財政制度等審議会財政制度分科会
議事録
財政制度等審議会財政制度分科会議事次第
令和3年5月11日(火)14:00~16:00
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)
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1.開会
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2.議題
とりまとめに向けた審議
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3.閉会
分科会長代理 |
増田寛也 |
伊藤副大臣 中西副大臣 元榮大臣政務官 矢野主計局長 角田次長 日室司計課長 森田法規課長兼給与共済課長 有利調査課長 中島主計官 大久保主計官 飯塚主計官 渡邉主計官 関主計官 岩佐主計官 一松主計官 波戸本主計官 藤﨑主計官 渡辺主計官 山川主計企画官 井上主計企画官 |
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委員 |
赤井伸郎 遠藤典子 大槻奈那 神津里季生 十河ひろ美 武田洋子 土居丈朗 中空麻奈 藤谷武史 宮島香澄 安永竜夫 |
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臨時委員 |
秋池玲子 雨宮正佳 上村敏之 宇南山卓 河村小百合 木村旬 熊谷亮丸 小林慶一郎 小林毅 末澤豪謙 竹中ナミ 田近栄治 田中里沙 冨田俊基 冨山和彦 平野信行 広瀬道明 福田慎一 別所俊一郎 堀真奈美 神子田章博 横田響子 |
午後2時00分開会
〔増田分科会長代理〕それでは、時間が参りましたので、ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。
まず、冒頭でございますが、平成31年3月まで当審議会の委員をされました三菱UFJ銀行相談役であられました永易克典氏が、先週、5月3日にお亡くなりになりました。謹んで御冥福をお祈り申し上げます。
そして、本日はクローズドの会議でございまして、この会議の後の通常の記者会見も予定されておりません。建議の取りまとめに向けて、お手元にお配りをしております建議案について御審議いただくということでございます。
なお、こちらのお手元にございます建議案ですが、会議後、回収ということでございますので、お持ち帰りにならず、机の上に残していただきますようにお願いを申し上げます。なお、途中退席される方もおられるということですが、その際もお持ち帰りにならないように、くれぐれも御注意いただきたいと思います。
また、本日、お配りをしております建議案につきましては、これまで小林毅委員、武田委員、田近委員、土居委員、冨田委員、中空委員、吉川委員に御議論いただきまして、取りまとめていただいたものでございます。起草委員の皆様方、ありがとうございました。
本日の審議に先立ちまして、今回の建議について、現時点での取りまとめのスケジュールを御説明いたしたいと思います。お手元に、1枚紙で建議取りまとめのスケジュール、右上に赤い、委員限り対外厳秘と書いている紙があるかと思います。こちらを御覧いただきたいと思います。
まず、本日、これから建議の本体、参考資料、概要について御審議いただくわけですが、次回の分科会、これは春の財審の最終回ということになりますが、次回は5月21日、金曜日、16時からの審議を予定しておりますが、そこで建議を取りまとめて、もう直ちに、同日に麻生財務大臣へお渡しをすると、こうした段取りでございます。
そこで、円滑な意見集約のために、本日、建議の内容について御審議いただきますが、そのほか足らざる部分や、いろいろ出てまいりました意見について、書面でのコメントの機会を設けたいと思います。まず、本日の会議で、リアル、あるいはオンラインで皆様から御意見を頂くわけですが、さらに本日の会議終了後に追加でコメントがある場合は、可能であれば本日中、遅くとも明日12日、水曜日ですが、夕方17時までに、事務局に追加のコメントをメール等で御提出いただきたいと、このように思います。様式は自由で結構でございますので、分かる形で提出いただければと思います。
そして、本日の審議、書面で御提出いただきましたコメントを踏まえて、再度、起草委員会において改訂版を作成し、次回、21日になりますが、次回の会合の前に事務局からお送りをするということにいたします。
委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、ショートノーティスで大変恐縮でございますが、日程の都合もございますし、何とぞ御理解いただければと思います。
次に、本日の審議の進行順について説明いたします。これも、いつものやり方ではありますが、全体を4つのパートに分けて審議をしたいと思います。初めに、建議の総論部分について30分程度、次に、各論になりますが、各論の各分野のところは、まず社会保障について30分程度、その後、地方財政と文教・科学技術をまとめて20分程度、最後に社会資本整備、農林水産、グリーンについて30分程度と、このように4つのパートに分けて審議いたしたいと思います。
それでは、早速、審議に入りたいと思います。もう事前にいろいろお渡しをしていたかと思いますので、説明は省略して、総論の本文、参考資料及び概要の総論部分に係る記述について御意見を頂きたいと存じます。今、申し上げましたように、議論の時間はここの部分はおおよそ30分を目安としております。本文でいいますと、該当ページは1ページから15ページ、この部分でございます。
こちらにおいでの皆様方は、いつもどおりネームプレートを立てていただければと思います。テレビ会議システムの場合には、「挙手する」ボタンのクリックで合図をしていただければ指名をさせていただきます。なお、今回も出席いただいている人数が多く、限られた時間の中で、できるだけ多くの方に御発言を頂きたいということで、今回は、恐縮ですが、御発言は2分程度で手短に、可能な限り手短にお願いしたいということでございます。また、取りまとめに当たりまして、修文の提案についてはできるだけ具体的な修文案で、何行目から何行目のここの部分についてはこうした書き方になっているが、ニュアンスが伝わるようにこのような書き方にしていただきたいと、できるだけ具体的な修文案で頂けますと議論が建設的に進むと思いますので、ぜひ御協力をお願いいたしたいと思います。
今日の審議の方法について少し申し上げましたが、それでは、早速、総論部分、1ページから15ページについて御意見、コメントを頂戴したいと思いますので、合図をしていただければ御指名したいと思います。プレートを立てていただいて、それでは私から向かって右側からということになりますので、河村委員から、その順番で横田委員等々と指名していきます。
河村委員、どうぞお願いいたします。
〔河村委員〕起草委員の方々、本当に大変でいらしたのではないかと思います。本当にありがとうございました。この部分について意見と、1つ質問もあるのですが、申し上げます。
コロナ対策等いろいろありまして、財政のポジションが非常に悪化したということで、今回、そうした辺りを本当に踏み込んで、特に総論のところで書いてくださって大変良かったと思います。5ページのところ、国債大量増発の影響の辺りであるとか、格下げの話も出ていますが、それから次の7ページのところで、土居委員がやってくださったいろいろな試算の結果等も入っていて大変良いと思いました。
1つ質問と意見ですが、6ページの格付のところですが、やはりしかるべき危機感をきちんと国全体として持ってもらうためにこうした記述を入れて、資料にも格付の動向の表が新しく入っていたと思いますが、大変良いと思います。ただ、これは少し個人的に思っていることですが、格付会社も果たしてどうなのか。欧州債務危機の時に明らかになりましたが、正直言って、本当にいろいろな状況を客観的に判断して、どれだけできているのかというところがあって、欧州債務危機のときも、結局、市場の動向で、金利が低いうちは黙っていて、市場が反応し始めるとばたばた格下げをし始めて、それがまた、危機が危機を増幅するようなところがあって、ヨーロッパの関係諸国の当局の方は非常にお怒りになっていらしたのではないかと思いますが、そうしたこともありました。
ただ、当時と今とでは状況が相当変わっていて、それに基づくというか、考え方がどれだけ格付会社はできているのかと、正直言って疑問に思っています。昔ながらのパターナリスティックな判断をしているのではないかという感じがしますので、今回のここの記述はこれで良いと思いますが、例えばシングルA格にまだとどまっているから大丈夫というような書き方にならないように、今後、扱うときにはやはり気をつけていったほうが良いかと思います。
1点、質問は、6ページの22行目から23行目のところで、格付がソブリンシーリングの関係でいろいろ企業にも影響するという話の続きで、「経常黒字の大宗を占める所得収支の悪化につながるリスクがある」という点がよく分かりませんでした。直接投資に影響するとか、そうしたことなのかと思ったのですが、そこを質問させていただきたいのと、それに見合った、少し分かりやすくする記述を補ったほうが良いかと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕質問は、後でまとめて起草委員からお答えいただくようにしたいと思います。
それでは、横田委員、お願いします。
〔横田委員〕ありがとうございます。
まず、全体的なところで、冒頭、本当に平易で、シンプル。コロナの影響と、将来世代へのツケ回しというところが分かりやすく書かれているので、非常にすっと入ってきて良かったと思っております。
その上で、デジタル化に関連して2つほど、気になる点をお伝えさせていただきます。
まず、13ページですが、行政のデジタル化で効率化と質の改善を両立するというところは良いかと思っていますが、後ろのところが、質を落とすことなく、サービスを現状維持することで表現が止まっていると感じています。デジタル化は、結局、データがそろえばプッシュ型のサービスや、ピンポイントによるターゲティングでのサービス提供につながるなどサービス向上の文脈をぜひ追加していただい。「サービスの質を落とすことなく、デジタル化の強みを生かした質の向上とともに」等、そうした文があったらよいかと思っています。
2点目は、医療機関の経営状況の把握に関する14ページ目のところですが、紙資料のアップロード提出ということは、早急に進めていただくことは良いと思いますが、将来的にもそれでよいのか。要は、データ化されて、早急に分析できる状況が正しい在り方であると思うので、直近はデータを上げることは速やかにやっていただきつつも、ぜひデータ化につなげていくことまで記載をしていただきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
続いて、田中委員、お願いします。
〔田中委員〕ありがとうございます。
今、コロナ禍の漠然とした思惑の中で、少し気が引き締まるような、良い意味での緊張感が共有されるような、「はじめに」のところを記述いただきまして、まとめていただいて、感謝を申し上げます。
私は、1点、5ページ目の6行目辺りに、資料Ⅰ-1-25、26を参照にした記述から、コロナ前後で、老後の生活基金等に不安を持つ若者の比率が大幅に増加していますが、これは2020年までの数値で、コロナ前後で前と後をまとめるのはいかがなものかと、少し気になりました。コロナ後には、また更に危機感を持って意識が変わっているようなところがあるかもしれないので、少しこの資料からは読み取れませんが、これを補足するような記述が何かあったほうが、春の建議においてはよいかと少し思っております。よろしくお願いいたします。
〔増田分科会長代理〕それでは、熊谷委員、どうぞお願いします。
〔熊谷委員〕ありがとうございます。
すばらしい建議をまとめていただきまして、誠にありがとうございます。文面については、全く異議はございません。
