財政制度等審議会財政制度分科会
議事録
財政制度等審議会財政制度分科会議事次第
令和6年11月20日(水)10:00~12:00
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)
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1.開会
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2.議題
- とりまとめに向けた審議
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3.閉会
分科会長代理 |
増田寬也 |
宇波主計局長 前田次長 中山次長 吉野次長 端本文書課長 有利総務課長 馬場主計企画官 小澤法規課長 山本給与共済課長 片山調査課長 松本(圭)主計官 石田主計官 松本(千)主計官 寺﨑主計官 今野主計官 河本主計官 八木参事官 大来主計官 末光主計官 山川主計官 菅野主計官 横山主計官 副島主計監査官 山本予算執行企画室長 黒坂主計企画官 |
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委員 |
秋池玲子 大槻奈那 河村小百合 熊谷亮丸 小林慶一郎 武田洋子 土居丈朗 宮島香澄 芳野友子 |
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臨時委員 |
遠藤典子 小黒一正 木村旬 権丈英子 末澤豪謙 滝澤美帆 田中里沙 中空麻奈 平野信行 広瀬道明 堀真奈美 神子田章博 横田響子 吉川洋 |
午前10時00分開会
〔増田分科会長代理〕時間になりましたので、ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。
本日はお手元の建議案について御審議をいただきます。この建議案は、河村委員、佐藤委員、武田委員、土居委員、中空委員、吉川委員に起草委員をお願いして、御議論いただいて、取りまとめをしていただきました。起草委員の皆様、大変ありがとうございました。
なお、本日は、建議案については紙での配付、参考資料についてはPC端末に格納させていただいております。
まず、審議に先立って、今後のスケジュールを説明したいと思います。
お手元の「建議取りまとめのスケジュール」というメモを御覧いただきたいと思います。本日は10時から12時までの予定で、この素案を御議論いただきます。その後、会議終了後に追加でコメントがある場合は、明日21日、お昼の12時までに事務局へメールで御提出いただきたいと思います。大変ショートノーティスで恐縮ですが、明日の12時が締切りでございます。御回答いただく様式は、昨日、事務局から送付したものをお使いいただきたいと思います。委員の皆様には、重ねてですが、大変短い期間での確認になりますが、よろしくお願いします。
そして、次回の分科会ですが、こちらは11月29日、13時からの開催を予定しておりまして、会議終了後、加藤大臣のお時間が許せば、取りまとめられた建議を大臣にお渡ししたいと考えております。加藤大臣のお時間次第ということになりますが、大臣に11月29日に提出、と考えております。
なお、次回の分科会までの間に開催が予定されております経済財政諮問会議において、加藤大臣から「財政制度等審議会の建議の方向」というものを御報告いただくことが想定されております。次回の分科会との間になりますので、建議の方向という形で大臣が御報告をされると、このように聞いております。その際に使用する予定の資料、「財政制度等審議会の建議の方向」と表紙に書かれたものでございますが、こちらもお手元に配付をしておりますので、御確認いただきたいと思います。
以上が当面のスケジュールでございます。
本日の審議の進行についてですが、まず、ちょうど半ばの11時頃までを目途に、前半戦として第Ⅰ章の財政総論、第Ⅱ章の令和7年度(2025年度)予算編成の課題のうち、社会保障及び地方財政、ここまでを審議をしていただく。そして、11時頃から後半戦として、第Ⅱ章の残りの部分、防衛以下の項目を審議をしていただく。おおよそこうした形で予定をしております。それぞれで、皆様方から御意見を頂ければと思います。起草委員の方々からも前半、後半にコメントをいただくこととしておりますが、全体の進行状況を見ながら、そこはまた考えていきたいと思います。
なお、本日御出席の小林委員、小黒委員、また、御欠席の上村委員から意見書を御提出いただいております。参考資料と同様に、各PC端末に格納しておりますので、お目通しいただければと思います。
それでは、前半戦です。財政総論、社会保障、それから、地方財政について、これから審議を行います。財政総論は、ページ数で言いますと1~13ページ、社会保障と地方財政は1-1ページから2-8ページということになるかと思います。
それでは、会場から5名、オンラインから5名と交互に発言をお願いする形で進めていきますが、恐らく全体のボリュームからすると、お一方大体2分、多くても3分以内にまとめていただくということになろうかと思いますので、よろしくお願いいたします。
会場からまず進めたいと思います。それでは、広瀬委員、どうぞお願いします。
〔広瀬委員〕ありがとうございます。
まず、起草委員の皆様、ありがとうございます。全体としては特に違和感はありませんが、その上で、今後の課題認識について一言申し上げたいと思います。
総論にもありましたが、日本が長く続いた閉塞状況から抜け出して、山積する課題を最小限の痛みでクリアしていくためには、やはり、緩やかな成長が必要であると思います。緩やかな成長の下でこそ、痛みを最小限に抑えて、思い切った改革も断行できるのではないかと思っています。そして、緩やかな成長のためには、賃金と物価の好循環をこれからも回し続ける必要があるのではないかと思っております。賃金につきましては、勤労者の7割を占める中小企業にかかっているわけですが、最近は価格転嫁についての大企業の理解も進んでおりまして、B to Bレベルでは賃上げの機運が醸成されつつあるのではないかと思っております。一方で、B to Cレベルでは、依然消費者のデフレマインドが強くて、その払拭が必要なのではないかなと思っております。個々の家計からすれば当然のビヘイビアなのですが、経済の循環やマクロとしては、大変悩ましい問題であると思っております。
メディア等の役割も私は非常に大きいのではないかと思います。よい商品、よいサービスには値がつくのだと、こうした機運をこれからどう醸成していくのか、実際の消費行動を後押しする政策的なサポートをどう講じていくのか、これが来年の課題ではないかと思っております。そのような視点を、今回の建議の中にも何らかの形で入れていただければ大変ありがたいです。
細かい点につきましては、明日までに意見を提出させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、神子田委員、お願いします。
〔神子田委員〕建議の素案の作成、大変お疲れさまでした。
私からは短く2点です。
まず書き出しなのですが、「もはやコロナ禍ではない」というのは、ジャーナリスト的な感覚だと、1年か2年ぐらい古いかなという感じがします。今年一番新しいのは、賃金と物価が上がるステージになったということです。中には書かれているのですが、書き出しからそう書いたらよいのではないかなと。私だったら、「我が国は、物価と賃金が上昇する約30年ぶりのステージに差しかかっている。これを新たな成長の芽として育てるべく、財政としてもその健全性に留意しつつ、適切な役割を果たしていかなければならない」とするかと。こうしたポジティブな書きぶりのほうが良いのではないかと思いました。「財政としても積極的に」と書いて、積極出動を想起されても困る。そこは、物価、賃金の上昇に悪影響を与えないように、適切に財政の基盤を守りつつ、という感じがよいかなと思いました。具体案についても、一応言ってみました。
また、5ページの物価上昇のところで、少し分かりにくいと思ったのは、11行目「物価上昇局面では、政府支出においても物価高・資材高騰への対応を求める声が増加する」のところです。ここを読むと、ガソリン高騰対策や電気の補助、そうしたことを少し思い浮かべるのですが、その後の14行には「制度改革なく物価高や賃金上昇などを反映すれば」とあり、ここは公的な給与のことを言っているのかなと、少し私は迷子になりました。結局17行目まで、この部分が何を言いたいのかよく分かりませんでした。言いたいことは、6ページ目の9行目から11行目にある「物価高対策は、支援対象を物価高の影響を特に受ける者に重点化するなど、真に効果的なものに重点化すべきである」だと思っており、この部分は非常に賛成なのですが、「財政状況が厳しい中では、このように的を絞って効率的にお金を使って物価高対策をやっていくべきである」という思いが、シンプルに伝わる書きぶりにしたらよいかと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、末澤委員、お願いします。
〔末澤委員〕今回は、短い時間で大部の取りまとめ、どうも御苦労さまでした。ありがとうございました。
私からは、少し何点か、細かい点も含めてお話ししたいのですが、1点は、修正してほしいという意味ではないのですが、先ほど神子田委員もおっしゃった冒頭のところです。2022年以降の政府の経済対策を見ると、大体、物価高騰対策とデフレ対策と書いてあります。これは、経済学的に言うと、インフレ対策とデフレ対策を両方やるという話で、アクセルとブレーキを一緒に踏むという話なので、ぱっと読むと、違和感があります。2行目からは、石破首相のおっしゃっている内容が書かれているので、残さないといけないと思うのですが、うまくつなげられないかなということが一つ。このままでも結構です。
また、20行目からの「国債の保有者別割合」のところなのですが、ここは、私は債券アナリストをずっとやっていたので、時系列的に少し修正案を出させていただくと、「国債については、海外投資家の保有割合が上昇する中、最大の保有主体である日本銀行が長期国債買入れ減額を決定するなど、状況変化が生じている」、時系列的にはそうなるかなと思いました。
また、これも細かいことで恐縮なのですが、近年の財審の建議を見ると、よく使われている言葉が四つあって、ワイズスペンディングEBPM、KPI、そして、財政余力です。実は私が見た感じでは、今回ワイズスペンディングという言葉は一つも入っていないのです。11ページにEBPMについての記載があったと思うのですが、可能であれば、「必要性が一層増している」や「いわゆるワイズスペンディング的な考え方である」などを入れていただいたほうが良いのかと思いました。場所はここでなくても構いません。
また、EBPMという単語の使用は今回、すごく増えていまして、私が調べた感じでは13回、少子化対策のところ、教育のところ、中小企業と地方財政にも入っていました。EBPMそのものについては一言「証拠に基づく政策形成」と説明があるのですが、できれば、12ページから17ページのどこかの下の注意書きで、説明を加えていただきたいなと思いました。
