財政制度等審議会財政制度分科会
議事録
財政制度等審議会財政制度分科会議事次第
令和4年11月29日(火)15:00~16:00
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)
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1.開会
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2.議題
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とりまとめに向けた審議
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3.閉会
分科会長 |
榊原定征 |
井上副大臣 宮本大臣政務官 金子大臣政務官 新川主計局長 寺岡次長 中村次長 前田次長 八幡総務課長 小野主計企画官 大久保司計課長 渡邉法規課長 松本調査課長 一松主計官 三原主計官 佐久間主計官 有利主計官 小澤主計官 寺﨑主計官 大沢主計官 端本主計官 河口主計官 坂本主計官 渡辺主計官 内之倉主計監査官 山岸予算執行企画室長 鈴木主計企画官 園田公会計室長 |
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分科会長代理 |
増田寛也 |
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委員 |
十河ひろ美 土居丈朗 中空麻奈 宮島香澄 安永竜夫 |
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臨時委員 |
秋池玲子 雨宮正佳 上村敏之 宇南山卓 河村小百合 木村旬 熊谷亮丸 小林慶一郎 末澤豪謙 竹中ナミ 田近栄治 田中里沙 冨田俊基 平野信行 広瀬道明 福田慎一 別所俊一郎 堀真奈美 神子田章博 横田響子 |
午後3時00分開会
〔増田分科会長代理〕それでは、時間がまいりましたので、ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。皆様方には、御多用中、御出席いただきまして、ありがとうございます。
本日は、冒頭から井上副大臣、宮本政務官、金子政務官にお越しいただいております。どうもありがとうございます。
本日は、お手元に配付しております建議(案)について審議を行いまして、当分科会として取りまとめた上で、会議終了後に、取りまとめられた建議を榊原会長や起草委員から鈴木大臣へお渡しする予定となっております。建議の手交の時間も勘案いたしますと、恐縮ですが16時までに当会議を終了できるよう、時間厳守で進めていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
今回の建議(案)は、前回17日に開催されました分科会や、書面でいただきました御意見を踏まえて、起草委員の皆様に御修正いただいたものでございます。お手元には前回の会議で御審議いただいた案文からの修正を見え消しにしたものと、修正を溶け込ませたもの、それぞれ配付してございますので、御参考にしていただければと思います。なお、芳野委員からの意見書も併せて配付しておりますので、お目通しいただきたくございます。
前回の分科会の最後に私から、修文案は起草委員の皆様の御議論にお委ねしたい旨申し上げまして、特に皆様方から異論はございませんでした。その後、起草委員の皆様に御議論いただいたところですが、頂戴いたしました委員のコメントのうち、当審議会で行われた議論との関連性が低いもの、それから当審議会で行われた議論の方向性とは異なると判断いたしたもの、それから金融市場、為替市場等との関連で配慮を要するもの、こうしたものについては、反映を見送ったものも一部あると聞いておりますが、全体としては、多くのコメントを今お配りしております案の中に反映していただいておりまして、本日、御賛同いただけるものと判断しているところでございます。前回の会議で御審議いただいた案文からの主な変更箇所について、まず事務局から補足説明をしていただきたいと思います。その後、議事の採決等々、建議のお諮りをして、その上で残りました時間、コメント、感想等をいただく時間といたしたいと思っております。
それでは、初めに事務局からの補足説明ということで、松本課長から簡潔に説明をよろしくお願いいたします。
〔松本調査課長〕主計局調査課長の松本でございます。11月17日に提出させていただいた建議の素案に対する御意見について、起草委員会で御審議いただきましたので、駆け足となって恐縮ですが、お手元の見え消し版に沿って、御意見の反映状況を報告させていただきたいと思います。
それでは、まず、総論です。見え消し版の2ページ目でございます。前文ですが、宮島委員はじめ、複数の委員からキャッチーなフレーズが必要であるというお話がございました。御指摘を踏まえまして、10行目、「市場の警告を軽視することは、許されない」と強調いたしましたほか、18行目から「財政に対する市場の信認」と「将来世代への責任」という二つのキーワードをかぎ括弧で強調したところでございます。
続きまして、27行目、熊谷委員の御意見を受けた修正を行っております。
3ページです。6行目、「財源の裏付けがなかったこと」は、河村委員、熊谷委員の御意見です。
9行目です。「株式市場への影響」は、末澤委員、熊谷委員の御意見を受けた修正でございます。
23行目、イギリスで新たな財政計画など公表されましたので追記いたしております。
続いて、4ページです。下の脚注の4です。平野委員、熊谷委員、木村委員、芳野委員の御意見の趣旨を御紹介しております。
5ページに行かせていただきます。15行目、河村委員の御意見を受けた修正でございます。
また、脚注の6、経常収支の補足説明については、田中委員の御意見でございます。
8ページに飛んでいただきます。18行目、「感染状況等に留意しつつ、」などと追記をさせていただいたのは、熊谷委員、広瀬委員、芳野委員、木村委員の御意見を反映したものです。
19行目、「医療関係の特例の見直し」は、平野委員の御意見でございます。
23行目です。藤谷委員の御意見を受けた修正です。
続いて9ページです。4行目、芳野委員の御意見を受けた修正でございます。
22行目です。「生産年齢人口の減少が今後とも続く」という点は、福田委員の御意見でございます。
24行目、「ダイバーシティ」は、熊谷委員の御意見です。
