財政制度等審議会財政制度分科会
議事録
財政制度等審議会財政制度分科会議事次第
令和4年2月16日(水)14:00~15:40
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)
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1.開会
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2.議題
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令和4年度予算等について
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3.閉会
分科会長代理 |
増田寛也 |
高村大臣政務官 水口政策立案総括審議官 茶谷主計局長 奥次長 坂本次長 阿久澤次長 八幡総務課長 今野主計企画官 山岸主計企画官 藤﨑法規課長 鈴木主計企画官 園田企画官 吉田給与共済課長 大沢調査課長 宮下主計企画官 渡邉主計官 三原主計官 福田主計官 高田主計官 一松主計官 田中主計官 野村主計官 北尾主計官 |
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委員 |
遠藤典子 大槻奈那 佐藤主光 十河ひろ美 武田洋子 中空麻奈 藤谷武史 宮島香澄 |
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臨時委員 |
秋池玲子 宇南山卓 河村小百合 喜多恒雄 木村旬 熊谷亮丸 小林毅 末澤豪謙 角和夫 竹中ナミ 田近栄治 田中里沙 冨田俊基 平野信行 広瀬道明 福田慎一 別所俊一郎 堀真奈美 神子田章博 横田響子 吉川洋 |
午後2時00分開会
〔増田分科会長代理〕それでは、会議を始めますが、本日、冒頭でカメラが入りますので、そのままお待ちいただきたいと思います。それではお願いします。
(報道カメラ入室)
〔増田分科会長代理〕ただいまから、財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。皆様には御多用中のところ御出席いただきまして、ありがとうございます。
本日は、令和4年度予算等についてを議題といたしております。
それでは、報道関係の皆様方、御退室をお願いいたします。
(報道カメラ退室)
〔増田分科会長代理〕それでは、議題に入ります。
まず、大沢調査課長から簡潔に説明をお願いいたします。
〔大沢調査課長〕調査課長の大沢でございます。よろしくお願いいたします。
お手元の資料1、令和4年度予算の概要等について、資料2、令和4年度予算の編成等に関する建議の反映状況について、御説明をさせていただきます。
まず、資料1を御覧ください。
1ページ目は令和4度予算のフレームでございます。資料中ほど太字の部分が、今回の予算の合計額になります。4年度予算のところを御覧いただきますと107.6兆円と、昨年度より約9,800億円増えて、過去最大の額となっております。増加要因は、国債費と社会保障関係費でほとんど説明することができます。社会保障関係費については、高齢化による増加、国債費につきましては、国債残高の増加によるものでございます。
続いて歳入を御覧いただきますと、税収が大幅に増えて約7兆8,000億円の増となっており、過去最高の65.2兆円となっております。税収が増えた分、公債金、すなわち国債発行額が減少しております。
1ページおめくりください。
次のスライドは、毎年おなじみの一般会計予算の歳出・歳入の円グラフでございます。左側、歳出の中で、社会保障が約3分の1を占めております。
続きまして、3ページ目でございます。主要経費別の内訳でございます。
社会保障、国債費が伸びる中でも、ほかの経費についても可能な限りメリハリをつけておりまして、上からまいりますと科学技術振興費、プラス1.1%、また、防衛関係費、プラス1.0%と伸ばすべきは伸ばすということでメリハリをつけるべく、取り組んできております。
続きまして、4ページ目でございます。予算全体のポイントでございます。令和4年度予算につきましては、令和3年度補正予算と一体として、新型コロナ対策に万全を期しつつ、「成長と分配の好循環」による「新しい資本主義」の実現を図るための予算としております。
まず、新型コロナ対策につきましては、令和3年度予算と同様にコロナ予備費を5兆円、措置しております。
続いて、成長と分配ですが、成長からいきますと、過去最高の科学技術振興費を確保して、デジタル、グリーン、量子、AI、宇宙、次世代半導体など、これからの成長のエンジンとなる分野、我が国で技術を確保すべき分野の研究開発を促進しております。
デジタルにつきましては、昨年9月に発足いたしましたデジタル庁に、各省庁の情報システム関係予算をまとめて計上し、デジタル庁が各省庁のシステムの方針や運営を効率的に管理できるようにしております。また、自治体ごとのデジタル技術の活用を後押しするため、地方向けの交付金を措置しております。
右側の分配についてですが、介護、保育など、現場で働く方々の給与を3%引き上げるための措置を講じております。
また、デジタルなど成長分野を支える人材育成や非正規労働者のステップアップなどにつきまして、3年間で4,000億円規模の投資を行うこととしております。
下のほうですが、予算全体としては「骨太方針」に定めました歳出改革の取組を継続しておりまして、社会保障関係費については、高齢化による増に抑えております。社会保障以外については、全体として、おおむね前年同額というこれまでの取組を継続しております。
5ページ以降の各歳出分野の特徴につきましては、建議がどのように反映されたかということで、資料2で後ほど御説明いたします。
続きまして、7ページでございます。補正予算につきましても、今回、御説明をさせていただこうと思います。
7ページ目は令和3年度補正予算の歳出歳入でございます。経済対策関係費として、左の中ほど、31.6兆円を盛り込んでおります。また、令和4年度と同様に、税収が当初の見積りから6兆円以上、上振れをしております。
次の8ページ目、9ページ目は、補正予算の中身でございますが、新型コロナ対策では病床確保、3回目のワクチン接種、治療薬の確保、事業者や個人への支援、さらにはガソリンの負担軽減などについて、右上にありますように、合計で18.6兆円を措置しております。また、Go Toトラベル、国産ワクチンの体制整備のために1.7兆円を措置しております。
さらに、9ページ目になりますが、4年度当初予算同様の幅広い研究開発の支援、マイナポイント第2弾として、マイナンバーの普及の支援、先端半導体の国内生産拠点の確保など、経済安全保障などを進めることとしております。
次に、11ページ目を御覧ください。いわゆるワニ口のグラフでございますが、ワニの口が開いて、まさに秋の建議で御指摘いただきましたように、新型コロナによりまして、巨大な角が生えた形となっております。来年度以降、これを正常な形に戻せるかが非常に重要なポイントとなってくると思います。
12ページ目でございます。債務残高対GDP比の国際比較ですが、先進国は軒並み2020年に悪化しております。もともと債務残高対GDP比が大きかった日本は、より一段と悪化している状況でございます。
13ページ目でございます。こうした中で、新型コロナ対応のために巨額の補正予算により国債発行額を大幅に増加させたため、左の図の赤い部分ですが、満期1年以下の国債が増えております。金利上昇した場合、直ちに利払費が増加する脆弱な構造となっております。
14ページですが、こうした中で、欧米では近年にないインフレが発生しております。また、原油価格はじめ、資源価格の高騰の影響もありまして、我が国でも物価は上昇傾向にございます。
15ページですが、このような状況で、これまでのような低い金利によって利払費を抑え続けることができるかどうかが重要な論点になってくると考えております。
16ページ目でございます。一方で、税収につきましては、点線の部分ですが、2020年に新型コロナ下で税収が大幅に落ち込むと見込んでおりましたが、実際には決算において2020年は60.8兆円と、過去最高の税収となりました。昨年夏に判明した決算を前提に、2021年、また、来年度予算、2022年の税収も過去最高となることを見込んでおります。
背景といたしましては、1枚飛ばしていただきまして18ページ目ですが、赤いグラフです、コロナの真っただ中の2020年度においても、企業の純利益は飲食・宿泊など、一部の業種を除きまして、多くの業種でコロナ前と変わらないか、もしくは更に伸びた状況であったことがあります。
19ページ目ですが、こうした中で、昨年12月に、まさに先生方からいただいた建議でございますが、改めて振り返らせていただきますと、「例外」からの脱却をすべきという御指摘をいただきました。巨額の補正予算が連続するという「戦後最大の例外」を脱却して、経済、財政の「正常化」に取り組むべき、また、PB凍結といった方針転換を行うことなく、歳出・歳入両面から改革を進めるべきといった御指摘をいただきました。
この御指摘も踏まえまして、1枚飛ばしまして、21ページ目ですが、本年1月に、財政健全化目標の再確認を行っております。内閣府の中長期試算では実質2%程度、名目3%程度という政府目標、「骨太の方針」に基づく各分野の歳出改革の取組の継続、こうした前提に立ちますと、緑のポイントですが、2025年度にプライマリーバランスの黒字化が僅かながら可能という試算になっております。ただし、この試算は、今後の補正予算を前提としておりませんので、令和2年度の70兆円、また、昨年の30兆円以上という、巨額の補正予算を続けていては、このグラフのような状況は実現できないという状況になっております。
最後のスライド、23ページを御覧ください。諸外国の財政をめぐる動きについてです。英国では、財政健全化のための法人税率の引上げや、社会保障の負担金の導入など、財源確保を伴う改革を進めております。スナク財務大臣が人気を博しておりますが、次の危機に備えて、財政を強化する必要性について演説いたしまして、経常的収支を2024年度までに均衡させるなど、目標を公表しております。
また、EUでは、毎年の財政赤字3%以内、債務残高60%以下というルールがまだ生きております。ポイントは「毎年の」という部分でして、日本のプライマリーバランスの目標は、あくまでも2025年度単年度の黒字化を目指しておりますが、EUはもっと厳しい目標であるということが言えます。このEUのルールは、現在も適用されておりますが、コロナ対応のために、制裁措置の適用が停止されている状況でございます。