少子化対策のところでもKPIが今回出てきています。「各施策の政策目標となる指標(KPI)」と1-5の29行目に出ていますが、KPIというのはなかなか分かりにくい単語で、ビジネスの世界では重要業績評価指標などと呼んでいます。EBPMとKPIとワイズスペンディングについては、近年は使用が増えているので、分かりやすい説明をなるべく総論辺りで入れていただいたほうが、各論を読むときに読みやすくなるのではないかと思いました。これは是非やっていただきたいです。
最後に、財政余力に関して見ると、9ページの7行目に、「有事等に備え、財政余力を確保し」とあるのですが、これはこのままでよいと思うのですが、最近のIMFの日本語版などを見ると、財政バッファーという言葉をよく使っているので、「財政余力(財政バッファー)」と入れていただくと、そうした文書の文言と整合性が合うのかなと思いました。
以上でございます。細かいところはまたお送りさせていただきます。
〔増田分科会長代理〕それでは、小林委員、お願いします。
〔小林委員〕大変短い時間の中で大部の建議案を起草していただき、ありがとうございました。お疲れさまでした。
短く3点ほど言いたいと思います。出している意見書の内容とも少し重複します。
まず、意見書でも書いたことですが、将来世代への視点ということを強調するというのは、財審の一つの役割として重要であると思いますので、大変よかったと思います。その中で、世代間の公平性を保とうとすることが我々の責務である、こうした考え方、トーンで書かれているのですが、では、なぜその責務を守らなければいけないのかという理屈も本当は必要なのだろうなと思うのです。これについては、初回に私が紹介したシェフラーの議論、将来世代が存続して一定の生活水準を享受し続けることが、実は私たち自身の効用を高める、あるいは、私たち自身の幸せの根拠になっている、という考え方があります。そこまではっきりは書けないと思うのですが、将来世代のために行動をすること、あるいは、世代間の公平性を保つような財政運営をすることが、実は我々自身が現在の効用を得るための土台になっている、そうしたような言葉やニュアンスを書けると、より一層説得力あるいは訴求力が増すのではないかというのが感想です。そうした観点で、修正案を意見書内に書いております。
2点目は、細かいことなのですが、社会保障の部分に医療のタスクシフトとかタスクシェアについて、少しだけ書かれているのですが、もう少し強調してもよいのではないかと思いました。財政の負担なく規制を緩和することによって医療のサービスの質を高めることができるかもしれない、また、医師の業務過剰を減らして安全性にも貢献する、そうした政策の案として、強調されてもよいのではないかということが2点目です。
3点目はコメントですが、先ほども末澤委員がおっしゃったように、現在の経済情勢をどう見るのかということです。これは書き換えはできないかもしれませんが、本当に「新しいステージ」なのかということに、私は少し疑問があります。これだけ政府に借金がたまっている中で、景気がよくなって、金利が上がってくれば、またいずれ数年の時間差はあるにせよ、財政に対する不安というものは出てくるでしょうし、そうすると、それが経済活動を抑え、結局、金利も物価もそれほど高くならない低空飛行が中長期的にはそのまま続くような気もいたします。新しいステージに行ければ望ましいのですが、本当に行くのだろうかということは少し疑問に感じております。
以上、コメントです。ありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕それでは、秋池委員、お願いします。
〔秋池委員〕本当に短い期間に、財務省の皆様も起草委員の皆様も、ありがとうございました。
私も3点なのですが、ほかの方もおっしゃっている「もはやコロナ禍ではない」というところと、「我が国は、今、約30年ぶりの物価上昇」というところは、論理的にややギャップもあるような感じがいたしまして、印象的な部分であるだけに、御検討いただけたらと思いました。全体的に異論はなくて、ここで議論してきたことが丁寧に折り込まれているという印象は持っております。
社会保障のうち、医師の偏在のところです。偏在は、地域的偏在もありますが、診療科の偏在もありまして、やはり、いつ呼び出されるかが分からない大変な診療科に人が行かなくなっており、都会であってもそういう状況であるということも含めて、うまく表現できるとよいと思いました。今回、新しく欧州に学んだような規制的手法も参考に地域的偏在対策を進めていく、このようなことが入ったことはよかったと思っています。
最後に、創薬の部分です。これは本当にニーズもあり、これから人口が減っていく中で、知恵で国際的な競争力を保とうと思ったときには非常に重要な領域ですし、また、高齢化する方も多くなっていく状況において市場のニーズが非常に大きいということもあります。才能のある方がたくさんいらして、それなりのお金の投下もしているので、本当はうまく回るはずなので、それを阻害している要因にアプローチするということを、すでに書いてくださっているのですが、国民とよりコミュニケーションがとれるようにしていけるとよいと思いました。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、1回オンラインの方に移ります。まず、熊谷委員、権丈委員、それから、芳野委員と、この順番で御発言いただきたいと思います。
熊谷委員、どうぞお願いします。
〔熊谷委員〕すばらしい建議案をお作りいただきまして、誠にありがとうございます。
私から何点か申し上げますが、何れも決して強い意見ではありませんし、また、私自身が見落としている部分もあるかもしれませんので、最終的な御判断は全面的にお任せ申し上げます。
まず、1ページ目の3行目、「もはやコロナ禍ではない」という記述に関しては、私も皆様と同じような違和感を抱きました。
また、10行目の辺りで、「顕在化してくる」という表現は少し受け身の印象がありますので、ここは、例えば「次世代によりよい日本を残すために必要な」など、よりフォワードルッキングな表現の方が良いのではないでしょうか。また「政策課題を」の後に、例えば「いち早く」や「的確に」といった文言を入れた方が良いのではないかと思いました。
それから、17行目の部分で、冒頭に「人手不足が深刻化する中で」を入れた方が良いと思います。
また、22行目の「上昇を上回るような」という部分は、例えば、「上昇を視野に入れ、費用対効果を勘案した支出を行う必要がある」という表現の方が良いのではないかと考えます。
26行目、27行目の「ブラックスワン」は注釈で説明を書かれた方が良いと思います。
次に、3ページの6行目の「雇用情勢は」の後に、例えば、「少子高齢化の進展や」や「生産年齢人口の減少や」といった表現を入れた方が良いと思います。
また、4ページの4行目の「需要に基づく産業間の円滑な労働移動」は取って、「成長分野への円滑な労働移動」という表現の方が良いのではないでしょうか。
また6行目の「観点からは」の後は、「企業部門による積極的な設備投資等が必要である。」と記載する方が良いと思います。
7ページの22行目の「促し」という部分に関しては、例えば「促す形で経済の新陳代謝を高め、ひいては」というような記述で、新陳代謝に言及していただいた方が良いと考えます。
また、9ページの23、24行目の辺りで、「ディフィシット・ギャンブル」という言葉を入れて、例えばアメリカの事例なども記載していただくことも考えられるのではないでしょうか。
また、11ページ25行目のEBPMですが、ここは税制調査会等でも議論になっていますが、政策立案の段階できちんとデータが得られるような仕組みをビルトインすることを、例えば優遇措置の要件にするなど、そのあたりをもう少し書き込んでいただいた方が良いかと思いました。この点は中小企業の部分で盛り込んでも良いかもしれません。
加えて、12ページ、13ページの辺りで、「見える化」や「デジタル化」といったキーワードを入れていただきたいです。
また総論のどこかで、例えば「独立財政機関」、「ワイズスペンディング」、「ペイアズユーゴールール」、ドイツの憲法で規定されている「財政均衡ルール」、また「縦割りを廃し」などの概念を、盛り込んでいただくのが良いのではないかと思いました。
社会保障に関しては、1-1ページの14~16行目等に、例えば「入るを量りて出ずるを制す」ということや、「就労促進」、「人手不足」という概念、あるいは「応能負担」という言葉をどこかで入れていただいたほうが良いのではないでしょうか。
また、20行目の「踏まえ」の後に、「国民の価値観が多様化する中」という記述を入れていただいた方が良いと考えます。
1-2ページの26行目以降の辺りで、こども未来戦略に言及していただいた方が良いと思いました。
次に、1-8ページや1-11ページに、医療費や薬剤費の総額をコントロールするという点に言及していただくことが考えられるのではないでしょうか。
そして、1-23ページの11行目以降の辺りで、タスクシフトやタスクシェアに言及していただいた方が良いのではないかと思いました。
そして、2-1ページの地方財政ですが、若干書きにくいかもしれませんが、例えば、うまくいっていなかった過去の地方創生策に対する検証をしっかりと行うこと、検証を踏まえてこれからどういう戦略を立てるのかということなどを、少し要素として入れられれば良いなと感じました。
最後に、どちらかというとバイデン政権下の過去の内容が多く書いてありますが、これからトランプ大統領が就任し、混乱もあるかと思いますので、少し先行きが不安であるというような要素も、匂わすことができれば良いのではないかと考えます。
私からは以上です。ありがとうございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、続いて、権丈委員、お願いします。
〔権丈委員〕どうもありがとうございます。
まずは、建議案、ありがとうございました。
社会保障について、2点ほどコメントをさせていただきます。
1点目は医療についてです。1-24ページに、「医師偏在対策として、地域別診療報酬の仕組みを活用」とあります。この地域別診療報酬のご提案は、以前からこの提案を批判する人たちから、地域間での自己負担額が変わることになるという側面が取り上げられてきました。その件につきまして、産業医科大学の松田晋哉先生が、社会保険旬報9月11日号で、「患者の自己負担額に関しては負担の公平性の点で問題があるという意見が出されたが、自己負担額を調整することで対応できるものでもある」と書かれています。運用面での調整で、以前からある地域別診療報酬への批判は対応できると思いますので、その点を視野に入れておいてもらえればと思います。
そして今回、地域別診療報酬は医師偏在対策として掲げられていますが、この話は、例えば、地域の医療提供体制の改革を医療保険とリンクする計画の中でも鍵となる政策手段として掲げられていましたので、将来のためにそうしたことも少し意識しておいてもよいかと思います。
