財政制度等審議会財政制度分科会
議事録
財政制度等審議会財政制度分科会議事次第
令和5年5月29日(月)17:00~17:50
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)
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1.開会
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2.議題
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とりまとめに向けた審議
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3.閉会
分科会長 |
十倉雅和 |
鈴木大臣 秋野副大臣 井上副大臣 宮本大臣政務官 茶谷事務次官 青木大臣官房長 新川主計局長 寺岡次長 中村次長 前田次長 八幡総務課長 小野主計企画官 大久保司計課長 渡邉法規課長 尾﨑給与共済課長 松本調査課長 一松主計官 三原主計官 佐久間主計官 有利主計官 小澤主計官 寺﨑主計官 大沢主計官 端本主計官 河口主計官 坂本主計官 渡辺主計官 内之倉主計監査官 山岸予算執行企画室長 園田公会計室長 |
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分科会長代理 |
増田寛也 |
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委員 |
大槻奈那 河村小百合 熊谷亮丸 佐藤主光 武田洋子 土居丈朗 藤谷武史 宮島香澄 芳野友子 |
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臨時委員 |
上村敏之 遠藤典子 小黒一正 木村旬 國部毅 権丈英子 末澤豪謙 中空麻奈 平野信行 広瀬道明 福田慎一 堀真奈美 神子田章博 横田響子 吉川洋 |
午後5時00分開会
〔増田分科会長代理〕時間がまいりましたので、ただいまから財政制度等審議会の財政制度分科会を開催いたします。
本日は、冒頭から、秋野副大臣、井上副大臣、宮本大臣政務官にお越しいただいております。どうもありがとうございます。なお、鈴木大臣は、この後お越しいただく予定となっております。
本日は、お手元に配付しております「歴史的転機における財政(案)」について、当分科会として取りまとめた上で、後ほどこの場で、十倉会長や起草委員の皆様から鈴木大臣へお渡しする予定となっております。
そして、この建議案ですが、河村委員、佐藤委員、武田委員、土居委員、中空委員、吉川委員に起草委員をお願いして御議論いただき、取りまとめていただきました。起草委員の皆様方、どうもありがとうございました。
お手元の建議の案ですがが、こちらは、22日の月曜日でございますが、前回の分科会や、その後書面でいただいた御意見等を踏まえて、起草委員の皆様に修正して作成していただいたものでございます。お手元には前回の会議で御審議いただいた案文からの修正を見え消しにしたもの、薄いほうになりますが、そちらと、修正を溶け込ませたものをそれぞれ配付しておりますので、御参考にしていただければ、このように思います。
前回の分科会で、修文案は起草委員の皆様に御一任したいというふうに私からも申し上げたところでございます。その後、起草委員の皆様に御議論いただきましたが、寄せられたコメントの中で、当分科会で行われた議論との関連性が薄いもの、当分科会で行われた議論の方向性とは異なると判断されたもの、金融市場・為替市場等との関係で配慮を要するもの、以上の三つのカテゴリーに当てはまるものについては、若干反映を見送ったものもあると聞いております。ただし、全体としては、多くのコメントを反映していただいておりまして、本日御賛同いただけるもの、このように思っているところでございます。
まず、前回の会議で御審議いただいた案文からの主な変更箇所について、事務局から補足説明をしていただきたいと思います。そして、案文を確定させた後、建議を大臣のほうに提出した後になりますが、後ほど皆様方から御感想をいただくような時間も若干確保しているところでございます。
それではまず、松本課長のほうから、今回の案文について簡潔に説明をお願いいたします。
〔松本調査課長〕調査課長の松本でございます。起草委員の皆様方に検討いただきました結果を、お手元の薄いほうでございますがが、建議素案からの見え消し版に沿いまして報告をさせていただきます。
表紙をめくっていただいて目次です。大槻委員から、最後にまとめのメッセージが必要であるとの御意見をいただきましたので、一番下、「将来世代の視点」という項目を追加しているということでございます。
めくっていただいて1ページ、「基本認識」でございます。木村委員から、文章の流れが若干分かりにくい、あるいは、支出を増やす場合でも絞り込みが必要であると明記すべきといった御意見をいただき、また、広瀬委員からも、有事の歳出について御意見をいただいております。全体的に文章の流れを見直すとともに、特に19行目でございますがが、支出を増やす場合も絞り込みや財源確保が必要という文章を盛り込んでございます。
めくっていただいて2ページでございます。8行目、平野委員、熊谷委員の御意見を踏まえまして、財政規模の拡大が成長を阻害するおそれがある旨を追記してございます。
15行目です。安永委員の御意見を踏まえまして、産業構造転換あるいは労働市場流動化の重要性を明記しますとともに、17行目、「経済あっての財政」という考え方も追記をしているところでございます。
