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財政制度分科会(令和3年10月5日開催)議事録

財政制度等審議会財政制度分科会
議事録

令和3年10月5日
財政制度等審議会


財政制度等審議会財政制度分科会議事次第

令和3年10月5日(火)13:00~14:50
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)

  • 1.開会

  • 2.議題

    財政総論

  • 3.閉会

出席者

分科会

榊原定征

水口政策立案総括審議官

茶谷主計局長

奥次長

坂本次長

阿久澤次長

八幡総務課長

大久保司計課長

山岸主計企画官

藤﨑法規課長

鈴木主計企画官

吉田給与共済課長

大沢調査課長

宮下主計企画官

渡邉主計官

三原主計官

福田主計官

坂口主計官

高田主計官

有利主計官

一松主計官

田中主計官

野村主計官

北尾主計官

渡辺主計官

分科会長代理

増田寛也

赤井伸郎

遠藤典子

大槻奈那

神津里季生

佐藤主光

十河ひろ美

武田洋子

土居丈朗

中空麻奈

藤谷武史

宮島香澄

安永竜夫

臨時委

秋池玲子

上村敏之

宇南山

河村小百合

喜多恒雄

木村

熊谷亮丸

権丈英子

小林慶一郎

小林

末澤豪謙

和夫

竹中ナミ

田近栄治

田中里沙

冨田俊基

平野信行

広瀬道明

福田慎一

真奈美

神子田章

横田響子

吉川


午後1時00分開会

増田分科会長代理それでは、時間が参りましたので、ただいまから、財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。

春の審議会に続きまして、本日の分科会も対面とオンラインの両建ての開催です。半分以上の皆様にはテレビ会議システムを通じて御参加いただいております。また、各主計官も同じくテレビ会議システムでの参加となっております。

初めに、7月に人事異動がございました。事務方、幹部について、私のほうから御紹介させていただきます。

初めに、茶谷主計局長です。

茶谷主計局長主計局長に就任しました、茶谷でございます。主計局は3年ぶりになりますが、御承知のとおりコロナ対応、経済対策等、正直課題は山積でございますが、財政健全化ということをしっかりと基軸にして対応してまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

増田分科会長代理ありがとうございました。

続きまして、奥次長です。

奥次長主計局次長を拝命いたしました、奥でございます。どうかよろしくお願いいたします。

増田分科会長代理続きまして、坂本次長です。

坂本次長坂本でございます。何とぞよろしくお願いいたします。

増田分科会長代理続いて、阿久澤次長でございます。

阿久澤次長阿久澤でございます。どうかよろしくお願いいたします。

増田分科会長代理最後に、八幡総務課長でございます。

八幡総務課長総務課長の八幡でございます。どうぞよろしくお願いします。

増田分科会長代理その他、主計官等についても変更がございましたが、オンラインでの参加となっております。お手元に配付の座席表に名前を記載してございますので、御確認をお願いいたします。

それでは、議事に入る前に榊原会長から一言、御挨拶を頂戴したいと思います。

会長、どうぞよろしくお願いいたします。

榊原分科会長皆様、こんにちは。会長の榊原でございます。本日は、委員の皆様におかれましては、また、オンラインで御出席の方も含めまして、御多忙の中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。

今年の春の財政制度等審議会では、委員の皆様に大変密度の濃い御議論を行っていただきまして、建議を取りまとめていただきました。

そのポイントを改めて申し上げますと、1点目は、新型コロナへの対応が国民生活、あるいは、経済を守るために重要な役割を担ったことは事実ですが、将来世代の負担を更に増加させていることを忘れてはならないということを指摘しています。

2点目は、PBの黒字化です。持続的な財政構造の確立を目指していくべきであり、この旗はきっちりと堅持をするということ。

3点目ですけども、令和4年度から始まる3年間についても、いわゆる、財政の目安を継続して、歳出改革を引き続き実施すべきと、こうしたメッセージを柱とする建議を取りまとめていただきました。

折しも昨日4日には岸田新総理のもとに新たな内閣が発足しました。令和4年度予算におきましては、新内閣のもとでの初めての予算編成となるわけですが、新型コロナへの対応、ポストコロナ時代の経済社会を展望した対応もしっかりと行っていただくと。それとともに、厳しい財政状況のもとで、財政健全化の観点も十分に踏まえた質の高い予算を作っていかなければならないと思います。

委員の皆様におかれましては、今日から始まる秋の財政制度等審議会におきましても、コロナ禍における令和4年度予算編成の課題につきまして、ぜひ活発な御議論を行っていただきたい。それをこの秋の建議につなげてまいりたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いします。

各予算分野についての本格的な議論は、次回の財政制度等審議会から開始する予定としておりますが、本日は、現在の経済財政状況を踏まえまして、広い視点から、委員の皆様から率直な御意見を頂ければ幸いと思います。どうかよろしくお願い申し上げます。

私からは以上です。

増田分科会長代理会長、どうもありがとうございました。

初めに、今日のタイムテーブルを申し上げておきたいと思います。1時に開会をいたしましたが、当会議は2時40分まで、今日は100分の会議時間で進めさせていただきたいと思います。実は私のほうで、この後、記者レクをするのですが、その後、新大臣の記者会見が実は予定されておりまして、後ろが大変詰まっておりますので、大変恐縮ですが、今日は2時40分までということにして、その後は会議の様子をまとめて記者レクをすると、こんな段取りで考えておりますので、どうぞ御理解をお願い申し上げたいと思います。

それでは、議事に移らせていただきますが、まず財政総論について、大沢調査課長から簡潔に説明をお願いいたします。

大沢調査課長昨日、主計局調査課長を拝命いたしました、大沢と申します。よろしくお願いいたします。早速ですが、資料に沿って御説明をさせていただきます。

まず、春の財審からの動きですが、2ページを御覧ください。春の建議においては、先ほど会長からお話がありましたように、財政健全化の目標に向けて、歳出改革の方針、いわゆる「目安」と言われるものの継続を求める内容となっておりました。これを受け、今年の6月の骨太では、2025年度の国・地方を合わせたプライマリーバランスの黒字化を目指す財政健全化目標を堅持することとされております。ただし、新型コロナにより不安定な経済状況を踏まえまして、今年度内に感染症の経済財政への影響の検証を行い、その検証結果を踏まえて、目標年度を再確認することとされております。

3ページでございます。2つグラフがございます。2030年までの成長率や財政の試算である、この中長期試算と言われるものが内閣府から7月に出されております。青い折れ線が1月の試算でございます。実は昨年度の税収が、決算で見ると非常に伸びておりまして、史上最大の額となりました。それに基づきまして、今後の見通しも改善した姿となっております。この右側のグラフのとおり、成長実現ケース、赤で囲っておりますが、名目3%成長を実現する場合、コロナ禍でこれまでの歳出改革を続けますと、この赤いグラフのように、2025年度においてGDP比で0.3%分、僅かながら黒字化を達成できることになる。こうした見通しを示しております。

4ページでございます。これは、来年度予算の要求に当たっての基準となる、いわゆる概算要求基準のイメージでございます。左端の77.9兆円というのが、国債費を除く昨年度の予算でございます。左から、交付税、年金・医療等、一般的な補助金が多く含まれる裁量的経費、それから、人件費などの義務的経費と、性質別に要求の基準を定めております。一番大事なのは、真ん中の点線で囲まれました部分の、「さらに、聖域を設けることなく施策・制度の抜本的見直し」とありますが、そうしたことができるように、裁量的経費や義務的経費を要求段階で削減した場合に、追加的に、この上のほうにあります、成長推進枠として、新しい要望ができる仕組み。これによって予算の入れ替えを試みようということになっております。

5ページでございます。8月締めで概算要求・要望がまとまりました。赤で囲ったところのように、合計で111.7兆円の要求・要望が行われております。これは過去最高の額となっております。今後の予算編成過程において、しっかり内容を精査する必要があると考えております。

7ページを御覧ください。次に財政の状況でございます。7ページの資料は、いわゆる、ワニ口と言われるものでございます。国の歳出が税収を上回る状況がずっと継続しているということを示しております。そして、その差額、赤と青の線の差額は公債発行、借金によって賄われておりますが、昨年度、令和2年度を御覧いただきますと、コロナへの対応のため歳出が大きく増加し、公債発行額もかつてない額、108.6兆円となっております。

8ページでございます。これは令和2年度の補正予算、3回ございましたが、その概要でございます。25.6兆円、31.8兆円、19.2兆円と、それぞれ、巨額の財政支出を伴うものとなっております。青で塗ったところが、特にこの新型コロナ対応の要素が強いものでございます。

9ページでございます。国の財政状況のよしあしは、ストックとしての債務残高を分子にして、返済可能性のベースとなる国の経済力を合わせるものとしてGDPを分母にして、債務残高対GDP比で見ることが多いわけでございますが、この債務残高対GDP比の過去100年以上の推移を表したのがこのグラフでございます。実はコロナ以前から、第2次大戦末期と同水準にまで達しており、歴史的な借金の多さということが言えるかと思いますが、昨年度のコロナ対策のための三度にわたる補正予算によって、もう一段高いレベル、歴史上極めて高いレベルよりも、更にもう一段高いレベルに達してしまっているというところでございます。