25行目以降、藤谷委員の御意見を受けまして、年齢別の生産性関係の記載を削除いたしております。
続いて10ページです。1行目、「非正規雇用」の追記は、平野委員の御意見でございます。
2行目で文章を切ってございますのは、能力向上について労働移動を前提とする記載とすべきでないという、芳野委員の御意見を踏まえた修正でございます。
10行目、田中委員の御意見を受けた修正です。
13行目、平野委員、熊谷委員から「新陳代謝」という言葉を書き込むよう御意見があり、過去の建議を引用させていただいております。
続いて11ページ目です。経済低迷と財政出動の関係につきまして、反証になっているか分からないと、大槻委員から御意見いただきましたので、文章の順番を入れ替えましたとともに、5行目の後段からの「このように、」で始まる1文を追記してございます。
9行目、河村委員の御意見を受けた修正でございます。
25行目、「結果は望み難い。」という点は神子田委員、熊谷委員の御意見を受けた修正です。
26行目から、「財政資源の最適配分」のくだりは、平野委員の御意見でございます。
30行目から次の12ページにかけてでございます。「ワイズ・スペンディング」という言葉が歳出拡大の方便となりかねないという記載につきまして、神子田委員からよく分からないとの御意見、あるいは、熊谷委員からも別の御意見がございましたので、文章の順番を入れ替えるなど修正を施してございます。
同じ12ページの2行目、「より付加価値を生み出すような支出」は、福田委員の御意見を踏まえた修正です。
11行目、「アウトカム・オリエンテッド・スペンディング」を明記したのは、横田委員の御意見です。
12行目、「成果を検証」は、末澤委員の御意見を受けた修正でございます。
19行目以降です。GDPギャップ関係で民間活力を強調している点は、熊谷委員、佐藤委員、福田委員の御意見を踏まえた修正でございます。
続いて、恐縮です、14ページに飛んでいただきます。5行目、横田委員の御意見を受けた修正です。
13行目以降は、平野委員、末澤委員の御意見を受けた修正でございます。
22行目、「レジリエンス」という言葉を追記したのは、広瀬委員の御意見を反映しております。
15ページ、1行目、「子や孫の世代」は、末澤委員の御意見です。
24行目、横田委員の御意見を受けて修正をしてございます。
26行目、「若年世代を含めて」という点は、神子田委員の御意見を反映させていただいております。
続きまして、16ページ、1行目、「フューチャーデザインの具体化」については、小林慶一郎委員の御意見です。
脚注の23についても、小林委員、さらに神子田委員、芳野委員の御意見を踏まえて追記をしております。
12行目、「現役世代の当事者意識」は、佐藤委員の御意見を踏まえた修正でございます。
15行目につきましては、平野委員の御意見を受けた修正です。
続きまして、各論に入ります。社会保障でございます。
17ページの13行目、熊谷委員の御意見を受けた修正でございます。
20行目です。平野委員、熊谷委員からマイナンバー関係の御意見がございまして、ここでは金融所得と資産の把握の問題について追記をいたしております。
27行目、「基本中の基本」は、権丈委員の御意見でございます。
続きまして、18ページです。6行目以降で、現役世代の負担増の問題を強調しておりますのは、安永委員の御意見を踏まえたものです。
続いて19ページです。20行目、熊谷委員の御意見を受けました修正でございます。
21ページに飛んでいただきます。8行目から、ワクチン代などの記載ぶりにつきまして、横田委員の御意見を受けて修正をしてございます。
続きまして、22ページです。8行目、「実効的な使用」は、末澤委員の御意見です。
24ページに飛んでいただきます。こども・子育てに入ります。脚注の35、末澤委員の御意見です。
25ページ、11行目は、芳野委員の御意見を踏まえた修正でございます。
続いて26ページ、14行目、16行目、さらに脚注の38のところは、これまでの対策にも触れるべきという権丈委員の御意見を受けた修正でございます。
同じページの20行目につきましては、芳野委員の御意見を踏まえた修正です。
28ページに飛んでいただきまして、23行目以降、熊谷委員の「人も社会もウェルビーイングになるものである」との御意見を受けた修正でございます。
同じパラグラフの26行目後半から、宮島委員の「早急に取り組むことを明記すべき」との御意見を受けて、追記してございます。
続きまして、29ページ、8行目です。少子化対策の財源につきまして、権丈委員の御意見を受けて、「骨太2022」の記述を追記してございます。
続きまして、医療に入ります。
同じページの16行目から、堀委員の御意見を踏まえた修正でございます。
続いて30ページです。5行目以降の修正も堀委員の御意見を受けたものでございます。
11行目、保健医療支出の伸びと成長率が乖離した場合の調整につきましては、平野委員、熊谷委員、藤谷委員の御意見でございます。
15行目からは、安永委員の御意見を受けた修正です。
21行目、権丈委員の御意見を受けた修正です。
23行目から、次の31ページにかけましては、堀委員の御意見を踏まえて、文章の趣旨を明確化するために、修正を行ってございます。同時に脚注の43、44も追記をしてございます。
続きまして、32ページ、8行目、十河委員の御意見を受けた修正でございます。
35ページまで飛んでいただけますでしょうか。4行目から、及び脚注の47につきましては、堀委員の御意見を踏まえた修正でございます。
続きまして、36ページです。地域医療構想につきまして、進捗が乏しい場合の対応強化の検討については、平野委員の御意見でございます。
37ページ、29行目です。患者データの集約・活用の意義を追記しておりますのは、安永委員の御意見でございます。
38ページ、2行目、マイナンバーカードの不安・誤解の払拭は、芳野委員の御意見です。
4行目から、オンライン資格確認に関する修正は、安永委員の御意見でございます。
脚注の48は佐藤委員の御意見でございます。
12行目、「時間軸を定め、制度として対応」という点は、安永委員、熊谷委員、佐藤委員の御意見を受けたものでございます。
続いて39ページ、6行目、個別医療機関の「見える化」を強調したのは、小林慶一郎委員、平野委員の御意見を受けた修正でございます。
めくっていただいて40ページから介護に入ります。
25行目からの「2号保険料を負担する現役世代」等々の記載は、佐藤委員の御意見です。
44ページまで飛んでいただきます。44ページ、22行目、「介護従事者の人手不足」の問題提起は、佐藤委員の御意見を受けた修正でございます。
