財政制度等審議会 財政制度分科会
議事録
財政制度等審議会 財政制度分科会 議事次第
令和元年5月22日(水)15:00~17:05
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)
1.開会
2.地方公聴会開催報告について
3.地方財政について
4.財政に関する広報について
5.閉会
分科会長代理 | 増田寛也 | 伊佐大臣政務官 宮島大臣政務官 太田主計局長 神田次長 阪田次長 宇波次長 奥総務課長 阿久澤法規課長 中澤給与共済課長 一松調査課長 西山官房参事官 寺岡主計官 日室主計官 斎須主計官 前田主計官 中島主計官 吉野主計官 関口主計官 森田主計官 岩佐主計官 渡邉主計企画官 佐藤主計企画官 | ||
委員 | 赤井伸郎 遠藤典子 大槻奈那 黒川行治 佐藤主光 角 和夫 武田洋子 中空麻奈 宮島香澄 | |||
臨時委員 | 秋池玲子 葛西敬之 河 村 小百合 木村 旬 小 林 慶一郎 小林 毅 進藤孝生 末澤豪謙 田近栄治 田中弥生 田中里沙 土居丈朗 冨田俊基 広瀬道明 堀真奈美 神子田 章 博 村岡彰敏 横田響子 |
午後3時00分開会
〔 増田分科会長代理 〕 それでは、時間になりましたので会議を始めますが、冒頭、カメラが入りますので、このままの形で少しお待ちください。
(報道カメラ 入室)
〔 増田分科会長代理 〕 ただいまから、財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。
御多用中のところ、御出席をいただきまして、ありがとうございます。
本日の議題ですが、先日大阪で行いました地方公聴会の報告、そして地方財政、財政に関する広報、この3本を予定しておりますので、よろしくお願いします。
本日は、冒頭から伊佐政務官、そして宮島政務官にも御出席をいただいております。どうもありがとうございます。
それでは、ここで報道の方は御退室をお願いしたいと思います。
(報道カメラ 退室)
〔 増田分科会長代理 〕 まず、5月13日に大阪で開催いたしました地方公聴会について一松課長から報告をお願いします。
〔 一松調査課長 〕 調査課長の一松でございます。資料1に基づきまして、5月13日に開催されました地方公聴会について簡単に御報告いたします。
資料1でございます。「『令和』の財政の在り方を考える」というタイトルでありまして、大阪市内で地方公聴会を開催させていただきました。
出席者は、榊原会長、増田会長代理、地元・関西の委員である赤井委員、上村委員、角委員、竹中委員に加えまして、滋賀県・三日月知事、奈良県・荒井知事、大阪府は吉村知事の代理として濵田副知事、地元経済界からは松本関経連会長、尾崎大商会頭、西村副会頭、政務からは、うえの副大臣が国会に御出席であり、伊佐政務官が出席いたしました。
議事内容は、3部構成でございました。議事自体はインターネット中継、マスコミフルオープンで行われました。その際の配付資料やスライド、投影資料も、本日の参考資料としておつけしている次第でございます。
2ページ目でございます。第1部の榊原会長による基調講演の概要でございます。まず、財政制度分科会の沿革、体制等について御紹介いただきまして、次に昨秋の建議におけます平成財政の総括を御紹介いただいた上で、我が国の財政事情について、御説明いただきました。
主な発言要旨のところですが、このまま何も対策をせずに高齢化が進むと、困るのは私たちの子供、孫、あるいはひ孫の世代であり、令和という新しい時代、さらに、その先の時代を生きる人たちが大きな負担を強いられることになる。今の時代を生きる私たちが受益と負担のバランスを回復しなければならず、自分たちの給付は自分たちの負担で賄う責任を果たしていくことが必要ではないかという問題提起をしていただきました。
次に、3ページでございますが、第2部、関西知事による改革・取組事例紹介の概要でございます。テーマは「国民健康保険における受益と負担の見える化」ということでございまして、まず増田会長代理のほうから、第1部からの橋渡しといたしまして、なぜ国保改革を取り上げるのかの御説明をいただきました。第1部の榊原会長の受益と負担のバランスが重要であるという基調講演を受けまして、国保については昨年4月に改革が行われまして、都道府県がまさにその受益と負担のバランサーになったという御説明であります。そして、今回、お呼びいたしました滋賀県、奈良県、大阪府は、府県内の国保の保険料水準の統一という、非常に分かりやすく、住民に見えやすい形で責任を果たしていこうとしている府県なのだという御紹介がありまして、3府県知事、副知事によるプレゼンに移った次第でございます。
4ページ目が、滋賀県・三日月知事の主な御発言内容でございます。今、申し上げた県内の保険料水準の統一につきまして、のところにありますとおり、国保改革は県内の助け合いの輪を大きくするための改革だ、また住民の保険料負担の算定過程を見える化して、分かりやすくすることが肝要だ、それから県全体の被保険者の負担と受益の公平化を図っていくという御説明でございました。保険料水準統一に向けた取組を進めておられるわけですが、こうした取組を現段階で進めているのは、滋賀県、奈良県、大阪府の3府県に加えまして広島県でありまして、まだまだ少ない、国として受益と負担の見える化を後押ししていく必要があるのではないかとのことでございました。の法定外繰入れの解消につきましては、滋賀県では国保財政が健全であり、法定外繰入れはそもそも行っていないとのことでございました。
5ページ目が、奈良県・荒井知事の主な御発言内容でございます。の法定外繰入れ等の解消についてですが、平成29年度の決算補塡等目的の法定外繰入れのうち、累積赤字対応分を除きまして、平成30年度には解消した、その際の激変緩和に当たりまして国の公費を有効に活用したとの御説明でありました。でございますけれども、県による受益と負担の総合的マネジメントの一環として地域別診療報酬の活用を検討していること、また、県庁組織を整備し、医療・介護保険局を創設したこと。では、地域医療構想の実現に当たりまして、地域金融機関にも機能分化推進のプレーヤーになってもらおうとしているとの御説明をいただきました。
6ページ目が、大阪府・吉村知事の代理の濵田副知事による主な御発言になります。の府内の保険料水準の統一でございますが、大阪府では、将来推計を出しまして、そこにおける保険料水準の見通しを市町村と共有したことで、改革が促進されたとのことでございました。すなわち、府内市町村間の保険料水準の格差を放っておくと、二十数年先には保険料が高い市町村で国保が立ち行かなくなるという心配が共有されまして、保険料水準の統一を目指すことになったとのことでございました。の法定外繰入れ等の解消はかなりの進捗でございまして、法定外繰入れは府定義の計数で見まして、平成28年度123億円の赤字が平成30年度には20億円に改善されまして、累積赤字につきましても、平成20年度時点では全国ワーストの800億円以上だったのが、直近、平成29年度では62億円まで減りまして、再来年には解消見込みとのことでございます。、を御覧いただきますと、こうした取組の中で保険料がどうしても上がっていかざるを得ないということでございますが、それだけ医療費の適正化、増加抑制に真摯に取り組もうとされているようでございました。
以上のプレゼンや意見交換を受けまして、次の7ページでございますが、3府県の知事、副知事から、財務省、及び財政制度等審議会に対する申入書の手交が行われました。
「3府県は、平成30年度からの国保の都道府県単位化を契機として、府県内の国保保険料水準の統一の具体的道筋をいち早くつけることにより、受益と負担の関係の『見える化』を進めてきた。3府県は、3府県が進める種々の取組こそが、持続可能な社会保障制度の構築に向けて、国保の財政運営の責任主体として果たすべき役割として認識している。」とのことでございました。その上で、御要望は4項目ございまして、時間の関係で1つ目だけ御紹介いたしますと、「3府県をはじめとする都道府県内の保険料水準の統一や、法定外繰入れの解消等の取組みについて、優良・先進事例として認識いただき、保険者努力支援制度の拡充の際の公費配分にその進捗を反映するなど、後押しすること。」などといった御要望をいただきました。
8ページ目は、申入書の手交の様子でございます。この申入書に対しまして、榊原会長からは、国保改革の加速化という点をしっかり受けとめて財審の議論に生かしていきたい、伊佐政務官からは、国としても真摯に受けとめ、経済財政諮問会議等とも情報共有していきたい旨の御発言があったことを御紹介しておきます。
9ページ目からが、第3部のパネルディスカッションの様子でございます。パネリストの御意見を御紹介いたしますと、9ページ、まず関経連の松本会長でございますが、2つ目の丸にありますような、堅実な経済前提に基づく関経連の独自試算をもとに、歳入歳出両面での改革が必要であることを訴えられていました。
また、西村大商副会頭でございますが、1つ目の丸にありますように、歳出削減の鍵は膨張を続ける社会保障関係費の抑制だといたしまして、社会保障の給付の重点化、効率化、応能負担の徹底などを主張なさいました。
10ページ目にお進みいただきますと、赤井委員は、債務の認識が曖昧なまま臨時財政対策債が膨らんでいるという地方財政の問題点、財源不足が解消する外側で地方の公共事業が拡大していることに警鐘を鳴らしていただきまして、また、上下水道等の広域化等の御主張もなされた次第でございます。上村委員におかれましては、地方歳出改革を推進すべきとのお立場から、アメリカのボストン市の事例なども引き合いに出されつつ、地方公共団体の歳出改革に向けての課題を指摘いただきました。
11ページ目でございます。角委員におかれましては、財政健全化基本法(仮称)といった法律をもって財政目標を定めた上で財政運営を進めていくべき、あるいは独立した財政機関を設置いたしまして、その財政見通しを財政運営に活用していくべき、あるいはマイナンバーの活用といった御指摘をいただきました。竹中委員におかれましては、障がい者の方がタックスペイヤーになっていただくための取組について、御紹介いただいた次第でございます。
12ページ目でございます。増田会長代理からは、社会保障分野における地方公共団体の役割をお話しいただきまして、榊原会長からは、今までのパネリストの発言をまとめる形で、社会保障も地方財政も受益と負担の乖離の問題があるので、令和の時代こそ、マッチさせなければいけないのだという趣旨の御発言をいただきました。
13ページでございます。参加者から、あらかじめ質問を受け付けさせていただきまして、そこからピックアップした質問に、榊原会長及び増田会長代理からお答えしていくという形をとらせていただきました。例えば、1問目の答えの中で、榊原会長から財政の長期的な推計の必要性について触れいただいた次第でございます。
最後に、会場からのアンケート結果になりますけれども、14ページでございます。アンケートに回答を寄せていただきました方の8割強から、左側の円グラフにありますように公聴会が有益だった、あるいは右側にありますように、日本の財政の現状について理解が深まったとの回答をいただいた次第でございます。
15ページですが、国保の保険料水準の統一などの取組について、9割弱の方から他の地域でも取組を推進していくべきとのアンケートの回答をいただきました。また、下のところでございますが、受益と負担をどのようにマッチさせていくべきかという観点から、低福祉・低負担、中福祉・中負担、高福祉・高負担のいずれがよいかという設問も設けさせていただきましたが、6割強の方が給付に合うような形で負担を求めていくという中福祉・中負担が望ましいとの回答でございました。
16ページには、アンケートにお答えいただいた会場の方々の御意見のうち、主なものを掲げさせていただいた次第でございます。
最後に、地方公聴会の開催に多大な協力を賜りました関経連、大阪商工会議所、滋賀県、奈良県、大阪府の皆様に、改めてこの場をお借りして心より御礼申し上げつつ、私からの報告とさせていただければと思います。
以上でございます。
〔 増田分科会長代理 〕 御苦労さまでした。ありがとうございました。
今の説明にもありましたとおり、私も、会長と、それから赤井委員、上村委員、角委員、竹中委員とともに現地へ行ってきましたが、私も全く同じように大変有意義だったと思います。滋賀県と奈良県と大阪府、この3府県ですが、保険料水準の統一、それから法定外繰入れの解消などを先進的に行っている。受益と負担を見える化して、きちんと住民の皆様方にそれを見せることによって次の改革に取り組んでいる。東京以外だと、次は大阪というのが一般的だと思いますが、そこが国保の関係では非常に先進的に取り組んでいる。ある意味、そういう場所で開催できて、全国に対してその取組を後押しできたというのは大変よかったのではないかと思っています。
3府県の知事連名での申入書についても、どう反映させていけるか、建議の議論の際に議論していきたいと思っております。令和になっての最初の予算編成にこれから向かっていくというときですけれども、平成時代、なかなか受益と負担の乖離の問題は解消できませんでしたが、令和はそのギャップの縮小にしっかりと取り組んでいくということ、そのことが会場に来られた皆様方にもいろいろな形で伝わったのではないか。そして今回、初めてインターネットでの中継も行われましたが、そういう新しいツールを取り入れて、広く皆様方に伝えたいという姿勢で、これからも取り組んでいくことが必要かなと改めて思った次第であります。
終わった後の記者会見で、会長が質問を受けて、公聴会について、今後どうされる予定ですかということだったのですが、別の場所での開催も検討したいと、こういうことを会長も答えておられました。今回の結果についてはもう少し分析が必要かとも思いますが、次の開催もやはり前向きに、本当に実行に移すという意味で考えていかなければいけないのではないかと思っています。
