財政制度等審議会財政制度分科会歳出改革部会
議事録
財政制度等審議会財政制度分科会歳出改革部会議事次第
令和5年10月11日(水)14:00~15:40
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)
-
1.開会
-
2.議題
文教・科学技術
国内投資・中小企業
3.閉会
部会長代理 |
土居丈朗 |
神田副大臣 矢倉副大臣 瀬戸大臣政務官 佐藤大臣政務官 新川主計局長 寺岡次長 前田次長 吉野次長 大沢総務課長 木村主計企画官 三原司計課長 西村法規課長 山本給与共済課長 横山調査課長 有利主計官 山岸主計官 小野主計官 佐久間主計官 小澤主計官 寺﨑主計官 端本主計官 松本主計官 漆畑主計官 尾﨑主計官 小野寺主計官 石田予算執行企画室長 西尾主計企画官 小田切公会計室長 |
||
委員 |
秋池玲子 河村小百合 熊谷亮丸 武田洋子 安永竜夫 |
|||
臨時委員 |
上村敏之 遠藤典子 小黒一正 木村旬 末澤豪謙 田中里沙 堀真奈美 神子田章博 吉川洋 |
|||
オブザーバー |
大槻奈那 芳野友子 國部毅 平野信行 |
午後2時00分開会
〔土居部会長代理〕それでは、定刻になりましたので、財政制度等審議会財政制度分科会歳出改革部会を開催いたします。
本日は冒頭からカメラが入りますので、そのままお待ちください。
(報道カメラ入室)
〔土居部会長代理〕ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会歳出改革部会を開催いたします。皆様におかれましては、御多用中のところ御出席をいただきまして誠にありがとうございます。
議事進行につきましては、部会長代理の土居が務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
本日は冒頭から、神田副大臣、矢倉副大臣、瀬戸大臣政務官、佐藤大臣政務官にお越しいただいております。誠にありがとうございます。
本日の議題は、文教・科学技術、国内投資・中小企業としております。
それでは、このあたりで報道関係者の皆様は御退室をお願いいたします。
(報道カメラ退室)
〔土居部会長代理〕それでは、事務局説明に入ります。まず、寺﨑主計官から文教・科学技術につきまして、簡潔に御説明をお願いいたします。
〔寺﨑主計官〕文部科学担当主計官の寺﨑でございます。よろしくお願いいたします。文教・科学技術の資料について御説明申し上げます。
まず1枚おめくりいただきまして、最初、目次でございますが、義務教育、高等教育、科学技術、文化、大きく分けてこの4点について御説明したいと思います。
1枚おめくりいただきまして、2ページです。義務教育段階の教職員の人件費、義務教育の国庫負担金と申しますが、これにつきましては、左の図にありますとおり、教職員の定数が児童生徒数に比して減少しておりませんので、定数面での充実は相当程度進んできているという状況にございます。
1枚おめくりください。一方、教師の成り手がいないという意味での教師不足が問題となっておりますが、右上のグラフのとおり、新卒の受験者数は一定数を維持しておりまして、教師不足の原因は、多くの教員が定年を迎え、大量採用を行ったことであるということがうかがえるところでございます。冷静な議論が必要であるということでございます。また、人手不足は日本の多くの業種における共通の課題であるというふうに思いますので、学校においても数に頼らない教育への転換が求められていると考えられます。
次のページです。一方、教員の質を確保するために、教職の魅力を高める取組というのは非常に重要であろうと考えております。学校における働き方改革の取組ですが、十分とは言えない状況でございまして、これまで予算を大幅に拡充してきた外部人材について、より効果的な配置、活用を図る必要があると考えております。また、教員が子供に向き合う時間に専念できますように、文科省、教育委員会などが、教員がやらなくてよい業務を、より明確に、トップダウンで整理するべきだろうというふうに思っております。
次のページです。教職の魅力を高めるために給与を改善すべきという御議論もございます。時間外勤務手当の代わりに支給されております月給4%分の教職調整額が教員の平均在校時間に比して少ないという点は理解するところでございますが、一方で、教員の給与については、時間外勤務手当を含む一般行政職の給与よりも年収ベースで高く、民間の賃上げの影響は人勧などを踏まえて反映される仕組みになっている点も踏まえた議論が必要と考えます。また、右の図にありますとおり、特定の主任業務に就く方は負担が大きく、メリハリある給与体系とすることも必要だろうというふうに思います。
次のページです。教員の処遇改善の一環として、貸与型の奨学金について、教員に対する返還免除を認めるべきという御議論もございます。財審や文科省の検討会において、ほかの職業との公平性などの観点から問題が指摘されまして廃止されたという過去の経緯もございますし、ほかにもこちらの資料の左側に列挙したような課題もございますので、慎重な検討が必要であろうと考えます。
次に、まとめのページは飛ばさせていただきまして、高等教育に入らせていただきます。9ページ目でございます。
高等教育の在り方を検討するに当たっては、18歳人口の減少という構造変化を念頭に置く必要があると考えております。特に私立大学については半数以上が定員割れを起こしている状況で、このような厳しい環境の中で、国立大学も含めて、大学は組織改革、他大学との連携、それから定員規模の適正化などにより戦略的な経営判断を行う必要があると考えます。
次のページです。大学への大きな支援としては、国立大学に対する国立大学の運営費交付金、それから私立大学に対する私学助成というものがございますが、まず国立大学の運営費交付金については、法人化以降、約1,400億円減少したという御指摘がございます。しかし、中身を分析しますと、その多くは教育研究とは直接関係のない特殊要因によるものでございまして、一方で補助金などが増加しておりますため、国立大学への公的な支援全体で見れば増加しているということが言えるのではないかと思います。
次のページです。教育研究に、より大きな実績、成果を出している大学に国立大学の運営費交付金を多く配分するという意味でのメリハリづけ、これは大切な課題であろうと考えております。一方、これまで取り組んでまいりました基幹経費の共通指標に基づく配分につきましては、仕組み上、メリハリがつきにくく、あまり成果が上がっていないというのが現状であろうと思います。
次のページです。こうした現状を踏まえますと、基幹経費以外の部分も含めた国立大学の運営費交付金全体でメリハリづけについて、より深化を図る必要があるというふうに考えておりまして、新たな取組といたしまして令和4年度より、基幹経費から財源を捻出する形で組織改革に対する支援を行っております。令和5年度には予算枠を拡充しておりまして、この組織改革の支援について、更なる充実、メリハリの強化を図っていくべきと考えます。
次のページです。私学助成につきましても、定員割れ私大等への交付額割合が大きい補助メニューがあるなど、メリハリが十分ではない状況でございます。
次のページです。そのような中、今回特に取り上げておりますのが私立大学の定員管理の取組についてでございます。18歳人口の減少を踏まえますと、各大学が積極的に取り組むべき課題であると言えると思います。一方、今年の春に行いました予算執行調査によりますと、定員充足率が9割未満の大学の8割は収支差がマイナスという状況にもかかわらず、そうした大学のうち定員充足率を改善するための具体的な方策を策定していない大学が4割を占めるということが確認されました。学生数を踏まえ、定員規模を適正化することで、大学設置基準で求められる教員数などが減りますので、大学運営の健全化を図ることができます。補助金の配分に当たっては、定員規模の適正化に向けた具体的な対応策を策定することを補助要件とすべきではないかと考えております。
次のページです。少し話題変わりまして、高等教育の負担軽減についてでございます。高等教育の負担軽減としては、修学支援新制度について、こども未来戦略方針において令和6年度より、多子世帯及び理工農系の学生の中間層に対象を拡大することに加えて、多子世帯の学生等に対する授業料減免について更なる支援拡充を検討するということとされております。その拡充の在り方を考える際には、修学支援新制度が真に支援が必要な低所得世帯の方を対象としている点、それから、高等教育を受けていない方も含めた国民全体の負担となる点なども踏まえて検討すべきであると考えます。
次に、科学技術についてでございます。18ページです。
日本の科学技術予算の対GDP比は、主要先進国と比較して遜色ない水準にございますが、より生産性を高めていく取組が必要であると考えます。
次のページです。科学技術予算の生産性を引き上げる取組として今回特に取り上げさせていただいておりますのが、若手研究者の活躍機会の多様化でございます。左のグラフにありますとおり、トップリサーチャーの半数以上は40歳未満である一方で、右のグラフにございますとおり、日本の大学の本務教員に占める若手研究者の割合は減少しておりまして、若手研究者の登用は進んでいないという現状にございます。
次のページです。こうした現状を打破するために、大学においては、自校出身者が本務教員となりやすい人事制度の改革、それから各部局に固定的な割合で配分されがちな研究費の配分方法の見直しに取り組んでいただく必要があると考えておりまして、国としてもこうした取組を積極的に評価すべきと考えております。資料の青囲みのところですが、過度な内部からの人材登用は研究課題に慣性を起こしてイノベーションの妨げになるという御指摘もありますし、研究費の固定的な配分については各大学の強みを生かすような組織改革の妨げになるというふうに考えております。
次のページです。将来の優秀な研究者を確保するためには、研究者を志す学生が将来のキャリアパスを具体的に見通せるということも重要であると考えています。大学に残る、民間企業に勤める、それから国研で研究を続けるなど、キャリアパスを多様化することが大切だろうというふうに思います。一方で、左の調査結果にありますとおり、企業が期待する能力と、博士として育成される人物像の間にはギャップがございます。また、右の調査結果のとおり、半分以上の大学が産業界のニーズを把握していないなど、ミスマッチが生じているところでございます。
