財政制度等審議会財政制度分科会
議事録
財政制度等審議会財政制度分科会議事次第
令和6年11月29日(金)13:00~14:00
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)
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1.開会
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2.議題
- とりまとめに向けた審議
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3.閉会
分科会長 |
十倉雅和 |
斎藤副大臣 新川事務次官 宇波主計局長 前田次長 中山次長 吉野次長 端本文書課長 有利総務課長 馬場主計企画官 山岸司計課長 小澤法規課長 山本給与共済課長 片山調査課長 松本(圭)主計官 石田主計官 松本(千)主計官 寺﨑主計官 今野主計官 河本主計官 八木参事官 大来主計官 末光主計官 山川主計官 菅野主計官 横山主計官 副島主計監査官 山本予算執行企画室長 黒坂主計企画官 小田切公会計室長 |
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分科会長代理 |
増田寬也 |
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委員 |
大槻奈那 河村小百合 小林慶一郎 佐藤主光 武田洋子 土居丈朗 宮島香澄 安永竜夫 芳野友子 |
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臨時委員 |
上村敏之 遠藤典子 小黒一正 木村旬 権丈英子 末澤豪謙 田中里沙 中空麻奈 平野信行 広瀬道明 福田慎一 堀真奈美 横田響子 吉川洋 |
午後1時00分開会
〔増田分科会長代理〕時間になりましたので、ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。本日はお忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
本日は斎藤副大臣にお越しいただいております。どうもありがとうございます。斎藤副大臣におかれましては初回でございますので、ここで一言御挨拶を頂戴したいと思います。それでは、副大臣、どうぞよろしくお願いします。
〔斎藤副大臣〕斎藤でございます。10月に副大臣を拝命いたしました。
委員の先生方におかれましては、日頃から大変熱心な御議論をいただきまして、心より感謝を申し上げます。
初回でございますので、簡単に自己紹介いたしますと、私、国会議員になる前は公正取引委員会の職員でございました。内閣府の公共サービス改革推進室にいたこともございますので、発注というか、公共支出の適正化につきましては一貫して仕事として関わってまいりました。直近では自民党で行政改革推進本部の事務局長もさせていただきまして、行政改革につきましても非常に強い関心を持ってございます。
先生方に御議論いただいている内容に関しましては、全て本当に重要な内容であると思っているのですが、例えばこれから金利が上昇していく中で利払い負担が増えていくことや、国債が国内市場で償還できるのだろうかということ、また財政余力をもっともっと残しておかないと、いざというときの出動や、逆に景気が過熱した場合はしっかり締めるというメリハリが効かなくなるのではないかということについては、特に危機感を持ってございます。また、医療経済につきましても今回御議論いただいていますが、医師がいくら供給しても、供給が需要を誘発して、いくら医師が増えても医師過剰という声が上がらないという構造についても、非常に危機感を持っています。
そのほか、幅広い内容で極めて重要な御議論をいただいておりますので、是非ともお取りまとめをいただきまして、また、私どももこのおまとめに従って、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。
非常に重要な内容で、傍聴するのを楽しみにしていたのですが、この後、公務の都合で退席させていただきます。御挨拶だけで失礼いたしますが、今後とも御指導のほどよろしくお願い申し上げます。
以上です。
〔増田分科会長代理〕副大臣どうもありがとうございました。
副大臣はここで御退席されます。どうもありがとうございました。
本日は、お手元に配付している建議案について御審議をいただくということでございます。当分科会で本日取りまとめをして、会議終了後、その建議を十倉会長、それから起草委員の方々から加藤大臣へお渡しをする予定でございます。本日、実は国会も午前中に開会式がございましたが、午後、所信表明演説が衆・参で行われ、加藤大臣も出席をされるということで、多少時間がタイトになっておりますので、この後も時間厳守で進行管理していきたいと思います。
今回の建議案ですが、前回、20日の分科会やその後書面でいただいた御意見を踏まえて、起草委員の皆様に御修正をいただきました。
お手元には前回の会議で御審議いただいた案文からの修正を赤字で見え消しにしたものと、その内容を溶け込ませたもの、それぞれ配付しております。御参考にしていただきたいと思います。
前回の分科会の最後に、修文案は起草委員の皆様に御一任をお願いしたいということを申し上げまして、御異論なかったところでございます。その後、起草委員の皆様に議論いただきましたが、皆様のコメントのうち、当審議会で行われた議論との関連性が低いもの、当審議会で行われた議論の方向性とは異なると判断されたものなど、反映を見送ったものもございますが、全体としては数多くのコメントを、可能な限りこの中に反映をしていただいております。本日御賛同いただけるものと、このように思っております。
まず前回の会議で御審議いただいた案文からの主な変更箇所について、事務局から補足説明をしていただきたいと思います。そしてその後、内容を確定させた後、御感想等々、あるいは次の春に向けての話など、いただく時間も確保しております。
それでは、まず片山調査課長からこの建議案について、簡潔に説明をよろしくお願いします。
〔片山調査課長〕改めまして、建議の取りまとめにつきまして、皆様の御協力に感謝申し上げます。駆け足ではございますが、お手元の見え消し版に沿いまして、御意見の反映状況を御報告いたします。なお、起草委員の先生方からも修正箇所多数ございますが、そこの御紹介は省略させていただきます。