お隣3ページです。脚注3、将来推計人口を加えましたのは小林委員、脚注4、出生数80万人割れを加えましたのは熊谷委員の御意見を踏まえたものでございます。
本文の17行目から、基本認識の締めくくりの文章を整えます中で、國部委員からの御意見を踏まえまして、グランドデザインの下で規律ある財政運営を行うという趣旨を明確化するとともに、平野委員の御意見を踏まえまして、20行目ですが、効果の低い予算の廃止・縮減を図ることを明確化してございます。
続きまして、5ページから「財政総論」、「経済・市場動向」についてでございます。
おめくりいただいて6ページでございます。大槻委員の御意見によりまして、9行目からのパラグラフを、「市場の信認」パート、お隣の7ページですが、こちらに移動するとともに、24行目、潮目の変化を認識した財政運営に関する記載も、一番下に移動しているということでございます。
続きまして、8ページにお進みください。平野委員の御意見を踏まえまして、脚注13でございますが、海外関連の留意点を追記していること。あとは、本文の18行目でございますが、債務残高対GDP比引下げのためにPB黒字化が必要であるということを明確に記載してございます。
続きまして9ページ、「世界の中での日本」に入ります。21行目、芳野委員の御意見を踏まえまして、IMFからの指摘事項を加筆しているということでございます。
おめくりいただいて10ページ、15行目でございます。平野委員の御意見によりまして、国際的な評価のために、重要課題の財源確保、あるいは財政健全化への実効的な取組が重要であるということを明記してございます。
お隣11ページでございます。18行目以降のアメリカの記述につきましては、この建議の取りまとめのプロセスにおける、この時点での状況を反映しているということでございます。
12ページにお進みください。13行目以降でございますがが、熊谷委員の御意見を踏まえまして、EUのルール見直しの状況については、脚注24に移したということでございます。
お隣13ページ、藤谷委員の御意見を踏まえまして、まず脚注25、ドイツの債務ブレーキの補足説明を追加するとともに、本文の18行目でございますが、日本でリスク顕在化を避けるため、市場の信認が重要であるということも明記してございます。
おめくりいただいて14ページでございます。5行目から、目標年度は繰り返し延期されている云々の記述につきまして、芳野委員から、明確な意思を示すべきとの御意見、あるいは宮島委員から、全体的に語尾が弱いという御意見もいただきましたので、端的な文章へと見直しを図ってございます。
同じ14ページ16行目、補正予算の関係でございますがが、宮島委員、熊谷委員の御意見を受けまして、一定の規律づけが必要と言い切る形に修正をしてございます。
脚注34、芳野委員、熊谷委員の御意見を踏まえまして、予備費にも触れてございます。
お隣15ページ、4行目です。宮島委員の御意見を踏まえまして、実効性のある枠組みを検討すべきと言い切る修正を行っております。
脚注36、複数年度の財政計画の策定は、平野委員の御意見でございます。
「危機への備え」に入りまして、15行目です。熊谷委員の御意見を踏まえまして、信用の量ばかり追求すると市場の信認を損なう旨を記載してございます。
続きまして16ページでございます。18行目、藤谷委員の御意見を踏まえまして、戦後のインフレの事実関係を淡々と記載する形へと改めてございます。
続きまして18ページにお進みいただきまして、10行目、平野委員の御意見を踏まえまして、危機対応支出によって労働移動や新陳代謝が阻害されている面があることを追記してございます。
17行目、熊谷委員の御意見を踏まえまして、危機対応については事前のゴール明確化が大事であるという趣旨を追記してございます。
22行目は、大槻委員の御意見で、コロナ対策は副作用も検証すべきということも書いてございます。
19ページです。22行目、熊谷委員の御意見を踏まえまして、企業の貯蓄超過と財政赤字を固定化させる対応は望ましくないと明記をいたしてございます。
あとは24行目です。安永委員の御意見を踏まえまして、賃上げや投資が合理的になる政策対応が必要としているところです。
おめくりいただいて右側21ページ、PDCAサイクルに入っておりますが、脚注47、行政事業レビューシートの補正予算プロセスの活用については、熊谷委員の御意見でございます。
本文の2行目から、平野委員の御意見を踏まえまして、政策評価の重要性に触れた上で、行政事業レビューも必要として、力点の置き方を直したところでございます。
脚注48、政策レベルの評価、枠組みの見直しについても触れてございます。
脚注49につきましては、宮島委員、堀委員の御意見で、会計検査院の指摘を紹介しているところでございます。
続きまして、23ページから「成長」に入ります。
もう一枚おめくりいただいて24ページ、脚注50でございますが、大槻委員、堀委員の御意見を踏まえまして、ChatGPTはじめ生成AIなど新技術の利活用に触れているところでございます。
「労働市場・人への投資」に入りまして、お隣25ページでございます。18行目、大槻委員の御意見を踏まえまして、学び直しの意義として、希望する職務への対応ということを追記してございます。
続きまして、27ページでございます。9行目、芳野委員の御意見を踏まえまして、企業規模に関わらず、学び直しの環境整備が重要であるとしております。
脚注60、年収の壁の問題に触れておりますが、これは平野委員、熊谷委員の御意見を踏まえた修正でございます。
