財政制度等審議会財政制度分科会
議事録
財政制度等審議会財政制度分科会議事次第
令和3年11月19日(金)16:00~17:55
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)
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1.開会
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2.議題
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とりまとめに向けた審議
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3.閉会
分科会長 |
榊原定征 |
岡本副大臣 藤原大臣政務官 高村大臣政務官 奥次長 坂本次長 阿久澤次長 八幡総務課長 大久保司計課長 藤﨑法規課長 吉田給与共済課長 大沢調査課長 渡邉主計官 三原主計官 福田主計官 坂口主計官 高田主計官 有利主計官 一松主計官 田中主計官 野村主計官 北尾主計官 渡辺主計官 山岸主計企画官 鈴木主計企画官 宮下主計企画官 |
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分科会長代理 |
増田寛也 |
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委員 |
赤井伸郎 遠藤典子 大槻奈那 佐藤主光 十河ひろ美 武田洋子 土居丈朗 中空麻奈 宮島香澄 安永竜夫 芳野友子 |
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臨時委員 |
雨宮正佳 上村敏之 宇南山卓 河村小百合 木村旬 熊谷亮丸 権丈英子 小林慶一郎 小林毅 末澤豪謙 竹中ナミ 田近栄治 伊達美和子 田中里沙 冨田俊基 冨山和彦 平野信行 広瀬道明 福田慎一 堀真奈美 神子田章博 村岡彰敏 横田響子 |
午後4時00分開会
〔増田分科会長代理〕それでは、時間になりましたので、ただいまから、財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。今日は冒頭のマスコミの入りはございません。クローズドでやりますので、進めていきたいと思います。
本日は建議の取りまとめに向けて、お手元にお配りしております案について御審議をいただきます。お配りしております案につきましては、これまで、小林毅委員、武田委員、田近委員、土居委員、冨田委員、中空委員、吉川委員に御議論をいただき、取りまとめたものでございます。起草委員の皆様方、ありがとうございます。
本日の審議に先立ちまして、まず、取りまとめのスケジュールを御説明申し上げます。お手元に建議取りまとめスケジュールというメモが配付されていると思いますので、それを御覧ください。
まず、本日これから建議の本体、概要、参考資料について御審議をいただきます。さらに、本日の会議終了後に、追加でコメントがある場合、そうした委員の方には来週の22日月曜日ですが、月曜日の18時までに事務局にメール等で御連絡、御提出をいただきたいと思います。様式は自由でございますので、メール等で御提出いただければと思います。本日の御議論、それから、そのような形で書面で御提出いただいたコメントを踏まえて、さらに起草委員において改訂版を作成して、次回の分科会の前に事務局からお送りをいたします。次回の分科会、これが取りまとめになりますが、こちらは月を変わりまして、12月3日金曜日、15時から予定をしており、取りまとめられた建議を鈴木財務大臣へお渡しをする予定となっております。委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、短い期間での御確認をお願いすることになって大変恐縮でございますが、何とぞよろしくお願いいたします。
続きまして、本日の審議の進行について御説明いたします。全体を2つに分けて、前半後半で審議したいと思います。まず、建議の御手元の案を御覧いただきますと、最初は総論、それからそれに続いて社会保障が来ていると思います。ここまでの総論と社会保障を前半として、これで50分程度、その後、残りの地方財政、それから文教・科学技術、社会資本整備、農林水産、中小企業、グリーン(エネルギー・環境)、外交、デジタル、防衛、残りの部分について60分程度、前半後半に分けて審議を進めます。
委員の皆様方から御意見をいただき、起草委員の皆様方から、それについてお答えをいただく、こうした形で進めてまいります。なお、上村委員から意見書を御提出していただいておりますので、こちらは御手元にお配りしております。お目通しください。
それでは、まず、総論、社会保障について、50分程度、審議を行ってまいります。該当ページが、この案の1ページから始まりまして51ページまでとなります。会場にいらっしゃる委員の皆様方は、いつもどおりネームプレートを立てて、それからテレビ会議システムについては、挙手するボタンで合図をしていただきまして、私のほうで指名をさせていただきます。大変恐縮ですが、毎度のお願いになりますが、御発言いただく方が多いと思いますので、2分以内で簡潔に御意見をいただければと思います。会場から先に5名程度、テレビ会議システムから5名程度、この順番でローリングして指名させていただきます。会場の方はマイクをオンにして御発言いただいて、可能であれば、マイクに近づいて、マスクを外して御発言をいただく、こうした形でお願いします。終わりましてから切っていただきますが、テレビ会議システムの方は、ミュートを解除して御発言、そしてまたミュートに戻す、こうした形でよろしくお願いいたします。
それでは、早速、御意見を頂戴していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。私から見て、一番左側、河村委員でございますが、そちらから始めまして、木村委員、平野委員、それから、十河委員ございますね、4名ですが、間になければ大槻委員まで、5名の方に順次御発言をいただきたい。
それでは、河村委員から、お願いします。
〔河村委員〕発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。今回、大変大部な充実した建議の案を取りまとめてくださった起草委員の方々に、まず、感謝を申し上げます。私からは、時間の関係がありますので、総論の部分で、4か所ほど気がついた点を指摘させていただきたいと思います。
まず、4ページの上から8行目、9行目ですが、「個人や企業の行動変化を促す」というところで、「規制・制度等の改革」と書いてありますが、財政制度分科会のミッションをもしかしたら外れてしまうかもしれませんが、行動変化を促す上では、やはり税制も非常に重要ではないかという感じがいたしますので、もし可能であれば、そこに含めて、税制度という形で入れていただくことが可能であればと思います。
次に、6ページです。ここは、前のページから拝見すると、第2章の「(1)直面する3つの課題」ということで、前のページに「①社会保障の受益(給付)と負担のアンバランス」、2番目が「短期国債の大幅な発行増」と来て、3に「諸外国の財政への取組」ときますので、(1)の中にぶら下げる③は少し何か位置づけがどうかという感じがしますので、この諸外国の財政の取組を、ぜひ(1)の外に出していただきたいのですが、例えば(2)のような形で位置づける、とかです。もしくは、諸外国が直面する課題にどう取り組んでいるのかが分かるように、(1)のタイトルを、直面する3つの課題への何か、「国内外の対応」とする手もなくはないかと思いますが、私はやはり、(1)は我が国日本が直面している課題ということで出しておいて、①、②と出しておいたほうが良い気がしますし、③は位置づけを変えていただいても良いのではないかという感じがいたします。
同じところで、18、19行目ですが、アメリカの話、こうして何かやるときには歳出計画に対して必要な財源をと、ぜひ、やはりこうして書いていただくことが大事であると思います。そこで併せて、可能であれば入れていただきたいと思いますのが、国債の使い方です。日本ですと、何か財源の1つが国債ですという言われ方を、割と安易にしてしまうようなところがあって、国債は財源ではないでしょうというか、財源は誰かが負担する計画をきちんと立ててということであると思います。それが、単年度の税収ではもちろん足りませんから、例えば10年がかりでというような感じで、どれだけ確保できてという、そうしたときに使うのが国債ではないかということで、アメリカの場合、こうしたところが、例えば大統領候補が大統領選挙で、例えばバイデンさんが御自分の案をおっしゃるときとかもそうですし、今いろいろ民主党とかが検討していると思いますが、やはりきちんと財源、新しい税制改革の提案があると、はじきますよね。10年で幾ら税収が入るとかということをはじいて、その間も資金をつなぐために国債を出すということを明確にやっていると思いますので、そうした国債の使い方というのを可能であれば、ここに入れていただけないかと。ですから、あくまで一案ですが、19行目の最後のところを、「同時に検討され、」という感じで、点にして、例えば「10年間にわたる税制改革等による増収分といった形で、財源を手当てした上で、国債の発行が活用されている」と、アメリカなどをこうした形で、もし可能であれば、紹介していただければと思います。
それから、最後に9ページです。こうして①、②、③と、具体的にリスクを結構踏み込んで書いてくださって、国民にきちんと、しかるべき危機感を持っていただいたほうが良いと思いますし、大変良い書きぶりで、本当にありがたいと思います。
9ページの7行目ですが、「平時においてはプライマリーバランスの黒字化を達成しておき」とあるのですが、本当に危機に対応できるというのがプライマリーバランスの黒字化で十分なものかどうか、私は、そこは足りないのではないか。ただ、この国が、それが全然達成できていないので、あまり高い見通し、目標を最初に掲げてもという、きっと御配慮があったのだろうとは思うのですが、やはり危機対応ということで書くのであれば、プライマリーバランスの黒字化だけではなくて、ですから7行目のところ、「PBの黒字化を達成しておくことはもちろん、財政収支の均衡まで視野に入れて」とかいう感じで入れて、「危機に対応できる財政面での余力を確保しておくことが不可欠ではないか」というような書きぶりにしたほうが良いと思います。
これと併せて、資料Ⅰ-3-5でも、すごく分かりやすく、PBの赤字とPBの黒字がどういう状況かを出してくださっているのですが、これで見ると、PBが黒字になれば、これでもう目標達成かという感じの印象も取られてしまわなくもないので、ここを、どうなのでしょうか、やはり財政収支均衡まで持っていって、本当は、この国はこれだけ借金があるのだから、財政収支の黒字まで持っていって、借金を返さなければいけないと思うのですが、その絵柄を入れることはできないか、可能でしたら御検討いただければありがたいです。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、木村委員、どうぞお願いします。
〔木村委員〕起草委員の先生方、大部をまとめていただいて、どうもありがとうございました。ここに書かれていることの方向性は、おおむね私も賛成いたします。特に、総論ですが、1ページにある「ポストコロナの世界において我が国が持続的に成長できるよう、コロナ禍で炙り出された多くの課題から目を逸らすことなく、改革に取り組むこと」は、すごく重要な指摘であると思います。
その上で、御検討いただければと、幾つかコメントしたいのですが、まず、1ページにある「戦後最大の例外」という表現、これはキーワードとして言い続けられていて、言わんとしていることは分かるのですが、日本語として分かりにくいのではないか。要は、戦後最大という客観的な状況と、例外的な対応だから続けられないという主観的な判断を1つの言葉でくくることが少し分かりにくくしている要素ではないか。「戦後最大」と「例外的な対応を講じた」ということを分けて表現したほうが、意味としては伝わるのではないかという気がします。キーワードなので、なかなかいじりにくいでしょうが、御検討いただければということです。
