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財政制度分科会(令和3年12月3日開催)議事録

財政制度等審議会財政制度分科会
議事録

令和3年12月3日
財政制度等審議会


財政制度等審議会財政制度分科会議事次第

令和3年12月3日(金)15:00~16:50
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)

  • 1.開会

  • 2.議題

    • とりまとめに向けた審議

  • 3.閉会

出席者

分科会

榊原定征

鈴木大臣

大家副大臣

高村大臣政務官

矢野事務次官

茶谷主計局長

水口政策立案総括審議官兼企画調整総括官

奥次長

坂本次長

八幡総務課長

大久保司計課長

藤﨑法規課長

吉田給与共済課長

大沢調査課長

渡邉主計官

三原主計官

福田主計官

坂口主計官

高田主計官

有利主計官

一松主計官

田中主計官

野村主計官

北尾主計官

渡辺主計官

山岸主計企画官兼予算執行企画室長

鈴木主計企画官

宮下主計企画官

分科会長代理

増田寛也

赤井伸郎

遠藤典子

大槻奈那

櫻田謙悟

佐藤主光

十河ひろ美

武田洋子

土居丈朗

中空麻奈

藤谷武史

宮島香澄

安永竜夫

臨時委

秋池玲子

上村敏之

宇南山

河村小百合

喜多恒雄

木村

熊谷亮丸

小林

末澤豪謙

竹中ナミ

田近栄治

伊達美和子

田中里沙

冨田俊基

平野信行

広瀬道明

福田慎一

別所俊一郎

真奈美

神子田章

吉川


午後3時00分開会

増田分科会長代理それでは、時間がまいりました。今日は冒頭のカメラ入りはありませんで、開会してしばらくしましてから大臣にお入りいただいて、この場で建議書を手交するということになります。その際にカメラが入るということになります。要は、今回で取りまとめして、この場で大臣にお渡ししたいと思っております。

ということで、ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。

本日は、御手元に配付をいたしております令和4年度予算の編成等に関する建議の案ですが、これについて審議を行って、当分科会として取りまとめた上で、鈴木財務大臣に本会議室で建議を手交する予定となっておりますので、よろしくお願いします。また、建議を手交した後、大臣にはずっとこの場にいていただいて、大臣との意見交換も行っていきたいと予定しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

続きまして、今回の建議案でございますが、前回は11月19日金曜日でございましたが、前回の分科会や書面でいただいた御意見等を踏まえて、起草委員の皆様に修正をいただいたものでございます。御手元には、赤字になっておりますが、前回の会議で御審議をいただいた案文からのその後の修正を見え消しにしたものと、修正を溶け込ませたもの、これは分厚いほうですが、両方配付しておりますので、御参考にしていただければと思います。

まず、審議に先立ちまして、前回の会議で御審議いただいた案文の主な変更箇所について、事務局から補足説明をお願いします。

それではお願いします。

大沢調査課長調査課長の大沢でございます。前回、11月分科会でいただいた御意見、また書面で多数御意見いただきました。起草委員会の先生方に御審議いただいた上で、修正をいただいております。私からは、御手元にある見え消し版に沿って、主な修正箇所について、駆け足にはなりますが、順番に御説明をいたします。

まず、総論でございます。1ページ目、5行目、伊達委員の「タイトルを修正すべき」との御指摘を踏まえて修正されております。

また、1ページ目、15から17行目、宇南山委員の「現状認識を明確にすべき」との御指摘を踏まえて修正です。

また、1ページ目の21行目ですが、河村委員の「国債は財源ではない」に関する御指摘を踏まえまして修正されております。

1ページ目、24行目から26行目、横田委員の「財政健全化は現世代の問題と言及すべき」との御指摘を踏まえまして修正されております。

1ページ目最後、29行目から2ページ目の1行目まで、小林慶一郎委員の「再度の感染拡大の可能性を踏まえた表現とすべき」との御指摘、また熊谷委員の「コロナへの認識がやや楽観的ではないか」との御指摘を踏まえて修正されております。

また、2ページ目の6行目、末澤委員、上村委員の「例外からの脱却を受けた文章が必要」との御指摘を踏まえて修正されております。

2ページ目、10行目から13行目、赤井委員の「正常化の意味を明確にすべき」との御指摘を踏まえ、正常化の定義を明確にする修正がされております。4ページ目、13行目、16行目も同様でございます。

2ページ目、最後、28行目、伊達委員の「デジタル化のロードマップについて言及すべき」との御指摘を踏まえて修正されております。

3ページ目、11行目でございます。宇南山委員の「自粛要請と消費の減少の対応を明確にすべき」との御指摘を踏まえて修正されております。

3ページ目、17行目、広瀬委員の「企業規模に配慮すべき」との御指摘、また佐藤委員の「経済回復の動向を見据えて、支援の在り方は随時見直すべき」との御指摘を踏まえ、修正されております。

4ページ目にまいります。3行目から5行目にかけて、平野委員の「GX、DXをてこに産業構造の転換を進めるべき」との御指摘、また広瀬委員の「生産性向上が重要」との御指摘、また熊谷委員の「グリーン、デジタルを中心となるポストコロナの産業構造の転換が重要」との御指摘を踏まえて修正されております。

4ページ目、12行目でございます。大槻委員、伊達委員、熊谷委員の御指摘を踏まえて、「④財政の正常化」のタイトルが削除されております。

17行目でございます。木村委員の「経済活動の制限で影響を受けた方々に配慮した表現とすべき」との御指摘を踏まえて修正されております。

5ページ目にまいります。1行目の「アニマル・スピリット」ですが、堀委員から、これをちゃんと説明すべきとの御指摘を踏まえ、脚注が追加されております。

5ページ目、4行目から5行目、安永委員の「GXやDXを通じたトランスフォーメーションを後押しする制度改革、構造改革のための政策が必要」との御指摘、また平野委員の「規制的手法の強化を含めて言及すべきだ」という御指摘を踏まえまして修正されております。

5ページ、7行目、佐藤委員の「補正予算について、PDCAサイクルの徹底の必要性に言及すべき」との御指摘を踏まえて修正されております。

7ページ目にまいります。11行目、熊谷委員、河村委員の御指摘を踏まえて、③のタイトルが修正されております。

また、12行目から17行目ですが、佐藤委員の「我が国においても、コロナ対策に係る赤字国債の償還財源について早期に議論を開始すべき」との御指摘、堀委員の「日本より財政状況の良い国の財政規律を意識した改革を強調すべき」との御指摘を踏まえ、修正されております。

9ページ目に参ります。5行目から8行目、末澤委員の「気候変動、地球温暖化に触れるべき」との御指摘を踏まえて修正されております。

また、10ページ目、12行目から14行目ですが、雨宮委員の「中央銀行の財務と通貨の信認の関係には様々な御議論がある」という御指摘を踏まえて修正されております。

10ページ目の22行目でございますが、河村委員の「プライマリーバランスの黒字化では危機対応に不十分」との御指摘を踏まえまして修正されております。

11ページ目、7行目、小林慶一郎委員の「当面の必要な支援と財政健全化の目標の両立は可能であると断言するには、説明不足ではないか」との御指摘を踏まえて、表現が追加されております。

13ページ目です。17行目、平野委員の「ペイアズユーゴー原則について、総論でも言及すべきではないか」との御指摘を踏まえて修正されております。

続いて、社会保障にまいります。15ページ目、25行目、堀委員の「自然増の意味を整理すべき」との御指摘を踏まえて修正されております。

16ページ、27行目から29行目、堀委員の「低密度医療というのを分かりやすく書くべきだ」という御指摘を踏まえて修正されております。

次、24ページ目でございます。14行目、芳野委員の「介護報酬も書かれているので、『等』を記載すべき」との御指摘を踏まえて修正されております。

25ページ目です。13行目から15行目、堀委員の「診療報酬・介護報酬改定の有効性の検証が必要」との御指摘を踏まえて修正されております。

30ページ目にまいります。17行目から21行目、堀委員の「イギリスではNHSや介護は厳密には社会保障に含まれないので、修正すべきではないか」という御指摘を踏まえて修正されております。

31ページ目でございます。6行目、宮島委員の「職域や報酬のバランスを踏まえるべき」との御指摘を踏まえて修正されております。

続いて、34ページ目でございます。6行目、芳野委員の「地域医療構想会議の透明性について言及すべき」との御指摘を踏まえて修正されております。

36ページでございます。14行目から17行目、小林慶一郎委員、堀委員の「縦都心型を分かりやすく書くべき」との御指摘を踏まえて修正されております。

47ページ目でございます。16行目からしばらく、48ページ目までについて、堀委員の「マクロ経済スライドの必要性」についての説明が不明瞭、不足しているという御指摘を踏まえて、記述が追加されております。

54ページでございます。22行目の失業等給付についてですが、安永委員の「失業等給付について、国と雇用主と雇用者の応分の負担が原則だ」という御指摘を踏まえて修正されております。

続いて、地方財政でございます。58ページ、2行目、赤井委員の「一般財源ルールの運営において、財源透明性確保と説明責任を文面に入れるべきだ」という御指摘を踏まえて、脚注が追加されております。

59ページ、12行目から16行目、赤井委員の「国費による支援が真に必要なものか、検証を行うことを書くべき」との御指摘、佐藤委員の「PDCAを取り入れるべきだ」という御指摘を踏まえて修正されております。

62ページでございます。16行目から19行目、田中委員の「マイナンバーカードについて、政策の趣旨が理解されるような文言を加えるべきだ」という御指摘、また上村委員の「利便性を高めるといった文言を加えるべき」との御指摘を踏まえて修正されております。

63ページでございます。20行目、佐藤委員の「PPP、PFIに言及すべき」との御指摘を踏まえて、脚注が追加されております。

続いて、65ページ以降の文教・科学技術でございます。65ページ、11行目から13行目、芳野委員の「現実的ではないとまで言及することは不適切ではないか」という御指摘を踏まえて修正されております。

