財政制度等審議会財政制度分科会
議事録
財政制度等審議会財政制度分科会議事次第
令和5年10月4日(水)14:00~15:05
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)
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1.開会
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2.議題
地方財政
3.閉会
分科会長代理 |
増田寬也 |
神田副大臣 矢倉副大臣 瀬戸大臣政務官 佐藤大臣政務官 新川主計局長 寺岡次長 前田次長 吉野次長 大沢総務課長 木村主計企画官 三原司計課長 西村法規課長 山本給与共済課長 横山調査課長 有利主計官 山岸主計官 小野主計官 佐久間主計官 小澤主計官 寺﨑主計官 端本主計官 松本主計官 漆畑主計官 尾﨑主計官 後藤主計官 小野寺主計監査官 石田予算執行企画室長 西尾主計企画官 小田切公会計室長 |
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委員 |
秋池玲子 大槻奈那 河村小百合 熊谷亮丸 小林慶一郎 武田洋子 土居丈朗 藤谷武史 宮島香澄 |
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臨時委員 |
遠藤典子 小黒一正 木村旬 國部毅 権丈英子 末澤豪謙 田中里沙 中空麻奈 平野信行 広瀬道明 福田慎一 堀真奈美 神子田章博 横田響子 吉川洋 |
午後2時00分開会
〔増田分科会長代理〕今日は冒頭カメラが入りますので、まずそちらを入れて、それから開会したいと思います。それでは、お願いします。
(報道カメラ入室)
〔増田分科会長代理〕ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。皆様には御多用中のところ、御出席をいただきましてありがとうございます。
本日は、神田副大臣、矢倉副大臣、瀬戸大臣政務官、佐藤大臣政務官にお越しいただいております。どうもありがとうございます。
本日の議題は、「地方財政」でございます。
では、そろそろ時間がまいりましたので、報道関係者はここで御退室をお願いいたします。
(報道カメラ退室)
〔増田分科会長代理〕それでは、事務局説明に入ります。本日からペーパーレス化の取組を始めておりますので、説明の際には端末及びスクリーンに画面共有で表示される内容を御確認いただきたいと思います。
それでは、初めに小澤主計官から「地方財政」について、簡潔に説明をお願いいたします。
〔小澤主計官〕地方財政を担当しております小澤でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
資料、まず目次でございますが、大きく2本立て、まず地方財政の現状について御説明をした後で、様々な課題について順次説明をしていきたいと思います。
次のページ、まず令和5年度予算における地方交付税交付金等ですが、左下の円グラフにありますとおり、社会保障に次いで2番目に大きな16.4兆円となっております。
次のページ、令和5年度地方財政計画ですが、地方交付税総額については、財源不足に関する国・地方の折半ルールと一般財源総額実質同水準ルールに基づいて算定を行っております。令和5年度においては、臨時財政対策債の新規発行は行わず、借換等の発行も1兆円に抑制、また、交付税特会借入金も償還計画を大きく上回る1.3兆円を償還することとし、財政健全化を大きく前進させることができました。
ここで、二つのルールについて簡単におさらいをしておきます。
まず一般財源総額実質同水準ルールについては、地方の一般財源総額については特段の財源確保措置を講じない限り、実質的に同水準を維持するというルールでありまして、平成23年度以降、地方財政の健全化のための規律として堅持されております。骨太2021においては令和4年度から令和6年度まで本ルールを適用することとされております。
もう一つのルールが国・地方折半ルールというものですが、これは地方財政計画の歳入歳出のギャップで埋めがたい財源不足が発生する場合には、国と地方で折半して負担するというものです。一般財源総額実質同水準ルールのもと、国・地方の税収が増えていることから折半対象財源不足は減少傾向にありまして、近年はほぼ存在しない状況となっています。
ここから国と地方の財政状況の推移について御覧いただきますが、この資料では国と地方のPB、プライマリーバランスの推移について御覧いただきます。緑色の折れ線グラフが国のプライマリーバランス、オレンジ色の折れ線グラフが地方のプライマリーバランスです。国の財政状況が悪化する中においても、リーマンショック後や東日本大震災時を含め、国から地方へ手厚い財政移転を実施したことから、国のプライマリーバランスは十分に改善が進まない一方で、地方のプライマリーバランスはほぼ一貫して黒字を維持しています。新型コロナ対応においても、臨時交付金をはじめとする財政移転を実施した結果、地方のプライマリーバランスは黒字を確保した一方で、国のプライマリーバランスは大幅に悪化しています。
この結果、普通国債残高は累増の一途をたどり、今年度末には1,068兆円に上る見通しとなっています。他方、地方の債務残高はほぼ横ばい、近年は減少に転じつつあります。
地方財政の課題は様々ございますが、まずは令和6年度総務省要求について簡単に御説明をした後、四つぐらい論点になりそうなものをピックアップしましたので、順次御説明をしていきます。
まず令和6年度総務省要求の概要ですが、昨年度に引き続き折半対象財源不足は生じず、一般会計における特例加算の要求はないものの、歳出総額を対前年度0.9兆円増加させる、ついては一般財源総額を対前年度0.6兆円増加させたいという内容になっています。歳出の増加は、地方公務員給与の引上げによる給与関係費の増が0.3兆円、今年の法改正で導入された会計年度任用職員への勤勉手当の支給が0.2兆円、高齢化に伴う社会保障費の増0.5兆円が主な内容となっています。先ほども申し上げましたとおり、令和6年度にも一般財源総額実質同水準ルールが適用されますので、しっかりと歳出改革努力を行うか、財源確保措置を講じるよう折衝を行ってまいります。
歳出改革の大きな鍵はDXの推進と考えられます。過去30年間、生産年齢人口の減少と同じペースで地方公務員の数を減少させてきましたが、足もとでは若干増加の動きも見られます。ただし、日本全国あらゆる業種で人手不足が深刻化する中、地方公務員だけ職員数を維持ないし増加させるのは非現実的です。より少ない公務員で十分に行政ニーズを満たすべく、徹底した行政の合理化・効率化を図っていく必要があります。
情報システム経費は年々累増しており、適切なチェックを行うための仕組みを検討する必要があるのではないかと考えております。また、巨額の情報システム投資を行っておりますので、業務改革効率化により歳出コストの削減という形でしっかりと結果を出してもらう必要があります。自治体情報システムの標準化については、情報システムの運用経費の3割削減を目指すとされておりまして、これを今後の地方財政計画に反映していく必要があると考えております。
