財政制度等審議会財政制度分科会
議事録
財政制度等審議会財政制度分科会議事次第
令和6年5月8日(水)09:00~11:00
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)
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1.開会
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2.議題
とりまとめに向けた審議
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3.閉会
分科会長代理 |
増田寛也 |
宇波大臣官房長 新川主計局長 寺岡次長 吉野次長 大沢総務課長 木村主計企画官 三原司計課長 西村法規課長 山本給与共済課長 横山調査課長 有利主計官 山岸主計官 小野主計官 佐久間主計官 小澤主計官 寺﨑主計官 端本主計官 松本主計官 漆畑主計官 尾﨑主計官 後藤主計官 小野寺主計監査官 石田予算執行企画室長 西尾主計企画官 |
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委員 |
河村小百合 熊谷亮丸 小林慶一郎 武田洋子 土居丈朗 藤谷武史 宮島香澄 安永竜夫 芳野友子 |
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臨時委員 |
上村敏之 遠藤典子 小黒一正 木村旬 國部毅 権丈英子 末澤豪謙 角和夫 滝澤美帆 田中里沙 中空麻奈 平野信行 広瀬道明 福田慎一 神子田章博 横田響子 吉川洋 |
午前9時00分開会
〔増田分科会長代理〕それでは、ただいまから、財政制度等審議会の財政制度分科会を開催いたします。
本日は、お手元の建議の案について御審議をいただくというのが本日のスケジュールでございます。この建議案は、河村委員、佐藤委員、武田委員、土居委員、中空委員、吉川委員に起草委員をお願いして御議論いただいて、取りまとめていただきました。起草委員の先生方、どうもありがとうございました。
なお、建議案及び建議概要については、紙でお手元に配付しております。それから、参考資料及び意見書については端末に格納とさせていただいております。よろしくお願いします。
審議に先立ちまして、今後のスケジュールを御説明いたします。お手元に一枚紙があるかと思いますが、こちらを御覧いただきたいと思います。現時点の予定でございますが、本日、この後、御審議をいただいて、その上で、御意見、コメントですね。追加でコメントがある場合は、明日、5月9日木曜日のお昼12時までに、大変短い時間で恐縮ですが、事務局にメールで御提出いただきたいと思います。様式は自由で結構でございます。その後、本日の御議論と、もし追加があればいただいたコメントを踏まえて、起草委員会において改定版を作成いたします。
次回の分科会は、今月、5月21日火曜日を予定しておりまして、会議終了後、鈴木大臣のお時間が許せば、取りまとめられた建議を大臣にお渡しできればと考えております。すなわち、建議につきましては、次回の全体1時間の分科会の中で決定して、大臣への手交ということを考えておりますので、実質、本日と本日以降のコメントの提出と、ほぼそれで決まることになると思います。委員の皆様方には、大変お忙しい中、短時間で御確認をお願いするということになりますが、何とぞよろしくお願いいたします。
次に、本日の審議の進行について、おおよそ10時頃までを目途に前半戦として、「基本認識」、「財政総論」、それから、「経済成長および人口減少下での地域の課題への対応」、ここまでを審議して、その後、10時過ぎから11時まで、およそ1時間を後半戦として、「こども・高齢化」を審議すると、こうした予定で考えております。前半、後半それぞれ分けて行いますので、皆様方から御意見をいただいた後に、前半戦について、必要であれば起草委員の方々からも、その段階でコメントを頂ければと、このように考えております。
なお、御欠席の大槻委員、それから、オンラインで御参加いただいております小黒委員からの意見書につきましては、参考資料と同様に各端末に格納しておりますので、お目通しをいただきたいと思います。
それでは、前半戦です。「基本認識」、「財政総論」、「経済成長および人口減少下での地域の課題への対応」について、該当ページで申し上げますと、お手元の資料の1ページ目から38ページまでがその部分です。38ページまでの部分につきまして、大体1時間弱、審議を行っていきたいと思います。
やり方はいつもどおり、会場から5名、それから、オンラインから5名という形で、交互にやらせていただきたいと思います。それから、限られた時間の中でできるだけ多くの方々に御発言、御意見を頂戴したいと思いますので、基本、お一人、2、3分でまとめて御意見いただければと、このように考えております。
繰り返しになりますが、前半戦の議論が一巡しましたら、起草委員の方々から何かコメントがございましたら簡潔にコメントを頂戴したいと、このように思っております。
それでは、早速、前半を行いたいと思いますので、ネームプレート、あるいは、挙手するボタンで合図をしていただければと思います。
それでは、まず、会場からまいりたいと思います。本日は、神子田委員からお願いしたいと思います。それでは、神子田委員、どうぞよろしくお願いします。
〔神子田委員〕よろしくお願いします。建議委員の皆様、また今回もうまく取りまとめていただき、大変な御苦労があったと思いますが、どうもありがとうございました。
私のところからは、細かい点でいくつかあるのですが、一つは、「金利のある世界」というワーディングなのですが、これは前回の建議でも使われていたと思うのですが、その後、実際、日銀がマイナス金利を解除して、フェーズが変わっているということと、本文を読んでみますと、結局、金利が上昇した場合に、このままではいけないという危機感を訴えているところで、「金利が上がる世界」に変えたほうが良いのではないかと思いました。
そして、16ページの上から5行目に、「プライマリーバランス黒字化を財政健全化の最終的な目標と位置づけるべきではない」というのが、何か少し唐突に思って、誰かがそうしたふうに位置づけているということがあるのかというと、そうしたことも書いていないので、ここはですね。私が昨日考えていたのは、プライマリーバランスの黒字化は、あくまでも財政健全化への一里塚にすぎないと。その後、その実現後においても、プライマリーバランスの一定の黒字幅の確保や財政収支赤字の縮減を継続していくということが、また、中長期的な視点に立って財政の強靱化を図っていくことが必要であるということを忘れてはならないなど、そうした強調をしてよいかなと思ったのですが、本日見たら、その前に、プライマリーバランスの黒字化、一里塚というのが本文中に書いてあって、何かそうしたことをやはり改めて強調するということなのかなと。あくまでもそれは途中過程であるということが分かると良いと思いました。
もう一つは、17ページの将来世代の視点の19行目から次のページにかけての、要は、フューチャー・デザイン的な考え方が大事であると言っているところなのですが、キーワードが多過ぎて、メッセージが不鮮明になっているというところがあると思います。例えば20行目の、「現世代の利益だけではなく」のところと22行目の最後の「当事者意識を持って」というところを併せて、20ページの最後から、現在の当事者としてだけでなく、まだ生まれていない世代をも含む将来世代の視点に立って、現世代において真に取り組むべき行動は何か議論し、実践することが求められると書いたほうがですね。要は、将来の人たちに代わって、将来の人たちの視点に立って、今、何をすべきかを考えるべきであるというメッセージが伝わればよいと思いますので、その辺をシンプルにしたら良いかなと思ってですね。
そこで、フューチャー・デザインに関してもう少し言うと、31の注に、「フューチャー・デザインとは、将来世代は現在の政策決定に意思を反映できないという問題意識に立ち」と、ここまではよく分かるのですが、「現世代が将来可能性を発揮できる社会の仕組みをデザインすること」という、この後半部分が何を言っているかよく分からないというところがあります。そこで、現世代が、要は、将来に責任を持って、あるべき社会の仕組みをデザインするとか、先ほども私は言いましたが、フューチャー・デザインの趣旨が生きるような表現にしてはどうかと思ったのです。そして、では、概要はどう書いてあるかなというと、あくまでフューチャー・デザインのところについてですが、この概要の1ページ目の下に、「将来世代の視点を踏まえるフューチャー・デザイン」とだけ書いてありますが、知らない人がこの1ページを見ても、全然意味が伝わらないと思います。何か一言、フューチャー・デザインの前に、「将来世代の視点を踏まえて、現世代が取り組むべき課題を考える」とか、一言、まくら言葉をつけたほうが、これだけ読んだ人も分かるかなと思いました。
〔増田分科会長代理〕それでは、安永委員、お願いします。
〔安永委員〕ありがとうございます。過去にコメントさせていただいた部分も含め、建議書に反映いただき、起草委員の皆様にはお礼を申し上げたいと思います。いくつか追加で申し上げたい点があります。
一つ目は、財政総論において、過去の建議や骨太に記載された、「経済あっての財政」という言葉についてです。要するに、経済再生がなければ、財政の健全化はないということですが、この言葉は経済界に対する叱咤激励であると捉えております。経済再生がもう緒に就いたという認識をお持ちであるとすれば、それはまだまだこれからであり、大企業と中小企業の差も極めて大きい状況です。したがって、「経済あっての財政」は、キーワードとして是非残していただければと思います。
二つ目は補正予算の問題についてです。補正予算が通常予算の一部となっているような使われ方をしています。しかし、特に中長期的かつ戦略的に取り組むべき分野は、補正予算ではなく当初予算や通常予算で賄うべきです。計画的に措置すべきという原理原則を貫いていただきたいと思います。
次に、自治体のDXについてです。29ページの冒頭に、「真に行政の効率化につながる予算措置」と書かれていますが、利用者目線でビジネスプロセスリエンジニアリング(BPR)を断行することが重要です。要するに、デジタル化するだけでなく、業務プロセスをいかに変えていくかについても考えるべきです。さらに、重要な点としては、自治体の業務システムの統一標準化です。各自治体がばらばらにDXを行っても意味がありませんので、標準化や統一化を是非建議のどこかに書いていただければと思います。