同じく65ページ、16行目から18行目、大槻委員の「GIGAスクールに言及すべき」という御指摘を踏まえて修正されております。

66ページでございます。10行目、十河委員の「企業や家計のという表現が唐突」との御指摘を踏まえて修正されております。

66ページ19行目、河村委員の「情報開示、透明性を高める点を含めるべき」との御指摘を踏まえて修正されております。

続いて、81ページ以降の社会資本整備でございます。85ページに飛んでいただきまして、27行目、広瀬委員の「まちづくり計画の策定には住民理解が重要だ」という御指摘を踏まえて修正されております。

また、同じく85ページ、28行目、赤井委員の「防災面と財政面の両立の視点を入れるべき」との御指摘を踏まえて修正されております。

90ページ、20から21行目、広瀬委員の「民間技術の活用、地域の実情、ニーズを踏まえて、インフラ整備を進める観点を追加すべき」との御指摘を踏まえて修正されております。

91ページ目、25行目です。平野委員の「規制的手法の強化の必要性に触れるべき」との御指摘を踏まえて修正されております。

92ページ、23行目、広瀬委員の「老朽化対策に合わせて防災・減災対策を実施すべき旨を追記すべきではないか」、芳野委員の「ICTなど新技術を活用し、災害の予防保全を積極的に進めるべきではないか」との御指摘を踏まえて、脚注が修正されております。

続いて、95ページ以降、農林水産でございます。95ページ、15行目から17行目、平野委員の「多額の財政措置が農業の競争力強化に向けた支援策になっておらず、改める必要を言及すべき」との御指摘を踏まえ、修正されております。

102ページに飛んでいただきまして、冒頭、田中委員の「世界でもブランド価値が認められるという文言を入れるべき」という御指摘を踏まえて修正されております。

続いて、103ページ目以降のグリーンでございます。103ページ、5行目から8行目、安永委員の「2050年カーボンニュートラルのロードマップを政府がしっかり示すべき」との御指摘、広瀬委員の「エネルギー政策の大原則、S+3Eを踏まえるべき」との御指摘を踏まえて修正されております。

105ページでございます。12行目から17行目、安永委員の「先行投資は長期的な視点が重要」との御指摘、広瀬委員の「カーボンプライシングを含めて、必要な財源確保について慎重に議論すべき」との御指摘、平野委員、木村委員の「財源確保について、炭素税、排出量取引など、具体的に記載すべき」との御指摘、河村委員の「関係者の自律的かつ効率的な行動を促すメカニズムを盛り込むため、財源確保を入れるべき」との御指摘を踏まえて修正されております。

続いて、中小企業でございます。106ページになります。8行目でございます。佐藤委員の「コロナ対策に係る中小企業支援はあくまで非常時であり、恒常化させるべきではない旨を念押しすべきではないか」という御指摘を踏まえまして修正されております。

同じく106ページ目の16行目、広瀬委員の「デジタル化の推進を中小企業政策の中心に据えるべき」との御指摘を踏まえて修正されております。

107ページでございます。4行目、木村委員の「必要な企業が補助金を活用できるような見直しが重要」との御指摘、芳野委員の「補助金について、柔軟に対応できる余地を残すべき」との御指摘を踏まえて修正されております。

107ページ、12行目から16行目ですが、広瀬委員の「金融機関による適切なモニタリングが重要だ」という御指摘を踏まえて修正されております。

外交関係につきましては、大きな修正はございませんので、割愛をさせていただきます。

112ページ、デジタルでございます。114ページの5行目でございますが、佐藤委員の「利用者目線だけではなく、国と地方自治体、政策と現場の目線を合わせる旨にも言及すべきではないか」との御指摘を踏まえて修正されております。

同じく、平野委員の「マイナンバーについて、資産や所得の正確な把握につなげる旨を記載すべき。個人情報の取扱いに関する国民理解の醸成の必要性に言及すべき」との御指摘、芳野委員の「マイナンバー制度は、持続可能で包摂的な社会保障基盤の構築に不可欠」との御指摘を踏まえて、脚注が追加されております。

最後に、防衛でございます。118ページ7行目でございます。横田委員の「戦略を全体戦略に修正すべき」との御指摘を踏まえて修正されております。

118ページの16行目、末澤委員の「安全保障環境が厳しくなっている現状を踏まえるべき」との御指摘を踏まえて修正されております。

そのほか、説明を省略いたしました部分にも修正は多数ございます。いずれも熱心に皆様にコメントいただき、起草委員の先生方、長時間御議論いただきまして、修正されております。ありがとうございました。

私からは以上でございます。

増田分科会長代理ありがとうございました。起草委員の先生方で十分練った上で、今回の今お出ししております建議案というものを作り上げたということでございます。

それでは、こちらの案についての審議ということでございますが、まず御手元に、芳野委員から提出されました意見書を配付してございますので、お目通しをいただければと存じます。

それから、この場では、まず修文が必要となる御意見がもしございました場合に、それに限定して御発言をお願いしたいと思います。そして、建議ですとか、今回の秋の集中的な財審の審議全体を通じたコメント等につきましては、後ほど鈴木財務大臣がこちらにお越しくださいまして、かなりの時間、御在席ということになりますので、ぜひその意見交換の場で、その点については頂戴できれば幸いでございます。

ということで、今は修文に限って、もし御意見があれば、御発言をいただければと思いますが、何かございますでしょうか。

特にないようでございますので、それでは、建議の内容につきましては、御手元に配付しております建議案のとおり取りまとめを行いたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

増田分科会長代理ありがとうございました。それでは、手元にございます建議案の「案」を取りまして、建議ということで確定をさせていただきます。

早速でございますが、鈴木財務大臣への建議手交に移りたいと思います。この後、まずカメラが入室して部屋の全体像を撮影いたします。副大臣、政務官、それから榊原会長、起草委員の皆様は、その後に御移動をお願いしたいと思います。初めにカメラが全体像を撮影しますが、その後に移動ということになります。それ以外の委員の皆様方は、そのままその場で、着席でお待ちいただきたいと思います。

鈴木大臣が間もなくいらっしゃいますので、少しお待ちいただきたいと思います。

(報道カメラ入室)

増田分科会長代理それでは、副大臣、政務官、そして会長はじめ、起草委員の皆様方、御移動をお願いいたします。

(鈴木財務大臣入室)

大沢調査課長よろしいでしょうか。

それでは、財政制度等審議会において取りまとめました令和4年度予算の編成等に関する建議を、榊原会長より鈴木財務大臣に手交していただきます。榊原会長、よろしくお願いいたします。

(建議手交)

大沢調査課長ありがとうございました。それでは、御着席をお願いしたいと思います。

まずは報道関係の方々、御退室をお願いいたします。

(報道カメラ退室)

増田分科会長代理それでは、ただいま手交は終了いたしましたので、これから後は、鈴木財務大臣との意見交換に移ります。先ほど鈴木大臣にお渡しいたしました建議の内容や、秋の財審全体を通じたコメントも含めて、この場で頂戴できればと存じます。

今回、進め方ですが、まず各委員の皆様方、できるだけ多くの委員の皆様方から、まとめてこちらから指名いたしますので、御発言をいただいて、鈴木大臣には、皆様方からそうした意見を全部頂戴した最後に、まとめて発言をいただくという形で進めていきたいと思います。全体が、事前にお知らせしておりましたとおり、一応5時までということになっていて、最後のほうで少し、大臣の御発言、それから会長にも御発言いただくということで、その辺りの時間等々は念頭に置いて進めていきたいと思っているところでございます。

そして、会場にいらっしゃる委員の皆様方には、御発言の際にはネームプレートを立てていただければと、また、テレビ会議システムでも参加いただいている委員の方がいらっしゃいますので、その委員の皆様方には、挙手するボタンのクリックで合図をしていただきたいと思います。恐らく御発言を多くの委員の皆様方がされるのではないかと思いますので、大変恐縮ですが、お一人当たり2分ということで、これを念頭に置いて手短に御発言を頂戴できれば。できるだけ多くの皆様方からの御意見を頂戴したいと思います。

会場から5名程度、初めに御発言いただいて、その後、テレビ会議システムでまた5名程度、それでまた会場から5名程度、この順番で指名をさせていただきます。会場の皆様方はマイクをオンにして、それで御発言をいただいて、終わりましたらオフということでお願いします。それから、できればマイクに近づき、なおかつマスクは外して御発言をいただければ幸いでございます。テレビ会議システムのほうについては、いつもどおりミュートを解除して御発言、終わりましたらミュートを戻していただく。こうしたことでお願いしたいと思います。

それでは、これ以降、どうぞ御発言いただきたいと思いますが、まず会場の方で合図をしていただければと思います。

それでは、多くの方が札を上げていますので、私から見まして左側から、大槻委員から順番に5名の方々に、宮島委員までになると思いますが、順次指名しますので、御発言をお願いします。初めに大槻委員、どうぞお願いいたします。

大槻委員ありがとうございます。今回皆様、起草委員の皆様をはじめとして、御苦労さまでございました。これをもって我々が期待したいこととしては、なかなか広がりづらい国民皆様の危機感ということがあると思います。これから先の発信は、我々もやらせていただくところでございますが、皆様、そうしたことにもぜひ力添えをお願いしたいと思いますというのが1点です。コミュニケーションの問題ということです。

それともう一つ、中身としては、私も金融の現場に身を置いている者として感じることは、この2年程度で、マネーの価値の下落ということが市場で言われるようになってしまったなと。これは日本に限った話ではございませんが、そうした中で、この建議の中にもございますとおり、日本のほかの先進国の幾つかでは、既に正常化に向けたステップを、健全化ということを念頭に置いた形で進め始めております。