そのことを申し上げた上で、今後の中長期的な議論の方向性ということで2点ほど申し上げたいと思います。1点目としては、より国民目線の議論、具体的には例えば広報活動であったり、国民とのコミュニケーションであったり、その辺りがもう少し盛り込まれていくと更に良いのではないでしょうかか。やはり民主主義社会ですから、国民にどうやって理解をしてもらうのかがポイントです。問題の所在がどこにあるのかという点をご理解いただき、事実関係について正確な認識を共有してもらうことや、インセンティブを活用するといったことなどについて、より一層今後の議論として深めることが期待されるのではないでしょうか。具体的には、例えば14ページでEBPMの話があって、その中で一番下、24行目に、「見える化」が出てきていますが、恐らく「見える化」というのはもっと抽象度が高い高次の概念であって、例えば「見える化」を横軸として、総論のところでしっかりと打ち出すことなども考えられるのではないでしょうか。
2点目としては、今までの審議会でも出ていましたが、ロードマップ等、優先順位のようなものが国民により一層、一目で分かる形になればより良いと考えます。もちろん、コロナの収束時期が分からない状況ですから、なかなか難しいとは思いますが、申し上げたいことはやはり出口の議論でございます。どこかで、やはり政策的な出口の議論は必ず来るわけです。もちろん国民には一人一人、生活があるわけですから、移行措置、トランジションは必要です。しかしながら、今のようにいろいろな対策を打つことは、ある意味、簡単に打てると思いますが、いつまでも続けられないわけですから、いずれは国民に対して耳の痛いことを言わなければいけません。これは、もちろん今、書く話ではないと思いますが、やはりそうした出口のことをある程度、視野に入れながら、今後の議論を進めることが必要なのではないかと考えます。
私からは、以上2点でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、安永委員、どうぞお願いします。
〔安永委員〕ありがとうございます。
1点だけ。12ページの人口減少下での行政の効率化と質の両立の中で、行政の効率化について触れていただいていますが、より活力のある社会、経済を維持するためには、広域化、広域連携の視点が重要と考えておりますので、13ページの7行目の最後に、広域化、広域連携の視点も重要である旨を追記いただきたく思います。これは、議論させていただきましたように、自治体の情報システムや業務プロセスの標準化、あるいは上下水道の経営改善等も含め、広域化、広域連携が重要であると考えるからです。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、木村委員、お願いします。
〔木村委員〕総論、書かれていること、どれも方向性として私も非常に大事であると思いますので、起草委員の先生方、本当にありがとうございました。
その上で、2点だけ簡単にコメントですが、1つは、3ページにある(2)今後の対応の考え方、8行目「政府の緊急避難的な支援を継続し常態化させれば、産業構造の変革の遅れやモラルハザードを通じて、今後の成長の足かせになりかねない」というくだりがあって、これはおっしゃるとおりですが、今はもう3度目、緊急事態宣言が発令されて、かなり経済も厳しくなっている状態で、何の落ち度もないのに苦しんでいる事業者も結構少なくないと考えております。そうした方々がこの表現を読んでどう受け止めるか、それこそ、少し冷たいのではないかと誤解して受け取られかねないようなところもあるかと思いますので、もう少し配慮した表現にしていただくほうが良いかという、これは私の感想です。
それから、もう1点だけ。11ページに補正のことを書かれています。1行目から2行目、当初予算のみならず補正も一体化して着実に歳出改革の取組を進めて、特に補正の編成に当たっては、真に有効で必要な措置になっているか等を引き続き慎重に見極めていく必要があります。確かにこの前つくった3次補正も15か月予算ということでつくったのですが、実際、どうでしたかという話で、それこそ1-3月期も、結局、GDPマイナスになりそうで、たくさんお金を使ってマイナス成長と、結局、何のためだったのでしょうかということです。専門家の人たちは、別にこの予算だからGDPがどうだということはないでしょうが、一般の国民から見ると、やはり何のための予算だったのかと思うかもしれません。だからといって、この書きぶりをどうしようというわけでもありませんが、そうしたことを考えるような人たちもいるのではないかということを踏まえて、全体として考えていただければと思っています。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、平野委員、お願いします。
〔平野委員〕ありがとうございます。
大変な力作であると思います。ありがとうございます。
少しそもそもということで申し上げたいのですが、今回の建議をまとめるに当たっては、やはり現在、我々が直面する未曽有の危機を克服するとともに、コロナ禍がさらけ出した様々な構造的課題の解決に取り組まない限りは、日本の将来は極めて危ういという危機意識をまずより明確にすべきであると思います。
この点で、今日のドラフトに、「日本の低密度医療体制の問題点」や、「公債残高対GDP比率の発散の可能性」等が初めて明記されました。これは大変高く評価するわけですが、やはりこうした、いわゆる不都合な真実というのでしょうか、それを政官民、そして国民が直視して、その危機感を梃子に、踏み込んだ構造改革を実行するというトーンを明確にすべきであると思います。
それとともに、新経済・財政再生計画の先の経済、財政の運営の在り方、すなわちウィズコロナ・ポストコロナで、世界では国家間の新たな競争が激化しているわけで、その中で日本という国が経済・社会をどう再生して、先進国の名にふさわしい存在であることを維持するのかということを指し示すようなものでなければならないと思います。これについては、もし時間があればまた述べたいのですが、官民が力を合わせて戦略的なアクションを起こす重点的な投資を行うべき分野については、財政措置も躊躇すべきではないという点も、また明らかにする必要があると思います。
それを前提に、財政健全化について2点ほど申し上げます。
まず、財政規律です。1つ目、目安について、10ページの26行目、「これまでの取組を継続する」とあるわけですが、これだけではPB黒字化の達成はおぼつかないと思います。PB黒字化目標を堅持するためには、どういう目安が必要になるのかを示して、それを実現するためにはどういう歳出改革が必要となるのかという、言わばバックキャストの考え方で、中長期の財政計画や施策を組み立てなければならないと書けないでしょうか。
2つ目、今回、新たにペイアズユーゴーの原則が入りました。これも高く評価したいと思いますが、昨年の一律10万円の特別定額給付金のように、全く実効性の乏しい施策を補正予算に組み込むようなことは厳に回避すべきであると思います。11ページ、4行目から5行目に、「引き続き慎重に見極める」というような表現がありますが、やはり補正予算に関する規律づけ、あるいは検証、事後検証の仕組みづくりが必要であるということを書いていただけないでしょうか。
2点目、これはかねて申し上げていますが、財政規律を裏づける制度的な対応の必要性です。今回の建議書には、ワイズスペンディングという言葉が2か所あります。これはこれでもっと書くべきですが、ワイズスペンディングや財政規律ということを言葉で唱えるだけでは実効性は上がりません。それを担保するための仕組み、制度的対応が必要なところまで来ているのではないかと思います。その観点から、かねてこの場でも申し上げてまいりましたが、財政運営状況の監視や検証、長期予測の策定等、規律を遵守するための制度的な機能、枠組みの必要性について、何らかの形で、脚注でもよいですが、触れていただけないかと思います。
最後、7ページの中長期試算の前提となる成長実現シナリオは極めて楽観的であると思います。これも、やはり厳しく指摘する必要があるわけでありまして、8ページ、11行目には、「成長実現ケースに達さないリスクがある」という極めて婉曲的な表現にとどめておられますが、これをやめて、例えば「独立財政機関が将来予測を行っている米国や英国では、官民が出すマクロ経済の予測値のずれがほとんどない」というような客観的な事実を追記できないでしょうか。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、神津委員、お願いします。
〔神津委員〕ありがとうございます。
まず、起草委員の皆様に感謝申し上げたいと思います。
その上で、表現に関することで、2か所、申し上げたいと思うのですが、まず、最初の出だしですが、具体的には「我が国財政は」と始まる1段落目と、2段落目「新型コロナへの対応の過程で顕在化した、医療提供体制の脆弱性や行政の非効率性等は、国民生活に著しい支障をもたらした」は、段落を入れ替えたほうが良いのではないのかと私は思いました。要は、現在の状況の中で提出する財審の建議としては、国民が今、強く感じていることを踏まえた問題意識を、まず前面に出すべきではないかと思いました。したがって、今、2段落目にこうした形で位置づけられているのですが、「国民生活に著しい支障をもたらした。当審議会は、これまで、医療機関の役割分担の徹底等……」とあって、「こうした提言を踏まえた改革が十分に進まなかったことにも一因があるものと指摘せざるを得ない」は、私は、少し遠慮した表現であって、「提言を踏まえた改革が十分に進まなかったと指摘せざるを得ない」とむしろ言い切ったほうが良いと思います。
その3行下ですが、「しっかりと実行に移し問題を解消しなければ、国民に様々な不便を強いるだけでなく」も、「不便を強いる」という表現は少しぬるい表現で、「実際には国民生活に深刻な影響をもたらすだけではなく」と、やはり実感と整合していただいたほうが良いと思います。またこれを最初に持ってきて、それを受けて、今、1段落目に「我が国財政は」とありますが、「既にして」ということを挟んで、「既にして我が国財政は、他国に類をみない速度で……」と言っていただいて、3行目に「債務残高が積みあがってきた」とありますが、「債務残高が積みあがっている」ということの上で、その後、縷々(るる)問題意識を述べることにしたらどうかというのが一つです。
それから、2つ目は12ページですが、これは少し各論的な内容ですが、今、国民が受けている印象からして、12ページの下から5行目のところ、ここは医療従事者の問題ですが、「医療従事者の更なる増加という選択肢は限界があり」と言い切ってしまっていますが、決めつけた言い方はいかがかと思います。医療の問題は、相当いびつなことになっているのはもう明々白々でありまして、大きい問題の構造をどう捉えるかということに主眼を置いた表現にすべきであると思うので、はなから「医療従事者の更なる増加という選択肢は限界があり」と言われると、当事者はもちろんそうですが、実際に今、起きていることとの関係で、果たしてどうなのかということです。
その次の介護のところも、13ページの1行目にありますが、「より少ない労働力でサービスを提供していく」も、最初からそれを所与の前提とするということはいかがかと。確かに、その前段で書いている業務の効率化はもちろん必要ですが、少ない労働力でということは現場の感覚とはやはり相当ずれが、今、現状においてはあると思いますので、そこのところは少し検討していただきたいと思います。
それと、すみません、少し長くなって申し訳ないですが、全体の問題意識としてですが、これまでやはり財政当局として、長年、いろいろな努力を積み重ねてきたわけですし、それぞれ大変重要なことを積み重ねてきたと思うのですが、これから先もその繰り返しで、この直面している難局を乗り越えられるだろうかということは、やはり私は非常に大きな問題意識として表現すべきではないかと思います。そうした意味では、1つは、やはり税財政一体の改革は不可欠なので、これまでも独立財政機関が必要ではないかと主張し続けているのですが、それも含めて考えないといけないのではないかということです。この建議案でも、将来世代へのツケ回しはあってはならないと強調されていて、全くそのとおりであると思っています。ただ、その一方で、角を矯めて牛を殺すような財政措置になってはいけないということであると思いますので、対症療法的な対策ではなくて、やはり構造そのものにメスを入れていくという視点が不可欠であると思います。
