財政制度等審議会財政制度分科会
議事録
財政制度等審議会財政制度分科会議事次第
令和5年2月17日(金)15:00~16:40
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)
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1.開会
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2.議題
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令和5年度予算等について
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将来世代の視点(フューチャーデザイン)
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3.閉会
分科会長 |
榊原定征 |
秋野副大臣 渡部政策立案総括審議官 新川主計局長 寺岡次長 中村次長 前田次長 八幡総務課長 大久保司計課長 渡邉法規課長 尾﨑給与共済課長 松本調査課長 一松主計官 三原主計官 佐久間主計官 有利主計官 小澤主計官 寺﨑主計官 大沢主計官 端本主計官 河口主計官 坂本主計官 渡辺主計官 内之倉主計監査官 山岸予算執行企画室長 鈴木主計企画官 園田公会計室長 |
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分科会長代理 |
増田寛也 |
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委員 |
遠藤典子 大槻奈那 佐藤主光 十河ひろ美 武田洋子 中空麻奈 藤谷武史 宮島香澄 |
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臨時委員 |
河村小百合 木村旬 熊谷亮丸 権丈英子 末澤豪謙 竹中ナミ 田近栄治 伊達美和子 田中里沙 冨山和彦 平野信行 広瀬道明 福田慎一 堀真奈美 神子田章博 村岡彰敏 横田響子 |
午後3時00分開会
〔増田分科会長代理〕それでは、時間がまいりましたので、会議を始めようと思いますが、今日は冒頭からカメラが入りますので、そのままお待ちいただきたいと思います。それでは、カメラをお願いします。
(報道カメラ入室)
〔増田分科会長代理〕ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。御多用中のところ、御出席いただきまして、ありがとうございます。
本日は、冒頭から秋野副大臣にお越しいただいております。誠にありがとうございます。
本日は、議題は令和5年度予算等について、将来世代の視点(フューチャーデザイン)となっております。よろしくお願いいたします。
それでは、よろしゅうございますか。そろそろ報道関係者の方は御退室をお願いいたします。
(報道カメラ退室)
〔増田分科会長代理〕これから事務局説明に入らせていただきます。まず、令和5年度予算等につきましては、本日は八幡総務課長から簡潔に説明をお願いしたいと思います。課長、どうぞお願いします。
〔八幡総務課長〕総務課長の八幡でございます。それでは、私から資料1「令和5年度予算等」という資料を使いまして、御説明いたします。
1ページ目は目次でございますが、これら六つの項目を順次御説明、御報告させていただきます。
まず、3ページをお願いいたします。一般会計予算のフレームでございます。歳出歳入それぞれの合計の欄を見ていただきますと、総額が114兆3,812億円、過去最大の額となっております。便宜上、下段の歳入から御説明いたします。
まず、税収でございますが、69.4兆円とこれも過去最高の額を見込んでいるところです。
その下、その他収入でございますが、防衛力強化のために、特別に4.6兆円を集めておりまして、いわゆる通常分と合わせますと合計が9.3兆円となって、これも大きな額となっております。
これらで足りない部分が公債金、公債の発行でございますが、令和5年度は35.6兆円、令和4年度当初と比べまして1.3兆円の減となっているところです。
恐縮ですが上段に戻って、歳出でございます。2行目の社会保障関係費が36.9兆円、令和4年度当初から6,200億円の増加となっています。
3行目が社会保障関係費以外についてでありまして、これも大幅に増えているところですが、その下に明朝体で書かれている防衛関係費の影響でございます。明朝体の上の行が令和5年度の防衛関係費でありまして6.8兆円、令和4年度当初から1.4兆円の大幅の増となっています。この1.4兆円の増加の財源は、歳出改革で0.2兆円分、それから、先ほど申し上げました税外収入のうちの1.2兆円で賄っているところです。
先ほど、歳入のところでは、防衛力強化のために4.6兆円を確保したと申し上げましたが、このうちの1.2兆円を令和5年度予算で活用して、残りの3.4兆円につきましては、明朝体の下の行にあります新たに設置する防衛力強化資金に繰り入れまして、これは令和6年度以降に活用するためにためておくこととしてございます。
コロナ、物価高対策、それから世界的な経済危機に備えるための特別な予備費でありまして、合計5兆円を計上しています。
その下の地方交付税は税収の伸びに連動して伸びております。
歳出の一番下、国債費は国債残高の増加に伴い、これも増えているところでございます。
4ページでございます。5年度予算のポイントを記載してございます。
内外の具体的な重要課題への対応としまして、四つ箱を掲げております。
左上、安全保障・外交、それから左下がこども政策、右側に行きまして、地方・デジタル田園都市国家構想、その下がGXですが、これは後ほどまた御説明をいたしますので、この段階では説明を割愛させていただきます。
次に、下の箱でメリハリの効いた予算でございます。社会保障関係費は高齢化に伴う増加に相当する分として4,100億円程度に抑えているところです。このほかに年金スライド分として2,200億円程度ございます。
それから社会保障関係費以外ですが、4兆7,417億円と大きな伸びとなっております。これは防衛力強化のために、先ほど、臨時的に集めました税外収入4.6兆円と申し上げましたが、これで賄われない伸び分という意味では1,500億円程度となっています。物価が従来よりも大きく伸びるという政府の経済見通しの下では、防衛関係費の増加にも、先ほど申し上げたとおりで2兆円程度を確保しつつ、他の歳出にはできるだけ抑制を図っておりまして、全体の伸びは1,500億円程度にとどめたところでございます。
次、5ページと6ページは個別歳出分野のポイントとなっておりますが、説明は割愛させていただきます。
7ページに主要経費別内訳となっております。これも説明は割愛させていただきます。
8ページ、防衛力強化の財源確保について、少し御説明させていただきます。
防衛力整備計画関係に関する予算は、令和4年度、今の年度ですが、左下に記載がありますとおり5.2兆円でございまして、これが令和5年度には、ここには記載しておりませんが、先ほど申し上げたとおり6.6兆円となるわけですが、これが令和9年度に向けて8.9兆円となるイメージでございます。したがいまして、5.2兆円からの増加分の3.7兆円の財源確保が必要となってまいります。
その方法ですが、第1期というか、色つきのグラフですが、下からいきますと、まず、青色の下の部分が歳出改革です。先ほど来申し上げているとおり、令和5年度では0.2兆円を確保しております。今後も同様の努力を毎年積み重ねていくことを想定しています。
それから次に、青色の上の部分ですが、これは毎年度生じる決算剰余金の活用でございます。決算剰余金は過去10年間の平均の実績が1.4兆円程度になっておりまして、このうち半分は、財政法の規定に基づき、国債償還財源に充てることになりますので、残る半分0.7兆円程度を財源として活用することと見込んでおります。
それから、黄色の部分が税外の収入でございます。これも先ほど来申し上げますとおり、令和5年度予算で4.6兆円を確保しておりまして、5年度中には1.2兆円を活用し、残る3.4兆円は、新たに設置する防衛力強化資金に繰り入れることとしております。
このようないろいろな対応を踏まえまして、まだ1兆円強の財源不足が見込まれるため、税制措置による対応をお願いすることとしております。令和6年度以降のしかるべき時期から令和9年度にかけまして段階的に実施する方針が決まっておりますが、具体的な実施時期などは今後の検討を踏まえて決定される予定でございます。
9ページでございます。今申し上げました防衛関係費ですが、少しだけ補足をいたしますと、二つ目の箱の税外収入でございます。4.6兆円と申し上げてきたものの内訳が、①から②③に記載しているところです。このうちの1.5兆円分は法律事項でありまして、先般国会に提出しました財源確保法に盛り込んでいるところです。
その下の決算剰余金、それから歳出改革は先ほど申し上げたことを記載しているところでございます。
それから、10ページを御覧ください。社会保障関係費の説明でございます。
左下の棒グラフのとおり、自然体では令和4年度当初から7,800億円増える見込みでありましたが、ここから左上の点線で囲んだ箱にありますように、薬価改定等による節減努力を行いまして、これはメリハリ両方ありますが、ネットで1,500億円程度抑制し、令和5年度予算としては、6,200億円の伸びにとどめた形になっております。
それから少し飛びまして、15ページをお願いいたします。大きな項目の二つ目の説明事項になりますが、今国会に提出している財源確保法でありまして、16ページ、縦横になりますが、法案の概要でございます。今回確保しました防衛力強化の税外収入のうち、先ほど申し上げたとおり1.5兆円分が法律が必要な事項でありまして、この法案に盛り込んでいるところです。
具体的には真ん中あたりに(2)の①と②、それから(3)でございます。具体的な金額も、ここに記載している金額を法律そのものに書き込んでいるところでございます。