それから、本文で、いわゆる財政と経済活動の正常化という表現が繰り返し出てくることが気になりました。正常化は私も重要であると思いますが、あまり何度も出してくると、少し強調し過ぎではないか。要は、これまで仕方なく財政出動をしてきたと受け取られると、かえって無用の反発を招くような気がして、これも御検討いただければと思います。
また、細かい表現ですが、3ページの5行目にある、「コロナによって深刻な影響を受けて困難な状況にある個人・企業を手助けする必要はあるが」とあるのですが、まだ苦しんでいる個人も企業も大分多いと思います、感染状況は落ち着いていますが。あくまで表現の仕方ですが、「個人や企業を支える必要があることは言うまでもない」とかにして、何か付け足しのような表現は御配慮いただけないかという気がします。
それから、4ページ、冒頭の1行目から2行目にある「経済活動の制限を穴埋めするための財政支出から軸足を移し」という、方向性自体は私もよく分かるのですが、「穴埋め」という表現は、経済活動の制限で、実際に閉店とかを余儀なくされた方からすると、我々穴ですかみたいに受け取る人がいないでもないかという気がして、「経済活動の制限で失われた収入を補う」というような、財政支出を適切に行った上で軸足を移すというような表現を考えていただければと思います。
それから最後、2ページの9行目あたり、「昨年来の新型コロナへの対応の経験を今後の対応に活かすこと」ということは、我が国政府がなかなか検証してくれないので、そうした意味で、過去の政策、そうしたことは非常に大事であると思うのですが、これはなかなか難しいかもしれませんが、今回会計検査院で無駄が指摘されたということも何か盛り込めればよいのかと思って、検査院の指摘は毎年あるのですが、コロナ対策では初めてなので、こうした問題を繰り返さないように苦い教訓として、何らかの形で、脚注でも結構ですが、盛り込むことは可能かどうかを御検討いただければと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、平野委員、お願いします。
〔平野委員〕ありがとうございます。コロナ禍に続いて、衆議院の総選挙があったということで、ややもすれば財政規律を蔑ろにしたような政策が目立つ中で、今回の財審の建議のトーンは、「一方で、コロナ禍によって明らかになった課題に迅速・適切に対処する、そして経済の再興を促すとともに、これからも発生するであろう大きなリスクに対する耐性、レジリエンスを確保しておくという観点から、改めて財政健全化の重要性を明確にする」ものであるべきと思います。
今日お示しいただいた建議は、まさにそうした観点に立って書いていただいた大変な力作であると思いますし、明確かつこれまで以上に突っ込んだ書きぶりが幾つかあり、評価したいと思っております。
その上で、まず総論について大きく2つです。
大きな1つ目は、1ページから4ページ目に「「例外」からの脱却」の項目で書かれている基本的な考え方に関してですが、ここに書いてあることは、これで良いと思うのですが、2つ織り込んでいただきたいことがあります。
まず1つは、ポストコロナを見据えた経済運営です。正常化もさることながら、今後の経済成長をいかにリードするかという視点が大事でありまして、3ページから4ページに関連する記載はあるのですが、言うべきことは、やはりポストコロナの時代に向けてGX、DXを梃子に社会や産業構造の転換を進めて、日本経済を再興することが必要で、これがもしうまくいかなければ、ただでさえ周回遅れと言われている日本の更なる国際的な地位の低下を免れないという認識を、より明確に示していただければということです。
2つ目ですが、ワイズスペンディングです。今回のコロナ禍で我々が改めて思い知ったのは、ワイズスペンディングの重要性でありまして、ポストコロナの財政運営のど真ん中に据えるべきものです。ところが、今回の建議では、意外なことに「ワイズスペンディング」という言葉が全く使われていない。なぜかということも、後ほど伺いたいのですが、例えば2ページの「昨年来の経験に基づく対応」の段落であるとか、12ページの14行目、15行目など、関連する部分に、やはり「ワイズスペンディング」という言葉を大きく書いていただきたいと思います。
大きな2点目です。6ページの③、先ほど言及ありましたが、諸外国の財政制度の事例に踏み込むのは、実は、調べてみたら2016年の秋以来5年ぶりのことだそうです。これは、私は大変良いアプローチであると思うのですが、河村さんからも御指摘があったとおり、単に事例を紹介するだけではなく、例えば、「日本における制度的課題」というタイトルに変えて、我が国でも制度的な対応が必要であるという旨を明示すべきではないでしょうか。これまでも、この席上でも申し上げてきましたが、ワイズスペンディングであるとか、財政規律を担保する制度的な機能や仕組みということで盛り込んでいただければと思います。
それから、大きな2点目ですが、ワイズスペンディングと財政規律です。そのうちの1つは、中長期的な財政計画を策定し、それを使って上限を設定し、当初予算、補正予算全体を含む中長期財政計画に財政規律を働かせる機能を持たせるということです。
2つ目が、財政における監視、効果検証機能の必要性です。4ページ、12ページで検証の必要性に触れていただいておりますし、非常に重要です。会計検査院による検査も今回随分話題になりました。ただ、予算執行状況の検証はあっても、政策効果の検証まではなかなか及びにくいことも考えれば、この面でも何らかの制度的な対応が必要ではないかと考えております。
最後に、今回の建議ではペイアズユーゴーの原則が各論の96ページだけに記載されておりまして、前回春の建議と同様に、できれば総論に書き込むべきではないかと考えます。
また、社会保障ですが、今回の建議で大変画期的であると思ったのは、高齢化による増加部分をそのまま認めるのではなくて、その精緻化・適正化が必要であることに初めて言及したということです。くわえて、医療機関の再編・統合、かかりつけ医の制度化といった目指すべき姿を明確に示しました。これも高く評価します。
ただ、2点申し上げますと、まず、1点目、改革の方向は良いのですが、では、実効性をどう上げるべきかということです。これを担保するための方策に言及できないか。医療機関の再編・統合に関しては、診療報酬の改定に絡めて、今回、議論をしておられますが、もちろんこれは良いことであるとは思いますが、経済的な手法だけで誘導できなかった場合に、規制的な手法に踏み込む必要があると私は思いますし、これはかかりつけ医の機能も同様でありまして、法制化へ向けて具体的な取組、これは海外のケースなども検討することを求めてはどうかと思うのが1点。
それから、2点目、社会保障の給付と負担のバランスの書きぶりです。総論、5ページの「直面する3つの課題」に、「社会保障の受益(給付)と負担のアンバランス」が挙げられている一方で、社会保障のパートに入りますと、国民の負担増に対する言及は極端に少ないです。もちろん、先ほどから木村さんもおっしゃっているように、コロナ禍にある中で、負担増の議論は適切ではないというお考えをお持ちの方もあろうかとは思いますが、少なくとも春の建議では、消費増税に関しては最終的に、「なお受益と負担の乖離は大きく残っており、いまだ道半ばの状況」などと明記していただいていたわけなので、今回もこのトーンは弱めたくないと考えております。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、十河委員、どうぞ。
〔十河委員〕まず、起草委員の先生方、このたびも大変な量をまとめてくださいまして、ありがとうございました。個人的にも非常に勉強になりました。
そして、私からは総論につきまして、幾つか申し上げたいと思います。
まず、今回、総論、1番の「「例外」からの脱却」という、いわゆるキャッチの部分がございまして、これは非常に、私、個人的には引きのある言葉から始まっていると思いました。引きがあるということは、やはりその後を読みたくなるということになりますので、こうした表現に始まるのはよろしいと思いました。
そして中身につきましても、これまでの総論と比べまして、これは私の個人の感想ですが、非常に読みたくなる、引き込まれる、そうした話の展開になっているのではないかと感じておりまして、特にこうした時期に出すということで、より広く一般の方にも読んでいただけるのではないかと期待しております。
内容につきましては、私も、ほかの先生方と同じように、基本的にはこちらに賛成しておりまして、私の仕事柄、やはり申し上げたいのが、表現の重複という部分と、例えば、8ページにございます「こうした状況を受けて」の後にまた「こうした中で」といった、本当にささいなことではございますが、できるだけそうした重複は避けて、文章をまとめていただけたらと思いまして、気になった点は後ほどメールでお送りさせていただけたらと思います。
それから、ほかの先生方もおっしゃっておりましたように、今回本当に待ったなしの状況ですので、非常に引き込まれる内容でありながら、語気をもう少し強める部分があってもよいのではないかと思いました。例えば「必要がある」というところです。何か所かございますので、これも後ほどメールで送らせていただこうと思うのですが、例えば7ページ目の11行目に、「財政上の対応余力を持っておく必要あり」ということがあるのですが、その後にもまた「必要がある」と、やはりここも重複しているのですが、この辺りは本当に「必要がある」というのを超えて「取り組んでいかなければいけないのだ」という、かなり真剣にといいますか、強めて訴えていったほうがよろしいのではないか、そうした箇所がやはり何か所かございましたので、こちらも追って御報告というか、御提案させていただけたらと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、大槻委員、お願いします。
〔大槻委員〕ありがとうございます。起草委員の方々、すごく充実した内容で、勉強になりました。
幾つかあるのですが、まず、1点目は、先ほど平野委員もおっしゃいましたが、デジタルです。国を挙げてデジタルに取り組むと言っているにしては、総論でその色合いが非常に薄くて、唯一出てくるのが正常化の中の①の過去の経験のところです。これをもっと全体のほうに落とすということで、例えばですが、2ページ目の19行目以下22行目までの1段落を、最初の1文だけカットして、遅れが目立つというのをカットした上で、4ページ目の10行目の後ろに持ってくると、恐らくデジタルが全体にかかって、それが重要であるということが出るので、若干修文も必要かもしれません、というのが1点目でございます。
次に、3ページ目ですが、「3点の視点」のはずが④というのが出てきます。ここは本文のほうで③までで止めて、改めて「財政の正常化」ということで書かれたほうが、恐らくよいかと思いました。
それから7ページ目ですが、リスクを3つ挙げていただいています。河村委員からも適切な危機の醸成ということを挙げていただきましたが、私も、それであれば、より身近な順に挙げたほうが実感が湧きやすいのかとも思い、②が1番目、①が2番目という形のほうが、感覚に合うのかと思いました。
それから、先ほど十河委員から重複の話が出てきましたが、重複と言ってよいのかどうか微妙ですが、「なんちゃって急性期病床」というのが4回ほど出てきて、刺激的な言葉であるだけに、もう少し和らげてもよいのかと思いました。
最後に51ページ目の雇用保険のところですが、非正規雇用のところに触れていただいています。非正規雇用は、ここでも触れていただいている問題意識のとおり、これから増加するという重要な深刻な問題があるわけです。それは職を失うというレベルではなくて、長期的なスキル構築に格差が生じる懸念があるということであると思います。であれば、28行目に、例えばですが、「多様で柔軟な働き方や能力の拡充が図れるよう、今後、適用拡大を含め」という形のほうが、より広く捉えられるのではないかと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、ここからはオンライン参加の方に移ります。次の5名の方に順次御発言いただきます。伊達委員、権丈委員、小林慶一郎委員、宇南山委員、神子田委員、この順に御発言いただきます。