具体的にどういうことかと言えば、やはり我が国の弱いところに、人材、人的なエネルギーを含めて、もっと資源を傾斜していくということが必要であると思います。弱いところは何かということで言うと、1つは、コロナで明らかになった、やはり基本的な命と暮らしを守るということにおいてどうなのか。もう1つは、やはりそもそもの稼ぐ力を立て直すということであって、グリーンであり、デジタルであり、あるいはAI、IoTとターゲットはかなりはっきりしていると思うのですが、実際にそうした分野で稼ぐ力を担保し得る、そうしたフォーメーションができていないということが、今、我が国はやはり決定的に弱いところであると思います。そうした意味で、労働移動も必然であると思いますし、資源を傾斜できるような仕組みをつくるといったことについて、対案として提示していなくて申し訳ありませんが、その辺りについて何かもう少し強調できないものかと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、末澤委員、お願いします。
〔末澤委員〕起草委員の皆様、大部のお取りまとめ、ありがとうございました。
私から、2点です。まず、1点、感想と少し意見ですが、私、今回の総論を読ませていただいて、過去8年、9年、参画させていただいた中で、やはり少し違うなと感じます。従来と比べると、あまり財務省的ではないというか、内閣府、経済産業省的な書きぶりになっていて、これはある面、当然です。やはり今回のパンデミックということは、1918年から21年にかけたスペイン風邪以来ですし、昨年の経済の状況は大恐慌以来の世界的な景気後退ということで、それを踏まえた総論ですから、私が書いてもこのようになると思います。ただ、やはり従来、財審でずっと提示、主張してきた、特にプライマリーバランスの黒字化については、もう少ししっかり書いたほうが良いのではないでしょうか。
特に、9ページの2行目からですが、「政府は、2025年度の国・地方を合わせたプライマリーバランスの黒字化及び……これに沿って予算編成を行ってきた」と、財審としてはやや第三者的というか、当審議会としてもこれは主張してきたことですので、もう少し手前に、たしか7ページの10行目であると思いますが、プライマリーバランスという言葉が出てきます。本文に書かなくてもよいですが、注釈のところに、私、従来からずっとお願いしていますが、プライマリーバランスの定義と必要性について少し触れていただいたほうがよろしいのではないかということが1点です。
また、少し細かい話ですが、3ページの下から3行目、28行です。「我が国が抱える公債残高が1,000兆円にも達しようとする中で」という表現がありますが、私の提案としては「公債残高(普通国債残高)」とすべきであると思います。といいますのは、実はNHK等で3月末の国の借金が1,216兆円という報道がございました。また、追加しますと、7ページの上から4、5行目です。「新型コロナ対応により国・地方の公債等残高対GDP比は令和2年度末で216.3%に」と、少し整合性が合いません。今、GDPは540兆円ぐらいありますから、そうした面では、公債ということはいろいろな定義がありますので、先ほどの1,216兆円ということは、財投国債、国の借入金及び政府短期証券が入っているので大きくなっているのですが、ここで1,000兆円という言葉を使うのであれば「(普通国債残高)」と書いたほうが良いと思います。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、大槻委員、お願いします。
〔大槻委員〕ありがとうございます。
一行一行に思いが籠もった非常に良い内容で、ありがとうございます。
まず、全体としては、平野委員もおっしゃいましたが、不都合な真実をこれだけ冷徹に書いていただいているので、それをいかに国民目線でシェアするかということが大事だろうと思いました。
幾つか御提案ということでお伝えしたいのですが、まず、4ページ目から5ページ目の受益と負担の不均衡のところですが、のっけから「負担増を伴わないままに」となっているのにもかかわらず、その後、負担の増加の話が出てきます。恐らく負担増を伴わないということは全体としてということかと思いますので、14行目の後半のところに「全体として負担増を伴わないままに」と入れておいたほうが良いのかなということが1点です。
次に、13ページの8行目のところです。「教育分野において、1人1台端末によるAI教材等の活用」とありますが、その後の各論でも、GIGAスクールの1人1台については、AI教材の活用だけではなくて、教員のより効率的な、コロナ禍等でもできるような教育システムということでしょうから、「等」を後に持ってきて「AI教材の活用など」というほうが、より実態と各論に沿うのではないかなと思いました。
それから、13ページの19行目です。「コロナ以前から」とありますが、冒頭で「新型コロナと呼ぶ」と定義をしていただいているので、全体に少し揺れがありそうなので、「コロナ」と単独で表現を使うのではなくて、「新型コロナ」に統一されたらと思います。
同じく、少し揺れも含めてですが、15ページ目の「ペイアズユーゴー原則」、これは97ページ目にも出てくるのですが、そちらでは「Pay-as-you-go」という形で出てきますので、この揺れも調整したほうが良いでしょう。また、これは非常に重要なポイントと思っておりますので、脚注を入れたり、何かもう少し枕言葉があったりしたほうが、我々がここは非常に重要であると考えているということが明らかになるのではと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、会場でのコメントは以上にさせていただきます。
オンラインのほうですが、5名の方、指名の順番は宮島委員、続いて冨山委員、堀委員、赤井委員、小林慶一郎委員と、この順番で指名していきますので、お願いいたします。
まず初めに、宮島委員、お願いします。
〔宮島委員〕皆様、本当に大変なおまとめをいただき、ありがとうございました。
いつも概要を作っていただいていて、記者たちが一番まとまって見るものが概要です。概要の理解がとても大事であると思うので、少し概要について発言したいと思います。3つほどです。
まず、概要の1つ目ですが、総論のところで、最初にコロナの状況でいろいろなことが見えてきたということを書いていただいていて、とても良いと思っています。先ほど神津委員からもお話があったのですが、「医療提供体制の問題は、財審もこれまでも提言」の後に「各分野の改革を進めないと国民に様々な不便を強いることに」と、いきなり段差があることを言っているような気がします。本文を読むと、これは医療体制のことではなくて、ほかのことでもいろいろあって不便を強いるのであるというような表現で、それも弱いと思いますが、少なくともこの概要ですと、医療提供体制の問題で国民に不便を強いる、と読まれてしまうと思います。今の医療体制は、国民に不便を強いるどころではなく、このままだと必要な医療を受けられなくなる可能性があるぐらいのインパクトであると思うので、ここはもう医療の話で言ってしまって、強さを持って訴えたほうが良いのではないかと思います。
2つ目は、財政健全化の丸の3つ目で、成長実現ケースと同程度の成長が実現してもというところで、「また、成長実現ケースに達さないリスクがあることも十分認識が必要」と書いてありますが、財審の今までの議論であると、成長実現ケースはやはり遠いよねというのが普通の感覚ではないかと私は理解しています。グラフの中では一番下のところがむしろ現実的なのではないかというような、そこまでは書けないとは思いますが、少なくとも達さないリスクがあるというほどレアなリスクではなくて、成長実現はかなり無理であることを前提にしないニュアンスではないかと思うので、ここのところ、本文もリスクという書き方ですが、もう少し成長実現ケースが普通、のような感じではない書き方のほうが良いと思いました。
次は、次の次のページの地方財政のところですが、これは議論の中で「見える化」を進めて……。
〔増田分科会長代理〕すみません、宮島委員、地方財政のところは後で議論していただこうかと。今、総論の部分だけですから、後でまた言っていただければ思います。
〔宮島委員〕そうですね。では、本文の書き方とともにですが、例えば文教・科学技術にアカデミック・インブリーディングとかいきなり出てきていて、概要としては厳しいかなと思ったので、概要をできるだけ、これだけを見ても分かるようにお願いしたいと思います。
すみません、ありがとうございます。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございます。すみません。
それでは、続いて冨山委員、お願いします。
〔冨山委員〕どうもありがとうございます。冨山です。
私も、全体について、これは大変頑張って、すばらしいものにまとめていただいたと思っております。そこについては特にコメントはないのですが、一部、先ほどの神津委員ともかぶるでしょうか、確かに今回、非常に厳しい状況であったということを率直に認めている点は非常に良いと思っているのですが、私はもう少しシャープに、負けは負けとして言い切ってしまったほうが良いのではないかと思っています。私からすると、やはりワクチン、バイオも敗戦しているし、台湾がやったようなデジタル的な対応も敗戦していますし、医療体制の整備も敗戦していて、その中で何とかこのぐらいで済んでいるのは、私の感じで言ってしまうと、やはり国民が立派だったとしか言いようがありません。だから、やはり政府としては敗北なので、それはどちらかというと、事前の準備という意味でやるべきことやっていなかった中に来てしまったので、こうなってしまったということであると思います。そこは、私はもっとクリアカットに言ってしまってよいかと思っています。
それから、これも少し神津委員と同じで、12ページのところですが、行政の効率化を議論するときに、今回、私が一番気になったのは、例の持続化給付金を配るときに、遅いわ、金はかかるわ、おまけにターゲットレスだわという配り方になっていて、実は根本的な問題として、これも行政の仕組みと個人との関係性ですが、要するに過度に法人共助型になっているものですから、国と個人が、マイナンバーにも関わりますが、やはりちゃんとつながっていません。つながっていないがゆえに、今回のようなコロナで一番痛むのは法人の正社員ではない人たちなので、そこにリーチしようと思うと、本来、早くやるために金をかけるとか、ターゲットレスでばらまくのであればよいですが、遅いわ、金はかかるわ、ターゲットレスだわ、要するに非常に効率性が悪い。だから、全然ワイズではないスペンディングになってしまうところが非常に気になるので、12ページの行政効率のところではそこを何か触れたほうが良いような気がしました。
それから、ミッシングパーツとして、今後のテーマとして、今回、やはり企業は相当傷んではいますが、その傷みが、かつてのパターンであると、例えばバブル崩壊、あるいはリーマンショックの時は、どちらかというと民間の金融機関に結構跳ねたのですが、今回は、割と政府系の金融機関、ないしは最初に政府が保証しているほうにかなり信用リスクが寄っています。それは今後、恐らく、来年以降、急激な回復局面に入っていくと思うのですが、要は政府のバランスシートにいろいろな毀損が起きる可能性があって、そのバランスシートの調整をかなり迅速にやっていかないと、裏返してしまうと、ある種の過剰債務なので、このリカバリーを遅らせて、またこれが税収に響いてくるということになるので、そこはこの先のテーマとしてあるのかなと思います。