この地方公聴会についての意見は、本日の3本構成の中の3番のところで財政に関する広報について議論を行うことにしていますので、これから地方財政の議論に入って、その後のところでもまた、何か御意見ですとか、御提言があれば、そこで頂戴をしたいと思います。
なお、本日御欠席の竹中委員には、地方公聴会の当日、会場においでいただいたわけですが、その竹中委員から資料を御提出いただいております。机上に配付しておりますので、お目通しをいただければと思います。
それでは、次の地方財政の審議に入りたいと思います。初めに、前田主計官から説明をお願いします。
〔 前田主計官 〕 地方財政担当主計官の前田でございます。よろしくお願いいたします。
本日ですけれども、春の財審ということもございますし、また、新たに委員になられた方もおられますことから、個別の課題にフォーカスするというよりは、地方財政全体について、平成の30年間を振り返りつつ、概要を御説明させていただきたいと思っております。
1ページの目次を御覧ください。大きく2つに分けておりまして、前半を地方財政対策の概要、後半を地方財政対策の課題ということで御説明いたします。
前半の地方財政対策の概要では3点、まず地方財政の現状について、次に、その背景となっております地方交付税総額の算定方法、そして地方一般財源総額実質同水準ルールについて御説明をして、最後に「地方財政が健全化しつつあるのに対し、国の財政は厳しいのだから交付税を減額すべき」、逆に「地方財政が健全化しつつあると言うが、地方における歳出抑制も限界であり、一般財源総額を増額すべき」という2つの見方について御説明をしたいと存じます。後半の地方財政対策の課題では、こちらも3点になりますが、1点目として補助事業、特に社会保障関係費の課題、2点目として単独事業の課題、そして最後に地方の税源偏在の是正ということで御説明をさせていただきます。
それでは、3ページを御覧ください。今回の議論のターゲットとなる地方交付税交付金等の規模でございますが、左の円グラフにございますとおり、令和元年度予算において約16兆円でございます。社会保障関係費、国債費に次いで3番目に大きい支出となっているということでございますが、社会保障関係費と異なるのは、平成22年度以降、地方交付税は着実に減額をしてきている、という点であります。ですので、構造的な増加要因があるとは考えておりません。足元、令和元年度では5,000億円ほど増額となっておりますけれども、この原因については後ほど御説明をさせていただきます。
続いて、4ページを御覧ください。赤と青の薄い点線で示したものが、皆様よく御承知のとおり、国の歳出と税収の推移でございます。いわゆるワニ口と呼ばれるものです。今回、濃い実線で示しましたものが、初めてつくってみましたけれども、地方の歳出と税収等の推移でございまして、一見してお分かりのようにワニの口が閉じているということになります。
3点ほど、分かることを指摘したいと思いますけれども、1つ目は、一番右側、平成29年度のところですけれども、地方と国の財政規模、これは98兆円でほぼ同じになっているという地方財政の規模感が分かるかと思います。2つ目は、平成の初めまでは国も地方も歳出、歳入ともに右肩上がり、そしてバブルがはじけた後、度重なる経済対策等で歳出が伸びたのに対して税収が落ち込むものですから、国も地方もワニの口は開き始めるということでございます。3点目に指摘したいのは、その後が違うということで、平成10年ごろをピークに、地方の歳出、約10兆円減少し、平成20年度以降もほぼ横ばいで推移をしております。これに対して、歳入のほうは国ほど落ち込むことがなくて、ほぼ横ばいとなっています。結果としてワニの口が閉じたというところが、国との大きな違いになっているかと思います。
では、なぜ地方のワニの口が閉じたのかということですけれども、一つには、歳入面では、地方交付税制度によりまして財源保障が行われていること。歳出面につきましては、経済対策としての公共事業を大きく削減した後で、歳出の水準を実質前年同額としているということが要因として挙げられるかと考えておりますけれども、こちらもまた後ほど御説明をさせていただきます。
続いて、5ページを御覧ください。ワニの口が閉じているということは、地方の財政は健全化しつつあるということだろうと思います。棒グラフで示してあるものが地方の債務残高の推移でございまして、平成16年度以降、200兆円で残高はほぼ変わっておりません。ここ6年ほどは、むしろ名目額でも少しずつ減少しているということになっております。国の場合、財政健全化の指標というと、債務残高を対GDP比で測ることになるわけですけれども、これは緑色の折れ線グラフでして、地方においてはこの7年間で7%ポイントと大幅な改善となっていることが分かります。
続いて、6ページを御覧ください。ここでは、再度、国と地方の財政事情を比較しております。真ん中の赤い折れ線、これは地方のプライマリーバランスですけれども、一貫して黒字になっております。近年は、利払い費を含めた財政収支も黒字になっている。これに対して、下の緑の折れ線で示された国のプライマリーバランスは一貫して赤字になっている。このグラフの一番右端が2025年度になっていますけれども、これは内閣府の成長実現ケースにおける試算をプロットしております。試算上は、現在、財政健全化目標であります2025年度において、国・地方を合わせたプライマリーバランスを黒字化するということは達成されていない図が描かれていますけれども、仮に達成した場合でも、地方が大きく寄与している結果で、国においては、なおプライマリーバランスの黒字化は達成されていないということに留意が必要だろうと考えております。
最後に、下の表ですけれども、平成の30年間を振り返ってみますと、ちょうど真ん中で綺麗に分かれまして、前半の15年間は国も地方も債務残高、ピンクの矢印ですけれども、ほぼ3倍、同じペースで積み上げております。ところが、後半の15年間を見ますと、国は引き続き前半とほぼ同じペース、前半350兆円、後半400兆円という形で債務残高を積み上げておりますが、地方は債務残高を微減にしているということがお分かりいただけるかと思います。
続いて、7ページを御覧ください。先ほど申し上げましたとおり、地方財政の健全性を担保しているのは、地方財政計画に基づいて地方交付税を交付していると。いわゆる財源保障機能という言い方をされますけれども、これを令和元年度予算の数字をもとに簡単に御説明申し上げたいと思います。
左側に、2つ四角を記載しておりますけれども、これがいわゆる地方財政計画と呼ばれるものです。左側の四角が、全ての地方団体が標準的な行政サービスを実施するのに必要な歳出を見積もったもの、その隣の四角が、全ての地方団体の地方税、国庫支出金(補助金などのことです。)などの歳入を見積もったものになります。結果として、図の赤色に塗られた部分が歳出と歳入のギャップになります。そして、この収支差額を埋める形で地方交付税を交付しておりますため、地方が標準的な行政サービスを行うために必要な財源は全額確保されているということになろうかと思います。
ただ、正確に申し上げますと、まずは所得税、法人税、消費税等々、国税の一定割合、地方交付税法定率分と言っていますけれども、これを交付税総額として計算して、それでも埋まらない収支差額については国と地方で折半して手当てする。具体的には、地方は臨時財政対策債、これは赤字地方債になりますけれども、赤字地方債を発行して賄うということになっておりました。
令和元年度予算におきましては、過去最高の地方税収等によりまして、折半対象財源不足が11年ぶりに解消されるということで、地方財政の健全化が一層進んだという評価はできるかと思っております。
一点、付言しますと、この折半対象財源不足が解消すると、あとは国税が増えれば、それに比例して一定割合で地方交付税が伸びるということになりまして、冒頭、近年、着実に減額してきた地方交付税が令和元年度予算は増えたと御説明申し上げましたけれども、大きな要因は、この折半対象不足が解消し、地方交付税の法定率分が伸びているということになろうかと思っております。
地方交付税総額の算定は、今、申し上げたとおり財源保障的になっている。さらには、足元で申し上げますと、地方交付税も国税が伸びれば増えるだけということになると、地方の財政は緩んでしまうのではないかという御懸念もあろうかと思います。これについて、重要なルールであると我々が考えているのは、地方一般財源総額実質同水準ルールということになります。
8ページを御覧ください。資料の左側、これは再び令和元年度予算の地方財政計画を記載しておりますけれども、歳入側で黄色く塗られた部分、地方交付税、地方税、臨時財政対策債等、これらの総額を前年度と実質的に同額にするというのが同水準ルールの中身でございます。このルールそのものは、もともと地方に安定した歳入を確保する、前年度と同額の歳入を確保するという趣旨で導入したわけですけれども、一般財源の金額を固定すると、その対象となっている歳出の伸びが同じように抑制されて、実質的には歳出側の財政規律としても機能しているということだろうと我々は考えております。新経済・財政再生計画、昨年の骨太の方針では、この同水準ルールが今後3年間の地方財政の目安とされておりまして、令和元年度予算においても、新経済・財政再生計画の初年度として同水準を堅持したところでございます。
続いて、9ページを御覧ください。地方一般財源総額実質同水準ルールというのは平成23年度から導入されておりまして、青い棒グラフで示された一般財源総額のうち、濃い青色で赤い点線を超えた部分、これは消費税率の引上げに伴って社会保障の充実を行ったことなどに相当する部分ですので、これを除いた一般財源は、赤い点線で示されているとおり、この8年間で同額に据え置いております。結果として、左右の端に色分けされた棒グラフをつけましたけれども、一番下の薄緑色で示しました地方税が増収傾向にある中で、オレンジ色の地方交付税、さらにはその上の斜線で示された臨時財政対策債、赤字地方債ですけれども、年々減少しているということになります。したがいまして、我々といたしましては、この地方一般財源総額実質同水準ルールが堅持されるのであれば、地方交付税額が増額しても、増額分は臨時財政対策債の減額に充てられることになるので、地方財政の健全化に寄与するということで、現行の枠組みは一定の評価をしておるところでございます。
10ページを御覧ください。今、簡単に地方財政の現状を御紹介しましたけれども、これに対して、よく聞かれる2つの御意見を御説明させていただきたいと思います。
1つ目は、地方財政は健全化しつつあるのか、でも国の財政は厳しいのだから、交付税を減額して国を助けてもらったらどうかという御意見です。左側は、もう一度、地方財政計画を示しておりますけれども、一番左側の細長い棒グラフは歳出で、これが同水準ルールのもと、実質的に固定されているという御説明を申し上げました。結果として、右側の歳入を御覧いただきますと、地方税の増収、あるいは交付税の増額等で歳出を超過した財源というのは、まず上から、黄色い部分、折半対象財源不足の解消に充てられてございます。そのうえで、さらに赤色の部分、臨時財政対策債の圧縮等にも充てられたわけです。
ただ、青色の部分で示しておりますとおり、地方はなお臨時財政対策債を発行しております。右側に、地方交付税法と、関連する国会答弁を引用してございますけれども、地方財政計画における歳出・歳入差額は全て普通交付税で賄われるべきだという考え方に基づくと、青色の部分なお財源不足であるということになります。したがって、現状においても安易に交付税の減額はできないというのが地方、あるいは総務省の考え方だろうと思いますけれども、我々としては、同水準ルールのもとであれば着実に財政健全化が進むという実態も踏まえて、一定の理解はせざるを得ないと考えております。
11ページをお開きください。今のが、いわば国からの意見だったとすると、今度は地方からの意見になるわけですけれども、おっしゃるとおり地方財政は健全化しつつあるわけですけれども、地方における歳出抑制はもう限界だと、一般財源総額を増額してほしいという意見も大分聞こえるようになってまいりました。
これに対して、資料の左側のグラフにございますとおり、オレンジ色が地方財政計画における歳出額、青色が決算における歳出額でございます。それぞれ推移を示しておりますけれども、近年、縮小傾向にあるとはいえ、一貫して決算額が計画額を下回る状況ということは、実際の支出はまだ余裕があるのではないか。さらに、右側の図では、地方財政計画の歳出を取り出しておりますけれども、オレンジ色の一般行政経費(単独)につきましては、いわゆる枠計上ということで総額計上になっております。決算上も細かな事業別の決算が現時点では不明であるということで、計上額が適正かどうかの客観的な検証ができていないという状況でございます。ただ、この決算につきましては、現在、総務省において、より細かな決算結果の公開に向けて検討を行っていただいておりますので、その結果も踏まえて、地方の歳出抑制は本当に限界なのかどうか、議論、検証していくべきものだろうと考えております。
12ページを御覧ください。これも何度か御紹介していますけれども、地方における基金残高の推移でございます。平成17年度以降、一貫して増加して、足元ではバブル期を超えて過去最高の22兆円となっているということは御案内かと思います。ただ、新たに国から交付した資金によって造成した基金の影響を除くと、29年度は東京都と特別区以外では微減となっている点には留意をすることが必要と思います。さらに、基金の増加をやめてくれといって、かえって無駄に歳出を増やすようなこととなれば本末転倒なので、我々としては、基金残高の積み上がりをもって、だから交付税を減らせというあまり短絡的な主張はしたくないと思っております。ただ、少なくとも現時点では、一般財源が足りないということはないのではないかということは言えるだろうと考えております。
以上で、地方財政対策の概要についての御説明を終わります。
続いて、今後の地方財政対策の課題について、3点ほど簡単に御説明をいたします。