初めに、伊達委員、どうぞお願いします。
〔伊達委員〕ありがとうございます。起草委員の方、いろいろとお疲れさまです。
まず、1ページ目ですが、少し細かいことになりますが、(1)のタイトルですが、「新型コロナに対する緊急的対応」から「正常化へ」というところまで書いたほうが、この文章全体を言い表しているのではないかと考えます。
それから2ページ目です。3つの視点のところで、ほかの委員の方とも重なるのですが、④については少し気になりました。また、デジタル化のところが、毎回独立せずに表現されることが多いので、独立したパラグラフにしたほうが際立って良いのではないかと考えます。特に、構造的な課題を解決していくためには、これからデジタル化による生産性であるとか、リアルタイムで物を把握してエビデンスの分析ができるとかという意味で、絶対的な要件になってくると思いますし、また、デジタルインフラを整えるということは先行投資であって、これは最優先課題なのであるということを強く伝えたほうが良いのではないかと思います。
表現場所は、正常化の中の3つの視点にプラスアルファで記載するか、そもそも課題解決の中でやるべきこととして整理した上で、独立して記載したほうが良いか検討が必要です。くわえて、そのためのロードマップを示すべきであるということを入れられないかと考えました。
次に12ページ目です。令和4年度が、予算編成は非常に重要であるということが記載されているのですが、その中の14、15行ですが、そのためには選択と集中、既存予算のスクラップもしなければいけない、メリハリが必要であるということを強く主張しています。これはとても重要であると思います。そうした意味では、この部分も、もう少し際立つような言い方ができないかと考えます。
また、タイトルとしては「予算編成の課題」で終わっていますので、課題の場合は課題をつらつら並べたほうが分かりやすいかと。それに対する解決策の方針を伝えたいのであれば、タイトルにもそのように記載しつつ、文章構成も課題から解決の方向性というふうに構成し直すと、より伝わるのではないかと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、権丈委員、どうぞお願いします。
〔権丈委員〕取りまとめ、ありがとうございました。
社会保障では、医療提供体制の改革に関する重要な点がしっかりと含まれているすばらしい建議案になっていると思います。この中に何度か「医療の質の向上」とありますように、日本の医療は、提供体制の改革によって、医療の質が高まる余地が十二分にあるために、改革の必要性が長年言われてきたところです。新型コロナウイルス感染症を経験して、大きな変革期にある今、ここに書かれている提案を進めてもらいたいと思います。
2点、コメントさせていただきます。
以前もお話しし、36ページにありますように、この国ではフリーアクセスの意味が既に保険証1枚で「いつでも、好きなところで」から「必要な時に必要な医療にアクセスできる」へと、2013年に転換が図られています。大病院における紹介状なしの患者の定額負担は、必要なときに必要な医療にアクセスできるという解釈とは整合的です。この定額負担は38ページ脚注42にある医療給付7割という規定に法制上抵触しないことはそのとおりでして、加えて申し上げたいのは、医療給付7割規定は、いつでも好きなところでと解釈されていた2002年の頃の規定です。かかりつけ医からの紹介状があれば、大病院で定額負担は必要なく、3割負担で必要な医療にアクセスできるわけですから、給付率と定額負担を論じる際にも、フリーアクセスの意味が2002年のときとは違うという点も意識しておいていただきたいと思います。
そのかかりつけ医については、34ページに「日本医師会・四病院団体協議会合同提言で示されているようなかかりつけ医機能」という言葉があります。この「機能」という言葉はとても重要です。これまでも財審で繰り返し紹介されてきたように、かかりつけ医機能は、地域の医師や医療機関と協力して、休日や夜間も対応し、在宅医療を推進する機能のことになります。こうしたかかりつけ医機能を持つ医師は、先日の草場先生のお話にもありましたように、今はそれほどいません。建議案では、かかりつけ医の制度化が言われており、一貫してかかりつけ医機能を持つかかりつけ医のことを論じておりますので、治し支える地域完結型医療、地域包括ケアを整備するためにも、地域の医師とチームを組んで、24時間対応、在宅医療を推進するかかりつけ医機能の整備が進むように、制度的普及策を講じてもらいたいと思います。また、それに適した診療報酬の支払い、それは包括払いとなるかと思いますが、そうした制度を日本の医療に、部分的にでも組み込んでいく良いタイミングかと思われます。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、小林慶一郎委員、お願いいたします。
〔小林(慶)委員〕小林です。それでは、発言します。
大変すばらしい建議をつくっていただきまして、起草委員の先生方、どうもありがとうございます。全面的に、方向性としては、私は賛成いたします。その中で細かいことについて、総論で3つほど、それから社会保障について2つほど、小さなコメントをしたいと思います。
1つは、2ページの1行目です。「今後は昨年来の対応を前例とすることなく、まずは、経済、財政の「正常化」を図る」と書かれております。このときに、現状認識として、コロナの危機が終わったのであれば、こうした書き方で良いと思うのですが、我々の認識としては、恐らく第6波が来るのかとか、あるいは来年は、また感染が広がるのではないかという、若干の不確実性があると思いますので、そうした危機が再度、今年の終わり、または、来年やってくる可能性も分かっているということを表現すべきではないかと思います。
そこで、今の文書を、「今後は昨年来の対応を前例とすることなく、まずは、コロナ禍の推移を見極めつつ」というような言葉を入れて、「コロナ禍の推移を見極めつつ、経済、財政の「正常化」を図る」というような言い方にするほうが、現状認識の書き方としてはよろしいのではないか。これが1点目。
2つ目は10ページの7行目です。これは、ある種の宣言文といいますか、財政再建をやっていくのであるという宣言として、「新型コロナにより困難な状況に陥っている企業や家計に対する当面の必要な支援と、財政健全化目標は両立可能である」と書いてあるのですが、恐らく、これを読むと、もう一言、理由の説明が欲しいという印象です。思いがあふれているというか、思いが書かれているのですが、こうした理由で両立可能であるという理屈が少し足りないような気がします。例えば、「長期的に両立可能である」とか、何か留保というか限定をつけるか、あるいは理由をもう少し詳しく書かれると良いのではないかと思います。これが2点目。
3点目、11ページの4行目に「資料Ⅰ-3-2参照」と書いてありまして、資料を見ますと、これはギリシャの債務危機の例が書かれています。さっきの11ページの4行目に至る文章は、自国通貨建ての政府の借金でデフォルトすることはないという議論に対する反論として、この文章が書かれています。ギリシャの債務危機は、ユーロ建ての債務危機ですので、これを自国通貨建ての借金でデフォルトが起きた例と解釈してよいのかどうか、私はよく分からない気がします。ですので、資料Ⅰ-3-2は消去してもよいのではないかと思います。実例として、ほかのもっと良い例があれば、それを書ければよいのですが、ギリシャがふさわしい例なのかどうかは少し気になったということです。
次に、社会保障について短く2つコメントしたいと思います。社会保障、30ページの5行目、先ほど権丈先生の議論にありましたが、医療の質を高めるために、やはり制度改革が必要であるということですが、コロナ禍で人々が感じたのは医療の質だけではなくて、量が足りないということであると思います。そこまで言えるか分かりませんが、医療制度改革をして医療の質を高めることによって、結果的に、コロナで必要とされている医療の分量、量も増えるということを書けないか。要するに、30ページ5行目に「医療の質にも弊害を及ぼし得る」と書いてあるところを、「医療の質と量にも弊害を及ぼし得る」と書き換えることはできないかということです。
それから最後、すみません、長くなりますが、33ページ2行目に大変面白いキーワードが書かれておりまして、「「インプット重視」・「量重視」の医療機関本位のいわば「縦突進」」という言葉があります。「縦突進」という言葉は、私は今まで聞いたことがなかったのですが、大変面白いキーワードであると思いますが、もう少し説明の言葉があったほうが良いかと思いますので、もう一言加えていただければと思います。例えば、「「インプット重視」・「量重視」で、個別の医療機関が出来高を積み上げることに猪突猛進するような、今は「縦突進」」と書くとか、何かそうした、すみません、後でメールで修文案を送りますが、そのような何か「縦突進」というキーワードの説明がもう少し詳しくあると良いのではないかと思いました。
長くなりました。以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、宇南山委員、お願いします。
〔宇南山委員〕宇南山です。建議案をありがとうございました。私からは最初の「「例外」からの脱却」の部分、1ページから3ページあたりまでですが、小林先生とかぶる部分と少しずれる、対立する部分があるのですが、現状認識が非常に大切であるという点では全く小林先生と一緒で、ただ、今危機的なのか、文章で「戦後最大の例外」であるとか「戦後最大の落ち込み」という、危機的な状況を描写した表現と、その次の段落、12行目からの段落では、「経済の落ち込みが相対的に小さく、失業率も最低水準を維持している」という、意外と大したことがなかったという表現が両立していまして、一体これは危機的なのか、影響が小さかったのかという、現状認識がはっきり出ていないように思います。
私の理解では、やはり昨年の4月から6月の落ち込みはすごく大きくて、そこではある種のパニック状態にあったので、様々な例外的な措置が必要だったが、その後の推移を見てみると、様々な統計で、資料Ⅰ-1-1~3と出ていますが、様々な統計を見る限り、実はそれほど大きくなかったということは、もっと強調されるべきではないかと思います。
その上で、それほど大きくなかったことが分かったのだから、正常化に向かうべきであるという筋論をもう少し書かれたほうが、まだ危機は続いているのではないかという意識があると、正常化に取り組むということが時期尚早のような感じがしてしまうので、非常に時期的にも例外的、産業としても、一部のところに集中していたが、全体としては危機的ではないということを、もう少し書かれるほうが良いのではないか。
もう一点、2ページ目の最後、30行目で、経済活動を「点火」しなければいけないというところで、これまでの様々な自粛要請、特別定額給付金をはじめとした経済対策により、可処分所得の増加と消費の減少があって、現預金の残高が大きく増加している。ここの表現が、今言った点で見ると曖昧で、実は指摘されている国民経済計算を見ると、雇用者報酬はそれほど落ちていなかったし、年金などは増えていたから、特別定額給付金などがあって、むしろ可処分所得が増加しているという、影響は小さいのに過大な政策をしたと、そこまでは言わないかもしれませんが、合計として可処分所得が増えているという部分をもっと分けて書くべきですし、自粛要請と消費の減少が対応しているというのも少し見にくいので、対応をもう少し明確にすべきであると。