まず1ページ、「もはやコロナ禍ではない」というところでございます。冒頭、多くの委員の先生から御意見をいただきました。起草委員の先生方とも御議論いたしまして、この「もはやコロナ禍ではない」という印象に残るフレーズは残しつつも、その後のところで物価上昇、金融環境の変化など、経済が新たなステージに移行しているということ、それに基づいて新たな政策課題が出ていること、また人口減少等々の課題もあるということなど、単に楽観的なことを言っているわけではなくて、違った課題、あるいはもともとあった課題があって、それに向かってしっかり対処しなければいけないということを丁寧に書き下すということで、冒頭のセンテンスはこのまま残させていただければと思っております。
また、今まだ引き続きコロナ禍の影響で苦しんでいる方もおられますので、脚注1で、そうしたところに配慮し、今後も引き続き対応するということも明記しております。
続きまして、1ページ24行目、分かりやすくということで宮島委員からいただきましたアドバイスを反映しております。
2ページ3行目4行目、これも末澤委員から時系列に沿って書いたらどうかということも反映してございます。
8行目、民間部門・政府部門につきまして、費用対効果と言うほうがなじみが良いのではないかとの、熊谷委員、小黒委員からの意見を反映しております。
3ページ22行目、雇用情勢につきまして、生産年齢人口の減少もしっかり書くべきということで、熊谷委員、堀委員からの意見を反映してございます。
4ページ18行目、企業における人材育成の必要性ということで、芳野委員の意見を反映してございます。
それから、23行目、労働移動の円滑化で大事なのは生産性や成長力ということで、熊谷委員、平野委員からの御指摘を踏まえております。
5ページにいきまして、日本も主要先進国ということで、大槻委員の意見を踏まえております。
6ページ上、物価高の対応について、メッセージ性が分かりにくいという神子田委員からの御指摘を踏まえて修文してございます。
7ページ上、物価高対策につきまして、大槻委員、熊谷委員からもう少し分かりやすくということで、それも反映しております。
9ページ2行目、金融市場のボラティリティーという言い方をしっかり分かりやすくということで、大槻委員、熊谷委員、田中委員、堀委員からの御指摘を踏まえてございます。
10ページ、22行目、非伝統的金融政策というところについて分かりやすくという堀委員の御指摘を反映してございます。
12ページ10行目11行目、また一番下の脚注16で、独立財政機関についても触れてはどうかという意見が大槻委員、熊谷委員、芳野委員、小黒委員、平野委員からございましたので、それを踏まえてございます。
26、27行の辺りはワイズスペンディングということもしっかり書くべきということで、熊谷委員、末澤委員からの意見を反映してございます。
13ページ1行目の注17、行政事業レビューシートについてしっかり書くべきということを熊谷委員、上村委員からの御指摘を反映してございます。
5行目(3)、推進だけではないという宮島委員からの御指摘を踏まえて、「行動」ということを入れてございます。
10行目、大槻委員からの、しっかり一助となるということを書くべきであるという意見も反映してございます。
21行目、環境問題と同様だということをフォローすべきという田中委員の意見を反映してございます。
14ページ4行目の脚注20、一番下のところですが、小林委員からの意見を踏まえ、将来世代からの評価を受けることで現役世代も効用が上がるというところも書いてございます。
続きまして社会保障、15ページでございます。
15ページ5行目から10行目、冒頭の段落を入れるということを熊谷委員、木村委員、堀委員から御指摘いただきましたので、それを入れてございます。
18ページ1行目の注27、こども未来戦略についてしっかり書き込むべきということを熊谷委員、小黒委員から御指摘いただきました。
その下の注27の中で「また」というところで、マクロ的に管理する手法を取り入れるべきではないかということを、熊谷委員、小黒委員、平野委員から御指摘いただきましたので、それも取り入れてございます。
20ページ、また21ページの冒頭の少子化のところですが、しっかり進捗管理について書いているのはよいのだが、KPIとは何かが分かりにくいという、末澤委員からの御指摘を踏まえてございます。
21ページの4から7行目の辺りもKPIの考え方、小さい、大きいという評価についても分かりやすくという、堀委員からの御指摘を踏まえてございます。
同じ21ページの22行目、23行目、こども誰でも通園制度とそれに伴う業務負担について芳野委員からのコメントをいただきましたので、それを反映してございます。
24ページ一番上、こうした医薬品につきましては公的保険の内外ということを考えるべきというのを、秋池委員からの御指摘を踏まえてございます。
38ページに飛んでいただきまして、21行目、22行目、いわゆるタスクシフト、タスクシェアということをしっかり書くべきというのを、熊谷委員、小林委員、宮島委員、大槻委員、堀委員から御意見頂戴いたしました。
40ページ11行目の注44、地域別診療報酬について、いろいろな進め方あるいは見方を書くべきで、権丈委員、堀委員から御意見いただきましたものを反映してございます。
43ページ2行目、3行目、オンライン診療につきましても書くべきであるという、芳野委員、平野委員の御意見を踏まえてございます。
同じ43ページの17行目、24行目の辺りは、病床につきまして機能分化・連携、総病床数の縮減等をかみ砕いて書くべきという、堀委員の御指摘を踏まえてございます。
45ページ2行目から4行目の辺り、国の保険医療機関の指定の在り方をしっかり考え直すべきというのが平野委員の御意見でございまして、それを踏まえてございます。
少し飛びますが59ページ、10行目辺りにある注53、基礎年金の給付水準の関係につきまして、芳野委員から御意見をいただきましたので反映しております。
20行目、「将来世代に更なる負担をつけ回すことのないよう」というのを付け加えるべきという、小黒委員の御意見でございます。
また飛びます。78ページ、地方財政までまいります。
78ページの一番上のところですが、一般行政職員の数が増えているのは多様な住民のニーズを踏まえたものであるという、これも芳野委員からのコメントでございます。
