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財政制度分科会(令和4年4月13日開催)議事録

財政制度等審議会財政制度分科会
議事録

令和4年4月13日
財政制度等審議会


財政制度等審議会財政制度分科会議事次第

令和4年4月13日(水)15:00~17:10
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)

  • 1.開会

  • 2.議題

    • 社会保障等について

  • 3.閉会

出席者

分科会長代理

増田寛也

高村大臣政務官

水口政策立案総括審議官

奥次長

阿久澤次長

八幡総務課長

大久保司計課長

藤﨑法規課長

三原主計官

福田主計官

高田主計官

有利主計官

一松主計官

野村主計官

北尾主計官

渡辺主計官

今野主計企画官

山岸主計企画官

鈴木主計企画官

宮下主計企画官

赤井伸郎

遠藤典子

大槻奈那

佐藤主光

武田洋子

土居丈朗

中空麻奈

南場智子

藤谷武史

宮島香澄

芳野友子

臨時委

秋池玲子

上村敏之

宇南山

河村小百合

喜多恒雄

木村

熊谷亮丸

小林慶一郎

小林

末澤豪謙

和夫

竹中ナミ

田近栄治

田中里沙

平野信行

広瀬道明

福田慎一

真奈美

神子田章

村岡彰敏

横田響子

吉川


午後3時00分開会

増田分科会長代理時間となりました。本日もまた、冒頭でカメラが入りますので、そのままお待ちいただきたいと思います。それではお願いします。

(報道カメラ入室)

増田分科会長代理ただいまから、財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。皆様には御多用中のところ御出席いただきまして、ありがとうございます。

本日は、社会保障等を議題としております。

それでは、そろそろ報道関係の皆様方、御退室をお願いいたします。

(報道カメラ退室)

増田分科会長代理それでは、議題に入ります。

本日の審議は社会保障が中心ですが、地方財政についても併せて議論を行います。

初めに社会保障、それから地方財政、続けて、まず説明していただきたいと思います。社会保障、一松主計官からお願いします。

一松主計官厚生労働主計官の一松でございます。本日は、補正予算の対応を含めた「見える化」を意識し、新型コロナ対応の説明から入ります。

3ページです。医療提供体制等の強化のために、国費を主なものだけで16兆円程度投じてまいりました。

4ページです。キャプション一つ目の丸のとおり、医療機関及び医療従事者への支援は、うち半分の8兆円程度ですが、ひずみが見られます。

左側の赤の棒グラフのとおり、国公立病院において、それまでの決算とは大きく異なる大幅な黒字が計上されており、現預金や有価証券の積み増しが見られます。これらの病院の成り立ちや役割からして、病床確保料などにより生じているこうした現状は、ワイズスペンディングとは言えないと考えます。

5ページの真ん中、右の図を御覧ください。かねて医療機関の支援に関しては、コロナ前の水準の診療報酬をそのままお支払いする簡便な方法による減収補塡を提案してまいりました。下にあるとおり、医療団体や地方団体の要望でもありました。いまだ実現しておらず、診療行為に対して全国一律の評価とはならないことなどが論点ですが、6ページのキャプション一つ目の丸のとおり、医療機関ごと、あるいは、地域ごとに診療報酬・介護報酬の評価が異なる例はあります。したがって、実施を検討すべきです。

このページのボックスの四つ目の丸以下、あるいは、図表の下半分ですが、効果的な財政支援のためにも医療法人の経営情報を「見える化」する必要があり、一覧性のある全国ベースの電子開示システムを早急に整えるべきとの主張になります。

7ページは、病床確保料を受け取りながら、患者を受け入れなかった病床につきまして、真ん中の右のアンケート調査では、そうした病床があったと答えた方も一定数おります。昨秋以降なされたはずの調査結果を公表すべきです。

8ページです。先ほど御紹介した決算の状況などによりまして、公立病院のこれまでの経営改革の流れが阻害されてはならない。費用構造の改善の取組などをひるまず進めるべきであるとの主張です。

9ページは、ワクチン確保です。表の右下の下線部のとおり、先般使用決定した予備費を含めますと、累計8億8,200万回のワクチンの確保のために、累計2.4兆円を投じております。総人口掛ける接種回数を大きく上回っております。単純計算で割り算しますと、1回当たり2,700円強となります。

10ページ、ワクチンの接種費用です。左下のボックスの下線部を御覧いただきますと、1回当たり最大税込みで7,620円が支払われ得る仕組みの下、加重平均で1回当たり税込み3,700円ほどが医療機関等に支払われております。

全体像が11ページです。今御説明申し上げたのが、11ページの図の青の部分や、緑の部分の一部でして、そのほかにオレンジの部分、集団接種会場の設置などのために、自治体にお支払いする接種実施体制の費用がございます。これについては、多くの補助金が別途予算計上されております。

12ページは、治療薬に対する予算措置の御紹介になります。

雇用・生活支援にまいりますと、14ページの一番上のとおりですが、6兆円以上の国費を投じております。

15ページのとおり、重層的なセーフティーネットの考え方の下、様々な特例措置を講じてまいりました。最大のものは左上の雇用調整助成金です。

16ページから、昨年秋、当審議会で御審議いただいた時点からのアップデートが続きます。

16ページの右下のブルーの「原則」とされている措置の日額上限は、更に引き下げることができましたが、緑の「特例」の日額上限や助成率は維持されたままです。

17ページの左側の図のとおり、本来、ブルーの保険料で賄うべき雇用調整助成金につきまして、薄橙色の部分に、一般会計からの繰入れを措置いたしました。令和2、3年度累計での一般会計負担は、右側の赤の点線囲いのうち、真ん中の数字の約1.8兆円になっております。キャプション四つ目の丸にあるとおり、令和3年度補正予算における1.7兆円の任意繰入れを加えまして、累計額は、一番右下の赤点線囲いの約3.6兆円に達しております。

18ページのとおり、雇用調整助成金の特例は、失業率の抑制に寄与した一方、様々な副作用も指摘されており、諸外国では、同様のスキームは終了・縮減しております。

19ページの左側の図のとおり、新型コロナ発生当初の雇用過剰感は解消し、むしろ雇用不足感が上回っており、左下の雇用過剰感が続いたリーマンショック前後とは様相が異なります。右側の休業者数を見ても、紫線の宿泊・飲食サービス業以外はおおむね新型コロナ前の水準に落ち着いてきており、キャプション三つ目の丸のとおり、労働移動を促す施策を講じながら、特例措置を見直していくべきです。

20ページです。昨年末の建議も踏まえまして、平時と有事の役割分担を規定した雇用保険法改正法案が先般成立いたしました。キャプションの二つ目の丸にありますとおり、財政当局としては、着実な保険料の引上げと、安易に一般会計に依存しないことを求めてまいります。

21ページは、緊急小口資金等の特例貸付についてです。上段の図のオレンジの矢印のとおり、貸付から給付への転換を図っており、左下のグラフが示すとおり貸付のニーズは一巡しつつあります。他方、右上の図が示すとおり、生活保護受給者数は大きく増加しておらず、適切につながれているのか、検証が必要です。

22ページは、今後の視点です。雇用保険につきましては、非正規労働者への支援、そして個人申請についての課題が浮かび上がりました。生活支援につきましては、先ほどの貸付や給付で終わりではなく、相談支援の強化が今後求められます。また、住居確保給付金の特例的な対応からは、居住支援の強化の必要性が浮き彫りとなっており、これらについては財源を確保しつつ、平時の対応としても取り組むべき課題と考えております。

総論に参ります。

24ページ、25ページは給付と負担の乖離の現状について、いつもお示ししている資料です。

26ページは、社会保障関係費の歳出の目安の達成状況について、これもよくお示ししている資料です。26ページの一番右側の令和4年度予算では、制度改正による減に対応する赤字の部分の数字ですが、2,200億円となりました。

27ページは、令和4年度予算編成についての資料ですが、説明は省略させていただきます。

28ページ、現役世代への給付が少なく、給付は高齢者中心という社会保障の構造をお示しし、負担を先送りしないためにも、将来世代も全世代に含めて改革すべきと主張させていただいております。

30ページから医療、各論に入ります。

30ページです。我が国の保健医療支出の対GDP比は、キャプション一つ目の丸のとおり、OECDで5番目に高く、政府支出に占める公的な支出の割合は2番目に高い状況にあります。右側にあるとおり、リーマンショック以降のGDP比は、OECD諸国とも安定傾向にあります。

31ページは、医療費の分析になります。キャプション二つ目の丸ですが、年齢階級別医療費を見ますと、下の入院・外来の①のグラフが示すところですが、一人当たりの入院日数や外来日数が減少しておりまして、高齢化による影響が低下しているようにも見えますが、②1日当たりの費用は増えておりまして、結局、積である③の一人当たり医療費は、どの年齢階級でも増加しております。現在の高齢化による増加分の範囲内という社会保障関係費の規律は、こうした現状に即したものと考えております。

32ページでは、とはいえ、社会保障関係費の規律は、国費の規律にすぎませんので、給付水準そのものの規律も必要という問題意識を書かせていただいております。その場合、経済成長率との整合性が一つの考え方になります。

33ページのとおり、かつてこうした伸び率管理にチャレンジいたしましたが、厚生労働省から、生活習慣病対策などの積み上げで医療給付費の対GDP比は抑えられるとの反論がなされた経緯がございます。右の表にありますとおり、生活習慣病対策で2.2兆円減少の医療費の適正化効果が生じるなどといった主張でしたが、エビデンス上のてんまつ、すなわち、200億円の医療費適正化効果しか証明できなかったことが、34ページに書かれております。

34ページ、右下のグラフのとおり、医療給付費の対GDP比は、当時厚生労働省が主張していた2025年度の水準を既に超えております。

35ページは、我が国の医療保険制度の特徴を起点といたしまして、改革の視点を御説明した資料です。下のブルーの部分が、これから御説明することの目次に相当します。

まず、効率的で質の高い医療提供体制の整備が必要ということでございまして、37ページに入ります。左側、真ん中の入院医療費と病床数の関係が示すとおり、医療費の水準と相関が高いのは、先ほどの生活習慣病うんぬんではなく、医療提供体制側の供給要因でありまして、その効率化抜きに、医療費の適正化は図れません。キャプション二つ目の丸のとおり、効率化と質の向上を両立させることは可能です。

右側の表は、病院病床当たりの医療従事者が少なく、医療資源が散在している我が国医療提供体制の脆弱性を示しており、まさにコロナ禍で浮かび上がった課題です。その克服のため、地域医療構想の推進をかねてから繰り返し訴えてまいりました。

38ページです。地域医療構想につきましては、キャプション二つ目の丸の太字の部分が示すとおり、今年度、来年度に取組を進めることになっておりまして、三つ目の丸のとおり、私どもとしては、法制上の位置づけの強化、PDCAの強化、都道府県知事権限の強化を主張しております。

39ページです。キャプション一つ目の丸のとおり、これまで医療機関の役割分担や連携が不足していた一因として、医療機関ごとに経営主体や規模がばらばらなことが挙げられます。三つ目の丸にあるとおり、「競争より協調」という考え方に立って創設された制度として、地域医療連携推進法人制度があり、より活用するべきです。六つ目の丸のとおり、医療機関単位、医療行為単位に偏重している診療報酬体系について、こうした連携を評価するものに変えていくべきです。

40ページからは、外来診療のかかりつけ医についてです。キャプション三つ目の丸、そして、左下のブルーの部分で触れている医療団体による、かかりつけ医機能の定義が端緒になり得ます。右下のオレンジの部分のとおり、薬局・薬剤師では、地域連携薬局による認定制度化が進んでおりまして、同様に取り組むべきと考えます。

41ページは発熱外来の公表の件です。左下の図の仕組みから、発熱外来の公表を条件として、診療に対して支援するという右側の仕組みに変えて、財政支援の仕組みを切り替えるなどしてまいりましたが、公表がいまだ十分でないのは右側の円グラフが示すとおりです。ブルーの部分のとおり、6都県しか全発熱外来を公表してないのですが、その一つである東京都の現状が、42ページの真ん中の左の円グラフで示されております。発熱外来の約4割はブルーのかかりつけ患者のみを対象とのことです。これまで誇ってきたフリーアクセスとは様相が異なっており、必要なときに必要な医療にアクセスできるものにしていくためには、平時にも感染症有事にも機能するかかりつけ医の制度化が不可欠と考えます。キャプションの四つ目の丸では、かかりつけ医機能を法律で明記した上で、手挙げ方式の認定制度と利用希望の患者による登録制度の導入を具体的に提案しております。

44ページからは、令和4年度診療報酬改定に移ります。今回の診療報酬改定の一つの特徴は、右側の欄の真ん中にある7項目の制度改革事項が、財務大臣、厚生労働大臣の大臣合意に盛り込まれ、反映されたことです。