それから、(4)が防衛力強化資金を設置するという規定でございます。
法律は以上で、次、17ページで大きな項目の3項目めになります。行政事業レビュー等の活用でございます。
18ページですが、昨年秋の財審で申し上げましたとおり、行政事業レビューにつきましては、EBPMの手法の実践に向けて、行政事業レビューシートを順次見直しているところでありまして、予算編成プロセスのプラットフォームとしての活用を進めていくものです。
また、行政改革推進会議の下で進めている秋の年次公開検証、いわゆる秋のレビュー等の指摘を予算編成で適切に反映し、その結果を公表するということを申し上げてまいりました。今回のこの資料は、秋のレビュー等における指摘の反映結果を紹介するものでございます。
主な内容としましては、例えば、①のアウトカム指標の設定をしていなかった事業について、アウトカム指標を導入して、補助要綱で事業者から必要なデータを収集するというものですとか、20ページになりますが、③のアウトカム指標が事業目的に照らして不適切な事業などについて、指標を適正化したものなどがございまして、具体的な事例もこの資料に載せておりますので、説明は割愛いたしますが、御参照いただければと思います。
今回の資料で検討予定としているものがありますが、これはフォローアップを行いまして、改めて報告もできればと考えているところでございます。
それから少し飛びまして、大きな項目四つ目、34ページでございますが、昨年秋にいただきました建議の反映状況でございます。
35ページから順次ございます。左側が昨年秋の建議における御提言でありまして、右側に令和5年度予算への反映状況という形で、この資料をまとめているところです。
まず、社会保障でございます。
一つ目は、全世代型についてです。昨年12月に、政府の全世代型社会保障構築会議で報告書がまとめられておりまして、これに基づいて取組を進めているところです。
二つ目は、こども・子育てでございます。出産育児一時金の引上げや、出産・子育て応援交付金の継続実施に必要な予算などを措置いたしました。安定財源につきましては、国民各層の理解を得ながら、社会全体での負担の在り方を含め、幅広く検討を進めることとしております。
それから、36ページに入りまして医療でございます。
まず、令和5年度薬価改定におきまして、薬剤費を3,100億円削減しているところです。
医療保険制度改革については、出産育児一時金の費用負担の見直し、後期高齢者医療制度の保険料負担の見直し、被用者保険者間の格差是正に取り組んでいるところです。
また、かかりつけ医機能が発揮される制度準備に向けて、必要な措置を講じることとしています。
それから、下の介護でございます。昨年12月の大臣合意の結果をここに載せております。
それから37ページに行っていただきまして、雇用でございます。昨年の経済対策におきまして、人への投資の施策パッケージを「5年1兆円」に抜本強化するとしておりまして、令和5年度予算でも対応しているところです。
雇用保険の短時間労働者への適用拡大につきましては、全世代型会議の報告書の指摘を基に検討を進めているところです。
下段の生活保護です。これも令和5年度予算での対応結果を載せているところです。
それから、38ページ、地方財政でございます。令和5年度地方財政対策では、一般財源総額は前年度と実質同水準を確保いたしました。好調な税収等を背景に、臨時財政対策債は過去最少の1.0兆円、交付税特会借入金につきましては、償還計画額0.5兆円を大幅に上回る1.3兆円の償還を行うこととしております。
それから、39ページからは防衛になりますが、前半は既に述べたものと重複しますので省略いたします。
40ページに入りまして、防衛の続きです。二つ目の丸ですが、防衛力整備の一層の効率化・合理化の徹底等を行うこと。また、各年度の予算編成過程におきましては、各事業の進捗状況、実効性、実現可能性を精査して、必要に応じてその見直しを柔軟に行うこととしております。
41ページに行きまして、文教・科学技術でございます。
小学校の高学年におきまして、担任間の授業交換や小中連携などの工夫と併せまして、「教科担任制」を推進します。
それから、二つ目の丸になりますが、教員業務支援員の配置基準などにつきまして、働き方改革に関する取組状況の公表を補助要件といたします。
それから、42ページに行きまして、社会資本整備です。
一つ目の箱ですが、防災・減災、国土強靱化につきまして、ハード・ソフト一体となった総合的な取組に重点化をしております。
また、二つ目の箱ですが、利便性・効率性の高い「地域公共交通ネットワーク」の再構築に取り組む地方自治体等への支援に取り組むこととしています。
農林予算でございますが、次の43ページに行っていただきまして、最初の箱になります。米政策に関しまして、水田を畑地化して畑作物の生産・定着に取り組む農業者への支援、それから次の丸になりますが、飼料用米の支援単価の見直しを行います。
続いてその下、GXでございます。一番下の行になりますが、GX経済移行債を発行し、民間のGX投資を支援する仕組みを創設いたします。
44ページでございますが、中小企業です。事業再構築補助金の見直しについて、ここに記載しております。
その下、外交関係でございますが、G7広島サミット等を見据えまして、日本がリーダーシップを発揮できるよう予算を重点化したほか、JICAでは事業評価の活用に向けた見直しを行っております。
最後に一番下、デジタルです。年間を通じた一元的なプロジェクト監理を実施することによって、重複投資を排除して、効率的で利便性の高い情報システムの整備を推進してまいります。
45ページですが、これは大きな5項目になります。中長期試算でございます。
46ページから、1月24日の経済財政諮問会議に内閣府が提出したポイントの資料でございまして、47ページをお願いします。国・地方のPB目標の見通し、左でございますが、高い成長率が実現するケースの場合が赤い実線です。2025年度に少し赤字が残る、マイナス0.2%、実額でマイナス1.5兆円ですが、これまで同様の歳出改革を継続していけば、2025年度の上、青のひし形になりますが、PBの黒字化が視野に入るとされているところでございます。
最後に、49ページ、6項目でございます。財務省で行っている後年度影響試算でございます。
50ページに概要がございます。この一番下のストレステストとして、試算の前提よりも金利が1%上昇した場合の国債費への影響額を示しているところです。6年度はプラスの0.7兆円、7年度はプラス2兆円、8年度はプラス3.6兆円という増額となる試算を行っています。
雑ぱくで恐縮でございますが、私からの説明は以上でございます。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
続いて、将来世代の視点、いわゆるフューチャーデザインです。財審の中でも少し議論ございました。こちらのフューチャーデザインについて、中村次長から簡潔に説明をお願いします。よろしくお願いします。
〔中村次長〕ありがとうございます。資料2でございます。
表紙のところに趣旨を書かせていただいておりますが、今、代理からありましたとおり、前回秋の審議会において、具体化せよということで、つくった資料でございます。
趣旨が下に書いておりますが、様々な政策課題について、現役世代だけでなく、その課題の影響が及ぶ将来世代の立場を踏まえて議論しよう。具体的には、将来世代の役をつくって、議論に参画していただこう、将来世代の見える化を具体化した議論でございます。
財政に限らず、幅広く議論していただくために、資料をつくったものでございます。多くの方に参画していただくという意味で、この資料も、一番下に書いてありますが、事務方だけでつくるのではなく、最初にこの構想について御紹介いただいた小林委員、また、フューチャーデザインを研究されている高知工科大学の西條先生、中川先生と、秋の建議以来、5、6回、オンラインで会議をしながらつくった資料でございます。
おめくりいただいて、次の2ページ、3ページは趣旨を書いたものでございます。
4ページから、具体的な導入でございますが、いきなり未来の立場に立ってというのはなかなか難しいところもございますので、まずは、現時点から、例えば約50年前の1970年への提言ということでやってみようということでございます。
50年となっていますが、50年である必要はございません。30年でもいいと思っております。私は平成3年に役所に入ったわけですが、約30年経ったので、30年前の入省当時の自分に対してどのような提言をするかといった切り口もあるのではないかと思っています。
次のページは、1970年代、日本がどうだったかということを整理したものでございますが、次のページに、これは例でございますが、例えば医療・年金等について振り返ってみると、しっかりした社会制度をつくってくれたという振り返りもあるでしょうし、若者や少子化対策をもっと早くからやっておくべきだったのではないかというアドバイスもあろうかと思います。
また、エネルギー分野でも、備蓄などをきちんとやったので、ショックが少なくなったのではないかという意見もありますし、後知恵かもしれませんが、当時から再エネ等々について、前向きにやっておくべきだったというようなアドバイスもあろうかと思っております。
その上で、今度は未来にスリップしていただこうということで、ここでも例示でございますが、例えば、少子化が改善し、ロボットの活用等々で社会が豊かになったという社会が想像できる一方で、人手不足や財政悪化がますます深刻になって、社会保障制度がなかなか立ち行かなくなったというような想像もあろうかと思っております。
また、同じように、未来を想像するための一助として、8ページのようなデータもその際紹介していくということを踏まえて、9ページ目でございますが、将来世代に立って現在にどのような提言があるか、将来のために何をどう変える必要があるのか、誰が何をすればいいのか。
ここは、この資料では総論的なところでとどめておりますが、下に具体例がありますが、我々が所管する予算や税制、そのほか社会保障、働き方、教育、あるいは少子化対策、このようなものがテーマとして挙げられると思います。
