財政制度等審議会財政制度分科会
議事録
財政制度等審議会財政制度分科会議事次第
令和3年4月21日(水)14:30~17:00
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)
-
1.開会
-
2.議題
-
地方財政について
-
文教・科学技術について
-
-
3.閉会
分科会長 |
榊原定征 |
伊藤副大臣 矢野主計局長 角田次長 宇波次長 青木次長 日室司計課長 森田法規課長兼給与共済課長 有利調査課長 中島主計官 大久保主計官 飯塚主計官 渡邉主計官 関主計官 岩佐主計官 一松主計官 波戸本主計官 藤﨑主計官 渡辺主計官 山川主計企画官 井上主計企画官 |
||
分科会長代理 |
増田寛也 |
|||
委員 |
遠藤典子 大槻奈那 神津里季生 佐藤主光 十河ひろ美 武田洋子 土居丈朗 中空麻奈 藤谷武史 宮島香澄 安永竜夫 |
|||
臨時委員 |
秋池玲子 上村敏之 宇南山卓 河村小百合 喜多恒雄 木村旬 熊谷亮丸 小林慶一郎 小林毅 末澤豪謙 角和夫 竹中ナミ 田近栄治 伊達美和子 田中里沙 冨田俊基 平野信行 広瀬道明 福田慎一 別所俊一郎 堀真奈美 神子田章博 米良はるか 横田響子 |
午後2時30分開会
〔増田分科会長代理〕時間になりましたので、間もなく会議を始めますが、本日は冒頭でカメラが入りますので、そのままでお待ちいただきたいと思います。
それでは、お願いします。
(報道カメラ入室)
〔増田分科会長代理〕ただいまから、財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。皆様方には、御多用中のところ御出席をいただきまして、ありがとうございます。
本日も、対面とテレビ会議システムの両立てで開催をいたします。
また、議題ですが、本日は地方財政、そして文教・科学技術、この2つを議題としております。
それでは、報道関係の方、御退室をお願いいたします。
(報道カメラ退室)
〔増田分科会長代理〕それでは、地方財政の審議に入ります。
初めに、関主計官から説明をお願いします。
〔関主計官〕地方財政担当主計官の関でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、資料1に沿いまして、令和3年度予算における地方財政対策の内容の御報告、結果の御報告をさせていただいた上で、今後の地方財政運営を考える上でのポイントを御説明させていただきたいと思います。
まず、2ページ目でございます。令和3年度一般会計予算における地方交付税交付金等の金額は15.9兆円となりました。右側のグラフを御覧いただきますと、おおむね16兆円前後で推移している近年のトレンドに沿った結果となったところでございます。
3ページ目、お願いいたします。秋に当審議会で御審議をいただいたときには、地方交付税総額の算定ルールにつきまして、この資料にございます一般財源総額実質同水準ルールの下で歳出改革を進める必要があるということ、それから新型コロナウイルス感染症の影響で地方の税収が落ち込む状況が見込まれることから、地方の財源不足が増える可能性は高いということ、その際に、リーマンショックの時のような歳出特別枠や別枠加算といった特別な対応は、長年継続してきた経緯もあって、そうした教訓を踏まえると回避すべきであること、こうした内容の建議をおまとめいただいたところでございます。
この点につきまして、最終的にどうなったかということですが、令和3年度予算につきましては、このページのオレンジ色で塗った部分にございますように、3.4兆円の折半対象財源不足というものが3年ぶりに発生することになりましたが、次のページ、4ページ目を御覧いただきますと、一般財源総額につきましては、上の棒グラフにございますように一般財源総額実質同水準ルールの下での予算編成となりました。その上で、歳出特別枠や別枠加算というリーマンの時のような特別な対応を行うこともなかったということでございますので、一定程度、建議の御趣旨に沿った予算編成を行うことができたのではないかと認識しているところでございます。
ただし、3月の審議会のときに冨田委員からも御指摘いただきましたが、交付税特別会計の借入金の返済スケジュールのリスケ等の対応も、併せて行ったところでございます。今後も、国・地方が足並みをそろえて、経済再生と一層の歳出改革に取り組んでいく必要があると認識しているところでございます。
5ページ目、お願いいたします。今までは当初予算についての御報告でしたが、それとは別に、令和2年度の第3次補正予算におきまして新型コロナウイルス感染症対応のために、地方創生臨時交付金を1.5兆円追加させていただいております。秋の審議会において、令和2年度第1次、第2次の補正予算で計上した合計3兆円の交付金につきまして、各地方団体において創意工夫を凝らして有効活用が図られるべきであると、その実施状況や効果については説明責任を果たすことが求められるといった内容の御指摘を頂戴しておりました。1.5兆円の計上分につきましては、今後、各地方公共団体において執行されていくと思われますが、建議で頂いた御指摘は第3次補正分につきましても同様に当てはまると考えておりまして、財政当局としても執行状況をよく見ていく必要があると考えているところでございます。
これまで御説明をさせていただきましたが、令和2年度での3度の補正予算で計4.5兆円の地方創生臨時交付金、それから資料には載っておりませんが、飲食店への時短要請協力金の支援等、かなりの規模の財源を地方団体にはこれまで移転してきております。一方で、地方がそれぞれ独自で行われている対策がどのようなものなのか、それに一体どういうように使われているのか、何に幾ら使われているのか等は見えにくい状況になってございます。個別に見てみますと、地方創生臨時交付金を財源として基金に積まれているという自治体もございます。一方で、今、現金が足りないので、さらに財源が要るという声を全国知事会からは頂戴しているところでございます。
こうしたように、地方が自由に使える財源の拡充を求める声は毎年の予算編成でも繰り返されているところですが、地方自治ということはありますが、これだけ大規模な財政移転を行ってきておりますので、一定の説明責任は果たされるべきではないかと考えているところでございます。
7ページにお進みいただいて、ここからは今後の地方財政運営を考える上での重要と思われる視点を御説明させていただきたいと思います。まず、このページの資料ですが、国と地方の歳入歳出の状況を見ますと、歳入面は、国税が6、地方税が4です。歳出面は、国が4で地方が6ということで、その調整を行っているのが地方交付税、譲与税の役割ということになります。
これをめぐりまして、地方の皆様からは、地域の実情に応じた施策を行うために国からの財源保障が不可欠であるというような議論を頂くことが多いわけですが、一方で、国から地方に財政移転を行っているだけですと、国・地方を通じたプライマリーバランスの改善には全くつながりません。また、特定の地域のための施策について、地域住民以外の方に財源負担を求めることがどの程度適当なのかといった点も、十分考える必要があるかと考えております。特に、人口減少と高齢化による社会保障費の増といった構造的な課題は、国も地方も同じでございます。したがいまして、国・地方が歩調を合わせまして歳出の見直しの努力をしながら、国・地方を通じたプライマリーバランスの回復、持続可能な財政構造を作り上げていくことが重要と思っております。
ただ、こうした議論をいたしますと、そもそも地方交付税には、地方団体が標準的な行政水準を確保できるように財源を保障する機能があるのであると、したがって財政論だけでは論じられないのであるというような御議論をよく頂くところでございます。それだからこそ、標準的な行政水準とは何なのかということは常に検証されるべきであると考えておりますし、その水準を念頭に置いて、地方財政対策の中身も考えていく必要があるところでございます。そうした問題意識に立って、これから幾つかのスライドを御紹介したいと思います。
8ページ目、お願いいたします。まず、個別のミクロの自治体で、財政健全化に向けて様々な取組を行われている自治体が既に現れております。スライドの右側で引用しております多治見市長の御言葉にありますように、自らを律する自律自治体として、将来の課題を見据えて行政運営に取り組むべく、市民や議会との合意形成を円滑にするために財政運営基本条例というものを定めて、前に進めていく自治体が増え始めているところでございます。
次のページ、お願いいたします。条例というような法令の形ではなくても、ここにあります横浜市のように、中長期の財政収支の推計、税収や社会保障経費の推計を行いながら、右側にありますように、4年ぐらいの計画で歳入の確保、あるいは歳出改革のメニューも示して、政策の見直しに取り組んでいこうとされている自治体もあるところでございます。
地方歳出の水準を考える上では、決して今現在行われている行政水準が所与というわけではなく、横浜市の事例のように将来を見据えて取捨選択を行っていただくことが必要であり、それを前提とした水準が想定されるべきではないかと考えております。
10ページ目、お願いいたします。このスライドは、将来を見据えて、既に行政サービスの範囲の見直し、厳しい行政改革に取り組んでいる自治体の例です。左側は、兵庫県三田市で、子供医療費の助成につきまして、従来、無料だったところに自己負担を導入したという例でございます。下側の箱にありますように、市長が議会でも答弁されておりますが、持続性の維持のために無料化の範囲を見直すという厳しい選択を住民に求めているということでございます。それから、右側は新潟県の例ですが、財政見通しを前提といたしまして人件費の削減に取り組まざるを得ないということで、職員団体とも危機意識を共有されて人件費の削減に踏み込んだと、このような事例もあるところでございます。
12ページにお進みいただければと思います。ここからは、標準的な行政水準を考える上での個別の事務・事業に関する指摘を幾つかさせていただきたいと思います。
まず、個別の事務をより効率的に行っていくための取組として、情報システムの標準化・共通化の問題です。これは、昨年も御紹介させていただきましたが、いわゆるベンダーロックインというような状況を回避すべく、情報システムの標準化・共通化が進められていて、現在、関連法案が国会で審議中でございます。下の箱にございますように、システムの運用経費の3割削減、業務の標準化に伴う一層の効率化、こうした効果を着実に出していく必要があるのではないかと考えております。
13ページ目、お願いいたします。次は、マイナンバーカードの取得促進の問題です。これは、行政サービスの質の向上や効率化につながるということでございますが、本日、赤井委員からの提出資料の中で、この取得率を高めるための主なドライバー、要因の分析を御紹介しておられます。ここで掲げている都城市とか加賀市の例のように、申請手続のサポートや土日開庁の強化等、こうした取組を強化されて、高い水準の交付率を実現している自治体が出ているところです。交付率を高めることによって、行政コストの一層の効率化といった効果も期待できるのではないかと考えております。
14ページ目、お願いいたします。14ページは、窓口業務の民間委託、ワンストップサービスの導入状況、庶務業務の集約化、こうしたものの取組状況を集約したものです。御覧いただければお分かりになるかと思いますが、小さい規模の自治体、特に市町村レベルでは取組が少し進んでいないところもございますので、こうした所は取組を進めて、コスト削減の余地があるのではないかと考えております。
15ページ目、お願いいたします。15ページは、左側が地方税の徴収状況に関する資料です。特に、左下を見ていただきますと、市町村別で見ますと徴収率が残念ながら低い自治体も存在しております。例えば、スマートフォンの決済アプリの使用、複数の自治体での徴税事務の共同実施等、そうした取組も進められているところですが、まだまだ現行制度の下で歳入を最大限確保することが期待できるのではないかと考えております。右側では、1人当たりの行政コスト、人件費を都道府県の間で比較したもので、ここにあるように2倍超の差が出ております。格差はありますが、これについては地理的条件、政令指定都市の有無等、様々な要因があるかもしれませんが、やはりほかの自治体をベンチマークとしながら、一層のコスト削減努力を図っていく余地もあるのではないかと考えております。
これまで幾つか事例を紹介させていただきましたが、やはりこうしたデジタル技術の活用、先進自治体の事例の研究等を通して、効率性の高いスマートな行政運営が標準になっていくことを期待したいですし、そうすると、その運用を前提とした国の財源保障の水準にしていくことができるのではないかと考えております。
17ページ目、お願いいたします。ここからは、現在の地方財政計画の項目に沿った形で、地方が実施している事業の標準的な水準を考える上での視点を御紹介いたします。
まず、17ページですが、秋のセッションでも御紹介いたしましたが、地方が独自に行っている地方単独事業の中身の問題でございます。こうした事業の中には、国の補助対象外の、例えば保育所へ助成する措置、子供の医療費の無料化、学校と給食費等、様々な項目があるところでございます。最近になって、ようやく項目の「見える化」が進んできましたが、どのような目的で支出されて、どのような政策効果を上げているか、どれだけの事務コストがかかっていて、より効率的に実施することはできないか等のPDCAサイクルを上手く回すような形にはなっておりませんので、一層の「見える化」を行って、事業を取捨選択していくという努力が求められるのではないかと考えております。