さらに、この中でドイツにつきましては、コロナ対応のために7年ぶりに新規公債を発行しましたが、その償還計画を別途備えております。また、来年には財政収支均衡の原則に戻るということでございます。
フランスでは、コロナ危機に起因する債務を2042年までに償還する計画をつくっております。
最後に、アメリカですが、アメリカの特徴といたしまして、ペイアズユーゴー原則が大きくありまして、新規の施策の導入については、それに見合う財源を確保することが法律で決まっております。昨年成立した超党派のインフラ法、現在審議中のビルド・バック・ベター法案につきましても、税制改革などによって財源が確保され、または検討されることとなっております。
したがいまして、こうした諸外国の状況を踏まえて、今後着実に歳出・歳入両面の改革を我が国においても続けていかなければならないと考えております。
続きまして資料2でございます。先生方からいただいた建議につきまして、各分野別に反映の状況を簡単にまとめてございます。
まず、社会保障でございますが、1ページ目、最初の丸でございます。社会保障費を「高齢化による増加分」に相当する伸びに収める必要があるという御提言をいただきました。
社会保障関係につきましては、様々な歳出抑制努力を積み重ねることによりまして、実質的な伸びを「高齢化による増加分に収める」という方針に沿ったものにしております。
医療につきましては、診療報酬改定について、1ページ目、2ページ目で書かせていただいておりますが、まさに水準の抑制を図るとともに、医療提供体制の改革なくして診療報酬改定なしという考えの下で、リフィル処方箋の導入、急性期病床の見直し、包括払いの推進などを実現することについて、御提言をいただいているところです。
令和4年度診療報酬改定につきましては、看護の処遇改善と不妊治療の保険適用を実現するとともに、リフィル処方箋の導入等によりまして、メリハリある改定を行っております。改定率を0.43%に抑えまして、国民の保険料負担の抑制を図っております。
その中で特にリフィル処方箋の導入につきましては、再診の効率化につながるものでございまして、0.1%分のマイナスの改定となっております。さらに、急性期病床の見直し、更なる包括払いの推進など、診療報酬改定の具体的項目に初めて踏み込んだ大臣合意を昨年末に行って、改革を着実に進めることとなっております。
3ページ目の冒頭に、雇用のお話を書いてございます。雇用保険につきましては、新型コロナ禍の対応も踏まえまして、平時と有事における国の責任の範囲を再整備する必要があるといった御提言をいただいているところです。
今般の雇用保険法改正におきまして、失業等給付の国庫負担割合を、雇用情勢や雇用保険の財政状況に応じたものとすることにより、国庫負担率を4年度は2.5%とするとともに、一般会計からの任意繰入を行うことができる仕組みとしております。保険料率につきましても、本年10月に0.2%から0.6%に引上げ、さらに本則の0.8%に向けて段階的に引き上げることとしております。
地方財政につきましてですが、1つ目の丸のとおり、一般財源総額実質同水準ルールの下に、国と地方が足並みをそろえて経済再生と歳出改革に取り組み、国・地方を通じた財政の健全化につなげることが重要と御指摘をいただいております。
令和4年度地方財政対策では、税収が大幅に回復する中で、一般財源総額実質同水準ルールを堅持することによって、前年度に比べて地方公共団体の臨時財政対策債の発行額を3.7兆円、交付税特会の借入金を0.5兆円圧縮することができました。
次に、3ページ目の後ろのほうですが、文教・科学技術につきましては、最初に左側の御提言ですが、義務教育について、限られた人的リソースを有効に活用すべく、小学校高学年の教科担任制を推進する場合は、小中連携・授業交換・オンライン授業の工夫など、定数増によらない工夫も必要である。働き方改革の観点から、授業以外の事務の軽減に取り組むとともに、外部人材について定量的な指標に基づく効果検証や、地方自治体の自己努力も踏まえた効果的・効率的な配置とすべきという御指摘をいただいております。
右側、4年度予算では、小学校高学年の理科・算数・体育・外国語の教科において、専門性の高い授業の実施により教育の質を向上させるために、担任間の授業交換や小中連携などの工夫を併せて行いつつ、「教科担任制」の推進について必要となる1,030人の定数改善を措置しております。
また、4ページ目ですが、働き方改革の観点から、スクール・サポート・スタッフなどの外部人材につきまして、働き方改革の取組や定量的な指標設定・効果検証を通じた効果的・効率的な配置を推進するとともに、学校行事の精選等を含む、学校における働き方改革に関する通知を発出したところでございます。
続きまして、5ページの社会資本整備でございます。左側、1つ目、2つ目の丸のとおり、ソフトとハードを一体のものとして効果を最大化させるため、あらゆる関係者の行動変容を促すことが重要。また、原形復旧によらずに効率的な復旧・復興を行う場合のインセンティブを強化すべきという御指摘をいただいております。
右側、4年度予算では、ソフト対策が不十分な市町村について防災・安全交付金による重点配分の対象外とする措置の導入によって、ソフト・ハードを一体のものとして効果を最大化させるためのインフラ整備の推進を図っております。
また、原形復旧を前提としない復旧・復興事業に積極的に取り組むことができるように、住宅移転について浸水を許容する区域を支援対象に追加するなど、住宅・都市機能の移転を促すインセンティブの強化に取り組んでおります。
農林水産につきましては、左側ですが、米に関して、水田農業の生産性を高めつつ、転作補助金の財政上の持続可能性を高めていくために、輸出用の米、また、高収益の作物への転換を促すべきという御指摘をいただいております。
これに対して、4年度予算では、生産者と実需者の連携による水田農業の生産性向上のための取組を支援するとともに、転作助成金における飼料用米等への転作支援の加算措置を原則廃止するなどの見直しを実施しております。
6ページ目、グリーン(エネルギー・環境)でございます。1つ目の丸のとおり、特にエネ特事業につきまして、施策の必要性・有効性・効率性を不断に検証して、抜本的に見直すべきという御指摘をいただいております。
来年度予算では、二酸化炭素排出量削減の観点から、費用対効果が必ずしも高くない予算要求を圧縮いたしまして、太陽光、洋上風力、地熱などの再生可能エネルギーの導入、クリーンエネルギー自動車の導入や、水素、アンモニア等の実用化・普及に向けた研究開発の加速に重点化をしております。
中小企業でございます。建議におきましては、1つ目の丸のとおり、事業者の置かれた状況に応じて、支援を重点化すべきという御指摘をいただいております。
この点、補正予算におきまして、事業再構築補助金について、厳しい状況にある事業者を着実に支援する観点から、使い勝手を改善する一方で、補助金への依存や過大投資の誘発を防ぐ観点から、通常枠の補助上限を見直しております。ものづくり補助金につきましても、同様の見直しを行っております。
7ページ目の後段、外交関係でございます。ODA予算につきまして、支援分野や対象地域の重点化を図る必要がございまして、無償資金協力予算、技術協力に関して効率的に執行すべきという御指摘をいただきました。
特にこの点、資金の滞留が確認された無償資金協力につきましては、7ページの最後ですが、網羅的な点検による案件の打切りや国庫返納、遅れが見られる案件の予算措置の見送りを行うこととしたところですが、引き続き改善に向けて議論を進めてまいります。
また、その他につきましては、新型コロナウイルス感染症の収束のための協力などの政策課題に予算を重点的に配分しております。
デジタルについてです。建議におきましては、情報システムの運用・改修の3割削減目標などについて、どのように進めていくのか、デジタル庁主導できちんと検証を行い、ロードマップの形で取りまとめるようにという御提言をいただきました。
これを踏まえて、昨年の年末に閣議決定いたしました重点計画におきまして、今年度末をめどに、各省庁が個別システムに係る業務改革などの方針について、中長期的な計画を策定して、デジタル庁はその調整、取りまとめを行うことになっております。
最後、防衛でございます。建議の中では、国民負担の水準、ほかの経費とのバランス、我が国が取るべき戦略などを議論した上で、防衛関係費の水準を検討すべきという御指摘をいただいております。
来年度予算におきましては、従来領域、新領域、短期・中期・長期の時間軸でのバランスなどを考慮しながら予算編成を行いまして、現行の中期防衛力整備計画に基づきまして、5.4兆円の予算を計上しております。今後、防衛関係費の水準の在り方につきましては、新たな国家安全保障戦略等の策定の中で議論していく予定となっております。
私からは以上でございます。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、いつものとおり委員の皆様方から、御意見や御質問を頂戴したいと思います。
それから、本日、芳野委員から意見書が提出されております。お手元にお配りしてありますので、お目通しをいただきたいと思います。
また、今の説明に対しての御意見やコメントなどと同時に、今日、もしございましたら今後、春の財審の当分科会で、どのような視点から議論するべきか、こちらの関係についても御意見がございましたら併せて頂戴できれば幸いでございます。
いつものとおり、会場にいらっしゃる委員の皆様方には、ネームプレートを立てていただければ、こちらから指名いたします。また、テレビ会議システムの方には、挙手するボタンのクリックで合図していただければ、指名させていただきます。初めに会場から5名程度、続いてテレビ会議システム、こうした順序で指名させていただきますので、会場の方は、マイクをオンにして御発言いただいて、終わりましたらオフと、それからもし差し支えなければマスクを外して御発言を。それから、テレビ会議システムの方には、ミュートを解除して発言していただいて、また、ミュートに戻すと、こうしたことでお願いしたいと思います。
それでは、会場のほうから指名いたしますので、初めに、佐藤委員から順次お願いします。
〔佐藤委員〕ありがとうございます。では、できるだけ手短に3点ほど。
1つ目です。素朴な質問というか指摘になるのですが、17ページで税収の伸びについてです。御説明では、もちろん、企業の業績が高水準を維持できたということ、要するに思った以上には法人税の落ち込みが少なく済んだということは、もちろん大きなポイントとして挙げられていますが、もう一つ、消費税が伸びています。当たり前ながら、税率を上げましたので、2兆円強伸びていますので、やはり消費税はこうしたときに底支えとしてはかなり強力であるということ、この辺り、消費税の貢献をもう少し強調してよいのではないかという気がします。
