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財政制度分科会(令和5年10月27日開催)議事録

財政制度等審議会財政制度分科会
議事録

令和5年10月27日
財政制度等審議会


財政制度等審議会財政制度分科会議事次第

令和5年10月27日(金)9:00~11:00
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)

    • 1.開会

    • 2.議題

     防衛

     外交・デジタル・地方創生

     国家公務員等の旅費制度の改正

   3.閉会

出席者

分科会長代理

増田寛也

矢倉副大臣

瀬戸大臣政務官

佐藤大臣政務官

寺岡次長

前田次長

吉野次長

大沢総務課長

木村主計企画官

三原司計課長

山本給与共済課長

横山調査課長

有利主計官

小野主計官

佐久間主計官

小澤主計官

寺﨑主計官

端本主計官

松本主計官

漆畑主計官

尾﨑主計官

後藤主計官

小野寺主計監査官

石田予算執行企画室長

西尾主計企画官

小田切公会計室長

秋池玲子

大槻奈那

河村小百合

熊谷亮丸

小林慶一郎

佐藤主光

武田洋子

土居丈朗

宮島香澄

安永竜夫

芳野友子

臨時委

遠藤典子

小黒一正

木村

國部

末澤豪謙

滝澤美帆

田中里沙

中空麻奈

平野信行

広瀬道明

福田慎一

神子田章

横田響子

吉川


午前9時00分開会

増田分科会長代理時間がまいりましたので、会議を始めますが、初めに、本日もまたカメラが入りますので、そのままお待ちいただければと思います。

それでは、お願いします。

(報道カメラ入室)

増田分科会長代理ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。皆様には御多用中のところ御出席いただきまして、ありがとうございます。本日は冒頭から、矢倉副大臣、瀬戸大臣政務官にお越しいただいております。また、佐藤大臣政務官には、オンラインで御参加をいただいております。どうもありがとうございます。

本日の議題は、防衛、外交・デジタル・地方創生、国家公務員等の旅費制度の改正、この大きな三つの固まりで進めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、そろそろ報道の皆様方、御退室のほう、お願いいたします。

(報道カメラ退室)

増田分科会長代理それでは、事務局説明に入ります。

本日は、大きな三つのテーマを続けて、初めに説明させていただきます。

まず後藤主計官から、防衛について説明をお願いします。

後藤主計官ありがとうございます。それでは、令和6年度予算編成における防衛関係費の課題について御説明させていただきます。昨年末にいわゆる3文書、すなわち国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画が策定されました。

まず、最上位の政策文書となる国家安全保障戦略については、戦後、最も厳しく、かつ複雑になっている安全保障環境について、外交、防衛のみならず、経済安全保障、技術、サイバー、情報等を含む幅広い分野について、横断的な取組を行う戦略が示されているものです。特に留意すべきは、有事における国際的な市場の信認、財政余力の重要性について言及されており、経済・金融・財政の強化に取り組むこととされています。

次に、国家防衛戦略は、安全保障に関わる幅広い分野のうち、防衛分野での戦略を定めたものになります。資料に掲げた7つの能力を中心に、自衛隊による防衛力の抜本的な強化を図るものとしたものです。この国家防衛戦略を、ファイナンスを含めてどのように具現化していくのかを定めたものが防衛力整備計画になります。計画では、令和9年度までの5年間に必要となる防衛力強化のための主要事業の概要が掲げられ、自衛隊の体制や主要装備品の数量を含んでおります。そして、計画実施のための防衛力整備の水準に係る金額を「43兆円程度」と定めた上で、その財源の確保についても所要の措置を講ずるとされております。

防衛力整備計画に掲げられた自衛隊の能力等に関する主要事業が以下のリストのとおりです。各年度の予算編成では、防衛力整備計画を踏まえて要求された個別の事業を精査していくことになります。防衛力整備計画自体にも記載があるとおり、各事業の進捗状況、実効性、実現可能性を精査し、毎年度、事業の見直しを柔軟に行っていく必要があります。

こちらの資料は防衛関係費の推移になります。防衛関係費については、これまでも複数年度の中期防衛力整備計画に基づいて、毎年度、予算編成を行っております。令和5年度は防衛力整備計画に基づき、防衛関係費の増加を行いました。結果として、令和5年度当初予算における一般歳出のうち、防衛関係費は、公共事業を抜いて、社会保障に次ぐ経費となっております。

なお、今後の見通しとして、防衛力整備計画では、所要の財源を確保した上で、令和9年度予算では8.9兆円程度とすることとされております。

こちらでは、予算編成における防衛力整備計画の要点を説明させていただきます。現行の防衛力整備計画では、これまで中期防衛力整備計画と異なり、防衛力整備の水準等の金額を名目値で記載しております。これまでの中期防衛力整備計画では、策定年次の価格が記載されておりました。今回はそのような価格が記載されていないため、いわゆる物価等の影響を飲み込んだ上で、防衛力整備の水準について、名目で「43兆円程度」という枠内に収めていく必要があります。

また、これまでの中期防衛力整備計画では、財源について言及されることがありませんでしたが、現行の防衛力整備計画では、同計画の実施等に向けた財源について所要の措置を講ずるということを記載しております。

次のページの防衛予算の編成に向けた基本的な考え方の前に、まずは防衛予算の構造、あるいは特徴について説明させていただきます。防衛予算は、人件・糧食費と歳出化経費の割合が大きいという性質があり、もともと硬直的な予算構造となっております。特に歳出化経費は、過年度の国庫債務負担行為により拘束されるものです。令和6年度要求において歳出化経費として約3兆6,000億円の要求がなされておりますが、これは過去から令和5年度までに契約された国庫債務負担行為により歳出として支払う必要があるものです。そして、国庫債務負担行為により後年度負担が増加してしまうと、安全保障環境の変化に柔軟に対応した防衛力整備、または、経済・財政の状況等、毎年度予算に反映する余地が狭まるおそれがあります。こうしたことから、防衛力整備計画においても、各年度において、後年度負担についても適正に管理するとされております。

現行の防衛力整備計画に基づく防衛関係費の予算編成の基本的な考え方としては、まず必要な財源を確保しつつ、「43兆円程度」と定められた金額を最大限活用して、防衛力整備を行うとともに、安全保障環境の変化に柔軟に対応できるよう、防衛予算の構造や特徴を踏まえ、国庫債務負担行為における歳出化のタイミングも考慮しながら予算編成を行っていく必要があります。

その上で、令和6年度予算編成における経済等の環境を見ると、内外の物価上昇や円安によって装備品等の単価が上昇し、防衛装備品の調達に大きな影響を与えるというのが課題となっております。浜田前防衛大臣の国会答弁にもあるように、名目で定められた予算等の金額を最大限活用して、必要十分な量・質の装備品等の防衛力を確保するためには、何より価格低減等のコスト削減に努める必要があります。実際、多くの装備品で価格の上昇が見られております。

しかしながら、装備品の価格上昇をよく見ると、必ずしも物価と為替だけでは説明できない上昇もあり、予算編成でよく精査していく必要があります。価格が大幅に上昇している例として、大型輸送ヘリのチヌークがあります。直近で調達した令和2年度時点での単価76億円に対し、令和6年度要求では、陸上自衛隊機185億円、航空自衛隊機216億円となっております。そこで、陸上自衛隊機の価格上昇プラス109億円の内訳を見てみると、輸入部品等の価格上昇、為替による増加が約30億円、ボーイング等の仕様変更による増加が約40億円、原価計算方式における原価の上昇及び制度変更によるGCIP部分の増加が約20億円あります。また、このほか、ライセンス生産に伴う初度費の増加が約353億円となっております。これらを見ると、この価格の上昇は、いわゆる物価や為替の影響だけではなく、調達制度等にも起因していることがよく分かります。すなわち、原価計算方式や初度費制度、そして、チヌークのような海外装備品の場合には、ライセンス生産といった取得方法を理由とする価格上昇が見られております。

装備品の調達における原価計算方式は、その仕組み上、物価上昇時には、部品や部材等をはじめ、製造原価が上昇するため、GCIP率を乗じることにより、装備品の価格上昇が増幅されることになります。また、海外装備品のライセンス生産や輸入部品を用いて国内生産を行う装備品については、海外の物価上昇や円安による価格の上昇の影響に加えて、ライセンス元の利益が含まれた製造原価に対し、GCIP率を乗じていくことから増幅効果は大きくなると言えます。また、受注企業にとっては、製造原価が上昇するほどGCIPを通じた利益が増加することから、自発的に製造原価を低下させるインセンティブを低下させているとも言えます。このような原価計算方式等による価格上昇バイアスについて、受注企業の原価低減へのインセンティブが低い以上、まずは防衛装備庁が主体となって、原価等の引下げを図る必要がありますが、一方で、プライム企業と防衛装備庁の間には情報の非対称性があり、結果として、防衛装備庁による原価等の適正性の検証は困難になっている実態があります。

こうした状況に対して、防衛装備庁の任務でもある適正な調達価格の独自算定を実現するべく、まずは原価監査の徹底、そして、本年12月から導入されるコストデータバンクの積極的活用により、原価の適正性の確保、そして、原価の低減を図っていく必要があると考えております。

次に、チヌークに象徴されるように、海外から調達する防衛装備品について、取得方法による価格上昇の影響が大きくなります。海外装備品の取得を簡単に分類すれば、FMSや一般輸入に対してライセンス生産があります。このライセンス生産は、治具等の製造ラインの経費を初度費として負担した上で、ライセンスフィーを支払い、もともとライセンス元の利益等が含まれた部品等の製造原価にGCIPといった付加的な費用を上乗せすることになるため、FMSや一般輸入に比べて割高な取得方法となっております。ライセンス生産を採用するメリットには、生産技術基盤や維持整備基盤を保持することが可能と言われておりますが、あえて割高な取得方法であるライセンス生産を採用する場合には、その費用対効果も含めた相応の理由が求められると考えております。

装備品の調達や取得に起因する価格上昇バイアスについてこれまで説明しましたが、これに加え、量産段階や運用段階における装備品のコストの増加もあります。もともと防衛装備庁では、装備品の構想から廃棄まで、ライフサイクルコストに基づき、一定の基準以上に増加した場合には、中止も含めて見直しを行うプロジェクト管理を行っております。

まず、代表的な装備品のライフサイクルコストを見ると、量産時の単価、運用時の維持経費が上昇している装備品が多く、プロジェクト管理によるライフサイクルコストの削減の成果は十分でないと言えます。これは装備品の開発・選定時において、量産、運用も含めたライフサイクルコストの算出が困難であったり、量産効果を発揮できない装備品の仕様であったり、あるいは想定外の故障の多発による整備所要の増加といった要因があります。多くの装備品のライフサイクルコストが増加する一方で、防衛省、自衛隊では、実はこれまで中止になったプロジェクトの事例はありません。米国においては、戦闘機や駆逐艦も含めプロジェクト中止があるのと比較すると、非常に対照的な姿になっております。

プロジェクト管理においてスケールメリットが働くはずの量産段階や、本来、ライフサイクルコストが安定的に推移する運用段階で、ライフサイクルコストが増大してしまうのは、装備品の構想、研究開発、設計・仕様決定の段階では、量産段階、運用段階でのライフサイクルコストの算出が困難である、あるいは、ライフサイクルコストを想定したような開発、設計が実効的に行われないという実態があります。したがって、開発、設計・仕様決定の段階から、コストデータバンクの活用等により、量産段階、運用段階を先取りする一貫したプロジェクト管理の体制の構築が必要と考えております。