14ページを御覧ください。まず、恐縮ですけれども、また平成の30年間を振り返りたいと思います。地方歳出の中身をそこに書いてございますけれども、平成の30年間を10年間ずつ区切ると、大きな傾向が分かりやすく示されると思っております。
最初の10年間、この棒グラフでいうと、網かけの黄色で示されました投資的経費(単独)、これは地方が補助金等を受けずに行う公共事業のことですけれども、これが累次の経済対策もあって大きく増額をして、結果として地方歳出の総額も膨張した。次の平成10年度から20年度までの10年間は、この地方単独の公共事業を10兆円と相当程度大きく削減して、これにあわせて地方歳出の総額全体も縮減した。先ほど、ワニ口のところでも少し御説明をしたとおりでございます。そして、最後の10年間、平成20年度から30年度にかけては、引き続き公共事業は削減されておりますし、給与関係経費、緑色の人件費も削減している中で、一番下に青色で示しました一般行政経費(補助等)が大幅に、10兆円増加している。その内容は、右側にお示ししたとおりで、増えた分はほぼ全額、社会保障関係費だろうと思っております。すなわち直近10年間で見れば、地方の財政構造というのは、国と同様、相似形、義務的な社会保障関係費の増額が最大の課題になっているということがお分かりになるかと思います。
では、15ページを御覧ください。右側のグラフは、一般財源総額実質同水準ルールが導入された後の9年間の地方財政計画上の歳出・歳入の増減内訳を示してございます。かいつまんで申し上げますと、オレンジ色の四角囲いをしたところが一般行政経費(補助等)の9年間の累積の増加分、プラス7.4兆円。これは、もう御説明したとおり、ほぼ全額、社会保障関係費と考えていいかと思っています。
その増加分がどうやって賄われたかといいますと、四角囲いの内側にございますとおり、上から灰色の部分、国庫負担がプラス2.9兆円、これは補助事業なので、ある意味、当然です。次に、より濃い灰色の部分は、消費税率引上げに伴った歳出増、これは消費税率引上げによる増収分で賄われていると考えられます。最後が白色の部分で、これが地方負担の増加分、プラス3.1兆円になっています。
これをどうやってきたかというと、バーの下にある水色の給与関係費1.4兆円と、緑色の公債費1.5兆円のそれぞれの減額によって賄ってきたという形になります。給与関係経費は、退職者数の増ですとか、公債費であれば先ほど御説明した地方債務残高の抑制と金利の低下が要因として考えられるので、逆に今後は、特に給与関係経費については、むしろ増加に転じる可能性もあるのではないかと思っておりまして、社会保障関係費の増加、特に地方負担分をほかの政策的経費の削減によって賄うということも想定されると思っております。
従来、社会保障関係費というのは、地方からすると、国が補助金、地方交付税によって全額、財源保障するのが当たり前であると。増加をどうするかということは、国において制度改正をするんだということが地方の理解だっただろうと思っております。ただ、今後は、地方においても抑制策を講じていっていただきたいということは、昨年の秋の財審で集中的に御議論をいただいたところでございます。
16ページを御覧ください。秋の財審の議論、簡単に振り返ります。左のグラフにございますとおり、これは社会保障の回にも出ましたけれども、医療費については年齢構成では説明のできない地域差があり、今回、資料は省略しましたけれども、入院医療についてはベッド数、病床数で地域差は相当程度説明できる。すなわち、病床数の適正化が行われれば、医療費の抑制にもつながるのではないかと考えております。
近年の制度改正によりまして、都道府県は医療費の適正化計画、あるいは国保の財政運営、そして地域医療構想、これは病床数の再編の話ですが、これらを一体的に行う主体と位置づけられましたので、従来のように国任せではなく、国と地方が協力しながら医療費の抑制に取り組むということが期待をされているのだろうと思っております。
また、右側の棒グラフでございますが、青色が国民健康保険の法定外繰入れ、すなわち税金によって保険料を軽減しているもの、それからオレンジ色が公立病院の基準外繰出金、公立病院の赤字を補塡している部分になります。社会保障においても、実は国の制度の外側で地方が更なる支出をしている部分があって、その早急な解消が望まれることは言うまでもないわけです。
下段には、この御議論を踏まえまして、秋の財審の建議を抜粋してございます。また、この建議を踏まえまして、先般、大阪で行われました地方公聴会で、滋賀県、奈良県、大阪府から先進的な取組の発表がございましたことは、今ほど御紹介があったとおりでございます。
続いて、地方財政対策の課題の2番目として、単独事業について御説明をいたします。
17ページを御覧ください。真ん中の帯グラフは、実は平成20年度の秋の財審で御説明をした資料です。20年度ぐらいまではこういうグラフを出しておりまして、すなわち地方財政の問題として御議論いただいていたのは、緑色で示されていた人件費と地方単独事業だったわけでございます。同じ帯グラフを、令和元年度予算で下にお示ししております。先ほど御説明したとおり、給与関係費は減少しておりますし、単独事業も減少しているという意味では、これらの経費に現時点では過去にあったような大きな問題があるとは考えていないわけですけれども、2点ほど指摘をさせていただきたいと思っております。
18ページ、御覧ください。左側が地方公共団体の総職員数の推移、そして右側が警察や教育など法律で義務づけられた定員を除きました、一般行政部門の職員数の推移となっておりまして、いずれも着実に減少しております。足元、横ばいか、若干の増員になっていますけれども、これは近年、話題になっております児童虐待への対応のように、真に必要な行政サービスの増加に伴うものがあると我々も理解をしております。ただ、基本的には、地方団体の住民サービスというのは人口比例的なものだろうと思っておりますので、今後の人口減少社会の中で職員数が大幅に増えるという関係にはないだろう。さらに、人口減少のもと、下段に総務省の研究会から引用しておりますけれども、2040年に向けて従来の半分の職員で、本来、担うべき機能を発揮できるようにする必要があると指摘をされております。すなわち、人口が減る中で、職員を増やしたくても増やせない、労働力不足の状況ということを想定しなければいけない。これらを踏まえた中長期的な、適切な人事管理を行う必要があろうかと思っております。
次、19ページを御覧ください。単独事業の問題です。社会保障関係費について、もちろん補助事業は伸びていますが、単独事業も伸びているという指摘は地方からたびたびされております。では、実際どうなのかというところがその資料でございまして、左側の折れ線グラフを御覧いただくと、オレンジ色の補助事業は確かに伸びていますが、青色の単独事業は微増かなと。右側の棒グラフで、その単独事業の内訳を見てみますと、大宗の伸びは児童福祉費となっております。
ここで1点、留意しなければいけないのは、今回、消費税率の10%への引上げに伴いまして幼児教育の無償化を実施いたします。これは、従来、地方において単独で実施されてきた事業ということで、国費がそこに入ることになって、地方において独自財源がいわば浮いてくることが見込まれている。下に、関係閣僚の合意を引用していますけれども、その浮いてくる財源については、他の事業に使用することなく、少子化対策の更なる充実ですとか、赤字地方債の縮減に充てるといったことが重要かと考えております。
最後に、歳入面の問題として、税源偏在の問題について御説明します。
20ページを御覧ください。左、細かい棒グラフで恐縮ですが、もう何度も御紹介したように、都道府県別で1人当たりの税収格差というのは、全体で見れば東京・沖縄間で1人当たり2倍、地方法人二税で見れば東京・奈良間で6.1倍の格差があるということでして、右側にございますとおり、20年度以降、累次、偏在是正策を講じてきております。基本的には、地方税である地方法人二税の一部を国税化して、地方譲与税とか、地方交付税で地方に配分をするという形で是正を進めてきております。今国会でも、消費税率10%への引上げ時に、地方法人特別譲与税がもとの地方税、法人事業税に復元されることになっておりましたものを、約3割、1.8兆円を国税化しまして、地方譲与税として人口により案分して譲与するという法律改正が成立いたしております。
21ページ、最後のページを御覧ください。今般の法改正の結果ですけれども、上段の総務省資料にございますとおり、従来、6倍の差がございました地方法人二税、1人当たり地方法人二税は約3倍に縮小いたしまして、総務省の説明によれば、これは東京と奈良の県内のGDPと大体一致しているということでございます。
そう考えると、税の理屈からすると、ある程度、偏在が是正されたということになろうかと思いますけれども、これも繰り返しになりますけれども、地方団体における住民サービスというのはGDP比ではなくて、基本的に人口比例なものですから、また、下段にございますとおり、やはり地方の基金残高も、交付団体が大体頭打ちになってきた中で、交付税を受け取っていない不交付団体が引き続き増加している。こういった点にも留意をすると、地方団体の安定した財政基盤を構築するためには、偏在性が小さく、安定的な地方税体系の構築といったことは、引き続き大きな課題として残っているのではないかと考えております。
以上で御説明を終わります。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
それでは、今の説明についての御意見、御質問、お受けしたいと思います。いつものとおり、ネームプレートを立てて、こちらから指名しますので、よろしくお願いします。それから、御発言は2分程度ということで、手短にお願いしたいと思います。
赤井委員のほうから、順次、回っていきたいと思います。赤井委員、お願いします。
〔 赤井委員 〕 ありがとうございます。では、簡単に3点ほど。
もうこれまでにも言っているお話ですけれども、また繰り返すことも大事かなと思いますので、1つ目は臨財債に関して、国としてはもう地方で何とか賄ってくださいという形で、地方で発行しているものですけれども、いまだに地方の個別団体になると認識が甘くて、ただ、地方全体で返さないといけないので、その認識が大事だということが1点目。
それから、8ページのところで、一般財源総額実質同水準ルールがございますけれども、税収が上がってきたことで折半対象の部分が解消されたというのは素晴らしいことですし、それによって臨財債の発行も減りましたけれども、そのルールの外側にある部分で、黄色の外枠の国庫支出金と、その他地方債はこのルールから外れていますから、その部分が増えているので、国の方針もあると思いますけれども、その部分が将来負担になるわけですから、そこも見ていかないといけないということ。
最後、19ページのところで触れていました、幼児教育の無償化で浮いたお金を地方がどのように使うのかということで、しっかり使っていただくように見ていくことが大事ですけれども、地方では、例えば医療費無償化で無理に引下げの競争を行って、そこまでやるべきなのかというような議論もありますので、そういうところをきちんと見ていく必要があるかなと思います。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございます。
佐藤委員、お願いします。
〔 佐藤委員 〕 では、私からも大きく3点。
1個目、これは大きな話になりますけれども、地方財政というのはもはや個別のテーマではなくて、ある種、横串、全てのテーマにかかわる話、社会保障を担っているのも地方公共団体でありますし、公共施設をたくさん抱え込んで、これから老朽化対策をどうするかを考えなければいけないのも地方公共団体でありますし、教育を担っているのも地方公共団体ということになりますので、ある意味、地方財政というのは、そういうあらゆる個別テーマに対する横串として理解したほうがいいのかなと思いました。それが1点目。
2点目ですけれども、やはり先ほどから出てくる人口減少の中において、特に地方公共団体などにおきましては、人材の確保ができないということになってくると十分な行政サービスが提供しにくくなってくる。今、地方公共団体にとって重要なのは、ヒト・モノ・カネでいけばヒトなんです。だからこそ、本当は県、あるいは広域連携といったものが必要になってくると思います。これは、実は日本の地方分権を大きく変える話です。これまで、地方分権というのは市町村を受け皿としてきたわけですけども、これを見直すことにつながるのかなと思いますので、この辺りも発想の転換が必要かなと思います。
最後に、赤井委員からも指摘がありましたが、幼児教育の無償化について、やはり今後、どういう風に使われていくのかということについては注視したほうがいいと思います。また、更なるバラマキになりかねないですし、似た事例で森林環境税がそうです。もともと森林の伐採、保全という地方公共団体、特に県がやっていたことに上乗せする形、横から入る形で、今、国の森林環境税が森林政策に財源を充てているので、実は二重にもらっていることになって、逆にこれもバラマキにならないのかという指摘もあります。いずれも地方単独事業ですので、どういう使い道にしているのかということだけは、明確に説明責任を果たしてもらう必要はあるかと思います。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 末澤委員、お願いします。
〔 末澤委員 〕 4ページを御覧いただいても、地方の歳入は近年、順調に伸びていると。通常、地方の税収というのは国税に1年ほど遅れますので、多分、今年度、来年度までは順調なのだろうと思います。ただ、足元、御案内のとおり、OECD等の世界経済の見通しも順次、下方修正されておりまして、世界経済は全体として昨年辺りから相当ピークアウト感が広がっている。今後、来年に向けて、やや微妙な局面になろうかと思いますので、やはり財政が良いときに、より改革を進めていただきたい。特に、7ページ、交付税特会の借入金の償還は、今年度は1,000億円増額ということで、これは極めて好ましいことだと思います。ただ、過去を見ますと、10年ぐらい見ると先送りが相当続いておりますので、やはり財政状況が良いときに、過去に遅れていた償還の前倒しといいますか、遅れた部分の戻しを是非やっていただけたらと思います。
