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財政制度分科会(令和7年4月15日開催)議事録

財政制度等審議会財政制度分科会
議事録

令和7年4月15日
財政制度等審議会


財政制度等審議会財政制度分科会議事次第

令和7年4月15日(火)09:00~11:00
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)

  • 1.開会

  • 2.議題

    • 活力ある経済社会の実現・安心で豊かな地域社会の確立(財政各論Ⅰ)
  • 3.閉会

出席者

分科会長代理

増田寬也

横山副大臣

渡邊政策立案総括審議官

宇波主計局長

前田次長

中山次長

有利総務課長

馬場主計企画官

山岸司計課長

小澤法規課長

山本給与共済課長

片山調査課長

松本(圭)主計官

石田主計官

松本(千)主計官

寺﨑主計官

今野主計官

河本主計官

八木参事官

大来主計官

末光主計官

山川主計官

菅野主計官

副島主計監査官

山本予算執行企画室長

黒坂主計企画官

秋池玲子

大槻奈那

河村小百合

熊谷亮丸

小林慶一郎

佐藤主光

武田洋子

田中里沙

土居丈朗

藤谷武史

宮島香澄

芳野友子

臨時委

上村敏之

遠藤典子

小黒一正

木村

権丈英子

小林充佳

櫻井彩乃

佐野晋平

中空麻奈

平野信行

広瀬道明

福田慎一

真奈美

神子田章博

横田響子

吉川


午前09時00分開会

増田分科会長代理それでは、会議を間もなく始めますが、本日は冒頭カメラが入りますので、そのままお待ちいただきたいと思います。

それでは、お願いします。

(報道カメラ入室)

増田分科会長代理ただいまから、財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。御多用中のところ御出席いただきまして、ありがとうございます。

本日の議題は「活力ある経済社会の実現・安心で豊かな地域社会の確立」でございます。

本日は、冒頭から、横山副大臣にお越しいただいております。どうもありがとうございます。

それでは、そろそろ報道の方は御退出をお願いしたいと思います。

(報道カメラ退室)

増田分科会長代理それでは、本日の議題に移りたいと思います。片山調査課長から、「活力ある経済社会の実現・安心で豊かな地域社会の確立」について説明をお願いします。

片山調査課長ありがとうございます。本日は各論ということで、よろしくお願い申し上げます。

6ページをお願いします。これは前回の資料の再掲でございますが、今回の春の財審は、人口減少下の経済社会をどう考えるかというテーマで、大きく分けて3本柱で各論を議論したいと思っております。中央の上部、「活力ある経済社会の実現」、これは潜在成長率の低下に伴う対応、それから、「持続可能な社会保障制度の構築」と右下、「安心で豊かな地域社会の確立」。今回、上の「活力ある経済社会」と、右下の「地域社会」、この二つにつきまして御紹介できればと思っております。まず、「活力ある経済社会の実現」ということで、9ページをお願いします。

大きく分けて三つのブロックを考えております。経済成長には、まず労働という分野が大事でございますので、労働生産性をどういうふうに向上するか。次に、生産性を高めるためには人的資本の蓄積が大事であるということで、特に高等教育に注目したいと思っております。さらに、全体の経済成長のためには企業セクターも当然重要でございますので、そこに対する財政支援の在り方につきまして御議論いただければと思っております。

まず、労働生産性、雇用についてでございます。12ページです。これは現状の確認ですが、特に人手不足が中小企業を中心に深刻化ということで、その際にどうするか。下の④人手不足への対応ということで、一番左、従業員の待遇改善が大事である。他方で、⑤に防衛的な賃上げとございますが、業績が改善していない中での防衛的な賃上げを、現在、中小企業でやられているところが多いということで、本質的には生産性をどう高めていくのかが大事ということでございます。

13ページ、現状についてでございます。左側の表、横軸が相対賃金、これが高いということは生産性が高いということでございます。縦軸は雇用の伸びで、当然ゼロを超えると増えているということで、右上、生産性が高く雇用が伸びるというのがよい状況ということでございます。しかし右上の象限に入っている分野というのは多くはなく、生産性を高めるということと同時に、労働移動を円滑化していくということがまだまだ大事という状況でございます。

14ページ。そうした中で、どう生産性を高めるのか。一つのテーマがリスキリングだと考えてございます。ただ、どこをターゲットにするか、大企業におけるリスキリングは進んでいるかということでございますが、右上、正社員以外の方のOFF-JTはなかなか進んでいない。それから、右下の企業別を御覧いただきますと、49人以下の企業のところはなかなかOFF-JTが進んでいないということで、そうした意味では、中小企業における非正規労働者の方の人的投資、リスキリングを一体的に進めることが大事ということでございます。

15ページ、今度は働き方でございます。左上、いわゆるM字カーブは徐々に台形型に移行しておりますが、正規雇用比率をご覧いただくと、L字カーブは引き続き存在すると言われております。そうした意味では、正規雇用の割合をどう高めていくのかという中で、実際、仕事と育児・介護との両立等が課題となってございます。右下、「多様な正社員」の各制度の導入という中で、短時間正社員制度というのがございます。こうした「多様な正社員」の在り方を考えることで、キャリア形成において選択肢を狭めないということもあるのではないかと考えてございます。

それから16ページ、雇用の関係では最後でございます。そうしたリスキリングを促す市場環境の整備ということで、実際に個々の職務に応じて必要なスキルセットというのを明確化する必要があるのではないか。左上の表を御覧いただきますと、中央、自己啓発を行わない方で、どのようなコースが自分の目指すキャリアに適切なのか分からないというところがあります。そうした中で、右側のような新たな団体検定などを用意することによって、自分にはどのようなスキルセットが必要なのかを考えるきっかけをつくることが大事でございます。

それから環境整備ということで、右下、雇用保険の適用拡大を順次進めてまいります。雇用保険の適用により、能力開発の機会が得られるようになりますので、引き続き、適用拡大をきちんと実施していくのが大事ということでございます。

続きまして、人的資本ということで、高等教育に移りたいと思います。17ページ、特に今回、私立大学にフォーカスを当てておりまして、左下の折れ線グラフですが、この98.2%というのは、充足率100%を下回っております。充足率が100%を下回っている大学の割合が59.2%ということで、約6割の私立大学が既に学生から選ばれていない状況になっているという状況でございます。一方、右側の棒グラフでございますが、充足率が低い私大等に対する1人当たりの補助額の方が実は大きくなっているという状況もありますので、安定的・持続的に教育の質をどう確保するのかという観点では、こうした大学の数も含めた規模の適正化というのを進めていく必要があるのではないか。

18ページでございます。今度は教育の質の中身でございます。左側のシラバスの中身について、例えば英語のところを御覧いただきまして3番目のポツ、現在形と過去形の違いを学ぶということをやろうとしている大学もあるということでございます。

一番下、認証評価制度というのが存在しておりまして、本来は教育の質について評価すべきなのですが、なかなかできておりません。したがいまして、上の箱の3番目の丸ですが、私学助成につきましては、①教育の質の基準、②学生に付加価値をつけているのか、③地域のニーズにきちんとそぐう人材。今ミスマッチが多いので、そうした観点を評価制度の中で活用できないかという御提言でございます。

19ページ、今度は修学支援、奨学金についてでございます。これにつきまして、教育の格差を是正するためにもどんどん増やしているというところでございますが、左下の延滞率を見ていただきますと、特に真ん中、定員充足率による比較というところで、90%より充足率が低い大学の卒業者での延滞率が高いということです。先ほど申しましたが、充足率が低いということは選ばれていない、そうしたところの延滞率が高いということでございますので、一定の教育の質が実際に確保されているのか分からず、教育の質の向上につなげるために修学支援の在り方を見直すというのも一つの考え方ではないかということでございます。

20ページ、私立大学の公立化でございます。これは、私立大学の経営が徐々に困難になりますと、公立化していくケースもあります。一方、左下を御覧いただきますと、公立化した後、地域内の入学者の割合というのは実は減っている、また公立化した後、地域内で就職した方の割合が減っているということが見られます。ある意味で地域の人材育成・確保になかなか裨益していないということですので、公立化を進めるということについても慎重になるべきではないかという話でございます。

21ページ。先生方がどういう働き方をしているのかという話でございます。左下を御覧いただきますと、研究時間の制約要因について、組織運営のための会議が制約であると考える方が77%、それから大学入試の業務が制約であると考える方が62%。こうしたものをどう考えるかということで、運用効率を高めていくということが、より先生方の研究時間を増やすことにつながるのではないかという話でございます。

22ページ。これは行政セクターの効率化ということで、上の箱の二つ目の丸でございます。目標、KPIはつくっているが実績までは把握していないということが多いので、システムの費用を少なくするということも大事なのですが、それが実際に行われているのかを検証し、最終的には人員管理の最適化といったところまでつなげていく必要があるのではないかという話でございます。

続きまして、最後のブロック、企業支援にまいります。

24ページ、企業支援についてです。昔は融資や税制措置、また規制緩和等で対応してきたところが、渡し切りの補助金による企業支援が足もと増えており、予算額も非常に大きく増加しております。

25ページ。実際、企業の規模別に見てみますと、中小企業への支援も大変多い一方、大企業も対象に含むような支援も多いということです。今回は中小企業、中堅企業、そして大企業向けの補助金の在り方についてそれぞれ議論していきたいと思っております。

まず中小企業、26ページです。当たり前ですが、生産性をどう高めるかということが一番大事。中小企業支援の在り方について、左下、労働生産性を御覧いただきますと、大企業に比べて上昇していないという状況でございます。またもう一つの課題として、足もと、物価高がございますので、そうした中で、価格転嫁をどう進めていくのかということが非常に大事。右側の経営課題を御覧いただきますと、賃上げの実施に必要な取組ということで、一番右下でございますが、製品・サービス単価の値上げが挙げられ、価格転嫁に向けた対応が非常に重要ということが透けて見えます。

27ページです。左下のパイチャートを御覧いただきますと、価格転嫁を約半分、49.7%はしていますが、左上、全く転嫁できないのが20.1%ということで、価格転嫁をもう少し進める必要があります。例えば、右側にございます④パートナーシップ構築宣言、これを今、補助金の加点材料にしておりますが、これを要件にすることで、価格転嫁のインセンティブづけを強化する必要があるのではないかという話です。

28ページ、今度は中堅企業。中小企業は中小企業法で定められておりますが、もう少し大きい中堅企業につきましては、中小企業と多少コンディションは違うわけですが、実は補助金の要件はほとんど同じものになっております。中堅企業に対する補助金の要件を再考する必要があるのではないかという話でございます。

29ページ、大企業に移ります。大企業につきましては、これまで産業政策をやっておりまして、もちろん、左側のMRJやコンピュータプロジェクトなど失敗例もございます。IMFが出しているレポートで、産業政策について見るべき項目が4つございます。またどういう分野でやるのかということで、右下でございますが、脱炭素の分野のように負の外部性がある場合、また半導体のように波及効果が大きい場合に限られるべきだということも言っておりますので、これも参考に、今後分野を考えていく必要がございます。