そうした中で、日本もそれに沿った形でいかないと、ここで健全化に対して取り残されるのではということを非常に心配している次第です。マネーの価値の低下という世界的かつ一時的な流れから、早く日本が脱却できるように、財政の健全化に向けて進めていっていただきたいと思う次第でございます。

以上です。

増田分科会長代理それでは、続いて宇南山委員、どうぞお願いします。

宇南山委員宇南山です。今回は建議を取りまとめていただきまして、起草委員の方、ありがとうございます。私からは、現状認識というところについて、ぜひとも統計というものをもう少し信頼していただいて、いろいろな面で統計を活用していただきたいと思っています。

建議の最初の部分にもありますが、非常に大きなインパクトがあるということは間違いないと思いますが、そのサイズについては、統計を見る限り、必ずしも歴史的に大き過ぎる異常事態というほどではないように見えていて、そこの部分をどのように評価するのか。国民感情は必ずしも統計とは一致しないものですので、統計というのがどれだけ信用できるのかというところをきちんと示しながら、私は統計を信じて政策をやっていただければと思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、安永委員、お願いします。

安永委員ありがとうございます。私は今年から委員を拝命いたしまして、大変勉強になりました。一方で、まさに日本が抱えている課題、この危機意識をしっかりと官民共有して、次の成長戦略につなげていくことが何よりも大事であると思っています。新しい資本主義を標榜されている中で、民間企業がまさにアニマル・スピリットを発揮して、経済成長を実現していく。このためには、あちこちで申し上げているのですが、コロナ前に単純に戻るだけではなく、成長のための規制緩和や大胆な制度改革が不可避であると考えています。これをぜひ岸田政権の中で実現いただきたいということが一つ。

それから、日本はアジアと一緒になって成長するということが肝心で、人口ボーナス期を迎える開かれたアジア・インド太平洋戦略に、どうやって日本が一緒になって成長を遂げていけるのか。FOIPをしっかりと基軸に置きながらアジアと連動するためには、現在のオミクロンの影響はしっかり見る必要がありますが、ややもすれば日本はとても防御的な検疫体制をしいていて、ヨーロッパやアメリカや中国が経済再開に動いている中で、日本がこのままでは鎖国していると捉えかねません。経済成長と水際対策というものを、どうやってバランスを取るかというのが大事であると思っています。

以上です。

増田分科会長代理それでは、木村委員、お願いします。

木村委員今回、建議をまとめていただきました起草委員の先生方に、御礼申し上げたいと思います。

その上で、建議のタイミングで一言申し上げようと思っているのですが、今回の建議の議論と並行して、政府でも経済対策と補正予算の策定が進められて、これ自体は必要なものかもしれませんが、その対策の内容は、様々な給付金とか、財審の議論とはやや方向性の異なる事業が結構目立ったということですね。財審の議論とは別に、こうした事業がどんどん決まっていくということに、議論に参加しながら、どこかむなしさを感じたというところがあります。

建議自体は当初予算に対するもので、なおかつ政府の経済対策、予算は、最終的に政治が決定するということは私も重々承知していますし、なおかつコロナ対策で、財政は機動的に対応する必要があるということも分かっておりますが、今回の経済対策55兆円で、補正30兆円超と、過去最大です。これだけの規模が補正で決まってしまえば、何のための財審なのかなという疑問が生じるところです。

来年度予算策定作業がこれから本格化しますが、オミクロン株が出てきて、いろいろまた財政的に対応しなければならないということもあるかもしれませんが、建議にもありますように、無駄な支出をできるだけ省いて、政権が掲げる成長と分配の好循環にしっかりつなげていくような予算を心がけていただきたいと思っております。

以上です。

増田分科会長代理それでは、宮島委員、どうぞお願いします。

宮島委員ありがとうございます。まずは起草委員の方々、大変な御苦労をどうもありがとうございました。今日は大臣とお話ができる機会なので、恐縮ながら質問をさせていただければと思います。

財審は今回も、財政の規律はとても大事であるということを訴えた建議であると思います。一方で、例えば予算編成の基本方針で歳出削減の表現を薄める議論があるなど、財審とは少し違った空気が今、流れていると思います。こんな中で国民が、「財審はそう言っているけど」とか、「矢野次官は寄稿でそう言っているけど」、「だけど、それは別でしょう」のような空気になっているのではないかということを、物すごく不安に思っております。

イギリスでは、この建議にも入っていますが、スナクさんが、財政とか税収を確保すること、財源手当てをすることの重要性を訴えて、それで国民の支持が上がったということがありますが、大臣も財務大臣のお立場で、そのような部分を国民に訴えていただけるような機会があれば、ありがたいと思っているのですが、今の現状について、いかがお考えになりますでしょうか。

また、個別に補正予算に入った政策がいろいろありました。給付金に関しましては、もちろん政治的な要因は大きいと思うのですが、そもそも何のための給付金かという説明が国民に届いていないように思います。これは困窮対策なのか、あるいは子育て支援なのか、子育て支援だったらワンショットで本当に支えになるのか。

現実問題としては、子供を持っている家庭はテレスタディーなどに負担があったし、学校閉鎖もありましたし、コロナで負担があったことは分かっているのですが、だったら、それに対して報いるものであるということを御説明になるとか、明確な説明をすれば納得できる部分もあると思います。今の政権の御説明では、一体この給付金は何のための、どういうものなのかということが、ちゃんとは伝わっていないように思いますが、そこをいかがお考えか、よろしくお願いいたします。

増田分科会長代理それでは、今の点も含めて、最後にまとめて大臣からということにいたしたいと思います。

ここでオンラインのほうに移りたいと思います。オンラインのほう、今の段階では二方なのですが、櫻田委員と佐藤委員から合図がありますので、まず櫻田委員から、どうぞ御発言をお願いします。

櫻田委員ありがとうございます。まず、今回の建議案について、起草に参加されました先生方、本当にありがとうございました。内容については、100%賛成申し上げたいと思います。

毎回この会議で申し上げて、またかと言われるのですが、問題は、建議を上げることもそうで、それ以上に、どうやって結果に結びつけていくかということに尽きるわけでありまして、釈迦に説法を申し上げていますが、その点について、大臣もいらっしゃるので、2点だけ申し上げたいと思います。

一つは、今、宮島さんから話がありましたが、この建議の内容を実現していくに当たっては、必ずしも風向きはフォローではなく、むしろアゲンストになっているなという気がする中で、何と何をどうしても決めていくのかという優先順位と、言ってみればprioritizationが必要だなと思っています。そうした意味で決めるということと、もう一つ、どうしても入れるべきであると思っているのはPDCAです。民間の企業では、PDCAは当たり前にやっていますし、毎月PDCAをやっているのが実態ですから、年に一回もやらないということは、恐らくないだろうということでありまして、ここはぜひ大臣のリーダーシップをお願いしたいと。

中で、今回の財政の問題の根幹は、建議にもありますように、やはり社会保障ですから、社会保障については、まず実態、事実を、今回のコロナによる対策のために数十兆円の国費が支出されました。そして、医療従事者の方には本当に敬意と尊敬を申し上げますが、一方で、赤字になった医療機関は、補助金で賄えているのではないかという結果が出ておりまして、医療機関全体で見たときには、補助金部分を除いても、既に感染拡大の前の状況に戻っているという結果が出ています。

となると、何のための診療報酬改定なのかということがとても重要になるわけでありまして、ここは慎重にも慎重な議論と、説明責任を欠いた結論にならないようにということをお願いしたいと思います。特に経済という観点からすると、税もそうですが、それ以上に、収入の3割近くを社会保険料に持っていかれています。持っていかれているのではなく、支払っています。こうしたことを考えると、可処分所得を意識すると、消費につながらないということもありますので、ぜひここは、なぜ診療報酬改定が今必要なのかということについては、説明責任を強く求めていきたいと思っています。

また、介護についてもいろいろな議論が起きていて、報酬を上げるということについては大いに賛成ですが、一番足りていないことは、量よりも質の評価です。公的価格を見直すということについては大変賛成なのですが、質の違いをどう見るか、客観的にどう把握するか、言わば格付機関のようなものがあれば、そうしたものを踏まえて、公的価格が出せるはずであると思っています。

最後、2点目ですが、イノベーションです。何人かがおっしゃっていますが、今回の総理がおっしゃっている新しい資本主義というのは、日本が立ち直るラストチャンスかもしれないと思っています。そして、この課題先進国が立ち上がっていくためには、何といってもイノベーションが必要です。ただ、イノベーションにはいろいろなイノベーションがありまして、科学技術だけではなく、サービスイノベーション、プロセスイノベーション、そしてビジネスモデル、いろいろなのがあります。民間がイノベーションを担うのであって、そのベースにアニマル・スピリットがあるのはもちろん結構なのですが、今、必要なことは、金融にとってのイノベーション、流通にとってのイノベーション、あるいは食品にとってのイノベーション、各業界・企業にとってのイノベーションは何なのかということを、私を含めて経営者がはっきりと語れるという状況をつくり出す。そのために必要な規制改革やファンドや税を、ぜひお願いしたいと思っています。

最後に、ムーンショットです。科学技術の中でムーンショットは、民間のお金では必ずしもできません。そうした意味では、日本が強くて譲るべきではないものについては、しっかりとムーンショット型の支援をしてほしい。例えば、日本の自動車産業が誇る内燃機関技術を活用するという意味では、e-fuelというのは夢の燃料です。これが本当に解決できれば、新興国を含めて全世界の多くの国を救い、貢献することは間違いない。