45ページのキャプション三つ目の丸のとおり、当審議会の建議で、「医療提供体制改革なくして診療報酬改定なし」を掲げた成果であり、五つ目の丸では、巨額の財政支出を行っている以上、ワイズスペンディングの観点から、今後とも、中医協の領域うんぬんにとらわれず、具体的な提言を強化すべきことを述べております。

46ページから49ページにかけて、令和4年度診療報酬改定で導入された中で、特に重要と考えるリフィル処方箋、繰り返し使える処方箋の導入についてです。

リフィル処方箋の導入は、46ページの右側の経緯をまとめた表が示すとおり、当審議会の建議が導入を後押ししたものであり、キャプション二つ目の丸のとおり、患者のメリットが大きく、医療提供体制の整備にとって画期的な前進と考えます。

患者のメリットと申し上げましたが、我が国医療では、47ページのキャプション一つ目の丸の(注)で「ditto」という単語を紹介していますが、長期的に処方内容が変わらない処方が相当程度行われております。リフィル処方箋は、そうしたお薬を受け取るための通院負担を軽減いたします。キャプション三つ目の丸のとおり、コロナ禍でのお薬受診は、感染拡大防止の観点からも望ましくないと考えます。

医療提供体制の整備にとって画期的と申し上げた点は、48ページ、49ページで述べておりますが、門前薬局という立地頼みの経営、大手調剤チェーン薬局による規模頼みの経営といった、薬局・薬剤師の在り方を是正し、医師から薬剤師へのタスクシフティングや、健全な医薬分業の発展につながると考えます。

50ページです。調剤報酬改定におきましても、当審議会の建議を踏まえまして、敷地内薬局の調剤基本料の引下げなどの改定が行われております。

51ページです。令和4年度診療報酬改定におきまして、紹介状なしで大病院を受診する場合の定額負担が拡大されました。この仕組みを参考にいたしまして、かかりつけ医の制度化に当たりまして、キャプションの二つ目の丸に書かせていただいておりますが、認定されたかかりつけ医については定額報酬で報いまして、そこに登録されてない患者が診察を受ける場合は、その全部または一部を患者負担でいただく制度設計が考えられると思います。

52ページ、左の真ん中の黄色のボックスのとおり、令和4年度改定ではオンライン診療の初診料が251点に引き上げられました。対面診療とはなお開きがありますが、キャプション一つ目の丸のとおり、オンライン診療では、システム利用料をいわゆる保険外費用として徴収できます。その実態が、右下の図で示されております。

他方、二つ目の丸の(注)のとおり、あるいは、薄橙色の真ん中のボックスのとおり、オンライン資格確認システムを利用する場合は診療報酬が保険内で加算になります。オンライン診療の診療のシステムは保険外で、窓口のマイナンバーカードの利用は保険内という整理、この両者の関係を整理する必要がありそうですが、三つ目の丸にありますとおり、診療行為の中で、診療行為としての対価性が乏しい事務負担に要する費用を保険外費用との位置づけに見直して徴収していくことは、かかりつけ医の制度化に当たって、かかりつけ医以外に対する一般的な受診について検討する余地があると考えます。

令和4年度改定におきましては、薬価改定につきましても、53ページのとおり、当審議会の建議を踏まえた大臣合意を一定程度反映した改定が行われました。

54ページ、左下のグラフで、かねて御主張させていただいていますが、薬価について、青線のとおり、価格面でマイナスが続いておりますものの、薬剤使用量の増加や新規医薬品の保険収載で、薬剤費自体は赤線のとおり、平均伸び率2%弱の成長が続いてきました。くわえて、先ほど御説明した新型コロナへの対応で多額の財政支出が、ワクチン・治療薬に講じられていることにも留意する必要があります。

薬剤費の予算統制を強化すべきとの主張につながりますが、55ページのキャプション二つ目の丸では、令和4年度改定において、保険給付の範囲内で処方できる湿布薬の上限枚数を1処方につき70枚までから63枚までに変更したことに触れ、その財政効果は、左の真ん中の表の一番下にありますが、70億円でございまして、それで再生医療等製品1剤分のピーク時の市場規模に匹敵することを指摘しております。右側の表です。

このようにイノベーションを推進する財政余地を生み出せるのであれば、三つ目の丸のとおり、既存医薬品の保険給付範囲の見直しを加速化・徹底すべきと考えます。

下のほうでは、この場で繰り返し御説明してきた保険給付範囲の見直しの具体的手法です。御説明は省略させていただきます。

56ページでは、とはいえ、近年、医薬品市場におきましては、市場規模で見ても大きな医薬品が上市されてきております。三つ目の丸にありますとおり市場拡大再算定をはじめとする現行の薬価改定ルールの徹底や強化も避けられないことを指摘しております。

57ページは、費用対効果評価について、キャプションの太字の部分のとおり、迅速・効率的な評価、対象品目の拡大、価格調整を行う対象範囲の拡大、保険収載の除外の活用を求めております。

58ページもかねてよりの主張でございまして、キャプション二つ目の丸のとおり、新規性に乏しい新薬について、薬価算定の厳格化、原価計算方式の更なる適正化、補正加算の在り方の見直しの具体的提案になりますが、これまで再三再四主張していますので、御説明は省略させていただきます。

59ページでは、令和3年度予算編成で実現した毎年薬価改定について、なお、完全実施と言えるためには課題があるとして、完全実施の早期実現を求めております。三つ目の丸では、廃止を含めました調整幅の在り方の見直しについて、引き続き求めているものです。

60ページは、毎年薬価改定に至る経緯です。

61ページでは、薬剤費総額のマクロ経済スライドについて、下の図でお示ししているとおり、既に民間団体から具体的な提案もなされておりますので、この点について、建設的な議論が進展することを期待したいという趣旨のことを述べている資料です。細かい説明は省略させていただきます。

保険者機能の強化などガバナンスの発揮に移ります。

63ページです。先ほども申し上げたような生活習慣病対策重視で組み立てられました医療費適正化計画の見直しについてです。キャプション三つ目の丸で予防・健康づくりと医療費適正化の関係について触れた上で、四つ目の丸で優先順位を見直すことを求めております。六つ目の丸でリフィル処方箋の活用など、医療の効率的な提供こそ重視すべきであると述べております。

64ページですが、キャプション一つ目や二つ目の丸にあります都道府県医療費適正化計画の医療費の見込みの問題点は、当審議会で繰り返し論じさせていただいておりまして、関連する論点を含めまして、議論の成果が、右の黄色のボックスのとおり、昨年の「骨太方針」に盛り込まれております。着実に実施すべきです。

65ページですが、広く保険者のありようについての問題提起です。三つ目の丸の最後のほうに書かせていただいておりますが、保険者機能というときの「保険」はインシュアランスであるべきであり、「健やか」という漢字のほうの「保健」、すなわちヘルスケアと混同すべきでないと記させていただきました。

66ページです。キャプション一つ目の丸で、国保の都道府県化の意義に触れており、その徹底のためにも、二つ目の丸の法定外繰入れの解消や都道府県内保険料の統一の加速化が重要です。三つ目の丸では、関連して見直しが必要となる高額医療費負担金などについて言及し、普通調整交付金の配分方法も見直すべきと主張しております。四つ目の丸では、保険者努力支援制度もリフィル処方箋の活用など医療の効率的な提供を重視するものとしていくことを求めております。

67ページでは、都道府県によるガバナンスの強化の観点から、キャプション一つ目の丸で、後期高齢者医療制度の財政運営も都道府県に移し、広域連合の在り方を見直すことを求めております。三つ目の丸では、後期高齢者保険料の負担割合を、高齢化に伴う人口構成の変化を反映して高めていくことを提案しております。四つ目の丸では、後期高齢者支援金の加算・減算制度について、先ほどの保険者努力支援制度同様、リフィル処方箋の活用など、医療の効率的な提供を評価するものに見直していくことが必要としております。

68ページは、生活保護受給者も、国保や後期高齢者医療制度に加入し、医療提供体制側への都道府県のガバナンスが効くようにすべきと提案しているものです。

全世代型社会保障の構築に向けましては、70ページのとおり、後期高齢者医療の患者負担割合の2割負担の導入、10月施行が予定されていますが、着実な施行が重要です。キャプションの四つ目の丸では、金融所得さらには金融資産保有状況も勘案した患者負担とすべきとの課題を掲げております。

71ページでは、「能力に応じた保険料負担」と題しまして、今申し上げた金融所得、さらには金融資産の保有状況等の勘案は、患者負担だけではなくて、保険料負担においてこそ必要であることを述べております。また、先ほど申し上げました後期高齢者医療制度における後期高齢者の保険料負担割合の引上げ、それに伴う賦課限度額の引上げに加えまして、キャプション三つ目の丸で、合理的でない保険料負担の差を平準化すべきと主張しております。国保の都道府県内の保険料統一もその一つの取組ですが、さらに左下の図で、所得水準の高い国保組合に対する定率補助の廃止を主張し、右の表で、健保組合における保険料率の差異を指摘しております。

73ページからは、介護・障害分野に移りますが、介護保険制度は創設から20年を超えました。下の図で、緑の棒グラフは、いずれも制度創設時の予測でして、介護保険費用、保険料とも予測を上回ってまいりました。原因は、居宅系サービスの増加や、右下の予測を上回る要介護認定者数の増加です。

今後については、74ページでして、要介護認定率や一人当たり介護給付費が高い高齢者の増加で介護需要が増大し、右上の図のとおり、介護従事者不足が見込まれていますが、現役世代が急減する我が国において、確保には限界があります。効率的な介護サービスの提供体制を目指すべきであり、キャプション三つ目の丸では、そのことが介護給付費の抑制にも、処遇改善にもつながることを記しております。

75ページでは、キャプション一つ目の丸で、具体的にICT化、タスクシフティングなどの方策を掲げた上で、二つ目の丸で、経営の大規模化・協働化の必要性を指摘しております。三つ目の丸のとおり、今回のオミクロン株の流行の下で、医療と介護のニーズの複合化による課題が顕在化していることなどを見ても、四つ目の丸のとおり、医療と介護サービスの提供体制を俯瞰して、経営の大規模化・協働化を図る必要があると考えます。

76ページでは、キャプション一つ目の丸で、そもそも介護保険制度で、事業者間の競争による効率化が期待されていたことを指摘させていただき、そうはなっていない現状について、四つ目の丸で国や自治体による取組を求め、五つ目の丸では、規模の利益などをいかして、効率的な運営を行っている事業所等をメルクマールにして、介護報酬を設定すべきと主張しております。具体的なイメージ図を右下に掲げさせていただいております。

77ページは、こうした方向を見据えても、障害福祉サービスなどと比較しながらですが、介護サービスの経営状況の「見える化」が必要であることを指摘させていただいております。

もちろん保険給付範囲の見直しも必要であり、78ページでは、右上の表で、要介護認定者のうち5%にとどまる2割負担の範囲の拡大、原則化など、利用者負担の見直しを求めております。

79ページでは、ケアマネジメントへの利用者負担の導入を求めております。キャプション二つ目の丸の下のほうですが、介護保険サービスをケアプランに入れるため、必要のない福祉用具貸与等によりプランを作成するケースについて、これまでも当審議会で取り上げてまいりました。利用者負担の在り方を見直すことや、適切な介護報酬を設定することが必須です。

80ページは多床室の室料負担について、81ページは区分限度額について、昨年5月の建議に盛り込まれた内容と同内容ですので、御説明は省略いたします。

82ページは、介護給付の効率化の代表事例とされてきました地域支援事業の介護予防・日常生活支援総合事業についてです。各自治体は、高齢者の伸び率を勘案した事業費の枠内で事業を実施するはずでございましたが、その上限が形骸化している問題があり、上限超過を厳しく抑制する取組を引き続き強化すべきと考えます。

83ページでは、こうした見直しに取り組みつつ、要介護1・2の訪問介護・通所介護を地域支援事業へ移行すべきと主張しております。

84ページは、居宅療養管理指導等のサービスについて、本来の趣旨に沿った算定が適切に行われるべきとの主張になります。

85ページでは、介護給付費適正化が、医療費適正化と比べましても、概念上も緩いことなどを指摘させていただき、マンパワーなどの面で、市町村による取組には限界もあることから、都道府県の役割発揮を求めている資料です。

86ページは、居宅サービスが増加している中で、サービス量のコントロールを自治体にしっかりしていただきたいとの主張になります。

障害分野では、87ページのとおり予算額の伸びが顕著となっておりまして、右下の青い表を御覧いただくと、65歳未満の伸びが目立ちます。

88ページは、介護分野同様、サービスの質の確保の観点からも、自治体で適切にニーズを把握した上で、それに基づいてサービス量のコントロールをしていただきたいという主張になります。

