財政制度等審議会財政制度分科会
議事録
財政制度等審議会財政制度分科会議事次第
令和4年5月16日(月)10:00~12:00
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)
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1.開会
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2.議題
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とりまとめに向けた審議
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3.閉会
分科会長 |
榊原定征 |
岡本財務副大臣 高村大臣政務官 水口政策立案総括審議官 茶谷主計局長 奥次長 八幡総務課長 藤﨑法規課長 園田公会計室長 吉田給与共済課長 渡邉主計官 三原主計官 福田主計官 坂口主計官 高田主計官 有利主計官 一松主計官 野村主計官 北尾主計官 渡辺主計官 今野主計企画官 山岸主計企画官 鈴木主計企画官 |
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分科会長代理 |
増田寛也 |
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委員 |
赤井伸郎 遠藤典子 佐藤主光 十河ひろ美 武田洋子 土居丈朗 中空麻奈 藤谷武史 宮島香澄 安永竜夫 芳野友子 |
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臨時委員 |
秋池玲子 上村敏之 宇南山卓 河村小百合 木村旬 熊谷亮丸 権丈英子 小林慶一郎 末澤豪謙 角和夫 竹中ナミ 田近栄治 伊達美和子 田中里沙 冨田俊基 平野信行 広瀬道明 福田慎一 別所俊一郎 堀真奈美 村岡彰敏 横田響子 吉川洋 |
午前10時00分開会
〔増田分科会長代理〕おはようございます。時間がまいりましたので、会議を始めたいと思います。お忙しい中、御出席いただきまして、ありがとうございます。
今日はクローズドの形で開催することといたしております。そして、本日は建議の取りまとめに向けて、お手元にお配りしております建議の案について御審議をいただきます。この建議案については、これまで小林毅委員、武田委員、田近委員、土居委員、冨田委員、中空委員、吉川委員に御議論いただき、取りまとめていただきました。大変ありがとうございました。
それから、建議を御覧いただきますと、建議の題名について、今、仮置きで「変化の時代の財政運営」という形にしておりますが、このほかにも、もう少し強めて、今の時代の置かれている状況をより反映させてはどうかということで、例えば、「不確実な時代の財政運営」という案や、あるいは、次の小タイトルにある「歴史の転換点における財政運営」とありますから、「歴史の転換点の財政運営」等々、これについては幾つか代替案も考えられますので、これも含めて、本日御審議いただきたい。中身と、それから、それを表す建議の題名についても御審議いただければと、このように思います。
本日の審議に先立ちまして、現時点での建議取りまとめのスケジュールを御説明いたします。
お手元に、別紙で資料があるかと思いますが、右上に「対外厳秘」と書いているものでございます。
まず、本日、これから建議の本体、概要、参考資料について御審議をいただきます。また、本日夕刻に開催される経済財政諮問会議において、鈴木大臣から、財政制度等審議会の建議の方向ということで御報告いただく予定となっております。その際に使用する資料につきましては、起草委員の皆様方に作成いただいたわけですが、お手元に配付しております1枚の資料、これを起草委員の皆様方に御議論いただいて、作成いただいておりますので、よろしく御承知をお願いしたいと思います。
それから、本日の会議終了後に、委員の皆様方から追加でコメントがある場合は、大変ショートノーティスで恐縮ですが、明日17日火曜日のお昼12時までに事務局にメールで御提出いただきたいと思います。様式は自由でございますが、明日のお昼12時厳守で、メールで御提出いただきたい。その後、本日の御議論や、書面で御提出いただく、そうした御意見、コメントを踏まえて、起草委員会におきまして改訂版を作成し、次回の分科会前に、事務局より内々に皆様方にお送りいたします。そして、次回の分科会は、来週になりますが、5月25日水曜日、14時半からを予定しておりまして、会議終了後、取りまとめられた建議を榊原会長、そして起草委員から、鈴木財務大臣へお渡しする予定と、5月25日は、そちらに書いてございますとおりトータル1時間程度で仕上げる、そして大臣に手交する。このような予定となっておりますので、この点、御了知をいただきまして、大変お忙しい中、短い期間での御確認をすることになりますが、何とぞよろしくお願いいたしたいと思います。
次に、本日の審議の進行について御説明いたします。全体を大きく二つに分けて審議したいと思います。まず、初めのパートは建議の総論、それから社会保障、そして地方財政、ここまでとして、これについて50分程度、そして後半は文教・科学技術、社会資本整備、グリーン、産業・中小企業、防衛について50分程度、大きく二つに分けて審議を進めます。委員の皆様方から御意見をいただき、起草委員の皆様方からお答えをいただく、従来と同じような形で進めたいと思います。なお、大槻委員から意見書を御提出していただいております。お手元にお配りしてございますので、お目通しいただきたいと思います。
それでは、まず、前半でございますが、総論、社会保障、地方財政について50分程度、審議を行います。該当ページは今日の建議案の1ページ目から73ページ目、この部分でございます。やり方は、会場にいらっしゃる方はネームプレートを立てて、それからテレビ会議システムの方は挙手するボタンのクリックで合図をしていただく。それから、いつもながら恐縮でございますが、御発言は2分以内で、できるだけ多くの方に、この場で御意見を頂戴したい、会場から5名程度、テレビ会議システムから5名程度、この繰り返しで指名をさせていただきたいと思います。会場ではマイクをオンに、それから終わりまして、オフに。できればマスクを外していただいたほうが、クリアに聞こえるかと思います。テレビ会議システムの方は、忘れずにミュートを解除して御発言いただいて、ミュートに戻す。これでお願いしたいと思います。
それでは、前半の部分について、以下、合図をしていただきたいと思いますので、会場の皆様方からどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、早速でございますが、木村委員から、順次、私から見て右側に進めていきます。
それでは、木村委員、どうぞお願いします。
〔木村委員〕どうもありがとうございます。大変立派な建議案をまとめていただいた起草委員の先生方、並びに事務局の方、どうもありがとうございました。
タイトルを含めてすごく時宜を得た内容が多いと思います。特にタイトル、「変化の時代の財政運営」、ウクライナ危機とかあるいはインフレとか、そのように時代は大きく変わっているという意味で、「変化の時代」というのはふさわしいと思いますが、より踏み込んで、「歴史の転換点における財政運営」のほうが全体のタイトルとしては、よりふさわしいのではないか。それこそ、インフレで金利も上昇する傾向にありますし、変化というのは常に、どの時代でもあることですが、より歴史的な転換点であるという意味において、なおかつ金利は上昇して、財政規律をより重視しなければならない時代であるということを言う意味において、「歴史の転換点における財政運営」のほうが、全体のタイトルとしてはふさわしいのではないかと感じました。
それから総論、10ページの、規模ありきの議論から脱却する必要があると強調されたということも、大事な点であると思いました。建議案では、規模が大きいほど効果が大きいという考え方が強調されて、持続可能な財政運営や、支出の内容とその具体的な効果への視点が後回しにされたと。さらに、財政支出の規模だけ大きくしても、経済成長力は高まらないとおっしゃったのは、まさにそのとおりであると思います。
総理は分配重視を打ち出されていますが、分配イコールバラマキではない。非効率な予算の使い方をしていたら、総理の掲げる成長と分配の好循環がかえって遠のいてしまうのではないかという意味においても、この認識は大事であると思います。
その観点から、もし見落としてなければですが、予備費が大幅に増額されていますが、これについても建議で触れてもよいのではないかという気がしました。確かにコロナで機動的な対応が必要になって、一定の予備費を確保することはやむを得ないかもしれませんが、政府が今回決める補正予算案は、多額の予備費をまた補充するということで、それが予備費の使途の目的がなし崩しに拡大されて、財政規律をより緩ませるおそれがあるので、何らかくぎを刺しておくこともあってよいのではないかと考えますが、御判断はお任せします。
それからもう1点、気になる点、私の気の回し過ぎかもしれませんが、総論1ページに、「有事の際に我が国が円滑に資金調達をできるよう、財政の対応余力を持っておく必要性がこれまで以上に高まっている。」という記述がございまして、確かに様々な緊急事態に備えて、平時に財政健全化を進めておくことは必要ですし、その直前に、緊迫化した安全保障環境とか南海トラフ地震とか、首都直下型地震、新たな感染症も含めて、それぞれのリスクに必要な準備を行わなければならないとあるので、この有事というのが安全保障だけではなくて大規模災害とかパンデミックも含まれていると分かるのですが、通常、一般の人にとって災害とか感染症はあまり有事とは言わない。通常、有事というと安全保障とか軍事行動とかを思い浮かべるので、平時と対照的な意味で有事としたのかもしれないですが、有事というと安全保障とか軍事行動に備えるために財政健全化が必要というふうに誤解されないか。それこそ財政健全化というのは、将来世代に無責任にツケを残さないというのが主要な目的であるのですが、それこそ概要も今回示されていますが、そこは有事の中身というのはあまり詳しく説明されてないし、一般の国民の方は概要しか読まないので、有事というのが誤解されかねないか、有事を別な表現に言い換えるとか、何かしらの工夫は御検討いただけないかということです。これも御判断はお任せします。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、続きまして、横田委員お願いします。
〔横田委員〕まず起草委員の皆様、ありがとうございました。
転換点ということで、大前提がしっかり丁寧に書かれている点が非常に良いと思いました。大前提というのは、例えば債務残高の要因だったり、人口減だったり、歴史の振り返りだったり、こうしたときだからこそ、きちんと記載をしていく、非常に丁寧で平たく分かりやすい内容であると思っております。
さらに、諸外国の財政健全化の目標の状況を列挙している点も、諸外国との差が非常によく分かりやすいかと思います。
また、広報に関する点も、昨年の秋の建議の際、多くの委員の方々から若者への広報が重要であるということで上がっていた点が盛り込まれており、広報に加え、教育の部分も含めてくださっているのは非常に良いかと思っております。
その上で、幾つか気になる点をお伝えさせていただきます。
まず、8ページ目の人口増加率に関する説明です。諸外国と比べて人口増加率が低いというのは分かるのですが、人口減が数字として分かりやすく例えば二千何十年における人口予測まで書いてもよいのではないかと思った次第です。
