財政制度等審議会財政制度分科会
議事録
財政制度等審議会財政制度分科会議事次第
令和5年11月20日(月)9:30~10:30
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)
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1.開会
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2.議題
とりまとめに向けた審議
3.閉会
分科会長 |
十倉雅和 |
赤澤副大臣 矢倉副大臣 瀬戸大臣政務官 佐藤大臣政務官 新川主計局長 寺岡次長 前田次長 吉野次長 大沢総務課長 木村主計企画官 三原司計課長 西村法規課長 山本給与共済課長 横山調査課長 有利主計官 小野主計官 佐久間主計官 小澤主計官 寺﨑主計官 端本主計官 松本主計官 漆畑主計官 尾﨑主計官 後藤主計官 石田予算執行企画室長 西尾主計企画官 小田切公会計室長 |
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分科会長代理 |
増田寛也 |
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委員 |
秋池玲子 大槻奈那 河村小百合 熊谷亮丸 小林慶一郎 佐藤主光 武田洋子 土居丈朗 藤谷武史 宮島香澄 安永竜夫 芳野友子 |
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臨時委員 |
上村敏之 遠藤典子 小黒一正 木村旬 國部毅 末澤豪謙 滝澤美帆 田中里沙 中空麻奈 平野信行 広瀬道明 福田慎一 堀真奈美 横田響子 吉川洋 |
午前9時30分開会
〔増田分科会長代理〕ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。
本日は、赤澤副大臣、矢倉副大臣、瀬戸政務官、佐藤政務官にお越しいただいております。どうもありがとうございます。赤澤副大臣につきましては、初回でございますので、ここで一言御挨拶を頂戴したいと思います。
それでは副大臣、よろしくお願いします。
〔赤澤副大臣〕おはようございます。財務副大臣を拝命いたしました赤澤亮正でございます。委員の皆様におかれましては、日頃から本分科会へ御協力いただき、心から感謝申し上げます。十倉会長あるいは増田会長代理はじめ、知っている顔もかなりおられますので、私にとっては大変うれしい機会だなというふうに思っております。
自己紹介させていただきますと、私は、運輸省などで勤務した後、2005年に鳥取2区から初当選をいたしました。政府においては、国土交通大臣政務官や内閣府副大臣を務めております。国会では衆議院環境委員長や原子力問題調査特別委員長などを務めております。
それだけですと少し味気ないので、一つだけ少しそれた話をいたしますと、私は、運輸省に入って、航空局だったのですが、2年目に御巣鷹の事故を経験していまして、500人以上乗ったジャンボの機影が今レーダーから消えましたという第1報が東京航空局から入ったときにその場にいた人間でして、今でも、そのときに氷の粒が血管の中をざっーと流れたような感覚がよみがえります。ということで、危機管理をもうずっと主としてやってきて、その10年後、阪神・淡路大震災でしたし、その10年後に議員になっておりますので、そうした意味では、本当に災害とか、事故とか、危機管理をライフワークとして、どちらかというと、行け行けの成長戦略と言うと怒られますが、そっちよりはそうした方向を中心にやってきている人間でございます。ということを少しお見知りおきいただければと思います。
本分科会では、令和6年度予算の編成に向けて、各歳出分野における改革内容について活発な御議論をいただいているというふうに承知をしております。令和6年度予算は、本日本分科会からいただく建議を踏まえて、しっかりと編成してまいりたいと思います。どうかよろしくお願いをいたします。ありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。
それでは、本日はお手元に配付をしております建議の案について審議を行い、当分科会として取りまとめた上で、会議終了後、取りまとめられた建議を十倉会長や起草委員から鈴木大臣へお渡しをする予定でございます。
なお、建議手交の時間もございますので、10時30分までに会議が終了できるよう、この後、時間厳守で進めていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
今回の建議(案)は、前回、8日ですが、前回の分科会や書面でいただいた御意見を踏まえて、起草委員の皆様に御修正をいただいたものでございます。お手元に前回の会議で御審議いただいた案文からの修正を見え消しにしたものと、修正を溶け込ませたもの、それぞれを配付しておりますので、御参考にしていただきたいと思います。
前回の分科会の最後に私から、「修文案は起草委員の皆様の御議論にお委ねしたい」旨申し上げたところでございます。特に異論ございませんでしたので、その後、起草委員の皆様に御議論いただきましたが、委員の皆様方のコメントのうち、当審議会で行われた議論との関連性が低いもの、当審議会で行われた議論の方向性とは異なると判断されたものなど、反映を見送ったものもある、このように聞いております。ただし、全体としては多くのコメントを反映していただいており、本日御賛同いただけると考えております。
前回の会議で御審議いただいた案文からの主な変更箇所について、事務局から補足説明をまずしていただきたいと思います。
なお、後ほど、御感想等コメントいただく時間も確保しております。
それではまず、横山課長から修正点などについて説明をお願いします。
〔横山調査課長〕調査課長の横山でございます。8日の分科会の際にいただきました建議の「素案」に対する御意見について、起草委員会で審議いただきました。駆け足になりますが、お手元の見え消し版に沿って御意見の反映状況を御報告いたします。
まず、財政総論です。
大槻委員、木村委員、熊谷委員、小林委員、堀委員より、基本認識・ビジョン・哲学といった点について記載すべきとのお話がありました。御指摘を踏まえて、1から3ページにかけて、前文を抜本的に修正する形で、基本認識について記載しております。
また、大槻委員、小林委員、田中委員はじめ複数の委員から、全世代型社会保障の考え方や、将来世代への責任といった考え方を提示すべきとの御指摘をいただきましたので、2ページ24行目以降のくだりを追記しております。