子ども・子育て支援につきましては、90ページのとおり、厳しい財政事情の下、安定的な財源を確保しつつ、拡充してまいりました。

91ページです。キャプション一つ目の丸のとおり、我が国の家族関係社会支出の対GDP比、グラフが左上に並べさせていただいていますが、欧州諸国と比べて低水準との比較があります。国民負担率などの違いもあり、単純な比較は困難です。三つ目の丸のとおり、子育て世帯の受益だけではなく、負担面まで含めた上で、再分配が十分であるかといった視点も含めまして、分析を充実させるべきと考えます。

92ページです。家族関係社会支出と子ども・子育て支援は必ずしも一致するものではないことに留意し、真に子供や子育て世帯のためになる支援の充実を考えていく必要があるのではないかという問題提起です。

93ページのとおり、来年度には、こども家庭庁が発足いたします。しっかり取り組んでまいります。

94ページのとおり、非正規雇用労働者を含めまして、育児休業と保育の利用の権利性を高めていく必要性などに取り組むべき課題は山積しております。こうしたことにつきましては、全世代型社会保障構築会議などでも議論がされているところです。

95ページで、これまでの取組を振り返りつつ、安定財源の確保について、次の96ページでは社会保険制度からの拠出の拡充という選択肢もお示ししております。税財源の確保のみならず、幅広い選択肢を検討していく必要がありまして、このことは昨年の「骨太方針2021」にも書かれていることです。

最後の97ページです。児童手当の所得制限の世帯合算についてです。右下に載せてある閣議決定、あるいは法律上の要請も踏まえまして、引き続き検討していく必要があると考えます。

私からの説明は以上になります。

増田分科会長代理続いて地方財政、こちらは高田主計官からお願いします。

高田主計官地方財政担当主計官の高田でございます。よろしくお願いいたします。

まず、資料の1ページ、令和4年度の地方財政計画です。地方財政については、一般財源総額実質同水準ルールが適用されておりまして、直近では「骨太2021」において3年間延長されております。令和4年度は、このルールの下で編成がなされました。

具体的には、表の真ん中にありますが、黄色く塗られたところ、地方交付税と地方税、そして臨時財政対策債という一般財源の総額が前年度とほぼ同じ62兆円となっております。

令和4年度に関しましては、地方税収が大きく伸びました。その結果、国と地方の折半対象財源不足が、前年度は3.4兆円あったものが解消いたしまして、結果的に、国による交付税の特例加算、1.7兆円が解消しました。他方で、国税収入の増加によりまして、法定率分が1.8兆円増えております。また、地方税等が3.8兆円増加し、過去最高水準となっております。その結果として、一般財源総額実質同水準ルールの下で臨時財政対策債が大幅に圧縮されまして、新規発行が完全に解消され、さらに既往債の借換えも縮減いたしました。一般財源同水準ルールがまさに規律として機能して、税収増がいたずらに歳出増に使われず、赤字債の圧縮につながったと考えております。今後もこのルールの下で、国と地方が足並みをそろえて財政健全化に向かっていくことが重要と考えております。

続いて2ページです。定年引上げに伴う給与関係経費の変動についてです。昨年の通常国会での法改正によりまして、国家公務員と同様、地方公務員につきましても、令和5年度から2年に1歳のペースで定年の年齢が引き上げられて65歳に達するということになっております。そうしますと、このグラフにありますように、定年が上がる年においては、定年退職者が生じませんので退職手当が減少いたします。これは歳出減要因ですので、それは適切に地方財政計画に反映すべきです。他方で、こうした歳出減は一過性のものですし、単に繰り延べているにすぎないわけですから、当然ながら、これで生じた財政余力をほかの歳出に充ててしまうのではなくて、債務の圧縮や、あるいは人件費の平準化のための積立てなどに活用する必要があると考えております。

続きまして、3ページです。コロナ禍におきまして、国から地方へ、臨時交付金といった形で多額の財政移転が行われております。令和2年度の決算を見ますと、左側のグラフにありますように、交付団体では基金の総額が増加しております。これは国から地方への臨時交付金等による財政支援が、十分に地方財政を下支えしていたということを表しております。他方、右側の不交付団体におきましては、若干、基金が減少しております。もっとも、一部の団体の中で、具体的には東京都ですが、基金が預金に振り替わっていることが背景にあるとも考えられておりまして、実質的にはそれほど減ってないと考えられます。

そして、下の表ですが、臨時交付金については、小規模団体、人口が少ない団体に重点的に配分されているという傾向がありまして、都道府県においても市町村においても団体の規模が小さくなるほど一人当たりの臨時交付金も多くなりますし、また、一人当たりの基金残高、そしてその基金の増加額も多くなっております。ここからうかがえるのは、小規模団体においては臨時交付金が手厚く措置された結果として、一般財源が節約され、基金の増加につながった可能性があるということです。

こうしたことを踏まえて、国費による緊急的な支援として真に必要かどうか、よく精査する必要がありますし、また、実際に感染状況などを踏まえて、より必要な支援となるような重点化も必要なのではないかと問題提起をさせていただきます。

私からは以上です。

増田分科会長代理それでは、説明以上でございますので、これから質疑に移りたいと思いますが、まず、安永委員、芳野委員から意見書が提出されております。お手元にお配りしておりますので、お目通しください。

それから、合図の仕方はいつもどおり、会場の方はネームプレート、テレビ会議システムでは挙手するボタンで合図をしていただきたいと思います。今日、出席者の数もかなりになりますので、大変恐縮ですが、御発言は、お一方2分以内ということで、ポイントを絞って御発言賜れば幸いでございます。

それから、初めに会場から5名程度、テレビ会議システムから5名というやり方でやっていきますが、もし可能であれば、会場の方は発言の際にだけマスクを外して、マイクをオンにして、その後、終わりましたらオフにするという形でやっていただきますと幸いでございます。また、テレビ会議システムの方はミュートの解除を忘れないように、よろしくお願いいたします。

それでは、発言、御意見のある方、どうぞ合図をしていただければ、指名いたします。

それでは、こちら側から、吉川委員、熊谷委員、そして反対側の田近委員、この順で指名したいと思います。吉川委員、どうぞお願いします。

吉川委員ありがとうございます。社会保障について、2点発言させていただきます。

説明資料でいいますと9ページにありますが、ワクチンの確保に2.4兆円使われていると。問題はその下ですが、我々、この財審でも議論したと思うのですが、2年前の補正等で、国内のワクチン開発をするということで補正等も含めて、この資料ですと1.2兆円、9ページの下にありますが、しかしながら、2年経過して残念ながら国内のワクチン開発できなくて、いまだに輸入に頼って、上の2.4兆円ということのようですが、エビデンスベーストということからしても、なぜ、駄目だったのか。前回の財審で、科学技術関係で、私は、R&Dと政府の役割があるのですが、お金を出すだけでは駄目であるという発言をさせていただきました。エビデンスベーストということで国内ワクチン開発などについても、政府として検証すべきだと思います。

それから資料の38ページ、財審では、医療の提供体制について、繰り返し様々な指摘をしてきました。今回もしているわけですが、なかなか進まない中でコロナ禍が訪れたということですが、現在、この資料にもありますとおり、地域の計画もちょうど進められているわけですから、コロナ禍での経験も踏まえて、というのは、この点世の中の関心も高いと思いますので、是非とも医療提供体制の整備を進めてもらいたいと思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、熊谷委員、お願いします。

熊谷委員ありがとうございます。今日御説明いただいた内容については、全て基本的に賛成でございますが、私から3点ほど、強調させていただきたいと思います。

まず、1点目は32ページで、医療分野等における社会保障給付費の規律の必要性という話でございますが、ここは、是非とも実現していただきたいと考えております。やはり社会保障の基本は、「入るを量りていずるを制す」ということでございますので、給付費そのものへの規律というのは極めて重要なポイントになるのではないかと思います。

それから、2点目として雇調金に関して正常化が必要であるということを申し上げたいです。なぜ、日本で財政再建が進まなかったのか、そして同時に、なぜ、日本経済が低迷してきたのかという本質的な理由の一つは、常に財政支出の大盤振る舞いをして痛み止めを打ち続けてきたので、現状維持バイアスが非常に強く働いたためだと考えられます。本来は伸びている分野に適材適所で、円滑に人だとか資金が動いて、産業の新陳代謝ですとか、もしくは失業なき労働移動が進む、まさにこれが日本経済再生の最大の鍵の一つであると言えます。他方で、雇調金というのは、やはり現状の産業構造を固定化するという面があるわけでございますので、結論として、コロナの情勢をしっかりと見極めながら、徐々に雇調金の正常化を図ることが肝要であると考えます。

3点目にリフィル処方箋についてです。46ページを見ると、医療費470億円の節減効果があるとされておりますが、これはエビデンスとして、34ページに記載されているメタボ健診の効果200億円を、はるかに上回るものでございます。また、これは同時に医療の質の向上にもつながります。患者の通院負担には、肉体的、経済的な負担もございますが、例えば泌尿器科ですとか婦人科といったセンシティブな分野では、精神的な負担もあるわけです。忙しい現役世代にとっては、通院負担の軽減は極めて大きなことであり、全世代型社会保障にも通ずるところがございます。

また、医師の側から見ても、お薬を出すだけの短時間診療が削減されて、本当に診療が必要な方にしっかりと時間を取れるようになるわけですから、医療の質の向上も期待されます。

これらの点なども踏まえて、私は、リフィル処方箋の制度を大きく育てて、これが当たり前の光景としなくてはならないと考えます。

私からは以上でございます。ありがとうございます。

増田分科会長代理それでは、田近委員、どうぞお願いします。

田近委員田近でございます。私からは1点、今日の資料の31ページに基づいて、医療に関する社会保障給付費を今後どう考えていくかを指摘させていただきたいと思います。

31ページの医療分野等における社会保障給付費の規律の必要性、私はこのページは物すごく重要な指摘をしていると思います。字が少し小さいのですが、入院で、私の理解した限り、議論させていただきたいのですが、日本は高齢化していく、しかも後期高齢者、更にその上の御高齢の方が増えていく。だから、医療費が上がるのだ、医療費が上がるから公費が上がるのだと。そうした議論に対して、この表は非常に大切なことを指摘していると思うのですが、入院の、左側三つのパネルがそうですが、赤いのが2018年で青いのが2008年、字が小さいのですが、下は年齢階級です。右のほうが高齢者になってくる。そうすると、2008年と2018年を比べると、実は一人当たりの入院数は少なくなっている。もちろん日本はその間高齢化が増えていくわけですから、入院数全体は増えていくとしても、一人当たりは減っている。したがって、医療費も、入院費総額もそんなに上がらない。印象的なことで言わせて、上がらなかったかもしれないが、問題は、一人当たりの入院医療費が上がっているのであると。高齢化だから入院費が上がる、したがって公費が上がる。それは短絡的な考え方で、この図は、私もかねがねそう思っているのですが、問題は一人当たりの入院費をどうコントロールするかである。問題があって、ここもしっかり議論しなければいけない。同じように外来もそうだということで、この手の議論をもっとしっかりやっていただきたい。高齢化すれば、即それは医療費、入院費それから外来が増えるから、公費が増える。そうではないのだと。大切なところの一つは、1日当たり、あるいは一人当たりの費用をどう下げるかだ。この点を今後も議論するとき、さらにこれ、今日は時間がないのでこれ以上話せませんが、この手の議論を膨らませて議論していただきたいと思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、平野委員、お願いします。

平野委員ありがとうございます。私も今日のお話、本当にそうだなと思って、うなずきながら聞いておりました。特に新型コロナの対応のところ、詳しく、突っ込んでいただいて、正しい評価をしていただいている。大いに教訓としてもいかしていくべきだと思いました。

私はそうした個別の点を離れて社会保障、医療、それから子育て、地方財政について、ごく簡単に触れたいと思います。

まず、医療提供体制の問題です。これは去年の財審でもさんざん、ここで議論されたように、中小病院の大病院への集約化による低密度診療の是正、それからもう一つは国民の適切な受診行動を促すためのプライマリーケア、かかりつけ医の制度、この二つが必要だと思います。問題は、それをいかに実現するかということです。

コストに関しては、今回、先ほど熊谷さんも触れられましたが、32ページにあるように、医療給付費総枠に上限をはめようという方式を提案しておられ、これも正しいと思うのですが、ただ、やはり、地域医療構想の進捗状況を見てもそうですが、なかなか自発的に制度、あるいは、仕組みの改正をしようと思っても、それが進まないということが、コロナ禍でますますはっきりしてきました。多額の国費が、医療分野では費やされているという厳然たる事実に即して、やはり国のイニシアチブ、企業でいえばトップマネジメントチームによる政策的な判断とその実行が不可欠であるということを改めて申し上げたいと思います。