また、日本では、ライフサイクルコストの上昇によりプロジェクトを中止した例はない理由として、ライフサイクルコストの算定に当たり、調達数の変更、機能変更、物価・為替による価格上昇は補正されてしまう、つまり、ライフサイクルコストの基礎となるベースライン自体を変更することで、本来であれば基準に抵触するようなコスト上昇要因とはみなしていないことです。

次に、プロジェクトが仮に中止の基準に該当した場合でも、米国が議会の承認等、第三者のプロセスが必要になるのに比べて、継続・中止の検討は防衛省内で完結されてしまい、ガバナンス上の問題があるのではないかと考えております。これらについて、実効性あるプロジェクト管理を確立することが必要であり、まずはライフサイクルコストとして許容できるコストとは何であるのかを厳格に判断し、仮に見直し基準に抵触した場合には、見直しの判断について、例えば、財政当局への協議を行うなど、一定の客観性を設ける必要があると思っております。

ライフサイクルコストの観点から将来コストが増加される装備品の例として、令和6年度要求ではイージス・システム搭載艦の例があります。コスト増加が懸念される根本的な理由は、米国のイージス艦がSPY-6と呼ばれるレーダーを使って建造していく中で、防衛省、海上自衛隊では、陸上用のイージス・アショアとして調達したレーダーSPY-7を洋上用に転換した上で、世界で初めてイージス艦に搭載することになります。これまで海上自衛隊のイージス艦は、米国のイージス・システム、レーダーSPY-1を導入することで、後発の利とも言うべき様々なメリット、例えば、システム等の開発リスクの低下、価格の妥当性の確保、スケールメリットを活かした価格の低下などがありますが、それらを陰に陽に受けてきたメリットを減少させることになります。

こうした現状の中、ライフサイクルコストの観点からは、船体の建造段階に至っても依然として運用や維持にかかるコストは算出されておりません。参考価格や比較できる価格もない中で、開発から廃棄までというライフサイクルコストを通じたプロジェクト管理はいまだ確立されておりません。したがって、防衛省においては、実効性あるプロジェクト管理体制を早期に構築し、適切なライフサイクルコストを算出することを通じて、イージス・システム搭載艦のコストの分析、評価を行い、必要な場合には見直しを行っていく必要があります。

最後に、繰り返しになりますが、国家防衛戦略と防衛力整備計画において与えられた自衛隊のミッションを達成するためには、必要な装備の物量を確保、維持していく必要がありますが、他方で、予算等の総額が名目で定められている以上、これまで以上に調達改革やプロジェクト管理を通じて、価格低減に努める必要があります。ただし、調達改革等をぎりぎりと行って、価格低減を行ってもなお物価上昇や為替による価格上昇を飲み込むことが困難なこともあります。防衛力整備に影響を与えている現在の物価、為替の状況は、様々な要因がある中でも、一部は現在の経済・金融・財政の状況が反映されているものです。安定的な防衛力整備、有事における財政余力、有事における継戦能力等の観点から、国家安全保障戦略にもあるように、我が国の安全保障の礎である経済・金融・財政の基盤の強化に不断に取り組むことが不可避な場面となっているのではないでしょうか。

以上で説明を終わります。

増田分科会長代理続いて、小野主計官から、外交・デジタル・地方創生の説明をお願いします。

小野主計官よろしくお願いします。

まず外交です。3ページです。防衛力の抜本的強化と並び、外交体制の強化が課題です。このため、足もとの外務省予算は増加傾向です。こうした中、外務省が重点とする分野は三つ、国家安全保障、海外の邦人保護、日本企業の海外展開です。一方で、従来型ODAは見直しが急務です。

次です。背景です。我が国は、安倍政権以来、「自由で開かれたインド太平洋」を掲げ、価値観を共有する国々との連携を図ってきました。

5ページ、ところが、足もとでは、ロシアのウクライナ侵略、パレスチナ武装勢力のイスラエル攻撃など、世界の分断や対立が顕在化し、転換点を迎えています。このため、グローバルサウスと呼ばれる国々との関係強化が重要とされています。安全保障分野の重要性が増し、ODAも機動的、効果的な活用が求められています。

6ページ、本年6月、ODA大綱が改定され、開発協力は、我が国の国益にも貢献することとされ、民間企業などの資金源の拡大や、オファー型協力が盛り込まれたところです。

次です。オファー型ODAは、目標、シナリオ、メニューを相手国に提案し、民間企業なども入れて、開発効果を高める取組です。昨年導入されたOSAは相手国の軍などに提供する無償援助です。同志国に沿岸監視レーダーや警備艇などの供用を開始しています。これらは国際情勢に合った動きと言え、今後の活用が期待されます。

8ページです。海外です。まずイギリスです。新型コロナによる財政悪化を受け、ODA総額を大幅に削減しています。法律事項であるGNI比0.7%から0.5%まで下がっています。足もとはウクライナ難民対応がODAの3分の1を占めていますが、投資を主軸の一つに据え、マルチよりバイの割合を増やそうとしています。

9ページです。ODA大国、スウェーデンです。単年度GNI比1%目標を複数年目標に切り替え、予算を2022年は減額しています。国際機関へのコア拠出も減額しています。

次、アメリカです。支援の現地化を掲げ、国内の仲介機関を介さず、現地国のNGOなどが直接実施する割合を増やし、コスト削減を目指しています。各国ともODAの見直しに取り組んでいます。

10ページです。これ以降はこれまでのODAの検証です。日本のODA対GNI比は、DAC合計を上回っていますが、政府債務残高は世界最悪の水準です。もはや物量ありきのODAは正当化できません。

11ページです。対GNI比0.7%の国際目標です。この目標は、途上国への資金流入の大半がODAであった1970年の国連決議に基づきます。一方、グラフを見ますと、現在、ODAは流入の約1割であり、民間資金が主役です。

12ページです。ODAと経済成長です。アジアや中南米と異なり、緑のアフリカはODAに依存しながら経済成長には結びついていません。右の帯グラフです。アフリカは赤枠の紺色の部分、経済インフラ支援の割合が小さいことが分かります。貧困対策も重要ですが、経済成長に資する支援も必要です。

13ページ、執行上の課題です。左は無償資金です。執行の遅れで、JICAに資金が滞留しています。右は、技術協力であるJICA運営費交付金です。新規予算と繰越額の合計は、赤の折れ線の執行額を大きく超えています。執行能力に応じた資金の有効活用が必要です。

14ページです。民間資金との連携です。左側の事例はカンボジアの病院設立です。官民で支援し、現地の医療向上と日本式医療の展開を両立しています。右側は、地下タンク製造を行う日本企業がベトナムのJICA実証事業を契機に、民間銀行などの支援により現地工場を設立しています。何倍ものインパクトがある民間資金の活用が重要です。

15ページです。機構の見直しです。我が国の在外公館数は増加の一方です。G7では第3位です。在外公館の設置は、開設コストに加え、ランニングコストもかかります。また、総領事館はビザ発給などのニーズが少ないところは費用対効果も考え、選択と集中が必要です。

次がデジタルです。17ページです。デジタル庁は、政府のシステム整備を一元的に管理するとともに、一般会計の各省分も一括計上しています。デジ庁一括計上予算は増加傾向です。緑のデジタル庁システムのみならず、黄色の各府省システムも増加しています。デジ庁は司令塔の役割を果たし、各府省システムも効率化する必要があります。

18ページは参考なので省略します。

19ページです。運用経費削減の取組です。平成25年に、令和3年までの運用経費3割削減が目標とされました。実際は左上の赤枠ですが、単純比較では増加しています。にもかかわらず、実質削減額1,200億円目標達成とされました。これは新たに整備されたシステムなどは削減目標の対象外であるためです。この目標はスライドの下に記載している現在の重点計画にも踏襲されています。デジタル化途上では投資額は増えますが、総額をコントロールする目標も必要です。

20ページです。コスト削減の累計です。①は、統合による削減、②は、システム以外の行政コストの削減です。③は、後年度の運用経費の削減です。効果を定量的に示し、効果の高いものを優先すべきです。このほかに、民間の利便性向上など社会全体の便益もあります。定量的な分析は困難ですが、分かりやすく国民に説明し、民間や自治体との費用分担についても議論が必要です。

21ページです。自治体は2025年までにガバメントクラウドを活用した標準化を目指し、経費3割削減が目標とされています。しかしながら、ガバクラへの移行は努力義務であり、多くの自治体が参加しないと、ボリュームディスカウントが効かないジレンマに陥っています。先行事業の検証では、自治体によっては、単純移行によるコスト削減効果が見られないケースもありました。このため、既存システムの効率化による追加削減効果や、セキュリティ面のメリットなどを示し、移行のインセンティブをつくり出すことが必要です。

22ページです。サイバーセキュリティです。近年、重要インフラの機能停止など、サイバー攻撃の脅威が高まっています。このため、国家安全保障戦略に能動的サイバー防御、サイバーセキュリティ強化、政府内の新たな組織の設置などが盛り込まれました。

23ページです。今後、NISCを改組し、サイバー政策を一元的に総合調整する予定です。サイバーセキュリティ関係予算は1,000億円を超えて増加しており、大半を防衛省が占めています。重要インフラを所管する省庁や関係省庁による連携も重要となります。また、官民の役割分担や費用負担の在り方も検討が必要です。

最後に、地方創生です。25ページです。通称、デジ田交付金です。創設以来、毎年1,000億円が当初予算に計上されています。そのうち緑で示されたソフト事業に焦点を当てます。ソフト事業の先駆型やSociety5.0型は、採択時に外部審査がありますが、支援期間が5年と長いなど、横展開型とのメリハリがあります。

26ページです。例えばオンデマンド交通や遠隔医療などの先駆型は、創設時には半分を占めていましたが、大幅に減少し、右上の採択件数も激減しています。要因の一つですが、企業版ふるさと納税の寄附を充当した場合、支援期間を5年延長できるため、先駆型で申請するインセンティブが失われました。この仕組みで5年に延長した事業が急増しています。

27ページです。これまで5,000件もの支援をしてきています。横展開型には、トレーニングマシン教室やウォーキングイベント、観光ツアーなども含まれています。円グラフが事業の類型ですが、各分野で横展開を図るべき先駆的優良事例が示されていません。また、支援期間後は自治体の自走が前提ですが、約4分の1は支援が継続されています。

28ページです。自治体は事業実施計画を作成していますが、対外的に公表していません。また、効果検証や事業結果の公表も義務化されておらず、議会や外部による検証が行われていない自治体もあります。

29ページです。支援の在り方です。先駆的な取組に挑戦するためのメリハリ付け、先駆的優良事例の横展開、支援期間後の自治体の自走化徹底、事業の使途や成果の見える化、これらを進めることにより改善や強化を図るべきです。

私からは以上です。

増田分科会長代理それでは、旅費制度の改正について、山本課長からお願いします。

山本給与共済課長よろしくお願いいたします。旅費法の改正を検討しておりまして、この点、御審議いただきたくお話しさせていただきます。

最初のページですが、我が国の旅費制度は、デジタル化の進展や、それから、海外の宿泊料金の変動、そうした社会情勢の変化に対応できておりません。さらにテレワークといった働き方にもキャッチアップできておりません。そのため、各省庁が協力しまして、令和6年の旅費法改正法案の提出を目指しております。

次のページ、視点が4つありまして、一つ目から御説明します。

旅費法では、例えばニューヨークに泊まりますと、2万円弱で1泊しなさいという規定があります。こうした法定額、それから、実際の価格にはかなり乖離がありまして、これを解消してまいりたいと思っております。黒丸ですが、実費の弁償というのが旅費法の本来の趣旨でありまして、これに合わせるべく、宿泊料、それから、移転料は実費支給としたいと思っています。

