財政制度等審議会財政制度分科会
議事録
財政制度等審議会財政制度分科会議事次第
令和4年11月7日(月)9:30~11:55
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)
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1.開会
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2.議題
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社会保障について
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3.閉会
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分科会長代理 |
増田寛也 |
秋野副大臣 井上副大臣 宮本大臣政務官 青木大臣官房長 渡部政策立案総括審議官 新川主計局長 寺岡次長 中村次長 前田次長 八幡総務課長 小野主計企画官 大久保司計課長 渡邉法規課長 尾﨑給与共済課長 松本調査課長 一松主計官 三原主計官 佐久間主計官 有利主計官 小澤主計官 寺﨑主計官 大沢主計官 端本主計官 河口主計官 坂本主計官 渡辺主計官 内之倉主計監査官 山岸予算執行企画室長 鈴木主計企画官 園田公会計室長 |
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委員 |
赤井伸郎 遠藤典子 大槻奈那 佐藤主光 十河ひろ美 武田洋子 土居丈朗 中空麻奈 藤谷武史 宮島香澄 芳野友子 |
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臨時委員 |
秋池玲子 上村敏之 宇南山卓 河村小百合 木村旬 熊谷亮丸 権丈英子 小林慶一郎 末澤豪謙 角和夫 竹中ナミ 田近栄治 田中里沙 冨田俊基 福田慎一 別所俊一郎 堀真奈美 神子田章博 村岡彰敏 横田響子 吉川洋 |
午前9時30分開会
〔増田分科会長代理〕おはようございます。それでは、時間がまいりましたので会議を始めますが、本日は冒頭からカメラが入りますので、そのままでお待ちいただきたいと思います。
(報道カメラ入室)
〔増田分科会長代理〕ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。皆様には御多用中のところ、御出席いただきまして、ありがとうございます。
本日は、冒頭から秋野副大臣、井上副大臣、宮本大臣政務官にお越しいただいております。どうもありがとうございます。
本日の議題ですが、本日は社会保障です。
それでは、報道関係の皆様、御退室をお願いいたします。
(報道カメラ退室)
〔増田分科会長代理〕それでは、事務局説明に入ります。
初めに、大沢主計官から社会保障について簡潔に説明をお願いします。
〔大沢主計官〕厚生労働担当主計官の大沢でございます。よろしくお願いいたします。
本年は、防衛予算をはじめ社会保障以外にも、例年になく大きな課題がございますが、同時並行で、コロナの中で少子高齢化の問題一段と進んでおります。日本の最大の構造問題であるといってもよい社会保障、それから人口問題の議論が、コロナの中で若干停滞していた面もございますが、ようやくコロナからの正常化が進む中で、改めてずっと言ってきた全世代型の制度が実現できているかという観点から、各分野の問題点を洗い出しまして、議論を再スタートさせるタイミングではないかと思っております。
社会保障につきましては、毎年膨大な資料を提示させていただいておりますが、今日は、私からの説明はポイントを絞ったものにいたしまして、先生方から率直な御意見をいただきたいと思っております。
資料の3ページ目でございます。官邸で、全世代型社会保障構築会議をやっております。2番目の四角、9月28日の清家座長のコメント、傍線引いておりますが、「年齢にかかわらず能力に応じて負担をし、そして、必要に応じて給付を受ける」、これに尽きているのではないかと思っておりまして、実はこうしたメッセージは2008年の社会保障国民会議から15年間ずっと言われてまいりました。
4ページ目にまいります。ところが、この観点から、やはりこの軸がまだまだ徹底されてない点がかなり残っております。典型が1番目の丸にございますように、年齢に着目した負担の差が多く残っていることでございます。
5ページ目、とりわけ今後数年間は極めて大事な時期でございまして、下にグラフが二つございますが、特に今後3年間は、左側のグラフでございますが、後期高齢者が急増して、このままでは現役世代の負担の増加が免れない状況にございます。一方で、右側のグラフ、コロナの中で少子化が加速しております。人口減少が7年程度早く前倒しされている状況でございます。
この中で、コロナでございます。7ページ目、既にコロナの話題は大分目立たなくなっておりますが、もう一度感染状況を振り返りますと、この夏の第7波、グラフにありますように、それまでの山に比べ重症者数が大分少なくなっております。実は、インフルエンザよりも重症化率が低かったという指摘もございます。
11ページ目に飛んでいただきまして、この中で、コロナ特例のお話をしますと、医療関係以外の方々から、医療関係でまだ行われているのですねと、よく驚かれるのですが、大きなものが三つございまして、11ページ目の病床確保料は、1日1床当たり最大40万で、年間約2兆円でございます。特例を継続していることで、財政の資源配分としてこれでよいのかという面ばかりでなくて、実態の問題も出てきておりまして、病床確保料によりまして、特に国公立の病院で、コロナ前と比べて不連続な形で大きな収益が出ております上に、右下の記事にございますように、コロナ以外の一般医療へのしわ寄せ、さらにはそうした一般医療をやっている病院との不公平の問題が出てきております。
13ページ目にまいります。発熱外来でございます。発熱して受診した場合に、オレンジと黄色の棒を足して5,500円の医療費の加算、これが自己負担も増えるわけですが、これだけで年間0.3兆円、3,000億円と推計されております。もともとこの特例は、発熱外来であることの公表に消極的な医療機関が多かったことから、公表のインセンティブとして措置したものですが、足もとで9割以上の発熱外来が公表されているにもかかわらず特例が継続されている状況にございます。
15ページ目でございます。三つ目は、ワクチン接種の支援でございます。昨年度だけで左側のピンクの部分、2兆円以上が使われております。ワクチンにつきましては、このページにございますように、毎年のインフルエンザ接種の2倍ぐらいの補助が出ておりまして、さらに次のページ、16ページにございますように、「接種体制確保補助金」とありますが、補助金が青天井となっているために、打ち手であるお医者さんの取り合いも過去において生じているわけでございます。
コロナ対策、全体を申し上げますと、財審での先生方の御指摘もございまして、雇調金、それから中小企業への貸付金を含めまして、かなり通常の制度に戻りつつあります。医療だけが聖域のような感じで残りますのは、一般の方々から見ればバランスを欠く状況にあると思いまして、まずはこの部分の正常化が急がれるかと思います。
次に、こども関係でございます。27ページ目でございます。こうした中で、かつてない少子化が進んでおりまして、少し前まで年間の出生数は100万人を下回ったと言われておりましたが、そこから僅か6年で、今年は80万人を割ることが確実と言われております。
この中で過去20年間、待機児童の解消、そして幼稚園、大学をはじめ教育負担の軽減を進めまして、28ページ目にございますように、家族関係の政府の支出は、諸外国並みに近づいてはおります。
では、これから求められる政策は何かということでございますが、29ページ目にございますように、一つは、この図にございますように、産んですぐ、つまり、ゼロから2歳の部分の支援が比較的小さいのではないか。こうした趣旨で、今回の経済対策で、妊娠・出産時に10万円の支援、自治体による丁寧な相談とセットの措置を行う予定でございます。
31ページ目、もう一つは正規・非正規の問題かと思います。左上のグラフにございますように、30代前半で結婚している割合は、青色の正規職員で6割、オレンジ色の非正規職員2割と差がついております。
32ページ目のグラフ、右側のグラフで、パートの方は、正規職員の方に比べて出産後の就業継続率も育休の取得も圧倒的に低くなっております。
このため、33ページ目にございますように、正規・非正規、短時間労働者についても同じセーフティーネットを広げて、制度面の格差をなくしていく取組が必要かと思います。雇用保険や育児休業給付は現行の週20時間という基準がございますが、その基準以下の方々も適用することが論点になってまいります。
35ページ目、0~2歳の対策は、今回の補正予算から、継続的に措置をする伴走型相談支援とセットの10万円の支援、さらに、来年度から出産費用支援である出産育児一時金の増額が検討されております。
38ページ目でございます。いずれにせよ、こうしたこども関係の政策の拡大には安定的な財源が必要でして、社会全体での費用負担の在り方を含めて幅広く検討していく必要があるかと考えております。
続いて45ページ目にまいります。医療ですが、冒頭申し上げた負担能力に応じた負担ができているかという点では、医療はやや遅れている部分がございまして、これは後期高齢者医療の負担の持ち方の議論でございますが、右側の介護と比べますと、介護は実は、高齢者人口が増えると高齢者の負担のシェアも増えます。ところが、後期高齢者ではそうなっておりませんで、オレンジのグラフですが、年々若者の負担が増えてしまう仕組みになってございます。こうなってから是正するのはなかなか大変でございまして、本来は制度をつくるときから、人口構造とか所得格差が広がっても公平な負担になるように、最初から制度をつくり、組立てておく必要があるのでございますが、今からでも見直しが必要な状況にあるかと思います。
46ページ目でございます。今度は、前期高齢者の医療費の持ち合いでございますが、実は今、医療費の持ち合いが加入者数に応じた調整と書いてございますが、人頭割になっておりますため、特に所得の低い企業は負担が高くなっております。人頭割をやめて、全面的に所得に応じた配分にすることによりまして、ドット図にありますように、保険料率の格差が0.9%から0.3、大きく縮小でございますが、0.6%ほど縮小することができるわけでございます。こうした改正によって、負担能力に応じた負担を、世代間でも世代内でも実現すべきかと思っております。
続いて49ページ目、医療費ですが、先ほど申し上げたようにコロナ関係の補助金、発熱外来などの診療報酬の特例によりまして、2022年度、棒グラフの一番右でございます。コロナは、かなり性質が変わってきているとは思いますが、このままいくとなお4兆円近い追加的な補助が医療機関向けに行うことになります。
51ページ目でございます。こうしたコロナの補助金によりまして、特に国立系の病院、三つありますうちの国立病院機構、それからJCHOと言われる地域医療機能推進機構、多額の積立金が蓄積されておりまして、早急に国庫納付を求めるものと考えております。
53ページ目でございます。今年は年末に薬価改定が予定されております。薬剤費総額ですが、左の赤いグラフが総額ですが、2015年は肝炎の薬が多く出て一時的に出っ張っておりますが、毎年、薬価のマイナス改定を続けておりましても、基本的には増加傾向が続いております。足もとでは、薬剤費の外側で、右下にございますようにコロナの治療薬、ワクチン購入を行っている上に、棒グラフがありますように、今後は後期高齢者の増加に伴いまして、薬剤費もさらに増大することが見込まれます。
56ページでございます。この中で、前回の初回の改定では薬価差が大きい薬に限定して実施をいたしましたが、それを実施した令和3年度におきましても、医薬品市場は拡大したという報道もございます。今回は物価高の中で、国民負担軽減の観点から、限定をつけることなく、完全実施を行う必要があるかと考えております。
少し飛びまして、70ページ目をお願いいたします。マイナンバーカードの健康保険証、話題になっておりますが、実はこれは、いわゆる医療DXの基盤であると考えておりまして、マイナンバーカードの健康保険証活用はメリットがございます。過去の薬剤情報、診療情報、健診情報が、マイナンバーカードを通じて、患者さんが見られる、また、主治医の方も見られることになりまして、医療の効率化の契機になるのではないかと思っております。
71ページ目でございます。医療介護関係法人の見える化を進めております。それぞれの分野で経費を適正化する意味でも大事な取組かと思っております。
この中で、社会福祉法人が実は先行しておりまして、個々の法人ごとに給与水準も含めて具体的なデータがインターネットで見られるようになっております。
一方で、医療法人につきましては、73ページ目を御覧いただきますと、法人全体の事業収益や費用は分かりますが、一人当たりの給与額などは分からない状態でございます。
そこで74ページ目にございますように、法改正によって医療機関の細かい経営情報の全国データベースをつくることになっております。
ただ、一番下、見える化にとって最も重要な情報かと思いますが、職種別の給料、賞与、人数といったものが、今取り込めるかどうかの議論になっていると聞いております。
続いて介護でございます。介護は医療以上に経費が多く伸びている分野でございます。
その中で、82ページ目からですが、実は、来年3年に1回の制度改正が予定されております。
その中の論点を御紹介したいのですが、まず、利用者負担でございまして、介護は後期高齢者医療制度と、ある面隣接する制度でございますが、後期高齢者は今年の10月から2割負担を導入いたしました。介護においてもこれに倣って2割負担、もう既に導入されておりますが、若干の範囲の拡大を行う必要があるかと考えております。
83ページ目でございます。これは介護施設の室料、住んでいる場合にかかる滞在費用でございます。今回老健施設が論点になってございます。
84ページ目でございまして、老健施設は、本来はリハビリ施設でございますが、実態としては、平均滞在日数が300日を超えておりまして、これであれば滞在費をいただいてもよいのではないかと考えております。