30ページ。下の箱の公的支援の在り方というところで、最初は補助・委託というところで、政府がリスクを取る。他方で、量産体制に入りましたら、金融支援をお互い五分五分のリスクとして、最終的には民間の皆様のリスク100%というように、徐々に移行することが大事。その中で、第三者の外部有識者がモニタリングをしっかりして、精査をしていくプロセスが大事だと考えております。

続きまして、地方創生にまいります。35ページ。昨年12月に、地方創生2.0の基本構想が出ました。その中の5本柱が、この(1)から(5)でございます。今回はそのうちの一部を取り出しまして、議論させていただければと思っております。

(1)で「安心」というのがございます。地方を守るための事前防災、これはインフラ整備ということにつながりますので、そこを今回御紹介できればと思います。(2)「東京一極集中」というのがありますが、今度は税財源における過度な偏在の是正ということを議論したいと思っています。(3)「付加価値創出型の地方経済」ということで、農業、それから文化・芸術など地域資源を活用した観光業を御紹介したいと思っています。

36ページ、今申し上げたことのブロックごとの概要ですが、インフラ整備、税財源、それから地方経済の創生で、農業、観光産業ということで、4つの柱で議論させていただきたいと思っています。

まずインフラです。38ページ。これは災害リスクの高いエリアで人口が徐々に増加しているという御紹介です。右上、浸水想定区域の人口ということで、特に3大都市圏が高まっております。これについては、様々な誘導施策などを通じまして、今般、災害リスクを踏まえたまちづくりが必要という御紹介でございます。

39ページ。左上のグラフが上下水道管の延長で、どんどん増えていることを表しております。右側、建設後50年以上のインフラの比率です。2040年現在では、道路橋の約8割程度となり、老朽化対策がこれまで以上に必要になるという御紹介でございます。

40ページ。その中でどうするのですかということです。一つが左側、デジタル技術の活用ということで、ドローン等も使う。それから右側、広域化ということで、例えば水道事業ですと、市町村ごとに水道の管理をしているのですが、それを統合すると専門職員も柔軟に配置できるということでございます。

41ページ、人口サイズに応じたインフラ事業の見直しについてです。将来、人口がどんどん減っていく中で、左下の水道事業のコンパクト化、給水利用のない区域を給水区域から除外すること、また右下の分散型システム、右と左で上下水道の接続を必要としない能登の例などをヒントにして、コンパクトなインフラ整備ということを考えてはいかがでしょうかという話でございます。

続きまして2番目のトピック、税財源の偏在でございます。

43ページ。地方税を御覧いただきますと、左側、地方税全体ですと、最大と最小の格差は2倍なのですが、法人関係二税に限ってみますと6倍の差があります。行政サービスの地域間格差が開かないような地方税体系を考える必要があるということでございます。

44ページ。その視点の一つとして、電子商取引の進展でございます。電子商取引は本店以外の事業所がなくとも全国展開できるわけですが、本店所在地に税収が集中するという課題があります。また右側、コンビニなどのフランチャイズについて、日本中にある加盟店が本社にロイヤリティを払いますので、結局のところ本社の税収は本店等の所在地に集中します。実際に行われているビジネスの状況と税収の帰属先が違うというところをどう考えるのか、という視点です。

45ページ。もう一つの視点です。個人住民税の利子割につきましては、住所地課税の例外として、預金者の住所地ではなく、金融機関の所在する都道府県に納付されますので、左上の図のとおり、実は利子割税収の5割が東京のシェアとなっています。今後もインターネット銀行の普及などが進む中では、あるべき税収帰属との乖離が拡大することについて、どう考えるか、という点です。

それから3番目のトピック、農業でございます。47ページ。2番目の丸、生産面におきまして多様なニーズが出ておりますので、それをどう考えるか。3番目の丸、安定供給ということで、輸入米、MA米や政府備蓄米をどうするのかという論点を御紹介できればと思っております。

48ページ。まずは生産面の多様なニーズということでございます。今、主食用米か、転作の一環として補助金を前提としたそれ以外の生産が主流です。主食用米については、補助金はあまり出ておりませんが、その代わり売れるというようになっております。その中で、例えば米粉は、右下の表にありますが小麦粉に代替できる可能性があります。小麦粉と販売価格もそこまで変わらないということで、例えば米粉を作るですとか、また主食用米の中でも業務用も含めた様々なものの中に、今後勝負できるものがあるのではないかということ、そうしたものをどう進めるか。その上で、上の箱の最後ですが、規制緩和も含めて、法人形態、株式会社の積極的な参入を促せば、マーケットに対応したビジネスができるのではないかという御紹介です。

49ページ。飼料用米に対しては、転作作物ということで補助金が出る構造になっております。中央を御覧いただきますと、飼料用米は飼料全体の中の約10%。一方、財政負担は毎年約2,000億円でございますので、ここまで支援をする必要があるのかも考える必要があるのではないか。

50ページでございます。輸入米の機動的な活用ということで、今、ミニマム・アクセス米は77万トンございます。その中でSBS枠という主食用として輸入できる枠は10万トン。これは国内の需給に影響を与えないということになっておりますが、今の米の値段が高い状況では、この10万トンのSBS枠が使い切られております。様々な論点があると思いますが、一番最後の丸、入札の前倒しによりマーケットに対する安心感を与える、あるいはSBS枠を拡充するなども理論上あり得るのではないかということで、柔軟性を高め、輸入米を調整弁として使うことも一考すべきではないかという話でございます。

最後、51ページ。今度は政府の備蓄米。現在順次放出するということになっております。こうした弾力的な運用というのは望ましいと考えておりますが、さらに言えば、2番目の丸、今回、民間の在庫量が低水準であるということを見逃してきたことも目詰まりの問題の一つの原因というふうに言われております。民間の在庫量と合わせた形で保管をし、弾力的に活用するということをすれば、こうした目詰まりは防げたのではないか。小麦等の国家備蓄の仕組みを参考に、民間在庫と合わせたような形で政府備蓄をするということも一つ考えるべきではないかという話でございます。

最後のブロックは観光です。53ページ。2024年の訪日外国人旅行者数は約3,700万人ということで過去最高、消費額は8兆円で、非常に重要な産業になり始めております。一方で課題もあります。54ページ。特に3大都市圏に偏在しておりまして、左上、57%と書いてありますが、地方に外国人観光客が行っていない。一方、せとうちエリアだけは35%ということで、非常にうまくいっております。これは上の2番目の丸のところでもあるのですが、エリア全体の観光資源を活用して、面で戦略的にやっているということで、お客さんに地方に行ってもらうためには、そうした戦略的な観光というのを考える必要があるのではないかという話でございます。

55ページ。そうした中で、1人当たりの消費額については、東京は10万円を超えておりますが、千葉県、奈良県は1~2万円となっております。日帰り客が多いということなどもありますので、そうしたことを踏まえて、高付加価値型の宿泊施設の招致など戦略的な観光地域づくりを行っていく必要があると考えてございます。

その関係でもありますが、文化資源ということで56ページ。お寺も含めた重要文化財に多くの方に来ていただくというのは重要で、補修も必要です。寄附金で資金調達した場合は、補助金の算定に入れるということをやっております。そうしたことを今後も進めていくことで、自己収入を増やすインセンティブを高めていければと考えております。

文化施設については、右上のグラフの収支状況を御覧いただきますと、国立劇場の例ですが、実は自己収入というのは僅か2割で、国費による収入が7割になってございます。右下の表、①が自己収入、②が国からの収入ですが、ニューヨークのメトロポリタンでは2.36対1ということで、入場料収入で多くを賄っています。ところが日本は、比率的に見ますと自己収入は低いということで、この自己収入をどのように増やすのか。

57ページ。自己収入を増やす中で、左側のグラフ、入場料について、清水寺が500円、一方で、イギリス、スペインでは、いずれも3,000円以上。また右側、例えばタージ・マハルを御覧いただきますと、自国民は90円ですが、外国人は約2,000円ということで、入場料設定の工夫によって、自己収入を増やすチャンスがあるのではないか。それは当然、地域の活性化につながりますので、そうしたことも考えてはどうかということでございます。

58ページ。最後でございます。これまで述べてきことをまとめましたが、インフラ、税財源、それから農業、観光産業ということで、地域社会の今後の発展に向けていろいろと考えていければと思っております。

以上です。

増田分科会長代理ありがとうございました。

本日は、オンラインで御参加をいただいております芳野委員、また、御欠席の長澤委員、山口委員から意見書を提出していただいております。各PC端末に格納しておりますので、お目通しいただければと思います。

それでは、今の説明に対して、委員の皆様から御意見、御質問を頂戴したいと思います。それでは、初めに会場から御発言をお願いしたいと思いますので、私から見まして右側の土居委員から順次お願いします。

土居委員御説明どうもありがとうございました。多岐にわたる論点で、非常に頭が整理されて、これからの政策の方向性についても、このまとめに沿った方向で議論されるとよいと思います。

私からは、まず労働、人的資本、それから企業支援に関連するところでまず1点申し上げます。物価が上昇し始めた昨今の経済局面において、価格転嫁と賃上げが非常に重要だと言われている一方で、物価高対策ということで、消費者側から見て、この物価高に対してどのように備えていくかということにもなっている。ただ、物価高対策を強め過ぎると、結局企業側も価格転嫁がうまくできなかったり、賃上げがうまくできなかったりするという合成の誤謬が起こるため、やはりその両者をきちんと整合的に進めていく必要があるだろうと思います。ひとまずは価格転嫁や賃上げを消費者に容認していただくように、政府からのキャンペーンや情勢喚起が必要なのではないかと思います。物価が上がることが常識になり、国民も次第に慣れてくることで、賃上げによる恩恵も受けられて、それで購買力が高まって、物価高であっても消費が落ち込まない、そうした経済へと転換できるのではないか。今転換期ですから、なかなか全て万端うまくいくということにはならないかもしれませんが、この合成の誤謬を打開していく必要があると思います。

それから、企業支援で30ページにまとめられているものは非常に重要なポイントだと思いますので、この整理に沿った形での財政運営もお願いしたいと思います。

また、社会資本整備ですが、国土強靱化の次期5か年計画について、規模ありきにならないように、中身を精査して計画を作成していただきたいと思います。

あと2点。43ページの税源偏在の関連です。昨今、教育無償化など、行政サービスの無償化という議論が起こっておりますが、その行政サービスは基本的には地方自治体から提供されるものが多いという中で、国費を使って無償化の財源を支援するということになると、税源が偏在している以上、税収が多い自治体が国によって補塡してもらって浮いた財源を使って別の無償化へと走り出さないかということは大変危惧するところでありまして、そうしたことが起こらないような制度設計が必要だと思います。

最後に51ページです。確かに米不足は重要な現象、問題として解消しなければならないところではあると思うのですが、ややもすると昭和の時代の食糧管理制度の巨額の赤字を想起させかねないので、しっかり米を国が仕入れる、そして販売する、そうしたところで赤字が出ないように工夫していただきたいと思います。

以上です。

増田分科会長代理ありがとうございました。

それでは続いて、田中委員、どうぞお願いします。

田中委員本日も多方面にわたる資料の提供と、流れを変えるようなアイデアの切り口をお示しいただきまして、ありがとうございます。私も何点か、関わりのあるところ、気づいた点をお話しさせていただきます。