79ページ25行目の手数料、それから80ページ8行目の使用料、これらは具体的に書いたほうが良いという横田委員からの御指摘がございましたので、注のところで内容を書いてございます。
同じく11行目、デジタル化ということもしっかり書くべきという横田委員のコメントでございます。
同じく80ページの28行目、人口減少や無居住化も考えるべきというのが上村委員の御指摘でございます。
81ページ2行目、隣接する団体のみならず、連携というのがポイントであるという横田委員の御指摘でございます。
4行目にある注83、行政分野別の縦割りを排し、分野横断的な視点でということを、熊谷委員、平野委員から御指摘いただきました。
続きまして、防衛にまいります。
83ページ21行目、「サイバー」ということを入れるべきという熊谷委員の御指摘でございます。
84ページ12行目、防衛予算は経常的に必要なものであるということを熊谷委員から御指摘いただきました。
その下、14行目、15行目は、国民に対する説明責任について、平野委員から御指摘いただきました。
85ページ20行目、現下の自衛官の充足率等、人材確保が大事であるということが、芳野委員からの御指摘でございます。
87ページ7行目、インド太平洋地域における平和と安定という大義ということが、木村委員の御指摘でございます。
11行目、12行目、省庁横断的にということを、芳野委員、平野委員から御指摘いただきました。
89ページ、外交にまいります。
8行目、国益を最大化させるということをしっかり明記というのが熊谷委員のコメントでございました。
少し飛びまして、92ページ4行目、5行目、こちらにつきましても「スクラップ・アンド・ビルドなどを通じた」メリハリということを入れるべきというのを、熊谷委員からコメントいただきました。
93ページ、文教にまいります。
9行目から12行目、ここをしっかり継ぎ足して書くべきであるというのが、熊谷委員、末澤委員からの御指摘でございました。
注109、先生が担う業務につきまして、負担感と必要性といった辺りをしっかり考えるべきということを、秋池委員、大槻委員からコメントを頂戴いたしました。
94ページ9行目、これは見出しでございますが、ほかと並べるべきという、熊谷委員、田中委員、横田委員からのコメントで、「人材配置」とさせていただいております。
少し飛びまして97ページ18行目、ポツを並べているところで、横田委員からのコメント、並びの整合性をしっかりとってくださいということを反映してございます。
98ページ9行目、10行目、地域間のバランスも踏まえるべきであるという辺りを、大槻委員、広瀬委員からコメントを頂戴いたしました。
103ページは科学技術でございますが、3行目、基礎研究につきましても触れるべきであるというコメントを反映しております。大槻委員、平野委員からのコメントでございます。
続きまして社会資本整備、106ページにまいります。
106ページ1行目、注130の5か年計画について、どの分野か明記すべきという、秋池委員からの御指摘を反映してございます。
注132、避難所は多様なニーズを反映できるような体制を構築すべきという、芳野委員からのコメントを反映してございます。
107ページ21行目、こうしたインフラの管理能力の強化も必要であるという、上村委員からの御意見を反映してございます。
108ページ15、16行目、広瀬委員からの、国民の皆様にこれまでの効果をしっかり示した上で理解を醸成すべきという御指摘も反映してございます。
110ページ、1行目、PPP/PFIアクションプランないし4行目、民間事業者の視点について、広瀬委員からのコメントでございます。
116ページ、農業にまいります。
116ページ、3行目から13行目、リードパラグラフを入れるべきという、大槻委員、宮島委員からのコメントを反映してございます。
120ページ20行目、21行目、こうした新基本法の趣旨を踏まえながら各手段を比較較量すべきという辺り、宮島委員、芳野委員からのコメントでございます。
122ページ20行目の注156、地域計画をしっかり実効性があるものにしていくべきであるという、宮島委員の意見を反映しております。
123ページ11行目、12行目、何のための国民負担の最小化かということを明確にすべきというのが、田中委員の御意見でございます。
下の注157は、労働条件や就業環境の改善も重要という、芳野委員からの御意見です。
注159、令和の米騒動についても触れたほうが良いのではないかというのが、熊谷委員、木村委員からの御指摘でございます。
125ページ、国内投資・中小企業等に飛びまして、2行目から7行目、こちらにつきましては、小林委員からこうしたことを明確にすべきなのではないかという御指摘がございました。
1点、126ページの5、6行目の辺りから沢山見え消しがついておりますが、簡単に御説明申し上げますと、実は前回の11月20日の時点では決定していなかったのですが、半導体をめぐるフレームが11月22日の経済対策の別紙の中で閣議決定されました。閣議決定されたフレームの考え方は、おおむね我々が提案している内容に沿っておりましたので、基本的にはそれを紹介しながら、今後第三者的な視点での評価などは引き続きやるべきということを付け加えております。これにつきましては大変恐縮でございますが、起草委員の先生方と御相談しながらこの文案にさせていただいておりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
129ページまで飛んでいただきまして、7行目、8行目、支援対象となる企業の判断には一定の柔軟性を考えるべきという、平野委員の御指摘でございます。
131ページ4行目から8、9行目まで、これは支援の正当性について、官民一体で達成ということを、こちらも平野委員からの御指摘でございます。
132ページ7行目、8行目、補助金の各種支援を不断に見直すべきということを、大槻委員、広瀬委員から御指摘いただいてございます。
133ページ10行目から12行目、中小企業が地域に果たす役割について触れるべきという、秋池委員、芳野委員の御意見でございます。
134ページ、3行目から6行目、パートナーシップ構築宣言など、芳野委員、滝澤委員、広瀬委員からのコメントでございます。
137ページ、デジタルにまいります。
137ページ21行目、22行目、3割削減に向けた進捗状況をしっかり把握すべき、それから新規システムをしっかり考えるべきという、平野委員の御指摘でございます。
