このページの本文へ移動

財政制度分科会(令和7年2月13日開催)議事録

財政制度等審議会財政制度分科会
議事録

令和7年2月13日
財政制度等審議会


財政制度等審議会財政制度分科会議事次第

令和7年2月13日(木)09:30~11:00
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)

  • 1.開会

  • 2.議題

    • 令和7年度予算等
  • 3.閉会

出席者

分科会長代理

増田寬也

横山副大臣

渡邊政策立案総括審議官

前田次長

中山次長

端本文書課長

有利総務課長

馬場主計企画官

山岸司計課長

小澤法規課長

山本給与共済課長

片山調査課長

松本(圭)主計官

松本(千)主計官

寺﨑主計官

今野主計官

八木参事官

山川主計官

菅野主計官

横山主計官

副島主計監査官

山本予算執行企画室長

黒坂主計企画官

小田切公会計室長

大槻奈那

河村小百合

熊谷亮丸

佐藤主光

藤谷武史

宮島香澄

芳野友子

臨時委

上村敏之

遠藤典子

小黒一正

木村

國部

権丈英子

末澤豪謙

滝澤美帆

田中里沙

中空麻奈

平野信行

広瀬道明

福田慎一

真奈美

神子田章博

吉川


午前09時30分開会

増田分科会長代理それでは、時間になりましたので、会議を始めたいと思います。本日は冒頭からカメラが入りますので、そのままお待ちいただきたいと思います。それでは、お願いします。

(報道カメラ入室)

増田分科会長代理ただいまから、財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。皆様には、御多用中のところ御出席いただきまして、ありがとうございます。

本日の議題は、令和7年度予算等でございます。

また本日は、横山副大臣に冒頭からお越しいただいております。どうもありがとうございます。

それでは、そろそろ報道の方、御退出をお願いします。

(報道カメラ退室)

増田分科会長代理それでは、議事に入ります。初めに、片山調査課長から令和7年度予算等について簡潔に説明をお願いします。

片山調査課長ありがとうございます。調査課長の片山でございます。

本日、4つトピックがございます。予算の概要、建議の内容が予算にどう反映されたか、内閣府において公表されました中長期の経済財政に関する試算、そして私どもが出しました令和7年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算、その4つを簡潔に御説明申し上げます。

最初、予算のポイント。3ページ、フレームと呼ばれているものでございます。全体の額は約115.5兆円で国会に提出され、今、予算委員会で審議いただいております。これは過去最高額となっております。内容の詳細につきましては次ページ以降にございますが、全体的に御覧いただきますと、社会保障につきましては約5,600億円増で、これはいわゆる高齢化に伴う増にとどめられております。また、社会保障関係費以外につきましては約9,000億円増でございますが、これもいわゆる目安と呼ばれるというものに沿いまして、人事院勧告なども反映し、増加しているところでございます。

それから地方交付税交付金等、これは税収が伸びておりますので、その法定分が伸びております。

国債費につきましては、分母が増えているのに伴い、利払費も債務償還費も増えてございます。

税収は先ほど申し上げたとおり、伸びております。

公債金は約28.6兆円で、30兆円を下回りましたのは17年ぶりとなっております。

4ページ、概要でございます。何点か特徴がございますが、一番上の四角、補正と合わせまして、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への移行を確実にするための予算というのを、我々としては考えてございます。消費などの好循環をどのようにつくっていくのかについては、賃上げと投資というのがまずはドライバーになるだろうと考えてございます。

次に、左側の真ん中の箱、重要政策課題ということで、大きく三つございます。

一つ目の丸につきましては、重要政策課題に戦略的に対応する必要があり、複数年度で計画的に取り組むということで、防衛力、子育て、それから、AI・半導体といった投資、こうしたものにつきましては、複数年度にわたる政府の方向性を示しまして、財源も確保しながら進めるということでございます。二つ目の丸は、地方創生及び防災です。これは石破政権の目玉でございますが、地方創生2.0、それから、防災庁の設置等も含めた防災の強化。三つ目の丸は、薬価改定、高額療養費などの全世代型社会保障、それから、教職調整額の引上げといった、重要な政策課題にも対応します。

次に右側の箱でございますが、先ほど申し上げましたとおり国債発行額が17年ぶりに30兆円を下回り、地方財政につきましても、令和7年度は健全化を推進するということで、経済再生と財政健全化の両立を考えてございます。

下の二つの箱につきましては、足もと、物価上昇率が2%を超える形で進んでおりますので、そうした経済・物価動向を予算にどう反映するかということでございます。左下の箱、公的セクターの給与改善や公共事業の単価の引上げなどの形で、適切に対応しているところでございます。右下の箱につきましても、ややテクニカルですが、先ほど申し上げました目安などが、足もとの物価上昇というのを反映する形になっております。

5ページ以降は各論のポイントですが、時間の関係もありますので、財審の建議の反映状況と併せまして、御紹介したいと思います。

9ページから建議の反映状況です。まず社会保障でございます。左上の総論、持続性という観点から、現役世代の負担を最大限抑制するという建議をいただきまして、右側、子育てにつきましては、「加速化プラン」を本格的に実施し、令和7年度予算において8割程度実現。それから、高額療養費制度。今、患者団体等との議論が進んでおりますが、全体の方針といたしましては、保険料負担の軽減及びセーフティネットとしての機能の維持という観点から、自己負担の限度額の見直しを実施しております。

10ページ、薬価改定でございます。毎年の薬価改定を着実に実施すべきという建議をいただき、それを受けまして、しっかり対応してまいります。改定の対象品目につきましては範囲を設定しますが、特に今回、安定供給ということも論点になりました。それに伴いまして、不採算品の再算定、薬価の見直し、それから最低薬価の引上げ。これはかなり久しぶりにやっておりますが、そうしたことをやりまして、安定供給の確保にも努めているところでございます。

12ページ、生活保護につきましても、消費実態との均衡を図るべきということを受けまして、生活扶助基準を見直すということをやっております。

13ページ、地方財政でございます。左側の建議では、臨時財政対策債の発行額の縮減を図るなど、地方財政の健全化をきちんとやるべきということでございます。右側、実態といたしましては、臨時財政対策債につきましては、先ほど申し上げましたが、平成13年の制度創設以来初めてゼロということと、これまで先送りしてきた交付税特会の借入金の償還は、しっかり計画を上回る形で償還するということで、地方財政の健全化が進んでおります。

14ページ、防衛でございます。防衛力整備の一層の効率化・合理化を図りつつ、計画で定められた経費の総額を堅持するという御提言をいただきました。今年は防衛力整備計画の3年目でございますが、整備計画対象経費を8.5兆円確保し、計画どおりに着実に措置しております。円安等の影響も多少あるという中ですが、マイナス2,653億円の効率化・合理化を実現しているところでございます。

15ページ、外交でございます。外交は、左上、一層のメリハリということと、2番目の丸、ODAにつきましては戦略的に、という建議を頂戴いたしました。右側、メリハリをつける形で必要なものに措置するということと、3番目の丸でございますが、国の無償資金協力のみならず、出資・拠出国債などを用いて国際機関に対する資金貢献をすることで、実際の事業量につきましては、プラス4,000億円程度とし、戦略的かつ効率的に実施しております。