最後に、3、4年前に申し上げたと思いますが、私は、この建議の一番の名宛て人というか、受益者は将来世代であると思っているのですが、将来世代の人は、恐らく、こうした紙にごうごう字が書いてあるものは読みません。あのときも、たしかSNS等、サイバー空間で、どのように令和世代、あるいは平成世代に伝えていくかというところの提案をしましたが、もし財務省のほうで何かその点、進展があったら後で教えてください。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、堀委員、お願いします。
〔堀委員〕大変な作業、ありがとうございました。全体として、しびれるというか、すばらしい内容なのではないかと、個人的には思っております。
細かい表現と、分かりやすさというところだけですが、3ページの22行目の「不断のフォローアップ」という表現ですが、フォローアップだけではなくて、やはりPDCAを回す必要があるのではないかと思いますので、表現を多少工夫したらどうかと思いました。
それから、14ページのEBPMも、先ほど別の委員の方からもありましたが、これは重要なことであると思うのですが、重要であると思うからこそ、このEBPMとは何なのかを脚注で入れるか、あるいはエビデンス・ベースド・ポリシー・メイキングであるということなどを記載しないと、分かりやすさという意味で、何を推進するのかそのものが分からないかと思います。ここにいるメンバーは、皆様当然、分かると思いますが、そこを工夫すると良いのではないかと思いました。
それから、同じ14ページの21行目の「事業報告書等について」というところですが、ここはこれでよいのですが、後ろのほうで、損益計算書、財務諸表等、介護と医療のところはいろいろな表現があるので、全体として表現の揺らぎがないかだけを最終的にチェックしていただければよいのではないかと思っております。
それから、15ページで、ペイアズユーゴーについては大槻委員がおっしゃったことと同じで、重要なものに関しては脚注を入れるなりして、分かりやすくしたらよいのではないかと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕赤井委員、お願いします。
〔赤井委員〕重なるところもありますが、簡単に。
コロナのところで、3ページの1行目です。まず、支援策が重点的かつ的確に実施するということですが、皆様も感じられていると思いますが、的確にできていないところもあると思うので、ここの支援策のところに、エビデンスを踏まえてというか、実際、どういうところでコロナが広がっているのか、もう少しちゃんとエビデンスを捉えれば、全体をシャットダウンとか、全ての店を閉めなくてもよいようにも思うので、「支援策は、エビデンスを踏まえ、重点的かつ的確に実施する」というようなことがあったほうが良いと思います。
それと、今、堀委員もおっしゃったのですが、3ページの22行目、23行目のところです。その不断のフォローアップも、エビデンス、実際、使ったものがどれぐらい効果的だったのかというところを調べるときも、何となくではなくて、しっかりとデータを取って、エビデンスを踏まえて、PDCAやフォローアップをしていくというところをしっかり書いていただければと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、小林委員、お願いします。
〔小林(慶)委員〕小林です。
全体の方向性は私も全く賛成ですが、ここに書かれているこれからの財政再建に向けた方向性は、ワクチンがある程度これから普及して、コロナが収束していくという前提に立っていると思います。今も、例えばインド型の変異株がこれからどうなるか分からないとか、ワクチンの接種がひょっとしたら遅れるかもしれないとか、幾つかの不確定要素があって、今、足元はまだ有事であるということを少し考えると、記述について、ひょっとしたら赤井委員や、ほかの皆様と意見が食い違うところはあるかもしれませんが、今、足元については、財政は、出すべきときは迅速に、柔軟に出すという姿勢を示したほうが良いのかなという感想を持っています。
具体的には、2ページの26行目から28行目辺りですが、要するに、既に今、なされている予算措置を着実に活用して、対応していこうということが26、27行目ぐらいに書かれているわけですが、ここは、今、まだ予想がついていない、例えばインド型の変異株の蔓延等、状況に応じて何か強い措置をしなくてはいけません。そうすると、協力金や国民に対する給付金のような話を、またしなければいけないかもしれませんので、既存の財政措置の活用を通じてだけではなくて、必要であれば、適時、的確な財政措置を講じて、というようなことは入れておく必要があるのではないでしょうか。今回の3回目の緊急事態措置の時にも、やはり協力金について、なかなか金額を出せないから協力が得られにくいのではないかというような議論も言われたりしておりますので、今、現状でコロナ対策を進めるために財政が足かせになっているかのような認識が持たれないように、ここは、やるべきときは的確にやるというような書き方をしておくほうがよろしいのではないかと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、総論部分はここまでとさせていただきます。追加のコメントあれば、どうぞ書面でお出しいただきたいと思います。
起草委員の方から、幾つかありましたコメントについて、まとめて簡潔にお話しいただきたいのですが。それでは、武田委員、お願いします。
〔武田委員〕皆様、本当に貴重なコメントを多数頂きまして、どうもありがとうございます。
恐らく一つ一つ御回答していると時間がなくなりますので、主なものに回答いたします。
まず、一番多く頂いたコメントとして、1ページ目について、書き方をよりシャープにし順番も検討してはという御意見がございました。その点については、起草委員の中でもかなり議論したところですので、思いは共有しているところではありますが、書きぶり、表現については、再度、検討をさせていただきたいと思います。
また、何名かの方から、言葉の説明不足、分かりにくい書きぶりの御指摘が幾つかの箇所でございました。そこについても、一つ一つの回答は避けますが、分かりやすい表現に見直す、アルファベットの文字については解説を多少加えるといった工夫をするつもりでございます。
次に、これだけの財政赤字がある中で、今後、PB黒字化を実現することを担保するための仕組みに関する御意見も頂戴いたしました。その御指摘は新たな視点になりますので、起草委員の中でも、もう一度、議論、検討させていただきたいと考えます。
さらに、広域化、広域連携の重要性、「見える化」という表現を、よりクローズアップしてはどうかという御意見、優先順位やロードマップの必要性がもう少し分かるようにという御指摘、国民との対話に関する表現に関しては、コロナの状況において伝え方として厳し過ぎる表現ではないかという御意見もございました。これらの点について、加えられるところは加筆をし、表現を見直す必要があるところは表現の見直で対応をさせていただきたいと思います。
加えて、PBの黒字化や債務に対する表現が、過去の財審の建議に比べて弱まっているのではないかというような御意見がありました。そのようなつもりは全くございませんが、もう少しクローズアップできる方向に検討できればと思います。
また、債務残高が既に積み上がっている点では、「既にして」という表現、つまり財政に対する厳しさの表現として足りなかった部分についてはしっかり変更したいと思います。
最期に、成長に向けて、必要なところには重点的に財政を出すことも必要ではないか、あるいは稼ぐ力の立て直しのために資源配分の見直し、労働移動が必要なのではないかという御指摘については、構造的な転換という表現で触れておりますが、もう少し表現として的確に伝わるように考えたいと思います。
そのほかにも、幾つか頂いておりますが、今、申し上げた点について中心に議論し、追加で見直していきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございます。
それでは、中で議論したものをまた改訂案で各委員にお示しするということで、総論の部分はここまでとさせていただきます。
結構時間が押しておりますので、次へ急ぎたいと思います。今度は社会保障、ページ数で言いますと16ページから57ページまで、あと参考資料と概要版という、そのパートについてコメントをお願いしたいと思いますが、すみません、2分の厳守でお願いいたします。
それでは、今度は大槻委員からいきたいと思います。大槻委員、どうぞお願いします。
〔大槻委員〕では、30秒で。
まず、16ページ目の冒頭のところですが、最初の概論のところでさんざん新型コロナに対しては重点的かつ的確にということがあるのですが、その柱となる社会保障、あるいは医療のどちらにもほとんど新型コロナが出ていないので、それを少し入れておくとリパーカッションが回避できるのかなと思った次第です。案文なしでごめんなさい。
もう1つ、53ページ目のところですが、これは今後のことかもしれませんが、こちらの項目、雇用・生活支援以下、雇用者に対してどういった保障をやっていくかということになっているわけですが、もちろんこれは予算的な立てつけからやむを得ないのかもしれない一方で、これだけフリーランスが、400万人を超える規模で出てきている中では、この項目立ては、もしかしたら今後は働き手ですとか、「働き方に中立」という言葉も使っていただいていますが、より広く雇用にこだわらない形での支援を少し考えてもよいかと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、神津委員、お願いします。
〔神津委員〕ありがとうございます。
意見書をまとめていますので、相当ボリュームがあります。明日、提出しようと思いますので、この場ではできるだけぐっと圧縮して申し上げたいと思います。
医療についてですが、先ほども若干触れましたが、いびつな構造にメスを入れるということは不可欠であると思います。病床についてよく取り上げられますが、民間の医療機関全体の約6割が病床を持っているわけですが、感染症関係ということになると民間で持っているのは7%、一方で精神病床については民間が8割以上という実態にあるわけです。地域に必要な医療が効率的に提供されない、パンデミックへの対応の脆弱性も浮き彫りになっているということですから、今後の人口減少、あるいは地域の実情に応じて、医療人材を含む資源の適正配分が進むように、外来診療を含む全ての医療機関を対象に地域医療構想を再検討するということはもう必須であると思います。その際、地域医療構想調整会議への多様な設置主体の医療機関の参画を強く促し、透明性の確保を担保すべく、国としても構想のPDCAサイクルを強化して、進捗を管理し、都道府県の取組の支援を強化することが重要であると思います。
あわせて、医療の勤務環境の改善を着実に進めて、医療従事者全体の働き方改革を実現していく必要があると思います。
そして、医療費の増加を抑制するために、多剤投薬、重複投薬及び検査の適正化を進めるとともに、保険者における健診情報の適正管理、有効活用による保険者機能の発揮を強力に促すべきであると思います。
一方で、患者負担の引上げにより受診抑制を一層進めようとする考え方は、所得格差による健康格差や公衆衛生の観点から慎重に検討する必要があると思います。
なお、コロナ対応に関する医療機関支援は、医療の対価である診療報酬の性格を十分に踏まえつつ、公費と分担することが重要であると思います。
介護についてですが、やはり人材の安定的な確保が喫緊の課題であると思います。そのためには、更なる継続的な処遇改善が必要であるということも改めて強調したいと思います。利用者負担については、所得に対して過大な負担とならないように十分配慮するという国会附帯決議を踏まえて、慎重に検討する必要があると思います。
〔増田分科会長代理〕すみません、恐縮ですが、簡潔に。またペーパーでも頂けますので。
〔神津委員〕子供・子育ては、1兆円の財源を早急に、これは政府に国会附帯決議で要請されていますから、確保すべきであると思います。
年金は、基礎年金の保険料拠出期間の延長について検討する必要があります。その際は、現行の財源の枠組みを維持する必要があるということです。