10ページでございます。債務残高対GDP比の国際比較でございます。これはIMFで債務残高の統計が取れる世界の176か国の中で、実は日本はGDP比が最下位という資料でございます。右側のグラフは、G7の債務残高対GDP比の過去15年ほどの推移です。G7各国ともにコロナ対応で悪化をしておりますが、日本の債務残高対GDP比はコロナ以前から突出した水準となっているということでございます。

11ページでございます。30年ほど前の平成2年度と今年度、令和3年度の予算を比較しております。もう一目瞭然でございますが、ここ30年間で増えたのは、丸がついている社会保障と借金返済のための国債費の2つでございます。青い部分ですが、税収はほぼ同じ額ですので、増えた分は特例公債、すなわち借金で賄っている状態になっております。

12ページでございます。よく天の川のようであると呼んでいる資料でございます。我が国はこの横軸の国民負担率に対して、縦軸の社会保障の支出が大きく、天の川から上に外れた場所に位置しております。これが高齢化によって、2060年には更に上に離れた場所になることが見込まれております。ほかの国に比べて、明らかにバランスを失した状態になることから、社会保障改革が必要な状況にあることが見ていただけると思います。

13ページ。利払費と金利の推移でございます。グラフ中ほど、2000年の頃には、国債の金利が2.67%。利払費が10兆円という水準でございました。そこから超低金利の時代になりまして、国債残高は右端、990兆円まで増えているにも関わらず、足もとの利払費は8.5兆円と、むしろ2000年に比べて減少している状況にございます。今は利払費がこの程度にとどまっておりますが、これは歴史的な低金利に依存した、もろい構造にあることがお分かりいただけるかと思います。

14ページは、国債発行計画でございます。今年度、2021年度、昨年度、2020年度だけ市中の発行額がどかんと増えていることが分かります。特に赤い部分の割引短期国債という1年以下の国債の発行に依存した構造となっていることが分かります。国債マーケットでは、2年以上の国債の需要には限度がございまして、コロナ対策の補正予算による大量の国債発行は、この赤い部分、1年以下の国債の発行に依存せざるを得ませんでした。結果として、昨年発行した分は、今年も借換えをせざるを得なくなっております。これにより、この金利が上昇すると利払費に跳ね返りやすい、国の負担が増えやすい構造となっております。

15ページでございます。海外投資家の国債保有が増えているという資料です。海外投資家は国内投資家に比べまして、それぞれの国の財政状況に敏感に反応する傾向がございますので、そうした面からも、財政の健全性を確保する必要性が高まっていると言えると思います。

17ページからは、日本経済の状況でございます。17ページの赤い線は今後のGDPの民間の予測でございます。私は前の職場で、昨年来、コロナ対策にどっぷりと関わってまいりましたが、現在、ようやくワクチンが普及しまして、重症化を防止するための治療薬も出てきて、まさにこれから、飲食、観光、イベントといった、かつての日常の経済活動の回復が期待できる局面になっていると思います。

18ページは、家計の状況になります。青い部分がリーマンショック、赤い部分が今回ですが、今回は昨年の10万円給付の影響もありまして、実線の可処分所得は増加をしております。これもありまして、右側のグラフのように、現預金が1,072兆円と大きく増加をしております。

19ページは、この家計の現預金がなぜ増えたかという要因分析でございます。真ん中に特別定額給付金とありますが、これが10万円給付でございます。右側、消費の減とございますが、19.2兆円の要素を足しまして、合わせて右端の赤い部分、28.3兆円、家計の貯蓄増加額が増えております。これはふだんどおりの消費に戻るだけでも大きな経済の活性化が期待できると思います。

20ページは、企業の状況でございます。このグラフの赤い部分は、昨年度、コロナの影響がある中での各業種の利益でございますが、ほとんどの業種でコロナ前と変わらず利益が上がっていることが分かります。一方で、運輸・郵便、宿泊・飲食といった業種については厳しい状況にございます。こうした部門の回復が課題になってくると考えます。

21ページは、設備投資です。よく経済の先行指標と言われますが、赤いグラフを見ていただければ分かるとおり、このところ持ち直しが続いております。また、右側ですが、今年度の計画では、特にこの右下、IT関係の大幅増が見込まれております。

22ページでございます。企業の現預金残高・現預金比率でございます。企業は現預金をたくさん持っている、まだまだ投資余力があるということはずっと言われていることでございますが、コロナの中でもそうした状況が続いているということになります。

23ページは、潜在成長率、生産性といった、我が国のずっと課題とされているお話でございます。右上の資本投入量とは、設備投資のことでございます。基本的には伸び悩んでおります。さらに左下、労働投入量、要するに働く人の数ですが、過去10年ほど、女性や高齢者の参入が増えておりますが、基本的には生産年齢人口は減っており、厳しい状況にございます。この中で課題というか、ここを伸ばさなければいけないというのが、右下の全要素生産性、いわゆる生産性でして、特にこの濃い紫の、非製造業における伸びの低さを何とかしないといけない。ここが課題となっております。

24ページも、この生産性のお話でございますが、日本の生産性の水準は、左側のグラフにありますように、先進国の中で最低となっております。なぜ低いのかという要因分析をしたのが右側のグラフでして、小さい赤い部分、これがICT資本ストックと言われるものですが、下の注の1にありますように、コンピューターと通信機器が企業にどれぐらいあるかということでございます。恐らく、特にこの中小企業、非製造業を中心に、職場でこうしたITの活用が遅れているという要素が大きくあるのではないかと思います。原因が分かっている分だけ生産性上昇の伸びしろが大きいのではないかと、こうした分析でございます。

25ページは雇用の状況でございます。左側のグラフの特に赤い点線が飲食と宿泊でございます。コロナ前は外国人観光客が多数来ていたこともあり、常に人手不足の業種でしたが、2020年のコロナから一気に人員が過剰の状況になりました。また、右側に行くと、黄色い部分、女性、そのうち特に非正規の方々の雇用の減少が続いていることがお分かりいただけると思います。こうした中で、全体として経済成長を実現するには、よりニーズの大きい分野に働く人に移ってもらう。そのためにスキルアップ、これをいかにスムーズに行うかということが課題になってくると思います。

26ページでございます。このように新型コロナによって、経済運営は新しい局面に入っていると思います。その中で、財政運営についても、諸外国においては新たな動きが出ていると思います。26ページの表は各国の動きをまとめたものでございます。一言で言えばコロナによって財政が悪化した。その中で、しっかり財源を確保して、財政を再建していく動きがかなり共通に見られるようになってきているところでございます。

アメリカでは、バイデン大統領のもと、教育・医療・育児分野への投資、米国家族計画などについて、総額3.5兆ドル規模の歳出計画が公表されておりますが、財源として、大企業の法人税率引上げや、所得税・キャピタルゲイン税の最高税率引上げなどが議論されております。

イギリスでは、予算案の公表の際に、財務大臣が財政再建の必要性を演説しており、財政が極めて困難な状況にある、危機が再び来た場合に備えて財政余力を残しておく必要がある、国債金利の急激な上昇の可能性も考えられるとしています。その上で、財政再建に向けた措置として、法人税率の19%から最高25%への引上げが決定されました。

ドイツについては、リーマンショック後、債務残高対GDP比を削減してきており、メルケル首相はこれによってコロナへの対応余力があったと繰り返し表明しております。また、ドイツでは、憲法上、対GDP比の0.35%を超える借入については、極めて例外的とされておりまして、償還計画を定める必要があります。今回のコロナ対応の借入も2042年までの償還計画が公表されております。

最後に27ページは、今年の6月の骨太でございます。年末までの、令和4年度予算編成に向けた考え方でございます。まず、生産性の向上と賃金所得の拡大を通じた経済の好循環の実現。2点目ですが、社会保障改革を進めるとともに、社会保障以外の分野も含めて改革を着実に推進して、目安に沿った予算編成を行う。3点目ですが、こうした中でも、グリーン、デジタルなど、重点的な資源配分、メリハリ付けを行うと。最後に、歳出全般について徹底した、ワイズスペンディングの実現、効果の高い歳出をすることや、歳入面での応能負担強化など、歳出・歳入両面の改革を着実に実行していくこととされております。

以上、駆け足でございましたが、私からの説明は以上でございます。

増田分科会長代理ありがとうございました。

それでは、今の説明につきまして、委員の皆様方から御意見や御質問を頂戴したいと思います。会場にいらっしゃる委員の方は、いつもどおりネームプレートを立てて、また、テレビ会議システムの方は、「挙手する」ボタンのクリックをお願いしたいのですが、今回も御出席いただいている方、人数が大変多うございますので、恐れ入りますが、御発言は、おしまいの時間との関係もございますので、手短に2分以内にまとめてお願いしたいと思います。

それから、テレビ会議システムから5名程度。会場から5名程度。その後また、テレビ会議システムから5名程度。こうした形で指名をさせていただきたいと思います。従来と少し変えて、指名をしていくという形になります。

それから、発言の際には、テレビ会議システムのミュートを解除して御発言いただき、終わりましてから、また、ミュートに戻していただく。これはテレビ会議システム、それから、こちらのリアルな会場、どちらもそのような操作で御発言をお願いいたしたいと思います。