最後に、財審の範囲を逸脱するかもしれませんが、人口減少下での地域の課題への対応の中で、外国人との共存や包摂を日本社会の目指す方向として検討する必要があるのではないでしょうか。私どもの関係会社では、多くの外国人の方々を雇用しておりますが、日本を避ける傾向がますます強まっています。人口減少下において、少子化対策は重要ですが、効果が出るのには数十年かかる中、足もとで経済の好循環を促進するためには、一定数の外国人受入れを志向せざるを得ないと考えます。したがって、外国人に対して寛容な社会を構築していくということを建議に含めていただきたいと思います。また、民間や社会が、D&Iに対して考え方を深めるということが必要ではないかと考えます。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、末澤委員、お願いします。
〔末澤委員〕今回も大部で、取りまとめ、どうも御苦労さまでした。私から、少し細かいのですが、5点。
まず表紙の「財政運営の向かうべき方向性」、実は私、これが少し気になるのですが、ややふわっとしている感じがしました。なかなか代案が見つからないのですが、私が考えたのは、「向かうべき方向性」を、「向かうべき針路」ないし「道筋」にする。ないしは、「財政運営の進むべき方向性」、ないしは「財政運営の進むべき道筋」と。恐らく「運営の向かうべき」というのがあまり使わない言葉であると思うので、私のもあまり代案でよろしくはないのですが、再検討していただいてもよろしいのではないかと思いました。
2点目です。本文の1ページ目、一番初めに、「我が国は現在、少子化・人口減少の進展」という、3行目に書いていますが、ここは私は「少子高齢化」のほうがよろしいのではないかと思いました。なぜかというと、次のページ、2ページ目の14行に「高齢化」という言葉があるので、一応高齢化も触れたほうが良いのではないかと思いました。
また、その下ですね。1ページの下の注釈のところです。2、人口動態速報云々とありますが、ここには「総人口ベース」と明記したほうが良いと思いました。なぜかというと、これは少し変なのですが、速報は、なぜか総人口ベース、確報は、日本における日本人ベースになっていて、3万人程度と差があるので、誤解を招きやすいので、ここについては総人口ベースと入れたほうが良いと思いました。
次に、6ページ目の19行、「一方、我が国の足もとの消費者物価上昇率は3%を超える水準となっている」とありますが、ここは「2%台後半の水準」としたほうが良いと思います。なぜかというと、3月の全国消費者物価指数(除く生鮮食品)は、これは2.6なのです。なので、ないしは、「3%を超える」というのを残したいのであれば、2023年、暦年の平均とすると、これは3.1になります。ただ、これは2%台にすると少し困るのです。なぜかというと、2%台にすると、これは2008年7月、8月、2.4という数字があるので、下の本文と合わなくなるので。ちなみに、これは4月分が出ると2.5を下回る可能性があるのですが、これは4月分が出るのは24日で、建議は21日なので、一応2%台後半で大丈夫かなと。
また、12ページの上から8行目、9行目です。「バイデン政権下で、超党派インフラ法、CHIPS・化学法」とあって、この「カガク」は、化け学ではなくて、サイエンスなので、サイエンスの「科学」にしていただいたほうが良いですね。12ページの9行目です。これは「CHIPS・科学法」なのですが、後に少し出てきます。23ページに出てくるので、下に、23ページの12行では、「CHIPS法」になっているのです。ここは統一したほうがよくて、アメリカでは、CHIPSプラスというのが一般的なのですが、ただ、アクトという、法律という面であると、「CHIPS・科学法」、サイエンスの「科学法」がよろしいと思います。ここにわざわざ注釈があるので、この注釈は11ページのほうに持ってきたほうがよろしいのではないかと思いました。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、木村委員、お願いします。
〔木村委員〕ありがとうございます。起草委員の先生方、立派な起草をいただきまして、本当にまとめていただいてありがとうございました。今後の財政運営に欠かせないポイントを的確に指摘された素案であると思います。特に今年は骨太の方針で、2025年度のプライマリーバランス黒字化、及び、2026年度以降の新たな健全化計画に向けて大事な節目になると思いますので、その意味では、13ページにあるように、「2025年度のプライマリーバランス黒字化が視野に入る状況となっているが、その実現は必ずしも楽観視できる状況にはない」として、歳出構造の平時化や、規律ある「歳出の目安」の下で歳出改革の取組を継続していくことが必要不可欠ということを強調されるというのはやはり、すごくこれは意義があると思いますので、ここはきちんと骨太にも反映していただきたいと思います。
その上のコメントなのですが、基本認識、1ページ最初の段落にあるように、日本経済は重層的な構造変化に直面していると思います。一つは、最初の段落のように、以前からの少子高齢化ですね。それから二つ目は、最近のウクライナ危機や米中対立など、いわゆる安全保障環境の変化。三つ目がさらに、いわゆる直近のデフレからインフレという経済構造の変化と、「金利のある世界」の到来と。この三つの構造変化を踏まえて、財政施策を考える必要があるということはこの認識で示されているとおりであると思います。
ただ、一つ目の少子高齢化、それから、二つ目の安全保障環境の変化というのは、結局は政府支出を増やす要因になるということですね。三つ目の景気対策。三つ目は、景気対策の必要性が薄れているという点で財政にプラスになるかもしれませんが、反面、金利上昇という、財政にとってマイナスの問題が出てきていると。これはトータルで考えると、経済構造の変化によって日本経済が好循環に向かい始めたということで、財政にも楽観的な見方は出ていますが、決して楽観は許されず、むしろ重層的な三つの構造変化をトータルすると、かえって財政は厳しい方向に向かう可能性があるのではないかということも言えると思います。
日本財政の現状について、2ページで、債務残高対GDP比は250%を超えて、主要先進国では異例とも言える水準に達しつつあるというふうに指摘されていますが、これは、要するに、過去の結果の話で、これから、今進んでいる三つの構造変化で、より危機的な難しい状況に陥りかねないという、そうした事態を表現にもう少しにじませてもよいのかなという気もしました。そうした危機的な状況に向かうからこそ、1ページで述べられていらっしゃいますように、財政をより強靱にしていく必要があるということが、言葉の説得力も増すのではないかなという気もしました。
それで、それも踏まえて、さっきそうした話をされましたが、仮題の「財政運営の向かうべき方向性」ですね。(仮)ということで、毎回、半年に一度ごとにタイトルを考えないとならないので、すごく起草委員の先生方が苦心されている状況がにじむと思いますが、例えば基本認識の冒頭、最初の段落で書かれていましたように、三つの重層的な構造変化に直面している中での財政運営ということで、そうした構造変化の中での財政など、そうしたものがにじむようなタイトルでもよいのかなという気もしました。ただ、これは判断はお任せいたします。
それから最後に1点だけ。13ページに、我が国の財政悪化の要因は、「度重なる経済危機や災害等への対応、さらにそうした危機後も歳出構造の平時化に時間を要している結果と言える」とあります。これはまさにそのとおりであると思います。それであるなら、今のガソリンの補助金に関しても延長を何度も繰り返していますが、これは果たしてよいことなのか。高所得者も恩恵を受けられるとか、市場原理をゆがめて、脱炭素政策にも逆行する、様々な問題があります。極めて政治的な案件ということは重々承知しておりますが、平時に戻すという意味をもって、何かしら財審として問題点も指摘してもよいのではないかと気もしました。ただ、これも御判断はお任せしますので、御検討いただければと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、広瀬委員、お願いします。
〔広瀬委員〕起草委員の方、ありがとうございました。詳細はまたコメントさせていただきますが、その前提として、本日は、総論的に一言、意見を申し上げたいと思います。今後、「金利のある世界」が到来して、利払費が増えると、当然のことながら歳出増になっていくと思います。素案にあるように、やはりこれから震災とかコロナとか、そうした有事に柔軟に対応するためには、やはり財政余力の確保、これが極めて大事になると思います。したがって、これからも歳出改革を不断に進めていくということが不可欠であると考えております。とりわけ歳出の約3割を占める社会保障費、これを見直していくことが、これはずっと言われているのですが、改めて強調しておきたいと思っております。これは財政健全化の面だけではなくて、むしろ支えている側からすれば、社会保険料の上昇というのは、特に若者、子育て世代の手取り収入、それに直結するわけですし、同時に、これから、中小企業、これは構造的、持続的な賃上げに取り組むという大きな課題があるわけですが、その原資を毀損することにもなるのではないかなということで、そうした面から抑制も欠かせないと思っております。是非将来不安の払拭に向けた社会保障制度の抜本的な改革に取り組んでいただきたい。特に給付と負担の在り方、これもずっと言われているわけですが、是非これに取り組んでいくべきではないか、これを強調すべきではないかと思っております。
それから、足もとでは、30年続いたデフレからの完全脱却。これを変える、潮目を迎えている今こそ、メリハリのある財政運営、特に中小企業の生産性や付加価値向上につながるような成長投資を後押しするような持続的な経済成長、これによって歳出が増えると、こうしたサイクルを是非このタイミングで定着していく必要があるのではないかなと思っております。
詳細については、また改めて意見書を提出させていただきたいと思います。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、ここでオンラインに移りたいと思います。オンラインで御発言希望のある、次の4名の方、すなわち、芳野委員、上村委員、小林委員、横田委員、この順番で御発言をいただきますので、御準備をお願いします。
まず芳野委員からどうぞお願いします。
〔芳野委員〕ありがとうございます。起草委員の先生方、建議(案)、ありがとうございました。時間も限られておりますので、本日は4点に絞って発言させていただきます。
なお、各論の具体的な修正案を別途提出いたしますので、建議に反映していただきたいと思います。
まず1点目は、来年度予算編成の在り方についてです。本来、予算編成とは、真に必要な政策に対し、財源を措置するものでなければなりません。そのため、前年度までの政策効果の検証は当然のこと、国民の目が届きにくい予備費や基金の計上は必要最小限にすべきと考えます。あわせて、報告のあった海外の事例を参考に、我が国でも独立財政機関の設置に向けた検討に着手すべきと考えます。