こんなことを考えて、ぜひラストチャンスであると思って、私としても民間の経営者として、全力を挙げて取り組んでいきたいと思います。ありがとうございました。

増田分科会長代理それでは、佐藤委員、どうぞ御発言ください。

佐藤委員よろしくお願いします。建議ではいつものことですが、財政の健全化を訴えていますが、何人かの委員が御指摘のとおり、政治はもうその方向は向いていないのが現状かなと思います。確かに、非常時における財政出動はちゅうちょなく行うということはあっても、その財源についても、やはりちゅうちょなく議論を始めるべきではないかと。

新聞報道なんかによりますと、来年度の予算編成の基本方針案では、必要な財政支出はちゅうちょなく行い万全を期するとしていますが、政治はどうしても近視眼的で、将来を見据える視点に欠けているのではないかという印象を持っています。よく経済あっての財政と言いますが、財政は経済を支える重要なインフラです。財政が毀損しては、経済も行き詰まるわけです。例えばインフラを誰が整備するのか、社会保障を誰が提供するのかという問題に直面します。よって、どちらが先行するわけではなく、財政と経済は一体的に、構造的に改革するというのが、本来、筋であるべきだと思います。

財政の健全化は、地球温暖化問題に似ていると思うのです。我々は何のために財政健全化をするか。これは、実は自分たちのためではなく、将来世代のためです。なので、私たちは将来世代に対する責任をもっと意識したほうが良いのかなという気がします。我々もそうなのですが、政治はもっと財政問題について説明責任を果たしていくということが求められているのではないかなと思います。もちろん、どういう形でメッセージを伝えていくか。かなり分かりやすい形のメッセージを伝えていく。そのためには、もちろんエビデンスというものが必要なのかなと考えます。

以上です。

増田分科会長代理ありがとうございます。

また、オンラインの方で堀委員からも合図がありましたので、ここで堀委員、どうぞ御発言ください。

堀委員起草委員の皆様、それから事務局の皆様、本当に御尽力いただきありがとうございます。良い意味でパンチの利いたメッセージが多いと思います。賛否両論呼び起こすものがかなり含まれていると思いますが、私自身はそれこそが重要であると思いますし、このまま国民が無関心のままでは、政治家の皆様の関心も集まらないでしょうし、佐藤委員がおっしゃったように、ここでの議論が未来につながらず、本当に、共有地の悲劇がこのまま起きてしまうのではないかなという危機意識を持っています。

先日もイギリスについてお話させていただきましたが、先ほど宮島さんがおっしゃったように、新たな財源確保を含め、財政健全化をすることこそが国民の未来にとってもプラスであるということを、政治家の方々がメッセージとして強く伝えています。いざ何か緊急事態が起きたときの備え、そして、この先の未来に向けた投資に財政支出していくためにも、財政の健全化と、社会保障の持続可能性、そして経済成長の3つは、本当に三位一体で非常に重要であると思っています。

また、診療報酬と介護報酬につきましても、いろいろ本当に複雑な決定過程ではありますが、国民目線と離れたままでは国民的な関心事にはなりませんので、見える化をして、PDCAを回して、本当に政策的に有効であったかどうかというのを、引き続き検討できるような仕組みにしていただければと思います。鈴木大臣におかれましては、本当に財政が日本の未来を背負っていると思いますので、この緊急事態を未来に向けてプラスになるように、ぜひ頑張っていただければと思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、こちらの会場にまた戻りたいと思います。

それでは、平野委員から広瀬委員までになると思いますので、まず平野委員からお願いします。

平野委員ありがとうございました。起草委員の皆様、事務局の皆様、本当に充実した建議書を取りまとめていただきまして、ありがとうございました。

さて、昨年に続いて今年も多額の補正予算が計上され、また来年度も参議院選挙が予定される中で、財政規律が損なわれるリスクは確実に高まっていると言わざるを得ないと思います。今日は大臣も御出席ということでございますので、今後の日本の財政運営に求められる取組を、私からは2点申し上げたいと思います。

まず1点目は、先ほども櫻田さんが少し触れられたのですが、政策の優先順位づけとワイズスペンディングです。

現在、世界各国がポストコロナに向けて、GXとDXを軸とする国家を挙げた取組、言ってみれば国家間競争が進んでいるわけです。そうした中で、「我が国の取組が遅れれば、経済、ひいては国際社会における日本の更なる地盤沈下は避けられない」という危機感を政官民で共有すべきですし、特に社会の在り方であるとか、産業構造の転換を伴うカーボンニュートラルといった、民の力だけでは対応できない国家的な戦略を遂行するためには、まとまった財政出動も必要です。

しかしながら、先ほどから皆様御指摘のとおりで、我が国の財政が置かれている状況を踏まえると、こうした新たなニーズ、DX、GXに加えて、安全保障もその一つであると私は思いますが、そうした新たなニーズに対応するためには、限られた財源をどう配分するのか、政策全般の優先順位の見直し、別の言い方をすれば、やや民間企業的かもしれませんが、国家的な資源配分の見直しの議論が必要になってきていると思います。これは当然、既得権益の見直しも入ってきますから、簡単な議論ではありませんが、避けては通れないと考えております。

もう一つ重要なことは、個々の施策の有効性、費用対効果、生産性と言ってもよいと思いますが、これを高めることでありまして、今後の財政運営の基軸にワイズスペンディングの徹底というのを据えていく必要があると思います。例えば、これも先ほど出ていましたが、コロナ対応の各種施策の有効性を検証し、言わば新常態に向けてスクラップ・アンド・ビルドを進めていく必要がありますし、社会保障制度も、今回の建議で指摘したように、診療報酬改定の議論をもしするのであれば、医療機関の再編・統合、あるいはかかりつけ医の普及といった医療提供体制の改革に、ぜひ切り込んでいただきたいと思います。

2点目でございます。ワイズスペンディングを担保するための仕組みづくりです。この場でも何回も申し上げておりますが、今回の建議でも、ワイズスペンディングという言葉こそ入っておりませんが、これに関連して、「費用に対し最大の効果を発揮する効率的な仕組みを追求しなければならない」と13ページで述べられておりますが、歳出圧力が先ほどから申し上げているとおりでどんどん高まる中で、ワイズスペンディングの必要性を唱えるだけでは、口で言うだけでは実効性が上がらないというわけです。

したがって、私は、それを担保する制度的な対応を検討すべきであると考えます。具体的には、第1に、中長期の財政計画の策定です。当初予算、補正予算を合わせた中長期の財政計画を策定し、それに上限をはめるという形で、財政ルールとしての拘束力を持たせるための枠組みを、これは海外にかなり例がございますので、そうした海外事例も参考にしながら構築すること。第2は、財政の長期見通し、その前提となる客観的な長期予測の策定などの機能を持った独立的機関の設置です。後者は、リーマン・ショック後の財政状況悪化に対応すべく、欧米各国において、いわゆる独立財政機関、IFIの設置が進んでいるわけですが、いよいよ我が国においても、日本の統治機構に即した形での制度の在り方を検討すべき段階に来ているのではないでしょうか。

私からは以上です。

増田分科会長代理それでは続きまして、末澤委員、お願いします。

末澤委員どうも。今回、起草委員の皆様、どうもお疲れさまでした。ありがとうございました。

私は今回のタイトル、例外からの脱却、これが今回のキーワードであると思います。ただし、この例外はこれで終わりかというと、恐らくそうはならないのだろうと。今回、新型コロナウイルス感染症につきましても、ちょうど26日にWHOがオミクロンを5番目のVOC、懸念される変異株に指定しましたが、WHOがこうした危機を認定しているのは、今日の建議に書いていただきましたが、国際的な公衆衛生上の緊急事態宣言は、2009年の新型インフルエンザ以降、6回目なのです。要は、2年に1回。ちょうど今回のコロナの対応が去年の1月に指定されていますから、これでいくと、来年にはまた新たな危機が起きてもおかしくない。

また、我が国の場合、南海トラフ地震、また首都直下型地震、いずれも30年以内の発生確率が70%を超えていると。南海トラフのほうですと、大体75%です。また一方で、米中の覇権争い。来年は10月頃に、中国で第20回の共産党全国代表大会が開かれます。習近平氏の去就も含めて、来年以降、いわゆる台湾有事の可能性が高まるとも考えられます。また一方で、今回のCOP26に代表されるように、地球温暖化等に伴う異常気象、気象災害も増えております。

特に今回のパンデミックの影響で、我が国においても、これは世界と同様なのですが、少子化が大きく進んでおりまして、恐らく、今年の日本における日本人の出生数は、80万人を少し超えたぐらいまで減少する。つまり、今回パンデミックが起きましたが、それ以外の危機が減っているどころか、むしろ危機の可能性が拡大している。ですから、財政に関しても、今回のパンデミックだけではなくて、将来を見据えた対応が必要であると。より創造力のある財政運営が必要で、そのためには、グローバルなデータ収集と分析力、ファクトに基づく分析を高めていくことが必要なのだろうと思います。

いずれにしろ、今回のパンデミックにおいても、財政の健全化は平時にしかできない。特に我が国の場合、有事になると、与野党みんなが一斉に財政出動を声高に叫びますから、早期に今回のコロナが収束し、ウィズコロナにおける新しいビジネススタイル、ライフスタイルの構築も含めて、早期に平時に持っていって、財政を健全化し、ここで将来の危機に対してはバッファーをつくっておく。これが恐らく必要なのだろうと考えております。

以上でございます。

増田分科会長代理それでは、秋池委員、どうぞお願いします。

秋池委員起草委員の皆様、事務局の皆様、本当にありがとうございました。

3点ございまして、まず財政の健全化につきましては、皆様おっしゃっていて、また、この建議にも書いてありますとおり、本当に国の根幹でありますので、歳出と歳入の両面から徹底的に取り組むということを継続していただければと思います。

2つ目ですが、支出といいますか、予算を配分するときは、成果が上がるまで、成功するのに十分なレベルで配分することが重要です。一方で、成果が上がったら手離れさせて、だらだら支援をしないということが重要です。国の支援が減ることがディスインセンティブにならないよう、あらかじめ支援の終わりを決めておくことも必要です。