次に、12ページの22行目、地方創生臨時交付金に関するところで、小規模団体は、地方公共団体のことであると文脈で分かるのですが、小規模地方公共団体と明記したほうが分かりやすいと思います。
さらに、同じページの12行目前後です。医療体制強化のところで16兆円を国費として投じたというところの次に、中小企業関連とか企業・雇用に関するところが並んでおり同様に規模をまとめて記載はできないのでしょうか。「規模ありきからの脱却」という言葉があり迷うところですありますが、企業や雇用を支えるために、足し上げると、45兆円以上でしょうか。医療は16兆円、企業・雇用を存続させるためには、何十兆円使って、失業率、倒産件数ともに低い水準にとどめているものの、弊害も出てきているのではないかというものがあった上で、個別の雇用政策支援のために幾ら幾らというのが並んだほうが良いかと個人的には思っております。
次、20ページ目、これは感想だけです。医療機関の経営状況の「見える化」に関するところ、ずっとここ長らく何回も何回も、取りまとめていただいた中に記載いただいている中で、今回医療機関コードに関する記載がなされて、データを基に分析していくのだという姿勢で、もう一歩踏み込んだ記載がされているのは非常にうれしいと感じました。ここは感想のみとなります。
最後に細かな点ですが、53ページの介護・障害のところが、介護・障害となっているのですが、以前までは介護・障害・福祉まで書いていたと思いますので福祉まで記載が望ましいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、続いて、佐藤委員、どうぞお願いします。
〔佐藤委員〕よろしくお願いいたします。起草委員の皆様方、お疲れさまでした。
タイトルですが、私はセンスが良いか悪いかあまり自信がないのですが、「岐路に立つ」というのもあるかと、岐路、つまり選択肢です。今、まさに政治は積極財政か財政再建かに分裂しているわけなので、そうした意味において我々は今選択に迫られているという観点から見れば、「岐路」という言葉もあるかと思いました。
それからもう一つ、全体的なことですが、すみません、社会保障が重要なのは分かるのですが、すごく分厚くて、ほかの分野に比べてバランスがどうか。私、学生の修士論文の指導をするとき、こうしたことをよく言うものですから。各章ある程度バランスが良くないと、どうかというのは、どうしようもないのですが、一つ感想です。
それから、総論についてですが、先ほど木村委員からも御指摘がありましたが、予備費についてもやはり指摘されたほうが良いと思います。最近、予算単年度主義の弊害ということを標榜しながら、結局、補正予算を組んだり、巨額な予算、予備費を計上したり、あとはもちろん基金を立ち上げたりということになって、予算単年度主義の弊害を是正するのは悪いことではないのですが、その手法として、このやり方でよいのかということはやはり、逆に言うと、規律を損なっていませんかということは問われるべきであると思いますので、やはり補正予算、予備費それから基金というのは、ある意味3点セットとして考えられたほうが良いのかと思いました。
また、まさに今岸田政権は分配政策を重視していますが、ここは恐らく規模ありきのところに関わると思うのですが、やはり分配は構造的な問題、格差というのは構造的な問題ですから、構造的な問題に対する分配というのは経常的な政策なので、経常的政策に対しては持続可能な財源が必要である。まさか、これを赤字出してやりませんよねということ、景気対策をやっているわけではないので。ですから、やはり分配政策に対しては、きちんと継続的な財源を求めるべきということはあってよいと思いました。
社会保障についてですが、今回は春なので、どちらかというと中長期的な観点ということであれば、診療報酬制度にもう少し踏み込んでよいのかと思って、38ページで、診療報酬についてストラクチャー評価という話の指摘がありましたが、やはりもう少し診療報酬の包括化、これは外来などを念頭に包括化、それから入院などを考えるとアウトカム評価に対する転換というのはあってよいのかと思いました。
もう一つ、中長期的な課題として、今回のコロナでもよく分かったのは、低所得者の所得が分からないということです。ですので、低所得者、支援するためには誰が困っているかが分からないとどうにもならないわけで、この国はそれが分からないから、こうしたことになっているので、やはり低所得者の迅速な所得捕捉はどうしたらよいのか。それはもちろん、資産の捕捉、銀行口座の資産の捕捉にも関わってくる議論に最終的にはなるのですが、そうした視点があってよいかと思いました。
また、テクニカルなことで、すみません、29ページで「現行の社会保障関係費の規律」とあるのですが、恐らく自然増、社会保障費の伸びを抑える、5,000億とか自然増の枠の中に収めるという話かと思ったのですが、唐突に出てきたので、これは何か説明があってよいかと思います。
また、地方財政が少ないのは、個人的に寂しいと思ったのですが、やはり人口減少を踏まえて、中長期的な観点から、もう少し広域連携を進めるべきであるということと、それから都道府県の役割をもう少し強調されたほうが良いのではないかという気がします。あまりにもいろいろな、立地適正化も含めて市町村に任せてもあまり物は前に進まないので、もっと都道府県の役割を強調されるということがあってよいのではないかと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、広瀬委員、どうぞお願いします。
〔広瀬委員〕ありがとうございました。まず、全体的に、本当に大変よく整理されているという感じがいたしました。
それから、タイトルも、「変化の時代」ということで、これも的確な時代認識であると思います。この「変化」を「転換」とか「岐路」とか、いろいろな表現はお任せしますが、いずれにしても今、大きく変化しているという認識を前面的に出していくべきではないか。
変化といっても、いろいろあるのかと思っていまして、まず、失われた30年と言われている時代が続いているわけですが、これは金利がどんどん下がってきた時代と、低金利時代が少し変わる気配が出てきたという面の金融的な側面です。
それから、もう少し中期的に考えると、戦後70年、世界が統合化、グローバル化を目指して、特にベルリンの壁が崩壊してから、その流れは間違いないと思ってきたのですが、ここに来て、人為的な戦争とか、パンデミックというような自然の猛威で、どうも、また対立と分断の時代に逆戻りするのではないかという、非常に暗い感じというか、そうした気配もしております。
それから、私は、最大の変化は、人間はこの250年間、化石を有効利用して、いわゆる近代化というか、今日の繁栄を築いてきたのですが、これを変えなければいかんと。この250年間ずっとやってきて、それが良いことだと思ってやってきたことを、30年あるいは50年で変えなければいけない、これは大変なことでありまして、まさに社会というか、人間の生き方というか、暮らしというか、そうした大きな変化に今あるのではないか。したがって、変化といっても、トレンドの長さ、あるいはインパクトの大きさ、それから対処の仕方、全て最終的には財政ということにはなるかと思いますが、そうした変化、あるいは転換の時代に入っているということを、もう一度、ここで確認するという意味で、非常に意義があるのではないかと思っております。
各論は、後ほどまた言わせていただければと思います。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、末澤委員、お願いします。
〔末澤委員〕ありがとうございます。今回、歴史の転換点ないし岐路に立つ局面での建議として、ふさわしい内容であると思います。タイトルについては、歴史転換に際し岐路に立つとかいろいろ、合わせてもよいと思うのですが、ただ、私少し申し上げたいのは、今回、5行目です、「金利の上昇リスクに備える。」これは「金利の」ではなくて「備える」、いろいろなリスクに備える。これは前回も私、これからリスクが多くなる局面であるということを申し上げました。
また、下から3行目、「それぞれのリスクに対して必要な準備を行わなければならないことは言うまでもない。」これも当然です。「備えあれば憂いなし、私の好きな言葉です」と言うと、分かる人は分かるのですが。これは実は別の意味がありまして、備えが必要だということは、何でもかんでもオーケーだという議論になりつつあります。ただし、我が国では、極めて少子高齢化も進んでおります。今回のパンデミックでは一段と少子化が進行しました。国力自身にも限界が生じつつあるわけですから、全てのリスクに完全に備えることができません。備えもやはり総合的で持続可能性の高い効率的な備えを追求すべきである、こうした表現をどこか初めのほうに入れておけば良いと思います。要は、防衛の問題とか社会保障の問題とか、つまり、備えは必要だが、そこにそれなりのフィルターをかけて、いわゆる「ワイズスペンディング」、そうした論点も総論に入れておいたほうが良いのではないか。
ちなみに、「備えあれば憂いなし、私の好きな言葉です」、これはメフィラス星人が使う言葉ですが、前週末に公開された映画「シン・ウルトラマン」の中に出てきます。
〔増田分科会長代理〕よろしゅうございますか。
それでは、会場から5名の方に御発言いただいたので、続いてテレビ会議システムで参加の方、次の順番で5名の方を指名していきます。小林慶一郎委員、田中里沙委員、安永竜夫委員、それから上村敏之委員、この5名の方でございます。
それでは、小林慶一郎委員から、どうぞ御発言ください。
〔小林(慶)委員〕小林です。すばらしい建議案を作成いただきまして、本当にありがとうございました。
表題について、私も今考えたのですが、皆様おっしゃるようなことで、転換期を表すということであると思います。例えば、「転換期における財政運営」という言葉もあるかと思いました。これは吉川先生の御本のタイトルにもあった言葉であると思います。あるいは「歴史の転機における財政運営」というような言葉も割と良いのではないかと思いました。
それから、私は総論に対して一言だけコメントをしたいと思います。今の総論の書き方は、いろいろ転換期が今迫っているが、財政のニーズが高まることに備えて、やはり長期的な財政健全化を目指すべきであるという考え方になっているのだろうと思います。ただ、有事というか、状況変化が必ずしも遠い将来のことではなくなっているということも、共通の認識として、共有すべきかと思います。例えば、インフレが今懸念されておりますが、今のところ賃上げが大きく起こっていないので、金利の上昇とか金融政策の転換という話はあまり起きていませんが、もし、アメリカのように、インフレと賃上げが相乗的に加速するということが起きれば、当然、金融政策の大きな転換が起きることになりますし、それは、財政の持続性に対して、すぐに影響が出てくるということだろうと思います。
ですので、大きな状況変化が必ずしも遠い将来ではなく、1年とか2年、あるいは数か月というごく短期に迫っているという認識も持つべきだろうと思います。
ですので、インフレの加速や、あるいは地政学的な有事のような状況変化に対応した財政プランを策定することも、短期的なニーズとして出ているのではないだろうかと思います。このような比較的短期的な、将来に起こり得る状況変化に対応しつつも、長期的に財政の健全化を目指さなければいけないということが現状なのだろうと思います。