最後は技術的な点ですが、「現預金残高が大きく増加している」というところで、注1の国民経済計算が出ているのですが、現預金が増加しているということは国民経済計算には出ていない情報で、恐らく日本銀行の資金循環統計であると思いますので、どの部分がどの統計で示されているのかは、きちんと対応づけたほうが良いのではないか。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、神子田委員、お願いします。
〔神子田委員〕今回の建議ですが、今の膨大な財政支出はあくまでも例外的なのであるということで、それを元に戻しましょうということが非常によく分かるメッセージだったと思います。先生方、ありがとうございました。
私、1つ違和感があるのは、「正常化」という言葉ですが、コロナで膨大な支出をする前から、もう既に財政は危機的な状況にありましたので、何かこれをコロナ前に戻せば正常になるという誤ったイメージを与えてしまわないかと思いまして、「正常化」という言葉は、何とかならないものかと思いました。書くとしても、コロナが始まる前に既に異常な状態であったとか、危機的な状況であったと強調した上で、言葉を使ったほうが、何かコロナ前に戻せば全部解決のような誤ったイメージを与えるのでよくないかと1つ思いました。
もう一つは、書いてないところですが、今回の秋の財審を通じ、例えば海外への援助などのお金で、実際に執行されてないお金とか、あるいは去年の対策でも年度中に消化できなくて、次の年度にわたってとか、何かお金が、予算をつけても、実際に回らないで空回りしている、そうした事例を何度も聞いたと思いましたので、そうしたワイズスペンディングの在り方に、使わないところに予算を出さないとか、使えないところ、使い切れないところに出さないとか、当たり前の話ですが、結構横行しているように見えるので、そうした視点も建議の中に入れていただけたらと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、こちらの会場に戻りますが、全体の進行がやや遅いので、もう少し手短に御発言をまとめていただけると幸いでございます。
それでは、雨宮委員から、どうぞお願いいたします。総論と社会保障のところで、お願いします。
〔雨宮委員〕手短に。全体として論点が適切にまとめられていると思いますし、コロナ禍でリスク対応、危機対応ということが問題になっておりますので、リスクということについて整理されたのも適切であると思います。
私ども日銀の立場から、リスクの中で、8ページですが、金利上昇リスクに触れられていますので、2つ述べさせていただきますと、1つは、金利上昇という場合には、経済のファンダメンタルズに沿って上昇するケースと、もう一つは、ファンダメンタルズから乖離して、例えば財政の信認が失われるとか、何らかのショックで上昇するケースがあるわけでありまして、そこを一応区別して議論する必要があると思います。そうしないと、日本銀行の低金利政策を前提とせずに財政健全化すべきであるという「骨太」のメッセージが曖昧になるリスクがあると思いますので、ここは分けて議論するべきではないかと思います。
それから、8ページの下に、日本銀行の財務と通貨の信認に関する記述がございますが、ここは相当いろいろな議論があるところでありまして、確かにこうした懸念があるということは我々も認識しておりますが、我々は中央銀行の財務が一時的に悪化したとしても、金融政策や金融システム安定のための政策遂行能力が損なわれることはないと考えておりまして、これは海外の中央銀行も共通の理解であると思います。これらの点については、様々な議論がありますので、今回取りまとめる予算編成に向けた建議の中では、通貨の信認を日本銀行の財務、中央銀行の財務と関係させて論じることは、必要ではないし、適当ではないのではないかと思います。むしろ、9ページに書いてあるような、これは当審議会でずっと議論していることですが、低金利政策を前提とせずに、財政再建に向けた適切な政策運営をすべきであるという骨太なメッセージがもっと生きるような記述が適当ではないかと考えます。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、安永委員、どうぞお願いします。
〔安永委員〕ありがとうございます。幾つかあるのですが、まず、1ページ目の16行目のあたり、先ほどもほかの委員から御指摘ありましたが、「経済の落ち込みが相対的に小さく、失業率も最低水準を維持している」というところですが、グローバルに仕事をやっている私どもから見ると、この景況感にすごく違和感がありまして、現実的にはアメリカや中国、それから欧州内では、経済の活動を相当再開させて、それが結局、ここには触れていませんが、データの中にあるのは、日本だけが制限措置を物すごく高く設定している。これは安全に対する考え方の違いもありますが、経済再開とのバランスという意味では、明らかに正常化に向かうにはまだまだハードルが高過ぎるというのが実感です。
もう一つは、コロナの前から20年にわたって、実際、低成長だったこの国が、本当にこの後「正常化」ぐらいでよいのか。やはり、成長と分配という新しい資本主義の中で、まず成長をさせるのだという意気込みを、もう少しこの前段に書いていただく必要があるのではないかと思っています。
その中で、民間企業に「アニマル・スピリット」をもっと発揮せいというのがあって、それは正しいと思うのですが、そのためには本当に大胆な規制緩和、あるいは制度改革といったものをパッケージにしないと、コロナ前に戻っただけで投資が増えるかといったら、そうはなりません。やはりGX、DXを通じたトランスフォーメーションをしっかり後押しするような制度改革、構造改革のためのいろいろな政策が必要に思いますし、それから制限措置とのバランスをしっかり取っていただくことは必要であると思っています。
2点目は社会保障の部分ですが、すみません、少し飛びますが、50ページで、社会保険制度への公費投入の理由が記載されていて、私どもは、やはり、雇用保険について、国庫負担は今回例外的であると説明されているのですが、元をたどれば、これは国と雇用主と雇用者が、それぞれ応分に負担するということが原則ですし、先ほど申し上げました大胆な構造改革をやろうと思えば、人員の雇用の流動化、労働力の流動化はマストであると思っています。そうすると、この辺りの雇用保険の制度というものを、まるで平時と非常時で異なるように書かれるのは違和感があります。
最後にもう1点だけ、医療機関の経営実態について、見える化を急ぐべきということを24ページの10以降に書いていただいているのですが、やはり大事なのは、この機会に医療法人の経営実態をはっきりさせて、それをさらに診療報酬や、補助金も含めた様々な医療制度の改革に生かす、これを迅速にやることが必要であると思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、末澤委員、お願いします。
〔末澤委員〕どうも、起草委員の皆様、大部の取りまとめ、御苦労さまでした。
私から3点申し上げます。まず、一番初めに、今回、読んで一番気になったのが総論の「1.「例外」からの脱却」という、この文言です。これは、ある面、先ほどどなたかがおっしゃいましたが、読者を引き込むキャッチーな表現であると思うのですが、恐らくこの趣旨は、私が思いますには、今は例外だが、例外から正常化の動きを、どこかでスタートさせないといけない、こうした意味で使われていると思うのですが、それであれば、「例外」からの脱却をどこかで受けて、まとめる文言が必要ではないかということで、私が思いますのは、最後の11ページに、新型コロナのパンデミックは1918年のスペイン風邪以来100年ぶりのパンデミックとされる、まさに例外的な状況にある。ただし、今回のパンデミックもいずれは収束すると見込まれ、ここの「しゅうそく」は「収まる束」です。「終わる息」は恐らく発生しないと思うので、例外はあくまで例外であり社会、経済活動の正常化とともに、財政運営の正常化への道筋を明確に示す必要があると。こうした表現でなくてもよいです。どこかで受ける言葉がないと、例外だけという、割と希有な言葉だけでは、少し分かりにくいのではないかというのが1つです。
また、少し細かいところですが、7ページ目の「自然災害リスク」のところですが、ここで阪神淡路大震災、東日本大震災のことが触れられているのですが、今世界的に問題になっているのはCOP26に代表されるように気候変動、地球温暖化の問題でございまして、ここで私の修文でございますが、22行目から、「また、近年は地球温暖化などに伴い、世界的に異常気象が頻発、自然災害も増加している。我が国では、平成30年(2018年)のいわゆる「西日本豪雨」や平成31年(2019年)の「令和元年房総半島台風(台風15号)」や「令和元年東日本台風(台風19号)」など豪雨・台風をはじめとする水害も激甚化しており」云々と。これなぜかというと、命名台風が今回2019年に発生したのですが、命名台風が出たのは42年ぶりでございまして、2個発生したのは、伊勢湾台風、宮古島台風の1959年以来60年ぶりです。ですから、これは相当大きな災害だった。そこを入れたほうが良いのではないか。
もう一つ、8ページですが、これは一番初めの修文と少しつながってくる話ですが、ここではスペイン風邪以来のパンデミックの話が出ています。「MERSといった感染症も記憶に新しい」、ここからですが、「なお、WHO(世界保健機関)は、今回の新型コロナを含め、国際的な公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)を2009年以降、計6回、宣言している。財政余力があればこそ、パンデミックなど公衆衛生上の緊急事態に対応できることは、論を俟たない」ということで、実はこれが公式です。パンデミックはあくまで非公式です、今回の新型コロナに関しては。WHOは基本的にパンデミックという表現は、新型インフルエンザにしか今、制度的には使わない形になっているので、こちらが公式ですので、このようなことも入れておいたほうが良いのではないかということでございます。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、熊谷委員、どうぞお願いします。
〔熊谷委員〕ありがとうございます。全体としては、非常にすばらしい内容であると思っておりまして、内容的には大筋において全く異論はございません。
その上で、大きく申し上げると、私は2つぐらい気になった点がございます。まず、1点目としては、先ほど小林委員からも御指摘がございましたが、正常化ということが全面に出ており、コロナの再拡大に対する認識があまりに楽観的過ぎるのではないでしょうか。この建議が出るのは12月3日ですから、まだ2週間あるわけですし、それから2週間後に読む人は1か月後に読むわけですから、もう少しトーンについては、感染症が再拡大するリスクも両にらみで考えているということを、バランスよく表現する必要があるのではないかと考えます。
2点目としては、先ほど平野委員が御指摘になったポイントですが、ポストコロナの産業構造の転換、特にグリーンとデジタルが中心になると思いますが、総論の部分でこの辺りのプロアクティブな視点が少し希薄なのではないかと感じました。
論旨に関わる主要なポイントは以下の2点ですが、それ以外に、個別に、本当に細かい点は除くとして、大きく気になった点だけ申し上げていくと、まず3ページ目です。一番上のパラグラフで、今、K字型ということが言われていますから、K字型とも言われる様相を呈しているというか、そうした表記が少し入ったほうが分かりやすいのではないかと思いました。
それから、このページの12行目で、「社会保障改革」の前に「全世代型」を入れたほうが良いのではないでしょうか。
また、20行目で、「少子化の問題は」の後に「より一層深刻となった」とした方が良いと思います。
そして、先ほど来、大槻委員なども御指摘なさっていますが、25行目の④は、①から③と並列ではありませんので、そこの構成は考えていただいたほうがよろしいかと存じます。
それから、5ページで「直面する3つの課題」ということですが、例えばこれは、課題であれば「アンバランスを是正すること」が課題であって、恐らくここで書いているのは、抱えている問題点ではないかと思いますので、これらの表記は少し変えていただいたほうが良いかと思いました。