2点目は、1-44ページの在職老齢年金制度についてです。高在老の改革は、同じような所得を得る者の間での公平性の問題や、繰下げ受給をしても、在職支給停止相当分は増額対象とならない問題などを、長く言われてきたにもかかわらず、所得代替率の低下や一部の高所得者への給付を増加させるとの批判が古くからあり、改革がうまくいきませんでした。その点、今年の財政検証の中で、標準報酬月額の上限を引き上げることにより、所得代替率を下げることなく、つまり、中低所得者に影響を与えることなく解決する方法が提示されました。それゆえ、脚注39にある標準報酬月額の上限見直しという政策の選択肢は、従来言われていた公的年金等控除の見直しとは同じウエイトで並ぶ話ではないと理解しております。したがって、標準報酬月額の上限見直しの話は本論の中に書き込んでよい話ではないかとも思っております。
以上でございます。ありがとうございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、続いて、芳野委員、お願いします。
〔芳野委員〕ありがとうございます。起草委員の皆様、大変ありがとうございました。
それぞれの項目について、3点に絞って発言をさせていただきたいというふうに思います。
なお、各論の具体的な修正については意見書を別途提出いたしますので、建議に反映いただきたいと存じます。
1点目は、来年度予算編成の在り方についてです。本来、予算編成とは、真に必要な政策に対し、財源を措置するものでなければなりません。2025年度はプライマリーバランスの黒字化達成の目標年度であり、前年度までの政策効果の検証は当然のこと、国民の目が届きにくい予備費や基金の計上は必要最小限にすべきと考えます。あわせて、報告のあった海外の事例を参考に、我が国でも独立財政機関の設置に向けた検討に着手すべきと考えます。
2点目は、地方自治体における職員の削減について触れたいと思います。建議案では一般行政職員数は増加傾向にあるとしていますが、増加したのはデジタル化対応や防災・減災対策など、必要不可欠な人材です。行政の合理化・効率化の目的は職員の削減ではなく、多様な住民ニーズに対して質の高い行政サービスの安定的な提供とすべきです。また、行政サービスの質の維持向上のためには、臨時職員や非常勤職員の雇用の安定と処遇改善にも取り組むべきと考えます。
3点目は、社会保障について触れたいと思います。安心して暮らし、働き続けられるようにするために、社会保障サービスの拡充は重要ですが、人材確保は深刻な状況にあります。建議案では、医療、介護、生涯福祉、保育の現場で働く幅広い職員の処遇改善の対応等は、必要な財源を確保した上で措置しているとありますが、他産業との賃金格差や昨今の賃金物価動向を踏まえるといまだ不十分であり、人材の確保、定着を促すには、報酬改定を待たずに、更なる施策の実行が必要と考えます。また、厚生年金と基礎年金に係る調整期間を一致させることの検討については、社会保険の適用拡大や、保険料拠出期間の延長を優先に取り組み、試算結果に基づいて慎重に検討すべきです。障害厚生年金受給者、一定期間年金水準が低下する可能性がある受給者への影響などを丁寧に検証するとともに、拠出者の納得性と合理性を追求する必要があると考えます。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、会場にまた戻します。
初めに、大槻委員からお願いします。
〔大槻委員〕ありがとうございます。起草委員の皆様、事務局の皆様、どうもお疲れさまでした。拝見し、非常に良い建議であると思いました。
いくつかあるのですが、まず総論のところは、皆様から「もはやコロナ禍ではない」については大分御意見が出ています。確かに「ん?」と思わなかったとは言わないのですが、ただ、「もはや戦後ではない」というのは戦後から10年度ですよね。この件も、恐らく意図としては、コロナはもう随分過ぎたのにもかかわらず、いろいろと進んでいないということをおっしゃりたかったのかと思って、これはこれでやり方の一つとしてありかと思いました。それであれば、再燃リスクとかを考えると、「もはや“コロナ禍”ではない」という引用の形で始めてもよいのかなと思いました。
そして、同じく財政総論についていくつかございまして、まず、5ページ目の2行目です。これはいくつか出てくる表現なので、念のためなのですが、「先進国に比して」という形であると、日本があたかも先進国ではないような感じもしますので、「他の先進国」とするか、あとは、意図は違うかもしれませんが、「先進国の平均に比して」のどちらかのほうが良いかなと思いました。
それから、同じページの25行目、「金利上昇による利払費増加により」ということなのですが、米国の赤字の増加については、その他、もちろん財政支出の拡大もあるので、「金利上昇による利払費増加や財政支出の拡大等により」という形で念のために入れておいたほうが良いかと思いました。
すみません、戻ります。3ページ目の2行目、「企業部門は、企業収益が過去最高」というと、「企業」が重なるので、ここは「企業収益」の「企業」を取るのがよいかなと思いました。
続きまして、6ページ目でございます。6ページ目の6行目から始まる段落なのですが、「金融政策の調整を進める中」より「金融政策の正常化を進める中」という形のほうが全体感としてしっくり来るかと思いました。
そして、その下に「重点化」が二つありますが、恐らくここは、最後の「真に効果的なもの」に集中して、それ以外について圧縮するということを意図していらっしゃるのかと思いますので、圧縮ということが少し言いづらいようでしたら、「真に効果的なものに集中すべきである」などがよいのかと思いました。
そして、7ページの12行目でございます。イギリスの市場の混乱についてです。先進国ということだけであると、欧州でも一時混乱がありましたが、「自国通貨を発行する先進国において」混乱があったため、大きなイベントとして捉えられたので、そのように入れたらよいかと思いました。
8ページの8行目、「金融環境のボラティリティー」というのは非常になじみにくいと思います。環境が変動するわけではないので、「金融市場のボラティリティー」、または、「金利のボラティリティー」のどちらかがよいかと思いました。
また、11ページ目について、芳野委員からもありましたが、6行目から始まる段落のどこかに、「独立財政機関の設置を含め検討する」あるいは「検討に着手する」などを入れてもよいのかと思いました。
財政総論の最後、12ページ目から始まる「国民的議論の推進」なのですが、9行目に「いくことが重要である」とありますが、その前に当審議会の今までの指摘についても入れているので、国民的議論を推進するためにこの建議を生かしてほしいという意味を込めて、「いくことが需要であり、この建議がその一助となることを期待する」などとして、建議の位置づけを少し明確にされたらと思いました。
そして、社会保障なのですが、これは短く2点です。
「EBPM」を全体として書いていただいており、1-4ページにあるEBPMに必要なデータの収集は非常に重要な点であると思いますが、総論のところ以外に、データの収集について、見落としているかもしれませんが、あまり出てきていないように感じましたので、例えば医師の偏在等の1-23ページの上段辺りや、1-25ページのf)の上辺りなど、総論以外のところにもデータのことを入れてはと思いました。
そして、1-23ページの27行目、c)のところなのですが、ほかの方からもありましたが、タスクシェア、タスクシフトを入れてはと思いまして、規制的手法及び規制改革の観点という形で、c)の最後の1-24ページの20行目ぐらいに、「並びに、医師及び看護師、薬剤師等のタスクシェア、タスクシフトも進めていくことが重要である」などを入れてはどうかと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、木村委員、どうぞお願いします。
〔木村委員〕起草委員の先生方、どうもありがとうございました。
今回は特に、財政総論は章立てがよく整理されていて、分かりやすいと思いました。例えば、新たなステージにおける課題として、平時への移行、物価上昇、金利、有事への備えという、今の重要なテーマごとに課題がまとめられています。最近は税収が伸びて、財政の楽観的な見方が広がって、一部の政党からは過大な減税要求も出ていますが、実際は厳しい状況にあるということを知ってもらうためにも、分かりやすく、よいまとめ方であると思います。
その上でいくつかのコメントなのですが、皆様もおっしゃっているとおり、私も「もはやコロナ禍ではない」というところが少し気になっています。コロナは5類に移行し、コロナ禍を名目に急増した財政出動にピリオドを打つ必要があるという狙いで盛り込まれたのでしょうが、私が気になっていることは皆様とやや違う観点で、「もはやコロナ禍ではない」と言い切ってしまうことが若干引っかかっています。少数ながら、コロナの後遺症でまだ苦しんでいる方はいらっしゃいますし、また、コロナで廃業を余儀なくされた店とか零細企業の方も結構いらっしゃるので、そうした人たちへの配慮もあったほうが良いのではないかなという気はしました。
それと、もう一つ気になったのは2ページの16行目です。「日本経済の各部門で明るい動きがみられる」との表現です。確かに回復基調にはありますが、政府の月例経済報告でも、景気認識はあくまでも緩やかであって、各部門で明るい動きとまで言えるのかどうか。特に、物価高が続いて、国民の節約志向は依然根強い。あまり明るさを強調し過ぎると、国民の景気実感と乖離して、財政支出を抑えたいがための表現ではないかと、かえって無用な反発を招くおそれがあるのではないか。「明るい兆し」など、やや和らげた表現はどうかなと思いましたが、これは御判断にお任せします。
また、最後に1点だけ。社会保障費の関係なのですが、今回は令和7年度予算の建議で、令和7年というと、いわゆる高齢化で、団塊の世代の全員が後期高齢者である75歳以上になる2025年です。財務省のホームページにも「1人当たりの医療や介護の費用は急増することから、 持続可能な社会保障制度を作るために残された時間はわずかです」という表現があるのですが、今回の令和7年度予算の建議で、私が拝見した限りでは、この2025年問題への言及がなかったので、日本の高齢化の節目の年でもあるため、何らかの形で言及されてもよいのではないかなと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、田中委員、お願いします。
〔田中委員〕ありがとうございます。
起草委員の先生方、大変シャープな表現で読みやすい内容、ありがとうございます。
私は1行目を読んで、これはつかみはオーケーだなと、私自身は少しうれしくなりました。今回、「もはやコロナ禍ではない」に込めた思いは、やはり、コロナ禍のような、公助への期待が大きいままという機運を変えなければ、ということであると思いますので、これが適切に伝わるようになれば良いなと思います。これだけ多くの人にざわつきを提供するということは、インパクトもあって、世論が動く可能性もあるかなと期待をするところでございます。