ですので、文章についてですが、総論の文章の中で、2ページの6行目あたりで2025年度のプライマリーバランス黒字化が非常に強調されているのですが、これは当然のことであると思いますが、それだけが際立ってしまうと、少し硬直的な印象を与えてしまう。つまり、状況変化にすぐに対応できる準備ができてないのではないかという印象を与えてしまう懸念があると思います。
ですので、PB黒字化の目標は堅持するが、それはあくまである種の中間目標であって、本当の目標は、長期的な財政の持続性の維持であるということを、共通認識として確認しておきたいと思います。
そうした長期的な財政の持続性維持のためには、短期の目標については、例えば地政学的な有事とか、あるいはインフレの加速ということがあれば、当然変更はあり得るのだろうと思います。もちろん、その点まで今書き込む必要はないだろうと思いますが、このような趣旨を踏まえて、一言、書き加えるとすると、2ページの6行目あたりの「2025年度のプライマリーバランス黒字化などの財政健全化目標を堅持し、」の後に、「状況変化にも柔軟に対応できる持続的な財政構造の確立に向けて、改革を進めるべきだ」と、こうした状況変化にも柔軟に対応できるというような趣旨を一言書き加えてはいかがかと思いました。
私からは以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、続いて、田中委員、お願いします。
〔田中委員〕田中里沙です。どうぞよろしくお願いいたします。
前半の部分につきましては、1点、15ページあたりから書かれている広報に関して発言をさせていただきます。
まずは、起草委員の先生方、大変ありがとうございます。すごく分かりやすい内容で、たくさんの刺激をいただきました。
広報に関して、今回のリサーチから顕著になっていることは、やはり世代に応じてきめ細かい情報発信と対話を行う必要性かと感じます。資料に添付いただいたⅠ–3–5の若者世帯のやはり社会保障に対する不安を払拭することというのは、広報にしかできないと言ってもよいぐらいの重要な観点かと思いますし、資料Ⅰ–4–5を見ると、ここに教育とか広報のツールのことをまとめていただいているのですが、幼い頃から始まって、社会人のところが一くくりになっているところがありますので、対象となる社会人のところの細分化も、今後考えていくべきかと思っています。
この会議の中で、私も以前に子育て世代のお母様を対象にとか、そうした企画があったことにも触れさせていただきましたが、そうしたことを検討しているということも今後伝わるようになればよいかと思っています。
もう一つ、全体に国の予算が適切に使われていない現実もあり、それは全体の理解と、自らが取るべき行動を考えることの大切さがあるわけで、例えば、本当に「見える化」、適正化、PDCAサイクルの強化というのは、まさにそのとおりですが、その趣旨にふさわしくないことが起きるというのも、広報の観点からやはり考えていくということ、検証が重要かと感じるところで、前後してすみませんが、15ページの22行目、最後のところに、「真剣に取り組む必要がある。」と触れていただいていますが、これまでも真剣には取り組んできたところであると思いますので、一層注力し、広報、コミュニケーションを強化する必要があるという感じでくくると良いのではないかと思っております。細かい文言は、後ほど送らせていただければと思います。
よろしくお願いいたします。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
そうしましたら、安永委員、どうぞお願いします。
〔安永委員〕ありがとうございます。総論に関して2点ばかりお話ししたいのですが、まず、1ページ目で、歴史の転換点、岐路というところをやはりハイライトすべきかと思います。
その理由として、その次に「「例外」からの「正常化」」という言葉があるのですが、確かにコロナについては、いよいよパンデミックからエンデミックに変わって、通常化するタイミングに来ているのは間違いないのですが、「正常化」の定義として、コロナだけを意図しているのではないにせよ、今起こっていることは明らかに有事でありまして、エネルギーの安定供給、あるいは食料の安定供給について、中長期的に相当な制約がかかり、この中でインフレが更新する、そうすると新たな「例外」がまた起こるのではないかというのが心配でありまして、その中で「例外」から「正常化」という言葉だけが独り歩きしても、次の「例外」が起こったから、また「正常化」を遅らすということになりかねない。
したがって、後段に正確な現状の記述はあるのですが、「例外」から「正常化」というところは、若干、有事の状況、様々な転換点に起きている経済上のインパクトを考えると、こうした言葉遣いだけでは、コロナだけをイメージさせてしまうのではないか。むしろ、予見性の極めて低い、ボラティリティーの高い世界がこれから目の前に起こっていく中で、日本としてやれるべきことを先送りする余裕はないというところを、まさに強調すべきではないかと思います。
それからもう1点、8ページ目に、「我が国が経済成長を実現するための条件」として、「日本企業の投資は主要国の中でも少なく、とりわけIT投資の少なさが指摘されている。」とあるのですが、実は経団連参加企業の中でもかなりの企業が史上最高益というのを記録していて、それは明らかに、過去、成長領域に、それは市場としての成長地域も含めて、投資してきたことの結果です。逆に言えば、日本に成長領域がないがゆえに、海外に成長を求めて投資をしてきたというのが実態であると思います。
失われた30年というのがありますが、世界から見ると、日本がマーケットとして忘れられた30年とも言えるというぐらいの危機感を持って、日本に新たな投資を呼び込む、岸田政権として「インベスト・イン・キシダ」ということを強く打ち出すのであれば、やはり日本が変わっていく、日本がこれからアニマルスピリットを民間企業が発揮するために、様々な新しい海外からの投資も引き入れるためのビジョンやフレームワークを打ち出していくことが何より重要であると考えています。その辺も是非、この中でどのように打ち出せばよいか少し考えていただければと思います。
各論も含めて、言葉については、別途提出させていただきたいと思います。以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、上村委員、お願いいたします。
〔上村委員〕上村です。大変すばらしい建議案を書いていただき、ありがとうございます。歴史的な転換点にある建議としてふさわしい内容になっていると思います。
全体的な内容について異論ありません。総論について幾つかコメントさせていただきます。
一つ目に、変化の時代であって、いつ有事かが分からないということであるからこそ財政健全化が必要であるということのメッセージと、国際的な情勢が健全化を求めているというメッセージが総論に込められていると思いますが、この点について気になったことは、私も「有事」という言葉の扱いです。有事のために財政健全化は正しいと思いますが、今は有事なのか、明確にすることが必要かもしれません。総論では正常化をうたっていますので、現状は新型コロナウイルス感染症の拡大からのという、有事からの正常化のプロセスにあると思われますが、現状、有事なのか、何が有事なのかを明確にしておくべきかと思いました。
二つ目ですが、8ページの上のほうに財政収支についての記述があるのですが、「収支」と書かれている部分もあります。「財政収支」と明確にするかどうかということです。もし「収支」と書かれていることに意味があるのだったら、その点についてはお任せいたします。
第3に、私も、予備費については言及したほうが良いと思っています。
最後ですが、これは蛇足ですが、大学生に財政学を教えていて、いつも思うのですが、何兆円という話をすると、あまりにも金額が大き過ぎてなかなかぴんとこないという人が結構います。ここ数年、新型コロナウイルス感染の対策のために、何十兆円も使っているのですが、その金額はどれぐらいの規模なのかをより分かりやすく伝えることができればよいかと思いました。
大学の私の授業では、消費税1%当たり大体2.6兆円の税収なので、消費税換算すると何%ぐらいですよと言っているのですが、この点は蛇足なのでお任せいたしますが、財政教育や広報を進める上においても、何兆円と言われてもぴんとこないので、財政の規模を的確に伝えるという工夫が重要かと思いました。
細かい点はメールにてお送りいたしますので、よろしくお願いします。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、会場にまた戻りたいと思います。平野委員、宮島委員の順で御発言いただきます。
平野委員、どうぞお願いします。
〔平野委員〕ありがとうございます。大変な力作でありまして、皆様に感謝したいと思います。
私も、まずマクロ的な状況認識から始めたいと思います。何人かの方からも御指摘がありましたが、米中の対立や、地球温暖化、社会の分断などによって、既存のグローバルオーダーが揺らぐ中で、コロナ禍が起こりました。そして、今また、ロシアによるウクライナ侵攻により、ますます世の中は見通し難くなってきています。これから起こることは、やはり世界の二極分断化であり、グローバル化の巻き戻しや、それに伴うサプライチェーンのレジリエンスの問題、これらは端的に言えば経済安全保障に関する問題ですが、いずれも今後中長期的な世界経済の成長の制約要因となるものだと思います。欧米が今直面しているインフレや、金利の上昇も、そうした構造的な要因と深く結びついていると認識すべきだと思います。パラダイムシフトと捉える向きもあります。ファイナンスの世界でも、潮目が変わったということを前回申し上げたとおりです。
そうした中で、我が国における30年にわたる経済の停滞と少子化の進行が国家と社会の基盤を侵食しつつあるにもかかわらず、目先の課題に対処するための大盤振る舞いを続けてきたというのが、これまでの財政であったと思います。コロナ禍の対応も例外ではなく、その検証もこれまで十分に行われていなかったということです。
したがって、今回の建議は、大きな潮流変化の中で、我が国が直面する課題をどう乗り越え、同時に、先ほど御指摘がありましたとおり、財政の持続可能性をどう確保していくかという問題意識を明確にすべきであると思います。その意味で、今回の案は、いろいろな角度から、そのような意識を盛り込んでいただいていますが、まず、今後の財政運営の在り方について、2点申し上げたいと思います。
1点目、財政運営における制度的な対応の必要性です。5、6ページに、諸外国における取組ということで、例えばペイアズユーゴーなどの原則を例示して、目下、議論が活発化している複数年度の財政支出に関しても、財源とセットで議論が必要であるということを示していただいたのは大変に的を射た指摘であると思います。
それに続けて、6ページの16行目、17行目あたりで、日本の対応に関する記載がありますが、諸外国に比べて日本の制度的な対応がいかに不十分であって、今後どのような対応が必要かという点についても、もっと書き込むべきではないかと思います。
例えば、今回の建議では、コロナ禍での、言わばアンワイズスペンディングとして、個々の支出についての指摘がなされています。これはとても良いことですが、財政運用上最大の反省点である巨額の補正予算の計上について、先ほど、予備費、基金についての話もありましたが、これを許した日本の財政の制度的な不備に言及すべきではないか、と思います。
それからもう一つ、本来なされるべき新経済財政再生計画のレビューなどは、企業でいえば決算に相当するものです。決算、あるいは決算分析がきちんと行われ、その評価を踏まえて次の財政を行うという、本来の意味でのPDCA、すなわちCheckとActionのプロセスをきちんと回すことの重要性について、さらに申し上げると、当初予算と補正予算を合わせた中長期の財政計画を策定して、それに財政ルールとしての一定の拘束力をつけるための枠組みを構築する必要性などを指摘できないか。あるいは、そうした意見があったということを書き込んでいただけないかと思います。