同じく2ページ8行目、小黒委員、熊谷委員の御意見を踏まえた修正です。
16行目以降の「かかる状況に鑑みれば」のくだりは、木村委員の御意見を踏まえた修正です。
19行目以降の「現状維持志向の~」のくだりは、熊谷委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。
3ページ12行目、神子田委員の御意見を踏まえた修正です。
脚注1について、小林委員の御意見を踏まえ、フューチャーデザインについて追記しております。
5ページに飛んでいただき、17行目、大槻委員の御意見を踏まえ、「利回り」に修正しています。
18行目、末澤委員の御意見を踏まえた修正です。
6ページ10行目、大槻委員の御意見を踏まえた修正です。
11から12行目、熊谷委員の御意見を踏まえて、「人への投資」を追記しております。
7ページ脚注12、末澤委員の御意見を踏まえた修正です。
9ページに飛んでいただき、10行目以降のくだりは、先ほどと同様に、熊谷委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。
20行目、「その上で、将来に向けて」以降のくだりは、平野委員、田中委員、広瀬委員、上村委員の御意見を踏まえた修正です。
また、脚注18については熊谷委員、脚注20については芳野委員の御意見を踏まえて追記したものです。
10ページ9行目以降のくだりは、平野委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。
27行目、小黒委員、神子田委員、熊谷委員の御意見を踏まえた上で、「いわゆる『金利のある世界』」に修正をしております。
脚注22については、平野委員、熊谷委員の御意見を踏まえて追記しております。
11ページ7行目、先ほどと同様、小黒委員、熊谷委員の御意見を踏まえた修正です。
12行目、神子田委員の御意見を踏まえた修正です。
18行目以降のくだり及び脚注27について、小黒委員、熊谷委員の御意見を踏まえ、2025年度のプライマリーバランス黒字化が視野に入る姿となるための前提条件を追記しております。
12ページ3行目、小黒委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。
6行目、芳野委員の御意見を踏まえた修正です。
8行目、先ほどと同様、神子田委員の御意見を踏まえた修正です。
脚注28、芳野委員の御意見を踏まえて追記しております。
続いて各論、社会保障です。
13ページ14行目以降のくだりについて、熊谷委員、上村委員、平野委員の御意見を踏まえ、全世代型社会保障の考え方を追記しております。
15ページに飛んでいただき、6行目、芳野委員の御意見を踏まえて、「所得や雇用への不安等から」という文言を追記しております。
13行目以降のくだりは、末澤委員、熊谷委員、木村委員の御意見を踏まえた修正です。
16ページ15から16行目、安永委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。
18行目以降のくだり及び脚注30については、安永委員、広瀬委員の御意見の御趣旨を踏まえ加筆・修正したものです。
18ページに飛んでいただき1から2行目及び脚注32は、堀委員の御意見を踏まえた修正です。
14行目、先ほどと同様に、末澤委員、熊谷委員、木村委員の御意見を踏まえた修正です。
16行目、末澤委員の御意見を踏まえた修正です。
19ページ12行目以降のくだりは、小黒委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。
16から17行目、神子田委員の御意見を踏まえた修正です。
20ページ16行目以降のくだり及び脚注34は、熊谷委員、田中委員、小林委員、神子田委員の御意見の御趣旨を踏まえ、財務局を通じて実施した機動的調査に関する記述を追記したものです。
21ページ16行目以降のくだりについては、熊谷委員の御意見を踏まえて、診療所の改定率の水準を追記したものです。
30ページに飛んでいただきまして、26行目以降のくだりは、芳野委員の御意見を踏まえた修正です。
32ページに飛んでいただき11行目以降のくだりは、堀委員の御意見を踏まえた修正です。
35ページに飛んでいただき2行目、小黒委員の御意見を踏まえた修正です。
それから、55ページに大きく飛んでいただき、10行目以降のくだりは、平野委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。
57ページに飛んでいただき9行目以降のくだりは、堀委員、芳野委員の御意見を踏まえた修正です。
58ページ13行目以降のくだりは、平野委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。
64ページに飛んでいただき22行目以降のくだりは、安永委員、芳野委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。
続いて地方財政です。
68ページ8行目及び10行目、末澤委員の御意見を踏まえた修正です。
69ページ11行目、小黒委員、熊谷委員の御意見を踏まえて追記しております。
また、同じく11行目以降のくだりは、熊谷委員、安永委員、平野委員、上村委員、芳野委員の御意見の御趣旨を踏まえて、国から地方への財政移転の流れなどの「見える化」について追記したものです。
脚注81は、大槻委員、熊谷委員、平野委員の御意見を踏まえて追記したものです。
続いて防衛です。
74ページ27から28行目、「国民の理解を得て」のくだりは、平野委員、芳野委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。
75ページ4行目、末澤委員、小黒委員、熊谷委員の御意見を踏まえた修正です。
14行目、木村委員の御意見を踏まえた修正です。
76ページ6行目以降のくだりは、神子田委員の御意見を踏まえた修正です。
78ページに飛んでいただき6行目以降のくだりは、平野委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。
79ページ19行目、熊谷委員の御意見を踏まえ、プロジェクト管理に当たってガバナンス強化が必要であること等を追記しております。
続いて外交です。
82ページに飛んでいただき脚注112、安永委員の御意見を踏まえて追記しております。
84ページに飛んでいただき、芳野委員の御意見を踏まえ、脚注118、119を追記しております。