また、誰がということでは、政府の役割、自治体の役割、政治家の役割、企業の役割、市民の役割等々を代表していただくパターンがあると思います。
10ページ目から、グループで考えてみようということでございますが、ここは申し上げたように総論ということで、抽象的で分かりにくいところもあろうかと思いますので、別途、今から画面に補足資料をお示ししたいと思います。
こちらは、昨年の9月に、東北財務局の盛岡事務所が、フューチャーデザインで最初に御紹介させていただいた岩手県の矢巾町と一緒に、フューチャーデザインの観点から、財政について考えてみようというときに使ったパンフレットの抜粋でございます。
2ページ目、3ページ目は今申し上げた現在世代、将来世代のことを説明したスライドが続きまして、次のページで、ドラえもんのようなイメージと言っていただけると恐らく入りやすいのではないかと思っております。
その上で、議論の在り方として、まずは個人として、次のページになりますが、70年の未来人になって日本の具体像を描いてみよう。仕事や経済、世界情勢など、先ほどお示しした、一定のシミュレーション等々をベースにして、まずは皆様で、将来を想像してもらおう。その上で、次のページになりますが、ここでは日本の財政について考えてみようということで、自分が財務大臣になったらどういう予算をつくるのかといったことを、時間をかけて議論をしていただいたということでございます。
次のページが具体的に矢巾町での議論で、未来役をやるということで、はっぴなどを着ていただいて、気分を盛り上げようというようなことを、この場でやりました。
最後のページでは、参加者の感想として、自分たちで未来を考えていく必要があると知った、絶望的な未来だけではないということ。未来人の目線を忘れないように生活したいと思いました等々、気づきがあったところでございます。
最後にいくつか申し上げますと、前回の財審の建議の際も御議論いただきましたが、こうしたことが、霞が関が政策を考えてもらう際の一助になればと考えております。我々からすると、財政の状況について知っていただくことも一つであると思いますが、それだけではなくて、財政についてディスカッションしていただく。単にディスカッションしていただくといっても、なかなか議論が進まないこともありますので、このような将来世代、フューチャーデザインのフレームを使うと、議論がしやすいのではないかと思っております。
その際、我々は別に特定の方向に誘導するということではなくて、議論をしていただいて、当事者意識を持ってもらうこと自体が非常に大事であると思っていますし、議論のやり方も、先ほど、50年ではなくて30年がいいのではないかとか、あるいは、財政だけではなくて、いろいろなことをテーマとして扱っていただければと思います。
可能であれば、我々は、もし財政について議論をしたいということであれば、その材料を提供する用意はありますし、社会保障であるとか教育ということであれば、関係省庁の協力も呼びかけていくことも手かと思っております。
やはり、できるだけ多くの方に参画していただくことが大事であると思っていまして、先ほど申し上げたように我々、財務局とか、そのようなところで引き続きやらせていただきますが、自治体や学校、シンクタンク、キヤノングローバル研究所では、実際におやりになっているということですし、経済団体でも、同友会で似たような取組をやられたと考えております。
そのほか、各企業であるとか、あるいはメディア。例えば、財研の記者にこのようなことをやっていただいてもよいのかと思います。そうした、どうやってこれを、財務省以外の方に広げていくかといったところも、本日御意見を頂ければと思っております。
以上です。
〔増田分科会長代理〕どうもありがとうございました。
これから委員の皆様方から御意見を頂戴しますが、来年度令和5年度の予算の関係だけでなくて、今、御説明ございましたフューチャーデザインも含めて、様々な御意見を頂戴できればと思います。
まず、芳野委員、それから小林慶一郎委員から、この関係では意見書が提出されておりますので、お手元にお配りしてございます。お目通しをいただきたいと思います。
それから御意見については、いつもどおり、会場の方はネームプレートで、それからオンラインの方は挙手するボタンで合図を送っていただきたい。それぞれ5名ずつぐらいで指名をして、その上で会場から、次はオンラインの皆様方から、このようなことでやらせていただきますので、よろしくお願いいたします。
それでは、御発言をお願いしたいと思います。それでは、私から向かいまして左側の、まず、宮島委員から御意見を頂戴したいと思います。それから、広瀬委員、熊谷委員の順で指名していきますので、よろしくお願いします。
宮島委員、どうぞお願いします。
〔宮島委員〕ありがとうございます。まずは年末の予算案、どのように財審の建議が通ったかという御説明で、通ったものも通らないものもありますが、大変な御苦労をされたと思います。どうもありがとうございました。
私はメディアなので、予算案の攻防は、やはり華は防衛予算でございまして、それについて少し申し上げたいと思います。
やはり残念だったのは、国民から見て唐突に見えたということです。私たちの役割として、やはりできるだけきちんと説明をして、国民と対話をして、組み立ててほしいと思うのですが、私たちとしても、例えば有識者議論をきちんとフォローしていた担当からしても、最後のほうの数日で一気に具体策が出てきたために、ニュースでも枠が取れず、国民に説明もできず、私たちとしても大変悔しい気持ちが残りました。もちろん、皆様のお立場でできること、できないことがあり、政治プロセスでもあったと思うので、できたかできないかはいろいろ議論はあると思いますが、今後やはりしっかり進めていくためには一人一人を説得するには、丁寧にしないとうまくいかないと思います。例えば、総理が、目先増税はしないとおっしゃった、その発言が、ぱっと見た瞬間に、増税しないと言ったぞと、その瞬間ですが、増税しないと言ったぞとぱーっと広がり、それで後で、いやそうではなくて、よく見ると、復興増税が後ろ延びる分は増税ではないか。そういう感覚の転換があると、見た人から見たら、何かずるだったのではないのというような印象を持たせてしまった。恐らく、出しているほうはそのつもりは全くないと思うのですが、このSNS時代に印象のコントロールも含めて、残念な部分があったと思っております。
また、今、実は防衛予算に関しては、この国を守るために、このぐらいは出してよいという思いは国民の中にはあると思います、実際どのくらいは別として。だが、議論が粗かったこともあって、世論調査で聞くと、増税いいですか悪いですかしか出さないので、そうすると、反対のほうが多めに出ます。ただ、リアルに、今負担を考えているのは、例えば、1家庭当たり1,000円ぐらいですがとか、今あなたに求められる増税がこのぐらいのイメージですが、これを国民を守るために出してよいと思いますかとなったら、大分印象が違ったのかも、もちろんそうした数字を出すことの是非もあるとは思うのですが、何が自分たちに起こるのかということを、悪いことも含めてトータルで見て考える余裕がなかったことは、やはりとても残念だったと思います。
今、いよいよ政治の世界での話になっていると思うのですが、安易な国債の発行にはならないように、これは国民の賛成も必要なので、皆様もですし、メディアとしても頑張りたいと思います。
二つ目は、予算はそのぐらいで、フューチャーデザインです。これはとても良い取組で期待してよいと思います。
すごく細かいことを言うのですが、例えばこの資料を表に出すときに、「財政教育」という単語ではないほうがいいと思います。大人に教育?という印象なので。具体ではない教育という形よりは、具体的に今困っている課題のところに打ち込んでいくことが良いかと思います。例えば、私が議論に参加しているのは、今の地方のローカル鉄道、不採算なものをどうしようかを地域でこれから話し合っていこうとなっているのですが、まさに地域の鉄道とかインフラを考えていくときに、30年後の人の立場になったらどうだろう、そのような視点がとても大事であると思います。ですので、みんなに教育をするということは、もちろんベースとして大事ですが、特に今盛り上がっている具体的な事例のところに、しっかりと省庁を超えて打ち込んでいくということが良いのではないかと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、広瀬委員、お願いします。
〔広瀬委員〕ありがとうございます。私も1点ずつ、お話しさせていただきます。
まず、予算ですが、今回の予算は、内外の環境変化とか直面する重要課題とか、私は的確に対応したものと受け止めております。特に今ありましたが、今回ほど財政に対するいろいろなプレッシャーがあったことはあまりなかったと思うのですが、そうした中で、本当にぎりぎりの予算だったということにおいて、高く評価したいと思っております。
今、足もとでは、原材料費とかエネルギー価格が高騰している、あるいは人手不足の深刻化も大変厳しい経済活動にあるわけですが、その中で、企業によっては設備投資、人への投資、あるいは新規事業の開拓、将来に向かって果敢に挑戦している企業も多いです。したがって、是非、そうした民間の取組を後押しするような、賢い財政を今後とも是非期待したいと思います。
それから、フューチャーデザインですが、私もこうした視点というかアプローチというのは非常に良いと思うのですが、実は私もいろいろなところでお話しする機会があるので、そうしたときにタイトルはもう決めておりまして、「歴史に学び、時代を駆ける」というタイトルでいろいろなお話をするのですが、やはり一方で、歴史を学ぶ大切さ、特に私のような年代ですと、未来より過去のほうが圧倒的に長くなってしまっていますので、そうした面で、まずは歴史をきちんと総括して学んで、それをベースに、きっと未来、将来を想定するのだろうと思います。
