財政制度等審議会財政制度分科会
議事録
財政制度等審議会財政制度分科会議事次第
令和6年5月21日(火)10:00~11:00
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)
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1.開会
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2.議題
とりまとめに向けた審議
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3.閉会
分科会長 |
十倉雅和 |
赤澤副大臣 矢倉副大臣 瀬戸大臣政務官 進藤大臣政務官 新川主計局長 寺岡次長 前田次長 吉野次長 大沢総務課長 木村主計企画官 三原司計課長 西村法規課長 山本給与共済課長 横山調査課長 有利主計官 山岸主計官 小野主計官 佐久間主計官 小澤主計官 寺﨑主計官 端本主計官 松本主計官 漆畑主計官 尾﨑主計官 後藤主計官 小野寺主計監査官 石田予算執行企画室長 西尾主計企画官 小田切公会計室長 |
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分科会長代理 |
増田寛也 |
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委員 |
秋池玲子 大槻奈那 河村小百合 熊谷亮丸 小林慶一郎 佐藤主光 武田洋子 土居丈朗 宮島香澄 芳野友子 |
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臨時委員 |
上村敏之 遠藤典子 小黒一正 木村旬 末澤豪謙 角和夫 田中里沙 中空麻奈 平野信行 広瀬道明 福田慎一 堀真奈美 神子田章博 横田響子 吉川洋 |
午前10時00分開会
〔増田分科会長代理〕おはようございます。ただいまから、財政制度等審議会、財政制度分科会を開催いたします。御多用中のところ、御出席をいただきまして、ありがとうございます。
本日は、春の財審の最終回ということになります。本日は冒頭から、赤澤副大臣、矢倉副大臣、瀬戸大臣政務官、進藤大臣政務官にお越しいただいております。どうもありがとうございます。
本日は、お手元に配付しております「我が国の財政運営の進むべき方向(案)」の内容について審議を行って、当分科会として取りまとめた上で、この会議終了後、取りまとめられた建議を十倉会長、そして、起草委員の皆様方から鈴木大臣にお渡しする予定と、こうしたことでございます。
なお、建議手交の時間もございますので、この場での審議は11時までには終了して、そして、大臣室に移動すると、こうした段取りで考えております。
最後に、まず内容の審議を行って、建議を確定させるというのを最優先で進んでいきますが、その後、皆様方から確定させた後、御感想ですとか、あるいは、秋の建議に向けての何かサジェスチョンなどを頂ければと。その時間も若干取らせていただきますが、後ろの予定がそうなっておりますのと、この場での議論の最後に、本日御出席をいただいております両副大臣、両政務官、政府の方々、そして、会長からも御挨拶を頂戴したいと思っておりますので、それも含めて11時までに終了と、こうした予定で考えておりますので、是非御協力よろしくお願いします。
お手元にございます建議(案)でございますが、前回8日の分科会でいろいろ御意見を頂き、その後に頂いた御意見も踏まえて、起草委員の皆様方に修正していただいたものでございます。お手元には前回の会議で御審議いただいた案文からの修正を見え消しにしたものと溶け込んだものと、それぞれ配付されているかと思いますが、適宜それぞれ御参考にしていただければと思います。
起草委員の皆様方の、その後の御議論の様子をお聞きしましたが、皆様方から頂戴した御意見、コメントの中で、当審議会でこれまで行われてきた議論との関連性が低いものや、方向性が異なると判断されたもの、ごく少数ですが、反映を見送ったものもあると聞いておりますが、全体としては、頂いたもの、多くの御意見を反映させて、本日のものに至っていると、このように伺っているところでございます。
主な変更箇所について、この後、横山調査課長から御説明、補足の説明をしていただきたいと思いますので、まずそこから入りたいと思います。
それでは、課長、よろしくお願いします。
〔横山調査課長〕5月8日の分科会の際にいただきました建議の素案に対する御意見について、起草委員会で審議いただきました。駆け足になりますが、お手元の見え消し版に沿って御意見の反映状況を報告いたします。
まず建議名について、8日の審議を踏まえ、「我が国の財政運営の進むべき方向」と修正されております。
続いて、基本認識です。1ページ、3から4行目、末澤委員、宮島委員、熊谷委員の御意見を踏まえた修正でございます。11行目以降、上村委員、横田委員の御意見の御趣旨を踏まえて、「(日本が置かれた環境の変化)」等の小見出しを追加し、基本認識の構成を分かりやすくお示ししております。脚注2について、末澤委員の御意見を踏まえて、「外国人を含む総人口ベース」を追記しております。
2ページ、2行目、熊谷委員の御意見を踏まえて、「等」を追記しております。
7行目以降のくだりは、熊谷委員、平野委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正でございます。10行目以降のくだりは、大槻委員の御意見を踏まえた修正です。13行目および脚注5、大槻委員、末澤委員、熊谷委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正でございます。19から20行目、田中委員の御意見を踏まえた修正です。22から23行目、熊谷委員の御意見を踏まえた修正です。
3ページ、9行目以降のくだりは、大槻委員の御意見を踏まえた修正です。17行目、平野委員の御意見を踏まえた修正です。脚注8について、熊谷委員の御意見を踏まえて追記しております。
4ページ、1行目、小林委員、熊谷委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。14行目、熊谷委員、平野委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。脚注12について、木村委員、熊谷委員の御意見を踏まえて追記しております。
5ページ、1行目以降のくだりは、宮島委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正でございます。
続きまして、財政総論です。
6ページ、3行目、平野委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。
7ページ、20から21行目および脚注18、先ほどと同様、大槻委員、末澤委員、熊谷委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。24から25行目、大槻委員、田中委員、熊谷委員の御意見を踏まえた修正でございます。
8ページ、4行目、熊谷委員の御意見を踏まえた修正です。
