財政制度等審議会財政制度分科会
議事録
財政制度等審議会財政制度分科会議事次第
令和7年5月9日(金)9:30~11:30
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)
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1.開会
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2.議題
- とりまとめに向けた審議
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3.閉会
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分科会長代理 |
増田寬也 |
渡邊政策立案総括審議官 宇波主計局長 前田次長 中山次長 有利総務課長 馬場主計企画官 山岸司計課長 片山調査課長 松本(圭)主計官 石田主計官 松本(千)主計官 寺﨑主計官 今野主計官 河本主計官 八木参事官 末光主計官 山川主計官 菅野主計官 横山主計官 副島主計監査官 山本予算執行企画室長 黒坂主計企画官 小田切公会計室長 |
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委員 |
大槻奈那 河村小百合 熊谷亮丸 小林慶一郎 佐藤主光 田中里沙 土居丈朗 長澤仁志 宮島香澄 山口明夫 芳野友子 |
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臨時委員 |
上村敏之 遠藤典子 小黒一正 木村旬 國部毅 権丈英子 小林充佳 櫻井彩乃 佐野晋平 滝澤美帆 中空麻奈 平野信行 福田慎一 堀真奈美 神子田章博 横田響子 吉川洋 |
午前09時30分開会
〔増田分科会長代理〕おはようございます。時間になりましたので、それでは、会議を始めたいと思います。
初めに、何点か留意事項をお話ししておきたいと思います。本日はお手元の建議(案)について御審議いただきます。この建議(案)は河村委員、佐藤委員、武田委員、土居委員、中空委員、吉川委員の起草委員の方々にお願いをして御議論いただいて、本日の案に取りまとめていただきました。起草委員の先生方におかれましては、お忙しい中、本当にありがとうございました。
なお、この建議(案)については、本日紙で卓上に配付しております。そして、建議(案)にいつも参考資料をつけるのですが、その参考資料についてはPC端末に格納させていただいておりますので、適宜御覧いただきたいと思います。
審議に先立ちまして、今後のスケジュールを御説明いたします。お手元に紙で、「建議取りまとめスケジュール」というものがあろうかと思います。これはあくまでも現時点の予定と記載しております。そして、後で申し上げますとおり、大変短い期間で恐縮でございますが、5月12日、週明けの月曜日の12時までに、本日のこの場での御意見以外にコメントがある場合にはメールで提出をお願いいたします。回答の様式は、昨日、事務局から送付したものをお使いいただきたいと思います。
それから、本文に入ります。2ページの基本認識及び14ページの財政総論の財政健全化目標に関する記載につきましては、米国の関税措置の見通しがある程度判明した上で文言を検討する必要があると思っておりますので、現状では「P」として、ペンディングとさせていただいております。先ほどのスケジュールで5月27日に取りまとめということになっていまして、その間にこうした分科会の開催は予定しておりませんので、今言いました、2ページと14ページのペンディングになっています部分につきましては、文言の調整が整った段階で個別に委員の皆様にその案文を送付して、そこで確認させていただく、こうした取扱いにさせていただきますので、あらかじめ御了承をお願いしたいと思います。
次回の分科会は、5月27日火曜日の9時半からの開催を予定しておりまして、会議終了後加藤大臣のお時間が許せば建議を直接大臣にお渡しできればと考えております。ちょうどこの頃、国会の状況がどうなっているか、まだ判明しません。火曜日ですので、当然、国会が各委員会等で開催されているときでございますので、最後のその段取りについては、また判明次第、御連絡させていただきたいと思います。
以上が全体に関わる部分でございまして、以下、本日の審議の進め方についていくつか申し上げます。
まず、本日、10時半頃までを目途に前半戦、そして、残りを後半戦と、全体2時間、11時半までを予定しております。そうした形で二つに分けて、それぞれのところでコメントないしは御意見を頂戴したいと思います。前半戦は、「Ⅰ基本認識」、「Ⅱ財政総論」、「Ⅲ活力ある経済社会の実現」及び「Ⅳ安心で豊かな地域社会の確立」を御審議いただきます。そして後半戦では、社会保障の関係で「Ⅴ持続可能な社会保障制度の構築」を御審議いただきます。前半戦、後半戦、それぞれ皆様方から御意見をいただきまして、それにつきまして、必要があれば、その都度、起草委員の方々からのコメントをいただければと考えております。
なお、本日は、御欠席の藤谷委員から意見書を提出いただいております。参考資料と同様にPC端末で格納しておりますので、適宜御覧いただきたいと思います。本日の審議の進め方は以上でございます。
早速前半部分、44ページまでの該当部分です。基本認識が1から2ページ、財政総論が3から14ページ、活力ある経済社会の実現が15から29ページ、そして、安心で豊かな地域社会が30から44ページです。該当のページ数等々おっしゃっていただければ、特に順番は問いませんので、44ページまでの部分について、適宜、御指摘をいただいて、御発言を頂ければと思います。
なお、限られた時間の中でできるだけ多くの方々にご発言いただくために、2、3分以内でまとめて発言していただきまして、残された部分は月曜日までにメールで寄せていただければと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。
初めに、木村委員、どうぞお願いいたします。
〔木村委員〕どうもありがとうございます。今回示された素案、大変充実した内容であり、とても立派な内容だと思います。起草委員の先生方にお礼申し上げたいと思います。
今回の建議の位置付けなのですが、タイトルにもありますように、トランプ関税など大きく揺れ動く国際情勢の中で日本の財政運営がどうあるべきか、その進路を指し示すという極めて重要な役割を担っていると思います。
その上で、細かいコメントをいくつか申し上げます。タイトルについて、「変わりゆく世界を見据えたあるべき財政運営」とあります。趣旨は私も賛成しますが、この「変わりゆく」という表現について、例えば変わりゆくふるさとの風景等を想起させ、のんびりしたような印象を受けます。本文ではきちんと「世界は激動の時代を迎えた」という書き出しになっていますので、タイトルも「激動する世界」でもよさそうですが、少し大げさな表現であれば、「変動する世界」あるいは「変容する世界」、「変貌する世界」など、国際社会が大きく変わっているということを示すような表現でもよいと感じました。
続いて、1ページ目の基本認識についてです。3行目以下に、国際秩序が転換点を迎えているということ、その背景として、分配機能低下に伴う所得格差・分断とそれによる社会の不安定化とあります。その上で、その背景に目を向け、戦略的な対応を図っていかなければならないと指摘されています。であれば、日本の分配機能の低下を食い止めるということをもう少し明確に書いてもよいのではないかなという気がしました。
例えば18行目以下で「民需主導の持続的な経済成長を実現」とあるのは、分配の原資となる経済全体のパイを成長力の強化で高めることを意味していると思いますし、その後の「安心・安全の基盤である持続可能な社会保障制度の構築や豊かな地域社会の確立」というのは、これは分配を通じて成長の果実を国民に行き届かせて、またそれが成長につながるという意味も込められているのではないかと推察します。成長と分配の関係をより明示すれば全体がつながって、最終的に政府が目指す成長と分配の好循環、及び、その中で財政がどのような役割を果たすべきなのかということがより明確になるのではないかという気はしました。
最後に、2ページ15行目以下です。このように警鐘を鳴らしていること、その趣旨自体は大変共鳴しますが、読みようによっては表現がやや誤解を招くと思います。各自が幸福を目指すこと自体は決して悪いことではないのですが、幸福を追求すると道路が陥没したり医療も受けられなくなったりすると脅しているのではないかと、批判されるおそれがあるのかなという感じもします。そうではないと受け取られる人も多いと思うのですが、もう少し柔らかい表現にしてもよいと感じましたので、表現は御一任しますが、もし御検討の余地あれば御検討をお願いしたいということです。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。それでは、小黒委員お願いします。
〔小黒委員〕ありがとうございます。今回も起草委員の先生方におかれましては、大部にわたるものをまとめていただき、ありがとうございます。それでは、順番にコメントさせていただきます。
まず、基本認識と財政総論の部分についてです。大きな話と小さな話といろいろ混ざった形になると思いますが、そこは御容赦いただきたいと思います。まず、4ページの4行目で「優先順位付けを行うとともに、ワイズスペンディングを徹底」と書いてありますが、これは後で申し上げますが、もし可能であれば、「優先順位付けを行うとともに、生産性や経済成長と人口密度の維持向上との間には密接な関係があることや、投資の時間軸も含めワイズスペンディングを徹底」というような形にしていただけないかなと思います。
また、木村委員からもご指摘がありましたが、財政健全化を訴えるときに、財政だけを見ているのではないということを示した方が良いのかなと少し思います。冒頭の基本認識で、財政の論点に行く前に経済社会の論点をもう少し丁寧に書くというのも一案ではないかと思います。具体的には、物価高で困っている方々への支援、既に一定の言及がされていますが、もう少し寄り添うような姿を示しながら、生産性向上を通じた持続的な賃上げの定着が鍵であること、あるいは日本においてもその格差が拡大し始めており賃上げを実現しつつデータを把握しながら再分配の在り方を検討すべきといった点も加えた方が良いと思います。
この関係でさらに深掘りすると、基本認識や財政総論をもう少し整理するという視点が必要かなと思います。特に、デフレからインフレ経済に移行しているということで、これまで指摘されてきた人口減少下における課題も含めて、インフレ下での財政運営の基本的な哲学を明確に記載したほうが良いのではないかなと思います。教科書的な財政の役割は資源配分機能・景気安定化機能・所得再分配機能でございますが、デフレ下で日本が抱えていた課題は大ざっぱに整理すると三つあると思います。人口減少と低成長、貧困化の三つです。しかし、インフレ経済に転換し、タイトルにも「変わりゆく世界を見据えた」とありますとおり、国際秩序が変容しているという中で、新たにインフレへの対応と有事への備えというものが加わっているということをどこまではっきり書くのかという論点もあります。それに対応して、インフレ下での財政運営の基本的な哲学をどのようにしていくのかを明確に記載するということも考えられるのかと思います。