2点目は、教員の処遇改善についてです。建議(案)は、教職調整額の見直しについて、社会経済情勢の変化を理由に、適当ではないとしておりますが、参考資料は、民間と一般行政職とのバランスを重視しており、内容にそごがあるように見えます。なお、教員の処遇については、現在、中教審で、教職の魅力を向上させ、質の高い教員を確保する観点から真摯な議論がなされており、その結論に影響するような意見を財審が先んじるのは、それこそ適当ではなく、中教審での議論を尊重すべきであることを強く申し上げておきたいと思います。
3点目は、所得再分配と応能負担についてです。建議(案)には、社会保障について、年齢ではなく、能力に応じた負担とすべく、金融資産や金融所得等の取扱いについて検討を深めるべきとありますが、応能負担が必要なのは社会保障だけではありません。税による所得再分配機能を強化し、格差の拡大、固定化を是正する観点からも、全ての預貯金口座とマイナンバーをひもづけるなど、マイナンバーを活用した正確な所得を把握できる体制の構築を急ぐべきと考えます。
最後は、為替変動への対処です。現下の急激な円安が招く広範な輸入品の価格高騰は、家計や中小企業に甚大な影響を与えています。国民生活や貿易財の交易条件に過度な悪影響を及ぼすような、実体経済とかけ離れた急速な為替変動に対しては、G7各国との連携を図りつつ、機動的かつ強力な為替介入を実施すべきと考えます。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。続いて、上村委員、お願いします。
〔上村委員〕起草委員の先生方、取りまとめ、ありがとうございました。私から2点あります。
冒頭の基本認識の文章についてです。日本経済が様々な構造的課題に直面していて、その課題は何かという御説明がされていますが、内容としてはよいと思いますが、構造的課題が箇条書的に書かれていて、文章の流れがないように思いました。一例を挙げます。PDFファイルの1ページの13行目で、「一方」と始まるのですが、その次の段落も同じように「一方」で始まっていて、とても羅列的、箇条書的な印象があります。このあたりの文章表現の方法はとても難しいのですが、ロジックを組み直して、流れをつくって、文章を書くほうが良いのかなと思いました。
2点目です。PDFファイルの13ページの一番下の段落で、財政健全化目標についてです。2025年のプライマリーバランス黒字化は当然のことですし、このプライマリーバランス黒字化は一里塚であることは間違いありませんが、その後どうするかということについて、もっと書き込んでよいというように思いました。プライマリーバランスは変動する指標ですので、プライマリーバランス黒字を安定的に持続させるということを次なる目標とすべきというふうに明言してはどうかと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございます。
それでは、小林委員、どうぞお願いします。
〔小林委員〕起草委員の皆様、どうもありがとうございました。大変すばらしい素案であると思います。二つだけコメントします。それで、修文案については別途メモをお送りしますので、反映していただけるところは反映していただければと思います。
一つは、基本認識の文章のところです。その中で少し気になったのは、財政の悪化そのものが原因となって国民生活に将来的に悪影響が及び得るのではないかという、そうした指摘が入っていないわけですが、そうしたものは入れたら良いかなと思います。なぜ入っていないのかというと、恐らくあまりにも当たり前だから入れないとか、あるいは狼少年的になってしまうので、あまり強調しないという御配慮があったのかもしれませんが、後で17ページの議論で、若者が財政の悪化を自分事として捉えていないという、そうしたようなことが問題意識として書かれていますが、若者、あるいは若い世代からすると、現状のまま財政が悪化すれば、国民生活にこんな悪い影響が出るという認識を持たないと、なかなか自分事として財政の健全化のことを考えるということはできないのも当然だろうと思います。ですので、こうした財審のような場の建議の中でしっかりと、財政の悪化が続くと将来何が起こり得るのかということを指摘する文章を入れるべきではないかなと思います。
具体的には、17ページの脚注29で、1万人を対象としたウェブ調査のことが解説されていますが、その中の調査の選択肢として、例えばこどもや孫の世代の税負担が過剰になるとか、あるいは公共サービスが維持できなくなるとか、あるいは国債や通貨の信認が低下して経済に悪影響が出るというようなことが書かれていますので、それをどこか本文の前のほうに、特に2ページの基本認識のあたりで触れてはどうかと思います。
関連して、建議概要のパワーポイントの資料ですが、そこの一番最初の基本認識の一つ目の丸、最後に、財政の悪化が将来的に国民生活や日本経済に深刻な悪影響を及ぼす可能性は否定できないというような一言を入れておいてもよいのではないかと思います。
二つ目のコメントですが、産業政策について、大体25ページあたりの記述についてですが、まず思いますのは、産業政策というのは恐らく成長戦略の一環として位置づけられているということですので、本来は、政府の財政政策と、それから、日銀の金融政策と、それから、産業政策というのは、三つ、全体として整合的な政策体系になっていなければいけないのだろうと思います。ところが、現状はやや縦割り的にそれぞれが独立に政策が構想されているために、政策運営が部分最適になっていて、しかし、全体最適にはなっていないという、そうした囚人のジレンマ的な状況にあるのではないか。そうした問題意識を持っておりますが、コメントとしましては、最近の産業政策の流れとして、気候変動とかデジタル化など、社会の根本的な構造を変えるような課題ですね。社会課題の解決を目指す、ミッション指向型の産業政策という概念が出てきています。ここでは政府は民間をサポートする役割という見方を超えて、政府自体が大きなリスクを取るプレーヤーになると、ある種、リスクを取る主体になる。そうした位置づけがされているわけですが、その考え方は一概には否定できないということであると思います。その点は述べるべきかと思います。
ただ、新しい産業政策をやる場合にしても、民間企業や家計の政府に対する信頼性を維持するためには、財政の予見可能性、政策の予見可能性を高めて、また、政府が取っている、取るべきリスクの大きさについて国民が納得しないといけないと。そうしたことを25ページの産業政策のところで触れるべきではないかというように思って、後で文案をお送りさせていただきたいと思います。
私からは以上でございます。
〔増田分科会長代理〕続きまして、横田委員、お願いします。
〔横田委員〕ありがとうございます。よろしくお願いします。起草委員の皆様、ありがとうございます。非常に分かりやすく、議論の内容、まとまっているというふうに感じました。私も上村先生同様、基本認識の冒頭の入り口、羅列的で分かりづらいなというふうに、もう少し読みやすくなるであろうと思ったので、文案はないのですが、是非御検討いただきたいと思います。
私からは、大きく1点と細かな点、お伝えします。21ページの労働市場改革について、柔軟な働き方の促進に関する言葉の入れ込みをお願いしたいと考えております。今回、女性、シニアの労働者数が頭打ちになっているというところで、数に関する議論が多くなされたところなのですが、これから時間当たり生産性を上げていく、質を上げていくということが非常に重要であると思っています。というのは、介護を含めたビジネスケアラーが非常に増えていくということを考えると、女性、シニア、介護を両立していく方々含めて、柔軟な働き方が非常に重要であると考えているところです。ジョブ型の促進や、テレワークなどの環境整備、また、兼業、副業の促進など、いろいろ考えられるところです。
具体的にもし追記する場合、一案なのですが、21ページの11行目の「企業の適切な参入・退出を進めていくとともに、」の後に「柔軟な働き方の促進や、十分なセーフティーネットの整備」ということで続けていくことも可能かと考えております。是非御検討いただきたいと考えております。
また、細かい点なのですが、やはり専門用語が少し、補足が必要と考えておりまして、例えば、EBPMもまだ補足が必要なのではないかと思いますし、また、金利のところで、ノッチ、私は初耳で、欄外に補足が入れられるかと思います。サーベイランスという言葉も私は少しなじみがないので、日本語化をするなど、片仮名の文言を是非再見直しをしていただきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、会場に戻ります。田中委員、どうぞお願いします。
〔田中委員〕まず起草委員の先生方、取りまとめ、ありがとうございます。私は2点ほど。
まず一つ目は、最初の基本認識のパートのところなのですが、細かいところから。まず4行目に、「『金利のある世界』が既に現実のものとなっている」で、2ページ目の12行目も「『金利のある世界』は既に現実のものとなっている」という、同じ言葉が出るので少し、強調かもしれませんが、気になるところでございました。
この部分、基本認識のパートで、課題が本当に整理されて、端的に解決策も提示されているというところですので、少し素っ気ない感じがするかもしれませんが、大変迫ってくるものがあると思うと同時に、ここはやはり強い意識や緊張感や危機感をみんなで持ちましょうというメッセージが込められていると感じております。そこが、危機感の共有というのが前回かなり強調されましたので、今回、少し、あまり強められていないのかなと思うところもあるのですが、やはり危機感を共有していくということは何度もメッセージとして出していくことがあってもよいかと思っております。
6ページ目の24行目、ここは単純な誤植であると思うので、「賃上げ率は5.20%」で、「は」を入れたほうが良いのかと思いました。
2点目ですが、16ページの情報発信のところに関してです。情報提供。これは分科会の議論の中でも多くの意見や提案が皆様から出たところというふうに認識するところなのですが、やはり後半にもある持続可能な社会とかSDGsへの取組というのは、特に若い世代中心に賛同されて、活動している方も多い中なのですが、この財政の持続可能性ということに目を向けて、危機感を共有しながら、敏感になっていけるような情報提供と、あとやはり議論とか対話ということを強調することが重要なのかなと思っています。
ここで発信ということがたくさんあるのですが、インフォメーションを超えたコミュニケーションが促進されるような、この分科会の中でもいろいろお話あったと思いますので、持続可能な社会のためには、やはり持続可能な財政がセットであると思いますし、持続可能な財政に向けて何をすべきかを考えるきっかけということを少し強調できればと思った次第です。