18ページ目、次のページをお願いいたします。ここでは、地方財政計画において、太い字で書かれております、まち・ひと・しごと創生事業費、地域社会再生事業費、令和3年度に創設をいたしました地域デジタル社会推進費を御紹介しております。これらは、いわゆる総額を計上する、枠で計上している経費に当たるわけですが、これらの経費は地方の行政改革の推進、人口減少対策の取組の推進、高齢者のデジタルリテラシー向上のための施策等、一定の政策目的を持って計上しております。その上で、この表に掲げられている指標に基づいて個別の自治体には配分していますが、その経費がどのように活用されて、どのような事業をして、どのような効果が上がっているのかについては情報がないという状況でございます。一度、資金が交付されますと、受け取る地方側からすると、金に色はついていないものですから数ある財源の一部にすぎないということで、なかなか説明責任が果たされない面もあるわけですが、国で一定のフォローアップをして、中身を不断に見直していく必要があるのではないかと考えております。
19ページ目、お願いいたします。公共施設の適正管理の問題でございます。こちらにつきましては、まず既存ストックを何とか長持ちさせるという、いわゆる長寿命化対策の取組が必要であろうということで、左側、緑に塗らせていただいたガイドラインに基づいて、経費削減の効果額を確実に計画に盛り込むべきというガイドラインが出されているところでございます。一方で、右上の表、一番右の欄にございますように、定量的な効果額を書いている計画を作られている自治体はまだ少ない状況でございますので、もっと踏み込んだ計画の立案が求められると考えます。右下にございますように、PDCAサイクルにつきましても、スケジュールを決めている自治体もあれば、定性的にやりますと書いているだけの自治体もありますので、こうしたところも見直しの余地があると考えております。その先には、複合化、共用化といった厳しい選択肢も考えられるのではないかと思います。
20ページ目、お願いいたします。下水道事業の広域化の問題でございます。こちらにつきましては、昨年秋の審議会でも御審議をいただいて、人口密度があって初めて成り立つビジネスである、ゆえに広域化、共同化の取組が求められるというような御指摘をいただいておりますが、これについても、右下にありますように2022年度までに計画を都道府県が作ることとなっております。大事なことは計画の中身でございまして、将来の人口推計、厳しく現実を見た上で、厳しい見通しに立って、回る事業を作れるように広域化、共同化の取組を期待しております。
21ページ目でございます。最後のページになりますが、ここはまちづくりに関連いたしまして、全て公の金、資源だけでやらずに、民間のファイナンス、資源も活用して取り組むことができるのではないかということで、左側にエリアマネジメント負担金制度の例、右側は、公が土地を現物出資して、その土地を活用したい民間の金を引き出して一緒にプロジェクトを進めるLABVというスキームの例を紹介させていただいております。このように、公の出費が必要な範囲を吟味して、少しでも稼ぎを増やしていくことに取り組む自治体が増えることを期待しているところでございます。
以上、申し上げましたように、地方団体の標準的なサービスの水準を考える上では、地方自治体が行われている事業について「見える化」を行いながら、将来の財政見通しを踏まえて取捨選択や効率化が行われる必要があると考えております。
また、参考資料の5ページに補足させていただきましたが、そもそも地方財政計画と決算額の間に乖離があるといった課題もあるところでございます。地方への財政移転の適正規模を考える上では、高齢化による社会保障の増といった要因はあるところでございますが、今日、御紹介させていただいたように、個々の団体が今の段階から自らを律するような行政運営に一層努めていただくことで、まだまだ歳出改革を進める余地は十分残っているのではないかと考えております。そうした努力を促すためには、財源不足が生じますと、国が財源保障をしてくれるといった構図に陥らないようにすることが大切で、そのためには一般財源総額実質同水準ルール、冒頭で御紹介したこのルールのような仕組みで、財政移転の規模が徒に拡大することがないようにガバナンスを利かせていく必要があるのではないかと考えております。こうした取組を通じて、財政の持続可能性の確保を目指していくべきではないかと考えているところでございます。
私からは以上でございます。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、これからいつもどおり御意見を頂戴していきたいと思いますが、欠席の赤井委員から意見書を提出いただいておりますので、御手元にお配りしております。お目通しをいただきたいと思います。
そして、これ以降、この会場においての方はネームプレートを立てていただいて、テレビ会議システムの場合には「挙手する」ボタンのクリックで合図をしていただきます。会場を先に指名いたしまして、テレビ会議システムはその後ということにさせていただきます。
恐縮ですが、発言時間は極力手短にお願いしたいと思います。今日、この後、文教・科学技術もございますので、すみませんが、ぜひ手短でお願いをいたします。前回、そうしなかったのですが、今日はあまりにも長そうな場合には少し注意を申し上げます。すみませんが、よろしくお願い申し上げます。
それでは、私から見て左側になりますが、秋池委員から、順次、御発言をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
〔秋池委員〕いろいろと予算を地方に使っていただくことがあるわけですが、地方の行政のデジタル化は、結局、地域ごとにシステムフォーマットも違って、情報が流通しないということが課題になっておりますので、やはりお渡しするときに、お金に色がなくて、また、ほかの目的に使われてしまうということはもうあってはなりませんし、ある程度システムの開発についてもルールを決めて使っていただくようなことができればと思いました。
それから、幾らか細かい話のようではありますが、最後のところにありましたLABVについてです。これは地域の活力を促す取り組みということではありますが、ここに参画した人たちが退去してしまったらどうするのか。こうした計画はどうしても、始めるときは希望も含めた良いプランが出てくると思いますが、終わるときどうするのかということを考えていないと、結局、せっかくのお金が生かされないままに、箱だけが残って終わってしまうというようなことになりかねません。また、その修繕にお金がかかっていくことにもなりますので、その辺りをよく御覧いただけるとよろしいかと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、河村委員、お願いします。
〔河村委員〕御説明ありがとうございます。私は、マクロの算定のところで意見を申し上げたいと思います。
今年、今度の骨太で、地方一般財源総額実質同水準ルール、これからどうするかということを決める非常に大事な年であると思います。このルールを守るのは、もちろん、当然、もう最低限と思っております。ただ、やはり国全体として財政健全化を進めていく上で、プライマリーバランスの均衡、そして黒字化を念頭に置いてやっていくときに、一体、何をもってそれを達成していくのか。コロナの要因とかもありますが、コロナが感染拡大する前でも、新発国債をこれだけの額で出していて、国債の償還費を除いても新しい国債の実質的な積み増し分が20兆円や30兆円あるような状況で、そのギャップをどう埋めていくのかということを考えると、地方は横ばいで置いておけばよいということにはならないのではないか、やはりもう少し踏み込むぐらいのつもりでやってもよいのではないかと思います。
折半対象財源不足も、このところ本当になくなっていたものが、ここに来てコロナの影響もあってまた発生したということですが、これは毎年のフローを見て不足額がなければ良いというものではなくて、この裏には、参考資料にもありますが、臨財債の残高があるわけですので、そうしたところの解消も含めて、やはりもう少し踏み込んで言っていくべきなのではないかと思います。
それを実現するためにも、主計官が御説明くださった9ページのところ、標準的な財政需要とは一体、何なのか。これだけ人口が減少しているときに、総務省もいろいろ基準財政需要額を弾かれるときに、どうも旧態依然のやり方でやっていらっしゃらないか。やはり人口が減ってきたのだから、それに見合ったような形で、実際にいろいろ市町村合併を推進し歳出が効率化できていらっしゃって、基金が結構たまったというような所もあったと思います。コロナで財政調整基金を利用されるということはあったとは思いますが、そうしたところも見据えて改革を促していくことが必要であると思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、熊谷委員、お願いします。
〔熊谷委員〕熊谷でございます。
大きく3つ申し上げたいと思います。まず3ページ目の地方一般財源総額実質同水準ルール、これは今、河村委員からも御意見がございましたが、極めて適切な措置であると思いますので、今年の骨太でもやはりローリングをしていくことが必要であると思います。
2点目として、12ページでございますが、地方公共団体情報システムの標準化・共通化、これはまさに菅政権にとって最大の課題の一つであると考えます。その中で、左下のボックスのところにございますが、J-LISの改革がある意味、最大の鍵であって、システムの専門家の方と意見交換すると、やはりJ-LISに対しては極めて厳しい意見が今まで多く寄せられました。むしろ、サンクコストとして、もうゼロからシステムを地方が作ったほうがよいというぐらい厳しい意見があるわけでございますので、J-LISの改革については、ぜひ骨抜きにならないように細心の注意を払ってチェックしていただきたいと思います。
最後、3点目、15ページでございますが、やはり心ある自治体とそうでない自治体の間には非常に大きな差が存在します。その意味では、政府は、先ほど来、出ているように「見える化」をより一層推進することによって、心ある自治体が報われるような仕組みを作り、そうしたことを通じて国と地方が一体となって歳出改革をしていくべきだと思います。
以上、簡単に3点、申し上げました。ありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
次、小林委員、お願いします。
〔小林(毅)委員〕説明、どうもありがとうございました。
今回の財審の一つの大きな目的は、今回、コロナの問題でいろいろなことが、行政の問題、政治の問題があぶり出されてきましたが、これらに対して、どのように対応していくのか、その問題点をどのように解決していくのかということが、やはり全体のトーンとして流れていなければならないと思っております。
その意味で言いますと、例えば今回、お金がいろいろ出ました。それで、予算が執行されたのに、住民のところに届かないというケースが多々起きていて、それがまた不満となって、お金が足りないのではないか、もっと出せというような要求につながってきていると考えております。その部分を考えるときに、地方のシステム自体が、議会も含めて、そうしたシステム自体に問題があるのではないかというような問題意識を持たないと、今までと何も変わらないのではないかと思います。
例えば、5ページにあります補正予算の交付金の使われ方にしても、何に使われたかということも大事ですが、これは違うと明らかに分かるもの、それは見ただけですぐに分かりますが、本来の目的で執行されたにもかかわらず届いていないケース、こちらの方がむしろ問題であると思います。こうした辺りのところを検証していかなければ話は進まないという気がいたします。
もう1つ、マイナンバーの話ですが、マイナンバーカードの取得率が上がったということがここに書かれていますが、これは取得率を上げるのが目的でないはずです。これで何ができるのか、これをどういうように活用しているのかという記載が全くないし、今までそれが議論されてもいません。だから、マイナンバーカードを持っている人は、持っていることを忘れるぐらい使わないわけです。その部分のところをどういうようにこれから進めていくのかが提起されないと、やはり少し不足かと考えます。
以上です。
〔増田分科会長代理〕末澤委員、お願いします。
〔末澤委員〕どうもありがとうございます。
次の文教・科学技術とも少し似通るところはありますが、やはり人口が減少すると、今年の出生数も場合によれば80万人を割るような可能性もあります。こうした状況で、5年後、10年後を見据えると、やはり地方行政の効率化は3つしかないと私は思います。1つは、やはり統廃合です。今、自治体の数は3,000から1,700ぐらいに減りましたが、やはり将来的に見ると統廃合は必要です。もう1つは、やはりアウトソーシングです。今日、一部ありましたが、事務の業務はやはり民間等に委託するべきです。3つ目は、やはりICT化であると思います。
このICT化に関して、今日、隣の小林委員もおっしゃっていましたが、私はやはりマイナンバーカードの普及が進まないことが、ICT化が進んでいない証左であると思います。マイナンバーカードは、たしか6年半ぐらい前にスタートしたと思います。私、実は去年の夏に5年ぶりの更新をしまして、5年間、一度も使いませんでした。更新のときに1回使っただけです。
では、なぜそうなっているかというと、行政で活用できるシステムに全くなっていないためです。今、実はワクチンの問題、ワクチン担当相もおっしゃっていましたが、これで使えないのでしょうか。WHOのテドロス事務局長も、昨日、12日から18日の週の世界の新規感染者数は過去最高を更新したと公表されていました。この背景には2つあり、1つは変異株、バリアントの問題、もう1つは若者が動き回っていると、こうしたことをおっしゃっていますが、日本でもまさしくそうした状況であると思います。一方で、ワクチネーション、ワクチン接種に関して見ると、人口比で、日本は19日段階で1.6%です。英米は六十数%、ここへ来て欧州も少し頑張っていますが、それでも25%、日本は断トツで低いです。このワクチンの接種は、今回1回で済むかというと、恐らく、済みません。ファイザーのCEOのブーラ氏も、今週、3回目、要は年に1回ぐらい、今後も季節性インフルエンザのようにワクチン接種が必要になる可能性があるとおっしゃっている。だから、ワクチンの問題は今年だけのことではありません。