85ページ目でございます。毎回議論になりますが、宿題として残されているのがケアマネジメントの利用者負担でございまして、介護保険を最初に始めるときにケアマネジャーができて、プランを決めますが、また、毎月状況を観察していただくわけですが、その際には全額が保険から出て自己負担はございません。これはケアマネジメントの普及・定着のためであったわけですが、既に制度創設以来20年が経過をして、相当程度定着しております。また、実は特養の施設は自己負担対象になっていて、バランスの問題もあるかと思います。現場の従業員の皆様のアンケートが公表されておりますが、半数以上が負担の導入に一定の理解を示しているようでございます。
88ページ目、前々回の制度改正で、地域支援事業への移行、要支援の部分が実現いたしました。これに続きまして、要介護1・2につきましても、グラフにございますように黄色の部分、調理、掃除、洗濯といった家事支援が大きなウエートを占めておりますので、この部分を中心に総合事業に移行いたしまして、地域ごとの判断で、多様な主体によるサービスを実現すべきかと思っております。これにつきましても、現場のアンケートで半数の方々から、前向きな御意見をいただいているようでございます。
介護の議論はどうしても、高齢者の負担増に慎重な議論に傾きがちでございますが、今後75歳以上、さらに85歳以上の方が増える中で、費用の増大、現役世代の負担増を少しでも抑えるためにも、今回3年に1度のチャンスですから、制度改正を前進させるべきかと思っております。
続きまして雇用、94ページ目です。非常に大きなコロナ特例でございます雇調金の特例が、12月から通常制度に移行することになりました。これまで6.6兆円が支給され、約2兆円を国庫が負担しております。
95ページ目、この中で、先ほど申し上げたように、雇用保険が短時間労働者を対象にしていないことの問題点が明らかとなりまして、拡大の議論が必要と考えております。
96ページ目、さらに雇用保険財政を、次なる危機に備えまして、立て直していくことも必要かと考えております。今回は失業等給付からの借入で賄った部分が多かったわけでございますが、着実に返済していく必要があると考えております。
97ページ目、さらに、雇調金自身も見直しが必要と考えております。今後、やはり人手不足が深刻になると見込まれる中で、休業による雇用維持に重点を置いた現在の雇調金制度は見直しが必要な局面かと思います。これも含めて、労働移動の円滑化を本格的に考えていく必要があるかと思います。
99ページ目でございます。今年はいろいろな見直しが重なっておりまして、生活保護も、5年に1度の見直しの時期に当たってございます。
101ページ目でございます。大きな論点の一つでございます生活扶助の基準見直しに当たっては、このページの右側の図、第1・十分位、一般低所得者世帯の消費水準との均衡を図るように設定されておりまして、厳しい世帯への配慮はもちろん必要であると考えておりますが、足もとの物価上昇をもって一律に基準を改定することには慎重であるべきと考えております。
また、103ページ目以降に、医療扶助、それから就労促進など、適正化が必要な点、さらにございますので、取り組んでまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
本日は、御欠席ですが、安永委員、広瀬委員より、意見書を御提出いただいております。お手元にお配りしてありますので、お目通しをお願いします。
また、出席されておられますが、芳野委員からも、資料の提出をいただいております。
それでは、これから委員の皆様方から御意見、御質問を頂戴したいと思いますので、いつもどおり、会場ではネームプレートを立てて、あるいは、オンラインの方は挙手するボタンで合図をお願いしたいと思います。会場から5名、そしてテレビ会議システムから5名という形で進めていきます。
なお、御発言でございますが、お一人様、およそ3分ぐらいでお願いします。前回、防衛のときに、ヒアリング等々がございまして、お尻の時間も決められておりましたので、お一人様2分ということで、かなり厳格に時間調整させていただきました。今日は、御発言、御希望の方、多いようでございますので、本日もお一人様3分ぐらいでおまとめいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、まず、会場から進めていきたいと思います。御発言は、そうしましたら、私から見て一番左側の武田委員から、続きまして5名程度、田近委員、末澤委員、それから土居委員、佐藤委員と、ここまで、まず初めに御意見頂戴したいと思います。
それでは、武田委員、どうぞお願いします。
〔武田委員〕大変分かりやすい御説明をありがとうございます。
意見として、3点ございます。1点目は、御指摘のとおり、ウイズコロナへの移行と全世代型への制度改革をどう進めるかという点です。構造問題が深刻化する中で、対応は待ったなしと考えております。資料にもございましたとおり、能力に応じて負担し、必要に応じて給付し、持続可能な制度とする、それを次世代に伝えるということが大原則であると思います。昨今、やや負担の付け替えの議論が多く見られております。全体として持続可能な制度としていくためには、給付自体の効率的な改革を着実に実行する必要があると考えます。
2点目は、少子化対策に関してです。この問題は非常に重要で、国を挙げて取り組むべきであると思いますが、何が真の原因で、何をすべきかという点について、更に考える必要があると思います。
31ページでお示しいただきましたとおり、正規と非正規において、これだけ有配偶率の差が出ております。セーフティーネットの格差を縮めることも大事ですが、こうした労働市場の問題を解決する必要があると思います。制限を設けて行うということですが、少子化問題を解決せずにお金が使われるのであれば、結果的に非効率な使い方となりますので、真の解決策への着手をお願いしたいと思います。
3点目、医療法人等の経営の見える化に関してです。私自身、全世代型社会保障構築会議及び公的価格評価検討委員会の委員も務めておりますが、処遇改善策を考えるためにも、人件費の正確なデータが必要であると考えます。資料によれば、職種別の給与について、現在、データの提出が任意か義務か、取扱いが決まってないとのことですが、確実に各医療法人のデータが収集できる仕組みにしていただきたいと考えます。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、田近委員、お願いします。
〔田近委員〕田近です。私からは2点、関連して3点ぐらい、全てで3点ぐらい指摘したいのですが、一番指摘したいのは49ページ、今日のメインテーマの、最近の医療機関の経営実態というか、コロナ対策が医療提供機関にどのような影響を与えたかということで、今日の御報告の一番重要な点の一つは、49ページの右側で、医療費が20年に、これも大分議論しました。医療費自身が、コロナが非常に急激に広がって、下がった。その分コロナの補助金がついた。それはある意味、緊急事態で分かるのですが、したがって、先ほど報告にあったように、問題は、これが今も続いている。その結果、医療法人の収益率は上がっている。これは財審として本当に声を強くして、この是正を求めるべきであると思います。
それは足もとという、今の問題ですが、関連してというか、抜本的な改革として、その中でも、成果を強く求めるという意味で、抜本的な改革の面では63ページ、できれば多少補足的な説明をいただきたいのですが、やはり地域医療構想が不徹底だったということが、今回のコロナのレッスンの一つだったと思います。本来、コロナの患者を診てくれるところが診てくれなかったという問題もあって、その後いろいろ改革、反省があったということは私も多少知っていますが、私の意見、質問は、地域医療構想をどう着実に進めて、コロナも含めた病気に対応していくか。この進捗状況を説明、多少補足していただければ良いと思います。
最後に、これを今多少地域医療構想に触れましたが、全体を通じて、少し冷めたというか、コロナの次を見通して、では、抜本的な改革を一体どうするのか。我々の議論した給付の自動調整も避けられないと思うのですが、そのさらに先を見通した議論もしておくべきだ。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、末澤委員、お願いします。
〔末澤委員〕どうもありがとうございます。私からは感想を一つ、意見一つ、質問一つということでお願いします。
まず、感想ですが、今回も極めて大部の資料で、お疲れさまでございました。ただ、実は明日、8日には補正予算の閣議決定がある。これは総額29兆、国債発行も23兆円近いという大きなものの決定があるということなので、国民の皆様に説明するときに、ブレーキとアクセル両方踏んでいるのではないか、ないしは運転士が二人いるのではないかと思われないように、やはり今回の財審が打ち出す内容につきましては、極めて丁寧な説明は必要だろう、これが1点でございます。
意見ですが、そうは言っても、今田近委員がおっしゃいましたが、49ページのグラフをお示しいただきたいのですが、これは私が、ちょうど昨年、このタイミングだったと思うのですが、一松主計官に御質問しまして、要は、昨年の段階で2020年度の概算医療費が出ました。これですと青い部分、42.2兆円。これは、つまり概算医療費は国民医療費の98%をカバーしますが、これが医療控え、受診控えから減った。だが、補助金が大量に出ているので、補助金を入れるとどうなるのですかという質問をして、これをつくっていただいたわけです。
実は9月に2021年度の概算医療費が出ました。ここにあります44.2兆円。これは2020年度に比べて2兆円増、プラス4.6ということで2019年の水準を上回っています。2022は財務省の機械的な推計ですが、これでいくともっと増えそうだ。特に2022年度からは団塊世代が、いわゆる後期高齢者になってきますから、これはだんだん伸びが加速するということで、つまり、いろいろな、正常化する中でも青い部分は従来の推定なりに伸びてくる。そうするとオレンジ色の部分をやはり見直さないと、従来の推定よりも医療費がどんどん伸びることにならないか。
一方で、少子化対策、防衛関係費、また、DX、GXと幅広な歳出増が予想されているわけですから、やはりここの関係、コロナ関係の補助金は見直しが必要だろうと思います。
最後、質問ですが、とは言っても、恐らく、第8波は、ほぼ間違いなく来ると思います。既に、先行指標のヨーロッパとアメリカでも増えておりまして、WHO区分の西太平洋地域である東アジアで感染者が増えておりますから、第8波は恐らくBA.2ないしBA.5の亜系統株、BQ.1とかBQ.1.1とかBA.2.75.2とか、いろいろありますが、そうしたものが増えてくる。
そのときにワクチンをどうするのか。私は5回目の接種券が来まして、今月、ファイザーのBA.5対応を申し込もうと思っています。そうすると、今市中に出ているのはモデルナのBA.1とか、あとそれ以外にあると思いますが、恐らく、BA.1対応とか既存株対応のものは、恐らく打つ人がいなくなると思います。これだけワクチン、当初足りないと言っていたものが、今は相当出していますが、これはいくら出して、本当に何割使われているのか。逆に言えば、相当デッドストックないしは廃棄になると思うのですが、廃棄するならどこかに有効利用をするとか、そうしたことについてお伺いしたいと思います。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、土居委員、どうぞお願いします。
〔土居委員〕御説明どうもありがとうございました。
まず、医療についてです。13ページに、発熱外来に対する診療報酬上の特例措置がありまして、これはやはり時限を区切って、しっかり、臨時的な措置であるということにするべきであると思います。かつてあった妊婦加算のように、結局、診療報酬の加算は患者の自己負担増も伴うということですから、やはり過度な患者負担増は避けるべきであると思います。
それから、74ページの医療法人の経営の見える化は、先ほど武田委員も御指摘あったように、まさに、処遇改善の効果がはっきり分かるようにするためにも、職種別の人件費をしっかり詳細に報告していただく形でデータベースを構築するべきであると思います。
それから、介護についてです。3年に1度の介護報酬改定が再来年控えていて、そして、来年の通常国会では、そのための制度改正のための法改正を予定しているということですから、まさにこの年末が非常に重要な議論の時期であると思います。財政面、人材確保面から持続可能なものにする必要が私はあると思っています。
85ページにありますようなケアマネジメントの利用者負担導入、それから88ページにあるような生活支援の総合事業への移行というのは、長年、財審でも議論してきましたし、これをできないかということで議論してきたが、これまで実現していなかったことですから、今回こそは、これはしっかりと実現させるべきであると思います。
先ほど、大沢主計官が御指摘ありましたが、介護職員の方々のアンケート調査、私も拝見しました。介護職員の人材不足のために、軽度者への生活援助は総合事業に移行すべきであるという方々が過半数おられるとか、さらにはケアマネジメントの利用者負担を導入しないと答えた方よりも、所得に応じてという配慮があれば、導入したほうがよいと回答された方が倍近く多いという状況ですから、これは現場も、今申し上げたようなことを望んでいると言ってもよいと私は思います。ですから、そうした意味でも、これをしっかり実行するべきであると思います。
最後に、子育てについてです。37ページに出産育児一時金があります。当然、若い人たちを支援するためには、これを増額するという今回の方針は、私も賛同いたします。
しかし、これはいたちごっこのように、実際の出産費用が増えているということは、一時金を増やしても、出産費用が増える、こうした構図は何とか断ち切らないといけないのではないかと私は思います。しっかりと、かかる費用はかかる費用で、虚心坦懐に設定するべきではありますが、一時金が増えたのに乗じて出産費用を増やすようなことは、現場でやめていただきたいというところを、何とか制度的にきちんと歯止めがかかるような仕組みを導入する必要があると思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、佐藤委員、どうぞお願いします。
〔佐藤委員〕よろしくお願いいたします。私から、まず最初に介護保険についてコメントさせてください。
一般論になりますが、こうした制度改革の見直しということになると、どうしてもいつも受益者、給付を受けている方々の利便性であるとか、負担であるとか、そうしたことが強調されるのですが、むしろ本来は支え手、具体的には介護事業者、2号被保険者、彼らを支える制度の見直しが本当は求められるのかと思います。