まず、リスキリング、生産性向上についてです。高等教育機関の中で私立大学に触れていただいて、私もそこに所属する当事者ですが、これからのことを考えますと、統廃合やM&Aというのは必要になってくると思います。大学の役割の整理も待たれているところで、地域各地において学校法人が経営力を強化し、バックオフィスを統合して効率化を図るという工夫は普通に実施できるところと思います。

かつては、設置認可が緩和されて、認証評価で厳しく見ていこうという流れが高等教育政策の方針にあったと思うのですが、昨今、恐らく設置認可の方が少し厳しくなったところ、認証評価は通していくことが大事だと見えてしまうところもあります。私どもも認証評価を受けることは参考になることがたくさんありますし、気づきは得るのですが、少し設置認可と認証評価がちぐはぐになっている面もあるかと思います。経営の自立性やこれからのモチベーションに、影響が出てくるかもしれないので、これを見直すタイミングかもしれません。ただ、地域各地において大学、高等教育機関があるということは、地元の方にとってとても大切で、大学のない地域では大学を知らないこどもたちがいるということも聞いたことがありますので、効率化とともに、工夫していければと思います。

二つ目は企業支援についてです。支援がなされたときに、使途や金額に透明性がないと、国民の不信感につながりますので、見える化というのはキーワードだと思っています。支援でこのようなことを始めますという情報公開はあっても、その後どうなったか、あるいはそこから成果が生み出されたかという共有は少ないところです。年次ごとの成果や失敗も公開していくことがまず大切で、そこに新たな知恵なども入ってくると思います。透明性のある、正しく設計された支援が未来社会にどんな利益をもたらすか、この種蒔きが成功したか、していないかというところも、支える側でもある国民みんなで自覚が持てるようにできればと思います。

IMFの資料も添えていただきましたが、例えば大企業において、特にグリーン技術への補助金等はカーボンプライシングと組み合わせるという点には賛同します。同時に国民にとっては、排出量取引などで企業や個人が一定の負担を負うことも意味するということを考えると、やはり透明に運営されているかをチェックする目を持つということが、健全な財政政策の運営を支える力にもなるかと思います。その議論の中に当事者として参加ができ、企業と国民が少し乖離がある支援においても、両者がもう少し近づく形ができるとよいかと思います。

また地方創生については、付加価値創出型の地方経済に取り組むのに特に分かりやすいところが観光政策です。現在、コンテンツ産業を20兆円にという声もあります。コンテンツを活用した観光の誘致や、コンテンツとの連動、いわゆるアニメや漫画などの世界に打って出られるようなコンテンツの拠点整備で産業の集積をしていくということで活発化するなど、地域の創意工夫を生かして地域資源とコンテンツとの連携ができます。このあたりの取組も個性的な流れがつくられてきたところですが、その経済効果や影響の効果検証の仕組みもさらに構築されると予測されます。そこを重視して、交流人口や観光人口など、インバウンドで地域経済が潤う観光モデルを形成することが、地域に大きな成果と経済効果ももたらしますので、そこに注力していくということは有効ではないかと思います。

以上、よろしくお願いします。

増田分科会長代理それでは、小黒委員、どうぞお願いします。

小黒委員丁寧な御説明ありがとうございます。全体としてはおおむね賛成できる内容だと思います。R&Dや企業の参入・退出促進、あるいはスタートアップ創出といったイノベーション施策、これは生産性向上に寄与して、当然成長する中で財政再建にも寄与するというメカニズムで、非常に重要な観点だと思います。

この意味で、7ページにおいて、時間軸を含めて、人口減少下の中で取り上げられていない中で最も重要な変数があるのではないかと思うのです。それは人口密度で、これの維持や向上の記載がされていないと思います。サービス産業で特に顕著だと思いますが、人口密度が低下すると生産性が低下するという視点が不足しているのではないかと思います。経済産業研究所の森川先生の研究でも人口密度と生産性の相関関係が強調されていたので、人口の減少下で経済活性化を考える上では避けて通れない論点ではないかと思います。

一方、資料の34ページですが、「人口規模が縮小しても経済成長し、社会を機能させる」という視点が書かれて、これは全くそのとおり、重要な視点だと思います。これを実現するためには、人口の減少というマクロの指標だけではなくて、動態的な時間軸を含めた人口密度と経済成長の関係を改めて整理して、戦略的に財政的な投資も含めて取り組んでいく必要があるのではないかと思います。

特に日本では2020年から2050年にかけて、御承知のとおり、生産年齢人口が2,000万人以上も減少するということが分かっています。したがって、限られた財源や人材を最大限に活用するための選択と集中、さらには必要に応じた戦略的撤退、スマートシュリンクの考え方を明示的に導入し、財政との関係を含め、効率的な国土空間を再構築していくことが必要だということではないかと思います。

この点を踏まえると、地方創生2.0の実現に向けて、石破政権が掲げている都道府県域を超えた広域リージョン連携の推進は非常に重要だと思います。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2040年から実は東京も人口減少局面に入っていくということが予想されています。インフラの整備や観光などの個別政策、個別のマターだけではなくて、圏域単位での広域連携を総合的に捉えて、国土形成計画などとの連携も視野に入れながら、東京一極集中の是正、これはある程度必要だと思いますが、場合によっては、その是正の是非やそれが将来の経済成長に及ぼす影響も含めて、効率的な国土空間の在り方と財政との関係を深く議論するということが必要だと思います。

その際には、特にここが重要だと思うのですが、時間軸の不確実性を排除すること。産業界が投資しやすくなる環境をどう整備するかということとも関係するので、時間軸を含めて、人口密度の維持や向上を意識した拠点の形成や公共サービスの集約などをしっかり計画で策定して実施していくこと、圏域単位の特性を踏まえた最適な資源配分を図っていくということが重要ではないかと思います。今後の政策立案や資料の作成においては、こうした人口減少や人口密度の維持などを前提とする視点を一層強化して、時間軸を含めて、経済成長と効率的な財政投資の両立に向けた道筋を示していただければと思います。

以上でございます。

増田分科会長代理それでは、佐藤委員、お願いします。

佐藤委員よろしくお願いします。今回のタイトルは、活力ある経済社会と安心で豊かな地域社会となっており、「安心」と「活力」というのがキーワードになっていると思います。まず活力について3点、安心について2点、コメントさせていただければと思います。

まず活力です。国の政策というのは、入口と出口がいつも違う。これは7ページの図で説明されているとおり、本来あるべきは供給力の強化。これが入口として強調されるのですが、出口はと言われると、減税も含めて、どちらかというと消費、投資の需要の喚起になってしまっている。そろそろこの財政政策の軸を需要サイドから供給サイドに転換するということを進めるべきでありまして、需要サイドに働きかけるのはデフレ下の経済における財政政策であり、潮目は完全に変わっている。今我々はインフレの時代にいるわけですから、その中において必要なのは、まさに本日、生産性という言葉が何度も出てきますが、供給力の強化です。生産性の向上を含めた供給力の強化ですので、こちらに舵を切るという、そうした方向転換というのが、これは散々言っているのですがなかなか実現しないので、ここは繰り返し強調していくべきことかなと思います。

次に、25ページのところで、国のいろいろな支援について、最近補助金が増えているという話がありましたが、2点留意すべきことがあると思います。一つはサンクコストのわなは避けた方が良いということ。つまり、半導体も含めてそうなのですが、補助金を投下したから、もうある意味もったいないので支援を続けるということは、あってはいけない。もしうまくいかないのであれば、どこかの段階で検証を踏まえた上で損切りをする、そういう体制も必要だと思います。補助金を配りっ放しではなく、ここでも散々議論されているとおり、きちんと効果検証をしていく必要があり、その効果に見合った形で対応を決めていくということ。

それから、以前建議にも入れていただきましたコンディショナルローンの話があったと思いますが、利益が出たら、その一部は還元してもらうという仕組みがあってよいのではないか。それは法人税という形でも回収できますが、確実に利益を分担するという点であればロイヤリティのような形で、何らかの支援をして利益が発生したのであれば、その売上げの一部は国が利益として確保するという、そうしたアレンジメントというのは必要かなと思います。

また、本日面白かったのは、20ページの私立大学の話です。私立大学に限らないと思うのですが、撤退戦略が必要です。言われてみればそうだと思ったのは、設置審のような形で大学をつくることについては様々な手続がある割には、撤退することについての手続はあったかなということです。これは中小企業の場合もそうだと思いますが、この撤退に対して、きちんと撤退しやすい環境を整備する、必要に応じた支援をする。もちろん私立には学生さんもいらっしゃるわけですし、教職員の方もいますので、彼らに対するきちんとセーフティーネットというのも整えていく必要があるだろうとは思います。

次に安心について、これは2点。できるだけ手短に述べます。一つ、44ページで地方税の偏在の話がありましたが、事業所と従業員に基づいた案分基準でこれまでやっているのでこうしたことになるので、当然デジタル化が進めば、事業所も要らないし、従業員をそこに張りつける必要もないわけですので、本社に利益が集まるわけです。ある意味、仕向地主義ではありませんが、消費に応じた配分基準の見直し。これは本来、税調で言うべきことなのですが、こういった形で、地方税の配分基準、地方法人税、法人二税の配分基準の見直し、案分基準の見直しというのも視野に入れる必要があるかなということ。

また最後に一言だけ、今回議論の中になかったのは、やはり若者へのセーフティーネットでありまして、今まさに現役世代の負担の軽減をどうするか、それは決して消費税減税でできることではないと思うのです。働いている若い人たちに対するセーフティーネットというのをどうするか。具体的に、海外では給付付き税額控除や勤労税額控除など、様々な給付措置もあります。こうしたところも参考に議論して、セーフティーネットの整備をやらないと、若者の不安が高まり社会の分断につながります。これは決してナイーブな話ではなく、社会の安定化のためにも考えるべきことかと思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、吉川委員、どうぞお願いします。

吉川委員どうも御説明ありがとうございました。個々の論点については基本的に賛成です。

個々の論点賛成と申し上げたのですが、全体的に既視感があるといいますか、要は同じ論点を随分長いこと議論してきているなと感じます。スピード感、これが日本の問題ではないか。どんなことでも必ず利害関係者がいて、政治的な問題にもなるのですが、日本の場合、これが遅過ぎるというのが大問題ではないかなと。例の手取りを増やせのような話も、税の問題なんかも一体どれだけ議論してきたのか、ありとあらゆる論点です。

一つ思い出すのは、日本の現状と比べてということなのですが、50年以上前のアメリカのエピソードです。ブレトンウッズ体制の下で、四半世紀ぐらい固定相場、日本で言えば1ドル360円が続いていたわけですが、それが経済学者の間では、当時、固定相場を維持することは無理だということで、変動相場に早晩変わらなければいけないだろうというのがマジョリティーの考え方だったわけです。そこでアメリカ人のジャーナリストがある経済学者に、経済学者の先生方は皆様変動相場と言うのだが、これだけ四半世紀続いた固定相場、これが変わるというのは、一体何年かけて変わるものですかと、やはり大変なことでしょうと言ったのに対する経済学者の返答が、「ア・セカンド」、つまり1秒。要は介入をしないという決断をすれば、そこでもう定義によって固定相場は終わって、変動相場に変わるわけですから、固定相場から変動相場への変更に要する時間というのは、決断の時間、すなわち1秒ということでした。