特に次に将来世代がありますが、物事の意味や背景を重視する方が多いと思いますので、そこが少し文脈として出されると良いかなと思う次第です。よろしくお願いいたします。
〔増田分科会長代理〕それでは、國部委員、お願いします。
〔國部委員〕起草委員の先生方、大変すばらしい建議をありがとうございました。3点申し上げたいと思います。
1点目、建議素案の13ページでは、歳出の目安が、歳出規模の規律として重要な役割を果たしており、その下で歳出改革の取組を継続していくことが必要不可欠と指摘されておりまして、その方向性に異論はありません。しかしながら、歳出の目安はあくまでも時限的な措置であり、政府として中長期的に我が国財政を健全化していく姿勢や実行力を国内外に示すためには、持続可能な歳出規模を議論し、メリハリの利いた予算配分や財源確保を着実に進めていく大きな枠組みが必要と考えます。その枠組みが、素案に示された英国の独立財政機関に類する組織なのか、既存の会議体の活用になるのかは議論の余地がありますが、少なくとも、大きな枠組みについての議論を主導し、実現につなげる場は、経済財政諮問会議や財審をおいて他にはないと思います。今回の建議におきましても、中長期的に規律ある財政運営を担保する大きな枠組みについて、具体的に検討を始めるよう提言すべきと考えます。
2点目、行政レビューシートの活用については、財審の議論でも、EBPMを推進し、予算を効率化するために有用との意見が、私を含め、多くの委員から出されたと思います。その点に鑑みますと、34ページ、18行目から23行目の第三者による検証や各省庁の自律的な取組に「期待する」という書きぶりは弱過ぎるという印象を受けます。各省庁にはレビューシートを活用して各事業を点検し、予算編成に反映させることを強く求める記載にしていただきたいと思います。同時に、各省庁から予算要求を受け取る財務省におかれては、是非歳出全体の効率化に向けた分野横断的なレビューにも取り組んでいただきたいと思います。
3点目、24ページには、半導体産業に対する支援に関して、複数年度の支援戦略を描くことで、民間部門における半導体関連投資等についての予見可能性をより高めるべきと記載があります。これは半導体に限りません。例えばGXや防衛など、中長期的な投資が求められる幅広い分野において必要な取組です。この文言については、対象産業を拡大する書きぶりに変更するよう、御検討いただければと存じます。
私からは以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、熊谷委員、お願いします。
〔熊谷委員〕すばらしい建議(案)をおつくりいただきまして、誠にありがとうございます。まずタイトルについてですが、恐らく柱としては、やはり「金利がある世界」だったり、利払費ということ、また、有事に対する対応という、そのあたりを柱にしながらタイトルを付けていただきたいと考えます。
あとは、それぞれ申し上げていくと、目次の2ページ目でございますが、18行目以降で、EBPMが(1)として出てくるわけですが、これは(1)と(2)を比べるとレイヤーが違うような感じがします。EBPMというのは、どちらかといえば2番の財政総論のところで、全体に関わる話であると思いますから、むしろそこで述べていただいたほうが良いと考えます。
それから、本文の1ページでございますが、5行目、6行目のあたりが若干危機感が弱いような感じがしますので、例えば5行目については、「安全保障環境の変化」という部分は、例えば「変化」ではなく「激変」であるとか、それから6行目で「必要性が高まっている」という部分は、「急速に高まっている」とされたほうが良いのではないでしょうか。
また、同じく1ページの21行目、22行目あたりで、「社会資本など」という記述が出てきて、これが「社会経済システム」だと書かれていますが、社会資本自体は恐らく社会経済システムではないので、「社会経済システム等」であるとか「社会経済システム全般」であるとか、そうした記述のほうが良いのではないかと思います。
それから、2ページの16行目の部分で、財政出動が「繰り返し」行われてきたということを強調されたほうが良いのではないでしょうか。
また、2ページの一番下の注釈で、トラス首相が例えば僅か何日で辞任されたという記述のほうが良いと思いました。
それから、3ページの11行目のあたりでございますが、恐らくここで重要なのは、大きな枠組みとして、例えば今まではお金があまり、経常黒字で、円高・デフレで低金利であったという、そうした構造が高齢化によって貯蓄が不足して、経常黒字が減少して、円安や、インフレ、スタグフレーションのリスクが出て、金利が上昇するという、日本を取り巻く環境変化というのをもう少し大きな枠組みで記載していただいたほうが良いのではないかと感じました。
また、ここの基本認識全体のところで申し上げると、これは先ほど國部委員からも御指摘がございましたが、やはりもう少し大きな枠組みで記述していただきたいところです。現状はやや守りの記述のような気がしますので、財政再建に向けて中長期的にどういう制度や枠組みをつくっていくのかというあたり、例えば10ページ以降で諸外国の取組、独立財政機関などが出てきておりますので、そのあたりなどに軽く触れるような形で、もう少し攻めの記述を入れていただきたいなと考えました。
それから、7ページの3行目の部分で、「金融政策は大きく見直される」という記述がありますが、実は3月の見直しは、量的に見れば極めて小さなものなのですが、質的な部分でYCCを事実上撤廃する等の面で、大きな変化があったということですから、「金融政策の枠組みは大きく見直される」という記述の方が適切ではないかと考えます。
また、9ページの19行目で、「取り組むべきとも考えられる」というのは少し表現が弱いので、「取り組むべきである」、もしくは「取り組むべきであろう」というほうが良いと思います。
そして、11ページの25行目からでございますが、ペイアズユーゴーについて両論併記の形になっていますが、やはりペイアズユーゴー自体は決して悪いことではないので、全体的にもう少しポジティブなトーンにされたほうが良いのではないかと感じました。
それから、12ページの8行目から10行目のあたりですが、記述が若干寂しいので、もう少し書き込まれたほうが良いのではないかと思います。
13ページの9行目の「少子高齢化という」という部分ですが、少子高齢化だけが構造問題ではないので、「少子高齢化などの構造的な課題」とした方が良いのではないでしょうか。
また、13ページの23行目、24行目のあたりで、「財政健全化目標の下」と書いてありますが、ここは「財政健全化目標を堅持して」としたほうが良いと思いました。
それから、15ページの7行目から9行目のあたりで、文言として、「ディフィシットギャンブル」という言葉を入れていただいたほうが良いのではないでしょうか。
また、16ページの12行目以降で、これは先ほど國部委員や田中委員からも御指摘がございましたが、もう少し、例えば議論とか対話という要素を取り入れたほうが良いということと、それから、51ページ以降でも書いてあるのですが、やはり「見える化」というのは抽象度の高い重要な概念であると思いますから、「見える化」という文言を是非入れられたほうが良いのではないかと考えました。
それから、19ページの8行目で、「つながっていない面もある」とありますが、ここは「面もある」というのは取ったほうが良いのではないでしょうか。そして、20行目以降で、労働移動の円滑化については書いてありますが、「産業・企業の新陳代謝」という言葉を是非とも入れていただきたいと思います。
また、25ページで、先ほど小林委員から産業政策に関する御指摘がございましたが、「新しい資本主義」というのは、社会課題の解決を成長のエンジンに変え、また、官民の役割分担を見直していくということなので、小林委員のおっしゃったことは踏まえる必要があると思う一方で、5行目、6行目のあたりで、やはり成果が出ない分野の支援は打ち切るということを、はっきりと書かれたほうが良いと考えます。
そして、34ページの部分で、行政事業レビューでございますが、これは先ほど國部委員からも御指摘がございましたが、23行目の「期待したい」という表現では少し弱過ぎると思いますし、また、やはり分野横断的な、もう少し大きな枠組みの事業単位などで実施したほうが良いのではないかという議論が出ていたと思いますから、そのあたりを盛り込まれてはいかがでしょうか。
私からは以上でございます。ありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕それでは、宮島委員、どうぞお願いします。
〔宮島委員〕大変な取りまとめをどうもありがとうございました。まず早速、建議の概要と基本認識ぐらいしか丁寧に読まないかもしれない人への印象を申し上げます。まずタイトルですが、今のままであると、これは財審の建議と書いてあることだけに見えるので、とにかく何らか、今年は何であるということに対する答え、今年の玉は何であるということに対する内容をタイトルに入れていただきたいと思います。
そのタイトルに近いところですが、建議の概要の1行目というところはまさに全体の基本認識で、人口減少が予想以上に急速であることや、金利が変わってきたというところが全体の軸として感じられます。ですので、この概要ももう少し言葉を強めに、例えば、少子化、人口減少の進展は、もうここ20年ぐらいそうなので、それと同じことを言っているのではなくて、例えば少子化だって、ここ数年、いきなり減ったわけですよね。そうした、ここの危機感というものをこの短い文言の中でもしっかり示していただきたい。例えば直面というか、何だろう、構造、課題。危機感という単語を入れるのは強いかもしれませんが、全体的にぼやっとした感じを、まさに今年、これが危機であるということがもう少し伝わるような表現に変更していただくようお願いしたいと思います。
あとは、この前まで申し上げた私の問題意識としては、今の人口減少の中では、それぞれの業界が人材の取り合いをそれぞれ勝手にしたら、人材バランスがおかしくなるのではないかという問題意識があります。これに関しては、19ページの限られた労働・資本の最適な資源配分ですとか、25ページ、自治体で人が足りないから給料を上げて解決するものではないとか、30ページで、教員の在り方や医師の数などで書いていただいたと思います。さらに、もし入れていただけるならば、21ページの真ん中あたりですが、労働人口の絶対数の減少が避けられない中で、そうした長期的な視点に立った将来の労働市場のあるべき姿を見据えた検討を提案していただいています。ここに労働市場だけではなく、人材配置や労働市場、どちらが先でもよいのですが、人材のバランスという意識をもう一言入れていただければありがたいと思います。