特に、これから生産年齢人口が2050年まで2,000万人以上減るという状況で人手不足が深刻化し、また賃金の上昇圧力が増す中で日本はもはやインフレ経済に転換していると思います。そこで、毎年の骨太及び予算編成に向けたものというよりは、今後10年間ぐらいを見据えた骨太の哲学のようなものをいくつか書けないかと思います。
後ほどメモでお送りしますが、まず、選択的・重点的な支出や中長期な財政健全化です。例えば、インフレ税と言われますが、インフレによる税収増に頼った歳出拡大は持続的ではないと思われます。市場からの信認を損ないかねないので、その有事に備えた財政余力も確保するために、短期的な再分配と並行して財政再建の道筋を明確化し、中長期的な債務の抑制と信認との両立を図るということを明確に書いてもよいと思います。次に物価変動に強い制度設計の移行、また、現役世代や将来世代の負担にも配慮が重要です。さらに、以前から申し上げてきましたが、人口減少を前提とした国土財政戦略の構築ということも重要ではないかと思います。人口減少が加速する中で2040年頃以降には東京も人口減少局面に入りますので、今後の国土財政戦略においては多様な地域を維持するために一定の集積が必要です。経済成長との関係でも、インフラの整備や観光振興といった個別政策にとどまらず、石破総理も言われているとおり、圏域単位での広域連携や人口密度の維持に資するような拠点形成、集積の経済で地方の自立を促していくという視点をはっきり最初に書くということも重要かなと思います。
16ページ23行目で、「労働移動の円滑化により、社会全体として効率的な資源配分を実現することが重要である」とありますが、この後ろに、例えば、「労働者が適切な職業選択を行えるよう、地域別・業種別での賃金の水準や賃上げ率、雇用動向に関するデータを蓄積・提供し、できる限り迅速に情報の非対称性を解消しながら、物価上昇と賃上げの好循環を促すための環境整備が不可欠である」というような言葉が加えられないかということも指摘させていただきます。
最後に、30ページ8行目です。「地方の人口減少や東京圏への一極集中の流れを変えるまでには至っていない」とありますが、この後ろに、先ほどとつながりますが、「過度な東京一極集中の是正も重要だが、国立社会保障・人口問題研究所の推計によると2040年頃から東京も人口減少局面に入ると予測されています。その上で最も必要な基本戦略は、各自治体が人口半減を前提として賢く縮む計画・対応策を考え、各地域が総力を挙げて取り組むことである」などを記載していただけないかなと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、國部委員、どうぞお願いします。
〔國部委員〕まずは起草委員の先生方におかれましては、この春の議論を踏まえて、大変時宜を得た建議(案)をおまとめいただき、感謝を申し上げます。我が国の構造的課題を認識して、活力ある経済社会、安心で豊かな地域社会、そして、持続可能な社会保障制度の構築を目指す全体の方向性に賛同いたします。
その上で、前半パートについて、3点申し上げます。
まず1点目です。冒頭の基本認識については、私もおおむね記載いただいたとおりの認識を有していますが、2ページ目の記載について、手取りの増加と公共サービスの持続性をある意味てんびんにかける、二元論的な印象を読み手に与える可能性があるのではないかと思います。ここでは、双方を同時に実現するための施策を検討する重要性を指摘すべきではないかと考えます。また、ギリシャの事例にも言及がありますが、前段と相まって過度に読み手の不安を煽っている印象を受けまして、趣旨はよく理解いたしますが、日本とギリシャでは経済・財政を取り巻く環境や背景が異なるため、適切な例にならない可能性があるのではないかと少し懸念いたします。
2点目です。今後の財政フレームワークについて、新たな財政健全化目標は現在検討いただいているとのことですが、いずれにしろ、我が国の財政を健全化していく姿勢を国内外に示すためにも、財審におけるコミットメントは非常に意義のあるものと考えています。今後は、債務残高対GDP比の記載を視野に入れた、フロー・ストック両面の目標設定を検討してほしいと考えます。掲げられた財政健全化目標を実現していくためには、その実効性を担保する枠組みやメカニズムを同時に整備することが必要です。今回の建議(案)では、EUやスウェーデンにおける履行確保メカニズムが紹介されていますが、独立財政機関については、スウェーデンの事例を紹介するのみならず、我が国でも設置すべきと、ここはしっかり書き込むべきと考えます。
最後に3点目として、25ページ以降の企業支援についてです。私見になりますが、政府に求められる本来的な役割は、企業が自由に活動できる環境を整備することだと考えます。ここに規模の小ささゆえの不利益の軽減という視点が加われば、中小企業を中心とする社会政策ということになりますし、イノベーションや経済安全保障などの経済的・国策的な視点が加わると産業政策にそれぞれ枝分かれしていくものと理解しています。この点、建議(案)では企業支援を中小企業と大企業、すなわち企業規模で切り分けていますが、社会政策的な支援の対象が中小企業であることに異論はない一方で、産業政策の対象は必ずしも大企業とは限りません。したがって、本章では、あくまでも一つのやり方ですが、社会政策と産業政策を軸に切り分けて議論を展開したほうが良いのではないかという印象を持ちました。25ページ以降の書きぶりについても、産業政策のフレームワークを大企業に限らず適用し、企業が自由に活動できる環境整備を進めていくことを強調してはどうかと考えます。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、熊谷委員、どうぞお願いします。
〔熊谷委員〕ありがとうございます。まず題名は、木村委員から御指摘ありましたが、他人事のような印象を受けますので、もう少し危機感のある表記にしていただきたいと思います。
1ページ以降について、小黒委員からも御指摘ございましたが、もう少し整理して、インフレ経済になった点や、世界的にポピュリズムが横行していたりSNSが広がり世論が近視眼的に傾いていたりする点、そこに有事のリスクがあり財政の規律を守ることが重要であるという点などをもう少し強く打ち出していただきたい。
くわえて、そもそも財政の役割は二つあって、今生きている国民の命や暮らしを守ることと国民に行動変容を促し経済構造を変えて将来世代により良い日本を残すこと、その二つのバランスが重要だという点などを正面から論じてはいかがかと思います。
また、トランプ大統領に関して言えば、現時点で何をやるかは分からないので、分からない時点で大きな規模の対策を打つべきではない。また有事と平時は峻別しなければいけませんが、先行きトランプ大統領が腰砕けになる可能性もあるため、必ずしも有事だとは言い切れないと思います。さらに、書き方は難しいのですが、昨今の情勢を踏まえて、日本が慌てていろいろな対策を打ったり譲歩したりする必要はないというニュアンスが出るとよいのではないかと考えます。
くわえて、1ページは経済を中心に書いてありますが、より広い視点で言えば、開かれた国家、民主主義、自由主義、法の下の平等等々、基本的な価値観自体が揺らいでくる可能性がある中で、格差の拡大を防ぐ意味で分配機能を重視するようなことも重要かと思います。
次に14ページです。財政健全化目標については、ペイアズユーゴールールの導入や独立財政機関の設置を是非書き込んでいただきたいところです。
また、14ページ15行目前後、国民の理解に関連して、デジタル化や見える化を通じて国民一人ひとりが自分事として財政赤字の問題を考えられるようにするというような要素を是非入れていただきたいです。
それから、25ページ、企業支援でございます。基礎研究に対する支援の重要性について、一言言及されてもよいのではないかと思います。
また、29ページの5行目以降に、特定の分野への産業支援は極めて例外的な措置だという記述がございますが、この記述や、29ページの1行目にある透明性や見える化などは極めて重要なポイントなので、最後のところで出すよりも、例えば25ページの冒頭や27ページに記載するなど、むしろこれらを大原則として打ち出して、資本主義経済の下では極めて例外的なのだという点を是非強調していただきたいと思います。
最後に、30ページ、地域社会についてです。ここは財政の量ではなくて、工夫や知恵が必要なのだという要素を入れていただきたいと思います。例えば、民を十分に巻き込めていない、つまり官民連携が不十分であることであることや地域のスタートアップの創出が不十分であること、また、地域社会にとっては先端技術の社会実装が鍵であることなどを是非書き込んでいただきたいと思いました。
私から主要なところは以上で、あとは意見書を出させていただきます。
〔増田分科会長代理〕それでは、山口委員、どうぞお願いします。
〔山口委員〕トランプ関税の状況を見極めるという御説明がございましたが、私からは、財政健全化目標の設定について3点お話をしたいと思います。
まず、財政健全化の目標の具体化についてです。目標を着実に推進していくためには、時限を示した明確な目標を設定することが極めて重要だと考えます。以前事務局から提示された、プライマリーバランスの目標値やコロナ前水準の政府債務残高への回復といった目標は、具体性と現実性を兼ね備えており、政策の基軸として適切であると考えます。是非建議本文でも同様の記載をお願いできればと考えます。
次に、その目標の実現に向けてです。政府としてより具体的な個別目標と達成時期を明確化することもあわせて重要かと考えます。例えば、経済成長面では付加価値創出の促進と省力化・効率化の両点に力点を置いた労働生産性向上率、それから、主要歳出項目では社会保障関連費用の伸び率の上限について数値目標を設けることで、財政健全化戦略への国民的理解が深まると考えます。特に経済成長の目標の明示は、財政均衡を重視するだけではなくて、国民生活の活力向上にも力点を置いていくという国民に対する効果的なメッセージにもなると考えます。
最後に、先ほど各委員の方もおっしゃっていましたが、目標達成のメリットと未達成時のリスクについてもう少しだけ踏み込んで記載いただきたいと考えます。目標達成による具体的なメリットと未達成時に直面し得るリスクについて、後者を強調することは脅しになるというご指摘もあり、確かにその記述は非常に難しいかと思いますが、リスクについて分かりやすく示すことは重要と考えます。例えば、建議本文の9ページでございます。格下げがもたらす影響について記載されていますが、金融市場への直接的影響だけではなくて、企業の銀行借入れや住宅ローンの混乱、金利上昇など想定される経済・社会的な影響について、より具体的に示すことが非常に良いと考えます。また、財政健全化は南海トラフ地震や首都直下型地震などの将来の危機への対応力強化や社会保障制度に対する国民の将来不安解消による消費活性化など、我が国の経済の安全性と成長性を高める上で、大変重要な意義があるということを積極的に発信していくことが重要と考えます。
私からは以上でございます。ありがとうございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、田中委員、どうぞお願いします。