86ページに飛んでいただき、安永委員の御意見を踏まえ、脚注124を追記しております。
続いて文教・科学技術です。
88ページ5行目以降のくだりは、熊谷委員、大槻委員の御意見を踏まえ、「質の維持・向上」や「ダイバーシティ」といった点を追記したものです。
9行目以降のくだりは、末澤委員の御意見を踏まえた修正です。
89ページ12行目以降のくだりは、藤谷委員の御意見を踏まえた修正です。また、30行目以降のくだりについても、藤谷委員の御意見を踏まえた修正です。
93ページに飛んでいただき18行目、大槻委員の御意見を踏まえた修正です。
95ページに飛んでいただき22行目以降のくだりは、藤谷委員、末澤委員、大槻委員の御意見を踏まえ、国立博物館・美術館の自己収入拡大に向けた取組に関する記述を追記したものです。
続いて社会資本整備です。
97ページ10から11行目は、神子田委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。
16行目、平野委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。
28行目、熊谷委員の御意見を踏まえた修正です。
99ページに飛んでいただき16行目以降のくだりは、広瀬委員、安永委員、芳野委員の御意見を踏まえた修正です。
100ページ14行目、先ほどと同様、平野委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。
101ページ20行目以降のくだりは、平野委員、熊谷委員の御意見を踏まえ、縦割りを超えた対応について追記したものです。
103ページに飛んでいただき7行目以降のくだりは、大槻委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。
続いて農林水産です。
105ページ11行目以降のくだりは、熊谷委員の御意見を踏まえた修正です。
107ページに飛んでいただき19行目以降のくだりは、神子田委員の御意見を踏まえた修正です。
113ページに飛んでいただき8から9行目、芳野委員の御意見を踏まえた修正です。
続いて、国内投資・中小企業です。
116ページに飛んでいただき脚注154について、広瀬委員の御意見を踏まえて追記しております。
119ページに飛んでいただき25行目以降のくだりは、広瀬委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。
120ページ7行目、芳野委員の御意見を踏まえた修正です。
12から13行目、横田委員の御意見を踏まえた修正です。
14行目以降のくだりは、平野委員、広瀬委員の御意見を踏まえた修正です。
それから19行目、横田委員の御意見を踏まえた修正です。
121ページ15行目、広瀬委員の御意見の御趣旨を踏まえた修正です。
21から22行目、芳野委員の御意見を踏まえた修正です。
最後にデジタルです。
123ページ7行目以降のくだりについて、芳野委員、熊谷委員の御意見を踏まえ、マイナンバー制度について追記しています。
125ページに飛んでいただき4行目、芳野委員の御意見を踏まえた修正です。
25行目以降のくだりは、平野委員の御意見を踏まえた修正です。
126ページ9行目以降のくだりは、小黒委員の御意見を踏まえた修正です。
御意見を踏まえた修正は以上のとおりです。なお、このほか、必要に応じて表現ぶりの修正、その他形式的な修正等がなされております。
私からの説明は以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。今説明をいたしましたとおり、委員の皆様の御意見はできる限り反映をしていただいていると思いますので、まず、ここで建議の内容につきましてお諮りをいたしたいと思いますが、お手元に配付をしております建議(案)のとおり、分科会として取りまとめたいと思いますが、御異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。それでは、建議につきましては、お手元にお配りをしております案のとおりとさせていただきます。
それでは、ここから30分程度、意見交換の時間とさせていただきますが、ただいま取りまとめられました建議の内容や、秋の財審全体を通じた御感想、コメントについて頂戴できればと思います。大変恐縮ですが、御発言はごく手短に、一、二分程度にしてまとめていただければというふうに思いますので、皆様方のほうでネームプレート、それからテレビ会議の方は「挙手する」ボタンで合図をいただきましたら、こちらから指名いたしたいと思います。それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、私から向かって右側、大槻委員から順次指名していきます。まず、大槻委員からどうぞお願いします。
〔大槻委員〕ありがとうございます。本当にお疲れさまでございました。非常に充実した内容であると思います。
ざっと調べてみたところ、恐らく、過去最長の本文のページ数になっているのかと思います。これは毎回言っているかもしれないのですが、是非この力作を一人でも多くの方に見ていただきたいというところかと思います。つきましては、できれば、これを発表後にどれぐらいのアクセス数があったのかですとかも、是非過去と比べてどうかということをフォローしていただければというのと、また、前やっていたことがあるのかどうか分からないのですが、例えば、起草委員の方々ですとかで、タウンホール的な何か広報の機会などを設けるなども考えてもよいのではと思ったりもします。
以上です。お疲れさまでした。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございます。それでは、安永委員お願いします。
〔安永委員〕ありがとうございます。
本当に大変な力作を取りまとめて頂き、ありがとうございました。
あえて少しビジネス界からの意見を言わせていただきますと、世界経済の雲行きが相当怪しくなっており、さらには資源・原材料価格の高止まりや、円安も相まって、これから企業業績に対するインパクトがかなり出てくると思います。賃上げの継続や、国内投資の推進は、経営者の務めと自覚しておりますので、しっかり取り組んでいきたいのですが、一方、規制改革等、日本はもっと門戸を開いていくべき部分があると思っています。海外資本あるいは労働力を日本国内に導き込めるように、産業構造の転換や、DX・GXの推進、さらには労働市場の流動化が必要であり、それらの実現により、日本経済の持続的成長につなげることが大切です。