3つ目ですが、今、コロナ禍という緊急事態の中で、国による配分に非常に脚光が当たっているのですが、本来、成長と分配は、民間が経済活動の中ですべきことであって、そうした中で、自助できる人を増やして、一方で公助がどうしても必要な人たちに対しては、手厚くサポートするということが重要なのだと思っております。こうした形で、政府や官にも御努力をいただきながら、民間も力を出していかなければいけないと思っているところです。

以上です。

増田分科会長代理それでは、熊谷委員、どうぞお願いします。

熊谷委員起草委員の皆様、そして事務局の皆様、誠にありがとうございました。

私は今、岸田政権で内閣官房参与を拝命しておりまして、これから新しい資本主義を広い視野で実現していくことが最大の課題だと認識しております。その中で、財政当局はどういうことができるのかという点を、絶えず考えていくことが肝要ではないかと思います。

各論で幾つか申し上げると、一つは、まず全世代型社会保障改革が最も重要であって、社会保障は今、可処分所得の低迷と、若年層を中心とする将来不安という2つのルートを通じて、二重の意味で経済を押し下げています。そして、JFケネディの「屋根を修理するのは、日が照っているうちに限る」という言葉がございますが、医療提供体制は依然として非常に脆弱でございますので、その意味では、地域医療構想であるとか、かかりつけ医の制度化であるとか、これらにとにかく喫緊の課題として取り組むべきだということが1点目です。

2点目として、とにかく成長が不足しており、企業の稼ぐ力が弱いということが大きな問題ですが、ここはグリーンとデジタルが2本柱であって、メリハリを保ちつつも、しっかりとサポートをしていくことが肝要です。くわえて、ダイバーシティーですとか、産業の新陳代謝や「失業なき労働移動」等を進めていくということが2つ目のポイントとなります。

3点目は、セーフティーネットの整備が非常に重要になってきますので、デジタル化を徹底的に進めて、マイナンバーを活用して、本当に困っている人のところに、迅速にきめ細かくプッシュ型の支援が届くような体制を構築する必要があります。

4点目として、ここ数百年間ぐらいの資本主義の歴史を考えると、近年は第四次産業革命が進展する中で、人的投資、無形資産投資が非常に大きな柱になってきておりますので、新しい資本主義の実現に向けて、これらを徹底的に支援していくことが重要です。

5点目でございますが、財政規律の維持は財審の一丁目一番地ですから、ペイアズユーゴー、見える化、PDCA、プライオリティーづけ、ワイズスペンディングといったことを重視し、財政再建の旗を絶対に下ろさないという、以上の5つぐらいの点が私は重要であると考えます。

最後に、経済再生と財政健全化の両立を図る、二兎を追うことが肝要である点を、協調させていただきます。先ほど宮島委員からもございましたが、財審は世の中から、少しかたくなな人たちであるとか、もしくは特殊なことを言っている人たちだという見方をされては、私は絶対にいけないと思っていますので、幅広い視野で、日本経済を再生するためには何が必要で、その中で財審、財政当局は何をやるのかという視点で、ぜひ広く国民の心に響くような建議を、今後も出し続けることができればと考えております。

私からは以上でございます。ありがとうございます。

増田分科会長代理それでは、広瀬委員ですね。どうぞお願いします。

広瀬委員先ほど大沢課長の御説明で、「広瀬委員」というのが相当出てきまして、改めて、あんなに出したかなと思ったのですが、いろいろ配慮していただきまして、本当にありがとうございます。

その中で、2点ほど意見というか、御礼を申し上げたいと思いますが、今回は財政再建をにらんだ中長期的な視点と、もう一つは緊急避難的なコロナ対策といった視点、その2つの視点のバランスというか、両立をどう図るかというのが大きなポイントではなかったかと思いますが、特に中小企業対策という面からしますと、例えば事業再構築補助金ですとか、あるいはものづくり補助金。これはもちろん、いろいろな改善が必要なところがあります。非効率なところもあれば、中小事業者として、もう少し考えなければいけないこと、いろいろあると思いますが、現実的には当面、コロナ対策の中では、それなりに非常に効果が出ているわけでありまして、そうした面も含めて、今回いろいろ考慮していただいていると考えております。

もちろん、これをいつまでも続けるわけではありませんから、中小事業者として、モラルハザードを起こさないようにしなければいけない。そして、将来にきちんとつながるものにしていかなければいけないということは、中小事業者としても自覚をしなければいけないのではないかなと考えているところでございます。

2点目は、これから日本の最大の問題となるグリーン、エネルギー・環境政策ですが、これは、2050年カーボンニュートラルという大変大きな課題にこれから取り組んでいくわけですが、地球の持続性と日本の持続性をどのように両立させていくかということは、非常に大事になってくるのではないかなと。

最近、ヨーロッパでグリーンフレーションということがよく言われておりますが、どうしても環境問題を解決するためには、コストあるいはエネルギーの価格の上昇ということは避けられないと思いますが、グリーンフレーションを起こさないように、いかに両立させていくかというのが、ヨーロッパでも非常に大きな問題になっていますが、それぞれの国の在り方、特に日本はいろいろな制約があるわけですから、グリーンフレーションをゼロにするということは難しいと思いますが、少しでもそれを小さくしていく、あるいは抑制していくと。そうした日本独自のエネルギー・環境政策をこれから考えて、地球の持続性と日本の持続性を両立させる。これが非常に大事なのではないかなと考えております。

以上でございます。

増田分科会長代理ありがとうございました。

それでは、このまま会場のほうで合図していただいている方に御発言をいただきたいと思います。続いて河村委員、それから神子田委員と指名します。河村委員、どうぞ。

河村委員起草委員の先生方、それから主計局の皆様方、建議をありがとうございました。いろいろな主張を反映していただいて、感謝しております。

分科会でも何度か申し上げたのですが、コロナ危機になって、いろいろ大変なことがあったと。それで、国民はどうしても危機感が乏しいなと感じているところがありまして、コロナだから、異例の事態だから、何でもありで良いじゃないかというような、それがこれだけ1年半以上たっているわけですよね。そろそろ先のことも落ち着いて考えなければいけないときなのに、そうした意識が出てきていない。そうした意味で、しっかりと今回の建議でいろいろ危機感を持って、いろいろな記述を入れていただいて、大変良かったと思うのですが、そうした辺り、しっかりと世の中に対して訴えていくことが必要なのではないかなと思っております。

国全体の風潮として、国債に安易に頼り過ぎであると思います。国債を出しておけばよい、これは借金であって、確かに国の借金だから、ネットで必ずゼロにしなければいけないというものでは決してないのですが、物にも限度があるし、いつか誰かが返さなければいけないという意識が、あまりにも国民になさ過ぎる。

ですから、今回の建議にも書いてありますが、本当に余力がない、フィスカル・スペースがないですよね。何かあったときに、とても対応し切れない。それから、これだけ人口減少が厳しく進んでいるこの国で、将来的な担税力が落ちていかざるを得ないわけですよね。そうしたところも含めて、もっとしっかり認識してもらうことが必要なのではないかと思います。

ですので、やはり財政健全化の旗、プライマリーバランスの均衡、そして黒字化の目標を維持し続ける、ここも大事ですが、そこだけではなくて、今回の分科会でもいろいろ議論がありましたが、各論のところでも、例えば看護師さんたちの賃上げをしたほうが良いよねとみんな言いながら、ではその財源をどうするのと言ったら、一般財源が良いというインタビューがいっぱい出てきたりとか、それから、雇用保険とかもそうですよね。

これから年末にかけて、一番予算の取りまとめは正念場というか、山場になるのであると思いますが、ぜひそうしたところも含めて、安易に一般財源イコール赤字国債に頼るのではなくて、しっかり負担できるものは、いろいろな形で私たちが少しずつ負担していくという、そうした流れをつくっていくことが必要なのではないかなと思っております。

建議の総論のところでも指摘していただいておりますが、いろいろなことが起こることが将来的にあり得ると、外部環境の変化が非常に心配されるところであると思います。この国はこれだけ財政が悪くなっても、何も今まで起こらないではないかという意見があるのも承知していますが、グローバル経済の中で経済を営んでいるこの国ですので、世界の影響は受けざるを得ない。

今回、コロナ禍からの正常化のような局面に入りつつありますが、リーマン・ショックのときとは明らかに違いますよね。リーマンは金融のショック、需要ショック。コロナは実体経済から来たショックで、供給ショックということも言われますが、今、1年半たって、正常化局面に入ってみると、リーマン・ショック後は低インフレ下での正常化でしたよね。今度の局面は、どうも違う感じですよね。高インフレ下での正常化です。

一番の鍵はアメリカであると思いますが、あの国がきちんとやっていただけるかどうか、インフレを抑えられるか、長期金利を抑えられるか、そうした辺りが心もとないということになると、我が国を含めた世界経済に影響が及ぶことも、あり得なくはないと思います。そうしたことが、それこそ来年、年が明けたら現実のものになってくるかもしれないという、それぐらいの危機感を持って、財政健全化をしっかりと、少しずつ進めていく。そうした姿勢を持つことが大事で、財審としても、そうしたことをしっかり打ち出していく方が良いのではないかと思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、神子田委員、どうぞお願いします。

神子田委員ありがとうございます。すばらしい答申をまとめていただいて、起草委員の先生方、ありがとうございました。

私がこの秋の財審を通じて感じたのは、予算編成の硬直化です。新しく必要となった政策のための予算を、当初予算で確保したくとも、必要性が低下した予算を削ることができない。だから補正予算を当てにすると。そして、今や補正予算についても、本来は当初予算に組み込まれるべき予算が大きく占めることになって、1回の補正では足りず、何度も補正を組むことになりかねないという状況になっているのではないかと思います。