9ページ、7行目、熊谷委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。13から14行目、平野委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。15行目、先ほどと同様、熊谷委員の御意見を踏まえた修正です。22から23行目、熊谷委員、平野委員の御意見を踏まえた修正でございます。
10ページ、24行目以降のくだりは、平野委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。それから、脚注23について、横田委員の御意見を踏まえて追記しております。この他必要に応じて他の用語にも脚注の追加等を行っております。
11ページ、7行目、熊谷委員の御意見を踏まえた修正です。
12ページ、脚注26について、國部委員、芳野委員、熊谷委員、平野委員の御意見を踏まえて追記しております。
13ページ、14行目以降のくだりは、熊谷委員の御意見を踏まえた修正です。19から20行目、大槻委員の御意見を踏まえた修正です。23行目および脚注32、末澤委員の御意見を踏まえた修正です。
14ページ、2から3行目、大槻委員、熊谷委員の御意見を踏まえて追記しております。30行目、熊谷委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。
15ページ、16行目、熊谷委員の御意見を踏まえた修正です。18行目以降、平野委員の御意見の御趣旨を踏まえ、「その際には」以下を追記しております。25から26行目、熊谷委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。脚注33、平野委員の御意見を踏まえ、「なお」以下を追記しております。
17ページに飛んでいただきまして、20行目、大槻委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。30行目から次のページの冒頭にかけては、神子田委員の御意見を踏まえた修正でございます。
18ページ、13行目以降の「財政の現状や課題」のくだりは、田中委員、芳野委員等の御意見を踏まえた修正です。23行目、小黒委員の御意見を踏まえ、「将来世代」という文言を追記しております。
19ページ、17行目以降のくだりは、神子田委員の御意見を踏まえた修正です。脚注41、神子田委員の御意見を踏まえて追記しております。
続きまして、経済成長および人口減少下での地域の課題への対応です。
21ページに飛んでいただきまして、18行目以降のくだりは、熊谷委員、平野委員の御意見の御趣旨を踏まえ、追記しております。
22ページ、19行目以降のくだりは、平野委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。あわせて脚注46を追記しております。脚注44、芳野委員の御意見を踏まえて追記しております。
23ページ、19行目、芳野委員の御意見を踏まえて、「処遇の改善」を追記しております。22から23行目、横田委員、熊谷委員の御意見を踏まえて、「柔軟な働き方の促進」を追記しております。
24ページ、1から2行目、宮島委員、安永委員等の御意見を踏まえた修正です。
25ページ、脚注54、先ほどと同様、末澤委員の御意見を踏まえた修正です。
26ページ、17行目、國部委員の御意見の御趣旨を踏まえ、「『GX推進戦略』と同様に」を追記しております。あわせて脚注57を追記しております。
27ページ、14行目以降のくだりは、小林委員の御意見の御趣旨を踏まえて追記しております。20行目から次のページの冒頭にかけては、熊谷委員、平野委員の御意見を踏まえた修正でございます。
29ページに飛んでいただきまして、11から12行目、広瀬委員の御意見の御趣旨を踏まえ、「地域の多様性や独自性を踏まえつつ」を追記しております。18行目、平野委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。23から24行目、大槻委員、熊谷委員の御意見の御趣旨を踏まえ、「省庁横断的な視点を踏まえつつ」を追記しております。脚注63、安永委員と熊谷委員の御意見を踏まえて追記しております。
31ページに飛んでいただき、18行目以降のくだりは、芳野委員、熊谷委員、安永委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。
33ページに飛んでいただきまして、20行目、芳野委員の御意見の御趣旨を踏まえて、「必ずしも」を追記しております。
35ページに飛んでいただき、5から6行目、平野委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。
36ページ、20行目、小黒委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。
37ページ、13行目、熊谷委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。26行目から次のページの冒頭にかけては、國部委員、熊谷委員、平野委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正でございます。
38ページ、4行目および6行目、國部委員、熊谷委員の御意見を踏まえた修正でございます。
最後に、こども・高齢化です。42ページに飛んでいただきまして、6行目以降のくだりは、木村委員、堀委員の御意見を踏まえた修正です。21行目以降のくだりは、國部委員、熊谷委員の御意見を踏まえた修正です。
43ページ、1行目以降のくだりは、熊谷委員の御意見を踏まえた修正です。22行目から44ページの最後までのくだりは、脚注88を含め、小黒委員、堀委員、芳野委員等の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。
47ページに飛んでいただき、26行目以降のくだりは、國部委員の御意見を踏まえた修正です。
48ページ、17行目以降のくだりは、平野委員の御意見を踏まえた修正です。22から23行目、木村委員、田中委員の御意見を踏まえた修正です。この他、別ページでも同様の修正を行っております。23から24行目、末澤委員の御意見を踏まえた修正です。
49ページ、12から13行目、平野委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。21から22行目、芳野委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。脚注95について、広瀬委員の御意見を踏まえて追記しております。
50ページ、4行目、末澤委員の御意見を踏まえた修正です。14行目以降のくだりは、國部委員の御意見を踏まえた修正です。脚注98について、堀委員の御意見を踏まえて追記しております。
51ページ、8行目以降のくだりは、熊谷委員、平野委員の御意見を踏まえた修正です。17から18行目、國部委員、田中委員の御意見を踏まえた修正です。
52ページ、3から4行目、芳野委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。