次のページです。こうしたミスマッチの解消策の一つとして、産学連携をより推進していくことがあるというふうに考えます。企業にとっては博士人材のイメージを改善することにつながりますし、大学にとっては民間企業の具体的ニーズを把握したカリキュラムの見直しなどにつながると考えております。また、産学連携に当たっては、大学本部が組織的に連携を進めることで、大学の持つ高い付加価値を反映した研究費を受託し、財源調達の多様化にもつなげることができると考えています。
次のページです。科学技術予算に関する別の切り口として、研究力強化に具体的につながっているかについての評価の枠組みを強化すべきという点を取り上げております。定量的な成果目標に基づく事業内容の見直し、それから民間資金獲得による自走化を進めるなどの仕組みづくりが必要であるということでございます。
最後に、文化についてでございます。26ページです。
左のグラフにありますとおり、国指定の文化財の件数は年々増加しておりまして、文化財の修理財源の確保が課題となっております。我が国の文化財の入場料は、欧米に比べて低額でございまして、文化財を活用して収入を増加させることも検討すべきと考えます。
次のページです。文化財の所有者、個人が文化財を所有しているケースなど、収入増を図ることが困難なケースというのもございます。そうしたケースの場合には、国が寄附のプラットフォームをつくって、文化財保護を応援する寄附者と文化財所有者をつなぐ仕組み、こうしたものを構築するということも検討するべきであろうと思います。
次のページです。博物館・美術館についてでございますが、我が国の国立博物館・美術館の収入全体に占める自己収入の割合は、諸外国の主要な博物館・美術館に比べると低いということがございます。適切な水準の入場料の設定、クラウドファンディングなどの多様な資金調達の実施により、自己収入の拡大に向けた取組を進めるべきと考えます。左下に、少し報道などがございました国立科学博物館のクラウドファンディングの事例を載せさせていただいておりますが、開始初日に目標金額に到達したということでございます。
次、最後のページです。子供の文化芸術鑑賞の支援ということでございますが、文化庁が学校・地域における文化芸術団体による巡回公演などを通じまして、子供の芸術の鑑賞機会を提供する取組というものを支援しております。こうした取組自体は子供の豊かな創造性を育むという観点から、我々としても意義のある取組であるというふうに考えておりますが、仮に恒常的な取組とするのであれば、修学旅行、その他の課外活動などとのバランスも踏まえた支援の在り方というものも検討するべきであろうと考えているところでございます。
以上でございます。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
続きまして、佐久間主計官から国内投資・中小企業について、簡潔に御説明をお願いいたします。
〔佐久間主計官〕担当主計官の佐久間でございます。よろしくお願いいたします。
国内投資・中小企業の、まず2ページ、国内投資のところを御覧ください。
まず国内投資の必要性については、春の財審の建議にも書いてあるとおり、デジタルの基盤である半導体等の重要物資の国内の供給基盤確保の必要性ですとか、GX分野の官民挙げた取組が求められている状況でございます。
3ページから、現状や、お金をどのように出すかというところを見ていきたいと思いますが、企業収益は大企業を中心に改善し、設備投資額は、右にあるとおり、バブル期並みの水準に迫っているような状況でございます。
4ページを御覧ください。このような状況ですが、企業の現金・預金量は、左側にあるとおり、一貫して中小企業を含めて増加している状況でございまして、足もとでは過去最高の350兆円に到達しているというような状況でございます。
5ページを見てみますと、こちらは先月の財審で配付した資料でございますが、いわゆるISバランスについて、一般政府が赤字、一方で企業部門が貯蓄超過となっている状況をどのように活用するかというところでございます。
6ページを御覧ください。ここは状況のこれまでの変化でございます。御案内のとおり、世界的にインフレになっているところでございまして、供給を増やすために設備投資等をする場合に、大規模な施設の造成が入ると、どうしても供給増の前に需要増が来てしまい、インフレになってしまうという難しさが足もと生ずるということでございまして、具体的なものとして、左側の図は、IMFが20年以上かけて17か国で調査した、財政支出を毎年1%ずつ増やし続けると毎年どれぐらいインフレが続くかというものでございますが、最初の一、二年は0.5%程度ですが、その後は0.75%程度インフレが続くということで、財政とインフレはそれなりの感応度があるというものでございます。右側は足もとの日本の状況でございますが、生コンが20%以上増加しているなど、これは建設資材ですが、当然B to Bだけでなくて、住宅などB to Cにも利くようなものでございまして、両方の難しい関係が足もとであると、留意しなければならないということを示しているものでございます。
7ページからは、大きな支出には財源をというようなところを国際的に見ていきたいと思います。アメリカのIRA、いわゆるインフレ抑制法です。気候変動対策などをやるために財源を確保したというもので、この法律単体では歳入超過になっているというものでございます。
8ページはヨーロッパの状況でございます。こちらもグリーンやデジタルなどをやっていくために財源を確保するというものでございまして、右側にあるとおり、プラスチック賦課金のように導入済みのものとそうでないものがございますが、いずれにせよ財源を確保する試みがなされているというものでございます。
9ページは日本の状況でございます。今年の通常国会でGX推進法が成立しまして、10年間で20兆円規模の政府支援、また民間投資を引き出して、官民で150兆円以上の投資をやっていこうというようなスキームでございまして、10ページを御覧いただきますと、具体的な財源の仕組みとして、左にあるとおり、当座はGX経済移行債を発行して歳出の資金を確保しつつ、将来的には、右にあるとおり、FITや石石税の隙間の部分を財源として活用していこうというものでございまして、下にあるとおり、既に活用が始まっているというものでございます。
11ページでは、具体的に半導体を見ていきたいと思います。諸外国での半導体の産業支援、いずれも研究開発だけでなく、いわゆる製造といったところにも支援を始めているようなところでございますが、例えばアメリカのCHIPS法を見てみますと、青いところの3行目、支援形態というのがありますが、プロジェクト総額のうち5~15%の範囲内で資金援助するというふうに具体的に割合が書いてあったり、融資や政府保証を定めていたり、また、その下の※で、補助を受ける者は、懸念国での半導体製造能力の拡張を伴う重要な取引を10年間行わない等の条件が付された上で資金援助を行うというような仕組みになっているということでございます。
12ページを御覧ください。ここから各国がコミットしている資金規模を並べたものでございますが、総額では左側のアメリカが多いところでございますが、丸印のところ、これは支援額の対GDP比を並べたものでございますが、これを見ますと、日本は去年、おととし、既に基金に資金を入れたものは0.37%、GDP比でございまして、これは米英仏より既に高く、ここに仮に0.2兆円以上支出するとドイツをも上回るというような規模で既に半導体支援をコミットしているというような状況でございます。
13ページを御覧ください。これは供給力増をどこまでやるのかというような留意事項でございますが、半導体は需給の変動が激しく、シリコンサイクルと呼ばれるような数年周期の景気循環がございますが、今はどちらかといえば後退期というふうに言われていまして、これがどこまで続くのかというところと、また、需要も伸びると言われていますが、供給も今、各国で伸ばしているところですので、どのようになっていくかというところに留意が必要であると言われております。
以上が国内投資でございまして、続けて15ページから中小企業を御説明いたします。
こちらは近年の中小企業対策費、昨年までも御説明しておりますが、コロナ禍で未曽有の水準まで増加しておりまして、左にありますとおり、リーマン・ショックや東日本大震災でも2兆円台だった、当初補正等込みにおいてです。右側を見ますと、コロナ禍では30兆円以上予算を計上してきたというようなところでございまして、こちらについては例示で、左下に事業再構築補助金の申請件数が減少傾向にあることや、右側で信用保証の新規の承諾金額については、いわゆる令和2年度だけ上がっていますが、3、4は平時のような水準であるというところにも留意して、正常化を早期に、事業者の状況を見極めつつ見直していくべきではないかと考えております。
16ページ、足もとの状況を統計的なところで見ていきたいと思いますが、コロナ禍で大きな影響を受けた飲食業について左下に書かせていただいておりますが、この業況判断DIを見ていただきますと、いずれの地域も、赤い点線のコロナ前より、一番外側が直近の状況ですが、状況がコロナ前の水準を超えて回復しているというのが見てとれます。また、その右側でカラフルに、1や2や3と数字が書いているところを見ていただきますと、真ん中辺りがコロナ禍なのですが、ピンクの①の辺りは需要が停滞しているというものですが、足もとではこれが4位まで落ちていまして、代わりに水色が仕入れ単価上昇で、黄色が人件費増ということで、売れるのだが仕入れが上がるというような状況が足もとの飲食店の問題点であるというような回答になっているところでございます。
これを踏まえますと、17ページを御覧いただければと思いますが、やはり転嫁対策をしっかりやっていくというところが重要であるということで、日本で久しぶりにインフレになっている中で価格転嫁を行えば、収益を上げ、賃上げに回せるので、これがまた消費に結びつくというような好循環を生み出していくことが重要であるということで、左側に足もとの取組が書いてありますが、こうしたことをしっかりと重点化してやっていくことが必要ではないか。また、右側には中小企業の支援策の一つの代表例である生産性革命推進事業を書かせていただいておりますが、こうしたものについても、効果が明らかでないものは大胆に見直すなどの不断の取組が重要ではないかと、状況の変化に応じて見直しが必要ではないかと考えているところでございます。