もちろん本日議論しているような多くの政策というのは、私も「ア・セカンド」とは思いませんが、ただこれは一つの教訓であり、関係者が決断すれば、それはもう決断した時点で変わっていく。社会保障でも、本日議論している様々な問題でも、大問題だというのはそうなのですが、最後は責任者の決断ということで、それを支えるのが政府だと思いますが、初めにも申し上げたとおり、スピードの欠如、これが大きな課題ではないかなと思います。

以上です。

増田分科会長代理ありがとうございました。

それでは、ここでオンラインに移ります。初めに宮島委員から、どうぞお願いします。

宮島委員よろしくお願いします。

まず、成長への対策や財政の投入というのは、とても重要だと思います。一方で、一部企業の甘さにつながっているものも見られるのではないかという批判があります。それぞれの効果をより厳しく検証していくということが、まず必要だと思います。

その中で、リカレント教育やリスキリングというのは、今非常に重要だと思っています。中でも、特に教育をされたことが、新たな就職や職場内のステップアップにつながる形を取るということが重要になってきて、その仕組みの構築がより必要だと思います。企業側が、どんなスキルセットが必要なのか、どんなことをすれば仕事につながるかということをより明確に出して、そして得たスキルに対してきちんと認証や評価を与えていくということが必要だと思います。一部、リスキリング投資への税控除などがあるのですが、これは会計検査院から、実際にリスキリング投資した以上の、余分な税の控除になっているのではないかという指摘がされています。こうしたところも税のメリットで何となくやっているリスキリングにならないように、しっかりと仕事の中身、ステップアップにつながるという形にするべきだと思います。

次に、ガソリンやエネルギー補助金の税制は複雑で、かつ、この後議論になると思います。これはどういう理屈で、どういう形で、どういう筋立てで補助や税を組むかということと、その説明が非常に重要になってくると思います。温暖化対策などもあります。政治の中で何となく中を取る決着になったなということには世の中にも見えないよう、是非筋の立った仕組みを国民に示しながら進めていただきたいと思います。

最後に文化財の入場料の話です。どこかでオーバーツーリズムの原資が必要という部分もあって、こうした文化財の入場料を改めて引き上げる、あるいは相手によって価格帯を変えていく仕組みを検討することが大事だと思います。一部では始まりましたが、個別の施設でやるのには批判も浴びかねないですし、結構勇気が要るのではないかと思います。全体としてどういう考え方でやっていくのか、そういった考え方や課題を検討したり、政府や行政がリードするという形は必要なのではないかと思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、続きまして、芳野委員、どうぞお願いします。

芳野委員よろしくお願いいたします。意見書も提出しておりますが、4点に絞って意見を申し述べたいと思います。

1点目は、中小企業支援の在り方についてです。中小企業の賃上げに向けた価格転嫁を含む取引適正化の取組はいまだ不十分です。大企業に比べて中小企業の価格転嫁は進んでおらず、労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針の周知浸透や、下請法改正を踏まえた指導強化など、実効性のある価格転嫁対策が必要です。また、地方の中小企業では官公需の占める割合が高く、政府が新たに策定する官公需における価格転嫁のための施策パッケージも踏まえ、関係省庁が連携した総合的な取組が必要です。

なお、米国の関税強化策で影響を受ける中小企業に対しては、国際動向や日本経済の環境変化を踏まえた相談体制の整備や資金繰り支援など、速やかな支援を実施する必要があると考えます。

2点目は、リスキリングについてです。企業が社会環境の変化に適切に対応するためには、個社ごとの将来ビジョンを体現する人材を自ら育成することが不可欠であり、労働者の能力開発は企業の責任において実施されるべきです。企業規模や雇用形態に関わりなく、全ての労働者に等しく能力開発機会を提供されるよう、取組が遅れている中小企業や非正規労働者への支援の拡充が必要と考えます。

3点目は、労働移動についてです。従前から申し上げているとおり、労働移動は労働者本人の意思の尊重を大前提に、労働者自らが移動したいと思える魅力的な産業の育成と良質な雇用の提供が不可欠であり、産業政策との一体的な取組が必要です。労働者が主体的に能力開発に取り組むためにも、職種ごとの企業横断的なスキルの標準化や、職業能力を適切に評価する制度の拡充とともに、能力・経験に応じた適正な処遇改善につなげることが重要と考えます。

最後4点目は、安心で豊かな地域社会の確立について触れたいと思います。地方創生2.0の目的にあるとおり、安心で豊かな地域社会の確立には、若者、女性にも選ばれる地方、楽しい地方の構築が不可欠です。地方から若年女性の流出と男女間賃金格差には緩やかな相関関係が観察されると指摘されており、男女間賃金格差の根底には固定的性別役割分業意識があります。日本はいまだに固定的性別役割分担意識が根強く残っており、特に地方においては日常生活に差別が紛れ込んでいるとの指摘もあります。地方からの若年女性の流出を防ぐためには、働く現場のみならず、家庭、社会における慣習や慣行も含めて見直していくことが必要と考えます。

以上でございます。

増田分科会長代理それでは、続きまして、河村委員、お願いします。

河村委員御指名ありがとうございます。多岐にわたる論点、本当にもっともだと思います。御提言ありがとうございます。私からは、人的投資、高等教育、地方財政、農業のところで、ポイントを絞って意見を言わせていただければと思います。

まず14ページ、リスキリング支援です。たまたま去年の行革の秋のレビューで、人材投資の開発支援、助成金の事業の担当をしました。どういう事業かというと、雇用保険の中の国庫負担がない部分というのがあって、2事業のところでやっていて、能力開発事業としてやっているのです。企業向けにいろいろ支援を出してやってはいるのですが、やはりレビューでいろいろ見ると、なかなかうまく機能していない。助成金をもらわないでも能力開発事業をやっていたような企業がお金をもらってやっている。国からお金をもらえれば助かるという感じで、効果が高いとは言えないのではないか。個人への支援を重点化してやった方が良いのではないかなと考え、それはそうした結論にもなりましたので、これは少し御参考までに申し上げます。

ちなみに、もうオチにもならないのですが、この助成金のもともとの原資は企業が負担している負担金だけなのです。こうした経緯もあり、この助成金は個人向けには出せず、企業向けにしか出せないということです。よく原資も含めて国として御検討いただければと思います。

次に高等教育についてです。いろいろなデータや分析もお示しくださってありがとうございます。本当に厳しい局面になってきてしまったなと思います。18ページ、教育の質を重視するというところで、これからだんだん全体として、大学をダウンサイジングしていかなければいけないというのは本当におっしゃるとおりだと思います。ただ、ここで認証評価制度等を活用したメリハリとお書きくださっているのですが、私から見ると、この認証評価制度自体にも相当問題があるのではないかと思います。

本日は本当に立派な大学の先生方がたくさんいらっしゃる中で、甚だ恐縮なのですが、少し外の目から見るとどういうふうに見えるかというところでお許しいただければありがたいです。私もこの分野について、大分いろいろ海外の例も調べてきましたが、日本の場合、客観的な評価が欠けてしまっているところが一番大きいと思います。少し語弊があるかもしれませんが、お手盛り評価というか、身内の評価にとどまっていて、もう認証評価はその最たる例なのではないかなと思います。ですので、もっと外部の目を入れた客観的な評価を強化していかないといけないと思います。

大学の世界でもここ何年か、研究、産学連携の部分では、外部の目や意見を入れるようになりました。すごく変わってきたと思います。しかし教育の評価などはまだですよね。そこはやはりもっと後押ししなければいけない。文科省、今年の2月に中教審が5年ぶりに高等教育について答申を出しましたよね。2018年の前回のときに比べれば大分大転換されたおつもりなのでしょうが、やはりこの評価の強化が大事だということをその答申で言っていらしても、結局今までやっていたものの延長線なのです。今までやっていたのだって、認証評価制度以外に全国学生調査などもやっていますが、高校生レベルの質問しかしていない、カバレッジも低い、そのカバー率を上げるということぐらいの提言しか今回の答申でもできていないなどの課題があるので、もっと客観的な目を入れて、海外でやっているように厳しい評価の目にさらして、卒業生調査をして全部公開しているような国だってあるので、そうしたことを促していった方が良いと思います。

19ページ、奨学金の延滞の問題です。教育の成果と表裏一体だということは、ここにお示しくださったデータで明らかだと思います。国全体としてやはりよく考えなければいけないのは、奨学金を返すのが難しくなっているからといって、安直に国から支援をというのではなくて、十分に稼げる仕事に就ければ支援がなくても自分で返せるのです。高専の卒業生で奨学金の支援が必要という話はあまりないですよね。皆さん立派な社会人になって、立派に稼いでいらっしゃるから。それが高等教育だと思います。そうしたところをやはり国全体として見直す必要がある。

それから21ページ、大学が過剰になっているということで、教員数も相当過剰になっている。これは本当におっしゃるとおりだと思います。ですから、今までの大学の設置認可などの考え方、進め方にいろいろ問題があって、供給過剰になってしまっている。大きな視点で捉えると、日本経済が低迷してきた原因の一つではないかなと思います。高等教育のセクターが少し大きくなり過ぎてしまって、その中で、先ほどの奨学金の話ではないですが、質が担保されていないから、卒業生が稼げないのです。稼げるような教育も受けられないし、実際にも稼げないが、授業料は取るというところで、そこでみんなが授業料を負担し切れない。だから国で支援しなければいけないという感じでブラックボックスになってしまっていて、そこに何かどっと吸い込まれていってしまうような感じになっていて、やはり経済全体としての成長力の足を引っ張る要因に、この高等教育政策全体の運営がなってしまっているのではないかなと思います。そうした面でも考えていった方が良いと思います。

それから地方財政についてです。43ページ、税収は東京独り勝ちになっていますが、一極集中になってしまっている、この御指摘のとおりだと思います。これは単純に地方財政だけの問題ではなくて、国全体としてやはり財政運営が緩んでしまっていると思います。放漫財政のようになっている要因の一つだと思います。東京都がお金に余裕があって、本音で、使い切れない、基金にも積み切れないと彼らから聞いたこともあります。するとこどもの医療費助成など様々なことをやるのですよね。そうすると、周りの地方自治体などは追随せざるを得なくなって、結局全国的に追随せざるを得なくなって、それで全国的に考えれば財源がないので、国からもっとお金出せとか、交付税の対象に入れろとか、そうしたことになってくるわけです。こどもの医療に始まり、その次は不妊治療費の助成、それで最近は無痛分娩などと言っていますよね。

それは、やれるのだったらやった方が良いと思いますよ。この国が財政収支黒字で、国全体として税収が余っていて使い切れないのだったら考えてもよいかもしれないが、国全体としてこれだけ財政が厳しいのに、何ということかと。こうした地方財政を含めたときの税収の不均衡な偏在をずっとほったらかしにしてきたことというのが、先ほど申し上げたような経路で国全体の財政運営を緩める方向につながってしまっているのではないか、やはりここも改革は急務ではないかなと思います。