また、いろいろな行政サービスに関して、先般もポイント制というものが半年ぐらいで終わってしまった記憶がありますが、やはり本当にルーチン化、持続化されるようなシステムを早く作って、皆様に使い勝手が良いという認識をしてもらわないと、先ほどの話で、今回、マイナンバーカードをポイントをつけて取得しただけでは全く意味がないので、使っていただけるようなシステムを本当に中長期的な観点でやっていく。つまり、統廃合、ICT、アウトソーシング、このプロセスを本当に的確に管理していくことが必要であると思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕田近委員、お願いします。
〔田近委員〕田近です。
私は、参考資料の3ページを開いていただきたいのですが、これから財政健全化を議論していく上で、国と地方の財政状況から我々はどういう事実を共有しておくべきなのかということでお話しさせていただきます。ここに書かれているのは、GDPで示した成長実現ケースの国・地方のプライマリーバランスで、国の財政収支がついていますが、これをシェアすれば十分なのかということです。ここに書いてあるのは、地方の基礎的財政収支は一貫して黒字、財政収支も近年は黒字です。2番目は、成長実践ケースが上手くいった、そのまま実現したとして、国全体としてはバランスしても赤字であり、地方は黒字です。3番目は、債務残高を見てみると、国は増えて地方は減っていきます。こうしたことだけでこの表を読み取ってよいのか、というのが私の意見です。
もう少し具体的に申し上げます。このグラフを見ると、2024年ぐらいから見ていただくと、地方の黒字はGDP比で0.4から1.3だから1%ぐらい改善します。国は、マイナス2.1からマイナス1ですから1%、同じ改善です。要するに、このグラフから、もう地方はPB黒字だから頑張っています、これでよいのではないですか、問題は国だけです、と読み取ってよいのか。地方の財源が足りないときには、先ほど来、話に出ているように、少しテクニカルになりますが、足りない部分は国と地方が折半し、国は赤字国債を出し、地方は臨財債を出しています。実は、こうしたような国・地方の関係になっているのは、良い悪いではなく、地方の赤字部分の半分を国が補塡している。この仕組みがあって、地方が黒字になった分は国が赤字になる、こうしたことで裏づけられている。だから、ここで地方が水面より上にあるから良いというわけではなく、国・地方を併せて、更に健全化に対して努力を払っていかなければいけない。その1点を、丸3つの次にもう1つ丸を加えるべきではないかということが私の意見です。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、土居委員、お願いします。
〔土居委員〕土居でございます。
地方一般財源総額実質同水準ルールについてですが、私は財審でも、折半対象財源不足が解消している状況では、このルールは甘いのではないか、もっと厳しく規律づけるべきではないかと申し上げましたが、あいにく今年の骨太の方針は、むしろ財源不足がある状況からスタートして、新型コロナからの回復期で、落ち込んでいる税収からどうやって回復していくかという状況で、財源は国も地方も足らないという状況ですから、そこで痛み分けというか、お互い苦しい状況だが頑張ろうという意味で、地方一般財源総額実質同水準ルールは、やはりお互いの約束事として、引き続き今年の骨太方針でも堅持するということを考えるしかないのではないかと思います。特に、これから地方でも、地方財政計画上の公債費が増えてくる可能性があって、公債費が増えるのだから、もっと地方交付税を出せというような要求も出てくるかもしれませんが、やはり同水準ルールで踏みとどまるというような規律が必要なのではないかと思います。
それから、主計官が標準の意味について、非常に詳しく、的確に御指摘されたと思います。これは、マクロ、地方交付税総額という意味でも、ミクロ、基準財政需要額という意味でも重要であると思います。ここで御披露されたように、行政の効率化はぜひとも地方公共団体には進めていただきたいわけですが、これが進むと、もし標準という水準が曖昧であると、基準財政需要額が減ると錯覚する、ないしは実際減るというようなことになって、普通交付税が減ってしまうという逆効果になってしまうわけですから、効率化にインセンティブが出ない可能性があります。行政効率化は進めてもらいたいが、受け取る地方交付税の総額が少なくなるのだったらやめようというような自治体が潜在的に出てくる可能性があるという点は、極めて厳しくモニターする必要があって、当然ながら基準財政需要額の算定ルールにもそうしたことが起こらないよう、注意深く主計官にもモニターしていただきたく思います。そして、行政が効率化しても、基準財政需要額が悪くならないような形の標準という水準の設定、これを厳格にしていただくということが大事であると思います。そして、地方財政計画上での歳出の算定も洗練化して、国と地方を通じたプライマリーバランスの改善につなげるということが大事であると思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕平野委員、お願いします。
〔平野委員〕ありがとうございます。
今の土居委員のお話にも重なりますが、確かに一般財源総額実質同水準ルールなど規律もあって、地方の財政は国に比べれば健全性が維持されていると言えるのでしょうが、お二方からも御指摘があったとおりで、今後の長期的な趨勢を見ると、すなわち人口減少、それからもう1つ、地域の産業基盤の弱体化という大きな問題は、これからも継続する大きな脅威であると思います。足もと、コロナ禍で、地方への移住、本社機能の地方分散等の動きも出てきてはいますが、一方で、急速に進みつつある脱炭素化の流れの中で、これまで地域社会、あるいは経済を支えてきた産業構造の転換を迫られるケースも出てくるということであると思います。
そうなると、先ほど横浜市や三田市の例が紹介されましたが、各自治体が合理的な、長期的な予測に基づいて、自治体の行政サービスの水準、内容、それからもう1つ、公共インフラの在り方を見直して、長期にわたって安定的に維持可能な体制を再構築する、デザインし直す必要があるのだろうと思います。その際に鍵になるのは、これは先ほど末澤委員がおっしゃったことと重なりますが、行政サービスのデジタル化と公共インフラの再編、コンパクト化の2つであると思います。
まず、デジタル化ですが、去年の秋にもこの場で申し上げましたように、税、公金の収納、支払い事務に自治体だけで約8,000億円、コストがかかっています。令和5年度の課税分からは、自治体ごとに異なる用紙、様式をQRコードで共通化します。先ほどの共通化の話が始まっていますが、これは本格的なデジタル化ではないわけで、マイナンバーを活用したオンライン化に最後は持っていかないといけないということです。
もう1つは、やはり集約化です。実は今、私どもも大胆な改革をやっておりまして、支店の事務を事務センターに集約して一括処理するということをやっています。同様に、自治体に関しては、標準化を進めてシェアードサービスを入れていくべき、集中処理をすべきであると思います。今、私の勤めております銀行では、業務のオンラインシフト、それから事務センターへの集約化の2つを進めたことで、支店の事務要員、過去3年間で25%削減、今後の3年間を合わせると相当規模の圧縮を見込んでいます。数でいうと5,000人減らすという計画で、これは全くリアルです。
2点目、公共インフラのコンパクト化です。これも先ほど関主計官からお話がありましたように、各自治体においては公共施設等総合管理計画を策定していますが、そこで示されたインフラの長寿命化や広域連携だけにとどまらず、将来の人口規模に合わせてインフラをコンパクトに再編していくことが必要であると思います。これも前回申し上げましたが、病院の地域医療構想の例と同様に、まずは公共の取組をやり、それを民間に広げていく、あるいは広がっていくという流れをつくる必要があります。例えば、学校、病院等の再編の計画を打ち出せば、住民に対して居住地の拡散を抑制するようなシグナルの効果も期待できると思います。その意味で、今後、我が国の地域社会をいかにスムーズに最適化できるかということは、やはり公共インフラの再編計画を早期に打ち出していくことにかかっているのではないかと思います。この点、先週の週末に富山市で市長選挙が行われましたが、富山市のケースは非常に良いと思います。もちろん弊害はあります。全ての人が賛成したわけではありませんが、後任の市長さんが前任者を引き継ぐ形で支持されたということはシンボリックだったと思います。
ただ、こうした議論を進めていく上で、負の側面にも配慮することは大事です。効率化一辺倒で改革を進めた場合には、これは昨秋の財審でも議論になりましたが、農地の荒廃の問題、国土保全等も含めて、農業が有する多面的な機能が損なわれる可能性はあるということです。したがって、今回の財審でも、病院、学校、上水道、下水道など、本来、根幹は同じテーマを個別的に取り上げていますが、この先、市街地や農村集落も含めた地域社会全体のグランドデザインや将来像を描いて、それを踏まえた行政サービス、あるいは公共インフラがいかにあるべきか、それについて省庁横断的な議論を、ぜひ財務省としても主導していただきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、安永委員、お願いします。
〔安永委員〕ありがとうございます。
今の平野委員のお話にも少し重なりますが、企業経営の目線から見ると、私どもは関係会社、子会社を合わせて500社以上が連結決算をしていますが、業務プロセスに必要な標準化・共通化、またそれらをシステムで連結するということをやらない限り、経営を行うためのベースのインフラコストが膨大になり、リダンダンシーが山ほど起こります。それを決算調整するためにも、また膨大な時間がかかります。企業側は、もう何年もかけて共通化・標準化をし、共同のシステムをつくり上げてきました。もはや待ったなしで、地方自治体も必要な標準化・共同化をするタイミングであり、まさにデジタル庁ができたことによって、その強力な推進体制の下でデジタルガバメント化を進めることが何より必要であると感じています。
そのときに大事なことは、企業でもそうですが、それぞれ個別の会社、ここで言えば地方自治体が、地方の特性、独自性又は歴史的経緯と言われたりしますが、それらを出すためにも共通化すべき部分はインフラ化するという発想がないと、その上に成り立つ独自性というものは発展しない、あるいはお金がかけられません。だから、共通化することによっていかに地方自治体のベースコストが安くなるかということを訴えていくことが必要なのではないか、と思います。
同時に、民間から見ますと、同じ手続が、地方自治体によって書類も違えば、様式も違えば、場合によっては制度の考え方から運用まで違う。これですと、日本国内で引っ越すと大変なことが起こります。これらが共通化されれば、マイナンバーカードを何に使うかということははっきりしてくると思います。要するに、プロセスの共通化があって、全国どこでも同じサービスが受けられるということが成り立って初めて、マイナンバーカードの有用性が訴えられると思います。さらに言いますと、システムを連携すれば当然、広域連携という形で、統廃合が最終的な形かどうかは分かりませんが、広域連携は間違いなく必要で、そのためにもシステムの連携はマストであると思っています。
以上です。
〔増田分科会長代理〕大槻委員、お願いします。
〔大槻委員〕ありがとうございます。私も地方行政の効率性という点で、2つお願いします。
1つは、今、安永委員からもありました標準化の話です。12ページ目にいただいておりますが、一番下のところ、閣議決定された実行計画を見ると、もちろんこれは令和8年度までできないことではないとは理解していますが、とにかくこの日進月歩の世界の中で令和8年度はやはり相当先に思えます。御説明いただいたときにも、小規模な自治体もあるので、ということでしたので、そうした自治体に対しての自治体間の協働的な支援や、既に終わっている自治体による支援等、そうした形でもっと、令和8年までにということではなくて早急に進めるべきであろうと思っております。
もう1点は、マイナンバーカードです。今回、大分いろいろな手を尽くして、お金も使って、取得率は上がったと理解していますが、それでも3割ですから、お金の問題だけではないと思います。赤井委員から頂いた資料にもありますが、やはり“面倒くさい”ということが一番のようで、ここにいただいている例等を見ても、その面倒くささの解消が相当利くということが分かると思います。ただ、地方がこうしたことをやるだけのメリットを感じているかというところは大いに問題かと思いますので、そこを促すような仕組みが大事かと思っています。
同時に、取得ではなくて、期限切れが今年度から重要な問題になってくるのではないかと思っております。5年で電子申請証明書が期限切れになって、使っていない人が期限を切らしてしまうようなことになると、せっかく取得率を上げても、またネットではあまり増えない、普及しないということになりますので、最終的に取りに行かなければいけないといった手続き等についても改善が必要なのではないかと思っております。
以上です。
〔増田分科会長代理〕木村委員、お願いします。
〔木村委員〕御説明ありがとうございました。
