理をどうするかは議論しますので、その点もお含みおきいただいた上で、御発言をお願いしたいと思います。

最初に黒川委員、それから上村委員と、こういう順番で行きたいと思います。

〔 黒川委員 〕 ありがとうございました。

先ほどのIMFの問題については、2人の委員から言われましたけれども、データの信頼性がよく分からなかったのでコメントしなかったのです。

文教のところで、一つだけ是非ともと思って来ました。大学生の勉強時間が、資料編を見ると日本はもう圧倒的に少なくて、1日1時間、勉強しているのかどうかという、小学生以下しか勉強していない。そういう状況で、高等教育にお金をどんどん出して義務教育化するのは、本当に日本の社会がよくなる効果があるのか。これは、今までも財審で意見が出ていたところです。

私、慶應大学から、今、千葉商大の社会人向け大学院の教師になりまして、本当に今までと異なりびっくりなんですけれども、40歳前後の中年世代で、一生懸命働きながら、あるいは預金を取り崩しながら勉強しに来る人ばかりなのです。これは、東大の柳川先生の議論ではありませんけれども、70歳まで働くことになったときに、やはり40歳ぐらいのところで、もう一度、人生において再チャレンジする人たちに対して、支援教育をすることの重要性を今、つくづくかみしめているところです。

特に、私は大学院の修士課程ぐらいを念頭に置いているのですけれども、中年の再チャレンジの人たちに対する支援政策というようなものを、今回の建議では盛り込めないかもしれませんけれども、秋に向けて政策として一つ考えてもいいのではないかと、そういうように思った次第です。

以上です。

〔 増田分科会長代理 〕 今の意見は、また秋に向けてということで、事務局のほうでお願いします。

上村委員、田中弥生委員、佐藤委員、ここで打ち切りたいと思いますので、上村委員からどうぞ。

〔 上村委員 〕 私からは、53ページ、1点だけです。

空港についてですけれども、15行目に「空港の新建設事業が一段落する見込みである」と書かれているのですけれども、この見込みであるというところが少し弱いと思っています。昨年、行政事業レビューで空港整備事業が取り上げられて、私、取りまとめコメントをしたのですけれども、ここでも私たちの取りまとめコメントは「空港の整備計画は一段落した」と書かれています。「見込みである」がなぜ入ったのか、そこの意味が分からなかったということが1点。

もう一点は、20行目の空港整備勘定の独立採算化を進めるというところですけれども、これは2つ解釈があって、1つは、これまでと同様にコンセッションを個別にやっていくのか、それとも空港整備勘定本体を独立採算化するのか、2つ解釈があると思っています。もしも、後者の本体を独立採算化するという話であるのだったら、本体とちゃんと書いたほうがいいと思います。個人的には、両方とも良いアイデアだと思っていまして、特に羽田空港はターミナルビルが民間会社なので、一体運営は非常に難しい、民営化は難しいので、空整勘定本体を独立採算化するというのは良いアイデアだと思いますが、どちらもとれてしまうような意味合いになっているのかなというのが気になるところです。検討をお願いしたいと思います。

〔 増田分科会長代理 〕 田中(弥)委員、お願いします。

〔 田中(弥)委員 〕 ありがとうございます。私のほうは、文教で2点、この文章に沿って申し上げたいと思います。

まず、38ページの7行目、2パラグラフ目からですが、多分、これが今回、一番言いたかったことだろうとは思うのですが、この量と成果の説明では伝わらないと思います。教育政策目標に照らしての、例えば成果とか、あるいは量であればヒト・モノ・カネというように、もう少し具体化をして説明すること。さらに言えば、本来、目指すべき教育成果ではなくて、ヒト・モノ・カネ等の量のところを政策目標に掲げてしまっている。つまり、手段を目的にしてしまっているというところが、多分、一番言いたかったところだと思います。この点について、もう少し文章を修文する必要があると思いますので、後で提案文をお送りしたいと思います。