そして「GX」に入りまして、おめくりいただいて28ページでございます。23行目、熊谷委員、遠藤委員、安永委員の御意見を踏まえまして、原子力の活用に触れてございます。
29ページの1行目、S+3Eの原則については、芳野委員の御意見でございます。
続いて30ページにお進みいただきまして、9行目からのパラグラフは、藤谷委員の御意見を踏まえまして文章を整えたものでございます。また、遠藤委員の御意見を踏まえまして、16行目、トランジションの期間と追記をし、20行目、再エネの脱炭素に資するエネルギーと、用語を置き換えてございます。
26行目、公正な移行の実現は芳野委員、お隣31ページの1行目、中小企業支援は広瀬委員の御意見でございます。
続きまして、おめくりいただいて32ページでございます。こちらは熊谷委員の御意見を踏まえまして、13行目ですが、排出量取引について、政策のベストミックスを追求するという記述を入れてございます。
続きまして、「DX」に入らせていただきます。34ページにお進みいただきまして、芳野委員の御意見を踏まえまして、まず、脚注83に、中小企業が取り残されないという旨を記載するとともに、本文の9行目、国民の権利や安全・安心に関わる規制に触れ、11行目、効果検証の仕組みについても追記をしているということでございます。
続きまして、35ページ11行目、平野委員の御意見を踏まえまして、目標、時間軸の設定、あるいは地方自治体支援の取組に触れているところでございます。
おめくりいただきまして36ページでございます。2行目、小黒委員、熊谷委員の御意見で、利用者である国民の目線からの改革ということを明記してございます。
8行目から平野委員の御意見で、データの収集、質の確保、連携の必要性を追記してございます。
18行目、小黒委員の御意見で、ベンダーロックイン解消などが経済安保にもつながることを明記してございます。
続きまして、科学技術に入りまして、39ページまでお進みいただきまして、産学連携の関係でございます。2行目、遠藤委員の御意見で、研究インテグリティーについて追記をしております。また、7行目、熊谷委員、田中委員の御意見で、トップのコミットメントにも触れてございます。
続きまして、「スタートアップ」に入らせていただいて、少し飛びまして44ページでございます。18行目あるいは24行目、広瀬委員の御意見によりまして、再チャレンジができる環境整備ということを明記してございます。
お隣45ページです。まず、脚注104、大槻委員の御意見によりまして、金融庁等の経営者保証を徴求しない融資の取組を追記してございます。また、横田委員の御意見によりまして、本文の19行目、研究開発分野のスタートアップの活用の重要性にまず触れていること。もう一つ、47ページに飛んでいただいて、これも横田委員の御意見ですがが、13行目、政府の他の施策と連携していくべきという旨も明記をしたところでございます。
続きまして、48ページから「こども・高齢化等」でございます。49ページにお進みいただいて2行目から、堀委員の御意見を踏まえまして、給付増は人口動態が影響してきたこと、今後も続いていくことといった趣旨を加筆しているところです。
また、熊谷委員の御意見を踏まえまして、8行目からでございますがが、医療・介護の費用は全体でも伸びていること、少子化対策も必要な中で、年末の報酬改定で引上げは慎重に議論すべきことを追記しているところでございます。
続きまして「少子化対策」に入らせていただきます。おめくりいただいて51ページでございます。8行目、PDCAの推進につきましては、平野委員の御意見を踏まえた修正でございます。
少し飛ばさせていただいて、56ページにお進みください。11行目です。児童手当の所得制限の撤廃につきまして、両論併記を維持しつつ、平野委員、國部委員、熊谷委員の御意見によりまして、慎重論を加筆したところでございます。
右側57ページでございます。子ども・子育て拠出金について、こちらは安永委員の御意見を踏まえまして、17行目、事業主が全額負担をしているもの、22行目、近年増加していること、それぞれ明記をしてございます。
おめくりいただいて58ページでございます。少子化対策の財源に関する記載でございます。16行目は、安永委員の御意見によりまして、負担能力に応じて全世代型で負担するという修正を施してございます。
18行目、権丈委員の、現物給付も勘案すべきとの御意見を踏まえまして、手取り増に「ネットの受益増」と補足の記述をしてございます。
21行目、安永委員、平野委員、國部委員、熊谷委員の御意見を踏まえまして、税も選択肢から排除すべきではないという御意見を紹介しているところでございます。
続きまして、お隣59ページ、「医療」でございます。11行目から前文を追加をしております。危機感を国民と共有すべき、効率的な医療提供体制の構築、給付と負担のバランス確保のために政府がイニシアティブを発揮すべき等々書き込んでございます。宮島委員、熊谷委員、安永委員、平野委員の御意見を踏まえた修正でございます。
めくっていただいて60ページです。6行目、木村委員の御意見を踏まえまして、コロナ特例の正常化と検証の必要性について記載を厚くしてございます。
お隣61ページ9行目、医療機関の経営情報データベースに関しまして、平野委員の御意見を踏まえて、事業者ごとの情報提供の義務化に触れてございます。
おめくりいただいて62ページにお進みください。7行目、平野委員、熊谷委員の御意見で、負担能力の判断につきまして、「保有資産・金融所得等を勘案」と明記し、脚注140におきまして、効率的・効果的な支援のためにもこれは重要であるとしております。