ですから、先ほど、中村次長から30年前のことを1回振り返るというのは、恐らくそうしたプロセスを経た上で将来を考える、まさにそうしたことだろうと思っております。したがって、これは手法とかアプローチというよりも、むしろ、今を生きる私たちが将来世代に向かって責任を持つ、あるいは使命感、責任感、そうしたことをきっと言っているので、単なる手法とかアプローチではなく、改めて、我々がきちんと将来に責任を持たなくてはいけないということをおっしゃっているのではないかと私は受け止めました。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、熊谷委員、どうぞお願いします。
〔熊谷委員〕熊谷でございます。御説明ありがとうございました。
極めて単純化して申し上げますと、当初予算は長い間、社会保障は自然増を毎年上乗せして、社会保障以外は前年と同額、そして、社会保障以外ではみ出す部分については補正予算で措置をする、さらには、社会保障の財源として消費税を確保するという構造が続いてまいりましたが、ここ数年、防衛、科学技術をはじめ、恒常的に巨額の補正予算をつけるゆがんだ構造が目立ってきたように感じております。その点、今回の予算は、防衛、GXについて、当初予算で正面から措置して財源を確保するという構造に転換しており、ここ数年のゆがんだ構造が、ようやく正常化に向けた第一歩を踏み出したものとして、一定の評価ができると考えます。
一方で、補正予算で数多く設けられている基金をはじめ、大味な予算が増えているという印象も受けます。
今後は、もっと個々の予算について、お金の出し先や中身を国民に公開し、量的な成果目標をつくって、費用対効果をしっかりと検証していくプロセスを予算編成の中核に据える必要があります。こうした観点からは、行政事業レビューシートを丁寧につくり、予算に反映していく作業が極めて重要です。
本日の財務省の御説明ですと、行政事業レビューを反映した事例は当初予算の項目ばかりですが、依然として補正予算には無駄が多いと感じます。是非、補正予算の項目についても、行政事業レビューシートの迅速な作成と予算の見直しへの反映をお願いしたいと思います。
私からは以上でございます。ありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、木村委員、どうぞお願いします。
〔木村委員〕御説明ありがとうございました。今回の予算編成は、防衛費とかGXとか歳出面の課題が多い一方で財政健全化も図らなければならないという、難度の高い予算編成であると思います。その中で財政当局の皆様の御苦労がしのばれる内容だったと思います。その上でのコメントです。
財審の建議の反映状況がまとめられて、多くの内容が反映されているということは分かったので、これは良かったと思いますが、一方で、建議の内容が反映されてない項目も多く、例えば今回取り上げられてないですが補正です。昨年の建議では、物価高対策は低所得者にターゲットを絞り、メリハリの利いたものとすることが望ましいとまとめたのですが、物価高対策が多く盛り込まれたのは補正予算で、その補正は必ずしも低所得者に絞られた物価高対策にはなっていなかったのではないかという感じがしました。補正も含めて、建議の成果を検証する必要があるのではないかというのが一つです。
それからもう一つ、先ほどからも話が出ていますが、建議の内容が十分に反映されなかった予算は、やはり防衛費ではなかったか。建議でも、安全保障環境の厳しさを踏まえて、抑止力の強化そのものは必要であるという立場は示したのですが、一方で、いわゆるGDP比2%といった数字ありきではなくて、真に必要な防衛力の整備に必要な予算を確保するということを求めたのですが、実際はGDP比2%という数字ありきで防衛費が決まったように見えます。今後5年間で43兆円という予算が計画されていますが、この43兆円の積算根拠は何でしょうか。国会を見ても、政府から具体的で詳細な説明が見受けられないです。安全保障上の問題はあるでしょうが、43兆円が妥当かどうかというのは、できるだけ明確にしない限り、4兆円の財源確保が必要かとか1兆円の増税が必要かという、ここが適切なのかどうかという判断ができない状況になります。ここはきちんと明確にしていただきたいと思います。
さらに、増税以外の3兆円の財源も、決算剰余金とか税外収入など安定財源とは呼びづらいものが多いと思います。建議でも防衛力の強化は、安定財源の確保なしに実現することはできないと明記したのですが、この建議の内容を果たして反映できたと言えるのでしょうかというのも一つです。
最後に、内閣府の中長期試算のことですが、歳出効率化に努めれば2025年度のプライマリーバランス黒字化は可能との見通しが示されましたが、引き続き想定が甘くはないでしょうかということ、歳出効率化といっても、ここのところ常態化している補正予算は中長期試算には含まれてない。さらに、今回、大幅に増やす防衛費に加え、少子化対策の関連予算も倍増させるということも打ち出されています。ただでさえ乏しい財源が、ますます足りなくなるのではないかという心配があります。
コロナの区分が2類から5類に引き下げられて、関連予算が減ることが見込まれるという歳出面でのプラスがあるかもしれませんが、果たしてそれでどこまで賄えるのでしょうかということです。しかも、金利上昇圧力が強まって、国債費の増加も避けられない情勢にあります。今回、後年度影響試算のストレステストを出されたことは評価したいのですが、今回、日銀の新体制との連携を密にされて、国債市場の安定化と財政の健全化に努めていただきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、神子田委員、どうぞお願いします。
〔神子田委員〕御説明ありがとうございました。私は、令和5年度予算のポイントは、私が去年思ったのは、財源をきちんと意識するようになりましたねと。防衛もそうですが、GXもそうですし、子育てでも、必ず財源とセットでと言うようになったのが、何か久しく聞かなかった、そこが大きなポイントではないかと思いました。
財源というと本当に、国債が財源であるとか、そうした議論がまかり通っているのですが、財源というのは新しい税収で取るか、ほかの予算を削るかという、60年償還ルールの変更も、借金を返すのを将来に先延ばししたというだけで、個人の家でいえば、30年の住宅ローンを60年で返したら、1か月当たり使えるお金が多くなる。では、60年だったら、誰が返すのかが問題という、奥さんが、あなた死んでしまうでしょう、私が返すのというような、そうした話がまかり通っているのはよく分からないと思います。
でも、それもこれも、もし金利がない世界だったら、60年で返しても80年で返しても同じかもしれないですが、そこでやはり、日銀の総裁も新しくなって、経済情勢も、今年のポイントは金利を意識するということかと思いました。
それと、防衛財源については、東アジアの安全保障環境から、防衛費を増やしていくということ。では、どれだけ増やすのかというところで、恐らく、EU、NATOなどがやっている2%というのが大まかな目安として出てきて、恐らくそれに合わせて43兆円が出てきているのではないかと思います。この規模が大きい小さいというのは、いろいろ賛否あるのですが、やはり大事なのは、防衛費が、要は国の防衛に役立つように効率的な予算が盛り込まれるか、不断の見直しをしていく。それこそ増税に関する国民の理解を得られるのではないかと思っております。
最後は、未来についての話ですが、現実問題としては、例えば脱炭素の問題なども、未来のことを考えると脱炭素は大事ですが、でも、この冬は寒いから暖房をたかないといけないので、それでも天然ガスしかないという、未来と現在と相入れないし、もし政治の世界でいえば、もっと、将来のことを言うとそうなのだが、統一地方選のことを考えると、やはりここは大盤振る舞いしないとのような、そうしたこともあって、なかなか難しいとは思うのですが、現実にできるかどうかは別として、未来のことを考えるのは非常に大事かと思います。私は「財政教育」というネーミングが良くないという指摘がありましたが、こどもなどに教えるとしたら、例えば「未来と算数」のような授業の名前をつけて、将来のことをいろいろ考えたときに、例えば当てになる数字は人口があります。大体人口は外れずに、このように推移している。それに、例えば経済成長率ですとか、国の税収ですとか、その辺を足し算、引き算、割り算、掛け算でできるような、こどもでも分かるようなことを言って、こうなるとこのようにお金が足りなくなるとか、こうなるとこうしたことにもお金が使えるとか、そうしたことを考えながら、とにかく、自分たちの未来が待っていて、その未来に対して、どのようにお金を使っていったらいいのかが、別に財政と言わなくても、常識として身につくような、そうした運動を広めていったら良いなと思いました。
後でいいのですが、質問ですが、矢巾町というのはどういった町なのか、もし分かったら教えてください。
〔増田分科会長代理〕それでは、質問は最後にまとめてお答えいただくことにして、今日、会場での御出席は6名の委員の方なので、先に会場の方に全員御発言いただこうと思いますので、中空委員、続いて、その後、オンラインの方に御発言いただきます。
それでは、中空委員、どうぞお願いします。
〔中空委員〕何となく安心しました。ありがとうございます。
では、令和5年度予算ということなので、いつもどうしてだろうと思っている疑問を、お話しさせていただきたいと思っています。
それは、部分最適は追求できているのですが、全体最適になっているのかどうかという検討が、私たちはできてないのではないかといつも思っています、ということです。
総論と各論のところでもいつも違和感を持つのですが、各論自体は一生懸命やっていて、メリハリが利くようにやっているのですが、にもかかわらず、結果、財政は毎年どんどん膨張しているということで。何が言いたいかというと、各論は、結局良いことばかり言っていて、ですのでその点において私たちはリフレ派をあまり笑えないというか、各論においては良いことばかり言っているような気がします。だが、総論だけはしっかりと財政再建しなければいけないと言っているので、平仄が合ってないというのが正直なところです。