そして、財源に関しては、全て国債を発行する、つまり借金で賄うと。その多額の借金は次世代に受け継がれますと。次世代は、私たちの世代の残した借金の元本、利払いの支払いにお金を回さざるを得なくて、政策に必要な経費が圧迫される。政策に必要な経費は、また借金で賄う。つまり、借金体質も次世代に引き継がれるということになっています。

私は、消費税を引き下げるとか、おいしいことを言って、いたずらに財政支出を拡大させ、将来に巨額の借金を残すことに何の痛痒も感じない政治家たちは、未来の次世代の子供たちの選択肢を奪うという意味で、未来泥棒と呼びたいと思います。国民も負担はしなくてもよい、でも給付は受けられる。実際、給付金ももらったし。でも、そんなうまい話が続くのかしらと疑問に思っている人は増えていると思います。私たち財審として、これからもバラマキを廃して、健全な財政をやっていかないとと訴えていく必要があると思います。

そこで最後、大臣に質問なのですが、必要なコロナ対策、困っている人を緊急に救わなければならない、そうしたときの財政支出は、私はバラマキとは言わないと思うのです。しかし、将来に何か価値を残すことにもならないとか、本当は必要ないのに、アベノマスクとか、今、倉庫にたくさんありますが、あのようなことは国民から見て心を痛めるところであると思うのですが、大臣から見て、バラマキということはどういうことなのか、もしお答えいただければありがたく思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは続いて、起草委員の方々に御発言を順次いただきたいと思いますので、私から見て一番向こうは吉川先生であると思います。吉川委員から、どうぞ御発言ください。

吉川委員ありがとうございます。私からは、日本の財政は厳しいということを、一言お話ししたいと思います。建議にも書いてありますし、また、本日も委員の方々から御発言がありました。しかし、世の中には、日本の財政はまだ大丈夫だ、金利も安定しているではないか。まだ拡張的な財政は、いけるんだ。こうした考えがあることは、皆様も御存じのとおりです。時には、財務省、あるいは財審でしょうか、あるいは同じような発言をする人は、いわゆる狼少年だという話も出ます。

一つだけ指摘させていただきたいことは、財政が厳しくなってくるときには、例えばインフレが上がってくるから、インフレの懸念が出たら、少し締めればよいとかいう議論はあるのですが、マーケットが動揺するときは、一気に来る。そのときには、もう手がつけられない。リスクはそうしたものであるということを、ぜひ鈴木大臣には御認識いただきたい。

では、それに備えて何をするかというと、答えは言い古されているわけで、まさに財政の健全化に向けた歩みを地道に進めていく。歳入もありますが、歳出のほうでいえば、年々の歳出について建議あるいは各委員が御発言になったように、しっかりとした健全化への努力をやらなければいけない。

それからもう一つ、政府が健全化に向けたロードマップを、いつでもしっかり掲げておくということではないでしょうか。最近の議論を見ていると、コロナということで、今は財政はアクセルを踏むときだ。したがって、ブレーキの話はするなという論調があるように思いますが、これは私は極めておかしいと思います。

アクセルとブレーキを同時に踏むのはたしかにおかしい。しかし、アクセルを踏めば踏むほど、そのときには車のスピードが出れば、当然ブレーキを踏むタイミングについて、考えておくということは当たり前のことではないでしょうか。ヨーロッパでは、そうしたことが行われています。アクセルを踏んでいるときにはブレーキのことを語るなというのは、全く間違っている。ぜひ鈴木大臣には、財政健全化の先頭に立っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

増田分科会長代理それでは、続いて土居委員、お願いいたします。

土居委員委員の皆様に御協力をいただきまして、建議がこうした形で取りまとめられたことは、大変喜ばしいことであると思っております。

この建議の中でも書かれているとおりで、吉川先生も先ほどおっしゃったところですが、財政健全化の旗を下ろすべきでないということは、全くそのとおりでありまして、狼少年とよく言われ、財審もその狼少年に例えられるのですが、私はそうではないと、むしろ委員の皆様からも、世の中に発信していただきたいなと。財審は狼少年ではないと。

なぜかといえば、確かに財政健全化をしなければ、国債の金利が上がるとか、信用が落ちるとか、そうしたことがあるのだが、曲がりなりにも我が国の政府は、財政健全化目標をないがしろにするところまでは行っていなかった。もちろん、財審が言っているとおりに財政健全化をしてくれなかった面がなくはないが、財政健全化目標はきちんと残し続けてきたということなわけなので、だからこそ、我々が言ったとおりに国債金利はそこまで上がらなかった、国家の信用がそこまでは落ちなかったと言うべきなので、むしろ財審がしっかり発信をするということを通じて、狼少年ではない。国債の金利が上がるとか、そうしたことには至らずに済んだということではないかと私は思っております。もちろん、日銀が国債を大量に買うとか、そうしたことも背景にはありますが、財政健全化の旗を下ろさないということは、狼少年にならないで済むということであると私は思っております。

このたび令和3年度補正予算が閣議決定されたわけですが、この補正後予算ベースで、我が国の税収は過去最高を記録するという状況になったと。コロナ禍で経済を止めている部分があるにもかかわらず、不幸中の幸いと言うべきか、過去最高の税収になるということが補正後予算ベースであるというわけでして、もちろんのこと、過去最高益を出しておられる企業の方々が納めておられる法人税収に支えられている面もありながらも、消費税収が堅調で、税率を10%にしていることによって税収基盤が確保されているということによって、税収が過去最高になったということは、非常に重要な現象なのではないかと思います。

ただ、残念ながら、公債依存度は依然として高い状況であると。令和2年度は73.5%という、過去に例を見ないような高い公債依存度、目も当てられないような数字、4分の3を借金に依存しているという状況ということは、なかなか将来世代に顔向けできないような公債依存度だったわけです。ただ、幸い、先ほど申し上げたように、令和3年度の補正予算ベースでいえば、税収が好調だったがゆえに、令和3年度の公債依存度は46.0%まで下げられるというところまで来ました。

鈴木大臣のお父様であられます鈴木善幸総理の内閣では、昭和56年度、1981年度において、その前の年の公債依存度32.6%から27.5%に、30%を切るということを成し遂げられました。鈴木内閣において、30%を切るような公債依存度の予算編成がなされたということですので、大臣におかれましては、ぜひともお父様と肩を並べるというところでの予算編成、公債依存度を下げるということでも成果を上げられることを、私は大変期待しております。

私からは以上です。

増田分科会長代理それでは、田近委員、お願いします。

田近委員田近です。私からは、多くの方が既に大切な御指摘をなさいましたが、それらも踏まえて、この建議を通じて日本の経済、財政について、国民に何を訴えるべきなのか、訴えたら良いのか。それについての私の考えを述べたいと思います。

せっかくの大部ですが、建議をまとめて、2か所指摘させていただきたいのですが、もし可能ならば、8ページの第1点です。危機管理としての財政の対応余力の必要性。新型コロナは、我が国も想定外の危機と隣り合わせであることを想起させた。具体的には、3つのリスクがあった。災害等の震災、それから感染症と、金利上昇のリスクだ。そのためには、財政上の対応余力を持っていなければいけない。そのためにも財政の正常化が必要なのであると。

自然リスク、まず最初に震災ですが、95年に阪神・淡路大震災、2011年に東日本大震災。今朝も地震があって、私は真っ先に建議のこの場所を思い出したのですが、いつ再来するか分からない。また、自然災害、気候変動に伴う災害も激甚化していると。感染症リスクは言うまでもないと。

それから、既に河村さんや吉川さんはじめ、御指摘にありましたが、今までと比べて、リスクが次第に顕在化しているとすれば、インフレであると。インフレの中で金利が上がると。それが、どう上がるか分からない。建議では控え目に、金利が上昇した場合には、それが急騰と言えなくてもと言いますが、急騰するかもしれない。ということで、財審としては、財政余力を持って、そして平時では正常化に取り組む。

2番目の箇所を指摘させていただくとすれば、その次の11ページの責任ある財政運営に向けて。これまでの諸課題を踏まえれば、国と地方のプライマリーバランス黒字。要するに、何を言っているかといえば、国・地方の歳出は、平時の歳出は税収で賄いましょうということであると思います。その旗というか、それを着実に実行していくと。私は、財政危機のために、リスクに備えた余力、そのためにも平時の正常化、プライマリーバランスの黒字、歳出は税収で賄う。こうしたことを、大臣からも強く国民に発していただきたい。

個人的というか、一経済学者として思うのは、ここでインフレが各国、重要問題になっていて、日本も例外ではない。そうした意味では、今までとは局面が変わってきたのではないかというのが個人的な思いです。

以上です。

増田分科会長代理それでは、武田委員、お願いします。

武田委員ありがとうございます。まず、建議取りまとめに当たりましては、各委員の皆様から大変貴重な御意見をいただきましたこと、また事務局におかれましても、非常に熱心に尽力いただいたことを御礼申し上げます。せっかくの機会でございますので、意見を2点申し上げたいと思います。

1点目は、例外からの脱却が今回の重要なキーワードですが、単なる脱却にとどまらず、私は変革が必要であると思っております。世界は新型コロナへの備えをしながらも、ポストコロナを見据えた動きを加速しているように思います。コロナという霧が晴れたときに、日本だけが世界から取り残されてしまうのではないかという危機感を持っておりまして、単に元に戻るのではなく、目指すべき姿が実現できるように、成長する分野へ人材あるいは資本を移動させ、産業構造を転換させる必要があると考えております。

岸田政権では、新しい資本主義について議論をされていらっしゃいますが、ぜひお願いしたいのは、新しい資本主義においては、変えなければならないことを変えていく、それは予算においても、政策においても、慣習や規制を見直し、廃止するものは廃止し、政策の優先順位をつけた上で、選択と集中をぜひお願いしたいと思います。