お隣45ページ、2行目からも佐藤委員の御意見です。
続きまして、48ページまで飛んでいただけますでしょうか。雇用に入ります。
14行目から、芳野委員、安永委員の御意見を踏まえた修正でございまして、関連して、脚注の63も修正をしてございます。
同じ48ページの18行目、安永委員の御意見を受けた修正です。
23行目は熊谷委員の御意見を受けた修正でございます。
続いて49ページ、2行目、7行目の修正は、大槻委員の御意見を踏まえたものでございます。
続きまして、53ページまで飛んでいただけますでしょうか。生活保護に入っておりまして、18行目は、芳野委員の御意見を踏まえた修正でございます。
続きまして、地方財政です。55ページまで飛んでいただけますでしょうか。
12行目、「更なる歳出の改革・抑制」と修正をしましたのは、河村委員の御意見です。
56ページです。2行目、地方創生臨時交付金の情報の公表につきまして、内閣府にも対応を求めているのは、河村委員、佐藤委員の御意見でございます。
関連しまして、脚注の71で平野委員の御意見を紹介しております。
脚注の72、臨時交付金の使い方の問題に触れておりますのは、宮島委員の御意見でございます。
56ページの最後から次の57ページにかけまして、「見える化」「自分事」「チェック機能と財政規律」等々のくだりにつきましては、佐藤委員と平野委員の御意見を受けた修正でございます。
同じ57ページの11行目は、田中委員の御意見を受けた修正でございます。
脚注の73は佐藤委員、脚注74の後段は芳野委員の御意見を受けた修正でございます。
続いて防衛に入ります。61ページを御覧いただけますでしょうか。
冒頭4行目から、「抑止力を高めていくことが重要」であると記載しておりますのは、神子田委員、安永委員の御意見でございます。
61ページの最後から次の62ページにかけまして、「数字ありきではなく、真に必要な防衛力の整備に必要な予算を確保する」のであるという考え方につきましては、平野委員の御意見を踏まえたものです。
同じ62ページの4行目後段から8行目にかけまして、「財源を含めて国民の理解、納得を得られるようにすべき」と修正した箇所につきましては、安永委員の御意見でございます。
10行目、「継戦能力」という言葉を修正しておりますが、こちらは藤谷委員の御意見でございます。
続きまして、63ページです。21行目は、神子田委員の御意見を踏まえた修正でございます。
64ページ、14行目、「財源確保」の前に「歳出改革」を挿入しましたのは、広瀬委員の御意見です。
28行目、「安定財源の必要性」を強調したのは、佐藤委員の御意見、また、「国民全体で広く負担」については、平野委員の御意見を踏まえた修正でございます。
65ページです。7行目から、「予算、人員の限界を踏まえた実効性、効率性の観点」は、末澤委員の御意見です。
23行目あたりは、神子田委員の御意見を踏まえた修正です。
続きまして、66ページでございます。
25行目は、安永委員の御意見を踏まえた修正です。
脚注86において芳野委員の御意見を紹介してございます。
68ページに飛んでいただきまして、6行目の「調達制度改革」、8行目からの「防衛装備・技術の海外移転」は、安永委員の御意見でございます。
続いて、文教・科学技術です。70ページになります。
11行目の「ダイバーシティ」は、熊谷委員の御意見です。
お隣の71ページ、6行目、「義務教育体制の再構築」は、末澤委員の御意見でございます。
続いて72ページの16行目、赤井委員の御意見を踏まえた修正でございます。
お隣の73ページ、5行目、大槻委員、芳野委員の御意見を踏まえた修正でございます。
続きまして、74ページ、26行目です。大学教育の評価に関する問題提起は、大槻委員、河村委員の御意見を受けた修正でございます。
お隣75ページの15行目、「優良事例の横展開」は、芳野委員の御意見でございます。
76ページです。14行目と20行目、理工系人材関係の修正は、赤井委員の御意見でございます。
79ページまで飛んでいただきまして、宇南山委員の御意見を受けまして、2行目、(生産性が低い)という括弧書きを削除いたしましたほか、脚注の99におきまして、国際的な業績に関する国内での評価の問題について、脚注を追記してございます。
続きまして、社会資本整備でございます。85ページまで飛んでいただきますと、5行目でございますが、芳野委員の御意見を踏まえた修正を施しております。
続きまして、88ページにつきましても、9行目、芳野委員の御意見を受けた修正を施してございます。
続いて、農林水産は大きな修正はございませんでしたので、次はGXになります。100ページまで飛んでいただけますでしょうか。
100ページの冒頭です。3行目、将来世代関係の追記は、河村委員の御意見でございます。
続きまして、隣の101ページ、17行目、「グローバルな視点も踏まえながら、資金使途を明確化し、執行管理等々追記をいたしましたのは、平野委員の御意見でございます。
23行目、アメリカ・EUの事例を本文にも記載いたしましたのは、熊谷委員の御意見です。
102ページです。7行目、カーボンプライシングについて「各主体の行動変容」のほか、「財源の確保にもつながる点に着目すべき」という追記は、平野委員の御意見でございます。
続きまして、中小企業です。105ページに飛んでいただけますでしょうか。
24行目、「参入・撤退」は、「新陳代謝の観点を追記すべき」という熊谷委員、佐藤委員の御意見を受けた修正です。
その下、26行目、「質的な転換」については、大槻委員の御意見です。
107ページに飛んでいただきまして、1行目、「伴走型の取組」についても大槻委員の御意見でございます。
続きまして、外交関係でございます。109ページでございます。
6行目、安永委員、芳野委員の御意見を踏まえて、事実関係を淡々と書くにとどめる修正を行ってございます。
最後、デジタルでございます。116ページまで飛んでいただきます。
4行目、マイナンバー制度につきまして、末澤委員の御意見を踏まえて制度の意義を丁寧に記載しております。
また、6行目の後段からですが、佐藤委員、芳野委員の御意見を踏まえまして、各種課題の解決が不可欠であることを追記をしております。
私からは以上でございます。
〔増田分科会長代理〕どうもありがとうございました。
ただいま説明ございましたとおり、起草委員の中で検討いたしまして、委員の皆様方から頂戴いたしました御意見は、可能な限り反映していただいている、このように思います。