以上でございます。
〔 増田分科会長代理 〕 武田委員、お願いします。
〔 武田委員 〕 詳しい御説明、どうもありがとうございました。私は、意見1点と、質問1つでございます。
地方における社会保障関係費の抑制、これは非常に重要ではないかと思います。以前から御説明いただいていたとおり、地域医療構想や適正化計画、そして国民健康保険の財政運営を一体的に都道府県が行っていくことになっているわけです。しかし、今のところ、十分にはまだ動いていないのではないかとの御指摘、あるいは、そうしたことを示すデータもございます。これを実効的に動かし、計画を実行に移すためには何が必要なのかという議論に移っていかなければいけない時期に来ていると思います。先ほど公聴会で御紹介いただいたように、頑張っている都道府県の取組を見える化し、それを応援し、横展開していく流れが必要と思います。
もう一つは、質問ですけれども、そうした見える化や応援はしていくとして、現場が動くようにするには何が必要なのか、その点、御紹介いただけるとありがたいと思います。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 質問は、後ほどまとめて回答していただきたいと思います。
冨田委員、どうぞ。
〔 冨田委員 〕 ありがとうございます。
平成の地方財政を含めた御説明、ありがとうございました。歳出ギャップが拡大し続けなかったのは何かということについてですけれども、地方財政計画の決算との乖離、これを是正しようとする努力ということと、一般財源総額実質同水準ルール、これらが絶対的に効いていたと思います。
この2つとの絡みですけれども、今年の10月から、先ほど来御指摘のある幼児教育と保育の無償化が始まります。これに先立って、地方が単独事業として児童福祉費を増やしていた。そのことの関係で、御説明もありましたけれども、やはりその2つを踏まえると、つまり平成時代の歳出ギャップが拡大しなかった効果ということから考えた場合に、国から一般財源として給付されるものについて、単独事業の整理を行うとともに、臨時財政対策債を償還することに充当してはどうかと思います。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 広瀬委員、お願いします。
〔 広瀬委員 〕 ありがとうございます。
ちょっとびっくりしましたけれども、地方の財政も非常に厳しいのかなと思っていましたが、着実に健全化が進んでいるということで、そういう面では嬉しい誤解でした。幾つか理由はあると思いますが、1つは、先ほど関西の公聴会でもお話がありましたけれども、それぞれの地方公共団体でいろいろな努力をされている成果が一つあるのかなと。もう一つは、やはり国との連携といいますか、国との役割分担とか負担を、うまく連携をとりながらやっているということもあるのかなと。さらに、ひょっとすると、国にないような財政規律をきちんとしていくような、何かそういう制度的なものがあるのか。その辺り、ちょっと分かりませんけれども、いずれにしても非常にそれぞれの方の努力で、地方財政が、それなりに健全化が進んで非常によかった、いいのではないかと思います。
ただ、そうはいっても、先ほど御指摘がありましたように、社会保障関係費がこれから非常に増えると。国もそうですけれども、当然のことながら同じような問題があるわけで、これは社会保障のときに議論になりましたけれども、受益と負担の問題とか、あるいは同じ金を使うのであれば、何か病気をしてからお金をかけるのではなくて、もう少し予防的なものに使うとか、いわゆる国の社会保障の改革と歩調を合わせるような形で、地方の社会保障も取り組んでいく必要があるのではないかと思っております。
もう一つは、これも先ほどお話がありましたけれども、今、地方は、地方の中小企業などの方の声を聞きますと、やはり非常に経済活動も低下しておりますし、人口も減少しているということで、地方自体が疲弊しているわけであります。その中で、これから住民サービスをどうしていくかという非常に悩ましい問題があるわけで、そういった意味からも、事務の効率化とか、例えばマイナンバーカードも使うとか、あるいは、いわゆるIT化を進めるとか、そうしたところで効率化を進めながら、ある程度、住民サービスも維持していくと。いわゆる知恵を出したり、工夫をしたり、そういうことが必要になってくるのかなと思っております。
以上でございます。
〔 増田分科会長代理 〕 宮島委員、お願いします。
〔 宮島委員 〕 ありがとうございます。
地方財政の問題は、国が直接、手を突っ込めない部分も多いので、本当になかなか難しいところもあると思いますけれども、大事なのは、やはりそれぞれの地方公共団体の住民の世論だと思います。それで、財政規律をきちんとやっている市町村、あるいは県は格好いいというように、どこかでしないといけないのではないかと思います。
というのは、例えば子供の医療費の問題とか、かねてより私は今後の医療費を考える意識の上でも問題だということは申し上げています。でも、現場でいかに喜ばれていて、少子化対策の中でそれが首長にとって大事で、なかなか引き離すことはできないどころか、どんどん拡大しているということは、私自身も非常によく分かっています。その中で、住民サービスとしては素敵だけれども、規律を守るために1回の診療で100円はとっていますとか、そこで抑えをきかせている地方公共団体のほうが素敵だというように何とか思ってもらうことはできないのかと思います。
その中で、本日の御説明全体は、本当に精緻で、行政とのやりとりの中では大事ですけれども、私は正直、本日の資料を会社の本社の経済部以外のデスクに説明するのもなかなか難しいと思っているので、もっとざっくりと、要するにこれをやれば格好いいのだという空気感を何とかつくれないか。1つは、もちろん見える化です。枠計上ではないほうがいいですし、この金はどこから来ているのかということを住民に分かってもらうということ。さらに言うと、医療費はタダ、あるいは高齢者のバス代はタダ、何とかはタダということが、負担と行ってこいで、結局、誰が一番得で、誰がどうなっているのかということを、住民の分かる政策でも説明するほうがいいのではないかと思います。
質問は、今回、大阪でこのような公聴会があって、比較的ハードルが高いと思われる国民健康保険とかの話がされましたけれども、これを見た方々は皆、おお、これは素晴らしいと思われたのか。あるいは、実際に、私たちから見ると3県の取組はすごいと思いますけれども、これを見て、ほかの県がすごいと、うちもついていこう、やるぞという空気になっているのかどうか、その辺りを教えていただきたいと思います。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございます。
堀委員、お願いします。
〔 堀委員 〕 他の委員の方の発言にも関係することが幾つかありますが、今、ちょうど宮島委員がおっしゃっていたところから発言したいと思います。まず、19ページの少子化対策、浮いた部分を地方公共団体で使うというところですが、現在、医療費の無償化政策でも同様のことが起きていますが、直感的な少子化対策につながらないどころか、かつての老人医療費の無料化で起きたようなモラルハザード面での新たな問題が起こるのではないかと懸念します。「格好いい」とか、「格好よくない」という言い方が良いのかどうか分かりませんが、負担に見合わない給付をし続けるのは「けしからんこと」というような雰囲気を地方公共団体の首長に伝えたほうがいいのではないかと個人的には思っていますし、いろいろなところで私は発言をしております。
それから、国の財政はワニ口で悪化しているけれども、地方公共団体は悪化していないと。これは素晴らしいことですが、発言にはありませんでしたけれども、おそらく三位一体改革であるとか、地方公共団体の改善の努力や地方自治の改革の影響もあるかと思います。しかし、改善によって悪化していないとすると、ワニ口になっているのは国、財務省が改善の努力をしていないのか、問題なのかといいますと、必ずしもそうではないでしょう。つまり、どこの部分が各自治体の努力によって財政がよくなって、悪くなっているのかということ自身が見えにくいことが、国民にとってよく分からないのではないかと思います。
正直、本日の地方財政の数字を見させていただいて、私自身、不勉強もありますが、もっと悪化しているのかと思っていました。率直な感想として、地方公共団体が一生懸命頑張っているのかというと、頑張っているようにも見えるし、そうでもないとも。繰り返しになりますが、その辺りが曖昧な感じになっているのが国民にも非常に分かりにくいと思いますので、今回の公聴会で、見える化と視点から、「保険料水準の統一」であるとか、「一般会計の繰入をなし」にするとか、そういうことは受益と負担を見える化することにとても貢献すると思いますので良いと思いました。
それから、多分、地方財政は地方財政だけで検討するというよりは、社会保障を含むほかの分野とも必ず密接につながっていると思いますので、その部分をうまく調整できないと、地方公共団体からすると、自分たちは努力していても国が勝手に決めたからできないとかということを、永遠に言い続けることになってしまうと思いますので、地方の声が入るような仕組みが必要かと。繰り返しになりますが、国民健康保険は非常に分かりにくいですが、国保の運営主体に都道府県がなったということ、それから地域医療構想、地域医療計画というところで見ますと、地方公共団体がなかなかいじれない社会保障の中でも、医療については都道府県がかなり関与できるようになっていますので、そこはもう、積極的に進めていくべきだというメッセージを伝えたほうがいいのではないかと思います。
それから、11ページ、修正後歳出計画額と実質的な歳出決算額というところで、私自身、不勉強で分かりづらいと感じました。結局、歳出計画と歳出の決算を修正しないと、おそらくこの資料では財務省でやってくださったから見えていますけれども、普通の地方公共団体ベースでも分かりやすく見えるのかというと、多分、分かりにくいのではないかと思います。この辺りは、ひょっとすると単独の地方公共団体だけではできないことかもしれませんのが、もう少しわかりやすく見せるという意味で会計上の工夫ができるといいのではないかと思いました。
最後に1点。質問ですが、地方公聴会にどのような方が参加されていたのか。属性ですね。私は、生涯教育講座のような形で、老若男女いろいろな属性の方たちにお話をする機会がありますけれども、財政の話をして理解してくれる層というのはかなり限られています。どちらかというと高齢層の方たちは受益者であるから財政にも関心を持っているようですが、若い人たちには幾ら話をしても、財政には関心がなく、国にはお金があると思っている人が多い。今回、非常に好評だったということなのでとてもよかったと思いますが、実際、平均年齢とか、どういう方たちが来ているのか、分かれば教えていただければと思います。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 中空委員、お願いします。
〔 中空委員 〕 臨財債のことを言おうと思いましたが、赤井委員や冨田委員が言ってくださったので、私からは省略したいと思います。
地方財政が難しいと思うのは、基本的には地方と国とどちらがやるのかよく分からない、主体がよく分からないという話だと思っていて、地方がやはり、しっかりやっているところもあるけれども、怠けているところもある、たくさんの数があるから仕方がないという話になりますが、基本としては独立採算制になること、地方への権限移譲がきちんと行われることが大事だと思っています。最近、道州制ということが言われなくなりましたが、それをやらないとしても、権限移譲を見据えた過渡期の状況を国と地方がどうやれば互いに納得し得るかということが、やはり最も大事なのかなと思いました。
もう一点は、前田主計官からきちんと説明がありましたが、基金について、残したところから特に取り上げることはないと言っていたので、それは安心だと思っています。基金は、ある程度残す努力をしたところについては無理に取り上げないということは、とても大事なことかなと思いました。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 土居委員、お願いします。
〔 土居委員 〕 9ページの資料に関連して、2点ほど申し上げたいと思います。
この時期は、非常に恵まれた時期だったと思います。つまり、社会保障・税一体改革で、国税も地方税も消費税が増収になるということですから、ある意味でプラスサムの税収を分け合うというような意味で、国と地方の喧嘩みたいな話はあまりなかった。御承知のように、この前の時期というのは、いわゆる三位一体改革で税源移譲という話もあって、国税と地方税、どちらがとるんだという厳しい時期があったわけですが、それを乗り越えて9ページの時期になったという意味では幸せな時代だったと思います。ところが、今度、消費税率が10%に上がると、その先はまた何も決まっていないということになりますから、私はここで2つコメントがあります。
結局、プラスサムにならないとなると、国からもっとお金を出してほしいという要求が地方公共団体から上がってくる可能性があって、そうなると、また厳しい時代の話に戻りかねない。そういうことにならないようにするためには、1つは財源の確保を地方公共団体にも協力・賛同してもらいながら、国と地方、両方を合わせたところで国民に負担増をお願いすることになるんだろうけれども、財源を確保していく。共同戦線ともいいましょうか、そういうものを確立していくことが、やはり今回の9ページの一つの教訓になるんろうと思います。