16ページ、文教・科学技術でございます。左上、義務教育。教職調整額の引上げにつきましては、働き方改革が重要であり、その進捗に伴いまして段階的に引き上げるという建議をいただきました。右側でございますが、結果的に段階的に引き上げるという建議どおりの形になっておりまして、令和7年度につきましては5%に引き上げ、それから、中間段階におきまして、働き方改革の進捗を検証するという形になってございます。

それから、真ん中、高等教育でございます。メリハリある予算配分をという建議をいただきました。右側、国立大学の運営費交付金につきましては、教育研究組織改革に関する採択率を強化ということで、そうしたメリハリを強化する形になってございます。

17ページ、社会資本整備です。これにつきましては、左上の3行目、事業の更なる重点化、そしてハード・ソフト両面の取組という建議を頂戴いたしました。右側の二つ目の丸、上下水道システムの耐震化支援のための個別補助事業の創設といったことで、八潮市の道路陥没もございましたが、必要な部分に一層重点化するということと、それから、右側の3番目の丸でございますが、気候変動に際して線状降水帯などの予測精度を高めるなどのソフト対策によって、国土強靱化を効率的に推進するということも実現してまいります。

18ページ、農業でございます。左側、大規模化等によりまして、日本の農業を自立した産業へ「構造転換」すべきという建議を頂戴いたしました。右側でございますが、改正「食料・農業・農村基本法」に基づきまして、水田活用の直接支払交付金などの単価を段階的に引き下げるということで、予算にも反映すると同時に、集約化・大区画化などの取組も実現しているところでございます。

19ページ、AI・半導体産業基盤強化フレーム。これにつきましては、補正予算の段階でフレーム自体はできておりましたが、第三者の外部有識者などの評価による検証などをしっかりすべきであるという建議を頂戴いたしました。右側、そうした御提言を踏まえまして、第三者の外部有識者による評価をしっかりするという仕組み、そして、適切なマイルストーンを設定するという枠組みというのが出来上がったところでございます。

最後にデジタルでございます。これにつきましても徹底したコストの適正化ということを建議で頂戴いたしました。それを踏まえまして、従来システムの集約・効率化を実施し、最終的にはデジタル庁の一括計上予算が230億円減少ということで、締まった形の予算をつくったところでございます。

以上が建議を予算にどう反映したかという内容になります。

それから三つ目。中長期試算でございます。21ページ、内閣府が1月17日に諮問会議に提出したものでございます。22ページ、二つのケースに基づきまして、国・地方のプライマリーバランスがどうなるのかという試算でございます。左下のグラフを御覧いただければと思いますが、もともと2025年度のPB黒字化を政府の財政健全化目標として掲げております。2025年度はまだ始まっておりませんが、昨年秋の経済対策・補正予算による歳出が2025年度にキャリーオーバーされますので、そうしたことを踏まえますと、2025年度につきましては、対GDP比でマイナス0.7%、実額で4.5兆円程度の赤字になるということで、現段階では2025年度のPB黒字化は見込めない状況になりました。

他方で、2026年度につきましては、経済成長による税収の増、それから、昨年秋の対策の執行が2026年度にはほとんどないことなどを踏まえますと、0.1%ないし0.3%の黒字ということでございます。

これをどう評価するかということは、両面あります。0.7%の赤字ではございますが、過去一番小さいレベルまで来ておりますので、黒字化も視野に入ったという評価もできると考えてございます。この後、1月24日、石破総理の施政方針演説の中ではこれを踏まえまして、早期のプライマリーバランス黒字化の実現を含め、財政健全化の取組を夏に向けて示すということを書いてございまして、引き続き、プライマリーバランスの黒字化に向けた議論が進んでいくことが想定されているところでございます。

それから、最後の項目でございます。後年度影響試算、これは財務省が予算審議のために予算委員会へ提出する資料でございまして、これは今後3年間の歳出、それから税収、それからその隙間であるところの公債発行額というのを機械的に試算しているものでございます。基本的には過去のトレンドで今後も延伸しており、いわゆるマクロモデルとは違う形で置いているものでございます。試算の前提は2種類あり、試算-1は、名目GDP成長率が3%、物価上昇率が2%、金利は足もとの積算金利2%から徐々にマーケットの金利上昇を織り込んだ形で上がっていく。試算-2というのはもう少し、内閣府で言うところの過去投影ケースに近いのですが、名目GDP成長率が1.5%、物価上昇率が1%、金利は積算金利2.0%で横置きという2パターンでやっております。

表を御覧いただきますと、令和7年度は、先ほど申し上げましたとおり国債発行が28.6兆円ということで、久しぶり30兆円を割っておりますが、試算-1と試算-2両方のケースで、延伸していきますと国債発行額が増えまして、令和10年度では32から34兆円程度の国債発行額になることが想定されるというものでございます。

また、機械的なものではございますが、ストレステストも行っております。下の表でございますが、金利が1%上昇した場合、これは先ほども申し上げたベースラインからさらに1%上昇した場合ということでございますが、ここに書いておりますように、毎年影響が出ておりまして、2028年度ではさらに4兆円、利払費が増加すると見込まれるということになっております。実は足もとでは長期10年物の国債金利は1.3%まで上昇しておりまして、そこから先、どこまで上がっていくか分かりませんが、金利のある世界になっていることは間違いございませんので、こうした金利に係るリスクなども勘案しながら財政運営を行っていく必要があると考えているところでございます。

以上です。

増田分科会長代理ありがとうございました。

それでは、この後、いつもどおり、各委員の皆様方から御意見、御質問等お受けしたいと思います。それでは、広瀬委員から順次御発言いただきたいと思います。広瀬委員、どうぞお願いします。

広瀬委員ありがとうございます。まずは、昨年取りまとめられました建議の内容が随所に反映されている予算になっているということを歓迎したいと思います。ただ、今回の予算は、まさに審議中ということで、これから修正されていくということでございます。どこまで修正されるのか、特に総額が大きく膨らまないか、大変気になるところでございます。このような政治状況というのは初めてのことで、良いところも悪いところもあるのかなと思っております。良いところは、これまで国会に提出するまでが公式戦で、提出された後は、こう言ってはなんですが、消化試合というか、その肝心の公式戦のところがよく見えなかったということがあったわけですが、今回、国会に提出されてからの公式戦がよく見えるようになったことは、良かったのではないかなと思います。

ただ、その一方で、よく見えるものですから、どうしてもパフォーマンス的にならざるを得ない。特にキャスティングボートを握る少数政党の個別要求、いわゆるそれぞれの看板政策ですね。これが通ってしまうというか、それはもちろん良いことですが、その結果、総花的な予算になってしまうのではないか、こうした心配もございます。

今回は、今まさに進行中ですからしょうがないにしても、こうした状況が続くようであれば、いろいろなことをこれから考えなくてはいけないのではないかなと。例えば国会に提出する前に、規模感ぐらいはある程度合意をしておく。あるいは、野党第一党のシャドーキャビネットと包括的な協議をしておく。今後は、そうした今までと少し違ったようなことを考えていかなくてはいけないのではないかということで、いずれにしても、今まさに進行中でございますので、令和7年度の予算をきちんとした予算にしていただきたいと考えています。

最後に、いよいよこれから春闘が本格化しますが、この3年目が正念場になると思っております。皆様おっしゃるように、最大の課題は、勤労者の7割を占める中小企業の賃上げでございます。大企業、親会社は、自らの賃上げはもちろんのこと、取引先ですとか、子会社の賃金にも十分目配りをしていくということが極めて重要かと思っております。