財政健全化を進める上で、自治体の行政効率化は極めて重要であるということはよく承知しておりまして、今回、示された資料でも効率化に随分大きな差があるということを改めて感じた次第です。コロナで、国は自治体への支援を拡充していますが、その分、どうしても自治体でも歳出が緩みがちな面も出てきました。今回の歳出改革の先進的な事例をできるだけ共有していくことが大事であると改めて分かりましたが、他方で別の観点から見ると、国と自治体の役割がコロナで変わってきた面もあるのではないでしょうか。例えば、感染症対策とかデジタルという分野では、住民と直接向き合う自治体が担う役割は大いにあり、そちらの方が住民にとってより有益な部分もあるのではないかということが、改めて分かったような気がします。国と自治体の役割をどう分担していくのか、安永委員がおっしゃいましたように行政サービスの共通性と独自性のバランスをどう取っていくのか、これらをもう一度整理し直した上で、必要な効率化を進めていくという観点が大事になるのではないかというような気がしています。
以上です。
〔増田分科会長代理〕神津委員、お願いします。
〔神津委員〕論点、様々ありますが、1点だけに絞って手短に申し述べたいと思います。マイナンバー制度についてです。
既に何人かの方々からも意見が出されていますが、マイナンバー制度の本格活用によって、迅速かつ確実な業務運営体制の確立が図られるべきであると思います。足元のコロナ禍で、支援が必要な方々に、その支援がなかなか速やかに行き届かない、そうしたもどかしさを目の当たりにしたわけです。真に支援を必要とする方々への、迅速かつ確実な支援体制の確立、そしてより根本的には、正確な所得捕捉に基づく公平、公正な税制の実現に向け、マイナンバー制度の一層の活用は極めて重要であると思います。自治体の情報システム整備、標準化とともに進めていく必要があると考えます。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、佐藤委員、お願いします。
〔佐藤委員〕3点ほどお願いします。
まず、3ページと5ページを見比べながらの臨時交付金の話です。3ページで御指摘のとおり、今回、財源不足が生じたとはいっても、一般財源の総額は抑えられたということですが、これはあくまでも当初予算でありまして、5ページは補正予算です。実は、一般財源総額実質同水準ルールは、補正予算で尻抜けにならないかということが今年度も少し懸念されるところですので、やはり地方向けの補正予算についても、今後、注意深く見ていく必要があるかと思います。
それから、臨交金、交付金等で地方が好きに使うという意味合いはありますが、やはり成果は問われるべきでありまして、それがどのぐらい感染症の抑制に効果があったのか、感染症対策として寄与したのか、地方の経済活動を維持できたのかということについて、KPIがあればそれを注意深く検証するというプロセスはどこかで求められるかと思いました。それが第1点目です。
第2点目、これもいつもの話になってしまいますが、17ページです。右と左の図を見てもらうと分かりますように、これは尺度が全然違います。地方財政計画は給与や性質別であり、また、まち・ひと・しごと創生事業費等よく分からない項目が出ています。右側は、いわゆる目的別になっています。性質別でも目的別でも構いませんが、本来であれば地方財政計画の項目、基準財政需要の項目、もちろん地方の予算の項目、これは普通会計でよいと思いますが、これらは本来、少なくとも項目は一致していないと、地財計画のどこの金額が地方の決算のどこの金額に対応しているのか、あるいは基準財政需要のどこに対応しているのか、全く分からないということになってしまいますので、やはり尺度の統一はどこかで求められるのではないかという気がします。
最後に、今日、12ページに出てきているデジタル化の話ですが、これはどこにボトルネックがあるのかということについてやはり検証は必要かと思います。もちろん、ベンダーロックインや、お金がない、人がいない等、いろいろと出てはきますが、やはり日本は、これまでずっと国が政策を決めて地方が実行している、仕事のやり方は地方に丸投げしてきたので、ガラパゴス化が進んできて、自分の好きなように仕事をするのが地方自治だという、どこかそうした勘違いが出てきている、ということなのであると思います。やはり何をやるかは地方の裁量である一方で、仕事の仕方は標準化しなければならない、といったようなすみ分けは当然あってもよいと思います。しかし、やはりこれまでの経緯もあって、なかなかこの辺りは進んでいないということがあります。いずれにせよ、少しボトルネックを検証する必要があるかと思いました。
また、いつも気になる点は、12ページの一番下の3割削減ということは運用経費です。でも、実はデジタル化による最大のメリットは、コストの削減より時間コストの削減です。例えば、オンライン申請によって窓口に並ばなくて済む、等のメリットが考えられます。手間暇を避けられるわけですから、本来は利用者の利便性の視点が必要です。実は、これは行政サービスを考える上でユーザー目線になるという、行政のデジタル化のパラダイムシフトであります。だから、エンド・トゥ・エンドと呼んだり、ワンストップと言ったりするわけで、ユーザー目線に立ったデジタル化をどう進めるのか、ここが本当は問われるのではないかなと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕武田委員、お願いします。
〔武田委員〕ありがとうございます。
本日は、大変分かりやすい御説明を頂き、ありがとうございました。私も、皆様と重なりますが、システムの標準化・共通化について意見を申し上げます。
デジタル行政について、佐藤委員からも御発言がございましたが、エンド・トゥ・エンド、つまり住民、地方自治体、政府が一気通貫でつながって初めて効率化の効果が出ると思っております。本日の資料の見出しにありますように、情報システムが標準化・効率化することは非常に重要ですが、併せて業務プロセスのデジタル化が進められないと、効果は一部に限られてしまうのではないかと懸念いたします。また、業務プロセスのデジタル化が進みますと、結果的におのずとデータが蓄積されますので、「見える化」もより進むのではないかと思います。したがって、エンド・トゥ・エンド、一気通貫でデジタル化を進めることを、ぜひ積極的に促していただければと思います。
ありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕それでは、田中委員、お願いします。
〔田中委員〕ありがとうございます。
私も、DXについて、自治体のDXが進む中では、各自治体はおおむね基盤連携や、国にシステムの標準化を期待されているところです。各自治体で完結して運用すべきもの、これは行政手続のRPA的なものが中心であると思いますし、また、標準化されたものを活用する部分を明確にして、予算活用の投資を住民にも説明して、DXを機に、DXで地域の活力を生み出す目指して、いま一度、自治体経営の視点を強化するということを強調できればと思います。
もう1つは、今、コロナ対策で、首長から連日、補償は国に求めるべきというようなメッセージがテレビ等でもよく言われていますが、今日、自律自治体の御紹介もいただいたところで、例えば以前に基金のことを紹介いただいて、東京都はかなり切り崩していますが、同時に基金を使っていない自治体もあるということを少し聞いていますので、基金を各自治体がどう保有していて、どのような有事に活用するのかということを、住民に対しても明確に伝える検討をどこかのタイミングで行う必要があるかとも思います。
以上、よろしくお願いします。
〔増田分科会長代理〕中空委員、お願いします。
〔中空委員〕ありがとうございます。手短に、3点、申し上げます。
1点目は、ドイツのコロナ対策ですが、ドイツの話をするのはなぜかというと、ドイツは財政が一番上手くいっているからです。コロナを封じ込めるために、去年は地方分権をして、今年は失敗をして中央に戻すということをやります。ドイツですらそうなのだから、やはり徹底したルールを入れるべきであるということです。これが1点目。
2点目は、地方財政計画を見るときにいつも思うのですが、かつて『地方消滅』という衝撃的な名著がありましたが、あの本をいつも思い出すわけです。本当にマクロ的に、この地方財政計画は正しいことを言っているのか、この答え合わせをする必要があるのではないかと思います。
3点目、皆様、マイナンバーカードのことをお話しなさっていました。ユーザー目線の話が多かったと思います。私は、取得率が高くなったところでどれぐらい役所の事務の効率化ができたか、そのエビデンスを残すようにしていただけたらという点について、申し上げたいと思います。これだけ多くなったので、あなたの所もしなさいという働きかけができるエビデンスになればいいと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、広瀬委員、お願いします。
〔広瀬委員〕ありがとうございました。2点、申し上げたいと思います。
1点目は、当面のコロナ対策で、5ページの交付金です。これは、もう現実的に、いわゆる時短要請協力金という形で有効に使われていると思います。これから、まだまだ分かりませんので、先ほど佐藤委員からお話がありましたように、基本的には効果検証をしっかりやり、メリハリをつけます。それを前提として、これからもある程度の拡充を図っていかざるを得ないのではないかというのが1点目でございます。
2点目は、これは皆様から出ていましたが、広域運営です。道州制も含めて、昔から議論がありますが、これもなかなか現実的には難しいものがあります。ただ、皆様おっしゃるとおり、実質的にはデジタル化、あるいはマイナンバーカードを通じて、行政サービス等を統一化して、あるいは広域化されておりますので、自主的にそうした自治体から、いわゆる広域化を進めていくということはこれからも大事ではないかと思いますが、やはり首都圏や近畿圏は、ある程度、塊として取り組まなくてはいけないということは、今回、コロナで改めて国民的によく分かったのではないでしょうか。やはり人の流れ等からすると、一緒に取り組まないと解決できません。今までも、恐らく首都圏や近畿圏はそうした取組があったと思いますが、仙台で起きると山形まですぐ伝播する等、ある面では人の流れのようなものはよく分かりました。
交付金の制度は、恐らく相手は都道府県、個別になると思いますが、少し広域的な仕組みを促すような交付は、今、そうした制度があるのかどうか分かりませんが、受け取る方としては非常に困ることで、うちの分をはっきりしてくれないと困るということになるので非常に難しいとは思います。しかし、形式としては都道府県でも、実際の使い方としては一緒になって取り組まないとなかなか使えないような交付の在り方等もこれから、今回、非常に広域的な取組の大切さは国民的コンセンサスになったと思いますので、ぜひそうした取組も必要ではないかと思います。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、宮島委員、お願いします。
〔宮島委員〕ありがとうございます。
コロナが広がる中で、日々の取材等でも、地方が、国に対して何とかしてくれと言っている様子を本当に強く感じています。まさに道州制が議論された頃は、もう少し俺たちの自由にやらせてくれという声が強かったのではないかと思いますが、その点は個々、自治体のトップによっても差はあるかと思います。皆様がおっしゃったように、それぞれが中長期的な見通しを持つことや、地域全体でフレームを考えてくださるということは何より大事であると思って、それは皆様のおっしゃるとおりです。
個人的に、1点だけずっと気になっていたことですが、15ページの兵庫県三田市で子供の医療費の自己負担をつくったことは、長い間注目しておりました。やはり子供の医療費は、小さい子だけだったときは良いですが、中学生、高校生まで広げた段階から不要な支出が増えると皆様思っていらっしゃって、やはり増だったわけです。このような市が出てきて、そして自己負担を課したときに財源がどうなるかということは大変注目していました。そうしたら、着実に件数は減っているわけです。中学生は捻挫手前で少し足が痛いぐらいで病院に行く必要はなかったということはありますし、中所得者は、特に子供に関して、本当に重篤なのに病院に行かせない親はあまりいないので、まさに医療費と受診控えのバランスの一つの良い例として、これは分かると思います。
これだけ明確に結果が出ていますが、さて、ほかの自治体は、これは格好良いと、自分たちもやろうと思っているかというと、残念ながらあまりそうではありません。だから、もしかしてこれを見ても、「おお、すごい」と思わないほど、みんな財政を健全化するつもりがないのかと思いもしますが、少なくともこのような例が出てきたことを、国としても、というよりかは私たちもですが、できるだけ褒め、格好良いと、このように先を考えて、医療のことを考えている自治体は素晴らしいではないかということを、共有する必要があるのではないかと思います。やはり皆様「武士は食わねど高楊枝」というところは必要であると思うので、この自治体の長は格好良いと思って、それを「見える化」し、共通化するということは、それぞれの住民にも利くのではないかと思うので、こうした良い例に関してはより宣伝していただきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
会場の方は以上にさせていただきます。
オンラインの方は、伊達委員、福田委員、横田委員、冨田委員、堀委員と5名の方、合図あります。順次、指名していきます。半分より少し時間が過ぎてしまったので、すみません、できるだけ簡潔にお願いしたいと思います。
伊達委員、どうぞお願いします。
〔伊達委員〕
今の地方財政の健全化のために、あらゆる角度から施策を講じる必要があるので、その中に生産性を上げるという視点を共有すべきであると思っています。生産性実現のためには、目標設定、標準化、指標化、進捗の「見える化」、そして広く公表するということであると思いますが、さらに、それらを駆使しながら、生産性を実行しながらのモチベーション管理の仕組みも講じる必要があると思っています。その意味では、説明であったように、各地域の財政健全化を前提とした標準サービスを明確にして、「見える化」するということは非常に重要で、特に実現可能な標準サービスの再設定という方針を明確に掲げるべきではないかと思っています。