2点目は、例外からの脱却にとどまらず、変革が必要なのは、私は財政も同じであると思います。先ほど宮島委員からイギリスのお話がございました。ところが、日本では大型の補正予算が続いておりまして、コロナ前から比べると桁違いになっています。

今回の一連の動きを見ておりますと、まず、エビデンスが十分に生かされていないのではないかと感じます。例えば、給付金の1回目の結果を今回の議論に生かしているのかどうか。危機管理としての財政の対応余力、田近委員からもございましたが、これが本当に充分なのかどうか。バラマキによって、必要なところに結果的に予算が回らなくなっているのではないか。国際情勢が非常に厳しくなっている中で、カーボンニュートラルやDXなどの重点分野への取組が十分なのかどうか。そして、最も重要なこととして、将来世代へツケ回しになっている点。こうした点について、危機感を持っております。

では、どうしたら良いかということですが、他の委員もおっしゃったとおり、まず一丁目一番地は、財政健全化を目指す旗を下ろさないこと。財政への信認が崩れたら、取り返しがつかないため、ここに対する意識、感度を一段と高めていく必要があると思います。

次に、それを実現するために、中長期の計画をしっかり持って、PDCAを回していく。そして、政策を決める際にエビデンスを活用し、その下での優先順位、選択と集中を、ぜひ実行いただきたいと思います。コロナが収まっていない状況であることは認識しておりますが、一方で、日本が抱えている他の課題、高齢化の進行等が止まるわけではありません。そうした元から抱える構造問題の改革にも着手していただく必要がございます。大臣におかれましては、ぜひ未来に責任のある政策運営をお願いしたいと思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、小林毅委員、お願いします。

小林(毅)委員どうもありがとうございます。今回の建議を起草するに当たって、私は、最も力を込めた部分というのがございまして、それは13ページの半ばぐらいの令和4年度の予算編成の課題というところに、今回の予算というのは歳出改革の取組を継続し、着実に財政健全化を進めるという我が国の意志を、改めて内外に示すものでなければならないということが入っております。

既にここにいらっしゃる方は、皆様同じ考えであると思いますが、非常に財政規律が緩んでいるのではないかという空気が広がってきております。しかもそれが、実は国民の中に広がっているのではなくて、政治のほうに広がっているのです。ここがゆゆしき問題であると思っていて、むしろ国民の中には、もちろんそうした人もいるかもしれませんが、特に若い世代の人たちは、自分たちの将来のことを考えたら、これで財政は大丈夫なのかという気持ちがあるのに、そんなことはないですよという空気が政治のほうに広がってきている。

これが一番怖いことで、もしその政治のメッセージを市場がまともに受け止めたりしたときに、何が起きるかということを考えると、そうしたことまで含めて、政治家の人たちにはいろいろな考えを発信してもらわなければならないと思っております。そうしたことではないのだと。日本の国としては、財政健全化という強い意志を持っているのだ、だから赤字を管理していくのだという、そのメッセージをきちんとここで出さないと、非常に大変なことになるのではないかという気持ちがございました。そうした思いを込めて、今回の建議に起草したということを、ぜひ鈴木大臣にはお分かりいただきたいと思っております。

以上です。

増田分科会長代理それでは、中空委員、お願いします。

中空委員ありがとうございます。皆様が力説してくださっているので、私は手短にいこうかなと思います。

1つは、アメリカの債務上限問題です。本日12月3日はその期限を迎えますが、私は、債務上限問題が金融市場でどういう問題をもたらすかということとは別に、アメリカにおいてすら債務上限というルールがあることを、もう少し真剣に考える必要があると思っています。日本は、それこそプライマリーバランスの黒字化をどうしようかと言うのがせいぜいで、もう少し突っ込んだルールがあってもよいのではないかと思っています。

2つ目なのですが、これは佐藤委員や小林委員が言っていただきましたが、力強い経済の回復・再生が重要なのは当然として、財政再建と比べて、どちらが先、どちらが後という問題ではないと思っているという点です。両立が大事。せっかく、財務大臣、副大臣、それから大臣政務官までいらっしゃるので、皆様へのお願いとしては、今までの委員の方も皆様おっしゃいましたが、財政再建の御旗を下ろさないという意志を、そうしたお立場の方々がはっきりと世の中に言っていただくということであると思っています。

日本国債の格付は下げてほしくないのです。定量的にはめためたになっており駄目なので、国債の格付を下げないためには、定性的に何とかします、と言ってもらうしかないのです。なので、強い意志を持って、財政再建の御旗を下ろさないということを強い言葉で掲示していただき、世の中に言っていただきたいなと思っています。格付は下げないということに対してのコミットをいただきたいということでございます。

以上です。

増田分科会長代理それでは、冨田委員、お願いします。

冨田委員ありがとうございます。皆様の財政健全化に向けた熱い気持ちというのが、ここの建議に込められておりまして、そしてまた、今日の皆様の御指摘も、健全化に向けたものであって、私から何か付け加えることもないのですが、3点申し上げたいと思います。

1点目は、今日地震があったわけですが、私は思い出したと言ったら変ですが、かつて関東大震災のときに我が国は、震災後の資金調達に大変困難を来しまして、ニューヨークで1924年の2月に、30年のドル建て国債を発行しました。その月のアメリカの金利は、30年国債は大体4%前後で動いていました。我が国は何と6.5%のクーポンをつけて、しかも92.5%というディープディスカウントで、だから金利に直せば、7%ぐらいの金利で調達することになったのです。

高い金利であるがゆえに、国辱国債とまで言われました。国を辱めるぐらい高い金利だった。このことは、これから起こる可能性がある、末澤委員も御指摘になった首都直下型の大地震とか南海トラフ地震に対する財政余力を持っておく必要があるということは、第一に指摘したいことでございます。

第2は、昨年来コロナで拡大いたしました政府債務に対しまして、諸外国においては、建議でも御紹介ありますが、諸外国では増税を含めた財源確保や、財政健全化を進める動きが見られます。その動きによって、各国の将来にわたるプライマリー収支の黒字の割引現在価値の合計が、現在の政府債務を上回り続けることはできるかどうかということを、マーケットは固唾をのんで注視しております。これは中空委員の御指摘にあった点と関係いたします。

したがって、我が国はまだプライマリー収支黒字に至っていないわけです。ですが、政府債務の残高というのは、将来にわたるプライマリー収支バランスの黒字の合計額よりもイコールか小さいということを、マーケットは求めているわけなのです。将来にわたるというところが非常に大事なのですが、人によっては、さざれ石が巌になるぐらいの長期なのかもしれませんが、あるいは、国が崩壊することになれば、非常に短い期間でそれが起こることになります。

現在のところは、我が国国債はアメリカ国債に比べて、同じ満期、ドル建てで見て、10年だったら0.25ぐらい高い状態が続いております。だから、関東大震災の頃よりはましですが、大きなスプレッドが今でも求められている。このことは、本邦企業及び本邦金融機関の国際競争力に少なからぬ影響を、ボディーブローのように与えているものであると私は思います。したがって、我が国は財政健全化の旗をしっかりと掲げ続け、内外にそれを示しておくことが必要であるということでございます。

3番目、今回の補正予算はいろいろな御意見がございました。問題点が指摘されましたが、歳出追加は36兆円です。去年は3回の補正予算で74兆2,000億円の追加があったので、半減しております。税収も土居委員から話がございましたように、上方改定されております。オミクロン株の影響も注視する必要はありますが、これまでのコロナに対します緊急の一時的な対応策を長期化したり固定化することなく、新規の施策には財源確保義務を課し、そして当初予算は歳出の目安を重視し続ければ、2025年度のプライマリー収支黒字も決して不可能ではないと思います。

財務大臣におかれましては、財政は国の信頼の礎であると建議でも記しておりますが、財政は国の信頼の礎であるという強い信念を持って、来年度予算編成の最終段階に臨んでいただきたいと存じます。

以上でございます。

増田分科会長代理ありがとうございました。

会場のほうは以上にさせていただいて、オンラインでお一方、赤井委員から挙手の合図がありましたので、赤井委員の発言をもって最後にいたしたいと思いますので、赤井委員、どうぞ御発言ください。

赤井委員すみません。先に発言しておけばよかったのですが、後になりまして申し訳ありません。

財政健全化への強い意志を持つということはもちろん一番重要ということで、もうたくさんの方に言っていただいているので、出ていない部分で2点ほど。

1つ目が、財政教育という視点も、それとともに恐らく、裏側で重要かなと思います。もちろん、大臣もいらっしゃいますが、国民の意見を取り入れていくというのが政治で、国民は生活を保障してくださいとたくさん言うわけですが、将来の負担をどう考えるのか。つまり、十分な理解のないままの意見であれば、その理解を増やしてもらう努力をするのも政治の責任、仕事であると思うのです。

財政のことをしっかり理解した上で、負担も理解した上で、どこまでサポートしてほしいのか。そうしたことができれば、また変わってくると思いますし、海外と財政に対する視点というか、対応が違うとすれば、そうした財政教育の差というものがベースにあるのかなと思います。そうしたところも、また政治のほうで頑張っていただきたいと思います。

それから、将来負担にならない政策を考えるということが、健全化のところでは、ものすごく重要で、財政教育による理解が深まれば、支出の裏には負担があるということも分かるわけなので、支出の在り方も真剣になってくるということで、ワイズスペンディングにもつながる。

また、負担があることが分かれば、どのように負担すべきか。これがまた将来の負担にしてしまうと、その議論もなくなってしまうのですが、今、できる限り負担をしながら支出もしていくということが大事。コロナのときには非常事態が生じるわけですが、これまでと同じ生活はできない、みんなで我慢しようという意識をまず持って、そのときに、個人間で、ものすごく影響を受けた人と、あまり受けていない人がいるわけですから、受けた人には手厚くサポートしますが、受けていない人には一部負担をしていただくということで、現在の負担を短期の視点で、できるだけ負担してもらいながら、短期の中で財政のバランスを取っていく。そのような視点が重要なのかなと思いました。