それから、2点目ですが、今回の当初予算は、もともと16か月予算として形成されているので、16か月予算として評価したほうが良いと思います。例えば、公共事業という、3ページの資料では、当初予算ベースでは伸び率は0%となっていますが、実際のところは補正予算で約3兆円計上されています、国土強靱化という形で。したがって、今の流れからすると、各省庁も補正ありきで予算要求しているということです。その流れの中で、予算をつくっているということもありますので、やはり補正を含めた形で、これはいつも言われることですが、当初予算だけではなく、補正を含めた形での検証がなければいけませんし、特にコロナとコロナではない対策、事業が玉石混交になっている面もありますので、ここをきちんと峻別しないと、例えばいざというときに、ワニの口が閉じないのかなという気がします。
最後に、3番目ですが、やはり、春の審議会で議論すべき点として、もちろん当たり前ですが2025年度の基礎的財政収支の黒字化目標も見据えながらとなりますが、やはり財源の議論から逃げることなく、コロナ対策の出口戦略、どのような形でコロナで生じた財政赤字、赤字国債を償還していくのか。60年ルールに必ずしも縛られる必要はないと思いますし、縛られるべきでもないと思いますので、その辺り、やはり出口戦略、その中で財源をどうするかという議論、これはほかの国でもやっていることですので、きちんと議論したほうが良いと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、会場から5名の方に、最初発言してきますので、続いて小林(毅)委員、それから中空委員、神子田委員、木村委員、ここまで、会場のほうで指名しますので、よろしくお願いします。
それでは、小林(毅)委員、どうぞお願いします。
〔小林(毅)委員〕毎年、当初予算が編成されますと、建議の反映状況を出していただいておりまして、そこの中では個別の項目で、きちんとこうしたものが反映されていますということが出てくるのですが、一番言いたかったといいますか、総論の部分はどう反映しているのだろうか。つまり、例外からの脱却という観点で見た場合に、今回の予算は反映されたのかどうかということを問いかける必要があると思います。今回、これはきちんと例外からの脱却ができている、あるいはそこに向けた見通しが立っていると見る人は恐らく少ないと思います。その最大の理由は、やはりコロナの年末からの感染拡大が大きく影響しているのかと思いますが、このように毎回新しい株が出てくる、新しいコロナの亜種が出てくる、そうしたときに、その都度その都度、経済活動がとまり、その結果、それを補助するため、あるいは感染を防ぐために、予算措置をしなければならないということになってくると、これはもう全然先行きが見えない、例外からの脱却は全く見えないということになってきます。そろそろ、コロナに対する知見、そうしたもろもろのことが蓄積してきた頃であると思いますので、コロナが存在していることを1つの国家運営のシステムの中に組み込む必要があるのではなかろうか。コロナがあるということを前提として、組み込んで、その上でいろいろな措置をしていくべきではなかろうかと思います。
それは、恐らく、専門家の方々の意見を聞くことは当然のこととしても、例えばイギリスの例ですとか、あるいはデンマークの例ですとかを見ていましても、最終的にそれを判断するのは政治の世界であると思います。政治あるいは政府の判断であると思います。それが問われるところであると思いますし、春の審議に向けましても、その辺りのコロナをどうやって組み込んでいくかというシステム、この中で予算を今後、日本の財政をどのように考えていくか、この辺りのところを考える必要があるのではないかと考えております。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、中空委員、お願いします。
〔中空委員〕ありがとうございます。芳野委員からの意見書にもあるのですが、2022年度予算は、当初予算として約107兆円と非常に大きな予算になっています。この予算について毎年毎年私たちはこの場で、大きいですねとか、これをどうやって減らしましょうとかと話をするわけですが、基本的にはどこを改善したのかが、ふんわりと、ぼんやりと分かっている部分はあるのですが、実際にどれぐらい予算として、あるいは削減できたのかがなかなか見えてこない形になっている。ですので、PDCA、EBPMをうたっている以上、どのような効果があったのかももう少し分かるような形で考える必要があるのではないかと思います。これが1点目。
2点目は、この建議も、もう何年も同じようなものをつくっているようにも見えてしまうところがあるので、ここは1回、PB黒字化ということをもう1回きちんと、多くの国民と共有できる形にできないかということに腐心する必要があるかと思います。なぜ必要で、なぜ追求するのかを、できるだけ分かりやすく説明することが求められてくるかと考えており、発信力を高めていく、これが2点目です。
3点目としましては、成長戦略を今年は盛り込みたいという今回の建議に対しての希望です。グリーンとかデジタルというのは、成長戦略としてみんな作文はするのですが、なかなか具体論に落とし込めないので、ここをできるだけ成長戦略のほうに持っていけるような建議というか、財審でありたいと思います。ということを希望的に考えているということをお伝えしたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、神子田委員、どうぞお願いします。
〔神子田委員〕どうもありがとうございました。毎年、財審をやって、こうしたお話を聞いていると、だんだんよくやっているなと思うようになってしまって、今年もこの答申をどう生かしたかのような話をして、一々答えを出しているということで、社会保障費を高齢化のみに抑えるとか、ほかは前年度比で、と口で言うのは簡単ですが、実際予算組んでいくのは大変なことなのではないかと思います。
それで、個々の話を聞くと、リフィル処方箋とかもそうですが、それぞれの担当が、今年はどのようなところに目をつけて削っていくかを、きちんと手当てしていくところは立派であると思うのですが、そうした戦術は各所にあると思うのですが、全体としての戦略は誰が考えているのだろうか、あまり聞いたことがない、取材してないからかもしれないのですが、その辺のところはどうなのか、あったら聞いてみたいという気がします。
それと、先ほど佐藤委員からもお話あったのですが、結局、今回の、財審は毎年この時期に、4月からの予算案がこうなりましたという話を聞くのですが、今日の議題の中でも、令和4年度予算等と書いてあるのですが、この「等」の中に、佐藤委員のおっしゃったように、要は、大体10月とか12月にかけて補正を組みますとかいって、12月になると15か月予算ですとか、16か月予算ですとか、切れ目なく財政出動して景気を支えていきますという話を、何年連続か分からないのですが、何年も連続して聞いている気がします。
それで、実態として、「等」の中に、4年度予算はこうですがと、ただ、15か月予算にすると、こうなっておりますという説明もしていただきたい。それが暦年で見ると、ずっとこうなっておりますという話も聞いておきたい。恐らく、それが予算の実態ではないかと思うわけです。
それで、15か月予算は、私、大分前から、現役で取材していた頃から聞いていたのですが、15か月予算は、今ふと思ったのですが、毎年15か月予算をやっているわけです。でも、1年は12か月しかないわけです。そうすると毎年、3か月分多く予算を組んでいるということですから、財政が膨らむに決まっているというか、この辺は、やっている人たちどう考えているのだろうと思います。また、それを許している政治家というか、逆にけしかけているのかもしれませんが、その人たちは、国民の将来のことをどう考えているかと思うわけです。私は、去年の財審で、子供たちの未来を奪っている、未来泥棒であると言いましたが、その辺が、本当のところ私も分からないところがありまして、最近、MMTとかあって、それも聞いているうちに、何とかなりそうな気もしてくるのですが、本当にそうなのかというところは、やはりここは賢明な国民に判断をしてもらいたい。判断をしてもらう前提として、実態を分かりやすく伝えていってもらいたい。そのように思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕また、最後に、主計局の皆様に少し話してもらう時間を取りたいと思います。よろしくお願いします。
それでは、木村委員、どうぞお願いします。
〔木村委員〕御説明ありがとうございました。今回の予算編成、やはりコロナと経済再生と財政健全化という3つの課題に同時に取り組まなければならない、極めて難しい編成だったと思います。この難題に取り組まれた財政当局の方には、御苦労に改めて敬意を表したいと思っております。
その上でのコメントですが、令和4年度予算は新規国債の発行が減少しましたが、委員の皆様おっしゃっていますように、3年度の補正予算と一体編成されたわけで、そこで結局、大型の補正がつくられて、そこでの新規国債額が20兆円超と大規模ですから、幾ら当初で国債の発行を抑制しても、補正で大幅に積み増してしまえば、結局借金頼みというか抜け道をつくってしまうようなことでは、大して変わらないのではないかということが何年も繰り返されていますが、改めて指摘しておきたいと思います。
もう一つ、これは参考資料ですが、内閣府の中長期財政試算、2025年度のプライマリーバランス黒字化目標を維持されたこと自体は評価したいと思うのですが、この試算自体はやはり疑問が多くて、特に名目で3%成長率が何年も続くという、これは現実離れした想定ですから、こうした甘い想定ですと結局、財政規律が緩んで、逆に黒字化が遠のく危険性があるのではないか。しかも、御説明あったように、世界的にインフレが進んでいて、日本も金利上昇の動きが出ているわけです。総理もコロナは最悪の事態に備えるとおっしゃっていて、コロナの収束はなかなか見えてないわけですから、見通しもより保守的に見積もって、一段と効率的な予算編成に今後努めていただきたいということ。