続きまして、63ページ、脚注142です。かかりつけ医関係の平野委員の御意見を踏まえまして、今回の制度整備は第一歩であるとした報告書を紹介しているところでございます。
続きまして、64ページ2行目でございます。堀委員の御意見を踏まえまして、救命救急を担う人材の集約は地域の課題であることを明確化してございます。
続いて66ページまで飛んでいただきまして、一番下30行目、小黒委員の御意見を踏まえまして、薬剤費の総額管理に関する提言の趣旨を追記しているところでございます。
続きまして68ページに飛んでいただきまして、脚注146、平野委員の御意見を踏まえまして、国際基準に基づいた統計データ整備の必要性を追記しているところでございます。
続きまして、71ページまで飛んでいただきまして、「介護」に入ります。16行目から、平野委員の御意見を踏まえまして、地域コミュニティーや民間の能力引上げ等々に触れてございます。
おめくりいただいて73ページです。4行目、医療と同様に、保有資産・金融所得等の勘案の検討について追記をしてございます。
おめくりいただき74ページ21行目からは、平野委員の御意見を踏まえまして、要介護認定の適切性確保など、給付の適正化の視点を冒頭に記載したところでございます。
続きまして、76ページ、「障害福祉」です。堀委員の御意見によりまして、6行目から、利用者が増えて予算が増えたという流れに直すとともに、19行目ですが、報酬体系やサービス提供に牽制が働きにくいという構造を明記したということでございます。
続きまして、おめくりいただいて78ページから「人口・地域」でございます。脚注168、こちらは小黒委員の御意見によりまして、生産性向上のため、人口密度を高める視点を追記をしてございます。
続いて地方財政に入りまして、82ページでございます。脚注176、平野委員の御意見を踏まえまして、昨年秋の建議、デジタル化の効率化、効果を地財計画に反映との記載を引用しているところでございます。
脚注178は芳野委員の御意見でありまして、会計検査院の指摘を受けた事案があることを紹介しているところでございます。
また、同じページ、本文13行目、平野委員の御意見を踏まえまして、見える化、自分事化によりチェック機能と財政規律を働かせる旨も記載をしているところでございます。
続きまして、90ページまで飛んでいただきます。社会資本整備が飛びまして、農村等の在り方に入っているページでございますがが、5行目の農地関係の記載で、芳野委員の御意見を踏まえまして、食料の安定供給などの観点を踏まえることとしております。
続きまして、義務教育に入りまして91ページです。16行目、末澤委員の御意見で、統合・ICT化・民間委託の必要性を明記しているところでございます。
続きまして、おめくりいただいて92ページ、脚注199でございます。安永委員、大槻委員の御意見を踏まえまして、民間企業で知識・能力を有する人材の参画について盛り込んでいるところでございます。
最後の95ページでございます。「将来世代の視点」のページを加えてございます。最初のパラグラフはフューチャーデザイン関係でございまして、7行目から、小林委員の御意見を踏まえて、当面の取組について加筆をしてございます。
次のパラグラフ、13行目辺り、未来から我々の選択が厳しい評価にさらされるということなどを書き込んでございます。
最後のパラグラフ、22行目、堀委員の御意見も踏まえまして、日本に生まれて、あるいは暮らして良かったと思える経済社会を残していくべきである。また、横田委員の御意見も踏まえまして、24行目ですが、足もとの利害を超えるべきとしつつ、最後のところは、真摯な議論と実践が求められるということで閉めてございます。
私からは以上でございます。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。今御覧いただきましたとおり、委員の皆様から頂戴しました御意見については、可能な限りこの中に反映をしていただいている、このように思います。
それでは、ここで内容についてお諮りをしたいと思いますが、建議の内容につきましては、お手元に配付をしております建議案のとおり取りまとめたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
〔増田分科会長代理〕ありがとうございます。それでは、お手元に配付のとおりで、「案」を取るという形で確定をさせていただきます。
ここで、建議の鈴木大臣への手交に移りたいと思います。
まず段取りですが、初めにカメラが入室いたします。その後、秋野副大臣、井上副大臣、宮本大臣政務官、そして十倉会長、起草委員の皆様は、カメラが入室した後、御移動をお願いいたします。そして、それ以外の委員の皆様は、その場で、お席でお待ちいただきたいと思います。鈴木大臣も間もなくいらっしゃいます。
(報道カメラ入室)
〔増田分科会長代理〕それでは、先ほど申し上げました皆様、御移動をお願いいたします。
(鈴木財務大臣入室)
〔松本調査課長〕それでは、財政制度等審議会において取りまとめました「歴史的転機における財政」を十倉会長から鈴木大臣に手交していただきます。十倉会長、よろしくお願いいたします。
(建議手交)
〔松本調査課長〕それでは、そろそろよろしゅうございますでしょうか。ありがとうございました。御着席をお願いいたします。
〔増田分科会長代理〕それでは、ただいま建議のほうは鈴木大臣に手交いたしましたので、十倉会長より、一言御挨拶を頂戴したいと思います。会長よろしくお願いいたします。
〔十倉分科会長〕委員の皆様におかれましては、これまでの御議論に心より御礼申し上げます。また、起草委員の皆様には、本建議の取りまとめに御尽力いただき、重ねて御礼申し上げます。