そこで、この建議の内容について、お諮りをここでいたしたいと思いますが、この内容について、今、お手元に配付しております建議の案のとおり取りまとめたい、このように思いますが、よろしゅうございますか。
(「異議なし」の声あり)
〔増田分科会長代理〕ありがとうございます。異議なしという御意見でございましたので、建議の内容については、お手元の案のとおりで確定させていただきます。(案)を取っていただきまして、これで内容確定ということにさせていただきます。どうもありがとうございました。
それでは、まだ時間がございますので、この後、意見交換の時間とさせていただきたいと思います。ただいま取りまとめられました建議の内容、そして、秋の財審全体を通じました御感想ですとか、コメント等について頂戴できれば。また、秋の財審としては、今日最後でございますが、また来年以降も様々な審議をしていかなければいけませんので、今後のことについても御意見を頂戴できればと思います。
これまでと同様に、ネームプレートを立てて、会場の方は合図していただく。それからオンラインの方は挙手するボタンで合図をしていただいて、5名ずつ、交互で指名して、御発言いただきたいと思いますが、御発言の内容については、できれば1、2分程度にまとめて御発言を頂ければと思っております。
したがいまして、手短にということでございますが、会場から初めに指名させていただきます。会場の、私から向かって左側、末澤委員から、田中委員、平野委員という順番で指名させていただきますので、御意見を頂戴できればと思います。
それでは、末澤委員、どうぞお願いいたします。
〔末澤委員〕どうも、起草委員の皆様、事務局の皆様、お疲れさまでございました。今回もすばらしい建議となりまして、本当に良かったと思います。
ところで、私はここ数年の審議会の状況を見ますと、「例外からの脱却」というのが、2020年のパンデミック後の、たしか一つのテーマになっていますが、毎年例外がどんどん出てまいりまして、パンデミックが収束をと思ったらウクライナ戦争、中国の状況も相当これから厳しくなる可能性がありまして、私はやはり後世振り返るとここ2、3年間は時代の転換期だったと。むしろ、時計の針がだんだん昔、冷戦期、戦前に戻るような感じを持っています。例えばブロック経済化の動きであるとか、気候変動もそうですが。そうした中で何か緊張感が、これは日本の政府も、政治家の皆様も、有権者の皆様も、少し欠けているような気がします。本当に今回GDP2%、防衛費、必要であるという、それだけの危機があるのだとすると、本当にこれが起こると大変なことになります。
日本の戦後の高度成長というのは、ある面、軽武装の中で、人口ボーナスを背景に、国際競争力を高めてきた。それが今や人口オーナス、少子高齢化、団塊世代47年から49年全体で800万いっている、出生数。今は、恐らく今年は80万を割る。そうすると10年たっても800万に来ないです。そうした日本のファンダメンタルの潜在成長率が低下する中、世界情勢は厳しくなってきています。
そうした意味では、一言で申し上げると、来年以降、もっと真剣にいろいろな論議をしていかないと、5年後10年後、相当苦労するというか、後悔することになりかねない、そうしたところを是非財審でもリードしていただきたいと思います。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、田中委員、どうぞお願いします。
〔田中委員〕田中でございます。起草委員の先生方、本当に大変ありがとうございました。
私から2点、お話しさせていただければと思います。
まず、将来世代への責任、やはりもっと敏感に、もっと真摯にならなければというメッセージがこの建議からにじみ出ているのではないかと思うところです。これを実現していくためには、やはり気づきのある方と、そうでない方のギャップを、この温度差をいかに縮めていくかが議論になりますので、今回、フューチャーの取組とかもクローズアップされましたが、各世代ごとに議論するのではなくて、やはり世代間がマージして、いろいろ議論をしていくことが、より一層重要で、そうしたメッセージがうまく伝わっていけばと願うところでございます。
二つ目は、今回予算編成の課題も「見える化」していただいたところですが、グリーンとかスタートアップとか、防衛も人材育成も、予算編成が組まれる中で、やはり「予算の質の向上」というキーワードも入れていただきましたが、ここがとても大事で、新たな価値をいかに創出できたか、アウトカムというところに、やはり集中すべきかと思っています。
地域の各自治体でのいろいろな投資も、投資と回収されるときの成果は違う面で出てくるものもあるかと思うのですが、産官学連携も含んで、いろいろなところが連携して予算を行使して、成果を生んでいくときの、その成果の部分もボーダレスになるところも出てくるかと思うのですが、そこも丁寧に見ていきながら、本当にどのような価値が、きちんと大切な予算を使って生み出せたのかというところに、みんなもう少し敏感になるというか、そうしたメッセージが、より共有されるとよいかと思っております。
ありがとうございます。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、平野委員、どうぞお願いします。
〔平野委員〕ありがとうございます。起草委員の皆様、それから事務局の皆様、本当にお疲れさまでした。とても良い建議ができたと改めて読んで思いました。今回の建議は、今田中さんおっしゃいましたが、特に総論で、世界的な情勢の変化を踏まえて、市場の信認の重要性と将来世代への責任を、強く打ち出した点において、極めて明快なメッセージ性を備えているという点を高く評価したいと思います。
原案についてはいくつか意見を申し上げたのですが、特に、防衛、子育て、GXといった財政支出を伴う国家的な課題が出てくる中で、EBPMを通じた個別施策の有効性を高めるだけではなく、政策の優先順位づけとスクラップ・アンド・ビルドによる財政資源配分の全体最適化を図るべきであるということについて、今回初めてその趣旨を取り入れていただきました。
政策の優先順位づけとスクラップ・アンド・ビルドというのは、いわゆる省庁用語で言う見直しではありません。つまり、内容を一部修正して政策を継続するということではなく、持続的な経済の成長と社会の安定安全という大きな政策目的に照らして、優先順位が低い政策はやめることであるということを、申し上げたいと思います。