その意味では、御説明にもあった昨年末の大臣合意に基づく改革施策の実現は評価したいのですが、一方で、診療報酬改定での個別施策の地道な積み上げだけでは力不足ではないかと思います。したがって、病院経営、あるいは受診に関するデータも御指摘のとおり活用しながら、先ほど申し上げた大病院とかかりつけ医を組み合わせた最適な医療体制をデザインした上で、国あるいは自治体が、病院に対していかに、言葉を選ばずに言えば強制力を働かせるかという点にまで踏み込むべきではないかと考えます。

それから2番目、今日も最後のところで触れていただいたのですが、この場ではあまり議論にならなかった子育てです。これについて、御指摘のとおり、応能負担であるとかEBPMに基づくワイズスペンディングを追求していくべきであるということは当然ですが、子育ての問題は、単に社会保障というよりは、少子化問題、人口問題として捉えるべきであると考えます。まさに、我が国の社会保障の持続可能性のみならず、国力の維持の問題です。国家の維持が、このままでは困難になるという危機感を持って有効な施策を打っていく必要があるということです。

典型的に言うと、これも御指摘ありましたが、育児休業給付金は現在、雇用保険を財源としているために、受給対象が正規労働者に限られているという問題もあるということで、受給対象を広げて、よりユニバーサルな子育て支援などを実施していくことによって出生率の回復などを図るといった施策も含めて、財源の問題も併せて、やはり本格的な議論が望まれるのではないかと思います。

最後に簡単に、地方財政です。いわゆる一般財源総額実質同水準ルールでうまくやっているというのが、これまでの説明でもあったし、今回もそれが見てとれるのですが、私は前から少し変ではないかと思っていまして、地方の行政はもっと効率化できる余地があるはずです。とりわけ、デジタル化とデータの利活用によって、大幅な効率化、コストの削減、最適化、サービスの向上を図れると思っておりますので、この目標自体を今後、デジタル化を図る中で、更に切り込んでいく、深めていく必要があるのではないかと思います。その場合にマイナンバーが一つの決め手になり、これが給付だけではなくて、徴税の効率化にもつながるということも併せて付言しておきたいと思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、大槻委員、お願いします。

大槻委員ありがとうございます。私も全体に、よくこれだけの量の施策をやっていらっしゃると思いましたし、説明も非常に分かりやすかったと思います。ありがとうございます。

一つは、将来につながる支援をということ、それから医療についてと、2点お話しさせていただければと思います。

将来につながる支援ということですが、22ページ目の、雇用・生活のセーフティーネットというところですが、今これだけの円安傾向等々を見ていると、生活に困窮する方々が再び増加することは恐らく避けられないことだと思います。そこで、支援をお金で行うことに加えて、ここにも書いていただいているような伴走型、それから相談がなかなか受けられない、そうした問題に対し、相談員の方々の拡充ですとか、そうした再建型の支援をお願いしたい、やっていくべきであると思っていますし、その意味でいのちの電話等の、民間の団体が立ち行かなくなっているとも聞きますので、底上げをお願いしたい。平野さんからもあった、ひとり親家庭の支援ということについては、94ページ目ですが、改めて育児休業給付金については、広い意味での非正規雇用に対しての支援をお願いしたいとも思います。ここに直接は出ていないですが、こども家庭庁では、養育費の問題、養育費をもらえていない方々の困窮が、貧困の連鎖につながらないようにお願いしたいと思っていますので、対応を今後、考えていくべきだと思っています。

医療については、1点だけです。熊谷さんも触れたリフィルです。これは確かに画期的ですが、画期的ということは、今までの体制に慣れている人たちにとっては、どうしても抵抗も多いところかと思いますので、フォローアップをしっかりしていくことが必要だと思っています。

以上です。

増田分科会長代理それでは、ここで一旦、ウェブ参加の方に移りたいと思います。次の5名の方、順次、御発言いただきたいのですが、最初、堀委員、それから芳野委員、福田委員、赤井委員、佐藤委員、以上5名、この順でお願いします。

堀委員、最初にどうぞお願いします。

堀委員堀です。本日は非常に丁寧な御説明ありがとうございました。

新型コロナ対応策について、本当に精密なデータをご提示いただき感謝しております。

3ページ、医療提供体制強化に16兆円とありますが、実際本当に有効に使われたのかどうか、費用対効果の検証と「見える化」の推進が必要だと思います。ただ、ワクチン4.7兆円については、その性質、目的をふまえますと、医療機関の増収のために行っているとは必ずしも言えないものですので、別の枠組みから費用対効果の検証をしてもよいかと思います。国費で8兆円は非常に大きいですし、国民医療費の20%と同等規模にもなります。地方自治体の補助もあったと思いますし、その部分は今回入ってないと思いますが、そこも含めて、本当にワイズスペンディングであったかどうかを「見える化」していく必要があると思います。

また、医療機関の経営実態については、これまでもお話ししていたとおりですが、5ページにあるように、減収補塡をこれ以上補助金で積極的にする理由はないと思いますので、今あるやり方で検討すべきだと思います。

9ページのワクチンの開発・生産体制の強化は、平常時の必要性と同時に、有事の備えという意味で重要な事項でもありますが、国家としての経済安全保障という視点からもとても重要だと思います。今回のコロナ禍でも、非常にそこが明らかになったと思いますが、ただ、研究費ファンディング機能、それから創薬ベンチャー、それから世界トップレベルの研究開発拠点の形成は、ワクチン開発・生産体制の強化だけでなく、創薬エコシステムの構築にも重要であり、国として総合的かつ戦略的に検討すべき事項であるかと。ただ、こちらも1.2兆円と規模は非常に大きいですし、今後継続的に効果の検証が必要だと思います。

また、単純にお金をかければ必ずワクチンも治療薬もできるのかというと、そうとは限りません。研究開発については前回の文科省の教育予算のところでも議論されていましたが、人材養成、研究開発、治験、安定供給まで、省庁を超えた国家としての一貫とした中長期戦略が必要であるのではないかと。

それから10ページ、ワクチン接種体制ですが、これは諸外国を見ても、必ずしも医師、看護師でなくても打てるはずだと思うのですが、1回の単価、接種コストは非常に高いものだと思いますし、今後、継続する、新しい感染症が起きたときのことも踏まえてタスクシフトという視点、観点が必要なのではないかと思っています。

また、24ページ以降の総論、全世代型社会保障の構築につきましては、これまで示された方向性には基本的に賛同しており、実質的に給付は高齢者中心、負担が現役世代中心で、だからこそ社会保障の持続可能性は難しくなっているというのはその通りだと思います。健康保険、国保など複数の保険からなる公的医療保険は、本来は短期保険的な性質が強いものにもかかわらず、後期高齢者・前期高齢者医療制度の複雑な財政運営により、長期保険である国民年金のように、実質的に賦課方式的に運営されているところもあります。そこが持続可能性を根本的に難しくする理由でもあるので、そこの構造的な改革が今後必要だと思います 30ページ以降の医療についてですが、社会保障給付費の規律の必要性は非常にあると思っていますし、医療費の適正化、医療提供体制の効率化は重要だと思います。地域差の解消のためにも、地域医療構想の推進、また、地域医療連携法人の説明がありましたが、本当に重要だと思います。地域医療連携法人が進んでいるところは、コロナ対策でも人材、ノウハウの共有、情報の共有がうまくいっていたということもありますので、ぜひ進めていただければと思います。ただ、地域医療連携に関する基金が、実は地域、エリアによっては有効活用されていないということがありますので、そこの検証も必要かと思います。

また、規律確保についても総額伸びのコントロールという手法もあるとは思いますが、先ほどほかの委員がおっしゃったように、新たな財源確保も含めて、公費負担が増えるのは今の制度枠組みにより自動的に増えるところもありますので、そちらにつきましても、新たな財源確保の方策も含めて、今後抜本的な改革が必要と思います。 すみません、長くなって。40ページ以降、外来医療についてですが、医療計画の見直しでも現在、外来機能に注目が集まっています。フリーアクセスの見直し、適切な受診行動は、本当に医療機関にとっても患者にとっても保険者にとってもウィン・ウィン・ウィンになると思います。先ほどお話があった発熱外来の例の反省もありますが、実効力があるかかりつけ医の制度化が重要ですし、今まで抽象的な概念が多かったので、診療報酬上の機能だけでなくて、具体的に誰が見ても、誰が自分のかかりつけ医なのか、かかりつけ医のいる医療療機関なのかが分かるような制度化、オンライン診療とセットに進めるべきだと思います。場合によって、保険者が指定するという方法もあるのではないかと思います。

また、患者の支払いについては、先ほどお話があった紹介状なしの認定登録の受診時定額負担も非常に有効な方法だと思いますが、その前にかかりつけ医そのものが普及していかないと進まないと思いますので、鶏が先か卵が先かと思いますが、かかりつけ医の制度化のほうが先なのではないかと思っています。

また、47ページ、49ページのリフィル処方は大賛成ですが、患者のメリットは非常に大きいですし、そもそも日本は国際的に見ても受診回数が非常に多いということは、財審でも過去にも資料が示されていました。リフィル、3回繰り返し利用できるということは、受診回数も減らせますし、先ほどほかの委員からも話がありましたが、花粉症や点眼薬もそうですが、婦人科、泌尿器科とかで行く必要がないのに行かなければいけないというものも減らせるという意味では、患者にとって精神的にも身体的にも肉体的にも経済的にも、負担が軽減されると思います。さらに、診療報酬上でも医療費の適正効果があると思います。医療従事者の働き方にとってもプラスの側面があるかと。ただ、本日の日経新聞に、リフィル処方箋に及び腰であるという記事がありましたが、患者の自己決定が尊重されるように、医療機関や薬局で普及が進むようにしていただければと思います。

また、構造的には現在の外来の診療報酬が出来高払いということもあると思いますので、かかりつけ医の制度化が進めば、包括的な支払いになると、このようなこともなくなるのではないかと思います。薬剤費の適正化については……。

増田分科会長代理すみません、手短に。

堀委員すみません、あとはメールで送ります。

イノベーションの財政余地、既存医薬品の保険給付範囲の見直しは非常に重要だと思いますので、進めていただければと思いますし、規律の必要性についても賛同します。ただ、全て一律にマクロ経済スライド導入というのではなく、なぜ規律の設定が必要なのかを丁寧に説明する必要があるかと。イノベーションのための財源の確保の必要性が理解されないと、恐らく進めようと思っても進めるのが難しいところがあると思います。

都道府県医療費適正化策につきましても、こちらに示されている方向性については理解しているのですが、実効性を確保するには、保険者が自律的に機能を発揮できる環境整備のための具体的な施策も必要ではないかと。あと1点。これで最後にしますが、地方自治ではないので厳密なたとえではありませんが、保険者の業務は、法定受託事務、自治事務のどちらに近いか。保険者の自律性を尊重すると、自治事務に近いものだと思いますが、そのようにはなっていないのではないかと。実質的には、国保の保険者の地方公共団体だけでなく、被用者保険の健康保険組合等であっても、法定受託事務のような形で被用者保険の運営を行っている状態ではないかと。ですから、ガバナンスが重要と私は思いますし、そう言うのですが、実質的にそれが機能できるような法制度であるとか環境整備が必要ではないかと思います。すみません。長くなりました。このほか、時間もないのでメールで事務局に送ります。以上です。

増田分科会長代理それでは、芳野委員、どうぞお願いします。

芳野委員芳野でございます。時間も限られていることから、何点かに絞って発言をさせていただきます。なお、意見書を配付しておりますので、建議案にぜひ反映していただきたいと思います。

まず、雇用保険からですが、雇用調整助成金の地域特例・業況特例については、引き続き厳しい環境に置かれている地域・産業の雇用を守る観点から、十分な水準を維持することが重要であると考えています。雇用調整助成金が労働移動を阻害しているとの意見もありますが、労働者本人の意思に反した安易な労働移動を促すべきではなく、今後も影響が残る地域・産業を中心に、引き続き雇用を維持し続けるための支援が必要であると考えています。

雇用保険制度は、労働者が休業した場合の経済的支援を担っています。事業活動の縮小による休業については、コロナ禍の特例として、雇用保険被保険者以外の休業や、労働者の個人申請も対象とされています。こうした支援の必要性は平時においても変わるものではなく、支援の在り方については、要件や財源、公平性の観点なども含めて検討することが重要であると考えています。

育児・介護についても、休業による経済的支援の必要性は、対象者の働き方によって変わるものではありません。請負など雇用によらず働く者も対象とした育児・介護に対する給付を一般会計で実施する制度の構築は必要であると考えます。

雇用保険財源が危機的状況を迎える現状においては、一般会計からの繰入れを通じた財政安定化が不可欠です。失業等給付の国庫負担割合は、雇用政策に対する国の責任を示すものであり、衆参の厚生労働委員会で付された附帯決議のとおり、将来的に従来の本則に引き上げることも含めて検討すべきであると考えています。