具体的には、88ページにある、例えば介護軽度者の地域支援事業への移行についてになりますが、もちろん利用者の利便性とか負担も重要ですが、むしろここでは、介護事業者の生産性の向上であるとか、あるいは待遇の改善という観点からの移行であるという考え方があってよいと思います。
実際に、介護の現場は慢性的に人手不足です。限られた人材を、より専門性の高い介護サービスに重点化させることは、生産性の向上という観点からも喫緊の課題ではないかと思います。
また、85ページにありますケアマネジメントの利用者負担についてです。負担を求めるとケアプランをつくらなくなるのではないかという懸念もあるようですが、実際のところはケアプランの作成はかなり定着しておりますし、この段階で、御紹介あったとおり、施設では利用者負担を求めているわけですから、そちらとのバランスを勘案する必要あるかと思いました。
例えば、土居委員からも御指摘ありましたが、ケアマネとか総合事業についていろいろ現場のアンケートは紹介されていますが、あまり理念先行ではなく、現場の本音をきちんと政策に反映させたほうが良いと思います。理念では、やはり手厚い介護が必要だし、ケアマネジメントの利用者負担は大変なので、利用者にとって大変であるというのは分かるのですが、現場はどう思っているのか。現場の声がなかなかこうした政策運営に、制度の見直しに反映されないのかという気がしますので、そこは常にフィードバックが必要かと思いました。
簡単に、まず、コロナについて一つですが、12月は間違いなくインフルエンザが同時流行するということになっていますが、財政的な支援だけではなく、例えば今、コロナとインフルエンザを同時に検査できるコンボというのがあります。これは医療機関でしか利用できない状況ですが、それを介護施設であるとか事業所であるとか、もちろん家庭とか、そうしたところに普及させることが必要であると思います。
それから、コロナでない方々はオンライン診療で対応しますと厚労省は言っているのですが、オンライン診療自体が普及していない、この段階で。普及していないものを、どうやって利用するのだと、むしろ矛盾を感じるのですが。であれば、今年の冬に向けてオンライン診療の拡充は喫緊の課題ではないかと思いました。
最後に1点だけ、全世代型の社会保障で、能力に応じた負担と言いますが、今の日本の保険料とか自己負担の在り方は、能力に応じた負担ができない状況になっている。例えば、よく言われますが、高齢者の現役並み所得というのは公的年金等控除がされた後なので、実は結構収入は高いが、現役並みになっていない人がいるという話もありますし、それから、保険料の設定はどうしても収入に応じますが、金融資産を持っている方もいらっしゃるということを考えると、もし能力に応じた負担ということであれば、それができる環境をつくっていく。具体的には、保険料の設定の在り方、資産の捕捉です、具体的には。資産の捕捉であるとか、もちろん公的年金等控除の見直し、こちらは税制改正ですが、そうしたものが必要なのかと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、一旦、会場をここまでとして、オンラインに移ります。オンラインで、次の5名の方に御発言いただきます。田中委員、冨田委員、芳野委員、権丈委員、小林委員、オンラインもとりあえず以上の5名の方に、先に御発言いただきたいと思います。
それでは、田中委員、どうぞお願いします。
〔田中委員〕田中里沙です。御説明並びに御配慮いただきまして、ありがとうございます。
冒頭に大沢主計官から御説明いただきました清家先生のお言葉ありましたが、こちらを実現するためにも、医療・介護・福祉のデータの一元管理がやはり重要で、その連携や複合化を進めて、質を高めながらコスト削減を実現していく必要があるかと思います。
マイナンバー保険証のこと、70ページで、本日、メリットを具体的にというお話ありましたが、リアルタイムでそれらのデータが把握されることが急がれると思いますし、また、このメリットは個人視点で伝わるような活動に注力ができたらと思います。
二つ目、ケアマネに関してです。85ページに示していただいた負担の導入改革は正当性もありまして、20年の経験から得られたことを、これから生かしていくということで、理解されるのではないかと想像します。別の視点で、例えば現在のケアマネの方々は、福祉領域の方が中心なのではないかと、よく市町村とかお話しさせていただいていて思います。ここに医療の知見が生かされて、予防医療などのコーディネーションが提案されれば、不必要な長期入院も避けられるでしょうし、介護の現場から医療にという、往来のようなことも多々あるわけで、この辺りの連携不足が積み重なって、不利益が生じるケースは日常にありますので、その辺りが改善されるような改革に、今回のタイミングで同時に行われると良いかと思います。
最後、三つ目は、企業や地域また可能な限り家計でも今後、今までの先生方の御指摘のように、やはり社会保障の負担をどう担うかという議論を、当事者間でもっと行っていく必要があるかと思っています。
同時に、今、高齢社会に向けて地域の課題解決やスタートアップが日々議論されていますが、この中でも、市民の方々が出されるアイデアは、やはり、介護の問題、医療の問題、社会保障に関することというのは、とても多くて、こうしたものが身近なものにもなっています。市民のアイデアで解決できるという提案、民間で何とかしていこうというアイデアが結構ありますので、ここに光を当てることも有効ではないかと思っています。
社会保険料についても、企業のことをお示しいただきましたが、やはり会社単位で、身の回りでもっと話す機会を意識して増やしていくことに意味があるかと思いましたし、今日、46ページで御説明いただいたように、社会の環境とか自社の状況を照らした上での理解が促進されるという流れを、企業の担当の人事や財務のところでとどまることなく、組織人等にも伝わるような展開が有効になるかと思います。
以上、よろしくお願いいたします。
〔増田分科会長代理〕それでは、冨田委員、お願いします。
〔冨田委員〕ありがとうございます。簡単に2点。
第1は、ウイズコロナへの移行に向けてです。説得力ある資料が示されていると思います。2年前の春には、医療関係従事者への感謝と期待を込めて、ブルーインパルスが東京の空を飛び、それに励まされたわけですが、それから医療供給体制に17兆円もの国費による支援が行われてきました。このうち、医療関係向けのコロナ関係補助金は10兆円近い金額でして、本年度は、緊急包括支援交付金、ワクチン接種体制負担金に加えて、コロナ特例の診療報酬も配られ、4兆円近い補助金が支援される見込みといいます。第8波に注意しながらも、これらの補助金の整理を進め、危機への例外的な対応から、ポストコロナを展望し、ウイズコロナへの移行を進めるべきです。
第2は、今日は御説明なかったですが、国民健康医療保険制度についてです。給付額の約半分は国費の投入であるとはいえ、基本は保険制度であり、都道府県が保険者として、住民の受益と負担、つまり、各都道府県におけます医療供給体制と保険料とのバランスを図る役割を担うことが制度の根幹です。したがって、国費の投入の在り方も、各都道府県が保険者としての機能を発揮するように、都道府県の国民健康保険特別会計への赤字補塡であってはならず、国費の投入は、年齢構成を基にして算定される各都道府県の標準的な医療費と現実の医療費の格差が、各都道府県の国民健康保険料、医療の供給体制に反映できるように、配分方法を見直すことが必要です。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、芳野委員、どうぞお願いします。
〔芳野委員〕芳野でございます。ありがとうございます。時間も限られていることから、四つの論点に絞って発言させていただきます。なお、意見書を配付しておりますので、併せて建議案に反映していただきたいと思います。
1点目は、こども・子育てについてです。まず、結婚や出産は当事者の選択によるものであり、希望する人が安心して子供を産み育てることができる環境整備に、最優先で取り組むべきです。その上で、こども・子育てに関する財源については、国民の合意を得た上で、安定財源を確保できるよう、丁寧な議論と説明が不可欠です。
なお、医療保険制度からの拠出の活用は、保険給付を行う同制度の趣旨から不適当であると考えます。
育児期における経済的支援の必要性は、働き方によって変わるものではなく、所定労働時間が20時間未満の非正規雇用などの労働者やフリーランスなどを含む、全ての働く者にも同様に支援することが重要です。
雇用保険被保険者への支援は、少子化対策として、相当程度国庫負担としていく必要があります。また、フリーランスのうち労働者性が認められている者は労働者として雇用保険の適用対象とすることが大前提ですが、雇用保険被保険者以外への支援は全額一般会計で実施すべきであると考えます。
2点目は、医療についてです。医療は皆保険を維持し、全ての人に良質な医療アクセスを保障していくことを前提とした議論が重要です。年齢別の負担から、負担能力に応じた在り方への転換を進めるべきですが、高齢者医療制度の各種見直し検討に当たっては、労使の意見を得ることが不可欠です。
また、薬価改定の毎年完全実施が必要とありますが、薬価算定ルールなどは、3者構成による中医協の議論を尊重すべきであると考えます。
3点目は、雇用についてです。雇用調整助成金制度の見直しについて、労働移動の円滑化に資する施策を強化していくとありますが、雇用保険は失業時の支援に加え、雇用の維持やスキルの取得・向上を目的としており、今後とも雇用政策の中心です。労働移動はそうした施策の結果として生じるものであり、そのものが主たる政策目的ではありません。まずは、個々の産業・企業における人材育成や処遇改善に軸足を置くことが重要です。
また、雇調金が担う主な役割は、雇用関係の継続と労働者が積み上げてきたスキルの保持であり、休業させる代わりに教育訓練を通じてスキルアップを図ることも、制度上可能です。コロナ特例を終えて通常制度に移行したとしても、雇用政策における雇調金の位置づけは変えずに堅持すべきです。
最後になりますが、生活保護についてです。生活困窮者自立支援制度は、支援ニーズが多様化する中、伴走型の支援を実施できる体制確保が課題です。居住地域に関係なく、必要な人に必要な支援が切れ目なく行き届くことが重要であり、各自治体等への財政支援を強化すべきです。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
〔増田分科会長代理〕それでは、権丈委員、どうぞお願いします。
〔権丈委員〕ありがとうございます。権丈です。4点ほどございます。
まず、こども・子育てについてです。コロナ禍で少子化が進んでおり、より包括的な支援に取り組むというのは賛同いたします。ただ、そのときに、女性のキャリアの中断を促すことにならないように、また、低待遇の雇用を容認することがないようにすることは意識して、制度の拡充・改善に取り組んでいただきたいと思います。
これまで長く、労働政策としては、非正規雇用の待遇改善と正規雇用労働者の柔軟な働き方の推奨などを行い、雇用形態間の格差を是正する方向に政策を展開してきましたので、そうしたこれまでの努力と矛盾しない形で支援を行っていく必要があるのではないかと思っています。
次に、医療の負担能力に応じた負担に向けた改革の話です。先ほども御説明いただいたところですが、スライド45に、後期高齢者医療制度と介護保険の比較があります。介護保険のように、現役と高齢者の人口比に応じて負担割合が変化するのは当然のことなのですが、後期高齢者医療制度ではそうなっておらず、高齢化が進むにつれて、後期高齢者一人当たりの保険料負担が相対的に軽減し、現役世代一人当たりの支援金負担が重くなる仕組みになっています。これは明らかにおかしいので、速やかに介護保険と同じ仕組みにすべきと考えます。
スライド46については、既に後期高齢者医療制度も介護保険制度も、負担の仕方は総報酬割になっています。他方、前期高齢者については、今もそうなっていないことは、合理的な理由はないと思います。今は全世代型社会保障というスローガンの下に、負担は能力に応じてという改革を進めているのですから、前期高齢者医療制度の費用負担の在り方を加入者割から総報酬割に変えるのは、当然のことであると思います。
次に、医療の提供体制の改革についてのコメントです。スライド66で、2013年の社会保障制度改革国民会議報告書の中で、フリーアクセスというのは必要なときに必要な医療にアクセスできるという意味に理解していく必要があると論じられています。今から10年近く前の話でして、その後そうした考え方は、財務省や厚労省の資料では定着しています。
したがいまして、今、議論されているかかりつけ医機能を発揮できる制度整備に関する議論においても、この国におけるフリーアクセスは、必要なときに必要な医療にアクセスできるという意味であり、決して、はるか昔の、いつでも好きなところでという意味ではないことを前提として行わなければ、無用の混乱が生じるように思います。これはコメントです。
最後に1点質問です。スライド74に、医療法人等の経営状況の見える化の説明があります。先ほど武田委員、土居委員も触れられていたところですが、このスライドの一番最後にあって、黒い文字で示されている職種別の給料及び賞与並びにその人数は、この資料では、見える化の対象となっていないようですが、その理由はなぜでしょうか。
もしそうであるならば、スライド72の公的価格評価検討委員会中間整理にある、国民の保険料や税金が効率的に使用され、一部の職種や事業主だけでなく、現場で働く方々に広く行き渡るようになっているかどうか、費用の使途の見える化を通じた透明性の向上が必要という要望に応えてないように思うのですが、本当にこのスライド74にある職種別の給料及び賞与並びに人数は、見える化の対象ではないのでしょうかというところです。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
〔増田分科会長代理〕それでは、続いて小林慶一郎委員です。お願いします。
〔小林(慶)委員〕手短に3点ほど、コロナについて2点、それから子供関連について1点、意見を言いたいと思います。
コロナについて、まず、経済や財政のこれからの負担を減らすという意味でも、行動制限をやらないということについて明確に、政府全体でコミットすべきであると思います。現在のオミクロン型のコロナ感染症は致死率も重症化率も非常に低い、季節性インフルエンザと同じ。少なくとも60歳よりも若い人については、季節性インフルエンザと同じほどの病気であるということですので、新型インフルエンザ特措法の対象にすべきかどうかということをもう1回、考え直す必要があるのではないかと思います。ですので、国民一人の死亡や重症化のリスクが一定レベルよりも小さい場合には、行動制限をしないという明確な原則を共有する、明確にして共有する必要があるのではないかと思います。