あとは細かい文言です。言葉の最後の部分は印象に残ると思うので申し上げますが、まず4ページ、「一歩も後退させてはならない」で終わっています。これはプライマリーバランスを意識する、4ページの最後、8行目ですね。「健全化に向けた取組を一歩も後退させてはならない」。後退しなければよいのでしょうかというのが疑問です。つまり、政治的にいろいろあると思うのですが、プライマリーバランス黒字化だけが維持されれば財審は満足ですかというところなので、ここはさすがに、「強く推し進めるべきである」とか、後退しないだけではなくて、前に進める文言にしていただきたいと思います。
あと最後に、これは金融の専門家の方にお伺いしたいのですが、7ページあたりに、まさに今の日銀の金融政策の記述があります。書き方として、国債の買入れは維持されているが、今後減る可能性もあるかのような文章になっています。でも、私も一応金融政策を横目で見ていますが、植田総裁は、将来国債の買入れを減らすことに関してははっきりおっしゃっていて、そして、どっちかというと今は取りあえず維持しているという状態なのかなというふうに私は思っています。なので、今のであると、可能性として少し減るかもしれないと感じるのですが、これは金融の専門家の方々から見てどうなのか、リアルな危機感をここに反映していただければ良いと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、平野委員お願いいたします。
〔平野委員〕ありがとうございます。
今回の建議案は、細かな表現ぶりはともかく、今後、人口減少が不可避という中において、社会経済システムの変革の必要性を訴えるとともに、自然災害や安全保障といった有事に備える必要があるということを明確に説いており、なぜ今、財政の健全化が求められるのかということをはっきりと打ち出している点を高く評価したいと思います。
その上で、3点申し上げます。
一点目は、基本認識についてです。2ページの14行目や13ページに財政悪化の要因分析がありますが、最大の要因は、社会経済の構造変革を怠ったために、日本の産業競争力や潜在成長率の低下を招いたことであると書き込んだ上で、制度的な不備についても言及いただきたいと思います。
すなわち、「第1に、戦略的かつ計画的に財政資源配分を行う枠組みがなかった。第2に、政策評価が機能していなかった。第3に、客観的な将来の見通しが示されていなかった」ということを指摘した上で、さらに制度的な対応の必要性を述べるべきだと思います。
具体的には、この場ですでに何度も言及しているため詳しくは申し上げませんが、第1に中期財政計画の策定、第2に、事業単位の細かな評価ではない、総合的かつ省庁横断的な政策プログラム評価の導入、第3に、客観的に財政の持続可能性を予測、検証するための独立財政機関の設置といった対応の必要性について書いていただきたいです。
二点目は、総論の12ページ以下、財政健全化に向けた取組における財政健全化目標と歳出の目安に関する記述についてです。政治情勢が不安定化している中で、若干遠慮がちに書き込まれておりますが、先ほども御指摘ございましたとおり、今回の建議では、2025年度以降の財政運営方針についての方向感を、より明確に示すべきであると思います。
まず財政健全化目標に関しては、16ページの5行目-9行目で、プライマリーバランス黒字化が最終目標ではなく、更なる財政収支の改善を図る必要があると踏み込んでいるのはよいと思いますが、「財政健全化目標として、プライマリーバランス黒字の維持と、債務残高対GDP比率の安定的な引下げという、現在のフローとストックの両方についての目標を堅持すべきである」と明記すべきだと思います。特に、当面、税収増と利払費増加の遅効性によって債務比率の改善が見込まれるため、ここでピン留めしておくことは非常に重要であると思います。
また、目安に関しても、「規律ある歳出の目安」という記載に留めるのではなく、2025年度以降の3年間においても現在の骨格を維持するということと、社会保障関係費にこども予算を含めることで、こども予算の増加を他の社会保障分野での徹底した歳出改革等によって賄うという、従来の我々の姿勢を明確に示すなどの方針を盛り込むべきだと思います。
3点目は、成長戦略についてです。19ページの11行目-14行目で成長のための財政支出の在り方について述べられていますが、「成果を挙げられる支出」という曖昧な表現ではなく、潜在成長率の向上を明確な政策目標とした上で、従来の量的な財政の拡大が、むしろ低生産性部門の延命をもたらしてきたという過去の弊害に率直に言及した上で、先ほど熊谷さんもおっしゃられたように、新陳代謝を促しながら、成長分野にフォーカスした財政支出が重要であるという点を明確にしていただきたいと思います。
最後に、宮島さんの日銀の金融政策に関する御質問についてですが、日銀は、国債の買入れを徐々に減らしていくと言っている一方、かつて、国債の主な買い手となっていた銀行は、レバレッジ比率規制と、IRRBB規制(Interest rate risk in the banking book)が設けられたことによって、金利リスクに関する許容度が低くなっており、以前のように多額の国債を保有することができなくなっています。これは、財務省の研究会でも議論されていることですので、そのような表現も入れていただけると良いと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、前半戦はここまでとして、もし起草委員のほうで何か、この場で返すコメントがあればお願いしたいと思います。それが終わりましたら後半戦のほうに移ります。
それでは、土居委員、どうぞお願いします。
〔土居委員〕皆様、幅広い御意見いただき、誠にありがとうございました。私としても皆様の御意見をできるだけ反映させていくよう、努力を最大限させていただきたいと思います。
大きなところで、少しコメントさせていただきたいと思います。目次で御指摘されたので、目次の2ページの18行目からの3の「政策効果最大化に向けた工夫」というところで、熊谷委員からEBPMの位置というところを御指摘いただきました。これは起草検討委員会でも大分、悩みに悩んだ末、ここに今収まっているというところです。確かに総論的なところ、もっと前のほうで取り扱ってもよいかなというようなこともありつつも、結構細かい行政事業レビューの話とか基金という、かなり踏み込んだ細かい個別の話をしているというところで1点。
あともう一つ、ODA、本日特に御意見ありませんでしたが、ODAもどこかに位置づけたいと思っています。ただ、ほかのものと一緒に入るというところの組合せが、なかなかよいところが見当たってなくて、今ここにあるというところでありまして、また改めて検討させていただきたいと思いますが、そのような検討状況であるということを、まず申し上げさせていただきたいと思います。
それから、多くの委員から、基本認識についてはもっと危機感を表せるような表現を盛り込むべきであるという御意見をいただきまして、私も全くそのとおりであると思いますので、もう少し書きぶりとかも整理しながら、皆様の認識をここにも明確に表現できるように検討させていただければと思います。
それから、あとは一里塚とかという話で、プライマリーバランスの黒字化の話ですが、13ページには一里塚と書いてあって、16ページには最終的な目標と位置づけるべきではないという、この表現ももう一度、両方、位置とか前後の表現とかを改めて確認しながら、表現については工夫をさせていただきたいと思います。
それから、フューチャー・デザインについてですが、17ページの脚注31は、今少し私も確認したのですが、実は昨年の春の建議、それから秋の建議に全く同じ表現があるのですが、唯一違っているところは、将来可能性という言葉について、一応語義を昨年春、秋の建議では付しているが、今回は付していないというところだけが違っていて、それであるがゆえに、将来可能性という言葉が人口に膾炙されていないので、なかなかこれだけを読むと何を言っているか分からないというふうに読まれるのであると思いますので、改めてそこはより分かりやすく説明できるように試みたいと思います。
それから、あとは産業政策のところで様々御意見いただいて、ごもっともな御意見たくさんあったと、私も共感しております。その点で、24ページの複数年度の支援戦略に関して國部委員から御意見いただいています。ここは半導体産業に対する支援という段での複数年度というところがありまして、GXも確かにおっしゃるとおり、そうした観点からの戦略的な支出をしていくということは当然求められるものであると思いますが、GXはエネルギー対策特別会計という、そもそも複数年度で資金を融通できるような特別会計があると思います。だが、こちらのほうは一般会計で、一般会計は基本的には単年度主義なのでという、その違いが少しあるというのが私の認識では背景にあって、あえて半導体だけについては、この複数年度という、今まで必ずしも使われていなかったような枠組みを改めてここで明記したと、そうしたような位置づけかと思いますが、おっしゃっている御趣旨はよく分かりますので、22ページから始まる産業政策の在り方全体の中でどういうふうな表現ができるか、少し検討させていただければと思います。
それから、安永委員から、外国人の包摂という話がありまして、私も大変重要であると思っております。もし扱えるとすると、25ページに国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口の話がございまして、将来推計人口は、御承知のように、外国人が在留するということが相当前提となった将来推計人口であるということは、既にこの審議会でも、末澤委員も結構はっきり御発言されていたと記憶しておりますし、議論が過去にはあったということです。ただ、外国人については、今の案文ではございませんで、きっかけというところを見つけるとするとこのあたりかなと思っていて、どこまで書けるか、少し挑戦させていただければと思います。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕それでは、中空委員、どうぞお願いします。
〔中空委員〕ありがとうございます。今、もう土居先生がたくさん答えていただいたので、今なかったところいくつかだけコメントしたいと思います。
安永委員から、経済あっての財政についてのコメントをいただきました。私自身には、この言葉、感じが悪いのです。何で感じ悪いかというと、MMT側の人たちが、先にお金を使えと、経済をよくしてから財政なのだ、経済あっての財政、財政健全化が先ではない、順番を間違えてはならないと大きく主張していたことと重なり、ものすごく嫌な印象で残っていまして。そのため、あわよくば消したいという気持ちがあったのですが、経済あっての財政というフレーズは経済界が後押ししているのだと安永委員に言われると、そうかなという気にもなってきまして、そこは要検討だと思いました。
〔安永委員〕少なくとも経団連は、そのように考えております。
〔中空委員〕分かりました。