また、平野委員と河村委員から御指摘がございましたが、次のページの③は、例えば不十分な財政規律ですとか、財政規律の欠如であるとか、もしくはワイズスペンディングの必要性等々にするなど、③の表記は変えていただいたほうが良いかと思います。
それから、29ページですが、「幽霊病床」という言葉が出てきません。仄聞するところでは、政府ではこの言葉を使わない方針であるということも少し記事に出たりしておりますが、やはり「幽霊病床」はもう人口に膾炙しておりますし、また、国民としては、非常にイメージが湧きやすいというか、そうした訴求力の強い表現ですので、「幽霊病床」という言葉がここで入ってきても良いのではないかと考えました。
それから最後、43ページ、5行目で、自殺者が上回ったという話は、非常に唐突感があります。恐らく仰いたいことは、11年前にはこうしたことがあったという、そこへのつなぎ、導入、振りであるのだと思うのですが、やはり尊い人命を落とされた方の御家族などもいらっしゃる訳ですから、この辺りは少し唐突感のない形で表現を工夫されたほうが良いのではないかと感じました。
私からは以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、こちらの会場、取りあえず横田委員まで御意見をいただきます。横田委員、どうぞお願いします。
〔横田委員〕ありがとうございます。起草委員の皆様、ありがとうございました。コンパクトで分かりやすいなと思って私は読んだので、一般の方も非常に読みやすいのではないかと思います。
総論の点で大きく2点、お伝えしたいところがございます。
まず、2ページ目のデジタル化ですが、マイナンバーに関して、可能であれば平時に体制が整っていることで、危機時に素早く皆様に対応ができるということをきちんと書いたほうが良いのではないかと思います。2ページ目のデジタル化のマイナンバーあたりのところです。というのも、去年の今頃までは、給付を早くしろとか、マイナンバーはやはり大事だねといったような雰囲気があったのですが、若干トーンが薄れてきているような気もしていて、ここでマイナンバーと唐突に出てくると、また、拒否感を持ってしまう方もいらっしゃると思うので、やはり、技術をうまく活用できるようにということを付記していただいたほうが良いのではないかと思いました。
もう1点は、あえてなのであれば何とも言えないのですが、冒頭に、将来世代へのツケと書かれているのですが、今回、そうした将来世代へのツケというくだりが、あまりないな、もう少し増やしても良いのではないかと思っています。せっかく先般、矢野次官がバラマキ批判のこともお書きになられましたし、私、COP26の、世界の若者のデモ、日本の若者のデモを見ていて、地球温暖化、気候変動、将来にツケを回すなと彼らは怒っているわけですよね。私は日本の若者は、財政の健全化にしてももっと怒ってほしいと、正直思っているので、やはり健全化をしていくのは将来世代のためであると、今の現世代の問題であるということをきちんと書いていただけたら、ありがたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、オンラインのほうに行きますが、2人です。赤井委員と堀委員に御発言いただきます。
赤井委員にお願いします。すみません、何度も言って、手短にお願いいたします。
では、赤井委員、どうぞ。
〔赤井委員〕では、簡単に。まず、何人かの方も言われていると思うのですが、正常化ということは、コロナから以前に戻る、コロナ前に戻るという意味なのか、それとも財政の健全化も含めて、プライマリーバランスというところまでを含めているのか、そこのところ、正常化という言葉の使い方も含めて気をつけられたら良いかと思いました。
それから、もう一つですが、6ページ、諸外国のところで割と細かく増税とか歳出改革というところが書かれているのですが、10ページから11ページでプライマリーバランス黒字化を目指していこうというところでは、何か少し丸まったような形で、歳出歳入改革ということぐらいしか書かれてなくて、税という言葉も出てこないので、もう少し歳出の効果の最大化とか、あとは将来世代の負担を下げるための税制改革であるとか、もう少し具体的なことも含めて、プライマリーの黒字化を主張されるほうが良いかと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、堀委員、それから佐藤委員から合図があったようですから、堀委員の後、佐藤委員、お願いします。堀委員、どうぞ。
〔堀委員〕相当あるのですが、時間がないので、後でメールで細かいところを送ります。
〔増田分科会長代理〕取捨選択して、後でメールでお願いします。
〔堀委員〕先ほど皆様からありましたように、「戦後最大の例外」というところは、原則が何なのかが分かりにくいので、異常なのか異例なのか、少し言葉を補足したほうが良いのではないかと思います。
それから、3ページで「高齢化は進み、少子化の問題は深刻となった」とさらっと書かれているのですが、合計特殊出生率が低下傾向にあるだけではなく、明治に始まった統計史上最低の出生数です。増田先生が以前書かれた本にもありますが、出生可能な女性の数が本格的に減ってきている。さらに、コロナの影響ということもありますので、高齢化の問題だけではなくて、本当に深刻であるということを、もう少し追加されてもよいのではないかと思いました。
細かい文言のところは、後で送ります。
それから、財政健全化というときに、イギリスの例も挙げられていましたが、基本的には支出の見直しということがありますが、もともとイギリスのスナク財務大臣は、財審の調査中に大臣就任されましたが、で行かせていただきましたが、コロナが厳しくなる前に、緊縮財政に懸念を示し、低金利の中で積極的な投資をするという、どちらかというと財政出動を主導していた方だと思います。今回の危機で財政出動をしたわけですが、そのまま、緊縮財政に戻すことなく、経済危機から克服するためにも、新たな財源確保が必要であると主張しています。医療についても、保険料なり増税が必要であるということを国民に正面から訴えています。国民の理解を得ないと実現は難しいですが、新たな財源確保は、財政健全化の手段の大きな1つになると思います。先ほどの横田委員の話ではないですが、未来に対するツケを残さないという意味では、財政健全化に向けて支出の見直しを図ることも当然ですが、同様に、新たな財源確保の可能性もどこかに、後ろのほうに少しあったのですが、もう少し書かれても良いのではないかと思いました。
それから、全体として文章の重複感がかなりあるのと、また、定義のところが少し揺らいでいるものがあります。例えば「自然増」という言葉について、使い方がページによって違っていたり、「高齢化による増加分」「高齢化等の増加」という表現につきましても、少し違うところがあります。
また、「低密度医療」や「なんちゃって急性期」あるいは「縦突進」「横連携」という言葉も、キャッチーでとても良いと思うのですが、説明が少し不足しているところがあるかと思いますので、国民の多くに納得していただいて、そして共感を得ていただくためにも、分かりやすく書かれると良いのではないかと思います。ただ、今回、16ページの囲みの説明が追加されていたりとか、これまで以上に分かりやすくなっているのではないかと思います。
最後に1点だけ、マクロ経済スライドという、薬価のところの表現が加わっています。私自身は、あくまで消極的に賛成ですが、なぜこのような施策の検討が必要なのかという説明が不足しており、より分かりやすく丁寧に説明しないと、やはりこれも唐突に、抑制ありきと思われるのではないかと思います。今の制度の枠組みのままであると、イノベーションと両立させることも難しく、財政的にも持続困難になるので、新たな伸び率を管理するという方策も含めて検討しなくてはならない。その手段の一つとして考えられる方策の一つである。このように、何か書かないと、これだけ出ていくと、恐らく言葉だけがどんどん走ってしまう気がしますので、なぜこのような検討が必要なのか、どういう意味があるのかをもう少し記載する必要があるかと。PDCAサイクルと本文の中には書かれているのですが、なぜそれがPDCAサイクルにつながるのか、そこは書かれていないと思いますので、その辺をもう少し工夫されると良いのではないかと思います。
10ページぐらいコメントがあるので、後で送らせていただきます。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございます。
それでは、佐藤委員、お願いします。
〔佐藤委員〕ありがとうございます。すみません、ほかの会議と並行参加していたものですから、申し訳ありません。
私も既にメールで細かいことを送ってあるので、大きく3点ほど。
1つ目は、既に御指摘あったかもしれませんが、1ページ目の23行目あたりかと思うのですが、補正予算についての言及があったと思います。今回、コロナという非常事態でありましたので、迅速かつ大規模な補正予算はやむを得なかったかもしれませんが、やはり補正予算は事前の査定が甘くなりますので、だからこそ事後的な評価を徹底して、事業の見直し、存廃の判断につなげる、PDCAサイクルを徹底させるということは、何か言ったほうが良いのかということと、飛びますが、11ページの13行目、その辺りかと思ったのですが、最近よく、成長なくして財政再建なしとか、最近になると、成長なくして分配なしとか、あるいは分配なくして成長なしとか、いろいろ言われるのですが、成長と分配、財政健全化を、どれかが先行するのではなくて一体的に取り組むべきであると思いますので、以前、三兎を追うという言葉があったような気がするのですが、であれば今回は、成長と分配と財政再建は三位一体であるとか、そうした旨は指摘されてよいのかと思います。
あと1点だけ、社会保障について、24ページの11行目であると思うのですが、医療法人事業報告書についての言及があったのですが、情報の迅速な開示と併せて、医療機関は今まで公立医療法人、社会福祉法人で、実は会計の基準が全然合ってないので、法人形態別になっている会計基準の統一化とか標準化というのも言及されてよいのかなと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、会場に戻します。最後、お二方です。芳野委員、それから宮島委員です。
どうぞ、芳野委員、お願いします。
〔芳野委員〕ありがとうございます。時間も限られていますので、総括的な観点で発言をさせていただきます。
具体的な各論、修正案については、後日、意見書を提出させていただきたいと思います。
先月、緊急事態宣言が解除されましたが、コロナ禍が浮き彫りにした様々な脆弱性の是正に向けた取組は不可欠です。さらに、足もとには、原油をはじめとする原材料価格の高騰などにより、家計の負担や中小企業の経営に影響が出始めており、早急な対応も求められています。こうした中での財政措置は、その必要性について十分な精査を行うべきであり、国民の暮らしに直結する項目、新たな成長や雇用の創出につながる項目に重点的に配分するべきです。くわえて、持続可能な社会を将来世代に引き継ぐ責任を果たすためにも、人口減少、超少子高齢化が更に進展することを前提とした社会保障と税の抜本的な改革について、スピード感ある議論を進めるべきです。
また、デジタル化やグリーン化を進める中において、産業構造の大転換は避けて通れず、各施策を進める際には、失業なき労働移動を前提に、社会経済への負の影響を最小限にとどめる公正な移行を確保する必要があります。その際には、労働組合を含む関係当事者との積極的な社会対話が不可欠です。さらに、財政規律の観点から、これまでのコロナ対応で投じた財政支出の効果検証も含め、諸外国の取組を参考にしながら、中長期的な財政運営の客観的評価と監視を行う独立財政機関を設置すべきです。
続いて、雇用について触れたいと思います。雇用保険財政が危機的状況を迎える現状においては、求職者支援制度を含めた雇用保険の適用拡大を進めるとともに、一般会計からの繰入れを通じて、雇用保険の財政安定化を図るべきです。政府が雇用保険に国庫負担する意義は、政府が主導する雇用政策の責任を明確化するものであり、雇用保険の適用拡大の議論の方向性によらず、国庫負担割合を直ちに本則に戻すべきです。一方で、コロナ禍による企業や労働者への影響に鑑み、労使の雇用保険料は引き上げるべきではないと考えております。