これが呼応しているところは、9ページ目の今後の財政運営のところで、22、23、24行目などですが、この辺りの、金利が高い状況で、「楽観的な見通しに立って財政運営を行うことは避けるべきである」というのは、少し優しい言い方かなと思いました。財政運営はこのままでは不可能であるとか、不適切であるとか、少し強い言い方をしてもよいのかなと、冒頭のメッセージの落としどころをここにできればよいのかなと思いました。その間のストーリーはとても丁寧に記していただいて、理解が進むところではないかと思うところです。
また、少し戻って、先ほど大槻委員もおっしゃいましたが、8ページ目の8行目の「ボラティリティー」というのは金融の言葉なので、分かりづらいなと思いました。先ほど、ブラックスワンは注釈を入れましょうという意見がございましたが、ソブリン・シーリングは注釈が入っていますので、ここも、価格の変動性などと注釈か括弧書きを入ると、より分かりやすいかなと思ったところです。
また、12ページ目の一番上の「EBPMの強化」について、「効果的な予算配分・予算執行につなげていく」はそのとおりなのですが、先日も会計検査院から色々なデータが出ましたし、財務省からも色々なデータが出ているところなので、EBPMの確実な活用が国民の利益にかなうということが、もう少し端的に伝わるような表現にして、少し強調できるとよいかなと思いました。
1点気になるのは、同じ12ページ目の20行目「財政問題は、少子化や人口減少が進む中、世代間倫理に関わる課題」です。世代間倫理というのは環境問題などから来ているものかなと思うのですが、世代間倫理という言葉がいきなり出ると、少し分かりづらいかと思うので、例えば、「環境問題などと同様」など、何か少し補足をすると、財政単独のものではなくて、暮らし全般の中でバランスよく考えてこうしたことを提言されているのだということが、理解されるとよいかなと思ったところです。
あと1個だけです。2-3ページの地方財政の課題で、「今後の地方財政全体の課題としては、自治体DXの推進」とありますが、推進をずっとやっているが、まだまだ進み切れていないなど、今回も色々な議論がありましたので、更なる推進や徹底など、こうした少し強めのメッセージを出していただけると、より良いのかなと思いました。
以上、よろしくお願いいたします。
〔増田分科会長代理〕それでは、横田委員、お願いします。
〔横田委員〕ありがとうございます。
起草委員の皆様、ありがとうございました。
もういいだろうと言われるかもしれませんが、物議をかもしている「もはやコロナ禍」問題に行かせていただきます。私もこの文言に最初は「ん?」と思ったのですが、末澤委員と同様、私は「コロナ」で文書内を検索してみたのです。そうしたら、総論だけではなくて、30回くらい出てきていて、要は、世間では「コロナ」というのはあまり聞かなくなっているが、いろんなところでコロナ予算がそのまま引っ張られて残っている。財務省の怒りを感じましたので、残してもよいだろうと思います。そうした世間との乖離があるという前提を少し押さえていただければ、違和感がなくなるのではないかと感じたのが冒頭のところです。
もう1点申し上げると、結論が遠いというか、私だったら、12行目、13行目を5行目のところにくっつけてしまうかなと。読んでいて、若干遠いなと思ったので、バシッと言ってもらえたほうがうれしいなというのが、冒頭のところです。ただ、多様な意見が出ておりますし、好みのようなところもありますので、最終的には起草委員の皆様にお任せをいたします。
次は、少子化対策、1-5ページのEBPMの強化に関してです。本文に書いてある内容は、問題ないと感じているのですが、概要を、もし可能であれば修正ができないかなと思った次第です。
概要の2ページ目、少子化対策の「EBPMを強化して施策の実施状況を検証し、不断の見直しを行うべき」のところです。正しいと思うのですが、少子化予算の財源をやっと確保して、みんなが充実していこうという機運の中で、不断の見直しというと、やめろ、に少し聞こえてしまいます。なので、本文にも書かれているように、「より効果の高い政策に重点化するなど、不断の見直しをするべき」というふうに書いたほうが、スペースもあるし、親切かなと感じております。
次は、飛んで、地方財政についてです。
2-5ページの、手数料・使用料の適正化についてです。手数料・使用料とは何だろうかと正直、思ってしまいます。何を指すのかを少し平たく言ったほうが良いのではないか。例えば、手数料は、各種行政書類の発行や許認可申請に係る手数料ですし、使用料は、施設や水道など、もろもろあるかと思います。そうしたことを記載して例挙げをしていくということを、具体例をどこまで挙げるかはお任せしますが、検討いただきたいと思います。
一方で、値上げと言われると嫌われてしまうと思っていまして、次ページの9行目ですね。人件費の上昇に伴って手数料・使用料が上がるのは当然のことなので、これを発見していただいたことはすごくよいと思うのですが、一方で、さっきのDXの話もあります。デジタル化を進めながら効率化をしている文脈もあるので、デジタル化によって少しは安くなるのではないかと、国民は感じると思うのです。そのため、9行目に「独自財源の確保に向けたインセンティブに配慮しつつ」とあるので、そこに「デジタル化の恩恵にも配慮しつつ」などを加えるなど。受益者負担で、人に対応してもらう人は高く支払うなど、融通が利くようになるのではないかと思います。
次は、公共施設等の適正管理、2-6ページの27行目のところなのですが、現状の記載が、広域視点が市町村間のみに捉えられるような気がしていて、参考資料でお示しいただいていた内容は都道府県と市の関係性も挙がっていたと思います。せっかくなので、私の文案がよいかどうかは分かりませんが、「自団体に加え、都道府県と市、さらには隣接自治体を含む広域的な視野で」などにしてもよいかと思いました。
以上となります。
〔増田分科会長代理〕それでは、宮島委員、お願いします。
〔宮島委員〕大変な御苦労、ありがとうございます。
私は、これを国民に伝える媒介となる記者の気持ちで読みますと、今の状態だと、物議を醸した「財審は「もはやコロナ禍ではない」という建議をまとめました」というリードが容易に想像できます。新聞の見出しにもなると思うのですが、それでよいかどうかの議論が尽くされたかどうかが疑問です。キャッチーではある。恐らく引用される。だから、それでよいかということと、私がもう一つ疑問に思ったのは、そこまでキャッチーでありながら、概要には書いていないことです。記者の気持ちとしては、前文を一生懸命読んで、概要を一生懸命読んで原稿を作るわけですが、力が入っている割には、概要にはあれがないので、これはどうしたらよいのかなと悩むかと思いました。
さらに言うと、春には「金利のある世界」を高らかに打ち上げたにもかかわらず、今回の総論は、25行目に僅かに「更なる金利上昇も考えつつ」と、非常に小さく出ています。金利上昇問題は、もちろん後ろのほうに書いてありますが、前文のみでは、状況は良くなったのかなと思ってしまいまして、少し春とのバランスが気になりました。
また、ファクトなのですが、3ページの25行目、就業者数に関して、「大幅な伸びは期待できない」と書いてあるのですが、今の人手不足感とか労働人口というのはそのレベルかなと疑問に思います。労働政策研究・研修機構の試算によると、今のままだと、最も成長実現するケースでも、2040年には今よりも労働人口が減るわけで、既に女性と高齢者の流入による労働人口の増加は頭打ちになっているということが一般の認識であると思います。更なる伸びは期待できないどころではないような気がするので、ここは、ファクトと併せて御検討いただければと思います。
ここから先はかなり個人的な議論なのですが、「国民的議論の推進」というのがタイトルになっていますが、私は、国民は本当に議論の推進だけをしていればよいのかという疑念があります。議論だけであったら、井戸端会議でも、日本は大赤字だよねという話はするのですが、それで終わるのです。だから、もしできれば、後ろのほうに書いてあるフューチャー・デザインの考え方を活用した取組など、そうしたものを入れた、少しはアクションにつながるようなタイトルがうまく作れないかな、とは思います。つまり、もちろん、増税など、いろんな政策を受け入れるという意味で議論をして理解をすることも大事なのですが、実際に自分でアクションができる支払いなど、国民一人一人の動きもないわけではないので、議論だけにとどまらないほうが良いかなと個人的に思っています。これは自分の意見です。
また、社会保障に関しましては、これまでの方もおっしゃっているように、ずっと議論をされてきたタスクシフト、タスクシェアというものも、全体的なコントロールの上で、入れたほうが良いと思います。くわえて、意見として入れていただく余地があるとすれば、包括医療や標準治療のガイドライン、そういった全体を押さえるような方向に関しても入れていただければと思います。
最後に細かいですが、前文のところに、「コストプッシュ的な財価格の上昇はピークアウトして」と書いてあるのですが、これを引用した場合、ほぼ理解できない人が多い感じがしまして、もちろん、後に砕いて書いている部分はあるのですが、せめて前文は、平均的なビジネスマンぐらいは分かる言葉遣いにして、少し分かりやすくしたほうが良いかなと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
オンラインで堀委員から合図がありました。堀委員、どうぞ御発言ください。
〔堀委員〕ありがとうございます。
財政総論について、皆様からもコメントがありましたが、「もはやコロナ禍ではない」というところについて。ここの部分自体は良いと思うのですが、先ほど、木村委員でしたか、2025年問題について言及をされていましたが、一言、例えば、「もはやコロナ禍ではない。2025年、まさに国内外で時代の潮流は大きく動いている」というような形で、2025年ということをどこかで一言でも入れていただければ良いのではないかなというふうに思いました。
それから、財政総論の表現の中に、GDPギャップ、労働市場タイト化、非伝統的金融緩和、金融環境ボラティリティー、財政余力という表現がよく出ていると思います。議論以前に、理解が促進されなければ、対話も進まないと思いますので、他の委員のコメントにもありましたが、国民に対する理解を促進するよう、脚注でよいと思いますが、用語の説明がもう少しあるとよいのではないかなと思いました。
それから、社会保障についてです。細かいことは後で修文案も含めてお送りをさせていただきますが、1-22ページの27行目の医師の養成のところで、「18歳人口に占める医師養成数の比率をこれ以上に高めることは限界であり、定員数の削減などの見直しが必要となる」というような表現のほうが良いのではないかなと思いました。