矢印の一つ目ですが、宿泊料は青天井とする訳にはいきませんので、上限付きの実費支給としたいと思います。

移転料については、オフィスの距離に応じた定額支給となっておりますが、住居の移転に係る実費の支給としたいと考えております。

視点2ですが、実態と運用を合わせたいと考えております。黒丸ですが、実態と運用の状況を踏まえて、例えば、近距離出張等の規定を廃止したいと思っています。矢印の一つ目ですが、オフィスから半径8キロ以内の出張というのは短いので節約が可能であろうという考え方があります。ただ、こうしたものは実態に合いませんので、そうした近距離出張に係る規定を廃止しまして、交通費を実費支給したいと考えています。同じように、次の矢印、バス代といった軽微な経費、これを日当で賄うようにしておりますが、これも実費支給としたいと考えております。

その次のページ、ほかにもいろいろな規定があります。例えば、矢印一つ目ですが、特急料金は、片道100キロ以上使った場合には支払ってもよいという規定があります。これは実態に即していませんので、廃止したいと思います。

次の矢印、陸路出張、バスとかタクシーとかそうしたものを使った場合、1キロ37円という規定があります。これを廃止して、実費支給としたいと思います。

次の矢印、日当についてですが、この中に昼食代を含むという概念としております。昼食代は支給しない整理にしたいと思っています。また、日当については、宿泊により生じるかかり増し費用、宿泊があった出張にのみ支給すると変えたいと思っています。

その次ですが、旅費法はパック旅行を想定していませんので、そうした種目を新設したいと思います。

次のページ、視点3です。デジタル化の進展を踏まえまして、手続を簡素化したいと思っています。黒丸の一つ目ですが、紙ベースの旅行命令簿等、そうした様式を廃止し、デジタル化を図ります。

黒丸、二つ目ですが、旅費法は出張者本人の申請を前提としておりますが、旅行代理店といった者の請求も可能としたいと思います。

三つ目、旅費法は、オフィスから出張することを前提としていますが、リモートワークなどを踏まえますと、自宅からの出発も可としたいと思っております。

最後、視点の4つ目ですが、引き続き、あるいはこれまで以上に適切な支出は確保すべきと考えておりまして、黒丸一つ目ですが、現行の規定にあります最も経済的な経路を取るようにすべしといった規定は引き続き堅持したいと思います。

黒丸二つ目ですが、不正は防止しなければいけませんので、今後、財務省が各省を監督するといったような新たな仕組みについて検討しております。

黒丸三つ目ですが、例外的な場合には財務大臣に協議するという規定があるのですが、これは法令によりがたい場合が今後もあり得ますので、その規定は維持したいと思っております。

最後ですが、実費化に伴いまして、実費についての必要な証拠書類の提出はしっかりと求めたいと考えております。

御審議よろしくお願いいたします。

増田分科会長代理広瀬委員、ここで御退室と伺っています。先に、何か御意見あれば頂戴します。

広瀬委員恐縮でございます。簡単に3点、申し上げたいと思います。

1点目は、外交についてですが、先ほど御説明ありましたように、最近の国際情勢を見ますと、いわゆる外交による安全保障というのが非常に重要になってきていると。特にグローバルサウスが力をつけているわけで、そこに対する、いわゆるODA的な外交の一つの大きな武器になるのではないかと。実は今週、日本商工会議所の小林会頭を団長とするミッションが、フィリピン、マレーシア、シンガポールと、本日まで行っているのですが、私はたまたまフィリピンだけで帰ってきたのですが、フィリピンの政府の要人、あるいは向こうの産業界の方たちとお話しすると、やはり日本の良質なODA的なものに対する期待が大きいし、そうした効果も非常にあるのではないかと。

ただ、一方で、従来のODAと言うと、どうしても大企業、インフラ中心ですが、最近はスタートアップとか中小企業がほかにないようないろいろな技術、製品を持っているわけですから、もう少しそうしたスタートアップとか中小企業が前面に出るような、そうしたODAの在り方について検討してもよいのではないかと思っております。

それから二つ目、デジタルですが、行政のデジタル化はとにかく統合というのが非常に大きなキーワードになると思うのですが、例えば税金一つとってみても、国税はe-TAX、地方税はeLTAXということで、これは一つの例ですが、事業者にとっては使い勝手があまりよくないということで、そうした面で、やはり今、行政デジタルというのは縦割りあるいは地域割になっているところをどういうふうに統合化していくかということで、そこでデジタル庁に対する期待というのが非常に大きいわけですが、何となくデジタル庁と言うと、技術のにおいがするわけですが、むしろデジタル庁のミッションというのは、もう少し泥臭い、言ってみれば行政改革のような、なかなか手のつけないところをやっていくという、むしろそうしたふうなミッションが、言ってみれば、言い方は悪いのですが、汚れ役のようなものをデジタル庁、是非そうした面で頑張っていただきたいなと思っています。

最後、地方創生ですが、地方創生につきましては、25ページに、「民の知見を引き出す」と書かれておりますが、全く私もそう思っておりまして、特に地域の市民や商工業者、本当に自分たちの地域に愛着を感じて、よくしたいと。こうしたふうな人たちに活躍してもらうというのが肝ですし、それが何といっても力になると思います。そうした面で今、頑張っているところもたくさんあるし、成功しているところもたくさんあるので、是非そうしたふうなところを国がサポートすると。どうしても地方創生といいますと一律的になるのですが、やはり頑張っているところに少しメリハリをつけて、そこを一つの成功事例としてやっていくと。そうした限られた予算の中で、メリハリのある地方創生といったことも必要になってくるのではないかと考えております。

以上でございます。ありがとうございました。

増田分科会長代理本日は、欠席の上村委員、それから、オンライン参加の小黒委員から意見書が提出されておりますので、各端末に格納しております。お目通しをいただきたいと思います。

それでは、これ以降、また同じように会場から5名程度、そして、オンラインと、この順番で指名していきますので、続いて、熊谷委員、どうぞお願いします。

熊谷委員主に防衛について3点申し上げます。

第1に、定められた金額を最大限に有効活用して、柔軟な防衛力整備と強化を図るために、翌年度以降の予算が過度に硬直的にならないように、また、所要の財源措置を確保しながら、各年度の予算編成を行っていくことが肝要です。とりわけ後年度負担に関しては、翌年度以降の負担を当年度の予算に含めて「見える化」を強化することが重要となります。

第2に、装備品の価格上昇に加えて、プロジェクト管理が十分に機能していないと見られることなどの背景にある構造的な要因に対して徹底的にメスを入れるべきです。第三者、外部の目を入れることや対外的な説明責任の強化などを通じて、実効性のあるガバナンスが働くような仕組みを構築することが喫緊の課題となります。例えば装備品の調達における原価計算方式は価格上昇を招きやすい仕組みであると思われます。防衛装備庁には、原価の監査の徹底や、コストデータバンクの積極活用等を通じて、原価の適正性の確保及び原価の低減を強力に推進していただきたいと考えます。また、海外装備品の取得方法についても、あえて割高なライセンス生産を採用する場合には、費用対効果などに関する、より高度な説明責任を課すべきです。LCCを通じたプロジェクト管理についても米国のようにプロジェクトを中止した事例がないことなどに照らすと、形骸化している可能性があります。中止に関する判断を防衛省内で完結していることにより、ガバナンスが十分に機能していないおそれがありますので、事業継続に当たり立法府など外部の第三者による承認等が必要な仕組みを検討する必要があります。

第3に、国防費は経常的に支出される経費ですから、安定財源を確保することが不可欠です。経済力は国力の源泉です。我が国が安定財源を確保することなく国防費を増やせば、経済・金融・財政の脆弱性が強まり、逆に、他国につけ入るすきを与え、国民の安全が脅かされる事態を招きかねません。

以上が国防です。

最後に、我が国は、国防と外交を車の両輪として、安全保障環境を好転させる必要がありますので、外交分野に関しても中長期的に我が国の国益を最大化するような、質の高い総合的な外交戦略に基づいて、ODAなどのプライオリティーづけや、スクラップ・アンド・ビルドなどを行っていただきたいと思います。

デジタル庁に関しては、情報システム予算の総額をコントロールする目標を新たに設定するという御提案に強く賛同いたします。

また、地方創生に関しては、政策等に関する徹底的な「見える化」を推進していただきたいと思います。

私からは以上です。ありがとうございました。

増田分科会長代理続きまして、角委員、どうぞお願いします。

角委員まず地方創生を考えるときに、一つの重要な要素としては、観光産業をいかに活性化させていくかということであると思うのですが、今のところ、ホテルにつきましては、過度に低いADRがここのところ非常によくなってきまして、東京で言いますと外資系トップランクのホテルはADRが10万円を超えておりますし、パレスホテルも8万円台ということで、非常に価格が適正になってきているので、一応従業員につきましても待遇改善を図りながら、それをきちっと価格に転嫁するということが行われつつあるので非常に良いなと思いますが、問題は人手不足です。

先般、万博に関しまして、大阪のほうでライドシェアについて一応検討してほしいということを要請することになりました。もちろん、地方の人手不足であるとか、その中で観光産業を伸ばしていこうとすると、どうしてもこうした政策を取り入れざるを得ないのですが、では、既存事業者と、いわゆる新規に入ってくる人たちとの規制の差ですね。一番分かりやすいのは車検ですよね。いわゆる事業者は1年車検ですが、その部分をどうするのか。あるいは、事業者については社会保険料も負担しているわけですが、そこをどうするのかとか、そうした新たに入ってくるライドシェアのような方たちと既存事業者との溝というか、言い方は難しいのですが、そこをどのように適正化を図っていくかということが短期間の間に決めていただかなくてはなりませんので、是非よろしくお願いしたいと思います。

それと防衛ですが、御説明にありましたように、昨年末の防衛3文書の改定については、戦後77年でようやく初めて、過去の政権ではできなかった改正がなされまして、これはまさに画期的なことだったと思います。問題は財源です。取りあえずこの5年間の不足する16兆ですか、この部分については何らかの、例えば議論になっているNTT法については、防衛問題がなくても研究開発を開示しなければならないとか、我々事業者から見たらとんでもないような法律があるわけで、そこについても含めて変えていかなければなりませんが、いずれにしても、この16兆については、恒久財源でなくても、例えば政府保有の株の売却ですとか臨時収入的なものを入れて乗り切るということについては仕方がない部分もあろうかと思いますが、防衛はこの5年で終わりということではないわけで、ずっと続いていくわけですので、やはり安定財源が必ず必要になると。

では、その安定財源をどこに求めるかとなりますと、現在は消費税と名前がついていますが、その税を変えて、防衛についても安定的にやるとしていっていただきたいと思いますが、これにはやはりきっかけが要りますので、きっかけとしては25年の基礎的財政収支黒字化が達成できなかったときに、では、それをどうするのですかという議論をしていただいて、私は、2年に1%でもよいから10年間かければ15%になるわけですから、そうしたやり方も含めて、是非とも考えていただきたいと。

今年の3月に、16兆の、いわゆる使い道について、大体こうした分類で使うということが発表されましたが、その中で最も大事なのは宇宙ですよね。そのときに必要になるのが、先ほども議論にあったサイバーセキュリティをどれだけきちっとしていくか。そうしないと、いわゆる自由主義諸国の中で連携して、1国でやるという時代は、宇宙となると、もうとても無理ですから、そうしたときにサイバーセキュリティが日本が非常に遅れているということになると、他国との自由主義陣営の中で共同して宇宙に取り組むということができなくなるわけですので、是非ともサイバーセキュリティについてはよろしくお願いしたいと思います。