また、サステナブルな社会保障の仕組みの構築は待ったなしであり、全世代型社会保障を前提として、応能負担の実現が重要です。一方、給与を幾ら増やしても社会保険料が増えては意味がないので、現役世代や、事業者に大きな負担が偏らないような形で、全世代の方が負担していくことを是非実現していただきたいと思います。
最後に、医療・介護については、建議にも盛り込んでいただきましたマイナカードを活用した応能負担はもちろんですが、健康情報の共有化やデジタル化によって利便性、信頼性を保ちつつも、効率性を追求すること、そして医療機関の経営情報の見える化を通じた効率的マネジメントの促進はマストと考えます。これについては速やかな実行が望まれるところです。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、熊谷委員お願いします。
〔熊谷委員〕ありがとうございます。診療報酬改定について、私の意見を踏まえて、機動的予算執行調査の結果に基づき、診療所の報酬引下げ幅など具体的な水準にまで踏み込んで記載していただきました。予算編成に当たり、信頼できるデータ、エビデンスに基づく判断を行うことは極めて重要であり、今回の対応を高く評価いたします。今後、見える化やEBPMの取組が更に進んでいくことを大いに期待しております。診療報酬改定の戦線は、これから年末までが天王山でございますが、是非とも今回の建議の方向で実現していただきたいと思います。それにより、保険料負担の抑制、ひいては国民の可処分所得の増加につなげてほしいと考えます。
そもそも診療報酬とは、医療費の給付そのものであり、プラス改定となると、国民負担に直結してしまいます。しかしながら、マスコミの報道ぶりなどを見る限り、診療報酬改定の問題は、専ら医師会対財務省といった矮小化した構図で報じられており、診療報酬のプラス改定は国民負担の増加と同義であるという最も本質的なポイントが国民に対して正しく伝えられていないことを非常に憂慮しております。
我々委員サイドでも、それぞれの立場に照らして、可能な限り、年末の報酬改定でプラス改定となると、窓口負担、保険料負担がより一層増加してしまうといったことについて、情報発信や様々な働きかけを行っていくことが肝要です。さらに、報酬改定への対応と併せて、全世代型社会保障を構築するための様々な改革を前進させることも極めて重要であり、引き続きしっかりと議論させていただきたいと思います。
私からは以上でございます。ありがとうございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、田中委員お願いします。
〔田中委員〕田中でございます。まず、起草委員の先生方、事務局の皆様、本当にすばらしい建議をありがとうございます。更に分かりやすく、全体に切れ味よくまとめていただいたというふうに思っております。
春から続けて歴史の転換点にいるという、この警鐘を鳴らしているわけなのですが、やはり軸足を移すにしても、目指す姿は本当に国民も全て皆同じかなというふうに思うのですが、やはりよって立つ土俵のところがどうなっているのかということの理解にまだまだ少しギャップがあるところなのかなというふうに思っております。
先日、子育て中のお母様が、とてもこども手当の支援をしていただくのはうれしいですが、財源はどうなるんでしょうねというような、財源という言葉を普通にお母様がお話しされているところを見て、いろんなメッセージが伝わり始めているのだなと思いつつ、やはり一つ一つの使っている言葉の意味というのが、共通認識がまだないところもあるのかなというふうなことを思います。
財務省の発信で、私もX(ツイッター)とかをよく拝見していますが、丁寧に本当に分かりやすく伝えていただきながらも、キーワード解説のようなものになると、やはり言葉の説明というところに少し終始しているところがあるかなというふうに思いますので、認識によって違う言葉、全世代型にしても、いろんな言葉がありますが、そこがギャップのあるところを埋めていくような広報活動というか、情報の共有化というのを次にしていくと、かなりこの建議も、皆様が自分事として、歴史の転換点の中にいる当事者として認識が広まるのかなというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
〔増田分科会長代理〕それでは、宮島委員お願いします。
〔宮島委員〕大変な文書の取りまとめ、本当にありがとうございました。特に、追記をされたところで、次世代のため、現状維持ではなく将来を見据えたことを考えているのであるということをはっきり書き込んでいただいたのは良いかと思います。財政再建というと、またいつも財審が言っていることだといったふうに本当に思われがちなのですが、ここの場の共通の、今さえよければ良いわけではなくて、次のことを考えて、次のためのベストを考えているのであるということが、フューチャーデザインとともに伝わればよいなと思います。
医療費のところは、本当に数字とかデータをしっかり入れていただいてよかったと思います。一方で、まさに熊谷委員が今おっしゃったように、ここのところをメディアがフィーチャーすればフィーチャーするほど、どうしても、かなり言っても、財務省がこう言いました、医師会はこう言っています、財務省はこう言っていますという対立構図で語られがちになるというのをなかなか払拭することができません。ここのところは説明の仕方なのですが、国民をこちら側というか、そうするとまた対立になってしまいますが、その2者の個別の役割分担での対立ではなくて、国民全体にとって医療費がどういうものになっているのか、医療費の扱いを間違えれば財政そのものが破綻するということと、今一番大事なのは、次の世代の子育て支援でしょうというようなことをしっかりとメッセージとして言いながら説明していただくと良いかなというふうに思います。
今後、発信や会見での御説明もどうぞよろしくお願いします。
〔増田分科会長代理〕それでは、國部委員、どうぞお願いします。
〔國部委員〕建議では、令和6年度予算編成に向けた方針が的確に取りまとめられており、御尽力いただきました起草委員の先生方に感謝を申し上げたいと思います。
この建議の内容を生かすためには、予算を執行する各省庁のアクションが必要になってきます。建議にあるとおり、2025年度のPB黒字化という財政健全化目標の達成に向けた道筋を示し、経済・財政運営に対する信認を確保するような予算を編成すべく、今後の折衝に当たっていただきたいと思います。