最後に農業。49ページ、これまで取ってきた減反政策に代表される、公的な介入の情勢が変わって、政府の失敗という局面になってきてしまったと思います。飼料米にこれだけの補助金を投入し、それでもまだ投入するのか。これまでの減反政策を本当に虚心坦懐に見直すべきだと農水省に向かって打ち出していくぐらいのことがあってよいのではないかなと思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、小林慶一郎委員、お願いします。

小林(慶)委員大変詳細な資料、ありがとうございます。頭が整理されまして、是非こうした個別の論点については、私も賛成です。

企業支援について、3点ほどコメントしたいと思います。

まず中小企業の対策費について、24ページ、25ページのグラフで、コロナ禍において大きく増えたということで、それが戻っていないということだったと思います。コロナの激変緩和というものが目的であったということであれば、まずは対GDP比でコロナ禍前の水準に戻していくということは強く言っていくべきなのではないかと思います。物価対策で増えているということもあると思うのですが、コロナ禍前はデフレという、インフレと逆の物価対策をやっていたというわけなので、デフレのときよりもインフレのときのほうが中小企業対策にお金がかかるというのは、そう簡単には言えないのではないだろうかと思います。それは対照性という意味からも、おかしいのではないだろうかと。

インフレの対策としては価格転嫁を促すと、御説明にあったとおりのそうした政策を促すということが本筋ではないかと思いますので、中小企業の対策については、デフレの時期と同じような水準まで戻す、平準化していくということが必要ではないかと思います。トランプ関税など、そうした新しい問題については、また別途考えるべきということだと思います。

二つ目、半導体支援です。御説明にあったように、これは正の外部性があるから半導体に対する支援が正当化されると、こうした理屈であったと思います。確かに外部性があれば財政支援というのはある程度正当化されるわけですが、本当に外部性があるのかどうか。あるいは、外部性がある半導体と、そうではない半導体というのが当然あるわけで、それを政府が政策として見極めることができるのかどうか。その見極めるため、選別するための基準や手法をもう少し明確にしないと、財政支援の正当性が確実には言えないのではないかという気がします。ですので、産業政策上の課題として、どうやって外部性のある半導体というものを見極めていくのかというのは大きな課題だと思います。

最後三つ目、企業支援の目的全体についてです。そもそも財政による大企業や中堅企業も含めた企業への支援が当たり前のようになっていること自体が、やはり現在の問題ではないかと思います。10年前、20年前の常識から考えれば、企業支援というのは極めて例外的なはずで、先ほども述べたような外部性、あるいは公共財に準じるようなものを提供している場合には、公的な支援が正当化される、そうした話だったと思います。むしろ産業政策上の課題として、経済成長を促すために何が必要なのかということを考えると、それは、これまで30年間低迷してきていた企業の設備投資をもっと向上させて、それによって資本投入の質を上げていくということだと思います。そうした意味では、7ページのボックスの真ん中の資本投入の部分、これをより一層強化していくということが産業政策の課題だと思います。

そこで、そのために、企業に対する直接の財政支援が有効な政策なのかは決して明らかではないだろうと思います。むしろ企業のガバナンスの改革、あるいはリスクマネーを供給するための金融規制の緩和など、そうした政策のほうが設備投資を促すために有効なのではないだろうかと思います。

また、本日話題になっている高等教育を含む研究機関や教育に対する財政支援というものも、実はイノベーションを活発にするという意味で、間接的に企業の設備投資を促す効果があるだろうと思います。そうした意味で、今回の資料とは逆かもしれませんが、企業に対する直接支援よりも、研究や教育に対する支援というものにもう少しマクロでは資金を回すべきではないだろうか。特に、よく言われているように、高齢者向けの社会保障への支出が日本は他の国に比べて相対的に多くて、教育や研究に対する財政支出がマクロ的には少ないと言われているわけですので、この点のバランスの改革、改善が必要なのではないだろうかと思います。

私からは以上です。

増田分科会長代理それでは、上村委員、お願いします。

上村委員重要なテーマの御報告、ありがとうございます。大まかでよいので、どの省庁がどのテーマに主に関わっているのかを図で示されると国民に分かりやすいように思いました。財務省だけが全ての責任を負っているわけではないと思います。

私からは、企業支援と地方創生についてコメントします。

まず企業支援です。何でも補助金で対応するのではなく、まずは規制緩和を考えることが大事だと思っています。また、規制緩和でも補助金でも政策目的の明確化は重要で、その目的に合ったものになっているか、その点検は大切だと思います。その上で、企業が成長するための支援が重要で、企業が成長しない、あるいは成長を停滞させるような支援というのは直ちにスクラップする必要があると思います。中小企業は中堅企業になり、中堅企業が大企業に成長するというような支援の在り方への転換が必要だと思います。

次に、地方創生です。補助金を増やせば地方創生につながるわけではありませんし、これまでの地方創生の経験を生かしながら、ベストプラクティスの抽出をして、横展開をする必要があります。今の仕組みはそのような形になっていないと思います。

地方税の偏在です。社会の急速なデジタル化によって地方自治体間の税収帰属がうまくいかなくなっています。特にネットバンクの預金残高の急増というのは、利子割の偏在がもたらしていましたので、早急な対応が必要です。資料には、電子商取引やフランチャイズ事業が取り上げられていましたが、物流事業者が拠点を持たずに活動している実態や、工場や倉庫におけるオートメーション化やロボット化も地方法人関係税の税収帰属に影響を与えています。税収帰属の東京一極集中が行政サービスの一極集中ももたらしているということであれば、これは大きな問題ですので、地方財源の偏在是正は必要だと思います。

また、地域によっては、人材不足によって地域社会が維持できなくなりつつあります。都道府県と市町村による垂直連携や周辺の市町村による水平連携を進めやすくするような仕掛けも重要だと思っていますし、またその上で、人口減少に合わせてインフラを整備しない地域をつくっていくということも考えて実行する局面に来ていると思っています。

その一方で、瀬戸内の事例もありましたが、観光政策や産業政策、災害対応など、都道府県を越える広域対応の重要性も非常に増していまして、都道府県の広域連携や広域地方自治体を形成しやすくするような仕掛けも必要だと思っています。

以上です。

増田分科会長代理それでは、会場に戻りたいと思います。

武田委員からどうぞお願いします。

武田委員広範囲にわたる御説明をありがとうございました。本日は様々なテーマや論点がありますが、一言で申し上げると、人口減を前提とした地域の在り方、社会システム、教育システムを全て変えていく必要があると受け止めました。このままだと、恐らく全国の地域、さらには、日本全体での経済の地盤沈下、インフラの老朽化、そして、教育の質の低下が進み、静かに日本の破綻が起きているのではないか、そうした危機感を感じる内容であったと思います。

吉川委員がおっしゃったとおり、いずれも10年以上前から出ている論点であり、いよいよ本当に変わらなければいけない時期が来ていると感じます。最終的な完成図に至るには時間軸は必要だと思いますが、その時間軸を持った計画を決定するスピードと実行のスピードを上げるために何をすべきか考えますと、良い事例を見せていくことも重要ですが、制度的な枠組みや規制、インセンティブとディスインセンティブの使い分け、そうした具体的な手段について、もう一段踏み込んだ議論が必要だと感じました。

各論について、1点目は、教育の問題です。人口が減少する中で、これまでの規模ややり方、一律的な支援は立ち行かなくなり、質が低下するのは当然で、こどもたちや先生方のせいではないと思います。こうした状況の中、国際情勢的にも日本のプレゼンスが低下しており、日本が世界において一定のプレゼンスを維持するためにも、教育の質、特にトップのレベルをこれ以上低下させるようなことはあってはならず、むしろトップを引き上げていく必要があると考えます。一律的な規模の維持が難しい点を明確にし、何に集中すべきか、どうすれば質の強化が果たせるのか、より具体的な政策をお願いしたいと思います。

2点目は、農政です。日々話題になっておりますが、これまで何度も転作の問題、飼料用米の議論をしてきました。この機会にしっかり見直していただきたいと思います。

3点目、先ほど小黒委員が触れられました戦略的撤退です。地域のインフラや安心・安全、レジリエンスの観点から、現状の地域の在り方では立ち行かなくなることは明らかです。従来から言われているコンパクト化や広域連携化については、先ほど申し上げたとおり、進め方、方向性は打ち出されていますが、進め方についてはもう一段、考え方を前に進め、実効性ある政策をお願いしたいと思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、熊谷委員、どうぞお願いします。

熊谷委員ありがとうございます。私からは主として、我が国における労働生産性低迷の原因、及び、必要とされる政策対応について、労働市場改革を中心にコメントさせていただきます。

第一の原因は、産業、企業の新陳代謝の遅れです。米国などでは、生産性の高い分野に資金や労働資源が投入されているのに対して、日本では、低生産性分野にそれらが張りついています。

第二の原因は、第一の原因とも密接に関連しますが、労働市場の機能不全です。私は、同一労働同一賃金の実現などを通じた正規、非正規の格差是正などを含む抜本的な労働市場改革こそが我が国の成長戦略のセンターピンだと考えております。

ここで御参考として、私ども大和総研が行った労働市場改革の効果に関する定量的なシミュレーションを御紹介申し上げます。

まず、三位一体の労働市場改革は、我が国の労働生産性及び潜在GDPを中長期的に8.1%程度押し上げる効果が期待されます。これに加えて、就労の促進という観点からは、年金改革、不本意非正規の解消、女性のL字カーブの解消という三つの追加的な方策が考えられます。最終的に三位一体の労働市場改革と、これらの三つの就労促進策を講じることによって、我が国の潜在GDPは驚くべきことに、12.3%、70兆円以上押し上げられる計算となります。私は、こうした試算結果を踏まえて、就労の促進策などの労働市場改革こそが日本経済の宝の山であると確信しております。

最後に、中小企業政策について一言だけ申し上げます。現在の中小企業政策は、競争力や労働生産性の向上などを目的とした経済政策としての側面と、弱者保護などを目的とした社会政策としての側面とが混在している印象を受けます。今後に関しては、経済政策としての側面により一層ウエイトを置くべきであり、一律の資金援助等を行うのではなく、価格転嫁対策などへの徹底的な重点化を行うことがポイントだと考えます。また、弱者保護などを目的とした社会政策という観点からは、将来的には企業を一律に保護するのではなく、弱い立場の個人により一層焦点を当てて、産業と企業の新陳代謝を前提としながら、失業なき労働移動を加速し、働く人々の命と暮らしを守るというインクルーシブな政策、弱い個人への直接的な支援へと移行する必要があるものと考えます。

私からは以上でございます。ありがとうございます。

増田分科会長代理それでは、広瀬委員、どうぞお願いします。

広瀬委員ありがとうございます。まず、一昨日のNHKの番組について一言コメントいたします。我々は、何となく国債というのは発行すれば自然とさばけるものというふうに簡単に考えており、とにかく数字として理解していたのですが、リアルなものとして理解することができたという意味で、あの番組は非常によかったかなと思います。今後、日銀が国債の購入を減らす一方で、金利のある世界になって、本当にこれから日本の財政は大丈夫なのかという面で、非常にインパクトがあったのではないかなと。歳出にはコストがかかる。変な言い方ですが、そのコストに見合った効果があるのかということをこれまで以上に考えざるを得なくなると感じました。