それで、こうして無駄を排して効率的に予算編成に努めていくことが、成長分野に重点的に財政が投じられて、総理が掲げられている成長と分配の好循環に結びつくのではないかと考えています。春以降の財審のことですが、要は、そのためにもこれまでの予算編成の検証は欠かせないということで、今回、建議の反映状況を示していただきましたが、成果だけではなくて、反映されなかった項目、残された課題に関しても、きっちり報告していただいて、その上で成果も含めて検証をやっていただきたい。定性的ではなくて、できるだけ定量的にやっていただければ、検証がより正確になるのではないかという気がします。
また、もう1点は、佐藤委員もおっしゃいましたが、これから歳入改革に関しても議論をしていただきたい。特にコロナで生じた赤字、それから高齢化で必要になっていく財源の確保、この2つに分けて歳入改革を併せて考えていくようなプロセスも、今後の春の財審で必要なのではないかと考えております。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、ここで、オンラインで参加の皆様方のほうに移りたいと思います。次の5名の方、指名しますので、準備をお願いしたいと思います。初めに熊谷委員、次いで冨田委員、それから田中委員、それから宮島委員、河村委員と、この5名の方に御発言をお願いしたいと思いますので、初めに熊谷委員、どうぞ御発言ください。
〔熊谷委員〕ありがとうございます。今後の予算編成を視野に入れて、一言申し上げたいと思います。
現在、政権与党の中核をなす自由民主党は保守政党でございますが、「保守」という言葉の語源を調べてみると、「防腐剤」という意味合いもございます。私が申し上げたいことは、保守というのは、本当に守らなくてはいけない大切な美点を守り抜くために不断の改革を続ける。この不断の改革を続けるところにこそ、保守の本質があるのだと思います。
その意味で申し上げれば、やはり優先順位づけ、プライオリティーづけが極めて重要です。今後変えるべき最大のものは、言うまでもなく、社会保障であり、給付の徹底的な効率化を図らなくてはいけませんし、また、医療提供体制の抜本的な改革などを行うことが肝要です。こうした全世代型の社会保障改革を断行しないと、本当に必要なところにお金が回らなくなってしまいます。先ほど中空委員から、成長戦略のお話がございましたが、岸田政権の新しい資本主義の最大の柱は、人的投資や無形資産投資ですので、これらを徹底的にサポートしないといけません。また、グリーン化、デジタル化を進めることも喫緊の課題です。さらに、国防という面でも、我が国を取り巻く東アジアの環境は急速に悪化しているわけですから、予算にメリハリをつけて、こうした本当に必要なところにお金を回すことが喫緊の課題だと思います。
逆に、保守政権として守らなければいけないのは、国の信用の根幹、礎は健全な財政でございますから、その意味では財政健全化の旗は掲げ続けるべきですし、2025年度のPB黒字化の目標も堅持するべきだと考えます。
いずれにしても、以上のような視点を踏まえて、最終的には経済の再生と、財政の健全化の両立を図っていくことが肝要です。今後も、ぜひともこうした建設的で、骨太なスタンスで引き続き予算編成に取り組んでいただきたいと考えます。
誠に僭越ながら、私からは以上でございます。ありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕それでは、続いて冨田委員、どうぞお願いします。
〔冨田委員〕ありがとうございます。2点、指摘させていただきます。
1点目は、地方財政対策についてです。去年のこの時期の会議におきまして、地方財政対策について、一般財源総額ルールはきちんと守られたということは評価できるのですが、それをファイナンスするために、交付税特別会計の借金返済を4年間も繰延べたということを強く批判させていただきました。新年度予算では、一般財源総額実質同水準ルールは守られたことはもちろん、先ほど御説明もありましたが、国と地方の税収の回復に支えられ、地方交付税の特例加算が解消され、その分、赤字国債の発行額が減少しました。交付税特会の地方負担分の借入金の返済については、足下の償還額を増やすとともに、償還年限を2年間前倒ししております。さらに、赤字地方債と呼ばれます臨時財政対策債の発行額も3.7兆円削減され、その残高も55.3兆円から53.2兆円と、臨時財政対策債の残高も減少が見込まれるようになりました。こうしたことから、今後も、歳出の目安の一部であります一般財源総額実質同水準ルールを遵守し、地方財政の健全化を進めることが大切であると思います。
2点目は、中長期試算に見ます感染症の影響です。昨日はQE、GDP統計の速報値が発表されまして、その水準がコロナ前に戻ったのかどうかが注目されました。同じような観点から、本日御説明のあった新年度予算を2年前、2020年1月の内閣府の中長期試算で見ます国の一般会計の姿と比較してみたのです。そういたしますと、新年度の一般会計のPB対象経費は83.7兆円ですが、コロナ対策予備費を除くと78兆7,000億円です。2年前の中長期試算の、2020年度の試算値に比べまして、このPB対象経費は、ベースラインケースよりも小さくて、そして、もちろん成長実現ケースの値よりも小さいのですが、その点から考えても、歳出の目安を遵守してきたということの意味は大きいわけでございます。
また、本年度の税収65兆2,000億円を見込まれておりますが、これは2年前にベースラインケースと成長実現ケースが見込んだ2022年度の値の間にございます。しかしながら、新年度末の国・地方の公債等残高につきましては、2年前の試算値1,106兆円に対しまして、1,200兆円に増え、GDP比も2年前の試算値、185.9%から212.6%に上昇しております。このように新型コロナの影響は、補正予算に出ているわけです。
今日御説明ございました資料1の21ページ、それから、御説明はなかったですが、参考資料1-3の2ページ、この参考資料には公債等残高の対GDP比が、成長実現ケースの成長率・金利の下では、試算期間内における低下が見込まれるとございます。
このように、2025年度の我々の目標達成は指呼の間というか、これまでにない、過去の目標と実績との関係から見ると、もう指呼の間に臨めるようになったように私は思います。
そこで、25年度目標の実現をより確実なものにするためには、この補正予算、予見しがたい経済事情の変動その他やむを得ない事由で編成される補正予算につきまして、25年度目標との関係においても、十分に検討する必要があると思います。これも、春以降の検討課題であると私は思います。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、田中委員、どうぞお願いします。
〔田中委員〕田中です。どうぞよろしくお願いします。
まずは、国民の理解の観点からお話をさせていただきます。2022年度から、例えば高校で金融経済教育が公共の科目として本格的にスタートしますが、これらの流れも生かしながら、財政に関する広報と、全世代が各人の人生設計と照らして、財政を理解するための情報提供や対話の機会や環境の整備が重要と考えます。従来も、財政の正常化に向けて、プライマリーバランスの黒字化、社会保障と税の一体改革、将来世代への負担の先送りといったキーワードが丁寧に説明されてきたと思いますが、これらの意味や意義を打ち出して、また、今後に向けて重要なキーワードを追加するなど、検討できたらと思います。
コロナ禍で、医療、福祉、教育など特に、また、これら初めて知る事実や、深く考えてみたという経験が増える中で、自らの置かれた環境や、周りの人々の環境とも照らし合わせて、財源を有効に活用せねばという等身大の、また、個人単位での成長と分配的なことが実感できるような機会が有効になると感じています。
少し前には、財審でも、地域や、例えば子育て世代など、対象層を設定して、世代別の対話イベントのようなことも予定されたことがありましたが、コロナで延期・中止となっていると思いますので、オンラインやウェブの環境も充実してきたことも含んで、本年度以降、実行できたらと願っております。
以上、よろしくお願いします。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、続いて宮島委員、どうぞお願いします。
〔宮島委員〕宮島です。よろしくお願いします。
まず、来年度の予算編成に関しては、皆様の御努力で方向性がついたものもいろいろあると、思っております。それは差し置いて、広く素朴なことを言いますと、やはり補正予算で積み上がる借金を見ると、この大きさに本当に、この後どうするのだろうと素朴に感じます。コロナの2年間を通じて痛感したのは、国民に給付と負担のバランスがしっかり根づいていなければ、財政のみならず、コロナの後の経済の復活も危ういと今感じています。といいますのは、今、コロナから、オミクロンになって、この先どのようにしていくかの議論が始まったのですが、やはり、もう少し行動を制限していたほうが良いとか、そのような意見が世論に強めに出るために、政権が次のステージに復活させにくくなっているのを感じます。それはつまり、今高齢者が多くて、コロナでも年金は減らないし、飲食や旅行などはすごくきついが、意外と業績の良い企業もあるしということで、短期で見ると、このまま縮こまっていても、そんなに困らないかなと思う人たちが、意外にいるのではないかと思います。
でも、本来、あれだけ財政に穴が1回開いたわけだから、それを埋めるためには、もちろん増税もあるかもしれないが、本当に経済をここから頑張って、みんなでこの穴を取り戻さなくてはいけないという意識がないといけないと思います。でも、なかなかそちらにみんなの意識がいかず、とにかく、慎重な国民性や国が個人の行動を制限することにあまり抵抗感がないとか、そうした部分もあるかもしれませんが、財政だけを見ても、過剰な制限を続けていて、そしてコロナの支出を継続していては、いよいよどうしようもなくなることに関して、非常に意識が薄いと思っていて、それはすなわち給付と負担、穴が開いたら埋めなければいけないとか、給付と負担はバランスしなくてはいけないという、財審の中ではあまりにも当然のことが、結局のところ、一般の人たちの意識の根底に、ほかの国のようには備わっていないような感じが今すごくしています。
結局、長期的に見ると、コロナからの経済の復活も遅れて、日本は沈んでいくのではないかという不安があるわけですが、改めてですが、国民との危機感の共有や、開いてしまった穴に対してどうしていくのかをしっかりと話し合う必要があると思います。その上では、一部にも出ている財政の現状とか、中期的な試算とかを客観的に示すような中立の組織の必要性もあるのではないかと思います。