ここに四つのメニューがありますが、例えば下には事業承継・引継ぎ補助金というようなものがございますが、関連して18ページで企業規模別の労働生産性、特に足もと、日本は恒常的な人手不足の状況になっています。見ていただきますと、左側は、大中小と規模が大きくなるほど、1人当たりの付加価値、いわゆる労働生産性が高くなっていると、その大と小の差を取ったものが右側の絵でございます。ですので、こうした観点を留意する必要があるのではないかというふうに考えております。
19ページのところで、正常化というところで一つ、コロナ禍でやって続けているものの例示を取っております。これは、取り方としては、経済産業省所管においてコロナ対応が本格化した令和2年度補正予算以降に措置された基金、32基金で約19.6兆円ございますが、これは燃料油、グリーンイノベーション基金に次ぐ三つ目の大きさですが、コロナに特化という点ではこれが一番大きいということで取り上げました。
まず、左にあるとおり、残高が5,600億円残っているのと、右にあるとおり、コロナ禍における思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業の挑戦を支援するというようなもので、ガソリン部品からEV部品に変わるというようなものを想定したものでございますが、20ページを見ていただきますと、昨年もフルーツサンド販売店をこの場で取り上げましたが、冷凍自販機といったものも多く採択されてきたところで、先月の足もとのものを見ますと、機械的に取り上げますと、ゴルフやエステ、サウナといったものが多数含まれています。こうした事業が一概に悪いという趣旨ではございませんで、ただ、様々な場で指摘されているとおり、考え抜いて挑戦するようなものなのかどうかというのは昨年も御議論ありましたので、改めて拾ったものでございます。
21ページは、一番数が多かったゴルフというものについて、ホームページに公表されていますので、どういうものが採択されているかを取り出したものでございます。
最後に22ページで、こうしたふうにコロナの対応のフェーズは債務返済のフェーズに来ているということで、経営改善支援や事業再生支援が必要ではございますが、右側を見ますと、銀行ごとの信用保証付融資の代位弁済率、返せなかった企業の率は大分ばらつきがありますので、事業者の実情に応じた支援が全ての金融機関で徹底されるように関係省庁の連携が必要ではないかと考えております。
23ページは御参考で信用保証のスキームですが、右側に、代位弁済が100%ですと民間金融機関の融資判断がなかなか機能しないという状況もありますので、平時にしっかり戻していくのが重要ではないかということで、参考につけさせていただきました。
以上でございます。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
本日は、佐藤委員、中空委員、広瀬委員より意見書、小黒委員より資料の御提出がございまして、各端末に格納しておりますので、お目通しください。
それでは、ただいまの説明に関しまして、皆様から御意見、御質問を頂戴したいと存じます。会場におられる委員の皆様方は、御意見、御質問がある場合はネームプレートを立てていただければと存じます。また、テレビ会議システムを通じて御参加いただいている皆様方には、御意見、御質問がある場合は「挙手する」ボタンのクリックをお願いいたします。
なお、今回も御出席いただく委員の人数が多く、限られた時間の中でできるだけ多くの方々に御意見をいただきたいと思っておりますので、御発言は手短にお願いいたします。
それでは、会場から5名ほど、それからテレビ会議システムから5名ほど、そしてまたその後、会場から5名ほどというような順序で御指名をさせていただきます。会場におられる委員の皆様方には、会場備付けのマイクをオンにしてから御発言いただきまして、御発言が終わりましたらオフにしていただきますようお願いいたします。御発言の際は、マイクにできるだけ近づいていただきまして御発言をお願いいたします。テレビ会議システムを通じて御参加いただいている委員の皆様方には、テレビ会議システムのミュートを解除してから御発言をお願いいたします。御発言後はまたミュートに戻していただきますよう、よろしくお願いいたします。
それでは、まず会場で挙手されている委員から御指名をさせていただきます。本日は秋池委員から順番に御発言をお願いすることにさせていただきます。
それでは、秋池委員、どうぞ。
〔秋池委員〕まず、教師不足というお話がありましたが、その中で数を見つめられた分析というのは非常に意味がありました。とりわけ、教員の方がやらなくてもよい仕事を見いだしていくことによって、本来やるべき仕事により多く向き合っていくというところが重要ですので、引き続き御検討いただければと思います。
二つ目に、科学技術予算の対GDP比ですが、これも毎回議論になるところですが、薄く広く公平にということばかりを考えますと、もちろん機会を失う方がいてはいけないのですが、どれも曖昧な投資になってしまうということもありますので、そのメリハリ感を持つということ。それから、博士号を持った方たちの仕事とのミスマッチということにつきましては、その方の専門性の捉え方を柔軟にすることによって、企業の中でもその方の才能がより生きるということもありますので、そうした見方も必要になるかと思います。
三つ目に、博物館、美術館のことですが、クラウドファンディングですとかPFIをやることで、それぞれの博物館や美術館に関わる方が自己発見をしたり、市場と接してみたりすることは大事である一方で、非常に有名なところはうまくいくが、そうでないところが切り捨てられていくというようなことがあっては文化が失われてしまうことにもなりますので、この辺りのバランスは重要だと思います。
四つ目に、半導体等への産業支援ですが、事業をつくること、それから設備投資をすることへの支援もさることながら、やはりそこでつくられたものが継続的に市場で使われるという予見性があることが民間資金を呼び込む上で非常に重要です。事業計画がきちんと立てられないと幾ら初期投資を支援してもうまくいかないこともありますので、事業を立ち上げるだけではなくて、継続的に使われていくということにも着眼いただくとよろしいと思いました。
そして、最後に中小企業についてですが、こちらもいろいろな施策がございますが、事業継承や引継ぎの補助金が出るというのはよい面もありますが、どうしてもこうした補助金はただ継続というのではなく新しいことに対しての補助という形にならざるを得ないところがあります。実はそれが新たな過当競争を生み出してしまうという面もあります。非常に重要なことは、業態によっては機器を維持していくことによって優れた技術が継承されていくという場合もありますので、こうした辺りはよく見ていっていただいて、新たな過当競争を生み出さないようなところに御着眼いただくとよろしいと思いました。
以上でございます。
〔土居部会長代理〕では、熊谷委員、お願いします。
〔熊谷委員〕まず、教育に関する最大のキーワードは、教育の質の向上です。我が国の教育が抱える問題の本質は教育の質であり、決して量ではございません。義務教育に関しては、働き方改革や、免許制度、採用方法に関する新たな仕組みの検討等を通じた教員の質の向上が喫緊の課題となります。働き方改革に関しては、構造的にインセンティブが働きにくい状況であることが以前から指摘されておりますので、文部科学省等がそれぞれトップダウンで、働き方改革の本質である業務の削減による本来業務やプライベートの充実などに取り組むべきです。
次に高等教育に関しては、私立大学における定員割れの問題は極めて深刻かつ構造的であり、この問題に対する対応策のみならず、教育の質を高めるという観点からも、国立大学運営費交付金や私学助成について、大学改革のインセンティブとなるような、更なるメリハリづけの深化や執行の改善などが不可欠であると思います。
科学技術に関しては、若手研究者の活躍機会の確保に最大限注力するべきです。マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏、旧フェイスブック創業者のザッカーバーグ氏は、いずれも19歳のときに起業しました。若手研究者が自分の将来に夢を持って活躍できるような社会を構築することを、是非とも限られた財政資金を有効活用して側面支援していただきたいと考えます。
文化に関しては、我が国の博物館、美術館が適切な水準の入場料を設定することが極めて重要です。一つの御提案として、円安でこれだけ内外価格差が拡大している状況下ですから、マイナンバーを活用することなどにより、日本国民の入場料の値上げ幅はある程度抑制しつつ、外国人と日本人に関する事実上の二重価格制を導入することなども一考に値すると思います。
次に、国内投資・中小企業について申し上げます。
まず、全体を通して重要な点ですが、日本経済が長期低迷に陥った大きな要因として、財政政策等による短期的な痛み止め、対症療法を打ち続けてきたため、現状維持バイアスが強く働き過ぎて、産業構造の変化やイノベーションが起きなかった点を大いに反省する必要があります。したがって、日本経済が抱える構造的な問題は、いずれも政府が財政支出の量を増やしただけで解決するような単純なものではなく、PDCAサイクルの強化やEBPMの推進などを通じた財政支出の質の向上と規制制度等の改革を車の両輪として解決を図ることが不可欠であると考えます。これらの点を踏まえた上で、国内投資の支援策に関しては、合理化・省力化投資の促進や、半導体などの戦略分野の国内生産の増加などに焦点を絞って取り組む必要があります。
なお、GXに関しては、一言だけ申し上げますが、カーボンプライシング、すなわち炭素税ですとか排出量取引などのベストポリシーミックスを追求するということをしっかりと議論していくことが肝要です。