少し別の言い方をすれば、財審での審議も含め、現在の日本の予算編成に向けた検討のプロセスをみると、省庁縦割りの下で積み上げられた個別分野について緻密な分析と吟味を行うという手法をとっています。それ自体は品質の高いすばらしい仕事になっていると思いますが、今求められているのは、省庁横断あるいは国・地方縦断的な大きな取組で財政資源の最適化を図り、それによって、歳出の膨張にも歯止めをかけるということであると思います。
私は、財務省は企業でいえばCFOであると思っています。CFOのミッションは、単に各事業部門から出てくる要求の査定をすることではなく、戦略的な意図をもって資源配分を行うということです。財務省におかれても、戦略的な判断は政治家の仕事、などと言わず、遠慮なく、財政運営の構造改革をリードしていっていただきたいと思います。
もう一つ重要な視点は、改革を進める上で、より大きな枠組みをつくっていくということであると思います。この会議の名前も「財政制度分科会」であるので、制度論もやるべきではないかと思います。例えば、安易な補正予算に歯止めをかけるための制度や、先ほども触れられていた社会保障費の膨張に歯止めをかけるための、マクロ的なコントロールの仕組みといったものについて考えるべきではないかと思います。春の財審では、こうした議論を、是非進めていただきたいと期待しております。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
どうぞ、広瀬委員、お願いいたします。
〔広瀬委員〕ありがとうございます。
まず、これまで様々な意見を建議案に反映していただきまして、ありがとうございます。
これまでも度々申し上げてきましたが、コロナ禍による有事の対応が常態化して、財政規律が弛緩している状況は決して望ましいものではなく、国債発行に安易に頼らず、持続可能な財政を是非構築すべきであると考えております。そのためには、持続的な経済成長と徹底した歳出改革は、車の両輪として進めていく必要があるのではないかと考えております。
それから、企業の立場で一言申し上げますと、企業は今、コロナ、あるいは円安によってコストアップが非常に厳しく経営に影響しているわけですが、特に中小企業は、コストアップ分をなかなか販売価格に転嫁できない。したがって、利益が確保できないという非常に厳しい苦しい経営環境にございます。
ただし、そうした状況下にあっても、中小企業は生き残りをかけて、設備投資あるいは賃上げ、そうした取組をしているところもたくさんあります。そうした中で、財源確保のために安易な増税は、こうした企業の前向きな成長投資とか賃上げに水を差すのではないかということを少し心配しております。
最後になりますが、今後も恐らく防衛力強化、少子化対策、本当に歳出拡大局面がしばらく続くのではないか。是非国民生活あるいは企業活動への影響を踏まえまして、緊張感を持ちつつ丁寧な議論をお願いしたいと思っています。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、神子田委員、どうぞお願いします。
〔神子田委員〕起草委員の先生方、すばらしい方針をまとめていただいてありがとうございました。私からは特に次の時代を担う若年世代を含めて、フューチャーデザインを議論していくということ、それと財政教育に触れていただいたことに感謝しております。というのは、私前回の財審のときに、今の政治家の先生方はやはり規模ありきで、大きいことが良いことであると。それにまた有権者も、規模に見せかけられて投票してしまうということは、今直るのは諦めたということを言いましたが、決して将来にわたって諦めたわけではありません。今、サッカーワールドカップを見ていますと、やはり何十年も遅れている国が数年で追いつくのはなかなか難しいし、この国の財政も何十年にわたって積み上げてきたものを、数年で軌道修正するのは難しいとは思うのですが、やはり将来世代を巻き込んで考えていくということで、少しずつ未来が変えられるのではないかと思いました。
今月、鈴木大臣が会見で謝っているシーンがありまして、何かというと、30年ぐらい前ですか、特別会計の自賠責の基金を一般会計に繰入れて、それをいわば政府が借金した形なのだが返してくれなくて、自賠責基金はお金が足りなくなって、保険料を上げなければいけなくなった、これはどうしたことであるということで、それを見ても分かるように、やはりお金が必要なときは、税金を上げるのか、あるいは歳出を削減するのか、財源を使って賄わなくてはいけなくて、そのためにきちんと説明して、どうしますかということを、ごまかさずにやらないといけない。ごまかしてやっていくと、将来、ごまかしの効かない状況になるということを示す良い例かと思いました。
今後も将来を考えて財審で発言していきたいと思います。どうもありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、ここで一旦オンラインに移りたいと思います。次の3人の委員の方に御発言いただければと思います。初めに横田委員、続いて小林慶一郎委員、それから安永委員、この3名の委員の方です。
最初に、横田委員から、どうぞ御発言ください。
〔横田委員〕ありがとうございます。横田でございます。起草委員の皆様、多くの意見を反映していただきまして、ありがとうございました。
安全保障についてです。今回の建議に当たっては、各省から安全保障に関連した予算周りの言及をたくさんいただきました。研究から社会資本整備など幅広かったと認識しております。
国民の目線からすると、やはり全体としてどのように防衛関連、安全保障にかかるところが、予算として使われているのかは今後も注目されるところであると思います。建議や取りまとめに当たって、今後縦割りで書いていくのではなくて、防衛関連予算としてまとめて記載していくことも考えられるのではないかと感じた次第でございます。
以上です。
〔増田分科会長代理〕どうもありがとうございました。後段の検討の件は、事務局でよく、今後に向けて検討をお願いしたいと思います。
それでは、小林慶一郎委員、どうぞ御発言ください。
〔小林(慶)委員〕小林でございます。
すばらしい建議をおまとめいただきまして、起草委員の皆様、どうもありがとうございました。
感想を一言申し上げたいと思っただけですが、今回、「将来世代への責任」という言葉が、はっきり出たことは非常によかったと思います。ただ、財審とかあるいは財務省の方々、長くやっていらっしゃる方は将来世代への責任というのは当然のことであると思っておられて、あえてそうしたことを今まであまり強調されなかったのかと思うのですが、ただ、ここ何十年の間、財務省がやる財政の運営をめぐっていろいろ、政治にもみくちゃにされて、いろいろなことがあって、将来世代のために仕事をやっているということがなかなか実感できないような、特に財務省の若手の皆様などは、何のために仕事をやっているのかよく分からないという状況が、最近は続いていたのではないかと思うわけです。