続いて、社会保障サービスを担う人材の処遇改善について触れたいと思います。

将来にわたり、医療、介護・障害福祉、保育などの社会保障サービスを利用できるようにするためには、これを担う人材の更なる処遇改善を今後も継続的に行い、人材確保につなげるべきであると考えております。

医療については、皆保険を維持し、全ての人に良質な医療アクセスを保障していくことを前提に議論することが重要です。資料では様々課題提起されており、45ページには、財政当局や財審による具体的な提言の反映に努めると記載されていますが、三者構成による中央社会保険医療協議会などでの議論を尊重すべきであると考えます。

続いて、介護従事者の負担軽減を第一義として、業務の効率化を進めるとともに、質の向上を図るためにも、人員配置基準の緩和は行うべきではないと考えています。また、経営の大規模化は、不採算地域での事業所撤退が進み、サービス不足を招くことが懸念されるため、小規模事業所の役割にも十分留意すべきであると考えます。なお、要介護者は、介護保険サービスを必要とする者として介護認定を受けており、要介護1から2の訪問介護・通所介護を地域支援事業に移行することは容認できません。

続いて、子ども・子育てについてですが、希望する全ての人が子供を産み育てやすい環境整備が必要です。特に、仕事と育児の両立に保育サービスは欠かせません。希望する全ての人が保育サービスを利用できるよう、施設整備を進めるとともに、病児・病後児保育体制については、早急な整備が必要であると考えています。保護者が安心して子供を預けられるよう、保育の質の向上に必要な0.3兆円を確実に確保し、職員の配置基準の見直しを行っていただきたいと考えます。

また、こども家庭庁設置法案が提出されていますが、子ども・子育てに関する財源確保策の議論が十分になされてきたとは言い難いと考えております。国民負担率が上昇している状況を踏まえ、子ども・子育て財源を含む社会保障全体の財源確保について、国民の意見を反映した見直しが必要であると考えます。

以上でございます。

増田分科会長代理それでは、福田委員、どうぞお願いします。

福田委員ありがとうございます。事務局からは、いつもながら非常に詳細な、有益なデータをありがとうございます。コロナ禍では、なかなか経済合理性だけでは議論できない難しい問題もあって、感染予防と経済の両立が大きなテーマではあったわけですが、さはさりながら、エビデンスとして、どのようなことが行われていたかを詳細にデータで提供していただいていることは非常に有益だろうと思います。日本の大きな特徴としては、結果的には感染者数や死者数は主要国の中で最も少ないレベルに抑えることができたわけですが、他方で、経済への負担は、先進国の中で最も重いものであったし、その結果として、経済の回復は主要国の中で最も遅れているのではないかと見込まれていますし、足もとでは円安なども突出して、通貨が主要国の中で突出して安くなっているという現象もあります。

そうした意味では、コロナ禍で、どこまで感染を抑えるのに必要だったのかというデータをきちんと示していただいて、どのようなことができたのかを議論するデータを提供していただいていることは重要ですし、今後もこうしたデータを是非ともいろいろとそろえて、議論する素材を提供していただくことを希望いたします。

また、地方財政に関しても、単にコロナ禍で起こったいろいろな問題を指摘していただいているのは非常にありがたいことだと思います。コロナを名目に様々な無駄遣いがあったということを指摘していただいていることは、非常に重要なのかと思います。

コロナ禍でも地方は、大きな感染拡大がなかったりした地域もあったにもかかわらず、非常に予算が配分されて、いろいろ無駄な支出がなされたと指摘していただいたことは良かったと思います。

他方で、もし分かれば提供していただければよかったと思うのは、そうした中でうまい使い方をした地方自治体も、もしかしたらあったかもしれないと思います。もしそうした自治体の例が分かるようであれば、そうしたことも示していただいて、こうした使い方であれば良かったという例示をしていただくこともあっても良かったのかとは思いました。

私からは以上でございます。

増田分科会長代理それでは、赤井委員、お願いします。

赤井委員赤井でございます。よろしくお願いします。私は、地方財政に関して2点だけ。

まず、1ページ目で、地方は、総務省と折衝の中で予算を決めていくわけですが、景気が良いときにどうしても膨張してしまうこともあるので、そうした意味では一般財源総額実質同水準ルールで膨張の歯止めができている良さはあると思います。そのおかげで臨時財政対策債が、税収が伸びたときには減少できて、新規発行は解消できる。ただ、借換えの発行はまだ続いていますし、この枠組みを維持しながらも効率的な地方財政運営に向けて議論を深めて、膨れ上がってしまった臨時財政対策債の実質的な減少につなげていくべきだと思います。

それから、二つ目が3ページ、コロナ関連の話で、今も言われていましたが、令和2年度の決算が出て、いろいろな分析ができるようになってきまして、私も細かい地方財政各自治体の資料を見て、今コロナの結果、地方財政がどのようになったのか分析しているところですが、資料にある基金の変化にもあるように、実際、ほとんどの自治体で収支は改善していまして、その背景に恐らくコロナ交付金があると、コロナがなくてもやっていたような事業を、実際にコロナ交付金を使って行うことができて、それで基金を積むことができているということもあるかもしれません。

地方は、コロナで実際に現場、病院も含めて大変であるという議論は多いと思うのですが、実際、大変であるということと、お金が足りないということは、区別すべきかと思います。今後もより詳細な分析が必要で、今回きちんと分析しておけば、今後緊急時に、地方に向けてどのような資金を、どのぐらい手当てするのが効率的なのかを考えることもできますので、今回の分析も、しっかりやるべきなのかと思います。

以上です。ありがとうございました。

増田分科会長代理それでは、佐藤委員、お願いします。

佐藤委員よろしくお願いいたします。既に赤井先生や福田先生からも御指摘ありましたが、やはりどこかの段階でコロナ対策に関しては包括的な検証をするべきだと思います。例えば、今回のテーマでは、病床確保料であるとか、地方創生臨時交付金であるとか、こうしたものが、優良事例もあったかもしれませんが、やはりどのような効果を持っていたのかを速やかに検証する機会を設けるべきです。行政事業レビューなどではやるのでしょうが、あれは事業単位になってしまいますので、政策単位での評価が本来なければいけないかと思いました。

また、個別でいきますと、先ほど堀先生からも指摘があったリフィル処方箋ですが、やはりなかなか、これはある意味、医療現場の中でのタスクシフトだと思います。お医者さんの仕事は処方箋を書くことではなくて、きちんと患者さんを治療することであり、そして本来対人業務をこれから重視できる薬剤師が、こうした処方箋に当たるという形でのタスクシフトの中に位置づけていく必要があるだろうと思います。あまりにも現場が消極的なので、オンライン診療もそうですが、何か新しい取組に対しては、あまりにも現場が消極的であるということは、しまいにはやはり、診療報酬の体系そのものに関わる出来高払という、そこにやはりボトルネックがあるのではないかという議論にならざるを得ないかと思います。

それから、今日、介護の話がありましたが、介護事業者の大規模化とか連携も重要ですが、やはりもう一つ、デジタル化が重要です。この辺りについてはもう少し、地方自治体、介護を担っているのは市町村ですから、市町村のイニシアチブがあってよいのかと思います。私も規制改革などで話を聞くと、地方自治体からすると、デジタルに対応できない事業者もいるので、紙でもやらなければいけませんとか、ある意味、やはり後ろ向きです。ですので、もっと介護のデジタル化、もちろん広域化、大規模化について、もう少し自治体のお尻をたたくことは必要かと思いました。

また、これは話題になりましたが、まさに、子育て支援のところで児童手当が、主たる生計維持者というのは、もういい加減限界だと思います。この間あった10万円の給付問題にしても、やはりいろいろな不公平感を醸し出した欠点もありますので、やはりこれは明らかに政治政策の不作為だと思いますので、収入合算の道のほうに進めていかないと危機時の対応でも困るかということ。

もう一つ最後に、地方財政に一言だけ、金も大事ですが、地方にないのは人です、やはり。人材が、人がいないということを前提に、これから地方財政をどう回していくのかという視点があってしかるべきだと思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、会場にまた戻ります。

中空委員から、どうぞお願いします。

中空委員ありがとうございます。多くの先生がもう言われたことは割愛しまして、2点だけ、お話をしたいと思います。

1点目は、先ほど御説明のあった3ページ、新型コロナウイルス感染症に対する医療提供体制等の強化です。コロナに対して16兆円使いました。会計検査院で出てきましたコロナ予算は77兆円ありました、そこから跡を追えたのは65兆円でしたということで、12兆円の行方が分からなくなりましたということがあったわけですが、それとの整合性をどう取るか、どうやって見ればよいのかを考えながらお聞きしました。ということで、予算は包括的に見ていかないといけない。先ほど吉川先生もおっしゃいましたが、ワクチンについても同じことが言えて、どのような効果があったかというところまで追えることが重要だと思いました。これが1点目。

2点目は、有事と平時についての考え方です。誰でもそう思うのですが、やはり有事は大変だねと。だから、今回学んだこととして、医療については、強制力を持って、何か国や地方自治体がきちんとやっていく必要があるとも思いますし、一方、今はだんだん平時になっているので、とりやめてよい給付金等もあるのではないかとも思うわけです。つまりは、有事と平時というのはそれぞれの人がそれぞれの解釈をし過ぎている嫌いがあるかと思います。

その点で、有事と平時についても、定義をはっきりしたほうが良いと考えます。では、定義はどうすればよいか、ですが、その意見がはっきりせぬまま申し上げているのですが、あまり曖昧なところを残すことが多いと、後々、変な無駄になるのではないかという点を懸念しています。こうした言葉遣いや定義は、見直していく必要があるのではないかということです。

以上です。

増田分科会長代理それでは、続いて角委員、どうぞ。

角委員ありがとうございます。前回も申し上げましたように、今、歳入と歳出改革をせずに、いつやるのですかということだと思います。それがなされるということを前提に、お話しさせていただきます。

がん検診の責任者の方に聞きますと、やはりコロナによって、かなりの方たちの検診数が減っているということを考えますと、来年度以降ぐらいか、要するに数年間、やはりがんに対する、いわゆる高額医療になると思いますが、治療費は確実に上がるリスクがあると思います。

もう1点はワクチンですが、子宮頸がんワクチンが2013年から、いわゆる強い副反応によって止まってしまいました。それがようやく再開されたことは良いのですが、それで何が言いたいかというと、要するに、高額医療ですとか難病に対しては、非常に多くの医療費が投入される。しかし、病気を守るための対策については、やはりまだ実際に病気になった人が出ていないので、どうしても後送りにするというか低くなってしまう。ここで、ワクチンの件になりますと、2013年から止まって、毎年約1万人が罹患して、3,000人近くの人が亡くなっていくということが8年間続きました。これがようやく再開されましたが、諸外国でもやっておられるように、原因は男性にあるわけですから、男性に全員ワクチンをするほうが正しいわけです。ですので、一挙にそうはならないでしょうから、少しお金がかかるかも分からないが、女性だけに副反応のリスクを負わすのではなくて、男性にそれをきちんと負担してもらうということが必要ではないかと思います。

それと、昨年10月、徳島の町立病院で、サイバー攻撃を受けました。2か月間医療が止まりました。それと同じことが愛知県でも起きましたということですが、2010年代後半にAMEDが中心になりまして、いわゆる医療データをビッグデータとして、認定機関で匿名化をした上で、それを医療の進歩に使っていくということが決まりました。そして、東も西も一応は認定機関が決まりました。西では京大が中心になりまして、100強の病院の医療データがあるデータセンターに集まっています。これは、もともとは、データのバックアップシステムとして、そうしたことがされているのではなくて、本来はビッグデータ活用ですが、結果としては、0次利用という名前で呼んでいますが、病院が震災に遭ったときなどで医療データが駄目になっても、データセンターにはきちんとありますということです。この病院を増やしていけば、いわゆる海外からサイバー攻撃をしても、身の代金など取れるはずがないということになるので、サイバー攻撃を日本にしてもしようがないという状況に持っていけないかと思います。

100の病院を、そうしたデータを集めるのに約20億です。ですが、これを何とか、京大は300に増やして、データの信用性も上げたいと言っていて、これは多少は安くなっていくのですが、そこそこのお金がかかる。しかし、それをすることによって、医療が進歩し、医療費を減らしていけるということですので、そちらに何とかお金を投入していただけないかと思います。

以上です。ありがとうございました。

増田分科会長代理それでは、神子田委員、お願いします。

神子田委員ありがとうございます。

まず、社会保障について詳細な御説明ありがとうございました。各ページの論点を見ると、一々ごもっともということで、特にリフィルなどはもう本当によくぞやってくれたという感じですが、それぞれの論点はよく分かるのですが、春の財審に対して、社会保障全体として、今年は新たにこうした視点で考えてもらいたいとか、そうした新たな視座を提供するような話があれば、後ほど伺いたいと思います。