それでは、初めにテレビ会議システムで合図をしている方から指名をしていきたいと思います。5名ほど。お名前申し上げます。赤井委員、河村委員、権丈委員、冨田委員、堀委員と、この順番で、5名の方、御指名いたします。

赤井委員、どうぞ、お願いいたします。

赤井委員初めからありがとうございます。赤井です。今、お話しいただきましたように、日本の借金もものすごくコロナで大きくなっているので、もちろん必要なものは歳出すべきであると思うのですが、やはりここでの危機意識は、まさに財務省、この会議が持たないといけないということですので、ほかの方も発言されるかと思うのですが、今後、コロナで増えた分、少なくとも増えた分に関しては、どのように借金返済をしていくのか、区分経理をするのか、そうした方向性みたいなものをきっちりと出していくのが大事かなと思います。

簡単ですけど、以上です。

増田分科会長代理ありがとうございました。

それでは、河村委員、お願いします。

河村委員御指名ありがとうございます。河村でございます。大沢課長、御説明ありがとうございました。御説明でも強調くださったとおり、やはりコロナで非常に、それまでも大変だった財政が一段と大変なことになっていると。ただ、非常に心配しておりますのは、その点に関する世の中というか、国民全体の危機感というのが、果たしてどれだけ持てているのかなというところがあります。ですから、今も御説明くださいましたが、例えば、14ページのところであったような国債が、割引短期国債、これ80何兆円に頼らざるを得なくなっている。非常にこれが厳しい、どれだけ大変なことかといったところ、こうしたところを引き続ききちんと財審として発信して、国民にしかるべき危機感というものを持っていただくことが大事なのではないかというふうに思います。債務残高が歴史的に見ても、これは9ページのところ、それから、よその国との比較を見てみても、10ページのところ、本当に高い水準まで来ているということは御説明くださったとおりで、私が思いますのは、どうもこの国、毎年毎年の予算編成での財政赤字の幅、プライマリーバランスの赤字の幅どうのというところは議論するのですが、1回予算編成をやっちゃうと、「後はもう知りません」的なところが正直言ってあると思うのです。1回借金を借りちゃったら、「もう知らない」的な。それがやはり結果的に、これだけの借金の積み上がりにつながってしまっているのではないかというふうに思います。

ですので、今回も5ページのところで、概算要求のところ、お示しいただいた中で、国債費のところは上のところの経費と分けてお書きくださって、もちろん性質違いますので、概算要求のレベルであればこうした形でよいと思うのですが、今後、やはり歳出の中でも、国債費のところをきちんと、どういう制度によって、どれだけ債務償還とかに回せているのかというところを、きちんとこの財審としても国民にお示しして、こんなに借金しているんだが、毎年これだけしか返せていないということをちゃんと示したほうが良いと思います。

債務の償還のやり方は3つあって、定率繰入れ、それから、決算剰余金の繰入れ、それから、予算繰入れとあると思いますが、例えば4年度の概算要求のところで、国債費が膨らんだのが、この決算剰余金というのが結構多かったというような影響があったというふうに伺っておりまして、本当に良かったと思いますけど、これはやはりある意味、来年度はほかの年度に比べれば、前向きに過去の借金を返せたのであるというところもきちんと示すような形で、やはり国民にきちんと現実を理解してもらって、財政運営がどれだけ厳しいかということを理解していただくようにしていくのが良いのではないかと思います。

コロナ対策費については、赤井委員からも話がありましたが、やはりこの区分経理というか、特別会計のような形にするとか、それから最後に御説明のあった、諸外国ででも、やはりこれだけ大きな経費を使ってコロナ対策をして、何年までに国全体として償還していくのかということを考えてらっしゃる国がたくさんあります。やはりそうしたところも見習って、我が国としても考えていくべきであると思います。

以上です。

増田分科会長代理権丈委員、お願いいたします。

権丈委員どうもありがとうございます。手短にひとつお話しします。

資料の11ページ、12ページのところで、給付と負担の不均衡を解消し、制度の持続可能性を確保するための改革が急務ということが指摘されております。制度の持続可能性のために適切な給付になるような改革の必要性については、しっかりと取り組んでいくべきであると考えております。

くわえて、11ページに示していただいたように、これだけの特例公債を減らすために、社会保障給付を減らすということで対応するのは、現実、極めて難しいということもあると考えております。高齢化の水準もございますし、この中で医療供給体制の整備も必要です。子育て支援の重要性や基礎的なサービス提供者の所得の確保をはじめ、分配の重要性が指摘されているところでございます。社会保障制度、再分配政策の持続可能性を高めるためにも、社会保障制度の見直しとともに、財政の持続可能性にもぜひ取り組んでいただきたいというふうに考えております。

以上でございます。

増田分科会長代理それでは、冨田委員、お願いいたします。

冨田委員ありがとうございます。日本国債の信認を維持する上で、我が国の財政が健全化に向かっていることを絶えず、国民と市場に示す必要があります。そのためには、信頼できる財政健全化目標の下で、目標に向かって進んでいるということが示される必要があります。

今日御説明があった資料の3ページ、右のグラフは、2025年度にプライマリーバランスが黒字化することが辛うじて確認できることを示してはいます。ただ、それには幾つもの前提があると思います。名目で3%の経済成長率が続くという成長実現ケース、その下で、2025年度のプライマリーバランスを2兆9,000億円の赤字と見込み、さらに年平均で1.3兆円の歳出効率化による改善分を取り込み、1.7兆円の黒字と見込んでおります。しかも、これには暗黙に補正予算がないという前提が置かれているように思います。また、補正予算が組まれるとしても、財源確保がなされ、プライマリーバランスに影響を与えないことが前提となっております。

一方、今日、8ページで御説明がありましたが、2020年度の補正予算についてですが、コロナ対策はもちろん、それ以外の青色のついていない予算項目であるグリーン、デジタルで2兆8,000億円、国土強靱化などで3.1兆円、これらも財源を確保することなく盛り込まれました。補正予算について、当初予算はいっぱいいっぱいで歳出を増額できる余地がないので、重要な新規政策は補正予算に盛り込まねばならないという大きな声も聞こえてまいります。

骨太2021には脚注の小さな字で、また、本日の資料でも2ページの一番下に小さな字で遠慮がちに書かれていますが、新規政策には財源確保義務を課すと分かりやすく明確に示す必要があると思います。

また、ベースラインケースでは、2025年度のプライマリーバランス赤字が7.8兆円と見込まれておりますので、目安に沿った当初予算編成を行い、歳出効率化を続け、補正予算を組まないか、財源確保義務をつけるとしましても、目標達成には、更に厳しい歳出入改革が必要となると思われます。

以上です。

増田分科会長代理それでは、堀委員、どうぞお願いします。

堀委員堀です。成長率を上げるという点から見ても、今、日本の生産性が低いと言われていますが、本日の資料にもありましたように、生産性を上げていくということ、それから賃金の向上等が重要になってくると思います。

経済成長等で原資が得られることで、分配が進められるということは、そのとおりであると思うのですが、日本は今、かつての高度経済成長期のような人口ボーナス時代ではなく、未曽有の人口減少基調にあります。人口動態を踏まえますと、人口オーナス時代とも言われていますが、過去と同じような水準ほどには期待することには限界もあると思いますので、持続的な財政健全化も、持続可能な社会保障という視点も重要です。その意味で、引き続き、令和3年の春の建議で求めた歳出改革は求めていく必要があると思います。また、将来的にはパイの拡大、パイの見直し、給付範囲の見直しも含めて、議論は今後とも続ける必要があると思います。

他方、そのためには国民の理解が何よりも重要であると思うのですが、先ほど他の委員からもありましたが、コロナ禍で財政出動があったということもありますが、財政健全化に対する国民的関心、あるいは危機意識が全般的に下がっているのではないかと思っております。今回のコロナ禍の世界的な教訓としましても、緊急事態に躊躇なく財政出動するためにも健全化が必要であるということは世界的には明らかになっていると思いますし、今回、ドイツ、イギリスも、本日の資料にもあったと思うのですが、将来の増税も含めた新たな財源の確保や財政再建に向けた議論もされていると思います。

個人的には、こちらにもありますが、債務の法定上限の導入など、債務発行を厳しくするという考え方もあり得るのではないかと思うのですが、現実的には政治的、経済的情勢で難しいと思いますので、少なくとも、今、閣議決定されていると思うのですが、プライマリーバランスの黒字化は必要であると思います。社会保障との関係では、マクロレベルでは公費に依存すると言いますか、給付先行型の負担になっているところがあると思いますし、相対的には負担に対して給付のほうが多いと思われるのですが、他方、ミクロレベルではそこまで国民の受益感が感じられていないというところがあるのではないかと思います。また、本当に困っている人たちに必要な支援が届いているのかどうか、ワイズスペンディングがなされているかを検証するためにも、マイナンバーカードの活用による所得補足は困窮者の実態把握という視点からも必要になるのではないかと思います。

いずれにしても、公費に頼る構造がこのまま続きますと、財政悪化の要因が社会保障であるというふうに書かれていますし、私自身それを強く否定はしませんが、パイの拡大も内容の見直しもしないままであったので、そうなるのはむしろ自然なことであり、改善をしなかったことの方が構造的な悪化要因ではないかとも。ここまでは公費に頼れたからこそ国民皆保険が持続できたというところもあるとは思いますが、これからの未来を考えると、社会保障そのものを、より自律的に運営できるように機能強化をしていく必要があると思いますし、何が社会保険の守備範囲で、何が本来、租税でやるべきなのかということを議論した上で改革を進めていくことが中長期的には必要なのではないかと思っています。