やはり今大事なことは、財務省の組織のアイデンティティーをどうやって再構築するかが大きな課題であると思います。あるいは財務省だけではなく、霞が関全体のアイデンティティーをどうやって再構築するかが課題であると思いますが、そのときにやはり「将来世代への責任」というのはキーワードであると思います。これをもっと意識に上げるというか、もっと旗印にしていくことが必要なのではないかと思います。ただ単に将来への責任というのではなくて、フューチャーデザインのように、将来の人たちの考えや視点をどうやって代弁するか、将来世代の代弁者になる方法論を皆様で考えていくことが、これからの財務省や財審で議論すべき課題なのではないかと思います。
少し聞こえづらかったかもしれませんが、私の感想でございます。以上です。
〔増田分科会長代理〕どうもありがとうございました。発言は全部聞こえておりましたので、大丈夫でございます。
それでは、続きまして、安永委員、どうぞお願いします。
〔安永委員〕ありがとうございます。種々コメントをさせていただいたのも反映いただきまして、大変な作業であったかと思いますが、ありがとうございました。
それで一つだけ、やはり皆様も御指摘の部分ですが、危機対応をいつまでもずるずる続けている状況に、日本の経済はないということ、成長のためのロードマップづくりを官民挙げてつくっていかないと、この国の将来世代を考える前に、産業構造そのものが、成長せずに30年来たわけですが、さらに停滞が続くのではないかという危機意識を持っています。
それはやはり、これだけビジビリティが低い経済環境の中で、特にこれからの大事な成長分野であるデジタルとグリーンという分野について、政策的な将来の見通しが極めて不明瞭であるということ、ここで一定の予見性があるロードマップを政策として打ち出していただかないと、これはエネルギー安全保障の問題もありますし、需給の問題もありますし、それから原子力を含めた様々なエネルギー政策の問題と、それから脱炭素というものは不可分に考えていかなければいけない。ここの、やはりビジビリティをいかに上げていくかが民間活力を引き出し、アニマルスピリッツを発揮するためには、何よりも重要であることだけを強調しておきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕安永委員、ありがとうございました。
オンラインで堀委員、合図がございましたので、堀委員、どうぞ御発言ください。
〔堀委員〕すみません、事務局、起草委員の皆様、お疲れさまでした。誤字脱字だらけのコメントなどを送付して、大変失礼しました。反映していただいたところも多くありましたので、ありがとうございます。
内容についてではなくて、財審そのものの運営と在り方について一言だけお伝えできればと思っています。
フューチャーデザインや財政教育、将来世代を巻き込むという話がほかの委員の方からもありましたし、そうした視点をこれからも入れていく必要はあると思うのですが、財審のメッセージがどのようにSNSであるとか、あるいは若い人たちに伝わっているのかを、何らかの形で分析というか把握する必要があるのではないかと思っています。「財審」でネットで検索をしましても、大体、特定の団体が多く主張しているとかということが出てきたりとか、あるいは新聞であるとか、テレビというものも、もう若い学生たちはあまり見ていません。先日も、「ABEMAを見てて」などという話を聞いて、アベマって何だろうと、私は首をかしげていたのですが、若い学生が見ている、少し偏っているかもしれないものかもしれないのですが、恐らく私たちの世代以上と、今の10代20代は全く違う情報源で情報を得ていますので、未来の、フューチャーを本当の意味でデザインしていくためにも、そうした若い学生がどのような情報を、どのように得ているのかをキャッチした上で、そうした人たちに対するメッセージを発信していく必要があるのではないかと思っています。
ありがとうございます。以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、また、こちらの会場に戻します。続いて宮島委員、どうぞ御発言ください。
〔宮島委員〕ありがとうございます。起草委員の皆様、本当にいろいろ取り入れていただきまして、ありがとうございました。
毎回、財審の建議が出るたびに、これはどのように報道になるのかというのを、私はいつもどきどきしているのですが、今回はイギリスをはじめとする市場の警告、そしてコロナなどで非常に緩んでしまったこと、将来世代への責任ということに関しては、しっかり伝わっていると思います。
概要についても、できるだけ字数を少なくしようと思ってつくられたのではないかと思います。
一方で、本当に報道も難しくなったのは、SNS時代になると、短い原稿がそもそも説明不足なのに、さらにそのリードのところが転送され、誤解され、ミスリードになるようなことが本当によく起こると思っています。今回の秋の建議の議論でも、恐らく特定の記者が、会見などで狙ったところで記事を書いた、そこまでは不正確ではなかったとしても、それを追いかけたり、引用したり、転送しているうちに、話がどんどん変わってしまって、私も、財審でこうした話をしているの?と聞かれて、そのような話、そのテンションではしてないよということがありました。
つまり、10年前20年前に比べて、SNSの短いワーディングが走ってしまうと、それをとめようもない状況になってしまうという非常に難しい時代になったと思います。恐らく、全く同じ長いもので、それが伝わると思っているものより、こちらがそれを一種誘導していくと感じるので、これだけは伝えたいというものをより明確化して、それに関心が集中するように、関心とメディアの報道をリードしていくということも、今後必要になっていくのではないかと思っております。
そのような中で、財務省の課長方が、経済誌でインタビューを受けられたのも拝見しました。こうしたものも、いわゆる文字で書いた硬さを超えて、より国民目線ですとか媒体の読者に立った形で分かりやすく、分かりやすく以上にもっと意図を持って、このように伝わってほしいという意識を持って発信していただくことがすごく大事ではないかと思います。ずっと、財審は発信が本当に課題で、「財政再建」というのはみんなにはあまり好まれない単語なので、どうやって浸透させるのか、本当に私も、20年ぐらい前に記者をやっていたときからの悩みですが、より難しくなっていると思うので、そこは本当に手を抜かないで、丁寧にやっていく必要があるかと思っております。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、木村委員、どうぞお願いします。