雇用についてですが、これは既に意見も出ていますが、やはり今の状況ですと、雇用保険の財源はもう枯渇しかかっていますので、国庫負担率を本則の25%に戻すことは当然として、さらに予備費や一般財源から雇用保険会計に充当する必要があります。
それから、これまでも発言してきていますが、一般財源により、生活保障と教育訓練・スキルアップと再就職支援・就労のマッチングをパッケージにした包括的な雇用のセーフティーネットをしっかりと持つということに向けて、検討する必要があるということを申し上げておきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、平野委員、どうぞお願いします。
〔平野委員〕ありがとうございます。
財政健全化の本丸は、何といっても社会保障ですので、手短に、中期的な視点も含めて3点申し上げます。
まず、1点目、医療提供体制の効率化に関してですが、30ページの4行目から5行目「医療提供体制の改革なくして診療報酬改定なし」、これはとても良いフレーズで気に入っておりますが、では医療提供体制の改革をどう進めていくのか、具体化に向けた検討を急ぐ必要があると思います。例えば、民間病院の再編・統合を進める上で、公的病院を対象にした「病床機能再編支援制度」を民間病院の再編にも適用するのか。あるいは、想定する医療需要は地域医療構想では2025年になっているわけですが、そうではなくて、更にその先を見据えるべきであるといった論点を課題として提示できないか、これが1点目です。
2点目、これは10ページ下段の総論のところにも関係しますが、「中長期の社会保障分野の工程表作成の必要性」は非常に重要な指摘であると思います。ただ、その一方で、これまで改革の工程表をたくさん作ってきたわけですが、なかなか財政健全化にはつながっていないと考えると、作り込みが大事であると思います。具体的には、真に財政健全化の鍵を握る指標をKPIとして適切に選択して、目標を期限つきで定量化して示してそれで厳格な進捗管理を行う。それと併せて、当該施策による財政健全化の金額効果を明記することで、どの施策で幾らの効果を出そうとしているのかということを、客観的に把握可能な体制を構築すべきであるということも書いていただけないか、これが2点目。
3点目です。社会保障の持続可能性の確保に向けては、17ページの5、6行目に「必要な財源確保に知恵を絞る必要がある」というやや曖昧な表現がありますが、これはあまりよくないと思います。その上で、今回は間に合わないかもしれませんが、消費税を含めた給付と負担の在り方を国民全体で考えてもらうためにも、社会保障の全体像を幾つかのシナリオとオプションの形で提示する。それによって国民の理解を高めて適切な選択を促すという取組を、ぜひ今後、考えていただきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それで、安永委員、どうぞお願いします。
〔安永委員〕社会保障に関しましては、やはり現役世代の負担の抑制という点をぜひもう少し強調していただきたいと思います。具体的には、17ページ、19行目「公費を抑制しようとすると給付費の抑制が必要になる」とございますが、これに合わせて現役世代の負担の抑制にも配慮する仕組みということも記載いただきたい。
それから、36ページの7行目ですが、「健康保険組合の中でも保険料率に大きな差があることについて留意が必要」とございますが、報酬の高い現役世代が、既に後期高齢者支援金の総報酬制の割合負担を通じて、相応の保険料を負担していることも勘案すべきと考えます。
それから、コロナを通じて明らかになった医療体制の問題は詳しく書いていただいているのですが、一方で、もう1つ明らかになったのは、重篤性、緊急性の低い患者が受診する機会が減ったという実需が明らかになったということで、これはやはり実需を踏まえた適切な医療の受診に対する考え方を、もう少し国民に徹底してもらうということをやらないと、結局、ディマンドドリブンに代わりサプライドリブンがまた起こってしまうのではないかと危惧しています。
あと2点、38ページ、薬剤費の適正化の部分ですが、国民負担の軽減については異論はありませんが、40ページの下の項53にあります国民負担の軽減と薬のイノベーション推進を両立させるというところ、このイノベーションはやはり重要で、今回、ワクチン開発等に遅れを取ったことを踏まえても、本来、必要で有効な薬には正当な対価を支払わないと、イノベーションの推進にはつながらないというところに重きを置くべきと思います。
最後に、53ページ、雇用保険財政、雇用調整助成金ですが、一般会計が1兆円負担していることは確かに異例の事態ではありますが、一方で事業主が負担している2兆円についてもこれまた異例です。事業主が既に異例の負担をしていることを直視して、衛生対策にかかる負担を過度に事業主に押しつけるべきではなく、この点については、やはりパンデミックの中では一般財源の投入ということも考えるべきであると考える次第です。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、熊谷委員、お願いします。
〔熊谷委員〕文言については、全く異議はございません。そのことを申し上げた上で、コロナ問題について一言コメントをさせていただきたいと思います。
これは、財審ののりを超える話になるかもしれませんが、やはりコロナ問題の本質は、非常時の国家のガバナンス、危機管理の問題であって、抜本的に解決するのであれば緊急事態法制を整備する必要があるのではないでしょうか。もはや日本的な、非常に曖昧なお願いベースでの、国民や医療関係者の自主性に任せるやり方は限界なのではないかと考えます。
具体的には、例えば国民の行動に対してお願いベースではなくて、より強い制約を課すということも必要だと思います。より重要な点は、医療資源の配分に関して、今までわが国は実態としてレッセフェールでやってきたわけですが、やはり緊急時には医療資源の集約に向けて国家が強制的に権限を行使できるような仕組みが必要です。また、知事と政府の権限も非常に曖昧ですから、明確化する必要があるとい思います。財政の観点から見ても、今までのような曖昧なやり方を続けていれば、いずれ財政赤字は巨額なものになってしまうわけですから、やはり根本的なところで制度を変えることが必要なのではないでしょうか。ワクチンが普及することに対する期待感もありますが、例えばエボラ出血熱のような致死率が高くて、他方で感染力が強いウイルスが来たら、ひとたまりもないわけでございます。
そうした意味では、これはもう釈迦に説法であるとは思いますが、コロナ対応がここまで苦戦していることの本質的な理由はどこにあるのかという点を正確に認識する必要があります。決して運用やオペレーションの問題ではなくて、制度、仕組みの問題であって、やはり法的な対応が必要です。これは、中長期的な財政収支の観点から見ても極めて深刻な問題ですので、もちろんそれを書くと財審ののりを越えることになろうかとは思いますが、こうした考え方が透けて見えるというか、行間ににじんでくるような、ぜひともそうした建議になればすばらしいと考えます。
文言については、繰り返しますが、全く異議はございません。
以上です。
〔増田分科会長代理〕横田委員、お願いします。
〔横田委員〕ありがとうございます。
私からは、20ページの被用者保険の適用拡大に関して1点だけお伝えします。4行目から5行目にかけての「第3号被保険者の減少を含め働き方に中立的な制度の実現に資する面」とありますが、意図に異論は全くないですが、少し表現、工夫したほうがよいかと思っています。「働き方に中立的な」という点に、少し何か違和感があります。恐らく伝えたいのは、第3号被保険者の権利も残しつつ、適用拡大で恩恵を受ける人もいる、ということ。また、第3号の当事者が少しネガティブに思わなければよいなというところです。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、十河委員、お願いします。
〔十河委員〕起草委員の先生方、非常に簡潔に、分かりやすくまとめていただきまして、ありがとうございました。
私からは、医療のところですが、先ほどから何人かの委員からも、コロナのこうした時期ということで、その部分は確かに今、国民に大変響く文言であると思います。特に医療に関しては、こうした現状を見て全ての国民が今の問題を非常に理解している、そうした時期に出される建議であるので、今、提示ができないのですが、コロナをもっと強調したほうが良いのではないかと思いました。総論のところに、次のページに行くとコロナが出てきますが、冒頭にもっとあったほうが良いのではないでしょうか。
それから、これは質問というか、私が思いましたのは見出しのところです。ある意味、非常に淡々と書かれているのですが、例えば23ページのア)これまでの取組という部分ですとか、イ)新型コロナと医療提供体制という、ここをもう少し引き込まれるような、なかなか進まないこれまでの取組のような表現ですとか、新型コロナを通して見えた医療体制の抜本的な見直しとか、要約した見出しによって長い文を読ませるような方法ができたらよいのではないかと思いました。
それから、細かいですが、24ページの「新型コロナの感染拡大を迎えた」という一文が23ページ、24ページに3本入っておりますので、この辺りは少しまとめられたらよいかと思いました。
いずれにしても、コロナを踏まえて、国民の理解を得るということが大切であると思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、オンラインのほうで挙手されている方、堀委員と宮島委員、お二人ですので、堀委員からどうぞお願いします。
〔堀委員〕ありがとうございます。
基本的に問題意識は共有していますので、細かいところだけですが、16ページの13行目「明確な社会保険方式を基本としながら、現実には後期高齢者医療・介護給付費の5割を公費で賄うなど」ということは正しいですが、その後に「特に近年、公費負担の比重の大きい後期高齢者医療・介護給付費」と書いてあります。もし、ここに「特に」という表現を残すのであるならば、前のところは「国民健康保険の国庫負担、後期高齢者医療・介護給付費などで公費を賄うなど」というような表現にしたほうが、次の「特に」というところが生きるではないかと思いました。
29ページの19行目「『かかりつけ医』の普及のための包括化」というところですが、これは議論になるのかもしれないですが、恐らく包括払いのことをおっしゃっていると思いますし、私も基本的に賛成ですが、あえて「普及のために」と書くならば、包括払いとか包括化ではなくて「『かかりつけ医』の普及を促進する診療報酬の在り方の検討」といったような表現にしたほうがうまくいくのではないかと思いました。わざと包括化とするなら、それはそれでありかとは思います。
34ページの17行目の表現で、これも個人的には納得しますが、「このようなまやかしに決別し」ということは若干ほかのところの表現と違うので、少し表現を工夫されると、気持ちはよく分かりますが、文章表現をもう少し違うものにするとよいのではないか。「PDCAサイクルはないに等しいものとなっている」を「PDCAの実効性を高めるために」とか、そうしたような表現にしたほうが良いのではないかと思いました。
38ページの6行目「医療提供体制面からの取組」、これも表現だけですが、「体制面からの取組」という表現は少し分かりにくいのではないかと思いますので、「体制面を踏まえた取組」とかのほうが分かりやすいのではないかと思いました。
45ページの3行目「介護保険創設以来増加していた保険料負担者である40歳以上人口」というところです。これも正しいですが、「保険料負担者」というより「第2号被保険者」としたほうがより正しいのではないかと思いました。
51ページの財務諸表等の財務状況の報告については、先ほどの損益計算のところであるとか、文章の表現をどこかに統一すればよいのではないかと思います。