それから最後になるのですが、基本的に今回の一連の財政出動そのものは、コロナに対する医療供給体制の整備であるとか、命を守る、国民生活を維持するためには価値があったと思うのですが、全てがワイズスペンディングであったかどうかということは、後世のためにも、また若い世代の理解を得るためにも、検証が引き続き必要なのではないかと思っています。

各論については、また別の機会に譲らせていただきます。ありがとうございます。

増田分科会長代理それでは、こちらの会場のほうから御発言をお願いします。初めに、秋池委員から順次5名の方を指名しますので、お願いいたします。

秋池委員、どうぞお願いします。

秋池委員20ページに、コロナで傷んだ産業についての図がありますが、こちらを拝見しますと、この赤い棒グラフがゼロより下になっているのは、コロナ禍で大変気の毒な状況にあった産業がここにあるのかと思います。これらの産業は、23ページを拝見しますと、しかし同時に、生産性がもとより低かった産業でもあったということが言えるかと思います。これは業界の構造として、価格競争に陥りやすい産業であるということも、生産性を下げることの1つの要因であると思っています。プレーヤーが多いということが、価格が落ちやすい、価格競争に陥りやすいということの原因でもあるわけですが、だから、プレーヤーを減らすという単純な解でない部分もあろうかと思っています。ただ、生産性を上げるためにデジタル化をしていこうと思ったときに、その余力がないような企業も多いというのも事実でありまして、もし何らか、この業績の厳しさ、それからデジタル化の余地をもって生産を上げていこうということを制度的に考える場合には、この構造がそのまま戻るのではなくて、何らか変容が起こるような形で取り組まれるとよろしいかと思いました。

以上でございます。

増田分科会長代理それでは、大槻委員、どうぞお願いします。

大槻委員ありがとうございます。先ほど来、皆様からもあるように、国民の危機意識が欠如しつつあるということは問題かと思うのですが、一方で、私どもが個人の方々と接していると、案外、不安感は深く浸透している感じがいたします。結果としては、財布のひもを去年より引き締めているという方々が、若い人ほど多いのです。ただ、こうなってくると、逆に極端な楽観論にすがりたいという気持ちも少し増えてきている印象がございます。

ですので、財政の今の役割と状況というのを正確に伝えるとともに、もしかしたら、不安感をあおるだけではなくて、ポジティブな面を強調していく、健全化すれば消費も盛り上がって、ひいては企業の投資につながって給与も上がるのであるといったようなストーリーも、ポジティブにイメージしやすい形、腹落ちしやすい形で、皆様に伝えていくというのも財審として心がけたいところかと思います。

もう一つ、各論でも議論できればと思うのですが、今、変化が加速する中で、今回の予算にも表れているような国の主導が求められるようなデジタルやグリーン、それから少子化、人材育成等については、残念ながら短期的に成果が出づらいというところで、効果測定も短期的に難しいところであると思います。だからこそ、中長期的にこうした成果を出すためにこうした予算をつけるという、将来像から逆算して、するべきことは集中して投資をするという将来予見型の予算投入と、また、方向性が間違っていないことが確認できるように短期的にもPDCAをしっかり回していくということも、これまでの課題だったと思いますが、これまで以上に心がけるべきかと思いました。

以上です。

増田分科会長代理それでは、木村委員、どうぞお願いします。

木村委員秋の財審は来年度予算に向けた建議がメインであるとということは承知しているのですが、岸田新政権が昨日発足し、総理は分配重視、新しい日本型資本主義という、これまでの政策から転換されるような方向性を打ち出していらっしゃる。これはコロナ危機とかを踏まえたもので、この方向性は私も評価をしています。分配で重要な役割を果たすのは財政ですから、その財政の足腰を強める、そうした方向に向けて、財審としても、短期的な視点ではなくて、中長期的な考え方を整理する必要があるのではないかと考えております。

短く3点だけ申し上げますと、1点は、内閣府の中長期の財政試算、いわゆる財政の想定の前提となる経済見通し、一応、この財政試算では、2025年度のプライマリーバランスの黒字化は可能であるというふうにしているのですが、その前提となる成長率の見通しが甘いのではないかというふうにも言われています。そのままであると、結局、自然増収頼みで、歳出抑制の機運がしぼみかねないので、保守的なベースラインケースを前提として、そうした見積りで考えていく必要があるのではないかというのが1つです。

それから、もう一つは、歳出抑制です。今回、新内閣は、年末に大規模な補正、経済対策というのを検討されているようです。ただ、その前に、これまでの経済対策の検証というのが必要ではないかなと。資料にもありますが、昨年度の予算は巨額の経済対策を盛り込みましたが、結局、30兆円という大きな異例の規模の繰越しをしたわけです。ここは、どこまで本当に必要な予算が入っていたのか、不要不急の予算は本当になかったのかということはきっちりチェックしていく必要があると思いますので、そうした意味で、今後、コロナ対策としての支出は当然必要ではありますが、既存の事業の見直しがなければ、結局、予算がどんどん膨らんでいく一方ですので、こうした過去の経済対策の費用対効果というのもきちんと検証していく必要があるというのが2つ目です。

3つ目は、財源です。既存の事業を見直しても、財源確保は限界が当然あるでしょうから、資料にも欧米の例を出されていますが、特にアメリカのバイデン政権とかは中間層再生、これは岸田総理もおっしゃられているような中間層の再生と重なるところがあると思いますが、バイデン政権は、法人税、所得税、キャピタルゲイン課税、それぞれ財源を明示していますので、日本でもこうしたしっかりした議論が必要だなと考えております。

以上です。

増田分科会長代理では、熊谷委員、どうぞお願いします。

熊谷委員ありがとうございます。大きく2つ申し上げます。1つ目は、13ページで、利払費と金利の話がございましたが、今回の自民党総裁選の中で、PBの目標を凍結するという議論がありましたが、私はやるべきではないと思っています。ポイントになるのは御存じのとおり、ドーマー条件、名目GDP成長率が長期金利より高いという条件です。これは調べてみると、1991年から2020年の期間で見て、勝率は僅か30%しかないということでございますから、この条件を満たすことにベットすることは、いわゆる「ディフィシットギャンブル」であり、世界第3位の経済大国であるわが国がこうしたギャンブルのようなものに国家の命運を委ねるのは厳に慎むべきであると考えます。

それから、2点目として、昨日、岸田内閣が成立をして、「新時代共創内閣」ということをおっしゃっています。私自身が、今後どういう時代になるのだろうかということを考えてみますと、6つの潮流があって、まず1つ目の潮流として米中対立の激化が予想されます。この面では経済安全保障であるとか、グローバルサプライチェーンの再構築などをしっかりとやらなくてはいけません。

2つ目のキーワードはサステーナビリティー、持続可能性です。ここではグリーン化、社会保障改革、医療供給体制の改革、そしてステークホルダー資本主義への転換などに重点的に取り組んでいくことが肝要です。

3つ目がダイバーシティー(多様性)、4つ目がインクルーシブネス(包摂性)です。これらについては2つセットで申し上げますと、例えば格差の是正であるとか、貧困対策、少子化対策、経済連携協定や国際金融都市構想といった国を開いていく政策、などを進めていく必要があります。また、労働市場の流動化を前提としたセーフティーネットの再編なども重要なポイントです。

5つ目の潮流は産業構造の激変です。この面ではやはりデジタル化を進め、また、産業、企業の新陳代謝であるとか、労働市場の流動化に取り組む。また、ベンチャー企業の育成であるとか、無形資産への投資の促進なども鍵となります。

そして、6点目として、中央集権型から自律分散型ネットワークへの組織や社会構造の転換という潮流がございます。ここでは、国と地方の新たな役割分担を設定する必要があります。平時は地域間競争を積極的に行うが、緊急時であるとかデジタルに関しては、国が一元的に管理をするというような新たな国と地方の役割分担を考えたり、もしくは、あらゆる組織をフラット化したりすることが重要です。

ここまで申し上げたような新しい時代に即した重点的な施策については、しっかりと予算をつける一方で、無駄を徹底的に省く。やはり、メリハリをつけてワイズスペンディングを行っていくことが肝要です。先ほど資料の中で、「聖域を設けることなく施策、制度の抜本的な見直し」という言葉がございましたが、そうした形で、新たな時代を見据えて、やることとやらないことをしっかり区分けをして、メリハリをつけたワイズスペンディングを行うことが極めて重要であると考えます。

少し長くなりましたが、私からは、以上でございます。ありがとうございました。

増田分科会長代理それでは、小林委員、どうぞお願いします。

小林(毅)委員どうもありがとうございます。今回、コロナの関係で歳出が非常に増えたということは、ある意味やむを得ないのでしょうが、そのあまりの歳出圧力が非常に強かったということはあると思うのです。いろいろ手は打っても、まだ足りない、まだこれでは楽になっていない、少なくとも苦しい状況が続いているという。ただ、そこの1つの原因としては、国というか、予算は執行されているのに、それが国民の手元に届いていない、あるいは事業者の手元に届いていないということが、そうした不満につながっていった。それを聞いて、政治のほうが、また足りないからもっと補正を組めというような話になっていったという側面は絶対否めないと思います。