以上です。ありがとうございました。

増田分科会長代理それでは、続いて、土居委員、どうぞ。

土居委員まず防衛ですが、調達コストもシビリアンコントロールを強化していただきたいと思うわけです。言うまでもなく、自衛隊はシビリアンコントロールの下に置かれているわけですが、防衛省の会計課長も頑張っていますが、やはり主計官が御指摘のように調達コストがかさんでいるというところを止め切れていないということであると思います。

別に背広組、制服組というわけではないですが、やはり防衛装備品に何が必要かということは、当然現場からリクエストが上がってくるということだが、割高な防衛装備品を購入して、その割高な防衛装備品でこの国を守ってほしいと思っている国民はいないわけで、より質の高い防衛装備品をより安く調達できてこそ、よく頑張ったと言えるものであると思いますので、調達コストも上振れすることなく、ライフサイクルコストも徹底的に管理して、国内企業に対する取組だけでなくて、海外装備品、海外企業からの調達についても変に遠慮することなく、しっかりコストを管理していただきたいと思います。

それから、外交ですが、これもまた資料2の10ページで指摘されていますように、債務残高が高い我が国でありながら、ほかの国と同じように頑張ろうということなのだが、やはり分不相応にODAなどを出していくということでよいのかということは、今、非常に厳しく問われるべきところではないかと思います。その反面で、JICA運営費交付金が1年間でこなし切れないほどの規模になっているということを考えると、やはり身の丈に合ったJICA運営費交付金の規模にしていくということも必要であると思います。

最後にデジタルですが、資料2の20ページにありますように、システム以外の行政コスト削減、ここをもっと徹底していただく必要があるだろうと思います。デジタル庁、先ほど広瀬委員の御意見もありましたが、技術的なところに非常に関心が強い、そこに長けているということのイメージが強いわけですが、そういたしますと、システム統合によるコスト削減はデジタル庁に引き続き頑張っていただいて、期待したいところですが、デジタル庁だけでは難しいところは、もう一つのシステム以外の行政コスト削減というところなのではないかと思うわけです。

これは一例ですが、私が2020年11月に行政改革推進会議の秋のレビューで教育現場のICT化について議論しました。そのときに、ICT化によって教育現場をもっと合理化できるのではないかという言葉を申しましたら、合理化とは何であると、けしからんというふうに言われたわけです。合理化というのは確かに教育現場での語義が、特殊な語義があるらしいのですが、いや、そんなことではないと。まさに資料の20ページに書かれているように、削減効果を出していってこそICT化の価値があって、しかも、今は人手不足ですから、そこで人員が削減されたからといって、その人を首にするということはないわけで、ほかの業務に携わっていただくというところで、その効果が発揮できるということなわけですので、決して合理化という言葉が何か、解雇するとかそうしたようなネガティブな意味ではなくて、むしろ負担軽減、省力化、省人化につながるということをもっと徹底して行政の現場で進めていただきたいと思います。

私からは以上です。

増田分科会長代理それでは、平野委員、どうぞお願いします。

平野委員まず防衛です。御指摘いただいた点については、全く異論はありません。特に13ページから15ページで、今回、ライフサイクルコストのマネジメントについて触れていただきました。これは極めて重要だし、それから、14ページの下段で、改善策をいくつか示していただいています。先ほどから御指摘ありますが、特にガバナンスのところですね。これは是非お進めいただきたいと思います。

財審としてはそうした議論でよいと思うのですが、ただ、私は、この問題はもう少し根本的な問題であって、調達コストだけの問題ではないのではないかと考えていますので、それについて述べさせていただきます。つまり、より根本的に言うと、何十年か分かりませんが、当面続くであろうこの安全保障環境の下で、日本の防衛産業の基盤と競争力をどう強化していくか、その戦略をいかに組み立て直すかということ。それについて、やはり国が前面に出てイニシアチブを発揮すべきであると思います。

例えば第1に、今、防衛産業は、サプライヤーを中心に撤退する企業が増えつつあるわけですよね。これをどうしていくのか。端的に言えば再編と集約であると思います。それを国が将来の産業構造まで展望して、プランニングすべきです。一般産業とは違いますから、それが大事です。

2番目、そもそも防衛のどこまでを民間に任せて、国がどうそれを支えるのかということも明確にすべきであると思います。例えば防衛装備品の海外の移転に関して言うと、レーダーなどは単独でできるわけですが、それを除けば、国際的な協調の中で、いわゆるライク・マインデッド・カントリーズ、同志国との間での共同開発に参加して、日本の得意とする分野を磨いていくという方向が既に出ているし、現実的であると思います。ただ、こうした分野でも、同志国間の情報交換であるとか協調に国が一層積極的に関与するなど、いろいろやるべきことが多いのではないかと思っておりまして、そうした体制を戦略的、総合的に構築していくことがまずベースではないかと考えています。

それから先ほどからも話題になっている財源について、もう一言申し上げたいのですが、16ページで、防衛力には有事への備え、財政余力が重要であると御指摘いただきました。そのとおりです。ただ、一方で、増税の議論というのは、今、先延ばしになっているわけです。これはやはり安全保障上の問題から生じる負担というのは、社会の構成員が連帯して分かち合うということが重要なので、これについて改めて国民への説明を尽くしていただきたいと思います。

GXはしっかりおやりになりました。将来のGX移行債の返済原資、実質的には増税まで見据えた形で議論が進んだわけですが、残念ながら、この防衛と少子化については財源が置き去りになっているということですので、今後、受益と負担の議論を別々に行うと、結局、負担の議論が漂流しがちになるということを今回の教訓としたいと思います。

次はデジタルです。2点申し上げます。

まず1点目、ガバメントクラウドに関してです。これはネックを早く取り除く必要があります。今出していただいているページですが、本来、このプロジェクトというのは業務の効率化と、それによるコストの削減、それと行政サービスの質的な向上を図る。これが目的です。ところが、今、出していただいている21ページで御指摘いただいているとおりで、移行によって逆にシステム経費の増加を招くというケースが現れていて、移行をちゅうちょする自治体があるということです。ここには見逃せない問題が潜んでいると捉えて、早急に改善策を打つべきであると思います。

これは原因と対応策がいくつかあるのですが、全部言っていると時間がないので、二つだけ言います。

まず一つ目、これは20ページにもあるのですが、プロジェクトの目的とコスト削減の考え方です。これは非常に重要。一般に私も民間でシステム投資を判断する際に用いるのは、ROI、リターン・オン・インベストメントですが、その際、リターン、Rとしては新しいシステムを構築することによる、第1に既存システムからの移行による償却費、運営費を含むシステム経費の増減。増えることも、それはもちろんあるわけです。

それから、第2に、業務フローの見直しを含む省人効果による人件費の圧縮と、オフィススペースなどの物件費の削減。それに、移行によって得られるベネフィット、利益であったり、便益を加えたもので算定するわけでありまして、このページでも御指摘いただいているようなこうした手法を国がきちっと設定して自治体に浸透させるべきであると思います。

二つ目、これは以前にも申し上げましたが、銀行の業務の例として言った、集約化です。内容はほぼ全国共通であるにもかかわらず、各自治体がばらばらに処理している行政事務を洗い出して、一遍にはできないかもしれないが、段階的に国に移管することに取り組むべきであると思います。それが恐らく自治体の権限等の見直しにつながるので面倒くさいという御意見があるのであれば、国ないしは国がスポンサーになった独立した団体にアウトソースしてもらうという考え方でも構わないと思います。これを行えば、今、複数のアプリ、三つのアプリから自治体が選択するという方式になっていますが、これが要らなくなります。それによって更なるコスト削減が可能になるし、そうなると、これは我々の世界での常識ですが、パッケージ、いわゆるオフザシェルフと言われる既製のソフトを使う場合には、自分たちの手続をソフトに合わせるのです。これも同時にやることに結果的になるので、合理化が進みます。

ベンダーロックインの問題はもちろんあるのですが、これを回避する方法はあります。本日は詳しく言いません。重要なのは、こうした定型的な業務を集約化することは、それは自治体というか、地方自治の侵害ではないのですよ。それどころか、担い手不足に陥りつつある自治体の負担を軽減して、地方の自主性、独自性を発揮する余力、リソースを増すものであるということを強調したいと思います。

デジタルの2点目です。これはデジタル化によって得られる行政サービスの向上、先ほど冒頭で申し上げた文脈で言えばベネフィットですよね。これを国民の目に見える形で明らかにする必要があります。その最大のものは、これも何度かこの場で言っていますが、マイナンバーの活用によって、負担と給付の公正な制度設計と執行、エグゼキューションを可能にすることではないかと思います。応能負担のために所得と資産を正確に把握する。それから、給付については、真にニーズのある国民にピンポイントで給付を行う体制を構築する。特に、今、足もとの大きなテーマである子育て支援で、デジタルを活用したプッシュ型給付のパイロットプロジェクトを立ち上げて、ほかの業務に広げる流れを構築する。その基盤としてマイナンバーを活用すれば、国民にデジタル化のベネフィットを感じてもらうこと、マイナンバーの活用のベネフィットを感じてもらうことができるのではないかと思います。以上です。

増田分科会長代理神子田委員、10時御退室ということで、ここで、どうぞ御発言ください。

神子田委員私は防衛について手短に2点ほど言いたいのですが、一つは、43兆円という額が、これはもうどうやっても増やせない額であるということ。一方で、いろいろなものが値上がりするということは、量的には、値段が上がる分、買えなくなるということで、去年、この43兆円という額が決まったときに、最初に規模ありきで、中身が詰まっていないのではないかという議論はあったのですが、そこのところのコストが上がってくるところで、当時から、本当にその装備は必要なのか、不断の見直しをしていくべきであるということを言っていたのですが、コストが上がったということであれば、ますますそうしたことをきちんとやってもらいたいというのを一つ思います。

それと、初めに規模ありきということに関して、東アジアの安全保障情勢から見て、やはり相応の防衛力というのが必要で、規模というのも必要なことであるとは思うのです。ただ、問題は、巨額の予算を使うわけで、しかも、それを防衛のためということなので、本当に効果的に使ってもらわないと、国民は何のために負担しているのか分からないということになりますので、そこも改めて立ち返ってやってもらいたいということと、もう一つは、やはり安全保障ですから、相手からすれば、日本と戦ったときに、どういう国かということが一つの、どういう人材なのか、優秀な人たちなのかとか、そうしたところも見られると思うのですが、先ほどイージスの話です。陸のものを海に転用のような話を聞いて、この人たち、何なのだろうかと思われかねないということで、非常に心もとない思いがいたしました。

そうしたところも含めて、どうやって国を守るかということは真剣に考えてもらいたいと思いますし、もう一つはやはり相手の国をどう見るかということで、43兆とか言っているが、本当に財源は確保できるのかという。それは恐らく、相手と戦っているときに、相手は金を持つのかなのような、そんなことも計算してやってくると思いますので、そのときに、今、増税で賄うと言っている分の開始時期がなかなか決まらないというのも非常に問題と思いますので、そうしたところも本当にこれは安全保障という非常に大事な問題なので、もう1回、真剣に考えてもらえたらと思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、ここで、1回、オンラインに移ります。秋池委員、田中委員、安永委員、河村委員、横田委員、以上、5名に御発言いただきます。

秋池委員、どうぞお願いします。

秋池委員防衛のところですが、ライフサイクルコストで見ていくということは重要だと思います。調達改革もしていくということも書いてあり、先ほど平野委員などもおっしゃったところですが、過剰に買いたたくと、それがまた、それに関わる産業の維持に大きく関わるということも出てきますので、その辺りは多面的に検討して取り組まれればと思いました。