中小企業政策に関しては、競争力や労働生産性の向上などを目的とした経済政策としての側面と、弱者保護などを目的とした社会政策としての側面とが混在している印象を受けます。今後に関しては経済政策としての側面により一層ウエートを置くべきであり、一律の資金援助等を行うのではなく、価格転嫁対策や経営改善支援、事業再生支援などへの徹底的な重点化を行うことが最大のポイントであると考えます。
私からは以上でございます。ありがとうございます。
〔土居部会長代理〕河村委員、お願いいたします。
〔河村委員〕私からは、高等教育のところと、それから中小企業対策のところで少し意見を言わせていただければと思います。
高等教育のところは、主計官が御説明くださったとおり、定員管理の問題がもう最大の課題ではないかというふうに思います。私立大学が半分定員割れで、これは国立大学も本当に、関係ない話では全然ないはずなのに、彼らに聞くと、何だかむにゃむにゃ言って、国大協とかもちゃんと検討を進めていないようなところがあって、やはり国全体としてきちんと検討を進めていくという体制を整えるように促していく必要があるのではないかと思います。従来からいろいろ、財政資金の使い方としては、例えば補助金の配分とかで定員規模の適正化に向けた対策の策定を求めるとか、そうしたやり方しか本当にないと思います。
ですから、今までのやり方で、今はこうしたやり方で促していくしかないと思うのですが、やはりこの問題、最たる問題は、各大学の立場に立つと、御自分のところでは先生方の雇用の維持の問題とかもあるので、なるべく定員は減らしたくないのですよね。よそに減らしてもらいたいなというか、自分たちは減らしたくないなという、そうしたやはりインセンティブが働いてしまう。これ、炭素の排出の話と一緒ですよね、自分が減らしたからといって、その恩恵が自分に来るとは限らない、外部不経済的なことが働いていて、やはりそうしたところでは、政府というか公共の果たす役割が非常に大事で、ただ、すごく気をつけなければいけないのは、大学というのは、やはり大学自治が認められている組織ですから、何か国から定員を減らせというようなことを要求するというのは非常に難しいし、やりにくいのは分かります。
私、この問題、いろいろ諸外国の例とかを調べたこともあるのですが、例えばイギリスなんかであると、直接国が口は出せないが、第三者的な評価機関的なところをつくって、ワンクッション置いて、そこで客観的に分野ごとの定員の管理、どの分野をどれぐらいという形で高等教育やっていったらよいかということを検討して、国全体としての適正規模というものを考えた上で、それを各大学に見せた上で各大学に取組を促していくというようなことをやっている国もありますので、そうしたところも参考に、やはり少し国全体で、私立大学だけ考えればよいということでは決してないはずであると思いますので、きちんと国公立の大学も一緒に対象に入るような形で検討を進めるように促していく必要があると思います。
あともう一つは、15ページですか、御説明くださった高等教育の負担軽減のところで、これは何かもう、奨学金、一度借りると返せなくて、だから減免しなければいけない、授業料を減免しなければいけないというような方向にばかり議論が行ってしまっていることを、正直申し上げて疑問に思っています。奨学金を借りても、卒業後就職してきちんと稼げれば、自分の力で返していけるのですよね。こんな問題は起こらないはずで、問題の根本は、大学を出て働いているのに奨学金を返せるだけの所得が得られない、そうした仕事に就くことができていない方が少なくない状況にこの国がなってしまっているという現状があると思います。
これも私、調べたことがあって、大学、高等教育機関いろいろ調べると、高専さんの卒業生、奨学金の返済滞納率とか、すごい低いです。立派なものですよ、本当に。だからやはり高専の卒業生はエンプロイアビリティーが身についていて、ちゃんとお給料稼げる仕事にみんなが就くから、奨学金も結構使っているが、ちゃんと返せているのです。では、何で、ほかの4年制大学、それから短期大学もまだありますが、そうしたことになってしまっているのというと、国全体として、さっきの定員管理の話ともつながるのですが、これだけ大学の定員を大きく上げてきたときに、分野ごとの定員の配置とか、それからあともう一つ、教育の効果の計測であるとか、計測した結果の対外的な情報開示というのが、この国、全然進んでいないのです。イギリスみたいに、卒業生の給与水準まで全部調べて、大学ごとに全部横並びで開示している国だってありますし、そうしたのを国民が見られたら、こんなに借金して、奨学金借りて大学に行って、果たしてこの大学に行ってそれだけ返せるだけの仕事に就けるのかなというのを判断することもできると思いますし、そうした意味で、やはりきちんと教育の効果も把握し、定員管理ということをしっかりやっていくことが、先行きこの高等教育の負担の問題を起こさせないことにもつながるのではないかなというふうに思っております。
また、中小企業のところでは2点、意見を言わせていただきます。
対策の在り方として、御説明くださったように価格転嫁対策、やはりこうしたところはすごく大事であると思います。もうコロナ危機も収束しつつありますし、補助金がどうとかいうことよりも、こうしたことがきちんとできるように、それこそ経産省さんであるとか公取さんの出番であると思いますが、きちんと価格転嫁ができれば、中小企業の業績が変な意味で圧迫されることもないし、賃上げがきちんとできるということがこれからの時代すごく大事であると思いますので、こうしたところにこそ重点化すべきであると思います。
あともう一つは、最後のほうで御説明くださった政策金融のところなのですが、代位弁済率のグラフを出してくださいましたが、いや、もうこれ、正直申し上げて、経済学の世界でいう「逆選択」が起こりまくりですよね、結局。「アドバースセレクション」が起こりまくり、要するに政策金融というか国が負担してくれるのだったら、少し危ないところでもよいや、貸してしまおうかというようなインセンティブが民間の側に働きかねないということで、欧米であると政策金融の仕組みを組むときに、そうしたことが起こってはいけないからこそ政府が100%リスクを取らないという形の設計にしている国がほとんどであると思いますが、やはり日本はそうしたところがずっと甘くなってきた経緯があって、今回最後御説明くださいましたが、コロナ危機ということもあって100%になさったのでしょうが、やはりこうした結果が出てきてしまっているということは、政策金融せっかくやっても、これでは「政府の失敗」になってしまって、当該民間金融機関が焦げつかなくて済むというそれだけではなくて、本当に貸出し受けられた企業の方にとってもためになることなのか、こんなことをやっていて日本経済全体のためになることなのかということを本当に疑問に思いますので、きちんとそうした「逆選択」とかを起こさせないようなスキームに正していくように促していくべきであると思います。
以上です。
〔土居部会長代理〕では、田中委員、お願いいたします。
〔田中委員〕教育に関しましては、まず私はすごく重要だなと思っているのは、やはり教育界と社会がもっとさらにつながっていくということが今のテーマだなというふうに思っております。教員の働き方改革は、なかなか進まないところを、今回のように可視化してもらって顕在化しているような、労働時間の調整どうしていくかのようなことをDXで解決していくということもありますし、同時に今、学校には、内部も外部も本当にリスクが増えているという傾向がありますので、事故とかいじめとかメンタルヘルスとかいろいろあって、スクールロイヤーの役割とかもこのデータでは結構限定的な感じになっているのかなというふうにも見えるところがありましたが、やはり助言やサポートが身近で手軽に得られる環境というのは民間との連携でもっとできるかなというふうに思っております。
その中で、民間人が先生になっていこうといった流れも少しはあるのですが、やはり資格等の課題で、文科省も今いろいろ検討してくれていると思いますが、英語の先生とか看護の先生とか、そうしたところにまだ限定的のようなところが少しある中で、今リカレントが大変進んでいますので、これが進むと、社会人の経験を踏まえた知のリーダー、つまり指導することができる産業人という人が増えますので、こうした方々の実効性を連携して進めていくということが、資金をどういうふうに現状使っていくかというだけではなくて、やはり有効な課題解決になり、持続可能な教育というのが担保できるのかなというふうなことを期待します。
また、今、大学では任期つきのポストというのが増加していて、専門特化した大学教員も増えつつはあるのですが、大学においても雇用とか働き方が多様化する中で、やはり企業人が今後は大学教員を兼務したり、また企業と大学を往還できるようなキャリアパスの設計の上で事例が増えていくと、アカデミア側の博士人材の産業界での活躍というのも課題になっていますので、ここも期待できるところかなというふうに思います。
もう1点、文化財においては私も、よく今、クラウドファンディングで成功している例なんかも出ていますが、目標金額を掲げたテーマ別のクラウドファンディングというのは一瞬話題になるのですが、やはり本来そうではなくて、これからずっと持続可能性を担保していくために、みんなが常に常に応援していこうというふうな気持ちになれることがすごく重要かなと思っていますので、刹那的な資金集めにとどまらなく、恒常的な仕組みにすることが必要かなと思います。
もう1点、最後に中小企業のところは、価格転嫁というためには、やはり付加価値を顧客に対して実感されないといけないということになると思います。現在、GXですとか半導体においても、中小企業にはたくさんのチャンス、活躍の場がある時代になっていると思いますので、初期の段階から、研究機関ですとか、あるいは特許とか知財、この辺りを有効に生かしながら、最初から付加価値を高めていこうというふうな、生産性を高めるのはなかなか厳しいところあるかもしれませんが、この付加価値というところから見越して、価格転嫁のための新しい経営というのをこの際に志向していくということが待たれているかなと思います。以上、よろしくお願いします。
〔土居部会長代理〕遠藤委員、お願いします。