また、「見える化」については、客観的に監視されて、利活用の抑制という意味もありますが、目標設定されて数値化されれば、その実現により成果が見えて、モチベーションの仕組みにもつながると思っています。資料にあったように、税の徴収率、住民1人当たりの人件費、カード取得率等数値化できるものは徹底的に「見える化」して、自治体ごとの進捗管理を公にして定期的に公表する、場合によってはランキングを公表するというのも一つではないかと思います。評価の高い自治体の職員のモチベーションは上がりますし、説明にもあったと思いますが、お互いベンチマークが可能になって、数字的な差があればその要因を分析することができますから、解決策を見つけることができると思います。今後、デジタル庁によってIT化が進むでしょうから、財政健全化のためにはデータドリブンによる自治体運営というものをぜひ促していただきたいと思います。
最後に、マイナンバー制度の導入ですが、普及率を上げるためには、やはり徹底的に利用者のインセンティブを上げるべく、必要性のある事業や施策に結びつけて普及を促していくことであると思います。ショッピングセンターでいろいろな努力をされるよりも、必然性と結びつけることによって普及は早く進むと思います。例えば、今後もどうなるか分かりませんが、Go Toが復活するとき、そのインセンティブを受けるためにもマイナンバー制度のカードを使う等です。今すぐは無理かもしれませんが、現役世代がワクチンを接種するタイミングまでには、やはりマイナンバーカードを利用して接種するであるとか、そうした形で必ずマイナンバーカードを、利用しながらサービスを受けることを徹底していくという方針を持つべきではないかと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕福田委員、お願いします。
〔福田委員〕手短に。
御指摘のとおり、地方の財政健全化は待ったなしの状況で、それに取り組まなければいけないという御提案はそのとおりであると思います。ただ、その際、やはり重要になるのは、財政健全化をする自治体にインセンティブを与えるということであると思います。それは恐らく、自治体の職員にインセンティブを与えるだけではなくて、健全化した自治体の住民にも便益が及ぶようなインセンティブがないと、やはりなかなか進まないことでしょう。最終的には、やはり住民が納得する形で財政健全化が行われないと、健全化はサステナブルではないということなのだろうと思います。
地方自治の場合には、特に単純な選挙による投票だけではなくて、いわゆる「足による投票」といって、魅力的な自治体に人が移動してしまうというメカニズムも働きますので、そうした意味では財政健全化によってメリットがあることの理解を住民から得ること必要だと思います。それに向けて、やはり「見える化」を確実に行い、財政健全化に取り組んでいる自治体にインセンティブを与えるというメカニズムを上手く作っていくことが大事だろうと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕横田委員、お願いします。
〔横田委員〕ありがとうございます。横田です。私は、マイナンバーカードについて1点だけお伝えします。
先日の新聞記事で、取得率が4割まで跳ね上がったという記事を拝見しました。結局、コロナ禍で皆様の意識が向上していることと、加えてプッシュ型で通知が行くことが非常に大きいだろうと思います。先ほど来、委員の方から出ていますが、期限切れ、更新漏れも出てきますので、今、総務省のホームページで交付枚数の発表を毎月されていますが、交付枚数が発行されたままだけにならないように、実際の普及状況と更新状況を的確に把握していく必要がありますし、定着するまでプッシュ型の手法を適宜、活用していく必要があると思いました。普及率と使用頻度が2割しか普及していないものに、そんなに頑張ってもということが少し前まで言われていたのが、ようやくその機運、フェーズが変わったと思っておりますので、4割を超えてくるとかなり違ってくると思いますので、大いに期待をしたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕冨田委員、お願いします。
〔冨田委員〕ありがとうございます。
いつもは、この会議でテーマとなります地方公共団体の基金残高の話が、今日はありませんでした。基金と定義は若干違いますが、日本銀行の公金預金の統計で、月次で追いかけることはできるように思います。全国合計の昨年末の公金預金残高は、伸び率で見て前年比15%増、金額は前年比3.2兆円増えて、残高は23.7兆円でした。年明け1月、2月も、前年同月比で見て増加額は3兆円前後で、ほぼ同様のペースで増えております。先ほどお話あった、国からのコロナ対応地方創生臨時交付金、これが公金預金からこれから取り崩されていくと思いますが、まだ基金が取り崩されているような状況ではないように見えます。ただ、地域差はあるようでして、例えば大阪府全体で見た公金預金は前年比で10%ほど減り、残高は2.1兆円ほどで推移しております。それでも、2018年初の水準を上回っております。こうした積み上がっている基金残高を、こうしたときにこそ命と暮らしを守るために、そして事後の検証に耐え、説明責任が果たせるように、これが大事ですが、国の補正予算に頼ることなく、基金の取崩しで対応すべきではないかと思います。
歳出改革の目安との関係で基金を考えますと、臨時財政対策債を発行する中で平均残高が増加を続ける、つまり資産と負債が両立てで増加を続けるという、市場経済では一般的な金融行動とは考えにくい現象が続いてきました。とはいえ、一般財源総額実質同水準ルールの下で、国の歳出改革に歩調を合わせて地方歳出も抑制され、国とは対照的に、地方財政では基金が積み上がり、プライマリーバランスの黒字を続けてきました。また、地方税収が回復すれば、2019年度や20年度当初のように臨財債の新規発行はなくなり、極めて僅かながら臨財債の償還も進みました。
したがいまして、申し上げたい点は、今後、単独事業の「見える化」等、地方財政計画の適正化を更に進めつつも、一般財源総額実質同水準ルールを継続していくことが必要であるということでございます。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、堀委員です。堀委員で最後になります。どうぞ。
〔堀委員〕手短に述べたいと思います。
地方財政等の概要で説明された現状認識と地方の標準的な行政の在り方について、主計官の問題意識と完全に共有いたします。特に、地方財政における「見える化」も重要ですし、規律の問題、例えば地方交付税の一般財源総額実質同水準ルールは令和4年度以降も必要であると思いますし、決算との乖離もなくしていくように、長期的な見通しに基づく規律の設定は必要であると思います。また、横展開についても、ほかの委員からもお話がありましたが、基本的に素晴らしい取組をしていても、自律的に財政健全化を図っていたとしても、それを模倣しよう、あるいは模倣できる環境にないところが多いと、結局、進まないということがあります。ただ、地方自治の性格上、国がどこまで指示できるのかを考えますと限界もあるかと思います。横展開できるようなインセンティブを与えると同時に、逆に、難しいのかもしれないですが、むしろ失敗事例を挙げていただくのも、そこから教訓として学ぶということで良いのではないかと思います。
また、新型コロナ感染症対応地方創生臨時交付金についてですが、令和2年度第1次、第2次補正予算の際も様々な不適切なものがあるのではないかという指摘がありましたが、今回はないかと思いますが、参考資料6ページで示された第3回の集計結果を見させていただきますと、例えば医療提供体制の強化とございますが、国と地方自治体の役割分担がどういうようになっているかが分からないので、重複して受けているところはあるのか、あるいは地方自治体でしかできないところに行っているのかが、正直、分かりにくいということはあります。公立病院もそうですが、前回の審議会でも新型コロナ対策についての丁寧な説明がありましたが、国がどこまですべきか、国と地方自治体がどこで協力すべきかという明確な線引きがあると、ガバナンス強化も図られると思います。また、PDCAサイクルの推進やKPIの設定についても、自治体独自の施策の成果なのか、国が裏で重複するようなものがあるから、結果として地方が良く見えているという可能性もあるかと思いますので、その部分をうまく識別できるとよいのではないかと思いました。
マイナンバーカードについては、エンド・トゥ・エンドの話が佐藤委員、武田委員からもありましたが、全く同様になります。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、前半はここまでとさせていただきます。
後半の文教・科学技術に入りたいと思います。まず、岩佐主計官から説明をお願いいたします。
〔岩佐主計官〕岩佐でございます。それでは、資料に沿って、少しテンポアップして御説明申し上げたいと思います。
まず、1ページ目、目次です。本日は、公財政教育支出、義務教育、高等教育、科学技術、この4本立てで御説明してまいります。
2ページ、御覧ください。最近、子供関連の財政支出に関する議論が多く見られている現状です。日本の公財政教育支出対GDP費、これはOECDの中では低いと言われます。実際そうですが、子供の割合もOECDの中では低い状況にあるということです。
3ページですが、これを子供1人当たりに直しますと、実はOECD平均と見て公財政教育支出は遜色ない水準であるということです。
4ページです。教育に係る私負担も日本は高いと言われるわけですが、国民負担率の水準も併せて考えることがやはりフェアだろうと思いますが、国民負担率が低いことは御案内のとおりです。要すれば、高さではなくて中身が重要ということに尽きるかと思っています。
次に、義務教育に関して幾つか申し述べたいと思います。
まず、6ページ、昨秋にも御議論を頂きました。結果としては、小学校35人学級を導入することとなりまして、5年間で1万3,574人の定数改善を創出するとともに、加配定数の一部を含む合理化減等、1万2,580人を財源として活用することにしております。このため、義務標準法を改正いたしましたが、その附則において、当方が縷々(るる)問題提起した論点、少人数学級の効果検証、外部人材の活用、教育の質の確保の観点からの免許制度の見直し等が検討事項として位置づけられております。35人学級の導入に伴って、これらをしっかりと実施していくことが重要であると考えております。
それぞれの点について、御説明いたします。
7ページです。まず、少人数学級の効果検証について。学力のほか、非認知能力、いじめ・暴力、不登校等への幅広い影響があり、この分野についてはなかなかエピソードベースの議論になりがちですが、専門家によるエビデンスに基づいた客観的な実証研究をしっかりやっていくべきであるということに尽きるかと思います。また、効果検証に資するようなデータを適切に整備していくことも大事であると思っています。
次の8ページです。教員は忙しい、という声も聞きますが、日本は授業時間数で見ると主要先進国の中では低い水準です。教員が負担感を感じているのは、保護者等から要望対応ですとか、国や教育委員会からの調査対応、あるいは部活動指導等でございます。教員だけで全てを抱える必要はなく、教員以外の方との役割分担も不可欠かと思います。
9ページです。こうしたチーム学校の考えに基づきまして、近年、外部人材に関しては大幅に予算的にも措置してまいりました。ただ、単純に数を増やせばよいというわけではなくて、この分野も効果検証が不可避と考えております。それから、中学校の部活動については、文部科学省において、令和5年度からはもう休日の部活動は地域に移行し、教員の業務として見ないという方針が示されました。こうした動きを確実に加速させていくことも大事であると思っています。
続いて、10ページ、先生の質の話です。昨年も申し上げましたが、近年、採用倍率は大きく低下していまして、小学校の倍率は昨年2.7倍と過去最低を更新しております。教員の質の確保がまさしく急務だろうと思っております。
その文脈で、11ページですが、採用倍率がここまで低下していく中で教員の質を全体として確保していくためには、中途採用の重要性がますます高まっているものと思います。現行制度でも、社会人等が教育現場に御参画いただく多様なルートはありますが、右の表のように特別非常勤講師は減少していたり、特別免許状の授与実績はあまり芳しくなかったりというようなことで、免許の交付を行う教育委員会がいまだ社会人の受入れに消極的な傾向があることが見てとれるかと思います。社会人経験者等が教員になるルートを抜本的に拡充していくために、例えばですが、一定の基準を満たす社会人経験者に対しては、もう国が免許を直接授与するといったような新たな仕組みも必要ではないかと考えております。
続いて、教育のICT化、13ページでございます。GIGAスクール構想に基づきまして、小中学校の児童生徒にパソコン1人1台を整備することになりました。進捗ですが、令和2年度末までに一応98%の自治体で納品が完了予定となっております。ハード面はほぼ整いつつあるかと思いますが、問題は、これらのハードを文鎮にすることなく、いかに有効に活用していくかが問われるということかと思います。
14ページです。従来型の黒板、板書で一斉に授業するような、一斉授業を前提としたチョーク・アンド・トークの延長線上ではなくて、AIドリルや、授業動画等もうまく活用した、質の高い新しい授業を注意深く模索していく必要があるということです。その際、例えば右側の例で、全国知事会によるランダム化比較試験の例を挙げております。高校生について、AIドリルを使うクラスと、そうではないクラスをランダムに振り分けて、AIドリルの活用が学力に与える影響を注意深く検証したといった事例です。とかく平等主義に陥りがちで、なかなかこうした社会実験的なものは敬遠されがちな面もありますが、こうした良い事例も出てきておりますので、注意深く効果を検証しながら、政策をステップ・バイ・ステップで進めていくということが大事であると思います。