以上でございます。

増田分科会長代理それでは、大槻委員、どうぞお願いします。

大槻委員ありがとうございます。全体としては、特に税収が上振れているということで、制約が少しなくなってきたということは明るい兆しなのかと思いましたが、結果としてこれが財政の無駄につながらないかということを、我々としてはしっかりとウォッチしていく必要があると思っております。いろいろな制度について時代の変化に対応できなくなってきているようなところも多くあると思っております。秋の財審では、そうした無駄な部分や制度のところにも踏み込んで、非常にきめ細やかに財務省の方々には指摘をしていただいて、結果としてはこうした形で予算に反映していただいているわけですが、やはりそれでも限界があるとも思っています。春の財審は全体感を議論できる場でもあります。アメリカでも、毀誉褒貶はありますが、政府の抜本的な見直しが行われ、政府歳出の抜本的な見直しも行われていますので、こうした既存の制度を削ることの壁が厚いところについても、どういった形が理想的なのであるか、全体感を話す春の財審ではディスカッションできればと思っております。

そしてまた、事前の説明の中で片山課長もおっしゃっていましたが、やはり日本は今、供給制約が大きくなっているということで、これを中長期的にどうしていくのかということ、これも制度面等からディスカッションができればと思っております。労働移動の円滑化と、適材適所を図って、日本人の能力の最大化を図るということに、財政の面からどういった支援ができるのか。特に教育の面、それから半導体等様々な産業支援の側面等についても、改めて議論できればと思っております。

そして最後に、中長期の試算について、今、金利や労働力の動向等が大きく変化している中で、プライマリーバランスも今回は黒字転換が難しいということで、改めてPB黒字化のピン留めをしていくべきですし、仮に黒字化が実現するのであれば、その後の政策目標についても議論していくべきであると思っております。さらに、金利が上がっていく局面でもございますので、債務残高についてもあるべき姿を春の総論ではしっかりと議論していければと思っております。

以上です。

増田分科会長代理それでは、芳野委員、どうぞお願いします。

芳野委員ありがとうございます。時間も限られていますので、要点を絞って申し述べたいと思います。

初めに総論についてです。当初予算案は、3年連続で110兆円を超え、過去最大規模となっています。歳出構造を平時に戻していくとする基本姿勢からはかけ離れていると言わざるを得ません。政府には、財政健全化に向けて財政運営の監視、評価を行う独立財政機関を設置し、財政規律の強化と歳出構造の不断の見直しを行うことで、基礎的財政収支の早期の黒字化を達成いただきたいと存じます。

次に、各論について、3点申し上げたいと思います。

1点目は、防災・減災についてです。昨今の災害発生状況や、女性や子供にかかる課題が災害のたびに繰り返し指摘されていることを踏まえ、内閣府の防災担当の増員において、女性の担当者をきちんと確保することが必要です。くわえて、災害時に女性や子供が暴力などの被害に遭うリスクが高まることへの対策として、避難所における安全確保、防犯体制及び生活環境整備のための財政支援を行うべきです。また、地方自治体の防災担当女性職員の増員、備蓄設備整備のための予算確保も必要と考えます。

2点目は、能登半島の復旧・復興に関してです。災害の復旧・復興を進める上で、被災者が安心して地域に戻り暮らせるようにするための地域づくりの推進が求められています。また、生活や就労の基盤となる住宅の確保が重要です。空き家の積極的な活用はもちろんのこと、公営住宅やセーフティネット住宅の整備などにより、住宅確保要配慮者への居住保障を行っていただきたいと存じます。

3点目は、社会保障サービスについて触れたいと思います。今後さらに高齢化が進む中、社会保障サービスの持続性の確保と質の向上のためには、医療、介護、保育などを担う人材を確保するための強力な施策が必要です。厚生労働省の2024年の賃上げ実態調査では、賃上げの改定額、改定率、共に医療・福祉が最も低い結果となっています。令和6年度補正予算における人材確保策を着実に進めるとともに、医療・福祉分野が選ばれる職業となるよう、更なる処遇改善策を強力に進めていくことが必要と考えます。

以上でございます。

増田分科会長代理それでは、木村委員、どうぞお願いします。

木村委員御説明ありがとうございました。本日は令和7年度予算案における建議の反映状況ということですが、多くの項目でこの建議の内容が反映されたということは大変良かったと思います。例えば防衛装備品で2,653億円の効率化、合理化を実現したなど、目立たない内容かもしれませんが、こうした地道な歳出効率化の努力を積み重ねていくことが、最終的に新規国債の発行額が17年ぶりに30兆円を下回るなど、全体の成果につながっていったものであると思います。

これだけ建議の内容が反映されて、税収も伸びて、借金も減ったのなら、さぞかし財政健全化も大きく前進したのだろうと思うのですが、実際のところは2025年度のプライマリーバランスが赤字になるという。この矛盾は、これは一体どうしたことなのかということで、極めて残念。しかも、去年の7月の内閣府の試算では、初めて黒字になると予測されていたので、一転して4兆円を超す赤字になってしまっては、これは絶好の機会を逃してしまったのではないかなという思いがあります。

資料でも御説明あったように、赤字になったのは昨年11月の経済対策の影響が大きかったということで、去年の衆院選で、前年度を上回る補正を、という総理の発言がどのように影響したのかということも含めて、経済財政諮問会議の民間議員ペーパーでも、PBが黒字化しない、というこの結果の検証と反省を求めています。これは経済財政諮問会議だけに任せるのではなくて、財審としても検証して今後に生かしていくことが、今後必要になるのではないかなという気がします。

広瀬委員からも御指摘ありましたように、今、与野党間の予算の修正協議が山場を迎えています。この修正協議次第では予算の姿も大きく変わって、PBの赤字がさらに膨らむ可能性も否定できない状況にあるということです。もちろん国民の意思を反映して、国会で予算が決まっていくことが望ましい姿ではありますが、同時に国会に求められるのは、将来世代に責任を持つ議論だと思います。財源を示さずに、予算を膨らませるのはとても責任ある議論とは言えないですから、与野党とも責任を自覚して議論していってほしいということを思います。

あと最後に1点だけ。今後大事なのは、2025年度のPB黒字化が困難になると、次の目標をどうするかということです。これは6月の骨太の方針までに議論するのでしょうが、新しい目標を設定するとすれば、できるだけ早期に、特に具体的な年次をきちんと明記するようにしていただきたいと思います。今回の内閣府の試算では、2026年度に黒字化が可能ということですが、これは補正予算が含まれていないということです。PB黒字化目標を早期に達成するため、この具体的な目標年次の明記、及び、補正予算で黒字化を妨げられないこと、これを新年度以降の要望としたいと思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、末澤委員、お願いします。

末澤委員どうもありがとうございました。先ほどの片山課長の御説明からも、建議の内容が相当予算に反映されたということは本当によかったと思います。ただし、これはあくまでミクロ的な話でございまして、マクロ的に申し上げると、2025年度のPB黒字化は未達の可能性が高い。私はやはり2025年度の黒字化が実現できないということは相当問題であると思っています。