最後、139ページ21行目、22行目、行政職員のリスキリングや再配置ということもしっかり触れるべきであるという、芳野委員、平野委員の御意見を反映してございます。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕どうもありがとうございました。御覧いただきましたとおり、委員の皆様の御意見はできる限り反映されているのではないかと思います。そこで、まず建議の内容を確定させたいと思いますので、ここで皆様方にお諮りをしたいと思います。お手元に配付しております建議(案)のとおり取りまとめさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
〔増田分科会長代理〕どうもありがとうございます。異議ございませんでしたので、お手元の内容で建議は確定をさせていただきます。どうもありがとうございました。
それでは、これより意見交換の時間ということで、最大14時少し前まででございますが、皆様方から今回の建議の内容や、秋の財審全体を通じた御感想、あるいは、今財政を取り巻く諸般の状況について春先から変わってきていること、さらには来年春に財審として議論を再開して取りまとめる建議に向けてなど、もろもろ御感想を頂戴できればと思います。いつもどおり会場、それからオンラインとそれぞれ5名ずつぐらいで指名したいと思いますので、会場の皆様方はネームプレートを立てて、適宜合図をしていただければと思います。
それでは、早速でございますが、会場で芳野委員から順次御発言いただければと思います。よろしくお願いします。
〔芳野委員〕ありがとうございます。
まず、起草委員及び事務局各位の御尽力に敬意を表したいと思います。また、連合から提出しました意見書からも様々取り込んでいただき、改めて感謝を申し上げたいと思います。時間も限られていますので、一言だけ申し上げます。
今回の建議では、財務課題について国民の理解と議論の喚起が重要との指摘がありましたが、少子高齢化、人口減少、格差の拡大と貧困の固定化など、我が国が抱える構造課題を限られた財源の中で適切に対処し、将来世代に持続可能な経済・社会を引き継ぐためには、安定した財源の確保と財政の健全化を同時に達成しなければなりません。そのためには不断の努力で税・財政一体となった抜本改革に取り組んでいく必要があるということを申し添えたいと思います。
なお、非常に個別のことで大変恐縮なのですが、行政の合理化・効率化の目的は、多様化する住民ニーズに対して質の高い行政サービスを安定的に提供することとすべきであり、まずは地方自治体職員の雇用の安定と処遇改善に取り組むことが重要であることを改めて申し上げておきたいと思います。ありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕それでは、続いて大槻委員、お願いします。
〔大槻委員〕ありがとうございます。お取りまとめ、本当にお疲れさまでした。これだけ多様な意見をよくこれだけ取り入れたなと本当に感服です。
一言だけ、ここまでの大作、力作をお取りまとめいただきましたので、次はいかにこれを、芳野委員からもありましたが、議論の喚起、周知、そうしたことに取り組んでいただけるかということであると思います。
世界を見てみると、大分最近、ブラジル、フランス、そしてアメリカと、財政についての注目が極めて高まっていると思います。これはチャンスでもあると思っておりますので、よい意味で、健全な意味での議論を喚起していただきたいなと思う次第です。ついては、委員の中のメディアの方々、それ以外のメディアの方々に対しての皆様からの御説明も重要であると思いますし、拡散もしていただきたいと思います。また、直接お届けするという意味では、我々に対して説明動画を作っていただいていますが、もしかしたら国民の方々全体に分かりやすい動画の発信というのも、今後の課題かなとも思っております。
いずれにしても、お疲れさまでした。あと周知をよろしくお願いいたします。以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、平野委員、お願いします。
〔平野委員〕皆様、大変お疲れさまでございました。素晴らしい建議ができたと思います。特に社会保障に関しては非常に具体的な記載があり、これまで触れられてこなかった制度の改定にも踏み込んでいます。また、どちらかというとインセンティブ設計の話が多かった中で、ディスインセンティブや規制的手法の必要性についても随所で言及されており、非常に高く評価したいと思います。
ただ、現在の国内の政治状況に関して言えば、少数与党であるため、国会での議論などを見ても、どうしても財政拡張的な雰囲気になりつつあると思います。そのような中で、今回、特に総論において、有事と金利という二つの概念を持ち込み、財政の健全化や規律の必要性と合わせて強調して論じている点は、タイムリーであると感じています。
春に向けた課題を申し上げると、今回の建議の内容を実行に移していくためには、以前から申し上げているように、財政制度等審議会として、制度論についてもう少し議論を深めるべきだと思います。具体的には、財政規律や財政規律を守るためのルールづくりに関する議論もこの場で行うべきです。大槻委員もおっしゃったとおり、国際的に見ても、2008年のリーマンショック以降、様々な国が財政の健全化や規律付けに向けて導入すべきルールを模索するための実験を行ってきており、メリット・デメリットも含めた多くのレッスンズラーンドが見えてきているタイミングにあります。したがって、次回の春の審議では、ぜひそうした議論にも踏み込んでいただきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、末澤委員、お願いします。
〔末澤委員〕起草委員の皆様、事務局の皆様、今回は本当に短い時間でこれだけの大部な、良質な建議をまとめていただきまして、ありがとうございます。
ただ、先ほども話がありましたが、来年は実行ですね、これが重要です。なぜかと言うと、二つありまして、一つは基礎的財政収支と2025年に団塊世代が全員75歳になる話です。もともと基礎的財政収支の黒字化というのは、私の理解では2002年頃に小泉政権下で、団塊世代が65歳になり始めるタイミング、つまり2010年代初頭までに、黒字化しなくてはいけない、としてスタートしているのですが、もう65歳になってしまって、今年の年末で全員75歳になってしまうのです。だから、本当にそうした面では、来年以降本当に後ろがない目標だということですね。