ですので、部分最適は追求できていても、全体最適は追求できているのか、議論しているのかということを、私たちは自らもう1回問い直すべきなのではないでしょうかというのが1点目です。
2点目は、GXです。神子田委員から、今年は財源とセットで偉いよという話があったのですが、私は少し心配していて、経済移行債が出ますが、併せて財源の確保ということですが、排出権取引の実験もそれほどうまくいってないということは、皆様御存じであると思います。賦課金の話も全然出てきませんし、そうした意味でいくと財源の確保は本当にできるのか、やる気があるのかと私は疑念を持っております。もちろん2026年度だよと言われたらそのとおりですが、意識が変わってきたのは確かとしても、本当に財源が用意できるのかということや、そこについての具体性というか、道筋をもう少し見せてもらいたいと思います。
また、予算の中でも、経済成長に目が向いている部分は少ないと思っています。日本は、例えば日銀のアコードの話でも随分長くいろいろ議論されていると思いますが、日銀は十年間超、金融緩和をし続けました。何ができなかったかというと、むしろ、経済成長ができなかった、財政再建もできなかった、ということであると思っていて、そうした意味では、本当にこの財政を使った経済成長ができているのかということを考えないといけないのではないでしょうか。財政再建というのは重要なポイントですが、経済成長をするということ、経済成長を先にやって財政再建していこうと総理が言っている以上、経済成長をきちんとできるような道筋が立っているか、私たちは議論すべきではないでしょうか。
これが、予算についてです。
また、フューチャーデザインですが、言っていることは物すごく良いと思います。そうした視点も大事であると思うのですが、ただ、これを何に使うのかよく分からないというのが正直なところです。縷々出ていましたが、財政教育ということになってしまっていると思います。どう見てもこども向けのものに見えてしまう。これを悪く言えば、将来像とかが、一生懸命考えていたが、なかなか合成の誤謬が私たちは解決できないので、未来の人たち考えてねと丸投げしているように見えなくもなくて。ですので、これをやるのだったら、フューチャーデザインができて、こうした未来をみんなでつくりたいというコンセンサスをつくり、そこに向かって予算というのは立てていくのですよということをやって初めてフューチャーデザインが生きてくると思うのですが、この状態であると、何となく、一昔前というか、少し前にあった女性にも財政の話をしましょうといって、女性の委員たちがそれなりに一生懸命、会議を持ったことがありましたが、あれも一過性で終わったような気がしてならなくて。同じようなことになるのではないかと少し心配です。
ですので、フューチャーデザインをどう使っていくのかについての議論も、併せてしておく必要があるのではないでしょうかというのが意見です。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、以降、オンラインで御発言希望の方を指名していきますので、この順番で、取りあえずまず5名の方を指名しますので、御発言いただければと思います。
権丈委員、それから佐藤委員、末澤委員、武田委員、伊達委員、まず、この5名の方に今の順番で御発言いただこうと思いますので、初めに権丈委員から、どうぞ御発言ください。
〔権丈委員〕ありがとうございます。権丈です。私からは社会保障の改革について、社会保障は全世代型社会保障ということで進めておりますが、こちらについて一つ述べさせていただきたいと思います。
社会保障は、歴史的に見れば、高齢者の貧困問題の解決がモチベーションとなってスタートすることが多いので、どうしても初めは、負担は現役世代に偏った形を取りがちです。その形は、当時は能力に応じて負担をして、必要に応じて給付を行うという社会保障の基本理念に沿ったものでしたが、年金をはじめとした高齢者向けの制度が充実し、高齢者の所得が高くなってくると、世界各国、社会保障の理念と制度の間に矛盾が生じてきます。
日本では、全世代型社会保障が、年齢に関わりなく、全ての国民がその能力に応じて負担し支え合うという理念を掲げ、どの国でも政治的には難しい、負担の公平化への制度転換を進めている段階にあります。
今回は、高齢者医療等の改革を通じて、全世代型社会保障の理念に沿った改革が一歩前進したということは評価できると思います。年齢に関わらず、能力に応じて負担し、支え合うという理念に基づく改革は、社会保障全体を見渡すと、まだ道半ばですが、この国では、マクロ経済スライドという高齢世代の人たちにも年金制度の持続可能性を高めるために協力してもらうという、他の国では実現がとても難しい改革を行うことができております。これからも、年齢面での矛盾だけではなく、社会保障全般において、能力に応じて負担をするという理念と矛盾している制度の公平性を高め、持続可能性を高める努力を続けてもらいたいと思います。
以上です。ありがとうございます。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、佐藤委員、どうぞお願いします。
〔佐藤委員〕よろしくお願いいたします。私からまず、質問3点、コメント2点、フューチャーデザインについて1点とさせてください。
質問1ですが、今回、インフレの影響についてです。公共事業を見ると、毎年おなじみですが、実質的伸び率はゼロですが、一方では資材価格の高騰とか賃金の引上げとかが図られているはずですが、これはどのように反映されるのか、これは全部補正ですかということです。
それから二つ目は、記者の方によく聞かれるので、逆に質問ですが、防衛費の捻出のための歳出改革の範囲についてです。歳出改革と簡単に言いますが、これは、本来は物価高やコロナ予算を含んだ規模を前提にしているのか、あるいはそうではなく、いずれコロナが終われば、物価高が終息すれば、平常時に戻る財政規模を前提にやろうとしているのかということ、どちらですかということです。
それから、決算余剰金の話が出たのですが、今回も5兆円の予備費が積まれているではないですか。この予備費を使わなければ、これは決算余剰金といっていいのですかということ。であればいくらでも、予備費さえたくさん積めば、いくらでも決算余剰金はつくれますねということになってしまいますので、これはどうなのでしょうかというのが2番目の質問です。
三つ目ですが、これも少し関わるのですが、税外収入について3兆8,000億円計上されていて、うち外為特会が3兆1,000億円だったと。これは明らかに一時的な財源ですね。ただ、他方では防衛力強化資金は毎年経常的な収入を求められていると思うのですが、安定資金、税外収入を安定的に得られるというのはどのようなからくりがあるのか、この見通しが立たないと思ったものですから、何かあれば教えていただきたいということ。
コメントですが、これは既に御指摘があったと思うのですが、やはり今、当初予算はある程度抑えておいて、でも、大型の補正予算が常態化しているということ、これが今後も続くようであれば財政の風呂敷がなかなか閉じないということになりますので、仮に、さっき申し上げた歳出改革も、一方で削っておいて、後で補正で措置したら、全く意味ないので、やはり補正予算もにらみながら議論をしていく必要があるのか、これはいつものとおり。
それから、もう一つコメント、行政事業レビューの活用は一歩前進であると思うのですが、ただ、行政事業レビューは、言葉は悪いですが、やすりのようなもので、削っても削っても粉です。つまり、規模的にはあまり大きく確保できない。だから、規模を確保しようということであれば、本来はレビューの対象を新規事業及び既存事業全体に広げて、その中できちんと優先順位をつけさせて、財政の一定の枠の中でどれを実施しますかという、優先順位づけに使うというのが本来あるべき姿です。どうしても行政事業レビューは、事業を1個1個見て、やるかやらないか、拡大するか縮減するかを議論してしまうのですが、優先順位という考え方が本来あるべきワイズスペンディングではないかと思いましたということ。
それから、フューチャーデザインについて、中空委員からも御指摘ありましたが、これは将来から現在を見ることがポイントで、つまり我々は歴史という、誰か、中曽根総理が言っていたのですよね、歴史という名の法廷に立たされているという言葉があったと思いますが、我々は歴史によって評価されているのであるということ、これを意識させるのがフューチャーデザインのポイントですが、ただ、将来というときに、やはり現実的な将来でなければいけないということを考えると、やはり財政であれ経済であれ、長期的かつ堅実な見通しがきちんとできてないと、我々が念頭に置く未来は非常に非現実的になってしまうということもありますので、やはりある一定の客観性を担保するためにも長期かつ堅実な試算を出していくことが必要かと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、末澤委員、お願いします。
〔末澤委員〕末澤です。よろしくお願いします。どうもありがとうございました。私からは1件質問、1件感想、1件意見ということでお願いします。
まず、1件目の質問です。これは佐藤委員と同じ話ですが、今回、中長期の経済財政試算、一部、前回見通しより悪化した要因として、防衛力の抜本的強化費が影響していると報道されているのですが、実際に影響した部分は、外為特会からの繰入れ、これは国から国ということで、どうも悪化要因になるようですが、それ以外に悪化要因として計上されたものがあるのかどうか。つまり、歳出改革等であれば、恐らくこれはチャラということで、変わらないのでしょうが、今回の中長期の経済財政試算に関して悪化要因、財政収支の悪化要因になった部分がどれなのかを教えてください。