あわせて、英国や豪州などの複数年度の政府支出を固定化している海外の事例にも言及されてはいかがかと思います。
2点目、先ほどの点とも関係するのですが、財政運営の構造改革の必要に関する記述を盛り込んでいただけないかと思います。すなわち、夏の参議院選挙を控えて様々な動きがありますが、今求められているのは、骨太方針で、ポストコロナの日本の再興戦略を取りまとめる中で、長期的な成長と社会の安定を図るために、限られた財源、財政資源をいかに有効に配分するかという視点に立って方策を示すことであると思います。
つまり、今回、定義をアウトカム・オリエンテッドと明確にしていただいたワイズスペンディングの徹底だけでは十分ではなく、限られた財源における資源配分の最適化を図るために、施策の優先順位づけとスクラップ・アンド・ビルドを行うべきであり、そして、この後申し上げますが、社会保障制度改革を基軸とした財政運営の構造改革への道筋を、いわゆる黄金の3年間のうちにつけておく必要があると認識しておりまして、そうした認識を今回の骨太方針に何とか反映させるように、この建議案の中にも書き込みができないかというのが、財政運営に関する私のお願いです。
次に、各論について、2点申し上げます。
まず、デジタルについて、これは今後の財政支援を捻出するための有効な手段として重要であるが、今回の建議案には、実はデジタルという記載が、数えると3か所しかなかったように思います。したがって、総論で、財政運営上も重要であるということでその有効性に言及することに加え、各論においても、恐らくこれから皆様から議論が出ると思いますが、医療分野でのレセプトデータの利活用や、オンライン診療の普及促進について盛り込んで頂ければと思います。また、地方財政に関しても、現状、実質同水準ルールが機能しているわけですが、デジタルやマイナンバーの活用によって、更にそれを深掘りした効率化が図れないか、端的に言えば、歳出抑制目標を掲げることも可能であるということを示唆していただけないだろうかと思います。
それからもう一つ、社会保障に関しては、先ほどから既に御指摘もありますが、今回大変充実した記載で、これは大変歓迎しておりますが、医療提供体制の改革の実効性を高めるために必要な取組について、もう一段踏み込めないかと思います。
まず、地域医療構想に関しては、いつも言われますが、多額の国費が投入されているにもかかわらず、医療機関に対する統制が利かないということは問題と言わざるを得ません。かつ財務のディスクロージャーも乏しく、経営実態が見えにくい状況では、ここで提起されている都道府県知事の自律的なガバナンスの強化だけでは不十分ではないかと私は強く思います。国と自治体が病院に対して、医療機関に対して一定の強制力を働かせる必要性について、どこかで言及できないかと思います。
それから、もう一つの柱であるかかりつけ医についても、このままでは一向に浸透しません。普及に向けては、英国やフランスのような成功事例を参照し、経済的なインセンティブ付けも含めた制度設計を行ったり、GP(general practitioner)の教育制度の充実を図るとともに、先ほどもお話が出ました、国民の理解を得るために、その狙いと効果を明確にしていく必要があるということもお書きいただければと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、宮島委員、どうぞお願いします。
〔宮島委員〕ありがとうございます。大変なおまとめ、ありがとうございました。
まず、タイトルに関しましては、これまでもありましたように、「変化の時代の」というのは少しパンチが弱いかと思いますので、多くの方が言われたような「転換点」のような形で、少し強めるのが良いかと思います。
その上で、本文で2か所、概要について申し上げます。
まず、本文について、社会保障ですが、コロナを通じて一般の方は、今の役割分担はこれでよいのだろうかという疑問を持ったと思います。いろいろなところにストッパーができてしまったと思います。それで、22ページに接種体制のときに、医療従事者のタスクシフトに問題があったということが書いてあるのですが、医療全体のタスクシフトにも触れたほうが良いのではないかと思います。つまり、ほかのことでもやりくりすれば、単に施設同士だけではなくて、医療従事者の中でのやりくりがあれば、もう少し進んだのではないかという視点もあるのではないかと思います。
それを、できれば32ページあたりに入れて、タスクシフトあるいは職域の検討のような形で、医療の見直しを入れていただければよいかと思います。
さらに、概要についても、介護のところにはタスクシフトと書いてあるのですが、医療にはこの視点がないので、入れていただければよいかと思います。
ただ、今まさにかかりつけ医のところで、全世代社会保障構築会議を中心に激論が交わされつつあるということは承知していますので、ここに入れることで、いろいろなところの逆風が来るという判断をされるのであれば、そこら辺は全体が前に進むというバランスにおいて言葉を選んでいただくということでよろしくお願いします。
また、細かいことですが、15ページの、ここは一般の人に十分伝わってないから頑張りましょうという前向きな話であると思うのですが、この言葉遣いの中で、どうやら大槻委員も気になられたようですが、11行目、「専門用語を使わず、一般的に理解されやすい言葉に噛み砕いて伝えるべきである。」というのは、ざらっときました。何というか、専門用語で使う自分たちが正しくて、それをかみ砕かなければ分からない、さらに言うと理解されやすいというのは、可能か可能ではないかという受け止め側の責を問うているように見えるので、これを書くのであれば、「多くの人に十分理解されるよう伝える」とか、あくまで相手の問題ではなく、こちらの責任できちんと伝えましょうという立てつけのほうが良いと思います。
そして概要にまいります。やはり、概要だけを見る方も多いと思うので、印象の問題ですが、先ほどのタスクシフトに加えて、医療のところで、予防と健康づくりにおいて、予防と健康づくりを優先するのではなく、重視を改め、こちらにするべきだと書いてあります。これはもちろん、これまでの健康、医療をやってきたことに対する厚生労働省あるいは経産省との意見の相違とか、いろいろな背景がある単語であることは私も十分承知しております。ただ、概要しか見ない人からすると、何か財務省が、予防と健康づくりは重視しないほうが良いと言っているのではないかという印象を感じてしまうのではないかと思います。ですので、多少単語を緩めて、予防と健康づくりよりはリフィル処方とかのほうが良いとか、何か工夫の余地があるかと思います。ただ、もちろんこれを言うことによって、炎上させようとしているのであれば、それは別に止めません。
子ども・子育てにおいても、これしか字数がないのに、わざわざ家族関係支出と子ども・子育て支援予算が必ず一致するものではないという、普通の人から見れば、何を言いたいのだろうという単語が、わざわざ概要に入っているように思います。これは、言っていることはまさに本文でいろいろ言われている、それぞれの負担の試算も、各国比較に入れてくださいということを言われていることは分かるのですが、これがわざわざ1行あることによって、財務省が、ここにお金をつけたくなさがにじみ出るような印象も持ちますので、概要においてはもう少し、子ども・子育て支援をしっかりとピンポイントで効率的に支援をしていくという姿勢を示すことや、あるいはもしかしたら、こども家庭庁ができるので、そこでがっちりやるということを前に出したほうが良いのではないかと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、テレビ会議システムで次の3名の方、芳野委員、熊谷委員、それから十河委員、この順で御発言いただきます。
芳野委員、どうぞお願いします。
〔芳野委員〕ありがとうございます。起草委員の皆様、ありがとうございました。本日は時間も限られていることから、総括的な観点で3点発言したいと思います。なお、各論に向ける具体的な修正案については、別途提出させていただきますので、建議に反映いただければと思います。
まず、1点目は、予備費の使用について、政府のコロナ禍における原油価格・物価高騰等総合緊急対策についてです。規模は6.2兆円とされておりますが、そのうち1.5兆円は予備費を充てるとしています。予備費は、国会での議決を経ずに、政府がその使途を自由に決められるため、監視の目が届きにくいと思います。また、既に予算化されたものと明確に区分して管理がなされていないため、政策効果がより一層不透明なものとなる懸念があります。
予備費の使用は、これまでの他の委員から言及のあったワイズスペンディングであるべきで、その使途については、国民への丁寧な説明が不可欠です。
また、予備費の政策効果をはかる観点からも、かねてから申し述べていますように、中長期的な財政運営の評価・監視を行う独立した財政機関の設置について、与野党の枠を超えて検討すべきであると考えています。
続いて2点目は、主権者教育の推進についてです。超少子高齢化、人口減少社会という構造課題を抱えている我が国においては、単なる歳出削減だけでは財政健全化はもとより、持続的な経済成長と社会保障に対する不安の払拭は望めません。とりわけ、医療、介護、子ども・子育てをはじめとする社会保障については、担い手の更なる処遇改善を進めるとともに、子ども・子育て支援施策を拡充するための財源を、国民的合意形成を図りつつ、確実に確保すべきであると考えます。くわえて、デジタルやグリーン、教育、安全保障など山積する課題解決に必要な財源を確保するためにも、早急に、税・財政一体の抜本改革に取り組むべきであると考えます。
その意味において、今回の総論で、財政に関する広報、教育の必要性が語られたのは、大変意義深いと考えています。税・財政の抜本改革には、これら幅広い意味での主権者教育を通じて、国の財政状況をはじめ、社会保障や行政サービス、税や社会保険料といった、受益と負担の在り方など、国民生活を営む上で必要な知識や情報を付与する機会を保障し、その上で、広く国民との対話を通じた合意形成が不可欠です。諸外国の事例も参考にしつつ、国として、主権者教育の一層の充実、推進に取り組んでいただきたいと思います。
最後に、雇用に関して述べたいと思います。雇用調整助成金が労働移動の阻害、労働者のモチベーションの低下を招く懸念がある旨の記載がありますが、労働移動は労働者本人の意思に基づくことが重要であり、労働者本人の意思に反した安易な労働移動を促すべきではないと考えます。まずは、労働者が選択したいと思えるよう、人手不足産業などの労働環境整備や労働条件を引き上げる施策が不可欠であり、新たな能力開発など、教育訓練の実施や、そのための環境整備も重要です。
雇用保険財政については、安易な一般会計への依存をもたらさないようにすべき旨の記載がありますが、これまでも繰り返し申し述べているとおり、危機的な財政状況下においては、一般会計からの繰入れを通じた財政安定化が不可欠であると考えます。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、熊谷委員、どうぞお願いします。
〔熊谷委員〕熊谷でございます。
まず、建議名に関しては、「歴史的な転換点に立つ」もしくは「歴史的な岐路に立つ」などが第一候補ですが、「激動する世界情勢の下での」というようなものでもよいと思いますので、最終的にはお任せ致します。