また、雇用調整助成金が労働移動を阻害しているとの意見がありますが、そもそも雇用調整助成金は経済活動の再開を見据えて労働者を休業させ、雇用を維持しようとする事業主を支援し、労働者を保護するものであり、労働移動に影響を与えるものではないと考えております。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、宮島委員、お願いします。
〔宮島委員〕ありがとうございます。私が最後であると思いますので、今までの方とかぶらないことだけ申し上げます。
27ページですが、今回は、力を入れる診療報酬のところが、すごくしっかり書かれていると思うのですが、27ページの看護分野の現状で、要するに病院は結構もうけているのに看護師のところに十分行っていないではないかということをおっしゃりたいのだと思うのですが、ここに多少、「いわゆる職域や報酬のバランスとともに」のような言葉を入れられないかと思います。つまり、お医者さんとのお仕事のやりくりでも、線引きを考えるべきではないかと思いますし、結局これは看護師さんに単に報酬を積めということではなくて、お医者さんとのバランスもあるのではないかと思います。背景としての問題意識は、次世代が少ない中で、人をがめてはいけないのは教員だけではなく、医療関係もそうであると思います。かねてより問題意識としてあるのは、いわゆる優秀とされる若者たちの医師への寄り方が少し過剰ではないか。そこはもう少し、日本がどういう国で、どこに人材を配置する中で本来考えなければいけないのですが、その1つとして、医療機関における報酬のバランスでも問題があると思いますので、診療報酬だけでどの程度動かすことができるかは、難しいところもあるかもしれませんが、職域や報酬のバランスを問題意識として挙げたいと思います。
もう一つは、若干似たようなところで39ページ「診療報酬と働き方改革」があるのですが、今の文章だと、課題が、お医者さんの労働時間の長さと、看護師の処遇改善みたいに見えます。でも、看護師も、労働時間が長いからというよりは、多様な働き方ができないために潜在看護師が増えているところがあると思います。結局、もっといろいろな働き方ができれば、せっかく能力ある看護師の方々が現場に戻ってくれる方策はあると思いますので、この辺りは多少、「多様な働き方とともに」とか何か、後でメールしますが、そうした視点を入れていただいてよいのではないかと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、前半部分の御意見等は、ここまでとさせていただきます。それで、これまでのことについて起草委員から、もし御発言があれば、どうぞお願いしたいと思います。
土居委員、よろしいですか。では、土居先生、どうぞ。
〔土居委員〕どうも、皆様、御意見ありがとうございました。確かに定義が揺らいでいるとか、どういう意味でそう言っているのかというところを、皆様からいただいた御意見を踏まえて、もう少し明確にすることをさせていただきたいと思います。
特に、私として、今も既にいただいた御意見を、これは採用、これはまだ採用できませんとかいうような個別の対応については、まだほかの委員と相談をしなければいけませんので、申し上げられませんが、少なくとも、できるだけ皆様の御意見を反映できるような方向で、これを進めたいと思っております。
1点だけ、雇用保険のことについては、なかなか悩ましい問題があって、つまり、失業等給付と雇用調整助成金をはじめとする雇用2事業との間での国庫負担の入れ方は、従来より違いますので、その点は少し、平時に戻すといったところでの国庫負担の対応は、両者、同じ部分に書いてはいるので、若干錯綜しているような書き方になっているところがもしあれば、そこは改めたいと思いますが、その点は御理解いただきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕武田委員、どうぞ。
〔武田委員〕ありがとうございます。皆様から大変貴重なコメントをいただきまして、本当にどうもありがとうございます。ぜひ、修正の段階で取り入れていきたいと思います。
定義の問題や分かりにくいところを修正するということはもちろんやっていきたいと思います。意見を伺っての反省点といたしましては、DXやGXなど今後の成長につなげる動きや、トランスフォーメーションに向けた動きについては明確にいたします。その意気込みは、「アニマル・スピリット」などの表現を含めて記述したつもりですが、より具体的にしっかり表現をしていきたいと思います。
それから、将来世代についてのコメントがありました。将来世代についての表記は非常に重要であると思いますし、実際、財政の問題は将来世代の問題であると思います。同時に、社会保障もそうですが、もはや今の世代の問題にもなっており、喫緊の課題でもありますので、そこが誤解されないようにしたいと思います。熊谷委員から全世代という表現をいただきましたが、全世代という意味は、将来世代も含まれていると理解しておりますので、その点も補いたいと考えます。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、小林毅委員、お願いします。
〔小林(毅)委員〕いろいろ御意見ありがとうございました。私、これからまた、起草委員の先生やほかの方々と話合いをしなければいけないと思ったのですが、私が一番刺さったといいますか、気になったのは、御意見の中でありました「正常化」という言葉です。これは確かに正常化というと、もう本当に財政が正常化するところまでしないといけないのではないかということは、そのとおりですが、どちらかというと平時に戻す、といったような、そうした言葉か。それが言葉の流れ、文章の流れの中でどうなるのかは、またあると思いますので、それは検討させていただきたいと思います。
もう一つだけ、自然リスクと感染リスクで、より身近なほうが良いのではないかという御意見ありましたが、これはどちらが身近で、どちらが身近でないかというと、本当にいろいろな御意見があるかと思います。首都圏で震度5強の地震もありましたし、地震の問題のほうが、コロナが起きる前は圧倒的に身近な話でもあったわけです。そうすると、その辺りのところも踏まえた上で検討していかなければいけないかと思います。
〔増田分科会長代理〕それでは、前半はここまでとさせていただきまして、後半に移ります。案のページ数にしますと52ページ、地方財政から、残り全部110ページの防衛まで、一括して、御意見等を頂戴したいと思います。ト書きでは60分と書いてあるのですが、40分強ぐらいですか、残り時間いっぱいやりたいと思うのですが、すみません、御発言は2分以内でお願いできればと思っております。会場から、また同じように御発言をしていただきたいと思いますが、今度はそちら側から御発言いただきます。そうしましたら、芳野委員から、順次、御発言いただきます。どうぞ、お願いします。
〔芳野委員〕ありがとうございます。社会資本整備についてです。社会資本整備や生活に関わる既存の社会資本の更新、長寿命化対策を推進し、持続可能な社会資本整備を進めることが必要不可欠です。既存施設の更新、長寿命化に最大限に重点を置いていくべきです。そのために、ICTなど新技術による早期検知を図り、維持管理、更新費も抑制できる予防保全を積極的に進めていただきたいと思います。
続いて、中小企業です。中小事業者等への今後の支援については、ポストコロナ社会に向け、支援が必要な先に届いているか、支援内容は適切かなどに加えて、制度、施策の周知、さらには申請処理手続など事務負担についても検証が必要であると考えています。その上で、生産性向上に向けた取組を支援するべきです。ものづくり補助金や事業再構築補助金については、緊急事態宣言全面解除による新型コロナウイルス感染症の再拡大や経済動向に応じ、見直しありきではなく柔軟に対応できる余地を残すべきであると考えております。
続いて、エネルギー・環境についてです。我が国としてカーボンニュートラルをどう実現していくかを、具体的な財源の裏づけを含めて、産官学において本当の意味で目標と、そこに向けたステップの考え方を共有する必要があると考えております。また、そのシナリオや具体的措置の明示など、一定の予見性を目指し、環境づくりも重要です。イノベーションの源泉である人材の教育は極めて重要であると同時に、雇用の公正な移行、すなわち失業なき労働移動と生活保障などのセーフティーネットの構築、さらには地域経済対策も含め、パッケージにした対応が必要不可欠であると考えております。
最後に、デジタルについてです。マイナンバー制度は、そもそも公平・透明・納得の税制実現のため導入されたことを、常に意識しておく必要があると考えております。ようやく公金受取口座の任意登録が始まろうとしていますが、本来は全ての預貯金口座のひもづけの義務化が必要であり、早期の実現を改めて強く要望したいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、横田委員、お願いいたします。
〔横田委員〕本当に1点だけです。防衛の108ページの7行目の「とるべき戦略(ビッグピクチャー)」とあるところですが、前段のところでは幅広にきちんとビッグピクチャーを描けということなので、「戦略」を「全体戦略」にしていただいたほうがありがたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、熊谷委員、どうぞ。
〔熊谷委員〕私は細かい点を、1点だけ申し上げます。71ページの20行目ですが、「ケースがある」とありますが、これは「少なくない」という表現のほうが良いと思います。こちらはお任せいたします。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、末澤委員、お願いします。
〔末澤委員〕ありがとうございます。私は最後の10番の防衛のところで申し上げたいのですが、今回ここで書かれた内容は極めて、私もそのとおりだと思うのですが、ただ、ばっとこのように読むと、結局、やはり財務省は防衛力のコスト削減だけをメインに言っているのではないかと思われる可能性がある。私は、この文章の後、最後に、例えばこのような表現がよろしいのではないかと思うのですが、「今年に入り欧州各国の海軍艦艇が続々と極東に派遣されている。我が国を取り巻く安全保障環境は、戦後最大の不安定局面に入りつつあるとも考えられる。実効的な防衛力装備のため、調達改革や人材の育成等を、データやファクトに基づき、現実的、合理的に実施を進めていく必要がある」。例えばこうした、つまり、要は何で調達改革をするかというと、安全保障環境が厳しくなっているので、従来とは違うレベルの見直しが必要であるという趣旨のことを入れておかないと、結局、査定が甘くなって、実際、有事に使えないような装備品を調達するとか、要は定員割れの状態で計画だけつくるとか、そうしたことになりかねないのではないか、そこを心配しておりますので、むしろ最後に、しっかりと強調したほうが良いのではないかということでございます。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、安永委員、どうぞお願いします。
〔安永委員〕ありがとうございます。グリーンに関して1点だけ。先ほども他の委員が言われていましたように、COP26で分かったのは、その国の国情やエネルギーミックス、様々な政策や立地要因によって、国ごとにロードマップが違うわけで、そのロードマップはやはり政府がしっかり指し示していただく必要があるという点を、94ページあたりに入れていただきたいのと、それに併せて、当然、先行投資を必要とするような技術イノベーションの分野があるはずで、そうした分野については、やはりペイアズユーゴーを大事にしつつも、長期的な視点に立った形で、先行投資を厭わないということは、ぜひ明記いただきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、オンラインの方の御発言に移ります。今のところ2人、合図があります。赤井委員と佐藤委員ですので、赤井委員から、どうぞ御発言ください。