2件目が感想ですが、実はこの1週間2週間の状況を見ると、米国では、いわゆる中国の偵察気球、または、HAO(high-altitude object)、UFOのようですが、高高度物体を4発、F22とF16が撃墜するという話で、日本でも国会などで撃墜すべきであるという話も出ているようです。防衛力の強化、つまり地政学的リスク、地経学的リスクの悪化によって、そうした動きが日米共に出てきて、その状況は同じですが、実は全く違う方向に出ているのが財政の問題です。今回、中長期の経済財政の試算も出ましたが、実は米国では、15日に議会予算局(CBO)から経済と財政の見通しが出ました。去年5月以来なので、最近、半年に1回ぐらいになってしまっているのですが、出まして、これを見て、アメリカの議会では意見が相当分かれている。なぜかというと、2022会計年度は1.4兆ドルの赤字です、2023会計年度でも大体1.4兆ドルの赤字ということですが、これが10年後、2033会計年度には2.9兆ドルの赤字になるということで倍増すると。対GDP比なども悪化するわけです。ですから、これをどうにかしなければいけない。アメリカの共和党は10年で財政収支を均衡させるという目標を立てていますが、全く逆行しているということで大騒ぎになって、いわゆるフードスタンプ、社会保障であるとかメディケアの歳出カットについても踏み込めというような意見が一部出ています。これは、バイデン大統領は、一般教書演説で絶対そんなことさせないということで、共和党サイドからブーイングが出ていた話です。
ただ、アメリカでは、下院は今年、第118議会、共和党が多数派ということで、実は下院規則を修正しておりまして、いわゆるペイアズユーゴー、義務的歳出であるとか、減税については、別途、増税であるとか歳出カットを同時に決める必要があるというルール、これを一段と強化して、カットアズユーゴー、つまり、義務的歳出の増加に対しては、増税は認めない、歳出カットで応じないといけない、こうしたルールを共和党の賛成多数で決めています。
つまり、防衛力の強化等については、方向は同じですが、財政収支を均衡させる、むしろ財政保守主義は、今回の中間選挙以降、アメリカでは少し強まっていまして、日本とこの辺りが全く逆であるということです。恐らく今年夏に向けてはアメリカの政府債務の上限の問題、また、2024会計年度の統合歳出法の審議は相当もめて、金融市場を揺るがすようなことも起きかねないと思うのですが、一方で見ると健全なのかもしれません。日本では全くそうした議論が起きないほうが、むしろ私は不健全ではないかと思っています。
それはなぜかというと、恐らく我が事として考えてないのです。恐らくアメリカの場合は、自分のポケットに人が突っ込むということで、そうした意識があるのでしょう。日本はある面、良い面でも悪い面でも家族的というか、ゴーイングコンサーンで行くのかもしれませんが、要は、あまり将来の赤字を考えない。だが、これは逆に問題であるし、どうやったら我が事に置き換えることができるのかということで、実はこれは三つ目ですが、先ほどありました将来世代の視点、こうした議論をもっとやらないといけない。ただし、恐らくこのままでは全く盛り上がらないと思います。なぜかというと、この状況ではまだ我が事にならない。我が事にするためにはどうするか。最近、学生が詐欺でいろいろ被害が起きたといっていますが、やはり日本の場合は、投資教育が相当遅れているわけです。ですから、むしろ資産所得倍増プランにのっとって、やはり投資教育と併せて財政教育、つまり、これはマクロの視点では当然必要な話ですから、こうしたもので自分自身の家計にとってもプラスだ、将来の年金等の不安を和らげるための投資教育と財政教育を両方やるというようなコンビネーションがよろしいのではないか、これは私の私見でございますが、1点御提案させていただきたいと思います。
以上でございます。ありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕それでは、続きまして、武田委員、お願いします。
〔武田委員〕ありがとうございます。本日は予算と将来世代の視点について、御説明をありがとうございました。将来世代の視点については、皆様おっしゃっているとおり非常に大切な取組かつ重要と思いますが、どう生かしていくのか、活用するのかという点について、更に検討が必要ではないかと感じました。
意見は2点でございます。1点目は、財政について、横断的な議論の必要性についてです。この点、実は過去何度か、この会で申し上げてきたことです。予算の一つ一つの枠組みの中での議論は、非常に充実した議論ができていると思いますが、財政全体で見たときの集中と選択、あるいは財政全体として必要な議論、こうしたことが果たしてできているのかという点については、問題意識を持っております。先ほど、中空委員からも全体最適というお話がございましたが、そうした全体最適の視点が必要なのではないかと思います。
2点目は社会保障に関してです。岸田総理が、異次元の少子化対策を行うと表明されていらっしゃいます。当然、少子化対策は待ったなしであると考えます。そうした中で、議論を見ておりますと、児童手当の所得制限撤廃や、N分N乗方式に関する議論がございますが、12月に全世代型社会保障構築会議で取りまとめました社会保障の基本的な考え方には、国民は年齢に関わりなく、その負担能力に応じて負担をし、かつ発生したリスクへの必要に応じて給付を受けるという考え方が示されています。
また、一番大切なこととして、同じ予算を使うのであれば、真に少子化対策につながる使い方にするということが大切であると思います。
真に必要とする方への支援に集中し、こどもの貧困と教育不足、さらには非正規と未婚化、こうした負の連鎖を阻止することが大切ではないかと考えております。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕どうもありがとうございました。
それでは、次に、伊達委員、どうぞ、お願いします。
〔伊達委員〕ありがとうございます。デジタル予算、少子化対策、リスキリングなど、将来の投資に対する予算がついたということは非常にポジティブであると思います。
一方で、防衛費が上がる中で、財政健全化のために、社会保障、薬価の部分の見直しであるとか、コロナ圧縮分をうまく活用することで、比較的抑え込んだという説明ははポジティブにも聞こえるものの、本来は、やはりコロナ分というのは、有事の状況で増税されているものであり、そのときに出来上がってしまった予算ありきで前年と比較するということ自体が、財政健全化からずれていると思います。コロナ以前のところから始めるべきではないかと思います。
また、皆様おっしゃっているように物価は上がり、金利も上昇圧力があるということは、環境がこの1年でがらりと変わってしまっており、財政予算の在り方もがらりと変えなければ、もう立ち行かなくなるというのは見えているように思います。
また、薬価の改定についても、来年度は使えないわけですし、その意味では社会保障費を、自然減での抑え込みを自然増の範囲での抑え込みにするという話が従前から出ていますが、もう一歩踏み込んだ在り方を考えていく必要があると思います。
また、税収を増やすためには、また、国の資源を最大限に活用する意味では、既得権の排除もしながら、例えば休耕田に対する税負担を増やすであるとか、結果、活用に向かわせるような、もっと踏み込む必要があるのではないでしょうか。
また、デジタルについてですが、IT化するだけではなくて、DXをうまく活用しながら業務を効率化していくところまで展開する必要があるという意味では、もう少しDXに踏み込んでいただきたいと思いました。
フューチャーデザインですが、非常に面白い取組であると思って聞いていました。ただ、50年先というのは、こどもたちから見ても、もしくは、ある程度の年齢の人から見ても、少しイメージつきにくいのではないでしょうか。1970年から1990年に向かっての20年間で、失われた30年をつくってしまったわけですが、これからの10年、20年でも、かじ取りを変えることによって大きく変わる可能性があります。もう少し短いスパンでイメージしてもよいのではないかと思いました。
また、こうしたものが学校のカリキュラム、小中高ある段階において、社会、公民の中で必ずやるであるとか、カリキュラムにすると意義深いと思いました。
また、盛り上げていくためには、自己満足で終わるのではなくて、表現する場があると、さらに全体として盛り上がると思います。例えば、ホームページをつくり、事例を投稿していく。定期的に、何らかプレゼンテーションをしてもらい、表彰するであるとか。表現する場をつくり、世間一般に大きく取り上げてあげることによって、盛り上げることができるのではないかと思います。
また、効果についてですが、小中高生対象にこのプログラムを続けることは、若者の選挙に対する関心度合いが高まってくる可能性はあるのではないかと思いました。
ただし、何年もかかることでもありますので、やはり社会人に向けても、何らか実行する機会を設けるということ。さらには、是非、予算をつくる、霞が関の方にやっていただきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、続いて次の3名の委員の方に御発言いただきます。田中委員、堀委員、横田委員、この順番でお願いします。
まず、田中委員から、どうぞお願いします。
〔田中委員〕どうもありがとうございます。御説明ありがとうございました。
まず、4ページあたりで令和5年の予算のポイントをまとめていただいていますが、やはり、デジ田とかDXというのが、今年の成長戦略を発揮していくための必要な要件として、この中でもメリハリということが言われていますが、一番のポイントは、民間の投資促進につながることであると思いますので、行政レビューも連動させて、財政健全化のためにも、メリハリというのが、どのように公費が使われて、本当に公費が入った後に民間の予算が有効に活用された事例が出れば、それを即水平展開ということがなされるのが理想であると思いますので、そこのポイントを重視して進めていただくことがすごく重要なのではないかと思っております。
もう1点は、フューチャーデザインについてですが、これはバックキャスティング等もあって、いろいろな雇用の新事業をつくっていったりですとか、合意形成をするときの手法というのは、研究者の先生方、多々研究をして、いろいろなものが出ていますが、やはり世代間の不公平のバイアスから、中立的なアプローチをするというところがとてもユニークで、ほかとは一線を画していると思いますので、ここを強調した上で、いいところを集中して、いろいろな論文とかワークショップも進んでいますので、是非、財審というか財務省の広報の戦略とも連携するような形でリンクしていければと思います。