また、個別の予算案につきましては、今回、医療改革や、農業の飼料米にたくさんお金を出していた方向を少し戻すなど先鞭をつけた部分もありますが、これを次の年度以降より進めて、医療はがっちり改革したいし、農業はDXで変えていきたいし、教育は教員の人数の戦いからもう少し本質的な、DX教育の実現、そうしたところをしっかりとやっていきたいと思います。
ありがとうございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、河村委員、どうぞお願いします。
〔河村委員〕御指名ありがとうございます。そして、大沢課長、御説明ありがとうございました。建議で盛り込んでいただいた内容を、実際の予算編成に本当にいろいろ反映していただいたことがよく分かりまして、本当に感謝申し上げます。
1つ1つは申し上げませんが、1個だけ、地方財政のところで、私は地方自治体と一緒に議論する機会もあったりするのですが、臨財債の発行額が大きく減った、これは本当に個々の自治体の財政運営、起債運営にとってすごく大きいということがありまして、やはり今後ともきちんと、国と地方とで足並みをそろえて、現在の体制の下で、いかに効率的にお金を使いながら、財政の健全化に努めていくかということをやっていくのが良いのではないかと思います。
また、今後の議論について、どのようにしていったら良いかということで、意見を少し言わせていただければと思います。
この先、今年2022年を展望しますと、注意すべき点というか気をつけておくべき点は2つ大きくあるかと思います。1個目は、海外の情勢が大きく変化しそうであるということです。金融政策で諸外国を中心に大きく変わってきているという話。そして2つ目は、夏に参議院選挙があります。もちろんその結果次第ということはあるとは思うのですが、やはり、それを越えると、今度はしばらく国政選挙がない時期に入りますので、いろいろ改革に取り組みやすい時期にもなるはずなので、そうしたところも意識したほうが良いのではないかと思っております。
少し具体的に申し上げますと、最初申し上げたのは海外情勢の件ですが、もう皆様御案内のとおり、海外は結構インフレがものすごいですし、主要国の中央銀行は正常化に向けて大きくかじを切り始めています。資産買入れをとめるだけではなくて、例えばイギリスであればもう2回利上げをして、そして資産縮小にも着手します。もう一段、今度政策金利を上げたら、今度は国債とかを売ることも視野に入れて彼らはやるということをはっきり言っていますので、BOEは、過去のリーマンショック後の局面では、資産は一応買い入れた一方で、最後、横ばいにしましたが、手放すところはやっていなかったのを、これだけ早くからやってきますので、今後どうやってかじ取りをしていくか、非常に危機感を持ってやっているので、FEDも同じだと思います。少し出遅れているところはありますが、来月から利上げが始まって、そう遠からず恐らく資産規模の縮小が始まるだろうということになると、やはり心配なのは長期金利の動向で、単に利上げするだけでも、短期金利を上げるだけでも長期金利に影響が出ますが、資産規模の縮小を同時にやるということになればもちろん、これだけ巨額の財政出動をしている以上、需給面での影響が出てくると思いますので、そうした海外情勢がどうなるかで、日本ももちろん国際金融市場を通じてつながっているわけで、主として為替レートであると思いますが、どのような影響がこの国に及んでくるのかといった辺りに十分に注意して、先ほど大沢課長がずばりおっしゃってくださって、やはり低金利の環境の中で、利払費をこれだけで抑えていけるかどうかが焦点であるとおっしゃられた、まさにそのとおりであると思います。本当に大変な局面ということが出てくるのかもしれないですし、そうしたことも踏まえて、きちんと春の建議では、大変な環境の中にあるということを国民に対してしっかり発信しながらやっていくことが大事ではないかと思っております。
2つ目の参議院選挙を過ぎればという話で、少し気が早過ぎる話かもしれませんが、もちろん選挙の結果にもよるとは思いますが、いろいろじっくり考えてやれる時期に入るのも事実です。ですので、既に何人もの委員の方がおっしゃっていることではありますが、コロナで、もう2年もたつわけです。この国は割と、危機になると、大変だ大変だというのをずっと言ってしまうようなところがあって、リーマンショックの後もそうで、いつまでもずるずる危機対策を引きずったりというところがあります。もうそうした時期ではないと。先ほどの御説明にもありましたが、企業の業績もばらつきがあって、絶好調の業界だってあるわけですし、大事なことは、国の信用を守るためには、負担できる人が、企業とかが負担をしながら、しっかりと持続可能な財政運営をしていこうということを、しっかり打ち出して、みんなに訴えていくことが必要ではないかと思います。海外の取組の例も御説明くださいましたが、コロナ対策で大きな借金をしたとしても、大体20年ぐらいで、みんなで負担して返そうというのが、例えばヨーロッパであれば、そうした潮流なわけです。アメリカも、いろいろ議論が長引いて、少し手間取っているところはあるようですが、基本的にはそうした考え方でしっかりとやっている。そうしたところもきちんと紹介しながら、伝えながら、国全体に訴えていくことが必要であると思います。
負担の面は、財政制度分科会のミッション、少し範囲を超えてしまうところもあるかと思うのですが、でも逆に、この分科会で議論するような、今回の予算編成でも盛り込んでくださったような、例えば社会保障のところでの診療報酬の話とか、それから雇用保険のところでも、負担できる人が負担しましょうという精神は、やはり今回の予算でもしっかり、保険料率の話とか、段階的に上げる、戻すとかという話も入れていただきましたし、入ってくると思いますので、やはりそうしたところを考慮しながらやっていくのが良いのではないか。それから、じっくり腰を据えて議論できる期間がそろそろ来るということになるのであれば、グリーンの辺り、これは、私は報道で承知しているだけですが、岸田総理がカーボンプライシングなんかについて御指示を出されているという話も耳に入ってきたりもしますし、こうしたところも含めて、単に補助金をめっぽうばらまいていくことには絶対ならないように、今回の予算でも、そうしたところは随分御配慮いただいているようですが、いかに効率的に、カーボンニュートラルという大変な課題に、国全体として向き合っていくべきなのか、そうした本当に構造的な問題にどう対応していくべきなのかを意識した形で、春の建議でも具体論を盛り込んでいくことが良いのではないかと思っております。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、ここでまた、会場の委員の方に御発言いただきたいと思います。平野委員から広瀬委員まで順次指名しますので、御発言をお願いします。
初めに平野委員、どうぞお願いします。
〔平野委員〕ありがとうございます。まずもって、昨年の建議を踏まえて、来年度予算の策定に当たられた関係者の御努力に感謝したいと思います。
春の財審を開始するに当たって、私からは、日本の財政の現状認識、それから、今後検討すべき課題について申し上げたいと思います。
まず、1点目ですが、改めて現状を見ると、財政状況の悪化はもちろんですが、果たして日本の財政において、適切な資源配分がなされているのかに強い懸念を持ちます。財政が国家経営の根幹であるとするのであれば、それは、いかに限られた経営資源を有効に使うかということである。換言すれば、いかに全体最適を実現するかという、先ほどの神子田さんからの言葉を借りれば戦略がなければならないということであると思います。
個々の財政施策におけるワイズスペンディングの重要性については、これまでもこの場で繰り返し議論してきました。施策の有効性を担保するためのEBPM、エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキングを予算策定のベストプラクティスというかプラクティスとすべきだし、財審もその視点をより研ぎ澄ます必要があると思っています。
しかしながら、財政の全体最適化を実現するためには、それに加えて、これは先ほど熊谷さんからも御指摘ありましたが、施策の優先順位づけの明確化と、限られた財政資源なのですから、大胆なスクラップ・アンド・ビルドの取組が必要であるということを、ぜひ申し上げたいと思います。その際、取捨選択の基軸となるのは、ポストコロナの経済回復に各国がしのぎを削っている国際競争の中に我々もあるわけですから、我が国が30年にわたる長期的な停滞を脱して、持続的な成長と持続可能な社会を建設するために何をなすべきか。これを根底に据えるべきであると思っています。
今の日本の財政には、そうした視点や仕組みが欠けているのではないかということです。この結果、皆様が御指摘になっているとおり、長期にわたる財政出動を続けてきたにもかかわらず、期待されたような効果が得られていない。さらには、これも先ほどから皆様がおっしゃっているように、検証も不十分で非効率な支出を含む巨額の補正予算を計上して、公債残高がどんどん増えている、累増するという悪循環を招いているのだろうと思います。
2点目です。そこで財審での検討課題ということですが、財審というのは財政制度等審議会です。この分科会もそうです。財政制度を検討するという本来の役割や使命に立ち返って、こうした状況を是正するための制度的な対応を検討、提案することにも取り組むべきではないかと思います。これまでもこの場で申し上げてきましたが、その1つ目は、当初予算と補正予算を合わせた中長期の財政計画を策定して、それに財政ルールとしての一定の拘束力を持たせるための枠組みを構築することです。我が国には、ドイツのような厳格な債務上限、債務ブレーキのようなものはなじまないと思いますし、また、債務危機を経験した結果、中長期計画に上限枠を持たせているような国、例えばスウェーデンのような制度をそのまま取り入れるのは難しいだろうと思います。が、拘束力の強弱こそあれ、例えば、英国であるとか豪州など、複数年度の政府支出を固定化している海外事例を参考にした制度設計をすることができるのではないかと私は思います。
2つ目です。経済財政の長期予想策定、それから政策の有効性の評価・検証といった機能を提供するための体制づくりです。組織の設置形態は、各国様々ですが、過去に英国のOBRが、政府にかなり耳障りと言えるような指摘も行った。そうした機能が求められているのではないだろうか。かつて、英国もそうだったと言われますが、執行を担う政府部門の組織がこうした機能を担おうと思っても、とかく楽観シナリオに基づき、予算の拡大を正当化した、そうした誘因を排除するのは難しいのではないかと私は思います。それは財務省の皆様がいかに立派かということとは関係がないと思います。OECDの原則でも、独立性が成功の鍵であると言われているのは、そうした理由からだろうと思います。