〔赤井委員〕ありがとうございます。
インフラのほうですが、前半の部分で防災パート、それから効率化パート、よくまとまっていると思うのですが、防災のところは防災を頑張りましょうというところが重視されていて、ただ、防災のところを効率化するとともに、防災をするときに、できるだけ財政の効率化と両立していく必要があると思うので、そこの点が重要かと思いました。
〔増田分科会長代理〕それでは、佐藤委員、どうぞお願いします。
〔佐藤委員〕よろしくお願いします。まず、地方財政のところで2点、54ページの13行目あたりであると思いますが、地方創生臨時交付金についてですが、使途の適切性を判断するためにKPIの設定という言及があったと思いますが、それだけではなくて、やはり事後的な検証を徹底しPDCAサイクルを回すような仕組みを取り入れたほうが良いのではないですかということは、事後的検証をとにかく徹底しようと、そうした旨はあってよいのかということと、今回なかったと思ったので、58ページでPFIやPPPの活用についても言及する、あるいは広域化を、もし見落としているだけだったら申し訳ないのですが、自治体間の広域連携であるとか、そうした新しい行政運営の在り方に言及があってよいのかと思いました。
それから、中小企業についてですが、今回はまた、最大250万円の事業復活支援金なるものが出るらしいのですが、やはりコロナ対策に関わる中小企業支援はあくまで非常時であって、恒常化させるものではないということだけは念を押したほうが良いのかというのと、それに少し関わるのですが、97ページの19行目に事業再構築補助金、98ページの1行目にものづくり補助金が出ていますが、これはいずれも補正予算で措置されておりますし、ものづくり補助金に至っては、ずっと補正で措置されてきているので、もし継続性を前提とする事業であれば、本来、当初予算の中できちんと査定されたほうが良いのではないですかという議論はあってよいかと思いました。
またもう一つ、今気がついてしまったのですが、105ページの3行目、「国民の利便性向上のために」云々という言及があって、10行目にユーザー目線、「利用者目線に立ち」云々という議論があるのですが、この辺りは、やはり利用者目線だけではなく行政の目線、国と地方の目線もきちんと合ってなくてはいけなくて、よくローカルルールなどというのですが、地方は相変わらず、セキュリティーが厳しくてとか、あの紙出せ、この紙出せということも、議論としてはよくある話なので、きちんと、デジタル化の推進ということについては、国と地方自治体、つまり、政策と現場の目線をきちんと合わせるということは徹底させたほうが良いのかと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、こちらの会場に戻りまして、大槻委員から順次御発言いただきます。
大槻委員、どうぞお願いします。
〔大槻委員〕ありがとうございます。1点目は、文教ですが、このセクションはほとんど新型コロナの影響というのが、においがなくて、ただ、やはりコロナ禍で子供たちの教育の在り方というのが、特にデジタル、GIGAスクール構想もあって、大きく変わってきたということを、もう少し60ページ目に、少しだけテーストが盛り込めないかしらと思った次第です。
具体的には、62ページ目に少しだけ出てきている、しかも違うニュアンスで、学校間のオンライン授業化の工夫のところでGIGAスクール構想が出てきますが、これは子供たちの学び方自体にも関わることなので、60ページ目の17行目、「教育の質」の前に、「また、GIGAスクール構想の開始の活用で」とか、そうした形で少しデジタル色をここにも入れていただいたほうが良いのかと思ったのが1点目です。
次に、96ページ目ですが、平野委員も先ほどおっしゃいましたが、ここだけペイアズユーゴー原則が出てきますが、これは他のところにも関係が深くするところでございますので、少し全体に関わるようなところにも、この概念を入れていただいたほうが良いのかと思いました。
それから3点目が、中小企業ですが、98ページ目、20行目の「新陳代謝を促して」というのは、補足の資料にも出ていますし、重要なメッセージなのかもしれませんが、まだコロナの影響が続く中では、やや刺激的な表現かもと思いまして、もしかしたらここのところを削る形で、「事業承継ニーズに応えるなどを通じて、生産性向上に繋げていくべき」とか、そうした形でも良いのかと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、広瀬委員、どうぞお願いします。
〔広瀬委員〕ありがとうございます。総論も含めて、後ほど、修文の案を送らせていただきますので、御参考いただければと思うのですが、3点、各論でお話しさせていただきたいと思います。
1点目は、インフラ、社会資本整備ですが、先ほど芳野さんからもお話がありましたが、インフラ整備というのは、老朽化対策もあれば、防災・減災対策、あるいは地方経済活性化、いろいろな側面があるわけです。そうした面で非常に膨大になるわけですが、私は、一番大事なのはメリハリをどうつけてインフラ整備をするかということで、メリハリつけるということ自体も非常に難しいのですが、例えば先ほど地震とパンデミックの関係をどうするかとか、本当にこれは難しいのですが、いずれにしても、これから膨大になるインフラ整備をどのように効率的に、あるいは検証しながら、あるいは合意をつけながらやるか。その辺が非常に大きな課題になってくるのではないかと思っています。
それから2つ目が、グリーン(エネルギー・環境)政策ですが、エネルギー政策は、やはりS+3Eと、これは1丁目1番地ですから、ぜひこれは大事にしていくべきではないか。
それから、毎回言って申し訳ないのですが、エネルギー・環境政策は、やはりしたたかさとしなやかさ、戦略性と柔軟性ですから、先ほど安永さんからもお話がありましたが、環境問題というのは地球の安全保障ですから、これは絶対という側面もありますが、一方で、環境問題については、それぞれの国がいろいろな観点でアプローチしていくわけですから、やはり日本としての戦略性を持ったエネルギー・環境政策が大事ではないか。
それから、恐らく2050年まで、あるいは2030年まで、本当に紆余曲折というか、環境がどんどん変わっていきますから、常に検証しながら、柔軟性を持って政策を変えていく、柔軟に変えていく。そうした面で、戦略性と柔軟性を持ったエネルギー・環境政策を更に徹底していただきたいというのが2番目でございます。
最後は、中小企業政策ですが、これも皆様からお話がありましたように、今回のコロナ対応についての財政の役割は非常に大きかったと思います。本当に中小企業の経営者が、気が萎えてしまうところを何とかここまで引っ張ってきて、そして、倒産件数もここで抑えられているというのは、やはり財政の役割が大きかったのではないか。これから、中小企業もウイズコロナ、ポストコロナで、これも前回も申し上げましたが、私はやはりデジタルを、ウイズコロナ、ポストコロナの中の中小企業政策の中心に据えていくべきではないか。従来型の中小企業政策ももちろん大事ですが、せっかく今回のコロナで、中小企業もデジタルということに相当取組を進めていますから、これを元に戻さない、更に一歩進めていくという意味で、デジタルということを強調し過ぎることはないのではないかと思っています。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、十河委員、どうぞお願いします。
〔十河委員〕私からは60ページの文教・科学のところで、61ページになります。2行目に「子供達に更に負担を付け回す」というところに「子供達」とあるのですが、これはもう少し広く「若者」とかにしたほうが良いのではないかということが1つ。
それから、6行目、7行目で、「厳しい財政の一方で、企業や家計の民間部門は」とございますが、確かにそうですが、後ろに続く内容を見ますと、家計の資金余剰を、あえて書く必要があるかどうか、ここは御判断いただきたいと思いましたが、少し違和感がございました。
それから65ページの高等教育のところですが、これは表記の統一ということになりますが、①の後に括弧で小見出しをつけておりますが、ここはほかとそろえるということになりますと、ア)のような、アイウエオという形で統一されたら良いかと思いました。
重複等については、また、追って、御連絡を差し上げたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、平野委員、どうぞお願いします。
〔平野委員〕ありがとうございます。私は社会資本整備、グリーン、デジタルで3つ申し上げたいと思います。
まず、社会資本整備に関してですが、地方における都市政策、社会資本整備の鍵になるのは、やはりコンパクト化であると思います。今回も補助金等のインセンティブについて、随分触れていただいていますが、やはりこれは限界があるのではないかという気がしております。規制であるとか、コスト負担などによるディスインセンティブとの組合せが必要なのではないかと思います。1つのアプローチは、以前も申し上げましたが、立地適正化計画の誘導手段に都市計画法の規制手段を結びつけるということですが、さらに、コンパクトシティー施策の先進地域であるドイツやフランスなど欧州の法制度を参照して、私権の制限をどこまでかけられるのか調査し、我が国における可能な対応を検討すべきであるという、少なくとも意見があったとどこかに書いていただけないかということです。
また、こうした規制的手法強化の話は、先ほど病院の再編でもしたのですが、恐らくこれから先、思い切った改革を進める場合には必要になってくるのではないかと私は思っておりまして、もし御同意が得られるのであれば、総論の中で、2ページ目の昨年来のコロナ禍に基づく対応というところで、少しくくり出して示唆していただければと思います。
それがまず、社会資本関連です。
グリーン、今回の建議案、94ページの6行目、7行目で政策総動員を説いた上で、96ページの5行目から10行目で、カーボンニュートラルの実現に向けた施策を支える財源確保の必要性についても言及していただきました。
私は、より具体的に、炭素税や排出量取引制度の導入拡大という選択肢も含めて、必要な財源確保のための仕組みを、早期に検討・構築する必要があるという旨に言及していただけないかと思います。
最後、デジタルです。マイナンバーが、やはり1つの決め手になるのですが、これにつきましては、104ページの25行目「公平・公正な社会を実現する社会基盤」と明記していただいておりますが、先ほど芳野さんも言われたとおりで、やはり銀行口座の付番等を通じて、資産それから所得の正確な把握につなげるべきだ。それがまさに公平・公正につながるということを記載して一歩踏み込んでいただけないかということが1つ。
それからもう一つは、今後のマイナンバーの普及に向けては、個人情報を提供することで、国民がいかに便益を受けられるか、これが一番オーソドックスなわけですが、もう一つ、今回の建議でも、利便性については記載されているわけですが、今回のコロナでプライバシーと公益のバランスが随分議論されました。国民の関心も、ようやくこのあたりに向いているようになってきたと思いますので、もう一つの課題として、個人情報の取扱いに関する国民理解の醸成ということについても言及していただいてはいかがかと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、木村委員、お願いします。
〔木村委員〕どうもありがとうございます。私も短く2点だけ。
1点は、96ページのグリーンのことで、これは平野委員がおっしゃっているとおりだと思うので、温暖化対策に関しては、必要な財源を確保するということ、私も全く賛成で、ただ、今年も結局、年末の税制改正の炭素税の議論とかが何か見送られると伺っていて、これだけ注目されて、なおかつ欧州とかでも環境関連の新しい税負担を求める動きも出ていますし、日本のそうした関連の税負担というのは欧州に比べて低いという指摘もありますから、海外の動きも含めて、比較とかも含めて、炭素税とか早期の検討とかという文言があってもよいのかとは思いました。