くわえて、芳野委員からあった為替の話ですが、私自身は金融市場にいますので、為替はすごく気になっているのですが、為替の問題点を建議にがんがん書けるかどうかというのは私たちも話し合っていて、その中で、例えば為替が円安に進んだことを防衛費予算が増える理由に使われないかという懸念については考えておかねばならないというふうに思っています。なので、金融市場が変化したことについて、どういうコメントを出せば正しいかということはよく考えていきたいと思います。
また、木村委員からあったガソリンに関する話ですが、ご指摘のとおりで、予備費とか基金とか補正予算に甘えてはならないということをもう少し打ち出しつつ、あとは、いろいろなことを早くきちんと終えないといけないということを書いていけたら、強調していけたらというふうに思います。ガソリンという言葉を使うかどうかについては、持ち帰らせていただきたいと思っています。
最後、もう1点だけ。財政健全化の書き方についてです。プライマリーバランスを安定化させるとか、それから債務残高対GDP比の目標を持つ、あと小黒委員からは財政赤字対GDP比というのを書いてはどうかということで、プライマリーバランス黒字化は一里塚で、その後をどうするのかということについて、今回いろいろと指摘していただきました。私自身もそれはそう思っていて、プライマリーバランスの黒字化は一里塚だから、次を目指さなければと思います。では、次というのは何か、という話になるわけです。宮島委員もおっしゃったと思うのですが、それについてはどういうことを出すべきか、私たちは具体的にそれ話し合ったかということを考えると、どういう目標を掲げるべきかについては具体的に出せるかどうか、だと思います。たとえば、こんな選択肢があるよということを表示することになるのか、それとも次を目指さなければいけないということで今回はお茶を濁すのか。その辺は考えて、次があるということを強調できればなというふうに思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、河村委員、お願いします。
〔河村委員〕いろいろ御意見いただきまして、ありがとうございました。重ならないところを中心に申し上げたいと思います。
今後目指すべき財政運営のいろいろな方向性、今、中空委員もおっしゃいましたが、いろいろ議論しています。起草委員会の中でも議論していて、プライマリーバランス黒字化のその後をどういうふうに書くかとか、それからストックのほうの目標の関係とか、どこまでここで書けるかという話もあって、いろいろ議論しているところですので、引き続き考えさせていただければと思います。
また、タイトルについてもいろいろ御意見いただいてありがとうございました。なかなかつけ方が難しいところではあるのですが、いただいた御意見をいろいろいただきながら、よく考えたいというふうに思っております。
それから、安永委員の経済あっての財政、中空さんおっしゃいましたが、やはり受け止め方として、おっしゃられていることは本当にそのとおりと思います。一方でやはり、経済が立ち直らない、では財政健全化はほっぽっておいて、そんなことに手をつけてはいけないと言われることもやはりあったりしたのでというところで少し悩むところがあり、検討させていただければと思います。
あとは金融政策の書きぶりのところ、8ページですが、熊谷委員とか、それから宮島委員とか、いろいろ御意見いただきましたが、やはり財審としては、日銀の公表資料に出ているところに忠実に淡々と書いておくのが良いのではないかなというふうに思います。イールドカーブコントロール政策については、日本のメディアはどこも、終わらせたとか終了というふうに書かれていますが、日銀の資料にはそうは一言も書いていないです。役割を果たしたと考えていると書くのが精いっぱいだった。なぜかというと、やめたのは、その上限とか変動幅の表示だけです。オペレーションは継続で、やっていることは変わらない、日銀としてもそれはよく分かっていて、ああいうふうに書くのが精いっぱいだったのではないかということで、金融政策の見直しという表現を日銀がしていたので、それをやはり踏襲して書いていますし、それから国債の買入れ今後どうするかというのは、正直申し上げていろいろ思うところがありますし、随分他国の中央銀行のやっていることと違うというところもありますが、あのような情報発信を総裁自らされている下では、財審の立場でもありますし、日本銀行のバランスシートが長期的には縮小していく可能性も考慮すべきであると、こうしたふうに淡々と書いておくのが良いのではないかなと考えた次第です。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、後半戦のほうに移りたいと思います。同様に、会場から5名、オンラインから5名の順で進めます。また、前半戦の主計官は御退室ということになります。
初めに安永委員から御発言お願いしましょうか。お願いします。
〔安永委員〕細かい点、1点だけなのですが、63ページの医療DXの推進で、医療DXの推進が、まさに病院経営であるとか医療行為の効率化に欠かせないのは間違いないのですが、現在の制度でいくと、DXを進めるインセンティブが病院側に全然ない。これが費用対効果というのがはっきりしていても、決して、民間企業がDXを通じて人員を減らせますとか、あるいはコストが減ります、利益を上げます、この利益を上げるインセンティブが実はない。非営利の世界でDXを推進させるためには、やはり保険の点数ですとか、インセンティブの仕組みづくりをつくっていかないと、単純に評価するだけでは実際には進まないと思います。これはなかなか、どういうふうにこの中で議論するのがよいのか難しいのですが、少なくとも評価だけではなくて、DXを推進する体制を評価し、支援する仕組みづくりというのを是非、これは厚労省の宿題であると思うのですが、リファーいただければと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、末澤委員、お願いします。
〔末澤委員〕どうもありがとうございます。私からは2点です。
1点は、今回各論というのは、やはり少子化対策が一番のメインであると思うのです。昨年はちょうど防衛費の抜本的強化の問題、例年ならやらないのが入っていましたので、そうした意味では、この各論の少子化対策というのは、もう少し分かりやすくいろいろ書いたほうが良いのではないかと思っておりまして、私は、少子化対策の、まず41ページの下のほうの24、25、26行目、要は、単にこども・子育て対策だけではなくて、社会の意識変革、変えることが重要であるという点を、書かれているのですが、私はここの点が極めて重要であると思うので、もう少し強調されてよろしいのではないか。具体的には44ページの下のほうの18行から、「子育て世帯を応援するという気運を高めていく国民運動が必要であり」で一旦区切って、諸外国の事例等を踏まえると、こうした社会意識変革とこども・子育て支援政策を車の両輪として進めることが不可欠であると。これは「車の両輪」と書いてあるのですが、何と何が車の両輪か分からないので、必要であり、こうした社会意識変革をこども・子育て支援政策と併せ、車の両輪として進めていくことが不可欠であるということ、この社会意識変革、改革が必要であるということをもう少し強調したほうが良いのではないかと。なぜかというと、やはりこの3.6兆円だけではなかなか効果が上がらない可能性があるので、次につながる面でも、そうしたところ。
また、その関係で45ページにPDCA、EBPM、KPIというのが三つ出てきます。前段のほうでも言葉は使われているのですが、私は、各論ではここしか読まない人もいると思われるので、注釈のところでPDCA、EBPM、KPIの意味を載せたほうが良いのではないかと思います。それが1点です。
2点目は、先ほどの金融緩和、金融政策のところなのですが、私も河村委員と同じで、特に当審議会で何か忖度ないし、おもんぱかって、次の政策のことまで予見するようなことは書く必要はないのだろうと思います。私も植田さんの会見とかを見ていて、初めは少し言い間違いかと思ったのが、イールドカーブコントロールは、その役割を果たしたと。普通、日本語のときには、役割を終えたと言うのです。議事要旨を見たら、やはり「果たした」と書いてあるのです。恐らくこれは、やはりある意味ステルス的に、緩和は続けるが将来的には変更するという両方の思いを暗に入れたのであると思うのですが、そこまで当委員会で勘案して、減らすとまで書く必要はないかと、だから原文に忠実でよろしいのではないかと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、木村委員、お願いします。
〔木村委員〕私は手短に、3点だけです。
一つは、39ページの冒頭にあります全世代型社会保障の構築の必要性です。「政府は長きにわたり、団塊の世代が全て後期高齢者になる令和7年(2025年)を目指して、社会保障制度改革を進めてきた」と。改革の目標は全世代型社会保障の構築にあるが、いまだ道半ばであるという表現なのですが、令和7年は、もう来年ですよね。来年に迫っているものが、では全世代型社会保障が今、道半ばという表現で果たしてよいのかなと、もっと危機感というのですか、歩みが遅いというところをしっかりと書いて、この改革の導入がもっと急ぐべきであるというような表現にされたほうが良いのではないかなという気がしました。
あと2点目は、45ページからあります少子化対策の財源です。10行目あたりに、最近10年余りで、社会保障と税の一体改革による安定財源の確保を背景に、待機児童対策とか幼児教育・保育の無償化、高等教育の無償化等の取組が進められたと。これはこのとおりであると思うのですが、今回は、47ページの4行目にありますが、3.6兆円の加速化プラン施策の財源として、徹底した歳出改革の取組とあわせてこども・子育て支援金制度が導入されるとあります。
少子化対策の財源は本来、全世代で公平に負担する税がふさわしいということで、これまで恐らくそうやってきたと思います。なぜ今回突然支援金が持ち出されたのかということで、47ページの脚注に総理の御答弁が書いてありますが、この答弁を読めば読むほど、何でそうなのかというのがよく分からないのです。恐らくこの建議を読んだ国民も、何で安定財源、これまでは税と社会保障の一体改革だったのが今回支援金なのかというのが恐らく分からない、そうした疑問を抱くと思います。財務省として別に支援金を直接所管しているわけではないので、私がこう申し上げたからって何かできるわけでもないのでしょうが、この素案を読んだ国民はそうした疑問が出てくると思うということは申し上げておきたいと思います。