この秋の議論は、令和6年度の予算編成に向けたものということもあって、歳出分野ごとの個別の政策に焦点が当たっていました。個別の議論ももちろん重要ですが、少子高齢化や安全保障環境の緊迫化、さらには、今後想定される金利上昇など、経済・社会を取り巻く環境が大きく変化しつつある中、我が国の財政をどのように運営していくべきかという視点での議論が重要となってくると思います。
したがって、来年度は、財政健全化に向けて、秋の財審でも何人かの委員がおっしゃっておられたとおり、野放図な予算策定を許さない仕組みや、独立財政機関の設置、あるいは中長期的な財政計画の立案等、より大きな枠組みについて議論をしていくべきと考えます。
私からは以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、平野委員、どうぞお願いします。
〔平野委員〕起草委員の皆様、事務局の皆様、本当に御苦労さまでした。すばらしく充実した建議ができたと思います。
最初の総論から、潮目が変わったということを改めて強調していただいています。外的な要因の変化は明らかですが、日本に関して言うと、これから先、有効な政策を打てなければ、逆戻りするというリスクがあると思います。その意味では、より建設的な政策運営が必要だと思います。例えば2ページ目や9ページ目で現状維持志向の否定を明確化していただきましたし、新陳代謝の必要性についても触れていただきました。また、9ページには、有用であっても効果が少ないものはスクラップ・アンド・ビルドするという、変革への意思を明確にしていただいたところに、今回の建議の大きな特徴があると思っています。
もう一つの特徴は、将来世代の視点が入ったことです。脚注ではありますが以前から言われていたフューチャーデザインにも言及いただいているし、社会保障が目指す方向性についても、世代間の公平は重要であるという視点も取り入れていただいて、日本社会の将来に向けてデザインしていくということを打ち出していただいたこともよかったと思います。
今回の建議の本丸である医療・介護では、子育て財源の捻出を同時に進めなければいけない中で、現役世代の保険料負担を抑制すべきということを明確化したことは良いと思います。皆様もおっしゃっていますが、これからの日本を担う世代の将来に対する不安を払拭していくのが社会保障でもあります。基本的に重要となるのは、子育てとも言われましたが、現役世代の所得を増やすことですので、そこに保険料の負担抑制をリンクさせたのは極めて的を射た議論であると思います。
19ページの12行目から14行目にかけて、雇用者報酬の伸びの範囲内に医療・介護の給付の伸びを収めるとありますが、これは言ってみるとマクロスライドの一つの発想であると思います。この場ではマクロスライドを入れられないかという議論が随分ありましたが、今回、言葉の使い方はともかく、今後に向けたフレームワークを一つ示したことは、非常に大きかったと思います。
52ページから60ページでは、改革工程の取りまとめに向けた課題の設定を的確にやっていただきました。残念ながら、今回、全部は議論し切れなかったのですが、課題出しということで、改革工程表の中にしっかり盛り込まれることを期待しています。
その上で、若干気になっている点を二つ申し上げます。
一つは、熊谷さんも御意見されておりましたが、5.5%という数字を決め打ちしたことです。それ自体は大変に勇敢な行為であり、大変高く評価します。収益が構造的に改善していることを、過去の経費と収入の伸びに加えて、将来の医療の高密度化、すなわち高齢化に伴った医療費の増加が見込まれるため、収入が増えるということをエビデンスで示しています。既に医師会は反論していますが、財務局まで動員して機動的大調査をしたので、腰砕けにならないように是非頑張っていただく必要があります。
もう一つは、医療機関は民間企業とは違うということです。今回、医療機関の中での所得の再配分にまで言及しているところは本当に鋭く、院長先生の懐は潤っていて、医療従事者は苦しんでいるという状態に目を向けたことはとても良いと思います。民間企業であれば、企業経営の問題になるのでここまで踏み込まないと思いますが、医療は、民間企業と異なり、国民的かつ国家が関与する制度であり、多額の公費も投入されていますので、運営についても民間企業と異なるということを明示して良いと思います。
ただ、その議論を仮にするのであれば、22ページの19行目や27ページの14行目、15行目に出てくる、民間企業でも内部留保を活用した賃上げをやっているという表現は相当違和感があります。もちろんそうしたものもありますが、これは一般的ではありません。基本的には賃上げは、収益の改善や、生産性の向上などに伴う企業の成長を共に分かち合うものです。ここは少し御説明にはお気をつけになられたほうが良いと思います。前回指摘できなくて恐縮ですが、そこは、別に民間企業が賃上げをしていなくても医療機関がやればよいという話なので、民間企業を引き合いに出す必要はないと思いました。
いずれにいたしましても、大変すばらしい画期的な建議ができたと思っております。ありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕それでは、小林委員お願いします。
〔小林委員〕すばらしい建議をまとめていただきまして、どうも皆様ありがとうございました。
私はもう手短に2点言いたいと思います。
一つは、3ページのところで書いていただいている将来世代の視点を入れていただいたということ。財審議会あるいは財務省の方々は、当然そのためにやっているのであるという、書かなくても分かっているようなことであるというような思いもあるのではないかと思うのですが、やはりこうしたことは書かないと、世の中になかなか伝わらないということであると思いますので、こうやってあえてしっかり書き込むということはすごく意味のあることであるというふうに思います。
特に、将来世代の視点の中に恐らく二つ分けられて、現時点のスナップショットにおける若い世代と高齢の世代も含めた全世代という意味の、今生きている若い人たちを将来世代と呼ぶ場合と、それから、まだ生まれてきていない世代に向けて持続的な社会をつくっていこうという、そうした時間軸のある将来世代の見方という、何か恐らく2通り入り交じっているような気がするのです、どちらも大事であると思いますが。どっちかというと忘れられがちなのは、まだ生まれてきていない将来世代のことも我々は考えている、そこに持続的な社会を残していくのであるという、こうした志を持っているということが重要というか、なかなかふだんは言われないというか、忘れられているということではないかと思いますので、そうしたことを今後も強調して議論できれば良いのではないかなというふうに思います。