最後にもう一点あるのは、今年度の予算でもあったわけですけれども、幼児教育の無償化に際して、子ども・子育て支援臨時交付金というような形で、本来、地方が負担するべきところを全額、初年度だけは国が負担するというような形で、ある種、肩がわりするようなことをやっているわけです。それに味をしめてしまうと、やはり地方は、結局、国がお金を出してくれるだろうと甘えてくる可能性がありますから、あまりこういうようなものは多用しないように、しっかり国も地方も財政規律を維持していくということが大事だと思います。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 田中委員、お願いします。
〔 田中(里)委員 〕 地方創生の流れの中で、総合計画を立て、国から予算を受けた地域が課題解決などで成果を上げていて、幾つかの成果が顕在化しています。そこには民間の活力も入れながら、稼げる地域、投資が集まる地域として力もつけてきていると思いますけれども、豊かになれば地域の住民サービスも充実され、その地域の社会保障関係費の減少というシナリオにつながると考えられるのかどうかということを知りたいと思いました。
もう一つは、今、幼児教育の無償化のお話もありましたが、地域で起業すれば支援金が得られるとか、移住をすれば支援金が得られるというような施策もあります。地域への先行投資と感じますけれども、本日の資料の文脈の中で、近い未来、これとあわせてどう見ればいいかということを伺いたく思いました。
最後に、偏在性は小さくしながらも、やはり地域の特色を出すことに地方財政の対策が寄与できるというようなメッセージが出されることが、今、特に求められているのではないかと感じます。
〔 増田分科会長代理 〕 河村委員、どうぞ。
〔 河村委員 〕 1点、意見を申し上げさせていただきます。
5ページのところで端的に出ていると思いますけれども、地方の財政運営、地方財政、どういうようになってきたかということで、折半の対象になっていた財源不足が解消して、臨財債の金額が本当に減ってきて、少し楽になってきたというお声を地方公共団体の方から伺うこともあるわけですが、やはりフローの面で見れば、そうやって改善してきたことは本当によかったとは思いますが、直視すべきは5ページでお示しになられた棒グラフの姿だと思います。
一時的な財源不足であれば、こうやっていろいろ、特会で借入金もやっていたわけですし、臨財債が導入されて、数年で済むのであればこういうやり方もあるとは思いますが、これだけ長期化した。やっと解消しつつあるといっても、このギャップをこれからどうやって埋めていくのかということを考えていったときに、毎年毎年、余裕のある範囲で少しずつ返していけばということで、片付けて良い問題ではないのではないかと思います。そもそも地方財政制度を考えたときに、主計官からも御説明がありましたが、標準的な行政サービスという考え方があったり、基準財政需要額も総務省がいろいろ事細かにはじくわけです。全国公平にという感じでやりますけれども、それが本当に各地方公共団体の置かれている実態と合っているのかどうか。
基金の残高は、12ページのところでグラフが出ていたと思いますけれども、地方全体で把握するだけではなくて、個々の地方公共団体ベースで見たときに、一体どこの基金が膨らんでいるのかということも、本来であればきちんとチェックすべきであって、私は個人的には、やはり先ほど申し上げたような一律的な、画一的な考え方、歳出に関する考え方が必ずしも実態に合っていないというところが、一つ基金の積み上がりに出ていることもあるでしょうし、今までいろいろな特別な措置があったわけですよね。合併を奨励するような措置であるとか、歳出特別枠であるとか、いろいろなものがあったわけですけれども、そういうところが本当に真の必要に見合ったもので、うまく使われているのかどうか。もう何か地方財政として、一応、全国ベースで合わせて、全部一緒にしてみて、辻褄が合えば、はい、おしまいで次のことを考えるということではなくて、やはり今までのやり方がよかったのかどうか、このやり方を見直さなくていいのかどうか、それから過去にやったことがどういう結果に結びついているか、それを今後の地方に向けての財源の配分にどう生かしていくべきなのかといったことも、考えたほうがいいのではないかと思っております。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 進藤委員、お願いします。
〔 進藤委員 〕 18ページの「給与関係経費の推移」に、削減の方策として、デジタル化に言及し、別の報告書から引用して、「AI・ロボティクスに任せ、職員は職員でなければできない業務に特化する」と、あっさり書いてあります。けれども、先ほど佐藤委員から「横串」という話がありましたが、やはり地方公共団体の仕事というのは、大体、同じようなことをやっているのではないかと思います。そうすると、これをデジタル化するといったときに、各団体が独自にやっても何となく効率が悪いような感じがします。先端的なものを採用しているところをモデルとして標準化し、「こういうことをやっているところがありますから、あなたのところもやったらどうですか」というような、それを「横串」というのか、「連携」というのか、「広域化」というのか分かりませんが、何かそのようなリーダーシップがないと、ここにちょっと定性的に書いたからといって、「さあ、やりなさい」だけでは進まないだろうという気がします。
各自治体で、同じような仕事をやっているので、その辺りの効率化は何かできるのではないかという、皆同じような問題意識を持っているわけですから、これをもう少し突っ込んで、どのようにしてやるのかについての、何らかのリーダーシップが必要だろうと思います。これは意見です。
ありがとうございました。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
ひと当たり名札を挙げた方、御指名しましたので、とりあえずここで、幾つか質問があったので、前田主計官から、まずそれに対応していただきたいと思います。
〔 前田主計官 〕 公聴会に関するところは一松課長のほうからお答えをしたいと思いますけれども、それ以外のところは私のほうからお答えをさせていただきます。
1つは、武田委員でございます。都道府県、これから医療のいろいろなガバナンスをきかせる上にあって、現場で何が必要かという御質問がございました。全く私の個人的な見解になりますけれども、私が地方で見ていた限りにおいては、やはり人材の育成だろうと思っております。これまで医療行政を全くやったことがない都道府県に、社会保障の議論の際に、この財審の場でも都道府県は怠けているというかなり厳しい御意見が出ていましたけれども、正直、人材のないところにやれやれと言っても、なかなかできないところはできないものですから、人材の育成みたいなことは非常に重要なのではないかという気はいたしております。それ以外にも、正直申し上げて厚生労働省がおろしている権限が中途半端であるとか、いろいろ言い出せば切りがないですけれども、一番は人材の問題なのではないかと私は考えております。
もう一つ、田中委員のほうからいただいた御質問ですけれども、1つ目は、地方創生などでいろいろ成果が上がっているところもあって、住民サービスが充実してきているけれども、これは社会保障関係費の減少につながっているのですかということですが、明確に因果関係が分かっているところは、私はあまり承知をしておりません。地方創生、うまくいっているところがあるという話は聞いていますけれども、それが直ちに社会保障関係費の削減に結びつくかというと、もともと社会保障関係費は非常に制度にのっとって地方は歳出してきているので、地方の創意工夫によって社会保障関係費を抑制するというのは、従来はむしろできなかったというのが本音だと思います。今回、初めて医療分野でそれができるようになってきたという状況ですので、そこに明確な因果関係があるかどうかというのは、私は承知している例がないということでございます。
もう一つは、いろいろな教育無償化等の取組が地域への先行投資として行われているけれども、地域の未来にどう結びつけていくかということです。これも、なかなか国としてどういうように言うのかというのは難しいですけれども、やはり私が感じるところ、地方でいろいろな創意工夫、特に首長によって大分違って、首長の創意工夫というのは、今後、大きく問われていくのではないかというような気はいたしております。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 地方公聴会の議論は、3番目の議論ともつながっていますが、今、この段階で、一松課長からお答えをお願いします。
〔 一松調査課長 〕 まず、宮島委員の御質問ですけれども、地方公聴会、まだ13日にやったばかりですので、これを開催しただけで、直ちにほかの都道府県の意識が喚起されているということはないと思いますけれども、まさに地方公聴会の成果を、全国的な優良・先進事例としてどのように建議等で位置づけていただき、あるいは経済財政諮問会議等も含めて伝えていけるかにかかっていると思っております。
資料1の6ページで、大阪府の濵田副知事の発言が整理されているわけですが、これまで、先進事例だと手を挙げることはたくさんあって、皆様全て先進事例ですというようなことが多かったように思いますが、やはりきちんと頑張っているところに光を当てて、しっかりとそれを発信して、後押しできるかにかかっているのではないかと思っております。
また、堀委員からの御質問でございますけれども、地方公聴会には、661名の参加を得ることができました。この中には、マスコミの方、あるいは関係者などの人数もカウントさせていただいていますが、こうした内訳を職業別、年齢別、性別に見ますと、把握できた範囲ですが、職業別はやはり近隣地方公共団体、これは地方公共団体が深くかかわる国保の見える化を取り扱ったこともあったせいだと思いますけれども、地方公共団体を中心とした公務員の方が最も多く、次いで会社員、自営業者の順だと承知しております。年齢別ですと、全体の4割が50代だと承知しております。また、性別では、男性が8割ぐらい参加していただいたと承知しております。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
地方財政のところで、幾つか御意見、御質問も含めてありましたが、私もかなり長い間、地方財政に携わってきたので、今の御質問等も含めて少し申し上げておきたいのは、確かに地方財政について、住民の皆様方がどれだけ御理解してチェックをしているのかというと、その辺りがやはり心もとないという感じがします。やはり、それぞれの地方議会でその辺りを議論するのが、一番緊張感につながってくるのではないかと思います。
というのは、当然、知事だとか、市長だけでなく、組織全体、役所の職員全体に、どれだけそういう緊張感を持ってもらうかが全てですから、そうすると議会ですが、それでは、住民がお住みになっている地域の地方議会にどれだけ顔を出しておられるかというと、多分、無理だと思うのです。
その空気感というのは地方議会のどこでもあって、県議会ですと、質問者の後援会の人が傍聴席にいっぱいいるとか、この橋をつくってくれと言うと、そこのところだけわーっと拍手するみたいな空気感の中で議論しますから、やはり全体感を持って、要するに全体感というのはその地域ということではなくて、全国の地方公共団体、こういう取組をしているといういろいろな事例とか、全体感を持って、その地方公共団体の議会で議論することをどうやって実現していくのかという辺りが、悩ましいところでもありますし、永遠の課題かもしれません。
それから、例えば大阪でのこの間の公聴会で、健康長寿の話が議論であって、長野県とか、滋賀県というのは客観的に見ても健康寿命が非常に長くて、優良県だと思います。このように、国際的な客観指標できちんとやったところでは全国1位、2位になっているのですが、厚生労働省の提供するものでいうとものすごく低いんです。国の省庁で、横串で全体を評価すると、滋賀県は四十何位ぐらいの感じになっていまして、実は提供される省庁だとか、役所全体に横串を刺して、いろいろな比較をするという格好になっていない分野も、正直、あるわけです。ですから、私の知事時代はなかなかほかの県の状況が分からなくて苦労したんですが、やはり国側ももっときちんとした、リアルなデータを提供するということをどんどん、やっていく必要がある。
最後に、全部の分野で良いことをするということにはやはりなかなかならない。1つの地方公共団体でも、トータルすれば全体の行政水準が高いということはあると思いますが、それでも分野によって強弱は1つの地方公共団体でもある。どうしてもこちらのほうに力を入れると、こちらの行政分野はやはり手薄になるということがあります。だけど、やはりそれが地方行政の良いところでもあるし、優先度を高くして重点化していくというのは、住民との間で首長がどれを約束したかにかかっているので、遅れている分野は、あとは広域連携か何かで片付けていくしかない。
やはりそういう全体感を持って、そのような形で地方行政を見ていく必要があるのではないかと思います。だから、各論で言うと、基金の積立てを問題にし過ぎると、あまり国に目を見つけられないように、この辺りで使っておくかみたいな格好がどうしても出てくるので、全体として緊張感をどう維持するかをトータルで見ていく必要があると思います。
とりあえずこのパートは終了にして、最後に財政に関する広報について説明をして、大阪の公聴会にかかわる議論もまたそこで出していただいて結構ですので、その辺りを議論したいと思います。
〔 西山官房参事官 〕 参事官の西山です。調査課に配属されております。
財政に関する広報ということでございますが、1ページあけていきまして、中身はこういったものでございます。当審議会でも、それから様々なところで、建議をしっかり立派にまとめて、政策もいっぱい練り上げて、でも、それがやはり国民に伝わっていないと、なかなか財政再建が実現できないのではないか。したがって、国民にきちんと理解してもらう努力を、審議会としても、それから役所としてもしっかりやるべきということでありました。