この春の分科会は、成長、こども・高齢化等、人口・地域といった三つの分野横断的な課題で御議論いただき、建議においてもそのように取りまとめていただいているところです。
本審議会分科会の会長就任の御挨拶でも申し上げましたとおり、我が国は、ポストコロナの時代に移行するとともに、生態系の崩壊や格差の問題という大きな社会課題に直面し、これに加えて、我が国を取り巻く国際環境の厳しさは勢いを増しております。まさにこの建議のタイトルのとおり、我々は歴史的転機に立ち会っていると考えます。
こうした認識の下、この建議では、複雑な問題に対し、グランドデザインに基づき全体を俯瞰するアプローチが有効であり、全体最適の視点を持って社会課題の解決、成長力強化、財政健全化の同時実現を追求していく必要があること、また、財政支出はターゲットを絞り、民間の活力を引き出し、日本経済の成長につなげること、そしてまた、現在、議論が本格化しています少子化対策には、真に効果的な対応が求められることなどが盛り込まれております。
コロナ対策だけでなく、防衛、少子化対策等により厳しさを増す財政状況におきまして、効果的な政策への注力や財源の確保が求められていると考えます。今後の財政運営に当たりまして、本建議を生かしていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、鈴木大臣からも一言御挨拶をいただきます。鈴木大臣、どうぞよろしくお願いいたします。
〔鈴木財務大臣〕十倉会長はじめ、委員の皆様におかれましては、大変熱心な御議論をいただき、心から御礼を申し上げます。ありがとうございました。
本日いただいた建議の題名のとおり、日本は今、歴史的転機にあると私も強く認識しております。気候変動、安全保障、人口減少をはじめとする難局に直面する中、今回の建議では、経済財政運営を適切に進めていく際に、念頭に置いておくべき様々なキーワードをいただきました。昨年度の金融情勢を思い返しますと、10月に円相場が1ドル150円を突破し、1月以降には長期金利が0.5%を上回ることがありました。市場が時に大きく動くことを踏まえれば、市場からの信任維持は、財政当局として、まずもって心得ておくべき課題です。
また、最近では、震度6強を記録した能登地方における地震をはじめ、自然災害が頻発化し、くわえて、ウクライナ問題が引き続き経済の不確実性をもたらしていることを踏まえれば、平時からの財政余力の確保も極めて重要な課題です。さらに、我が国の景気は緩やかに回復してはいますが、足腰が強い経済成長にはいまだ至っておりません。建議の中にもある成長志向の財政運営を胸に、財務省一丸となって、効果的な予算の編成に努めていく所存です。
このほかにも様々な提言をいただいておりますが、いずれもしっかりと受け止めたいと考えております。本日は誠にありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕どうもありがとうございました。
それでは、報道関係の皆様方、ここで御退室をお願いいたします。
(報道カメラ退室)
〔増田分科会長代理〕それでは、ここから意見交換の時間とさせていただきます。恐縮でございますが、ただいま取りまとめられました建議の内容や、春の財審全体を通じた御感想等ございましたら頂戴できればと思います。
まず、起草委員の皆様から一言頂戴できればと思いますので、よろしくお願いします。それでは、土居委員、どうぞ。
〔土居委員〕鈴木大臣をはじめ、建議をお受け止めいただき、誠にありがとうございます。委員の皆様にも御協力いただきまして、良い建議が出来上がったと私自身は自分でそのように思っているわけですが、これを是非今後の骨太方針、財政運営に生かしていただきたいと思います。特に財政健全化目標は2025年度で目標年次がありまして、あと2年というところが残されている期間ですから、ここで引き締めて、しっかりと歳出改革を進めていくことで、無理なく財政健全化目標が達成できると私自身は思っておりますので、何とぞ、大臣におかれましてはそのような財政運営をどうぞよろしくお願い申し上げます。
〔増田分科会長代理〕それでは、吉川委員、お願いします。
〔吉川委員〕私からは今年の建議、最後に加えられました第6章、92ページ。1ページですが、「将来世代の視点」、このことを強調させていただければと思います。このこと自体は、財審ではずっと本質的には同じことを言ってきたわけですが、鈴木大臣も先ほどおっしゃったとおり、日本は今、日本だけではなく、世界は今、本当に転機に立っていると言っても誇張ではないと思います。大変難しい局面であるとは思いますが、財政については、御存じのとおり、いろいろな考え方があるわけですが、やはり日本の財政は非常に厳しい状況にある。そうした中で、この将来世代の視点、このことを忘れるべきではないと、このように考えております。
鈴木大臣に是非ともリーダーシップを発揮していただくようにお願いいたします。よろしくお願い申し上げます。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、中空委員、どうぞお願いします。
〔中空委員〕ありがとうございます。皆様もありがとうございました。2点申し上げたいと思います。
私は金融市場にいますが、信用力の観点というのは、1回信用が失われるととてつもなく駄目になるということから、どれだけしっかりと維持できるかということが大事であると思っています。財審は、それを1回も達成できていないが、そして、どんどん状況は悪くなっているが、やはり財政健全化が重要であるということを言い続ける審議会であると思っているので、引き続きそれをしっかりとやっていきたいと思っています。またどうぞよろしくお願いいたします。