〔田中委員〕発言の機会をいただきありがとうございます。まず、書き出しの基本認識から力強い見解が冷静に書かれていて、論理的な構成の上に簡潔明瞭な表現をいただいて、専門用語もしっかり解説が入れられていて、本当に読みやすいと感じました。起草委員の先生方、事務局に感謝を申し上げます。
その上で、まず私もタイトルについて、この激動の時代を生き抜いていくために正確な現状の理解と危機感の共有をするために、建議ではぶれずにさらに力強いメッセージを打ち出したいと考えます。現状のタイトルは品のよい感じでまとまっていますが、不安定な情勢も続いて先行きの不透明感も増していますので、激動の時代の中のあるべき財政運営を過去には「歴史の転換点」などといった言葉も使ったことが近年ありましたが、ここを少し強めの表現ができないかなと思います。私も後ほど所定の書類でいくつか提案を出させていただければと思います。
そして、個別部分について、例えば2ページ22行目に、「そうした事実を直視し」という表現があるのですが、例えば「そうした事実を現実として直視し」のように表現して、他人事ではなくて、自分事であるということが強調できたらよいなということをひとつ思いました。
4ページ13行目の労働移動について、成長力の高い分野への移動というのは可能だと思うのですが、この生産性の高い分野というのはなかなか働き手にとっては分かりづらいと思いました。例えば、「これらを踏まえれば、成長力の高い分野への円滑な労働移動を可能にするとともに、各分野における生産性の向上を果たし、労働市場の発展を目指す必要」という表現はいかがでしょうか。
また、10ページ20行目は、想定外の有事が発生した場合のことを書いていただいているのですが、議論の中でも何度か委員の先生方からも意見があったとおり、財政に対する信頼を確保しながら必要となる財政措置を講じるにあたって、時限を設けておくことが大事だということは共通認識かと思います。ここで入れられるのであれば入れておくのが有効ではないかと思いました。
また、リスキリングについて丁寧に触れられていて、趣旨・メッセージが十分に伝わると思いました。一方、高等教育とリスキリングにおいて目指すべきキャリアが分からないという労働者側の問題や高校から大学、大学から社会への接続についてこれまで十分に議論できなかったことは反省しております。これらをもう少し表現できるとよいのかなということを思いました。
他は細かい点ですので、所定の用紙で提出させていただきます。以上、よろしくお願いいたします。
〔増田分科会長代理〕それでは、上村委員、お願いします。
〔上村委員〕ありがとうございます。起草委員の先生方におかれましては、取りまとめありがとうございました。内容については基本的に賛成します。その上でいくつかコメントです。
まず基本認識。2ページ14行目「公的債務が過度に累積したり税財源が失われたり」とあります。この「税財源が失われたり」という表現を、より具体的に「大規模な減税などによって税財源が失われた」と書いてもよいのではないかと思いました。今、減税議論が出ていることに対して、より分かりやすい表現で説明すべきではないかと思います。
次に、24ページ1行目、「行政セクターの効率性向上」とありますが、この表現はあまりにも広い表現なので、内容を踏まえて具体的に書くべきかと思います。例えば、「システム投資による行政セクターの効率性向上」や「システム投資に関する行政セクターの効率性向上」のようにするのがよいかと思いました。
25ページ25行目に「効果的な中小企業支援のあり方」、27ページ13行目に「真に必要な大企業支援の考え方」とありますが、この「あり方」、「考え方」という表現は弱いと思います。もっと能動的な表現にしてよいのではないかと思いました。例えば「転換を」や「注力を」とすべきではないかと思います。
最後に、地方財源の偏在是正について適切な文章を入れていただいたことに感謝いたします。
細かい文言修正の提案については、メールでお送りします。以上です。
〔増田分科会長代理〕続いて、横田委員、お願いします。
〔横田委員〕ありがとうございます。まず、取りまとめありがとうございました。今回の基本認識の部分に関しては、いつも以上に、かみ砕かれた分かりやすい内容だと理解しておりまして、現在国債の増発など一部の意見が強くなっている中で、基本認識を丁寧に共有していくということが重要なので、非常に良い入り口だと考えております。
その上で、2ページ後半の公共サービスの低下に関する記載などについて意見を申し上げます。今まで他の委員から、不安を煽り過ぎないように、ギリシャの例を示すのはあまり適切ではないという意見も出ておりました。バランスを取る必要性については、私も賛同するところではありますが、行儀が良過ぎると伝わらない面もあると思いますので、このタイミングだからこそ分かりやすく情報を届ける視点も大事なのではないかと思っております。
その上で、提案です。ギリシャの例については、残すのであれば、年金給付の削減だけではなく、インフラや医療サービスの提供に支障が出てきたことなども記載した方が良いのではないかと思っています。
一方、インパクトが強過ぎるのであれば、17行目の「例えば」以降の、日本に関する例を簡略化するといったことも考えられると思います。
また、14ページにも同様の記載がなされているので、2ページ目、14ページ目を合わせてバランスを取っていく形でうまくまとめ上げられるよう、是非御検討いただきたいと思います。
次に、全般的に、せっかく一般の方にも分かりやすい入り口になっているので、専門用語は説明を加えていく必要があると思っています。例えば、4ページの脚注3にあるISバランスについて、政府や経済専門家の間では広く認識されている用語かもしれませんが、Investment(投資)やSavings(貯蓄)と追記していただけると分かりやすいのではないかと思います。
最後に、19ページ27行目についてです。「学生へのセーフティーネット」という記載について、大学の統廃合などを進める中で学生のセーフティーネットを保障するという意味は分からなくはないのですが、補足として「学生の不利益を回避するための」や「学びの継続の保障などの学生のセーフティーネット」などの言葉を加えていただいた方が良いのではないかと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕では、長澤委員、どうぞよろしくお願いします。
〔長澤委員〕ありがとうございます。取りまとめられた起草委の先生方、どうも御苦労さまでした。非常に読みやすい文章で、分量は多かったのですが、割と短時間で読み込めたと思います。その上で、数点御指摘を申し上げたいと思います。
まず、12ページ23行目から24行目に「プライマリーバランスの改善が重要であり」とありますが、「黒字化」という表現を入れるべきではないかと思います。
次に、14ページ14行目から15行目、国民的理解の醸成に関する記述について、今後避けられない税と社会保障の一体改革を考えた場合、この国民的合意というのが絶対的に必要だと思いますので、項を別にして強調すべきと思います。その上で、各国は厳しい財政規律を持っていますので、そうしたものの紹介も含めて、フューチャーデザインの考え方の普及を各種メディアやSNSを通じて進めながら、社会全体の合意形成を図る必要があります。今後財政改革を進めるには、国民の理解がまだ足りていないのではないかと思います。
最後に、19ページ以降の教育について、教育への助成が有効に使われていないと思います。統廃合等も非常に重要ですが、今、企業などが求めているAIの技能者、言ってみれば高等技能者等にうまくシフトしていくとよいと思います。
私からは以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、権丈委員、どうぞお願いします。
〔権丈委員〕建議(案)の取りまとめ、大変ありがとうございました。すばらしいと思っております。労働について意見を申し上げます。
まず、17ページ8行目にある、多様な働き方・キャリア形成の実現についてです。冒頭、「人材が希少となる中、労働参加を促す観点から」という文章がありますが、これは既に女性の就業率が相当程度高まっている中、労働力の量の問題として書かれている点が気になっております。実際、女性の正社員就業は30代以降低下する、L字型になっているのですが、このことは一般的に女性のキャリア形成が十分になされず、労働力としての女性の活躍、能力発揮が妨げられているという質的な課題であることを意味しています。
加えて、「夫の家事・育児時間が長いほど、妻の出産前後の離職率は低くなっていることから、仕事と育児・介護等との両立」という箇所について、少し言葉足らずではないかなと思いました。L字型になっている原因は複数あるところ、夫の家事・育児時間のみを取り上げていると思います。夫が家事・育児時間を長く取るためには、例えば夫の職場において長時間労働をなくしたり、育児休業を取得しやすくしたりするという環境整備が必要です。また、妻の職場についても、正社員でもワーク・ライフ・バランスが取りやすい働き方が可能であれば、離職せずに継続して働き続けることができるということもあります。本年4月施行の改正育児・介護休業法で、事業主が講ずる措置内容にテレワークが追加されたこともあり、柔軟な働き方の選択肢を広げていくということこそが、労働力希少社会の中で、女性の正社員離職を防ぎ、彼女たちの一層の活躍を期待できるようになるのだと思いました。したがいまして、「労働参加を促す観点から」はなくてもよいと思いますし、「L字カーブを描く」に続く文章は、長時間労働の是正や働き方の柔軟性を高め、仕事と育児・介護等との両立に向けた環境整備を一層進める必要があるという文言にすることも考えられるかと思います。
次に、藤谷委員が提出資料で指摘されているとおり、4ページ12行目以降の部分です。先ほど田中委員から文言に関する的確な修正案がございましたが、成長力の高い分野への円滑な労働移動が可能となる労働市場を目指すということは確かに大切だと思っております。その上で、「先進国では労働移動の円滑さと実質賃金の上昇率は相関しており」を根拠として論を展開されているところは、より慎重になるべきと思っております。元のデータも失業者に占める長期失業者の割合が低いほど失業を介した労働移動が円滑であると評価するものとなっており、労働移動全般を取り扱っているというものでもないようです。相関関係であり、直接の因果関係と解釈するところまではいかないので、丁寧にそのことが伝わるように取り扱った方が良いと考えております。
最後に、見出しが「労働市場の発展」となっておりますが、「発展」というと定義が少し難しいので、「労働移動の円滑化」という形で限定するほうが無理がないように考えております。
以上でございます。御検討ください。
〔増田分科会長代理〕続きまして、芳野委員、どうぞお願いします。
〔芳野委員〕ありがとうございます。まず、起草委員の先生方に感謝を申し上げたいと思います。4点に絞って発言いたします。なお、各論における具体的な修正案を別途提出しますので、建議に反映いただきたいと思います。
1点目は、財政健全化に向けた取り組みの加速についてです。我が国の予算規模は有事収束後も平時の水準には戻らないどころか年々増加の一途を辿り、不足する財源を赤字国債に依存するなど、将来世代への負担の先送りが続いている状況です。こうした中、今回の建議(案)では財政健全化目標が示されませんでしたが、財政健全化を成し遂げるためには、具体的な数値目標とそれを完遂する力強い体制を構築することが不可欠です。そのためにも、諸外国の例も参考に財政運営の監視・評価を行う独立財政機関を設置し、財政健全化に向けた取り組みを加速すべきです。