それからもう1点は、機動的調査など、先ほどからいろいろ御議論あるところですが、その機動的調査の内容について強調されたのはすごく良いことであると思います。でも、もう既に反論というか、違った意見は出てきていて、やはり診療所などの経営状況がよかったのはコロナの特例があったからであるという、そうした一時的な要因でよくなっていたのであって、コロナの特例がなくなるこれからについて、やはり診療報酬の引上げが必要になるのであるという議論がもう既に出ていると思いますが、そこにやはりどう応えていくのかということが重要であると思います。そうした意味では、機動的調査をもう少しコロナから平時に戻った後も続けるのか、あるいはコロナの前のデータをもう一回持ち出して分析をして、その議論をするのかというようなことも考える必要があるかなというように思います。機動的調査は継続的にやるものではないかもしれませんが、少し時間の幅を持った、過去から、あるいは将来のデータも使いながら分析をしていく必要があるのかなと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、秋池委員、どうぞお願いします。
〔秋池委員〕今、小林先生がおっしゃったところでもあるのですが、何のための成長であり、何のための財政の健全化なのかということは、繰り返し国民の多くに伝わっていくとよいと思っております。
その他に、三つございます。まず、診療報酬改定についての機動的調査は、非常に大きなお取組でした。責任のある数字を出すということはとても難しいことで、そんなに簡単にできることではないと思うのですが、今回これが示されたことによって、働き方や配分のありようというものが見えてきたということもありますし、また、見えて来たことへの反論もあるのかもしれないのですが、重要な論点についてはこのようなことが、しかし、今回のような大変な御苦労もあったと拝察しますが、良い形で継続なり、必要なタイミングで発信していけるとよろしいと思いました。
それから、社会資本整備について、コンパクトシティーという言葉がありますが、こちらの言葉は、人によって少し感じるところが違ったりもいたします。また、この財審の中でも議論がありましたが、人がいなくなると不動産、土地の価格が落ちて、またそうすると、そこに何かを造りたくなるというようなことも起こります。必要な規制緩和は大切なことではありますが、まちのグランドデザイン、地域のグランドデザインに関してはルールをつくって、継続していくようなことも改めて確認できるとよろしいかと思いました。
それから最後に、文化面でクラウドファンディングのことも出てきているのですが、典型的なランニングコストをクラウドファンディングに任せるというのは不安定ですので、各独立行政法人や、それぞれの機関の中で、どういう類いの収入はどういう対象に合っているのかということも含めて、この先もまた議論が深められるとよろしいかと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、木村委員お願いします。
〔木村委員〕ありがとうございます。大変立派な建議をまとめていただいて、起草委員の先生方、財務省の事務局の方々、本当にありがとうございました。
私のほうから1点だけ申し上げたいのですが、この建議を今後来年度予算編成にどう生かしていくかということが重要なのですが、とりわけ実現していただきたいのは、21ページに書かれていた診療報酬の改定の部分、診療所の報酬の引下げが国民負担の抑制、保険料の軽減につながるという部分ですね。つまり、診療報酬の改定は、単に財政を切り詰めるということだけではなくて、働く人の可処分所得を増やす、最終的には賃金と物価の好循環につながっていくという、そうした政策になり得るということをきちんとアピールしていただければと思います。
先ほど熊谷委員から、マスコミは財務省対日医という対立の構図で書いているというふうに御指摘がありまして、それは真摯に受け止めなければならないのですが、必ずしもそれだけの単純な図式で捉えているわけではなくて、最終的に、私も新聞社に身を置く立場としても、国民にとって何が重要か、国民全体の立場を考えてどういう政策を取るべきかということを紙面でも展開しているわけで、それは財務省の皆様も同じであると思います。国全体のこと、国民全体のことを考えてこの政策を打ち出しているのであるということは私も重々承知しておりますので、その立場を今後予算編成の際にきちんとアピールしていただきたいというのと、また、その観点からいえば、総理が打ち出された所得税の減税は、必ずしも国民に十分理解されて浸透しているとは言い難い状況にあるのですが、この診療報酬の改定に伴う保険料負担の軽減というのは、恒久的な国民の負担軽減につながるので、そうした意味でも効果は大きいと思います。その観点からも、是非実現に向けて御努力いただきたいということをお願いしておきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、小黒委員、どうぞお願いします。
〔小黒委員〕起草委員の皆様、それから事務局の皆様、本当にお疲れ様でした。時宜に見合った建議ができたと改めて読み、実感しました。
今回の建議は、新型コロナが5類に移行し、経済社会が正常化したなか、最初の予算編成に関わるものであると思います。足もとでは世界情勢の変化や国際秩序の変容により、金利が正常化、インフレも顕在化し始めております。そうした意味で、歴史的な一つの分岐点になる建議ではないかと思います。
やや踏み込みますが、金利の上昇、それから物価、それから賃金の上昇というのは、まさに経済に新陳代謝を生み出す基本的なメカニズムもあるというふうに思います。そうした意味で、財政にも新陳代謝が必要であるということであると思います。防衛予算や少子化対策予算などの懸案もございますが、EBPMなどを通じた個別施策の有効性を高め、政策の優先順位づけとスクラップ・ビルド、こうした資源配分の全体最適化を図るべきということはまず当然として、是非医療などの社会保障予算などにつきましても、財政の持続可能性とイノベーションの両立にも取り組んでいただきたいというふうに思います。
先ほど平野委員からマクロ経済スライドの話がございましたが、御指摘のとおり、今求められているのは、インフレも顕在化するなか、各ステークホルダーの利害調整も含め、成長の促進を促しながら、医療などの資源配分を最適化するということであると思います。インフレを活用しながら、事前の財政規律として歳出の最適な管理を行うということも重要であると思います。