もう一つは、年末が近づいているので、干支の話、十干十二支の話をさせていただきます。今年の干支は甲辰、一言で申し上げると新しいトレンド、新しい勢力が生まれる意味があります。実際、今年多くの国で与党が敗れまして、イギリス、アメリカ、日本で新たな政権が生まれている。来年は乙巳、乙というのはウッド、今年が木の兄だったので、木の弟ですね。巳は蛇ですね。乙という字、植物は、伸びるのだけれども抵抗勢力やいろいろな障害があって伸び切れない。ただし、そこを越えれば蛇のように再生して、脱皮して大きなトレンドになる。乙巳はこうした意味がありまして、来年は恐らく相当いろいろな障害があります。日本でも参議院議員選挙がありますし、トランプ政権が登場して、ここを乗り越えられるかどうか。特に財政面でも2025年度のPB黒字化ができるかどうか、ここが大きな岐路、節目になるのではないかと思っていますので、是非来年に向けて一段と頑張っていきたいと思います。よろしくお願いします。どうもありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕それでは、安永委員、お願いします。
〔安永委員〕まず初めに、本建議の取りまとめに御尽力いただきました起草委員の先生、それから事務局の皆様に御礼申し上げます。
今回は本当に海外出張と重なるケースが多くて、参加が少なくて貢献が少なかったと思うので、最後に一言言わせていただきたいのですが、海外へ行って本当に思うのが日本のITの後進性です。私は、ITに限って言うと後進国になってしまったのではないかというくらい、これは技術開発の分野もそうなのですが、社会実装の面で遅れていると感じます。そうした中で、建議に異論はないのですが、R&D(研究開発)のところで、「投資の量を拡大することではなく」というのを、「先進国に劣後させることなく」と追記してほしいというのを言ったのですが、「いたずらに拡大することではなく」と「いたずら」が追加されただけでありまして、これで本当に良いのかなと。もちろん官の問題ではなく、むしろ民間の問題であるとは思うのですが、それを誘導するための政策がもっとないと、科学技術立国としてDX、GXを引っ張る国にはなれないのではないかというのをものすごく私は危惧しています。具体的に言えば、インフラ、金融サービス、それから医療、モビリティ、更には生産現場においても我が国はITにおいて劣っているケースが出始めている。このことを、皆が実感した上で、どういうふうにこれからの国づくりをやっていくか。特に先ほど来のお話で、75歳以上が増えてきたときに医療の生産性をどうやって上げるかというのはものすごく大事で、そのためにはもっとIT投資をしなくてはいけない、それから社会実装に向けたスピード感とスケール感を出していかなくてはいけない。この点は、最後ですが、強く申し上げたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕宮島委員、お願いします。
〔宮島委員〕大変な建議の取りまとめ、ありがとうございました。
これから先、国民の理解や行動を盛り上げていくという話になっていると思います。一方で、今SNSを中心に、非常に乱暴な議論や意見などもある状況です。財務省としても発信をどうしようかというところがあるのではないかと思いますが、多くの一般の人はサイレントなので、乱暴な意見を投げかけている方々に屈することなく、きちんと伝えるべきところは伝えてほしいと心から思います。特に財務省は、顔が見えないからこそ、悪の権化みたいに言われがちなところがありますので、まさに皆様が思っていらっしゃるように、国民とともに歩む財務省をどうイメージづくっていくかということは大事であると思います。伝え方を工夫し、財政教育の少し上から圧力がかかるような感じを減らし、財政が困ると本当は一番困るはずの若い人たちに問題意識を伝えたいなと、私たちも思っています。
もしかしから、具体的なアクションから動くことがあるかもしれないとも思います。リフィル処方箋などは、先に患者のほうで盛り上がり、大きな推進力となりました。気候変動対策などにおいても、これをやることがよいことだという形を具体的に作ることができると思うので、そうしたやり方については厚労省などとも相談してほしいです。例えば農水省は、水産物の風評被害に対してSNSなどをうまく活用して、消費量を結構上げるなどもできていたと思います。この辺り、今のSNS時代にどのように国民に伝えていくかということに関しては、より工夫をお願いしたいと思います。
〔増田分科会長代理〕それでは、上村委員、お願いします。
〔上村委員〕起草委員と事務局の皆様、本当にお疲れさまでした。
建議は作って終わりではなくて、これから国民にどうやって浸透させるかが課題であると思います。広報の在り方もしっかり、今までの御意見にもありましたが、検討すればよいかなと思います。特に要約版が重要かなと思っています。要約版、ざっと見るとなかなか難しい用語が入っているので、そこをどうにかして分かりやすく伝えていくところに、課題があるのかなと思っています。例えばポンチ絵を使うなど、そうした工夫もあるかなと思いますが、ただ、少し軽くなってしまうかなと思ったりもするので、そこは検討の余地があるかと思います。内容は非常に幅広いし、重厚なだけに、どうやって国民に浸透させていくかというところについても、今後検討していけばよいかと思っています。ありがとうございました。お疲れさまでした。
〔増田分科会長代理〕それでは、小黒委員、お願いします。
〔小黒委員〕起草委員の皆様、それから事務局の皆様、本当にお疲れさまでした。
今、政治は少数与党という厳しい環境にあると思いますが、例えば103万円の壁など、そうした税制改正への対応なども懸念としてある中で、非常に時宜に見合った建議ができたのではないかというふうに思います。
これは前回も申し上げたことですが、世界的にいろいろな情勢変化がある中で、デフレからインフレという経済に各国とも変わってきているというところで、日本でも金利の上昇や物価、賃金の上昇も出てきている。ある意味で、経済に新陳代謝を促すメカニズムがあり、これが財政にもいろいろな効果をもたらしているという状況ですが、新陳代謝は財政にも必要だと思います。当然、予算面では、EBPMなどを通じて個別政策の有効性を高めること、また政策の優先順位をつけてスクラップ・アンド・ビルドをやっていくということ、これは当然重要です。ただ、特に社会保障の中の一番重要な医療・介護ですね、こうした社会保障予算についても財政の持続可能性や、新陳代謝を含めたイノベーションの両立をしっかりと今後も取り組んでいただきたいと思います。