〔木村委員〕ありがとうございます。起草委員の先生方、それから財務省の事務局の方々、立派な建議をいただきまして、ありがとうございました。
今回の建議、すごく多くの重要な内容が盛り込まれていると考えているのですが、要するに日本とか世界を取り巻く状況を考えると、日本は少子高齢化、人口減少、あるいは円安とか物価高とか、様々な厳しい状況を抱えていて、同時にウクライナ危機が起きる中で、今回の建議も、そうした状況を踏まえた上で、大きな国家像をどう描くかということを問われたと思うのですが、それに対して今回の建議はある程度答えているという感じがします。
一つは、日本経済の構造ということで、章立てにもありますが、日本経済の長期低迷、様々な財政措置を講じても日本経済の成長力が高まらなかった。では、必要なことは財政支出の中身を精査して、より付加価値を生み出す支出に重点化していくことが重要であるということです。
それから、ウクライナ関連の防衛に関しても、いわゆる2%という数字ありきではなくて、目指すべき防衛戦略に基づいて、真に必要な防衛装備、防衛力の整備に必要な予算を確保するということを求めたこと、この二つはすごく重要であると思います。
こうしたことを踏まえた政策は必要であると思うのですが、かじ取りを誤ると、大規模な財政出動を続けながら、結局は、いわゆる昔でいう富国強兵ならぬ、下手をすると貧国強兵に陥ってしまうのではないかという気もしています。そうした事態にはならないように、今後の予算編成できちんと、建議に書かれたことに十分しっかり取り組んでいただきたいと思っております。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、熊谷委員、どうぞお願いします。
〔熊谷委員〕熊谷でございます。すばらしい建議をおまとめいただきまして、起草委員の先生方に心より御礼申し上げます。
今回の建議を俯瞰いたしますと、あえて総論と各論に分ければ、各論の部分、防衛ですとかグリーン、子育て、社会保障、これらが中心的な内容であったという印象を受けております。もちろん現下の情勢等を踏まえれば、これはある意味で当然のことですし、また、「戦略は細部に宿る」という言葉もございますので、今回各論が中心であったこと自体は、決して悪いことだとは思いません。
しかし、次回以降は、願わくば総論の部分、これは先ほど平野委員がおっしゃった問題意識と重なるものでございますが、一言で言えば、経済成長と健全な財政を両立していくようなプロアクティブな仕組みをつくるということ、こうした点についても各論同様に、是非注力できればよいのではないかと考えております。具体的には、財政規律を守る仕組みを制度的にビルトインすることですとか、ペイ・アズ・ユー・ゴールールの設定、また、独立財政機関の設立、さらには補正予算の抑制ということですが、やはり当初予算に焦点を当てた財政規律の維持というのは、かなり限界が近づいているのではないか、という印象を受けます。くわえて、例えばMMTに対する反論なども、しっかりと正面から行うことができればと考えます。
いずれにしても、今回は、各論ですとかリアクティブな問題への対応が中心とならざるを得なかったということであると思いますが、次回以降は、是非とも総論、そして、プロアクティブな取組等にも、より一層注力できればと考えております。
ありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕どうもありがとうございました。
それでは、委員の方の御発言につきましては、ここまでとさせていただきます。
それで、残り時間本当に僅かですが、起草委員の先生方、土居委員から手が挙がっていますので、土居委員、どうぞ御発言ください。
〔土居委員〕皆様、どうもありがとうございました。できる限り、皆様の御意見を盛り込ませていただきながら、皆様でつくった建議という形を何とかできればと思って、今回も臨ませていただきました。
今後についてということで、堀委員、宮島委員、何人かの委員からSNSの話がありまして、私もSNSを、ツイッターもフェイスブックもインスタグラムも、みんなやっているのですが、やはり、数の力ですか、財政再建に対して批判的な方々の発信の数のほうが圧倒的に多いがゆえに、そうした意味では数で負けてしまうというところがあるので、何とか、いろいろな方を巻き込みながら、財政健全化が大事であるということについて、数の力で負けないような発信をしていく必要が私はあると思っています。
しかも、一度して、それで終わりというのではなくて、SNSの特徴的な部分は、古いものは埋没するというものがありますので、新しいものをどんどんアップデートしていかないと、どんどん古い発信は埋没してしまう、そうした特徴も考慮しながら発信していく必要がある。
もちろん財務省から発信していただけばよいのですが、財務省から発信すると当然、公的機関なので公的機関の意見であるという理解をされてしまうので、どのような形でいろいろな民間人を巻き込みながら、展開していくかというところも非常に重要なのかと思います。
私としても、例えば10年前だったらまだ若かったので、例えば復興増税反対という意見に対して、これはみんなで助け合うために大事であると言って、一生懸命発信して、いろいろやったりしたのですが、今はそうした時間も力もありませんので、若い人にもそうした財政についての理解を深めていただきながら、発信していただくようなネットワークも、非常に大事かと思いました。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
田近委員、どうぞ。
〔田近委員〕起草委員に加わらせていただいて、これをまとめさせていただきましたが、2点、申し上げたいのですが。
一つは、この建議のメッセージは何か、私は、少し読ませていただきます。「物価上昇が緩やかで、金利も低水準で推移することを前提とした経済財政運営は、もはや通用しなくなった。これは日本も同じだ、日本の国債の金利も上がっている。したがって、財政運営に対する信認が低下すれば、国債市場にも影響が及びかねない。」これが、起草に加わらせていただいて私自身が思った一番重要なメッセージなのかと。