自治体DXについては様々な実証実験が行われておりますが、いつまでも一部の自治体における実証実験にとどまらせることなく、先進事例の横展開を加速化し、全ての自治体においてAI・デジタル化を前提とした行政の転換を進めるべきと考えております。
ここから、こども・子育て政策についてお話をいたします。こども未来戦略方針においては、加速化プランの財源については国・地方を含め徹底した歳出改革等によって確保することとされております。地方の歳出改革については、今後具体化される加速化プランの内容と既に地方が行っている施策とが重複する場合がありますが、そうした場合には重複財源を活用するなど、既存施策との整理を行っていく必要があります。
また、枠計上経費として、地方財政計画には地方創生推進費を1兆円計上しています。このうちの人口減少等特別対策事業費は、若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえるための財源として創設されたものです。加速化プランに合わせて地方が単独でこども・子育て政策を実施するための財源としては、この人口減少等特別対策事業費の見直しによって捻出することが一つ考えられます。
次に、地方税収等の計上の適正化について、二つのスライドを使って説明をいたします。まず地方税収等については、過去最高の44.9兆円に上っておりまして、しかも決算では計画より上振れることが多く、過去10年間の上振れ合計で8.4兆円に上ります。この上振れは基金の増加や地方財政計画で予定していなかった歳出に費消されています。
この結果、基金残高は10年間で4.8兆円増加して25.8兆円となっており、先週末に発表された速報値によれば、更に1.8兆円程度増加する見込みになっております。また、基金に積立を行っていない手元流動性とも言える実質収支は1.5兆円増加をして3.2兆円となっています。このような状況を踏まえれば、当初の地方財政計画で予定されていなかった財政需要への対応については、国への支援を求めることなく、地方団体において追加財政需要や財政調整基金の取崩し等を活用して対応すべきと考えます。
次に、ふるさと納税について御説明をしていきます。ふるさと納税制度は、今は都会に住んでいても自分を育んでくれたふるさとに自分の意思で幾らかでも納税できる制度があってもよいのではないかという問題意識から平成20年に導入され、その後、地方創生を更に推進するため、ワンストップ特例制度を含む制度拡充が図られています。この結果、直近では寄附金受入額は約1兆円、住民税控除額は約7,000億円となっています。
ふるさと納税の地方財政における扱いについては、ミクロとマクロの二つの面で考える必要があります。こちらの資料ではマクロ、すなわち地方財政計画への計上の仕方に絞って御説明したいと考えております。先ほど御説明したとおり、ふるさと納税は住民税の一部を現住所の自治体から別の自治体に納付するという発想からつくられた制度ですが、法律上は寄附金控除の仕組みを活用しています。このため、右下のポンチ絵にあるように、ふるさと納税を行うと地方財政計画上は地方税が減収となり、特定財源の中の雑収入が寄附金収入という形で増えることになります。ここで一般財源総額実質同水準ルールがありますので、地方税の減収は何かで埋めないといけないということになります。折半財源不足が発生していないときは地方負担分の臨財債で埋める、すなわち地方の責任の範囲で負担することになるのですが、折半財源不足に陥ったときは、この隙間を国と地方で折半して負担することになります。近年は折半対象財源不足が発生していない状況が続いており、来年度編成で問題になる可能性は低いのですが、ふるさと納税が1兆円規模に到達したこの機会を捉えて、地方財政計画への計上について適正化を行っておくべきではないかと考えております。
ふるさと納税のポータルサイトを御活用になられた方は、寄附金の使途の選択を求められることを御存じかと思います。ただし、選択肢は具体性や特定性を欠くかなり一般的な内容となっており、さらに「市長におまかせ」を選択する割合は約3分の1に上ります。ふるさと納税の収入を特定財源ではなく一般財源として扱うことも将来的には検討していくべきではないかと考えます。
最後に、企業版ふるさと納税です。これは平成28年に創設されましたが、令和2年度に税額控除割合を2倍に引き上げ、損金算入と合わせた税の軽減効果が最大9割に引き上げられたことから、寄附件数・金額とも大きく増加をしております。現状では企業版ふるさと納税の寄附金収入は地方財政計画に計上されておりませんが、今後計上していくべきものではないかと考えます。
私からの説明は以上です。
〔増田分科会長代理〕どうもありがとうございました。
端末の使用方法ですが、お手元に説明資料がありますので、それに従って操作していただければと思います。何か疑義が生じた場合には、挙手をして事務方を呼んでいただければ、すぐ対応いたしますので、どうぞ御遠慮なく合図していただければと思います。
それから、本日欠席の上村委員、安永委員、芳野委員より意見書を提出いただいております。説明資料と同様に各端末に格納しておりますので、お目通しください。
それでは、ただいまの説明につきまして、委員の皆様から御意見、御質問を頂戴したいと思います。いつもどおり会場の方はネームプレート、オンラインの方は「挙手するボタン」で合図をしていただきたいのですが、今日は全体の会議時間が60分でますので、恐縮ですが御発言は手短に、2分以内でまとめていただくようお願いいたします。いつもどおり会場から5名、オンラインから5名、これの繰り返しで進めていきたいと思います。
それでは、まず会場で私から向かって右側から順次指名していきますので、宮島委員、どうぞお願いします。
〔宮島委員〕地方財政に関しましては、もちろん歳出の改革の努力を求めるということがまずベースにあって、今施策によっては、地方はやりたいが、お金がないものに関しては国が出してくださいというような姿勢があるものもございます。私は、地方の交通インフラの議論などもしていますが、責任は国が、お金も持ってくださいのような姿勢が見られるところがすごくあるので、もともと目指した自治は何かというところからちゃんとやっていただきたいと思います。
個別になりますと、一番気になっているのはデジタル予算です。今回補正でも更に積み増すということで、ちゃんと効果が出ているのかをしっかり示していただきたいですし、その結果を地方財政計画にちゃんと反映していただきたいと思います。特にデジタルでは、国が旗を振って、自治体がそれを十分できていないというようなところも結構見受けられて、それはコロナのときなども割と顕在化しましたが、それをちゃんとやる形を、整える必要があります。その際に例えばデジタル化であると二つ、デジタル化でやっている部分とそれができない高齢者のために、それとは別に紙でもよいですよということにしたり、あるいはクーポンが紙に戻ってしまったり、お金が余分にかかってしまっているのではないかというような場面もあると思います。もちろん、今日もこれを使うのにどなたかを呼んでよいというふうに言われたのと同じで、いきなりなしというのはないと思うのですが、言ってみれば、いつまでも二つのやり方をずっと続けると、逆にお金がかかってしようがないという状態になるので、ゴールを見定め、あるいは住民の人たちにも、途中からはこう変わります、この方法はなくなりますというようなことを示しながらちゃんとやるということが大事ではないかと思います。