この点で一つ、今回、複数の委員から指摘があった医療などのマクロ管理手法について、脚注という形であったとしても建議に盛り込まれたことは大きな前進ではないかなと思います。今求められているのは、インフレが顕在化する中で、いろいろなステークホルダーの利害関係は当然ありますが、きちんと成長を促進しながら、新陳代謝も促しながら、医療などの資源配分の最適化を図っていくこと。当然、事前の財政規律として歳出の適切な管理を行うということは非常に重要なことではないかと思います。
最後にですが、先ほど申し上げましたとおり、デフレ下からインフレ下に経済が変わってきていること、また国土全体の空間管理も含めた人口減少、そうしたことを踏まえて中長期的な財政などの資源配分をどうしていくのかというところについても、予算編成上の「基本的戦略」というのでしょうか、もしくは「哲学」を、きっちり今後議論を進めていただければなと思っております。
以上になります。ありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕それでは、権丈委員、お願いします。
〔権丈委員〕このたびの建議、すばらしいと思います。どうもありがとうございます。それとともに、所得再分配政策を進めていくことの難しさを感じております。いろいろな国で、放っておく、つまり市場に任せるばかりでは、分断が進んでいく社会を統合していこうとして社会保障は行われるのですが、連帯を理念とする社会保障は、分断が進み過ぎると残念ながら運営することさえできなくなってしまいます。しかし、それでは生活に関わる多くのことが自己責任での対応を迫られることになりますし、市場が抱える問題も大きくなってしまいます。是非この建議にあるような、適切な経済財政政策を通じて、そうした負のスパイラルに陥らないよう進めていただければと思います。ありがとうございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、田中委員、お願いします。
〔田中委員〕ありがとうございます。今、財政を取り巻く状況も大きく動いていて、また、それぞれの世代や立場の方々の関心が本当に多様に広がりつつある中で、大筋はすごく明確で、細部に配慮を凝らした建議をまとめていただいたと感じております。起草委員の先生方、事務局の皆様に感謝を申し上げます。
この先、立ち向かうべき困難もあると末澤委員から予告もいただいたところですが、金利のある世界で、財政が悪化したら経済は低迷するわけですし、消費も活性化しない。将来世代へのしわ寄せを高めることへの危機意識を、しっかり共有せねばというスタンスは強化しなければと思いました。財審で提供いただきました資料には、その根拠や行動のきっかけとなるようなエビデンスやグラフやデータ、調査結果が本当にたくさんございました。これを未来社会の基盤を作るためのファクトブックなどのような形で、社会共有の重要事項に関する資料として認識してもらうという働きかけは、すごく重要であると思います。なぜか財務省とは違う資料がたくさん出てきて、それを基に皆様が議論するということもよく伺うのですが、企業の一般的な広報においても、重要なファクトブックのようなものがよく活かされて、そこからPRが発展するというところもございますので、是非そこを強化していくことで理解も深まるのではないかなと思っております。いろいろな方法で、このすばらしい建議が皆様の行動指針になるような働きかけができればと思います。ありがとうございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、広瀬委員、お願いします。
〔広瀬委員〕皆様ありがとうございました。私は、民間セクターとして地方や中小企業を活性化する、こうした視点でいろいろ意見を言わせていただきました。いろいろなところで反映いただきまして、ありがとうございます。
その上で3点、簡単に申し上げたいと思います。一つは、さきの総選挙で政治情勢が一変し、取捨選択や優先順位が極めて難しくなってきたのではないかなと。いろいろなものが公倍数的に膨らんでしまう、そうした危険性が出てきた。そうしたときだからこそ、この財審も含めて、財務当局の役割、責任というのは非常に大きくなってきたのではないかと思います。是非財務省におかれましては頑張っていただき、あんまり頑張ると沈没してしまうので、踏ん張っていただき、頑張っていただきたいと思っております。
二つ目は、103万円の壁ですが、これは税と年金、いろいろな壁があって、それらが複雑に絡み合っているということを広く知らしめたということで、よかったと思っております。昭和のモデルで作られた現在の税と社会保障の枠組みを見直す絶好の機会と思っておりますので、是非議論を深めて、具体的な改革につなげていただきたい。
三つ目は、議論についてなのですが、単なる技術論だけではなくて、今後日本をどういう国にしたいのかというようなところまでを含む議論に恐らくなるのではないかなと思います。よく、上位1%の富裕層が全体資産に占める割合というのがありますが、この30年間、アメリカ、中国、それからほとんどの国は集中度が高まっているのですが、日本はほぼ横ばいであり、これは税と社会保障の影響が大きいのではないかと言われております。社会の分断や対立は結局、社会的コストにはね返ってきますので、国の姿、国の在り方という観点からこうした社会システム、税や社会保障など、そうしたところにも議論を広がることを、最終的にはもちろん技術的な話になると思うのですが、是非期待しております。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、木村委員、お願いします。
〔木村委員〕すごく充実した内容の建議をまとめていただいて、起草委員の先生方、事務局の皆様、本当にありがとうございました。