その際、医療ひっ迫が起きると大変であるという議論があるわけですが、医療逼迫を防ぐためのいろいろな措置や改革は、抗原検査のOTC化など、いろいろ規制を緩和することなど、あるいは医療提供体制の改革をすることで対応すべきであって、要するに経済全体、社会全体の行動制限ということは明確に、やらないという原則を確認する必要があるのではないかと思います。これが1点目。
2点目は、これまでの3年の反省点の一つとして、今あまり論じられていないのですが、接触確認アプリのCOCOAが失敗したということがあります。これはシミュレーションによると理論的には、感染症を抑え込む上で、非常に効果が高いはずであるということが言われていたわけですが、うまく普及しなかったために失敗してしまった。こうしたデジタル化による感染症対策は、今のようなウイズコロナで、コロナと共存する社会では、あまり意味がありませんが、これから次のパンデミック、別の病気が出てきたときに、感染症を封じ込めるための対策としては、非常に有益有用だし、コストも非常に節約できるということであると思います。
ですから、今から実証実験をしっかりやって、医療のデジタル化に合わせて、接触確認アプリを整備する必要があると思います。その際、一番重要なのは個人情報保護法との関連をしっかり整備しておくということで、今回COCOAが普及しなかった一つの理由は、オプトイン方式であって、要するに、国民が自分でインストールしなければ、自分のスマホに入れられない状況だったというものがあります。むしろ、オプトアウト方式、最初に配ってしまって、国民が嫌なら外すというオプトアウト方式で入れられるように、個人情報保護法との関連を整理しておく必要があります。
それから、今日議論になっているマイナ保険証のような医療の全般的なデジタル化と連動させた政策として、接触確認アプリをしっかり、次の感染症に備えて、整備する必要があると思います。
それから、最後に1点、こども関連についてですが、子育て世代の支援は確かに社会保障政策ではあるわけですが、同時にこれは成長戦略でもあるということをしっかり意識した政策にすべきであると思います。ゼロ歳から3歳、あるいは2歳の低年齢の子供たちの幼児教育が、非認知的な能力に大きな変化を及ぼすということは、ジェームズ・ヘックマンの研究などでよく知られています。日本でも中室牧子さんの著作などで知られているところでありまして、ゼロ歳から3歳ぐらいの子供たちの就学前教育をすれば、その後、生涯所得が十何%以上増えるという意味で、非常に投資効率が良い公共事業であるとも言われています。
ですので、子育て世代への支援を適切に行うことによって、低年齢期の非認知能力を伸ばして、それが将来働く人たちの人的資本を改善する、経済成長や税収が増える、長期的な成長戦略であるということを確認して、ほかの成長戦略に関する経費を削ってでも、ゼロ歳から3歳の子供たちの支援に充てるような考え方を取るべきではないかと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、また会場に戻りたいと思います。初めに中空委員、どうぞお願いします。
〔中空委員〕ありがとうございます。私は社会保障に関しては2点あるのですが、せっかくですので1点だけ補正予算について申し上げたいと思います。
今日は両副大臣も政務官もいらっしゃるので、あえて申し上げたいのですが、やはり29兆の補正予算というのが簡単に立ってしまうのは一体どうなのだろうということでございます。財政制度等審議会では、総論から各論に至るまで、様々な話をするわけですが、簡単に補正予算が立ってしまうのはどうかと毎回言ってきている割には、またもこのように簡単に29兆円。これについて財政制度等審議会としては、もうじき建議が出ますので、そこでしっかり言っていくということが重要であると思いますが、一方でもし、政治家の先生方からもこの件につきコメントがあればいただきたいと思います。
それから、今日の話については2点です。
1点目は、コロナ予算についてです。雇用調整助成金をやめるとか診療報酬上の特例措置をやめるとかということもそうだし、それら金額が大きいということもそうなのですが、コロナ予算が膨張し過ぎていて、かつ、当初予算に溶け込んでいてトレースできないということについての問題を私は指摘したいと思います。1年ほど前に、その金額が12兆円ぐらいあったと思いますが、今は何十兆になっているのだろうと少し心配です。
以上のようにコロナ予算が当初予算に溶け込んでしまっていること、トレースできないこと、それは、やはりいろいろな先生方がおっしゃったように、データがなさ過ぎることが問題であると思っているので、この点については、訂正していく必要があると思います。これが1点目。
2点目は薬価についてです。薬価を引き下げましょうという話ですが、これも観点としては、2点申し上げたいと思っていて、1点目は、日本の医薬品メーカーがあまりにも世界でプレゼンスが低いということがあります。これは、薬価で守られ過ぎている面があるのではないかと思っていて、つまりはインセンティブをそぎ、イノベーションを生んでいないのではないかと考えます。ですので、その観点からも薬価は引き下げたほうが良い。
もう1点が、物価高の中、国民負担を軽減していくという意味でも必要かと思います。米国もインフレ対策として薬価を引き下げておりますし、特に世界でも異論がないのではないかと思います。
毎年薬価改定をやっていて、先ほど大沢主計官からも説明がありました。初回の2年前は、コロナ1年目だから仕方ないということで範囲を限定しましたが、今回は例年どおり範囲を限定せずに、幅広く実施していく必要があると思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、続いて熊谷委員、どうぞお願いします。
〔熊谷委員〕熊谷でございます。御説明、誠にありがとうございました。私からは大きく3点申し上げます。
まず、第1に、総論でございます。私は、全世代型社会保障構築会議の委員を拝命しておりますが、資料の3ページで示された、能力に応じて負担し、必要に応じて給付し、持続可能な制度を次世代に伝えるという理念、大原則に沿って、制度等の見直しを続けていくべきであると考えます。
この大原則に照らして、あらゆる制度やその運用等について、過去の経緯やしがらみなどにとらわれることなく、国民目線で不断の改革に取り組むことが極めて重要です。
本日御説明をいただいた様々な改革案は、全て3ページに記載された大原則に沿った内容であり、コロナ関係補助金の見直し、地域医療構想の推進、医療法人の経営状況の見える化等々をいずれもしっかりと実現していただきたいと考えます。
次に、2点目、3点目として、私が特に重要であると考える各論のポイントを指摘させていただきます。
2点目に申し上げたい点として、46ページに記載された被用者保険の保険料分布は、大変示唆的でございます。どの健保組合に加入するかによって、ここまで大きな負担の差が生じることは、冒頭申し上げた大原則に照らして、負担能力に応じた負担であるとは到底言えません。前期高齢者医療費が人頭割となっていることが大きな要因であり、既に全面的に所得割になっている後期高齢者と同じ仕組みにするべきであると考えます。
第3に、この10月から後期高齢者医療の2割負担が導入されましたが、これまでの窓口負担増と比べても、大きな混乱なく導入に至っているように見受けられます。これは、全世代型社会保障という議論を続けてきて、今回の施策が、現役世代の負担軽減につながる点等に対する国民の理解が広がっていることが背景にあるのではないでしょうか。こうした観点からは、冒頭申し上げた大原則に照らしても、介護の利用者負担に関しても、2割負担の対象を医療とそろえる見直しを行うのが自然であり、急激な負担増とならないよう経過措置を設けつつ、今回の介護保険改正において結論を出す必要があると考えます。
私からは以上でございます。ありがとうございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、平野委員、お願いします。
〔平野委員〕ありがとうございます。財政改革の本丸である社会保障改革については、この2年間、コロナ禍への対応に追われて本腰を入れた議論ができていませんでしたが、今回の御説明や資料は大変立派な内容であったと思います。
まず、総論では、熊谷さんからもお話があったとおり、我が国の社会保障の全体像をもう1回捉え直して、現状の課題と目指すべき改革の方向性を示していただきました。
それに続く各論の対応策も具体的で、かつ適切であると思いますし、もう一つ申し上げると、資料も大変洗練されておりまして、大変良いと思いました。
2点申し上げます。まず、1点目、子育て支援についてです。日本の経済の将来を考える上で、人口減少は一番深刻な問題であるということは明らかです。その意味では、これに重点的な政策を打っていくというのは当然です。この点、資料の29ページにあるように、全体像を捉えた上で、特にゼロ歳児から2歳児の支援が手薄になっていることに着目するのも正しいのですが、政策を打っていく上では、何が本来あるべき姿かということを意識していくことが非常に重要ではないかと思います。例えば、ゼロ歳児については保育士を手厚く配置する必要があるのはそのとおりですが、先ほどの小林さんからのお話とも関係しますが、本来であれば育休制度を強化して、親がこの大切な時期をこどもと過ごせるようにするのが望ましい姿だと思います。もしそうであるとすれば、先ほど芳野さんからも御指摘ありましたが、むしろ現在の育児休業給付制度から漏れている非正規労働者の適用範囲を広げて、働き方に中立的な子育て支援制度を構築すべきではないかと思います。
さらに言えば、非正規だけではなくて、何らかの事情で働けない人をいかにカバーするかということも考えていかなければならないとも思います。
問題は、子育て支援の財源ですが、対象が被用者にはとどまらないことや、少子化対策は日本の将来を支えていく上で不可欠であることを鑑みると、社会全体で子育てを支援する意識を醸成して、広く個人と法人で負担を分かち合うという考え方に立つべきではないかと思います。
2点目、医療に関する給付と負担の見直しについてです。先ほどから議論に出ている給付の適正化に向けては、42ページの上段の3点目に、保健医療支出の伸びが経済成長率と乖離しないことを一つのメルクマールとする、と示されていますが、マクロ的なキャップに収まるように給付水準を調整するメカニズムを構築することができれば、非常に画期的だと思います。年金については、マクロスライドという制度が入っていますが、医療についても、こうした仕組みの導入が考えられないか。春の財審でも指摘がありましたが、過去にミクロ政策の積み上げによる医療費適正化計画は計画倒れに終わりました。あるいは過去に提案された様々な、それ以外のミクロの政策でも、現状、医療費の膨張に歯止めをかけられていないことを反省材料として、マクロ的なキャップに基づくビルトインスタビライザーを、いかに組み込んでいくかということを、本腰を入れて検討すべきではないかと私は思います。
こうした議論をすると、すぐ手をつけやすい薬剤費にキャップをかけるという議論に流れがちですが、なぜ現在こうした事態を招いているかという根本的な要因は、フリーアクセスと自由開業に基づく医療サービスを公費で支えていることにあると私は思います。これは先ほど田近さんからも御指摘ありましたが、地域医療構想を通じた医療提供体制の再構築と、政府、あるいは自治体がどのように関与するのか、というガバナンス面の強化、そして、かかりつけ医の制度化を推し進めるべきであると思います。
一方で、負担の在り方については、年齢ではなくて、応能負担の原則を基軸にするということを、先ほどから何人かの方が指摘されています。そのためには、佐藤さんも言及されていましたが、収入に加えて、資産を把握する必要があります。それを捕捉するためにマイナンバーによるデータの取得を行う仕組みをもう一歩進めて構築すべきであると思います。
最後にもう一つだけ。医療改革の議論は、適正なデータに基づくべきであるわけですが、国民医療費と、資料の42ページにあるHealth Expenditure、の間には相当な乖離があります。より幅広い実態を把握できるHealth Expenditureを公的統計とすべきではないかと考えます。それと、何度も言われてきましたが、医療機関の経営データさえまともに取れないような状況も、早急に改めるべきなのは当然です。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、木村委員、お願いします。
〔木村委員〕どうも御説明ありがとうございました。私も全世代型社会保障の推進・構築は重要であると思います。特に資料の4ページで示されているように、「能力に応じて負担し、必要に応じて給付し、持続可能な制度を次世代に伝える」という考え方がまだまだ徹底されていない、その具体的な一覧表を示されたのは非常に分かりやすくて、これらを着実に進めていく必要があると思っております。
その上で留意すべき点ですが、全世代型社会保障の考え方は2008年、随分前に示されているのですが、以前からの課題ではありますが、その後に経済とか社会情勢が大きく変わったということ、一つはコロナであり、もう一つはウクライナ危機に伴う物価高です。
コロナに関しては、この資料でもありますように、少子化の加速に伴って、人口減少が大幅に前倒しされる可能性が高い。それだけ全世代型社会保障の実現が急がれる状況にあるということになっているのですが、一方で、ウクライナ危機に伴う物価高で国民の負担が増しているというのは、逆に全世代型社会保障にとっては逆風になるのかという感じがします。つまり、全世代型社会保障の改革は負担増を求めるだけに、国民の理解が欠かせないわけで、そうなると今は家計の状況に十分配慮して進める必要があるということも言えるのか。つまり、コロナと物価高という相反するような状況に今なっていて、すごく難しい対応を社会保障改革の中で迫られている状況であると理解しております。
そこで、4ページで示された全世代型社会保障の進めるべき項目の一覧表も、短期というのですか、先に取り組む課題と、少し時間をかけて取り組む課題があるのではないか。とりわけ早期に着手すべきは、まずは給付を効率的・効果的にするための医療提供体制の見直しが、まず早急にやるべきことではないか。ただ、62ページにある医療資源の分散化、あるいは日本の医療体制は、個人の開業医、民間病院中心に整備されてきたが、その脆弱さがコロナで露呈したということですので、ここは早急に取り組んでいただきたいということ。