53ページ、19行目、堀委員の御意見を踏まえ、「医学的な必要性以上に」を追記しております。
54ページ、4行目以降のくだりは、平野委員の御意見を踏まえて追記しております。19行目、堀委員の御意見を踏まえて、鍵括弧を追記しております。
55ページ、3行目および9行目、小林委員、平野委員の御意見を踏まえ、「医療統計の充実」を追記しております。22行目以降のくだりは、平野委員の御意見を踏まえて追記しております。27行目から次のページの2行目にかけては、小林委員、平野委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。
56ページ、8行目、堀委員の御意見を踏まえ、「薬価の高い薬か安い薬か」を追記しております。14行目、堀委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。
60ページに飛んでいただき、21行目、横田委員の御意見を踏まえた修正です。
62ページに飛んでいただきまして、15から16行目、宮島委員の御意見を踏まえた修正です。29から30行目、堀委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。
66ページに飛んでいただき、18行目以降のくだりは、平野委員、芳野委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正でございます。
69ページに飛んでいただき、2行目以降のくだりは、安永委員の御意見を踏まえた修正です。
71ページに飛んでいただき、6行目、平野委員の御意見を踏まえた修正です。21行目以降のくだりは、熊谷委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正でございます。
72ページ、脚注119、熊谷委員、平野委員の御意見の御趣旨を踏まえて追記しております。
73ページ、17から18行目、熊谷委員の御意見を踏まえて追記しております。
78ページに飛んでいただき、15行目、芳野委員の御意見の御趣旨を踏まえ、「必要なサービスを確保しつつ」を追記しております。
82ページに飛んでいただき、3行目、権丈委員の御意見を踏まえ、「勤労者皆保険を徹底する観点から」を追記しております。脚注132、権丈委員の御意見を踏まえた修正でございます。
このほか必要に応じて、表現ぶりの修正、その他形式的な修正等がなされております。
私からの説明は以上でございます。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。今、御確認いただきましたとおり、委員の皆様方から頂戴した御意見については、可能な限り反映していただきました。反映されているのではないかと、このように思っております。したがいまして、ここでお諮りをいたしますが、建議の内容につきましては、今、お手元に配付しております建議(案)のとおりで取りまとめたいと、このように思いますが、よろしゅうございますか。よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
〔増田分科会長代理〕ありがとうございます。異議ないということでございましたので、お手元の案のとおりと、このようにさせていただきます。
それでは、冒頭申し上げましたとおり、これから、せっかくの機会でございますので、10時50分過ぎぐらいまで、意見交換の時間とさせていただきたいと思います。春のこの財審全体を通した御感想でも結構でございますし、秋に向けての御示唆でも結構でございます。ネームプレートを立てて、オンラインの方は、挙手ボタンで合図していただきますと、こちらから指名しますので、御発言を頂ければと思います。それから、全体の時間、そうしたことで、繰り返し申し上げて恐縮ですが、後のほうが少し窮屈になっておりますので、御発言内容はできるだけ手短にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
それでは、田中委員から順次御発言いただくようにしたいと思います。田中委員、どうぞお願いします。
〔田中委員〕今回の議論も大変ありがとうございました。取りまとめにも感謝申し上げます。やはり今回、全体を通して、持続可能な財政の大切さ、必要性というものを自分の将来および将来世代の影響もイメージしながら、誰が何をしていけばよいかということの役割分担と協力、連携の一連の流れが受け入れられるよう、しっかりと伝えていくことができればと思いました。最近、分野別の課題をベースに目次立てをしていただいているところですが、それが特にやはり接点を見つけやすい、発見しやすいという流れにもなると思いますので、ここは分かりやすくダイレクトに伝えることができればというふうに思います。
もう1点は、やはりエビデンスですとか気づきになるような、今回、強調していただいた国の財務書類に代表されるようなグラフやデータや図というものが、適宜いろいろな方の目に留まる、触れる努力や工夫も大切だなというふうに思いまして、メディアへの情報提供ですとか、企業と連携した形での情報提供ですとか、そうしたこともあると有効だなと思いますので、私も意識したいと思いますし、注視していきたいと思っております。ありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕それでは、宮島委員、どうぞ。
〔宮島委員〕ありがとうございます。大変な取りまとめ、どうもありがとうございました。前回、タイトルが少し、副題があったほうが良いのではないかのようなことを申し上げました。でも、それに関しては、きっとみんなの議論が一本化できないとか、私からも、こうしたのがどうかという提案もできなかったので、今回に関してはこれでよいと思います。ただ、私がこの前申し上げたのは、私たちがニュースをするときに、「財政の今後の進むべき方向を話し合っている政府の審議会が~~という意見書をまとめました」のようなリードなのです。そうすると、副題がないと、その「~~」というのがなくて、まくら言葉で終わってしまうのだが、どうすればよいかなということを単純に思いました。
もちろんこれだけ広範な話合いを一つの言葉にまとめるのはリスキーな部分もあると思うのですが、全部をきれいに理解するものばかりではないことを考えると、本当はやはりある程度、今年はこれなんだよということを示せるようなものがタイトルあるいは最初の前文の早いほうにあると、報道がばらばらにならないかなと思います。だから、報道をできればこちらの方向というふうに誘導した気持ちがあるのであれば、そうしたものがあったほうが分かりやすいかと思います。こうしたメディアの状況は、ニュースは今どんどん短くなっていて、私たちも恐らく、書いた原稿の頭のほうしか見ない、見ていないなというようなコメントをたくさんもらいます。若い人は、ヤフーニュースなどに切り取られた短いニュースでしかそのニュースを理解しない状況になっていて、それは大変つらいことではあるのですが、それを残念がっていても仕方がなくて、そうした人たちにどう伝えるかということも今後考えなければいけないと思います。