2点目は、労働・人的投資についてです。経済社会の構造変化への対応や生産性向上に向けては、リスキリングなどの能力開発とともに、労働者や求職者が身に着けるべきスキルや賃金水準の見える化を進めるなど、労働者のスキルアップを正当に評価し、適切な処遇改善につなげていくことが重要です。ニーズの高い分野や成長分野において人材を獲得するには、労働者が主体的に移動したいと思える産業の育成と良質な雇用の提供が必要であり、セーフティネット機能の強化や労務費も含めた取引の適正化により労働者が安心して働くことができる環境整備を進めるべきと考えます。
3点目は価格転嫁対策の実効性を高める取組についてです。取引の適正化はいまだ不十分であり、特に中小企業の労務費の価格転嫁が進んでいません。「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」の認知度は50%程度であり、更なる周知浸透や、下請法改正を踏まえた指導強化など実効性ある価格転嫁対策が必要です。また、地方の中小企業では官公需の占める割合が高く、政府が新たに策定する「官公需における価格転嫁のための施策パッケージ」も踏まえ、関係省庁が連携した総合的な取組が必要です。
4点目は安心で豊かな地域社会の確立についてです。「若者や女性にも選ばれる地方」や「安心で豊かな地域社会」の確立に向けては、男女間賃金格差とジェンダー・ギャップ指数低迷の根底にあるジェンダー・バイアスや固定的性別役割分担意識の払拭が不可欠です。日本にはいまだに「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」などといった固定的性別役割分担意識が根深く残っており、家族間・社会における慣習や慣行も含めて見直すことが重要です。そのため、KPIとしては、「家事関連時間の男女差(総務省「社会生活基本調査」)などの指標についても検討すべきです。
〔増田分科会長代理〕続きまして、堀委員、どうぞお願いします。
〔堀委員〕起草委員の先生方、お疲れさまでした。基本認識、財政総論について賛同いたします。変わりゆく激動する社会、国際社会の中で、日本の在り方を戦略的に考えるというのはメッセージとしてとても重要だと思っています。人口減少、少子高齢化という構造的な課題に対して、生産性の向上、また、豊かな活力ある経済社会の実現を図り、持続可能な社会保障制度を構築する、そして地域社会を主体的に確立するということはそのとおりだと思います。ただ、それらとの関係で複数回使われている「供給制約」という用語について、本文で説明を加えてもよいと思いました。
次に、4ページ9行目。労働・人的投資について、省力化投資・DX等による効率化やリスキリングについての記述がありますが、どのような意味で使われているのかという説明がないので、脚注でよいので説明があるとよいと思います。
次にDXについてです。現在、本務大学の全キャンパスでサイバー攻撃に遭っており、DXを進めていて全て統一したシステムで効率化が進んでいたのですが、サイバー攻撃によってもうこの3週間ほぼ仕事が成り立たない状態になっています。DXの推進と同時にサイバーセキュリティーの強化は必要だと思います。脚注にでもよいので、DXが効率化につながるためには、セットで必要だということをどこかに入れていただければと思います。切に思う次第です。
次に19ページ。高等教育について、2040年の大学進学者は3割減るということは明らかですし、教育研究水準を維持するためにも大学規模の適正化、再編は必要だと思っています。
20ページの脚注19にありますように、教育の質の把握は必要だと思いますが、今までの評価の在り方そのものがよいのかというのは少し疑問がありますので、検討すべきと思います。
次に、19ページ26行目の定員減について、先ほど学生のセーフティーネットの意味について補足が必要という指摘がありましたが、私も同意いたします。どのような意味かによって、その後の円滑化のための制度整備の在り方も変わると思いますので、どのようなことを想定しているのかについて記載があるとよいのではないかと思いました。
また、大学入試の見直しについても記載があります。1960年代に大学の大衆化によって入試や偏差値ができましたが、もうそれから60年以上も経ち、人口動態や社会環境、国際社会の現状を踏まえて大学のあり方も変化していく必要があると思いますので、そのことに一言触れてもよいのではないかと思いました。
それから、22ページ16行目。教員数について、確かに数字上教員数は増えているように見えると思いますが、これは文科省の政策によるものです。文科省の設置基準において、例えば、学校の収容定員数や学科の数、学部、学科の種類によって細かく定められていて、定員の半数以上が教授でなければならないとなっています。例えば若手の教員を採用したくても、その設置の基準があるので教授を採用しなければいけない、あるいは他の大学を定年退職されたような業績のある先生を入れた方が良いなど様々な事情があります。教員数が増えたのは私学の独自判断というより、この30年近くの設置基準等の規制も含めた文部科学省の文教政策全体のアウトカムという側面もあります。緩いか厳しいか以前にそもそも設置基準の妥当性を見直さずただ厳格化をすると、今後の大学の在り方がおかしなことになるという懸念があります。
また、高等教育の部分で「可能性がある」という表現が6か所もあって、恐らくエビデンスとなる強固なデータが欠けているからだと思うのですが、もう少しエビデンスを補強できるようなところを進めていただくことも重要なのではないかなと思いました。
最後に、4ページにおける海外と比べた給付と負担の不均衡の記載について、これは負担に比べて給付がどちらかというと充実しているということと思います。関連する資料Ⅱ-1-9の中では、改革するときには国民負担の引上げ、組合せ、給付の伸びの抑制などが書かれていますが、社会保障全体では、そのバランスの確保の在り方について一言も触れられていないので、社会保障について文章本体との整合性をとった方が良いと思います。
後半の社会保障については、後で意見を述べたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、佐野委員、どうぞお願いします。
〔佐野委員〕取りまとめ、ありがとうございます。非常に分かりやすく、内容に賛成いたします。私から簡潔に2点ほどコメントを申し上げます。
まず、この場でも議論になっていますが、2ページの公共サービスと負担の関係は強調してもし過ぎることはないと思います。表現が難しいのはそのとおりですが、社会全体でリスクに備える、そのための負担を一人が負うのではなく社会全体として負うことによりリスクを分散する意味で非常に重要な認識だと思いますので、そこは強調してよいと考えます。
次は、高等教育に関してです。高等教育は個人や社会にとっての投資であり、その投資の成果が回収されるまでには一定の時間がかかることを考えると、中長期的に教育の成果を追跡するといった、エビデンスに基づく議論を展開すべきであるということも加えていただくことを検討いただければと考えます。
私からは以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、小林充佳委員、どうぞお願いします。
〔小林(充)委員〕建議(案)の作成、本当にありがとうございました。先ほど複数の委員からも意見が出ている独立財政機関の設置について改めて申し上げたいと思います。
14ページで海外の一例として言及されておりますが、財政規律の実効性を担保する仕組みとして、我が国においても是非独立財政機関を設置すべきと考えます。独立した機関が客観的、中立的な立場で現実的な試算を示すことで、それを基に、信頼性、透明性のある予算審議や政策立案を行うことができると考えます。従前より当審議会でも設置要望が幾度も上がっているという状況も御考慮いただきまして、さらに一歩踏み込んで、独立財政機関の設置を本文に明記していただくよう重ねてお願い申し上げます。
独立財政機関の設置によって、客観的、中立的な見通しが示されることは、財政の現状や課題に対する国民的関心の醸成と理解の促進、ひいては政府と国民の間の建設的なコミュニケーションにつながるとも考えております。是非よろしくお願いします。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、滝澤委員、どうぞお願いします。
〔滝澤委員〕ありがとうございます。起草委員の先生方、お取りまとめ大変ありがとうございました。
3、4ページでは労働生産性の向上や資本の増強が潜在成長率の低下に対抗する戦略として位置付けられており、財政再建は緊縮と同義ではなく、限られた資源のアウトカムの最大化が基軸であるという重要なメッセージを発信していると思います。
強い希望ではありませんが、例えば4ページの今後の社会経済モデルや16ページの活力ある経済社会の実現に関連して、労働生産性と資本強化の議論はある一方、例えば技術革新、制度改革、組織改革を含む全要素生産性の向上の必要性が明示的には言及されていなかったと思います。恐らく全要素生産性の向上を伴う労働生産性の向上というのが意図されていると思うのですが、例えば資本の増強による労働生産性の向上に加えまして、資本効率、技術進歩、制度改革等を含む、全要素生産性の向上による労働生産性の向上の記載も重要だと思います。ただ、分かりやすさや全体のトーンとも関係しますので、この点は一任いたします。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは平野委員どうぞ。
〔平野委員〕ありがとうございます。起草委員の皆様、大変お疲れさまでございました。今回、総論に続いて、3本柱として、活力ある経済社会、地域社会、社会保障について論じるという構成はとても良いと思いますが、全体のトーンがやや守りに偏っていて、もう少し前向きのトーンも出してはどうかという印象を受けました。いくつか手短に申し上げて、ワーディングについては後ほど意見書で御提案します。
1つ目。1ページの外部環境認識についてです。課題が多いのも事実ですが、足もとでは日本の経済も、賃上げや投資の増加などを含めて、前向きな変化が起こっているという認識も同時に示すべきだと思います。
2つ目。1ページ7行目以降で、分配機能の低下という視点から現在の問題を捉えていますが、第二次世界大戦後にアメリカ主導で構築された国際通貨体制・国際通商体制が抱える問題が顕在化しているという根本的な問題を指摘すべきだと思います。
3つ目。4ページの「投資効果を見据えた政策運営が必要」という指摘はとても良いですが、これに加えて優先順位付けや選択と集中、つまり、費用対効果が低い施策はたとえ一定の効果があるとしてもスクラップするという観点が必要だと思います。
4つ目。4ページ26行目以降の社会保障制度に関しては、建議の概要も同様ですが、総論では受益と負担に限定されていて、サプライサイド、特に医療提供体制の問題については、総論では全く触れられておりません。是非、負担と給付と並べて問題提起されるべきだと思います。