なぜかと申しますと、もともと小泉政権時に、団塊世代が65歳の前期高齢者に突っ込んでいく2010年代初頭の黒字化が目標にされた。その後、目標は2015年度、2020年度、2025年度となってですね。一方、昨年末に団塊世代も全て75歳に到達したのです。団塊世代がいわゆる後期高齢者になり、今後、医療費、介護費が膨らんでいくことが予想されます。実は、昨年末には団塊ジュニア世代はもう50代に突入しています。彼らは就職氷河期と重なり、新卒時の非正規率が高い。結果、婚姻率も低くて、子供が少ない。今後、彼らが高齢化した際に、誰が見るのか。やはり生活保護率が相当急増する可能性もあるのです。

ですから、2025年度までにPBを黒字化しようと、こうした目標だったのですが、今回これは未達ということなので、やはりこの問題については背景の分析とともに、今後新たな目標を早期に設定し、それを担保する仕組み、一部はやはり独立財政機関の設置もあるかもしれませんが、そうしたことを是非やっていただきたいと思います。

私が心配しているのは、昨日、長期金利が1.34%ということで、これは2011年2月以来14年ぶりの水準に上昇しています。背景には、1月24日に日本銀行が政策金利を0.5%引き上げたこと。これは2008年9月のリーマンショック直後、2008年10月以来の、16年ぶりの高水準なのです。今の日銀の説明によると、年内にも追加利上げの可能性が高まっております。0.75%となると1995年以来ということで、これは30年ぶりの高水準になります。当時金利は下がっていたので今回も大丈夫ではないかという意見もあるのですが、私は95年と今では相当違うと思います。95年というのはちょうど日本の生産年齢人口が過去ピークで、円の実効為替レート、円の価値が一番強かった時代です。1980年代後半から1990年代後半にかけて1人当たり名目GDPは10位以内でした。昨年の1人当たり名目GDPは39位という見通しが出ていまして、当時と比較すると国力が相当低下してきているのです。

長期金利がここまで低利で安定した背景というのは二つあって、一つはやはり個人金融資産のホームカントリーバイアスが相当強かったこと。私の試算だと95%円建てです。もう一つは、過去はずっと国力が強くて、経常収支も黒字だったということで、要は、ファイナンスが国内で賄える。ただ、この要因は相当変わってきています。経常収支は黒字で、昨年29兆円と過去最高になりましたが、これは全て第一次所得収支なのです。相当部分が再投資されている。つまり、国内に残っていない。ホームカントリーバイアス、これは相当変わりつつあります。やはり昨年の新NISAの導入で、いわゆるオルカン、S&P500が人気を博しており、今の若い人が本当に国際分散投資に目覚めており、これはかつてなかった状況なのです。これはやはりパフォーマンスを見ており、日経平均、去年2月に3万8,915円に回復しましたが、この間にNYダウは14.5倍になっているのです。為替を考えると大体15倍です。つまり、やはり海外に投資した株のほうがよかった。国内はなかなか国力が厳しい、潜在成長率が厳しくなっている。こうした考え方がだんだん浸透してきているので、経常収支は黒字であるとしても、海外に全て再投資されれば、キャッシュは残らないですから、やはりこの長期金利の動向も少し私は気をつけるべきであると思います。

つまり、金利のある世界が本格化する、しかも、以前とは少し違う形での金利のある世界。今回日銀が、円安や輸入インフレに気を遣って金利を上げているのも事実なので、そうした面では本当に財政についても少しレベルを変えて見守っていく必要があるのではないか。そうした意味では、2025年度は本当に正念場であると思いますので、是非この審議会の頑張りを期待したいと思っております。

以上です。

増田分科会長代理ありがとうございました。

それでは、ここでオンラインに移って、佐藤委員と福田委員に御意見をお願いします。

初めに佐藤委員、どうぞ御発言ください。

佐藤委員よろしくお願いいたします。本日はオンラインで失礼いたします。では、大きく3点ほど手短にお話しさせていただきます。

1点目は、既にお話が出ていますが、2025年度のプライマリーバランスの黒字化が達成できなかったというのは、やはり残念だと思います。では、次どうするのかということについて、プライマリーバランスの黒字化をいつまでに達成できるのかということと併せて、やはり実効性を高めるような財政ルールというのが必要かなと思います。今年度も、当初予算に加えて13兆円規模の補正予算が出ており、補正予算で結局財政状況が悪くなる、これを繰り返してきているのですね。であれば、もうこれからの予算管理というのは、当初予算と補正予算を一体化していく。例えば大型の補正予算を組むのであれば、その分翌年度に支出が繰り越されますので、その分に対応して、翌年度の当初予算の支出は抑えるなどをやらないと、なかなか歳出の抑制にはつながらないかなと思います。もちろん目標を掲げるのは大事なのですが、その実効性を高めるようなルールづくりというのも欠かせないと思います。

2点目です。税収が増えていくことは悪いことではないですが、国民に還元するということで、今、103万円の壁問題が話題になっております。正確には、既に行政サービスという形で国民には還元されているはずですが、それがなかなか見えていないのだと思うのです。私、以前、東京財団政策研究所でアンケート調査を何回か取ったことがあるのですが、国民の多くは、財政赤字の原因は政治の無駄と高い公務員の人件費だと思っているということです。つまり、社会保障だと思っていないのですね。だから、自分たちの受益が実は財政赤字の要因になっているということ、これはあまり国民に伝わっていない気がします。とすれば、やはり皆様から受け取った税金がどんな形で皆様に、国民に還元されているのかという、そのお金の流れを分かりやすく説明していくということ、これは欠かせないかと思います。国民に財政赤字を自分事にしてもらうという視点が欠かせないと思います。

最後なのですが、やはりいつまでたってもいかに消費を喚起するかという、規模ありきの財政運営が続いていると思います。もう既に何年か前から経済財政諮問会議でも議論しているとおり、これからはむしろ供給サイドに注目して、供給力の強化、具体的には生産性の向上などに着目した財政運営があってよいと思います。もちろん、だからデジタル化であり、だからこそ労働生産性の向上なのです。いいかげん需要を盛り上げるとか消費を増やすという話ではなく、日本経済の成長力、生産性を高めるという形の成長力に注目していく必要があると思います。賃上げはこれから続けていく必要があるのですが、これも生産性が向上した結果であって、生産性向上なしの賃上げというのは持続しないと思いますので、サプライサイドを重視した財政運営というのはこれからの基本方針であるべきかと思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、福田委員、どうぞ御発言お願いします。

福田委員私からは、プライマリーバランスの内閣府の見通しに関して1点だけコメントさせていただきたいと思います。この図を見れば、かなり改善してきているようには見えますが、実績値と将来見通しでは全く違うコンセプトで描かれた図であるということは注意する必要があります。実はこの見通しの図というのは、少し専門的にはなりますが、GDPギャップがゼロという形で描かれているということは注意する必要があります。すなわち経済は不況にはならないということを前提にした図であるということで、これは過去投影ケース、つまり非常に成長率が低いケースでもそうです。ところが、左側の実績値は、実際の経済が不況になったりしたことを反映した図ということになります。

そうした意味では、右側が左側の上側をちょうどなぞったような図になっているということは注意が必要です。将来的にも、当然様々な負のショックというのは起こり得り、その場合経済が大きく落ち込むわけですから、そうしたときには成長率が下がり、プライマリーバランスが大きく赤字になるという問題意識を持ってこの図を見るべきで、将来的にプライマリーバランスは黒字に推移していくという見方は楽観的過ぎます。実際には、左側をもっと伸ばすともっとマイナスの時期というのはいろいろとあったわけです。経済はしばしば大きなマイナスのショックが起こって、財政は大幅な赤字になるということも含めて将来見通しを見るべきで、この図の右側は一見よさそうですが、決して楽観できるような状況ではない、という問題意識を我々は持つべきであると思いました。