それから、総論の部分で、もしかすると既に書かれていて、私が見逃している部分もあるのかもしれないのですが、幾つか強調していただきたい点などを申し上げます。
まず、1点目としては、大原則として、これは先ほどの佐藤委員の議論とも重なるところですが、サステナブルな社会をつくるためには、サステナブルな財源が不可欠であるということを、強調していただきたいと思います。借金で子育て支援等を講じても、それではサステナブルな社会にはなりませんので、そもそも論理矛盾であるということを、是非びしっと総論の部分で明示していただきたいです。若干敷衍すると、先ほど平野委員からも御指摘があったペイアズユーゴー、これはやはり本質的に極めて重要なものだと思っていますので、今は5ページの17行目にアメリカの事例の一部として書かれていますが、この辺りをもっと強調していただくとか、併せて補正の問題、それから予備費の問題などについても、是非しっかりと記述していただきたいというのが1点目です。
2点目は、7ページのあたりですが、国際比較という観点からは、わが国の財政に関する規律は、二重の意味で非常に緩いということをしっかりと書いていただいてはどうかと思います。第一に、財政収支ではなくてPBであるという点。第二に、毎年ではなく、ある一時点であるという点です。ですから最低限、これ位のことぐらいはしっかりと守ろうということだと思います。
さらに敷衍をすると、先ほど平野委員からも議論ございましたが、やはり各国とも、例えばドイツなども限られた財源の中でやりくりをして、経済成長と財政規律の維持を両立しているわけですから、これは恐らく11ページの8行目から12行目あたりで展開する話だと思いますが、最低限、2025年度というある一時点におけるPB目標ぐらいはしっかり守って、そして創意工夫をしながら、経済成長と財政規律の維持を両立していこうという話だと思います。
3点目としては、9ページのあたりですが、(2)の「求められる政策」、15行目以降のところで、「新陳代謝」というキーワードを強調していただきたいと思います。13ページの3行目で出てきていますが、もう少し前面に出して欲しいです。前回申し上げた通り、私が考える日本経済再生に向けたカギは、この新陳代謝が一つ、それから二つ目が積極的労働市場政策、3つ目が全世代型社会保障改革という、この三つを三位一体でやって、経済の活力を維持しながら、格差の拡大を防いでいく、これがやはり本質的に重要であると考えますので、「新陳代謝」というキーワードを是非強調していただければと思います。。
4点目は、同じく9ページの上で、「円滑な人材移動」というあたりですが、ここもぜひ「ダイバーシティー」、「多様性」というキーワードをしっかりと打ち出していただいてはどうかと考えます。
5点目は、平野委員からも御指摘があった「デジタル化」という話です。先ほど、佐藤委員から試算補足の話がございましたが、やはり本当に困っている人を特定して、ピンポイントでサポートすることが重要ですから、総論の部分で「デジタル化」をしっかりと強調していただければと思います。
最後に、総論に関する6点目で細かい話で誠に恐縮ですが、3ページのあたりで円安に関する記述がございますが、マーケットの話について、足もとでどうであるという話をすると、この建議は出るときには違っているリスクもございますので、円安が進行したといった記述は、原則として過去形にしていただいたほうが良いと思います。
それから最後に、社会保障について一言だけ申し上げますと、非常に網羅的に記述されており、鋭い提言をしていただいておりますので、ここは高く評価致します。
特に34ページの27行目、28行目以降の、かかりつけ医の制度化、この点は経済財政諮問会議で岸田総理も言及されていますので、是非しっかりと進めていっていただきたいと考えます。
先ほど佐藤委員から、社保が多くてバランスが悪いというお話があって、なるほどそうした考え方もあるのかと思ったのですが、私が感じたのはむしろ、やはりそれだけ課題が山積しておりますので、「戦略は細部に宿る」ということで、これだけしっかりと書いていただいたほうが良いのではないかと考えます。
以上、いろいろと申し上げましたが、最終的には全て事務局に一任したいと思います。ありがとうございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、十河委員、どうぞお願いします。
〔十河委員〕起草委員の先生方、大変お疲れさまでございました。私も基本的に、今回の内容に異論はございません。
そして個人的には、14ページに広報と教育という部分を今回加えていただいたことには賛成です。その中で、先ほど来から出ております専門用語につきましては、使わないと決めつけるのではなく、一般に理解されやすい言葉で説明を加えながら、使用してもよいのではないかと思いました。
それから、全体の印象として、やはり先ほど来からご指摘がありますように、社会保障の部分が、当然ではあるのですが、かなりボリュームが増えてきているため、読みやすくする工夫を考えてはいかがかと思いました。
今、私自身もリモートで出席する中で、この建議をプリントではなく、iPadで見ておりますと、左から右へ文字を読むだけではなく、画面上で、下から上にスクロールしていくため、紙よりも読みにくさを感じざるを得ません。
特に社会保障の部分に関しましては、大変複雑になっておりますので、ジャンルごとになっていることを分かりやすくするための何かしらの工夫をすると、ホームページ上から関心のある一般の方がこれを御覧になった場合も、読みやすく、また理解されやすくなるのではと思い、今後検討していってはいかがでしょうか。
私からは以上です。
〔増田分科会長代理〕テレビ会議システムで、河村委員と赤井委員から、また、希望があるようですので、この二方で、前半はおしまいにしたいと思います。
それでは、河村委員、お願いいたします。
〔河村委員〕ありがとうございます。起草委員の先生方、本当に大部にわたる建議案ありがとうございました。大変、危機感が伝わる内容になっていて、全体としてとても良いと思いました。
総論を中心に幾つか意見を言わせていただきます。
まず、タイトルですが、私もやはり「歴史の転換点にある」とか、そのような表現のほうが良いのではないかと思いました。やはり「変化の時代」ですと、ずっと前からつながっている変化が続いてしまうような印象を受けてしまって、少し弱くなってしまうかと感じました。
そして、本文ですが、まず、1ページ目です。全体的な構造の認識等をいろいろお書きくださっているのですが、ただ、日本はインフレはまだそれほどではないのですが、やはり世界経済全体として、インフレ局面に変わっていったという表現がここにないかと、(2)で「世界的な物価・金利の局面変化」とお書きくださっているのですが、(1)にもやはりそれを意味するようなことを、少し簡単にでも入れておいたほうが良いのではないかと思います。例えばですが、一案としては、13行目の「それから5か月という短い間に」といった、その次のあたりに、やはり欧米各国中心にインフレ状態が続いていてというような表現を一つ入れてもよいのではないのかと思います。
同じページの下の19行目ですとか20行目のあたり、いろいろなリスクが書いてございます。緊迫した安全保障環境から幾つか書いてありますが、やはりここに、低金利時代がどうも終わりつつあるのではないか、これも、後の(2)で「「物価上昇ゼロ、金利ゼロ」の世界が崩れる可能性が出てきている。」とお書きくださっているのですが、それに対応するような表現を、ここで簡単に一言入れておいたほうが良いのではないのかと思いました。
そして、次の2ページ、10行目以降です。そうしたいろいろな転換点というか、世界的な環境変化と、そこでもう一つ、やはり我が国がそれに対して、どのような状況にあるのかをきちんと書いておいたほうが良いと思います。ここには「我が国の経済・財政の脆弱性を踏まえ」とはお書きくださっているのですが、少し弱いような感じもします。今日、具体的な議論は後半であると思いますが、この辺り、防衛の章など、かなりびしっと書いてくださっていて、例えば105ページの24行目あたりであれば、「このような「経済・金融・財政面における脆弱性」を踏まえると、」と書いてくださっていますので、やはりそれに呼応するような形で、総論の2ページ目の10行目から11行目のあたりも、世界的な環境変化にあるのに対して、そうした環境変化の下にありながらも、実際、我が国がどうかということが分かるような表現で、我が国がやはり金融・経済・財政の脆弱性を抱えていることを踏まえというように、少し細かいですが、直しておいたほうが読み手に、やはり状況は結構、現状厳しいということが伝わるのではないかと思います。
それから、その先、5ページです。財政ルールとか諸外国の例とかを出しながら御説明いただいて、説得力があると思うのですが、少し気になるのが、5ページの11行目、「巨額の対策を複数年度で行う場合には、財源とセットで決定するのが大きな流れと言える。」とあるのですが、大きな流れというと、世界的な流れがあるからまねしたほうが良い、日本もそれに合わせておいたほうが良い、と言うぐらいですと、少し説得力が弱いような気もしますので、やはり財源がなければ対策なんかできない。しかも、複数年度にわたるものであれば、当然であるということが、諸外国の場合には当然の前提として、それを国民的なコンセンサスもできていると思います。財源の税を払いたくないなどという議論、私も海外のメディアを日々見るようにしていますが、そのような議論は出てこないです。誰が負担するかは議論が、どのような形で負担というところは議論があると思いますが、その財源を否定するような意見は海外では出てこないので、やはりここの表現も、財源とセットで決定するのが当然の前提であり社会のコンセンサスと、欧米各国においては社会のコンセンサスであると書いたほうが良いのではないかと思います。
あわせて、次の6ページの16行目、17行目です。「諸外国の取組に比べて、我が国は、財源確保や財政健全化に向けた動きが不十分」と、もちろん不十分ですが、ここにもやはり「国民的なコンセンサスの醸成が不十分と言わざるを得ない」と追加をしていただけたら良いのではないのかと思います。
それから、その先の7ページ目から8ページ目にかかるあたりです。PBの黒字化目標を掲げることがなぜ必要かというあたりです。8ページ目の上あたりの記述を見ると、こうした目標を持つことは国際標準だから合わせておいたほうが良いと、それももちろんそうですが、それだけだとやはり少し弱いのではないかと思います。総論でも、ここに至るまでの過程で、やはりこれだけ金利の上昇リスクとかも出てくれば、利払費の制約を通じてやはり国債費が膨れて、財政運営に制約がかかるということを前のページでも書いてくださっていますので、ここをもう少しかみ砕いて説明したほうが良いのではないか。具体的にどのようなことかというと、ここにいらっしゃる先生方には釈迦に説法ですが、本当に、税収が65兆円しかなくて、納付金とか合わせても70兆円、その他の歳入を合わせても70兆円しかない中で、107兆円の歳出の予算を組んでいる、新発国債に37兆円も頼っているのが、金利が上がってくれば、それがそれだけの新発国債、さすがに出せなくなるかもしれません、そして歳出の中身でも、国債費が今24兆円で済んでいますが、それでは済まなくなるかもしれません、今、それ以外の一般歳出とか地方交付税とかに83兆円も出しているのに、税収65兆円その他歳入合わせて70兆円に対して83兆円も政策経費を出しているのに、それが国債費の膨張による制約が大きくなれば、なかなか組みづらくなるかもしれない。だからこそ、やはり、今からでも着々とPBの赤字はきちんと幅を縮めていかないと、今後の環境変化に対応できないということが分かるような記述を、ここのところにもやはり少し足したほうが良いのではないかと思います。ですので、8ページの一番上の段落のどこかに、今後いろいろ状況が変化して、国債による資金調達の制約が大きくなったときに、税収でどれだけ政策経費を賄えるのかを示す指標がPBの黒字化ということ、だからこそやはりここにきちんと取り組んでいくことが必要なのではないかを書いたほうが良いのではないかと思います。