〔遠藤委員〕まず科学技術のところからなのですが、私が思いますには、今回触れられていないのですが、科研費とか、せめて競争的な資金を国から得る場合、その条件として研究インテグリティの問題をきちんと含ませておく必要があるのではないかなと思っています。産総研の研究者の逮捕事例がありましたが、産総研では防止ルールができて、それは国研とか、そうしたところには定着させていけるものであると思っているのですが、大学共同利用機関であるとか大学であるとか、そうしたところもしっかりそのルールを入れながら、それを公的資金の投入の条件とするということが一つ重要なのではないかなと思いますので、提案をしたいと思います。
防衛予算の議論のときに、科学技術予算も含めた広義の防衛予算とするという議論があったと思います。今回は御説明がなかったので、防衛の議論の際に、どのぐらい防衛予算の中に科学技術を含めていくというふうに財政当局としては考えているのかということをお示しいただけたらなと存じますので、よろしくお願いします。
産業支援については、AIとか半導体であるとかグリーンとか、いろいろバズワードが飛び交っているのですが、この領域において、少なくとも世界市場で日本勢が優勢な状況にあるとは、今の段階では思えません。公的資金を入れるのは必要性があると思うのですが、では、何の、どのレイヤーに投資をするのかというところが、市場性はどうかとか競争条件を含めてなのですが、十分な説明がされているのかというところに非常に疑問を感じます。
例えば半導体のことを今回触れてありますが、ではNVIDIAがやっているようなGPUの領域に行くのかとか、DRAMまでやるのですかとか、もちろんそうした製品ごとというのもあると思うのですが、例えばAIであれば、デジ庁なんかが非常にこれから資金を投入していくと思うのですが、オープンAIのような言語モデルのところをやるのか、それともAIのSIerのようなところを育てるためにやるのか、サービスの人たちを育てるためにやるのかとか、そうした全体、AIとか半導体とかで一括りにして、ごまかしているとは言いませんが、全体議論になって、そうした、何にお金を投資して、どういうリターンがあるからこそ、ここの分野に投資するのであるというような説明をもう少し求めていかなくてはならないのではないかというふうに考えております。以上です。
〔土居部会長代理〕それではここで、テレビ会議システムで参加されている方で挙手されている方に御発言をお願いすることにいたしたいと思います。安永委員、上村委員、神子田委員の順に御発言をお願いしたいと思います。それから武田委員も今、手が挙がりましたので、次、武田委員ということで、まずは安永委員、どうぞ。
〔安永委員〕まず教育に関して一つ質問があります。昨年はコロナの影響もあり、デジタル、オンライン化についてかなり時間を割いて議論がなされたと記憶しております。民間企業との兼務や、あるいは民間企業出身者を専門的なレベルで義務教育の場においても起用していくべきでないか、という議論があったと思うのですが、こうした取り組みはどれぐらい進んだのでしょうか。
社交性を育む観点からも、義務教育の場ではオンライン化をあまり進めるべきではないと個人的には思っておりますが、一方で、できるだけ若いうちにデジタルに対する知識なり知見を強めていくことが、今後のデジタル産業の裾野を広げていく意味では重要ではないかと思っています。
それから、国内投資について、TSMCが九州に進出したことによって、周辺事業に対する関心が高まり、一つのクラスターが形成されていくイメージを持っています。ハードウエアだけを意識するのではなくて、AI、DXに対してどのようにアプローチするのかが大事です。TSMCに聞いてみましても、半導体産業をもう一度日本の中で再生していくためには、周辺事業がしっかり集まってくるのかが大事との声を耳にします。また、TSMC関連で来日する子女のための教育や医療が本当に整っているのか、という現実感のある課題が、九州地区では顕在化しつつあります。ここのところ、日本に対する海外からの投資意欲が増してきていることを実感しています。かつてのように金融プレーヤーが単純に日本に投資したいというものではなく、戦略的な投資家がプレーヤーとして日本のマーケットの中に入りたいと考え始めています。まさにデジタルやグリーンのDX、GXの世界に入りたいということであり、海外からの投資を定着させ、人も含めて受け入れるために、我が国の教育や医療体制が十分に準備できているかどうかは非常に気になるところです。また、これは財審の課題ではないかもしれませんが、今後、教育や医療の国際化など、内なる国際化を進めていくことは、我が国が海外からの直接投資をさらに増やし、国内における資金の循環のみならず、雇用の拡大あるいは税収増につなげていくためには必要ではないかと思っています。以上です。
〔土居部会長代理〕それでは、上村委員お願いいたします。
〔上村委員〕私からは、中小企業のほうです。中小企業については、コロナ禍での対応からいち早く脱却すべきであるということと、非効率な経営をしている中小企業を現状のまま温存してしまうような政策をやめておくことが大切であるということを踏まえて、お話をします。
一つ目、17ページですが、中小企業生産性革命推進事業などの補助金ですが、中小企業の労働生産性の向上に、そこは向上の政策目的としていますが、必ずしも生産性に貢献していない、または、生産性の事後的なチェックがなされていないということがずっと指摘されていました。過大な支援が中小企業の補助金依存を招いて、逆に生産性を低下させることがないようにしなければなりません。私が地方自治体の事業をレビューしている経験からいうと、府県レベルでも都市レベルでも中小企業の生産性を高めるような事業はやっているので、国と地方自治体で事業の重複があるのではないかと思っています。国がやるべきことと地方がやるべきことの整理が必要ではないかと思います。
二つ目です。19ページで、事業再構築補助金ですが、昨年にこれは行政事業レビューの担当をしました。コロナ禍が終わったことを受けて、コロナ禍対応で実施されてきた事業は一旦廃止して、コロナ禍でのパフォーマンスと、コロナ禍が終わった後のパフォーマンスを分けて考えることを原則とすべきではないかと思います。もちろん事後的に、コロナ禍での補助金がどういう効果を持ったかについてはきっちり検証して、その知見は蓄積すべきであると思います。
最後に、大企業と中小企業は基本的に資本金の大きさによって区分されているわけですが、中小企業に対して手厚い政策があることが成長を阻害することであるのだったら、その資本金の大きさで判断するという中小企業の区分の在り方そのものについても検討の余地があるのではないかと思います。以上です。
〔土居部会長代理〕それでは、神子田委員お願いいたします。
〔神子田委員〕私は、科学技術と中小企業支援施策についてお話ししたいのですが、まず科学技術に関しては、例えば大学での研究が、ビジネス、産業に生かされていないというお話がありましたが、先ほどのアンケートでも把握していない55%というのがあるのですが、アカデミズムで研究している人と、実際のビジネスで何がもうかるかというのは、かなりギャップのある世界であると思いまして、個々の大学に把握せよと言ってもなかなか厳しいところがあるのではないかと。やはりここはもっと国全体として、例えば情報提供できるとか、大学と企業を結ぶとか、何かそうした、個々の大学ではやっているかもしれないのですが、自分でそうしたことを生み出せない大学も数多くあると思いますので、何か大きな枠組みをつくって、それぞれの分野で、優秀な研究者もいらっしゃると思いますので、そうした社会課題に対応できるような、ビジネスを生み出せるような技術を持っているような金の卵を発掘できる仕組みをつくっていったらよいのではないかなと。それが大学の研究イコールビジネスということではないですので、それは長期的な研究もあれば、短期的にビジネスに結びつくのもあると思うのですが、大学の研究に国が費用をかける分、回収するといったら、そうしたものが何らかのビジネス産業に結びついて、金を稼いで、税金になって帰ってくるということであると思いますので、そうしたトータルな仕組みを考え出したらよいのではないかと思いました。
もう一つ、中小企業支援ですが、ものづくり補助金ですとか事業再構築ですとか、いろいろときめ細かな支援策があるのですが、例えば小さな都市で中小規模の中小企業が個々の事業を継続できたとしても、そこで維持できる雇用はそんなに大きくないですし、また、それがネットワーク化したとしても、それによって生き残る道は出てくるとは思うのですが、それでも、そんなに大量の雇用を生み出すということでもないと思うのです。
先ほど安永委員から、TSMCの話、それによる産業集積の話が出ましたが、あそこで何千億円もかけて、大企業が、先端企業がやってくるということで、いろいろな関連事業が集まってきて、そこで雇用を生み出すということが実際に起きていますが、あの話を考えてみると、まず世界的に経済安全保障問題で、半導体でも対応しなければいけないという大きなニーズというのがあって、それに対してどう応えていくかということで、ああいうTSMC誘致事業をやったと思うのですが、そうした大きな社会課題で、どんな産業が必要で、それをこの地でやろうといった、それは日本全国では無理ですが、何かああいう大玉なプロジェクトをいくつかやっていかないと、しかも、それが社会のニーズに応えて、産業としても成り立っていく。その中で中小企業も生きていく、そして、雇用も提供していく。そうしたプロジェクトが国内において必要なのでないか。それが結局、中小企業を生かすことにもつながるのではないかと思いました。以上です。
〔土居部会長代理〕それでは、武田委員お願いいたします。
〔武田委員〕文教、科学技術に関する意見と質問でございます。博士人材の問題です。これは積年の課題で、毎年、この場でも議論に上がっておりますが、改善されずに来ているように感じております。21ページに、企業側のアンケートで、特定分野の専門知識を持っていても、自社ではすぐに活用できないからとの理由が30%にも上がっているのですが、一方で、専門知識を持っていなくても、学士の方は大量に新卒で採用されていることを考えますと、これが真の理由なのかという懸念を持ちます。真の理由の一つとして、日本は慣習として、ジェネラリスト志向が企業の中で強く、また、新卒、学部、修士一括採用をベースに採用し、年功重視で人事管理を行ってきたことも関係していると思います。