54ページの19行目、20行目のところです。これも正しいと思うのですが、ただ、そうなると、高齢者の医療費の公平な負担のために公費を投入しているということも、前のほうでは介護と後期高齢者に公費が増えてと書いてありましたので、整合性を合わせるためにそこを追加するかどうか。もちろん、この表現でも、「保険制度の分立による給付と負担の不均衡を是正する」ということも大きな意味ではそのとおりであると思うのですが、これだけであると国保の部分の公費負担のような印象がありましたので、そこをどうするか少し調整するとよいのではないかと思いました。
それから、先ほど宮島委員がおっしゃった代用のところの医療の書きぶりについて、私は書かれている中身そのものには賛同しているのですが、少し分かりにくいので、もう少し分かりやすい表現にできるのではないかと思いますので、そこは後日メール等で送らせていただければと思います。
以上になります。
〔増田分科会長代理〕それでは、宮島委員、お願いします。
〔宮島委員〕ありがとうございます。私は、2点、申し上げます。
1つは、先ほど十河委員もおっしゃったように、今、国民は、自分が受けられる医療を超えて、医療体制がどうかということを非常に強く意識するような状況になっていますので、医療体制側がどうするかだけではなくて、国民にどういう心構えを求めるかというようなことも、少しあったほうが良いのではないかと思います。かかりつけ医があったほうが良いよねという部分は書いてあると思いますが、たしか以前、何年か前の財審で書いてあったような、27ページぐらいですか、本当に必要な人が必要な医療を受けられるようにとは書いてあるのですが、これはつまり、誰もがどこに行っても、いつでも、好きなように医療が受けられるということではなくて、本当に必要な人が、その病気に対して必要な医療を受けられるという部分の覚悟が国民にとっても大事であるというようなところが、ざっと見たところあまりなかったかと思いますので、あればよいかと思いました。
それから、これは文章全体のつくりで、もともと財審の建議は、いつも同じ順番で、例えば社会保障だったら年金、医療と来て淡々とやるものかもしれませんが、やはり今回、コロナで医療への注目が非常に集まっているということで、前文のコロナというところに医療体制も少し入れ込むとか、あるいは医療の部分にコロナを少し書き込む、今までの方もおっしゃったようなところがあってよいと思います。
さらに、私の感覚としては、社会保障の最初に医療が来てもよいと思うのですが、それは、もしかしたら今までのルールとの関係で、辞書みたいに見るのであれば年金、医療の順番でよいですが、21ページの医療の書き出しを見ますと「翻って医療分野では」と書いてあります。つまり、まず年金が先にあって、「ところで医療は…」のような印象を与えますが、少なくとも今は医療だろうというような、もう少し、ここが最大に注目すべきで、かつ国民もみんなで考えてほしい問題であるというようなところが伝わるような書きぶりにしたほうが良いと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
社会保障の部分はここまでとさせていただいて、起草委員の方ですが、御担当は土居委員で、土居委員、退席しているのではないかと思いますが、まだいらっしゃいますか。では、起草委員、よろしいですね。土居委員の担当であると思うので飛ばして、幾つか頂いたコメントは、土居委員で基本的に修正されて、また起草委員で御確認いただいて、お示しをするということにさせていただきたいと思います。
それでは、次のパートになりますが、今度は地方財政と文教・科学技術です。一応、議論の時間、目安20分としております。58ページから74ページでございます。コメントある方は、同じような形で合図をしていただければと思います。2分程度で御発言いただければと思いますが、今度は右側ですね。そうすると、私から見て右側はいらっしゃいませんので、平野委員からいきましょうか。
平野委員、どうぞお願いいたします。
〔平野委員〕ありがとうございます。
地方財政と社会資本の両方にまたがる共通のテーマということで、公共インフラについて2点ほど申し上げたいと思います。
まず1点目、63ページ、公共施設等の適正管理では、総合管理計画として長寿命化対策だけが挙げられているわけですが、そうではなくて、将来の人口規模に合わせてインフラをコンパクトに再編成していく必要があるという旨を明記すべきであると思います。それから、今後の人口減少下で、我が国の地域社会をいかにスムーズにオプティマイズ、最適化できるかということは、公共施設、それからインフラの再編計画の早期の具体化にかかっています。したがって、市街地、それから農村集落を含めた地域社会全体の将来像をいかに描き、それを踏まえた行政サービス、あるいは公共インフラがいかにあるべきか、それを省庁横断的に総合的な議論を行うべきであるということを追記できないかと思います。
それから、少し前後しますが、これに限らず、省庁の推進体制がばらばらであることがこの席上でも度々指摘されています。こうした問題意識を、例えば総論の12ページ、13ページの人口減少下での行政効率化に関連づけて、注釈としてでもよいので盛り込んでいただけないでしょうか。デジタル、グリーン、リカレント教育、重要なテーマは全てそうであるということなので、日本の行政機能を時代のニーズにどう合わせていくかという点について、どこかで触れていただけないかと思います。
それから、2点目、社会資本整備に関してですが、84ページ、85ページの広域的な立地適正化の項目では、84ページ、25行目の「望ましい」というだけで少し不足感が否めません。先ほども申し上げたように、統廃合・再編を含めたコンパクト化に向けた計画を具体的に作成すべきであるというところに踏み込めないか、というのが私の意見です。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、神津委員、お願いします。
〔神津委員〕これも、意見書、詳しくお出しをしますので、この場では3点だけ、かいつまんで手短に申し上げます。
1つは、地方財政の関係でマイナンバー制度です。マイナンバーについても、コロナの状況の中でいろいろな矛盾が露呈したわけですが、活用すべきであるという観点です。真に支援を必要とする方々への迅速、かつ確実な支援体制を確立するためにも、普段から正確な所得捕捉に基づく公平、公正な税制ということと相まって、マイナンバー制度の一層の活用は極めて重要ということを申し上げておきたいと思います。
それから、文教・科学技術においてですが、小学校の学級編成標準の引き下げにあたっては、環境整備をしっかり進めていくことが重要です。義務標準法の一部改正法の附帯決議のとおりでして、加配定数を基礎定数に振り替えることなく実施すべきであるということを申し上げておきたいと思います。
それから、教職員の負担に関わる問題についてですが、やはり根本的な解決のためには教職員の確保、人材の確保ということは不可欠であると思います。その上において、優秀な若者が志望する職場環境の実現に向けて、まずは時間外労働の上限時間の遵守、業務削減による心身の健康確保の徹底、併せて外部人材の活用といったことが極めて重要であるということを申し上げておきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
オンラインで、宮島委員、先ほど概要版の地財のところ、何か言いかけてそのままになっていましたが、ありますか。
〔宮島委員〕すみません、ありがとうございます。
概要版で、今、本文も少し確認しましたが、地方財政は、恐らく、それぞれの良いところをやっていくというようなことは書いてあるのですが、「見える化」のところで標準的な財政サービスを不断に検証すると書いてあるところと、その上、横並び意識を排した自律的な地方財政の運営の拡大・深化が必要というところの書き方で、多少、「見える化」の部分を引っかけて、良い例をみんなで見ていくというか、共有化していくといったような部分があってもよいのではないかと思いました。今、本文との関係を確認していたのですが、良い例を取り入れていくということは本文には書いてありますが、この概要では、それがいま一つ伝わりにくいかと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございます。
それでは、コメントはここまでとして、あと何かあれば文書で出していただきます。
起草委員のほうで、この部分は冨田委員と中空委員であると思います。何か起草委員のほうでございますか。小林毅委員、どうぞお願いします。
〔小林(毅)委員〕社会資本整備の84ページのところで、平野委員が御指摘されたところです。「望ましい」をもう少し強くしてもよいのではないか、これは検討させていただきます。ただ、コンパクト化については立地適正化そのものが、この段落の18行目にあるように、コンパクト化を進めるための立地適正化計画となっていますので、コンパクト化があまり何回も出てくるのも少し読みづらいかと思って、最後のところはもう別の観点で連携のほうを強調すると、そうした趣旨でこうなっております。もし、ここで段落分けをしていることによってコンパクト化が少し薄まるというのであれば、段落を解消すればいけるのではないかという気がいたしますので、少しその辺のところで考えてみたいと思います。
〔増田分科会長代理〕それでは、冨田委員、どうぞ。
〔冨田委員〕少しすみません、お気づきになられたかもしれませんが、「地方公共団体」という言葉が何か所も出ています。マスコミでは「自治体」という言葉が使われていますが、やはり我々、財務大臣から諮問を受けて答申を出すわけでして、憲法で「地方公共団体」という言葉を使われているのでこちらを使っているということです。我々、中でもいろいろ議論しましたが、あまりにくどいぐらい「地方公共団体」という言葉が、今回はコロナ禍のこともあって出てくるのには、そうした背景があります。
〔増田分科会長代理〕中空委員、どうぞ。
〔中空委員〕ありがとうございます。
文教・科学技術ですが、いつもはもっとたくさん御意見頂くので、今日も何かあるかと思ったら、あまりないので、神津委員の修文をお待ちしたいと思います。
また、宮島委員から出ていた概要のアカデミック・インフルリーディングについては、少し訂正して書きたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、最後のところ、先ほど少し一部、社会資本整備も入ってしまったのですが、改めて社会資本整備、農林水産、グリーン、この3つの各論の分野について、残された時間で議論したいと思います。該当ページは、75ページから99ページということになりますので、御発言ある方、2分程度でおまとめいただきたいと思います。
そうしましたら、広瀬委員から、どうぞお願いいたします。
〔広瀬委員〕ありがとうございます。
グリーンの94ページの17行目から19行目ぐらいですが、グリーンとエネルギーは一体で進めていくわけで、最終的には国の政策として一つにまとまるわけですが、取りあえず今、パラレルで、エネルギー基本計画と環境計画が進められております。基本的にここはグリーンですから、エネルギーについてですが、一言、ここにエネルギーについて触れておいたほうが良いのではないかということで、具体的には19行目の「この際」の後に、グリーン政策のグランドデザインに相当するような一言で申し上げると「3E+Sのバランスの取れたエネルギーのトランジション構想」と。今、エネルギー基本計画については、3E+Sのバランスの取れたということは従来から言われておりますが、基本的には2050年に向かってこの30年のトランジションを、どうやってそこまでたどり着くか。エネルギーですから、一瞬たりと途絶えさすことはできないわけですから、恐らくそうしたことが最終的なこの計画に入ってくるのではないかということで、それに合わせて、ここに一言入れるということもあるのではないかと思います。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、平野委員、どうぞお願いします。
〔平野委員〕すみません。先ほど少し踏み込みまして、失礼しました。
私からは、少しグリーン化に関して、冒頭も触れて、先ほど武田委員からもコメントを頂きましたが、改めて、こうしたイニシアチブに代表される、今後の成長に向けた国家戦略的な取組における国の財政支出の重要性について、述べたいと思います。