続いて、15ページ、教員の働き方改革に関してもICTを上手く使ってくださいというお話です。教員にしかできない業務の精選であるとか、業務のアウトソーシングに加えて、ICTを使って効率化するという視点が大事です。左下にあるように、教員の意識、この点はあまりまだ芳しくございません。業務実態を把握し「見える化」して、効率化や、その改善に向けたプランを構築して、確実に多忙化の解消につなげていくことが大事であるということです。
次は、学校の施設に関してです。地財の文脈でもお話ありましたが、17ページです。学校施設については、特に今後15年間ぐらいで集中的に更新時期が到来します。長寿命化改修による経費の縮減、平準化、これももちろん大事ですが、問題は、現在ある施設を単純に長寿命化するのではなくて、学校の統廃合も含めて、残すべきものを注意深く見極めた上で長寿命化していくということかと思います。
この点、18ページです。学校の統廃合、あるいは、その他施設との複合化等も行っていくためには、教育委員会事務局だけでは困難でありまして、学校施設に関連する課題は教育委員会だけではなくて、区長部局も含めて様々な部署で検討されているのが実態です。こうした各部局が一体となった検討体制を構築して、新たな横断的な実行計画を、期限を区切り策定していく必要があるだろうと思います。
その際、では、どういうやり方でやっていくかということが19ページです。まず、計画策定に当たって、児童生徒数の将来推計を確実にやっていただくことが大事です。従来は5、6年ぐらいの短期推計にとどまっていたようですが、もっと長い期間を、都市計画部局とも協力しながら長期推計を実施していく必要があると思いますし、その結果も踏まえて、適正規模、適正配置の基本的な考え方を整理して、対応策のオプションを、財政シミュレーションとともに住民に明確に示していくということが大切かと思います。
20ページ以下で実際の例を御紹介しますが、これは茨城県石岡市の例です。少子化によって多くの学校が既に小規模校化していて、さらに今後20年間で児童生徒数が減少するのはもう明らかといったような中で、何をやったかというのが21ページです。24校ある小中学校を大胆に10校まで再編するという計画を立て、既に住民には開示しています。これにより相当のコスト削減ができるというシミュレーションも併せて、住民に対しては説明しているということです。母校がなくなるといった心理的抵抗もあって、なかなか合意形成は難しい分野かと思いますが、こうして明確にプランを地域住民に丁寧に説明していく中で理解を得ていくということが大事であると思います。
次に、高等教育の話に移ります。
23ページです。国立大学については、平成16年度の法人化以降、今現在、3期目の中期目標期間が最終年度を迎えております。来年度からは第4期の中期目標期間に移行しますので、どのような改革を進めていくかというのが大きな論点です。
24ページ、国立大学法人への公的支援をどのように考えていくべきかという視点を整理したものです。教育政策一般と同様、とかく総額ばかりが論点になりがちですが、教育研究の質の向上につなげていく上で重要なことは、大学間の配分がどうあるべきか、そして大学内での配分が適切かという使い方の議論であると思っております。
25ページです。総額の話について、運営費交付金、法人化以降1,400億円減少したというような、とにかく減って大変であるという議論はよく聞こえますが、その多くは、附属病院の赤字補塡金の解消や退職者の減に伴う退職手当の減であり、教育研究とは直接関係のないもの、いわゆる特殊要因的なものが大きく減っているということが実情です。それを除くと420億円の減になるわけですが、他方、その外側で科研費等の補助金がプラス860億円という形で増えておりまして、トータルで考えれば、むしろ公的支援は充実しており、補助金は増加しているというのがファクトです。
その上で、26ページ、大学間の配分の議論ですが、運営費交付金については財審においてもこれまでいろいろな議論もございました。令和元年度に共通の成果指標による相対評価に基づく配分を導入しまして、令和2、3年度と随時、その拡充を図ってまいりました。これにより、右下の絵にあるように、メリハリは強化されてきたと考えておりますが、なお基幹経費に対する影響は大きくないということで、改革へのインセンティブ効果を高めるために、引き続きメリハリづけを確実に強化していくべきであると考えています。
27ページです。その際、どのような指標で評価するかの問題ですが、まだ見直しの余地はあろうと思っております。現在の指標を見ますと、カリキュラム編成上の工夫の状況等、いわゆる取組指標が存在しておりまして、よりアウトカム指標に厳選していくという視点が大事だろうと思います。また、客観的、定量的指標となるようにデータを整えていく必要もあろうかと思います。例えば、教育の指標として、卒業修了者の就職、進学の状況というものもありますが、これは単に卒業生の就職率、進学率を見ているにすぎません。高等教育の付加価値、出口における質保証といった観点からは、単に就職したかどうかではなくて、卒業後どのような仕事をして、どの程度の所得を得ているか等について、継続的に追跡調査をしていくということも一案だろうと思います。
それから、第3期における重点支援強化というものもありましたが、これはアウトカム指標でも相対評価でもなくて、大学独自の指標に基づく評価となっている、いわゆるお手盛りであって、資源配分の仕組みとしては十分に機能していなかったのではないかと思っています。第4期の配分の仕組みを検討するに当たっては、こうした点も十分踏まえる必要があろうと思います。
最後に、科学技術について、少しスピードアップしてまいります。
29ページです。日本の研究力の低迷の理由に、予算の不足を挙げる向きもありますが、左図のとおり、科学技術関係予算の対GDP比は主要先進国では上位の水準にあるのも事実です。昨秋も申し上げましたが、問題は予算の多寡ではなくて、研究生産性の低さにあると思っています。それを解決すべき問題に、着実に手を入れていくことが重要と思います。
少し毛色の変わる話ですが、30ページ、大学ファンドについて一言申し上げておきます。海外のトップ大学では、寄附金等の外部資金集めに汗をかいて、ファンドを運用して、その果実を研究活動に充てることで国の研究力を牽引しています。本来、日本の主要大学にもそうした努力が中心にあるべきと思いますが、海外となかなか早期に競争できません。この状況を改善するために時限的に公的資金を活用する大学ファンドを創設することになりました。ただ、海外のトップ大学と戦えるような大学を作るという意味では、ファンドに参加する大学は数校程度に絞るべきであると思いますし、人材、ガバナンス、資金面での抜本的な改革等ファンドへの資金拠出も求めて、大学が真に競争力のある自律的な組織へと殻を破るための機会としなければ、意味がないと思っております。
ファンドに参画する大学を絞ると申し上げましたが、ファンド参画大学に限らず、日本研究界全体の問題として、人材、ガバナンス、資金といった面の課題があると思います。これら3つの課題について、順次、簡単に説明したいと思います。
31ページです。人材について、内閣府にe-CSTIという、国内のほぼ全ての研究者を捕捉して、研究業績や獲得した研究費とを紐付けるシステムがあります。科学技術の分野でも、エビデンスベースで政策検証を徹底していくことが大事であると思っておりまして、このページ、左側ですが、研究生産性については質、量の両面で30代前半の層が最も高い状況です。欧州では、こうした特に若い時期から優秀な研究者を引っ張り上げていこうという戦略で支援の重点化を進めています。
一方、32ページ、日本の状況はどうかということですが、左下の図は、科研費等の主な研究費について、年齢ごとに様々な規模の研究費の配分状況を示したものです。ざっと見ていただけば分かると思いますが、全般的に右半分に配分が偏っていて、規模の大きい種目はおおむね40代後半以降でカバーされています。そうして見れば、年功序列的な姿になっているということが見てとれるかと思います。総体的に若手研究者の生産性が高いということは前のページでも申し上げたとおりですが、若手研究者の種目から飛躍していく上で、研究期間中により規模の大きい種目に移行するような、言わば飛び級の申請にいろいろ制限がある状況になっています。若干、緩和は進んでいますが、国全体の研究力が、若手は汲々と小粒な研究にとどまって、小さくまとまってしまうということは避けるべきであると思っていまして、成果を上げる優秀な若手がどんどんステップアップしていくことを、柔軟に認めるような仕組みにしていくことが重要かと思います。
33ページ、日本が相対的に研究力のポジションを下げているという背景に、国際共同研究での伸びがあまり芳しくない点や、右上の図のように国際的に注目を集める研究領域への対応が遅れているといった点がよく指摘されます。大学側が注意深くそうした動向にアンテナを張りながら、大胆に資源投入していくことも重要ですが、一方、研究費の配分機関側の国際性といったことも再考する余地はないかということです。情報流出等の懸念には十分注意しなければいけないと思いますが、欧州では、優秀な海外の研究者の知見も審査プロセスに取り入れて、投資すべき研究を選んでいるといった状況でございまして、このまま日本は研究の目利きを行う側の同質性の高い集団でよいのかということも考え直す機会かと思います。
34ページ、大学の閉鎖性、アカデミック・インブリーディング、すなわち純血主義についてです。博士課程の段階でも、本務教員の段階でも、我が国では同大学の学部出身者が多く、研究者の流動性が非常に低い状況かと思います。研究室の閉鎖性ということは、従来からいろいろこの審議会でも指摘されてきた問題ですが、こうした柔軟性の欠ける面が負の側面となることを危惧しています。ドイツのように、法制度によって自校内の昇任を原則禁止とするようなルールもあります。研究者の循環をどうやったら促すかということを少し真剣に考えるべきではないでしょうか。例えばですが、公募による登用を徹底する等、関係者が知恵を絞っていくべきではないかと思います。
35ページです。学長のお話です。国立大学の学長の仕組みは、学長選考会議が選考することになっています。ただ、教員の意向投票が大きく影響を及ぼしているというのが実態です。民間企業において、社長が社員の意向投票で選ばれるというケースはまず聞きません。日本の国立大学では内部昇進が9割強とほとんどでございまして、米国と比べて真逆の状況です。大学の経営者として有為な人材を外部から獲得するために、実効的な仕組みを作っていくべきではないかと考えます。
資金の話、36ページです。世界のランキング上位の大学を幾つか並べてありますが、公的資金以外に多様な財源を組み合わせ、教育研究の質を確保しているのが実態です。寄附金や共同研究に伴う収入等の外部収入をはじめ、日本の大学も財源の多様化を確実に進めていただく必要があると思っています。
その点で、次のページが寄附のお話です。我が国の大学の寄附金は足元では伸びてはいますが、やはり欧米の主要大学と比べると桁が違うレベルです。特に、ハーバード、スタンフォード等は、同窓生等の個人からの寄附が非常に大きいということで、日本の大学もそのための体制を確実に構築していく必要があると思います。要するに、システマティックに金を集めてくる努力をまだやる余地はあるだろうということです。
最後、39ページ、民間との共同研究も、ここのところ伸びてきてはおりますが、大学等が共同研究に際して企業側から受け取る際、間接経費を30%等まで引き上げる等の動きが広がりつつありますが、まだ伸ばす余地はあるだろうということです。しっかりエビデンスも示しながら、企業との間の交渉の中でお金を引っ張ってくるといった努力もまだ必要なのではないかということです。
縷々(るる)、長々と申し上げてきましたが、そう簡単な問題ではないと思いますし、例えば理系、文系の違いとか、学問領域の違いとか、細かく見れば考慮しなければいけない点は多々あるとは思いますが、少なくとも大学ファンドに参加するような大学には、大きな方向性としては、これまで申し上げてきたような様々な改革にコミットしてもらうことが大事であると思いますし、ぜひそうした覚悟で、大学のあるべき姿というものを範として示してもらえたら良いと考えている次第です。
私からは以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、前半と同じように、順序で指名をしてきますので、後半は私から見て右側の宮島委員から御発言をお願いします。どうぞ。
〔宮島委員〕ありがとうございます。
教育の分野ですが、コロナで大変であるという先生方の声もあって、この前の予算で少人数学級に関しましては段階的に入るという結果になりました。ただ、やはり現場では、教員の成り手がこれだけ減っている中で、少ない人数で能力が高くない先生に教わるよりも、少し人数が多くても能力の高い先生に教わりたいという声はよく聞きます。しかも、コロナで、リモート授業ができるかどうかで差が生じたことを保護者たちもよく分かっております。また、公立への不信が若干あるのか、今、小学校受験の人数が非常に増えていて、その結果として、地域によると思いますが、子育てにお金がかかり、それが結果的に子供の数を減らすというようなことに広がることをとても心配しておりまして、やはり今後も引き続き教育の質とエビデンスには徹底的にこだわっていただきたいと思います。地方の集約化も、どうしたら地域の子供たちに質の良い教育を届けられるかという視点でやっていただきたいと思います。