それともう1点は、98ページの中小企業のものづくり補助金の関連で、補助金の在り方を抜本的に見直すというのは、私もおっしゃるとおりかと思うのですが、私も中小企業を取材する機会も結構あるのですが、要するに技術力のある中小企業の方々も、コロナで新規開発とかの発注が結構減っていて、要するに現場でものづくりの技術を磨く機会がなかなかなくて、日本のものづくりの力が落ちてしまうのではないかと心配されている方も結構いらっしゃいます。全部が不当なリピーターではないわけで、こうした力のある企業にこそ補助金が活用できるような見直しが大事だということも、ニュアンスとして込められれば良いかと思いました。
〔増田分科会長代理〕それでは、河村委員、どうぞお願いします。
〔河村委員〕私からは、文教、グリーン、防衛のところで簡単に意見を言わせていただきたいと思います。
文教の最初のところ、61ページで「関係者が自律的に行動に移すべき時」ということで、そのための提言であるということで、この方向で打ち出していただいて大変良いのではないかと思います。ただ、やはり少し気になりますのは、義務教育の分野もそうですし、高等教育もそうですが、これまでのいろいろな議論を見ていても、この分野何となく財務省と文科省の空中戦のような感じになってしまうところがあって、やはりもっと一般の国民に納得してもらう。それから、中でも出てきますが、やはりいろいろな配分のところをメリハリつけてしっかり見ていくということになると、当事者の納得を得るところも必要になってくるのではないかと思いますので、そうした意味で、歳出改革部会のときにも少し申し上げたりもしたのですが、もっとこの部分は透明性を高める、全然データも出てないし、効果の把握もできてないし、横断的なデータの開示とかもできてないということで、透明性を促すような記述が今回なかったので、何とかして入れていただくことができないかと思います。
私が思ったのは、1つの案ですが、68ページの28行目あたりで、「共通指標に基づく配分」で当事者の納得性を高めるためと書いてくださっているところがあって、こうした辺りで入れるところ、1つ可能性があるところかと思いますが、やはり当事者の納得を高めるためにも、各国立大学の教育研究に関する基礎的なデータであるとか成果に関する指標をきちんと横断的に公表した上で、グループ分けの適切な設定ももちろんそのとおりで、ぜひこの表現を入れていただきたいと思うのですが、そうした辺りで入れていただくのも1つの手かなという感じはいたします。
それから次、グリーンのところですが、96ページ、最後のところでペイアズユーゴーを書いてくださっているところですが、財源が限られる中で、必要な財源を確保するのは、ペイアズユーゴーは、もちろんそれも大事です。温暖化対策をするのだったら、そのための財源が必要ということも大事ですが、やはりもう一つ大事なことがあるのではないかと思っておりまして、何で炭素の価格付けをするのかというのは、カーボンニュートラルに向けて、関係するいろいろな企業なり個人なりが自律的かつ効率的な行動を促していく、そのためだと思うのです。ですから、ここの9行目あたりの表現のところで、負担を先送りしないということに併せて可能であれば、関係者の自律的かつ効率的な行動を促すためのメカニズムを盛り込むという意味での財源確保ということもあると思いますので、そこに出ていただけたらと思います。
最後は防衛のところです。これは外交とも少し通じるところでもあると思うのですが、107ページで、防衛の回のときの当日の議論にもありましたが、やはり防衛力の整備には、背後にきちんと持続可能な健全な財政運営が必要とびしっと書いてくださって、本当にこれで良いと思うのですが、7行目から9行目あたりのところ、「防衛関係費の増額に伴う国民負担の引上げを、国民は受容するのか」という書き方、これでもよいのですが、これであると何か国民が防衛力を増強するのは良いが、借金でやっておけば、適当にそれでよいのではないかという、そうした意見を許してしまうことに、もしかしたらなってしまわないかという気もしますので、可能であればもう少し踏み込んで、今の安全保障環境が非常に厳しくなっているのは、いろいろ重装備の武器とかで長い年数使えるものももちろんあるとは思うのですが、やはり今の環境に対応してやるということは、少なくともしかるべく現世代の負担が必要になるということを、もう少し踏み込んで書いても良いのではないか。その比較で少し思ったのは、外交のところは、この国の表現ではないのですが、イギリスの考え方を引用する形で99ページの12行目あたりで、「将来世代のお金」でODAをするのはどうかという話がちらっと出てきたりもしていますので、そうしたところとバランスも取りながら、防衛のところをもう少し踏み込んで書いてもよいかなと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、後半の部分の御意見はここまでとさせていただきまして、起草委員から、それでは、どうぞお願いいたします。冨田委員。
〔冨田委員〕どうもいろいろと御指摘ありがとうございました。
防衛関係費のところの議論です。横田委員から御指摘のところが、今回の大きな肝であると思っていまして、極めて大きな環境変化の中で、どう対応するか。ここで一番申し述べている点は、始めに規模ありきではないのだ。初めに大きな戦略ありきだ。その中で、それに照らして考えると、ここで皆様御議論あったのですが、横田委員御指摘の108ページで、「現状改革の方向性を追求した上で」と書いてありますが、これが、だから、皆様の御議論の中では自己改革とか、要は、北の大地にたくさん配慮があるということについての見直しとか、そうしたこと、ビッグピクチャーを明らかにして、現状改革は行ってほしいということを、まず言っているわけです。
それと、末澤委員御指摘の点ですが、できるだけ御指摘のような形にはなってないつもりで我々議論したつもりですが、端的に申し上げますと、整備水準の関係についてですが、それは、結局は整備改革を行うことによって整備水準を引き上げるという考え方が、背景にあるということです。それをもう少し書ければと思っております。
河村委員御指摘の点については、検討したいと思います。
そして、総論のところですが、雨宮委員が御指摘の点です。金利上昇には2種類あるということで、1つはファンダメンタルズに伴うもので、もう一つは信認低下によるものだ。
我々の議論でもそれは念頭にありまして、文章を御覧いただきますと、少し明示的ではなかったかもしれませんが、8ページを御覧いただきたいのですが、23行目から下、「また、もし我が国の通貨への信認が損なわれている状況の下」という形で、信認低下における、あるいはそれによる金利上昇ということを表したかったということです。
したがって、ここで言っていることは、金利上昇によってさらに信認低下して、さらに金利が上がるという悪循環という、短く言えば、あまり考えたくもないような恐ろしいリスクのことを書いてしまっているということなので、ここの表現は検討いたしますが、御指摘の点は考慮しているということを申し上げたいと思います。
〔増田分科会長代理〕それでは、ほかに起草委員の方から。中空委員ですか、お願いします。
〔中空委員〕ありがとうございます。私、文教とグリーンなのですが、文教は、今回は、あまりお叱りがなくてよかったと安心しているところです。
さておき、いただきました御指摘については、鋭意チェックしていきたいと思っています。
グリーンに関してですが、安永委員と広瀬委員から御意見がありました。国ごとに立ち位置違うよねというところについては、入れていきたいと思います。国ごとにロードマップを用意するといったところの文言を工夫したいとは考えます。
また、平野委員や木村委員に言っていただいた炭素税については、私自身としてはとても盛り込みたいので、できれば入れるように考えたいと思っています。
以上です。
〔増田分科会長代理〕小林毅委員、どうぞ。
〔小林(毅)委員〕どうも御意見ありがとうございました。社会資本整備の中で平野委員から、私権制限の話が出まして、私権制限のことをこの中に入れるのはなかなか厳しいのかと。それがないと、恐らく話は進まないであろうということは十分認識をした上で、そう申し上げておりますが、そうしたことで本文に書き込めるのかどうか、その辺りも含めて少し検討させてください。
ただ、議事録は公開されておりますので、そうした発言があったということは明らかに議事録には掲載されますということだけは御承知ください。
それから、同じくプライバシーの関係です。マイナンバーカード、個人情報に対する考え方も、本当にそこまで踏み込んで書いて、この時点で書いたほうが良いのかどうか、預貯金口座とのひもづきの部分についても、これは公金取引口座のような部分で、少しマイルドな形で書き込んだのですが、その辺りも含めて検討させていただければと思います。
それから、佐藤委員から出ました、デジタルでいただいたのは、国と地方の目線を合わせてという、この部分は入れる方向で考えさせていただければと思っております。
それから、総論のところで1つだけ、最初に例外的なという話があって、その後に経済の落ち込みが相対的に小さくて、失業率も最低水準で、本当に危機だったのかどうかよく分からないという書き方ではないかという御指摘だったのですが、これは順に読んでいただくと分かると思うのですが、まず、例外的な危機が訪れました。それに対応して例外的な財政政策を打ちました。その結果、このくらいで済みました。そうした論理構成になっております。もし、ここをもう少し、今言ったような話を明確に、時間差をかけて、訪れたということを明確に書いたほうが良いというのであれば、そういたしますが、そうすると、何人かの委員の皆様から御指摘があったような文章の重複ですとか、同じ表現の繰り返しですとか、そうした弊害に陥る可能性もございますので、そこは検討させてください。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、起草委員の先生方、また再度御検討よろしくお願いします。
最後に、会長から御発言がございます。よろしくお願いします。
〔榊原分科会長〕今日は本当に委員の皆様方、ありがとうございました。総論、各論それぞれにつきまして、大変貴重な、また、非常に重要な御意見をいただいたと思っています。建議の中に全て盛り込むことができるかどうか分かりませんが、極力盛り込むように努め、その結果を12月3日に、皆様にお示ししたいと思います。起草委員の方には、ぜひそうした方向で検討していただくようにお願いしたいと思います。
今日は本当にありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、少し御連絡を申し上げます。冒頭申し上げましたとおり、追加の御意見等がございましたら、来週22日、月曜日ですが、18時までに、事務局にメール等で御提出をいただきたい。様式は自由でございますので、よろしくお願いいたします。
それから、次回の分科会、これは取りまとめになりますが、12月3日金曜日、15時からを予定しておりまして、取りまとめられました建議を、鈴木財務大臣にお渡しする予定ということでございます。
また、今日御議論いただきました建議の内容、修文については、委員間の率直な意見交換のため、また、審議、建議の中立性を担保するため、従来、議事録の公開によるほかは公にしておりません。そのため、次回取りまとめに向けて、建議の内容や審議の途中経過については、対外的にはお話しにならないよう、ぜひ皆様方の御協力をお願いいたしたいと思います。
それからもう1点、本日御手元に配付いたしております建議案でございますが、表紙の右上に書いておりますが、会議後回収させていただきます。ということでございますので、お持ち帰りにならず、そのまま机の上にお残しいただきますよう、よろしくお願いします。
それでは、本日、これにて閉会いたします。どうもありがとうございました。
午後5時55分閉会