5つ目。6ページ以降のインフレ下における財政運営について、本年3月の経済財政諮問会議においてインフレ税による利得を使うべきだという議論に対して、注でも構いませんが、正面から反論すべきだと思います。
6つ目。英国のトラスショックとギリシャの事例については、これが典型的に守りに入っていると感じた箇所ですが、起こりそうもないことを書くのはよくないと思います。そうではないという反論に対してどう答えるか、バランスの取れた書き方をすべきだと思います。
7つ目。13、14ページで財政健全化目標に触れていただいていますが、数名の委員の方が指摘されたとおり、それを実現するための制度的な対応にも踏み込むべきです。IFIに加えて私が御提案したのは、中期財政フレームワークやペイアズユーゴーです。最近、よく言われているものだと思いますので、我々としても言わない理由はないと思います。
8つ目。15ページ以降の活力ある経済社会について、政府支出をどうやって抑制するかということばかり書いていますが、そうではなくて、これから成長戦略を目指していく上で産業政策などについても政府が果たすべき役割があるということを書くべきです。
9つ目。新陳代謝の必要性をもう少し明確にすべきだと思います。その観点から言うと、高等教育もスクラップ・アンド・ビルドが必要です。今の大学制度自体に問題があると思うので、例えば特定のスキルを目指すような高等専門学校をはじめとする特化型の高等教育機関の拡充などもう少し前向きなトーンが出てくると、単純に私学に対する助成を減らすだけではなくなるのではないかと思います。
また、イノベーションや科学技術立国に関連して、国立大学に全く触れていないというのも片手落ちだと思います。科学技術立国に資するような高等機関には財政支援を注入すべきだということも主張してはいかがかと思います。
取りあえずは以上です。あとは意見書をお送りします。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。それでは、神子田委員どうぞ。
〔神子田委員〕起草委員の方々、取りまとめありがとうございました。人口減少を縦糸に国際情勢の変化を横糸にして、今年度はいつも以上に財政健全化がなぜ大切なのかを解像度高く示していただいたと思います。直したらよいかなというところがあるので申し上げます。
まず、1ページの基本認識について、先進各国同様日本でも分配機能が低下していることが指摘されていますが、木村委員が指摘されたとおり、それへの対応策も書くべきだと考えます。
また、2ページ1行目の「金利ある世界」という表現について、「金利ある世界」になったのは昨年3月ぐらいのことで、現在金利はどんどん上がっていますから、ここはもう「『金利が上がる世界』になった」にした方が良いと思いました。
16行目の本当に細かいことなのですが、税負担の減少でも財政が悪化しないということがあるのだとしたら、「税負担の減少ひいては財政を悪化させる」という表現の方が良いかと思いました。
22行目の「事実を直視し」という表現について、恐怖を煽っているように捉えられると損です。ここは、財政が悪化すると公的サービスが衰えることを説いているところだと思うので、「事実」ではなく「現実」とすべきです。
3ページ19行目の「人口減少・少子高齢化という構造的な要因により」という表現についてです。何か構造的な要因によりこの三つの現象がもたらされているという趣旨だと理解しており、1、3は分かりますが、2の「受益と負担のアンバランス」は人口減少がなくてもアンバランスと言われていると思いました。払う人が減ってもらう人が増えている、つまり歳入と歳出のバランスが著しく崩れているということであるとすれば、「構造的な要因により」を削除して、例えば「人口減少・少子高齢化が進む中で、我が国では」とすべきです。
〔増田分科会長代理〕それでは、大槻委員どうぞ。
〔大槻委員〕ありがとうございます。皆様、お疲れさまでした。非常に力のこもったもので、読み応えがありました。
まず、総論において、これまでとの違いという意味では、緊張感と国際的な不確実性であると思います。この緊張感というのがどこから来ているかと言えば、市場に携わる方々だったらお分かりのとおり、金利が相当、不安定になってきている点です。国際的な不確実性に対する財政出動の可能性に関する報道がある中で、こちらについてはほとんどないので、ここについて改めて釘を刺しておくべきではないかと思った次第です。
まず1ページ11行目などの「引き続き豊かな経済社会」という表現については、読んだ方々の中には豊かではないと思われる方もいると思いますので、「引き続き持続可能な経済社会」等の方が良いのかと思いました。
2ページ目、「金利ある世界」という表現について、神子田委員が指摘されたとおり、金利ある世界になって久しいので「金利が上がる世界」と書くべきです。また、ギリシャについては、発生確率が問われないような形で10ページの財政余力の確保の部分に入れてはと思った次第です。
次に20ページです。教育について、「学生のセーフティーネット」に加えて、「イノベーション創出への対応にも配慮しつつ」などとも入れた方が良いと思います。
21ページについては、堀委員もおっしゃいましたとおり、これは大学教育だけの問題ではなくて、包括的に取り組むべきだと思います。義務中等教育での学びが十分でないので、こうしたことになってきているということの中で、大学だけにこうした整理を進めるということになると、大学が今やむを得ず行っている学習部分が抜け落ちてしまいますので、その支援の仕組みとともに、義務教育、中等教育と一体で包括的に検討すべき問題でもあるが、という形に入れていただければと思います。
最後に、25ページの企業支援は喫緊のテーマだと思います。具体的には、外部環境の想定外の悪化に対しては、躊躇なく支援を行うべきではあるものの、その先の構造問題等も同時に考えて行うべきであり、かつ目的に応じて終了、終息すべきことを徹底すべきなどがあるかと思います。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、小林慶一郎委員、どうぞ。
〔小林(慶)委員〕起草委員の皆様、取りまとめ、どうもありがとうございました。基本的に賛成します。
簡単に各項目についてコメントしますが、特に修正意見というわけではないので、もし取り入れていただければというぐらいです。まず基本認識について。皆様おっしゃっていますように、題名もそうですが、国際社会の変化に対してやや受け身的な印象があると思います。アメリカが国際公共財の供給者としての、あるいは覇権国としての地位を降りたがっているような現状に対して、日本はどうするのかということが書けないかなと思います。例えば米国を支えて自由貿易体制を維持するために日本は今まで以上に大きな役割を担うことを構想して、世界に提起すべきではないかというようなことが書けるとよいと思いました。もちろん財審の建議でその内容まで書くことはできないと思いますが、その姿勢は示してもよいのではないかという気がします。
ギリシャの件については、脚注でもよいですが、ギリシャは自国通貨建てではなくユーロ建ての債務を負っているということを入れてほしいと思いました。日本は自国通貨建てなので日銀が買えば大丈夫という意見に対してそこは理解しているということを、しっかりと脚注にでも書いていただいた方が良いのではないかと思いました。
次に財政総論について。我が国の財政フレームワークを主要先進国のスタンダードと軌を一にすべきだということが書かれておりますが、他の委員の皆様もおっしゃっていますように、主要国で整備されている独立財政機関の設置についてより強く書いてもよいのではないかと思います。
独立財政機関は財政ルールの達成状況の評価をするということが触れられておりますが、30年や50年という超長期の財政推計を出して議論の基礎情報にすることが独立財政機関の機能だと思いますので、そうした超長期の財政推計を出すという機能についても触れていただければと思います。
活力ある経済社会について。特に大学について、これは高等教育だけではなくて、研究拠点、イノベーションのコアとして生産性を高めていく拠点という意味でも重要な問題だと思います。そうした意味で、世界から優秀な人材を獲得することができる仕組みを提案すべきではないか。具体的には、現在の海外と日本の研究者の報酬格差は2倍、3倍以上開いているので、海外の優秀な研究者を国内に招聘するときに国内の2倍、3倍、それ以上の給与をオファーできるような、そうした仕組みを積極的に構築していく。研究者の間での能力に応じた報酬の格差を積極的に受け入れていくということを書くべきではないかと。特にトランプ政権下でアメリカから出ていきたい研究者は増えており、ヨーロッパが既にそうした取組をしていますが、アメリカから優秀な研究者を日本にシステマチックに雇い入れる仕組みを考案すべきだと思います。
最後に安心で豊かな地域社会の確立について。先日ある民間企業の研究者から2100年の各県・各市町村の人口推計はある一定の仮定を置けばできると聞きました。彼は2100年に大都市部を除いた地方部の人口が平安時代と同じになると言っていました。要するに、都市部には何千万人かいる一方、地方部の人口は1,000万人を切るかもしれません。そうした地域ごとの100年先の人口推計を見た上で国土計画を構想する必要があるのではないかと、そのようなことを問題意識として書いたらよいのではないかなと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕櫻井委員、お願いします。
〔櫻井委員〕ありがとうございます。委員の皆様、建議(案)を取りまとめいただき、ありがとうございます。
私からは3点、お話しさせていただければと思っています。
まず3ページの女性や高齢者の就業率に関する部分について、近年は就業者数が頭打ちと書かれておりますが、これだけ見ると政府はいろいろなものを取り組み尽くしたかのような印象を与えると思いました。実際には、就業の機会が限られている方や環境整備を通じてさらなる労働参加が期待できる方が存在しているので、可能であれば表現を変えていただけるとよいと思いました。
次に、先ほど権丈委員がお話しされていましたが、17ページのL字カーブの部分については、夫の家事・育児の少なさだけでなく、女性が非正規を選ばざるを得ない構造的な要因があると思いますので、こうした観点ももう少し丁寧に反映していただけるとよいと思いました。
最後に、安心で豊かな地域社会の確立の部分です。先ほど芳野委員もおっしゃっていたように、若者や女性に選ばれる地域をつくっていくためには、これまでやってきたこと以外の新たな取組をしていくというのが必要だと思います。政府は地方創生2.0の下で制度や環境の整備に取り組んでいると思いますが、その中でジェンダーバイアスや固定的性別役割分担意識、地方ならではの慣習を変えていく必要があると思います。
建議の中で是非こうしたジェンダーギャップや意識改革にも焦点を当てていただければと思います。また、KPIの設定においてもジェンダー視点を入れていくということを明記していただければと思います。詳しくは後でコメントを出させていただけたらと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
次に、45ページ以降の社会保障について御意見を頂戴していきたいと思います。木村委員、どうぞお願いします。