一言で言うと、今、世界は米中対立という新たな世界的・歴史的な局面を迎えて、国家あるいは価値観を共にする同志国が、デジタルとグリーンという新たな競争領域で、言わば存亡を賭けた戦いを始めているということです。したがって、欧米中各国がこうした明確な意識の下に、国家レベルでの戦略的な資源投入を開始しているわけです。もちろん、最終的に国を支え、経済成長を担うのは民間であるべきではありますが、DXやカーボンニュートラリティーといった国家戦略的かつ極めてチャレンジングな取組を行う上では、政府が強いリーダーシップを発揮すべきであって、民間の力を引き出すための財政出動の意義があるということに、改めて触れていただければと思っております。この場でも繰り返し指摘されましたが、とりわけ2050年のカーボンニュートラリティーの実現は、既存の技術では到底実現不可能であるということを改めて申し上げたいと思います。
私は、先ほどから申し上げているとおりで、財政の現状に強い危機感を持っておりますが、単に歳出を削減するだけでは未来を築くことはできません。今の日本に必要なことは、ポストコロナに向けた社会・経済への大きな構造変化をチャンスとして捉えて、気候変動やデジタル化への対応を梃子に、イノベーションによって社会・経済の在り方を変える、産業構造改革を進めて日本経済を再興するということであって、そのために、官民が持てる力を最大限に発揮すべきときであるという認識の下に、最後、まとめていただければと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕秋池委員、お願いします。
〔秋池委員〕79ページに、インフラの原形復旧を前提としないということで、人口減を念頭に、原状の復旧を目指さないということをはっきり書いたのはとても良かったと思っております。
それから、82ページ、便益算定を徹底するという点も、同様に人口減の中で非常に重要なことであると思っておりますので、これもはっきり書かれて良かったと思っております。
89ページに農水産物の輸出のことがあるのですが、3行目に「現地における供給体制まで包含した戦略」とあります。作られた種苗等の知財の保護も非常に重要なことになりますので、これもここに一言入るとよろしいかと思いました。
それから、96ページにグリーンイノベーション基金のことがありますが、15行目にありますように14の分野にということで、参考資料にも14分野の具体名が出てきています。案件が来た順に薄く広くまかれたりしてしまうと、戦略的とはなり得ないというところがございます。96ページにグランドデザインという言葉が出てきていますが、そのグランドデザインにふさわしく14分野に配分されるということが重要ですので、その言葉が入るとよろしいのではないかと思います。
それから、それをやるためにも重要ですが、はかばかしく成果が上がっていないとか、努力が継続されていないことについては事業の停止をする、これが入ったこともとても良かったと思っております。10年間、何となく配分してしまうということではないと入ったのは良かったのですが、これが本当になされるのかどうかを見守っていただければと考えております。。この点は修文ということではなくて、そうしたような運用であると良いと考えます。
以上です。
〔増田分科会長代理〕木村委員、お願いします。
〔木村委員〕ここに書かれていることは、私も基本的にどれも大事な論点であると思っています。その上で、2点だけ。
1点は、社会資本整備のことですが、80ページに建設公債増加抑制の意義ということで、私も賛成ですが、これは従来から言われている問題で、今回、なぜ取り上げるのかという背景があるのだったら触れていただければと。つまり、コロナで大量の特例公債を発行しているので、景気の刺激策はなかなか限られていますが、残る建設公債でインフラを整備するのだったらよいのではないか、許されるのではないかという発想が例えば政治的にあるとすれば、もし、そうしたことであるとしたら、それは少し違いますというニュアンスのようなものを何か込められればよいのかなというのが一つあります。
それから、もう1点、農林水産ですが、基本的に農業者の生産性の向上とか、輸出の拡大で新市場を開拓するという方向性も、私は賛成ですが、そうした目的を進める狙いの一つとしてTPPもやりましたし、昨年、RCEPも合意しましたし、これは日本外交の大きな成果の一つと思われますので、こうした経済連携が日本農業の強化にもつながると。要するに、今回、提言しているのは、単に財政の効率化という観点だけではなくて、日本の政策全体と連動している中からこうしたことが重要であるということを、この表現の中で触れてもよいのではないかということも感じました。
その2点です。以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、安永委員、お願いします。
〔安永委員〕グリーンに関しまして、先ほどの平野委員のお話にもかぶりますが、やはり認識すべきは、今回のチャレンジということは、過去の公害対策、省エネ、ハイドロカーボン等の中身を変えてきたときとは次元の異なる、技術的にも全く新しい分野に官民そろってチャレンジしていくということです。そうした意味では、ここに記載されておりますとおり、グリーン基金を呼び水にして民間にチャレンジを求める、あるいは、国民の行動変容を求めるということはとても大事であると思うのですが、一方で政府においても、この野心的な目標を掲げた以上は、それに挑戦して実現するという意気込みをしっかりと書き込んでいただきたいということが一つ。
それから、財政再建はもちろん重要ですが、2050年を目指した相当の先行投資が必要な分野でありまして、いたずらに政府債務を増加させてよいということではないというような強い表現をされますと、これがイコール、カーボンタックスに即つながるとすれば、カーボンタックスを課される企業こそR&Dをしていかなければいけないわけで、そうした企業がR&Dの財資を失うということになりかねません。どうやってそういった排出をしている企業に、より脱炭素化のための技術投資をさせるかと、そうしたインセンティブの枠組みをぜひ御検討いただきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、熊谷委員、どうぞ。
〔熊谷委員〕1点だけですが、文教・科学技術の分野でダイバーシティーという言葉が、私が見つけそびれたのかもしれませんが、あまり入っていないように感じました。具体的には、やはりこれからグローバルな最大のキーワードの一つはダイバーシティー、多様性であると思いますし、まさに文教や科学技術の分野はそれこそが重要であると思いますので、例えば72ページの辺りでダイバーシティーという言葉を入れられたほうが良いのではないかと感じました。
私からは以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、河村委員、お願いします。
〔河村委員〕社会資本整備と、それからグリーンのところで意見を言わせていただきます。
まず、社会資本整備のところ、災害対応、やはりソフト面での対応というところで78ページの辺り、警戒すべき地域の指定促進の話を入れていただいたり、それから建設公債の増加抑制、事業評価の徹底、費用便益分析の話等を入れていただいたり、大変良かったと思います。
それで、1点、これは意見で、ここの記述はこれで良いと思うのですが、今回、建設公債の増加抑制の話をこうやって出していただいて本当に良いと思いますが、やはり国全体の抱えている問題を考えると、こちらは建設公債だけではなくて、やはり赤字公債の問題があるだろうと。赤字公債、最初、何でその資金を調達するのか、お金を借りてくるのかということに照らすと、60年償還でやってしまってよいのかというところがやはり改めて問い直されなければいけませんし、現状ですと、やはり60年償還ルールでいくと、それこそ1,000兆円も借金がありながら、普通国債残高がありながら、毎年の一般会計で債務償還費を組み入れているのは20兆円も行かないわけです。決算の剰余金で繰り入れても、私も計算したことがありますが、本当に金額的に焼石に水ですし、予算繰入れもできる制度ですが、全然やられていないです。そうすると、やはりそこのところを本当に見直していかなければいけないのではないかというか、これは今後の課題であると思いますが、総論のところでもほかの委員の方々から、これまでのやり方をやはり見直していかなければいけないのではないかというような御意見を何人かの方がおっしゃっていたのではないかと思うのですが、この点は、私はやはりその一つになるのではないかと思いますので、今後の検討課題として考えていったほうが良いのではないかと思います。
もう1点は、グリーンのところで、97ページの辺りです。諸外国の動きを引きながら、財源の問題について、18行目以下のところですが、この段落で触れていただいて大変良いと思います。ただ、やはりもう少しここで踏み込んで書いていただけないかと思います。今回、やはり大きく新発国債も増やし、去年、そうしたことがあって、新しい財政支出が必要な場合の対応ということで、総論のところでも15ページでかなり字数を割いて書いてくださっていて良いと思うのですが、やはりぜひこのグリーンのところでも、おっしゃっている意味の中に、これで含まれているということなのかもしれませんが、やはりこの問題は、地球環境の問題ということで、現世代の私たちが、今の生活水準を化石燃料に依存する形で維持する代償として生じた問題であると。それをやはり現世代の負担で責任を持って対応して、持続可能な地球環境を次世代へ引き継ぐ責任が私たちにはあるということを、そうした意味の一文をぜひここのところに入れていただいて、やはり財源を、とりわけこのグリーンの部分については財源をしっかり現世代の負担でやっていくべきであるというような感じの表現にしていただけたらありがたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、神子田委員、お願いします。
〔神子田委員〕社会資本整備の防災・減災対策のソフト・ハードが一体となったというところで、全体としてソフトの書き込みが少し弱いかなという気がします。ということは、ハード自体は、お金もないし、出水期前の迅速な対策という意味では、工事も時間がかかって間に合わないし、予算がついても全ての危険箇所はやり切れないということがある中で、国民の命を守るには、早めに災害につながる情報をつかんで、早めに避難できるような情報を伝達するということが大事であると思うし、やろうと思えば、ダムとか堤防工事よりは比較的早く実施できる施策ではないのでしょうか。
今回は、気象衛星やJAXAの地球観測衛星を使った、新たな情報を獲得する手段、そうした意味でのソフト対応は書いてありますが、一方で、実際、危険地で暮らす人たち、長期的にはそこに住まないようにということは指摘していますが、今、そこにある災害に対して、どうやっていち早く避難して命を守ってもらうか。そうした意味で、何をするかということが書き込まれていないのが、少し足りないのかなと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕あとは、オンラインの方、3名です。遠藤委員、赤井委員、冨山委員です。
遠藤委員から、御発言、お願いします。
〔遠藤委員〕起草委員の皆様、ありがとうございます。
既に、これまでの議論の中で私も意見を申し上げましたので、今回はこの文書について申し上げます。私が申し上げたいのはグリーンのところでございます。
まず、94ページの19行目ですが、「グランドデザインが描かれるべきである」というこのグランドデザインというのが、何というのでしょうか、非常に漠然としている言葉ですので、例えばグリーン成長戦略等が既に練られているわけですが、もっと踏み込んで、グランドデザインとおっしゃっておられるのか、少しこの辺りの御説明を起草委員の方にお願いできたらと存じます。