それから熊谷さんの話で、財政規律をどう保つかですが、実はトラス首相の成長計画が大変な問題を起こして、その後に、11月17日に新しい財務大臣、ハント財務大臣がオータム・ステートメントを出した。どうやって失地回復したかというのを説明すると、こうしたことです。OBRというのはOffice for Budget Responsibility、そこと政府が、こうなったらどうなるのであるということで問い合わせてやったようですが、申し上げたいのは、二つ新しいルールをつくった。一つは、2022年から5年以内に、GDPに対するネットデットの割合を下げる。これは虫眼鏡で見ないと分からないぐらいですが、よく見ると少し下がる。それから、もう一つのルールは、5年以内にネットボロウイングのGDP比率を3%にする。したがって、政府は約束してしまっているわけです。5年以内に、デットGDP比は下げる、それからボロウイングの比率を3%にする。だから、これを守らざるを得ないわけです。
プライマリーバランスの約束は何だ。だから、やはりバインディングなコミットメントを政府がしなければいけない。結局、イギリスはそれをやらされたというか、本来やるべきだったのでしょうが、それをやっている。
だから、ここであると私は思います。だから、どのような約束を、財政健全化に対して政府がコミットメントするか。これを財審でも、これから詰めていくべきであると思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、よろしいですか。冨田委員、発言されますか。
〔冨田委員〕今回の建議におきましても、いろいろな御意見をいただきました。私感じましたのは、前回のこの分科会でもそうですし、ペーパーでいただいたコメントも、いつもと違って大変多かったのは、PDCAサイクルをきちんとやるように。それから、事後評価をとにかく重点的にやって、施策の見える化をするという内容のものは多かったように思います。この背景は、やはり、コロナ対策等大規模な対策を急ごしらえで行ってきたということがその背景にあったからであると思います。それらの御意見、ほとんど全部、この中に盛り込ませていただいております。
だから、今日はあまりそのお話が出なかったと思うのですが、私は事後評価も、当然重要であって、やるべきですが、新しい施策、新規政策に対する事前評価、これを体系的にやることを予算編成のプロセスの中に、きちんと組み込む必要があるように思います。
それは、施策の代替案を、様々の御意見あるわけですから、評価できるような、複数の評価項目と、評価の体系をきちんと示し、いわゆるシステムズ・アナリシスの考え方ですが、それを予算編成のプロセスの中に組み込んでおく。つまり、事後評価も大事ですが、やはり我々、本来議論すべきは、事前の評価をきっちりやることであると思いました。
以上です。今日はおとなしめの議論で終わらせたいと思います。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
では、中空委員どうしますか、1点ぐらいで。
〔中空委員〕いや、以下同文でもよいぐらいですが、では一言だけ。来るときに末澤委員に会って、建議まとまってよかったねという話をしたのですが、その割には、どんどん事態は悪化しているねと。一口に1兆円、2兆円で済んだものが、もう10兆20兆円となってきてしまって、その中でこの建議が出てくることの意味は何かを考えなければいけないかと思います。
立派な建議だし、これだけの人たちが集まって、これだけの時間を使ってつくったものなので、何とか世の中の財政のプロセスに組み込まれたいと思うのですが、そこが全くもって欠けてしまっていて。良いことを言いました、終わり、になっているのが少し悲しいということだろうと思います。いかにこれを実行していくか、というプロセスに入ってきていると思うので、この辺は財務省の方々もそうですし、あとは政治家の方々も巻き込んでやっていかなければいけないのかと思っています。
以上です。ありがとうございます。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、最後に、榊原会長から御挨拶を頂戴したいと思います。会長、よろしくお願いします。
〔榊原分科会長〕委員の皆様におかれましては、今回、秋の財審におきましても、今年の9月から今日まで、2か月かかったわけでございますが、大変熱心に御議論いただきまして、ありがとうございました。
また、起草委員の皆様にも、心から感謝を申し上げたいと思います。
今回の建議におきましては、令和5年度予算は、我が国財政が長年抱えている問題、そして、世界的な環境変化の中で新たに生じている様々な課題を真っ正面から受け止めて、しっかりと解決していく、そうした決意を示したものでなければならないということを明示しております。そうしたことが、財政に対する市場の信認を維持して、将来世代への責任を果たしていくために不可欠であるといった考え方を盛り込みました。特に、財政に対する市場の信認、そして将来世代への責任、この二つのキーワードをしっかりと発信することができたと思っております。
また、今回の建議におきましても、社会保障、防衛、それからGXをはじめとする各分野につきましても、令和5年度予算編成に向けた歳出改革の方向性といったことをきちんと提言できたと思っております。
冒頭申し上げましたように、この後、鈴木財務大臣に面談をいたしまして、この建議を手交することにしております。大臣には、この建議の提言内容を令和5年度予算におきましても、しっかりと反映していただくように、お願いをしたいと思っています。
改めて、皆様方に感謝申し上げまして、私の御挨拶とさせていただきます。
ありがとうございました。御苦労さまでした。
〔増田分科会長代理〕どうもありがとうございました。
それでは、時間がまいりましたので、以上で本日の議題は終了といたします。今、お話ございましたとおり、この後、榊原会長や起草委員から、鈴木大臣に建議をお渡しし、その後、会長と私で記者会見を行う運びとなっております。
なお、本日お手元に配付しております資料ですが、右肩に会議後要回収と書いているかと思います。お持ち帰りにならず、机の上にそのままお残しいただきますようにお願いいたします。2分冊、見え消し版と、溶け込み版とございます。よろしくお願いします。
建議の本文につきましては、事務局において印刷製本の上、速やかに皆様方にお送りする予定でございます。ということで机の上にお残しいただくようにお願いします。
それでは、本日はこれにて閉会いたしまして、秋の財審も以上とさせていただきます。多大なる御協力を賜りまして、誠にありがとうございました。
午後4時00分閉会