我々はいつもここで、財務省がもう少しいろいろ広報をやった方が良いのではないかというお話をしていましたが、そういう面では、財務省のオフィスまで入った番組というのはあまりなかったのではないかなと思います。ただ少し心配なのは、財務省のオフィスが何かせまぜましくて、ちまちましていて大丈夫かと、そのような印象を受けた方も多いのではないかと思います。いずれにしても非常に良い番組だったと思います。

次に、生産年齢人口の減少についてです。労働参加として、女性、高齢者、海外人材、それから、生産性向上として、省力化投資とDXと言われるのですが、女性と高齢者は、3ページにあるように、数字的には上がってきた。中身はまだまだ改善の余地があると思うのですが、問題は海外人材のところです。この海外人材のところというのは、本来は省力化投資とかDXに置き換えられるところではないかなと。したがって、結果として、そうしたものを遅らせてしまうと、こういう側面も場合によってはあるのではないかなと思います。短期的には、大変な人手不足の状況で、のどから手が出るような状況ですから分からなくもないのですが、やはり中長期的な視点からは少し慎重に検討したほうが良いと思っております。これは排他主義ではなくて、グローバリズムをさらに前進する、そういう観点もあるのではないかなということでございます。

それから、3番目は地方創生です。この地方という言葉はどうもあまりよくなくて、ここでは地域という言葉を使っておりますが、私もこの地域という言葉の方が良いかなと思います。中央政府と地方自治体ということではよいのですが、どうしてもこの地方というのは、東京対地方というような対立構造的な議論で終わってしまう、そういうニュアンスがどうもあるので、本質的な議論になりづらいと思います。

それからもう一つは、地方というとどうしても画一的、顔が見えなくなってしまう可能性がありまして、地方という地域はないわけですので、大事なのは、むしろ地域の多様性を尊重すること、あるいは地域の自主性を評価するということではないかと思っております。もちろん実際にはベースとなる共通部分は大きいのですが、それでもそれぞれの地域が特色のある発展を目指し、そこに支援、インセンティブをするというのがあるべき姿ではないかなと。過度な競争主義というのはいけませんが、切磋琢磨ということは必要なのかなと思います。

最後に、いわゆるトランプ関税の影響、対応についてです。今、日本は経済の好循環が回り出したわけですが、これから中小企業の賃上げが本格化する。ここで、非常に不都合なタイミングでトランプ関税が出てきました。中小企業の賃上げというのは価格転嫁が全てですが、これに急ブレーキがかかるという懸念があります。ここは正念場で、大企業、親会社は、不透明な中ではありますが、適正な価格転嫁をきちんとやる。政府もそれをいろいろな側面から、先ほどパートナーシップのお話もありましたが、それに対して強力にサポートする。これはもう今まさに必要なのではないかなと思っております。

以上でございます。

増田分科会長代理それでは、大槻委員、どうぞ。

大槻委員ありがとうございます。本日の二つのテーマの共通のコメントとして、包括的な下支えから、頑張る人の飛躍へのインセンティブづけということかと思っております。その意味で三つお話ししたいと考えております。まず企業支援について、広瀬委員からもありましたが、インフレやトランプ関税の対応に向けた支援ということの重要なポイントとして、将来の成長のインセンティブづけにウエイトを置いていただきたいと思います。もちろんスタートアップの活性化のためにも、セーフティーネットの必要性は排除しません。例えば過去の中堅中小企業の支援について、倒産防止に寄与したことは当然ではあります。ただ、課題を抱えた企業を温存することで人的資本の最適配分、再分配を阻害することにならなかったのか、経済全体として人的資本の最適な再分配を阻害することにならなかったのか、価格転嫁をしにくくなったような側面はなかったかなど、より冷静に効果検証していくべきなのではと思います。

そうした上で、例えば人に対するリスキリング、またはアップスキリング等の一層の支援、それから、業態転換等、その成果に応じた支援、また、もう一つの重要な点として、様々な施策には、目的に応じた期限を設けるということを検討していただきたいと思っています。

それから高等教育について。学習の課題が浮き彫りになる資料は非常に興味深かったところですが、これは大学以前の教育の問題も恐らくあって、高校までに身につけられなかったことを支援する。これは、高等教育と言うのかどうかは別としても、意味があるのではと思います。更なる問題は、そもそも日本は、先進国の中で退学率が極めて低いということで、学習しなくても卒業できてしまっているので、もしかしたら、このシラバスですら達成できていない可能性もあると思います。

しかし、地方の大学の中には、定員割れだと助成金が削られるのではないかということを恐れ、学業に厳しくて卒業しづらい大学というレッテルを貼られてしまわないように、結局、厳しい教育ができないという問題もあるかと思います。中教審の方向にもあるように、評価の抜本的な修正、学習能力の伸び率などの教育のアウトカムをしっかり評価する。そして、それによって支援も傾斜配分して、佐藤委員からもありましたが、撤退や専門学校などへの業態転換も促す仕組みを促していただきたいと思います。

そして最後に、地域活性化について、観光と農業について賛同いたします。くわえて、新経連や国交省が検討している、二地域あるいは他地域居住の推進、これは技術的に容易ではないかもしれませんが、こうした策も人口や税収の偏在是正に向けた一つの考え方になろうかと思います。東京以外で選ばれる地域になろうという地域の努力のモチベーションにもなりますし、人口減少を一定程度補完できる施策にもなり得るのかと思っている次第です。

以上です。

増田分科会長代理それでは、木村委員、どうぞお願いします。

木村委員御説明ありがとうございました。昨日、総務省が昨年の日本の人口を発表して、日本人の減少幅が過去最大になったというすごく深刻な事態が大きく報じられています。本日取り上げられているテーマは非常にタイムリーで、とてもよかったと思いますし、あとは、先生方がおっしゃっていますように、よりスピーディーに進めることがこれから求められると思います。

その上でそれぞれコメントさせていただきます。活力ある経済社会で、中小企業の人手不足と賃上げに焦点を当てられたということは大変良いことだと思います。中小企業はどうしても防衛的な賃上げを余儀なくされているところが多くて、私も仕事柄、町工場と言われるところを取材する機会もあるのですが、優れた技術を持っていても業績がなかなか厳しく、物価高に苦しむ従業員の暮らしも守らなくてはならないということで、経営者が自らの給与を削って社員の賃上げに回しているところもあると聞いています。

なぜ優れた技術の業績が厳しいか、やはり資料でも示されているように、価格転嫁がなかなか難しい。要は、取引先にどうしても買いたたかれてしまうということです。まして、トランプ関税で、より取引先から買いたたかれるのではないかという不安が広がっているようです。こうしたことから、資料でも示されたように価格転嫁の補助要件化などは、是非進めていっていただきたいと思います。

また、中小企業に関しては、非正規労働者のリスキリングの強化などは、これは持続的な賃上げにもつながるでしょうから、とても大事なことだと思います。最近、物価高の下、手取りの増加を求める声が高まっている。これ自体は大事なことでしょうが、減税や給付など、どうしてもそちらを促す意見のほうばかりが目立っているものの、基本は賃上げを強化していくことだと思いますので、この路線をしっかり進めていただきたいと思っています。

また、高等教育に関してです。活力ある経済社会の実現のために教育の質を確保することは極めて重要だと思うのですが、本日、資料で示されたように、定員割れしている大学のほうが学生1人当たりの補助金が多いということを伺って、少し驚いています。学生に選ばれなかった大学を国が一生懸命税金で支えるというのは、私はどう考えても理解し難い状況でありまして、規模の適正化を早急に進めていく必要があると思います。補助の対象を絞り込めば、教育の質の向上と同時に、最近問題になっている学費の値上げの抑制にもつなげる効果も見込まれるのではないかと考えています。

次に、安心で豊かな地域社会についてです。今後の人口減少と自然災害の多い国土であることを踏まえると、資料で示されたように、災害リスクを踏まえてコンパクトなまちづくりを加速していくことは欠かせないと思います。一方で、最近、2026年度から5年間の新たな国土強靱化計画として、事業規模20兆円の素案が政府として了承されたと伺っております。これまでも国土強靱化計画、10兆円、20兆円と多額の予算が投じられてきたので、さらに20兆円となると、一体、いくらお金がつぎ込まれるのかなと思ってしまいます。災害リスクを踏まえたコンパクトなまちづくりがどこまで具体化されるのか。こうした点、今後の計画の具体化の中でさらに明確にしていただきたいと思います。

最後に、農業です。戦後の農政は、多額の補助金と高関税で農業を守ってきたはずなのですが、結局は高齢化と耕作放棄地の増大に歯止めがかかっていないのが現状だと思います。守ってきたものが守られていない、昨今の米価格の高騰も、この根底にはやはり農業生産力の低下があると思います。

また、資料で示されたように、輸入米の機動的な活用で、米の供給安定化につながるのであれば、これは是非積極的に進めていった方が良いのではないかと思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、ここでまたオンラインに移ります。それでは、小林充佳委員、どうぞお願いします。

小林(充)委員NTT西日本の小林でございます。私からはコンパクトに2点、意見を述べさせていただきたいと思います。

まず1点は、中小企業の生産性向上という観点でございます。資料の26ページにもありますように、財政的な支援がいろいろ行われているのですが、なかなか生産性が上がってこないという状況かと思います。生産性を上げる手段の一つとしてDXが考えられるのですが、中小企業のDXは、いろいろな統計を見てみましても、やはり大企業に比べてかなり大きく遅れております。その要因は、人がいない、ノウハウがない、あるいは先立つ資金がないというようなことに収れんされるのではないかなと思いますが、中小企業の相談役、サポートするような機関はあるのですよね。具体的には、商工会議所、自治体、国の機関などもあるのですが、それらが今ばらばらに動かれているようなところがあります。是非それら機関が連携して、強力なサポート体制をつくっていくということが必要であると思います。また、このような支援機関に対して人的な支援、あるいは予算的な補助、そうしたようなことをやることによりまして、結果的に中堅中小企業のデジタル化が進み、結果的に生産性が上がり、地域が活性化するということにつながるのではないかなと思います。この支援機関についてもいろいろなことをこれから取り組んでいく必要があるのではないかというのが1点でございます。

それからもう1点は、インフラ整備、防災ということでございます。これは資料の中にもありますように、コンパクトなまちづくりということが前提になってくるのではないかなと思いますが、一方で、現状の行政単位ということで考えると、なかなか行政に人材がいない、ノウハウがないというようなことで、今のままの市町村単位でインフラ整備や防災に取り組んでいくというのは、限界があるのではないかなと思います。

関西では従前から関西広域連合というのを組織化しております。これは2府6県、4政令都市の方々から人材を拠出していただいて、組織化し、関西全体で取り組んでいるということなのですが、この取組をやっている中で、実効を上げるためには、ルール、制度ということももちろんなのですが、法律的な見直しや改定が必要になってきている部分がございます。

例えば防災です。この防災については、災害対策基本法で諸々の規定がされているわけなのですが、防災の主体というのですか、それは基礎自治体である市町村であるということが明確に規定されております。こうしたようなことから、広域での連携というのがなかなかしづらいという面があります。こうした法律制度の見直しを含めて、より広域化を進めていくということが、非常に重要な局面になっているのではないかなと思います。