また、ある意味しっかりつくり込み過ぎて今のデジタルの技術の進展についていけないことになったりその自治体だけのガラパゴス的なところになって、全国のシステムとの整合性がとれないのようなことにはならないように、しっかりとやる必要があると思います。これはデジタル行財政改革の会議も今度できますので、しっかり見ていただけると思うのですが、予算の面からもそれがどの程度効果を上げたかということをしっかり示していただきたいと思います。
自治体の施策で、自治体が競争するので、どんどん膨らんでしまう部分があると思いますが、例えば子どもの医療費の無料問題は、私は10年ぐらい前から言っていて、でも是正する方法がない一つであると思います。今もみんな全国共通にやってくれのような声も出たし、子どもに関してはかなり共通な部分もできたので、むしろそれの浮いたお金をどうというところが考えどころかなというふうに思っています。実際、お金があふれているので子どもの医療費を無料化しているわけではない自治体がいっぱいあると思うので、その効果をちゃんと図る必要があるのと、全体の医療費に与えている影響も無視できないと思います。
私は、子育て政策には、かなりのお金をつけることに賛成の立場ではありますが、やはり過剰診療はすごい気になっていて、例えば1回200円でもよいからお金を払ってもらうというのも、全国で何か声をかけ合ってやると、どちらでもよいが病院に行くかというぐらいの必要のない医療に関しては歯止めになるかと思うので、こうしたところも、自治とは言いつつも何らか手を、むしろ子育ての支援が全国的に広がるタイミングなので、個別でやっていることに関してももっと口を出していけないかと思います。
それから、交付金の使い方は適切にするということは言うまでもないので、コロナ以外の施策もしっかりとそれを見えるようにしていただきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。すみません、今の時間ですと大幅に超過にしてしまうので、以降の方はできるだけ手短にお願いします。
それでは、広瀬委員、お願いいたします。
〔広瀬委員〕各論で2点お話しさせていただきます。
一つは自治体DXですが、12ページにありますように、今いろいろな標準化を進めているということで、これは是非進めていただきたいと思いますが、その中でマイナンバーカードですね。一時いろいろなトラブルがあったりしましたが、これは産みの苦しみというんですか、これだけのものですから、いろいろなことが起こると思います。もちろんきちんと説明をしたり、あるいはそうしたトラブルが起きないようにするというのは大前提ですが、ただ、この機会を逃さず、是非引き続き頑張ってほしいというか、だんだんいろいろな選挙とか何かが近づくと、どうしても難しくなると思うのですが、これは是非推進していただきたいと思います。
2点目は、ふるさと納税ですが、これも一時行き過ぎのようなものがあったりとか、それから今月いろいろな諸経費を変えるとかということですし、それから本来、税としてはいかがなものかという議論があるのは分かりますが、一方で、珍しくというか、最近になく地方がこれによって活性化しているというような側面もあるわけですから、いろいろそうした税の在り方等も含めて、そして実際にそうしたふうな、地方がある面ではいろいろ知恵を絞ってやっているということも是非そこで考慮していただきながら、これは当面いろいろ議論はあると思いますが、いろいろな視点からこれは考えていかなくてはいけない問題かなと思っています。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、平野委員、どうぞお願いします。
〔平野委員〕1点目は、今回の主題と思われるDX化についてです。先ほど宮島さんがおっしゃったことは全てそのとおりと思いますが、少し付け加えます。13ページの書かない窓口について、窓口に行かない改革をやるべきであるという御説明を主計官から事前に受けました。全く同感です。自治体の窓口業務と銀行の窓口業務はほとんど同じと思っていまして、例を申し上げると、私ども三菱UFJ銀行では、過去6年で店頭の事務量をほぼ半減させてきましたが、そのドライバーとなったのは、オンライン化、すなわち来店させないということと、センター集約化の二つです。
オンライン化に関しては、取引の対象を毎年拡大するとともに、ユーザーの声をモニターしながらスマホアプリのユーザビリティを徹底的に改善することで成功につながったと思っています。結果として、窓口に来られるお客様は5年間で5割以上減少しました。
センター集約化に関しては、特に高齢の方など来店されるお客様もいらっしゃるので、そこで生じる共通事務はなるべくセンターで集中処理するという形にすることで、オンライン化とほぼ同様の効果がありました。
もう一つ重要となるのが、費用対効果であると思います。我々の場合は、ROI(Return On Investment)で投資リターンを明確に定義した上で検証していますが、施策の導入時に明確なアウトカム目標をつくることが必要と思います。これも先ほど宮島さんがおっしゃったとおりです。
2点目は、見える化についてです。15ページから17ページの御説明に加えて、未だコロナ交付金事業の使途・効果を全自治体が公表していないという事実や、地方交付税交付金の使われ方が不透明という会計検査院の指摘もありますが、地方財政の中身が見えない状況は早急に是正すべきであると思います。企業の場合は、ディスクロージャーにより、不都合な真実も含めて、ファクト、すなわちデータを積み上げることで、まず自らのありのままの姿を経営者が知り、さらにそれを企業の外に、すなわちステークホルダーに公表することで自分自身を追い込んでいます。そうしたプロセスを繰り返すことで経営品質を高めるという役割を果たしてきました。行政も同じと思いますので、データの整備と開示は是非進めていただきたいと思います。
最後、資料の論点からは外れますが、地方行政の体制についてです。第1に、基礎自治体におけるフルセット型行政からの脱却が必要ではないかと思います。その一つに、広域連携というやり方もありますが、その場合は先ほどのような共通事務や行政事務の思い切った切り出しと民間へのアウトソーシングを進めるべきであると思います。第2は、平成の大合併のときにニーズはあったができなかった自治体が数百あると聞いています。その後10年以上たっており、状況は厳しさを増していますので、国が新たなモデルを示して令和の大合併を始める時期に差しかかっているのではないかと思います。