これは、この2月に委員の皆様方から御意見をいただいたものであります。冒頭に書いてあるように、皆様にきちんと考えてもらうためのコンテンツ、それから手法をいろいろ工夫する、例えばコンテンツでは、公正な姿勢で、幅広い対象を意識した、分かりやすい言葉で伝える。そして、手法については、多様な受け手の存在を意識して、効果的なチャネルとコンテンツを用いる。地方公聴会の実施やSNSなどを活用して、情報収集手段が多様化している状況を踏まえた情報発信などといった御意見をいただいているところです。
次のページですが、では、こういう御意見をいただいている中で、今の財政、我々がやっている広報を見渡してみて、どのような課題があるかをピックアップしてみました。
まず、どこまで、どういったことがきちんと伝わっているかということですが、上のグラフは、毎年度末、定点的に、我々がつくっているパンフレットが国民に分かりやすいかどうかという調査をしながらパンフレットの改善をするときに、あわせて聞かせていただいているのですが、例えばプライマリーバランス、これはややプロフェッショナルな言葉になっていますけれども、言葉自体を知らないという人と、聞いたことがある程度という人を合わせてもう8割ぐらいということなので、これをきちんと説明できる人は相当少ないということです。ただ、将来世代への負担の先送りということになると、半分の人ぐらいの人は、聞いたことはあるし、割と説明できる人がいるというのが客観的な調査であります。
次に、リーチ量ということでございます。財政にかかわる政策は、財政再建というシングルイシューでなくても、社会保障だとか、いろいろなことと絡んで、様々なメディア、新聞、テレビといったところで取り上げられている頻度は非常に高い。ほかの個別政策に比べると非常に高いと思われます。それから、ここにもいらっしゃいますけれども、企業経営者層などにも相当浸透しているのではないかと思います。
他方で、将来、財政悪化の影響を一番受けてしまうかもしれない世代であったり、これから社会を支えていく若い世代は、正直、新聞を読まない人が多いし、テレビも最近は見ない。まとめニュースでざっと見て、8項目あるな、本日の1日はこれで全部分かったという気になる人が半分以上、きっとそうだと思います。ということは、その人たちにやはりリーチできていないのではないかという問題意識があります。
それから、後で説明しますけれども、我々は個別に学生とかのところを行脚して説明したり、意見交換したりしますけれども、やはりそういったことは物理的に結構限界があるので、もう少しレバレッジがかかる方法をしっかり使っていくべきだろうと思っています。
それから、財務省のウェブページ「日本の財政を考える」について、残念ながらスマートフォン対応がお恥ずかしながらまだできていなかった。やはりこういうことも、これからやっていかなければいけないだろうと思います。
現行の取組というということで、次のページですけれども、本日も入り口のところに置いてありましたけれども、広報資料は半年に一回ぐらいに改訂をして、常にアップロードをしてということで、何万部か刷って配布、それからウェブでも見られるようになっています。
学習教材でも、莉子ちゃんと湊太君ですか、10分ぐらいの教材をつくって、ユーチューブに飛んで、きちんと見られるようにはなっています。ただ、少しずつ更新していますけれども、更新した後、この1カ月間ぐらいで視聴者数は、多分、二、三百だと思います。
右のほうですけれども、財務省ウェブページがありまして、「日本の財政を考える」というところがまさに財政問題に特化したページですけれども、ここは1年間で100万件弱のアクセスを受けています。もちろん、我々、職員が見ている分もありますし、いろいろな方が見ていると思いますけれども、そのぐらいです。ただ、滞在時間がすごく長いかというと、多分、そんなことはないはずですけれども、「財政」でググると財務省ウェブページが一番上のほうに来るので、皆ここを見るのは間違いないと思います。
財政教育について、次ページで少し詳しく書かせていただいております。平成27年度から、まずは国立大学の小中高の附属校で、アクティブラーニング形式で財政について特別授業をやろうということで、財務局の職員を中心に、我々、主計局や財務省本省の人間と行脚しているわけです。一番左下のグラフにあるように、375校、例えば、各校1クラスだけ、50人ぐらいで実施したとすれば、それを掛けた人数がこの4年間のリーチ量だということです。
中身は、5人ぐらいの少人数グループに分かれて、例の天の川で、将来、負担と給付をどういう割合にしていったらいいか、そのためには税はどうしたらいいかとか、政策は、年金とか社会保障はどうしたらいいかというようなことを高校生ぐらいになると議論し、小学校、中学校ぐらいだと、自分で予算をつくってみようということで、こちらを増やしたら、こちらを減らさなければいけない、トレードオフになっているんだよというようなことを、皆で議論しながら勉強してもらうということです。
やると、授業の前と後で非常に態度が変わるというか、財政はこうなっていたんだ、自分たちの税金はこういうように使ってもらっているんだということで、その場に参加した、ごく少数の人はものすごく理解してくれるということです。
では、今後、どうしますかということですけれども、次のページで、現行の活動もきちんと生かして、これを充実させていこうということです。一番上の左は、大学でも特別授業をやらせていただいたりしますけれども、やはり大学の先生がいろいろな雑誌に投稿されたり、ツイートしてくれるだけでも相当評判があるというんです。それを学生に無理矢理ということはないですけれども、基本的にポジティブな彼らの行動で、少しでも波及効果を高めるというような工夫をするためには、我々が財務省のツイッターとか、ウェブページ、こういうものがあると学生にもきちんと紹介していく。そのぐらいのことはしっかりやっていこうと。
右側にある、新たな科目「公共」については後ほど御説明します。
委員からも御提言いただいておりましたが、左の受け手ごとの工夫、シングルイシューで財政再建とか、40年後こうなってしまいますということだけをずっと言っていても、日々、生活しているライフステージがそれぞれ違う人たちは受け止め方が違うので、最初のエントリーで財政再建というのは非常にハードルが高いので、その人の関心事、子育て世代、介護の親を抱えている、これから社会人になるとそれぞれ違うので、同じことであっても違う言い方をするコンテンツを我々がつくって、丁寧に発信していく必要があるだろうし、相手によってチャネルも変えていく必要があるだろうと思っています。
右側ですけれども、フェイス・トゥ・フェイスで住民の方ともきちんと意見交換できるという機会で、御提言いただいたので、今回、大阪で地方公聴会を実施いたしました。
スマートフォン対応というのは、この夏以降、縦スクロールでもきちんと見られるコンテンツをアップロードする。今、そうなっていないものですから、そのぐらいはまずやっていこうということであります。それで少し興味を持った人は、もう少し詳しく、ウェブページに飛んできてもらって勉強するということです。
最後、新たな科目「公共」ということですけれども、選挙年齢が18歳以上に引き下げられ、成年年齢も引き下げられます。そういったことを背景に、高校生にとって政治、社会が一層身近になる中で、人間と社会の向き合い方というのを、今までは「現代社会」とか「政治・経済」という科目が高校でありましたけれども、今度は「公共」を、高校生、今、100万人弱ですかね、必履修科目として学ぶ機会が与えられます。
新学習指導要領のもとに、3年後ですけれども、内容的には、下の点線で囲んでいるB、自立した主体として云々のア、知識・技能ということですが、財政、及び租税の役割、それから少子高齢化における社会保障の充実・安定化という項目があります。これも今までも「現代社会」とかで財政とか社会保障という項目がありましたけれども、※印にあるように一体として学びましょうということです。財政の悪化原因の一つにもなっている社会保障をサステナブルにするためにはどういうようにしていったらいいか、一緒に学ぶべきではないかということです。今までは、財政を勉強すると、日銀の仕組みがあって、経済があって、産業構造があって、消費社会があって、労働があって、環境があって、1カ月後ぐらいに社会保障をやるものですから、財政はもう全部忘れているという状況でしたけれども、分かっているうちに勉強しようと、こういうようになっています。
また、イの思考力、判断力、表現力等のところですけれども、単に知識詰め込み方ではなくて、こういう社会の問題をどうやって解決したらいいか。正解はない、Aがいいか、Bがいいかは分からないけれども、きちんと皆で討議して、協働して、いろいろ自分の言葉で表現できるように学校現場でやりなさいという指導要領になっています。
したがって、申し上げたいのは、まさに我々、この4年間で三百数十校の学校現場にいろいろ素材を提供しながらやってきたわけですけれども、そういうことを今度は必履修科目の中で、学校現場でやるということですから、政策としてどちらがいいかとか押しつけるのではなくて、きちんと将来を考えてもらえる素材を提供していくということについては、しっかり努力していきたいと思っています。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 2月の「委員の意見の整理」のときに、発信力の強化ということを1回、この場で議論しましたが、そこで整理した上で、地方公聴会という話もあったので13日に実施したと。アンケート等も御覧いただきましたけれども、そこでの満足度は高いのですが、それも含めてもう一回、発信力の強化というか、財政の広報ということで、今、御説明ありましたようにいろいろな工夫もされていますが、では、これで十分か、あるいは、こういったことをやったらどうかといったようなこと、まだまだこの部分は非常に多くの御意見なり、問題があるのではないかと思います。
今のことを踏まえて、御質問とか、御意見を頂戴したいと思います。田中委員のほうからお願いします。
〔 田中(里)委員 〕 ありがとうございます。
教育ツールは素晴らしいと思いますし、これらは、即効的に成果は出ないかもしれませんが、確実に影響は出てきます。継続すべきであり、継続するしかないと思います。
また、これまでの広報のコンテンツ、手法、PDCAによる運用は正攻法であり、一定の成果が上がっているかと思います。しかしながら、私自身、この分科会に参加するまでは財政審には疎遠であり、新聞記事を通して、断片的にしか知らなかったという現実を踏まえますと、今回の建議の発表のタイミングで、やはりこの建議の心は何なのかというメッセージを明確にすることがポイントかなと思います。
そのためのキャッチフレーズのような、スローガン的なことを打ち出し、単語やキーワードでは世の中の話題や評判を創りだすことにはなりませんので、やはり広報のストーリーをつくる必要があるかと思っています。建議の趣旨を理解してもらい、どのような行動、姿勢をとればよいかという気づきを得てもらうスローガンにしていくということです。受益する層と負担する層がいるということではなくて、国民一人ひとりが受益者でもあって負担者でもあるということで、より意識して減らす工夫を自分自身でもやろうかなと思えるような、そういう情報の出し方ができればと思います。例えば、社会保障関係費が今後、さらに膨張したら大変だということをメッセージとして送ると、そうさせないためのアイデアが出てくるでしょうし、自分の立場でできることは何かということを考えると思うのです。先ほども御説明の中で、いろいろな方の立場に合わせて発信を変えていくというお話がありましたけれども、そのときに、より一層、受け手の視点で見せていくということを意識したいと考えます。
さらに、情報を出すときにはタイミングがものすごく重要で、今、SNSなど72時間でどのぐらい話題をつくるかということに、特に広告・マーケティングの世界では、皆徹底的に考えているところです。世の中の意識の流れが激しく、スピードの速い時代と言われますけれども、そこに乗っかっていくことも重要と思います。記者会見の翌日、記事が出るタイミング、イベントに合わせて、また関連するようなことがニュースとして取り上げられるときに、サイトへのアクセスの誘導をどんどん図るとか、更なるプッシュ型のメッセージを送るなど、継続的に実施できることが理想です。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。
土居委員、どうぞ。
〔 土居委員 〕 広告、広報のプロの田中委員の後なので、ちょっと素人の話になりますけれども、私もSNSをやっていますが、4ページにありますけれども、インスタグラムをやったほうがいいと思います。まずは提案したい。それで、使い分けをするということです。
同じコンテンツを3つ、フェイスブックも、ツイッターも、インスタグラムもとやるとちょっと冗長な感じがするので、役割分担をする。インスタグラムは、やはり共感を得るというのが一つポイントだと思うので、例えば税金はこんな有意義なものに使われていますと、使っている、お金をもらった、予算をもらった人に写真で登場してもらって、こんな有意義に使っていますと一言メッセージみたいなものを、しかもツイッターよりももっとたくさん文字数を稼げますから、そこで訴えていただく。
ついでに、だからこそ財源確保が大事なんですと。財政赤字を減らしてくださいという話はしなくてもいいから、とにかく財源がないとこういう予算は使えませんという、そういうところを訴えてもらえると、割と見栄えがするだろう。
ツイッターは、むしろアンチ財政再建というユーザーが多いので、日本の財政にまつわる誤解を解くといいますか、もし頻繁にコミュニケーションできるならばやったほうがいい。SNSは全部に言えることですけれども、頻度高く発信していかないと、1週間に3回とかだと、なかなかフォロワーは増えませんので、毎日のように出すとか、1日2回出すぐらい、職員の方は大変だと思いますけれども、やはりSNSにアクセスしてもらうにはそれが大事だと思います。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 中空委員、お願いします。