それから、タスクシフト、タスクシェアについても、ほかの委員と同じなのですが、1-23ページの3行目のところに、「タスクシフト、タスクシェアやDXなどの効率化を進めるとともに」という表現が入ると良いと思います。
それから、地域別診療報酬単価について、1-25ページの5行目「仮に中期的な課題となる場合であっても」のところです。先ほど権丈委員からも賛否両論があるというようなお話があり、皆様自身も課題を認識されているのかと思うのですが、だからこそなのですが、脚注のところに、「地域別診療報酬単価には、医療提供体制の地域性を十分に踏まえ、都道府県の地域医療構想や医療計画との連携、整合性確保が重要であり、保険者である都道府県の責任において主体的に設定することが望ましい」など、あるいは都道府県の権限強化が必要であるというようなことを、入れると良いのではないかなと思いました。
最後に、社会保障の1-34ページの5行目、高額療養費について、年齢ではなく、「負担能力に応じた負担」と書いてありますが、高額療養費制度も、実は、70歳未満か否かという、年齢区分で上限設定が違います。世帯合算の在り方、また、高額医療・高額介護合算制度などとの整合性を含めた検討が必要ではないかということを、脚注に入れていただくと良いのではないかと思います。
そのほかの細かいところはメールで送らせていただきます。
以上です。ありがとうございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、前半戦の御意見はここまでといたします。時間的には半分ぐらいに来ているのですが、起草委員から、もしこの場で何かあれば。
それでは、土居委員、それから、河村委員、できれば短くお願いします。
〔土居委員〕皆様から御意見をいただきましてありがとうございました。できるだけこれを反映させて、修文をまた御提示できるようにしたいと思います。
冒頭の「もはやコロナ禍ではない」は、別になぞなぞではないのですが、種明かしということで言うと、基本的には、お察しのとおりですが、コロナ禍のような巨額の補正予算が今も組まれ続けているということに対して、もうそんなことをやっている場合ではないだろうということを言いたいということです。御指摘にもありましたように、そうした願意を理解しにくい文言が後ろにくっついている、ないしは、直後にしたほうが良い文言が後ろに回っているというようなことがありますので、これを、皆様の御意見を踏まえまして、御納得いただけるような文言に、「もはやコロナ禍ではない」が残る可能性ありますが、少なくとも、残ったとしても、何を意味しているかということが分かるようにできればと思っております。
私からは以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、河村委員、お願いします。
〔河村委員〕いろいろと御意見をいただきましてありがとうございます。分かりにくいところとか、一つ一つは申し上げませんが、よく検討したいと思います。
少し細かいところなのですが、私からは、1ページの26行目からのところです。熊谷委員、またほかの方からも御指摘があったブラックスワンのところは、直前に「予測困難であるが、ひとたび起こると甚大な影響を与える」と書いているのですが、もっと書くという感じでしょうか。一応これで説明を少し書いていたつもりではあったというところが、実はありました。
それから、6ページの8行目は、大槻委員から「金融政策の調整」を「正常化」という表現で、というお話があったのですが、今少し私も手元を確認しましたが、恐らく、日銀側が3月なり7月なりに公表している資料で「正常化」という言い方をしていないのではないかなというふうに思います。また、やっていることとの対比もあります。正常化の計画をほかの国のようにきちんと立てているかといったら、立てていないので、そうしたこともいろいろ考えながら「調整」という表現にしているというところを御理解いただけると良いかなと思います。
また、冒頭のところの「もはやコロナ禍ではない」は、これは土居委員が今おっしゃったとおりなのですが、私たちの気持ちからすると、本当に書きたかったのは、もはやコロナ禍でもないし、デフレでもない。今、世の中で議論をしている場合なのかとやはり訴えたいというところがありますが、財審の立場上、デフレではないとは、言いにくいところがあります。そこで、文章を二つに切ってみた。でもそうすると、おっしゃるとおりで、やはりつながりが悪いですよね。なのでそのあたりは、後の部分との入れ換えや修文も含めて、また持ち帰って、起草委員会で検討できればと思います。気持ちとしては、5ページのほうに書いているのですが、物価が、やはり、日本は大したことはないと思っていたのが、もうそうではないでしょう。抜かれているでしょう。9月の物価は、日本は2.5%くらいで、アメリカもそれぐらいだが、イギリスやヨーロッパは1%台です。このようなな状況で、インフレを後押しするような財政政策をやってしまってよいのかという問題意識もあります。インフレ時代の財政政策的なことを本当は考えたほうが良いのではないか、という問題意識も少しあって、悩んだ書き出しでした。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、後半に移りたいと思います。
今、御担当の主計官の方が入れ替わりますが、防衛以下の項目について審議を行いたいと思います。該当ページで言いますと、3-1ページから最後の9-3ページまでということになろうかと思いますので、またよろしくお願いします。
それでは、会場から、また同じように、広瀬委員から御発言をいただく形にしたいと思います。
それでは、広瀬委員、どうぞお願いいたします。
〔広瀬委員〕ありがとうございます。
中小企業対策について一言申し上げたいと思います。
物議を醸している件で、私の後から物議を醸してしまっている。少し私も一言言わなくてはいけないと思っています。コロナについては、色々な意味で、中小企業の在り方、あるいは中小企業支援策について、ある面では非常に大きな、インパクトがありました。コロナを前向きに受け止めて、色々な改善なり、見直しにつなげてきた中小企業もあるわけですから、まだいろんな課題が残っておりますが、これからの改善につなげる、そうした意味で私は是非コロナを前向きに捉えたいと思います。
中小企業対策について、非常に前向きというか、積極的な記述がされていると感じました。特に、グローバルサウスに対する支援、中小企業はこれから海外にも進出するのであるというようなことも含めて、積極的な中小企業対策が感じられました。私も、中小企業対策は、むしろ支援対象を重点化していく、特に、経営改善のための支援体制、そうしたふうなところに今後重点化していくべきではないかなと思っております。
そうした面で、色々な支援策を今は取っていただいているのですが、それを活用するための支援機関も併せて充実していくということが必要だと思っております。お金だけではなくて、組織強化もセットでの中小企業に対する支援、そうしたことが今後は望まれるのではないかなと思っております。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、神子田委員、お願いします。
〔神子田委員〕文教・科学技術について、一言だけ申し上げたいのですが、概要の1行目、「義務教育について、教員不足が深刻化する中で、教員の時間外在校等時間は減少しておらず」というところです。これは、文教のときの議論を聞いていましたら、児童生徒当たりの教員数は増加しているのだが、時間外在校等時間は減少していない。負担感が大きい業務の抜本的縮減がないと、教員は戻ってこないのではないかと、そうしたロジックだったと思うのです。この1行目であると、それがよく伝わっていなくて、だから、手当についても、働き方改革の進捗との見合いでやっていくべきであるという結論だったと思うのですが、そこがもう少し伝わるように書いたほうが良いのではないかなと。例えば、教員数が増加していても、時間外在校等時間は減少していなくて、負担感が大きい、と。だから、教員不足の中で、教員の希望者を増やすためには、手当を増やすだけではなくて、環境の改善も必要だというような、そうしたロジックで書いたほうが、これを読んで、記事を書く記者も分かりやすいかなと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、末澤委員、どうぞお願いします。
〔末澤委員〕ありがとうございます。
私も、文教・科学技術の5-1ページの一番上の総論的な部分なのですが、今回は、昨年からそうなのですが、少子化の問題は社会保障でも相当重視されています。その関係で、人口減少絡みのところがここに入っていないので、私の対案なのですが、「予算配分の効果的なメリハリ付けやEBPMの観点からの分析は欠かせない」の後、「現在、我が国は少子高齢化、人口減少が急速に進展している。少子化の影響は、特に教育行政に最初に表面化する。児童生徒、学生数が減少する中、教育の質を維持向上するためには、統合DXの活用、民間へのアウトソーシングなどにより効率化を図ることが重要と考えられる」とする。こうしたような文言が入っていれば、少し先ほどのところにつながる。要は、生徒数が減っていれば、むしろ楽になるのではなく、実は、規模の経済が不経済になっていて、実際的には手間がかかっているのであるというようなニュアンスをどこかで入れていただいたほうが分かりやすいのではないかと思いました。
また、前半戦のところで質問をし忘れたのですが、10ページの総論の14行目です。「今般閣議決定された経済対策の2025年度」とあります。これは、要は、22日から29日までのどこかで閣議決定されるということを一応想定して入っているおり、内容は特に評価しないと、理解しました。
〔増田分科会長代理〕分かりました。
それでは、続いて、小林委員、どうぞ。
〔小林委員〕私からは、国内投資、半導体支援について、一言だけ申し上げたいと思います。
以前にもこの会議で言ったのですが、民間企業への支援は、やはり、何らかの経済学的な理屈や裏づけが必要なのだろうと思います。例えば、8-5ページの26行目辺りを見ると、日本経済の持続的な成長などの観点からは財政支援は許容されるというふうに書いてあるのですが、持続的な成長のためということだけであると、半導体以外のどんな産業に対しても支援をしてもオーケー、という話になってしまうような気がします。何か理屈が必要であり、それは別に財審で示す必要はなくて、むしろ経産省に対する宿題かもしれません。彼らに聞くと、半導体はある種の公共財的な性格があるのだというようなことを主張するのですが、では、それは何なのかということを明確化してもらいたいということは言ってよいのではないか。何かしら経済学的なしっかりした理屈を持って、産業政策を正当化すべきであるということは書かれてもよいのではないかと感じました。
私からは以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、秋池委員、どうぞお願いします。