二つ目は、春の建議は横串を通すというチャレンジをしました。横串を通すことによって分かりやすくなったというような御意見をたくさん賜りました。しかし、良いことと悪いことがありまして、これをやることによって、どの章が問題なのかということが少し見えにくくなったという面はあると思っています。予算の問題で考えていくと、では、次は、秋はどうするかとか、いろいろなことを考えていかなければいけないと思っておりまして、その辺も含めまして、また、次、よろしくお願いいたします。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、武田委員、お願いします。
〔武田委員〕まず鈴木大臣におかれましては、建議を受け止めていただきまして、ありがとうございます。また、会長、会長代理のリーダーシップの下、この新たな体制の下で新しい形式において建議をまとめられたこと、皆様の御協力の賜物であると思っております。改めて御礼申し上げます。
申し上げたいことは2点です。1点目は、タイトルのとおり、歴史的な転機、転換点にあるというのは皆、共通した思いであると思います。ここから10年後に、振り返ったときに、転機における財政として正しい方向に向かうのか。それとも振り返ったときに転機に対応ができずに大変なことになってしまっているのか。まさにここが問われるのではないかと考えます。その点では建議にまとめられたことがいかに実行できるのかが非常に重要ではないかと思います。
2点目は、将来世代に対して責任を持たなければいけないという点です。今回、委員から「結論がない」「まとめがない」という御指摘をいただいて、1章を加えたわけですが、本当に重要なこととして、将来世代の視点に立って、様々な政策の議論がなされているかということでございます。
先ほど会長からも御指摘がございましたが、本当に真に効果的な政策に注力できなければ、必要な財政支出にみえても、効果を発揮しなければ、無駄な支出になってしまいます。大臣からも御発言いただいたとおり、市場からも見透かされますので、しっかり信任を維持するためにも、真に効果的な政策に注力して、未来に対して負の遺産を残さないようにしなければならないと痛切に感じております。鈴木大臣におかれましては、是非未来に責任を持つ政策運営を改めてお願いしたいと思います。
以上です。ありがとうございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、佐藤委員、お願いします。
〔佐藤委員〕よろしくお願いします。皆様、お疲れさまでした。私は、今年は今回初めてだったのでいろいろ経験させてもらいました。御指摘のあったとおり、今回は横串を刺すという形でテーマ別に建議をまとめるという形になったので、ややもすると抽象度が上がるかなとは思ったのですが、非常に具体的、かつ、むしろ予算を機能的に捉える、少子化対策であれ、成長であれ、かえってそうしたところに寄与したかなと思います。
特に私が今回良かったと思うのは、成長というところを前面に出したこと。なぜかというと、景気ではないからです。景気となると、どうしても足もとで規模ありきですが、成長であればやはり未来志向になりますし、やはりワイズ・スペンディングが問われるというところですので、少し財政政策の目先を政策目標といいますか、そうしたものを変えていくという点はあって良いかなと思います。
また、最後の点、先ほど吉川委員からも御指摘ありましたが、歴史的な視点というのを持つということがやはり肝要かなと思います。これも繰り返しになりますが、我々の最近の財政運営というのはどうしても目先になりがちで、近視眼的と言ってよいかもしれませんが、そのようになりがちな状況にある中で、我々は、歴史的にどう評価されるのかということ、未来から見れば、今の私たちは歴史なので、そもそもいません。したがって、彼らがどういった評価を我々に下すのかということ、そこはやはり想像して物を考えていかなければいけないのかなと思いました。改めてですが。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、河村委員、お願いします。
〔河村委員〕私も今年初めて起草委員会に参加させていただきました。今回のこの建議、取りまとめを通じて感じましたことは、横串を刺す形での議論をずっと進めていってということで、やはり良かったところ、いろいろあったのではないかなと思います。前回の分科会のときでも、各委員の方々からいろいろ御意見をいただいて、こうした横串を通す形でまとめたからこそ、やはり大事な問題についてもっと踏み込んで書くべきであるとか、そうした御意見をたくさんいただいて、できる限り反映するように努力したつもりではあります。
その意味では、春と秋でやり方を少し変えてということであれば、また次の春の議論をするときに、もっと議論を、今年できていなかったところについても、もう少し踏み込んだ議論ができれば良いのではないかなと思います。
また、この建議が打ち出す内容については、やはり今のこの局面、転機ということですが、なかなか市場環境等を見てもいろいろ厳しい局面に立たされているのが事実であると思いますので、しかるべき危機感を国全体で、みんなで持った上で、しっかり自分たちはどうあるべきか、この国はどうあるべきかということを考えていかれればといったメッセージを打ち出すことができたのではないのかなと思います。