二つ目にODAについてですが、かなりの額を長期間にわたって使ってきています。日本の場合は、もちろん地域やその国のことを考えて、大変良いことではあるのですが、陰徳を積んでいるだけだと、なかなかそれが認められないというようなこともあります。直接触れた方はありがたいと思っておられるかもしれませんが、いつも財審で申し上げてしまうのですが、国家の予算の中には、費用的な部分と、投資的な部分があると考えておりまして、ODAの場合は、投資の一環でもある。事業そのものから金銭的リターンを得ようということではなくて、日本のソフトパワーを高めるというような観点において、そうした戦略性も必要なのではないのかと思います。

効率化というようなお話もありましたが、その戦略を踏まえた上で、何はやり、何はやらない。どのようにやるのか、やることの中でも、どの部分に取り組んでメリハリをつけるのかというようなことも念頭に置く必要があるのではないかと思いました。

次に地方創生についてですが、好事例の横展開をしていくということについては異論はないのですが、よくあるのが、どこかの自治体がやったことをみんながまねして、結局また皆同じになってしまい、結果的に過当競争のようになってしまって、意味を失うというようなことがありますので、この横展開の支援先選定の際には、そうした点も踏まえて、どういう地域に展開していくと良いのかについて考えてください。競争的な部分ではなくて、例えば自治体の運営の効率化のように好事例に学んで皆がやるべきことと、その自治体の独自の工夫を生かしていくということの使い分けをしていただきたいと思いました。

最後に、公務員の出張旅費についてですが、世界中、インフレもしています。見直しをしていくことは当然であると思いますし、賛成でございます。宿泊なども安全が確保されるような宿泊場所であることも大事です。

また旅費についてですが、もちろん無駄や過剰があってはいけないのですが、一方で、公務員の方の時間もコストなのであるという感覚を持って、見直しと利用が行われるとよいと思いました。以上でございます。

増田分科会長代理続いて、田中委員、どうぞお願いします。

田中委員まず、デジタル、情報システムの費用に関してですが、新技術や新設備が次々出ますし、バージョンアップもありますので、デジタル庁から、各地域に是非迅速な情報共有をしてもらいながら、デジタルで果たすべき行政や地域政策の目的を明確にして、事前のシミュレーションと導入前の効果測定というのを行って、ベンダーの合理化もできるようにと思います。私も合理化はポジティブな意味で使っています。また、人件費などの間接費のコストも効果を見ないといけないところと思います。そのためにも専門人材のサポートとデジタル化全体を統括する行政幹部との意識の共有が必要になってくるかと感じています。

二つ目の地方創生支援の在り方においては、昨今、民間の資金とか人材の導入や交流も増えていまして、公民連携と競争による学びということでは、人材育成面での効果は得られていると思います。同時にKPIや目標達成のコミットメントは少し曖昧になる面も出るのかなと想像しています。かかる費用の助成や補助ということからは、課題解決への取組も、地域における起業も、事業計画を精査して、始まるものが続いていくかどうか、継続して雇用創出や市場開発につながるかを支援時の基準として明確にすることが、今後は効果的になるのではないかと考えます。

最後に1点、公務員の旅費制度につきましては、制度、法律制定からかなりの時間も経過している中で、示された案のように、実態に適応した形に対応していただくのは妥当と考えます。旅費とか宿泊費は重要な業務として対応する際に発生するものですので、最も安価で、効果的な購入の工夫というのは購買の分野ですべきですが、同時に、各人の立場では手続や申請が簡素で、シンプルで、仕事の効率化につながる上に、業務上のモチベーションが担保されるように勘案されて、これを機に、公務員の働き方改革としても、クリエーティブな仕事環境が促進される一助として推進されればと思います。

ありがとうございました。

増田分科会長代理続いて、安永委員、お願いします。

安永委員ODAに絞って2点申し上げます。広瀬委員も冒頭おっしゃられたとおり、開発協力が外交の重要なツールであるというのは間違いありません。資料にも記載されているとおり、予算には限りがあり、案件の進捗のスピードやアウトプットにもばらつきがある中、対象となる領域や地域については優先順位をつけて取り組むことが必要と考えます。

民間資金の呼び水とのお話があったと思いますが、民間企業の視点から地域について申し上げると、自由で開かれたインド太平洋戦略を具現化することが重要です。そのためには、グローバルサウス、ライク・マインデッド・カントリーを中心に、ビジネスを拡大して参りたいと思っていますし、そのための呼び水としてのODAの存在は重要です。

また、領域について言えば、新たな開発協力大綱でも述べられていますが、地球規模の課題に対して取り組むこと、日本人あるいは日本企業が得意とする分野に、より多くのリソースを投入することが重要です。資料14ページにもありますが、一つ目は医療や保健、ウエルビーイングの分野、二つ目は、パンデミック関連の分野、三つ目は、気候変動や防災といった分野で、環境対応や脱炭素に向けた事業が対象になるかと思います。

民間資金を有効に活用するには、環境省所掌のJCM(二国間クレジット制度)をより有機的にODAと組み合わせ、JCMの仕組みそのものを拡大し、環境分野での日本のプレゼンスを向上させていけば、ODAをより一層国益に結びつけることができると思います。

もう1点はJICAの役割です。民間が主役とはいえ、JICAが取り組まれてきた現地政府や現地NPO、NGOとの草の根的なネットワークの維持・拡大は、日本企業が活動するためのベースとなっており、日本に対する信頼感や期待値を高めることにつながると考えます。例えば青年海外協力隊の様に、若い人たちの活躍の場をしっかりつくっていくということも必要であり、その意味でのJICAの活躍には今後とも期待いたします。

最後に、公務員の旅費の件については、私は海外出張が多いので申し上げますが、現在のレベルの宿泊費では恐らく出張者の安全が確保できないのではないかと危惧する次第です。海外においては出張者の安全に帰結しますので、一定レベルのホテルあるいは旅行手段を考える必要があり、これは是非しっかりと改善していただければと思います。

以上です。

増田分科会長代理続いて、河村委員お願いします。

河村委員時間の制約もあると思いますので、各分野について手短に一言ずつ申し上げさせていただいて、最後に旅費のところはいくつか御質問がございます。

まず、防衛のところについて申し上げます。円安がこれだけ進んでいますので、調達のコストは大丈夫かなと思っていましたが、9ページの表を見て唖然としました。もちろんこの言い値に乗っては絶対駄目なのですが、物すごい増加幅で、本当に大変なことになっていると。もちろんこれは抑えていただく努力をすることが本当に大事であると思います。こうしたこと、これを機会にしっかり国民にも説明して、防衛の調達はある意味、特殊ですよね。ほかの分野みたいに競争入札などは絶対できないからこそ、逆に、こうしたいろいろな調達の仕組みが、さらに円安だけではなくて、こうやって押し上げるような圧力になってしまうということをこの機会を使って、国民に対してもよく説明して、そこを何とか抑えられるようにとやっていく努力を防衛装備庁にしっかりやっていただくことが大事ではないかと思います。

特に今の局面、防衛費だったら、やはり国際的な安全保障情勢は非常に厳しいのでということで、割と安易に、もう世の中としては増えてもしようがないねとなってしまいがちなところがあるかもしれないのですが、決してそんなことでは全然ない。しかも、こんなに調達コストが上がる可能性があることを見ると、果たしてこれは負担する側の歳入はどうなのかな、それだけ伸びているのかなということを思うと、本当に不安になりますよね。昨年度の税収が69兆円から71兆円に増えてよかったですが、たった2兆円増えたくらいで浮かれていられるような状況では全然ないなということを本当につくづく思います。

また、それからガバナンスのところですが、14ページでお書きくださっていますが、ライフサイクルコストのところです。これは本当にずるずるといってしまうような話であると思いますので、ここもしっかりと規律づけをかけることが必要ではないかと思います。ですから、財審としては、財政当局にしっかり言っていただくことも必要ですし、やはり国の歳出を最後、最終的に決めるのは国会でということになっていますので、国会というか、少なくとも与党であるとか、そうしたところにしっかりときちんと協議してということを言っていく必要があるのではないかと思います。

次に外交ですが、ODAのところで、8ページ、9ページ辺りで、ODAというものをほかの国がどういうふうに位置づけて、全体の財政再建に向けての道筋を描く中で、イギリスなどは典型的ですが、こうした厳しい状況にコロナ禍の後で陥った後は、そんなに出せないということをきちんと考えてやっている国もあるのであるということ、こうしたこともきちんと説明しつつ、日本は本当は財政制約が一番厳しいはずですので考えていかなくてはいけない。対GNI比で単純にやっていくわけにはいかないということを、きちんと世の中に対して訴えていく必要があると思います。

また、JICAの問題については、これまで財審でもいろいろ問題を取り上げてきたわけですが、13ページの辺り、まだこんなに資金が滞留しているのかという感じですね。やはりきちんと執行を円滑に行ってやっていただく必要があると思います。

次に、デジタルのところですが、19ページのところ、ほかの委員の方もおっしゃられていますが、コスト削減をしっかりやっていくこと、そして、システム全体としてコストが上乗せになっては本当に駄目ではないかと思いますので、そこの全体のコントロールというものが必要であると思います。

そして、地方再生ですが、これもやはり正直申し上げて、いろいろプラスの面があるのかなという気もしますが、すごく安易なバラマキ的なことになってしまっていないかという感を、非常にそうした印象を強くいたします。改革、改善の方向性としては、最後の29ページにおまとめくださっているとおりであると思いますが、きちんと各自治体で何に使って、どういう効果があってということの情報開示、きちんと効果の計測とか情報開示を徹底させて、本当に横並びで比較させるということで、規律づけをかけていくことが大事なのではないかと思います。

最後に旅費の部分です。私も、前の委員の方々がおっしゃられたように、実態と本当にかけ離れてしまっているところがあって、こうした形で見直しをしていくことに非常に賛成です。ただ、そのときに、これで大丈夫かなという部分がいくつかありまして、御質問させていただきます。いろいろ具体的な水準が分からないと世間に受け止めてもらえにくいのではと思っていたのですが、本日、参考資料が出てきましたので、それも併せて拝見してやはりこうしたデータをきちんとお見せいただく、開示していただくことはすごく大事であると思います。旅費というのは、我々民間の立場で言うと、各企業ごとにいろいろな基準があって、出張旅費の精算とかみんなやっていると思いますが、基準は企業ごとにばらばらであると思いますが、それなりにみんな自分の会社はどうか、いろいろ近くにいる人のものを見聞きする上でどうかということ、そうしたことを判断基準にしながら、どうかなということを考えていっているところがありますので、こうしたデータをきちんと併せて開示していただいて、さあ、これでどういうふうに国民として判断するか、最後は法律の改正ですので、国会でいろいろ御議論になると思いますが、見せていくことが大事ではないかと思っております。

御質問はいくつかあります。最初はまず2ページのところです。上限、旅費のところ、すみません。宿泊料です。上限を決めてということでなさるということで、そうしたふうにしなくてはいけないのだろうと思うのですが、これだけ円安が進んでいることをお考えになると、この上限の目安というのは円建てで設定なさるのですか。やはり為替レートの動向が心配なもので、そこが御質問の1点目です。

二つ目の御質問は、4ページのところですが、支度料というのが出てくると思うのですが、これはあれですか。支給する回数に制約がないのかどうか、赴任されるときと出張と違うと思いますが、出張は結構、本当にリピート的に何回もやるようなセクションの方もいらっしゃると思いますし、そうしたときに、民間であると、一番最初の海外出張のときにだけ支度料は出すが、それ以降は出さないという運用もありますので、そこをお尋ねしたいと思います。