以上申し上げたことを進めれば、うまく機能していると言われる一般財源総額実質同水準ルール自体を見直す余地が出てくるのではないかと私は思っています。
以上です。
〔増田分科会長代理〕中空委員、どうぞお願いします。
〔中空委員〕手短に3点言います。
1点目は前回も申し上げたのですが、コロナ禍の予算についての見直しがやはり進んでいないと思うので、これはやったほうがよいという事です。特に地方自治体においては、コロナ禍における地方創生臨時交付金の在り方について徹底的に見る必要があるのではないか。これが1点目です。
2点目は自治体のDXについてですが、皆様おっしゃいました地方の情報システム構築はやらなくてはいけない。統一化、標準化というのは当然であると思うんです。どこに転居しても特段面倒がないという時代は簡単に来てくれるはずなのに、なかなか難しく現状はそうなっていないというのがあるので、マイナンバーを駆使して、それを実現したい。
3番目は、子どもの話を今日していただきました。子どもの政策をとるのに当たっても、例えば教育特区を地方につくってみるとか、子ども世帯に対して地方の空き家を安く貸し出してみるとか、いろいろな日本にある社会問題を解決しながら、地方創生の問題も解決しながら、やっていけることはまだまだあると思うんです。最近話題の資産立国もそうで、なぜ東京や大阪に置かなくてはいけないかというふうに考えると、地方創生、地方財政というところに資するようなやり方があるのではないかと思います。
このように様々なことを横串にするという観点が必要なのではないか、と思います。以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、土居委員、どうぞお願いします。
〔土居委員〕コロナ禍の中で地方がコロナ対応するところを財政的に国が支えたということですから、今度はむしろ国の財政状況の、苦境の状況を地方が助けるという順番なのではないのかなというふうに思います。資料16ページにあるように、地方税収は消費税率を10%に引き上げたこともあって非常に好調です。その税収が地方財政計画に的確に反映されているならば良いのですが、必ずしもそうでないというのは主計官の御指摘のとおりですし、さらには、実は国の側で交付税財源の国税法定分は決算時に上振れると、それが後年度に交付税財源になってしまうということで、結局は国の財政収支を改善するのにはつながらないというアンバランスな、非対称な状態になっているということですから、もちろんこの上振れ分を地方財政計画でうまく反映できる方法があれば、それが一番良いと思いますが、必ずしもうまくいかないということであれば、むしろ国税法定分の財源のところで精算するというような形でプラスマイナスを相殺するというようなことも考えてもよいのではないかというふうに私は思います。
それからもう1点は、10ページですが、まさに一般財源総額実質同水準ルールに基づいてこうした形になっているわけですが、ただ、税収が上振れているというか、税収が好調であるがゆえに、歳出増の動機づけになってしまっていると。税収がどんどん入ってくるので、地方財政計画上の歳出も増やせるというような、そうした、かつてこの同水準ルールをつくったときとは全然様相の違うような局面にあると思います。そうした意味では、以前は、実質同水準ルールはこれ以上歳出を増やさないようにという歯止めにもなっていた時期もあったとは思いますが、今は税収がどんどん増えて、交付税財源も税収が増えるにつれてどんどん増えるということになるので、収入の増え方の丈に合わせるように歳出を増やすというようなことにすらなりかねないような、そうしたようなところにあるのではないかというふうに思います。
ですから、そうした意味では歳出をしっかり地方財政計画上でも精査していただいて、むしろ交付税財源になり得る国税収入はしっかり交付税特会の借入金の返済に回していただくという形で地方財政計画の歳出が膨張しないようにするということを考えていただきたい。これは決して国だけのためではなくて、地方のためにもなると。つまり交付税特会の借入金というのは、将来の交付税の先食いというようなことも言われていて、将来の交付税を減らす要因になりかねない、そうしたようなものですから、それを早めに、税収が好調の間に返済をしておいて、将来交付税が減らないようにするというようなことにもこの交付税特会借入金の返済というのは役立つというふうに思います。
私からは以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、ここでオンラインに移りたいと思います。次の順番で御発言をお願いします。横田委員、堀委員、小林委員、福田委員、この順番です。
それでは、横田委員、どうぞお願いします。
〔横田委員〕納得感の高い資料の御提示ありがとうございました。
全般的に同意をしておりますが、システムの標準化移行経費についてだけ意見を申し上げます。私のほうでは総務省の地方制度調査会に参加をしておりまして、現在、標準化の進捗なども伺っております。現在デジタル庁と総務省が協力して各自治体の標準化を、PMOツールを活用して順調に進んでいるということを横並びで確認できる状態であるというふうに伺っております。一方で、9月末の地方制度調査会で、地方6団体より、予算上限を既に突破しつつあるという意見がたくさん出ておりました。国が標準化の費用を負担することが前提とされているため、予算措置は今後進められていくところではあると思うのですが、他方で財務省の御指摘のとおり歯止めは必要であるというふうに考えております。
まず今回、外部専門家によるチェックというものを挙げていただいておりますが、前提として、標準化の進捗だけでなくて費用の透明性も確保されるべきであるというふうに考えておりますし、さらに費用を精査するに当たっては、本当に標準仕様なのか、独自のものが混ざっていないのかというのを明確に区別し、国が持つべき経費を明確に区分していくことが非常に重要であるというふうに考えております。その上で御提示いただいた外部専門家などによる標準化経費の第三者チェックは方策の一つと考えております。
以上です。
〔増田分科会長代理〕続いて、堀委員、どうぞお願いします。
〔堀委員〕地方財政の見える化についてです。地方財政が健全である中、国の施策による予算増はともかく、独自施策によるものは独自予算の中でというのはそのとおりであると思います。ただ、自治体の努力による財政健全化の部分と国の施策の影響を切り分けることが実際難しいかと思います。地方財政の「見える化」を進めるためにも、地方財政の指標を見る際に、今現在、財政力指標などあると思うのですが、それ以外の指標のようなものを開発できれば、将来的に地方自治体独自の財政努力による健全性と国の施策による財政移転による健全性を識別できる可能性があるのではないかと思います。非常に難しいことかと思うのですが、そこをはっきりさせないと財政責任の明確化も難しいかと。