〔木村委員〕頂いたばかりで十分に目を通す時間がない状況にありましたが、その中でもここは具体的な数字が結構随所に散りばめられていて、国民にとっては結構分かりやすい内容になったのかなという気はしました。
例えば、46ページ9行目以下の「社会保障は保険料と税で支えられており、それらを負担する国民に理解され、納得されるものでなければ成り立たない」や「医療関係者の間では当然のこととして見過ごされがちなことといえども、国民が疑問を抱くようなものがあれば、徹底的に見直していくことが求められる」というのは、当たり前のことかもしれませんが、このように基本から丁寧に見直していくことが、国民の理解を得て最終的に持続可能な社会保障制度を成り立たせるという意味で、非常に不可欠な姿勢だと思いますので、こうしたことを盛り込まれるのは非常に良いと思います。
「診療所院長の中には、厚生労働省の調査によれば、5000万円を上回るような収入を得ている人が1割弱いる」という文言がありますが、このように具体的な数字を出していることは分かりやすく、物価高等に直面している国民も疑問を抱くということの例だと思います。また、その後にある「大小の薬局(約6.3万)が林立し、その数は今や全国のコンビニの数(約5.6万)を上回っている」という文言についても身近なコンビニと比較したというのは分かりやすいとは思います。一方、薬局が多いということは国民にとっては行きつけの薬局が多いということで便利だなと思う人も少なくないと思います。薬局が多過ぎると何が問題なのかということが一般の人にも分かりやすく簡潔に書かれていれば、よりこの数字を出した意味があるのかなという気がしました。
最後に1点です。45ページ18行目に「現在1件当たりの医療費は、月額最大約1.8億円となっている」とありますが、これを見て驚く人もそれなりにいるかなと思います。これだけ大きなリスクに対応できるのは社会保険だからこそという意味です。数字を出すことは意義の大きいことだと思いますが、意地悪な人はあえてこうした大きな数字をポンと出して、結局高額療養費の見直しに持っていきたいのではないかと変に勘ぐる人もいるのかもしれません。極端な数字だけではなくて、1件当たりの平均医療費なども併記しておけば、もう少し素直に受け取ってくれるのかなという気もしました。
これはいずれも、あくまで私の読んだ感想ですので、これをどうするかという表現等はお任せします。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、小黒委員、どうぞ。
〔小黒委員〕ありがとうございます。2点申し上げさせていただきます。
まず49ページ脚注63について、秋財審の建議と同じ脚注を入れてくださっており感謝申し上げます。要は「医療版マクロ経済スライド」についてまた今回も書いているということだと思います。
その上で、先ほど平野委員からご指摘があったとおり守りに入っているように見受けられるため、今回の骨太方針では診療報酬改定もあるので難しいかもしれないですが、中長期的な検討課題として、現役世代の負担にも限界があるということ、医療費の伸びを中長期的な名目GDP成長率の範囲内に確実に抑えるというようなことも議論されるべきであると考えております。決め打ちするのは少し難しいと思いますので、そうしたような検討も必要ではないかということを本文に少し書けないかなと思います。
もう一つは、72ページ26行目の費用対効果についてです。先ほど基本認識で述べたことと関係するのですが、費用対効果に関連して、EBPMが進められているほか、道路事業ではB/Cが議論されています。これは医薬品だけではなくて、医療全体に進めるべきだと思います。もし可能であれば、例えば、「併せて、質の高い評価の実施に向けた適切な評価手法の検討や現行の評価体制の抜本的な強化を進めるべきである。」の後に、「現行の費用対効果制度は、医療全体への影響、波及効果も広範に取り込んだ評価システムに転換または拡張させる」などといった文言を入れるべきであると思います。また、研究者が様々なデータを使って効果分析をさらに進められるということの環境整備も重要だと思いますので、使っているデータを第三者も検証可能になるような検討事項も記載していただけないかと、要するに、公開を進めることも必要ではないかということを記載していただけないかと思います。詳細は後で出させていただきます。
以上になります。
〔増田分科会長代理〕それでは、國部委員、どうぞお願いします。
〔國部委員〕1点に絞ってお話しします。全世代型社会保障の根幹をなす応能負担の実現に向けてです。今回の素案でも83ページを中心に随所に応能負担の発想が反映されている点はよいと思います。一方で、毎年建議で取り上げていますが、実現に向けた道筋が長らく曖昧になっている点は気がかりでして、この春の財審でも多くの委員が全ての銀行口座に対するマイナンバー付番の義務化の必要性を指摘しておられました。今回の建議でも、そこまで踏み込んで書いた方が良いのではないでしょうか。マイナンバー付番の義務化というのは税制などにも影響を与えますし、我々金融機関にはシステム対応負担が生じます。また、「付番によって社会保障にかかる負担が増える」と国民に捉えられてしまうと反対意見も多く出てくる、といったことも容易に想定されます。
したがって、本件を検討する際には、省庁横断での検討体制を整えることや、そもそもマイナンバーで役所手続の簡素化など、国民が享受できるメリットも多いということを同時に示していくことが必要と考えます。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、熊谷委員、どうぞ。
〔熊谷委員〕ありがとうございます。まず45ページの総論では、税と社会保障の一体改革や公平・中立・簡素という税の大原則、就労促進などについても記載する余地があるのではないかと思いました。
49ページにある医療費のマクロ的な管理については、小黒委員からも御意見があったとおり、より踏み込んだ形で記述していただきたいところです。先ほど来、平野委員や小黒委員から守りに入っているという御指摘がございますが、総論を通じて若干文章が何かびくびく書かれているような印象を受けますので、是非書くべきことはしっかり踏み込んでビシッと書いていただきたいと考えます。
また、56ページの出来高払いについても、私はまだ完全には読み切れていませんが、より踏み込んだ解決策を是非書いていただきたいと思います。もちろん都道府県別の診療報酬までは難しいのかも知れませんが、それも視野に入れて是非しっかりと踏み込んでいただきたいところです。
57ページ6行目の質の高い医療については、医療の質の情報開示やデータ基盤の整備などが重要だと思います。データ基盤の整備は、70ページ以降の費用対効果評価とも関係するポイントとなります。また、小黒委員からも御指摘ございましたが、費用対効果評価については、医療全体について行っていくような考え方を入れられてもよいのではないでしょうか。
72ページ26行目。誤字脱字だと思いますが、「検討すべき。」は「検討すべきだ。」、もしくは「検討すべきである。」だと思います。
最後に、「おわりに」や結びがありませんが、忙しい人は最初と最後しか読まないと思いますので、しっかりとキーメッセージをもう一度繰り返してほしいところです。全体総括では、総論や各論の中の重要ポイントを簡潔にメッセージ性や気持ちを込めて是非書いていただきたいと思います。
私からは以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、山口委員、お願いします。
〔山口委員〕私からは2点、シンプルに。一つはコメント、一つは継続審議の依頼です。
1点目。健康寿命の延伸とセルフメディケーションの推進について、健康な間は働くという社会環境の整備は我が国の供給力維持の観点から大変重要であるということは周知のことですが、健康寿命の延伸に即した制度の見直しが不可欠と考えます。そうした意味では、セルフケア、セルフメディケーションの推進は、医療費適正化と国民の利便性向上の両面から重要な取組であり、明記されていることは非常に大きいと考えます。
2点目。国民皆保険の持続可能性と保険外医療の位置付けについてです。保険診療と保険外診療の役割分担について、医療費の高額化が進む中で、国民皆保険制度の持続可能性を高めるための補完的な枠組みとして、国民的な議論を踏まえつつ、引き続き検討していく必要があると考えます。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕長澤委員、どうぞお願いします。
〔長澤委員〕1点だけ申し上げます。総論の45ページ27、28行目、46ページ22、23行目において、不断の検討、取組が必要といったことが書かれていますが、正直に言って、そのような場合ではないのではないかなと思います。もう土俵際まで追い詰められているので、不断の検討ではなくて、早く抜本的な解決を見出さないとこの少子高齢化の中で大変なことになる。これも国民的合意が絶対必要だと思うのですが、その意識が足りないと思われますので、ここは強い言葉で我々は土俵際まで追い込まれているということを強く言うべきではないかと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、続きまして、権丈委員、お願いします。
〔権丈委員〕ありがとうございます。まずは52ページ14行目について。「社会保険の基本理念である自助・共助・公助」とありますが、「共助の考えに基づき」とすべきではないかと思います。今回、自助・共助・公助という言葉が何回かあるのですが、ここの点は御検討ください。御修正いただければと思います。
医療・介護について、今回、医療・介護の理想像を描き、その理想像からバックキャスティング型の議論をしていくという内容になっていまして、とても新鮮で、本来こうあるべきだと思います。ありがとうございます。
関連して、53ページ15行目からの段落についてです。医療政策に関わるステークホルダーの目線に立って見たときに、それぞれに一定の納得感が得られるものである必要があるというのはそのとおりだと思います。ただ、特に、患者や被保険者、将来世代等から見た理想像というのは、医療政策を展開する上で優先順位が最も高いものだと思われます。これまでの医療政策の中では、それは明示的に既に示されておりまして、例えば平成27年の医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会第1次報告では、患者の視点に立ってという言葉が複数回使われ、患者の視点に立って、どの地域の患者も、その状態像に即して適切な医療を適切な場所で受けられることを目指すとも書かれています。こうした患者にとっての理想像は、しばしば他のステークホルダーの理想像と衝突することから明示的に示されているのだと思います。
特に政策の各論に入ると、総論賛成、各論反対がほぼ確実に起こり、往々にして、患者から見た理想像の実現よりも、他のステークホルダーの理想の実現が優先されてしまいます。何のための医療改革なのかを言う際の定義は、患者、被保険者、将来世代等から見た理想像の実現ですので、その優先順位の高さは強く意識しておくとよいと思っています。
また、提供体制の改革の定義は、54ページ25行目にあります、医療・介護ニーズに適合したサービスを効率的かつ効果的に供給できる医療介護提供体制を整備していくことにあることもしっかりと認識しておきたいと考えております。