3番目は、5ページにあります旅行代理店のところです。旅行代理店による旅費の請求手続を可能にということで、出張旅費の精算というか、特に外国出張に行ったとき、正直言って、民間でも出張に行って、仕事も大変なので、いろいろ報告とか作ったり、そちらも大変ですが、それに引けをとらないぐらい出張旅費の精算は結構な大仕事になってしまっているところがあって、そこは公務員の世界でもきちんと、できるだけ負担を減らしてというのは理解できるのですが、ただ、ここで請求手続を出張者御本人ではなくて、旅行代理店がやるというやり方で大丈夫なのかなと。

なかなか申し上げにくいですが、いろいろな不正なことが起こってしまう余地がないかどうか、少し心配なところがあります。確かに海外出張であると、1回、自分で立て替えてということになると、航空券代とかすごく高くなってしまうこともあったりして、特に若手の職員の方とか、御負担になることもあると思いますし、そうした意味での改善というところ、すごく分かると思うのですが、やはり分からない、理解できないのは、出張旅費の精算のところ、要するに、往復の航空券代だけではなくて、それ以外の現地での経費もありますし、御本人の請求と代理店の請求が別々の2本立てになっても大丈夫なのか。これは請求できる旅行代理店は限定されるおつもりなのですかね。入札でお決めになるのか、旅行代理店ならどこでも請求できるのか。民間であれば、旅行代理店のシステムが会社の経費の精算システムの中に取り込むような形で合理的に精算できるようなシステムもあるのですが、それは逆に言うと、公務員の世界では、特定の旅行代理店と結びつくことはできないということで難しいという御判断なのかという気もしますが、その辺も御説明いただければありがたいです。

御質問は以上です。

増田分科会長代理それでは、続いて、横田委員、どうぞお願いします。

横田委員私からまず外交について2点申し上げます。

11ページ目のODAです。国際的には、民間資金が全体の9割であるとお示しいただいていますが、レクの際に、日本の途上国支援における民間資金は2021年実績で56%であるとお伺いしました。つまり、日本における民間仕様の活用はまだ余地があるという見方ができると思います。是非経済分野のオファー型ODAなどでは早期のタイミングで民間企業を巻き込んで、資金はもちろんですが、効果的な支援を進めていくことが重要であると考えます。

2点目は、15ページ目の機構の見直しについてです。お示しいただいたとおり、選択と集中は必須であると考えます。過去に縮小あるいは廃止の実績もありますし、諸外国でも同様に廃止事例もあると伺っています。新設事務所の格上げを行うのであれば、全体的な見直しも必要であり、改めて実績の確認とともに選択と集中の戦略も立てていただきたいと考えます。

次に、デジタルになります。現在、地方自治体のシステムの標準化の移行期であり、一時的な費用が増加してしまうのは致し方ないところであるとは考えております。一方で、移行後には十分なコストメリットが発揮できるような状態にしていただきたいと思っていますし、ガバメントクラウドについてはやはりメリットの丁寧な説明とともに、ロードマップの作成が重要であると考えております。ボリュームディスカウントというコストメリットが出るのが大前提とはなるのですが、もし早急に活用いただく自治体を増やしていくのであれば、早期に参加表明する自治体にインセンティブを与えるなどということも考えられると思いますし、中規模、小規模自治体によりメリットが大きいということであれば、そうしたことを具体的に早めに示していただきたいと思います。

最後に防衛についてです。安定財源の議論が棚上げされている点、非常に憂慮しています。支出だけが確定している一方、経済環境がいまいちよくないので、今ではない、今ではない、今ではないということが続くことは許されるべきではないと考えております。しっかりと議論を進めて国民と共有していっていただきたいと考えます。

以上です。

増田分科会長代理オンラインで参加の國部委員ですが、間もなく御退室とお聞きしました。國部委員、ここでどうぞ御発言ください。

國部委員防衛に関して2点、外交に関して1点申し上げます。

1点目は、防衛予算の財源について。防衛力整備計画に基づいて、令和9年度にかけて43兆円を投じるという歳出面の議論が前面に出ているのに対して、それを賄う所要の財源措置に関する議論が下火であることが大変気がかりです。足もとで税収が増加していることを背景に税制措置を先送りしようとする意見も聞かれますが、防衛力を維持、強化していくには、今回の計画期間が終わった後も恒常的に相応の規模の予算が必要となります。こうした性質の予算であることを踏まえれば、これを賄う財源も恒常的なものにしていくべきです。防衛財源の確保に向けた税制措置については、開始時期を含め、与党税制調査会において議論することとされています。税収が減る局面になってからでは、増税の判断が一層難しくなります。税収が増加傾向にある今だからこそ、しっかりと検討を進めておくべき事項であり、与党税制調査会においてなるべく早く議論を開始してもらう必要があると思います。財務省さんとしてもしっかり働きかけてもらいたいと思います。

2点目は、整備計画に基づいて行われる各事業の進捗や実現可能性の精査です。昨年末に取りまとめられた防衛3文書に基づいて防衛力を強化していくことは重要ですが、我が国を取り巻く環境が刻々と変化する中、あらかじめ定めた計画どおりに実行していれば国家の安全が守れるとは必ずしも限りません。毎年の予算編成に際して、改めて環境変化を的確に見極め、必要に応じて臨機応変に手当てを講じていく必要があります。最も重要なのは、現行の計画期間内に我が国の防衛力を強化すること。当初の予算や計画ありきではなく、事業の進捗や実現可能性を踏まえて、防衛力の強化につながる予算編成を是非ともお願いしたいと思います。

3点目は、ODAに関連して、官民連携による新興国支援について。ロシアによるウクライナ侵攻以降、G7を中心とするグローバルウエストと、中国、ロシアといった権威主義国のどちらにもくみしない、グローバルサウスの国々が経済的にも政治的にも無視できない存在として注目を集めています。実際、5月のG7や、今月開催された日米財界人会議など官民の様々な会合におきまして、グローバルサウスの国々との関係をこれまで以上に強化していくことの必要性が指摘されているところです。新興国との関係強化のツールとして、今後もODAやOSAが重要であることに変わりありませんが、我が国の厳しい財政事情に鑑みれば、支援額の大きさで勝負するのは現実的でないと思います。対象国のニーズや、我が国の高度な技術力に基づく質の高い支援を戦略的に行っていくことが求められます。その際、資料にもありますとおり、官民が連携することで、ODA金額を上回るインパクトを生むことを目指すべきと考えます。

国際開発金融機関や輸出入銀行などを含む公的機関が、債務保証を含め、民間だけでは完全にカバーしきれないリスクを引き受ける手法を構築できれば、民間企業としても新興国支援に携わりやすくなります。我々民間金融機関としても知恵を出していく必要があると思いますが、ODAを呼び水とし、民間投資を誘発する仕組みづくりに関係省庁も巻き込んで取り組むべきと考えます。

私からは以上でございます。

増田分科会長代理それでは、会場に戻して、佐藤委員からですが、あと9名の方が御発言の御要請がありますので、残り時間との関係でできるだけ手短にお願いします。すみません。

それでは、佐藤委員からどうぞ。

佐藤委員では、防衛費ですが、まず、本日御説明がありましたとおり、巨額の後年度負担が伴います。5年で43兆円ということですが、令和9年度を超えて、例えば円安で物価高などで後年度負担が野放図に増えるという事態は避けるべきかと思います。関連して、防衛装備品の適正化についてですが、アメリカの場合は会計検査院のGAOが国防費についても大きな役割を果たしてきていますので、その辺りが参考になるのではないでしょうか。また、安定財源の話が出てきておりますが、やはり継戦能力には財政の持続性が前提です。弾が切れる前に金が切れる事態は避けるべきかと存じます。

あと地方創生についてですが、今回の審議会では社会資本整備を含めて人口減少社会にどう向き合うかというのが大きなテーマだったと思います。それぞれの自治体が頑張るのは結構ですが、やはり人口減少を踏まえれば地域の再編成、コンパクト化、それから、自治体間の広域連携を目標に置くべきかと思います。

また、デジタル化については、国の行政だけではなく、地方のローカルルールの排除を含めた議論が重要です。地方自治とは言うのですが、地方自治というのは政策決定に関しての自治であって、業務は標準化すべきです。システムというのは業務の話です。

最後に、旅費制度の改正ですが、既に何人かの委員から御指摘があったとおり、現行の法律自体が古くて現状になじみません。現状に合わせること、手続の負担を軽減するという観点から財政規律を担保した上でということですが、見直しが必要かと思います。法律の改正を令和6年の通常国会で行うなど、迅速な対応を求められるかと存じます。

私からは以上です。

増田分科会長代理それでは、末澤委員、どうぞお願いします。

末澤委員私からは、防衛とデジタルについて申し上げたいと思います。

先ほども後藤主計官から御説明ありましたが、9ページのチヌークです。これはヘリです。実はこれは開発されたのが1950年代で、実際配備されたのは1962年です。これは初めて量産機が米陸軍に配置され、ベトナム戦争で使われた。つまり、もう60年使っていると。私は、216億という数字を見て相当びっくりして、自分なりに調べてみたのですが、ここ数年の調達価格で見ると、米軍は2021年に大体6機調達して、1機3,300万ドル、日本円でその当時であると30億円台で調達できております。ただし、どうもこの2年間で爆騰しているようなのです。

今年の5月にアメリカ国務省がドイツに60機のチヌークの売却。実はドイツは初めて調達するのですが、これを認めまして、7月議会で承認されています。議会というのはドイツの連邦議会です。この価格が何と60機で、セット価格で80億ユーロ、本体価格で60億ユーロ、つまり、1機160億円なのですよ。サポートなど含めて、これはFMSで輸入ですが、そうすると、大体210億円。日本も216億円ですから、これは妥当と言えば妥当なのですが、私は逆に思いまして、このままいくと、恐らくこんな価格で調達できないと。要は、この2年間、ウクライナ戦争、今、足もとでイスラエル・ガザ戦争が勃発して、実は欧州、ドイツも同じですね。ドイツも直近、国防費をGDP比2%にしている。それで今度、61機。日本が大体、今、63機ほど持っていますから、アメリカ、日本、次、イギリスだったのですが、ドイツがイギリスの上に来るようなことで、つまり、もう実はこの数年間でいろいろな環境が変わって、防衛費、この装備品の価格もどっと上がっている。大丈夫なのか。

大丈夫なのかというのでいくと、日本の場合、どうかということで、すみません。その後、13ページです。ここの話は以前も御指摘したと思うのですが、7年ほど前です。C2、大丈夫か、あとP1、大丈夫かということで、P1はその当時、7年前の説明では、これは一括調達するから、その後の価格上昇は抑えられるのであるという説明でした。ただ、このグラフを御覧いただくと、P1の価格上昇は同じ国産のC2とか、ライセンス生産のSH60と比べて、実は増加率は大きいのですよ。全くこれは一括調達の効果が発揮できていない。これはどうなっているかと。

SPY-7、先ほどの話。私はこれは本当に危惧していまして、もともと陸上のもので、アメリカといっても、陸上しか置いていない。艦艇に置くのが今回初めてなので、本当にどうなるか分かりません。実はこの防空システムというのは今、欧州では、欧州スカイシールド系、ここはドイツです。また、フランスではミストラル系と二つの大きなブロックシステム系が動き出して、世界中で取り合いになっているのですね。

では、アメリカは過去、そうしたときにどうしたか。実はアメリカは大型調達機計画はどんどんやめています。例えば1980年代、1990年代ですが、アメリカの攻撃型原子力潜水艦、シーウルフ級、これは29隻調達計画を最終的に3隻にやめて、バージニア級に変えて、今、オーストラリアと共同調達しようとしている。F-22ラプター、先ほどありましたが、これは第5世代戦闘機。当初、750機調達計画は計画が190機でやめて、もう今は生産も打ち切っています。つまり、あのアメリカでさえ、もう高いのはやめて置き換えている。