最後のところで、目先の利益ばかりを追い求めるのではなく、将来世代の利益にもつながる対応を選択していく。そのことで持続可能な経済社会を未来に残していかなければいけないということをしっかり書き込むことができましたので、是非これを力強く発信して、具体的にまたこれから秋の議論もあると思いますが、では、具体的にどういった運営をしていったら良いのか、財政全体の枠組みはどうか、そして、ここの歳出分野、ここの議論、問題についてはどうかということを議論していかれればと思っております。
たくさんの委員の方々から御意見を頂戴したことに感謝いたします。
以上です。
〔増田分科会長代理〕起草委員の方は以上でございます。
それでは、今日は時間が非常に限られておりますので、会場にいらっしゃる方優先ということで、御発言事項がある方はごくごく手短に、一、二分程度でまとめて御発言いただけるようにお願いいたします。希望される方はネームプレートを立てて合図していただきたいと思います。
それでは、熊谷委員から行きましょうか。それでは、熊谷委員、どうぞ。
〔熊谷委員〕ありがとうございます。私は現在、我が国が抱える最大の問題点は、現状維持バイアスが強すぎて、歳出が硬直化し、本当に必要な分野に円滑に資金が回らないことであると考えております。「保守」という言葉の語源を調べてみると、防腐剤という意味合いもございます。真に守り続けなくてはいけない大切な美点を守り抜くために、不断の改革を断行する。財政面で申し上げれば、歳出の優先順位づけ、プライオリティづけを行うことこそが、保守の本質であると思います。
また、我が国は民主主義国家ですから、厳しい財政状況等の不都合な真実を国民に正面から誠意をもってお伝えする必要があります。受益は負担を伴う、フリーランチは存在しないといった、国民にとって耳の痛いことを正しく御理解いただくためには、デジタル化などをてこに、受益と負担の見える化を推進し、EBPMを強化することが肝要です。また、政治の世界では、歳出と歳入の一体改革、税と社会保障の一体改革等に関する超党派の合意なども必要かもしれません。
誠に僭越ながら、鈴木財務大臣におかれましては、以上のような視点などを踏まえて、是非とも民需主導の自立的な経済成長と財政健全化の両立を図っていただきたいと考えます。
私からは以上でございます。ありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕次、大槻委員です。大槻委員、どうぞ。
〔大槻委員〕では、一言。健全な危機感をこれで醸成したいところであると思いますので、本当に良い建議であると思いますので、是非とも、みんなでこれをより多くの方々に読んでいただけるよう、浸透するようにしていきたいと思っております。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、國部委員、どうぞ。
〔國部委員〕ありがとうございます。今回、財政制度分科会に初めて参加させていただいたのですが、様々な課題に対する理解を深め、改めて考える良い機会になりました。すばらしい建議が取りまとめられたことは大変喜ばしいことであると思いますが、これをゴールとするのではなく、今後の政策にきちんと反映してこそ意味があると思います。
生命や資産の安全が守られていることや、必要な医療がいつでも受けられることなど、こうした受益にはそれに見合った負担が必要、という当たり前のことを国民に理解していただくには、やはり政治家の皆様が国民に丁寧に説明し、現実的な選択肢を示していくことが必要であると思います。
今回の建議がどのように扱われていくのか、私も関心を持って見守らせていただきたいと思いますし、それを踏まえて秋の議論に臨んでいきたいと思います。鈴木大臣、どうぞよろしくお願いいたします。
〔増田分科会長代理〕それでは、末澤委員、どうぞお願いします。
〔末澤委員〕起草委員の皆様、事務局の皆様、どうもお疲れさまでした。私から申し上げたいのは、ここ数年間、いわゆるCOVID-19のパンデミックによって、空前絶後の財政出動が各国で行われたのですが、もう世界は既に平時に移行している。WHOもCOVID-19の国際的な公衆衛生上の緊急事態も終了しましたし、米国でも国家非常事態、また、緊急事態は終了して、米国では何が起きているかというと、いわゆる債務上限の問題で、歳出抑制でバトルが続いているということですね。つまり、各国はもう平時モードに、地政学的ないし地経学的リスクは別ですが、移っているのですが、日本ではなかなかそうはいかない。ということで、過去3年間、この建議の中でも財政再建の旗印は下ろさないという部分があったと思うのですが、今後はやはり旗振り役を増やす努力が必要である。今回、すばらしい建議をつくっていただいたので、これをどうやって国民の皆様に読んでいただけるか。こうした努力を今後は進めていく必要があると考えております。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、木村委員、どうぞ。
〔木村委員〕本日はどうもありがとうございました。私が申し上げた意見も反映していただいて、本当にありがとうございます。今回の建議は、こうした例えが良いかどうか分からないのですが、横軸と縦軸の視点がそろった非常に充実した内容になったと思います。横軸というのは、これまでも話が出ていますが、分野横断的に横串を刺したことで、これまで分野ごとに限られがちだった視点を広げて、まさに全体最適の視点、これを活用することによって、メリハリが利いた予算編成ができる布石にはなったと思います。