最後に、国債残高が1,000兆を超えれば、あるいは、公債の対GDP比率が250%を超えれば、直ちに財政破綻につながるわけではないということが、とかく近視眼的な積極財政の議論を許しているわけですが、国際的なインフレと金利上昇、これはコロナ禍からの回復に伴う一時的な需給の逼迫という面は確かにあります。しかしながら、同時に、構造的な変化が起こっているのではないかということには留意すべきであると思います。
先ほど、大沢課長、それから河村さんからも御指摘ありましたが、やはり、国債管理政策上、これからのマーケットの動向、相当注意する必要があるということを申し上げておきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、秋池委員、どうぞお願いします。
〔秋池委員〕関わる皆様には、予算の作成、本当にお疲れさまでございました。そうした中で今日お配りいただいた資料、とりわけ資料2は分かりやすくて、財審としての成果が見えるということにおいて、良かったと思っております。
一方、ここに反映できたことだけではなくて、反映されなかったことを心にとめて、また、春の議論に臨んでいく必要があるのだろうと感じました。
そして、そうした意味では、何人かの委員もおっしゃっておられますように、やはりエグジット、いつやめるのかということを、本当は始める前に決めるのが良いのですが、危機時はなかなかそれができないということもございます。これは、将来の危機のときはもう少し考えたほうが良いかもしれないのですが、今回既にこうなってしまっていることについては、エグジットの議論を深めていく必要があろうかと思います。
それから、ただいま平野委員がおっしゃいましたところに私も賛同するところですが、メリハリというのは資料1の中にも書かれている言葉ですし、様々なところで、財務省の皆様も、各省庁、その他との議論の中で、主張してこられたところであると思っております。
しかし、財務省がメリハリをつけても、執行レベルに落ちたときにメリハリになっているのか非常に大事なことであると思っています。例えば科学技術予算は非常に大きくなっているわけですが、実際に研究開発をしている人のところに、広く薄くまいてしまうと、最後は数百万が配分されるだけというようなことになって、どの研究者も、予算が足りない足りないと言うことになってしまう。本来国の戦略としてやるべきところには十分に配分する。十分というのは何かというと、やりたいと思っていることが実現できる、ということですとか、あるいは競争に勝つ必要がある領域なのであれば国際的な競争に勝てること、そこに至るように配分しなければいけない。ただ、ここにおいてもエグジットがありまして、だらだらと予算をつけ続けるわけではないということはきちんと確認しておかなければなりません。短期に集中的に配分すべきもの、長期にわたって予算を配分し続けないと実現しないということの違いはあります。この辺りをきちんと区分して、予算を配分することが重要であると思います。その区分の中には、国が少し予算をつけると、それが呼び水効果になるという類いのものもありますし、幾ら国が予算を配分しても呼び水にならない、例えば長期の研究開発の類いなどであると思うのですが、ならないものもある。こうしたところを、恐らく相当細かく財務省として見て、取り組んでこられていると思うのですが、その執行のレベルでどうなっているかについては、既になさっているところかとは思うものの、もう一度見直していく必要があると思います。
メリハリをつけるということは怖いことでもありまして、そのためにも検証する、違うと思ったら引き返したり、このやり方でないと思ったらやり方を変えたり、という試行錯誤を、無謬性にこだわらずやっていく必要があろうかと思っています。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、続いて末澤委員、どうぞお願いします。
〔末澤委員〕どうも御丁寧な説明ありがとうございました。毎回、事務局の皆様の説明を聞くと、極めて優秀さが本当に身にしみるのですが、今回の資料を見ると、逆に、優秀過ぎて、ややミスリーディングになるのではないかと思うページがございまして、これが21ページ、内閣府の中長期試算、これはもともと内閣府の数字に財務省さんのプラスが入っているのであると思うのですが、これを見ると、今回の空前絶後の財政出動にもかかわらず、2025年度にPB黒字化が可能と、こうした数字になっています。プラス0.4%、対GDP比、プラス2.2兆円、すごい、本当に微妙な、予定調和的な数字になっていると思うのですが、別にこれは皮肉で言っているわけではないですが、ただ、これには1つ問題がありまして、これは成長実現ケースに歳出改革をのせています。過去数十年の中長期の財政試算を見ると、ここの数字は本当かなと思うような成長率の見通しがあるのですが、案外当たっています。当たっているのですが、10年に1度のショックで下振れている。
なぜ当たるかというと、歳入と歳出両方が上振れというか、過大計上されています。だから、歳出も多くなっているし、歳入も。ただし歳出は歳出改革することで減る。税収は税収で下振れる。そうすると、ちょうど合っているわけです。
そうしたことで見ると、今回の数字と合わせて、できればベースラインに歳出改革を追加した数字、そうすると恐らくマイナス0.8兆円のマイナス0.1%ぐらいの数字になると思うのですが、この線をつけるべきではないかということです。
もう一つは、このもともとの数字の、私はやや疑問を持っているのは、今回のプラスになっている前提は、2020年度決算で税収見積りが5.7兆円上振れた。これがベースにあるわけです。ここからの発射台で、ずっと上に行っているわけです。ただし、5.7兆円の上振れに、私も以前申し上げたのですが、特殊要因がある。それは何かというと、3つあると思っていまして、1つが経時変化費、これは税収の各業種の数字が出ていたと思うのですが、18ページを御覧いただくと、今回のパンデミックで企業の純利益が大きく下振れた業種は運輸・郵便、宿泊・飲食、生活関連サービス、いずれももともと利益率が低い業態です。ここがマイナスになっていますが、もともとを税金払ってないので、これはあまり税収に影響しない。むしろ、今回のパンデミックの影響で情報通信など、これは世界的に言えるが、所得が過去最高で、どれも時価総額が1兆ドル、アップルだと3兆ドルになったわけです。左側の建設、不動産、これはやはり財政出動と金融緩和の影響で、効いているわけです。
つまり、パンデミックの影響、財政出動と金融緩和、これは日本だけではなく、世界的な財政出動と金融緩和、この3つは今年以降、剥落していく可能性があるのです。そうすると、過去利益を出した業態の利益率が下がって、逆に赤字だった企業はプラスになるかもしれませんが、こちらは繰損があるので、結局税収効果が得られないということで、つまり、この5.7兆円の上振れ分がずっと、本当に2025年度まで続くと見られるのかということが、私は疑問に思っていまして、そうしたところを、本来は検討しておくべきだろうと。
また、実は今回のパンデミックでもう一つ大きな問題が起きていて、これが潜在成長率の低下につながりかねない少子化の進行、これは出生数が世界的に大きく下がっています。日本でも婚姻件数、出生率は大幅に下振れていまして、ちなみに高齢化に関して見ると、2020年は日本は過少死亡だったので高齢化は進展しているのですが、昨年とか今年は超過死亡も相当出てきますから、この効果は剥落する可能性ありますが、いずれにしろ、出生数が大きく低下しているのは事実なので、これは潜在成長率の長期的な引下げ要因になり得る可能性が高い。これに対して成長戦略を相当出していかないと、このとおりにはいかないのではないかということを、まず1点、指摘させていただきます。
また、今後、当審議会で何を検討すべきかということですが、私は今回、先般の建議でも、戦後最大の例外からの脱却、正常化への道筋をつける、こうした議論があって、これは本当にそのとおり、アグリーですが、ただ、今後も恐らく例外は続く可能性が高い。
今日16日です。先週末、欧米のメディアは何と言っているかというと、今日16日にロシア軍がウクライナに侵攻する、Xデーであるという報道をしているわけです。私はこれは、今日はないと思っています。ないと思うのですが、あるとしても21日以降であると思いますが、つまり、地政学的リスクがここまで、冷戦崩壊後、日本も含めて、対中の問題も含めて、ここまで国際的な危機のレベルに浮上しているのは初めてです。ちょうど60年前はキューバ危機がありました。壬寅の年ですが。ですから、そうした地政学的リスクもありますし、巨大地震、南海トラフ、30年以内発生確率75%、首都直下型地震、30年以内発生確率70%、これはどんどん、場合によっては、最近のいわゆる環太平洋火山帯での地震であるとか火山の噴火を見ると、むしろ高まっている可能性がある。
また、パンデミックも、コロナは、今年は一旦収束すると私は見ていますが、別のパンデミックが発生する可能性はどんどん高まっていますし、地球温暖化に伴う気象災害もどんどん規模が大きくなっているので、つまり、例外と言いながら、また、すぐ新しい例外が生まれかねない。先ほど、イギリスのスナク財務相が、次の危機に備える必要があるとおっしゃっていますが、やはりそうしたバッファーの必要性というのも、やはり国民の皆様にぜひ御理解いただかないと、今足もとうまくいっているから、将来大丈夫であると、恐らく思われかねないと思うのですが、必ずしもそうもいかないし、一方で潜在成長率が相当大きく低下する要因があって、これに対しては相当成長戦略を、私はもっと真剣にやる必要があると思うのですが。
つまり、今回のパンデミックの影響、特に経済財政政策の効果の検証をした上で、次の将来のリスクに対する備えについても、私は検討していくべきではないかと、少し長い話になりますが、そのように考えております。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、広瀬委員、どうぞお願いします。
〔広瀬委員〕ありがとうございます。
まず、令和4年度の予算ですが、建議の内容が十分に予算に反映されているということで、そうした面で財審の存在意義というか、建議の目的が十分果たされた、大変歓迎したいと思います。
ただ一方で、現実を見ますと、18ページにもありましたが、依然として、飲食とか旅行業の皆様は大変今つらい思いをしているわけですから、ぜひ補正も含めてスピーディーに、あるいは効率的に、これを生きた金にしていただけたらありがたいと思います。