また、96ページの16行目「研究開発で終わらず社会実装まで行うため」という、これは文章の問題ですが、この支援の内容がということなのでしょうか。つまり、研究開発で終わらず社会実装までを対象としているためという意味なのか、少しこの文章が分からないと思いました。
また、最後のパラグラフですが、少し重複感があるので、もう一度読んでいる感じがしますので、少しこの辺りの整理が必要かと思いました。
97ページに入りまして、諸外国の動きの冒頭の「また、」は要らないと思います。9行目にも「また、」と出てくるので、これは構成の問題であると思います。
また、18行目、「グリーンだからといって政府債務を増加させて良いということではない」、ここは、次の「また、」も含めて一番大事な文章であると思うのですが、この「グリーンだからといって」というのが、これはグリーン政策だからといってという意味なのか、少し言葉が乱暴なような気がしましたので、政策だからということなのかの確認をさせていただければと思います。つまり、この2つの文章は大事なところであると思います。
24行目から26行目のところは、我が国の魅力も高まって、同時に目指すことであるというところが、何でしょう、少し曖昧な部分があるので、後ろで民間の成長投資の話、ESGの話はしているので、ここは要らないかと思いました。ですので、23行目のところで「財源を確保しながら取組を進めるべきである」と言い切ったほうがスムーズかと思いました。
98ページの18行目ですが、「ESG投資は政府としても推進することとされており」と書かれてあるのですが、「することとされている」ということは誰にされているのか、ここも言葉の問題ですが、少し違和感があると思いました。
私からは以上です。
〔増田分科会長代理〕続いて、赤井委員、お願いします。
〔赤井委員〕ありがとうございます。
私からは、社会資本整備のところで、82ページから83ページに費用対効果の話を書いていただいていて、これもお願いしていたので、きちんと書いていただいていて分かりやすいと思いますが、82ページで、ウ)適正な便益算定の徹底とあって、その後、エ)費用の適正な管理と、オ)適正な費用算定の徹底ということですが、便益算定のところは一般的に道路、港湾整備の話で、きちんとしましょうという話であると思いますが、費用のところは、北陸新幹線の金沢・敦賀間とか、北海道新幹線の新函館北斗・札幌間ということで、あえてサブタイトルに新幹線を入れていらっしゃいます。最近、新幹線の話題が多いので、そこにくぎを刺したいという意味合いで入れられているのかと思うのですが、タイトルに入れると、逆に新幹線以外のところは費用の適正な管理とか徹底しなくてもよいのかというような意味合いも出てしまうので、タイトルからは取って、その中で特に新幹線が問題で、新幹線以外の部分ももちろん費用の算定の徹底等はすべき、という意味合いを出してもよいかと思いました。もちろん、新幹線を特に強調したいという意図があれば、この形もあるかと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、冨山委員、お願いします。冨山委員、聞こえていますか。どうぞ、御発言をお願いします。冨山委員、聞こえていますでしょうか。こちらに音声が届いていないのですが。それでは、冨山委員は「挙手する」ボタンをクリックされたようですが、少し今、席におられないようなので……。
〔冨山委員〕すみません、今、戻っています。大丈夫です。
〔増田分科会長代理〕それでは、冨山委員、どうぞ御発言ください。お願いします。
〔冨山委員〕すみません、恐らく、間違って押してしまっているので、私からは特にないです。大丈夫です。失礼しました。
〔増田分科会長代理〕そうですか。はい、分かりました。冨山委員のことですから御発言があるのかと。
〔冨山委員〕降ろすのを忘れていました。すみません。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、最後の各論のところまで行きましたが、起草委員の方から今のコメントに対して何か御発言があれば。小林委員から、どうぞお願いします。
〔小林(毅)委員〕御意見、いろいろどうもありがとうございました。
社会資本整備のところの新幹線は、分科会の時にもございましたので、まさに今回、新幹線に少しスポットを当てたいという狙いがございました。ここで別に新幹線以外のところで費用対効果とか、そうしたものを算定しなくてよいのであると読む方はあまりいらっしゃらないのではないかと思いますが、そのために前段として適正な便益算定の徹底等、そうしたことを入れております。この表題の部分が少し引っかかるということであれば、いっそのこと「新幹線の場合」というような形に変えることも検討してもよいかと思っております。
それから、農水の知財保護の話を89ページの輸出拡大のところに入れたらどうかという御意見がございました。まさに知財保護の問題は、農産物の輸出については重要な問題です。ただ、分科会の席上、あまり明確にその意見が出てこなかったので少し控えていましたが、今日、出されましたので、ここに入れていきたいと思っております。
それから、今回、何で建設公債を取り上げたかについては、まさにおっしゃったとおりでございまして、今回、コロナで特例公債その他の発行残高が急速に上がっているときに、ここで建設公債にも少し目を向けておいたほうが良いだろうということでございます。それについては、81ページの2行目のところに少し書いてあるのですが、これではあまり明確ではないということだったら、多少、枕言葉的に、例えば「新型コロナ対策を受けて公債残高が急速に膨張している中で」と、この章の冒頭につけるということも考えられるかと思っております。
また、社会資本整備でソフトの書き込みが少し少ないのではないかと御指摘ございましたが、実は76ページから79ページぐらいまで全部ソフトの話でございまして、危険なところに住まないように危険なところに住んでおられる方々に伝える、どうやって早く伝えるかということについてももちろんですが、その前段階として、もうそうしたところはなるべく避けてくださいというような趣旨で、今回、入れております。そうした情報をどうやって早く伝達するかという意図で、これまでなかった衛星の活用というような話をしておりますので、その辺りは少し理解していただきたいと考えております。
私からは以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、中空委員、どうぞお願いします。
〔中空委員〕ありがとうございます。
私はグリーンのところについてです。御意見賜り、ありがとうございました。グリーンは、総論に次いで話題になるところかと少し思っておりました。頂いた御意見で、ごもっともであるというものについては取り入れていきたいと思っておりますが、少しお話ししておきたいのは、この文章でも国のリーダーシップをかなり盛り込んだつもりだということです。今、2050年カーボンニュートラルという目標はあっても、それ以上のことはあまり進んでいないというのが現状で、その中で、どこまでどういうことが動いているのかも分からないのに、そして財審でそこまでの話をしていなかったにもかかわらず、急速なメッセージ性の高いものをここへ押し出してよいのかという迷いがありまして、この程度に収まっているところを少し御理解いただきたいと思います。
その意味で、広瀬委員、平野委員、安永委員がおっしゃったような、国のリーダーシップ、あるいは、もう少しトランジションのところを生かしたような文言については、我々で少しもんで、もう1回考えたいと思います。ただ、これでも結構、国のリーダーシップを入れたつもりです、ということを少しはお話ししておきたかった点の1つ目です。
また、遠藤委員がお話になっていた、グリーン政策のグランドデザインとは何かという話です。グランドデザイン等、そもそも曖昧模糊とした表現が建議に結構多いと思っています。グランドデザインもそうですし、社会実装と言われても、何のことかと言われたらよく分からないことが多いです。格好よい言葉を使っていることが、まあまあ多いと思っています。なので、そこは少し反省をし、しかし、何というか、鳥瞰図がないと、カーボンニュートラル2050年の目標に向けて動くのに、統合的な絵がなさ過ぎるということは皆様の御不満であると思っていて、その皆様の御不満をグランドデザインという言葉に託したということで感じ取っていただきたいと思います。
全体的には、グリーン成長戦略のことも含めた、民間がこの時点でこうした努力をしてほしいということも踏まえたグランドデザインです。この意見は、あくまでも国の意見ではなく財審の意見ですから、国と民間の中庸を取っているというつもりで聞いていただきたいと思っており、心中は御理解いただければと思います。ただ、皆様の思いは、少し取り入れて対応したいと思います。
また、秋池委員から言われました、グランドデザインを踏まえて14分野にということについても、先ほど申し上げたようにグランドデザインとか社会実装という言葉自体がかなり曖昧模糊としていますので、そこにもう1回入れるべきかどうかも踏まえて、だけど、そうしたことを書くのだったら、それを使ってリアルに考えていきましょうねというメッセージが伝わるように工夫はしたいと思っています。
文言のリダンダンシー等については、積極的に訂正したいと思います。
97ページ、遠藤委員から言われた「グリーンだからといって」というところについては、おっしゃるとおり最も大事な文章、グリーンをお題目にしたくないという文章です。
、グリーンは大事ですし、ほかの国に伍していくためにも重要ですが、グリーンということだから、美名で良いでしょうという話にはなりませんよ、ということを財審としては書かなければいけないということでした。ここはそうした意味でいくとグリーン政策だからといってということです。なので、書き直しておきたいと思います。
河村委員から御指摘いただいた、もう少し踏み込んだらということですが、地球の環境を壊してしまったレガシーについてということは、どういう言葉遣いが良いのか、少し考えて、工夫して加えたいと思っています。
98ページの18行目、遠藤委員から言われました「推進することとされており」ということは、確かに客観文というか、人ごとのような話になっていて、これは駄目でしたね。ここは訂正して、もう少し主体的な話として捉えたいと思います。
いずれにしましても、私も超民間人なので、どこまで言ってよいのかいま一つ分からないところもあり、国がやはりリーダーシップを取るということを端々に入れながら、しかし、財政再建は当然考えてねということを、くさびを打てるような文言に、修文できるか分かりませんが、少し皆様と考えていきたいと思います。御指摘ありがとうございました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕御苦労さまでした。
それでは、ちょうど時間が参りましたので、本日はここまでとさせていただきます。
冒頭、申し上げましたが、改めて注意事項を数点、申し上げます。
追加の意見等がございましたら、可能であれば本日中、遅くとも明日12日の17時、夕方5時までに事務局にメール等にて御提出ください。様式は任意です。それを踏まえた上で、起草委員の皆様方には更に練っていただいて、改訂案をつくっていただきたいと思います。
次回は、5月21日、金曜日、16時から会議を開催して、そこで建議案を確定させます。同日中に、麻生大臣に建議を手交したいと、こうした段取りでございます。
建議の内容や修文については、委員間の率直な意見の交換、審議、ひいては建議の中立性が損なわれるおそれがあるということで、従来、議事録の公開によるほかは一切、公にはしておりません。そのため、次回、取りまとめに向けて、建議の内容及び審議の途中経過については対外的にはお話しにならないよう、委員の皆様の協力を重ねてお願い申し上げます。本日も、そうしたことで記者会見はございませんので、ぜひこの点をよろしくお願いしたいと思います。
そうしたことで、冒頭でも申し上げましたが、本日、御手元に配付しております机上の建議案については、会議後回収ということにさせていただきますので、机の上に残していただきますようにお願いをいたします。
本日は、これで閉会をいたします。どうもありがとうございました。
午後4時00分閉会