地方行政のDXについて、参考資料に示されているように、今後の人口減少における人材確保困難を考えても、行政の効率化は待ったなしであると思います。膨大な書類、印鑑、手書きによる作業はヒューマンエラーを起こしますし、行政の効率化と同時にサービスの質向上という意味でも、標準化・共通化・マイナンバーカードの普及は非常に重要であると思っています。また、相応の投資も必要であると思います。ただ、予算規模が本当に適切なのかどうかは第三者による検証が必要であると思いますし、地方自治体の独自性を考えますと、好事例の横展開というのも分かるのですが、総務省のホームページを見ますと非常に膨大な好事例が事例集に掲載されています。しかし、どれが費用対効果でよいのか、どれが自分たちの自治体にとってよいのかというのは非常に分かりにくいところもあると思います。そもそも全国的な社会インフラとなるようなICT化、DXの基盤につきましては、基本的に今1,700以上、市町村があると思うのですが、それぞれが独自にするとばらつきも生じますし、かえって費用対効果も悪くなるのではないかと思います。横展開の形で独自性・主体性に任せるという視点も重要であると思いますが、それだけでなく、「サイロ化」と言われる分断化された状況を是正するためにも、より広域的な行政単位で連携していくことも検討する必要があるのではないかと思います。
また、ほかの委員からも指摘がございましたが、行政手続の多くを実際窓口に行くことを前提にするのではなく、基本的にオンラインプラットフォームで最後まで完結できるようにすることが重要かと。同時に、デジタル・デバイド対策などはデジタル先進国と言われているエストニアや北欧などの国から学ぶことがあるのではないかと思っています。
ちなみに、電子政府ランキング1位になっているデンマークでは、2001年にデジタル戦略を打ち出したのですが、4年おきに政策を更新して、その都度、目標領域を定めて、達成状況を確認しています。統一的なプラットフォーム基盤の構築により、利便性の感じられるシステムが構築されています。日本も2001年にIT戦略を策定していますし、技術的な面では決して劣らないと思うのですが、行政DXではコロナ禍でも明らかになったように遅れているところもあると思います。この背景には、「サイロ化」があると思います。組織横断的な一貫性と統一的なプラットフォームをつくれるようになると、ユーザーの利便性も感じられるようになるでしょうし、政府のデジタル戦略に期待したいと思います。
それから、こども・子育て政策について、加速化プランは国が進めるものなので、推進するための地方負担分を国に請求するのは分かりますが、重複を除いたところで純粋に地方独自にしたいところは独自の財源で進めていただければと思うのですが、先ほど述べたように独自の部分と国の部分の切り分けが難しいところもあると思います。国と地方の事業における役割と責任をどのように切り分けるか、そこをどういうふうに「見える化」していくのかが将来的な課題かと思います。
コロナ臨時交付金についても、コロナ感染症法の改正もありますので、平時の状況に戻していく必要があるのではないかと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、続いて小林委員、どうぞお願いします。
〔小林委員〕私からは1点だけ、ふるさと納税について発言したいと思います。
ふるさと納税は最初始まったとき、税収を得る、あるいは税収を分配する手段としては、返礼品の大きなコストがかかるわけですから非常に非効率なやり方だなというふうに議論したことが記憶にありますが、しかし、先ほども委員の御意見があったように、意外に地方でうまくいっているという面もあると思います。要するに返礼品のコストは、その地域の、地方の事業者への支払いということですから、単なる無駄というふうに捉えるべきではなくて、一種の産業政策、または経済政策としてのコストであるというふうに解釈すべきなのかなというふうに思います。地場の企業が返礼品の生産などで成長すれば、地方税や国税もそのうちまた増加するという一般均衡的な効果というのもあり得るということであると思います。
ただ、もちろん一方、返礼品をめぐるいろいろなモラルハザードなどの問題を防止するために、いろいろな制限を設ける、あるいはもっと増やすという必要があるということはそのとおりであると思いますが、そうした返礼品に関する制限を考える際に、経済政策的な、あるいは産業政策的な効果を考慮した基準を設けるべきではないだろうかというように思います。例えば、ある企業の商品を返礼品に選ぶ基準として、その商品を返礼品として自治体が買い取ることによって、雇用がどのぐらいその事業者、あるいはその周辺に増えたのか。あるいは、その事業者、関連会社がどれぐらい納税額を増やすことになるのかというようなことを、一定のレベルを上回っている場合には返礼品として採用することを認めるというような、そうした経済効果を考慮した基準で返礼品の選定をさせるというようなことを考えるべきではないかなというように思っております。
私からは以上です。
〔増田分科会長代理〕続きまして、福田委員、どうぞお願いします。
〔福田委員〕2点、言いたいと思います。
1点目はデジタル化の問題です。これも待ったなしで、是非推進すべきであると思います。ただ、自治体によって、デジタル化の進む自治体と進まない自治体が出てくると思います。進めた自治体ほどコストがカットされて、お金が要らなくなって、進めていない自治体はなかなかコストが減らなくて、予算が必要であるということになってしまうと何か本末転倒なので、デジタル化を進めた自治体に関しては、コストをカットしたことの御褒美と言うと少し語弊があるかもしれませんが、進めたことによって大きなメリットが、進めていない自治体よりも感じられるような仕組みづくり、インセンティブづくりというのは大事なのではないかなというふうには思いました。これが第1点です。
それから2点目は、足もとで起こっているのはインフレでありまして、インフレはもちろん国民生活を考える上ではよくないことなのですが、いろいろなお金を再配分する上では都合の良い仕組みでもあって、物価が上がっていないと再配分する場合には名目上のお金をカットしなくてはいけないとかという問題が出てくるのですが、インフレがあるときは据え置きでも実質的にその金額は減って、必要なところだけ名目上の金額を増やすということができるようになりますので、そうした意味では、地方財政の問題だけに限らないですが、インフレ下でどういうふうに、我々は今まではあまりインフレがない世界に生きてきたわけですが、インフレ下でこうしたお金の再配分というものの考え方というのは、いろいろな工夫があり得るではないかと思いました。
私からは以上です。
〔増田分科会長代理〕どうもありがとうございました。それでは、また会場に戻りたいと思いますので、田中委員、どうぞお願いします。