ほかの省庁では、例えば白書をどうやって分かりやすくホームページに載せるかということを工夫していたりするのです。財務省は恐らく、財政白書がないので、財務省が考えていることを国民に伝える手法がある程度限られると思うのです。そうすると、もしかしたら財審も、短く言うと言いたいことはこれなのだよと。もちろん財務省は敵が多く、揚げ足を取られることがあるので、そうした短く取られることに抵抗感はあるかもしれませんが、現状そうした形でしか伝わらなくなってしまった現状に対しては少し考える必要があるのかなというふうに思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、小林委員、お願いします。
〔小林委員〕すばらしい建議を、取りまとめをありがとうございました。何となく将来世代の視点というのが今回、強調されているような気がいたしますし、そうした傾向が徐々に強くなっていく。将来世代の視点からの議論というのが財審の御意見の中でも強まっていくというのは非常に良いことであるというふうに思いました。
まず、それに関連して、追加の一つ情報ですが、フューチャー・デザインというのが本文の中でも何度か取り上げられている。これが将来世代の視点に立つと、我々の思考が変わり得るのであるということを主張しているのですが、やや、経済学ではないのではないか、あるいはサイエンスになっていないのではないかという、そうした批判も少しあろうかと思っています。それに関して、いや、最近、経済学のほうでも若干進歩があったということを御報告したいのですが、昨年の『QJE』という雑誌に載ったCosmin IlutとRosen Valchevの「Imperfect Problem Solvers」という論文がありまして、そこでは、思考の経験が違うだけで、短期的な視野で行動する人間にもなれば、長期的な視野で行動する人間にもなり得るのであるということをモデルやシミュレーションを使って示した、そうした研究経済学の論文が出ております。そうした意味で、フューチャー・デザインで私たちが考えている将来世代の視点に立てば、何かしら政策の決定も変わり得るのではないかということは、きっと科学的にもだんだん受け入れられるような、そうした考えになってきているということなので、我々もこの財審で将来世代の視点というのをもっと強調していくということはよいことなのではないかと思っております。
私からは以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、熊谷委員、お願いします。
〔熊谷委員〕ありがとうございます。このたびはすばらしい建議をおまとめいただきまして、誠にありがとうございました。グローバルな経済の環境変化等を踏まえると、今後、我が国を取り巻く経済環境は激変する可能性があります。従来は、マクロ的な貯蓄超過・金余り、経常黒字、円高、デフレ、低金利という5点セットで、経済体質がじりじりと悪化していく「茹でガエル」とでもいうべき状態にありました。しかしながら、今後は、これらが高齢化や資金需要の回復等による貯蓄の取り崩し・資金不足、経常赤字、円安、インフレもしくはスタグフレーション、金利上昇という新たな5点セットへと激変する可能性が生じています。こうしたグローバルな環境変化等を踏まえた上で、今後、我が国は、節度ある財政運営を行うことが喫緊の課題であると考えます。
また、今回の建議は、どちらかというと、守りの要素が恐らく強かったという印象があって、現行の財政健全化目標を堅持して、歳出の目安を継続するということが主眼であったと思います。しかしながら、秋は、攻めの建議ということで、制度に踏み込んで、例えばEBPMですとか、中長期の財政計画、独立財政機関、さらに踏み込むのであれば、ペイアズユーゴールールですとか、ドイツがやっている財政均衡ルールのような、そうしたところにまで踏み込んだ攻めの建議を、是非秋は御検討いただければと考えます。
私からは以上でございます。ありがとうございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、平野委員、お願いします。
〔平野委員〕本当に素晴らしい建議をまとめていただきまして、ありがとうございました。熊谷さんもおっしゃられたとおり、内外の社会経済状況は大きく変わっています。その中で、今後の財政運営の在り方と、二つの大きな政策テーマを設定して論じるというアプローチは、タイムリー、かつ建設的であり、良い建議が出来上がったと思います。
その上で、今後の財審に向けて、三つ申し上げます。
1点目は、熊谷さんも御指摘されましたが、来年に向けた財政健全化目標と歳出の目安です。今回は、現下の様々な政治状況等も踏まえて、現状の維持、延長を、防衛ラインという形で簡潔に打ち出すにとどめたということだと思いますが、今後の中長期的な財政運営方針を、秋の財審でもう一度しっかりと議論し、明示する必要があると思います。
2点目は、人口減少問題です。最近、議論が一段と高まっていますが、言うまでもなくこの問題は、我が国の将来の姿を左右する極めて重要な課題です。今回の建議でも、少子高齢化と併せて切り口の一つにしてありますが、恐らくこのテーマを深掘りすると、地域における医療・介護や、学校、自治体、社会インフラ、あるいは地方自治の在り方といった様々な課題が出てくると思います。当然それらは財政にも大きな影響を及ぼしますので、財審としても、日本の持続可能な将来像を描くという観点で、是非議論したいと思います。
3点目は、給付と負担の問題です。今回の建議では、小林さんもおっしゃったように、将来世代の視点を強調しているのはとても良いことだと思います。先ほど御紹介されましたが、48ページ17行目、18行目、子育て世代の将来不安を払拭するために、給付の適正化等を通じ、医療・介護の保険料率の上昇を最大限抑制することや、給付と負担の構造を見える化することも重要と追記していただいたことを高く評価いたします。今後は給付の抑制に加えて、これまでどうしても後ろ回しになってきた負担の議論を深める必要があると思います。税財源も含めて、いかに給付と負担をバランスさせるのか、特に気になっている低所得者層の負担が社会保険料等の増加に伴って増えている状況をどうするかなどについて、先ほど田中さんもおっしゃられたとおり、不都合なものも含めて、必要なデータを開示した上で、国民の理解を求めていくべきであると思います。
以上です。ありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
ここで、オンラインのほうで、芳野委員から御発言の希望があります。芳野委員、どうぞ御発言ください。
〔芳野委員〕ありがとうございます。まずは、起草委員の皆様および事務局各位の御尽力に敬意を表したいと思います。こちらからは、提出した意見書からも様々取り込んでいただきました。改めて感謝を申し上げたいと思います。時間も限られていますので、1点だけ意見を申し述べたいと思います。
プライマリーバランスの黒字化達成の期限が目前に迫る中、今回の建議で国の財政への信認を確保する観点から、独立財政推計機関の創設や、複数年度にわたる財政計画の策定に向けた検討について、一定程度言及がされた点は評価したいと思います。過度に国債に依存し、将来世代へ安易に負担を付け回す今の財政運営から脱却するためには、こうした取組を通じて、財政規律の強化に加えて、不断の努力で、税財政一体改革を行う必要があることを改めて申し添えたいと思います。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、会場に戻りまして、末澤委員からお願いいたします。