〔秋池委員〕文教の義務教育のところなのですが、参考資料の214ページなどにもありますが、教員の方が本来やるべきであると感じている仕事以外にも様々な仕事があって、非常に厳しい職業になっているということは、こちらで学んだところですが、そこの対処は二つあると思っていまして、一つは、ここにも書いていただきましたが、やはりある程度、教員免許を持っていなくてもやれるような類いの仕事は、事務の専門職の方に、それこそ1校ではなくて、何校かをまとめて見ていただく。これによって、書面業務を簡素化していく、負担を減らしていくというようなことはできると思いますし、そもそもそうした業務そのものも見直すということは大事であると思います。そちらを書いていただいて良かったなと思っておりますが。一方で、参考資料214ページにもありますが、教員はエンゲージメントのない仕事がほとんどで、授業をすること、つまりこどもの指導をすること、その準備をすることなど、いかにも教員らしい仕事はエンゲージメントが高いが、それ以外は全部エンゲージメントが低いという状態になっています。さきに申し上げたような、専門職がやったほうが良い類いの仕事、そのほうがうまく収まるという仕事もあると思いますが、一方、そうしたことも含めて教育の一環なのであるということも、教員を育てていく過程で教育していけると良いのかなということが一つ目です。
また、社会資本整備についてなのですが、これは様々なメンテナンスが必要になっているという話もある中で、やはり、この先の強靱化ですとか、今、新しいものを作る予算が取れるか、取れないかだけではなくて、将来、それがどれぐらいのメンテナンスの費用を生み出すのかということも含めて検討するようなことが、引き続き行われると良いと思いました。
そして最後に、中小企業ですが、これはやはり一概には言えません。今はなかなか難しいかもしれないのですが、これだけ様々な情報も取れるようになってきていますので、セグメント分けをした対策は重要であると思います。都会においては非生産的でないのではないかと思うようなものも、もしかしたら過疎の地域には、それがあるからこそ、その街がまだ成り立っているというようなこともあろうかと思いますので、企業の目的、それから、地域の状況、その他を含めて検討が進むとよいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、ここからはオンラインで、熊谷委員、それから、芳野委員の順で御発言をいただきます。
初めに、熊谷委員、どうぞお願いします。
〔熊谷委員〕ありがとうございます。前半の部分と同じですが、いずれも強い主張ではありませんので、最終的な御判断は全面的にお任せしますし、また、私が見落としている部分などがありましたら申し訳ございません。
まず、3-1ページの防衛の部分ですが、キーワードとして、防衛体制についての縦割りの排除、サイバー、そして、やや細かい話ですが、後年度負担を見える化するということ、そのあたりのキーフレーズがあったほうが良いのではないかと思いました。
また、3-2ページの部分ですが、4行目からの(1)で、経済力は国力の源泉であるということを明記していただきたいです。もしくは、他国に付け入る隙を与えてはいけないというようなことを書いていただくと良いのではないでしょうか。
同じページの10~12行目辺りで、防衛費が経常的に支出される経費であるということを明記していただく方が良いと思いました。
また、3-5ページの6行目以降の部分ですが、恐らく、防衛費のキーワードは「ガバナンス」であり、これは難しいところもありますが、外部の目を入れたり、説明責任を強化するという、そのあたりのガバナンスという言葉を強調していただいた方が良いのではないでしょうか。
それから、4-1ページの外交ですが、これは、当たり前のことですが、中長期的に国益を最大化する質の高い外交戦略に基づいて、という表記があると良いのではないかと思いました。
また、そのページの18行、19行の辺りで「メリハリ」という言葉がよく出てくるのですが、メリハリより強いキーワードとして、アウトカムを丁寧にデータで検証した上で、駄目なものはやめるという「スクラップ・アンド・ビルド」という文言が入った方が良いのではないかと考えます。
5-1ページの文教・科学技術ですが、先ほど末澤委員からもございましたが、総論的な部分で、少子化にもう少し言及された方が良いのではないでしょうか。
また、同じページの17行目以降の辺りで、「働き方改革」という言葉が入っていないように感じましたので、これは少し反発があるのかもしれませんが、「働き方改革」をキーワードとして入れるべきではないかと思いました。
次に、8-1ページの国内投資・中小企業等ですが、ここは少し気持ちの問題なのかも知れませんが、17行目で「産業支援は極めて例外的な措置である」と記載された方が良いのではないでしょうか。
そして、8-2ページの25行目ですが、「決定してきており」の後に、例えば、「費用対効果を精緻に検証するような形で」と入れていただいた方が良いのではないかと思いました。
また、8-6ページで、10行目以降の中小企業ですが、これは総論のところで申し上げたように、EBPMのためのデータの取得の仕組みなどをしっかりと事前にビルドインするということなどについて、例えばこの部分で書いていただくということもあるのではないでしょうか。
また、これは少し入れ方が難しいのですが、例えば、中小企業について言えば、政策目的が弱者保護という社会政策的な部分と、競争力強化、生産性向上といった経済政策的な部分とが混在していること、あるいは、これは総論にも関係すると思いますが、平時と有事を峻別することが極めて重要であり、政策の目的をはっきりとして、どういう状況になったら続ける、やめるというような、段階的縮減の仕組みを必ず事前にビルドインするということ、こうした点などに言及していただくと良いのではないかと思いました。
私からは以上です。ありがとうございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、芳野委員、どうぞお願いします。
〔芳野委員〕ありがとうございます。中小企業支援の在り方と、教員の処遇に絞って、3点発言したいと思います。
1点目は中小企業への支援の在り方についてです。建議案には、中小企業が自ら収益を上げ、賃上げをはじめとした経営環境変化に持続的に対応できる公正な競争環境整備の重要性に触れていますが、中小企業の持続的な賃上げに向けた価格転嫁を含む取引適正化の取組はいまだ不十分ですので、パートナーシップ構築宣言の参加企業の更なる拡大と実効性強化が必要であるというふうに考えております。
2点目は、教員の給与について触れたいと思います。建議案では、「教員の不満は、給与面よりも仕事と生活のバランスにあると考えられる」としていますが、これを裏づけるパーソル総合研究所の調査では、教員に収入への意識を問う設問もあり、その結果を見ますと、現在の収入は現在の仕事に見合っていると思わないが6割を超え、仕事に見合う収入とするには、1か月当たり20%以上の増額が必要としています。学校の業務の縮減を実現し、教職員が生活時間を確保した上で、こどもたちと向き合い、やりがいを持って本来の業務に専念できる環境整備をしていくことが急務ですが、同時に、処遇面に対する不満も解消していかなければ、優秀な人材確保にはつながっていかないと考えます。
3点目は、教職調整額に関する代替案について触れたいと思います。建議案では、「経過措置的に教職調整額を引き上げる場合には、10%を目指して段階的に引き上げつつ、時間外在校等時間が月20時間(10%相当)に達する際に所定外の勤務時間に見合う手当に移行することを検討」としていますが、中央教育審議会の答申では、長時間労働の是正は、教員の定数の改善を含め、答申に記載の施策を一体的に進めることで実現していくとしており、まずは、全ての教員の時間外在校等時間を45時間以内とすることを目標としています。月20時間程度はその先の将来の目標です。これを国庫負担の上限とするならば、その前に、労働基準法第37条の適用など、給特法を抜本的に見直し、全ての時間外在校等時間に対して手当を支払うことも検討すべきと考えます。
なお、教職調整額の引上げを実現するために、地方財源の確実な確保が必要です。あわせて、義務教育における地域差を是正するためにも、義務教育費国庫負担制度における国と地方の負担割合についても見直しが必要と考えます。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、続いて、会場に戻して、大槻委員からどうぞお願いします。
〔大槻委員〕ありがとうございます。
まず、文教・科学技術なのですが、5-3ページのところは、秋池委員もおっしゃったところに絡むのですが、1行目、「更なる教員増により、負担感の大きい業務」というところに、「負担感の割に、教員が担う必要性が相対的に低い業務」や、「教員の専門性に準じたものでない業務」などを教員が担うことの必要性ということに触れたほうが良いのかなと思いました。
また、5-4ページの14行目から15行目のところなのですが、ここは、上の文書との整合性から、末尾のところ、「財源確保がなされていない点も課題である」などとまとめたほうが良いかと思いました。
同じく、5-4ページの脚注の最後のほうで、「給与が高い中堅・ベテラン教員の方が増額となる」ということだけだと、少し中堅・ベテラン教員の方にリパーカッションがあるかと思いましたので、「中堅・ベテランの教員の方が、その労働量にかかわらず増額となる点」などと、少し補足したほうが良いかと思いました。
また、5-6ページの1行目辺りの「大学の統合・縮小・撤退」なのですが、これ自体は全く同意しますし、議論の中でも私から発言をさせていただきましたが、既存校だけではなくて、新設校の適正化ということも、需要に応じて、少子化に沿った形で適正化を図るべきであると思っておりますので、それも将来的には、今回でなくても、入れていただければと思いました。
また、飛びまして、農林水産なのですが、7-1ページです。こちらの内容については全く同意をするところなのですが、ほかの章や分野と少し異なりまして、いきなり各論(1)の①から始まりますので、ほかの分野と同様に、「7.農林水産」の下に想いを入れていただいたほうが良いのかなと思いました。例えば、(1)の、
辺りのところから要点を抽出して、7のタイトルの下に特に強調されたいところを入れてはと思いました。
そして、最後は中小企業なのですが、まず、8-5ページの18行目のところです。「官民の適切なリスク分担の観点からも、出融資や債務保証を積極的に」というと、債務保証等でリスクを取るということを積極化するように見える一方で、その前ではリスク分担を官民で分担して、政府は縮小するようなニュアンスになっています。資料と、それから、議論を思い起こしてみると、出融資や債務保証を補助金以上に重視するということについては、比較表をもって、ガバナンスや税負担等の観点から理由を挙げられていたかと思いますので、18行目をそのような形で修正してはと思いました。