それから、49ページにあるように、最近の医療機関の経営実態で示されているように、今の医療機関の経営実態は近年になく好調であるということを、要は国民が物価高等で負担増に見舞われて、政府も巨額の借金を抱えている中で、医療機関だけがといいますか、医療機関が多額の収益を蓄積しているのは、やはり問題ではないか。とりわけ令和4年度に補助金と診療報酬の特例で、年4兆円程度を支援するというのは驚きです。こうしたものも早急に改革していただきたいということをお願いしたい。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、神子田委員、お願いします。
〔神子田委員〕御説明ありがとうございました。
まず、最初に、財審の社会保障分野の主計官の説明というと、これまで非常に早口だったというのが恒例ですが、今回、重要な政策の中でも特に重要な政策に絞って、ピンポイントでゆっくり説明されていたのが、非常によかったと思います。
それでキーワード、ピンポイントですが、先ほど中空委員からも、政治家の先生に質問がありましたが、私も今回の総合経済対策で「規模感」という言葉に非常に引っかかりまして、最初から30兆円ぐらいの規模が必要であるとか、規模感は大事ですという。何で政治家の先生は規模感が大事であると言うのかというところが、非常に分からなくて、今回も一夜にして4兆円増えたと言われていますが、4兆円という数字、その前から25兆円だったのですが、それがなぜ必要なのかということです。その辺の説明がされていなくて、規模と言われるから、バラマキと言われるのか。必要なのは規模の大きさではなく、効果の大きさではないかということを改めて思いました。
政策の必要なところにピンポイントとか、払える人、応能負担ということで支払い能力のある人にピンポイントで負担をしてもらうとか、それが非常に重要なことではないかと思いましたし、今日の御説明でも、資料13ページの発熱外来に対する診療報酬上の特例措置も、当初発熱外来の公表が進まない中で導入された。公表が相当程度進んだということを受けて、これはやはり変えていかないといけない。こうしたことも問題に対してピンポイントで応じ、解決したらやめていく、そうした姿勢が必要であると思います。
もとより、防衛費をいくらにするかとかいう、また、お金のかかる話があるのですが、何兆円の中で、社会保障で毎年、細かいことにも着目して、削っていくという姿勢は非常に尊いものであると思っていまして、今年も「骨太」で、3年間で1兆5,000程度の増加に抑えるということを確認しましたが、やはり暦年で、この何年かを振り返ってみると、ここを抑えていることは非常に蓄積するものとして大切なのであると思っているので、引き続きそれは頑張ってもらいたいと思います。
それと、少子化に関しては、出生数のグラフ、私はコロナで減ったから、一過性のものではないかといったところ、いやいやグラフをよく見てください、その前の年から減っているのですと。2019年ぐらいから、がくんと落ちているのですが、やはりこうした低下トレンドを何とかトレンド転換を図らないといけないということでは、より大胆な政策が必要なのではないか。私、細かい具体策は持ち合わせていないのですが、よく言われるtoo late,too smallなのではないか、それを繰り返してきたのが、この十数年ではなかったのかと思っています。
アメリカのことわざに、木を植えるのにベストなタイミングが20年前だった。でも、それは逃してしまった。では、次にベストなタイミングはいつか。それは、今であるということがありますが、是非、トレンドの転換を図るために、最近気になるのは本当にこどもを持って育てている方から、こどもを持つと肩身が狭いのような、こどもを持つことにネガティブな印象を持たれているというのが非常に気になって、それを変えるためにも、政策、予算面からも、そうした常識を覆してもらいたいと思います。
最後に、AMEDです。いろいろな各省庁にまたがった研究を一元化してやるというのが、今日の御説明にはなかったので、資料には、それが思ったとおり、一元的に予算配分がなされているとは言い難い。これは私、財審の、秋の1回目でも言いましたが、やはりこうしたところは、オール霞が関として一つになってやっていく、予算の上からも、こうやって、本当は各省から幾らとかいうのが出ないような予算編成の在り方になったら良いのではないかと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、ここからオンラインに移ります。オンラインの御発言、次の5名の方にお願いします。福田委員、河村委員、上村委員、横田委員、堀委員、この順番で指名していきますので、よろしくお願いします。
それでは、福田委員、どうぞお願いします。
〔福田委員〕ありがとうございます。社会保障に関して、年齢にかかわらず能力に応じて負担するという最初の大原則、私も大賛成です。ただ、その際に重要なポイントとしては、能力とは何かということももう少し深く議論していくことは大事なのかとは思います。現役世代に比べて高齢者は非常に多様になってきます。その際に特定の能力だけで負担を求めるのではなくて、多様な能力をはかって、そこで負担を求めていく。ページの一番下にも書いてありますが、資産を含めた負担の能力という概念は重要ですが、その際の資産とは金融資産だけなのか、それとも不動産のようなものまで含めて考えるのかということも、非常に難しい問題がいろいろあると思いますので、そうした問題も含めて議論を深めていくことも重要なのではないかと思いますし、依然としてマイナンバー等を通じて資産を把握することに関しては、国民の抵抗感も非常に強いわけですが、そうした問題も含めて議論を深めていく必要があるかとは思います。
それから、2番目は子育て支援制度と出生率に関してです。子育て支援制度はまだまだ充実しなければいけないという御意見、私もそのとおりであると思いますし、それ自体、非常に重要であるとは考えています。
他方で、やはり子育て支援は、制度がそれなりに充実しながらも、出生率、出生者数は全く改善していないということは、やはり注意しなければいけないのだろうとは思います。
そうした意味では、子育て支援制度自体は重要であるというのは私も否定はしないのですが、それが出生率の歯止めに、どれだけ役立ってきたかという検証を改めてすべきだし、現状ではほとんど機能していないという面は、ないわけではないのだろうと思います。
出生率は地域差も非常にあって、平均すると、こうした感じだが、地域によっては非常に差があるわけです。それが子育て支援の地域差で説明できるかというと、それで説明できる割合は非常に小さいと思います。そうした意味では、出生率をどのようにして高めていくか、出生者数の減少をどう歯止めをするかという抜本的な対策はどのようなものかは、子育て支援制度とは別途、議論を深めていく必要はあるのだろうと思います。
それから最後は、雇用調整に関して一つコメントをしたいと思います。日本は伝統的に雇用を守るという形で労働市場を運用させてきたわけですが、経済構造は以前よりもはるかにドラスティックに構造変化をしていますので、そうした意味では、部門間の労働移動を促進する仕組みづくりは、かなり急務だろうとは思います。
ただ、その際に、現状でも労働移動の支援プログラムはいろいろあるわけですが、それがどれぐらいうまく機能しているかの検証もしていく必要があるのだろうと思います。いろいろなプログラムはあるが、受講者数が少なかったりするという問題が、なぜ発生しているのかという問題を含めて、いろいろと検証を今後も進めていただきたいと思います。
それから、今アメリカで起こっている問題は、コロナ等を契機に離職者がかなり増えて、結果的に、労働間の部門移動が物すごく進んであるというよりも、労働参加率が非常に低下してしまったというのがアメリカで起こった現象です。
そうした意味では、労働人口がどんどん減っていく中で、労働参加率が離職を通じて減らないような工夫も、我が国でも必要なのだろうと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、河村委員、お願いします。
〔河村委員〕御指名ありがとうございます。そして、御説明ありがとうございます。
冒頭に大沢主計官がおっしゃられた、ウイズコロナの時代に入って、やはり社会保障もしっかりと見直しに取り組んでいくべきという方針、本当に大賛成でございます。
その下で3点、意見を簡単に言わせていただければと思います。一つ目、医療機関の経営の問題、2番目が子育て支援、そして3番目、雇用調整助成金、その辺りの話を言わせていただければと思います。
まず、一つ目、医療機関の経営の問題ですが、これだけの国費をコロナ対策で投じてきて、その結果という形ですが、医療機関の経営のほうに大きく上振れる形になっているのは、49ページ以降あたりですか、御説明くださっているとおり、まさにこのとおりであると思います。
そして、国の独法病院、NHOとJCHOですが、51ページで御指摘くださっていますように、これだけ積立金が出てしまっているのであれば、返納はまさにそのとおりで、是非、そのように進めるべきであると思います。
他方、少し配慮も必要かと思いますのは、こうした独法病院の評価も、私長年いろいろ、総務省とかそれから今も厚労省で関わっている関係で、いろいろな話を直接聞いたりしている関係もあって、申し上げますが、こうやってNHOとかJCHOの本当に剰余金がこうなっているのは事実ですが、これまでの経緯のことを考えると、NHOなどは非常に厳しくて、特別会計時代からも、本当に繰越欠損を自力でしかも収支相償の下で解消しろというのは非常に、これはたしか国会の附帯決議が独法化のときについたと思いますが、厳しい中でやってこられた中で、こうした結果になっていて、それがめでたく繰越欠損がここへ来て解消できたという、それは良いのですが、そうした厳しい経緯もあったということと、それから、コロナ禍の下で、本当にいろいろな医療機関の方が努力されたと思うのですが、とりわけ国の独法病院、大変な、人的な意味でもいろいろな、ほかのところに派遣したりとかということで、急を要する対応にもすごい対応をされてきたのは事実ですので、やはり彼らの納得を得ることも必要だろう。だから丁寧に進める必要があるだろうと思います。その意味では、やはり国の独法病院だけ、法律に規定もあるからということで、もちろん返納してもらって良いと思うのですが、民間も、やはり同じように、前のページで御説明くださっていますが、経営実態は結構、随分収益が上振れてしまっているというところがあるわけですから、そうしたところもきちんと解消していかれるように、補助金とかもやはり速やかに平常時の状況に戻していくことが必要なのではないかと私も思います。
2番目は、子育て支援のところです。30ページ前後ぐらいで出ているところですが、非常に重要な問題で、いろいろ考えてくださっているとは思うのですが、やはり対策云々の話を伺っていると、お金の給付にばかりウエートが寄り過ぎてないかという気がします。先ほども話題が出ていました。出産育児の支援とか一時金の支援とかも必要ですが、そこだけではなくて、本当の問題は、今日の資料にも出てきますが、お金の問題だけではないだろう。やはり、背後にある男女格差というか、女性が普通に子供を産み育てながら、自分のいろいろ社会的な役割、仕事もしていける社会をきちんとつくっていく。そして、男女問わず、やはり雇用面での格差があるのだから、そうしたところをきちんと縮小していく。そうした取組こそが一番大事なのであって、お金の支援は、やはり財源が伴わないと非常に問題が大きいと思います。一般会計自体が今全然バランスしてなくて、当初予算で37兆ぐらいでしたか、新発国債を出して、今度補正でまた23兆近く、平気で出してしまうのですか。これは一体誰が返すのですかという話です。ですから、こども・子育ての予算のところも例外ではないはずで、これからお金をいろいろ、一時金とかたくさん給付します、それは現世代の、私たちの世代の負担でやるならよいのですが、そうあるべきであると私は思いますが、そこまで将来世代の負担で勝手にというのは、少しおかしいのではないか、やはりそこは財源の確保も含めてしっかり考えていくべきであると思います。
最後に、雇用調整助成金です。97ページあたりです。これまで休業による雇用維持だったのが、職業訓練とかそちらの方向に重点を置いていくべきであるということで、本当にこれも全面的に賛成です。ぜひそうすべきであると思います。
やはり、今回のコロナ危機後の経済の回復状況が、欧米と日本で、特にアメリカと比較すると、どうしてこれだけ差が出たのかということを、もう1回きちんと虚心坦懐によく分析して、反省すべきであると思います。どれだけ労働市場の流動性というか、アメリカなどであると、かなりダイナミックな労働者の移動が起こったわけですから、先ほど福田先生がおっしゃられたような労働参加率の問題も、もちろんあったのですが、そこのダイナミックさがかなり違っていた。そもそも雇用というのは、長年続いてきた慣行というか文化のようなものもありますので、日本はやはりメンバーシップ型というのが中心ですし、欧米は少し違うわけです。そこは急に変えられるものではないですが、そうした中で、やはり、いかにして柔軟な雇用の面での移動、柔軟性を高めるのか、ダイナミックな移動ができるようにするのかも含めて、よく反省した上で、雇用調整助成金制度の在り方自体も立ち入ってきちんと検討していくべきであると思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、上村委員、お願いします。
〔上村委員〕御報告ありがとうございます。私も補正予算について若干コメントです。
あしたから始まる行政事業レビュー、秋のレビューですが、私などは100億円程度の事業のレビューには真剣に取り組んでいるのですが、その一方で、29兆円もの規模の補正予算が成立するということは、どう考えれば良いのかということを思うことがあります。規模よりはアウトカムオリエンテッドで考えることが大切であると思いますが、その上で、社会保障について簡単に4点です。
第1です。医療に関して、ウイズコロナへの移行を念頭に、正常化を図るということは大切であると完全に同意します。いまだに正常化ができてない制度があるものについては、きっちりボトルネックを明らかにして、明確に進めてもらいたいと思います。
第2です。全世代型社会保障の構築について、負担能力に応じた負担という考え方ですが、この能力については、具体的には、負担能力、税の世界では担税力であると考えています。負担能力に応じた負担というのも正しいですし、これを突き詰めていくことが大切ですが、ほかの委員も言われたようにマイナンバー制度の活用など資産性所得や、様々な資産の捕捉をしっかり行って、真の意味で負担能力に応じた負担を実現していくことが大切であると思います。