〔田中委員〕私もまずDXについてですが、自治体DXが思うように進まないと言われていますが、その理由はやはりDXに対する理解不足、また、DX人材が地域にいないということがよく挙げられます。人材はSEとかプログラマーのみならず、IT投資の戦略を立てて運用するという、こうした力のある人がなかなかいないというのが問題であるというふうに思っています。自治体DXの全体像が描ける人がいないと、ここに無駄なコストや時間が費やされることになりますし、開発コストも単年で終わらないものとかも出てきますと、そこで精査も不透明になりがちです。ここは国の共通基盤を有効に取り込んで、あるいはそこに乗って、その上で現場にある各地域の課題を住民のニーズに応えるという形で対応するというふうなことを少し、一度整理をして、予算との関係の中で見直さないと、また現状のような形が続くかなというふうに懸念をしております。
もう1点は企業版のふるさと納税のところですが、これもうまくいって、とても東京都市部の企業と地域の住民の方、行政が良い形で発展しているという例も聞いておりますが、令和2年に恐らく人材派遣型の企業版ふるさと納税というのも創設されて、いくつかの切り口があると思いますが、先ほど御提案があった、記された、地方財政計画に計上すべきかどうか、していくためにも、企業版もふるさと納税を活用されたところの使途と継続性を見通した計画策定というのを出されるということがまず条件になるかなというふうに思います。
以上、よろしくお願いします。
〔増田分科会長代理〕それでは、末澤委員、どうぞお願いします。
〔末澤委員〕ありがとうございました。私のほうから3点申し上げます。
私は前回の会合で、10月1日にアメリカが政府機関閉鎖になる可能性が高いと申し上げたんですね。結果的にはマッカーシー議長の自らの首をかけたスーパーショット、ミラクルショットでどうにか30日23時に、あと1時間というところでバイデン大統領の署名を経て歳出継続を、11月17日までですが、これが成立してガバメント・シャットダウンは避けられました。ただし、マッカーシー氏はその代償で、日本時間の今朝ですが解任されました。アメリカの下院議長の解任動議は過去、今回を含めて3回ですね。1910年、あと2015年に出ています。ただ、本会議の採決に付されたのは今回が2回目です。前回は否決されましたので、これが初めてなんですね。恐らく今後、相当混乱が起きると思います。マッカーシー氏の選出にも4日、15回の採決が必要でした。次の最たる人はいないので、今後しばらくアメリカの政治が相当混乱するだろうと。ただし、今回の混乱の背景にはアメリカの財政の抑制ですね、これをどの程度にするかということがベースにあったということだけは申し上げたいと思います。
2点目が、今回のことに関連ですが、4ページ目ですね、先ほど小澤主計官も評価されていましたが、今年度は交付税特会、当初の償還計画5,000億に対して1兆3,000億と、8,000億を追加で償還するという、ある面、極めてすばらしいことをやられています。地方の税収というのは通常、国税の税収から1年遅行します。昨年度の国税は2兆8,000億の、これは補正後見積りを上振れていますから、今年度は少なくとも地方税収は安泰と。来年度辺り、どうにかなるのではないかと私は思っています。そうした意味では、今余裕がある間にこの交付金、先ほど土居委員からもありましたが、償還を増やしておいたほうがよいと。実はもともとリーマンショック以前の償還の終了時限は、私の理解であると2026年度、つまりあと3年後だったんですね。それがコロナショック等も経て、一時2055年度まで、ぐっといきました。足もとは2052年度、それでも相当先ですね。ですから、できれば早めに少し前倒しで返しておいたほうがよいと。実はマーケットも、アメリカの長期金利の上昇、今日の先ほどの議長解任もあって荒れておりまして、今は見ていませんが、先ほど600円ほど日経平均は下げていました。来年、再来年以降は世界経済のスタグフレーション懸念が一段と増す可能性もありますので、今のうちにやっておいたほうがよいと。
三つ目がふるさと納税ですね。19ページですか、私も9月末にふるさと納税をやりました。毎年活用させていただいているのですが、制度変更があるので10月1日を前にやりました。ワイドショーでもずっと取り上げられていて、本当に有権者の関心も高い項目であると思います。私はこの疑義は認めますが、ただ、仕組みについては理解していただいたほうがよいと。つまりここの左下にありますミクロでの取扱いで見ると、今取られてしまったところ、例えば23区、川崎市、交付税の不交付団体、これは全く入りがないと。一方で、横浜市は取られても75%は戻ってくるんですね。ただし、その75%の原資はどこから出ているかというと、ほかの不交付団体があまねく広く薄く負担しているわけなので、実は皆様が負担をしていると。一方、これがもっと財源不足が大きくなると右側ですね、国の負担も出てくる可能性があるということなので、こうした仕組みがベースにあるということは理解、周知されたほうがよろしいのではないかなと思いました。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、熊谷委員、どうぞお願いします。
〔熊谷委員〕簡潔に4点、申し上げます。
まず第1に、地方のPBが黒字を確保してきた一方で、国のPBは大幅に悪化している、また、地方財政計画に枠計上経費が多額の規模で存在しているといったことなどへの処方箋として、地方財政計画や地方創生臨時交付金などに関する徹底的な見える化を進めて、新規施策など他の施策との関係を十分に整理するとともに、定量的に費用対効果を測定して、PDCAサイクルをしっかりと回していただきたいと考えます。
2点目として、10ページの一般財源総額実質同水準ルールに関しては、骨太2021に記載されているとおり着実に実施していただくとともに、地方財政において歳出改革努力を行ってほしいと思います。また、これは土居委員の問題意識とも重なりますが、国税の交付税財源が増えれば交付税も増えるというような関係になっていることを勘案いたしますと、今後の課題として新たな規律づけの必要性についても検討するべきであると考えます。
第3に、自治体DXという錦の御旗のもとに事項要求が行われているようですが、マイナンバーをしっかり活用するとともに、御提案されたとおり専門家などによる適切なチェックを行うための仕組みを是非とも導入していただきたいと思います。
最後に4点目として、ふるさと納税に関しては見直すべき点があるということは理解をいたしますが、他方で、その意義をしっかりと確認することが重要ではないでしょうか。新しい資本主義という観点から申し上げると、自助・共助・公助の中で大事なのは共助で、共助の柱は保険と寄附でございますので、その一つの大きな寄附の柱として、ふるさと納税というものが存在するわけです。こうした大きな枠組みを踏まえた上で、ふるさと納税に関する建設的な議論を行うことが必要ではないかと考えます。
私からは以上でございます。ありがとうございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、國部委員、どうぞお願いします。
〔國部委員〕お示しいただきました課題に対して、端的に2点申し上げます。