私から短く2点申し上げたいと思います。一つは建議の時期ですね。せっかく立派な内容の建議をまとめたのですが、1週間前に政府は補正で13兆円を超す経済対策を決めました。本日これから補正の閣議決定があると聞いているので、明日の新聞は巨額の補正予算と、歳出抑制を求める今回の財審の建議と、両方が載るということで、政府は一体どっちを向いているのだろうと、読者は戸惑うかもしれません。建議自体は当初予算を主に対象にしているということは承知していますが、近年、大型の経済対策を策定することが常態化しています。実態に合わせて建議の時期をもう少し早めるとか、あるいは正式な建議の前に中間的な論点整理というのでしょうか、財政総論の部分だけでも早期に公表するとか、何らかそうした形を検討してもよいのではないかなというのは思いました。
もう1点、皆様おっしゃっているように情報発信の在り方ですね。宮島委員もおっしゃいましたが、SNSで無責任な減税を求める意見が飛び交って、財務省への誹謗中傷も激しいと聞きます。残念なのは、こうしたSNSの声も踏まえてでしょうか、一部の政治家がさらにそれを後押しするような発言を繰り返していることです。ただ、こうした時代だからこそ、財審として将来世代に責任を持つ提言をする、建設的な提言をするという、その重要性は一段と増していると思います。あとはこれをいかに効果的に、世の中の皆様に理解してもらうかが問われていると思います。タウンミーティングなどで国民との対話を深める、そうした手法も以前あったと伺いますが、SNS時代はまた違うアプローチもあるかもしれません。私に妙案があるわけでもないのですが、何かしらそうした国民にアプローチできるような手法を、様々な形で、是非検討していただきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。せっかくですので、今度は起草委員の先生方からお願いしたいと思います。土居委員から、一人2分ぐらいでお願いします。
〔土居委員〕私も一委員として手を挙げたのですが、皆様の御協力をいただきまして誠にありがとうございました。我々も仕事を全うすることができました。ありがとうございました。
確かにこの前の総選挙では、物価高に対する不満が投票行動にも表れたところはあったと思います。ただ、経済現象として見てみると、物価高というのはいわゆるインフレ税だという言い方を経済学でも言うように、物価高になって庶民は苦しむのですが、一方で名目立てになっている政府債務は、その分実質価値が目減りして、場合によっては対GDP比では下がっていくということになる。このことは、真っ当な財政政策をしないとインフレで借金を返すということを繰り返すままになる、ということだと思うのです。デフレのときには財政健全化はなかなか国民の理解を得るのは難しかった、インフレになって何とかもう少し御理解いただけるのかなと思ったらまだまだ全然駄目で、もちろん賃金が上がればもう少し理解があるのかもしれないが、永遠に理解がないままというのを繰り返してしまうと非常に不幸なことであると思います。やはり、物価高は暗に物価が上がって借金がそれによって返されているという変な形での負担増なのだということを、国民の皆様に理解していただく形で、真っ当な財政政策の御理解を深めていただくというところに、私なりに微力ながら頑張りたいと思います。ありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕それでは、中空委員、どうぞ。
〔中空委員〕今までの多くの先生が言っていただいたことは本当にそうだと思っていて、どうやって情報発信をしていくかなど、考えなければいけないなと思いますし、木村委員がおっしゃったタイミングについては確かになと思っています。今回は建議素案も含めてスケジュールがかなり詰まっていたので、こちらもやや焦りを感じたところです。
また、やはり政治的な思惑や動向に、私たちは一体どこまで配慮するのかというのは、時折感じるところです。典型例としてはコンパクトシティの話をするときに、いつもこれはまずいという話になるんですけれども、何がまずいのか、よく分からないと思いながら、確かにと割り切っている自分もいたりして、政治的な思惑や痛みを伴う施策についても、どんどん意見を発信していかないといけないのではないかなと思っています。それこそ、これからは壁の話があるので、財政弛緩をしないように、財政弛緩をしたら何がまずいのかということがきちんと言える建議を出していけたらなと改めて思った次第です。御協力のほど、本当にありがとうございました。また、これからもよろしくお願いします。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、佐藤委員、どうぞ。
〔佐藤委員〕皆様、御協力ありがとうございました。非常に立派な建議、自分で言ってはいけないですね、きちんとした建議ができたのかなと思います。
さて、今回の103万円の壁について、仮にこれを引き上げたとしても、経済が活性化すれば税収減は賄えるという楽観論も出ています。これに対して、内閣府が試算を出していたではないですか、実際財政赤字が1%近く悪化するという。これからはこの種の議論が大事かと思っていて、これから補正予算を打つにしろ、何らかの財政出動をするにしろ、それがもちろん経済に対するインパクトと合わせて、財政に対してもどのような効果を持つのか、数字を合わせて出すということは必要かと思います。ネットの世界というのは非常にショートノーティスで、いろいろなショートメッセージで議論が進みますので、長い文章ではなくて明確なメッセージ、具体的には数字が良いと思うんですよね。ですから、実は財政赤字がこんなに広がるのですよ、で終わり。こうした形で明快なメッセージを国民に伝えていくということがあってよいかなと思います。また、私が地方財政をやっていてつくづく思うのは、国民の受益は地方が行う行政サービスから得ているということ。一方、税金を集めているのは国です。だから国民から見れば、国からは税金は取られっぱなし、地方の行政サービスはタダという認識で、税収と支出がつながっていないのですよね。これをきちんとつながるように、見える化させていくということ。もし何らかの財政ルールを作ると言うのであれば、この辺りの制度設計、見える化というのも今後考えていく必要があるのかなと思いました。
私からは以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、武田委員、どうぞ。
〔武田委員〕皆様、大変貴重なコメントをありがとうございました。