最後、3点目ですが、これも47ページなのですが、3行目に、こども・子育ては「国民運動に発展させていくことが必要である」とあります。既に政府が「こどもまんなか」の国民運動を展開されていて、これを指しているのでしょうが、国民運動という表現は、私個人的には、国が一つの価値観を国民に押しつけるような印象を与えがちなので、少子化対策は社会全体で取り組む課題ではありますが、結婚とか出産というのは基本的に個人の価値観に関わる問題なので、政府の役割というのは、あくまで環境整備に徹することであると思います。これも財務省が直接担当しているものではないので、何かできるものでもないのでしょうが、「国民運動に発展させていくことが必要」という表現が果たして妥当なのかどうか、違和感を覚える国民もいるかもしれないということは申し上げておきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、田中委員、お願いします。
〔田中委員〕田中です。私からも1点で、実は少し個人的な感覚かなと思ったので、検討してもらうか無視してもらうかと言おうかと思ったのは、今、木村委員がおっしゃったことと全く同じところで、46ページの結婚、出産、子育て、ライフイベントのところなのです。これはやはり各人の考えとか事情とか環境が前提のものですので、まず26行目にある「政府が一律の考え方をもって主導的な役割を果たすのではなく」という、この文節は取ってしまってもよいのかなというふうに思いました。これは資料とも連動しているので、少し事情あるかもしれませんが、ここをまず思ったことと、あと次の47ページの「既に多くの好事例が報告されており」、例えばここを「多様な取組が横展開されることで、子育て支援の気運が社会全体に高まっていくことが必要である」くらいの表現で、国民運動は、環境問題とか、みんなで取り組んで一気に頑張りましょう的なものには適するのかなと思うのですが、国民運動というのはやはり少し違和感が感じられるかなというふうに思った次第です。木村委員と全く同じ見解なのですが、御検討いただければと思います。資料もここは全部、タイトルとか一緒になっていると思いますので、お任せしますが、よろしくお願いいたします。
〔増田分科会長代理〕それでは、國部委員、お願いします。
〔國部委員〕ありがとうございます。私からは、少子化対策について3点と、社会保障について1点、計4点申し上げます。
少子化対策の1点目、建議の素案45から46ページに、こども・子育て政策に係る個別施策のKPI設定とPDCAに際して「こども・子育て政策全体の目標も意識しながら対応していくことが重要」と記載いただいておりますが、前回指摘したとおり、KPIを具体的に設定するためには、よりどころとなる少子化政策全体の目標を明確化することが重要であると思います。建議においても、政府がこども・子育て政策全体の目標として目指すべき未来社会の姿を具体的に定め、国民に示すよう提言すべきと考えます。
2点目は、43ページで指摘されているワンオペ問題について。素案で気になったのは、この問題が男性の育休取得率の低さのみに起因しているかのように読める点です。共働きで育児中の当社職員に話を聞きますと、男女ともに、育休の取得促進だけでなく、時間休、在宅勤務、深夜勤務など、勤務体系の柔軟化がより重要と指摘しています。育休に加え、根本的に働き方を見直していくことが、性別、こどもの年齢を問わず育児しやすい職場環境の形成にもつながると思います。この点を是非建議に加えていただければと思います。
それから、少子化対策の3点目。社会全体の意識変革について、ほかの委員と若干意見が異なるかもしれませんが、46ページの26から27行目に「政府が一律の考え方をもって主導的な役割を果たすのではなく」との記載がありますが、やはり私は、政府には明確な政策目標を示し、国民的な議論を通じて社会の意識変革を主導する重要な役割があるはずと考えます。もちろん価値観の押しつけというのはよくないとは思いますが、やはり全体的な社会の意識変革を主導する必要があると思います。したがって、当該部分については、「政府だけでなく、民間や地方も積極的に取り組むべき」といった書きぶりに変更してはいかがでしょうか。
最後に、39ページに注記されている全世代型社会保障に関する改革工程について、これはこども・子育て関連予算の財源確保の観点からも重要な取組です。検討が進んでいない項目が指摘されていることを踏まえれば、その効果検証や見直しの必要性を含め、注記ではなく、本文に記載すべき内容と考えます。くわえて、各施策で目指す公費節減額や進捗状況を定期的に確認し、改革工程全体としての目標達成が難しい場合は追加措置を検討すべきといった提言を盛り込むことも検討いただければと思います。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、オンラインに移ります。権丈委員、上村委員、そして小林委員の順で御発言いただきます。権丈委員、お願いします。
〔権丈委員〕建議案の取りまとめ、ありがとうございます。3点コメントさせていただきます。
まずは医療についてです。57ページ17行目から、医師の偏在問題が論じられています。医師の地域間、診療科間、病院・診療所間の偏在問題は、いよいよ深刻さを増してきております。厚生労働大臣も一月前のNHKの「日曜討論」で、医師の偏在を規制によってきちんと管理していくということを我が国もやらなければならない段階に入ってきたとおっしゃっておりました。ここにありますように、経済的インセンティブと規制的手法の双方から強力な対策を講じる必要があるということが建議に書き込まれることは、日本の医療政策において、とても意義があることであると思っております。
二つ目は年金に関する部分で、77ページの第1段落となります。そちらに「次期年金制度改革において、被用者保険についても20時間未満労働者への適用についても道筋をつけるべきである」とあります。この社会保険の適用除外については自民党の政務調査会のほうでも、企業が事業主負担を回避するために生じる、働く人の側からは見えない壁の存在が問題視されてきておりました。その問題の克服も視野に入れた勤労者皆保険の考え方は、20時間未満労働者への適用を考える際に貴重なヒントになると思っております。
年金で、もう一つです。同じ77ページですが、脚注107に、保険料を払わずとも基礎年金を受けることができるとあります。これについては、あまり知られていないのですが、厚生年金保険法には、「被扶養配偶者を有する被保険者が負担した保険料について、当該被扶養配偶者が共同して負担したものであるという基本的認識の下に」という宣言規定がございます。厚生年金保険という公的年金は、世帯における一人当たり賃金が同じならば負担と給付は同じになるという考え方で設計されていますので、こうした共同負担という表現になっております。財審の建議は長く残りますので、厚生年金保険法の表現と後々矛盾しないような文面を工夫するということもあるのではないかと思っております。
以上でございます。ありがとうございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、上村委員、お願いします。
〔上村委員〕私からは1点ですが、33ページにある東京一極集中・税源偏在の対応についてですが、34ページでは、締めくくりの言葉として「偏在性が小さい地方税体系を構築することが重要である」とあります。これはそのとおりなのですが、この文章に、特に地方の法人課税に関してといった文言を付け加えてもらえると、より明確になると思います。また、これは要望ではありませんが、東京一極集中の問題は、税源偏在だけでなく、公共サービスの偏在の問題でもあります。特に人口移動を発生させやすい少子化対策について、国の仕事なのか、それとも地方の仕事なのか、地方はどこまで行うべきなのかといった役割分担の議論を始めるときが来ているように思っています。この点は意見にとどめておきます。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、小林委員、お願いします。
〔小林委員〕私からも1点、医療のデータ整備についてです。51ページの14行目と15行目に、国際的に比較可能な医療費等のデータ整備の話が載っております。これは経営情報の見える化の項目の中に入れてあるのですが、ここが適切かどうか少し分からないのですが、要するに医療統計の話です。
この国際的に比較可能なOECDのヘルス・エクスペンディチャーの集計と発表というのは日本もやってはいるわけですが、これは政府ではなくて、社人研の事業として属人的に、専門家がたまたまいるので集計をしているというように聞いております。法的な根拠を持たないため、集計の体制が弱いということ、また、集計に2年、3年と時間がかかるために、ほかのOECDの国々に比べて、日本からのヘルス・エクスペンディチャーの提出が遅れがちになっているとか、あるいは不正確であるというような指摘もあります。
このような国際的に比較可能なデータが迅速に入手できる体制をつくることができれば、国際比較を通じて、保健医療の支出の何が過少であるのか、あるいは過剰なのかということが判断しやすくなって、医療政策についての議論のベースとしての価値が非常に高いと思います。そうした意味で、OECDのヘルス・エクスペンディチャーを政府統計化する、政府統計に格上げする、そして統計作成の体制を強化して、作成の責任を明確化するというようなことも検討すべきではないかと思います。この点、後で修正意見、修文意見をメモでお送りさせていただきたいと思います。
私からは以上です。
〔増田分科会長代理〕熊谷委員から、どうぞお願いします。
〔熊谷委員〕ありがとうございます。私からは、大きく4点申し上げます。
まず1点目として、これはどこか総論の部分で記述する話であると思いますが、大原則として、やはり医療介護等には巨額の公費が入っているわけですから、決してレッセフェールではなくて、一定の規制であるとか規律が必要であるという、こうした原理原則、大原則を、是非しっかりと記述をしていただきたいと考えます。
それから2点目としては、財審の中で、ミクロの管理だけではなくて、マクロ的な管理がやはり必要であると、そうした議論がかなり出ていたと承知しておりますので、これは少し書き方も難しいし、どこに書くかも難しいわけですが、そうしたマクロ的な管理の議論についても、是非どこかで入れていただきたいと思います。
それから、3点目は39ページのあたりで、これは先ほど國部委員からも御指摘がございましたが、「改革工程」は非常に重要な話であると思いますので、是非本文の中で書いていただきたいですし、また、記述についても、可能な範囲で、より一層踏み込んだ記述にしていただきたいと考えます。
最後、4点目が66ページの金融所得の勘案という部分でございますが、ここは、是非とも預金の付番の話なども視野に入れた記述にしていただきたいです。問題意識として申し上げますと、家計の資産の過半を占める預貯金の多くはマイナンバーにひもづけされていないわけですから、例えば株式や投資信託など、特定の金融資産のみが保険料の賦課対象になるということですと、預貯金へのシフトが促進されることが懸念されます。これは政権の目指している「成長と資産所得の好循環」ですとか、「成長と分配の好循環」といった大方針に逆行するのではないかと考えます。