では、なぜそうしたことが起きたかというと、これは何度も指摘されているのですが、明らかに途中で目詰まりが起きていた。国と地方との連携がうまくいっていなかった。まず、そこの部分を、それは実はもしかすると、今回、コロナで表面化したが、ずっと昔からそうした問題があったのかもしれない。であるとすると、そこで大きなロスができていたのではなかろうかと、少しそうしたふうな視覚、見方をする良い機会になったのではないかと思われます。つまり、そうしたノイズと言いますか、そうしたロスと言いますか、その部分がどこにあったのか、それは改善できるものなのか、できないものなのか、やるためにはどうしたら良いのかということを踏まえた上で、それに直結していくようなある程度の予算措置、財政措置も見直して見ていく必要があるのではなかろうか。それが少し長い目で見ていけば、全体の財政の効率化につながるのではなかろうかという気がいたします。

もう1点だけ、先ほどから、我々はどうも国民は財政に対する規律、財政健全化に対する意識が足りないのではないかというような、ある種の先入観があって議論をしているように思うのですが、必ずしもそうではなくて、それは典型的な例は、やはり年金に対する不安が物すごく高まっている。この年金に対する不安は、取りも直さず、財政に対する不安と極めて近いものがあると思います。であるとすると、したがって、当然、何か手をつけてほしい政策というと社会保障は必ず上位に来ます。これは必ずしも、もっとお金をくれという話ではなくて、持続が可能な制度にしてくれということも含まれております。つまり、それを、ただ単に給付を増やせというふうに変換して、言葉を変換してやっている政治のほうに、むしろ問題があるのではなかろうかという気がいたします。この辺りのところを、こうしたふうな意識で、来年の予算を編成していかないと、財政はまた膨張するだけになると思います。

以上です。

増田分科会長代理ありがとうございました。 続いて、オンラインのほうに移ります。それでは、指名いたしますが、宇南山委員、神津委員、小林慶一郎委員、田中委員、福田委員、の順番で発言をいただきたいと思います。

宇南山委員、どうぞお願いいたします。

宇南山委員ありがとうございます。宇南山です。今回のスライドの20ページ目を見ておりますが、コロナの影響が大きく出て、支出を非常に多くしなければいけなかったということは事実であると思うのですが、このグラフを見る限り、本当にその支出規模は適切だったのかということは、やはり疑問に思うわけでありまして、ここのところ、助成金とかの扱いがこの利益の中でどういうふうに反映されているかは精査する必要があると思うのですが、もしもコントロールする前であるとしたら、たかだかと言うと怒られてしまいますが、非常に深刻なダメージを受けた産業ですら、二、三兆円の赤字というような危機に対して、数十兆円のお金を使っているという事実は、バランス感覚としてどうなのかということは、問いただすべき問題であると思います。その意味では、最も簡単な財政維持という意味でいうと、こうしたグラフをどんどん見せていって、本当にコロナは深刻な影響があるのですかということを問い直していくことが非常に重要なのではないかと思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、神津委員、お願いします。

神津委員ありがとうございます。

先日、緊急事態宣言が解除されましたが、これで新型コロナウイルスとの闘いが終結に至ったというわけではもちろんないわけでありまして、依然として先行きが不透明な中で、国民の暮らしと雇用を守る。その一方で、コロナ禍が浮き彫りした様々な脆弱性、この是正に向けた取組も不可欠ということであると思います。したがって、一定の財政出動を伴う予算編成は不可避であるとは思います。ただ、当然その必要性については十分な精査を行うべきでありまして、今、宇南山委員からもあった御意見、私もそうであると思います。規模ありきとか、総花的な対策ではなくて、国民の暮らしに直結する項目、そして新たな成長や雇用の創出につながる、そうした項目に重点的に配分すべきであるということを申し上げておきたいと思います。

そして、つい先日来の自民党総裁選、様々な政策、いろいろな形で出されました。また、選挙目前ということで、野党からもいろいろな政策が出されているのですが、率直に言って、いろいろな政策の話を聞いても、むしろ不安が高まるばかりだなというふうに思います。持続可能な社会を将来世代に引き継ぐ責任、これを果たすために、健全化に向けた不断の取組、これがなければならないと思いますが、そうした辺りの議論が極めて欠けているというふうに思わざるを得ません。将来にわたって安定的な財源確保に向けた歳入側の改革とセットで、つまり社会保障と税の抜本的な改革について、スピード感のある議論を進めるべきであるというふうに思います。

また一方で、デジタル化、グリーン化、そうしたイノベーション、これは積極的に進めていかなければなりませんし、産業構造の大転換も避けては通れないということであると思います。雇用など社会経済への負の影響を最小限にとどめることも同時に必要であって、公正な移行、あるいは失業なき労働移動という言い方もありますが、それらについて政労使の積極的な社会対話が不可欠であるという点も申し添えておきたいと思います。

最後に、財政規律の観点から、これまでのコロナ対応で投じた財政支出の効果検証も含めて、諸外国の取組を参考にしながら、中長期的な財政運営の客観的評価、そして監視を行う独立財政機関、これを設置すべきであるということも改めて申し上げておきたいと思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、小林慶一郎委員、お願いします。

小林(慶)委員小林です。3点ほど申し上げたいと思います。

1つは、コロナ対策です。コロナはまだしばらく続くということが予想されていますので、あと1年、2年あるいは3年ぐらいの間、このコロナ対策で財政支出が出ていくことが考えられるということは覚悟しておかなければいけないというポイントであると思います。ただ、いろいろ委員の先生方がおっしゃったように、規模ありきの話ではなくて、やはり特定の産業や特定の社会階層の方にコストが集中しているというところが問題なので、ある種、財政支出のミスマッチが起きないように、あるいは目詰まりが起きないように、しっかりと検証していくことが必要になってくるということであると思います。ただ、全体的に財政を抑制的にするというのもまた問題であるというふうに思いますので、全体の規模はなるべく小さくしていく、しかし、例えば飲食業、あるいは非正規の労働者に対する支援など、そうした特定の階層への支援はしっかりと充実させる必要があると思います。

2つ目は、今言ったようなコロナ対策に対して財政を出していくのであれば、やはりそれに見合った財源を将来どうするかという、その償還のスケジュールのようなものを立てる必要がある。これは先ほどドイツの例を最後に紹介されていたと思いますが、田近先生もおっしゃっていたと思いますが、そうしたドイツのように、あらかじめ償還のルールなりスケジュールを決めて、その後で財政出動をするというようなことができれば一番良い。ですから日本もそれを目指して、今後の長期的なコロナの支出に対する償還スケジュールを考えるべきであると思います。

ただ、3つ目に、今言ったような長期の償還スケジュールの話は、すぐには政治的に議論にならないかもしれません。ですので、ここで御提案したいのは、こうした財審の資料のようなものに、例えば長期的な、50年先とか60年先、100年先を見据えて公的債務比率を安定化させるために、本当はどれぐらいの収支改善が必要なのかと、そうした計算を機械的にやって、それを国民の目に明らかにするということが必要なのではないかと思います。財審の何年か前の資料で、例えば、たしかこれから先、100年先ぐらいを見越して債務比率を安定化させるには、GDP比で14%程度の財政収支改善が必要であると、そうした計算が参考資料で載っていた年があると思いますが、それと同じような計算を、ではコロナで更に借金が膨らんだ今、どうなっているのかと、GDP比何%ぐらいの収支改善で長期的な債務比率の安定化が実現するのかというようなことを、それが政治的にできるかどうかはともかく、少なくとも議論のベースとして国民の目に明らかにする、計算した結果を示すということが、まず出発点として必要なのではないかというように思います。

長くなりました。以上でございます。

増田分科会長代理それでは、田中委員、お願いします。

田中委員田中です。御説明どうもありがとうございました。

コロナで大変な状況に陥ってしまった方々もいて、そこには対策が必要ですが、不健全な方向に向く日本の財政については、常に、例えば公債でまかなわれるとか、割引短期国債による調達というふうな説明が、これは中身の説明ですが、こうした表現を聞くと、やはりとりあえずいけるのかなというふうな気持ちになってしまうという現状があると思います。危機感を国民全体で共有して、やはり現状の姿を理解して、未来に向かって活動するということが必要で、アフターコロナのめどはまだ分かりませんが、17ページのグラフのようなものを共有して、仕切り直しで前を向けるようにしたいと、そして、予算投入の成果や効果を見える化するということが今こそ必要であるというふうに感じます。そうすれば、国民一人一人が経済活動を実感できるといったような文脈の作成と、理解浸透ということになるのではないかというふうに思います。

今回もグリーン、デジタル、子育て等の、明確でメリハリの利いた重点的な予算投入がなされますが、この何年かは割とKPIをしっかり出すというふうな動きも、財審からの発信もありますから、これまでの成果及び失敗を検証してもらって、ワイズスペンディングの中身、内容を見いだしていくということは有効かなというふうに思います。