2点、意見を述べさせていただきます。1点目は、明らかに経済のステージが変わり、従来の需要喚起の政策ではなく、供給力を上げなければいけない時代になっているという認識です。世界でも物価高に対する様々な影響が出ていますが、日本においてもいかにこれまでできていなかった制度改革を進めるか、先ほど広瀬委員が昭和の制度とおっしゃいましたが、そうした制度を見直す必要があると思います。また、安永委員もおっしゃいましたように、生産性を上げていくということが本質的に重要です。歳出の生産性が高い分野への重点化に関しては、これまでと局面が変わったことを踏まえた議論が必要と思います。
2点目は、繰り返し述べてきましたが、将来に対し責任ある政策運営を真正面から求めていく必要があります。高齢化は待ってくれませんので、社会保障の制度改革や、地域がこのままで良いのかということも含め、全体として人口減を前提とした制度の在り方については、引き続き春でも議論させていただければと思います。
以上です。ありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕それでは、河村委員、お願いします。
〔河村委員〕今回、特に建議の取りまとめで、御意見をいただく時間がとても短い中、御協力や御指摘をいただいて、本当にありがとうございました。
発信の仕方について、時期や出し方について、何人かの委員の方が御意見くださったと思いますが、そうしたことも考えると同時に、この建議の文章自体がまだまだ改善の余地があるのではないかなと思っています。財政の専門家同士で見て分かる文章というのではなくて、また各省庁がやり取りするときに関係者だけが見て分かるというのでもなくて、普通の国民の目で見たときに分かるような書き方にできればと心がけておりました。できるところは努力しているつもりですが、まだまだ改善の余地はあると思います。やはりいろいろな細かい制度等についてみんなが全て分かっているかというと、そうでないところもあります。そんなに細かいところまではよいのですが、やはり大まかに見たときに何がどう動いていて、国としてどこにお金を使っている、そうしたことぐらいは誰でも分かっているような世の中になって、それでみんなで財政の在り方全体として考えていくことができればと思います。その一助になるような資料に、なかなか他にありませんので、これがなっていけば良いのではないかということで、まだまだ努力しなければいけないと思いますが、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕吉川委員、どうぞ。
〔吉川委員〕私からも本当にどうもありがとうございました。
一言ですが、何人かの方がこの建議の内容を国民にしっかり広報しなければとおっしゃり、全くそのとおりだと思います。と同時に、これも何人かの方がおっしゃいましたが、何とかこうした我々の主張が政治の世界にもう少し届かないものなのかと。やはり最後は理屈というものがそれなりに通る社会でなければ、社会は衰退、沈滞してしまうだろうと私は思いますので、何とか政治がもう少し我々の声に耳を傾けてくれないものかなと思っている次第です。引き続きよろしくお願いいたします。
〔増田分科会長代理〕どうもありがとうございました。
私も最後に一言だけ。今何人かの方がおっしゃいましたが、人口減を前提に本当に内容を考えていく必要があると思うのですが、例えば社会保障にしても、人口ピラミッドを見れば明らかに今のままでは成り立たないので、どうしても2割負担、3割負担の話になります。それから医師の再配置もそうですが、人口減を前提に考えると言いつつ、これは政治を理由にすると少し申し訳ないですが、基本的にインセンティブ中心で乗り切ろうという分野がこれまですごく多かったと思います。例えば社会資本整備のところでも、せっかく10年前に立地適正化計画を制度化しました。その市街化区域の中の居住誘導区域は誘導だけなので、これからは、いわゆる市街化区域と市街化調整区域の逆線引きをきちんとやって、市街化区域であっても市街化調整区域に変えていくようなことをやる。ただし、自治体がそれをやれといっても住民に近い主体がやるのは極めて難しいので、そこは国がきちんとハンドリングをとって、責任を持ってまちづくりの逆線引きをしていくといったようなことも必要になるのではないかと思います。要は、インセンティブ的なことも大いに必要な分野もありますが、将来を見て、もっと強い措置を責任持ってやっていくことが必要になってくるのではないかなと、こんなふうに思いました。
時間になりましたので、それでは、最後に会長から一言お願いします。
〔十倉分科会長〕委員の皆様におかれましては、これまで熱心に御議論いただき、誠にありがとうございました。また、本建議の取りまとめに御尽力いただきました起草委員の先生方にも厚く御礼申し上げます。
申し上げるまでもなく、我が国は、債務残高対GDP比が250%を超える厳しい財政状況にあります。今後、金利のある世界となる中、財政規律の維持は極めて重要です。潜在成長力の引上げや生産性の向上に重点化するなど、メリハリの効いた歳出が求められます。
建議においては、我が国経済は過去30年で最大の賃上げ、基調的な物価上昇、GDPギャップの改善など、経済の新たなステージに向けた芽吹きが見られ、もはやコロナ禍とは異なる状況であることを指摘しました。そして、こうした新たなステージへの移行が進む中、歳出構造の平時化に取り組み、今後の財政運営では骨太方針2024を踏まえ、2025年度のプライマリーバランスの黒字化目標達成を目指す。これに向けて、これまでの取組、進捗、成果を後戻りさせることなく、債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指し、経済再生と財政健全化、これを両立させる歩みを前進させるといった内容を盛り込みました。また、社会保障をはじめとする各分野についても密度の濃い議論を行い、令和7年度予算編成に向けた歳出改革の方向性を示すことができました。
財務省におかれましては、本建議を踏まえ、適切に令和7年度予算に反映していただくようお願い申し上げます。
それでは、皆様、本当に御苦労さまでございました。誠にありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕どうもありがとうございました。
それでは、本日の議題は以上とさせていただきます。
この後、十倉会長、それから起草委員から加藤大臣にこの建議をお渡しして、その後、私から記者会見を行う、こうした運びになっております。
それでは、本日はこれで閉会し、秋の財審はおしまいということになります。この間、大変な御協力をいただきまして、誠にありがとうございました。
午後2時00分閉会