私からは以上でございます。

増田分科会長代理ありがとうございました。

それでは、会場に戻しまして、中空委員からお願いします。

中空委員ありがとうございます。もう多くの委員の方がおっしゃいましたが、1点目は、プライマリーバランスの黒字化目標をどうするかです。プライマリーバランス黒字化目標があったからこそ、大分よいところまで来たというのは事実だと思いますし、それから財政健全化を着実に推進しているという御説明もありました。実際に国債発行額が減ったというのも事実であると思いますし、地方財政も健全化してきた。税収も多くなっているにもかかわらず、歳出がこれだけ膨張しているのは、これは芳野委員もおっしゃいましたが、やはり問題であると思います。その上で、ザイム真理教と呼ばれることもありますが、私たち財審としては、どのようなプライマリーバランス黒字化を目標として改めて打ち出すのか、ということです。

2点目は、一方で、メリハリの効いた財政を使っていくことも重要であるということです。財政健全化というのは緊縮財政ではありませんので、何に使っていくかということが大事なのだと思います。このところ外国人の投資家の来日が大変多くて、その人たちはいずれもアメリカに次いで期待している国は日本なのですよね。日本の現状はすごく良いと、30年間来ていて一番良いと言って帰る人も多くいます。ということで、今こそ、経済再生も財政健全化も獲得できるのではないかという期待感もあるわけで、この時期に何をしなくてはいけないか、私はやはり何よりもメリハリだと思います。日本が失ってきた競争力の強化のために、財政をきちんと使えているかどうか。そこは例えば先ほどイノベーションに使っているというお話がありましたが、金額はかなり充てているのですが、きちんと経営強化や成長に資するものになっているかどうか。これはEBPMをきちんとやって、見ていく必要がある。競争力を強化し、格付を上げていくということかと思っています。

最後1点は、非常にミクロ的な話になりますが、このところ、道路の陥没が多過ぎる。10年間以上、私がこの財審に入らせていただいてから、国土強靱化の話はかなりやっていると思うのに、何をやってしまっているのでしょうと思います。国土強靱化やスマートシティなど、良いことをたくさん言っているのに、実はできていないのではないかと言われないためにも、どこが弱いかを見て、優先順位はつけていただく必要があります。やはり国土強靱化に充てたお金はうまく使用して、日本の安全を守っていかなくてはいけないと思っています。つまり、ミクロ的なところからも検証が必要になってくるのではないかと思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、吉川委員、どうぞお願いします。

吉川委員ありがとうございます。私からは1点、御説明にもありました医療の高額療養費制度についてコメントをさせていただければと思います。私自身日本の医療保険の核は高額療養費制度であると考え、そうした議論をしてまいりました。医療費が膨張していく中で、いろいろ考えなくてはならず、今回改正するということで、詳しい議論は国会で今、議論されているのだろうと思いますが、ここで医療保険の柱が高額療養費制度ということは、改めて述べさせていただきたいと思います。

その上で、これまでどんな議論をしたかということを思い出してみると、かつて診療所、病院を問わず、全て通院に対して、患者がワンコインを置く、という案がありました。これは3割負担という医療保険の枠組みを守るという趣旨から、医療保険適用外のワンコイン制度ということで議論してきた。名前は何でもありだろうと思っています。「お医者さん・医療関係者ありがとうのワンコイン」など、何でも良いのですが、100円、500円、とにかく置く。これは分かりやすいですし、今すぐに数字は出せませんが、かなりの財源になると考えております。

少し前の財審で、「リフィル」の薬の処方に関して、お医者さんに行かなくてはいけないケースと、薬局で薬がもらえるケースの二つの制度が併存しているという話がありました。そのこと自体、私は、頭の中でクエスチョンマークがつきますが、ともかくワンコインは薬局でのリフィル処方を促進する、という良い意味での副作用もあると考えています。

それと今回、高額療養費制度に関するメディアでの報道を見ていて、私自身少しびっくりしたのですが、今でも申請すると後日、差額が還付されるという説明をしているメディアがありました。私の理解では、厚生年金ではそうしたことはなくて、国民保険の問題だと思うのですが、それも20年前には卒業したのではないかと私自身は個人的に思っていたので、申請すると後日、差額を還付という制度がいまだに2025年に残っている、というのは一体どういうことなのだろうかと思います。

現在はこの制度をめぐって、患者団体などでいろいろ議論されているようですが、私は、日本政府が、主としてこの医療保険の設計者である厚労省が国民に対して、この保険を十分に説明していないと思います。また、その設計が十分にできていない。

我々みんなが使っているクレジットカード、これは世界中、どんな小さな店で買物をしても、幾ら使ったかリアルタイムで記録されます。これだけDXと言っているのに、医療の支出に関してこれができていない。これができれば、小難しい表現で言えば「非線形」に、高額になる療養費をぐっと抑え込む保険の設計は十分に可能です。もちろんそうした考え方は現行制度でもあるわけですが十分でない。保険は月々ですから、人によっては上限が何か月も続いています。介護保険と医療保険合算の高額療養費制度についても、申請すると後日差額還付というこの制度の下で、実質的に利用度、利便性が落ちていると思います。

ですから、現在、高額療養費制度について議論されるということは、それはそれとした上で、今後、皆様指摘されているように、高齢化の下で医療費はどんどん膨らんでいくわけですから、もう一度、保険適用外のワンコインを真剣に考える必要があるのではないか。ありがとうございました。

増田分科会長代理ありがとうございました。

それでは、神子田委員、どうぞお願いします。

神子田委員本日も詳細な御説明ありがとうございました。ザイム真理教の話が出たのですが、森永さんが亡くなられたのを機に、その『ザイム真理教』の本を手に取って読んでみました。もちろん鋭い指摘とか、なるほどと思うところもあるのですが、国の借金と一般の人の借金は違うというところを一生懸命説明しているところで、私は少しついていけなくなったなと感じました。理屈をこねていかないと、結論にたどり着かないように感じてですね。もっとシンプルに考えることも大事なのかなと改めて思いました。

実はNHKで、初歩的なことをラップで伝える動画をYouTubeでやっています。例えば、国の政治をみんなで決めないといけないが、1億人も一遍に集まれない。だから代表を選ぶ、それが選挙だ、のようにごく当たり前なことです。でも、この国の借金に関しても、やはり借金したら返さないといけないとか、たくさん借金すると、返すのが大変とか、たくさん借金している人は信用されないとか、そうしたことをシンプルに訴えていくということが大事だし、やはり常識のようなものでこれからも訴え続けていくということは大事なのかなというのを、森永さんの本を読んで感じました。

そして、毎年、財審は春と秋があって、春が始まる前に、この機会があって、新年度予算についての御説明を受けます。最近、予算を積み過ぎて繰越しや不用になる、そうしたのがすごく多いという話になりますが、財審もそれを検証する場となってもよいのではないかと思いました。例えば、今新年度予算を審議していますが、これが修正されてどのぐらいの予算になりましたと公表するタイミングや、来年度の決算で果たしてどれだけ使ったかがわかるタイミングにおいてです。私は、メディアも年末の予算編成時だけでなく、決算のときももっと大騒ぎして行動すべき、これまでもそれをやってくるべきではなかったかと思っています。この財審においても、決算が出たタイミングで、実際どう使われたのか、どの辺がつける必要はなかったのかなどを、少し検証するような機会を設けてもよいのかなと思っております。