そのときどうしているかというと、当然、国防総省自身も検討しているのですが、例えばCBO、議会予算局から、もうやめたほうがよいと提案が出ています。つまり、議会から提案が出て、議会でもう承認されなくなってしまうので、もうやめたのです。そうしたシステムがあるということで、やはりそうした管理システムも日本もやはり早くつくらないと、これは2%にしても全然調達できない。防衛力整備計画が全然実行できないリスクが出てきているということを考えておいたほうがよいと思います。

また、デジタル。これも同じような話ですが、デジタルも19ページだったかな。以前、このグラフが出る前ですが、この話もデジタル庁ができるまで、なぜデジタルを進めるか。これは、要は、統合するとコストが削減できると。幾ら削減できるのですかということを五、六年前にお伺いしたら3割であると。去年、おととし、聞いたら、増えていると。これはなぜ増えているのであるというと、いや、これは古いシステムをやめて、新しくシステムと。これは別枠ですと。こんな計画はないのですよ。普通、民間でも、市場を見ると、いや、このシステムを入れたらこれだけ労務費とか落ちますよと。つまり、通常、民間では、このシステムを入れることでどれだけのコスト削減効果を受けるか。つまり、次のページのグラフだったと思うのですが、大体これが定量的に示されるというのが普通なのですよ。でないとそんなふうに予算を払う民間はありません。つまり、ここがないということが本当にデジタル化というものの大きな問題で、やはりこれは予算を取って、実際これを定量化して、この部分で幾らになるというのを同時に示して、後ほど検証する必要があるのだろうということでございます。

以上でございます。

増田分科会長代理それでは、芳野委員、どうぞお願いします。

芳野委員防衛、外交、デジタルについて意見を申し述べたいと思います。

まず防衛です。ロシアによるウクライナ侵攻やイスラエル・パレスチナ問題など、様々な国際的な脅威が顕在化する中、限られた財源の中で国と国民をいかにして守っていくのか、この点は幅広い国民的な議論とコンセンサスづくりが重要です。さきの国会審議では、防衛力強化やその財源確保策の必要性、妥当性に関する議論が尽くされたとは言えませんので、まずは国民に丁寧な説明を行い、政府としての説明責任を果たすべきと考えております。その上で、装備品の調達方法に関する今後の議論においては、労務費や原材料など、コスト増加分を適正に価格転嫁できる環境整備も必要と考えております。

次に、外交についてですが、日本のODAはGNI比0.39%にとどまり、OECDが求める水準の半分強にすぎません。人間の安全保障などの観点からODAの重要性は依然として高く、責任あるG7の一員として、戦略的、効果的な活用を前提に予算の拡充に取り組むべきと考えます。

最後に、デジタルについて2点申し述べます。

1点目は、ガバメントクラウドについてです。現在のガバメントクラウドは、いずれも米国の大手ベンダーが提供するクラウドサービスです。政府の情報システムの安全性を強化する観点からも、特に機密性の高い情報から国産クラウドサービスの採用を進める必要があります。そのため、国内産業を育成する観点から、コストありきではなく、データ主権、システム主権、運用主権など、経済安全保障の確保を重視した検討を進めていただきたいと考えます。

2点目は、デジタル行政の推進についてです。マイナンバー制度は、公正・公平な税制の実現に加え、国民生活の利便性向上に資する重要な社会基盤です。度重なるシステム不備による個人情報流出を重く受け止め、信頼回復に向けた個人情報管理体制の強化を早期に図るとともに、マイナンバー制度の一層の利活用を推進すべきと考えます。

以上でございます。

増田分科会長代理それでは、武田委員、どうぞお願いします。

武田委員3点申し上げます。昨今の国際情勢を見ますと一段と不安定性が高まっており、防衛も外交も質的な意味での改善の重要性が増していると感じます。ただ、そのような状況の中において、財源の議論が先送りされている点、そして、有事に備えた財政余力の観点が軽視されている点について懸念を感じております。国を守るということは、防衛費だけではなく、経済、金融、財政も含めた国力で考えていく必要があると考えます。

2点目は、今申し上げたこととも関係しますが、量の議論だけではなく、質の議論を深めていく必要があるのではないかと思います。技術や環境の変化を踏まえて、より実効性を高めてほしいと考えます。例えば防衛であれば、2番目のサイバー、これが非常に重要性を増しており、人材の確保ということを踏まえても、官民の有機的な連携や省庁横断での体制、これらが非常に重要になると思います。また、外交もこれまでの形だけではなく、ここは重要というポストにどれだけ日本として戦略性を持って人を送れているのか、ここが問われるべきではないかと思います。適切な調達コストや量のコントロールも大切ですが、戦略性を持って重点化していく、見直していく、そして、実効性を持たせる組合せを考えていく、こうした点について議論を深めていただきたいと考えます。

3点目にデジタルです。末澤委員がおっしゃったとおり、民間ではあり得ない結果になっております。全体のグランドデザインの中でどれだけ標準化ということを考えていらっしゃるのか。デジタルは一貫しないと、部分的に入れてもコストが下がりませんので、エンドツーエンドになっているのか。そして、業務改善とセットでその議論がされているのか。この3点について、見直しをお願いしたいと思います。

最後に旅費については、全面的に賛成でございます。公務員の方の効率性や安全性を考え、職務が適切に遂行できる環境を是非構築いただきたいと思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、木村委員、どうぞお願いします。

木村委員どうも御説明ありがとうございました。防衛も外交もデジタル、地方創生、いずれもうなずけるような御指摘ばかりであると思って、基本的に方向性は賛成でございます。その上でいくつかコメント差し上げたいのですが、防衛です。今回の防衛力整備計画は従来の中期防と違って、経済状況が大きく異なっている。要するに、一つは物価高、もう一つは円安です。それだけにコスト削減の努力は非常に重要になると思います。

皆様、御指摘されていますが、私もヘリのチヌークは、コストの単価の上昇に驚きまして、4年で単価が2倍、3倍ですか。末澤委員のお話を聞くと、更に上がっていくのではないかということで、それだけにライフサイクルコストを通じて、このプロジェクト管理の重要性が一段と増していると思うのですが、説明を聞く限り、非常に心もとない、資料に書かれているように、LCCの上昇要因として、まず装備品の選定・開発時において量産、運用も含めたLCCの算出ができていない。次に、運用段階でも想定できなかった機能・仕様の変更が多い。さらに、整備でも故障の多発などで費用が増加する。これではライフサイクルコストと言いながら、最初から最後まで一貫してコストを管理できていないと。このライフサイクルコストというのは名ばかりではないのかという印象すら持ちます。

今回の計画というのは、43兆円という、資料でも指摘されたように、極めて大規模な計画で、なおかつ、防衛費の財源というのは増税で国民に負担を求めるわけですから、それならばコスト管理をより徹底していくことは欠かせないと思います。プロジェクト管理のガバナンス強化をするために、御説明あったように財政当局との協議をプロセスに加えるというのは是非検討していただきたいと思います。

その関係で、1点申し上げたいと思うのですが、総理が今回指示された所得税の減税です。要するに、防衛費増額のために所得税を片方で増税して、その一方で、所得税を突然減税するというのは極めて分かりにくいと思います。所得税を減税するから防衛増税を延期するという話も出ていますが、安定財源の確保を先送りにするのは極めて無責任な話です。なおかつ、延期という小手先の対応で、減税と増税という矛盾した話が解決するわけでもありませんから、ここは何らか、本来考え直していただきたいと思います。

それからもう1点、デジタルに関して申し上げたいと思います。これは皆様おっしゃっている情報システムの運用経費です。3割削減の目標を達成したという絵姿になっている一方で、総額では増加したというのは、これは一般の納税者から見ると極めて分かりにくくて、説明されたとおり、情報システム、予算の総額をコントロールする目標の設定は当然であると思います。多少甘い目標でも、目標自体がなければ議論できないわけで、予算のコントロール、これを統一的にコントロールするのは政府のデジタル政策を統括するデジタル庁の最も重要な役割のはずですから、それをやらなければ何のためにデジタル庁を創設したのかという議論にもなりかねないので、ここはしっかりやっていただきたいと思います。

以上です。

増田分科会長代理ここでオンラインにまた移りますが、発言希望者が少し増えましたので、滝澤委員、宮島委員、福田委員、小林委員、遠藤委員、この順番で御発言いただきます。すみませんが、ごくごく手短にお願いします。

滝澤委員からどうぞお願いします。

滝澤委員まず、コスト削減を目指し、ライフサイクルコストを一貫して管理することについては適切であると思います。これに関連して、第一に、御承知のとおり、防衛装備品は資本として蓄積されて、将来にわたって国防サービスを生産するものとの定義から施行がされるようになりました。そのため、防衛関係費増加によりGDPが増加しますが、どの程度、押上げ効果があるのかを検討すべきと思います。

第二に、コストを抑えることは重要ですが、同時に利益率があまりにも低いと、防衛事業から国内企業の撤退の増加が生じると考えるのが自然だろうと思います。この点をどのように考えるのか、輸入依存度を高めるのか、あるいは国内の産業育成に力を入れるのか、国家として方針を明らかにする必要があろうかと思います。

私からは以上です。

増田分科会長代理それでは続いて、宮島委員、お願いします。

宮島委員まず防衛ですが、この前、議論して、すごくしっかり計画をつくったので、ある程度は、国民は大丈夫だろうと思っているのではないかと思うのですが、最近の物価高や為替の状況を考えると、一般的に考えてもあのままではいかないのではないかという不安があります。調達契約ですとか、プロジェクト管理は御提案のように賛成ですが、その状態を国民に見せていくことも大事だと思います。

といいますのは、防衛を見ると、これは大変であると思うのに、世の中では今、まるで税金が余っているかのような、還元という単語で議論がされているわけです。防衛を見ると本当にまずいと思わざるを得ないので、防衛として随時の見直しや状況をある程度丁寧に説明して、やはりみんな普通は忘れている。防衛のことはふだん考えていませんので、時々考え直す必要があるような状況をつくることも必要なのではないかと思います。例えば万博の経費がどんどん膨らんでいることについては、もちろん批判は来ますが、何も知らずに最後にえらいことになったと知らされるよりは、国民にとってはずっと良いと思います。

それから、デジタルですが、コロナのとき、地方の行政が、国がいろいろな旗を振っても、その真意ですとか目的を必ずしもそのまま受け止めて動いてくれるわけではないということがよく分かったと思います。デジタルはトータルの話なので、特に地方に関しては人材も含めて、そして、民間も含めて目配りしながら進めていく必要があると思います。その上で、今回できるデジタル行財政改革の会議には大変期待しておりまして、その期待、それから、これをしてほしいということは建議にもしっかり書いていただきたいと思います。

特に、人材は必要であるということだけでは物事は進まなくなっていて、本当に人手の足りなさやノウハウのなさをどうやってケアしていくかというのは現実的な問題なので、実行に関して具体的に示していくことが必要だと思います。移行期の二重負担に関して、この前も申し上げましたが、後ろをしっかり区切って、いつまでにはちゃんと仕上げなければいけないということを節約の考えとともに示したいと思います。

旅費に関しましては、本当に実態に合っていないと、そうでなくても公務員の成り手が減っていることが今問題になっています。公務員の在り方を議論していますが、民間の、ごく普通の、しっかりやっているところの普通の状況は満たせないと、公務員の成り手がなくなってしまうと思いますので、今回の提案も含めて、民間の普通並みの待遇を整える必要があると思います。