最後に1点だけ。15ページの一番最後、「国民に議論を広げ」というところですが、ここにもやはり問題意識の共有とかだけではなくて、やはり国民的な財政再建に対するコンセンサスを醸成できるようにということを、是非お書き加えいただけないか御検討いただければと思います。
すみません、長くなりまして。以上でございます。
〔増田分科会長代理〕恐縮でした。
それでは、続いて赤井委員、お願いします。これで最後にしたいと思います。
〔赤井委員〕ありがとうございます。簡単に、総論のところですが、まず、1ページの22行目に「有事の際に我が国が円滑に資金調達をできるよう、財政の対応余力を持っておく必要」と、まさにそのとおりで、その後にそれに向けた文章があると思いますが、具体的に最後のところで、何があれば財政の対応余力が持てていると言えるのか、総論の幾つか説明の後に、これをすることによって財政の対応余力を持つことができるという記述があると、つながりとして分かりやすいかと思いました。
防衛力のところに少し、マクロが健全でという記述はあるのですが、総論にもそれがあったほうが良いと思いました。
それから、6ページで新型コロナの債務の話が出てくるのですが、海外では債務区分をしているということで、日本ではできてないという記述があるのですが、日本でもそうしたことをして、返済をしっかりやるべきであるという記述が、書けないのかもしれませんが、コロナで起きた債務、大震災のときと同じように区分をしてということで、どのように取り組むべきかを書いてもよいかと思いました。
それから13ページ、新型コロナの検証のところ、「検証を続け、「正常化」に向けた今後の政策対応にいかしていくべき」とあるのですが、「正常化」に向けたというだけではなくて、やはり今後、感染症というのはまた生じてくると思いますので、今後、感染症が生じたときに的確に対応するための、今回は経験だという意味で、事実を整理しておく、そうした意味の検証も重要かと思うので、その意味合いも込める文章にすればと思いました。
最後、72ページの地方財政ですが、同じように地方創生臨時交付金の支出内容とか、地域経済への影響とか、地方財政が結果としてどう変わったのか、その辺りの効果検証も、コロナ関連で、どのようなことが起きたのか効果検証すべきという部分を記述したほうが良いかと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、起草委員の皆様方から、この場で特に発言しておいたほうが良いというものがあれば、お願いしたいと思います。
それでは、土居委員から行きますか。土居委員、どうぞお願いします。
〔土居委員〕委員の皆様から、非常に多岐にわたり、的確な御指摘をいただきまして、誠にありがとうございました。できる限りそれを反映できるように努めてまいりたいと思います。
特に、総論のところで、プライマリーバランスの黒字化目標、もちろんこれが今話題になっているということなので、堅持だということですが、それだけでは弱いと、本来はそこが最終目標ではない、初心を若干忘れているところがありましたので、その点は、あくまでも一里塚だということは、この審議会でも度々、建議でも申し述べておりますので、その点を含ませるような書き方に変えたいと思います。
それから、もう1点は、特に、歴史的な転換点という話で、題名について貴重な御意見をいただきましたので、それも、皆様の多数決で決めるというわけではありませんが、多くの方からそうした御指摘があったということを踏まえたいと思います。
それから、もう一つは、社会保障のところで、かかりつけ医のことについて御指摘がありまして、これでも最大限記してはいるものの、もっと踏み込めるところがあれば、私も踏み込んだほうが良いのではないかとも思っていますので、そこはチャレンジしたいと思います。
どういう戦略か、戦術と言うべきかもしれませんが、宮島委員がおっしゃったように、相手を刺激することで活路を開くという方法なのか、それとも、大人しくしながらきちんとテーブルの下で決着をつけていくという方法が良いのかは、いろいろあるかと思いますので、建議の書きぶりとしてもそこら辺のことを意識しながら、検討させていただきたいと思います。
私からは以上です。
〔増田分科会長代理〕武田委員、どうぞお願いします。
〔武田委員〕皆様、大変貴重なコメントをどうもありがとうございました。
まず、タイトルについては、ただ今、土居委員からもございましたが、歴史的転換点、あるいは岐路といった御意見が多かったように感じておりますので、その点も踏まえて、起草委員の皆様と議論して、最終的に決定してまいりたいと思います。
2点目に、中長期の財政の持続性の重要性についての書き込みをもう少ししたほうが良いと思いました。構造改革や資源配分の適正化、そして安永委員からは、やるべきことをやる、その余裕が少なくなってきているので早期に実施すべきとの御意見もございました。どのような表現が適切かを検討してまいります。
3点目、予備費については、何名かの方がおっしゃっていたと思いますので、加えられるかどうかを検討いたします。
最後に言葉遣いの点、いずれも御指摘のとおりであると思いました。謙虚に受け止め、修正に反映いたします。
ありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕あとはよろしいですか。
それでは、また、起草委員で御検討いただけるということでございますので、前半はここまでとさせていただきます。
続きまして、後半です。分野として、文教・科学技術、社会資本整備、グリーン、産業・中小企業、防衛、ページ数にいたしますと74ページから111ページまで、このパートでございます。ここの部分につきまして、御意見のある方は、これまでどおりの形でお願いしたいと思います。それでは、会場の皆様方から指名していきたいと思います。木村委員から、どうぞ御発言ください。
〔木村委員〕どうもありがとうございます。時間も限られていますので、手短に1点だけ申し上げたいと思います。
グリーンですが、102ページ、末尾です。いわゆる「カーボンニュートラルの実現は、経済成長と地球環境の好循環を生み出し、持続可能な社会を築いていくための挑戦である。」これはおっしゃるとおりであると思うのですが、少し気になるのはその後で、「そのためには、地球温暖化対策は、財政の持続可能性と両立させた上で、将来世代への責務を果たすものとしていかなければならない。」とあります。この表現ぶりですが、要するに、地球環境の持続可能な社会を築くために財政の持続可能性も図る必要があるという論理でしょうが、例えば防衛費とかは、持続可能な社会とは直接関係ないですが、財政の持続可能性を考えなければならないというのは当然なわけで、持続可能な社会を築くために、持続可能な財政というのを必ずしも、全てにそうしたことなのか、この論理立てを工夫していただければと思っています。
それだけです。以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、横田委員、お願いします。
〔横田委員〕ありがとうございます。私は中小企業の103ページで1点だけ申し上げます。
弊害4要素を非常に分かりやすくてシンプルな記載、全般的にそうだったかと思っているのですが、例えば補助金とか不正に関するところ、もう少し数値の追記をしてもよいのではないかと思っております。個人的には、不正2万件超が多いのか多くないのか、人によって、パーセンテージでいうと少ないかもしれないが、要は機動力を持って給付していくことも非常に大事なので、そこも含めてどう捉え、私は今回、返納している人たちも多いので、可能であれば数値を加えてほしいと思っています。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、佐藤委員、お願いします。
〔佐藤委員〕ありがとうございます。3点ほど。
一つ目ですが、今回項目の中に農林水産がないのはなぜだろうということで、あまり議論しなかったのでしたか。結構、中長期的な観点から見れば課題が大きい分野で、農地の集約化の話もありますし、所有者不明の問題もありますし、森林に至っては経営管理の非効率もありますし、森林環境税も入れましたが、その使途はどうなっているか検証もしなければいけないし、漁業に至っては相変わらず古い体制、漁業権をめぐっては非常に古い体制が残っていますし、この部分をあえて避けたのはなぜだろうという素朴な疑問です。
それから、コメントですが、92ページで事前復興計画は、指摘するのは非常に良いことであると思うのですが、具体的にこれは自治体にどのようなインセンティブを与えるのか、アメかムチかということも含めて、少し何か言及があってもよいかと思っています。ほっておいて、やれと言っても恐らくやらないので、恐らく、単に有効事例の横展開というだけでは済まないところもあると思います。補助金の中にそうした要件を入れるであるとか、何かインセンティブが要るかという気がしました。
中小企業政策のところで、日本の中小企業は結局、入り口は成長戦略だが、出口は必ず弱者支援、救済です。何を言いたいかというと、どうしても今いる企業に対する支援になってしまいがちですが、これから出てくる企業に対する支援はないのという話ですか。例えばスタートアップであるとかベンチャーであるとか、これからの新興企業を支える政策は何だということ、これをやはりもう少し目配りしなければいけないのではないかと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、広瀬委員、お願いします。
〔広瀬委員〕ありがとうございます。後ほどまた、提出させていただきますが、ここで2点だけ話させていただきます。
1点目はグリーンでございます。これから再生可能エネルギーが電源の中心というのは間違いないわけで、そうなると系統の強化に相当莫大な投資が必要になってくるわけです。これを効率的、あるいはスピーディーにやるためには、今のようなばらばらな体制であるとなかなか難しいのではないか。全体を一つにするとか、あるいは50、60東西で二つぐらい、推進体制をきちんとしてあげないと、これはなかなか進まなくて、これが進まないと、せっかくいろいろな再生可能エネルギーを実現していても、うまく運用できない。これは喫緊の課題ではないかと思います。
2点目は防衛です。今2%の議論がありますが、結果としてそうなることはあってもよいかもしれませんが、2%を目標とするということが、順番としてどうなのか。まず、今回のウクライナも参考にしながら、日本の地政学的な状況とか、あるいは日本は島国で山が多いとか、そうした地理的な条件も踏まえて、防衛の在り方をきちんと整理して、その結果として、どのようなことであると。こうしたことではないかと思っています。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、末澤委員、どうぞお願いします。
〔末澤委員〕よろしくお願いします。お時間の関係もありますので、防衛に関してだけ申し上げたいと思います。