また、縦軸というのは、これはフューチャーデザインです。要は、将来世代の視点という時間軸を取り入れることで、より効率的な予算編成を促す効果があり、それが最終的に全体最適の視点の意味を高めるという、二重、三重の相乗効果を持つと思います。
今後、早速、少子化対策で対応を問われるわけですが、少子化対策は国家的課題です。それは、今申し上げた全体最適の視点と将来世代の視点の両方が必要になると思います。歴史的な転機にある財政運営にしっかりこれから取り組んでいただき、国民の暮らしに資するような成長と分配の好循環につなげていただきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、平野委員、どうぞお願いします。
〔平野委員〕ありがとうございます。本当にすばらしい建議ができたと喜んでいます。その上で、3点申し上げます。
1点目、最後に加えられた「将来世代の視点」というのはとても良いと思います。この文脈で、アメリカの大統領選挙を思い出しました。そこでは、候補者はチルドレンと連呼するわけですが、将来がどうなるのかということは政治の責任であるという意識が非常に強いことが表れています。日本でもこのような意識がなければ駄目だとかねがね思っていました。今回、この視点を明確に打ち出されたので、是非大切にしていただきたいと思います。
2点目、今回の建議では、制度に結構触れていただきました。IFIや複数年度予算についても触れていただきましたし、独立性の高い政策評価も必要であると書き込んでいただきました。この場は制度審議会ですので、特に春では、制度についても議論すべきと思っておりまして、今回それができたということです。今後も議論を深めていく必要があると思いますし、補正予算や予備費についても踏み込むべきだと思っております。
最後、秋の議論についてです。春と同様、是非新しい取組をしていただきたいと思っております。先ほどから皆様がおっしゃっているように、ポイントは全体最適化です。言葉を変えれば、スクラップ・アンド・ビルドの考え方に則り、何をスクラップするのかということについても、秋の各論では議論できると良いと思っております。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、芳野委員、お願いします。
〔芳野委員〕ありがとうございます。まずは起草委員の皆様及び事務局各位の御尽力に敬意を表したいと思います。また、こちらから提出しました意見書からも取り込んでいただきました。改めて感謝を申し上げたいと思います。
1点だけ申し述べたいと思います。歳入歳出を含む行政監視機能の充実を図る観点から、今回の建議の中で、独立財政推計機関の創設について研究を進める旨が言及された点は評価したいと思います。過度に国債に依存し、将来世代に安易に負担を付け回す今の財政運営から脱却するためには、こうした取組を通じた財政規律の強化に加えて、不断の努力で税財政一体改革を行う必要があることを申し添えたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、小黒委員、どうぞお願いします。
〔小黒委員〕本日、この財政審の建議が出されたわけですが、1点だけ簡単に申し上げさせていただければと思います。財政総論の4ページ目のところになりますが、いま世界経済はインフレ基調に変わっているというところで、この背景としては、まさに歴史的という表現のとおり、ロシアやウクライナの戦争のようなところも関係しております。それと同時に、経済安全保障のような議論も入ってきておりまして、まさにG20で言えば、インドと中国を除けば、ほぼ、我々もしくは欧米諸国をあわせるとGDPの規模で4割ぐらいの規模になっているということで、世界が二分されているという状況であると思います。
そうしたところがある意味で、金融政策以外の要因も含めて、インフレの要因になってきているというところではないかとも思います。そうであるとすると、まさに年金財政もそうですが、インフレを活用して、医療・介護についても痛みを伴わない形でゆっくり調整していくことも可能になりつつあるではないでしょうか。例えば診療報酬等でもそうですが、そうした改革をしていけば、引き続き財政の健全性を確保できるという措置もできるのではないかということで、この辺についても今後御議論いただければと思います。
〔増田分科会長代理〕どうもありがとうございました。
それでは、会場の皆様方の御発言、以上とさせていただきまして、ここで、十倉会長、それから、鈴木大臣は、時間がまいりましたので、御退室されます。大臣、そして、会長、どうもありがとうございました。
〔鈴木財務大臣〕皆様、どうもありがとうございました。
(鈴木財務大臣、十倉分科会長退室)
〔増田分科会長代理〕それでは、特にオンラインの方からの御発言は今のところないということなので、各委員の皆様方からの御発言、今日は以上とさせていただきたいと思います。
事務方の皆様もよろしいですか。
それでは、時間もまいりましたので、以上で本日の議題は終了とさせていただきたいと思います。この後、私のほうで記者会見を行う運びとなっております。それから、今お手元に配付しております資料につきましては、(案)がついたものでございまして見え消し等々いろいろ入っておりますので、どちらもお持ち帰りにならずに、机の上にお残しいただきますようにお願いいたします。
建議については、事務局で印刷・製本の上、明日以降、速やかに皆様に送付する予定でございますので、そちらをお使いいただければと思います。
それでは、本日はこれにて閉会いたしまして、春の財審につきましては以上とさせていただきます。多大なる御協力を賜り、誠にありがとうございました。お疲れさまでした。
午後5時50分閉会