第3に、こちらも社会保障の負担についてです。負担能力に応じた負担を実現することは大切ですが、その一方で、消費税を社会保障財源として位置づけていることの整理が必要になるように思います。消費税ですが、所得税のように負担、累進課税ではありませんので、総体的には負担能力に応じた課税にはなっていません。そのため、負担能力に応じた負担と、消費税とを、どう整理するのかを考える必要がありそうです。もちろん消費できる能力に課税しているという考え方もできるので、全く負担能力に対する課税になってないと言えなくもないのですが、要は社会保障のために負担能力への負担というものを強調し過ぎると、現状、社会保障財源として位置づけられている消費税と社会保障とのつながりを希薄にしてしまう可能性があることを少し危惧しています。消費税は全世代で負担している、だからこそ、全世代型社会保障の財源としてふさわしいという整理を一方でしておく必要があるかと思います。
最後、第4です。医療・介護について年金のようなマクロ的なキャップが重要であるというのは、私も同じように思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、続いて横田委員、お願いします。
〔横田委員〕ありがとうございます。私からは3点ございます。
まず、ウイズコロナにおける医療機関の特例対応からの正常化については、同意でございます。一方で、この冬はインフルエンザとのダブル流行や第8波があって、恐らく医療機関の負担増が予測されるところであると思います。とはいえ、あくまでも季節要因とそれ以外のところは冷静に見極めて、速やかに春以降、医療機関においても例外対応の常態化を脱する必要があると考えます。
2点目は雇用調整助成金についてです。2年以上、雇調金によって雇用が守られてきたところですが、こちらの結果分析をきっちりすることが重要であると考えております。実際、特例措置の終了において、私の中小企業のお取引先などでは結構、退職の声が出ており、うまく転職できているケース、できていないケースといろいろあります。この段になって、そうした声が聞かれる状態ではあります。きちんと雇用維持に貢献できたケース、景気回復における人手不足にも対応できているケースもあれば、特例措置とともに雇用解除がなされたケース、または失業なき労働移動にきちんと貢献ができたケースなど、是非、結果分析をしたいところです。現状は匿名化したとしても、個人でデータでトラックしていくことは難しいと思うのですが、非平時における労働者保護の支え方、期間なども含めて、今後の参考となる情報が詰まっていると思います。
最後に、マイナンバーの健康保険証についてです。今回、医療DXの基盤として重要であり、メリットをしっかり伝えていくという姿勢、非常によいと思います。義務化という言葉を先行させるのではなくて、国民目線でどうメリットがあるか理解を深めていくことが重要であると思います。
他方で、現在国会でマイナンバー保険証が様々な理由で利用できない場面を想定した議論が今後なされると承知しております。デジタル化に当たって、よく、紙でなければ嫌な人にどう対応するのであるとか、結構併用しての対応を現場に強いるケース、サポートという名の下に、現場に非効率さや仕事を増やすという流れがよくありますので、デジタル化全般に言えることですが、併存を前提とした対応ではなくて、デジタル化の原則にのっとって、デジタルを基本として議論を進めていくことを期待したいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、堀委員、どうぞお願いします。
〔堀委員〕ありがとうございます。初めに、ほかの委員の皆様もおっしゃっていましたが、4ページの総論に示されている全世代型社会保障改革での考え、年齢にかかわらず能力に応じて、必要に応じて給付し、持続可能な制度を次世代に伝えるという考え方は非常にすばらしいと思いますし、賛同します。
ただ、これまで痛みを、どちらかというと麻痺させるような政策制度設計がされてきたというか、多かったということもあるかと思うのですが、一時的な痛みを感じるような負担面の改革も、今回かなり出されていると思います。それが将来的に向けた社会保障の機能強化、持続可能性の向上につながるということを国民に丁寧に説明していく必要があるのではないかと思っています。
コロナ対策について、コロナ補助金のPDCAサイクルという視点から検証データもあるので、次の教訓に生かしていただきたいと思いますが、10ページ、春の財審の資料と比べて、秋の今回の資料で1兆円増えています。緊急包括支援交付金であると思うのですが、令和4年度の当初の予算の影響なのかと思うのですが、「一定の考え方の下、整理した」とありますが、春と秋だけで、これだけ違うのはなぜなのかと、素朴な疑問として思いました。
それから、11ページ、12ページの病床確保料と感染症法改正のところで、病床確保料のところは有効に使われていなかったという課題があったかと思いますので、是非、12ページに書かれている感染症法改正のときには、それらの整合性がつくような制度設計をしていただければと思います。
それから、22ページの三つ目のポツのところで、記載どおりであるとは思うのですが、それがそもそもできる体制にあるのか。日本の医薬品メーカーの現状を考えるとどうか。社会保障の問題としてだけというよりは、どちらかというと安全保障、あるいは将来の経済成長の分野としてどう考えるのかということなのではないかと思っています。新型コロナワクチンや治療薬については、海外から原料を購入していることもありますが、それがストップしてしまったときに、本当に日本として良いのかどうか。イノベーティブな製品開発が今現在できない環境になっているとすると、そこをどうすべきか。これは、社会保障の問題というよりは、それ以外の問題でもあるかと。薬価制度とか社会保障の課題でもあるとは思うのですが、それ以外の安全保障や経済成長の分野との関係もあると思いますので、健康後進国にならないようにどうするべきかという総合的な視点が必要ではないかと思います。
それから、子育てについては、みなさんが述べたことと同じことなので簡単にお伝えします。経済的な支援は必要であると思いますが、ゼロ歳から2歳に、保育園に希望する人が仮に増えたとしても、保育士人材の確保が非常に必要になりますし、コストもかかります。先ほど別の委員の方がおっしゃったように、育児休業を拡充していく形のほうが重要なのかと思いますし、保育士そのものの処遇改善もそうですが、仕事として魅力を感じない限り離職率も増えてしまいますので、そこのところをしっかりする必要があると思います。
それから、出産子育て応援交付金で、子育て世代包括支援センターと記載があるのですが、地域包括支援センターは高齢者支援、子育て世代には特化した支援が必要であるということはよく分かるのですが、全世代型という視点で考えると、地域包括支援センターであっても子育ての支援ができるし、高齢者の支援ができるし、障害者の支援ができるという形に、地域共生に向けた包括的な支援にしていたほうが、限られた人材資源の有効活用という面で良いのではないかと思います。
それから医療保険について、4ページで、全世代型と考えると後期高齢者医療支援金の5対4対1の拠出金の在り方、ずっと課題であると思っていますので、今回初めてそこに記載があってとてもよかったと思います。
ただ、厳密には5対4対1ではなくて、後期高齢者支援金は恐らく4より多くなっていると思います。後期高齢者支援金での現役並み所得の人の扱いや人口按分等により、結果として現役世代との格差はより拡大していることになりますので、45ページにあるような一人当たりの保険料、後期高齢者支援金の伸びに差が出てくると思います。ただ、書類上の、44ページの図であるとミスリーディングされる可能性があるかと個人的に思います。左側ですと、これは細かいので、後で別に連絡させていただきます。国民に分かりやすくというところですと、これは少し分かりづらい、右側の加入者数は前期高齢者の加入者数ですし、全国平均に比べてどうかというところですし、左側のところも、支援金のところに総報酬割が入っているので、間違ってはないのですが、見せ方としてミスリーディングされるかと思いました。
それから、前期高齢者に関しては、非正規労働の適用拡大と前期高齢者の就労参加が増えてくると、実質的には空洞化する可能性があると思います。制度としてはあっても、空洞化していく可能性があるので、先ほどから後期高齢者と同じように総報酬割にするという意見がありましたが、報酬に応じた設計にすることには賛成ですが、総報酬割というよりは、マイナンバーカードが普及してくると所得捕捉が可能になってくると思いますので、報酬に応じて自動的に設計していくほうが、よりシンプルで、コストがかからないのではないかと思います。そうした意味では、標準報酬月額は今区分がありますが、あれも過去の経緯でできているものですが、細かな区分に意義はなくて、報酬に応じて自然に上昇するような仕組みにしたほうがコストもかからず、DXの時代には良いのではないかと思います。
それから、45ページの介護保険のように最初から人口構成変化に耐え得る制度設計をすべきというのは、まさにそのとおりであると思います。ですから、被用者保険者間の格差是正も必要であると思いますが、やり方については、前期高齢者医療制度においては、先ほど言いました総報酬割の形にすると、細かいことですが、複雑になるのではないかというところがあります。後期高齢者医療制度は、介護保険のような形にしていくほうが、よりやりやすいのではないかと思います。
医療提供体制について、これまでも何度もお話ししていますが、地域医療構想、地域包括ケアは非常に重要ですし、かかりつけ医機能の実装をするための制度化、法律上で明確に位置づけることは、是非やっていただきたいと思います。資源分散している医療提供体制が2040年でも持続するためには、本当に必要なことであると思います。ただ、人材養成であるとか、これからの診療報酬、あるいは選択をどうするかとか、ここの部分の細かいところの議論は必要であると思いますので、そこは詰めたほうが良いと思います。67ページの図で、医療機能情報提供制度とありますが、今ある情報だけで、かかりつけ医を選択するのは非常に難しいと思います。もう少し、マイナカード、オンライン診療も含めてDXの全体の中で、こうしたものを見直していくほうが良いのではないかと思います。
それから最後、77ページの国民健康保険の保険者努力支援制度。これは国民健康保険法の改正で導入されたものですが、その際、医療費適正化に向けた取組を支援するということで、かつ、後期高齢者の総報酬割の全面導入と同時に導入されています。被用者保険の人たちからすると、総報酬割になったことで、ある程度浮いたお金、つまり公費が国民健康保険に回ってきたという経緯を考えますと、公費である交付金の有効活用はより重要であると思います。交付金の取組状況の達成の指標ですが、医療費の適正化につながるものであるとか、あるいは保健事業の費用対効果とか、エビデンスベースになっているかとか、実効力のあるものを入れるほうが良いのではないかと思います。
すみません、先ほど最後と言いましたが、本当に最後で、これで終わりにします。介護でケアマネジメント利用者負担導入について。これは今までも何度もずっと財審の資料で見てきていますが、進まないのは何がネックなのかを、もう少し分析をして進めていくほうが良いのではないかと思います。介護事業の効率化を進めるためにも、業務の効率化と経営の大規模化は重要であると思いますし、このところも含めて見ていただければ良いのではないかと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、会場にまた戻ります。続いて、大槻委員、お願いします。
〔大槻委員〕ありがとうございます。今回秋ということで、予算に関してということですが、そもそもこの分野は、今日も御指摘いただいているとおり社会全体の変革の基盤ということで、是非大規模な改革の礎をつくっていただきたいと思います。今回の資料も、先ほど来、皆様から御指摘があるように、結構踏み込んだ案も出ていると認識していますが、それらも含めて、全面的に賛同したいと思います。
その中で医療と雇用について、少しだけコメントさせていただければと思います。医療については、先ほど、末澤委員からでしたでしょうか、全体の増加、これはある程度は、当面、不可避ということでしょうが、その中で効率化とそれからアンバランス、アンフェアネスの是正ということは不可避であると思います。
その基盤となるための情報開示ですが、74ページ目にいただいていますが、一般的な企業で考えても、今いただいているものだけでは、恐らくそうしたことを適正化、是正することには、やはり十分ではないと思われますので、一人当たりあるいは病床当たりなどの情報開示の充実は一層促していただきたいと思います。
それから、51ページ目にありますように、河村委員からも御指摘ありました、国立病院等の経営状況です。確かに、これまでのところのコロナ支援というのはやむを得ないところもありましたし、今後も続くので、積立金を、全く不必要とは言わないまでも、もともとの補助金の趣旨からいって、それに照らしたときに削ることができるものがあれば、それ以外の予算との関係も考えれば、現状の仕組みですと令和6年度以降の返納になるということを伺っていますが、これについては早期に返納を促すなどの考え方もあって良いのではないかと思います。
それから、雇用保険についてでございます。これは、やはり大きく転換する必要があると強く感じるところでありまして、ここでも書いていただいているとおり、今まではどうやって雇用を減らさないかという視点だったのに対して、これからは社会全体の成長及び個人に重点を置いた施策に転換すべきであると思います。
その一環でやはり気になるのは、近年増加しているフリーランスの生産性ということは、米国との比較においても、低い傾向があるという話もありますし、しかも今後もフリーランスで働く人は一層増加することが見込まれている中で、教育支援は一層注力をすべきであると思います。
私自身もMBA等で教えていますが、ただ、フリーランスの方はやはりほとんどいらっしゃらない、非常に少ないです。今後の成長に欠かせない、成長の基盤でもありますので、人的資源、資本の拡充を働き方に中立な形で行っていただきたい。それについては、資金面だけでなく制度的な面についても、何らかの変革が必要かと思っております。今後の新たな格差を生まないため、そして人的資本の拡充のためにも、ここについての抜本的な改革を望みたいところです。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、宮島委員、お願いします。