全体から見て、今の主計官の話の中でも教育に関して、産業分野ではやはり多様な人材がいることが会社にとってもプラスであるということが大分広がってきたと思います。それで、どこもできるだけ多様な人材を集めようとしているにもかかわらず、根幹の教育のところが、あるいは学術のところが、どうしても自分たちの中でやることにこだわっているようにやはり見えてしまいます。とにかくもっと外の声を入れるという形に、いろいろなところでやらなければいけないと思いますし、特に今、進んでいる教員免許の更新ですとか、そうした重要なところで、ほかの産業や、ほかの業界の人たちの声を、とにかくたくさん反映させるということが大事なのではないかと思います。
その中で、これは文教と言えるのか分かりませんが、今、こども庁という声があることに期待を持っております。特に、子育ての、小さい頃の幼稚園と保育園の対立等、様々な対立で謎の状況になっていることを見ますと、まずはここで一本化して子供のことを最優先に考え、全体で考えることが必要であると思います。これと教育の分野がどのように関わっていくかということは、部局の作り方等によると思いますし、組織変更に終わってはいけないと思います。全体的に、とにかく極力、自分たちの考え方だけでやろうとするのではなく、様々な力を総合して、日本の土台である次の世代を育てようというような考え方で設計していただきたいと思うので、これをどなたに、どう言ってもらえばよいのかよく分かりませんが、これをきっかけに教育当局者も外の声をより聞いて、いろいろな声を聞くことのきっかけになればよいと思います。
大学ファンドに関しまして、もう本当に運用ができるのかという心配とともに、やはり大学改革を確実にやっていただくこと、それから広く、薄く、お金を配分することにならないということ、とにかくイノベーションを起こせる世界に比肩する大学というところでお金を使っていただきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕広瀬委員、お願いします。
〔広瀬委員〕一言だけ。
政府の研究開発投資ですが、21年度から5年間で30兆円という目標が出たわけですが、これは大変な額で、民間のインセンティブを呼び起こすという面では非常に期待が大きいと思います。これからデジタル、グリーン、レジリエンス、ヘルスケア等、いろいろあると思いますが、先ほど生産性が低いというお話ありましたが、ぜひ成果に結びつくように、厳しいチェックをお願いしたいと思います。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕中空委員、お願いします。
〔中空委員〕ありがとうございます。
宮島委員から、こども庁に期待という話が出た後で言うのも何ですが、こども庁には不安しかありません。基本的には、現状で文部科学省とこども庁はどうやってすみ分けするのだろうということも含めまして、すみ分けがはっきりしないまま箱ばかりできたら困るなと、正直、思っているところです。無駄がないようにと、みなで、あれこれと見ているのに、無駄ばかりやっているような気がしてなりません。
2つ目のポイントは、GIGAスクールの話です。98%も、知らぬ間にICTが回っていたということは素晴らしいと思いました。ここから、例えば機器の更新等、いろいろあると思いますが、考えたいのはデータです。子供たちの大変なデータがあることを考えなくていいのかということについては、一考の余地があるのではないかと思いました。何も天才児を見つけるだけではなくて、いつも同じような間違いをする子供たちに対する適切な教え方がうまい具合に導き出せるとか、いろいろなデータの活用があると思うので、渡したら渡し切りではいけないと思います。
3点目ですが、地方増税の時と一緒ですが、やはり人口流出、流入の統計が楽観的になり過ぎていないかどうか。ここは、学校の統廃合の時にもリアルに見つめ直す必要があるのではないかと思っています。
最後、4点目ですが、大学ファンドの話と少し違う点です。この話の際には、いつも若手研究者の話題が出てくるのですが、若手に焦点を当てるのもなるほどですが、やはり成果に焦点を当てるべきであると思います。高年齢でも成果を出す人にはお金を配分してもよいと思いますので、成果主義で徹底できないかということも、1点、申し上げたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、田中委員、お願いします。
〔田中委員〕田中です。ありがとうございます。
まず、GIGAスクールの進行には期待をするところですが、これのみならず、学校の事務や公務のデジタル化等を推進して、教員の働き方改革につなげて、デジタル、DXによる効率化を目指すべきではないかと思います。
11ページにお示しいただいた実務家教員の義務教育への参画の流れについては、これが加速すると社会全体のメリットになると思いますし、今、週休3日というような声も上がっていますが、副業による企業人の教育現場での活躍の貢献ということは有効な手だてであると思います。
18ページに、学校の統廃合による校舎の有効活用というのもお示しいただきましたが、これは新たな価値を生み出す装置として、寄附とか外部資金を獲得していくきっかけに、大学もそうですが、小、中、高も皆様母校がありますので、そこで寄附文化の醸成が出来上がるのではないかと期待します。母校の姿はVR等を活用して残していけばよいかと思いますし、この成功事例を全国的に公開していくことは有効ではないかと考えます。
〔増田分科会長代理〕武田委員、お願いします。
〔武田委員〕ありがとうございます。1点、意見を申し上げます。
科学技術力に関してですが、私は昨今の状況に大変強い危機を感じております。米中対立を巡る話が、話題にならない日はないかと思いますが、技術をめぐる争いが背景の一つにあるわけです。米議会の調査機関等の分析では、依然、米国が優位な分野は多いわけですが、同時にAI等の一部の分野は中国の台頭が著しい状況です。翻って我が国の立ち位置はどうかということですが、一部で健闘している分野はございますが、近年、軒並み世界での順位を落としている状況にあります。指標は様々でランキングも複数ございますが、こうした状況を放置すれば、国力が落ちて、結果的に財政も悪化すると私は思います。本日の資料では、論文の順位ということでお示しいただいていますが、国際競争力という観点で見ていく必要があり、ここは負けてはならない、あるいは維持しなければいけないという分野は見極め、戦略的に財源を回し、その分野で勝ち抜く、あるいは低下を食い止めるといった、戦略とPDCAを明確にした上で、財源の議論を進めるべきと考えます。
以上です。
〔増田分科会長代理〕佐藤委員、お願いします。
〔佐藤委員〕よろしくお願いします。3点意見を申し述べます。
まず、18ページの学校施設です。これは何回か申し上げていますが、やはり学校施設を管理しているのは教育委員会ですが、この教育委員会が自治体の中で半独立王国化していて、例えば私の知っている自治体でも学校の空き教室の状況が、教育委員会が報告してくれないために分からないというケースがあります。ここは、やはり首長に権限、学校施設は公共施設の一つですから、そんな複雑な施設でもありませんので、あくまでも公共施設であるということで管理を一元化していくべきです。校長先生も、管理責任者なものですから、例えば学童保育もわざわざ外に置いて、自分たちが責任を取らないようにしているわけです。ここも改めて、あくまでも管理責任は自治体にあって、運営の責任者は校長であるという管理と運営の分離が方向としてなければいけません。つまり、総じてガバナンスを変えないと、施設の集約化、複合化はなかなか進まないのではないかと思いました。
それから、30ページ目です。これもよく言われますが、大学ファンドに対する認識が恐らく、国と大学関係者で違うのかなと思います。大学関係者からすると、運営交付金が不足した分を穴埋めしてくれるのが大学ファンドであるということになれば、結果的に薄く、広くばらまくだけということになってしまいますので、そこは資金配分を決める人たちは誰かということに関わってくるかと思います。大学関係者は入れない方がよいような気がしますが、できるだけ第三者的な視点や、外部の視点を入れるべきかと思います。先ほど、学長もやはり外部の人を入れなければいけないと言っているのと同じで、外部人材の登用が不可欠かと思います。
3点目は、今日は議論になっていませんが、実はこの間少し話が出た水道事業に少し近い話が地方の公立大学です。今、御案内のとおり、人口が減少して、いろいろなところで定員割れが起きていて、地方の私立が公立化しています。それがある意味、地方創生の起爆剤になるという期待がある一方で、ただの延命策であるという議論もあります。では、この地方の公立大学は誰が見ているのですかと言われたときに、文部科学省から見れば、地方なので総務省の管轄というと変ですが地方自治となるし、地方自治体から見ればこれは教育ということになります。なので、これは水道事業に近く、結局、誰が最終責任者なのかはっきりしません。国レベルで誰が責任を取っているのか、誰が管理責任者かよく分からないところがありますので、やはり地方の公立大学のこれからの在り方について、大学ファンド等にも関わる部分もありますので、議論が必要かと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕次、神津委員ですが、実はあと17人残っていまして、時間もかなり来ています。ただ、あまり時間ばかり言っても仕方ありませんので、ぜひ核心のところは発言していただきたいのですが、それにしても、できるだけ手短でお願いしたいということをあえて申し上げておきます。どうぞよろしくお願いします。
それでは、すみません、神津委員からどうぞ。
〔神津委員〕義務教育の項目に絞り込んで、数点、発言させていただきたいと思います。
まず、小学校の学級編制標準、段階的に35人に引き下げられるということで、この場でも意見具申をしてきておりました。これは非常に大事なことであると認識しています。確実な実施のためには、環境整備を着実に進めていくことが重要でありまして、地域や学校の実情に応じた対応が不可欠であると思います。したがって、義務標準法の一部改正法に対する附帯決議のとおりに、加配定数を基礎定数に振り替えることなく実施すべきであるということを申し述べておきたいと思います。また、その効果を検証しながら、中学校や高等学校を含めて、更なる少人数学級の検討を求めたいと思います。
次に、教職員の負担に関わる問題についてです。資料の8ページのところで、年間授業時間の主要先進国との比較の表がありますが、表の中では短く見える日本の数値は、学年、あるいは学期初めに計画された授業時間です。その一方で、他国の数値については、休憩時間を含んだものであるとか、自己申告に基づく調査結果であるということも十分考慮する必要があると思います。我が国においては、休み時間も子供へのサポート等、様々な対応があります。休憩時間すら取得できない実態が現実です。
様々な工夫が必要であるということは、そのとおりであると思います。ただ、根本的な問題の解決のためには、教職員の確保、人材の確保が不可欠です。同じく資料の10ページですが、教員の採用倍率が低下していることが指摘をされています。本来、魅力ある職業である教職が厳しい労働環境に置かれている現状、これを背景として指摘をする必要があると思います。優秀な若者が志望する職場環境の実現に向けて、まずは時間外上限時間の遵守や業務削減による心身の健康確保を学校の働き方改革において徹底することがなくてはならないと思います。あわせて、教職員の負担軽減に向けて、外部人材の活用に向けた予算措置も大変大事であると思います。
また、1月に取りまとめられた中教審の答申に基づいて、小学校高学年における教科担任制、これを確実に進めることも必要です。
最後にもう1点だけ、デジタルの力の強化です。GIGAスクール構想における義務教育課程の端末整備、これも13ページにありますとおり、おおむね完了する見込みということですが、引き続き1人1台の端末整備の対象を高等学校にも拡大するということが、国民全体のデジタルの力を底上げするためにも非常に意味のあることであると考えています。
以上です。
〔増田分科会長代理〕木村委員、お願いします。
〔木村委員〕御説明ありがとうございました。
日本は、国土も狭くて資源も乏しい国家ですから、人材や技術への投資は惜しむことではないと考えています。とりわけデジタル時代、教育や科学技術は非常に大事になってくると思っています。他方、財政規律が大事であるということは論をまたないわけで、要は予算半分のメリハリが問われているのではないかという気はしています。例えば、資料で挙げられた学校の統廃合です。人口動態を見据えた効率化は大事であると思います。ただ、これが単にスクラップだけに終わらないように、そこで生まれる余力をいかに子供の教育の投資に回して、トータルでプラスにつなげていけるか、そうした展望も示すことも併せて大事なのではないかなという気もしています。
以上です。
〔増田分科会長代理〕大槻委員、お願いします。
〔大槻委員〕ありがとうございます。2つありまして、1つ目は教員の資質の話、もう1つは大学ファンドです。
質の話についてですが、やはり相当深刻な状態になっているということは、確かに認識を新たにした次第です。それに対して、いろいろやり方として挙げられると思う点は、1つは外部人材の国の免許ですが、これは大いに賛成いたします。それと、オンライン教育等、先駆的な教育をやっている授業を地方等からでももっと受けられるように柔軟化することです。それから、教務以外のところ、教員の方々の時間配分を見るにつけ、やはり保護者からの対応が、大いに時間と精神的なことで苦労になっているかと思いますので、それを何らかの形で一元化等、教員一人一人が対応しなくてもよいようにする等の工夫が必要なのではないかと思っております。
もう1つ、大学ファンドですが、まだこれから様々な仕組み作りは出てくると思いますが、1点、少し細かいながら気になるのは、ノックアウトオプション的にロスが出ると、そこで一旦停止するような形になっています。恐らくそれは運用の波もございますので、そうではなくて中長期的な視点で運用していく方がよいのではないかと思っております。