私からは以上でございます。ありがとうございました。

増田分科会長代理それでは、続いて、福田委員、お願いします。

福田委員ありがとうございます。私からも手短にいくつか申し上げさせていただきます。

まず、人的投資あるいは教育の質に関してです。二つの視点が重要なのではないかなと思います。平均的なレベルあるいは底上げ的に、教育のレベルを上げていくというのは一つで、それは本日、幅広く議論されていたと思いますが、もう一つはやはりトップの層をいかに育成していくかということだ思います。

一例を挙げると、例えば昨年の数学オリンピック、日本は14位だったのですよね。1位がアメリカで、2位が中国で、3位が韓国で、4位がインドとなっておりこれらの国々は常に上位にはいります。そうした意味では、本当のトップの層の数学力あるいは理系的な人材をともかく育成するということも同時に遅れているということだと思います。

教育の平均的な質を上げるときに概して起こりがちなのは、底上げするために平均的な教育の水準を落としてしまう。教育の水準、ゆとり教育というのはまさにそういう例だったとは思います。そうすると、トップの層が育たないという問題はありますので、本当に工夫していただかないと、日本でもディープシークのようなものが生み出されるようにはならないということなのではないかなとは思います。

それから、企業の投資が低迷しているというのは、小林慶一郎委員がおっしゃるとおりで、やや注意してみなければいけないのは、あるいは前回の資料でも、例えば企業の資金余剰が非常に多いという話もありましたが、日本銀行の資金循環統計をやや注意して見てみると、実は海外への投資は国内の資金余剰という形で現れてきています。実は日本企業は、国内の投資は確かに、小林慶一郎委員がおっしゃったように、ずっと低迷しているのですが、海外への投資というのは意外に積極的に行われている面もありまして、これは裏を返せば、日本国内の魅力がないということであると思いますので、これを抜本的に改善していかなければいけないということだと思います。

それから、公的な支援の産業政策の妥当性というものをどう判断するかということです。私の個人的な意見は、政府の公的支援はもちろん分野によっては必要だけれども、その支援があるときに、そこの企業に民間のお金もフォローしてくるかどうかということが大事で、政府がいくら支援しても、民間企業がそこにあまり関心を示さない、あるいは債務保証などをしなければ民間はお金を貸さないよというような事業であれば、これはよい事業とは言えません。分野によっては本当に公的な支援が必要なのは私も否定はしませんが、民間の企業の見る目というのは、最終的には判断には大事で、民間企業がお金を出さないような分野に政府がもう延々とお金を出し続けるというのは適切ではないとと思います。

私からは以上でございます。

増田分科会長代理それでは、堀委員、どうぞお願いします。

堀委員労働・人的投資について。女性と高年齢層の労働参加を進めてきたことによって、人口減少が進んでいるにもかかわらず、就労者数そのものは増えている。しかし、増え方にももう限界が見られていると思います。高齢者の就労参加率の国際比較で、日本は、アイスランド、韓国に次いで、たしか3位だったと思います。60歳から64歳で73%、65歳以上で5割以上と、もう既に就労しています。高齢者の体力も総体的に若返っていますし、健康寿命の延伸とともに、高齢者の就労参加をさらに進めていくというのは大賛成なのですが、定年制度と年金、そして、高齢被扶養者の話とセットで検討していくべき課題であると思っています。

それから、女性の就労参加についてです。共働き率と片働きで見ると、もう1990年代半ばには既に逆転していて、今回、M字型カーブは解消されていることも示されていますが、同時に、15ページに見られるようにL字型が見られています。非正規を選択している理由には様々な理由があるかと思いますが、時間制約がある方も多くいらっしゃると思います。

労働者1人1時間当たりの生み出した成果で労働生産性を見ると、イノベーションの推進、リスキリングが重要であると同時に、老若男女誰もが働きやすい環境、ワーク・ライフ・バランスの推進が重要になってくると思います。これができない環境では、介護離職が増えてきて、そうすると、就労人口がさらに減るということになりかねないので、とても重要だと思います。

ただそれよりも、業務そのものの在り方を見直す、無理、むら、無駄がないか。丁寧さは素晴らしいことではありますが、必要以上に過剰な負担を求めていないか。それがかえってサービス残業などにつながり、働きにくい職場環境をつくっている可能性もあるかと思います。また少なくなった人数で過去と同じことを同じように丁寧にしようとする。それはそれでできるならばよいのかもしれないですが、労働人口減少下でそれをし続けることは、持続可能性というところから課題があるのではないかと思います。業務そのものの合理化というマインドセット、発想が必要になってくると思います。

また、同じ生産性といっても、労働集約型産業であるサービス業と製造業で全く違います。生産性の低い分野から高い分野への移動が望ましいと思いますが、エッセンシャルワークのような、生産性云々以前に社会の維持に非常に必要な分野もありますので、どういうふうに労働移動を進めていくのかは、政府の戦略が必要なのではないかなと思います。

また、そうした戦略に沿った形で、高等教育の人材育成の強化も必要だと思います。特に深刻な人材不足で、分野、エリアによっては外国人材の活用が求められているところもあると思います。昨年、法改正で、技能実習制度が育成就労制度に変わったと思いますが、その他にも高度外国人材の受入れ、定着を求める声があると思います。日本として外国人材を活用していくのか、活用するとしたらどういう受皿を用意するのかというのはセットで議論していかなければいけないのではないかと思います。

最後に、高等教育における点です。国公立のみならず、日本の大学の7割が私学ですし、定員割れが多いということもありますので、大学の規模の適正化、統廃合をセットで考えることはとても重要だと思います。就学支援の在り方や、体制のスリム化、業務効率化の改革は必要だと思いますが、資料にある定員割れと質の確保に関する記述については、定員割れをしていても補助金等で収入があれば、逆に少ない定員で教育の質を確保することができるということもあるかと思います。教育の質の確保も重要、経営も重要、どちらも重要なのですが、この両者を結びつけて考えていくことが本当に人口減少における高等教育の在り方として良いのかどうか考える必要があるのではないかと思います。

といいますのは、教育の質の確保というのはそもそも何を意味するのか。設置審の話もありましたし、先ほど認証評価の話もありましたが、一律評価は非常に難しいと思います。また、地域によって求められる高等教育機関の役割、研究・教育の在り方というのも違うと思います。中教審の答申で、認証評価について評価疲れという声があるということも書かれていましたが、評価のための評価ではなく、何のための評価なのか。教育の質の確保といったときにも同じで、どういうふうに評価するのかというところが非常に重要になってくると思いますので、挙げられている趣旨には賛同するのですが、やり方を気をつけないと、逆にさらにまた教育機関が疲弊して、研究も進まなくなるということにもなりかねません。人口減少に沿った統廃合や体制のスリム化、規模の適正化のためのルールづくりというのは非常に重要になってくると思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、横田委員、お願いします。

横田委員ありがとうございます。まず、中小企業におけるリスキリングについてです。中小企業でなかなかOJTが進んでいないということですが、現在、リスキリングコンソーシアムなどがいろいろな講座を、オンライン講座も含めて、無料、低価格で提供しているかと思います。そうしたものの認知度が中小企業においてどれぐらいあるのかというのもしっかり見ていく必要があるのではないかと感じました。例えば補助金を出すのでその他従業員にもリスキリングをセットで行っていくなど、分野を超えて、認知度を上げ人的投資につなげていただくようなことも重要なのではないかと思いました。

また、今回、何人か外国人労働者の件もおっしゃっていましたが、人手不足の中で外国人の方も増えており、今、2号の取得者も希望が増加しているという状況です。人材の不足を人で補いつつも、デジタル化と価格転嫁、賃金の関係性などもしっかりと冷静にデータを見ていく必要がある。データを見て事実を確認し、今後どういうことを行っていく必要があるのか、何に焦点を当てる必要があるのかも見ていただきたいと思います。

次に、柔軟な働き方についてです。短時間正社員も含めて、いろいろな柔軟性ある働き方を希望される方が、シニア、女性を含めて、シニア男性も含めて、いらっしゃるということです。メニューが増えることは非常に有益であると考えておるのですが、柔軟な働き方の中で、状況により職分を柔軟に行き来し固定化しないうようにする必要があると考えております。例えば、幹部・管理職の男女が、家族の事情等々で地域限定社員に移ったりとか、短時間を希望される方々も出てきたりしていますが、状況は変化します。そうした中で、メニューをつくった上で行き来ができるような関係も含めて、制度を企業に促していくということが重要なのではないかというふうに思います。

最後に、行政のデジタル化についてです。投資対効果を考えると、小規模自治体が脆弱な財政基盤の中でデジタル投資が進んでいるのか。小規模自治体向けの支援メニューもあるとは思うのですが、デジタル技術の活用、システムの構築の中で、やはり広域的にカバーしていくということも重要なのではないかというふうに思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、秋池委員、どうぞ。

秋池委員3点ございます。

まず大学についてです。多くの委員もおっしゃっていらっしゃいますが、今の状況、この定員割れしたところに補助が行くというようなことは、普通の状態ではないかと思います。企業のゾンビの議論というのはよくあるわけですが、もちろん企業が何でもよいとは思いませんし、教育はまた別だという価値観もございますが、やはり補助や効率化をするのであれば、それをしたことによって変わっていったことのモニタリングは必要なのではないかと思います。具体的には、教育の質を維持することで、例えばふさわしいキャパシティーや定員に変えた中で、そこできちんと回っていくようにする、何らか地域に貢献するなど、そうしたことも見ていく必要があると思っています。

二つ目、中小企業についてです。価格転嫁をすることについても多くの委員がおっしゃっていますが、適正な利益を上げて、そして、それが人的資源に配分されるということはより多くの国民が安定的な幸せな生活を送るということにもつながっていきますので、そうしたところの工夫が必要だと思っています。どうしても生産性の議論のところで、中小企業の生産性が低いとなってしまうのですが、これは価格転嫁ができていないがゆえに、付加価値が形になっていない、生産性の分子に反映されていないというところもありますので、ここは見誤らないで政策を作っていければと思います。

三つ目に、フランチャイズチェーンがあって税収が東京に集中するというところの議論がございましたが、観光も同様だと思っております。その地域でいろいろなことを維持しておられる方ではなくて、フランチャイズチェーンの飲食や宿泊にリターンがみんな吸い取られてしまうと、どうしても地域振興につながらないということもございますので、こうした点も考えていく必要があると思っています。

それから、高付加価値。日本のサービスは本当に優れていますので、宿泊、飲食の価値に応じて値上げをするというのは私もよいと思っているのですが、一方で、あまりにも高くなって日本人が使えなくなってしまうというのも本末転倒だと思います。こちらは二重価格といいますか、価格の使い分けということも考えていく必要があると思っています。

最後に水道のところで広域化の話がありましたが、これは様々な分野でこうしたことが行われているのですが、実際には、担当する人にしてみると、非常に広いエリアを一人で見なければいけなくなるなど、現実味がないという場合もありますので、地域性もよく見極めて、広域化自体が悪いことではないのですが、より現実的なやり方が見いだせればと思います。