そして、最後は8-6ページ、中小企業の中小企業対策費のところなのですが、19~20行目で、「中小企業対策費についても、その規模を早期に正常化」となっています。現在、倒産がむしろ増加をしている傾向の中では、中小企業対策費自体の規模の縮小が必ず当たるのかということは疑義があるかと思いますので、ここは、恐らく、「コロナ禍の特殊要因で膨張した部分については、その規模を早期に正常化」という形で区切ったほうが良いかと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、続いて、木村委員、お願いします。
〔木村委員〕ありがとうございます。私は細かいところを3点だけ。
一つは防衛費なのですが、3-5ページです。防衛産業の体質強化を図るために、防衛装備品の海外移転を推進することが必要であるという表現があります。方向性としてはそうだと思うのですが、我が国の戦後の安全保障政策との整合性等を考えると、例えば、インド太平洋地域の平和と安定という目的に沿って防衛装備品の海外移転を推進するなどの枕詞があったほうがより良いのかなと思いました。
それから、もう一つは、5-4ページの教職調整額に関する代替案。方向性は私も支持するのですが、一部には、教育現場に信賞必罰を持ち込むことは好ましくないという意見もあるようです。私は必ずしも信賞必罰とは思いませんが、今回の仕組みは、教育現場そのものに支障を残すものではないということが、もし何か入ればベターなのではないかなという気もしました。
それから最後に、7-6ページの米・水田政策の見直しです。これも、基本的に書かれていることには賛成なのですが、もし可能であれば、今年の米価格の高騰に何か触れることはできないかなと思いました。これだけ社会的な問題になっただけに、何か一言でもあったほうが良いのかなと。例えば、28~30行目辺りに生産基盤の危機的状況が言及されていますが、米価格の高騰の要因の一つとして生産基盤の脆弱さということが指摘されているので、要因は様々あって、確定的な言及は避けたほうが良いかもしれませんが、そうしたものがあったほうが農政の問題点の理解が深まるのではないかという気がしました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、田中委員、お願いします。
〔田中委員〕田中です。ありがとうございます。私からも2点だけ言及させてください。
気になるところで、文教・科学技術の5-2ページの②の小見出し「学校の人材」についてです。ここだけがすごく大きい範囲になっていますが、ここは内容が人材配置かなと思いましたので、小見出しとして「学校の人材配置」などに変えてもらったほうが良いのかなと思いました。
そして、農林水産のところ、7-7ページ、今、木村委員もおっしゃいましたが、15行目、16行目の辺りに、「食料自給率に過度に引きずられることなく、国民負担を最小化する視点」というところで、ここの「国民負担の最小化の視点」の部分が少し分かりづらいかなと思いました。その前に、高い米価に頼らないともあるのですが、今は米価の高騰の問題もあって、国民の理解が結構複雑になってしまうかなというふうに思いましたので、農業従事者が減ること、今の水田政策にはいろんな支援が入っていることなど、この辺りをもう少し整理されたほうが、より趣旨が伝わるかなと思いました。こうした案が良いのではないかというものは、今はまだないので、後で送れればと思います。
以上、よろしくお願いいたします。
〔増田分科会長代理〕それでは、続いて、横田委員、どうぞお願いします。
〔横田委員〕ありがとうございます。私も細かい点だけを指摘したいと思います。
文教の義務教育周りなのですが、今、田中委員がおっしゃったように、私も小見出しは気になっていまして、少しレイヤーをそろえていただいたほうが良いかなと。は学校業務の縮減になっていることに対して、
、
は人材と給与で止まっているということもあったりするので、全体的に文教関係の見出しを再確認していただいたほうが良いかなと思いました。
2点目も、これは義務教育周りなのですが、5-5ページのところ、本当に細か過ぎる指摘です。7行目以降、8、9、10、11行目、ポツでいろいろ具体例を挙げていただいているのですが、業務縮減は業務縮減で並べていただきたいなと思っているので、DXと勤務時間管理の徹底を入れ替えてほしいという、本当に細かいお願いで申し訳ないです。よろしくお願いします。
〔増田分科会長代理〕それでは、宮島委員、どうぞお願いします。
〔宮島委員〕ありがとうございます。文教は重なっているところが多いので、農林水産だけを申し上げます。
やはり前文があったほうが良いと思います。方向性を一定の応援を持って書かれると、何となく受け止められると思うのですが、今は若干冷たいような感じがしております。
一つ、具体的には、農業政策は、米や麦の国産を増やそうという方向で今、進んでいると思うのですが、7-5ページの5行目は「あくまで他の手段との比較較量を踏まえた上で進められるべきである」と書いてあり、輸入をすれば良いだろうというように聞こえるのです。本当に輸入だけで、国産を増やさなくてよいという意思統一ができているのであれば、それはそれでも良いと思うのですが、単純にかかるお金を比べてしまうと、どうやっても輸入のほうが安くなるということが現実なので、ここが少し強過ぎるかなと私は感じました。もし小麦や大豆の国産化も一定程度進めるという前提に立つのであれば、それに対する負担というか、国費の投入をもっと抑えるべきとか、そうしたような形の書き方のほうが軟らかいのではないかと思います。
さらに言うと、小麦や大豆への転作は土地利用との関係もあると思うのですが、今回、全体がかなり米に収れんしているので、土地利用や農村の在り方の視点がないかなと思っています。長々と書く必要はないですが、今進んでいる地域の計画について、進んでいない地域が、構造改革がストップしている地域であると思いますので、地域の計画を進めるというような点もどこかに入れていただければ良いと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、平野委員、どうぞお願いします。
〔平野委員〕ありがとうございます。
前半も含めて意見を申し上げたいと思いますが、全体として大変良い建議ができたと思っています。特に社会保障は大傑作です。これほどすばらしく、包括的なものは見たことがありません。そのうえで、まずは総論について4点申し上げます。
1点目。構造的な課題への触れ方に関して、冒頭は、コロナは終息したのでコロナの前に戻せば良いという論調に見えますが、もともと我が国の財政問題は、コロナ以前からあったわけであり、そうではないと思います。単純にコロナ前に戻れば良いとするのではなく、日本の社会や経済が抱えている様々な構造的な課題に対する取り組みが必要であると書き込むべきです。
2点目。今回の建議は全体的にやや内向きになっているように見えるので、世界の経済情勢や安全保障を取り巻く環境など、国際情勢の変化についてもう少し書き込むべきだと思います。特に経済に関して言うと、各国がAIを含めた技術革新に向けて産業育成に取り組んでいる中で、日本が競争力を高めるためには、官民で日本の戦略的自律性と不可欠性を強く意識した政策運営が求められる、ということを書き込んでいただきたいです。
3点目。7ページにある、金利上昇への触れ方に関しては、毎回申し上げていることですが、初めに民間の調達コストが上がることを御指摘されていますが、より深刻な影響を被るのは国です。順番としては、政府セクターにおいてゼロ金利下で弛緩した財政規律を回復させるということを第一に書くべきです。
4点目。今回は有事がテーマになりましたが、総論で語られている有事は、コロナや激甚災害など我々が経験してきたものにとどまっています。しかし、国債の格付や発行という観点からすると、カタストロフィックな災害について考える必要があります。各論で述べられてはいますが、南海トラフ・首都直下型地震などについて、脚注でも構いませんので、総論の中でも明記したほうが良いと考えます。
以上が総論です。それ以外の細かい指摘は、意見書を提出しますので御確認ください。
社会保障については、先ほど申し上げたとおり、個々の施策はよく書かれていると思いますし、異存はありませんが、3点申し上げます。
1点目。医療費の総額抑制に向けた検討の必要性を改めて言及すべきです。改革工程自体は非常によくできていますが、実効的な形で進められていないことを考えると、医療費を抑えるための施策、例えば、この場でも議論された医療版マクロ経済スライドの導入や適切な診療の在り方の検討が必要であることをどこかに書き込んでいただきたいです。
2点目。医療提供体制に関してです。1-29ページの17行目、18行目で、知事の権限強化に加えて国においても必要な対応を行うと一歩踏み込んで言及されていることは良いと思いますが、今後の人口動態の変化による需給見通しに基づいて、中止の要請だけではなく、保健病床として指定しないというような規制的な措置の必要性を次期計画で検討すべきという記載を追記いただきたいです。さらに、公定価格が設定されているうえ、4分の1が国庫負担で賄われている医療の事業管理は、国家としての効果的な資源配分の問題であり、国が責任を持って進めるべきだ、という点も書き込んでいただきたいです。
3点目。マイナンバーに関してです。過去から何度も申し上げている内容ですが、既に証券口座への付番は実現しており、NISAなどで国民の意識も変わりつつある中で、銀行口座に付番しなくて良いということはおかしい気がします。全銀行口座への付番の義務化について、少なくとも検討すべきと書き込んでいただきたいです。他方、マイナンバーに対する国民の不信感、不満を払しょくするために、情報管理体制をしっかり構築すべきということも、併せて言及すべきだと思います。
地方財政については2点申し上げます。
1点目。2-6ページに縦割りを廃した国の総合的な推進体制の必要性に関して書き込んでいただきたいです。学校、病院、上下水道など、施設ごとに担当官庁がばらばらに縦割りで所管している現状を改めて、コンパクト化を促していく必要があるということを書くべきです。
2点目。2-4ページの3行目から6行目にある、行政の合理化、効率化に関しては、KPIないし数値目標を設けるべきだと思います。民間は、効率化によって人的なリソースを捻出して、生産性の高い、あるいはより高度な業務にリソースを振り向けるという取り組みを進めてきましたが、地方自治体も同様に取り組むべきです。具体的には、業務の効率化によって、削減できる事務量を人員数に換算した数字を目標に設定すべきです。私どもの銀行では、過去に9,500人相当の業務量を削減するという目標を掲げたことで、業務効率化を実現できましたが、こうした施策に地方自治体も取り組むべきだと思います。
防衛については3点申し上げます。
1点目。増税時期の議論の進捗は芳しくありませんが、まずは、防衛力整備計画の説明責任を果たす必要があると思います。今後、恐らく行われる為替・物価動向を踏まえた見直しの中で、防衛力整備の中身の再点検を行い、国民に対してしっかりとアカウンタビリティーを果たすべきであるという記載を入れるべきだと思います。