〔宮島委員〕ありがとうございます。まず、補正予算、経済対策の規模感というお話が先ほど神子田委員から出ましたので、政治の方々に私も少しかぶせたいと思うのですが、確かに、政治の理解としては、規模感が出ると、安心感を得るという理解かもしれません。でも、経済対策が発表された日に解説をしたところ、20代や30代の何人からも、自分たちはどうなってしまうのだろうという声がありました。今、円安もあって、若い人が海外に出ていってしまう、労働力が出ていってしまうという心配もありますし、そもそも将来の不安そのものが少子化を招いているという部分があると思いますので、若い世代のそうした不安にもしっかり目を向けていただきたいと思います。
コロナ対応ですが、この巨額な支援は、こんなにかけるのかと思いながらも、緊急対応でやむを得ないということで、みんな理解してきました。今はもう緊急を超えている、いわゆる緊急のところ、分からない事態は越えていると思いますので、短期的なお金というよりは、持続的な制度などで、しっかり対応をしていただきたいと思います。やはり今なぜワクチンを打ってもらうのに、ほかの国よりこんなにお金がかかるのか、実効性がはっきりしない、ばらつきがある病床をキープするのに、こんなに必要なのか、一部の医療関係者の方々の努力には非常に感謝していますが、全体としては、制度整備などでできる部分と、補助金をしっかり入れなければいけない部分の厳しい選別が必要だったと思います。タスクシフトですとか地域での連携強化、あるいはかかりつけ医を制度化することなどを進めて、そして、特例措置に関しては、成果をしっかり確認して、抜本的に見直していくべきであると思います。
それで、この先、高齢者増で医療費は本当に膨らんでいますので、これで日本は沈んでしまうのではないかという不安を持たせないでいただきたいですし、コロナ補助金自体、会計検査院からも問題の指摘がありまして、この辺りもきちんとチェックして、特別扱いからは脱する必要があると思います。
そして、こども・子育てですが、31ページや32ページに、丁寧に施策を御説明いただきまして、どうもありがとうございます。やはり、子育て支援がほかの政策と違うのは、成果を出せる世代が限られていて、かつ、その世代がどのように受け止めて、どのような気持ちでいるかということに、かなり成果が左右されてしまうと思うので、打ち出しというのは非常に重要で、しっかり応援しているということを明確に伝える必要があると思います。
その意味では、今回の新生児の10万円給付、これは母親たちのSNSなどを見ると、お金がかかるのは産まれたときではないのだよとか、いろいろな不安も聞かれましたが、自治体のネウボラで、ずっとその後も寄り添っていくのだよというメッセージと一緒に打ち出されたということは、とてもよかったと思います。せっかくやっていることが、ネガに伝わらないということが重要なので、特に子育て支援はその打ち出し方や説明の仕方が大事なのではないかと思います。
1例として、児童手当についてですが、これはかねてより打ち出し方の心配をお伝えしてきました。世帯合算は、政策の不公平さでは全く正しいと思うのですが、当事者の立場になりますと、これは明確に共働きに不利になる変更に効くと思います。雇用環境が厳しい中で、子育てと仕事を頑張ろうとすると、児童手当がなくなるのだねと。女性活躍するというのはうそではないか、こんなに大変なのにやってられない。そうした声が大変あります。ですので、とはいえ最近共働きが相当増えてきたことと、この前10万円給付のときに、世帯合算でないと不公平であるという声が、世の中でも今までよりは膨らんできたので、ここに来て世帯合算の議論ができる、それを受け入れる土壌は少しできてきたかと思います。
ただ、それでも、夫が一人で1,000万円稼ぐ世帯と、夫婦が500万円ずつの世帯というのは、恐らく生活ぶりが相当違うと思いますので、例えば高等教育の補助金同様に傾斜をつけるとか、当事者がどのような状態かということをできるだけ丁寧に見て、女性活躍とかほかの政策と逆行しない、うまい議論の進め方ができると良いかと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、秋池委員、お願いします。
〔秋池委員〕社会保障は、持続可能性があることが、安心して生活をしたり、それから家計を組立てたり、子供たちを育てたりするために、非常に重要です。そうした中で、多くの委員からも議論があったところですが、金額と内容についてどう考えていくかということで一つ、それからもう一つで2点申し上げたいと思います。
まず、予算の中には、費用のような類いの予算と、投資のような類いの予算があると思います。ビジネスの世界と公的なものは必ずしも同一視することはできないのですが、効果を見ていくことについて、もし費用的なものであれば、その使い方や量の適正さを求めることが必要になると思いますし、投資的なものであれば、成果の出るレベルまで配分する必要があると思います。大きければよいということではなくて、必要十分であるという意味ですが、そのように配分しながら、同時に、投資であれば、成果が出ることもあれば、うまくいかないこともあるわけで、不断にその効果を検証していく必要があると考えています。
そうした観点で、本日出てきたような少子化対策は、この国にとって非常に重要な政策であると思います。そうした辺りも含めて、よく見ていく必要が、そこを分けて考えて見るという視点も必要なのではないか。もちろん、それだけではないのですが、その視点も必要ではないかと思います。
それから二つ目ですが、緊急時からウイズコロナの切替えですが、いつそれを実行するのかという具体化につきましては、早急に取り組むべきであると思いますし、それから、まだコロナ禍が続いている中ではありますが、次にこのようなことが起こったときに備えて、今回の学びを整理しておく必要があると思います。そのように検証することが同時にまた、足もとのウイズコロナへの切替えの考え方の役に立つこともあるのではないかと考えております。
それから、先ほど言いそびれましたが、費用の部分、1点目に申し上げたところですが、やはりお金だけではなくて、仕組みとともにその成果を大きくしていくという観点も含めての取組と考えております。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、吉川委員、お願いします。
〔吉川委員〕ありがとうございます。資料、3ページを見ていまして、確かに08年、これは福田内閣のときですが、社会保障国民会議以来、現在の構築会議まで、三つの会議ですか、随分考え方が整理されてきていると思います。政治家の方ですと、08年に先駆けて小泉内閣、小泉総理もこうした問題意識を強く持たれていたと考えていますが、その後、福田総理、あるいは亡くなられましたが与謝野大臣、民主党政権でも、野田総理等々、政治家の方々がしっかりリーダーシップを発揮されて、3ページにあるような考え方が整理されてきていると思います。
少子高齢化の下で、社会保障の大きな制度改革が必要であるということで、また、その詳細、本当の詳細はともかく、それなりに立ち入った制度改革については、3ページの資料にあるような会議で、かなり整理されてきていると私は思います。本日の資料でも、そうしたことがいろいろ書かれていると思います。
そうした中で、2年前2020年にコロナ禍に見舞われて、コロナですので、新型コロナということで、改革が必要である医療制度が大変大きなディスターバンスに見舞われたということであると思います。
申し上げたいことは、やはり頭を整理して、3ページにあるような大きな制度改革がやはり一番大事であると私は思います。コロナ禍については、もちろん大事でないとは言わないですが、初めての経験ということで、日本だけではない世界中で大変いろいろな試行錯誤をする中で、現状、準平時に戻りつつあるというのが実情ではないでしょうか。
そうした下で、繰り返しになりますが、3ページにあるような大きな制度改革をしっかりやる。どうしてもコロナ禍の影響を今も非常に強く受けていると言わざるを得ない。その影響を無視してよいとは、もちろん申し上げてないのですが、やはりそれは一時的であるということはしっかりと認識した上で、繰り返し言っているわけですが、3ページにあるような大きな制度改革を粛々と進めていくことが何よりも大切であると思います。
コロナ禍への対応は一時的ということで、手じまいすべきところはしっかり手じまいをして、それが大きな制度改革のディスターバンスになるようなことがあってはならない。政府がいろいろな役割を果たさなくてはいけない、ワイズスペンディングということも、この会議でもよく言うのですが、社会保障の改革こそは、地方も含めて政府にしかできないわけですから、まさに政府の仕事の一丁目一番地であると考えて、しっかりと進めていただきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕時間がほぼ来ているのですが、事務局から少し質問に返事していただきたいのと、それから政務の方にも一言ずつコメントいただきますので、オンラインで今二人の方がまだ登録があるのですが、すみません、ごく手短にお願いしたいと思います。十河委員と赤井委員です。
それでは、十河委員から、どうぞ御発言ください。
〔十河委員〕十河です。では手短に。今回の資料、大変分かりやすく、詳しく、深く理解できました。どうもありがとうございました。
その上で、こども・子育ての部分におきまして、先ほど大槻委員も触れられておりましたが、フリーランスの処遇という部分に関しまして、私の仕事柄、周辺に多くのフリーの方がおります。そうした方を見ておりますと条件的に厳しいことが多く、子育てに関しましてもフリーランスへの処遇を改善していただけたらと思いました。
それから、少子化の加速については本当に深刻に感じておりまして、非正規雇用の処遇を改善していく必要が今こそあるのではないか。根底にあるものが、そこにあるのではないかと感じました。
それから、医療につきましては、2025年が後期高齢者のピークに達すると言われておりまして、そうした中で進まないかかりつけ医の制度整備は、待ったなしではないかと思っておりますのと、地域医療構想に関しましては、先ほど田近委員からもお話ございましたように、私としても、どうしてここまで進まないかということに関して、もう少し状況を知りたいと思いました。
そして最後に、やはりデジタルの推進こそ、この状況の中において、強く進めていく必要があるということを感じました。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、赤井委員です。お願いします。
〔赤井委員〕ありがとうございます。赤井です。
大きい話だけこだわって、総論のところでウイズコロナへの移行と全世代型の制度改革というお話がありまして、まさにそのとおりで、全世代で負担するという議論をやはり高めていかないといけないと思います。制度の拡充には負担が伴うということ、そこを徹底する。
本日も細かいところで議論されているように能力別の負担の在り方も十分議論していく、そちらの方向は正しいと思うのですが、能力ある人が払えば大丈夫であるという感じにならないように、やはり国民全体でそれを負担して、その中で垂直的公平性、全体の公平性と垂直的公平性のバランス、そうした議論を深めていく必要があるのかと思います。
それから12ページで改正案が議論されていますが、これは制度をつくっていくところであると思うのですが、財政面で、このような制度とともに、財政面で今後同じようなことが起きたときに効率的、効果的な財政対応の在り方、この制度とともに財政のところをどのようにするのか、16ページに補助金の話とか、あと49ページ、51ページに結果として医療機関の利益が出ているという話もありましたが、コロナが広がるときから出口まで、財政的にどのように対応するのが望ましいのかも振り返って、改正案の審議とともに、財政をそのときどのように出していくのか、先ほど、秋池さんも言われたように、事前に財政面でもどのような準備ができるのか、どのような制度をつくっておくのが望ましいのか、その検討も進めておくのも大事かと思いました。
以上です。ありがとうございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、皆様からの御意見はここまでとさせていただきます。
それでは、初めに大沢主計官から、質問も幾つかありましたので、お願いします。
〔大沢主計官〕多く出た質問に絞ってお答えをさせていただきます。
まず、資料のほう61ページを御覧ください。地域医療構想、かかりつけ医、多く御質問いただきました。まさに医療は何割負担とか保険料率、お金の持ち合いの議論が多いわけでございますが、やはりサービス提供の在り方そのものを見直していくということは大変大事かと思います。その中で、61ページの図にありますように、患者にとって、取り巻く環境として、緑のところの病院の役割分担は一応地域医療構想というものが、法律上も位置づけられております。また、オレンジの介護のところ、これは地域包括ケアということで位置づけられております。一番身近な診療所や中小病院、外来の部分がまさにこの点線の部分でございまして、ここが法律の規定がないわけでございますので、ここの制度整備、岸田総理からも御指示ございましたので、今具体化に向けて制度の検討を進めているところでございます。これがまさに次の感染症への対策にもなろうかと思っております。
続きまして、23ページ目を御覧いただきたいのですが、日本の製薬業界の問題点について、中空さん、それから堀先生からも御指摘ございましたが、特に国産ワクチンがないということを非常に、これまで御指摘いただきましたが、世界のワクチン市場は実は欧米の4社、完全な独占状態にあるわけでございます。右下の表を御覧いただきますと、やはり黄色の部分の、日本の製薬会社と海外の製薬会社は、1桁ぐらい、売上げ、企業規模が違うわけでございますので、まさにこうしたグローバル市場における企業規模の問題を、どうしていくかということを考えないと、根本的な解決にはならないのかと考えております。
続きまして、81ページ目ですが、介護の問題、多くの先生方から御指摘をいただきました。個別の改正項目、もちろん検討を進めていきたいと思いますが、大きく申し上げて、やはり今後、81ページの左下のグラフにございますように、75歳以上のみならず、85歳以上の方々の人口が増えていくわけでございます。そうしますと、年齢に従って要介護者の割合がどんどん増えてまいります。したがいまして、明らかに医療に比べても今後深刻な問題になってまいりますので、できるうちに、これは3年に1回しかチャンスがございませんので、手直しをしていくことが大事かと思っております。