私は個人的に思いますが、今回の建議は、総論に続いて、防衛のところが一番先に読まれると思います。といいますのは、ウクライナ戦争の勃発もあるのですが、前回、歳出改革部会ですか、改革部会で防衛の議論をした際に、割とネットが盛り上がりまして、どのような趣旨かというと、いわゆる軍事オタクの方々は、今回の議論を見て、90式であるとか10式といった戦車の調達をやめるのではないか、こうした議論があって、一方で東洋経済などは、いや、そうではない、今回ここに書いているのは戦略的、戦術的に考えて必要な装備が何、どうすべきか、こうしたことを高い次元で書いているということで、割と議論が盛り上がっています。私は、これは極めて良いことであると思います。
そうした面で、やはり防衛のところを中心に、内容はこのとおりで結構であると思います。読みやすく、議論を集めるような形にしたほうが良いと思います。
その中で、私が少し気になったのは敵基地攻撃能力です。前回議論したときには、これがあったのですが、その間、自民党の提言が出て、反撃能力と変わりましたので、敵基地攻撃能力については、(反撃能力)とか入れたほうが良いのではないかと思いました。
ちなみに、1点だけ申し上げますと、いわゆる、備えあれば憂いなしという言葉がありますが、実は先週末に公開されました「シン・ウルトラマン」という映画がございまして、これは、2016年に、霞が関の硬直性を指摘して大ヒットした興収83億円上げた「シン・ゴジラ」をつくった庵野秀明氏と樋口真嗣氏のコンビでつくった映画です。この中で山本耕史さん演ずるメフィラス星人がこう言うのです。「備えあれば憂いなし、私の好きな言葉です」と言いながら、実は日本政府に極めて高価な装置を売りつけるというシーンが出てまいります。是非、この辺り御覧いただければ、よろしいのではないかと思います。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、会場5名の方、御発言いただきましたので、テレビ会議システムで、お三方に御発言いただきます。安永委員、それから、上村委員、熊谷委員です。
それでは、安永委員、どうぞお願いします。
〔安永委員〕ありがとうございます。グリーンに関して、2点ばかりコメントさせていただきます。
まず、議論してきたことを、かなりきちんと反映いただきまして、ありがとうございます。
一方で、やはり現下のウクライナ情勢を受けて、中長期的にエネルギー価格の高止まりが予想される中で、ややもすれば、だからこそ再生可能エネルギー導入を優先すべきであるという議論が、メディアを中心に起こるのですが、現実には、それを優先するとよりコストが上がっていくということ。産業競争力を失うことになりかねないということで、99ページの一番最後のところ、やはりS+3Eを大前提にしているのは、産業競争力の維持向上をまず原則にする。その上で再生可能エネルギーの導入、それから、原子力を含むあらゆる選択肢を追求すべきという点は、現状を踏まえて少し現実界を見ていただきたいと思います。
それから最後の部分ですが、やはり広瀬委員からもお話ありましたとおり、系統の整備ですとか、あるいは再生可能エネルギーの変動要因に対応するためには、相当な初期投資が必要になって、その初期投資の恩恵を受けるのは将来の世代ということを考えますと、必ずしも単年度の財政の健全化というよりは、中長期的に見たときに、どのような形で財政がきちんと回っていくかを考えながら、中長期的視点でやはり財政導入を柔軟に考えていただきたいというのが意見です。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、上村委員、どうぞお願いします。
〔上村委員〕上村です。102ページからの産業・中小企業についてですが、新型コロナ対応の短期的なことが書かれているのですが、中小企業政策の大きな方向性について書くべきではないかと思います。つまり、大企業との格差是正ではなくて、中小企業が中堅企業などへ成長していくことが重要であって、中小企業政策の在り方を抜本的に変えていく必要があるということを、もっと押し出せないかと思っています。
また、細かいことですが、タイトルに「産業・中小企業」とあるのですが、「産業」をつける必要があるのかと思ったりしました。この文章の中に1回も「産業」は出てきません。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、熊谷委員、どうぞお願いします。
〔熊谷委員〕熊谷でございます。内容は全面的に賛成でございますが、少し気になった点を3点ほど申し上げます。
まず、1点目は71ページの一般財源総額実質同水準ルールです。ここは会議の中でも最低限のものであるというようなニュアンスがありましたので、その辺りを少しにおわすことができればというのが1点目です。
それから、2点目は99ページからのグリーンです。ここは、恐らく本質的に重要なことは、民間の主体の予見可能性を高めるということではないかと思います。その意味では、例えばこれは財審の矩を越えるかもしれませんが、環境省と経産省でやはり司令塔をしっかりと一元化していくことが非常に重要であると思いますし、また、例えば複数年度の予算ということも考える。ただ、その際にはしっかりとした財源の裏づけを取りながら、複数年度の予算を考えていくということではないかと思います。
3点目は105ページのあたりで国防です。これは審議会の中で、負担増でやっている国、例えばEUのような国と、歳出の中身を入れ替えているアメリカや韓国のような国があるということで、縦軸と横軸で非常に分かりやすい、非常に良い整理をされた図表があったと記憶しておりますが、これはもちろん政治的に非常に微妙な話ですので、あのような議論をするかどうかはいろいろあると思うのですが、一つの議論の仕方として、あの図表をしっかり示して、負担を増やすのか、それとも歳出の中身を変えるのかをしっかり正面から議論することも必要なのではないかと考えました。
いずれにしても、以上3点、最終的には事務局に一任をしたいと思います。ありがとうございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、テレビ会議システムで河村委員から合図がございました。河村委員、どうぞ御発言ください。
〔河村委員〕ありがとうございます。私から文教、それから中小企業、防衛でそれぞれ一言ずつ申し上げさせていただきたいと思います。
文教ですが、冒頭の73ページの中ほど、15行目以下あたりですが、今よりも少ない人数で日本を回さなければいけない子供たちに負担を更につけ回すことは厳に慎まなければいけないと、はっきり書いていただき、大変よかったと思います。
それに呼応する形で、例の奨学金の書き方ですが、82ページの8行目以降で今後の在り方をお書きくださっているのですが、これまでの施策の効果を検証して、いろいろ機関要件の厳格化とか、新たな財源が必要となるのであれば、恒久的な財源確保策も併せてとお書きくださっている、このとおりだと思うのですが、ここにやはり冒頭でお書きくださったような、今後、本当に少子化が一段と進む中、人口減少の中で、負担を安易に次の世代にツケ回すことがないようにということ、少しそうしたニュアンスが入るようなところを加えていただいてもよいのではないかと思います。
文教の当日の議論のときに申し上げられていないのですが、今回、引き合いに出しているのはオーストラリアとかイギリスですが、アメリカは今、奨学金の話が大分問題になっています。みんな、コロナとかがあって返し切れなくなって、今、バイデン政権は減免をどうするかが最大の政治的な課題になっていて、やはりそうした弊害とかもあったりするかと思います。これは今回議論していることではないのですが、やはりそうしたところも踏まえて、少し慎重に書いておいてもよいかと思いました。
次に、中小企業ですが、102ページ、103ページで、安易な公的支援をだらだらやると、どのような弊害があるかということをしっかり第一、第二、第三と整理してくださっていて、とても良いと思うのですが、この整理をしてくださっているのに、最後の結論のところです、103ページの8行目から12行目の、最後の結論のところが、これだけしてくださりながら、最後が「局面の変化を見極めつつ、真に必要な先に着実に支援が届くよう」にとか、それから、「これまでの施策の効果について検証」とかだと、やはり少し踏み込みが足りないのではないか、もう少し書いてもよいのではないか。局面の変化を見極めつつ、やはり、今、どのような局面に変わってきたかを踏まえれば、新陳代謝を促進するような方向に徐々にかじを切っていくべきではないかぐらいのことを、もう少し入れてもよいかと思いました。
それから、最後に防衛ですが、先ほどもいろいろ御意見出ていましたが、私もやはり今回非常に充実した説得力のある内容で、大変良かったのではないかと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、こちらの会場から、平野委員、どうぞ御発言ください。
〔平野委員〕ありがとうございます。手短に、グリーンについて申し上げたいと思います。
DXとGXが今後の日本経済の成長を支える二本柱といいましょうか、ドライバーになっていくことは間違いないわけです。その割に、記述が少ないのではないかということです。
デジタルに関しては、先ほど申し上げたとおりですが、とりわけGXは、先ほど安永さんも触れられましたが、日本の国内における投資を積極化、活発化させる大きな要因になると思っておりますので、ここは是非充実させてほしいということで、申し上げたいと思います。
それで、まず、ウクライナ情勢に伴って、エネルギー需給が急速に悪化している。したがって、GXに関しても、一部揺り戻しの話も出てきているわけです。ただ、ここでも書いていただいているように、大きな潮流が変わることはない。むしろ、日本にとっては、従来、グリーンウォッシングとかと言われて批判の対象になっていたトランジションを、いかに円滑に進めるかということを、世界的にも認識してもらうチャンスになるし、実はその技術は、日本の産業は様々持っているわけです。
したがって、そうした観点も含めて、先ほど、広瀬さんや安永さんからも御指摘あったような、少し具体的な内容を書き込んでいただければということを考えます。
今回、99ページですか、原子力の活用に踏み込んでいただいたのは大変結構ですが、要するにエネルギーの構造改革に向けてすべきこと、それを書き込んでいただきたいというのが、まず第1点です。
それから2点目、これは非常にコントラバーシャルですが、カーボンプライシングです。今回は100ページの19から25行目ですか、カーボンプライシングの議論を進めることの必要性について言及していただいている。これは結構なことであると思うのですが、書き方は難しいのですが、やはり価格効果であるとか、それからさらに言うと財源効果に関する記述を、もう少し充実させたほうが良いのではないか。炭素の値付けというのは、企業行動の変化だけではなくて、家計の行動変容に与える影響というのも大きいと私は思っています。ということなので、それをやはり書くべきではないかということ。
それからもう一つは、制度設計に工夫を凝らせばという前提ですが、様々な政策支援に関して必要となるカーボンニュートラル達成までに必要な財源、手当の仕組みともなり得るということ、これは財審としては書いてもよいのではないかと私は思っています。
これまで、省庁ごとに、端的に言えば経産省と環境省ですが、ばらばらに議論がなされる中で、結論が先送りされてきているということです。ただ、GXというのは極めて困難、かつ実現に時間がかかるわけなので、政策のベストミックスをどうつくるかと、それからもう一つ、早期の取組、早めに着手するということは重要なので、排出量取引であるとか、それから炭素税の導入についての議論についても、早期に検討を深めるべき、あるいは早期に結論を得るべきと、踏み込んでいただけないかと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、宮島委員、どうぞ。