具体的には、子ども・子育ての部分で、これは人口問題で少子化対策ということがあるのですが、人口問題では、やはり日本の場合、大都市圏に人口が集中するという問題もあって、子育てをめぐっても、私も実態のところは分からないのですが、地方のほうが子供を育てやすいとか、東京のほうが保育園に入れるのは難しいとか、いろいろな問題があって、今の人口集中を前提に考え、今、必要な人に給付するということも大事だと思うのですが、将来にわたって、地域にもっと人が向かっていくよう誘導するような政策も子ども・子育て支援において重要な視点ではないかと思います。

もう一つは、地方財政の話ですが、先ほどから出ています基金の問題に関しては、財審でも、度重ねて、こうした基金の問題がありますということでした。これは地方側の言い分は、まさかのときに備えているのですということだったわけですが、コロナというまさかの事態が発生したときに、何でそれを使わないで、逆にたまっているのかということに関して、財政当局はどのように見ていて、どう直そうとしていくのか、お考えがあったら聞かせていただきたいということです。

それと、地方財政の資料の最後のページに、NHKの番組から引用されていることがあって、一つだけ言うと、「町では各課から交付金を活用できる事業案を募集しましたが、新たな事業を加えても埋まりませんでした。そこで将来購入を検討していたトラクターやシャッターの整備を、ポストコロナ対策として実施することにしたのです」と、しゃあしゃあと言っている感じですが、埋まらなかったら返すという仕組みがないのかと、素人的には思うのですが、この辺も含めて後でお答えいただければと思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、末澤委員、どうぞお願いします。

末澤委員ありがとうございます。私からは社会保障関係で2点、地方財政で1点、簡単に申し上げたいと思います。

まず、コロナ対策です。今回の新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、ちょうど100年前のスペイン風邪以来とされています。ただ、ようやく収束のめどが見えてきたと思います。なぜかというと、世界保健機関(WHO)の統計でも3週連続で世界の感染者は減少に転じていまして、足もと、3月の段階でBA.2への置き換わりが世界全体で9割超えていますから、今回は、置き換わりで世界全体の感染者が増えるということはもうないと思います。日本は今、高止まりですが。そうした中、やはりようやく検証のタイミングに来たなと。我が国のみならず世界との、諸外国の比較も踏まえて、我が国の医療体制の強み弱み、また今回、財政支出が本当にワイズスペンディングされたかどうか、この検証は本当に次の危機に対して極めて重要であって、早急に進めていただきたいと思います。

二つ目は少子化対策です。今回のパンデミックで少子化が世界的に進行しています。我が国に関して言うと、合計特殊出生率は2015年の1.45が、その後、1.44、1.43、1.42、2019年に1.36まで下がったのです。この低下は、厚生労働省等によると改元効果であると言われていまして、その説明でいくと2020年に本来は反転上昇しなければいけなかったのですが、実は1.33まで下がった。当初1.34だったのですが、改定されまして、1.33まで下がっておりまして、0.03ポイント下がったのです。これは2020年ですが、2021年は日本における日本人の出生数が、2020年の84万人から、私の試算だと大体81万人ぐらいに下がっていますから、1.33からまた下がってくる。今年も恐らく、この状況ですから、大きな反転上昇を見込めないということで、相当実はこの部分は、年金財政のみならず、社会保障の持続可能性、日本財政の持続可能性にとっても大きな問題になっていますから、これは是非来年4月に発足するこども家庭庁、本当に次元の異なる対策をやっていただかないと、10年後20年後には大変なことになるということでございます。

三つ目、地方財政です。今日、ページ数が少なかったということは、恐らく、地方財政は良くなっているということかとも思うのですが、地方の税収は国税に1年、遅行しますから、当然これは良いのです。なぜかというと、2020年度の一般会計税収が、補正後対比5.7兆円は上振れた。これから実は財政が良くなっているわけでございまして、その効果で今年度も地方はそこそこ良いだろう。ただ、足もとの状況を御覧いただくと、ウクライナ戦争もあって世界的にインフレが進行していまして、企業収益も今後どうなるか分かりません。これは特に来年に向けても相当大きなリスクでありまして、一転、一般会計税収が下振れし出すと、ずっと地方税収の下振れは続くわけでございます。ですから、今ぜひ余裕がある間に、臨財債の減少は極めて良かったと思うのですが、やはり過去、先送りが続いておりました交付税特会借入金の償還前倒し、先に前倒ししておけば、状況に応じて後で償還を休止することができますので、ぜひそうなるように進めていただきたいと思います。

以上でございます。

増田分科会長代理それでは、小林毅委員、どうぞ。

小林(毅)委員どうもありがとうございます。もう皆様おっしゃっていることの中で一番あれなことは、コロナの総括的な検証をやるタイミングが来ているのではなかろうかということで、今回、社会保障関係、医療関係の非常に精緻なものが出てきているのですが、これは恐らく、ほかの持続化給付金ですとか、それから貸付の話、それから地財でも出てきていました、こうしたものがいろいろ出そろってきていると思います。であるとしたら、それを全部一つにまとめてみてはどうでしょうかというのが、一つの考え方です。それは、恐らく、みんなばらばらで出てきても、それぞれがなかなか、まとめて読むのは分かりにくいということであれば、例えば今回の建議でもよいし、それだと時間がないというのであれば秋の建議でもよいのですが、そこの中で一つ、コロナの中間検証とか、あるいはコロナ白書的な意味で、一人1章を設けて、総論の最後でもよいのですが、そうした形で、財審としては、ここまでの段階でこのように中間総括するというものを、まとめてみてもよいのではないかと思いました。

私からは以上です。

増田分科会長代理それでは、ここでまた、ウェブのほうに移ります。発言は、続いて、宇南山委員、それから田中里沙委員、そして河村委員、それからあとお二人、遠藤委員、小林慶一郎委員、この5名の方に、今の順番で御発言いただきたいと思います。

それでは、宇南山委員、どうぞお願いします。

宇南山委員ありがとうございます。まず、社会保障の34ページ、特定健診の効果を検証したのは非常に興味深く、予防医療は実際のところどのような効果があるのかがなかなかつかみにくいところで、こうした検証をして費用対効果を明らかにしていくのは非常に重要だと思います。

先ほど、角委員からもお話ありましたが、最近、がん検診がすごく減っているという報道などが増えていますが、これは数年以内にどのような結果をもたらすのかは、予防医療の評価をする上で、非常に重要なポイントになると思います。

先ほど悲観的な話ありましたが、もしかすると、それほど増えないかもしれない。とすると予防医療はどのようなものだろうかという評価につながると思いますので、今後、こうしたエビデンスベースドの費用対効果の評価を続けていっていただきたいと思います。

少し飛びますが、97ページの辺りでしょうか。子ども・子育てのところ、96ページですね、税財源の検討のみならず、社会保険料財源で子ども・子育てを考えていくべきではないかというところです。私はこれについては、やや反対でありまして、現状、女性の活躍を推進するということで、共働き世帯を支援するような政策が非常に増えておりまして、ここにある出産手当金であるとか育児休業給付金も、実質的にはフルタイムで共働きであるような世帯を中心に支援が行われている。何人かの委員からも御指摘ありましたが、子供を産む、産んでもらいたいという観点からすると、女性が働きながら子供を持ちやすい環境を整えていくことは重要ですが、これを進めていくと、フルタイムで働けているカップルと、それ以外のカップルの間で格差がどんどん開いてしまうということがありますので、そこの世代内での格差を考える上で、こうした社会保険料、特に雇用保険を中心にした給付で少子化対策をしていくことが良いことなのかは、検討の必要があると思います。

その意味では、児童手当の合算での所得制限は当然に進めるべきことで、前回、こちらはうまく進められませんでしたが、今回は是非とも児童手当の合算、所得制限は進めていただきたいと思います。

私からは以上です。

増田分科会長代理それでは、続いて、田中委員、お願いします。

田中委員田中里沙です。現在の社会の動きと財政の支援及び課題が理解できる貴重な資料と御説明に感謝申し上げます。短く意見2点と質問を1点させてください。

まず、38、39ページぐらいから書かれていました効率的で質の高い医療提供体制に向けては、医療のDX化、デジタル化が重要になると思いますし、医療従事者の働き方改革を実現して、診療業務の効率化を果たす、デジタル活用といったこと。地域医療構想体制においても、デジタル化による効率化を目指してということができれば強調されたらよいかと思っております。

二つ目は、全世代で社会保障費、医療費のワイズスペンディングを施行していかなければということで、今日お示しいただいた政策は本当に同意するところで、重要なことと思っておりますが、同時に全世代の世代間の不公平感をなるべく少なくする観点からも、国民の協力やライフスタイルへの取組として、以前から出ている、例えば、セルフメディケーションの促進ですとか、ジェネリック医薬品の利用の検討ですとか、また、かかりつけ医を持つことなども必要と考えますし、今回、かかりつけ医については、提供側の改革で示していただいた内容もセットで、特にまだ少ないとされる若い世代がかかりつけ医を持っていないというデータもありますので、ここに理解されて、特に広がるような後押しができると良いと考えております。

先日、共有いただいた一般向けのパンフレットがとても分かりやすくまとめられていて、趣旨がよく分かる、伝わると期待しておりますので、建議が一般の方にメッセージとして伝わるように、受け手視点の情報も大切と考えています。

最後に1点、質問で、年金については、参考資料に1枚、提示いただいてあったのですが、以前、年金の繰下げ受給の利用率が、当時、僅か1%に満たない状況であるとよく報道されていました。その後、年金75歳ということではないと広報活動なども行われて、財政健全化の理解や協力の可能性として、繰下げということは増えているのかとか、そのインパクトはどの程度なのかということ、また、タイミングを見て御教示いただけましたら幸いです。

以上よろしくお願いします。

増田分科会長代理それでは、河村委員、お願いします。

河村委員御指名ありがとうございます。私からは、まず、佐藤委員がおっしゃったのと、ずばり同じことですが、やはり今回のコロナ対策のところを、いろいろまとめて示してくださいましたが、きちんと検証して次につなげるという努力が必要だと思います。特に病院の経営に対する支援のところ、また、公立病院とかでの使われ方のあたりのところは、しっかり検証して、いろいろ課題が浮かび上がってきたわけです。各病院の役割分担であるとか、それからプライマリーケア、かかりつけ医機能が重要であるということがすごくよく分かったわけで、これを、地域医療構想とか改革の歩みを止めてはいけないと思っておりますし、そこの検討にいかしていくべきではないかと思います。

また、やや細かい論点かもしれませんが、コロナですごく診療、実際の受診が落ちたというときに、小児科などがすごく落ちていたと思うのですが、これは前の財審のときにも申し上げたことがありますが、やはり伏線として、今もう本当に全国の自治体が横並びの競争みたいになってしまって、子供向けの医療費助成は手厚いどころか、100%の助成とか本当にやっていたことがあります。でも、自治体によって少し差もありますが、結構上の年齢まで、それこそ小学校、中学校ではなくて、高校までとか、もっと上までとか、それから外来だけではなくて入院もとか、本当に自己負担がないような形で病院にかかれてしまうことが、どのような結果を生んでいたのか。それが本当にコロナだけの要因だけで減ったのかどうか、ここをやはり、結構あぶり出された問題があるのではないかと思います。そうしたところも、是非しっかり検証してやっていくことが必要だと思っております。

また、雇用調整助成金のところは、いろいろ考え方はあるかもしれませんが、私は、最初のほうで熊谷委員がおっしゃったことと本当に同じ考え方で、厳しいようではあるかもしれませんが、逆に、こうした局面で、産業構造を大きく変えていくチャンスでもあるわけです。ですから、人間、同じところにそのままとどまりたいとか、状況が変わりたくないという気持ちがあるのは、人情として分からなくはないのですが、そこを思い切って変えていく、後押しできるような機会にするように、こうした辺りも手厚くなり過ぎないように、やはりこうしたところがずるずるいくから、日本はこれまで成長がなかなかできなかったのではないかと思いますので、是非こうしたところは思い切って、なるべく早めに切り上げていくべきではないかと思っております。

それから、こども家庭庁のところでもいろいろ御指摘くださったのですが、全世代型社会保障もそうですが、社会保障の負担を誰がするかということを改めて考えたほうが良いと思います。その意味でも、いろいろ現役世代の負担をどう拡充するのかとか、それから、もう少しお年を召した方々のところも、金融資産の保有状況とかも含めて、負担をということで提言を出してくださっていて、本当におっしゃるとおりだと思います。くれぐれも、誰が負担するかも決めないのに先にばらまくような形にならないように、そこを考えるべきだと思います。