以上です。

増田分科会長代理続きまして、福田委員、どうぞお願いします。

福田委員私は、外交と旅費制度に関して簡単に1点ずつコメントさせていただきます。

まず外交に関して、たまたま外交とデジタルがセットで御説明になっていたわけです。外交におけるデジタルの役割の重要性というのは非常に高まっているということであると思います。事務局の資料にありますように、外交は情報戦という色合いをかなり強くしていますので、そうした面に関してはむしろ強化していくことは大事なのだろうと思います。他方でデジタルを使って費用を節約できるという面も外交にはあるのではないかとは思います。外交ですので、全てがリモート会議でということではなかなか済まないこともあるとは思いますが、リモート会議がここまで便利になった状況では、リモート会議をうまく利活用することで外交の費用をある程度抑えるということも同時にできるのではないかと思いますので、そうした点は御検討いただければと思います。

それから、旅費制度に関しては、私は半分利害関係者でもあるのですが、実態として、本当にニューヨークに規定料金では到底出張は現状できません。東大の場合には、そうした意味では、規定料金の2倍までの範囲であれば実費で支払うということを認めてもらってはいます。ただ、実費支給というのは、やはり事務職員の負担はかなり大変で、規定料金で手続のほうが事務職員はかなり楽で、一人一人違う金額を、領収書等を残し、保存して計上するというのは結構大変のようなので、そこら辺は少し工夫していただくということはあるかとは思いました。

また、上限を設けるということも私も大賛成ですが、ホテル代というのは本当に日によってかなり変動しまして、たまたまニューヨークでイベントがあったりするととてつもない金額の料金になったりもしますので、そこら辺は多少、正当な理由があればフレキシビリティーを持たせていただければと思いました。

以上です。

増田分科会長代理それでは、小林委員、どうぞお願いします。

小林委員外交と防衛について1点と、それから、地方創生について1点、2点言います。

外交、防衛についてですが、その外交戦略と防衛戦略が日本の場合、統合的にというか、一貫性のあるものになっているのだろうかというところに、必ずしもそう言えないのではないかという気がします。例えば、特に中国について、安全保障上は軍事的な拡大を抑え込んでいきたいということであり、経済安全保障の議論をその立場でされているわけですが、一方で、マーケットの実態としては、中国の存在が非常に大きいということなので、グローバルな経済の中から中国を切り離すということは非現実的であると。そうした意味で、日本の経済面での外交戦略と、それから、安全保障面での防衛、外交戦略というのは少しコンフリクトがあるのではないかというようなことを常々感じておりまして、それは必ずしも日本に限ったことではないのかもしれませんが、アメリカ、ヨーロッパなどでも同じようなことが言えるのではないか。

安全保障と、それから、経済の面での国家戦略にコンフリクトがあるということに対しては、時間軸をしっかり入れて議論することが必要なのではないかと思います。10年、20年というところまで、将来、10年、20年先の将来までで見れば、中国とアメリカの対立のようなことが非常に重要に見えてくるわけですが、50年先まで見るということを考えると、覇権争いの後の安定した社会秩序が構想できるということではないかと思います。そうした意味で、今後、50年先ぐらいまで展望して、外交や安全保障の総合的な戦略を描いて、それからバックキャストして、現在の防衛予算あるいはODA予算というものをその最適な配分を考えていくという施行の仕方が必要ではないかと思います。これは前に御紹介したフューチャーデザインの考え方そのものですが、主計局で取り組まれている財政教育としてのフューチャーデザインだけではなくて、こうした国家の外交安全保障戦略を統合的に考えるためにも、このフューチャーデザインのような手法を活用していければよいのではないかなというように思います。これが1点目。

二つ目、地方創生についてですが、これは前にも、社会資本整備のところでも申し上げましたが、人口減少の中で、全ての自治体が同じように発展するということはもう望めないと。そして、衰退していく地域と成長していく地域の格差が広がるということは不可避なのだろうと思います。そうした意味で、有限な政策資源を発展すべき地域に集中投入するという選択と集中が必要であると思いますし、そのためには自治体の行政単位がもっと柔軟に変更できるような仕組み、あるいは令和の大合併がもっと柔軟にできるような仕組みが必要ではないかと思います。そのために、市場の競争による調整の力が働くような工夫も必要ではないかと思いますが、それは具体的には地方債の発行制度について、地方債の債務不履行が起き得るような制度にしていくということが考えられるのではないかと思います。地方債が、自治体によっては債務不履行が起こり得るという環境になれば、その自治体の成長力あるいは将来性というものが資金調達の力に反映されて、結果的にそれが自治体間の選択と集中を進めるということにつながると思います。是非このような制度設計の議論を進めるべきではないかと考えております。

以上です。

増田分科会長代理それでは、遠藤委員、どうぞお願いします。

遠藤委員大変重要な防衛力増強のための恒久財源について議論が深まらないままに、まして、減税の議論が今進んでいることに非常に違和感を感じています。これは皆様と同じです。防衛装備品につきまして1点だけ。政府資金をいかに多くつぎ込むかということ、それで自国の優位性を確保するのかという議論に終始しているところがあるのですが、そこに終始せずに、民間の安全保障に関わる研究機関、防衛装備の生産活動の促進に資する制度整備等についてもしっかり検討する必要があるのではないかと思っています。防衛産業においては民間が主体であって、長期の開発、製造を行う必要があるので、ファイナンス上の難易度はもちろん、バランスシート上の投資効率の改善について、市場からの圧力には強いものがあります。例えば設備を国が保有して貸し出すなどの工夫などの仕組みを導入することが必要なのではないかと思う次第です。

また、防衛省を受注先とする宇宙などのベンチャーは、ヒアリングすると、いかに補助金をもらえるかというよりも、むしろ発注の予見性であるとか安定性のほうを欲しがっている会社が多いです。これは科学技術の議論にもつながると思うのですが、企業が中央研究所をそれぞれ持ち続けていくということの難易度も上がっています。アメリカの例ばかりを取り上げる必要もないとは思うのですが、例えばもう少し国研の活用の仕方とか、そうしたものを考えていく必要があると思います。こうした総合力で防衛力の増強に向かっていく必要があるのだろうと思っております。

以上です。

増田分科会長代理それでは、会場に戻りまして、大槻委員、どうぞお願いします。

大槻委員ありがとうございます。まず防衛についてですが、人の問題ということに少しお話ししたいと思うのですが、今までの資料ですと、志願者不足の問題等が指摘されていたところですが、今回それがないと。調べてみるとやはり減っているということなので、ここについて、いかに志願者を増やすか、魅力ある職場にしていくのか、給与の問題、これもやはり民間の人件費が高騰している中であると厳しい環境になっていることは間違いないと思いますので、いかにしてこれを改善していくかということ。それから、同じく人の問題ということで、研究開発です。もちろん民間のほうの力もということですが、一方で、予算手当もされており、基礎研究等もしていくということで理解しています。しかしこれは時間もかかる問題であると思いますので、できるだけ早急に、かつ手厚くやっていただきたいと思う次第です。

それから、デジタル関係でございます。ガバメントクラウド、これは努力義務ということですが、やはり様々考えて早急に進めていただきたいと思っています。それは経費の削減ということもそうですが、もっと中長期的にはタスクシフトということで、より対人的な業務をやっていただきたいということが一つありますし、それから、データはこれから増える一方であるということも考えれば、クラウド化は避けられないと思っております。加えまして、中長期的には民間とつなぐということも考えれば、これは標準化されたデジタル化ということが重要であると考えています。

そして、最後に、国家公務員の旅費についてですが、もちろん賛成でございます。皆様がおっしゃったとおり、上限についてもその通りと思うのですが、6ページ目の証拠書類、これはできれば簡略化されてはと思います。一方で、そもそもこれだけ旅費が上昇している中であると、もっとオンライン会議等も活用し、もちろんやっていらっしゃると思いますが、旅行、出張自体のB/Cというか、それをより慎重にやっていただきつつ、ということかと思っております。

以上です。

増田分科会長代理それでは、中空委員、どうぞお願いします。

中空委員何点か申し上げたいと思います。

まず防衛についてですが、この財審の文脈でいくと、43兆円の死守、それから財源を明確化する、効率的に運用するということに尽きるのであるとは思います。ただ、今の地政学的リスクを考えると、本当にこの金額で足りているのかという漠とした不安は残ります。ということを考えると、この先、何が必要かと思うのです。金融市場にいると地政学的リスクと軽々に言うのですが、言っても、ヘッジしようがないというのが正直なところで、それは国としてどうするかというと、これは武田委員もおっしゃいましたが、戦略的に外交をまずはやるということなのであると思うのです。外交の中で説明があったODA、OSAというのをどれだけうまく連携できるかということが必要になってくると思います。そもそも、財政に余力を残しておこうということが何よりのバッファになると思うので、これは建議で強調するべきではないか、と思います。さらに、円安は更に進む可能性が高いと考えますが、そうした外部環境で、毎度毎度ぶれてしまうというのもどうかなと考えます。この構造問題をどうするか。かといって、全部自前にしましょうというのもとても安易なので、あらゆる経済環境のもとで簡単にぶれないことをどう実行すればよいかというのを考えなくてはいけないと思います。

以上が防衛で、もう一つ、デジタルについてですが、ガバメントクラウドや、それを利用して地方創生が活性化していくというのはとても良いことであると思います。それを期待したいと思います。ただ、その際、費用の効率化のみならず、標準化することと、同時にベンダーロックインを回避するという方向的には逆の話をどうバランスを取るかということ。それから、これは芳野委員がおっしゃいましたが、クラウドの提供者が全て海外勢であるということについてのリスクはあるのか、ないのか。うまく活用しながら、コントロールもしていく必要があると思いました。

最後、もう一つだけ。小林委員から地方自治体のデフォルトの話が突然出されたのですが、クレジットをずっとやってきたものとしてはとても危険なこと、発言に感じました。とはいえ、よくよく考えて、小林委員の話も聞いて考える必要があると思いました。

以上です。

増田分科会長代理ありがとうございました。委員からの御発言は以上にさせていただきます。

それでは、御質問がありましたので、どうされますか。この場でお答えするか、あるいは直接、河村委員にお話ししていただいても結構です。それでは、時間は2分ほどでお願いします。

山本給与共済課長手短にお答えします。一つ目、上限付実費について御質問がありました。円建てとするのか等についてですが、これは今後、具体的に検討しますが、いろいろな通貨がありますので、基本的には円建てにならざるを得ないかと思っています。ただ、法律から政省令などに落としまして、ある程度、変更ができるようなものにしますし、定宿といいますか、いつも泊まるようなところを決めまして、ある程度柔軟に対応できるようにしたいと思っています。

二つ目、支度料ですが、過去1年以内に支給を受けたものを調整する等の規定があります。内容は、例えばスーツケースの準備であるとかそうしたものに使われる経費と考えていますが、これは今回整理して、旅行雑費に統一いたします。

三つ目、代理店についてですが、これは民間でもやっているプラクティスかと思います。また、今、実は現状、法律はあるものの代理店を使っている場合もありまして、御指摘、不正がないようにということですが、そこもよく勘案しつつ、また、今後、政府側のシステムも開発をかけていきますので、代理店を使った場合により簡便、かつ不正がないような経費処理ができるようにしたいと考えています。

以上です。

増田分科会長代理御協力いただきましてありがとうございました。

本日の議題は以上とさせていただきまして、この後、会議の内容は私が記者会見でお話ししますので、個別の対応はなさらないようによろしくお願いいたします。

次回は11月1日、来週水曜日の14時から分科会としての開催を予定しておりますので、どうぞよろしくお願いします。詳細はまた事務局から追って御連絡させていただきます。本日はこれにて閉会いたします。どうもありがとうございました。

午前11時00分閉会