〔 中空委員 〕 まず、発信力を高めようということはとても大事で、誰もそれを嫌がる人、否定する人はないと思いますが、気をつけなければいけないのは、何がアウトカムになるかだと思っています。サイトにアクセスしてくれる人がすごく増えればいいのかというと、そうでもない。SNSを使うのも、今の御時世なので本当に重要だと思いますが、一方で財政制度等審議会が高いレベルにあるということは必要なので、どこの誰に、何を刺しに行きたいのかということは重要だと思っています。何でもかんでも分かりやすくで、漫画だったらいいのかというと、私はそうではないと思っています。もし、アクセス数を増やすのだったら、先ほどの莉子ちゃん湊太君をアイドル歌手とかにすると、それだけでアプローチが増えると思いますけれども、そうではないと思います。なので、レベル感を持って、何をアウトカムにするかということを重視して、やっていっていただきたいと思います。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 堀委員、お願いします。
〔 堀委員 〕 手短にお話ししたいと思います。
私も授業でよくやっていますけれども、ロールプレーイングみたいな形が一番やりやすい、授業としてやっていて理解が深まっているかなと思いますので、よくあるかもしれないですが、今のものだと難しいので、例えば10年前の財審の資料とかを使って、実際、模擬財審に出てみませんかみたいな形で、結果は本当の財審と違うかもしれませんけれども、意識を高めていくという意味ではいいかなと思います。
それから、ツイッターとかSNSは、メリットもありますけれども、デメリットもあります。間違った情報を拡散してしまう可能性もあるので、そこは気をつけたほうがいい。
あと、私が学生からよく聞くのは、大人が入ってくるともうやらない。若い学生たちは、フェイスブックはもうほとんどやっていないです。大人が入っているからやらない。おじさん、おばさんたちが入ってくると、もう格好悪いからやらないとなってしまう。だから、流行の後追い、後追いになるとどうかなという感じもあるので、若者に届くメッセージを流すのが良いと思いますので色々な手段を検討することは良いと思いますが、正攻法の先ほど言ったやり方とかがないかなと思っています。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 宮島委員、お願いします。
〔 宮島委員 〕 本当に届かせるのは難しいと思います。テレビで、今までもいろいろやっていますけれども、「財政はこんなに厳しいんです、先送りはしてはいけません、以上。」というのは、もう絶対、それを何回言っても一歩も進まないと認識しておりまして、とにかく自分たちで何ができるかを考えてもらうということが重要だと思います。発信も、単に教育的に「これがこうで、こうで、こうなっているから、説明したから理解しましたか。」ということなのではなくて、まさに今ありました誤解を解くということが一つ。
あとは、では私たちに何ができるのか。別に、世論調査で消費税増税に賛成に丸をするとかいうことはなくて、例えば病院に行ったときにもっとたくさん薬をくださいと言わないようにする。そこは歳出削減のところですけれども、何というか、発信のときにそれを選ぶのは難しいと思いますが、では財政がそんなに大変だと分かった人たちが、明日から行動で示せることは何なのかということにつなげないと、日本は大変なんだな、分かりましたで終わってしまうので、小さくてもいいから、アクションにつながる何かを埋め込んでいくのがいいかなと思います。
〔 増田分科会長代理 〕 神子田委員、お願いします。
〔 神子田委員 〕 本当にこれまで見たことのないような広報に対するきちっとした分析というか、アプローチの仕方を考えられていて感動しました。やはりこうやって、やっていくことがすごく大事なのだと思っております。
私、最近、消費税の税率引上げ延期論に関して思っていることは、やはり各家計にとってみれば上がらないほうがいい、ましてや景気もあまりよくなくなってきたし、上げないほうが景気にはいいだろうと思います。一方で、将来のことを考えると、上げなくていいのかしらということも思ってもらいたいところですよね。つまり、短期的なことと長期的なことをきちんと分けて考えて判断できるような、そういう物の分かった人に増えてもらうということが、やはりこのアプローチの意味ではないか、ポイントはそこではないかなと思っております。
先ほど、ストーリーという話が出てきましたけれども、「NHKスペシャル」でも要約すれば5分ぐらいでできるお話を、5分そのまま話しただけでは、こちらで各主計官の説明を聞いているように5分聞いただけでは視聴率は上がらないわけで、そこにやはりストーリー性を持たせて、面白くつくるということがありますので、そういうことは大事だと思います。
具体的には、あまり私も良い方法は思いつかなくて、一つ考えられるのは、例えばNHKでも「チコちゃんに叱られる!」という番組がありますが、あそこで「国債って何?」「国の借金で、足りないときに使うんだ」「じゃあ、誰から借りているの?」とか言うと、意外と分からないというか、そこを突き詰めていくと、結局、自分たちみたいになっていくとか、何かそういう有名なキャラを、使えるかどうか分かんないですけれども、そういうアプローチはあるかなと思いました。例えばです。
あと、先ほど、フェイスブックはおじさんたちがやっているからやらないという若者の考え方が披露されましたけれども、このアプローチを考えること自体、若者たちを交えてやったらいいのではないかという感じが非常にいたしました。それは大事かなと。我々、幾らここで考えても、しょせん良い知恵は浮かばないのではないか。
地方の公聴会に戻りますけれども、今回は大阪ということで大阪チームが参加されていましたけれども、いろいろな地方でやって、この中の委員たちが分散して、5人ずつぐらい行ってじっくりと話すというのも、私たちにとっても良い刺激なのではないかと思いました。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 末澤委員、お願いします。
〔 末澤委員 〕 どうもありがとうございました。
私が3ページを見たとき、思ったことが2つありまして、まず一番上に自分事として捉えることができず総じて分かりにくいとありますが、私、実はある番組で「“我が事”マクロ経済学」というもののコメンテーターをやっているのですが、初め、我が事と言われたとき、何を意味しているのか分からなかったんです。要は、我々、よく他人事とは言いますけれども、我が事とか、自分事ってあまり使わないと思うのです。つまり、日本人にとってみたら、プライベートはもっとプライベートで、このような公のことを自分事として、我が事として考える風潮が昔からあまりないようでありまして、特に財政については、大事なんだけれども、そんなに自分にとってかかわりがないと思っていらっしゃる方が多いのではないか。実際、このプライマリーバランス、私も毎回、プライマリーバランスの解説はつけてくださいとお話ししていますけれども、昨年の3月段階で内容が分かった人は2割しかいないということで、これはますます必要だろうと思いました。
そういう面では、やはり先ほどありましたツイッターを含めて、これはもうSNSでやっていくしかないなと。私の家のことで恐縮ですけれども、私、仕事の関係で新聞を何紙かとっていますけれども、私が読まないと、配達されたままの状態で置かれているんです。昔は、テレビ欄を誰かが読んだ雰囲気はありましたけれども、今、テレビ欄もテレビを見れば番組表が出てきます。うちの娘も全くテレビを見なくなってしまっているので、やはり新聞だとか、テレビだけではもう明らかに足りない。そういう意味で見ると、トランプ大統領はツイッターで大統領にまでなった人ですけれども、最近はEUのトゥスク大統領もツイッターでどんどん発信して、欧米のトップがツイッターでやるというのはもう普通になってきていますから、財務省ももう少し視点を変えていただいて、やはり一般の方々向けのメッセージを、従来とは違う、次元の異なるやり方でやっていく時期かなと思いました。
以上でございます。
〔 増田分科会長代理 〕 佐藤委員、お願いします。
〔 佐藤委員 〕 ありがとうございます。
先ほどレバレッジという話があったので、やはり財務省が一々、現場に行ってお話をするのは大変なので、話を伝えてくれる人をつくっていくというのがすごく大事だと思います。一つあるのは、多分、学校の先生、今度「公共」という科目が出てきますけれども、おそらく学校の先生自身が財政を知らないわけですよね。なので、この人たちを何とかしなければいけないということ。
それから、やはり住民に一番身近なのは、実は地方公共団体職員であり、彼らこそ具体的な話ができるわけです。例えば、ごみの処理はどうなるかとか、道路のメンテナンスはどうなるかとか、ここの福祉施設はどうなるかとか、ここの公共バスはどうなるかとか、財政が行き詰まったとき、難しくなったときに、具体的に何が起きるのかということを具体的に説明できるのは、現場に一番近いのは地方公共団体職員なので、こういう人たちを動員していくというのは一つあっていいのかなと思います。
あとは学界です。私、経済学者ですけれども、意外と経済学者も財政を知らないんです。したがって、経済学会とか、金融学会とか、そういういろいろなマニアックな学会に行って、日本の財政、問題を共有するということ。彼らもデータを欲しがるので、データを提供すれば幾らでもやりますので、それで彼らが今度は情報を発信していくということになりますので、そういう仲介者をつくっていくことがやはりやっていいのかなと思います。
最後に1つだけ、やはりこういう財政の問題がなぜ難しいかというと、これは生活者目線で考えてはいけないからだと思うのです。生活者目線で考えろと言われたら、消費税を上げないほうがいいわけだし、給付は多いほうがいいに決まっているわけですから、これは有権者目線というか、いわゆるシチズンという意味での市民目線で考えないと、少し目線を上げて考えなければいけない。この部分をきちんと伝えないと、やはり納税者目線だったら消費税増税は嫌だという話にいつも戻ってしまいますので、生活者から1段階上げた形で物を見てくれと。そうすると、俯瞰して物を見るという視点が身につくので、この辺りを強調しなければいけないのかなと思いました。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 小林委員、お願いします。
〔 小林(慶)委員 〕 ありがとうございました。
若者にどうやってアプローチするかという話をされましたけれども、そのときに財政というテーマ設定をしてしまうことで、そもそも多くの人を失ってしまうのかなという気がしています。先ほど西山参事官が、「財政」でググってもらったら一番トップに我々は来るんだとおっしゃったけれども、そもそも「財政」でググる人がいないということなのではないか。そういう言葉をつけた瞬間に、やはりこれは自分と関係ないと思ってアプローチしてこない高校生とか、大学生が多いのではないかという気がするのです。もう少し大きな、財政ではない、何という言葉がいいか分かりませんけれども、「公共」という高校の科目ができるそうだから、そういう名前なのかもしれませんけれども、何か大きな枠組みの中で財政を語る、あるいは応用問題として財政を語るということがいいのではないかと思います。
イメージとしては、例えば高校などで、あまり教えていないと思いますけれども、1人の人間というか、自分の人生の中で限られたリソースを、どうやって自分の人生の時間の中で配分していくのかとか、あるいは限られたリソースとか、リスクをどうやって人々の間で配分するのかということは、あまり高校などで教えていない。経済学の本来の役割かもしれませんけれども、そういうことを高校とかで教えていないのではないかと思うので、そういうことを合理的に考えようと。自分自身の人生の中でのリソースの配分を、政府がかかわったらどういうようになるのかというところから、財政という項目に入っていくとか、誰もが関係しているような科目とか、テーマ設定にして、そこから応用問題として財政に入ってくるというような仕組みがつくれないかという感想を持ちました。
ちなみに言えば、日銀がやっている金融教育なども実は同じ枠組みの中に入ると思っていて、財政も金融も一種の大きな一般論の中の応用問題として、中学生や高校生や大学生に教えていくと、そういう仕組みにしていくべきなのではないかと感じました。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 木村委員、お願いします。
〔 木村委員 〕 御説明ありがとうございました。
財政の状況に関してなかなか理解が進まないということで、その一つの理由として新聞がなかなか読まれていないということを挙げられましたけれども、私の立場からはすごく残念なことであり、力不足を感じています。確かに新聞でも、先ほどからお話が出ているプライマリーバランスとかは言葉が難しく、どう書けばいいのか、いつも頭を悩ませています。
それで、資料の3ページで、プライマリーバランスが2割しか知られていないという調査結果がありましたけれども、逆に私のほうから見ると、言葉を聞いたことのある人が4割いらっしゃると、こちらは意外と多いなという感じもしたんですよね。だから、どういう層の方々を調査したのか分からないんですけれども、極めて専門的な用語でも4割の方々が知っているというのは結構多いなと思いました。ということは、逆に財政に関してある程度関心を持っていらっしゃるのではないか。ただ、そこから先、なかなか専門的で難しい、分かりにくいということが、国民を財政から遠ざけているのかなという気もするので、この4割の知っている方々に対してもう少し踏み込んで理解を求めると、この4割の方が財政により関心を持つと、更に健全化に対する理解が進む突破口になるのかなという気がします。そこをどういうようにやればいいのか、なかなか妙案はないでしょうけれども、ひとつのヒントになるのかなという気はしました。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 遠藤委員、お願いします。