財政審では、インフレ時や人口減少下における中長期的な予算編成戦略の哲学、これは小林委員からも前回少し話があったと思いますが、こうしたものについても、是非今後議論を進めていただければと思います。
〔増田分科会長代理〕委員の皆様、ありがとうございました。それでは、何か起草委員のほうからございますか。よろしいですか。それではお二人か。では簡潔に、土居委員からお願いします。
〔土居委員〕土居でございます。皆様、この建議につきまして御賛同いただきまして誠にありがとうございました。別に私は起草委員を代表するわけではないのですが、一委員として申し上げたいと思います。
特にこの令和6年度は、2025年度、令和7年度の財政健全化目標の前の年ということになりますので、やはりそこに財政健全化の道筋をつけていくという意味で大事な年度であるということは、この建議でも書かせていただいたところであると思います。
それから、来年の春というのは少し気が早いかもしれませんが、骨太方針2021では、令和6年度までの歳出の目安については書かれているわけですが、それ以降については何も決めていないということですので、まさに来年の春は、その2025年度以降の財政運営についてどういう方向を示していくべきかという意味で、非常に議論の時期としては重要な時期になるというふうに思いますので、私も皆様とともに、この国をよくしていくような形で、来年の春の財審の議論に臨みたいと思います。
私からは以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、河村委員どうぞ。
〔河村委員〕委員の皆様、建議について大変建設的な御意見をたくさん頂戴いたしましてありがとうございました。おかげさまでまとめることができたのではないかと思います。
私からは一つ、この財政制度等審議会の立ち位置とか立場について、少し個人的な意見を言わせていただければと思います。財政健全化をこの国でどうやって進めていくかというときに、やはり仕組み的なものを考えていかなくてはいけないのではないかという御意見を、もう以前からというか、本日も出ていましたが、いただいているというところであると思います。きちんと中期財政のフレームをつくって、複数年度予算で縛りをかけていくとか、独立財政機関をつくるべきであるとか、そうしたことは本当におっしゃるとおりであると思います。
ただ、この財政制度等審議会、私たちの立場を考えるとどうかなというところも少しありまして、考えるところが少しありまして、申し上げますと、その独立財政機関というのは、欧州債務危機のやはり苦い経験があって、すごく、特にヨーロッパの国とかで広がったものであると思いますが、その危機の真っただ中のときぐらいだったと思うのですが、私がいろいろ調べていたときに、たしか国際機関の資料だったと思うのですが、各国の独立財政機関の一覧表がばーっと出ていて、Japanのところに何て書いてあったかというと、Fiscal Councilと書いてありました。そうなのです、だからここなのですね、財審のことなのです。でも、あれっと私も少し思いましたが、だから当時はまだちゃんといろいろ情報が伝わっていなかったというか、政府の中にある、財務省のところにある審議会でということで、少し独立ではないよねということで、しばらくしてから日本の欄にそうした記述が上ることはなくなりましたよね。ですが、やはり少しこれは一定の示唆はあるのかなというふうには思います。
この国を見渡したときに、確かに独立財政機関もないし、ほかの国の状況とか見ると、まあ確かにやはりそうした検討もしていかなければいけないし、あったほうがよいと思うのですが、では、今ない中で私たちに何ができるかと。独立財政機関をつくるとしても、やはり国会の権能を少し制限するような話にもなりかねないし、合意形成に恐らく時間がかかりますよね。2年とか3年かかってしまうかもしれないが、それをつくってからというので本当にこの国は間に合うのかなというような心配も個人的には持っています。
ですから、それを考えると、この財審の立場というのは、やはり見渡したときに、関係する業界であるとか、そこを所管する省庁とは違う立場で意見が言えて、そして国の財政全体を見渡した立場で意見とかを打ち出すことができる立場ということで、一定の役割を果たせるところでもあるのではないかなという気もしますので、私たちとしては、まずやはりこれだけ厳しい状況ですので、その自分たちの立場で何ができるかで、もっと分かりやすく伝えていくことが必要なのではないかなというふうに思っているのですが、そこをまずやはり御一緒に努力させていただくことができればなというふうに少し個人的には思っております。
最近の世論調査をいろいろ見て、メディアさんでいろいろなさっているのを見て少しびっくりすることがあって、どこか1社だけということではなくて……。
〔増田分科会長代理〕すみません、河村さん、手短にお願いします。まだ政務の方3人にも御発言いただきますので。
〔河村委員〕はい、すみません。国民の間に財政不安という意見が大分出るようになりましたね。20数%とかと、やはり国民のほうも感じていますので、そうしたところにもっと分かりやすく伝えられるように、でも、今回少し工夫できるところは工夫したつもりなのですが、また春以降に向けて工夫できるところがあったら、もっと分かりやすく、伝わりやすくということを考えられればと思っております。
すみません、長くなって。以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、今回の秋の財審には、矢倉副大臣、瀬戸政務官、佐藤政務官には、大半の回、ほとんどの回に御参加をいただいておりますので、それぞれコメントを頂戴できればと思います。
それではまず、矢倉副大臣から、どうぞお願いします。
〔矢倉副大臣〕財務副大臣の矢倉克夫でございます。改めて、委員の先生方には8回も熱心な御議論をいただきました。また、起草委員の先生には、今、過去最長というお話もありましたが、この建議(案)を取りまとめいただきましたことを心から御礼、感謝申し上げます。本当にありがとうございます。
委員会で欠席せざるを得なかった1回以外は皆勤をさせていただきました。今回1回目の、例えば吉川先生がおっしゃったワイズアクションの話も含めて、政治家が持つべき役割であったり、責任感であったり、覚悟というものを教えていただいた、そうした思いでございます。
少し抽象的なことを申し上げますと、私自身は、全ての人の要望を100%満たすことができない、この深い悩みをどれだけ深く持てるかというのが政治に温かさを持たせていると思っています。一方で、限られた資源の中でどうやって決めていくかというのが政治家の役割でもあり、省庁の中でこの覚悟と悩みを共有しているのは財務省であると思っております。