世界情勢を見ていますと、別の資料でもございました半導体に関しても、また、最近、動きが相当加速しているAIについても、GXなどの重要な科学分野においても、かなり専門性が求められる時代になっています。そうした中で、日本が専門家や技術者を大事にしていかなければ、結果的に国際競争力もさらに低下していくのではないかという危惧を持っており、ここは企業も慣習を変えていく必要があるように感じます。
質問は、岸田政権は三位一体の労働市場改革を進めていらっしゃいますが、スキルベースでジョブ型の雇用を進展させていこうとする中で、博士人材の活用をもっと進めていく施策等は何か検討はなされていますでしょうか。こうした課題に対する施策、取り組みがないと、この問題は、毎年繰り返されるだけではないかという危惧を持っており、お聞きする次第です。何かございましたらご教示いただければありがたく思います。よろしくお願いします。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。安永委員と武田委員から質問が出ましたが、最後にまとめてお答えいただく形にさせていただければと思います。
それでは、会場に戻りまして、末澤委員から順に御発言をお願いいたします。
〔末澤委員〕ありがとうございました。私から、文科の関係で1点と、また、中小企業成長関係で大きく1点、御質問したいと思います。
まず2ページ目です。義務教育を開けていただきたいのですが、先週金曜日だったと思います。日本経済新聞の「大機小機」という欄に、昔の先生はもっと暇だった、忙しくしていなかったという記事がありまして、実は私もそのとおりなのです。私は、おやじが小中の先生をやっていまして、小学校の校長もやっていたのですが、私の経験であると、そんなに忙しくなかったなと。一方で、私の同期で、今、小中高の教員をやって、もう60歳を過ぎても嘱託で頼まれて働いている者もいるのですが、彼らの現役の話を聞くと、本当に土日もないと。この差は何であるかということなのです。
私は、大きく二つあると思っていまして、一つは2ページの左のグラフです。つまり、これは教員の数が減っていない、余裕があるのではないかということ。実は私はそんなことは全くないと。なぜかというと、これは生徒の数が減って、要は、規模が小さくなっているのです。つまり、規模の不利益が起きている。私は、これは以前も少しあればということで御相談したのですが、学校の規模が日本はどんどん小さくなっているのではないか。つまり、クラスの規模で見ると日本は余裕があるとなっているのですが、実は学校の規模が小さくなってしまうと人手が足りなくなります。校長の数は1人、教頭も1人必要です。いろいろな、かつて高度成長期、人口が増えていた頃、2008年から2010年が日本の総人口のピークですが、1990年頃までは生徒数も増えていたので、みんなで分業ができたのです。それが今はできない。
あともう1点は、昔に比べて、PTA対応、それから会議とか報告、上からの通達とか、そうした事務的な仕事が多い。これは海外と比較しても日本の場合は授業に使う時間が一番少なくて、それ以外の時間が多過ぎる。ここの二つの問題を解決しないとどうしようもない。これはどんどん今の悪循環が続いてしまうという話です。
私は、その解決策として、毎回申し上げているのは、三種の神器ということで、一つは統合ですよね。やはり学校の規模を大きくする。二つ目がICT化です。デジタルと言ってもよいと。三つ目は、民間へのアウトソーシング。クラブ活動とかそうしたのはもうボランティアがやる。御近所のお年寄りとかそうした方にどんどんお願いする。これしかないと思っています。
2点目、違う話で、28ページです。これは日本の博物館、美術館をどうするべきかという話なのですが、実はこちらを御覧いただくと、国立文化財機構、また、国立美術館、すごく自己の収入が少ない。一方で、スミソニアン、大英博物館、ルーブルは多いということですが、実はスミソニアンと大英博物館は入場料は無料です。ちなみに、ルーブルも、今、大体17ユーロですが、EEA、欧州経済地域であると、26歳未満はただなのです。要は、彼らは必ずしも入場料収入に頼っているわけではない。実は収入の柱は三つあると私は思っているのですが、一つは寄附金収入です。これはやはり相当大きい。あと二つ目が、所蔵物の貸出しです。ルーブル展とか、日本にもいろいろ来ていますよね。三つ目はグッズです。いわゆる物販収入。日本のショービジネスでも、今、実は物販収入のウエートがすごく大きくなっているので、もう少しそうしたところを工夫すれば、私は自己収入をドーッと上げられるのではないかと。そうした発想がある面、公のところには過去なかったと思いますので、そこの発想の転換を是非やっていただきたい。メトロポリタンでも、メットガラという、ファッションショー兼大規模な寄附金のパーティーをやっていますから、そうした発想が必要だろうと思うのです。
すみません。次は、中小企業、成長です。これは6ページ目です。先ほど主計官からお話ありまして、これはすみません。政治家の皆様には頭の痛い話になるかもしれませんが、申し訳ありません。
左側です。これは財政支出を1%増やすと、最近であると、インフレが0.7%ぐらい効くという話です。ただ、これはよく考えると、期間が98年から2019年、コロナ禍前なのです。当時、日本は、その大半の期間がデフレです。欧米も大半の期間はディスインフレ、つまり、低物価の時代です。これで0.75%効いているということは、今のような、これはグローバル化の巻き戻しが起きている。インフレがこれだけ供給制約がある中でもっと高い可能性がある。そこは注意が必要です。
それと関連して、18ページです。今、実は、どこで人手不足が起きているかというと、中小企業・非製造業なのです。ただ、このグラフを見ると、深刻なのは、実は規模の利益があまり効いていないのです。製造業であると、統合すれば生産性は上がるのだが、非製造業では、大企業であってもあまり上がらない。これはやはり労働集約型であるということです。
今、実は日本で一番逼迫しているのはこの分野なのです。インバウンドがあって。今月1日に出た日銀短観でも、雇用人員判断D.I.という、要は人手不足度を測る指標では、大企業・非製造業はバブル期並みの人手不足。中小企業・非製造業は、過去最高の人手不足です。つまり、ここにどんどん人が集中すると、人というか、需要が集中すると、どんどん人手不足が深刻化する。これをどうにかしなければいけないということです。
実はこれで、昨日かな。IMFが世界経済見通しを出したのですが、ここでIMFはこうしたふうに書いています。財政政策当局は、予算的余裕を再構築し、予算的バッファですね、再構築し、脆弱層を守りつつ、一律の支援策をやめるべきであると。成長を妨げる構造的な要因を減らせば(とりわけ労働市場参加の促進)、インフレ率の目標値への低下がスムーズになり、債務削減が促進されるだろうと。つまり、今必要なのは、潜在成長率を上げる。また、構造改革を促進するような財政出動であるとIMFも言っていると。別にIMFが常に正しいとは限りませんが、今のそうした状況を見ると、日本もだんだんそうした状況になってきているということであると思います。以上でございます。
〔土居部会長代理〕では、木村委員お願いします。
〔木村委員〕教育と中小企業に関してそれぞれ1点ずつコメントしたいと思っています。
教育は、人口が減少して、資源も乏しい日本にとって、人材の育成というのは極めて重要であると思います。教育関連の予算は、これは惜しんではならないと思いますが、だからといって、財政規律をおろそかにしてはならず、そこはメリハリの効いた予算配分というのが求められると思います。
その観点から申し上げたいのですが、一つ、義務教育の教員の人材確保です。さっき不登校の生徒が過去最多という調査結果がまとまって、これはコロナで生活リズムが乱れたということが大きいと言われていますが、学校の問題として、過剰な業務を抱えて教員が働きにくくて、すぐ辞めてしまうような職場に、子供が果たして、進んで通いたがるだろうかという気がします。教員の方が働きやすくなって、外部人材も含めて多様な教員が集まる職場こそ、そうした魅力的な職場になってこそ、子供も楽しみに通うのではないかという感じがします。
その意味で、資料に挙げられたように、外部人材の予算を大幅に拡充しても、業務削減になかなかつながらず、この効果が十分に出ていないというのはすごく残念なことです。できれば、この理由を教えていただければと思います。より効率的な学校運営とか効果的な人材配置をしていくことが大切だなと感じました。
それともう一つ、高等教育の私学助成です。私立学校の半数以上が定員割れに陥っているという厳しい状況の中で、定員充足率が9割未満の私大で具体的な改善策を策定していないのは、実に4割にも上るというのは、なぜこれほど多いのかというのは理解に苦しむ。驚くような話ですね。大学側はそれぞれ事情があるということなのでしょうが、それは税金を払っている国民から見ると、大学側の事情は関係のない話で、それこそ補助要件として挙げられたような定員規模の適正化に向けた具体的な改善策の策定を補助要件とするというのは、検討に値するのではないかと思います。
さらに言えば、今申し上げた私学助成の改革を通じて、浮いた資金という言葉が適切かどうかはありますが、そうしたお金を、例えばこの資料でも挙げられた奨学金の減免に回すとか、そうしたような措置を取れば、少子化の対応という意味でも、メリハリを利かせられるのではないかという感じがしました。
それからまた、中小企業支援のほうですが、これは総理も最低賃金1,500円に引き上げるという目標を示されましたが、持続的な賃上げに向けて、鍵を握るのはやはり雇用の7割を占める中小企業ですので、そこの中小企業の生産性の向上ということが一段と持続的な賃上げに向けて重要性を増していると思います。私は、仕事柄、中小企業をよく取材することも多いのですが、物づくりの技術に優れた町工場というのがたくさんいらっしゃいます。コロナでも必死に生き残りを経営者の方々は考えていらっしゃいました。