最後に地方財政ですが、ここは私も先ほどコロナ対策で申し上げたことと同じで、やはり臨時の交付金とか、ここはしっかり振り返らなければいけないところだと思います。正直申し上げて、地方財政の参考資料にも出てきますが、これがどのような使われ方をしたのかは、みんなあきれているところもあるのです。だからこそ、これだけいろいろな報道が出てくる。どうして、こうした使われ方をされてしまうのか、本当に申し上げるのも恐縮ですが、中央集権体制のこうした地方財政制度を採っている国では限界というか、国でも、出すとしても使途を指定することができるわけでもないし、やるとしても努力としては重点化するとか事後的な公表を徹底するぐらいしかない。本当に虚しいというか、これが、こんなに財政事情が悪い国がやっていることなのかと、正直言って思ってしまいます。でも、これは本当に行き詰まったら、財源をどこに持たせるかということを含めて、大がかりな改革を、そこをやるしかないのではないかと思うぐらいの、正直言って残念な結果でもあったのではないかと思いますので、そうしたところも踏まえて、今後しっかりと見直しをしていくべきではないかと思っております。

以上です。

増田分科会長代理それでは、遠藤委員、お願いします。

遠藤委員春の財審ですので、少し大きなことになってしまうのですが、コロナの対策費として16兆円が使われたということで、一人当たりの患者数で割ると、一人の患者に22億がかかっているわけです。こうした、先進国で見てもよいかと思うのですが、非常に珍しい実態だと思っております。もちろん検証が必要であるということは、委員の皆様と同意いたします。雇用調整助成金も6兆ということで、全体の財政から見たときに、例えば今の地政学的な、安全保障上の危機の状況にあって、防衛費は補正込みで6兆円です。ですので、雇用調整に6兆円使っている、一般会計は3.1兆円ですが、そのような額が出ているということ、それと構造的な社会保障費の増大は、やはり世代間格差、若者たちの憤りというのでしょうか、そうしたものを増長していると思います。

例えば、細かいことで言えば、2016年の70枚以上の湿布が保険の適用がNGになったということ。2020年からは63枚ということで、4年間かけてたった7枚ということです。依然として保育所は、なかなか入りにくい状況というのは、ずっと声高に言われていても変わりがない。こうした、ある種改革への時間の歩みの遅さと未来へのツケの付け回しが非常に若者たちと、私若者ではありませんが、そうした不公平感を生み出していると思います。

選挙に向かうと考えられている有権者に過度に留意している政治に、例えば、財政当局があまり寄り添い過ぎないように、また、選挙行動とは別にした世論というものから、財政当局は逆に見放されないようにしないと、いわゆる財政改革も進まないと思いますので、その点は十分に留意が必要だと思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、小林慶一郎委員、お願いします。

小林(慶)委員手短に、2点申し上げたいと思います。

まず、最初に、事務局から大変すばらしい包括的な御説明ありがとうございました。今回、コロナで、医療提供体制の改革の必要性が一層明らかになったということだと思いますので、これからコロナ禍における医療の状況の検証、それから医療提供体制の改革の必要性について、一松主計官がおっしゃった御説明や御提言には全面的に賛成をしたいと思います。

その上で二つ、コロナ対策と社会保障について、それぞれコメントしたいのですが、コロナ対策に関して、今回のコロナの影響がどれぐらい残るかということです。経済構造が、私はある程度恒久的に変化してしまうということだと思います。コロナの前のように、飲食店や航空業界にお客が完全に戻ってくるということはないと思います。そうだとすると、ビジネスモデルを変えなければいけない。その中で、雇用を既存の企業で維持するような雇調金のやり方よりも、労働移動を促すような方向に、雇用対策も変えるべきではないかと思います。あるいは少なくとも、労働移動に対して、中立的な雇用対策に変えるべきではないかと思います。ですので、むしろ失業して、別の企業に移るような個人に対する支援、あるいはリスキングのような支援を、もっと充実させるべきではないかと思っています。これが1点目。

二つ目は、更に少し話を広げると、企業部門に国家が提供すべき社会保障の機能を求めることが、そもそも限界に来ているのではないかと思います。この30年で競争力が非常に落ちた日本経済、日本企業の中で、社会保障の負担は相当重く感じられているということだと思います。例えば、低金利の下で、リターンの低い中で、企業の厚生年金基金の負担は非常に大きくなってきているということもありますし、また、特に後期高齢者医療制度で企業の健保組合が拠出する後期高齢者支援金の制度は、経営側にとって非常に大きな負担感、あるいは、納得感が得られないという状況があると思います。

ですので、むしろ社会保障の大きな考え方として、企業部門に過大な負担を求めるよりは、企業の負担を減らして、経済のパイを大きくする、効率的な企業部門を再生する。その上で、家計の負担を保険というか、むしろ税による負担を求めて、社会保障を維持していくという方向に考え方を変えていくべきなのではないかと思っております。

私からは以上です。

増田分科会長代理それでは、ここでまた会場に戻したいと思います。今、会場からあと6名の方、ウェブでお一方、指名ございますので、残り時間等々も考えながら、できるだけ手短にお願いします。

秋池委員、どうぞお願いします。

秋池委員簡単に三つです。今回の資料、非常に良い資料だと思っています。その良さが、ある課題に対して新たに出てきた数字、また、もともと財務省が保有していたデータを基に、良い議論を起こすような論点を提示しているところが非常に優れていると感じました。例えば、31ページなども、とても良い分析だと思いまして、こうしたものを見ながら議論ができると、解決に向かいやすくなっていくのではないかと思います。

それから二つ目ですが、9ページです。これも、とても良い分析だと思っていまして、ワクチンのことです。最初は世界的に足りませんでしたので、とにかく、お金をたくさん使ってでも調達するということが、当時のこととしては非常に重要だったと思うのですが、これを拝見しますと、私の計算が間違えていなければ、単価が、本来、安定してきたら、より適切な調達に変えていって、単価を抑えていくこともあると思うのですが、拝見すると単価が上がっているのではないかと見えまして、もしよろしければ後でお教えください。これが本質的な質問でなければ、時間もないと思いますので、回答は不要です。

三つ目ですが、42ページ、社会保障ですが平時と有事とございます。このように運用できると非常に効果的だと思うのですが、何が有事なのかをはっきりさせないといけないし、誰がその有事に切り替えることを決めるのか、指令を出すのかが非常に難しいと思っています。そして、有事から平時にいつ戻すのか、また、有事の中でも平時のようにやり続けることもあると思いますので、こうした辺りが、うまく定義でき、いつ、それを終わらせるのかをあらかじめ決めた上で取り組めるとより良いと思いました。

以上です。

増田分科会長代理それでは、武田委員、お願いします。

武田委員ありがとうございます。今回は、皆様もおっしゃっていましたが、大変な力作、ありがとうございます。社会保障に関して、3点意見を申し上げます。

1点目は、多くの委員がおっしゃっていたとおり、新型コロナ感染症への対応についての検証、この必要性は私も同感です。ただ、包括的な検証と同時に、大事なことは、次にいかすこと、そして、速やかに改革につなげることだと思っており、今回資料にも書かれておりますが、データの「見える化」や、地域医療構想の加速、こうした問題については、包括検証を待たずとも、しっかり前に進めていただきたいと思います。

2点目、全世代型社会保障についてです。資料では、将来世代も対象として組み入れた上で、全世代型社会保障とすべきという主張が書かれておりまして、こちらについては賛成です。また、総理も施政方針演説において、若者世代の負担増の抑制に言及されていらっしゃいます。まずは10月の医療負担の2割、これを着実に実施いただきたいと思いますが、その先の議論をそろそろ検討していく時期ではないかと考えます。

3点目は、社会保障の持続可能性の確保という観点です。今回は、足もとでやるべきことは、しっかり論じていただいていると思いますが、25ページでは、受益と負担の構造の2060年時点でのグラフが掲載されているとおり、今後の人口構造の在り方などを考えますと、今後は、将来の社会保障の目指すべき姿を描いて、財源の在り方も含めて、改革工程表をしっかり策定し、着実に進める枠組みが必要なのではないかと感じております。

以上3点です。よろしくお願いいたします。

増田分科会長代理それでは、木村委員、どうぞお願いします。

木村委員御説明ありがとうございました。皆様おっしゃっているように、極めて緻密な分析に、私も感心しながら拝聴しておりました。手短に3点だけ申し上げようと思います。

1点目は、まず、コロナの医療対策で、今回の資料で大事な数字は投じられた国費が明確になったことです。医療提供体制の強化で16兆円ですか、それから医療機関及び医療従事者への支援、少なくとも8兆円、国民の生命を守る費用は惜しむべきものではないのでしょうが、これだけの国費を投じられるということは、それに見合った効果が上げられたかどうかをしっかり検証されるべきだと思います。確かに日本の死者数は欧米に比べてかなり少なくて、それは医療従事者の方々の献身的な活動が寄与している面も当然大きいと思いますが、それでもなおかつ、資料で示されているように病院の経営の黒字がこれだけ大きいという数字を見ると、巨額の国費が果たして本当に感染対策のためにきちんと効率的に使われたのかどうかは疑問が残るわけです。そうした意味で、検証と改革、様々な資料に挙げられたような「見える化」を是非進めていただきたいということが1点です。

2点目は、地財の関係、やはりコロナですが、地方への臨時交付金です。これ、実はかなりの、医療に負けず劣らずの15.2兆円ですか。その半分が飲食店の方々の協力金ということでしょうが、残りは結構、自治体の基金の増加につながった可能性があるということ。政治の責任というのですか、大型経済対策、規模ありきという予算化を進めた結果とも思われますが、それこそ御説明あったように検証と改革、真に必要な支援になるよう重点化を図ることは必要だと思っています。これは進めていただきたいと思っています。

最後は、少し話は戻りますが、コロナと雇用、雇用と生活の支援、これは6兆円かかったということで、その中の多くは雇調金ですが、確かに過度な支援は成長産業への労働移動を阻害するおそれがあるということで、この論点は私も大事だと思いますが、一方、労働移動というのはそれぞれ生身の人間にとって、一人一人の人間にとって決して簡単なことではないと思います。要は一生懸命働いていて、コロナがなければ幸せな生活を送れていた人が多いと思うのですが、こうした人たちが実際、労働移動と言われても、なかなか簡単にはいかない。そこは資料でも書かれていますように、業況の厳しい企業には配慮するということ、ここの配慮は欠かせないのではないかと思っています。

以上です。

増田分科会長代理それでは、広瀬委員、お願いします。

広瀬委員ありがとうございました。コロナも、2年間たって、これまで日本はワクチンの感染予防効果を重視して、言ってみればゼロコロナ対策的なことをずっとやってきたわけですが、もちろん中国のゼロコロナとは全く違いますが、2年たって、やはり少し、ワクチンの重症化抑制効果に重点を移して、言ってみればウィズコロナ政策に、そろそろ重点を置く時期に来ているのではないか。もう少し国を開いて、社会を動かして、そして一人一人を信じる、こうした方向に行ったほうが良いのではないかと思っています。そうすることによって、雇用調整助成金の特例措置は、やはり制度的にはいましばらく残さざるを得ないと思うのですが、そうした政策の転換によって、実質的にはだんだん少なくなっていくのではないかと思っています。

それから個々の問題、あるいは処方箋についても、皆様いろいろなことを、もう出ておりますので、特に申し上げませんが、あとはやるだけということで、皆様がおっしゃる黄金の3年間に期待せざるを得ないのですが、一つだけ、国民の間で少しもやもや感というか、誤解だと思うのですが、いよいよ今年、団塊の世代が75歳以上になると、もうピークに来たのではないかと。このピークを少し我慢すれば解決するのではないか的な、誤解というのですか、そうしたものがひょっとしてあるのではないか。財務省がつくった、まだゲラ版ですが、このパンフレットの9ページに、2050年までずっと高齢化率が上がっていくというデータが出ているわけです。そうなると、まだまだこれずっと続くわけですが、こうした人口調査はデータが出るのですが、社会保障費がこれからどうなるかは出せるわけないわけで、これからの打ち手によって変わるのですが、何となく、そうした誤解のようなものがあるとすると、今後これをどのようにするのか、あるいは、そもそもそうした認識がなければよいのですが、その辺の感覚、質問になるかと思うのですが、どのように認識されているのか、お伺いできればと思います。

以上でございます。

増田分科会長代理それでは、土居委員、お願いします。

土居委員御説明ありございます。資料1を見ていると、社会保障に関する未解決課題の百科事典という感じがしておりまして、これをいち早く、こつこつと解決していく必要があると思います。

医療については、かかりつけ医の選択的登録制の早期導入も大事ですし、それからリフィル処方箋については、この実効性を担保することが必要だと思います。2年たってから検証するというのではなくて、レセプト電算システムなどのデータを使って、社会保険診療報酬支払基金のデータとか、MEDIASなどで、月次でスピーディーに実態を把握することをしていただきたいと思います。