〔末澤委員〕どうも。起草委員の皆様、事務局の皆様、今回も大部のすばらしい建議を御用意いただきました。ありがとうございます。
まず申し上げますと、このタイトルですね。「財政運営の進むべき方向」、一応これは私が前回提案した内容を御採用いただいたということで、誠にありがとうございます。原案よりは、より積極的、能動的で、我々の思いが強く示されたと考えております。ただ、宮島委員おっしゃるように、では、進むべき方向性というのは何なのであるということですが、これは私は個人的な理解ではございますが、将来世代に過度な負担、債務を残さず、引き継がせず、できればバッファはつくるということであると思います。これは今回、一つは少子高齢化の問題、また、様々なリスクの話を記載いただいておりまして、やはりこれはもう変わらないのですね。我々、アナリスト、エコノミスト、いろいろな予想を出します。よく外すのです。ただ、外れない予想が一つあります。これは人口統計の人口予想、これだけは外れません。つまり、少子高齢化が進むトレンドというのは、これはいろいろな政策は必要なのですが、なかなか変わらない。
一方、今年は選挙イヤーということなのです。昨日も台湾で総統の就任式がありました。実は同じタイミングで、イランで大統領が急逝されるということで、6月28日に新たに大統領選が行われると。日々、国際情勢が変わっています。リスクはどんどん増している動きです。ですから、バッファはつくらないといけないが、少子高齢化は続くので、そうすると、やはり本当に将来世代のことを考えた財政運営が必要であるということであると思います。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、秋池委員、お願いします。
〔秋池委員〕お取りまとめ、ありがとうございました。今回、人口減というものについて、正面から取り組んだということもありまして、内容がより具体的になったというふうに感じております。第2に、財務省はしばしば、財政について分かりやすい発信をということを求められますが、この建議は補助をすれば、学生さんにも分かるような内容になっていると思いますので、多くの人の目に触れると良いと感じました。
最後に、今後に向けてですが、限られた予算と、課題が顕在化するまでの時間とを考えると、それらをより効果的に使うためには、様々な政策、施策のつじつまを合わせていくことによって効果を大きくする必要がありますので、そのための議論が引き続き行われると良いと思いました。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、木村委員、どうぞお願いします。
〔木村委員〕ありがとうございます。大変立派な建議をまとめていただき、ありがとうございました。春の財審の審議中、日本経済、我々審議している間もいろいろな大きな動き、多々あったと思います、春の春闘で賃金が大きく上がる。これで経済の好循環が徐々に見えてくる。そうした動きを踏まえて、日銀がマイナス金利を解除して、金利のある世界がいよいよ本格的に動き出す。ただ、一方で、金利を上げ、マイナス金利を解除しても、逆に円は売られて、円安がどんどん進むと。すごく経済が、これまでの従来の発想ではなかなか説明しがたいような、すごく複雑な動きをしている中で、今回、財審としてもどういう答えを出すのか、どういう方向に財政を導いていくのかというのが難しい動きの中で答えを迫られたということで、その中でも、建議としては、財政が極めて厳しい状況に置かれている。それでいよいよ金利のある世界の中で、財政の健全化は一刻の猶予もないということを明確に示してくれたということはすごく良かったと思います。
また、今後、この建議をいかに生かすかということが問われると思うのです。6月にも策定される骨太の方針で、できるだけこの建議の内容を反映していただきたいと。骨太の方針をめぐっては、気になるといいますか、プライマリーバランスの内容を緩めるということを求める動きも政治的に出ているというふうにも伝えられております。また、来月から定額減税が始まりますが、もしかしたら追加が必要ではないか、いわゆるおかわり論のような、そうしたようなことの検討を求める動きも出ていると聞いておりますが、こうした動きで財政健全化が後退することはあってはならないのではないかと思っております。金利のある世界で財政が悪化すれば、結局は金融市場を混乱させて、最終的には経済を不安定にする。そうなってしまうと、政府が目指す経済の好循環というのも結局は遠のいてしまうのではないか。こうした事態を招かないように、骨太の方針はきちんと、プライマリーバランスも含めて、財政健全化目標をきちんと堅持する内容になることが大事であると思います。そうした内容になるよう、財務省の方々には今後、政府内でしっかり調整を進めていただきたい、そのように思っております。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、大槻委員、どうぞお願いします。
〔大槻委員〕ありがとうございます。改めまして、取りまとめ、ありがとうございました。すばらしい内容であると思って、感服いたしております。これはいろいろなところで財政の課題を説明するときの、言わば教科書というか、包括的、かつ網羅的で、内容もしっかりしている文章だと思いますが、一方で、将来世代にどう伝えるかという面では、教科書以外に参考書が必要だったり、解説が必要だったり、メディアの方を通じる等々のアクションがこれから必要になると思っております。かつては、例えば車座ですとか、いろいろな形での御解説もやられていたやにも聞いたことがあります。何らかの形で、本当に届くべき、理解すべき将来世代に届ける施策をこの次のステップとして考えていただければと思っています。
それから、2点目、議論の中身についてですが、今回、財政制度について、独立財政機関の問題等々についても触れていただいている一方で、まだ改革が進んでいるという状況には至っていないところであると思います。秋になると、予算の具体的なディスカッションになりますので、そこでどういう形で盛り込んでいくのか。このようなサイクルを繰り返していくと、なかなか制度改革の深い議論までたどりつきづらいのではということを感じております。何らかの形で、特別セッションとかを設けてやるなどもあり得ることなのではないかと思いますし、春、秋二つの建議に加えて、例えば個別のテーマについて、もしかしたら意見書なども考えてもよいのかなというふうに感じております。いずれにしましても、これからも濃淡も考えながら、いろいろな提案を届くべきところに届けられる、そんな形にしていければと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、神子田委員、どうぞお願いします。