〔宮島委員〕ありがとうございます。一つだけです。
社会資本整備ですが、一番最初に、そもそも人口が減少して状況が変わっている中での社会資本整備がどうあるべきかという、中長期的な方向性のようなものをばんと書いたほうが、1文でよいのですが、書いたほうが良いと思います。
これ読み始めて、どちらかというと、社会資本は既に充実しているので、そんなにたくさん要らないとか、あるいはメンテナンスとか質だと書いてあって、人口減少の、これからの未来に関しては住居との関係しか書いてないのですが、そもそもインフラ整備そのものが、これからの日本の在り方、日本の中長期的な在り方や住まい方、全体的な暮らし方のベースとして、何が適切なのかを考える必要があるのであると思うので、本当に短くてよいのですが、最初のあたりに、社会資本整備は人口減少時代において、まだ私も文章化していませんが、こうした方向を狙っているというのを、ばんと書いていただけると良いかと思います。
〔増田分科会長代理〕それでは、テレビ会議システムで、小林慶一郎委員から合図があったようです。小林委員、どうぞ御発言ください。
〔小林(慶)委員〕手短に、中小企業と防衛のところを一言ずつコメントしたいと思います。
中小企業、102ページのあたりで、新陳代謝を促進すべきであるというのは、全くそのとおりであると思います。その中で触れられていないのですが、倒産処理とか、あるいは市場からの退出も、ある程度促していって、それで新陳代謝を促進させるという観点も必要かと思います。ですから、今回、飲食や宿泊はコロナによって相当過剰債務がたまっている業界ですので、例えばそうした業界の過剰債務の処理、これは倒産処理も含めたものを促進するという観点が必要ではないかと思います。その際には、やはり金融機関による債務減免と、それから、それを補う、金融機関に対する資本注入も、財政の話としては出てくるということであると思いますので、この点についての記述もあってもよいのではないかと思いました。
もう一つ、防衛ですが、経済や金融、そして財政面における脆弱性にきちんと着目しなければいけないという議論が財審の中で出ている。これは非常に皆様から、私も含めてそのとおりであると思ったポイントだと思います。
今回、読んでみると、もう少しその部分の、要するに経済・金融・財政面の脆弱性についての記述があってもよいのではないかということが一つと、それから、このような脆弱性が、有事によって顕在化してしまったときに、どう対応するのかが書かれていないわけです。それを書くのは難しいかもしれませんが、例えば資本逃避のような、経済の脆弱性が顕在化したときに何をするのか、財政的に何をするのかということを今後、これから議論を深めていくべきであるというようなことは、問題意識として持っておくべきではないかと思いました。
私からは以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、後半のパートについての御意見等は、ここまでとさせていただきます。ここまでの御意見、御質問に対して、起草委員の先生方から御回答ございましたら、どうぞお願いします。
それでは、中空委員、どうぞお願いします。
〔中空委員〕ありがとうございます。まず、文教ですが、いつもは、本当にもっといろいろ御意見をいただくところですが、今回は何かあまりありませんでした。河村委員がおっしゃっていた、ツケ回しをしないようにということについては、うまく入らないか検討したいと思います。
もう1点のグリーンですが、グリーンに関しては平野委員がおっしゃっていた、ボリュームが少ないぞという問題です。重視していることとボリュームの相関問題ですが、私もいつも考えておりまして。実際、社会保障の頁がやたら多くなっています。重要性に鑑み、それは仕方がない面があるものの、それ以外のところがどうも簡素に見えてしまっています。それがすなわち、重視してないのか、重複していたとしてもしていないように見えてしまう、ということに結びつくのは本当だと思います。
ただ、ボリュームをどうやって増やそうかとなったら、増やす材料もそうないわけです。なぜかというと、やはりまだ、議論したことがそんなになかったという話になってしまうわけです。これからおいおい増えていくだろうという期待の下、今後の課題とさせていただければと思います。もちろん、今日御意見いただいたような系統強化ですとか、それから具体論を入れていこう、とか、また、現実的に少し揺り戻しがきている事実やそれでも揺り戻してはいけないよねという決意とか、も踏まえていく必要は今後出てくると考えます。また、これは木村委員からいただきましたが、最後の3行ぐらい少しおかしくないかというところについても、他の委員と見直し、見直せる範囲で修正も考えたいと思います。
また、大きな問題、カーボンプライシングについては、私は推進していくべきだ、サステナブルファイナンスを推進していくべきという立場です。そのため、その辺は比較的強く踏まえたつもりですが、カーボンプライシングについてのコントラバーシャルなところについても含めて、見直したいと思います。書き込める部分がどれぐらいあるか分かりませんが、そこはやっていきたいと思います。
ありがとうございました。以上です。
〔増田分科会長代理〕ほかに、冨田委員。どうぞ、冨田先生お願いします。
〔冨田委員〕ありがとうございます。皆様の御指摘、私もそのとおりであると思います。私なりに、起草委員として今回、是非とも力を入れて、読んでいただきたい点を申しますと、それは河村委員から御指摘のあった2ページの11行、12行、13行ですが、申し上げたい点は、歴史の転換点ともなり得る世界的な環境変化と我が国のバルネラビリティを踏まえ、というところです。この点を非常に重視しておりまして、重点を置いて、中の記述もこれをかなり充実したものに、中身もこれを敷衍したものになっていると私は考えております。
それからもう1点は104ページ、安全保障、防衛のところでございます。ここで申し上げたい点は、11行、12行、13行、14行ですが、結局、「三文書」の見直しということは、財政にどう影響を与えるかということについて、今日も御議論、皆様からあったわけですが、熊谷委員からは、防衛費の中身の議論がございました。ここで申し上げたい点は、過去どうだったのかということですが、防衛関係費の増加は、他の経費の削減・効率化によって賄ってきた。ただ、今回は、巷間言われるように、もっと大規模なものである可能性が高い。したがって、そうした観点から、今回の建議の中身もお読みいただきたいというのが私の希望です。
それから、地方財政のところは本当に記述が少ないということですが、これは、本年度の当初予算の審議で、私、コメントさせていただきましたが、臨時財政対策債について、新規発行はなくなりました。それから借換発行の分も減りました。つまり、臨財債の残高が減ったということで、現在の地方財政予算を組む大きな枠組みは機能している。その上で、今回指摘した点は、公務員の定年延長の話ですが、もう1点書いてありますのが、地方創生臨時交付金です。これが交付されたことによって、やはり一般財源総額ルール、予算制約がソフト化されているというか、予算制約が緩くなってしまったという問題です。
また、委員から、コメントございましたが、歳出の中身について、もっと検証すべきではないかという御議論もございました。これも前の財審のときに議論ありましたが、例えばこの臨時交付金でもって、小学校のクーラーを導入するとか、およそコロナと直接関係あるのかというものにも使われているので、こうした点をやはり、もっと厳しく見ていく必要もあろうと思いますが、そうしたことで地財は、大方針について、大きな問題はないということで、非常に簡潔な建議の案となっております。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、佐藤委員がお話しになった農林水産のこと、八幡総務課長からお願いします。
〔八幡総務課長〕ありがとうございます。
本日は大変有意義な御意見、御提案ありがとうございました。
その上で、佐藤委員から、今回、農林の記載がなぜないのかという御質問がございました。
この点、事務局としまして、また、起草委員の先生方とも御相談させていただきたいと思いますが、その前提で事務局としての見解でございますが、春の財審はいつも、基本的には骨太を念頭に置きながら、我々も考えているという中で、やはりテーマも、総論はもちろんのことながら、今日も若干バランス論の議論がありましたが、やはり社保などを中心に、今年の骨太でも相当話題になりそうな議論を、若干選択をしながら、テーマが選ばれていると承知しております。
その上で、佐藤委員おっしゃるように、農林も大変重要なテーマ、漁業も含めてございますし、例えば、外務、経協などもここに入ってない部分もありますが、実は、去年は防衛がなかったりとか、多少構成が違っているところがございます。
むしろ逆に、そう言いながらも幅広いのではないかとか、相当多い分野を扱っていただいていますが、多少、今年は扱わなかったりというようなことも、農林に関しては、実は令和元年の前にも、見ていますと、抜けている年があって、決して軽視しているという意味ではないですし、秋以降では、各論では逆に網羅的に扱わせていただくことになると思いますが、そうした中でのこうした分野選定になっているかと思います。
いずれにしても、また、起草委員の先生方とも御相談させていただきまして、取扱いをどうするか、検討させていきます。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、質疑はここまでとさせていただきまして、会長から、最後にお願いします。
〔榊原分科会長〕今日は本当に、委員の皆様から大変貴重な御意見をいただきまして、できるだけ皆様の意見は正確に取り込んでいきたいと思っております。何人かの方々から、表題について御意見いただきました。私が申し上げるまでもなく、今までもリーマンショックやバブル崩壊など未曽有の変動期というのは何度もあったわけですが、今回の変動は今までと全く質が違う、広範な変動であると思います。経済だけではなくて、防衛・安全保障、あるいは世界の体制、グリーン、人権なども含んだ総合的な変革期であると思います。
そうした中で、今回の提言は、我が国の財政をどう考えるかという非常に重要な、まさに岐路に立つ状況を踏まえた内容であると思いますので、表題についても、皆様から御意見いただきましたが、それを表現するにふさわしい表題として、歴史的転換点における財政運営といった形で、警鐘を鳴らすといった意味も含めたいと思います。
今日は本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。
〔増田分科会長代理〕会長、ありがとうございました。
それでは、本日の議論、ここまでということですが、なお、建議の内容や修文につきましては、委員間の率直な意見交換のため、また、審議、建議の中立性を担保するということで、従来議事録の公開によるほかは公にいたしておりません。そのため、次回取りまとめに向けて建議の内容や審議の途中経過につきまして、対外的にはお話しにならないように、委員の皆様方の御理解をお願い申し上げます。
また、本日お手元に配付しております建議案につきまして、今日の次第の右上にも書いてございますが、会議後要回収と赤字で書いてございます。恐れ入ります、回収とさせていただきますので、お持ち帰りにならず、机の上にお残しいただきますように、お願いいたします。
本日はこれにて閉会いたします。どうもありがとうございました。
午前12時00分閉会