以上でございます。

増田分科会長代理それでは、平野委員、どうぞお願いします。

平野委員ありがとうございます。私からは3点申し上げます。

1点目。活力ある経済社会をつくるという観点から、戦略的な産業分野、それから研究開発への投資と、政府支援への在り方についてです。

まず、今行われているような、半導体やGXをはじめとする有望分野で激しい国際競争に打ち勝つためには、民間が主導する必要があるとはいえ、それを進めていく上での呼び水としての政府支援が必要であると思います。ただ、第一に、企業への支援ではなく、プロジェクトへの支援という考え方を徹底することが重要だと思います。第二に、これは先ほどからも言及されていますが、目利き力を磨いてプロジェクトを厳選するとともに、佐藤委員からサンクコストについてお話がございましたが、撤退の判断が非常に重要だと思います。MRJも撤退のタイミングが遅れたケースだと思いますので、撤退判断も辞さないモニタリング体制と判断の仕組みを構築すべきだと思います。

次に、研究開発については、量子、マテリアル、サイエンス、遺伝子、合成生物学などの有望分野で日本に強みがあると世界的に著名なベンチャーキャピタリストからも認められていると聞いています。こうした分野で各国との競争に勝ち抜くためには、官による事業化支援は必要だと思います。ただ、一方で、さらにその先の技術立国のための長期的なシーズ、あるいはベースとなる未知の有望な分野をあらかじめ見抜くというのは非常に難しいです。ノーベル賞の受賞につながるような研究は30年、40年、場合によってはもっと長い時間軸が必要なので、現在の選択と集中一辺倒の、いわゆる競争的資金の獲得を目指すような在り方ではなく、基礎研究にも広く研究資金を供給する必要があるのではないかと思います。今回は、国立大学への支援、あるいは国による投資の在り方に関しては話題になっていませんが、現在の制度を含む運営費交付金については、見直すべき時期に来ていると考えています。

2点目。人への投資についてです。労働市場の流動化は、リスキリングがカギを握っているわけですが、せっかく既に1兆円の予算を確保したのに、実際に学び直しをする人は少なく、多額の予算が使い残されており、真因を考える必要があると思います。ここ数年で行われている、リスキリング、スタートアップの育成、少子化、女性活躍などの日本の社会・経済の活性化策自体は正しいと思います。今回も様々な施策が打ち出されていますが、実は盛り上がっているのは支援者サイド、場合によっては政府であって、肝心の自分でそれをやろうとバッターボックスに立つ人がまだ少ないというのが現実ではないかと思います。

そうした意味では、明日の日本をつくるためには、挑戦を促す社会的な基盤づくりが重要です。先ほどから教育の質の問題について言及されていますが、遠回りかもしれませんが、例えば初等中等教育において自分の頭で考えて行動する人間を育てる、挑戦への第一歩を踏み出したファーストペンギンやアーリーアダプターを評価するような土壌・カルチャーを社会全体で醸成することが必要です。これらの施策には大規模な財政資源の投入は不要です。

3点目。地方に関しても、インフラ、あるいは行政機構といった地域の基盤の再編がもはや避けられないところまで来ています。先ほど小黒委員がスマートシュリンクという言葉を使われ、かつ、時間軸が重要だと言われました。それに関して申し上げると、地方行政に関しては、第一に、デジタル化による自治体の業務の効率化、第二に、新たな道州制の導入などを通じたフルセット型の行政からの脱却により、地方行政の質の向上と、280万人に上る地方自治体の有為な人材を解き放って、地方の経済の活性化や地域づくりにもっと貢献してもらうように、公共セクターにおける労働シフトを進めるべきだと思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、中空委員、どうぞ。

中空委員ありがとうございます。今回の資料を眺めていると、中には驚きや、中にはがっかりや、中には腹が立つものさえあったかなと思います。非常に良い資料が多くあると思うので、できるだけこれ一つ一つが国民の目に、皆様に見られるとよいと感じた次第です。これが最初です。

まとめて三つほど話をしますが、一つ目は競争原理の導入です。財政政策は、とかく競争原理が欠けていると思います。全ての人、全てのことというわけではないでしょうが、補助金や制度にあまりにも頼り過ぎて、ガバナンスを欠いている主体が多過ぎる。それは大学もそう、地方自治体もそう、農業もそう、それから、企業もそうなのだと思います。

大学でいえば、多くの先生がおっしゃっていましたが、もう今、皆保険ではなくて皆大学になっているぐらいだと思うのです。就学支援という観点では非常に良い制度だったと思うのですが、競争力という観点ではどうなのかということが欠けていると思います。競争原理を導入するという観点でもう一度全部見直すと、結構いろいろなものが出てくるのではないかと考えます。これが1点目です。

2点目は、これも小黒委員や平野委員が今おっしゃいましたが、時間軸についてです。財政に関しては、超長期、中期、短期で日本はどうありたいかを考える必要があると思います。いろいろなデータ、例えば人口が減っている、南海トラフ等の災害でどのような被害が出るのか、地方創生2.0はきちんとかみ合っているものになっているのかどうか。また、これから先の日本は経済成長をしなければいけませんと、実質GDP1%成長ですと言っているものと、GX、DXの投資がよいですと言っているものは本当に合っているかどうか。その観点で言えば、企業にお金を投資するというよりは、プロジェクトにお金を投資していくという発想で見直すと、今回どうなっていくのかというのは考えなければならない観点だと思っています。

最後が、いかにマネタイズするかということです。地域資源等の活用のところで、収益力向上の話が出ていましたが、こうした類いのことは税制とやはりセットにしていくべきと思います。例えば、消費税の外国人の還付金に上限を設ける、大学や美術館などに対して日本の寄附金がいかないことに対しての税制などです。税制とセットにすると、収益力の向上に跳ね返ることがあるのではないかと思いますので、そこも検討していただければと思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、権丈委員、お願いします。

権丈委員どうもありがとうございます。私からは、労働・人的資本投資等の在り方に関連して話をさせていただきます。

現在、労働市場では、労働供給曲線が、これまで水平に近かった状態が反時計回りに回転し始めており、右上がりになり、賃金や労働時間に関して労働条件の競り上げ競争が始まっていると理解できます。他の委員がお話しされている点と通じると思いますが、経営者が付加価値、生産性を高め、賃金を上げる努力をしているところを評価していくという視点も重要だと思います。

今回、労働・人的投資を重視しようということで取り上げていただいているということはとてもよいと思います。熊谷委員から、労働市場改革の重要性に関する数値を挙げた説明がございましたし、堀委員、横田委員もお話ししてくださったところですが、15ページについて、多様な働き方、キャリア形成の実現について示されており、労働者が希望に応じて働ける環境の整備が重要というのは、まさにそのとおりだと思います。また、日本の女性の非正規雇用比率の高さ、つまり、労働力の質的側面に注目しているのは意義があると考えております。

個人の目線から見ますと、日本では従来、長時間労働になりがちなフルタイム就業ができない場合、待遇が低いパートタイムの非正規雇用労働という選択肢しかないという場合が多く、良好な短時間の雇用機会が限られてきました。日本では当然のように受け止められていることですが、国際的に見ると、正社員の中で、フルタイムの労働者と働く時間だけが短いパートタイムがありますので、かなり特殊な状況にあるということです。キャリア形成には働き続けることが重要ですので、仕事と育児、介護等との両立支援とともに、短時間正社員も含め、労働者が希望に応じて働き方を選択できる環境の整備は極めて大切なことになります。

育児中の短時間勤務制度ができて、選択肢が広がり、若い世代の女性たちの継続就業は増えてきておりますが、働く側にとって魅力的な、誰でも利用できる短時間正社員の制度はこれまであまりありませんでした。人生の各時期、ライフステージに応じて労働時間を変えられるなど、労働時間選択の自由の確保を意識して、短時間正社員という制度も利用者を固定的に捉えないことが重要だと考えております。

短時間正社員の働く側からの魅力の一つとして、短時間でも、厚生年金をはじめとした被用者保険に入ることができることがあるのですが、職場の魅力を高めるという意味では、被用者保険の適用が義務付けられていない企業でも、労使の合意で被用者保険の適用となることができる任意適用というものがあります。労働力が希少となって、職場の魅力が競われる社会になっていますので、短時間正社員とともに、いわゆる社保完備をアピールすることができるようになる被用者保険の任意適用という制度があることも広く知られてもよいような気がしております。

以上でございます。

増田分科会長代理ありがとうございました。櫻井委員から希望ありますので、それで最後にしたいと思います。

櫻井委員ありがとうございます。私からは、34ページの地方創生の部分で、2点お話しさせていただきます。

一つ目。若年女性が地方から都市部へ転出する要因としてよく引用される統計では、やりがいのある仕事がないことが上位に挙げられ、この数字だけ見ると、雇用創出で解決できる課題だと捉えがちですが、実際には雇用の有無ではなく、環境の質に本質的な課題があると思っています。なので、この部分、しっかりとデータを取っていくということは重要だと思います。資料にも、年齢別、性別ごとのデータ収集でKPIを設定していくというところはありますが、これは詳しいデータを是非国に取っていただけたらと思っております。

実際に兵庫県豊岡市では、若者の回復率の男女差を着目して、仕事やエンターテイメントの不足だけでは説明できない部分ですね。特に若年女性特有の転出要因をしっかりと分析して政策に位置付けているということがあるので、是非こうした地方自治体の先進的な取組も参考にしていただけたらと思っています。

2点目、地方創生においては、地方の風通しをよくしていくということが重要だと思います。資料に、国による伴走とありますが、国による伴走だけではなくて、地方自治体同士が互いに学び合い支えていく関係性をつくっていくことも非常に重要だと思っておりますし、こうした自治体間の連携というのは、DXの時代だからこそ距離を超えてつながることもできると思います。これまでも隣接自治体で事務の効率化やパートナーシップ制度の相互承認、災害時の応援協定など、自治体間で連携していくということができているので、この地方創生においても、国の伴走だけではなくて、地域を超えたつながりをやっていただけたらなと思っています。

そうした中で、特にもっと風通しをよくしていかなければならないのが教育行政だと思っています。地方独特の、少人数の家族的な教育のよさや人間関係から学べることもありますが、そうした地域特有のものが、地域から脱出したいですとか、二度と閉鎖的な田舎に帰りたくないというような若者を増やす要因にもなってしまっております。今、地域留学などもありますが、そうしたいろいろな自治体と連携して、若者もいろいろなところに行けるようなことをつくっていく必要があるかなと思います。そうした中で、教育行政は本当に都道府県と市町村とで権限が分かれていて、教育行政自体が硬直化しているというところもあるため、こうした壁をどう壊していくかというのも考える必要があります。具体的には現在、各市町村に教育長が配置されていると思うのですが、これは必ずしも一つの自治体に一人いる必要はないかなと思っています。例えば距離が離れていても、複数の小規模自治体で教育長を兼任できるなどして、新たに教育長を置く予算というのを教員の不足ですとか政策的な有効な取組に回していくということもできると思いますので、是非こうした教育や地方の風通しをよくしていくというところも考えていかなければならないかなと思っています。以上です。

増田分科会長代理どうもありがとうございました。それでは、本日の議題は終了とさせていただきます。

次回、4月23日水曜日、14時から財政制度分科会として開催します。議題は「持続可能な社会保障制度の構築」と予定しておりますので、よろしくお願いします。

以上で本日は閉会といたします。どうもありがとうございました。

午前11時00分閉会