もう1点は、23ページにあるグラフの生産性のところなのですが、コロナ下で働き方改革がかなり進んだと思われますし、このグラフはちょうど2018年で終了しているのですが、2018年以降はAIやDXの効果が見られまして、工夫を重ねてきた生産性向上への取組が加速したのかしないのか、これをまた検証できたらというふうに思います。

以上、よろしくお願いします。

増田分科会長代理それでは、福田委員、お願いします。

福田委員ありがとうございます。手短にお話しさせていただきたいと思いますが、私も、多くの方がおっしゃっているように、これからの財政支出、必要なところには支出するという観点は依然として必要かもしれませんが、ワイズスペンディングという考え方は非常に重要であるというふうに考えております。特にコロナは、まだ収束するかどうか不確実ですが、少なくともいろいろな経緯は、1年前よりはいろいろなことが分かっていますので、ワイズスペンディングというのができるようになってきているのではないかと思います。

それから生産性に関しては、御指摘のとおり、ICTとかそうしたものの遅れは、非常に深刻であると思いますが、もう一つ、やはり労働のミスアロケーションは、我が国では深刻な問題があるのではないかというふうに、個人的には思っています。諸外国と比較した場合、雇用に関しては、もちろんいろいろ苦労されている方がいらっしゃるのは承知していますが、全体として見ると失業率は安定していて、雇用を守ることが相対的には、諸外国に比べて、こうした危機の中でもできたという傾向はあったと思います。

他方で、賃金の伸び、あるいは給与による所得の伸びは、他の先進国と比べても日本は最も低いという傾向がコロナ禍では出ています。そうした意味では労働のミスアロケーション、やはり必要なところに労働が回っていない、そして余剰なところに相変わらず人がいるという問題がありますので、雇用を守るということも大事ですが、やはり必要なところに雇用を誘導して、再配分して生産性を高めていくことが必要です。そのためのワイズスペンディングということは大事で、中間層の所得を高めるということは新政権の大きな柱ですが、それを単なる再分配で高めるのではなくて、やはり生産性が高い分野で働いたことによる分配の実現ということが大事であるというふうに考えています。

以上でございます。

増田分科会長代理ありがとうございました。

それでは、今度はこちらの会場のほうから、順次御発言いただきます。恐縮ですが、全体の時間の関係で、一、二分、二分弱で、手短にお願いします。

佐藤委員から、どうぞお願いします。

佐藤委員よろしくお願いします。では、早口で。

コロナ対策ですが、補正予算で行われていることもありまして、どうしても事前の審査が甘いということがあると思います。迅速性の観点からやむを得ないという面もありますが、やはりその場合は、事後的な評価を徹底する、かつ迅速に行うということがあってしかるべきかと思います。ここでできないなら、行政事業レビューなど、そうした場で評価を徹底するということがあってよいと思います。

2つ目ですが、やはり2025年度のPBの黒字化を先送りしないことかと思います。先送りすれば、もう二度とチャンスは来ないかもしれないし、逆に、今のまま2025年やるぞといっても、これはどうせ実現しないよねということになるかもしれない。ではどうするかというと、やはり、以前から申し上げていますが、コロナ対策の経費を区分経理にするべきかと思います。そうすれば、東日本大震災のときもそうでしたが、平時の財政と非常時の財政を分けることで、平時の財政の枠の中で2025年のPB黒字化を目指すということがあってよいのかなと思います。

3点目、最後ですが、これからデジタル化であれグリーン化であれ、新しいニーズが生まれてきます。例えば、今、令和版所得倍増計画というのがあるのですよね。これから看護師や介護職員の方々の給料を上げようという議論がありますが、これら新しいニーズについては、新しい手段を講じる必要があると思います。先ほどから、今回のコロナでも、どうしてもばらまきになってしまったと、困っている人の数はそんなに多くないはずなのに、結局巨額な財政支出をされたというのも、困っている人をターゲットにした支援の手段がないからです。今のままでいきますと、例えば介護職員の給料を上げるために、介護報酬をまた引き上げるというだけになってしまうかもしれませんので、やはりこうした方々の人件費、給料を上げるということであれば、従来の手段、つまり診療報酬や介護報酬ではなく、新しい手段を講じていくということがないと、またこれもただの財政の膨張、ばらまきになる懸念があるかと思いました。

以上です。

増田分科会長代理それでは、末澤委員、お願いします。

末澤委員どうもよろしくお願いします。私からは2点です。

1点は、3ページ目、このグラフですが、今回、この右側の試算ですと、歳出改革を進めれば2025年にPB黒字化目標を達成できる可能性もあると、こうしたことを発表されているのですが、私は少し疑念を持っています。GDP成長率について楽観的であるのは、かねてから、皆様の御指摘どおりなのですが、今回この試算の背景には、2020年度の一般会計税収が補正後5.7兆円上振れたと、これがあるのです。

私は、これは3つ要因があったと思っていまして、1つはK字回復。先ほどもありましたが、今回のパンデミックによる世界的な景気後退、これは相当、跛行色があると。つまり、巣ごもり需要があったところは、実は収益が伸びています。一方で、観光、航空、外食など、これは駄目なのですね。ただ、こちらの後者のところはもともと赤字企業が多くて、あまり税金を払っていないと。もともと高収益企業は今回収益が伸びているので、実は税金を払えている。2つ目が資産価格の上昇、これは世界的な金融緩和の影響です。株価、日経平均で今年の3月、バブル後初めて3万円、回復しました。ただ、今日は実は1,000円近く下がっていまして、2万7,000円台なのです。3つ目が財政出動、これも世界的な未曾有の規模の財政出動です。

つまり、何が言いたいかというと、この3つの要因によって税収はそこそこ下支えられたのですが、今後コロナが収束していくと、3つが逆噴射する可能性があると。なぜかというと、良いところが悪くなって、悪いところが良くなるのですが、悪いところは累損を抱えていますから税金を払わない。金融緩和の縮小、特にアメリカもこれからやります、年末までに。来年は利上げの可能性があると。そうしたことによって、もう既に今、足もとで、世界的な株価が少し変調を来している。3つ目の財政出動、これもやはり減ってきますし、来年にかけては中国の問題もあって、世界景気はもう少しこれから落ちていく可能性があると。つまり、このGDPの見通しが実現したとしても、実は税収は伸びない可能性があるということです。ここは少し注意して見ておく必要があります。

2つ目は、やはり今回のパンデミックで大きな影響が起きたのは、国内的に見ると出生数の大幅減少。2019年の86万人が、2020年には84万人に減って、今年は80万人前後まで減少する、これはなかなか今後リカバリーが難しいと。くわえて、今回パンデミックが起きているが、例えば大地震の発生リスクが減退したわけでもない。気候変動も、パンデミックで少し気温上昇が止まるかと思われましたが、今年の夏は過去最高なのですね、世界的に、夏の平均気温が。つまり、あまり気候変動要因にプラスになっていない。また、米中の対決ですね、覇権争い。私は、北京オリンピック・パラリンピック後は相当厳しい状況が来るのではないかと、来年は、10月に中国で第20期中国共産党全国代表大会、11月8日にアメリカは中間選挙がありますから、実は地政学的リスクが噴出する可能性もあって、あまり来年、楽観できないということで、やはり少し保守的に見ておいたほうが良いのではないかということでございます。

以上でございます。

増田分科会長代理武田委員、お願いします。すみません、時間のほう厳守でお願いします。

武田委員はい。では、結論のみ、3点申し上げたいと思います。

1点目は、皆様おっしゃっているように、中長期の財政規律の維持、これをぜひお願いいたします。2点目は、天の川の適正化の議論です。御説明がございましたが、菅政権の下で、75歳以上の窓口負担2割を実行いただいたことは大変すばらしかったと思いますが、その先の全世代型社会保障改革の歩みを止めぬようお願いいたします。特に給付と負担のバランスの適正化、適切な社会保障の範囲、この議論をぜひ前に進めていただきたいと思います。

3点目ですが、秋の財審は各予算の議論を中心に行うことは理解しておりますが、本日も議論にあったコロナ禍で浮き彫りになった課題、それから日本の生産性を高めるために何をすべきかという点は、必ずしも分野に限られた、各予算に閉じた話ではありません。デジタルの活用が各分野で必要ということなどより分野横断の視点、俯瞰的に見た議論をお願いできればと思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、中空委員、お願いします。

中空委員ありがとうございます。私も手短に、3点申し上げます。

1点目は、政権交代時にあるということは、実は危機であるということが1点目です。日本のことを必ずしも言っているわけではなく、アメリカでもドイツでも、やはり財政規律は今緩みやすくなっている、ここを理解しなければいけないのではないかということが1点目。

2点目は、信用を維持することの意義です。先ほど来出ています短期国債が、外国人がいかにも喜んで買っているように聞こえましたが、それはそうではないのです。今の金利観があってこその短期国債の購入になっています。そうすると、それを引き続き買ってもらおうと思うと、格付を維持するしかないので、そうした意味では格付を維持することが必要なのであると思います。

3点目、最後になりますが、これは恐らく難しいと思っているのですが、この財審の私たちが、少し空気を読まないということを努力しませんかということです。例えば、コロナだから仕方ないよねというふうになってしまう。コロナだから仕方ありませんと債務を増やす人は、どうしても信用できなくなる。なのでこの場は、私たちは少し賢くなり過ぎているので、空気を読まず、何をしなければいけないかということを伝える会にしていけたら良いなというふうに思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、平野委員、お願いします。