同時に、こうした研究が、社会介入のような感じで用いられていく場合には、やはりフューチャーデザインと社会の実情の双方をよく知るトランスレータのような方の存在が必要で、そこについては、私はこの研究を拝見する限り、まだ、着手されてないかと思うところですので、その育成が問われるかと思っておりますし、そこが強調されると、その実現性がすごくリアルになってくるかと思っております。
以上よろしくお願いいたします。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、続きまして、堀委員、どうぞお願いします。
〔堀委員〕新たな防衛力整備計画に関する財源確保ですが、これから税制措置等の内容について詰めていくのかと思いますが、異次元といいますか、非常に厳しい環境下で、よくこれだけ集められたという印象を持っています。このこと自身は特に問題は全くないと思っているのですが、下手をすれば、同じ方法をすればどの分野でもお金をかき集められるのではないかというような、幻想ではないですが、そうしたものを国民にもたらすことがないようにしないといけないのではないかと。宮島さんが先ほど唐突感という話もありましたが、国民の理解を得るために、丁寧に説明をしていく必要があるのではないかと思います。
また、コロナ対策のときもそうですが、安全保障についてもその重要性を否定するつもりは全くないのですが、その財政規模、規模の適切性の検証は重要であると思っています。エビデンス・ベースド・ポリシー・メーキング、EBPMの手法の実践も重要であるということが、今回の資料も示されていましたが、防衛力関係に関してもアウトカム指標の設定は非常に難しいと思うのですが、そうしたものをきちんとしていかないと。社会保障関係は、従来通りで伸びていますが、今回はほかの分野の伸びがより顕著です。したがいまして、社会保障に関してはニーズに基づく給付が求められる分野でもありますので、全世代型社会保障構築会議の理念に沿って進めていただきたいと思うのですが、ほかの分野が増えていくと、どうして給付の伸びの抑制が求められるのかを問われる方もいるかと思います。そこの部分を、丁寧に説明して、理解を得ていく必要があると思います。
それから、フューチャーデザインについてですが、とても良い試みであると、前回もお伝えしたのですが、全然違うかもしれないのですが、「認知症サポーター養成講座」というのが実はありまして、全国で1,400万人ぐらいの方が自発的に講座に参加しています。認知症の人と家族への応援者であるサポーターと、サポーターを養成するキャラバンメイトの両方を養成していくものですが、自発的に役所であるとか、スーパーであるとか、企業であるとか、小学校、中学校、大学であるとか、いろいろなところで講座が開催され、参加者にはオレンジリボンが配布されます。養成人数は市町村別に集計され、サポーターが全国的に増えていく仕組みになっています。こうした自動的に増えていくような仕組みは参考になるのではないかと。財務省の方だけではなく、我々市民も含む、様々な方たちが、自然に財政教育に関われるようなものがあると良いのではないかと。しかも、財政教育というと固いですし、本日の話にあったフューチャーデザイナー養成講座とか、未来デザイン・シンキング講座とか、参加者が少しでもわくわくするようなものがあっても良いのではないかと。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
続いて横田委員ですが、その後、平野委員にも御発言いただきます。
それでは、横田委員、どうぞお願いします。
〔横田委員〕ありがとうございます。横田です。
まず、予算についてですが、今回御紹介はなかったのですが、成長投資の大きな柱の一つにスタートアップ関連予算が出てくるかと思います。補正予算で今回1兆円超の予算がついており、極めて重要な位置づけである一方、複数の省庁をまたいで大きな予算がつけられているので、きちんと横断的に今後注目して見ていきたいところであると考えております。正直、即座に結果が出るものではないのですが、何らかの共通のアウトプットやアウトカムを設定して見ていくべきなのではないかと、どうぞよろしくお願いします。
2点目、フューチャーデザインについてです。私、途中から入ったので、認識の齟齬があるかもしれませんが、フューチャーデザインは、若い人たちにとっても、もちろん有効なものではありますが、現役世代が今直近のことだけにお金を使うことを考えて、将来世代を忘れてしまっているところで、一緒に世代間を超え議論する枠組みとしてもそもそも非常に有効であると理解をしております。
その上で、今回リーフレットなどを作成されるに当たってのターゲッティングがどうなっているのでしょうか。もちろん若い方々にお配りされること自体に問題はないのですが、より使ってほしい人たちがそこなのかは、情報提供方法や手段を、作成に当たってのターゲッティングで気を配っていただきたいというのが1点目です。
2点目は、他の委員からも出ていましたが、ファクトや予測するデータ等が非常に重要であると思っています。QRコードなどをつくって、ホームページに一覧を載せるなど是非検討していただきたい。フューチャーデザインの仕組みもそうですが、千葉大が出している未来カルテ2050もデータが非常に豊富ですので、そうしたものをホームページで補足としていくのも良いかと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございます。
それでは、平野委員、どうぞ御発言お願いします。
〔平野委員〕まずは、昨年の秋の建議を踏まえて、来年度予算の策定に当たられた関係者の御努力に感謝したいと思います。様々な面で、我々の建議を取り込んでいただく形になりました。
3点申し上げたいと思います。1点目、財源についてです。先ほどからもお話が出ておりますが、防衛、GX、子育てのように、今後歳出の大幅な積み増しを伴う、効果的な施策が集中していくことになります。岸田総理には、財源確保の議論を常にセットで、真摯に進めていただいていますが、これはここしばらくなかった進め方であると思われますので、この点は率直に評価したいと思います。
このうちGXへの投資に関しては、年2兆円規模の歳出増加をGX経済移行債で一時的に賄い、それらが賦課金という、事実上のカーボンプライシングによって将来的に償還される仕組みを構築しました。これは技巧的ではありますが、現実的な対応として、私は評価したいと思っております。
また、防衛費ですが、防衛力強化資金を含めた全体のスキームを構築して、様々な埋蔵金を掘り起こすところまでは、よく対応できたと思っていますが、増税を含めた詰めの議論がまだ未決着ですし、3番目のこども関連の予算については、これからの段階です。今後、財源の議論が漂流して、なし崩し的に国債発行で賄うような方向で議論が進まないように、我々としてもウォッチする必要があると思っています。
2点目、政策評価の実効性をどう高めるかということについてです。今申し上げたような施策には、恒久的な財源が必要であるという認識は共有しておりますが、一方で、この先増税ばかりに頼るというのは現実的ではなく、かつ、いわゆる埋蔵金にも限界があります。そうであるならば、結局は、以前から申し上げている、政策の優先順位づけとスクラップ・アンド・ビルドによって歳出構造の最適化を図る必要があると思います。そのベースになるのが政策評価ですが、これまでの政策評価の取組がワークしていたのかは、甚だ疑問です。それもあって、今回、行政レビューの枠組みを改定して、EBPMを徹底するとともに、PDCAを回していくことになりました。ただ、今回の資料を見る限り、少し課題もあるかと思います。つまり、きめ細かくレビューをしていただいているのは良いことですが、全体でどれほどのインパクトがあるのかはよく分かりません。例えば、政策テーマごとに大きくまとめてレビューの成果を数値化するなどといったマクロ的な観点、あるいは、戦略性を持った政策評価を今後施行すべきではないかと私は考えています。
3点目、財政制度の関連の問題についてです。実は、最近、主要な格付機関から、日本国債の格付に関する考え方をかなり詳しく聞く機会がありました。彼らによると、現時点の政府債務残高対GDP比率も重要であるが、むしろその先のトラジェクトリという、将来の方向感が重要である、という見解を示していました。
また、最近の補正予算に見られるような大盤振る舞いは、コロナ禍という特殊な要因があったものの、彼らの目には、ある種たがが外れたように映っているようで、先行きへの懸念を示す国際機関も複数ありました。
今の政権は、主要施策に関しては財源をセットで議論をするというスタンスが、むしろ回復しているということを先ほど申し上げましたが、重要なのはこれから先の実績です。直近の1月の中長期の試算も相変わらずでありましたが、今後懸念される、更なる支出に歯止めをかけて財政構造の最適化を図るための仕組みを、例えば、中長期の財政計画のようなものを検討することが必要だと思われます。もちろん。法的拘束力の問題などはありますが、企業において、事業戦略を計画的に進めていく上では、ごく一般的な枠組みです。こうしたものができれば、国家の財政運営にも戦略性が増してくるし、先ほどの格付機関の話に戻れば、日本は財政運営の構造改革に取り組み始めたというメッセージを内外に示す、いわゆるトラジェクトリが改善しているという見え方になるのではないかと思います。
以前も申し上げましたが、この会の名称は財政制度分科会ですので、こうした制度論を春の財審で取り上げることも御検討いただけないかと思っております。
以上です。
〔増田分科会長代理〕平野委員、どうもありがとうございました。
これで最初、御発言の希望があった方は一巡したのですが、会場の皆様もよろしいですね。
それでは、ここで、御質問等もございましたので、事務局から、これまでの意見を聞いて、御回答できることについてお話をいただきたいと思います。