それから2つ目は、中長期的な話ですが、私も財政再建あるいはプライマリーバランスの考え方、目標は、これからも大事にしていかなくてはいけないと思いますが、ちょうど今年は、7月の参議院選挙の後、これはどうなるか分かりませんが、黄金の3年間と言われて、本当にチャンスでもありますが、いろいろなことを今お考えになっていると思いますが、場合によってはピンチ、この3年間何もないと、逆にピンチになるということもありますので、どうなるかは分かりませんが、中期的には非常に大事な時期に入ってきているのではないかと思います。
そこで、プライマリーバランスの議論も、もちろんこれから大切ですが、どうも神学論争というか、いわゆる財政再建派、あるいは積極派の、何か経済学的な中に、こうしたプライマリーバランスのようなものが入って、いま一つ実感が湧かないと。ここまで来ると、リスク管理のプロセスに入ったと思うのですが、リスク管理というのはやはり相対的に、あまり突出しないで、全体の中で、このぐらいのところにいるというのが、結構大事なことで、特に先進国の中で、これだけ突出した日本というのは、やはり、リスク管理的に非常に問題があるわけですから、資料としてはいろいろ出てくるのですが、何かそうした、先進国の中でこのぐらいの位置取りというような目標かどうか分かりませんが、そうしたものを、絶対的な目標としてプライマリーバランス、相対的な目標として、こうしたものも少し考えていったほうが良いのではないか。日本人というのは、どうしても横を見て、いろいろなことを考えたりする、そうした思考方法ですから。私自身はヨーロッパのルールとか基準は、非常に辟易としているのですが、使えるところというか、そうしたヨーロッパの良いところは参考にしてもよいのではないかと思っています。当然のことながら、いろいろな目標が出ると、マイナス面もありますし、日本はこうしたところが違うとか、いろいろな理屈が出てくると思うのですが、やはり何か新しい、そうした目標なり、アプローチが必要な時期に来ているのではないかと思っています。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、残りの方はオンラインで参加の方ですが、次の6名の方に御発言をいただきたいと思います。
初めに福田委員、続いて、堀委員、それから武田委員、田近委員、遠藤委員、大槻委員、御発言等につきましては、この6名の方で締め切らせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
それでは、福田委員から、どうぞ御発言ください。お願いします。
〔福田委員〕既に皆様から非常に多くの議論が出ましたので、私からは手短に1点だけ。
ほかの方も御発言されていますが、今、新たなフェーズとして、インフレリスクという、金利上昇リスクが世界的にも高まっているし、決して無視できる状況にはない。
これからの財政を考える上では、インフレリスクの危険が、あるいは金利上昇リスクが重要になってきていると思います。日本は幸か不幸か、まだ、ヨーロッパやアメリカほどインフレは顕在化していませんが、川上ではかなり、物価はもう既に上昇しているという現状がございます。利上げに関しては、アメリカは恐らく3月に利上げして、ヨーロッパも年内には、もしかしたら利上げするかもしれないという状況にあるということで、これまでも潜在的なインフレあるいは利上げの問題は、財政を考える上では、リスクではあったのですが、これからはより現実的な問題として起こってくる可能性があるということであると思います。
また、インフレに関しては、これまでのインフレというのは、インフレが起これば経済が良くなるようなインフレという可能性のほうが高かったのですが、今起こっているインフレは、まさにコストプッシュインフレです。経済を悪くするインフレが顕在化しているという状況もありますので、そうした意味では、資料でも触れられていますが、これまで以上にインフレの問題あるいは利上げ、金利が上昇する問題というのは、財政運営を考える上では重要になってくる問題であると思います。すでに多くの方が指摘されていることと重複しますが、追加でコメントさせていただきました。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、堀委員、どうぞお願いします。
〔堀委員〕予算編成案の御説明ありがとうございます。現在の政治経済の環境の中で、限られた財源でメリハリをつけようと努力されたことは理解いたしますし、評価いたします。ただ、ワイズスペンディングになったかどうか、コロナ関連の予備費も含めて事後でPDCAを回していただく必要があると思いますし、検証の上、説明をしていただければと思います。
また、小林委員の御指摘にもありましたが、総論のところで新型コロナに対する当初の緊急的対応から正常化につながったのかどうかが、やはり少しざっくりしているので、なかなか評価が難しいと思います。コロナとコロナ以外も峻別して説明してほしいという御意見もほかの委員からもありましたが、過去最大の予算である社会保障と巨額の債務であるというのも、毎年のように聞いている話ですし、コロナによって、どれだけ厳しくなったのかがもう少し具体的に伝わるようになると良いかと思いました。
国債発行計画はあっても、返済の長期計画はよく見えてこない、難しいと思うのですが、今後の人口動態を踏まえると、佐藤委員がおっしゃったように歳出改革と同時に歳入面の財源論も逃げずにすべきではないかと思います。PB黒字化だけではなくて、償還・発行のルールの在り方もですが、新たな財源確保の議論も含め将来的に必要であると思います。
それから、反映状況の説明もありがとうございました。医療法人の事業報告書等のアップロードなどアカウンタビリティに向けた動きが進む方向にあり、個人的にはとても良かったと思います。ただ、診療報酬の改定、提供体制の改革については、前に進んだとは思うのですが、反映されてなかったところもかなりありますし、構造的に一筋縄にはいかないこともよく分かっているのですが、今後も継続的に検討していく必要があると思います。例えばかかりつけ医の制度化も、かかりつけ医機能の話とは厳密にはイコールではないので、継続的に審議を財審でもしていただければと思います。
最後に、国民の理解の醸成と来年度以降の議論について述べたいと思います。財審はいつもお金のことばかり言っていて、国の公費の削減しか考えてないと言われるようなことがあります。私自身は参加して、財審は、全て削減ということを主張しているわけではなく、多方面においてそれぞれ専門的かつ総合的な視点から本当に国の現在や未来のことを真摯に御議論していると思いますが、なかなか一般国民には伝わってないなというところがあります。田中委員のお話にもありましたが、未来のことなのに特に未来の中心になる若い世代がなかなか意思決定に参加できていない。来年度から18歳成人になりますので、変わってくるのかもしれませんが、コロナ禍の長期化の影響もあり、国民の中の世代間、特に若い世代との分断、格差が拡大しているように感じます。財政の健全化と言うのは簡単ですが、実現は容易ではありません。政治の世界でも行政の中でも経済の世界でも、なかなか変わっていかないところはあるかと思うのですが、教育現場で模擬審議会とか、ロールプレーイングを行った後に、意見を聞くと、財政の健全化は、自分達世代の未来に対して必要なことと前向きにとらえる学生が少なくありません。ぜひ公開の場で、若い人たちを巻き込むような何か仕掛けがあるのではないかと思います。
それから、同じ財務省で「日本一楽しい税金ドリル」、「うんこ税金ドリル」を発行したと聞きました。宮島委員から給付と負担の在り方についてなかなか国民の理解が進まないという話がありましたが、子供に人気の「うんこドリル」ではないですが、給付と負担の在り方が対象者の世代別に自然に学べるようなオンラインゲームのようなものがあったりすると良いと思いました。これは財審の議論に直接的には関係しませんが、財審の議論を世の中に真摯に受け止めてもらう環境づくりという意味でそうしたものがあっても良いのではないかと思いました。
いずれにしても、ここで話されていることが単にお金のことだけではなくて日本の未来のことを真剣に考えているというメッセージが、きちんと伝わると良いと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、武田委員、どうぞお願いします。
〔武田委員〕ありがとうございます。まず、建議が予算にどう反映されているのか、詳しく御説明をいただきありがとうございました。
今後に関して意見を2点申し上げます。
1点目は、財政の信認への明確かつ具体的なコミットメント、この重要性です。福田委員が先ほどおっしゃったので、詳細は割愛いたしますが、金融市場における状況が変わってきていると私も思います。PB黒字化目標が維持されるということは極めて重要で、これ自体は引き続き維持するとともに、具体的に達成に向けて何をやっていかなければならないのかが大切です。中長期的な姿が自然体ではどうなるのか、そして何をしたらどのくらい改善し、中長期的に財政健全化を実現していけるのか描き、その下で優先度を立てて、工程表をつくり、やるべきことを明確かつ具体的なプランとして世界に示していくこと、これが信認を維持する上で重要ではないかと考えます。
2点目は、財政健全化と持続的な成長の両立に向けた議論です。先ほど、平野委員の御意見にもございましたとおり、財政について、資源の集中と選択、最適な資源配分ができているのか、いま一度点検が必要と私も考えます。財政に関して神学論争的な議論と、先ほど広瀬委員がおっしゃっていましたが、今の補正予算を含めた予算のつくられ方は、規模ありきの議論がなされているように見えます。成長に資する予算構成になっているのか、あるいは日本の未来を見据えて必要なところに回す一方で、その分、無駄について見直すことができているのか、ここについての議論が必要と思います。
秋の議論でも申し上げましたが、国際情勢を含めた議論をしていかないと、本当に日本が埋没してしまい、結果的に財政も健全化しない。また、地域も、高齢化が進んでいくことを前提に、コンパクト化やデジタル化を進めていかなければ、経済の観点でも、防災の観点でも、難しいことは明らかでございます。したがって、秋の議論では個別予算が中心になると思いますが、春の議論では、もう少し俯瞰的かつ中長期的な視点で、財政の全体最適に関する議論や、分野横断での議論ができればと考えます。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、田近委員、どうぞお願いします。