平野委員ありがとうございます。それでは、少し絞って、2点だけ言います。

新政権が誕生いたしまして、総裁選挙の中でも岸田さんは、成長と分配の好循環といったことを言われたわけですが、それをやっていくためにも、やはり政策の優先順位とワイズスペンディング、これが必要であるということです。分配のためには成長が必要である。実際、ポストコロナを考えると、各国はGXとDXを軸にして、大規模な国家的な戦略を推進しているわけです。特にこの両分野、日本は立ち後れが目立ちますから、思い切った対応が必要であるということは間違いないと思います。これに失敗すれば、日本の国際的な地位はますます低下することになると考えます。特にGXは、これまでの社会、産業の在り方を大きく変えるものであるし、非連続的なイノベーション、あるいはエネルギーインフラの構築なくしては、2050年のカーボンニュートラルの実現は困難ということです。したがって、こうした領域での政策対応を避けることはできないということです。

ただ、皆様先ほどからおっしゃっているとおりで、財政の現状に鑑みれば、あれもこれもというわけにはいかない。我々企業経営の要諦は、戦略の明確化と資源配分ということですが、国家の運営というのも同じであると思います。財源というリソースが限られている中でやるべきことは、やはり政策の優先順位の見直しということだし、別の言い方をすれば、国家的な資源配分の見直しということになるのではないかと。

それともう一つ、施策の生産性とも言えるべき有効性を高める、これがワイズスペンディングであると思っています。社会保障改革、これは待ったなしですし、それからコロナ禍への対応に関しても、これまでの施策の有効性を検証した上で絞り込む、一般的に言って賞味期限切れになった施策は本当にないのかということで、スクラップ・アンド・ビルドを進めるべきであると思います。それが1点目です。

2点目、そうした中でやはり重要なのは、財政規律を保って、ワイズスペンディングを実現するための制度的な枠組みの必要性ということです。これは先ほどから皆様、何人かの方が御指摘になっておられますが、やはり海外の例に倣って、中長期の財政政策、財政計画を策定し、できればそれに上限をはめるという形で、補正予算も含めて中長期の財政計画を立てていくための制度的な枠組みを必要としているのではないかと思います。やや牽強付会と言われるかもしれませんが、気候変動と財政には共有地の悲劇という、似た面があるのではないかと思います。EUとかドイツ、英国では、気候変動政策に関する独立機関が設置されており、モニタリングをやっているということなので、これは財政に関しても共通なのではないかと考えられます。まさに共有地の悲劇を招きやすい領域に関していうと、独立機関が有効に働くということですので、この場でどこまで議論できるか分かりませんが、ぜひそれも念頭に検討を進めたいと思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、オンラインのほうで、土居委員、続いて上村委員、このお二方に発言をお願いします。土居委員、どうぞお願いします。

土居委員ありがとうございます。

事務局から御説明ありましたように、まさに我が国の財政状況は、コロナによって更に悪化したということを感じざるを得ません。7ページにあります国の一般会計の歳出総額と公債発行額、これを比したものは公債依存度というふうに呼ばれておりますが、令和2年度の決算ベースでの公債依存度は73.5%と、約4分の3を公債に依存したという記録的な財政の年になってしまったと言わざるを得ないわけでありまして、後世、4分の3も一般会計の歳入を公債によってまかなったということで、後ろ指を指されるということすらあり得るのではないかというふうに心配しています。これが今後、我々がコロナから立ち直るために必要だったと言えるようなものにしてこそ、後世に恥じないものになるのではないかというふうに思うわけです。

そうした意味では、それぞれの委員の方の御指摘にあったように、我が国の経済の生産性を高めることも併せて、財政の立て直しにも今後目を向けていく必要があると思いますし、財政を立て直すということと、目先困った方々に対して財政支援をするということは、私は両立するというふうに思っています。財政、歳出改革の努力というものは、それはそれとしてしっかり進めていくことと同時に、必要に応じて、メリハリをつけて支援をしていくと。何も低金利だから改革努力は必要ないというわけでは決してないと、金利が上がるまで改革努力はしなくてよいなどというようなことではなくて、むしろ、時間は待ってくれませんので、改革努力をする、財政健全化に向けた努力を進めていくことは、決して大型の補正予算を組むということと矛盾しない形で、私はできるのではないかというふうに思っています。2025年については、事務局が示したように、まさに歳出改革がその原動力になり得ることですから、決して健全化目標を後退させることのないように進めていく必要があるのではないかというふうに思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、上村委員、お願いします。

上村委員ありがとうございます。上村です。簡単に発言いたします。

まず、コロナ対策にせよ社会保障にせよ、薄く広くばらまくということではなく、必要な人、あと必要な組織に、必要な資金、サービスを効率的に迅速に給付するという、この考え方が重要であると思います。給付のターゲット、効率性を高めていくということは非常に重要であって、そうした仕組み、体制をいち早くつくっていくことが重要です。

また、今月末に選挙があるということですが、今後の政治的な状況によっては、歳出圧力に加えて減税圧力も出てくるということがあるとすると、非常にそれは懸念しています。財政状況の理解とともに、フリーランチは存在しないということを、受益があるのは負担があるからであるということについての理解を得ていく努力が必要であると思います。

最後ですが、この2年ほど極端な歳出増が続いているわけですが、この極端な歳出増となっている状況に慣れてしまうということが一番怖いと思っています。今の状況が異常なのであって、正常ではないという発信とともに、これまでの歳出増に対する公債発行、公債をいかに返済していくのかという、そろそろ出口戦略を考える時期になっていると思います。

以上です。

増田分科会長代理ありがとうございました。それでは、こちらのリアルの会場のほうに戻りたいと思います。

広瀬委員から御発言をお願いします。

広瀬委員コロナも1年半たって、いろいろなものが見えてきた、あるいは分かってきたのではないかなと思います。何といってもワクチンと治療薬の国産化というか、純国産化、これはもう喫緊の課題で、財政面をはじめ、政府の強力なサポートが必要ではないかなと。それから、国民生活と経済活動が平常に戻る、いわゆる安心できるウイズコロナ、これは誰でも重症化する前に治療が受けられる、万が一重症化しても命は助かる、これが安心できるウイズコロナですが、一番手っ取り早いのは、やはり医療体制がしっかりしているということであるということが、だんだん分かってきたのではないかなと。

その医療体制ですが、もちろん新たに充実させることも必要ですが、日本の医療体制はもう世界でトップレベルですから、むしろ問題は、その目詰まり、あるいはひずみ、そうしたことがあって、なかなかうまくいかない。そうした面では、財政面からはなかなか難しいと思いますが、政府全体で取り組むべきではないかなと思います。

それから2つ目は、当面は確かに、大きな打撃を受けているような産業や困窮している方たちに対する支援が必要です。特に中小企業の事業と雇用を守るということが必要ですが、一方で、ある程度収束した段階で、この借金を返すということになると、やることは歳出削減、これはもう社会保障改革、それから歳入の増大ということになると、やはり増税のようなものは避けられないのではないか。いずれも痛みを伴いますから、国民のコンセンサスを取るということは非常に難しいと思います。ただ、少なくともコンセンサスを取るような努力を今からやっておく、これは相当長い時間がかかりますから、今からやっておく必要があるのではないかなと。確かに今、財政再建やプライマリーバランスということを言いにくい時代になっていますが、旗を大きく振れとまでは言いませんが、少なくとも旗を降ろさない、できれば今までより少し高く上げておくということが、今必要なのではないかなというふうに思います。

以上でございます。

増田分科会長代理それでは、神子田委員、お願いします。

神子田委員私も、国民の危機意識は結構あるのではないかと思っていて、有力な政治家が、国は幾ら借金しても日銀がお札を刷ればよいのですという話をすると、恐らく子供でも、本当かなというふうに思っていると思うのですね。だから、そうした価値観はともかく、財政のリアリティーというのを伝えていくのは、これからも財審の仕事であり、メディアの役割でもあると思っております。

実際、見える化する上で、例えば今年、先ほど説明ありましたが、予算要求の段階で当初より1割減らして、それから成長に資する分野の予算を3倍増やしてよいですよという話ですが、これがうまくいくと、少なくとも1割予算が入れ替わって、スクラップ・ビルドになるのですが、1割は相当な額だから、本当に入れ替わるのかと思うし、その予算は一体何だったのだろうと。どれがなくなって、どれが入ったのだろうという、そうしたものを省庁ごとに見える化してもらうと、これまでの予算の問題点が出てくるのではないかなと思いました。やはりその3倍の中に同じ予算の看板のかけ替えのようなものも入ってきて、それをきちんと財務省が査定してくれるかどうかなんていうのも、やはりきちんと見せていったほうがいいかなというふうに思います。

2025年のプライマリーバランスですが、私は、以前、実現できない目標は早めに訂正したほうが良いのではないかというふうに言っていたのですが、今は逆に、この2025年というのを、2025年まで変えないで、2025年になったらどうなったかというのを結果で見せたらどうかなと。コロナだからと言っているのですが、ではコロナがなかったらどうなっていたのかというところも分析して、実はコロナがなくてもできませんでした、だったのか、いや、コロナがあったからできなかったのです、というのか、それもきちんと説明ができるような数字で示したら良いかなと思いました。