〔神子田委員〕今回の取りまとめ、前回の会議で、大きな話から、細々とした、様々な指摘が出る中で、取りまとめは大変だったと思うのですが、ありがとうございました。私は最近の経済に関する感想から述べてみたいのですが、物価が上がるようになって、企業として、やはり物価が上がったということで賃金上げろと、上げざるを得ない状況になり、より効率的な経営を目指し、これからも更に成長していくことが見込まれるということで、株価も上がっていると思うのですが、一方で、財政で、良い面で言えば、最近、現場の人と話していて、プライマリーバランス、達成してしまいそうなのですと。「してしまいそうなのです」というところが面白いのですが、なぜかと言うと、物価が上がって税収が増えるからなのですと。そうか、やはりインフレってよいこともあるのだなと思いながら聞いているのですが、一方で、金利も上がってくるということがあって、せっかく企業がこれから頑張っていこうというときに、国が悪い金利の上昇で邪魔をしないことが大事かなと思いました。
そして、狼少年の寓話をここで思い出すのですが、財務省がこんなに赤字があって、金利が上がったら大変だ、大変だ、大変だと言ってきて、金利は全然上がらないから、狼少年ではないかというふうにずっと言われていたのですが、狼少年の寓話というのは、最後は狼が来るのですよね。今回もこれから金利が上がっていきますと、狼少年は、最後、狼が来たと言ったときに誰にも信じてもらえなくて、食べられてしまうわけですが、今、この金利と財政に置き換えると、金利は上がったと。ここで、これがいかに深刻なことかということを国民に分かってもらう必要があると、今こそ分かってもらう必要があるのではないか。それをやはり信用してもらわないと、財政が破綻してしまうということなので、今、重要な局面になってきたのかなということで、秋に向けては、金利の上昇が本当に財政にどういう影響を及ぼすかというのを国民に分かりやすいように伝えていくことが大事なのかなと。
先ほど、私の意見を取り入れていただいてということで、このPB目標の達成、あくまでも一里塚であると。これは結構、割と原文を読んだときに今までなかったなと思ったのは、やはり今までは何か、PB目標をやっとこさ達成するのようなところでずっと話してきたのですが、さっきの話もあったのですが、PB目標の達成が結構見えてきて、だからその先があるのであるということを強調されたのかなというふうに私自身感じておりまして、ここからが財務省も財審も頑張りどころかなと思っております。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、横田委員、どうぞお願いします。
〔横田委員〕ありがとうございます。建議の取りまとめ、ありがとうございました。今回、少子化が大きな柱になっているわけですが、少子化、働き方はもう確実にセットの話であるというふうに改めて申し上げたいと思います。新型コロナウイルスの感染拡大でかなりリモートワークは増えたのですが、逆戻りをしている企業も多くあるというふうに聞いております。それ自体は、それぞれの企業のスタイルがあるとは思うのですが、労働者人口の頭数が限られていて、今、目下、中小企業も含めて、本当に人材獲得競争が激しくなっている中、いかに柔軟な働き方で、短時間労働で質を上げていただいて、フルタイム並みのアウトプットを出していただけるようにする。はたまた、DX、AIをいかに活用していくかというのが非常に重要になってくる。改めて真剣に考えていかなければいけないと思っています。
ここ数年、財審の運営を拝見してきておりますが、私は、財務省というのは合理的な組織だなというふうに捉えており、新しい仕組みもどんどん取り込みながら進めていっていただいていると思います。公務員の方々も生産性を上げていく、時間だけに頼らない働き方が必要になってきていると思いますので、引き続きそうしたことを進めていただきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、広瀬委員、お願いします。
〔広瀬委員〕これまでいろいろな意見を申し上げてきましたが、建議の中に反映いただきまして、起草委員、事務局の皆様に感謝申し上げたいと思います。建議にもありましたが、いつまた東日本大震災とかコロナ、いわゆる未曽有の危機に見舞われるか分かりません。そうした事態に備えるためにも、財政余力、これは極めて重要ではないかと思っております。したがって、国土のレジリエンスとともに、財政のレジリエンス、これに真剣に向き合わなければいけませんし、是非これを強調して、あるいは発信していくべきだろうと思っております。
一方で、長らく続いた低金利時代、ゼロ金利時代から一転して、今後、金利のある世界という、これは多くの人にとっては未知の世界に入るということになります。そうなりますと、当然のことながら、シビアな経済事象、経済事案がこれは余儀なくされるわけですが、そうした中にあっても、日本経済全体がレジリエンスに成長していくと。これは極めて重要ではないか。したがって、財政もそうした経済事象に目配りしつつ、その実現に向けて、重要な役割を果たしていくべき、そうしたふうに考えております。
最後に、中小企業についてでございますが、この1年、賃上げムードの中で、従業員の7割を占める中小企業は鍵であると。これは非常に注目され、あるいは、これはもういろいろなところで言われるわけで、久しぶりに中小企業がクローズアップされてきたのではないかなと思います。ただ、実際には、歴史的な円安、あるいは慢性的な人手不足の中で、むしろ防衛的な賃上げというのが現状でございます。
私は、今後は、例えばデジタル化の促進や規模の拡大、そうした生産性の向上、あるいは、海外をはじめとした市場開拓、その成果としての賃上げ、あるいは原動力としての賃上げ、これは中小企業も目指すべきではないかと考えておりまして、是非財政もそうした方向で、今後見て、あるいはマネジメントしていく必要があるのではないかなと考えております。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。6名、起草委員の方にお願いして、いろいろまとめていただいたのですが、全員は恐らく無理なのですが、もし起草委員の先生方で何かあれば。それでは、土居先生から行きましょうか。土居委員、河村委員、武田委員ですね。それで、できれば50分過ぎには終わるように是非お願いします。どうぞ。
〔土居委員〕皆様、どうもありがとうございました。皆様から多くの御意見をいただきましたおかげで、この建議が取りまとめられたものであると思っておりまして、深く感謝申し上げたいと思います。この建議でも書かれましたが、プライマリーバランスの黒字化後も一定の黒字幅を確保するなどの継続が必要であると。まさにこれから、財政健全化は5年、10年で終わるのではなくて、20年、30年、ずっと続けていかないといけない取組で、どなたが総理になろうともずっと続けていっていただかなければいけないというものですので、それだけの理解の浸透というものがますます必要になって、どなたが政権を担われても、このプライマリーバランスの黒字を維持するとか、そうしたところに取り組んでいただくことがますます重要なものなのではないかという意味では、超党派の理解というのは大事なことかなというふうに思います。