2点目は、文教で最後のページ、46ページの8行目から、科研費の大括り化とか、若手の云々と書いてあるのですが、多分、このまま書くと、学協会から相当反発が起こると思います。それは、単純に反発というよりも、なぜ急に大括りが必要なのか、なぜ若手に審査をさせなければいけないのかという背景にある説明がないままに、簡単に解決策のように書かれてしまっているのです。ここの部分に、なぜこれが必要なのかというところを書き足す必要があるのではないかと思います。

以上です。

〔 増田分科会長代理 〕 佐藤委員、お願いします。

〔 佐藤委員 〕 34ページ、PFIのところですけれども、事例としてAで道路、Bで公園が出ていますけれども、本来の本丸は上下水道でありまして、特に上水道は遅滞していますので、是非この辺り、コンセッションを進めるべきであるという旨はあっていいかなと思います。

それで、文章ですけれども、Aの道路の上の八、九行目のところで「コストの見える化」と唐突に出ているのですけれども、おそらくコンセッションを進めていく上においてまず何が必要かというと、赤字補塡をやめるということをやらないと、なかなかPFIは進まないし、広域化もできないので、赤字補塡をやめてコストの見える化を進め、PFIとか、広域化に向けた俎上をつくるというか、環境を整備するとか、そういった一文があっていいのかなと思いました。

あと、49ページのところで老朽化のインフラの割合が増えていくと。これはよく言われていることですが、今、特に自治体などでは個別施設計画を立てているはずです。それは学校も含めてですけれども、その辺りについてもちゃんと自治体として、本来、老朽化対策は自治体がきちんと進めていくべきであるということは強調したほうがよくて、その中で特に学校です。学校の複合施設化はどこまでできるのかとか、集約化の話も含めて、学校をこれからもう少し、施設としての学校についてもう少し重視したほうがいいのかなと思いました。

以上です。

〔 増田分科会長代理 〕 それでは、先ほどの伊達委員の御指摘、コメントも含めて、文教について中空委員、それから社会資本整備について小林毅委員のほうからお願いします。

〔 中空委員 〕 ありがとうございました。

いただいたコメントは、時間もあまりないところではありますが、すべて考慮していきたいと思います。田中弥生委員には、修文を送っていただければ、ありがたく思います。この他には、特に私のほうから御指摘についてお答えすることはないと思っています。

以上です。

〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございます。

それでは、小林毅委員。

〔 小林(毅)委員 〕 どうもありがとうございます。

伊達委員が先ほどおっしゃられました質の話、これのもう少し具体的な話を前文に入れたほうがいいのではないか。各論のほうには、技術活用とか、そういうことがかなり入っているかなと。そういうものを全部まとめたいという思いで書きましたけれども、そうしたほうが、構成上、分かりやすいのかなという気もいたしますので、その辺りは少しこちらのほうでも修文、前文のほうにもう少しそういう趣旨を入れるという方向で検討したいと思います。

あと、何点かの御指摘ございました。上村委員からいただいたことは、この辺りも確認した上で対応したいと思います。

もし、よろしければ、修文案みたいなものを出していただけると、こちらとしては作業がやりやすいという気がいたしますので、よろしくお願いいたします。

〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。

最後のほう、少し駆け足になりましたが、追加の御意見等がありましたら、明日7日、金曜日の12時までに事務局にメール等で提出していただきたい。様式は任意ですので、この点について、このような修文を、と端的に指摘していただければいいと思いますが、それでよろしくお願いします。

次回は、6月19日の15時から、予定時間は1時間、その後、大臣に建議を手交したいと考えておりますので、よろしくお願いします。

なお、本日、お手元に配付しております建議案については、保秘の観点から、会議後、回収させていただきたいと思います。右上に、赤字で「会議後要回収」と書いている建議案と、それからIMFの財政モニターをめぐる論点についてもそうです。全部回収ということです。番号が振ってあると思うので、誰が持ち帰ったかも分かるようになっていますので、大変恐縮ですが、保秘の観点からよろしく御協力をお願いしたいと思います。

それでは、本日はこれにて閉会いたします。どうもありがとうございました。

午後0時05分閉会