今、人口減少地域では、自らの生き残り戦略として、病院機能の再編、分化、連携を進めるために地域医療連携推進法人を作るなどしているところが出てきておりますが、彼らが地域の中で独自に解決できない問題は、人口が減少していっているのに出来高払いの下にあるため、増患政策を取らざるを得ないという矛盾です。そしてまた、医療偏在問題です。前者については、人口減少地域では、61ページ以降にある全人的なケアに資する報酬体系が求められています。また、後者の医療偏在問題については、昨年からの議論の結果、医師の自主性を尊重し、経済的誘導に力点を置かれることになっています。そのため、これからの医師偏在対策として、66ページにある地域別診療報酬の話が表に出てくることになると思います。そのとき、自己負担額に公平性の問題があるという話も出てくるかもしれませんが、その際、66ページの脚注に書いていただいている自己負担を調整することで対応できるものという視点とは非常に大切で、活きてくるのではないかと思っております。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、芳野委員、お願いします。
〔芳野委員〕ありがとうございます。持続可能な社会保障制度の構築に向けて、給付と負担のバランスを確保することは重要ですが、保険給付の範囲を縮小する抑制策は慎重な検討が必要と考えます。病床の機能分化・連携を通じた効率的な医療提供体制の構築などによる医療の適正化を図りつつ、社会保障の機能を強化することで、国民の将来不安の払拭につなげることが重要です。
くわえて、社会保障の持続可能性は人材確保の面から揺らいでいます。医療、介護など社会保障サービスを担う人材確保に向けて、賃金引上げをはじめとする処遇改善と労働環境の改善に向けては、国が更なる施策を実行していく必要があると考えます。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、堀委員、お願いします。
〔堀委員〕45ページの総論については、問題意識は共有しています。
46ページ14行目から18行目について、確かに分かりやすいのですが、逆に診療所の院長の適正な収入はいくらなのかという質問に答えられるのかというと恐らく答えられないのではないかと思います。感情論として国民の納得感をもたらそうという意味があるのかもしれませんが、いくらならばよいのかという客観的な判断基準がわかりません。本文ではなくむしろ脚注で、こうした素朴な疑問が生まれるのではないか、あるいは適正な診療報酬の在り方を検討するような資料が必要ではないか、そのために経営の見える化が必要であると書けばよいようにも。例えば、医薬品メーカーの社長の給料が何千万円であるとかという、そうした議論になってくると、だんだん社会保障の本質の国民の納得の話ではなくて、何か違う話になってしまうような気がします。素朴な疑問としてあるのはとても重要だと思うのですが、なぜそこが問題になるのかが分かるような表現が必要なのではないかと思います。
前半でも述べましたが、4ページに給付と負担のバランスの確保についての必要性が書いてあって、概要にも書いてあって、本文にも多少文言はあるのですが、具体的に何なのかがよく分かりません。「給付と負担の適正化」や「給付と負担の不均衡の見直し」などと表現が揺らいでおり、もう1回見た方が良いのかなと思います。また、給付と負担のバランスの確保と言うならば、負担を増やすべきと思っているわけではないですが、負担を増やすということも概念的にはあり得ます。国民負担の引上げ、組合せ、伸びの抑制が選択肢としてはあるのにもかかわらず、そうでないところだけが書かれています。少子高齢化の人口動態を踏まえると、今のままでは世代間格差が広がりますし、現役世代の負担を過剰に増やせない、負担増を回避したい、若者・子育て世帯の可処分所得を増やしたいということも理解しますし、昨年6月の子育て支援法の財源の確保ということも理解はしているのですが、だからといって案として全くないような形よりは、引上げや組み合わせなども含めた考え方もあり得るということはどこかに、脚注でもよいのであったほうが将来的な選択肢という意味でよいのではないかと思います。
また、本来は小手先ではなくて総合的な医療費適正化のパッケージのようなものがあって、その上でどれを優先的に抑制あるいは見直していくのかという基準が必要だと思うのですが、現状では優先順位を設定することができていないために、総花的に多数の抑制可能な政策が恐らく出されていると思います。今回も、持続可能な社会保障制度の構築(財政各論Ⅱ)についての事務方からの提出資料は130ページ以上ありましたし、ここも一つ一つの項目に対して異論があるというわけではないのですが、具体的な戦略としてどこからどのようにやっていけば全体の国民の納得を得られるのかというストーリーのようなものが将来的には必要なのではないかなと思います。
また、医療費が経済成長と乖離して増えるのは事実ですが、これは国民皆保険ができてからずっと同じで、レベルに差はありますが今に始まったことではなく、簡単なことではないのです。簡単ではなく、ここ30年ツケを伸ばしてきたことを今からするということは、それなりに相当痛みを伴う可能性があるということですので、国民的な合意がないと難しいですし、国民に理解してもらうために議論に参加していただくような機会が必要なのではないかと思います。
また、医療・介護の理想像と共通認識、関係者の見え方が加わったことそのものはとても良いと思う一方、先ほど権丈委員からも指摘がありましたが、「社会保険の基本理念である自助・共助・公助の考え方」と書かれています。従来は、社会保険は社会保障と税の一体改革の共助と位置付けられていたと思いますので、もし社会保険の中で自助・共助・公助という考え方を入れるならば、なぜそうなのかというのを説明しないと少し混乱してしまうのではないかなと感じました。
また、52ページ、54ページと、それぞれを読む分には分かるのですが、文章のつながりがよく分からなかったように思います。
また、100ページに「現役世代の保険料負担の伸びの抑制を図る観点から、介護保険サービスの利用者負担等について、所得・資産に応じた負担となるよう、見直しを着実に実施すべき」とあります。これはこれでよいと思うのですが、表現として国民負担というときは保険料と税金等であって、利用者負担は厳密には負担ではなくてこれは保険給付です。以前の資料では、保険給付範囲の見直しのところに利用者負担について書かれており、そちらの方が表現としては正しいです。だからこそ、医療でも同様ですが、利用者負担は財源論からではなくて、保険給付の範囲の在り方としてどうなのかを検討するのが筋ではないかと。例えば重篤度に応じて、本当に必要なのかどうか、緊急性があるのかどうか、あるいはOTC薬などもそうですし、高額療養費もそうですが、そうした視点から見て、整理をした方が良いと思います。この利用者負担という言葉を、国民負担で使われている負担と用語が似ていますが、給付と負担の不均衡を検討する流れの中にいれると、勘違いされてしまうと思います。
また、デジタル化とマイナンバーの紐づけの話について、先ほど、他の委員からありましたが、DXを進めるという意味では非常に重要な視点だと思います。また、地域ごとの100年計画という話が前半の議論で出てきましたが、医療提供体制も地域によってかなり違います。増田会長代理が既に報告書を出されていると思いますが、地域によって需要・供給の状況なども変わってきますので、地域医療構想の進展は非常に重要ですし、地域ごとという視点がどこにも入っていなかったので、どこかにあってもよいかと思いました。
また、最後に、医薬品の薬価収載について、例えば肥満薬が薬価収載されるようになっていますが、アメリカをはじめ他国では非常に大きな市場となっていますが、問題ともなっています。今のまま、日本の状態で本当によいのかどうかというところは、急ぎ考えていく必要があると思いますので、総合的なパッケージとして特別なものだけピックアップするのではなくて、全体としてどうするべきなのかというのを医療についても、介護についても検討するべきだと思います。むしろ伸びだけで見れば、医療よりも介護のほうが伸びていますので、その整理が将来的に必要ではないかと思います。今回の資料に対する修文案についてはメールで送らせていただきます。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、平野委員、どうぞ。
〔平野委員〕手短に医療体制について4点申し上げます。
1点目。今回よかったと思うのは58ページ22行目です。新たな地域医療構想はこれから進めていく必要がありますが、国がガイドラインを設定し、将来推計に基づいた赤裸々な実態を関係者に提示して行動変容を促すという点はとても良いと思います。ただし、一定期間内に成果が出なかった場合にどうするかということまでは書いていないので、恐らく何らかの規制的な手法も示唆しておくべきではないかと思います。
2点目。病床の機能分化と集約化は医療提供体制の中で非常に重要な論点ですが、もう一つ重要となるのは、かかりつけ医です。63ページ16行目以下で書いていただいていますが、医療の質に関する情報の開示を進める、出来高払いから包括払いへのシフト、報告制から認定制への移行が重要ということを書き込むべきだと思います。進め方としては、一定の期間内に要件を備えたかかりつけ医になればベネフィットはあるけれど、そうでなければディスインセンティブが発生するという形にしていくべきではないかと思います。これは一朝一夕には実現しないのでかなり長い期間が必要だと思いますが、そうしたタイムラインを示して、あるべき姿を示し、実現できなければディスインセンティブ、という構えが良いと思います。
3点目。調剤薬局の問題についてです。多過ぎるという問題提起はされていますが、ではどうするのか。結局、集約化しかないわけですし、財政的に見れば調剤の基本料も含めた支払いが多過ぎるという話にも恐らくなると思いますが、これをどう進めていくか。効率化や集約化が進むと良いと思います。
4点目。医療データの問題についてです。先ほどから何名かの委員もおっしゃっているマイナンバーの全口座付番による金融資産の保有状況の把握はもちろんですが、もう一つ、構えが大きくなるので脚注に書くことになるとは思いますが、社会保障一般にもつながる点で、応能負担を含む給付と負担のバランスにおける公平性の確保などを進めていく上では、国民の所得、資産、あるいは世帯の構成、税、社会保障の負担と給付などの情報を一元的にまとめるデータベースをつくる必要があると思います。さらに、それを税や社会保障を担当する行政部門が、縦割りではなくて、相互に利用できるような仕組みを構築する必要があるということも触れていただけるとよいのではないかと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕宮島委員、お願いします。
〔宮島委員〕建議(案)の前半部分含め申し上げたいと思います。
2ページ15行目について、手取りの増加で個人が幸せになるという部分ですが、公的サービスが悪くなると、それはそのまま個人の不幸にもなりかねないので、今の個人と公共を別物のように感じさせるような書き方は少し検討したほうが良いかと思います。
少し戻りまして、2ページ2行目です。「金利上昇に伴う利払費の増加リスクが顕在化しているが、それが現実のものとならないよう」とありますが、利払費は一定程度増加することが見込まれるのではないでしょうか。後ろにはそう書いてあります。金利引上げに反対しているように見えてもよくないかなと思いますので御検討ください。