あと最近、日銀が金利を抑えていて、要は国債費などが抑えられるので借金しやすくなっているという話があって、政治家なんかにそう説明すると、政治家は、だから今使っているのだろうという答えが返ってくると聞いたのですが、これは企業などでも、金利が安ければ、その際に必要な設備投資をするというのと同じではないかというふうに言う人もいるのですが、ただ、企業はやはり、無駄な投資はできるだけしないようにしていると思うので、その辺、国も、無駄な公共事業についてなど、これまでもやってきたと思うのですが、これからも引き続きやっていく必要があると思います。

最後に、来年度予算に向けて、やはり予算は年度を通じて見るものなので、補正予算も含めてどうだったのかというところで成績表がつくと思うので、ぜひ財務省の方も年末に、当初予算をこれだけに抑えたということで胸を張らないようにしてほしいと思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、宮島委員、お願いします。

宮島委員ありがとうございます。

一般の方の受け止めなのですが、もう打ち出の小づちのように、どうやら幾らでもお金は出てきそうであるというふうに思っている方と、いや、そんなはずはない、絶対にいつか何か起こるぞと思っている、両方の方がいらっしゃると思います。そのときに財審や私たちの議論がどういうふうに見えるかというときに、とにかく次の増税を狙っている人たちがいると、俺たちがどんなに苦しくても増税しようとしている人たちがいるぞ、ではなくて、自分たちのために、次にどうあるべきかを一生懸命考えている、その次の幸せのために考えていると、諸外国もちゃんとそこをバランスしてやっていることをしっかり打ち出しているわけですから、そこをちゃんと伝えるという努力が必要ではないかと思います。そうでないと、財審は、苦しくない人たちが、自分たちの中で正しいことだけを言っているみたいに聞こえかねないので、気持ちの上では寄り添い、それが長期的なみんなの幸せのためなのであるということをしっかり打ち出す必要があるのではないかと思います。

そのためには、もちろんワイズスペンディングの精度を上げることは非常に大事で、今回コロナの政策は、何といっても初めてのことだったので、失敗もあるし、いろいろあると思います。それを、政府はあまり失敗を失敗と言いたがりませんが、正直これは失敗だったということはちゃんと出したほうが良いのではないかと思います。例えば、お医者さんたちを見ていても、普通に見ていても、非常に一生懸命やっていて、みんなが、もう祈りたいぐらいの方もいれば、異様に暇になったお医者さんがいることも分かっていますし、あとワクチンの打ち手だって、お金がついたら急に増えたなという感じも持っていますし、どのお金のつけ方が最も効果的だったのかということを含めて、それはちゃんと評価していただきたいと思います。

そして、何よりその前提として、データがちゃんと集まっていなかった部分がいろいろあると思っております。コロナの専門家の方々を見ても、やはり目詰まりという単語でもそうですし、そのとき現場で起こっていることが必ずしも全部政策が打たれていたようには見えませんので、そこら辺は財務省がやることだけではないと思うのですが、その情報収集のためのデータの様々な、横串、縦串の、正確な情報の共有ということを進める必要があるのではないかと思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、安永委員、お願いします。

安永委員3点ばかり。まずコロナ、緊急事態宣言解除後の経済活動の活性化についてですが、諸外国を見渡すと、やはりいち早くコロナの感染をコントロールした中国、あるいはアメリカ、それから欧州に比べて、日本経済は、国民性もありますが、景気回復ペースが遅くなるのではないかと心配しています。自分たちの会社を翻っても、先ほど税収が伸びているというお話がありましたが、実際には、コストカットを徹底的にするとか、オンラインを利用して最大限効率を上げて、既存の仕事をうまく回すということはできているのですが、新しい成長投資に資する事業開拓ができているかという意味では、かなり課題があると思っています。

そうした意味では、感染拡大を防止する施策は継続的に取る必要はありますが、社会経済活動の再開、活性化に向けた機動的な財政支出、あるいは企業活動を支援するための様々なインセンティブづくり、優遇措置づくりということは欠かせないと思います。また、企業活動を正常化するためには、先ほど広瀬委員も言われた医療提供体制の充実強化、これに取り組むことは不可欠というふうに思います。

2番目に、DXの加速化についてですが、大企業においてはオンラインによる仕事の進め方、働き方改革というものが相当進んでいますが、申し訳ないのですが官庁、あるいは地方の中小企業においては、まだまだできていないと思います。特にデジタル庁発足に併せて、官民、民の力もぜひ使っていただいて、官民連携の下、様々な行政、教育、ヘルスケア、あらゆる分野でのDXを推進して、社会が変革していることをまさに国民に見せていくということ、それに併せてデジタルを利活用することの重要性というものを、シニア世代も、それから若い人たちにもしっかり見せていくことは必要であると思います。同時に、このイノベーションのための研究開発、設備投資に関する税制優遇措置等、あるいは人材育成についても考えていく必要があると思います。

最後に、グリーンですけれども、圧倒的にこれも日本は遅れていると言わざるを得ません。地理的な制約もありますが、これから2050年のカーボンニュートラルを目指すためには、産官学がリソースを結集して、総動員して新しいイノベーションを起こすということ。それから、足もとでの低炭素化社会の実現のために、企業も、それから個人も行動変容を促していくことが必要であると思います。そうした意味では、カーボンプライシングの在り方の検証や、あるいはイノベーションを継続的に起こすための、諸外国に劣後しない規模での複数年度にわたる予算措置というものも不可欠というふうに考えます。

以上です。

増田分科会長代理ありがとうございました。

それでは、委員からの御意見等はここまでとさせていただきます。今までの委員の御質問、御意見について、事務方から何かありましたら。

では、大沢課長からお願いします。

大沢調査課長コロナ対策について多数御意見頂きました。確かに昨年度、補正予算だけで73兆円という、空前の予算額を追加したわけでございます。思い出してみますと、私も官邸にいましたが、全く性質の分からないウイルスで、特に昨年4、5月はほとんど全ての経済活動をストップしなくてはいけなかったという、かつてない状態だったので、やむを得ない部分はあったと思いますが、これが今後のベースではないということは大事なことであると思います。その中で、小林さんおっしゃるように、目詰まりがなかったか、多くの先生方がおっしゃったように全部がワイズスペンディングだったかということは、しっかり検証が必要かと思います。

ただ、これから新型コロナについてはワクチンが出て、治療薬も出てきて、かなり新しい局面に入ってまいります。この中で恐らく、新政権になって、持続的な成長を実現するためにどういった項目が必要かという議論になると思いますが、これは従来の延長ではなくて、また新しい視点でよく考えなくてはいけないと思います。

その中で、これも多くの先生方から御指摘ございましたが、巨額の債務、特に新型コロナによる巨額の債務、この償還をどういうふうに透明化する、これまでと違った工夫ができるかどうかということを含めて、今後の大きな課題ではないかと思います。私、ニューヨークでマーケットを見ていた時期があるのですが、やはり日米欧のマーケットは互いに連動してございますので、やはり海外の動きに敏感になって、あまり日本だけ甘過ぎないというか、突出しないことが非常に大事であると思います。熊谷さんからディフィシットギャンブルというお話がございましたが、まさにそうした極端な政策を取らないということが非常に大事かと思います。

皆様のお気持ちに寄り添いながら、空気を読まない覚悟で、しっかり議論させていただきたいと思いますので、この後の財審、ぜひよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

増田分科会長代理それでは、今日は総論でありましたので、次回から各論で、いよいよ詳しく議論していくということになりますが、冒頭、榊原会長からも御挨拶ございましたが、コロナ対応ですとかポストコロナ時代の展望の上での対応といったようなことと、それから、財政健全化の観点を十分に踏まえた質の高い予算ということのお話がございました。そうした観点で本分科会としても、引き続きしっかり議論していきたいと思います。

次回ですが、地方財政についての議論、それからあともう一つ、有識者ヒアリングを予定しておりますので、また詳細は御連絡申し上げたいと思います。その後、歳出改革部会で社会資本整備など、個別の歳出分野について御議論いただき、最後に分科会で、令和4年度予算の編成に関する考え方を建議という形で取りまとめる、こうした段取りで今年も進めていきたいと思います。この点、よろしゅうございますか。御承知おきいただければと思います。

それでは、時間が参りましたので、本日の議題は終了させていただきますが、この後、記者会見で内容を御紹介しますので、個々の発言につきましては個別にお話をすることのないよう御注意いただきたいと思います。

それから、最初ですので、改めてこの点、確認というか、お願いしたいと思います。審議会資料の保秘でございますが、委員会の率直な意見の交換、審議、ひいては建議の中立性を確保するという観点で、最終的に建議の素案をまとめていきますが、それにつきましては対外非公表としておりますので、今後もこうした取扱いとさせていただきたいと思います。対外非公表の資料の取扱いにつきまして、改めて保秘に御注意いただくよう、よろしくお願いをいたしたいと思います。その点、よろしくお願いいたします。

次回、10月11日10時半から開催を予定しておりますので、よろしくお願いします。

それでは、本日、閉会いたします。どうもありがとうございました。

午後2時50分閉会