それから、介護については、第9期に向けて来年の通常国会で介護保険法改正があるわけですが、そのための議論が今年末までに行われるという意味では、これからが議論の天王山だと思います。そのためには、まず、ケアマネジメントの利用者負担の導入は今回こそ行うべきですし、資料1の75ページ、76ページにありますように、介護事業所の大規模化も待ったなしで、それこそ介護報酬で小規模事業所減算などというのも入れてもよいのではないかとすら思います。

それから、参考資料の38ページにあります地域支援事業。もちろん要介護1・2の通所介護・訪問介護の地域支援事業への移行ももちろんですが、伸び率管理です。まさに厚労省が、この資料に書いてあるように、伸び率を年率3~4%に抑えるということにコミットしている図ですから、きちんと厚労省には伸び率管理といいましょうか、地域支援事業はその範囲の伸びで抑えるようにということを徹底していただきたいと思います。

雇用保険については、コロナ禍で休業の長期化、それによって雇用調整助成金を出して、それによって失業を抑え、それによって失業給付を抑えることができた。ですが、一般会計からの繰入れを多額に必要としたということですから、やはり、今後一般会計の繰入れを考える上では、雇用調整助成金と失業等給付の役割の再整理をせずして、安易に繰入れを決めるべきではないと考えます。

最後に、地方財政ですが、資料2の2ページにありますように、退職手当に対する今後の備えということでいいますと、まさに主計官の説明のとおりですが、もう一つ付け加えると、退職手当債で退職手当の財源を確保するということが、半ば習わしのような話になっているのですが、それは将来世代に負担を付け回すことになりますから、退職手当債に安易に頼らないようにするように、地方債の資金繰りを担っている理財局ともタイアップしながら、退職手当債に安易に頼らないような形でこれを行っていく必要があるのではないかと思います。

以上です。

増田分科会長代理あと会場で、宮島さんが最後で。宮島委員、どうぞお願いします。

宮島委員ありがとうございます。ダブることをできるだけ避けて申し上げます。

医療の問題ですが、常々医療というのは節約を求めようとしても、やはり自分のこと、親のことになると、できるだけ多く診てほしいという気持ちが働くために、なかなか説得が難しい分野だと思っています。そのような中で、コロナでこれだけのお金が使われたということは、説明をするには重要な転機になるのではないかと思います。この際に、16兆円とか言われても、恐らく普通の人はどこかから降ってくる大きなお金としか思わないので、先ほどのコロナ患者一人当たり22億円かかったということは相当インパクトがあったのですが、やはりどのくらい大きくて、幾ら緊急事態といえども、これで良かったのかというところに一般の人の気持ち、耳目を集めるという意味では、コロナは非常に大きなチャンスになり得ると思います。

そのような中で普通の人が感じたのは、かかりつけ医だと思って行ってみたら、ワクチンは駄目だと言われて、私はかかりつけ医の患者ではなかったのだなとか、どうやらこれを機に収入を増やした病院がある、しかもコロナ対応を十分にやっていないのにお金だけもらった病院があるみたいだなとか、そうした疑問が湧いていると思います。そうしたことに1つ1つきちんと答えて、医療が何が問題なのかを理解してもらうことが大事だと思います。ワクチンを1回打つために3,700円というのも、海外から見るとやはり驚かれる数字なのではないかと思いますが、これはそもそもやはりタスクシフト、お医者さん以外でもできたのではないかということは、海外映像などを見て思います。

医療の職域の問題は非常に大きな問題だと思っておりまして、ふだんの医療においても、もっとここは看護師さんができるのではないか、技師さんができるのではないかと思うところに関して、一種、抱え込んでいるというと違うかもしれませんが、それぞれのパワーの、良い形でのチーム医療が完全にはなされてないというような形がありますので、そこを目指していただきたいと思います。

リフィル処方箋に関しましては、やはり、まずは薬剤師の担う範囲を広げるということも非常に重要だと思いますし、そもそも患者の利便性を上げると言っていることが、診療所単位で拒否されるというのは、どうしたことなのかと、やはり思います。これは、やはり患者と医療機関では、医療は情報の非対称性があって、患者さんは駄目だと言われると、もう駄目だとなってしまうのですが、職域をできるだけ広げることによって、職域拡大の反対理由が、診療所の収入確保の意図があるのではないかと思うような側面に対しては、国民の理解も求めながら、しっかりと改善する必要があるのではないかと思います。薬剤師の医薬分業もそうですし、これは専門性が実感できる対応を薬剤師にお願いしたいですし、かかりつけ医とか、そうしたチーム医療を十分発揮できるような形が良いと思います。

もう1点、私はかねがねいろいろな分野で人材、子供がこれだけ減る中の人材配置ということを言っているのですが、医療分野でも、やはり、公費で払われて、しかも安定した報酬が一定程度確実に見込める今の出来高払の状況の中で、高校生の中で医師を志望する人はやはりとても多いと思います。最近多少、ITとか、そうした技術者の希望も出てきたわけですが、今の全体のバランスの中で、お医者さん、若年人口の分配がこれでよいのかということに関しましては、診療タスクシフト、あるいは診療報酬、あるいは医学部の地域枠、そうした様々な視点から人材配置を考える必要があるのではないかと思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、最後、ウェブで横田委員が合図していますので、最後に横田委員、どうぞ御発言ください。

横田委員ありがとうございます。横田でございます。充実したデータ提供と分析ありがとうございました。

まず、地方財政についてですが、基金の残高が増えているということで、地方が傷んでいるという印象論に対する冷静なデータ提供となると思いますので、是非広げていきたい、細かな分析も含めてありがとうございました。

臨時交付金については、悪い側面はもちろん皆様がおっしゃるとおりですが、自治体によっては交付金を待たずに先手を打って有効な対策をしてきたという声もあったりしますので、有用なものにはしっかりと柔軟に対応しつつ、神子田委員もおっしゃっていましたが、無用なものは返還や相殺などの仕組みを検討するとか、次なる危機に向けて更なる検証を行いながら、柔軟性と費用対効果を担保できる仕組みを、是非検討していくべきだと思いました。

二つ目、社会保障、2点です。ワクチンに関してです。改めて現状を確認することができ非常にありがたい資料だったのですが、皆様がおっしゃるように、中長期的な戦略的調達をしていくべきだと思います。使用期限もありますし、需給ギャップがある中で、非常にハンドリングが難しいのは理解できているからこそ、計画性が必要です。今後、ウィズコロナの平時に向けて、いずれ費用負担を国民に得ていくような状況などになっていくのであれば、しっかり戦略的にやっているということを公開していく必要があると思います。

最後に雇調金についてです。私は、やはり特例からの脱却が必要だと思います。在籍型出向プランという仕組みが昨年あったと思いますが、労働移動を多少促せるような仕組みとして入れたのですが、特例措置の延長が続いて、恐らく活用状況は芳しくないのではないかと思います。その状況も検証しながら、やはり流動性を高め健全な労働移動に向け、そろそろシフトを本格的にするべきだと思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、委員からの御発言は以上にさせていただきまして、幾つか質問がございましたので、主計官からお願いします。

一松主計官まず、神子田委員から社会保障改革の視座について御指摘がありました。ワイズスペンディングの観点から新しく御用意した資料としては、例えば、22ページ、大槻委員からも御指摘いただいたような雇用・生活支援の今後の視点とか、94ページ、複数の委員から御指摘いただきました非正規を含めた育休、それから保育の充実の資料などがあります。

しかし、財政規律を維持しつつワイズスペンディングを行うためには、アンワイズスペンディングを具体的に特定し、そこを解消しなければいけないと思います。そこが快刀乱麻といかないことは、遠藤委員のおっしゃった湿布薬の例、あるいは何人もの先生方がおっしゃった雇用調整助成金の例などが示すとおりだと思っておりまして、土居先生がおっしゃったとおり未解決問題の百科事典となっており、ゆえに、あまり視点が新しく見えないということだと思っております。引き続き社会保障改革に取り組む必要があると思っています。

そうした中で、リフィル処方箋について、幾人かの先生方から御指摘いただきました。冒頭の説明では説明しきれませんでしたが、47ページで資料を用意させていただきまして、本日の日経新聞報道のようなことも、キャプションの(注)に書かせていただいています。そのほか、医療費適正化計画のところ、あるいは保険者努力支援制度・後期高齢者支援金の加減算のところなどで触れさせていただきまして、やはりこうした中でしっかり効率化策として位置づけて、保険者インセンティブの評価の中でも位置づけていくことが必要なのではないかと考えている次第でございます。

また、宇南山委員、角委員の間で、がん検診についてエビデンスの議論がありました。かつて財政制度審議会の参考資料の中でも示させていただいたことがあるのですが、2018年4月に経産省が、次世代ヘルスケア産業協議会に提出した資料によりますと、がん検診の医療費適正化効果は、適正化効果があるとマイナスになる数字がプラスでございます。プラス360億円です。一次がん予防は、2034年で、がん患者を約4万人減少させるが、その他疾患に関連した医療費が増加するため、全体として増加するというのが経産省の報告でございます。

もちろん医療費適正化の観点ではなく、QOLの向上、健康増進の観点から、がん検診は促進すべきものと思いますが、エビデンスとしては、そうしたことではないかと思っております。

他方で、確実にエビデンスがあると言われている健康予防づくりは、角委員の御指摘されたワクチンだと思っておりますので、ワクチンについては、しっかり考えていく必要があると思っております。

そのワクチンにつきまして、退席されました秋池委員がおっしゃっていた、9ページの資料ですが、これは企業のほうで秘密保持契約を日本国と結んでおりますので、単価についてお答えすることはできません。これを見ていますと全く同じワクチンの組合せになっているものはございませんので、機械的に割り算して、価格が上がっていっているということには、必ずしもならないのではないかと思っています。

最後に、田中委員から御指摘いただきました年金については、参考資料の10ページから14ページまでつけさせていただいております。基本的には、年金は制度改正が令和2年度改正でなされまして、また、今度の改正は令和7年度と先であること、また、昨年の5月に建議でしっかり御指摘いただいていることから、今回本体資料に盛り込まなかったものでございます。

その中でお尋ねがあった繰下げ受給ですが、例えば、厚生年金、老齢厚生年金でいうと、平成29年ですと繰下げ受給率は0.7%だったのが令和2年度には1%、国民年金でいうと、1.5%だったのが1.7%のように少しずつは増えていると思っています。ただ、先ほど申し上げた、2年度の法改正で、まさに繰下げ受給開始時期の上限を70歳から75歳へ引き上げる等の見直しを実施したところであり、その後の効果なども見ていく必要があると思っています。

私からは以上になります。

増田分科会長代理それでは、高田主計官。

高田主計官私からは御質問の部分に絞ってコメントをさせていただきます。

神子田委員から、基金が積み上がっていることについて、財政当局としてどう考えるのかという御指摘がありました。基金というのはなかなかセンシティブなエリアでありまして、実際には自治体がまさに堅実な財政運営を行った結果として、基金が増えているというケースもあるものですから、よく個別の状況を見ていく必要があると考えております。

ただ、1点言えるのは、多くの委員からも御指摘がありましたが、今コロナ禍だからといって、押しなべて、地方が財政的に逼迫しているというわけでは必ずしもないということは少なくとも言えるかと思いますので、更なる、例えば臨時交付金の増額要求であるとか、そうしたものに対してはやはり一定の反論として、言っていくべきものであると考えております。

それから、臨時交付金について、使い道がなかった場合に返還させられないのかという話がございました。これは返還以前に、そもそもこれは自治体からの申請ベースですので、使い道がなかったら本当は申請しないでいただきたいのですが、結局、臨時交付金というのが非常に幅広い用途に使える、かつ、国も必ずしも、用途をそこまで厳しくは問わないという、それは良い面と悪い面があるわけですが、そこも含めまして、これも多くの委員から御指摘ありましたが、しっかりと検証していくことが必要であろうと思います。

それから最後、末澤委員から、今回地方財政の枚数が少ないのは、地方に問題がないからかという御指摘がありましたが、決してそうではございませんで、本当はたくさん議論したいことがあるのですが、ただ今回、財審全体のスケジュールの制約の中で、できる限りコンパクトにさせていただいたということを最後に申し添えさせていただきます。

増田分科会長代理ありがとうございました。今日の議論は、ここまでとさせていただきますが、時間等の制約もあって十分言い尽くせなかったところは、後でまた、メールなどでお寄せいただければと思います。

それから、この後、記者会見で、内容等について私から説明しますので、その点、お含みおきいただきたいと思います。

次回、4月20日、来週ですが、15時から歳出改革部会という形で開催いたします。テーマは、社会資本整備、産業中小企業、それからグリーン、防衛、この四つの分野について審議する予定でございます。

それでは、本日の会議は以上とさせていただきます。どうもありがとうございました。

午後5時10分閉会