以上です。

増田分科会長代理それでは、平野委員、どうぞお願いします。

平野委員ありがとうございます。令和7年度の予算は、先ほど御説明をいただいたとおり、様々な工夫を凝らしていただいたと思います。労いの言葉をお伝えしたいところではありますが、芳野委員をはじめ、何名かの委員が御指摘されたとおり、今年度にPB黒字化の達成が見込めなくなったことは残念であり、全体を見たときにこれで良かったのかという疑問は残ります。実際、初めから前年度を上回ると銘打った大型補正予算が組まれ、また、今も少数与党下で野党から競うように多額の財政支出を伴う施策が求められている状況には強い懸念を持たざるを得ません。このような状況を見ると、財政の健全性や生産性、すなわち財政支出の有効性を高めるために、一定の制度的な枠組みを導入する必要があると感じています。佐藤委員が財政ルールについて言及されていましたが、財政制度等審議会もそのような議論をすべき時期に来ていると思います。

例示的ではありますが、4つ申し上げます。

一つ目。2026年度以降の長期の財政健全化目標の設定についてです。先ほど大槻委員がおっしゃったように、仮に PBを黒字化できるとしても、その後どうするのかを考えるべきであるというご意見はそのとおりだと思っています。具体的には、国の信用力の維持・改善のためには、引き続き、PB黒字化と債務残高対GDP比の引下げが不可欠であるということはしつこく主張し続けるべきです。債務残高対GDP比さえ下げれば、PB黒字化を無くしても良いのではないかという議論が一部で聞こえてきますが、それは極めて危険だと思います。債務比率に関しては、「安定的に引き下げる」とだけ示されていますが、中長期の目標値を設定すべきです。というのも、南海トラフや首都直下型地震といった200兆円前後の被害が予想される大規模な震災・災害、あるいは地政学リスクが高まる中で、そうした有事にも対応できるような財政余力を確保していく必要があります。そのための分かりやすい目標として、債務格付の改善を図るべきであり、債務比率の目標値の設定はその第一歩になると考えています。

これは私見ですが、有事における大規模な財政出動に耐えるだけのバッファを持っておくためには、平時における格付を少なくとも1ノッチアップして、AAゾーンに引き上げておくべきではないかと考えています。そうすれば、仮に格付が3ノッチ引き下げられても、政府や民間企業が資金調達できるAゾーンに収まります。私は最近毎年行っている主要格付機関との定点観測の中で、今申し上げたような可能性も含めて、彼らの見方を聞いてみたいと思っていますが、先日S&Pが格下げリスクを示唆したという新聞報道について、事前に彼らと少しやり取りしたところ、記事は彼らの意図と少し異なるという話も聞いています。折を見てその結果をシェアさせていただきます。

二つ目。中期の財政フレームワークの導入についてです。これも先ほどから皆様が言及されていますが、大型補正予算の恒常化や基金の拡大、特別会計の肥大化などにより、一般会計の当初予算だけを対象とした枠組みがあまり意味をなさなくなってきていると思います。戦略的な財政運営という観点からも、政府・与党が政策の優先順位付けを含む中期的な経済財政運営の方針を明らかにし、それに基づき3年程度のいわゆる中期財政フレームを策定して、政策分野ごとに優先順位付けと歳出の総額を設定する枠組みを導入すべきであると思います。諸外国には様々な先行事例があるので、これを参考にして、日本ならではの制度をつくるべきではないかと思います。

三つ目。ペイアズユーゴーについてです。これは、かつて財審でも議論されたことがありますが、新たに恒久的あるいは義務的支出や減税を伴う施策を導入する際に、財源も同時に決定するという原則です。御承知のとおり、アメリカでは法律で定められており、オーストラリアやニュージーランドでも同様のルールを定めています。冒頭も申し上げたような、無責任、無軌道な議論に歯止めをかけるためにも、こうした原則を何らかの形で導入できないかと考えています。

最後に、本来、政策形成・決定を行う際には、政策目的を明確にしたうえで、政策手段がその目的に最適であるかどうかを客観的なデータに基づいて検討して、その政策がもたらすプラス・マイナス両面の効果、あるいは短期・中長期的な効果をそれぞれ評価し、総合的に考慮した上で判断しなければいけないわけですが、そうした当然のことができていないことは、連日の国会の審議を見れば分かることです。したがって、このような状況下においては、以上申し上げたような制度的な枠組みが必要だと、このところ強く感じています。

以上です。

増田分科会長代理続いて田中委員、どうぞお願いします。

田中委員田中です。ありがとうございます。まず2025年度PB黒字化という言葉を聞いたことのある一般の方も多いかなと思う中、今もう2025年となり、この先どうなっていくのだろうと。次なる目標がやはり分かりやすく掲示される必要があるかなと思っています。今回、どう総括するかですが、次の年度を切った目標のようなものがやはりあったほうが良いのかなというふうに思っております。

これまでもこの財審では持続可能性と未来を見据えて議論を重ねてきました。これからの国会審議で、やはりまた新たに、際立つキーワードや繰り返し報じられるようなポイントなどが野党から出ると思いますが、国民一人一人の問題意識に応えられるよう、秋の財審の中でエビデンスとなる重要なデータやグラフが適切なキャプション付きで示されているように、正確な情報がいろいろなメディアから報じられるとよいなと思っています。

もう1点、建議の中にはミクロ的な視点から、各分野において財源を意識して予算を生かしてくださいねということも常に書かれています。それによるアウトカムやKPIなどの目指すものは、施策の目的や背景の理解、共通認識の醸成に役立ちます。投資が牽引して、また成長が果たされるということも標榜されている中で、各施策、取組において建議に込めた思いが実践されていくように、春の財審でもこれからも考えていければと思います。よろしくお願いします。

増田分科会長代理それでは、國部委員、どうぞお願いします。

國部委員片山調査課長、ありがとうございました。御説明いただいたとおり、令和7年度予算については、重要政策課題の対応に加えて、経済再生と財政健全化の両立などにも配慮したバランスの取れた予算になったと理解しています。建議内容の予算への反映に向け、様々な努力をされてきた財務省の方々には敬意を表したいと思います。

春の財審に向けて、足もとの世界の金融・経済情勢を概観いたしますと、世界経済は、当面は米国が牽引する形で良好な環境が続くかもしれませんが、財政問題は大きなリスク要因の一つです。昨年の選挙イヤーを経て、世界中でポピュリズムが台頭する中で、欧州では財政悪化を理由にフランス国債が格下げされ、イギリスでも新しい政権が財政拡大方針を示したことから、長期金利の上昇が続いています。過去のトラスショックも想起され得るものかもしれません。アメリカにおきましても、新政権発足に際して、債務上限への抵触や、トランプ減税延長による財政悪化への懸念が示されるなど、財政規律に対する投資家、格付機関の関心が高まっていると思います。

今後は、政府債務残高の水準が突出している日本にもこれまで以上に厳しい目が向けられる可能性があり、市場の信認をどのように維持していくかが重要な課題となります。その点、2025年度のPB黒字化目標が補正予算により結果的に未達の見込みとなった点は懸念材料です。今後も目標未達になる事態が繰り返されますと、我が国の財政健全化に向けたスタンスが疑われかねないと思います。