それでは、よろしくお願いします。
〔松本調査課長〕委員の皆様方、貴重なコメントありがとうございました。調査課長の松本でございます。何点か御質問をいただいた点について、お答えをさせていただきます。
まず、すみません、木村委員から、今回、建議の反映状況の中に補正の話が入ってないではないかという御指摘をいただきまして、時系列で申しますと、この建議をまとめたときに、もう経済対策が仕上がっていたという関係もございまして、今回の資料には入れてございませんが、建議で確かに、ターゲットを絞るといった貴重な御指摘をいただいておりまして、引き続き今後の財政運営、また補正の議論も、もしかしたらあるかもしれませんし、そうしたところでも生かしていきたいと考えている次第でございます。
続きまして、佐藤委員から、まず、インフレの影響について今回の予算でどのようなことになっているのかといった御趣旨の御指摘がございました。こちらは、資料の4ページの下のほうを見ていただきますと、今回の予算全体として「骨太の方針」に基づいて歳出改革の取組を継続することになっておりまして、特に御指摘の点は社会保障関係費以外の括弧書きのところでございますが、御案内のとおり「骨太の方針」に基づいて、これまでの歳出改革努力を踏襲していくことにしておりますが、この括弧書きのところを見ていただくと「骨太の方針」の「経済・物価動向等を踏まえて柔軟な対応を行うことを通じて」云々かんぬんと書いてございます。要すれば、物価高の状況が顕在化してきておりますので、歳出の、社会保障関係費以外はこれぐらいに抑制していこうという目安の金額を、少しインフレを反映した形にしているということでございます。その中で、御指摘のあった公共事業関係費なども、この数字の中に含まれてくるということでございます。
また、防衛関係費の0.2兆円の歳出改革の範囲はいかにという御質問もございました。こちらにつきましても、社会保障関係費以外の予算を1,500億円程度に収める中で、内訳として、防衛関係費については2,000億円、増額を達成して、逆に申し上げれば、防衛関係費以外のところは、全体としては我慢いただいて、そうしたことでメリハリをつけたということで御理解をいただければと存じます。あくまで当初予算の歳出の改革の目安の中で達成したということでございます。
また、同じ佐藤委員から、決算剰余金の関係で予備費を使わなかったらどうなるのかという御質問もございました。決算上、予備費を使わないとすれば、これはまた今後どうなるか分かりませんが、仮に使わなかったとすれば、その分は赤字国債を発行することが不要になりますので、仮に赤字国債も同額発行し切ってしまえば、例えば5兆円なら5兆円の決算剰余金が出ることになってしまいますが、そのような形には基本的にはならないということで御理解をいただければと思っております。
また、税外収入が外為特会で3.1兆円、全体では4.6兆円ということですが、これが今後も続いていく保証があるのかという御質問もいただいたと思っております。これは8ページ、今回の防衛財源のフレームワークの中で、まさに、税外収入は黄色いところでございますが、左側、令和5年度から9年度にかけて、この絵で申しますと4.6から5兆円強を確保するという中で、今回令和5年度に頑張って4.6兆円を集めたという形でございます。これぐらいの規模が今後も毎年出てくる見込みは、正直申し上げてございませんし、今後、令和10年度以降、0.9程度というのをどうしていくのかということ、今具体的な何かプランがあるということでもないわけでございますが、今回5年分で4.6兆円何とかかき集めたことからしますと、引き続きこうした努力を積み重ねることによって、この絵の姿を実現することは不可能ではないと考えております。現時点で具体的なプランがあるということではございません。
また、末澤委員から、中長期試算の関係のお話、御質問をいただいております。中長期試算の関係ですと、47ページでございます。
末澤委員からの御質問は、この中長期試算のPB、国・地方のプライマリーバランスの推移において、防衛関係費の、今回の防衛のフレームワークがどのように影響しているのかという御質問だったと理解をしております。それで、2025年度のベースで申しますと、これは末澤委員から御指摘がございましたとおり、実は外為特会からの繰入金等々というのは、要は、中長期試算のベースは国・地方全体を見ておりますので、外為特会も国の一部であるということで、外為特会から一般会計に今回繰り入れているお金の分は、全体で見ればPBを改善させない。一方で、歳出は出てまいりますので、まとめて申しますと、外為特会の分はPB悪化要因になっているということで御理解いただければと存じます。
それで、中長期試算の詳細については、内閣府のものでございますが、我々が理解しておりますところ、今回の防衛関係費のフレームワークが中長期試算のPBを悪化させる要因になっているのは、基本的にはその部分だけであろうと認識してございます。
漏れがありましたら、また補足いたしますが、取り急ぎ以上でございます。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
ほかには。どうぞ、次長。
〔中村次長〕フューチャーデザインについて、いろいろ御意見いただきまして、ありがとうございました。
まず、矢巾町でございますが、岩手県の盛岡市から車で40分ぐらいの、2万8,000人ぐらいの、比較的小さな町ですが、中に岩手医科大学、短大、県立高校など結構学園都市でもありまして、また、町長のイニシアチブもあって、こうした先進的な取組を結構積極的にやっている町でございます。機会があれば私も行ってみたいと思います。
また、いろいろアドバイスを本当にありがとうございました。いただいたものをベースにして、またブラッシュアップして、またこの場でも御報告させていただきたいと思います。
1点、少しふわふわしていて、この先どうなっていくのかよく分からんというところは、まさに悩ましいところです。今、「財務省の使命」の下の「組織として目指す姿」ですが、この一番上です。財務省の組織は、「国民、納税者、更には、将来世代の視点に立って、広く社会の持続可能性を追求し、適正・公平な行政を行う組織」である。こう書いてある以上、フューチャーデザインをやるのは、まさに財務省であるという意識もあるのですが、一方で、最初からあまり財政再建であるということを強調し過ぎず、まずは、フューチャーデザインの取組をきちんとしていただいて、そうした中で、数あるテーマの中で財政も扱っていただく、そうしたところから入ろうかとも思っています。
ただ、そうしたやり方について、かえって問題意識がよく伝わらないという指摘もあろうかと思いますので、また、御意見いただきながら進めていきたいと思っております。ありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕事務局は以上でよろしいですか。矢巾町は盛岡から40分とおっしゃっていましたが、30分ぐらいです。隣の紫波町からすると矢巾町は、こうした新しい取組に大変熱心で、是非NHK取材班も、御紹介します。
〔中村次長〕大変失礼しました。
〔増田分科会長代理〕よろしくお願いします。
それでは、質疑はここまでとさせていただきます。
そして、当分科会ですが、各委員の皆様方の任期2年間ということでございまして、今のこの体制は3月末までとなっております。年度内は今日この回のみということでございますので、このメンバーでの審議は事実上、今回が最終回になろうかと思います。この2年間、大変御熱心な御審議ありがとうございました。
最後に榊原会長から御発言を頂戴したいと思いますので、会長どうぞ、よろしくお願いします。
〔榊原分科会長〕委員の皆様におかれまして、本日も御多忙の中、御出席をいただきまして、オンラインの方も含めて、ありがとうございます。
貴重な意見をいただいたことも併せて感謝申し上げたいと思います。
ただいま増田会長代理からのお話ございましたが、本日の財審は、現体制での事実上最後の会合でございます。この2年間、新型コロナへの対応、あるいは物価高対策などの様々な緊急的な対応をなされましたが、財政健全化を少しでも前に進めるということで、当分科会では活発で大変実り多い議論を行ってきた。そして、令和3年の春秋、4年の春秋と、合計4回の建議を取りまとめることができました。
その間、増田会長代理、それから今日御欠席ですが土居部会長代理、並びに起草委員の皆様方の御尽力に対しまして、改めて、この場をお借りして感謝申し上げたいと思います。
この2年間、様々な提言をさせていただいたわけでございますが、今日冒頭、八幡課長からも御報告いただきましたが、財務省にも、我々の提言をしっかり受け止めていただいて、予算編成にも反映に努めていただいたと思っております。
今後とも、団塊の世代が後期高齢者になるということで、社会保障費の増加が予想されているわけでございますが、こうした構造的な課題への対応、対処が不可欠であるということでございまして、財政健全化の議論を更に前に進めていかなければならないと思います。
また、単なるバラマキは行わない、経済構造の転換を促していくことも、引き続き重要な論点であろうと思います。国民、あるいは社会の耳には痛いことでも、日本の将来のために必要なことは、勇気を持って、きっちりと提言をしていく、これが財政制度等審議会の使命であろうと思います。今後ますます我々の使命は重要になってくると思いますので、委員の皆様方の引き続きの御支援、御協力をお願い申し上げたいと思います。
以上で私の謝辞とさせていただきます。ありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕会長、どうもありがとうございました。
本日の会議の内容については、この後の記者会見で私から紹介をさせていただきますので、詳細については、後日、議事録を公開させていただきます。それまでは、会議の個々の発言につきましては、外部にお話しすることがないよう、御注意をいただきたいと思います。
以上で本日の会議は閉会といたします。御多用中のところ、どうもありがとうございました。
午後4時40分閉会