最後にすみません。以上です。ありがとうございます。

増田分科会長代理ありがとうございました。

それでは、ただいままで、23名の委員の方からであると思いますが、御発言いただきましたので、鈴木財務大臣からこの後、御発言、御認識を頂戴できればと思います。鈴木大臣、どうぞよろしくお願いします。

鈴木財務大臣皆様、どうも今日はありがとうございました。この秋の財審におきまして、榊原会長はじめ、皆様方に熱心な御討議をいただきましたこと、感謝を申し上げます。そして、先ほどは令和4年度の予算編成等に関わる建議を頂戴いたしました。大変重要な、中身の詰まった建議であると思いまして、私どもとして、しっかりと受け止めさせていただきたいと思っております。

その中では、今後、新たな変異株を含め、再度の感染拡大への備えをしっかり行いつつ、経済の正常化とともに、財政の正常化に取り組まなければならないこと、また先進諸外国では財源確保や財政健全化に向けた動きがあり、さらに、今後の災害や金利の上昇等のリスクを考えれば、我が国においても黒字化目標を凍結するなど方針を変更することなく、着実に歳出改革を進めるべきことといった重要な御提言があったと思います。また、主な歳出分野につきましても、いずれも対応すべき課題を御提示いただきました。

さらに、ただいま委員の皆様から様々な御意見を頂戴いたしました。今後の財政の在り方などを考える上で、どの御意見も大変貴重なものでありまして、財政を預かる立場といたしまして、大変に身の引き締まる思いがいたしました。今後の財政運営において、本日いただいた建議の内容、そして御意見を踏まえつつ、歳出歳入両面の改革にしっかりと取り組み、御意見にもありましたが、着実に財政健全化を進めるという我が国の意志を、改めて国の内外に示してまいりたいと思います。

私に対しましても幾つか御意見を賜りまして、本当にありがとうございます。その中で一つ、今、自民党で来年度の予算編成に向けての基本方針が取りまとめられまして、どうも財政健全化への決意が薄まったのではないかという感がするという御指摘があったところでございます。しかし、財務省としては、決して財政健全化の御旗は下ろさないという強い決意を持ってございます。2021年の骨太方針に書かれておりますとおり、2025年度におけるPBの黒字化というものを目指してまいります。そして、今年度中にコロナの影響でどれぐらい財政に影響が出たのか、そのことを検証して、改めて方向性を再確認するという手続をしっかりと取ってまいりたいと思っているところでございます。

岸田総理も、国の信用の礎は、その国の財政の姿にあるということをおっしゃっておられます。財政が市場での信認をしっかり受けるということが大切であると思いますので、財政健全化の道をしっかりと進めて、基本どおり、今までどおり進めてまいりたいと思っております。

そしてまた、今回の様々な補正予算についての政策についても、いろいろなお話があったところでございます。18歳以下のお子さんを持つ家庭に対する給付金のことにつきましても、昨年、特別給付金をやったわけですが、あれは明らかに家計に対する支援ということですが、ほとんど家計に対してお渡ししたものが使われずに、預貯金に回ったのではないかというお話が指摘されております。

今回はそうしたことも含めまして、家計に対する御支援と同時に、景気刺激をしっかりやっていくのであるということで、5万円を現金で、そして5万円相当分を原則クーポン券でやることによって、着実に確実にお子さんのために使っていただく。そうした2つの面があるということも、この際、申し上げさせていただきたいと思います。

それから、バラマキについてもお話がございましたが、バラマキということは、もちろんあってはならないことであると強く認識をいたしております。財政出動の額が多ければバラマキで、小さければバラマキではないとは一概には言えないと思いますが、要は、真に必要不可欠なものに予算がちゃんとついているのかどうかということで、不必要なものについては予算をつけてはならない。そうした思いを持って、しっかりと今後の予算編成にも臨んでまいりたいと思います。

そして、来年度の予算編成ですが、令和4年度の予算は岸田内閣の下で編成する最初の当初予算となりますが、これについても、本日いただきました建議をしっかりと反映した、質の高いものとしていきたいと思っております。特に、新型コロナへの対応に加え、ポストコロナの経済社会を展望した対応を十分に行うとともに、財政健全化に向けて、先ほど申し上げましたが、骨太方針2021に基づきまして、これまでの歳出改革の取組を継続して、メリハリの利いた予算を編成してまいりたいと思っております。

また、いわゆる「16か月予算」の考え方の下、令和3年度補正予算と令和4年度予算を一体的に編成いたしまして、切れ目のない万全の対応を行ってまいります。

最後になりますが、我が国の財政は足もとのコロナ対応により、一層厳しさを増しており、そしてまた、新型コロナ以前から社会保障の受益と負担のアンバランスの解消などといった構造的な課題を抱えております。このように山積する困難な課題に正面から取り組み、将来世代への責任を果たすべく、財政健全化を着実に前進させていかなければなりません。そのためにも、幅広く、また深い御知見を有する皆様方からの御指導を賜れば幸いでございます。

なお、矢野次官とは毎日会って意見交換しておりますが、ますます意気軒高で頑張っておられます。矢野さんと一緒になって、財政健全化をしっかり守ってまいりたいと思っております。

年明け以降も何とぞ、引き続きよろしくお願い申し上げまして、私のコメントとさせていただきます。

増田分科会長代理大臣、どうもありがとうございました。大変多くの意見が出ましたが、大変御丁寧に御発言を頂戴できました。ありがとうございました。

それでは、これで最後になりますが、榊原会長から、どうぞよろしくお願いします。

榊原分科会長最後、御挨拶を申し上げたいと思いますが、鈴木大臣におかれましては、今日の財政制度等審議会財政制度分科会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。

ただいま、大変力強いコメントをいただきました。特に、大臣からは、本日手交させていただいた建議の内容や、皆様から出していただいた意見を踏まえて、歳出歳入両面の改革を進める、財政健全化の強い意志を内外に示していくといった強いお言葉もいただきました。財政健全化に向けた強い決意、とくに2025年度PB黒字化の旗を下ろさないといった御決意もいただきました。本当に心強く思っているところでございます。

また、バラマキはあってはならず、真に必要不可欠なものには予算はつけるが、不必要なものに予算はつけないといった明確なお考えも示していただきました。全体として、令和4年度予算には本日の建議を反映して、質の高いものにしていきたいといった御決意、さらには、財政健全化に一層努めていくとの大変心強いコメントをいただき、本当に大臣、ありがとうございました。これからも引き続き、よろしくお願いいたします。

委員の皆様におかれましては、本日の建議の取りまとめに向けて、大変熱心な御議論をいただきまして、誠にありがとうございました。特に起草委員の先生方には大変な御努力をいただきまして、感謝申し上げたいと思います。

今回の建議の内容は、皆様もよくお分かりのとおりですが、改めて5つほど整理して申し上げたいと思います。

まず1点目は、経済・財政の正常化に取り組み、例外から脱却すること。昨年度来の新型コロナの影響で、日本の経済面あるいは財政面は、戦後最大とも言うべき例外的な状況にあるわけですが、この例外からの脱却をしなければいけない。これが第1点目かと思います。

2点目は、社会保障については、全世代型社会保障改革によって、受益と負担のアンバランスを是正すること。社会保障制度の持続可能性を高めることで、現役世代の将来不安を払拭する。そして、将来に向けて希望が持てるようにしていくべきであるということを指摘しております。

それから、本日も委員の方から御指摘がございましたが、3つの将来リスク、すなわち震災等の自然災害、コロナのような感染症、それから将来の金利上昇のリスク。こうした将来の危機に対応できる財政余力を確保していくことが不可欠であるといったこと。今日、皆様に御指摘いただきましたが、それも明示しております。

それから、大臣も今日おっしゃっていただきましたが、財政は国の信頼の礎であり、財政健全化の旗はしっかりと掲げること。特に2025年PB黒字化の旗はしっかりと掲げ続けなければならないということも、我々は明示しております。

また、令和4年度予算編成におきましては、骨太2021における目安に沿った予算編成を行うとともに、改革工程表に沿った歳出改革の取組を継続すべきといった考え方を盛り込んでいます。

また、社会保障をはじめとする各分野につきましても、密度の高い御議論を行っていただきました。令和4年度予算編成に向けた歳出改革の方向性を示すことができたのかなと思っております。

財務省におかれましては、この建議を踏まえまして、しっかりと令和4年度予算編成に反映していただくようお願い申し上げたいと思います。

改めまして、委員の皆様、起草委員の皆様にお礼申し上げ、また大臣に感謝申し上げまして、私からの最後の締めの挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

増田分科会長代理ありがとうございました。議題は以上で終了させていただきまして、建議の内容についてはこの後、会長とともに記者会見を実施いたしますので、その場で発表させていただきたいと思います。

それから、本日御手元に配付をしております建議案、厚い冊子でございますが、表紙に「会議後、要回収」と書いてあるものと、薄くなって赤字でいろいろ見え消しになってございますが、いわゆる見え消し版、こちらは表紙にそうした表示がございませんが、こちらも保秘の観点から回収をさせていただきますので、お持ち帰りにならず、机の上にお残しいただきますようお願いいたします。

そして、建議については、本日、この事務局において印刷・製本の後、明日以降、速やかに皆様方に送付を行います。よろしくお願いいたします。

それでは、本日はこれでおしまいということで、秋の財審については、以上で閉会といたします。この間、多大なる御協力を賜りまして、私どもがうるさく2分とか、大変失礼なことを申し上げましたのですが、おかげさまで建議までたどり着いたということでございます。

以上で終了といたします。大変ありがとうございました。

午後4時50分閉会