このような認識の下で、春の財審で議論すべきポイントとして2点申し上げます。

1点目は、財政健全化目標とアクションプランに関してです。財政に対する市場の信認を維持するためには、健全化に向けた道筋が見える目標を設定し、実現に向けたアクションプランを策定の上、着実に実行していくことが重要です。石破総理も先日、PB黒字化目標について、時期の明示を含め議論していくと言われましたが、市場からの見え方も意識した目標の再設定と、実現に向けた具体的なアクションプランを示す必要があると思います。

難しいとは思いますが、具体策として、例えば財政赤字や政府債務残高に上限を設定し、独立財政機関を設置してその遵守状況をモニタリングする枠組みを、財審で議論し、建議に書き込むべきではないでしょうか。こうした枠組みができれば、今回、PB黒字化未達の主要因となった補正予算にも規律を効かせていくことができると考えます。

2点目は、国民の理解醸成に向けたEBPMの推進についてです。先ほども話題になりましたが、最近の103万円の壁や高校無償化に関する与野党協議の様子を見ていると、当面の国民負担の減少やそれによる消費押し上げといったプラス面と、財政負担増などのマイナス面が、個別ばらばらに論じられている印象があります。本来、政策論議ではプラス効果とマイナス効果の両面を科学的根拠に基づき算定し、それを国民に共有した上で、全体としてその是非を議論することが必要と考えます。財審の建議は、財務大臣に向けた提言ではありますが、報道等によって広く国民の目に触れるものであることを踏まえれば、EBPM推進の一環として、注目度の高い政策については、建議の中でプラス効果とマイナス効果をエビデンスとともに示すべきです。そうすれば、政策の全体像に関する国民の理解度が高まり、より建設的な議論ができるようになるのではないかと思います。

以上でございます。

増田分科会長代理それでは、小黒委員、どうぞお願いします。

小黒委員丁寧な御説明ありがとうございました。日本経済のデフレからインフレ基調に転換し、医療費などの社会保障関係費が対物価ではやや圧縮できそうな気配がある。この点は個人的にも重要であると思いますが、これから2025年度の骨太方針を見据えながら、財政健全化の新たな目標などを検討していくということだと思います。

私からはこの点、やや細かい話で恐縮なのですが、本体資料22ページとの関係で、財政健全化の目標の目安につき少し発言させていただきます。この22ページ目の資料は、御承知のとおり2025年1月17日開催の経済財政諮問会議で、内閣府が示した中長期試算の最新版ですが、内閣府のデータによって、1995年度から2024年度の名目GDP成長率を平均しますと0.7%弱ということで、これは過去投影ケースの前提に近いものになっているということであると思います。

財政健全化は、1、2年で達成するものではなくて、何十年も時間を要するほか、改革の途中でリーマンショックなどの景気後退が一定間隔で必ず起こるため、これまでのトレンドを保守的かつ慎重に評価するということであれば、やはりこの過去投影ケースで財政の持続可能性を判断するということも一案かと思います。

では、今回の試算から読み取れることは何か。まず政府は、2025年度までに国・地方のPB黒字化を目指しておりますが、この過去投影ケースでは2025年度の国・地方のPBは赤字で、2026年度にPBが黒字化される。1年遅れで財政健全化目標が達成できる可能性を示唆するものになっており、テレビや新聞などでも報道されているわけですが、これは今後の財政状況の見方について楽観的ではないか。何人もの委員の先生から既に指摘がありますとおり、そもそもこの見方は誤解であると思います。というのも、基礎的財政収支を国と地方合計ではなくて、国単独で評価すると、補正予算を組まずとも赤字が継続するという試算結果になっているからです。

本体資料22ページでは記載がありませんが、今回の試算の過去投影ケースで、内閣府が出している試算の、財政の詳細計数表を確認すると、国のみの基礎的財政収支対GDP比は、2026年度から2034年度で一貫して約、大体1%の赤字となっています。そうした意味で、国単独での基礎的財政収支は全く均衡していない状況です。国の単独の基礎的財政収支対GDP比が約1%の赤字で均衡していないにもかかわらず、2026年度以降、国・地方を合わせた基礎的財政収支がおおむね均衡している最大の理由は、地方の基礎的財政収支対GDP比が1%程度の黒字になっているからです。

あと足もとでは、日本銀行が今、金融政策の正常化を進めており、段階的に利上げを行っていくという予定です。このような状況の中で、後年度負担の試算もありましたが、やはり長期金利が上昇していけば、国債などの債務残高に関する利払費も増加していくということが見込まれる。その場合、やはり基礎的財政収支の利払費をも加えた、財政収支がどうなっていくのかということを計数表で確認することも重要なわけですが、過去投影ケースでそれを見ますと、国・地方合わせた財政収支対GDP比は2026年度の0.7%の赤字から、2034年度には1.9%の赤字になっていくということが計数表から読み取れるわけですが、それでも、これは国・地方合計で今申し上げたものですが、国単独で見ると、国単独の財政赤字対GDP比は2026年度の1.8%から、2034年度で2.7%まで拡大するということになっています。

この状況が継続すると、国の債務残高、地方を入れずに、国の債務残高対GDP比はどうなっていくのか。これは私が東京財団政策研究所においてレビューで予測を出しているのですが、ドーマー命題を使って少し簡単に計算し、私の計算ではすぐにではないのですが長い時間をかけて、国の債務残高対GDP比は増加し最終的に300%を超える可能性もあるということを指摘しております。

現在、2024年度の国の債務残高対GDP比は内閣府の計数表では約180%ですが、名目GDP成長率が過去投影ケースの場合で、国の債務残高対GDP比を現在とおおむね同一水準の180%にとどめるために、2034年度における国の財政赤字対GDP比をどこまで圧縮しないといけないかを計算すると、2.7%から1%程度まで圧縮しないといけない。これは何を意味するかというと、国の財政赤字対GDP比を約1.7%ポイント縮減する必要があるということで、この1.7%の改善というのは、国・地方を合わせた基礎的財政収支対GDP比で評価するとすれば、これは一定期間までに国・地方の基礎的財政収支を対GDP比で2%弱まで黒字化する必要があるということを示唆するということではないかと思います。ですので、この点も考慮し、引き続き財政健全化の取組を進めていただければと思います。

私からは以上です。

増田分科会長代理それでは、熊谷委員、どうぞお願いします。

熊谷委員ありがとうございます。私からは大きく3点申し上げます。

第一に、我が国のPBを黒字化するためには、水膨れした補正予算の規模をコロナ化以前の規模に戻し、歳出構造の平時化を図っていくことが不可欠となります。現在、社会経済活動は平時に移行したわけですが、コロナ禍以前の経済対策における国費ベースの財政支出の規模を検証いたしますと、GDPギャップがゼロのときには、おおむね3.5兆円程度で、そこを発射台として、GDPギャップがマイナス方向に1%ポイント動くにつれて、1.5兆円程度増加するという大まかな傾向が見られます。こうした傾向を現在の状況に当てはめますと、直近、2024年7-9月期のGDPギャップはマイナス0.4%ですから、現状は4兆円程度の財政支出額が適当であり、昨年末に策定された一般会計で13.9兆円、特別会計や財政投融資もあわせると15.9兆円の、国の財政支出を伴う大型の経済対策は必要がなかったということは疑う余地がありません。