1点目は自治体のDXについて。現在デジタル庁が主導する形で各自治体における標準準拠システムへの移行に取り組んでおられると聞いています。新しいシステムに移行するだけでも十分困難なことは承知していますが、現在の業務フローをデジタルに置き換えていくだけではなく、デジタル技術を使って現在の業務フローを抜本的に効率化してこそDXと言えます。地方公共団体情報システム標準化基本方針に掲げられている「人的・財政的負担を軽減し、住民サービスの向上に注力できるようにする」という標準化の意義を踏まえれば、標準化したシステムの使い方を地方任せにせず、住民サービスを効率的に提供する、例えば基本形のようなものを国がつくって提示するとともに、それを導入すれば削減可能な経費を地方財政計画から減額するなど、国主導でDXを実装していくべきではないかと思います。
2点目は、こども・子育て政策についてです。いわゆる加速化プランにおいて、こども・子育て政策が拡充されることで既存の事業と重複が生じないよう見直しを行うのは当然と考えます。とりわけ、地方創生推進費の中で人口減少等特別対策事業費として措置している6,000億円については、事業の内容がほぼ加速化プランと重複している印象があります。年末に向けて加速化プランの具体的な取組を策定していくことになると思いますが、重複が生じないよう、デジタル田園都市国家構想事業など国として進めている政策との関係を整理した上で予算編成に臨むべきと考えます。
なお、こども・子育て政策の枠から少し出ますが、国全体として歳出改革に取り組んでいる中、枠計上経費という形で必要性や効果を検証できない予算が1兆円規模で計上されているというのは驚きでした。こうした予算がほかにないか、検証する必要があると思いますし、また、今後も計上し続けるのかといった点も議論すべきと考えます。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは木村委員、どうぞお願いします。
〔木村委員〕今日はいくつか大事な提案がなされたものと受け止めています。2点申し上げたいと思っています。
一つは、ふるさと納税ですね。ふるさと納税の趣旨というか、制度自体は悪くないものであると思っています。つまり納税者が自分の意思で応援したい自治体に寄附という形で主体的に選んで納税するというのは、それは国民の納税意識というんですか、そうしたものを高めて、自治体も創意工夫に努めるということにつながるという意味では決して悪くない趣旨であると思うのですが、現状はそうした本来的な狙いから外れて、過度の返礼品競争で、カタログショッピングとよく言われていますが、そうしたものに成り下がっているというんですかね、実体的にはかなりいびつな状態になって1兆円近くまで膨らんだという状況があると思います。この是正が恐らく必要であると思うのですが、もし今回、ふるさと納税収入の一般財源化というのが、既に寄附金額が1兆円に迫って、寄附金の使途も分野を指定しない割合が4割にも上るという実態を踏まえると、もはや寄附金収入ではなくて、一般財源化するというのは検討に値すると思うのですが、それが最終的にふるさと納税のいびつな形を是正する、直接的ではないですが間接的な効果を持つのであれば、こうした制度も、一般財源化というのも検討に値するのではないかなというふうに考えます。
それからもう一つ、2点目は、こども・子育て政策の地財計画の枠計上経費の透明化ですね。今、國部委員もおっしゃいましたように、1兆円の地方創生推進費のうち6,000億円の人口減少等特別対策事業費、資料にあるように、この費用は導入後8年間の効果検証を行った上で新規施策との関係を整理すべきというのは、私もそのとおりであると思います。既に導入から8年間経過したのですが、人口減少に依然として歯止めがかからない状態が続いているという現状を踏まえると、この事業というのは本当にどこまで成果があったのか、これまでの政策の問題点をきっちり検証しなければ、今後、自治体のほうで上積みを求める声もあると聞いていますが、いくら上積みしても、検証をしっかりしなければ新たな効果というのは見込みにくいのではないかと。少子化対策というのは極めて重要だからこそ、資料でもありますように検証をしっかり行って、その上で必要な予算をきちんと配分していただきたいということでございます。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。会場は残り3名なので、先にそちらを終えて、オンラインで最後、武田委員に発言していただきます。
それでは、続きまして河村委員、どうぞお願いします。
〔河村委員〕私からは地方財政の全体的な今後を見据えての運営の方向性と、ふるさと納税のところで意見を少し言わせていただければというふうに思います。
小澤主計官の、冒頭で一般会計の歳出全体に占める地方交付税の位置づけとかも御説明くださって、本当にこのとおりで、政策的経費の中でも社会保障に次ぐ、これだけ大きな金額を取っている地方交付税、でも一般会計の歳出総額114兆に見合うだけの税収がない中で、国全体として多額の借金を抱えながら走っている状況で、では今後、地方財政をどういうふうにやっていくべきかということは本当に真剣に考えなくてはいけない局面に来ているのではないかなというふうに思います。
足もとのところでは地方税収も順調に伸びていますし、本当によかったと思います。折半対象財源不足もなくなってきていて、臨財債も新発では出さなくて済んでいて、償還も進んでいて、本当によかったと思うんですね。ただ、これまで、ここ10年間ぐらいですか、ルールとして機能してきた財源不足の折半ルールとか、それから一般財源総額の実質同水準ルール、一定の規律づけとして機能した面というのがあると思うんですね。ただ、今後を見通したときにどうなのか。特に一般財源総額実質同水準ルール、今のところ、骨太では令和6年度までこれで行くということで既に決まっていると思いますが、やはり5ページのところの棒グラフ、今お出しくださっているところでも明らかなように、同水準で抑えてはいるが、本当に考えなくてはいけないのは私たちの国、これだけ厳しく人口が減っているんですね。人口がものすごく減っている。それで総務省のほうで基準財政需要額を算出するときに、いろいろ複雑でなかなか一般には分かりにくい世界ですが、人口が減っている中で同じ額の歳入が上がってくるかといったら、なかなか期待しがたい部分がある中で、横ばいでいくというだけでいけるのかどうかということは、やはりきちんと考えていったほうがよいのではないかなというふうに思います。
春の財審のときとかにも議論があったと思いますが、これはやはり税制のいろいろな問題もあって、法人事業税とかの偏在がすごく激しいとか、そうした問題もあって、国と地方合わせた税制改革、歳入のほうの改革とかのこともきちんと併せてやらなくてはいけない課題ではあるとは思いますが、そこをやはりきちんと今後、令和6年度を過ぎて、それから先、これから本当に財政制約が厳しくなってくるのではないかなと思いますので、考えていく必要があると思います。