また、16ページ24行目の労働市場です。効率性がよくて、稼げるところに人が集まるというのが求められる生産性の向上であることは事実ですが、それだけで全体がうまくいくわけではないので、人的資源の配分を全体的に考えることが必要だと思います。例えば、将来にわたる人的資源の配分を総合的に検討することも望まれるなど入れたいのですが、これは私の意見ですので希望といたします。
社会保障です。53ページ4行目以降の段落です。事業者間の資源の効率化に関しては、配分と効率化は書いてありますが、かねてより課題のタスクシフトに関しても委員から意見が出ていると思います。コロナワクチンの接種など、日本は役割分担が海外と違う部分もあるなということに国民も気づいていますので、例えば6行目に、「診療・処方の場面では医療従事者の間のタスクシフト、医療DX等による」などと、タスクシフトを入れていただければと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕小林充佳委員、お願いします。
〔小林(充)委員〕私から1点。6ページや49ページに、社会保険料の給付が雇用者報酬伸びを上回っている状況にあるとありますが、財政健全化と経済成長のバランスを取りながら、社会保障を維持していくためには、負担を主に担うことになる若者や子育て世代、あるいは中間層、低所得層の活力をいかに維持していくかということが重要であると考えておりまして、所得に応じて社会保険料を調整するような仕組みの重要性が一層高まってくるのではないかなと思います。
その具体策について、前回の審議会でも意見させていただきましたが、社会保険料と税の負担を一体的に捉え、その負担を調整、あるいは軽減するような仕組み、社会保険料に対する給付付き税額控除、これはオランダをはじめとする諸外国では導入されている事例がございますので、参考にしながら検討すべきと考えます。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、大槻委員どうぞ。
〔大槻委員〕ありがとうございます。数字が具体的で、自分事としやすくなるというところはよいと思いました。そして、45ページのⅤの冒頭について、ⅢやⅣでは「と提言する」という形で何を言いたいかが非常に分かりやすいと思いましたので、Ⅴについても、何を提言するのかということを明確にしたほうが良いと思いました。
81ページ、セルフメディケーションの中に国民意識の変革という項目があります。これはむしろ全体として言えることなのかと思いましたので、51ページの全体感のところにもこの国民意識の変革という文言を入れてはと思いました。
最後に、熊谷委員からもあったのですが、最後にアクショナブルな形で一言入れるべきなのではないかと思いました。これを読んで、何をして、どうすればよいのか。メディアの方々であれば、伝えるべきことというのは何なのか、個人であれば、これを理解して将来の在り方を考えることで、今後の政策評価等の目を養って欲しいという思いを込めて、最後にまとめがあった方が良いと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、小林慶一郎委員、お願いします。
〔小林(慶)委員〕手短に二つだけ。1点目。理想的な将来像を描いて、そこからバックキャストで議論するという取組をされているということが非常に素晴らしいことだと思います。医療や介護、年金などの分野について、40年後、50年後という将来の視点から理想的な将来像を描いて現在の改革の在り方を議論するというのは、フューチャーデザインの考え方にもなっていると思います。その中で、先ほど権丈委員が立場によって将来の理想像も違うので、そこで対立が起きるのではないかというようなお話があったと思うのですが、フューチャーデザインの実験では、現在の視点ではなかなか乗り越えられないような対立があったとしても、50年後の将来の視点で理想像を考えると意外と現在の対立点というのは小さな問題に見えてきて、合意に達することができる、そうした結果というのも出ています。そのため、特に医療で言えば、医療者と患者、そして国と立場によって現在は違いがあるわけですが、将来世代の視点でリソースを議論することによって、立場の違いを超えた合意が形成されやすくなるのではないか。そうした意味で、このバックキャスティングのやり方というのは是非継続して、医師会や厚労省など様々な立場の方々とも議論を進めていただければよいと思いました。
2点目は医療費の伸びについてです。これは以前御紹介したと思いますが、内閣府が昨年出した2060年までの経済財政の試算によると、医療費の伸びは現在年間2%程度になっていますが、それを年1%まで抑制しないと財政の持続性が保たれない、債務残高対GDP比が発散してしまうという結果が出ていました。そうした意味で何らかのシーリングが必要だということを含意する結果ではありますが、こうしたマクロの結果というものもどこかで引用されているとよいのではないかと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、本文についてはここまでとさせていただきます。概要について、神子田委員お願いします。
〔神子田委員〕1点目は基本認識の最後の行ですが、これは前の文から読んでいくと、我々は応分の税負担を行っていく必要があることを再確認するという、そうしたことではないかなと思いました。
2点目は、これはいつも宮島委員がおっしゃっていることなのですが、記者はまず概要を読んで理解しこれをキャップに報告するわけです。キャップが「今度の答申、どうなのだ」と言ったときに、「いや、中長期の観点に立ち、冷静に戦略的な対応を図っていく必要があると書いています」「毎年そうだろう」のような話になるわけですよね。今年の特徴になっていないので、せっかく本文で国際情勢の鋭い現状認識とその背景の分析をされているので、基本認識の前段はそれを短くまとめて書く。その中には、先ほど平野委員もアメリカの話をおっしゃっていたのですが、日本も国としてより自助が求められているような状況があり、その中で分配もということになると、いろいろ出すものは多いが予算は限られているというところで、自助と公助を今まで以上に峻別してやっていくということが必要なのではないかというメッセージを、今年ならではのものとして、第1行目に盛り込んでいただけたらなと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、本日の議論はここまでといたしまして最後に起草委の先生方からコメントをいただきたいと思います。河村委員お願いします。
〔河村委員〕いろいろ御指摘くださってありがとうございました。またいろいろ相談して盛り込めるように検討したいと思います。高等教育や働き方など、今回入れるとすれば注かなと思うところもありますが、秋の財審などに向けてどのような観点で考えていけばよいかという御示唆も多くいただいたのではないかと思います。
私から少し申し上げたいなと思ったのが、何人もの委員の方から指摘をいただいたのですが、今の状況でどれだけ財政が厳しいかということを訴えていくときに何を要素として入れるかというところです。ギリシャの話が出ているほか、公共サービスが引換えにカットされるかもしれないと書くのが少し書き過ぎではないかという御意見の一方で、逆にこれぐらい書いてもよいのではないかという御意見もあったと思います。昨今の世の中の動きを見ていますと、手取りを増やすことを強く主張する層もあって、若い方の中には焼け野原待望論もあると聞きます。自分たちは預金も何も持っておらず、財政が破綻しても困るのは富裕層や高齢者なので、自分たちにとっては問題ないというものです。
そうした層に危機感を持って訴えかける際には事例を入れた方が良いのではないかという話がありました。どういう事例を入れるかというのは、確かにいろいろ御意見があったので御相談しないといけないと思ってはいるのですが、例えば「ギリシャのようにはならない」というご意見がありました。ギリシャは2012年に2回定義どおりの財政破綻をしました。国債の元利償還の債務不履行です。1回目は元本の53%カットしましたが、これは外国人がギリシャ国債を持ってくれていたからこそできたことです。日本国債の外国人保有割合はそこまでないので、同じことはできません。ギリシャは対外的な債務のカットをして、その上でも足りないところが国民の負担になりました。年金の例が一番分かりやすいだろうということで例に挙げましたが、日本はもっとひどいことになるかもしれない。対外調整するクッションなしにいきなり国内に調整が来るかもしれない。危機感を持って国民に伝えるためには、イギリスのトラスショックやアメリカにおける国債金利の急騰の例を挙げて、目先のことだけ考えてやったらどうなってしまうのかを説明する必要があるのではないかと考えておりました。以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、最後に土居委員お願いします。
〔土居委員〕皆様から多数の御意見をいただきまして、ありがとうございました。できるだけ反映できるように取り組みたいと思います。
2点申し上げたいと思います。まず、総論は昨年の春や一昨年の春の建議と重複しているところがある一方、同じことを焼き増しするというのは新味がないので、その意味で苦労しているというところは何卒御理解いただけばと思います。どれぐらい理想的なことが書けるかというのはなかなか悩ましいところがあります。
次に社会保障です。社会保障も御指摘がありましたように、必ずしも十分に整理できていないような表記は改めたいと思いますが、年末の診療報酬改定までの議論というものもどうしても意識せざるを得ないところがあって、目の前にあることともう少し中長期的なところをバランスよく建議に書ければと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕どうもありがとうございました。
今度、起草委員の皆様方で再検討すると思うのですが、そのとき、是非神子田委員がおっしゃったように、概要の基本認識のところでアイキャッチのようなものが必要になってくると思うので、よろしくお願いします。
その上で、冒頭申し上げましたとおり、追加の御意見がありましたら、週明け12日の月曜日の12時までに事務局にメールで御提出をお願いします。
それから、本日の御議論を踏まえて、改めて起草委員会で修文案を検討するという運びになります。寄せられた御意見についてはできる限り反映いただければと思いますが、難しい判断となるものもあるかもしれません。いずれにせよ、修文案につきましては基本的に起草委員の皆様に御一任をしたいと思いますので、よろしくお願いします。その上で、委員の皆様のお手元にも、次回、5月27日火曜日の9時半からの分科会の前に修文案が届くようにさせていただきますので、御認識いただければと思います。
ペンディングの箇所が2か所ございました。非常に重要な部分ですが、どうしても今の国際情勢の中でそこも踏まえないと書けない部分ですので、これは個別に別途改めて各委員に届くようにします。そちらもよろしくお願いします。
本日はこれにて閉会させていただきます。どうもありがとうございました。
午前11時30分閉会