そうした優れた技術というのは付加価値を高めて、それこそ価格転嫁にもつながっていくということですから、そうした意欲ある企業の方あるいは町工場の経営者の方を応援するような中小企業支援が必要なのでしょうが、そうした企業に本当に重点的に配分する仕組みになっているかどうかというのはすごく疑問です。事業再構築補助金、これは総額2.4兆円措置されたのですが、果たしてどこまで生産性の向上に結びついたのかということで、資料にも挙げられましたが、去年はフルーツサンドで、今年はゴルフということですが、こうしたようなことしか出てこないというのはすごく残念です。今、経済対策で、再び中小企業支援が検討されているようですが、これまでの成果と課題をきっちり検証して、意欲ある中小企業に重点的に配分されるようなものを目指していただきたいと思います。以上です。
〔土居部会長代理〕芳野委員お願いいたします。
〔芳野委員〕初めに、義務教育について申し述べたいと思います。
教職員定数の国際比較については、例年の繰り返しとなりますが、教員1人当たりの業務負担が諸外国と比べると課題である点に留意すべきと考えております。また、2020年から学校の働き方改革に取り組んできましたが、在校等時間が30分程度の減少にとどまっています。このため、教員の更なる業務の負担軽減に向け、基礎定数の改善や加配定数を拡充することで、教職員が生活時間を確保し、こどもたちと向き合い、やりがいを持って本来業務に専念できる環境を整備する必要があります。
教員業務支援員等の外部人材については、配置されている学校では前向きの評価が多く聞かれていますので、全校への常勤配置を進めるべきと考えます。
教員の給与ですが、所定勤務時間を超えて行った業務と教職調整額との整合性を検証する必要があります。さらに、求められる学校教育の在り方、役割の変化や、人材確保法の理念を踏まえ、労働条件の改善を検討する必要があると考えます。
次に、科学技術について触れたいと思います。若手研究者が培った技術、技能をいかんなく発揮し、活力を持って仕事に打ち込めるよう、大学や研究機関などで積極的に雇用するための施策や財政の確保が重要です。また、雇用の安定という観点から、大学等で再任されなかった研究者に対し、次の研究機関のあっせんなど、研究を継続するための必要な措置を講ずるべきと考えます。
一方、若手研究者の活躍機会の多様化に向けた取組の施策の対象とならないものの、大学等以外の研究機関においては、無期転換申込権発生までの期間を10年とする特例が2023年4月に施行後10年を迎えており、雇い止めの不安を抱えながら働く研究者も少なくありません。これら機関における正規雇用を促進するとともに、10年を待たず無期転換できるようにするなど、安心して研究に取り組めるよう環境整備を併行して進めていく必要があります。
次に、国内投資、中小企業について、3点申し述べたいと思います。GX推進法に基づく投資促進策の基本原則にある、「国内の人的・物的投資拡大につながるもの」には、付加価値の高いグリーンでディーセントな雇用創出につながることも要件とすべきです。
取引の適正化に向けては、価格転嫁を含めて道半ばであり、価格交渉促進月間のフォローアップ調査や、中小企業組合による団体協約など、現行制度を活用した継続的な取組が必要です。
無利子、無担保融資の返済に関しては、事業の状況を踏まえた金融機関の伴走支援の強化が必要です。また、補助金などの各制度は、簡便な手続など、中小企業の目線に立った使いやすい仕組みとするとともに、中長期的な成長に向けたフォローアップが重要であると考えております。以上でございます。
〔土居部会長代理〕それでは、大槻委員お願いいたします。
〔大槻委員〕まず、文教についてですが、今までの方々の意見にもありましたが、とにかくこの分野、動きが遅いという気がしております。一方で、触れていただいているとおり、やはり構造改革を早くしないとダメージを受け得る分野ですので、これは早急に、いただいている全てのポイントについて賛成ですし、より構造的、抜本的なことをやらざるを得ないのではないかと思っております。
その意味で、1個、アネクドータルで、教育全体のDXの観点ですが、最近、民間の健保から私学共済に移りましたら、手続が、大げさではなくて、3倍、4倍になっています。郵送のやり取り、その他。これはやはりDXを用いて、教員の手間をどうやって減らしていくか。これは重要な課題であると思います。
それから、大学の在り方を非常にじっくり考えるべきであると思っています。教育、そして、研究、両立はもちろん重要ですが、研究機関としての役割を考えたときには、もう今や、昔と違いまして、若手が急にイノベーションでパッと何かすごい発見ができるという時代ではなく、皆様には釈迦に説法であると思いますが、毎年、何十万という論文が出て、時間がかかるという中で、今、芳野委員からも御指摘があった、若手が教務のほうに、研究ではなくて教務も、毎週、何十時間も行わなければいけないという、これを変えていく必要があるし、モチベーション付けというのも予算の中で考えていく必要があるのではないか。それは教育人材、そして、研究者のタスクシフト、あるいはタスクシェア、こうしたことも進めるべきではないかと思っております。
そうしたことを評価する機関、第三者評価機関はありますが、非常に形式的なものになっていると思われますので、より質的なものにウエートを置いた形での検討が必要なのではないかと思っております。
そして、教育について最後ですが、地銀の再編を相当促すプログラムが、ある程度、国の支援もあって、進んでいるという理解をしています。その意味では、大学のプログラムの総合提供ですとか、それから再編というのも一定程度は進捗しているとは理解していますが、これをより進めるためのグランドデザインを持った国の支援ということが必要なのではなかろうかと思います。
それから、国内投資について多少ですが、政府の政策的な支援というのは、主眼はやはりセーフティーネット。それは個人に対して。そして、呼び水ということであると思います。事業再構築補助金、これの趣旨に鑑みると、やはり中長期的な存続であるとか成長、これが本当にできるようなものになっているのかどうか。短期的な視野に立った、いろいろな集中が生まれているのではないかというのが1点です。
それから、各種のサポートなのですが、来年3月までにコロナ支援というのが延長された結果、終わるというものが多くなっていると思います。これがしっかりと当初の目的に沿って、一旦停止すべきである、これは徹底するべきであると思います。そして、政策支援パッケージ全体についてですが、今までやはり、どういう支援を行った場合に、本当に効果があったかということについての検証が全くなされていないと言わざるを得ないと思います。これは中小企業庁さんも進めるということで理解していますが、人の移動が損なわれるなどの点も含めて、包括的に支援を行った場合と、そうでない場合、どういう支援がよかったのか。それを検証して、今後のEBPMに役立てていただきたいと思っています。以上です。
〔土居部会長代理〕平野委員、どうぞ。
〔平野委員〕まずは、文教から申し上げます。人口減少が避けがたい日本において、一人一人が持つ能力を最大限に引き出すための教育や、社会に新たな価値を生み出し未来を切り開くことができる次世代人材の育成は、国家としての極めて重要なミッションであると思います。ただし、財政に限界がある中でこれらに取り組んでいくには、我々、産業界と同じように、状況の変化と時代のニーズに合わせて、教育システムをアップデートする、すなわち構造改革を行う必要があると思います。
その意味で、7ページと16ページでまとめていただいた教育改革の方向性については、異論ございません。特に、すでに複数名から御指摘されている私立大学の規模の適正化については、我が国と同様に少子化問題を抱える韓国では、事実上の強制退出措置を含めてかなり踏み込んだ構造調整措置を講じることで大学定員を過去8年間で10%近く削減しており、こうした例なども参考にすべきであると思います。
今回の資料に記載されていない内容について、教育システムのアップデートという意味で、二つ付け加えたいと思います。
一つ目、高等教育の複線化について、具体的には、河村さんが触れられていた高等専門学校の強化の必要性についてです。日本では大卒という資格が社会に出るためのパスポートになっており、特に保護者がそれを望む傾向が強くなっているのが現状です。本来、大学はリベラルアーツと領域横断的な高度な専門知を学び、研究力を磨く場として存在価値を高めるべきだと思われますが、定員割れの私学の実態を見ても明らかなように、全ての大学にそれを求めるというのは現実的ではありません。むしろ、ドイツがよく事例として挙げられますが、キャリアパスに対する明確な意識を持って、早い段階からテクノロジーや職業知を中心に学ぶ高専のコースを増やしていくことが、教育の多様化や社会における人材の多様化という意味でも有効ではないかと思います。
起業家の育成を目指す徳島県の神山まるごと高専は、Sansanの創業者が中心になって設立されたテクノロジー系を学ぶ学校ですが、学生の半分が女性ということで大変注目を集めており、モデルケースの一つになるのではないかと考えています。
二つ目は、大学ファンドの運営についてです。これも広くあまねくではなく数校に絞って、国際競争力のある研究大学を生み出そうという差異化と改革の取組であり、高等教育システムの複線化と言えるのではないかと思います。財源に問題はありますが、始めた以上は是非成功させるべきであると思います。東大、京大が外れるという初年度の選考結果も、改革へのコミットメントを問うというポリシーが強く感じられるものであり、今後の運営と成果を我々もしっかりフォローしていきたいと思います。
次に、国内投資と中小企業関連について申し上げます。今の世界は、米中対立や地政学的な緊張から生まれたサプライチェーンの再構築への動きと、GX・DXに伴うイノベーション、巨額の投資を伴う技術開発の時代への突入という、互いに密接に関係し合う大きな二つの変化を迎えています。そうした背景の下に、欧米において、国家が主導する大型政策イニシアティブが立ち上がっているということは、先ほど御紹介があったとおりです。
過去30年にわたって停滞を続けていた日本にとって、対応を誤ると更なる地盤沈下を招きかねない一方で、今までの低迷の大きな原因が、成長への方向感や戦略を失い、特に国内における圧倒的な投資不足に陥ったということならば、脱炭素やエネルギー安全保障などのGX分野とデジタル化という明確かつ大規模な国内での成長投資の機会が訪れた今は、大きなチャンスとも言えます。