もう1点、ふるさと納税については、今のような厳しい状況のもとで、19ページの図でいみじくもお示しくださっていますように、明らかに地方税の減収が生じてしまうんですね。それを国が負担するか、地方が負担するかという、そうした次元ではなくて、この国、そもそも国全体としてこれだけの赤字を抱えて、新発国債を出さなくては回っていかないような中でやっている国がこうした状況で、本当はやってよいのかなというふうに私は正直思います。産業政策のコストとして認識してもよいのではないかというふうな御意見が先ほども出ていましたが、国全体が財政収支も均衡、利払費まで含めて均衡であるとか黒字であるとか、国も地方も黒字であるとか、財政収支が黒字だったら、そうしたやり方もあってもよいかもしれませんが、これだけ厳しい状況で、これから財政制約を意識しなくてはいけない状況で、やはり少しこれは問題で、何で減収になるかといったら、例の返礼品なんですよね。地方税のところから返礼品、さっきカタログショッピングというお話があって、みんなそう思っていますが、そっちに持っていく余裕、この国、本当はあるのかねという気がいたします。
また、もう一つの問題は次のページの寄附金の使途のところですが、結局、追加的にお金がいろいろ出せるわけですね。ふるさと納税をした人が選べるし、市長さんに一任ということもできるということなのですが、こうした追加的な歳出を地方ができる財源として、災害があったときに返礼品がなくても、みんな気持ちで寄附するのがありますね。ああいうのはとても良いことであると思います。本当にやって良いと思います。だが、そうではなくて、ふるさと納税、ある意味、そうした災害だからとかということよりも、返礼品につられて集まってくるお金で、返礼品競争に勝ったところが手厚い歳出ができるとかというのは、手厚い歳出をしたかったら本当は住民が負担しながらきちんと歳出もしてというふうに、負担を伴う歳出であるのが本来の姿ではないかなと思いますので、そうした意味でも改善していく余地があるのではないかなと。財審としていろいろ、この問題、言いにくいところがあるのは承知していますし、すごくよく分かりますが、やはりもう少し問題点、前に出して言っていってもよいのではないかなと私は思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、大槻委員、どうぞお願いします。
〔大槻委員〕様々な御提案をいただいている点については非常にきめ細やかにお考えいただいていて、全て進めていただきたいと思います。賛成しております。
DXについてですが、こちらについては、12ページ目にあるような20の標準化にとどまらず、標準化をデフォルトとしていただきたいと思います。もちろん地方自治を尊重しつつ、そしてこの中にもありましたが、適正性をチェックすること、これを前提とはしつつも、地域的差異を設けることが合理的なものを除いて一定の標準化ということが必要であると思っております。人員不足ということを御指摘もいただきましたが、加えてこれから人々の働き方、生き方というのが変わってくる可能性がある中で、例えば現在でも存在する里帰り出産などの問題に加えて、今後は、夏の間は別のところで働くなど、一時的に移動する場合の手続の問題等を考えますと、地方間で様々な手続が標準化されていることが望ましいと思います。
そして、もう一つ、保守メンテナンスの問題がこれから出てくると思います。例えばこれで新しいシステムを統一的、標準的につくったとしても、保守メンテナンスの人員も足らなくなる可能性があり、これらのメンテナンスの部署をそれぞれの都市で設けるのかという問題がございます。ですので、これはできる限り標準をデフォルトということをお願いしたいと思っておる次第です。そして、國部さんもおっしゃいましたが、その際重要なのは、同時にプロセスも見直して標準化すること。
そして3点目、これは福田委員がおっしゃいましたが、そうした見直しが今はインセンティブづけがあまり行われていない可能性がございます。こうしたDXを進めることのインセンティブをもっと積極的につけていただきたいと思っております。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、オンラインで御参加の武田委員、御発言をお願いします。
〔武田委員〕自治体DX推進について3点、短く申し上げます。
1点目は全体のアーキテクチャ、全体像を描き、ゴールを明確にした上で必要なデータを標準化して、自治体組織内と、国・地方間でのデータ連携が可能となるように進めていただきたいと考えます。
2点目は業務の抜本的な見直しについてです。窓口業務だけではなく、内部業務まで一貫してデジタル化できるように業務フローを見直し、エンド・トゥ・エンドで完結する仕組みとすることが大切と考えます。
3点目は自治体DXの進捗とその成果をデータで見える化していただくことです。
予算策定に当たりましては、今申し上げた3点を御検討いただければと存じます。
以上です。ありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕どうもありがとうございました。
最後に、オンライン参加の小黒委員ですが、通信環境の問題で発言が難しいということで、小黒委員の意見だけ、事務局で代読をお願いします。
〔横山調査課長〕小黒委員からのコメントを読み上げさせていただきます。
現状では、広い国土における様々な申請・手続きを国のみで担うのは不可能であり、地方自治体の行政窓口などで法定受託事務の行政サービスなどを担っていますが、財務省の説明のとおり、デジタル政府の構築が進み、政府サービスの99%が電子化されれば、地方自治体の独自の行政サービスを含め、行政窓口に並ぶ必要はなく、申請手続の空間的な制約が消滅するのは明らかです。
地方が担う行政サービスは、自治体間の競争を行いながら、各地方がおのおのの創意工夫で独自の情報システムを構築して住民サービスを提供するほうが望ましいという意見もあると思いますが、国と地方は連携して行政サービスを担っており、例えば、新型コロナの感染拡大で必要になった現金給付のシステムもそうですが、デジタル政府の構築を行うとき、地方行政のデジタル化に必要な情報システムを各自治体で個別バラバラに構築にするのは極めて非効率に思います。
こども・子育て支援、児童手当などの分野では、「地方公共団体等の基幹業務等システムの統一標準化」が既に進められていることは承知していますが、政策コストの効率化やユーザーである国民の利便性を高める観点では、ガバメントクラウドを活用しながら、デジタル庁を中心に地方行政のデジタル化に必要な情報システムや市民が利用するアプリの「標準的ひな形」などを開発して、各自治体がそれを改良して利用する環境整備を徹底する方が効率的と思われ、財政面からこの施策の強化も御検討いただけますと幸いです。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、以上で本日の議題は終了とさせていただきます。いつもながらですが、この後、記者会見を行いますので、個々の発言につきましては皆様方から報道機関にお話しすることのないように御注意をお願いします。
次回は10月11日(水曜日)、14時から歳出改革部会として開催を予定しておりますので、よろしくお願いします。
それでは、本日これにて閉会いたします。どうもありがとうございました。
午後3時05分閉会