財政というのは、この覚悟と悩みが結実する場でもありますし、そうした中にあって、先生方の御意見というのは、あるべき国家像であったり、また、財政の持続可能性を守る責任感とはどういったものかということを教えていただくもので、非常に今後の参考になるところでありました。御意見を踏まえまして、今後の財政の在り方について考える土台とさせていただきたいと思っております。
改めて御議論に感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。それでは、瀬戸政務官お願いします。
〔瀬戸大臣政務官〕大部の建議のおまとめ、本当にありがとうございました。お話をお伺いしていて、潮目になっているとか、歴史の転換点なのであるという、そうしたお話の中で、皆様の危機感というのが本当に感じられましたし、本当に私も、今はこれは節目なのだなということを改めて実感したところでもあります。
私の息子はまだ小学生なのですが、突然戦争が始まったりとか、パンデミックが起きたりとか、また、生成AIが出てきたりとか、本当に驚くようなことが多い数年であるというふうに思います。今後、将来どうなるのだろうと。もちろん社会保障費の問題もそうです。今後どうなるのだろうということを感じさせることが多い世の中です。
まさに今年の予算編成は非常に大切な編成になるのであるというふうに思っています。財政を平時に戻しつつも、今後にメリハリのついた予算編成をしていく、その必要があるのであるというふうに思っております。これから各省庁と調整しながら予算編成を進めてまいりたいと思います。どうもありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。それでは、佐藤政務官お願いします。
〔佐藤大臣政務官〕佐藤でございます。建議の取りまとめ、委員の先生方におかれましては熱心な御議論をいただきまして、心から感謝を申し上げたいと思います。
1点目、大変ありがたいというふうに思ったのは、現役世代、それから将来世代のための財政健全化であるということを明確にしていただいたということであり、これは非常に意義のあることかなというふうに思っています。財政健全化というのは、政治の世界では非常に人気がないわけですが、どうしても財務省は財政健全化のために財政健全化しているという、ドグマティックにやっているのではないかという、そうした見方をされているわけですが、今回、それが何のためなのかということを非常に分かりやすくしていただいたのかなというふうに思います。
それから、これはなかなか国民の皆様に分かりづらいのですが、財政健全化をしていくと、国民の皆様は貧しくなるのではないかという、何かそんなイメージを持ちがちですが、先ほどの委員の先生のお話にもありましたが、財政を健全化して保険料負担を軽減することが、まさに現役世代の所得を増やすことになる、皆様を豊かにすることになるのですよということ、意外とこうしたストーリーがなかなか伝わっていないのかなというふうに思いますので、実はこれは皆様を豊かにする、現役世代を豊かにする健全化であるということを是非伝えていただきたいなというふうに思います。
この財審は、正直、私も元役人ですが、役人の世界でもほとんど知られていませんし、国民の皆様にもほとんど知られておりません。ですから、やはり積極的なPRで、こうしたすばらしい議論を、財務省とは少し離れた立場から客観的に皆様がされてきたということを是非世の中に積極的に発信していただけると、これは本当に意義のあることかなというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
本当に改めてですが、熱心な御議論ありがとうございました。感謝を申し上げます。
〔増田分科会長代理〕どうもありがとうございました。それでは最後に、十倉会長から御挨拶を頂戴したいと思います。それでは、会長よろしくお願いします。
〔十倉分科会長〕ありがとうございます。委員の皆様におかれましては、これまで熱心に御議論いただき、誠にありがとうございました。また、本建議の取りまとめに御尽力いただきました起草委員の先生方にも厚く御礼申し上げます。
建議におきましては、我が国でも物価高や金利上昇の常態化というこれまでとは異なる局面に入っていく可能性があり、利払費急増のリスクも念頭に置きながら責任ある財政運営を行っていくことが一層重要であること、物価・金利動向など我が国の経済の状況に鑑みれば、今がまさに財政健全化に軸足を移すべき時であり、この機会を逃してはならないことなどの内容を盛り込みました。また、社会保障をはじめとする各分野におきましても、密度の濃い議論を行い、令和6年度予算編成に向けた歳出改革の方向性を示すことができました。
財務省におかれましては、本建議を踏まえ、適切に令和6年度予算に反映していただくようお願い申し上げます。
それでは皆様、誠にありがとうございました。私からは以上でございます。
〔増田分科会長代理〕どうもありがとうございました。
最後に、私から年明け以降の分科会の進め方についてお伝えしたいことがございます。海外の財政事情調査についてなのですが、令和元年度までは2年に一度、こうした海外の財政事情や財政制度について、分科会の委員に現地調査を行っていただいておりました。残念ながら、新型コロナ感染症の流行により、海外調査を見合わせておりましたが、渡航制限の緩和等を踏まえて、年明けに海外調査を4年ぶりに実施したいと考えております。
そのため、来年の1月から2月を目途に、海外調査を希望される委員若干名を米国及び欧州に派遣して、海外調査を実施していただいた上で、来年春の分科会において、その調査結果を御報告いただくこととしたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、以上で本日の議題は終了とさせていただきます。
この後、十倉会長や起草委員から鈴木大臣に建議をお渡しして、その後、私から記者会見を行う運びとなっております。
また、お手元に配付をしております資料でございますが、右上に「会議後要回収」と書いてございますとおり、回収をさせていただきますので、お持ち帰りにならず、机の上にお残しいただきますようにお願い申し上げます。
建議本体につきましては、事務局におきまして印刷・製本の上、後日速やかに皆様に送付する予定でございます。
以上で秋の財審については全ての審議を終了いたしました。これにて閉会をいたしたいと思います。多大なる御協力をいただきまして、誠にありがとうございました。
午前10時30分閉会