具体的な修文案を申し上げると、現状の13行目から15行目の記述が若干正確性に欠けると認識しています。「税制において源泉徴収のみで」というところから「関しては」という記述の後に文言を少し入れていただきたいと思っておりまして、「源泉分離課税のため個人の所得を捕捉できない預貯金や」、ここで点を打って、「申告分離課税とされている上場株式の配当等で」という記述を挿入していただいて「確定申告がされない場合は」とつなげれば、正確な表現になりますので、以上の修文を御検討いただきたいと考えます。
私からは以上でございます。ありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕それでは、宮島委員、お願いします。
〔宮島委員〕ありがとうございます。私からは一つだけ。
今後、医師の数と偏在化というのはどんどん問題になると思うのですが、全体の中でタスクシフト、医療者の中のタスクシフトが、私の見落としでなければ、今回入っていないかと思います。前回など、ワクチン接種をめぐって、そもそもこれはお医者さんのやる仕事なのか、各国と全然違うのではないかというのがあったと思って、今回はあまり議論はしていないかもしれないですが、この医師の数を考えるに当たってはタスクシフトも重要な側面かと思いますので、どこかに入ると良いと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、平野委員、どうぞお願いします。
〔平野委員〕まず、少子化対策について4点です。
1点目、改革工程に、多くの必要なメニューを盛り込んでいただいたこと自体は評価したいと思いますが、皆様も御指摘されているとおり、これまでのボトムアップベースでの取り組みの進捗があまり芳しくなかったという事実を踏まえると、トップダウン的なアプローチとして医療版のマクロ経済スライドの導入も検討すべきであるという意見があったことを書き込んでいただきたいと思います。これは先ほど熊谷さんもおっしゃった点とも共通しています。
2点目、44ページで若い世代の所得向上に関して述べていますが、日本は、OECD平均に比べて、こどもを持つ、生活保護の要件に満たない一定の低所得者層に対する負担軽減策が不十分であるという事実があります。そうした層に対しては、例えば給付付き税額控除など、所得に応じた給付や負担軽減策を子育て支援策として講じることを追記してはどうかと思います。
3点目、子育ての環境を整える上では、企業が果たすべき役割が極めて大きいと思います。46ページの27行目で、企業について一言触れていただいていますが、先ほど國部さんもおっしゃったように、子育てをしやすい労働環境を企業が責任を持って整えるべきであるということを44ページや47ページでもっと強調すべきだと思います。政府支出ではなくともできることはたくさんあるはずだし、そちらの方がより本質的であると思います。
4点目、子育て世代の将来不安を払拭するために若い世代の所得向上に取り組むべきであるという御指摘はそのとおりですが、社会保険料負担の増加が彼らの実質賃金を押し下げるという事態は避けるべきであると思います。40ページの7、8行目でこの問題については記載されていますが、44ページの11行目-14行目、あるいは21行目あたりでも、社会保険料の負担が実質賃金を押し下げることがあってはならないということを再度明確に書いていただきたいと思います。
次は、医療について大きく2点です。
1点目、前書きの50ページの1行目以降に、「政府は国民に対して医療保険制度のあるべき姿を示すとともに、人口減少、少子高齢化が進んで一人当たりの社会保険料負担の増加が免れない中で、現行の制度にメスを入れなければ制度自体を維持できなくなるという見通しを示して、制度改革に対する国民の理解を醸成する必要がある」旨を追記いただきたいと思います。国民に不都合な真実を示すことも、国を預かる者の責務であると思います。
2点目、改革の具体的な方向性について、より踏み込んだ記載をお願いしたい点が三つあります。ワーディングは後ほど提出する意見書をご覧ください。
一つ目は、先ほど小林さんもおっしゃっておりましたが、医療改革に向けた重要なインフラの整備という意味で、51ページ、63ページに一部言及していただいてはいますが、医療介護政策の基盤となる事業者データの整備と、そのための共通基盤の構築、くわえて保健医療統計の整備の必要性について言及いただきたいです。二つ目は、57ページ以降の医療提供体制において、かかりつけ医と地域医療構想に関してもう一歩踏み込んだ記載をお願したいです。三つ目は、先ほど熊谷さんもおっしゃっておりましたが、67ページの応能負担におけるマイナンバーの活用について、もう少し具体的に書いていただきたいです。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、起草委員の方で、これまでの意見で何かコメントがあればお願いしたいと思いますが。
それでは、土居委員、どうぞお願いします。
〔土居委員〕皆様、御意見、誠にありがとうございました。基本的に皆様の御意見ができるだけ反映できるように、これから検討させていただきたいと思います。
大きなところだけ少し申し上げたいのは、熊谷委員は40ページのところを御指摘されて、平野委員は、直接そこ以外のところも含めて御意見がありましたが、いわゆるマクロスライドといいましょうか、総額管理のところです。11行目からの段落で、そのニュアンスを一応組み込んではいると、明言はされていないということで、これでは弱いと思われたのであると思いますので、また表現ぶりは改めたいと思います。ただ、今回改革工程が示されて、結局のところ、実質的な負担増にしないようにするには、医療介護の改革を行って、医療介護の保険料を抑えないと実質的な負担増にならないようにはできないということが事実上埋め込まれているということが、今後2028年までの間で、医療や介護の給付をその分だけ延ばせないと、何らかの改革を行って給付抑制というものを図っていかなければならないと。そうしないと支援金の負担増がそのまま直撃してしまうというたがが、それなりに強くはまっているという認識を私も含めて持っているものですから、このぐらいのトーンで、ある種のマクロ管理といいましょうか、そうしたものが、むしろ初めてそこまでくぎが刺せたという認識があるものですから、こうした感じになっているのですが、引き続き検討させていただければと思います。どういう形でそこまで、熊谷委員、平野委員が思っておられるようなニュアンス、私も大なり小なり内心はそう思っているのですが、マクロ管理については周辺の警戒が強いものですから、はっきり書き過ぎると出鼻をくじかれるということがあるので、できるだけしれっと言って、実はマクロ管理がうまくくぎが刺せているような感じでいけると良いなと思いながらも、意見としては非常に納得しているところ、私としても同感しているというところでございます。
それから、國部委員から、46ページのこども・子育て政策全体の目標というところに言及がございまして、それも私も全く同じであると思います。それが財審でどこまで、示せということは言えると思うのですが、もう少し具体的にどう示せというところなのかというところは少しまた検討させていただいて、修文案を御覧いただければと思います。
また、国民運動という言葉について、何人かの委員から御指摘がございました。確かにこの時代に国民運動ってどういうことなのであるということなのですが、閣議決定されたこども未来戦略に国民運動という文言が文字どおり盛り込まれておりまして、これをどこまで財審の建議で引用するのかというところの問題かなと。国民運動という表現自体、そんな文言は今の時代に合わないからやめろとまでは、さすがに閣議決定されている文言なので、なかなか難しいのですが、だからといって、財審の建議でそこまで多用しなくてもよいとか、もう少し違う表現があるのではないかという御意見もいただきましたので、そこは少し工夫をさせていただければと思います。
私からは以上です。
〔増田分科会長代理〕ほかの方よろしいですか。
どうぞ武田委員、お願いします。
〔武田委員〕本日は大変貴重なご意見をどうもありがとうございました。前半戦と後半戦と両方併せてとなりますが、今回の建議でメッセージとして何を強くうち出すべきかについて御意見をいただいたと認識致しました。特にタイトルと、基本認識においてもう少しメッセージ性を強く出すことを再度検討したいと思います。このプロセスを経て、どこを皆様が強く意識されているかが浮き彫りになることもあります。したがって、本日皆様から頂いたキーワードをもう一度振り返り、それらを踏まえて検討させていただくことに御理解を頂ければありがたいと思います。
2点目として、確かにそのとおりだと思いましたのが、足もとの話、目先の話にとどまっている表現がいくつかありました。もう少し将来像について述べること、プライマリーバランス改善や全世代型社会保障の構築も先を見据えてしっかり進めていくこと、そして、その歩みも急ぐ必要があることを表現できるよう全般に見直したいと思います。
一つ一つ回答させていただくことは控えますが、大変貴重な意見として承りましたので、修正文に生かしたいと思います。ありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。それでは、起草委員の方、よろしいですね。
それでは、意見等も以上ですので、本日の審議はここまでとさせていただきます。冒頭申し上げましたとおり、追加の御意見ございましたら、明日9日のお昼12時までに、事務局へメールで御提出いただきたいと思います。様式は任意でございますので、お任せをいたします。
本日の御議論を踏まえて、そしてまた提出された追加意見があればそれも踏まえて、起草委員会で修文案を検討していただきます。今、起草委員の方からもお話ございましたとおり、寄せられた御意見については、できる限り反映をしていただくということになるかと思いますが、中には難しい判断もあろうかと思いますので、いずれにせよ修文案につきましては、基本的に起草委員の皆様に御一任をしたいと思いますので、御了解のほど、よろしくお願いをいたします。その上で、委員の皆様のお手元にも、次回5月21日ですので、その分科会の前に、できるだけ早く修文案が届くようにさせていただきたいと思います。
それから最後に、本日の資料は非公表扱いということでございますので、お手元に配付しております資料につきましては、この後、お持ち帰りにならずに、この場に置いておいていただきたいと、机の上にお残しいただきますようにお願いします。事務局で回収をさせていただきます。
また、今後の日程、建議案の内容、審議過程については、恐縮ですが、対外的にはお話しにならないように、委員の皆様の御協力をお願いいたします。
それでは、本日はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。
午前11時00分閉会