それともう一つ、今回、なかなか守りの建議になっているという御指摘もありましたが、私が一つ思ったのは、債務残高対GDP比をどこまで下げていけば、この国は、財政問題でさいなまれることのないところに戻っていけるのかということがなかなか明確に、数値的に、科学的に打ち出せていなかったところが、最後の決定的な文言にたどりつけなかったところであるというふうに思いますので、秋の財審でもそのようなところが何らかの形で議論ができると良いかなと思います。ありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕それでは、河村委員、お願いします。
〔河村委員〕建議につきまして、本当にいろいろ御意見いただきまして、ありがとうございました。本日いただいた分も含めて、やはりまだまだ改善しなければいけないところ多々あるなと思っております。またいろいろ御相談させていただきながらやっていかれればと思います。私からは、起草委員としてというよりは、実は2月に、米国班で出張に行った際の余談ということでお伝えしたいことが1個ありまして、すみません。ワシントンで、OMB、行政管理予算局に伺ったときのことなのです。これは財務省主計局に相当する組織ですが、大体あちらで、オンラインも含めて、ミーティングに、9人、10人ぐらい出てきてくださったのですが、うち7名が女性でした。これは恐らく、OMB、今に始まった話ではなくて、私は20年ぐらい前にも別件の仕事でOMB、そのときは一人で行ったのですが、そのときは、行った相手先も違って、連邦信用計画、日本の財投に相当する話を聞きに行きましたのですが、そのときも6人ぐらい出てきてくれて、ブランチチーフは男性でしたが、3人、4人、女性が出てきて、びっくりしたのですが、やはり今回行ってもこうした形でした。今回は、私どものほうも、御一緒させていただいた委員も、大槻委員、田中委員と私で、3人とも女性でしたし、財務省から一緒に行ってくださったお二人のうちのお一人も地方財政係の主査で、主計局では数少ない女性の主査、本当に御家庭と両立して、立派にやっていらっしゃる、本当に頭の下がる方です。でも、今回、たまたまこちらが女性が多かったからそれでよい、ということにはならないのではないかなと思っていまして、やはり持続可能な財政運営のためには多様な視点が必要であると思いますし、今回の建議にこれだけ社会全体の構造、意識の変革の必要性と、これぐらい書けるようになったなというふうに思っているのですが、是非とも財政当局にも変わっていっていただきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、武田委員、お願いします。
〔武田委員〕皆様、大変有意義なご意見をありがとうございました。将来世代が重要なキーワードになっていると思います。同時に、内外の変化を踏まえると、残された時間も大分少なくなってきているのではないかと危機感も覚えており、将来世代の視点に立ちつつも、スピード感を持った改革を意識して、秋の財審で議論ができればと思います。今回も本当にありがとうございました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕どうも皆様、ありがとうございました。それでは、このフロアでの議論はここまでにさせていただきまして、春の分科会のほうで大半の会に政務の皆様方にも御参加いただいておりますので、これから赤澤副大臣、矢倉副大臣、そして、瀬戸政務官、進藤政務官、この順番でそれぞれお話を頂戴できればと、こんなふうに思っております。
それでは、赤澤副大臣からどうぞお願いいたします。
〔赤澤副大臣〕ありがとうございました。それでは、私から一言。まず今回、本当に委員の先生方に熱心に御議論いただき、建議を取りまとめていただきました。心から感謝申し上げたいと思います。頂いたものの実現に政府としても全力で努めたいと思います。
それで、私が申し上げたいこと、一つは、やはり今、日本は貧しい国になって、それにはかなりデフレが影響していることは、皆様はよく御案内のことであると思いますが、これをインフレにしようとして、今、頑張っています。適度な、諸外国並みの物価上昇ということで、熊谷先生が一番詳しいと思いますが、実際、GDPデフレーターなどでインフレ、デフレを判定していますが、どの時期、名目経済成長率が金利より高くなるかというと、大体、インフレ期は7割ぐらい、金利よりも経済成長率のほうが高い。逆にデフレ期は、これは大体そうした状況になるのは3割ぐらいなので、明らかに財政改善するには、インフレ期のほうが有利であるということはもう共通認識として、物価に負けない賃上げをきちっと実現し、諸外国並みの物価上昇を実現しながら、きちっと財政再建していかなければいけないということを使命感として非常に強く思います。
それから、私自身の問題意識が非常に強いのは最低賃金でして、本当に思うのは、カリフォルニアのファストフードの店員さん、マクドナルドの店員さんの最低賃金が3,000円と言われているときに、我が国はこれから10年かけて、その半分の1,500円を目指そうという目標です。2030年代半ばに1,500円ということをうたっているわけで、今回の中でも、それより早くしろということ、47ページでしっかり書いていただきました。そこが本当に大事なことで、鳥取県だと1時間900円、2,000時間働いて、年収180万円です。これでは暮らせない。国民が生活保護を受けずに働こうと決断したのに暮らせない最低賃金というのは、もうどう考えても駄目なので、そこは本当に書いていただいたこと、一番実現したいことの一つです。
最後に、どなたもおっしゃらないなと思っていたら、河村委員が言ってくださった、やはりありとあらゆる場面に、意思決定の場に女性の参画をいただくことと、それから、女性の視点を女性がおられない場所でもしっかり反映することは非常に大事で、実は私、今、今度の骨太方針に堂々とそれを書こうと思って、各所に働きかけてやっております。勇気の出る話を一つすると、取締役会に占める女性の割合が多い企業のほうが業績が良いという話はもう知れ渡っているのですが、それだけではなくて、最近、非常に大事にしなければいけないと思う統計は、過去10年ぐらいで180件ぐらい、和平協定がつくられていますが、和平合意をつくるチームに女性がいるチームのほうがつくられた合意は2年続く可能性は20%高く、15年続く可能性は35%高いということがこのデータで示されているということがあります。経済を良くする、会社の業績を良くするという、言わば、金の問題だけではなくて、平和を長続きさせるにも女性に参画してもらうことが必要であるというようなことをかなり強く言わなければならず、これは私が心から尊敬する、今、外務大臣の上川さんが、Women, Peace and SecurityというWPSの活動を行っていて、ウクライナ戦争以後に性暴力を武器に使うような動きも出ていますが、平和を長続きさせるためにも女性の力は必要であるということはものすごく我々の中にも浸透しつつあるので、それもしっかりやっていきたい。財政の分野でも、河村さんが言われたように、しっかりやらせていただきたいなというふうに思う次第です。
私からは以上です。長くてすみませんでした。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、矢倉副大臣、お願いします。
〔矢倉副大臣〕大変ありがとうございました。毎回参加させていただき、本当に学ばせていただくことが多かったです。また、先生方と御縁を持てたことは本当にありがたいことだと感じております。