〔 遠藤委員 〕 少し水を差すようで申しわけないのですが、もちろん財政の危機であるということは社会常識として皆が持ち得ていることだと思いますけれども、財政というのは、歳出も歳入もやはり今ある経済、社会の結果であって、大学で授業を持たせていただいている身からすると、今、国際情勢の中で日本が置かれている立場みたいなこと全体についての関心が、やはり学生から失われているというところが大きな問題であろうと思っています。特に、その中でも、エネルギーの問題などをやっていると分かるのですが、トレードオフの問題が、自分のこととして落ちていないので、それは我々大人たちがウィン・ウィンとか言ってごまかしてきた結果でもあるということも思われます。
ですので、学生が知るべき問題として、プライマリーバランスだとか、社会保障と税の一体改革であるとか、それを知っている、知らないとか、財政がワニの口だとか、そういうことを知る、知らないという問題ではなくて、むしろ日本が置かれているような状況についてしっかり学ぶような、何か根深い問題なので、財政がどうだとかという情報だけを頭の中に入れても、問題の解決には至らないのではないかなと。ちょっとアンチテーゼのようなことを申し上げて申しわけないですけれども、そういう点もあろうかと思っております。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 赤井委員、お願いします。
〔 赤井委員 〕 2点だけ。
初め、私は大阪から来ているので、公聴会にも参加させていただきました。いろいろな方にお世話になったこと、ここで御礼申し上げます。
いつも関東というか、東京で行っていることを関西・大阪で行ったということで、話題にもなり、報道もされて、そこには参加していなかった市民の人も、やはり関東・東京で行われている会議と、関西・大阪で行われたというのは距離感も大分違ったみたいなので、そういう意味では少しアプローチ、市民にもアプローチできたのかなと思いますし、今後も別の地域でやっていくというのは意義があるかなと思います。
それから、4ページのところに教材などもありますけれども、今、どのように拡散していくのかという話がありましたけれども、そういうアプローチした人にもっと質を高めるという仕組みも重要かなと思いました。私の授業でも、ここにある映像などは何十回も見ていますけれども、ここに出てくる妖精に何となく親しみが湧いてくるみたいな感じで、定着していくということではないですけれども、質を上げていくということで、まず「公共」の授業で学校の先生が取り入れやすい形で、こういうような動画をもう少し増やすとか、授業が構成しやすくなるとか、1回見て忘れてしまわないように、何か記憶に残るような中身の質も考えたらいいかなと思います。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございます。
角委員、お願いします。
〔 角委員 〕 ありがとうございます。
まず、公聴会に関しましては、大阪で開催していただきまして、誠にありがとうございました。
幾つか感想がありますけれども、私も今回、関西で比較的うまくいったと思います。それは、やはり奈良県、大阪府、滋賀県、この3つの知事もしくは副知事が、国保の問題について具体的な事例として取組をして説明されました。私、以前、奈良モデルがこの場で出たときに、奈良モデルを横展開するという御意見が出たのですけれども、それは大変ですよと。奈良県は、もう10年以上前から、医療だけではなくて、いろいろな社会インフラについても積み重ねの中でできたということで、横展開は非常に難しいと思いましたが、今回、滋賀県はやる、まして大阪府がやると。
今まで大阪府というと、生活保護にしましても、全国でも保護率が高いことが指摘されています。その大阪府がこれに取り組んだということは非常に素晴らしかったと思うし、今回の地方公聴会がうまくいった最大の要素はそこにあると思うので、これからほかのところで是非やっていただきたいですけれども、そのときはやはり具体的事例をしゃべってもらう。本来は、良い例と悪い例をやってもらうのが一番だけれども、例えば本日の地方財政の資料の16ページでも、以前から病室のベッド数は西高東低で、当然、県民当たりの医療費はベッド数に比例します。新聞報道を見ると、公立病院ですらなかなか調整がうまくいかないということも報じられているので、是非ともこういった事例でも努力されているところと、努力していない、本来ならディスインセンティブをかけなければいけないようなところの事例も出していただきたいけれども、それは難しいかもありませんが、具体的事例に基づいて御議論いただくことが非常にいいのではないか。
最後に、伊佐政務官がそのときの挨拶でもおっしゃいましたけれども、やはりこういう問題で若者と議論すると、では、私たちに何ができるんでしょうかということをお聞きになるというのです。ですから、若い人もこういう議論をすると、これから行動を起こしたいという人たちもかなりおられると思うので、その辺りを是非期待したいと思います。
以上です。ありがとうございました。
〔 増田分科会長代理 〕 小林委員、お願いします。
〔 小林(毅)委員 〕 本日、財政の広報のお話の中で非常に関心というか、興味深かったのは財政教育のところです。これをやると非常に効果があって、また非常に関心が高まったと。そういう人たちが、将来、財務省に入るだけだったら全然広がっていかないと思いますけれども、この授業は例えば保護者とかが一緒に受けられる形になっていないのかと、ふと思ったのです。中学生、高校生ぐらいになってくると、あまり親が授業に出てくると子供が嫌がりますので、効果があるか、ないか分からないのですけれども、小学校ぐらいだったら御両親も一緒に来て見てもらう、あるいは一緒に参加してもらう形をとる。もし、御希望があれば、さらにそれをもう一歩進めてみるとか、そういうような展開の仕方も考えられるのではないのかと、ふと思いました。
そうなってくると、ソーシャルネットワークとは違う、その対極にあるようなフェイス・トゥ・フェイスですけれども、アナログなやり方ですけれども、意外とこういうことは効果が出るかもしれないと思いました。もちろん、検証とかは必要でしょうけれども、少し考えていただいてもよろしいのではないか。
もう一つ、先ほど中空委員もおっしゃったのですけれども、分かりやすくするというのは、私、何度もこの場でも言っていますけれども、分かりやすいのは分かりやすくでいいですけども、そこで分かった気になられてもちょっと困るので、財審とか、あるいは財政のものというのは、ホームページとかそういったものは、何か迷ったときに戻ってくる原点、オリジナルみたいな、そういう質、クオリティーをつけておかないと、変な形でひとり歩きしていく可能性があると思いますので、それを強調しておきたいと思います。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 河村委員、お願いします。
〔 河村委員 〕 ありがとうございます。
財政教育のところで申し上げたいのですけれども、この国の財政が、こういう結果に、この平成の30年を経てなってしまった。なぜかということを考えたときに、一つの大きな要因は、国全体、国民全体の意識にシチズンシップ、社会を支える市民という意識が非常に欠けていることなのではないかと思います。負担をすごく嫌がるんです。だけど、もらいたいんです。見返りは欲しくて、大好きなんです。そういう状況をつくり出してきてしまったことをやはりよく反省して、上の世代が陥っているそういう状況に陥らないように、是非そこのところは認識して財政教育を進めていただけたらと思います。
「公共」の科目ができたということで、私も非常に期待できると思いますが、それが実際にどううまく回っていくかというのは、今後、関係各方面がいろいろ学校現場に協力していかなければいけないと思いますけれども、やっていただくときに、財政というような感じで、目線でやるよりも、やはり社会にはいろいろな立場の人たちがいる。世代で見ても、いろいろ年をとってきたらこうなるだろうとか、家庭、世帯を見ても、今、いろいろな形の世帯、家庭がありますよね。かつてはなかったような、本当に身近に見ればいろいろな世代の、いろいろな姿があるわけで、それがどういうように支え合っていったらいいか。都市、それから地方を見ても、だんだん、だんだん人口が減ってきているところ、それから東京のように黙っていても人が集まってきてしまうところ、それがお互いにどう支え合ったらいいのか。自分が負担する側だけではなくて、もらう立場になっている場合もあるし、将来、なるかもしれないし、引っ越しすればなるかもしれない。
そういう立場を考えたときに、社会を支えるときのお金の面での負担を皆でどうするかというのが財政なのではないですかというような形で、是非シチズンシップの一環として御説明をいただきたい。財政を、まず勉強として、社会科の一環として理解しましょうというよりは、誰がどうやって支えていったらいいのかということを、若い世代に考えさせるきっかけになるような教え方をしていただきたいと思います。
そのときに、あわせて一つお願いしたいのは、この国で上の世代がやってきたことは、誰が負担するかということをきちんと議論して決めなければいけないのに、それができなくて、それを決め切れなかった結果を全部、国債、どんどん新発国債を毎年出して、どんどん借金を積み上げてきた。それを正直に伝えていただきたいのです。うちで話をすると、うちの子たちは言います。いずれ、これ、誰かが返さなければいけなくなるという話を私がすると、どうして自分たちが使ったのでもないお金を自分たちが返さなければいけないんだと。要するに、からくりが分かれば、今の若い人たちはそう思います。分かっていないから何か呑気でいるだけであって、やはりそういったところを、上の世代がやってきてしまったことを隠すのではなくて、正直に、本当に普通に考えれば、ごく簡単に、難しい話でも何でもありませんから、もちろん国だから借金してもいいけれども、やはり限度がありますよねということで、今、持続可能なところにとどまっていると言えるのかどうか。では、誰がどうやって負担していくべきなのかということを、あわせて若い人たちに考えていただけるように、是非その辺りは包み隠さずというか、正直に御説明いただけたらと思います。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 大槻委員、これで最後にしたいと思います。
〔 大槻委員 〕 毎日、個人向けにいろいろやっている者としては、今回も面白く、かつ大阪についても非常に成功だったという感じがしますので、2点だけ、一般論と、それから大阪についてです。
1つ目、個人は非常に財政に関心が高いと思います。それなりに知識もあって、例えばこの間、土居委員に頼んで弊社で財政についてのレポートを書いていただいたところ、その1本で5,000ページビューなので、株価が上がる、下がるほどではないにしても、やはり非常に関心が高いということが我々もよく分かった次第で、是非発信を、少し専門的のようであっても、分かりやすく書いていただけるのだったら、個人の方々はよく見ると思います。
1つだけ、それに関連した提案としては、前に宮島委員がおっしゃった点ですけれども、個人の方々は、財政状況がまずいというのは非常に分かっていらっしゃいますが、まずくないという意見に対しての反論が見出せないということがあると思うのです。このままでも大丈夫ということに対しての、もう一度、反論に対する反論的なものを何らかの形で、財務省の方なのか、土居委員や佐藤委員のような専門の方なのか、何らかそういった形の対談があったらいいのではと思います。
もう一点、大阪についてですが、非常に良い結果だと思うのですが、せっかくでしたら、これ、月曜日の昼間、しかもリアルタイムの中継だけですと、おそらくは若い方、それから社会人の一般職業の方はかなり見づらいのではと思います。例えば、我々、毎日、発信しているものは必ず夜です。8時よりも、9時のほうがデマンドは多いです。それから、オンデマンドで、録音、録画配信を必ずして、それについても何分見られたとかトラックしています。ちなみに、録画のときにはある程度編集をして、ちょっと言い違えたようなところとかに手を入れることもできるので、そういった形でやられたほうがより多くの方々が見られるのではないかと思いまました。
以上です。
〔 増田分科会長代理 〕 ありがとうございました。最後の議題は、まだまだいろいろな考え方があると思いますが、トライ・アンド・エラーでやっていくしかないと思いますので、事務局のほうでも十分参考にしながらお願いしたいと思います。
それでは、本日は3本立てということになっていましたが、以上で本日の議題は終了といたします。この後、記者会見で会議の内容を私から紹介いたしますので、毎回、恐縮ですが、個々の発言について報道機関にお話しすることのないように御注意いただきます。
今後の予定ですが、春のセッションの各論の議論はここまでということにします。今後は建議の取りまとめに移りますが、起草委員については、前回と同じように小林毅委員、田近委員、土居委員、冨田委員、中空委員、吉川委員、この6名の皆様方にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
次回ですが、6月6日、木曜日、午前10時から、起草委員の皆様方につくっていただいた建議案について議論ということにしております。
〔 一松調査課長 〕 1点だけ補足します。先ほどの大槻委員の御指摘についてですが、地方公聴会の模様はユーチューブで今でもオンデマンドで見ることができるようになっております。
〔 増田分科会長代理 〕 それでは、本日はこれにて閉会いたしたいと思います。ありがとうございました。
午後5時05分閉会