最後に見える化でございますが、76ページ目を御覧ください。実は社会福祉法人につきましては、かなり見える化が進んでおります。実は個別の法人ごとにインターネットで、76ページ目のようなフォーマットで、各理事、職員の一人当たりの報酬が分かるような形で見える化が進んでおります。この中で医療機関につきましても、現在、厚労省の検討会でなかなか様々な意見が出ているようでございますが、可能な限りの見える化を進めるべきであると考えております。
私からは以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、端本主計官からお願いします。
〔端本主計官〕端本でございます。こども・子育ての関係で4点ほど申し上げたいと思います。
まず、資料の30ページですが、複数の委員から包括的な支援が必要であるという御意見いただきました。ここにまさにありますとおり、将来の展望をつくる、それから様々な支援をしていくということに加えまして、右側の3、4にありますとおり、地域の実情に応じたきめ細かな取組、あるいは温かい社会をつくっていく、こうした包括的な取組が必要であると考えております。
こうした中で今回は財政制度に関連するという視点から、1、2について問題提起させていただいたわけです。そうした中でも雇用を制度的にしっかりとしたものにしていく、雇用の安定を確保していくことは極めて重要であると思っておりますので、そうした点に配意しながら進めていきたいと思っております。
それから続きまして、2点目ですが、0~2歳の支援で35ページです。これも時間の関係であまり詳しく御説明できませんでしたが、右側の支援策を見ていただきますと、下から三つ目に、短時間労働者等も含め、育児休業等から切れ目なく保育を利用しやすくするための方策ということがあります。問題意識としましては、やはり保育園がなかなか入れないのではないかということで、無理して、ゼロ歳のときから保育園を利用しているという声も聞きます。ですので、こうした予約制のようなものを導入することで、無理に保育所に預けるようなことを防いでいこうということで、問題意識としては、複数の委員から御指摘いただきましたとおり、0~2歳のところは、家庭中心に育っていただくことが良いのではないかという御意見も踏まえて、こうしたことを検討しているということでございます。
それから、フリーランスの話も一番下にございます。現行の育児休業給付制度がカバーしない層への支援ということで、これも全世代型社会保障構築会議での検討課題となっているということでございます。
それから、現金にウエートが高過ぎるのではないかという点については、この上にあります。これは宮島委員から御指摘いただきましたが、今回の10万円の経済的支援は伴走型相談支援とセットで自治体にやっていただくということでございます。
それから3点目として、政策効果ですが、これは、すみません、参考資料を開けますでしょうか。参考資料の17ページです。右下の「妻の最終学歴別出生子ども数」を見ていただきますと、2015年から2021年にかけて、大卒以上の学歴の方については、出生率の向上が見られるということでございます。
2013年以降、消費税率の引上げに伴う保育所の受皿拡大、あるいは様々な育児休業を取りやすくする制度改正等々が効いていると考えることができるのではないかと考えております。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、最後に補正予算について、委員からお話がございましたので、副大臣、政務官から一言ずつコメントを頂戴できればと思います。
それでは、副大臣、よろしくお願いいたします。
〔秋野副大臣〕今日は財審の委員の先生方には、これまでも適切な御指導を仰いでまいりましたが、感謝申し上げるとともに、財務省がいかに先生方に支えられているかといったことも、今日痛感した次第です。
今日は社会保障の熱い議論があって、さらに積み残した課題が多く出てきましたので、さらに熱く御議論をいただきまして、財政規律とか公平性といった責任ある議論をしていただいた上で、補正予算のお話もいただいたところですので、少しコメントをしたいと思います。
報道等では25億とか29億とか積み上がる過程をほとんど無視したような形で、報道が非常に、振り返るものも、とても多かったかと思います。私の立場で申し上げるならば、額ありきという議論では、決して、そんな認識はありません。どこまでも、当初予算を編成するときに想定し得なかった、そうしたことに対して、どう対応するのか。もちろんしないという対応もあり得るわけですが、今後、想定し得る場面に対して、どう備えるかといったような形を一つ一つ積み上げていきながら、その結果が今回の補正の額かと受け止めています。
出産前の給付についても、御評価をいただきましたが、補正だからこそ合意形成することができたのではないかといったようなところもあろうかと思いますが、財審の先生方が信頼する職員のみんなが一つ一つ積み上げた結果が、こうした形になったということで受け止めていただきますれば、幸いです。
AMEDについても御指摘がありました。AMEDも補正ばかりですので、在り方についてはいろいろ検討する必要もあるかと思いましたが、アウトカムオリエンテッドであるというのはもう本当に御指摘のとおりでして、渡し切りで、後どのような成果が出るかさっぱり分からないような状況では困るということだろうと思います。
だから、逆に厚労省のワクチン開発の支援の、まだ未執行の部分が多いというのも、しっかりと目利きをかけてやっている証拠かもしれませんし、そうしたことを続けていくと、やはり額としては大きくなる部分も仕方がないところかとも思ったりもいたしました。財務省が、アウトカムが出るように編成をするというのは、間違いなく財務省の責任ですが、編成して執行するに当たり、そこでも最大化する、アウトカムが最大化するように働きかけていくというのも、私たちの役目かと受け止めておりますので、どうかそうした観点でも、引き続き、御指導を仰ぐことができればと思っている次第です。
重ねて、本格的な御議論、御指導に心から御礼を申し上げます。今日はありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕どうも、秋野副大臣、ありがとうございました。
それでは、井上副大臣、どうぞお願いします。
〔井上副大臣〕本日は財審の先生方、本当に様々な御意見ありがとうございます。私も補佐官、政務官、そして副大臣と、3回、財務省に来させていただいて、財審の皆様方の本当に国に対する憂いと、このままで良いのかということを、その時代時代に合わせて御議論いただいて、御教示をいただいていることに本当に感謝申し上げたいと思いますし、それが具体的に、形になかなかなってない部分もあろうかと思いますが、何とかこの国を再生するために努力を続けていきたいと思います。
一つ事例を挙げて、やらせていただきたいと思います。昨日から、福岡市は市長選挙が始まりました。高島宗一郎です。3期終わりまして、12年やらせていただきました。そして4期目の選挙になったわけですが、私も衆議院ならせていただいて10年、高島と、アベノミクスと言われているもののモデル都市を確立させなければいけない、国家戦略特区を受けた地域です。その中で、これが福岡で成功しなければ、私も国会議員をやめるぐらいの腹づもりで、この10年やらせていただきましたし、その果実をもって、福岡は、当時147万人だった人口で880キロも東京から離れた地域で、人口は増えるわけない。これから、税収も増えるわけない、人が減る一方であるということを言われていた時代でありました。そうした状況下から、今では、毎年1万5,000人の人口が増えて、162万人を超えております。これは天神ビッグバン、それから博多コネクテッドという、容積率の緩和をやらせていただいたことも一つ大きかったと思いますが、これは税金はかかっておりません。消しゴムで消して容積率を緩和させて、鉛筆で書いただけです、極端に言えば。ですが、そのことによって、天神は70棟が建て替わります、ビルが。それで博多駅周辺は20棟が建て替わって、合計で100棟近くのビルが建て替わると思います。東京は、DXに対応できるビルが、どんどん建て替わっております。だからこそ一極集中していくわけです。これから、DXやIoTに対応することができるビルでないと、企業は、そこに本社や支店や、そして、集中機能を持たせることはできないと思います。そうした中では、福岡は、今、高さ制限解除をすることによって、ビルが、今、10年前からどんどんビルを建て替わらせていただいている最中です。
地方税でいうと、固定資産税、それから住民税、法人2税です。その収入も、人口が増えることによって、そして、ビルが建て替わることによって、固定資産税も、土地の値段も上がり、そして固定資産税税収も多くなっています。住民が1万5,000人ずつ増えることによって、住民税も収益は増えています。そのことによって、社会保障や子供たちにかける費用ができてきています。
私は、福岡市は当時のアベノミクスのモデル都市であると思っていまして、この都市で成功させなければ、成功させることで、全国を同じような仕掛けをすることによって成功させることは私は不可能ではないと思っていまして、私たちの世代、私はちょうど60ですが、私たちの世代が、バブルの頃や、1989年のバブルの絶頂期をサラリーマンで迎えて恩恵を被った最後の世代であると思っています。今の若い人たちは、給与が30年間上がらずに、今やっと少しずつ上げていただける環境をつくっていくことができるようになってまいりましたが、景気が良いという状況を肌で感じたことが全くない世代が、今の世代であると思っています。ですからこそ、その世代が、やはり日本に住んでよかった、日本で働いてよかったという環境をつくるためにも、何とか、行財政改革は絶対成功させなければいけないと思います。
皆様方が、本当に御意見をいただいたことが間違いなく反映できるように、我々も努力していきたいと思います。
そうした中で、先ほど御意見が出たことで、コロナが始まったときに、やはり、出口はこうするのであるということを、我々は明確に提案しておくべきだったと思います。コロナが始まったときに、どのくらいの対策を打って、そして、出口はここです。それが長くなれば、それを延長すれよいいわけですが、ここで切りますよということを明確にしてやっておく必要はあったのだろう、それは私は反省しております。
それと、今回のコロナのことで、サプライチェーンが本当に確立されてなかった、日本の中に残ってなかったということを再認識しました。もう一度、国と地方の在り方、地方行政の在り方、やはり国で、全体の税収の中で、国が使う分、それから地方が使う分という部分を、もう一度検討しなければいけませんし、それから、令和の市町村合併も、これから税収が増えてどうしても行政サービスができないところは、合併を考えていく、もう一度、令和の市町村合併も検討することは必要なのではないかと思います。
それと、今回、コロナだけではなくて、ウクライナ侵攻がありました。このことは非常に予断を許さない状況で、我々もそれに対しては、対処しなければいけない予算はつけさせていただきたいと思っております。
それと行政サービスに関しては、もっとDXを進めてしておく必要はあった。これは、我々にとって、大きな課題だったと感じております。
皆様方から多くの課題をいただいて、一つ一つ確実に解決し、国民が喜んでいただけるような行政サービスをできるような国にしていきたいと思います。
本当に、御意見をいただきましたことを心から感謝申し上げます。
どうもありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕それでは、宮本政務官ですか。
〔宮本大臣政務官〕政務官の宮本でございます。委員の皆様方にはこれまでも、本当にそれぞれのお立場から、また、専門的な見地から、貴重な御意見を賜っておりますこと、この機会をお借りし心から感謝を申し上げます。
そして先ほど特に、中空委員、神子田委員、宮島委員等々から御指摘がございました、数字ありきではないのかというような言及もございました。当然、報道を見る限りでは、そう受け止められても仕方がない内容も多く含まれていると思いますが、一方で、各省庁ごとに、例えば我々与党の中でも部会というものがあり、その下にはさらに調査会があったりプロジェクトチームがあったり、個別の議論をかんかんがくがくやって積み上げてきております。我々は今、副大臣や政務官になっていますと、実は党内で発言することすら許されませんので、我々は今政府側の立場でこのことを受け止めておりますが、ただ、御指摘いただいたことを感じる国民も多いということは理解しながら、これから大切なのは、このコロナも、また、今のコストプッシュ型のインフレというか物価高基調も含めまして、あらゆる困難、また、課題を乗り越えて、日本が持続可能性を高めること、そしてその上で、将来に希望や夢が持てる、そうした新たな富を生み出すことも含めて、今回の補正予算も、また、日々御議論いただいている我が国の健全な財政を実現するための様々な事業も、結果をつくるために、我々は引き続き努めていかなければいけないと思っておりますので、今日の御意見もまたしっかりと受け止めさせていただきまして、これからの活動の中で反映させていただければと思います。
ありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕どうもありがとうございました。
それでは、本日の会議はここまでとさせていただきます。なお、会議の内容については、この後、記者会見で私から紹介いたしますので、報道関係者に、皆様方から直接お話しすることのないようお願いします。
次回ですが、11月14日、来週月曜日ですが、13時30分から、次回は歳出改革部会として行います。それから、次の分科会の日程につきましては、事務局から、また、追って連絡させていただきます。
なお、次回の歳出改革部会で、今年の秋の審議における総論各論の議論は最後となります。そしてその後、建議の議論ということになりますが、起草委員については、これまでもお願いしております小林毅委員、武田委員、田近委員、土居委員、冨田委員、中空委員、吉川委員にお願いしておりまして、先週末、11月4日の金曜日でございますが、既に1回目の起草検討委員会を開催して、議論を始めているところでございます。起草委員の皆様方にはお忙しい中恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、本日これにて閉会いたします。どうもありがとうございました。
午前11時55分閉会