ただし、国家主導と言っても、我が国の財政事情を考慮すれば、日本の潜在成長率を高める分野に効果的に資源を投じていくことが重要であると思います。その観点から2点申し上げます。
一つ目は、優先分野における戦略的なビジョンとロードマップの必要性についてです。GXに関しては、2050年カーボンニュートラリティの実現というトップダウンの長期目標に対して、規制・支援一体型の投資促進策をてこに官民で脱炭素投資を進めていくという長期的な戦略フレームワークが明確化されています。財源についても、相当技巧的ではありましたが、計画にビルトインさせ、実質的に税収を確保できたことは評価したいと思います。残されているテーマは、財審の議論からは少し離れますが、原子力を含むエネルギー供給の問題に正面から向き合うことだと思います。
一方、DXに関しては、先ほど秋池さん、遠藤さん、安永さんからも御指摘がありましたが、例えば、半導体については、そのような大きな戦略が見えないまま、個別の投資が行われています。現下の国際情勢の下でフレンドショアリングが進められている現状を、日本における半導体関連産業を再構築し、グローバルなサプライチェーンの中で位置づけを再確認するとともに、新たな地位を占める絶好の機会と捉えて、そうした観点に立って、我が国としての半導体関連の産業戦略をより明確に描いていく必要があると思います。
また、これらは大規模な投資を必要としますが、特にR&Dに関しては、かつての日の丸プロジェクトのような自前主義に陥るのではなく、フレンドショアリングの陣営内での共同研究や技術導入に積極的に取り組むことが重要です。IBMと組んで、2ナノ以下の先端半導体の生産に取り組むラピダスのケースは大いに評価したいと思っています。また、英国では、国内に外資企業の工場誘致に加えて、研究開発拠点を呼び込むことで、海外からR&D資金を確保していますが、ここはまさにフレンドショアリングのベネフィットを大きく受ける分野だと思いますので、政府としても積極的に目を向けるべきだと思います。
二つ目は、先日も申し上げたように、今後、財政資源を投じる際には、補償的支出よりも未来志向の視点に立った投資的支出を優先させることを基本原則にすべきということです。産業について言えば、いかに新陳代謝を促すかということです。
それに照らすと、皆様からすでに御指摘されておりますし、個別には申し上げませんが、今回の資料にあるような、コロナ対応で創設された一時しのぎで生産性の低い中小企業支援施策をまだ手じまいできていない状況には大変強い危機感を覚えます。日本の国全体としての産業競争力や潜在成長率を高めることにつなげるという意識でしっかり取り組んでいただきたいと思います。以上です。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
それでは、テレビ会議システムで御出席の國部委員、御発言をお願いいたします。
〔國部委員〕今回のテーマに関して、端的に3点申し上げたいと思います。
1点目は、国立大学改革についてです。大学改革のインセンティブになるようなメリハリ付けの深化や、若手教育者の登用拡大に向けた組織改革を評価する仕組みなど、今回の資料で御提示いただいている国立大学改革の方向性は、よりよい高等教育サービスの提供、高度な研究開発人材の育成に資する取組であり、賛同いたします。大学関係者と話をしていますと、彼らも同じような問題意識を持って取り組んでいる一方で、例えば支援金が年々減っていく、あるいは優秀な教員を招聘するにも十分な資金がない、何をするにも大量の書類を用意させられることがあるなど、改革に伴う苦労話を聞くことが大変多くあります。教育の現場で奮闘する大学関係者が、よりメリットを実感できる工夫を加え、改革のスピードを上げていくことを目指すべきと考えます。
2点目はGXについて。GXは今後、我が国において国内投資を進めていくに当たって中心分野の一つとなります。2050年カーボンニュートラルという大きな目標に向かって、向こう10年で150兆円を超える投資を行っていくことは極めて重要です。ただ、GXへの投資を進めているのは、我が国だけではありません。日本で開発した技術であるにもかかわらず、社会実装の段階で手をこまねいている間に、海外勢に市場を押さえられるという負けパターンを繰り返してはなりません。GX推進法の基本条件において、規制、制度面の措置と一体的に講ずるとされているとおり、開発段階から、社会実装に際して妨げとなりそうな規制を見直し、また、国際的な標準化戦略も同時並行で進めるなど、国際競争に勝つことを視野に入れた上で取り組んでいく必要があります。
予算の面でも、技術革新の世界は日進月歩なだけに、追加の資金供給ニーズが生じた際、機動的な対応が求められます。逆に、これ以上研究を続けても勝てない案件については、資金供給を止め、その後の有望案件の原資として留保しておくケースも含めて、国際的な競争環境の変化に応じて資金投入していく体制を中長期にわたって保持しておく必要があります。
なお、GXに関しては財源の確保も着実に進めていくべきです。第1回の分科会で、プライマリーバランスが2025年度に黒字化することも視野に入るという中長期試算が示されていましたが、この試算では、GXに関する経費と財源が含まれておらず、GX経済移行債の償還原資が確保できなければ、財政健全化目標の達成は遠のきます。GX経済移行債の発行に向けた検討が進められ、カーボンプライシングに関しても、カーボン・クレジット市場が本日スタートするなど、財源確保に向けて着実に前進していますが、今後、これらをしっかり軌道に乗せていくべく、財務省としてもしっかりフォローしていただきたいと思います。
3点目は中小企業対策について。経済社会が正常化に向かっている中、コロナ禍で大幅に膨らんだ中小企業対策費を正常化していくのは当然です。その際、政策目的に照らして、効果が明らかでないものについては廃止してしかるべきと考えます。例えば資料19ページにお示しいただいている中小企業等事業再構築促進事業の目的は、中小企業等を支援することで、それを通じて日本経済の構造転換を促すこととされています。補助金を受け取ったそれぞれの事業者が何を行ったかに加えて、これまでに採択された2兆円が日本経済の構造転換にどの程度役立ったのかという視点での検証も重要と考えます。日本経済にとって極めて重要なテーマであるだけに、支給された補助金が政策目的に沿う形で使われているか、期待した効果が上がっているかといった点をしっかりチェックし、今後の中小企業対策を講じる際の参考にする必要があります。
もちろん中小企業の生産性向上や事業再構築に関して、金融機関に対する期待が大きいことも認識しており、我々も金融機関として重要な役割を果たしていきたいと考えています。私からは以上でございます。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。それではまず、主計官に対する質問にお答えいただければと思います。よろしくお願いします。
〔寺﨑主計官〕ありがとうございます。いくつか御質問がございましたので、お答えいたします。
最初に、安永委員から御質問がありました義務教育における民間出身者の活用についてでございます。デジタル人材という文脈で、民間出身の方の採用がどれくらい進んでいるかということに関してはデータがないのですが、民間企業経験者全体が全採用者に占める割合というデータで申し上げますと、小学校で2.6%、中学校で3.3%ということですが、10年前と比較いたしますと小学校が4.3%で、中学校が5.4%ですので、減少してしまっているという状況かと思います。
それから、武田委員から御質問ありました博士人材の活用関連施策についての御質問でございました。ポスドク問題を取り上げておきながら非常にお恥ずかしい話ではございますが、ほかの係ともまたがる話が多くございますので、後ほど整理してお答えしたいと考えております。
それから、木村委員から御質問ありました外部人材がなぜ十分な効果が出ていないのか、その理由でございます。率直に言って、なぜなのだろうというのが私の感想ですが、あえて申し上げると、学校の先生の方々、基本的に非常に真面目な方が多くて、何でも自分で仕事を抱えてしまうという傾向がございます。外部人材に何を任せて、教員はその仕事をやらなくてよいですよという整理をよりトップダウンでやらないと、働き方改革にはつながらないのかと思っています。令和5年度予算から、こうした外部人材の補助については、各教育委員会などが働き方改革の取組を公表することを補助要件にしておりますので、まずその効果を見ていく必要があるのかなと思います。
あと最後に、遠藤委員から防衛の会議というお話がありましたが、総合的な防衛体制強化に関する研究開発予算、また、防衛ニーズとのマッチングについてですが、今現在、総合的な防衛体制強化に資するように議論しているところでございますが、規模についてはこれから年末に向けて精査していくことになりますので、今段階では何も数字がないという状況でございます。
〔土居部会長代理〕皆様の議事に対する御協力のおかげで、まだ20分ほど時間が残っておりまして、最後の締めを残すと15分ぐらいですが、もし2巡目の御発言を御希望される方がおられましたら、会場の方はネームプレートを立てていただき、それから、テレビ会議システムの方は、挙手するボタンをクリックしていただければと思います。いかがでしょうか。
特に御希望されている委員の方は、テレビ会議システムも含めて、いらっしゃらないということでございまして、皆様の貴重なお時間ですので、これにて議事を終了させていただきたいと思いますが、よろしいですか。
それでは、本日の会議はここまでとさせていただきたいと思います。本日の会議の内容につきましては、会議後、記者会見で御紹介させていただきます。詳細につきましては、後日、委員の皆様に御確認いただいた上、議事録を公開させていただきますので、それまでは、会議の個々の御発言につきましては、皆様方から報道関係者等に対してお話しされることのないように御注意をお願いいたしたいと存じます。
次回は10月19日(木)14時から、財政制度分科会の開催を予定しております。御出席よろしくお願い申し上げます。
なお、次回の財政制度分科会の詳細につきましては、事務局より、追って御連絡させていただきます。
それでは、本日はこれにて閉会させていただきます。御多用中、御出席いただきまして、誠にありがとうございました。
午後3時40分閉会