いろいろ学ばせていただいた中で一番感じたのは、財政の在り方というのは、民主主義の姿勢そのものが問われていることと同じだと。日本にとってどういう民主主義が必要なのかということは考えなければいけない問題ですし、政治家が一番そこにしっかりとコミットしないといけない。
あまり教条的にはなり過ぎず、しかし、現実にしっかり即した上で、いかに国民から理解をいただくか、信用の持続可能性を図っていくかということは我々がしっかり考えなければいけない話です。そして、こうした建議の形で、非常にすばらしいものをまとめていただいたので、どうやって国民に訴えていくかを考えるのも、これもまた政治家の役割でもあると思います。
引き続き御指導いただきながらしっかり頑張っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。本当にありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕それでは、瀬戸政務官、お願いします。
〔瀬戸大臣政務官〕委員の先生方、建議の取りまとめ、本当にありがとうございました。感謝いたします。コロナが5類に変わってから、財政を通常に戻していかなければならないという非常に大切な時期に来ているのであるというふうに思っております。そうした中、ただ、金利が上がってくるリスクがあったり、安全保障のリスクが増してきたり、国力が落ちてきているのではないか、そんな状況もあり、また、人口減少のリスクもまた出てきております。
そうした中で、先ほどレジリエンスとか、バッファとか、余力とかそうした話もありました。本当に財政の余力をこれからのリスクに備えてつくっていく必要もまたあるのであるということを勉強させていただいたところでもあります。政府としましても、これから皆様方に取りまとめていただいた建議を受けまして、しっかりとまた健全な財政に向けて取り組んでいければと思っています。ありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕それでは、進藤政務官、お願いします。
〔進藤大臣政務官〕財審建議の取りまとめに当たりまして、起草委員の皆様方、また、委員の皆様方に本当に感謝申し上げたいと思います。
3点ほど申し上げたいと思います。1点目は、財政健全化に対するいろいろな議論があるわけでございますが、やはりこの建議の中にありますように、財政に対する市場の信認が失われれば、国民生活の悪化も懸念されるのであると。したがって、財政の強靱化が重要であるということを強調されています。やはりこれをお茶の間の国民の皆様にどう納得、理解していただくかということは極めて重要ではないかという点が1点目です。
2点目が、コロナ対策等への財政支出、これは公的支援でやってきたわけですが、これは重要で必要だったと思います。ただ、こうしたことも含めて、いわゆる公的支援、公助に対する期待が非常に大きくなっていて、例えば共助であるとか自助とか、これはなかなか言えない雰囲気になってきております。特に、もちろん社会的弱者に対する支援は、もちろんこれはやらないといけないわけですが、特に自助に関しては、政治の世界ではなかなか言えない雰囲気になってきている。これはいかがなものかという気がいたしております。ここをしっかりまた国民との中で理解を深めていく必要があるのではないかということです。
3点目が、私は参議院全国比例でございまして、全国くまなく回っているわけですが、9年間回っておりますが、特に国土の大半を占める農山漁村の荒廃というのは年々、本当に進行して顕著になっております。これは国土形成計画との関連もありますが、国家として国土をどう維持していくのか、この仕組みを含めてしっかり考えていかないといけないのではないかなと思います。他方、東京一極集中が進行していて、首都圏直下型地震であるとか、南海トラフ地震とか富士山の噴火、こうしたことも近い将来、起きてくるわけですので、こうした中で首都圏の機能が麻痺することが懸念されます。そこをどう備えていくのか。これはもしも今までのとおり行って、この結果、膨大な財政支出が見込まれるわけですので、物理的な事前の防災減災、ソフト面、ハード面、しっかりやっていかないといけないし、それとともに、やはり財政余力を残しておく、財政の強靱化ということが重要であると。これについてもまたしっかり深めていく必要があるのではないかなと思います。
私からは以上でございます。本当にどうもありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、最後になりましたが、十倉会長から御挨拶頂戴したいと思います。会長、どうぞよろしくお願いします。
〔十倉分科会長〕ありがとうございます。委員の皆様におかれましては、熱心に御議論いただきありがとうございました。また、本建議の取りまとめに御尽力いただきました起草委員の先生方にも厚く御礼申し上げます。
この春の分科会では、我が国が抱える大きな課題を大所高所から議論するために、三つの分野、「成長」、「人口・地域等」、そして、「こども・高齢化」と、分野横断的な課題につきまして御議論いただき、建議を取りまとめていただきました。この建議では、「金利のある世界」が既に現実のものとなっており、自然災害、安全保障環境の変化などに備え、財政余力を確保する必要性も高まっている。また、経済が活力を取り戻し、物価、賃金が上昇し、金利が上昇基調にある今、歳出構造を平時化させ、持続可能な財政構造の構築に取り組む必要がある。そして、社会保障の持続可能性を確保し、全世代型社会保障を構築する観点から、改革工程に基づき、医療・介護制度改革に取り組み、公費と保険料負担の抑制に努めることが重要であるといった基本的な考えを盛り込みました。
こうした考え方と、この考えとともに申し上げるまでもないことですが、我が国は人口減少、少子高齢化、そして、資源を持たない島国という二つの大きな制約を抱えております。こうした中で、社会保障制度、公共サービス、社会資本等の我が国を支える社会経済システムを、未来を見据えて持続可能なものに見直すことが不可欠であると考えます。皆様方がおっしゃっている、まさにフューチャー・デザインです。
政府の皆様におかれましては、全世代型社会保障制度に代表される重要政策につきまして、これも何人かの方がおっしゃいましたが、安定財源の確保も含め、歳出歳入両面での改革に着実に取り組んでいただきますよう、よろしくお願いいたします。
私からは以上でございます。
〔増田分科会長代理〕会長、どうもありがとうございました。
それでは、時間がまいりましたので、本日の議題はここで終了といたします。この後、十倉会長、それから、起草委員から鈴木大臣に建議をお渡しし、その後、記者会見を行う運びとなっております。
お手元に配付しております資料、二つあると思いますが、この後、回収させていただきますので、お持ち帰りにならないようお願いいたします。それから、建議そのものなのですが、事務局で印刷・製本の上、後日、皆様方に送付いたしますので、よろしくお願いします。
春の財審につきましては、本日でおしまいということになりますので、大変ありがとうございました。また、秋の財審に際しても、引き続きよろしくお願い申し上げます。
本日は以上でございます。どうもありがとうございました。
午前11時00分閉会