平野委員、國部委員、佐藤委員等からも御指摘がございましたように、春の財審では、当初予算と補正予算を一体化するような形で、実効性のある財政ルール、財政制度を構築すべきであると考えます。

第二に、少数与党政権の下で、歳出拡大圧力が強まることが懸念される今こそ、財政の健全性を維持することの重要性を改めて強く認識するべきです。その際には、我が国の経済の基調がデフレからインフレへと転換し、「金利のある世界」が訪れたことを心に刻む必要があります。すなわちデフレ経済の下では、政府の財政支出に景気を下支えする一定の役割が求められましたが、佐藤委員などからも御指摘ございましたように、インフレ経済においては企業や個人の活力を引き出し、民需主導の自律的な経済成長を実現するようなサプライサイドを重視した政策対応こそが求められます。また、財政のみによる問題解決は困難なケースも多く、財政と規制・制度等の改革を車の両輪として対応を図るべきであると考えます。

こうした観点を踏まえて、政策の内容を工夫するとともに、EBPMを強化し、財政出動が経済成長につながっているか否かを不断に検証することが不可欠です。予算をしっかりと優先順位付けして、効率の低い事業は見直し、効率の高い事業には大胆な予算配分を行うべきですし、新たな政策を導入する際にはペイアズユーゴー的な観点などを踏まえて、必ず財源とセットで国民に提示するべきであると考えます。

第三に、これは、いわゆる「103万円の壁」の問題などを見ていて強く感じる点ですが、政府には、現在生じている目先の問題を解決する方策のみならず、様々な制度の相互作用などを踏まえた上で、歳入と歳出の一体改革、税と給付の一体改革、税と社会保障の一体改革などに関するグランドデザイン、ビッグピクチャーをフォワードルッキングに提示することが求められます。国民民主党によれば、いわゆる「103万円の壁」の引上げにはブラケットクリープへの対応、労働供給の拡大、国民の生存権の確保という三つの目的がありますが、これらの問題を税制のみで抜本的に解決することは極めて困難であり、税制のみによる解決を強行すれば、結果的に税収の大幅な低下など様々なひずみが生じます。

今後は、例えば上記の三つの目的を個別にきめ細かく検証するような形で、冷静かつ論理的な議論を科学的根拠等に基づいて行うことが切に望まれます。

私からは以上でございます。ありがとうございます。

増田分科会長代理それでは、遠藤委員と、それから、宮島委員です。まず遠藤委員、どうぞお願いします。

遠藤委員ありがとうございます。現在、少数与党政権において、各党が掲げる方針が続々と明らかになってきているのですが、本日の財審の場で議論するアイテムではないとは思うものの、ほとんどの施策が財政膨張につながるものであって、衆院選での成功を経て、参院選をにらんだ、ポピュリズムとも思えるものも散見され、非常に危機感を覚えております。

個別の問題としては1点だけ。医療費について、現在、高額療養費制度が議論されていますが、私自身としては、そもそもの保険の性質として、難易度の高い医療を受ける際に備えるという要素は重要であると思っています。OTCや延命治療などこれまでいろいろな議論を重ねてきた問題については、当然クリアしなければならないと思われ、その上で高額の医療保険を中心とした保険制度の再構築が必要だと考えます。何人かの委員の方もおっしゃっておられましたが、それを社会に対して、世論に対してきちんと認知させる努力が必要なのではないかと考えております。そして、もっと重要なのは、一律3割負担に向けた議論を重ねることだと思います。こうしなければ、個別の問題を解決しても、そもそもの医療費制度への切り込みにならないと考えます。

最後に、世界的な関税のかけ合いのトレンドの中で、インフレ圧力はますます高まってくると思います。経済へのダメージはもちろんなのですが、世論の政策への不信感の高まりというのも予想されていて、先ほど申し上げましたポピュリズムの問題と絡みながら、不安定な1年となることを踏まえた財政議論が必要だろうと考えております。

以上です。

増田分科会長代理続いて、宮島委員、どうぞお願いします。

宮島委員宮島です。どうもありがとうございます。これまでの方々がおっしゃったように、まさに、修正をかけて予算が国会で話し合われるタイミングでポピュリズムになりがちだなと思って見ております。一方で、こうして国民の前で今までよりはオープンな形で議論されるというのは非常に重要な機会であると思っています。野党の中でも、全く誰もがポピュリズムで財政を考えていないというわけではないので、特に政治の方々には、それぞれの財政に対するスタンスを明確にする形での議論をお願いしたい。そして、そのバックアップをしっかりと政府もしていただきたいと思っております。

一つ、この間に会計検査院からいろいろな報告が出ておりまして、ここまでの基金の在り方、つけたお金の使い方、予備費の流用など、いろいろな指摘があります。こうした指摘はそれぞれもっともなところもあると思いますし、反論もあると思うのですが、やはりあまりにもひどい使われ方やこれはないよというのがあると、そもそもの国民の財政への信認を非常に毀損するものになると思っております。会計検査院とは手を携えられる組織であると思っていますし、ここのところ、ずっと外への発信も非常に多くなっているので、こうした機関と連携をしながら、健全化に向かう必要があるかと思います。

特に春の建議では、中立的にこれからの財政を見る機関の是非や、長期的な試算、信頼できる試算というのをどうつくっていくかというような議論も必要であると思っております。どうぞよろしくお願いします。

増田分科会長代理どうも皆様ありがとうございました。御発言を希望される方は以上ですので、事務方の方、何かありますか。よろしいですね。

それでは、本日の議論は以上とさせていただきます。

ここで御連絡ございますが、本分科会については、各委員の皆様方の任期は2年間となっておりまして、この体制は3月末までで今回が最終回ということになります。この2年間、大変御熱心な御審議、ありがとうございました。

また、最終回に当たりまして、本日御欠席の十倉会長から皆様方への謝辞をお預かりしておりますので、これについては、片山調査課長に今ここで代読をお願いしたいと思います。

片山調査課長僭越ではございますが、代読させていただきます。

委員の皆様方におかれましては、本日も御多忙の中、御出席をいただくとともに、貴重な御意見をいただき、御礼申し上げます。

本日は、現体制での最後の会合となりますが、この2年間、当分科会では活発で大変実りの多い議論を行い、令和5年の春、秋、令和6年の春、秋と、合計4回の建議を取りまとめることができました。その間、増田会長代理、土居部会長代理、並びに起草委員の皆様方の御尽力に対しましても、改めてこの場をお借りして感謝申し上げます。

経済の新たなステージへの移行が進んでいる中、広範な政策課題を認識して、先見性を持って対応していくということが非常に重要であり、これまでの取組の進捗・成果を後戻りさせることなく、経済再生と財政健全化を両立させる歩みをさらに前進させていく、そうした中におきまして、本分科会の果たす役割は一層重要になってまいります。

委員の皆様方におかれましては、引き続きの御支援、御協力をお願い申し上げたいと思います。

以上で私の謝辞とさせていただきます。ありがとうございました。

増田分科会長代理会長からのお話でございました。会長、どうもありがとうございました。

それでは、本日は以上とさせていただきますが、この後、会議の内容について、私からいつもどおり記者会見で御紹介したいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

本日はこれで閉会とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

午前11時00分閉会