〔田近委員〕田近です。ありがとうございます。今日、まず、事務局から令和4年度予算の概要等についての説明、ありがとうございました。
私からは、今後に向けてというか、具体的に言えるのは、この春、財審が何をすべきかということに関して、2点、指摘させていただきたいと思います。
第1点は、コロナに関してですが、財政から見たこれまでのコロナ対策の実態、実像について示すべきです。具体的には、もちろん様々な支出項目がどうなったかということもですが、その中では、例えば、雇用調整助成金、それから自立支援金等の所得保障が適切だったのか。そして医療への財政支援は適切だったのか。地方への支援は適切だったのか。テーマを決めて、財政から見たコロナ対策の実態について、春で取り上げるべきです。また、レポート的なものをまとめるべきです。
第2点は、これも既に多くの議論があるように、2025年度に向けて国・地方の基礎的財政収支が均衡できるのか。これについては、間違えているかもしれませんが、たしか2020年度の目標が達成できなかったときに、内閣府からその理由についての説明というか資料もあったと思います。大変興味深く読んだ記憶があります。
2025年度に向けて、もう本当に客観的に、税収面、そして既に多くの方から御指摘のように、インフレ局面、金利が上がる局面、そして社会保障もある。そうした中で2025年度の目標が達成できるのかできないのか、そこまで短絡的に言わなくても、2025年度の目標を達成するにはどうしたら良いか、それを議論すべきであるということで、私からはこの春の建議でポイントを絞って、財政から見たコロナ対策の実態はどうだったのか、それから2025年度の国・地方の基礎的財政収支の均衡に向けての取組ということを提案したいと思います。
以上です。ありがとうございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、遠藤委員、どうぞお願いします。
〔遠藤委員〕ありがとうございます。今年度の予算につきましては、コロナ対策費用というのは、震災後の復興の予算、震災に対する予算と同様のものであると思いますので、復興財源と同様に、しっかりと監視をしていく必要があるということに尽きると思っております。
春の財審ですので、皆様おっしゃっておられますように中長期的な視点が必要であるということで申し上げさせていただきたいと思うのですが、秋の財審では、私ソーシャルセキュリティーとナショナルセキュリティーのバランスを考えていくことが長期的な視点としての1点であると申し上げましたが、もう一つ、加えていただきたいというか発言させていただきたいのは、堀委員も少しおっしゃったのですが世代間の格差の解消でして、はっきり言ってしまえば、富の若者世代への移転ということを真剣に議論しなくてはならないと思っております。
社会保障の面では、特に歳出の分野でいけば、終末医療の在り方についてしっかりと国民の議論を啓発するという上での、財政当局の議論が必要であると思いますし、何よりも重要なのは少子化対策であると思っております。財政当局が議論でき得る成長戦略は、私はこれに尽きると思っておりまして、少子化を解消するための、特に産むということ、その基盤整備、それに注力する必要があると思います。今年生まれた子供たちは、当然寿命も延びますし、100年後は、もしかすると元気に働いているかもしれないわけですが、100年後に、日本の人口は恐らく5,000万人ぐらいに減っているわけです。そうすると、このままでいけばそうやって、恐らく税金の負担もかなり大きくなっている状況にある。100年後を迎えるまでには、恐らく富士山も噴火しているでしょうし、南海トラフの大災害も起きているかもしれない。そうしたときにまた、福島、東北の地震のときのような歳出が膨らむかもしれない。そうしたいろいろな苛酷な状況、これは、もちろん米中の対立、中国の台湾問題とか、そうしたナショナルセキュリティーの問題も絡んでくると思います。
そうした歳出がたくさん見込まれる状況を、どうしのいでいくのかを、恐らく財務省の中でも、少子化の問題をどう考えるのかという勉強会が以前あったような記憶をしているのですが、また、人口問題の件については、増田先生も含めて、プレゼンテーションをしていただいたと思うのですが、この人口問題をもう一度しっかりと議論して、少子化対策はこうしていくというような議論を、できたらもう一度したいと思っております。
一方で、私はグリーンとかデジタルとか、そうしたものは財政当局が議論する成長戦略というよりも、むしろ民間の活力を活用するための基盤整備を各省庁がしっかりやっていくということに尽きると思っておりますので、ある種今まで政治に寄り添って膨らんでいった基金の見直し、そうしたものは着々と行っていただきたいと思っております。
私からは以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、最後になりますが、大槻委員、どうぞ御発言ください。
〔大槻委員〕ありがとうございます。
御説明ありがとうございました。2点だけお願いできればと思います。
1点は、そもそも財審の目的は調査と審議ですが、調査については、最近海外も行っていないということもありまして、財務省の方々にいろいろやっていただいている中ですが、春の段階でもう少し深めていければと思っております。
具体的には、先ほど田近委員もおっしゃいましたが、コロナについては、今回の支出が適正だったかということを何らかの形でもう少し厳しく検証をしたほうが良いと思っています。本当にこれがなかったらどうだったのか、あったことによってどういったメリットがあったのかなどを、例えば自然実験等でしっかりと計量化することができればと思っています。
先ほど来、皆様おっしゃっていただいたとおり、フェーズが変わって、様々な形で、次の危機ということを考えなければいけない中で、その時点で、支出をするときの唯一の参照先が、恐らく「前回どれだけ使ったか」ということになりかねないと思っています。そうではなくて、あの時点でこれだけの効果を上げた、上げなかった施策だから、今回はこうすべきである、ということがしっかり議論できるような土台をできるように調査をしていくべきであると思います。
それから発信についてですが、先ほどもありましたが、今、財政について若者も含めて非常に不安に思っていると思います。その背景は曖昧な知識に基づいているということが1つ、それからアクショナブルではないということであると思います。具体的に何をしたら良いのか分からないから、不安だね、財政深刻らしいねということは、みんな知っていますが、それが何らかの行動変容に結びついてもいないし、腹落ちもしてないということだと思いますので、深刻な数字を見せるということではなくて、将来像も含めて、今後のシナリオと、それから自分たちが何していくべきなのかということを、これまで以上に発信していくべきではないかと思っております。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、各委員からの御発言については、ここまでとさせていただきます。
それで、今まで、様々な御意見ですとか、コメントございましたのですが、事務方の皆様、それでは、茶谷局長から御発言をお願いします。
〔茶谷主計局長〕主計局長の茶谷でございます。いろいろ貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございます。
4年度予算は、大沢課長からも話がありましたが、社会保障関係費と国債費だけが伸びて、1兆円ぐらいの増と。この構造というのは、目安を守っている限りは、大体この構造に帰着するわけで、結局、社会保障関係費をどうするかは、量・質ともに、医療・介護を中心に非常に大きな増加のマグマがずっとあるものですから、社会保障改革をずっと継続してやり続けていくしかないと思いますが、国債費については、今回、例えば資料1ページに5,808億円の増となっていますが、実は定率繰入れという償還費だけ見ると、たしか約9,000億の増で、利払費がマイナスで落ち着いてこうなっているので、皆様からお話があったように、それだけ金利の恩恵をまだ被っているのでこの姿です。これが逆回転し始めると、目安を守ろうが何しようが、ものすごい歳出の拡大圧力が実はあるということは間違いないと思います。また、多くの先生方からいただいた、補正予算は問題ではないかと。これは11ページにも、いわゆるワニの図がありますが、ここで赤い線が、ざっくり見た歳出の推移なので、過去も確かに、15か月予算の形で経済対策はいろいろ打ってきましたが、これは決算ベースですから、込みでも、例えば過去10年ぐらいで、コロナ前では大体ざっくりは横ばいぐらいです。もっと長い目で見ると、少しずつ上がってきて、これもひとえに基本的には、社会保障の増でずっと上がってきたと。時々でこぼこしているのは、そのときの経済情勢によりますが、その中でやはり2020年度と2021年度は、20年度は補正後決算で、21年度は補正後ですが、要は、補正で、コロナでこれだけ異例なことが起こって、今、令和4年度は当初だけなので、動きが下がったように見えますが、これを今までのラインとどうするか、これも我々、ここに一番力を入れていく必要があろうかと思うのですが、ただ、いざいろいろ議論していくと、国債をいくら発行してもよいというような、およそ改革を議論する前提が違う議論がものすごく広がっているので、こうした中で、どうそれをやっていくか、国民の方々の間でも、負担と受益の関係の議論が薄まっているとか、お話もありましたが、国民的議論も含めて、これをどうやっていくかが、非常に重要な岐路に来ていると思いますので、また、いろいろ御意見賜りながら、我々も最善を尽くしていきたいと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
〔増田分科会長代理〕どうもありがとうございました。
それでは、皆様方、よろしゅうございますね。
それでは、お時間まいりましたし、今日の議論はここまでとして、委員の皆様方からも春の財審、実質は4月以降になると思いますが、そこで、こうした議論をすべきであるという御意見も頂戴しましたので、また、事務局とよく相談した上で、極力そうしたことが反映されるような議論の場を設定していきたい、このように思っておりますので、よろしくお願いいたします。
本日の会議の内容につきましては、この後、私から記者会見で御紹介いたしますので、個々に御発言をなさらないように、従来どおりでございますが、御注意いただきたいと思います。そして、いわゆる春の財審の建議に向けての日程ですが、再度調整の上、改めて事務局から御連絡させていただきます。
それでは、本日はこれにて閉会いたします。どうもありがとうございました。
午後3時40分閉会