2点目。防衛産業に関して、3-4ページの18~19行目で言及いただいておりますが、その目的を書き込むべきだと思います。すなわち、我が国の防衛産業が、同盟国、同志国とのフレンド・ショアリングの中のサプライチェーンを担っていくことが、安全保障上のメリットに加えて、産業基盤の強化に資するという視点が必要だと思います。
3点目。防衛産業の体質強化に関して、業界自らが防衛産業の在り方について真摯に検討すべきというように防衛産業業界に呼びかける論調になっていますが、基本的なユーザーは国ということを踏まえると、完成品メーカー、部品メーカーの垂直・水平的な統合を後押しする国の施策が必要、とまで踏み込んで書き込んで良いと思います。
文教・科学技術については3点申し上げます。
1点目。科学技術投資の在り方に関してです。5-8ページの19行目で、これまでと同様にGDP対比で見ると遜色がないと書かれておりますが、前回申し上げたとおり、我々は今やリーダーではなくてチャレンジャーであり、この分野への重点的な投資が必要です。5-8ページの27~30行目にあるように、生産性の引き上げや効率化も重要ですが、投資の量の維持、あるいは重点的な拡大が必要であるというトーンに変更いただきたいです。
2点目。基礎研究に関してです。いわゆる運営費交付金に絡む話だと思いますが、従来は、運営費交付金は「選択と集中」という方針の下、毎年1%減らしてきましたが、長期的な視点に立って基礎研究を可能にするような仕組みを検討すべきと改めていただく、あるいは、そのような意見もあったことを書き込んでいただきたいです。
3点目。タスクシフトに関してです。義務教育に関しては皆様からも御指摘ございましたが、高等教育も同様です。研究開発の生産性が低迷する理由の一つは、大学の研究者の研究に割ける時間が3分の1以下に低下していることにあります。したがって、リサーチ・アソシエイトや、少し分野が異なりますが、ユニバーシティー・リサーチ・アドミニストレーターなど専門家の人材を育成、増員して、研究や大学のアドミニストレーションのタスクシフトを進めるべきであるという点を書き込むことをご検討いただきたいです。
農林水産については2点申し上げます。
1点目。7-2ページの2行目から3行目で農業生産力の向上が重要であると記載いただいておりますが、長期的な計画を策定する必要があることをどこかに書くべきです。先ほどからも話題になっていますが、例えば、日本の農業に関する2050年のポートフォリオを明示したうえで、その実現に向けて何を進めるのか、というプランを策定する必要があると思います。5年ごとに10年を巻きなおしていますが、期間が短いと思います。
2点目。7-8ページの1行目にある、農地の集約に関して、ネックになっているのは、企業の土地取得の問題だと思います。昨年の制度改正がありましたが、企業側から見ると、参入障壁はまだ高い状況ですので、もう一歩踏み込んだ規制改革が必要だと書き込んでいただきたいです。
国内投資については、小林委員も御指摘されていた半導体に関して2点申し上げます。
1点目。半導体を支援する理由に関して言及すべきです。例えば、8-3ページの2行目辺りに、過去の様々な問題を繰り返さないためにも、研究開発での国際協力の推進やユーザー開拓などに官民一体で取り組むことで、日本の半導体産業を国際的なサプライチェーンの中にしっかり位置付けることが不可欠であり、それによって投資リスクの軽減や成功確率を高めることができるのではないか、という記載があっても良いと思います。
2点目。8-4ページの6~13行目にある、ガバナンスの枠組みに関してです。公的支援を行う上で当然ではありますが、今後も激しい変化にさらされるであろう半導体業界においては、経営判断の迅速性や柔軟性も確保する必要があります。がんじがらめにしてはうまくいかないということは、過去からの教訓だと思います。
最後に、デジタルについて2点申し上げます。
1点目。新たな取組が生じて全体が増えること自体は構わないと思いますが、情報システム経費の3割削減という目標について、これまで取り組むと明言した施策が本当にできているかはしっかり検証すべきです。
2点目。デジタル化を通じた行政能力の向上という視点が必要です。9-1ページの27行に「システム化を通じた行政の効率化」について書かれていますが、地方財政でも申し上げたとおり、これで捻出されたリソース、端的に言えば要員のシフトを進めるという視点を入れるべきですし、これをKPI化することが、デジタル化を通じた行政の効率化を実効的に進めるためには必要だと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは以上で、御意見はおしまいにしたいと思います。
起草委員から、これまでいただいたところでコメントございますでしょうか。
中空委員。
〔中空委員〕皆様、ありがとうございました。
私は、文教のところと、それから、中小企業のところでいただいた御意見に関して、いくつかお話をしたいと思います。
文教・科学技術の最初の総論のところに、人口が減ることも書くこと、あるいは、働き方改革という文言や小見出しに少し不十分なものがあるのではないかといったところ、そのあたりは本当にそうであると思います。訂正をしたいと思っています。
恐らく、文教の中で一番話題になっていたのは、やはり教職調整額であったと思います。大槻委員からの指摘もありましたが、「このほか」のところは「財源確保がなされていない」というふうに終わっていて、ほかとの連携が悪いのですが、わざわざ悪くしている面もあります。なぜかというと、「このほか、5,600億円程度/年の財源確保がなされていない」ということが一番言いたいところでして、それがあまりにも強く出過ぎて、こんな形になっています。そのため、今、御指摘を受けましたが、その調整が必要かどうか。先ほど芳野委員からも違う観点で御意見を賜りましたが、ここについては、何もないのに、13%引き上げるどころか、20%という話が出てくることについて、やはりくぎを刺したいという気持ちが、並々ならぬ私たちの気持ちが、そこに盛り込まれていることを少し感じていただければなと思います。
それ以外は、お聞きしたことを付け加えたいと思いますし、科学技術に関しては、平野委員からあった基礎研究の話について、そういえば書いていないなということを思いましたので、そこについても付言したいと思います。
また、中小企業・国内投資です。前に、半導体について、なぜこれを特別視するかということの説明が足りないということを小林委員から言われて、そのとおりなのですが、何と書いたら良いのだろうかとずっと思っていました。例えば、産業の米と書くのかなと思っていたのですが、少し古過ぎるということもあり、平野委員からあったサプライチェーンの話を、グローバルサプライチェーンの中の一環として入れ込もうかと思います。日本はこれまで分散投資をしてきてしまって、集中して何かをサポートするということがなかったので、ほかの国に比べて競争力を確保できなかったということを考えると、あまりおっかなびっくりなことばかりを書くわけにもいかないという気持ちもあります。そのあたりを、少し集中的に投資して、経済成長に結びつけるということは是としながらも、ガバナンスを効かせた投資をしていくということに集約していけたらなというふうに、御意見を賜りました。そのあたりの修文についてはお任せいただければと思います。
あともう1点、中小企業についても、中小企業のサポートも良いのだが、セグメンテーションも重要、これは秋池委員から言われたことです。あとは、支援機関について、これは広瀬委員から言っていただいたことですが、やはり、どういうふうにここを考えるかということと、ガバナンス、仕切りについての書き方が少し足りなかったかと思うので、そのあたりは考えたいと思います。
いずれにしましても、御意見をありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕それでは、河村委員、どうぞ。
〔河村委員〕いろいろと御意見をいただき、ありがとうございました。
農林水産のところなのですが、何人かの委員の方から御指摘をいただいた、冒頭はあったほうが良いということは、おっしゃるとおりだと思います。想いは、7-1ページや7-2ページに書いているところもあるのですが、そこからキーワードを、ピンチをチャンスにという話や自立する形で農業をやっていくこと、また、食料安全保障とどう両立させるのが良いかということ、そうした辺りのことが恐らくポイントだと思いますが、前のところに持って来るような形で、もう一回起草委員会で検討できればと思っております。
最近の米価の話、すごく高止まってしまっているという話は、どこかでうまく入れられればと思います。気持ちとしては、7-7ページの13行目のところで、高米価に頼らないということをちらっと入れたりはしているのですが、少しそこも検討したいと思います。
農地の集約化のところは、同じページの脚注124のところで少し入れているのですが、そこもいろいろ御指摘をいただきましたので、考えたいと思います。
また、追加で文教のところで、冒頭に少子化の波のことをやはり入れたほうが良いのではないかという御意見を何人かの方に言っていただきました。これは、書き方をよく考えなければいけない難しいところがあるのではないかなと思っています。大学は、今もろに少子化の影響で、定員過剰の影響が出ていますが、では義務教育もそうかというと、現実を見ると、必ずしもそうではないところがあります。先生1人当たりが抱えているお仕事の量、こどもの数などを比べるというような議論ももちろんしていますが、それだけでは表し切れない、色々な社会情勢の変化とかもあります。そのあたりは文章で書いているところもありますが、工夫しながら、冒頭にどう盛り込むかというところは相談したいと思います。
すみません、以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、起草委員の方はよろしいですね。
本日の審議はここまでといたしますが、冒頭に申し上げましたとおり、追加の御意見は、明日、21日(木)の12時までに事務局に所定の様式に御提出いただく、こうしたことでお願いいたします。
それから、改めてでございますが、本日の議論を踏まえて、改めて起草委員会で修文案を検討いたします。これは従来もそうでございますが、寄せられた御意見についてはできる限り反映いただければと思いますが、難しい判断になるというものも当然含まれると思いますので、いずれにせよ、修文案につきましては、基本的に起草委員の皆様に御一任いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
その上で、委員の皆様のお手元にあるとおり、次回、11月29日(金)、13時から分科会の開催を予定しております。
それでは、本日はこれで閉会いたします。どうもありがとうございました。
午前12時00分閉会