以上です。
〔増田分科会長代理〕安永委員、どうぞ。
〔安永委員〕ICT化に関して1点だけ。
一気にICT環境が整備されたことは大変喜ばしいと思っていますが、やはり大事なのは、この端末をいかに有効活用するかでありまして、教員のEdTechの活用スキルを徹底的に上げていくことが必要であると考えています。そのためには、産業界にはこの分野の専門家は多いわけで、いかにして産業界が教育分野でも連携してお手伝いできるかを、ぜひ一緒に考えていきたいと思っています。
以上です。
〔増田分科会長代理〕神子田委員、どうぞ。
〔神子田委員〕私は、学校施設の維持コストの最小化、修繕に関してと学校施設の集約というところでお話しします。
やはり公共事業に係る予算は限られている中で、公民館、福祉施設等、いわゆる箱物に関わるものを一緒にしてやっていくのは、学校だけでもいろいろな部局があるそうですが、それ以外の施設になると省庁横断的にもやっていかないといけないので調整は難しいかと思いますが、私は、更にここに書いてあるものにくわえて、1つは災害のときに有効に機能する施設、今、災害対策もハードで堤防を高くするだけでは防ぎ切れず、お金も足りないということで、いかに迅速に避難するかが重要です。その避難場所が必要なので、そうしたものと兼ねられるような立地を考える、どこに集約するかを考えるときにも、災害、防災面ということも観点に入れながら考えていくということは、一つ全体の予算を有効に使う手だてかと思います。
もう1つは、学校の空いたスペースをベンチャー企業の事務所に安価で提供する等、新たな成長にも資するような施設の使い方がされたら良いかと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕土居委員、お願いします。
〔土居委員〕土居でございます。
私は、国立大学運営費交付金について意見を述べさせていただきたいと思います。私は私立大学に属していますが、決して私立大学の問題を棚上げにするつもりはなくて、かつ国立大学におられる先生方がおられるので、大変言いにくいところがありますが、私の考えを述べさせていただきたいと思います。
イギリスのエージェンシー制度に倣って、我が国で独立行政法人制度ができ、そして独立行政法人の制度に倣って国立大学法人制度が成立して18年たったわけです。制度的な立てつけからすると、経済学では、依頼人代理人関係で、プリンシパルエージェント関係とよく言うわけですが、まさに資料の24ページように、文部科学省がプリンシパルで国立大学法人がエージェント、そして国立大学の執行部というか学長がプリンシパルで各部局がエージェントというような構図、2層のプリンシパルエージェント関係があるということが、当然、国立大学法人制度で想定されています。しかし、これまでの国立大学運営費交付金は、これがあたかもフィクションであると、実態とかけ離れているようなことが矛盾としてあったのではないかということが、縷々(るる)主計官から御説明あったところに表れ出ているのではないかと私は思っております。特に、2022年度から第4期が始まるわけなので、鉄は熱いうちに打てということで、計画が始まる前にその問題、24ページの図式と実態とがかけ離れないような制度設計及び運交金の運営を行うべきではないかと考えています。
そうした意味では、学長のリーダーシップの問題は前から言われていて、学長裁量経費もありますが、私も当てはまりますが、各大学の研究者はどういう思いで研究しているかというと、別に学長のために研究しているわけではないというような構造があります。この矛盾を、どうやって運交金の運営である程度矛盾なく配分できるようにするかが問題です。さらには、文部科学省と国立大学法人との関係も、一見するとプリンシパルエージェント関係になっているし、しかも独立行政法人制度に倣って作っているというならば、当然のことながら、所管省庁と法人との間の関係は制度的な立てつけからすると、文部科学省がグリップを握らなければいけませんが、大学側は大学の自治があるといって必ずしも文部科学省の言うことを聞かないというような構図が埋め込まれています。しかも、文部科学省もグリップをあえて握らないような形にして、曖昧になって、最終的な矛盾は、運交金の総額を増やせという形で予算膨張圧力として湧き出てくるというような構図です。これはもう第4期ではやめていただきたいと私は思っております。特に第4期では、国立大学は護送船団方式で運営されているわけではないということをはっきり示していただかなければいけないわけで、そうした意味では主計官の御指摘のメリハリをつけるということは極めて重要なポイントであると思います。
もう1つ、任期なし教員は運交金が増えないと増やせないというような意見もありますが、今の任期なし教員の雇用形態はクロスアポイントメント制度等いろいろ柔軟な方法があるわけで、そうした柔軟な方法を活用することで、運交金が増えなくても任期なし教員を増やすというような努力、工夫の余地はまだあるでしょうし、さらには今年度から本格的に活用されることになるバイアウト制度ですね。競争的研究費を……。
〔増田分科会長代理〕土居委員、少し手短に。
〔土居委員〕はい、分かりました。
外部からもらってきたということであれば、それを基盤的経費に回せるようなバイアウト制度も活用するようなことで、確実に大学の中で財源を確保していくことが大事なのではないかと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、末澤委員、お願いします。
〔末澤委員〕どうもありがとうございます。
先ほども地方行政のところで申し上げましたが、やはり文教・科学技術のところは、今後は人口減少を見据えて、統廃合、ICT化、アウトアウトソーシング、この3つは極めて重要で、特に今回、始めにありました小学校35人以下学級の導入は、やはり統廃合にとっては極めて重要なファクターであると思っています。通常、考えると、同じ教師の数であれば、規模を小さくするということは効率性が悪くなるわけです。逆に言えば、この施策を遂行する一方で質を維持、向上し、しかも教員の働き方改革を実現するためには、よりマクロでの統廃合が必要であるということです。つまり、現状、既に35人以下のクラスを抱えている学校をほかと統合して35人に持っていかないと、全体で効率性は上がらないはずです。この施策は、私は児童のためには重要であると思いますが、本当に質を維持し、しかも教員の成り手を増やすためには、やはり学校規模の適正化と適正配置などマクロでの対応、これは先ほど石岡市ですか、こうしたことが必要であるということです。
もう1つ、ICT化です。昨年、休校がありまして、今回、一部、大阪府で来週以降、リモート化を推進するということがありましたが、私は、やはり新型コロナウイルス感染症の今後のバリアント、変異株の状況を考えると、これは早くやる必要があると思います。今、日本で問題になっている大阪、都の変異株、N-501Y、B117という英国由来の変異株が問題になっていますが、実はこれが出現したのはCDCによると去年9月であると言われています。半年以上かかっています。今後、E484Kであるとか、日本人の白血球に悪影響をもたらすと見られるという内容の論文が最近出ていますが、L452R、南カリフォルニアのB.1.427/429等が入ってくると、もっと若年層に感染が拡大する可能性があります。ちなみに、100年前のスペイン風邪は、サイトカインストームの影響で、若年層が次々と亡くなったと言われています。つまり、今後、どういう変異が起きて、若年層に悪影響が出る可能性は否定できません。やはりこの早いタイミングで、しかも今、若い方の方が実はリモートには慣れています。ですから、これをやはり進めるべきであると思います。
少しすみません、1点、私、90年度にインターネットが普及し始めたときに……。
〔増田分科会長代理〕すみません、手短に。時間が4時半を過ぎたので。
〔末澤委員〕分かりました。要は、コンピューター化は初めは大変でも、やったら絶対有利になります。
もう1つ、大学ファンドですが、投資の基本は、モダンポートフォリオセオリーでいくとやはり分散投資、リスク分散です。ただ、実際、アクティブの投資では資産アロケーション、つまり何を買うかということと、タイミングが重要です。今、世界の株価は史上最高値です。そうしたところだけ、少し注意していただきたいということでございます。
〔増田分科会長代理〕熊谷委員、どうぞ。
〔熊谷委員〕2点ほど申し上げます。
1点目としては、小、中、高、大学に共通する問題として、やはりクローズドでタコ壺化している、ダイバーシティーが欠如しているということが最も本質的な問題ですから、それに対してやはり風穴を開けていかないといけません。「見える化」をして、PDCAサイクルを回し、予算配分のメリハリを強化して、そうしたことを通じてダイバーシティーを高める。やはりハーバードビジネススクール等でも、教授陣は生徒に評価をされているわけですから、こうした当たり前のことをやっていくべきだということを、まず1点目に申し上げたいと思います。
2点目としては、科学技術の分野で研究の生産性が低いという御指摘があります。これは極めて深刻な問題であって、従来、日本は「技術で勝って商売で負ける」と言われてきましたが、もう既に技術の部分で負けているという不都合な真実を直視しないといけません。これから、恐らくあらゆる産業でグローバルにプラットフォーム化が進んでいくわけですから、その中でやはり優勝劣敗が鮮明化するわけで、国際競争力をどうやって日本が高めていけるのかという視点が重要なのではないかと思います。
その他、大学のガバナンス改革等については、御説明いただいた点に全面的に賛成でございます。
私からは以上です。
〔増田分科会長代理〕河村委員、お願いします。
〔河村委員〕3点、申し上げます。
1点目は、教育の効果の把握の必要性です。これは義務教育、高等教育共通ですが、主計官がおっしゃったように、どうも同質的な世界、それから平等主義の世界ではありますが、やはり教育の効果はアクションを起こして実際に把握する努力をする必要があると思います。
2点目は、国立大学法人改革の話です。先ほどもお話ありましたが、2004年度に法人化されて、6年サイクルで、もう3期やって、ずっとなし崩し的にそのまま来て、やはりこれは変えていくべきであるということを、私もいろいろ書いたり、言ったりしてきました。ここで改革の動きが出てきたのは良いですが、その進み具合や中身はどうでしょうか。御説明くださった26ページのところ、メリハリをつけて相対評価を強化していく方向性、本当に大賛成です。ただ、その立てつけが今のままでよいかどうかについてはどうでしょうか。26ページの図表にありますが、2004年度からずっと続く基幹経費という岩盤のようなものがあって、そこにどれだけ成果評価を入れていくかというところで、毎年、議論が繰り広げられるようになっていると思いますが、この基幹経費も2004年度ベースのままでよいのでしょうか。
最近、いろいろ改革している国立大学もあります。例えば、滋賀大学の例ですと、もともと教育学部と経済学部だけだったものが、今、データサイエンス学部を作られています。そのように改革されているところもあります。法人統合等を進めていらっしゃるところもあります。もともと大学によって、教育と研究のウエートは全然違います。これから改革を進めていく中で違ってくることがあり得ます。それなのに、2004年度からの基幹経費を引っ張ることで良いのでしょうか。やはり教育と研究ということは、大学にも適切に勘定を分けて経理していただいて、少なくとも国として、大事なお仕事はやっていただいているので、最低限必要な分は確実にお渡しする。それから、成果に見合う研究についてはお金を出すといったように、やはり教育と研究は分けてやることが必要なのではないのかと思います。
成果の把握については、英国の例が27ページに出ていて、主計官もお話しくださいました。私も調べたことがありますが、卒業生の調査をして、ある意味、日本でこんなことをやると「お金のために教育しているのではない」と言われそうですが、そんなことはありません。どんな職業に就こうが、どんな勤め先に就こうが、やはりある意味、所得は一つの客観的な指標ですので、こうしたところも確実に積極的に調べる形で、やはり成果を把握してやるのが良いと思います。ちなみにイギリスでは、国からお金を出すときに、運営費交付金的なものと補助金的なものがありますが、教育と研究は分けてお金を出しています。
3点目は、大学ファンドです。これはもう総論の時にも申し上げましたので、繰り返しませんが、やはりGPIF並みに透明性のある運営、情報開示等をやっていただきたいと思います。各大学に企業等から寄せられた寄附、そのお金の性質と一般会計の出資は違うと思います。国民は、大学ファンドに損しても良いということでお金を出しているつもりはないと思います。そこは、やはり重々、肝に銘じていただいて、損したから一般会計で追加出資してと安易に言われないような、堅実な運用をお願いしたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、オンラインの方に移ります。米良委員、堀委員、宇南山委員、福田委員、遠藤委員、上村委員の順番で、それから横田委員、伊達委員は時間の関係で退席されたので、チャットで残していっていただきました。それでは、最後に読み上げたいと思います。
米良委員、いらっしゃいますか。米良委員も退席されたと思うので、先ほどの順番で、堀委員、お願いします。
〔堀委員〕手短に述べたいと思います。
義務教育の外部活用人材についてですが、先ほどダイバーシティーの不足というお話もありましたが、これは義務教育における根本的なカルチャーの変化が必要になる問題で、言うのは簡単ですが、なかなか進まないところがあると思いますので、実現するためには御提案のような教育委員会から切り離すというのも一つであると思います。
また、マッチングアプリというのもあるようですが、最近よく言われますが、ギグワーカー的な形で民間企業の方たちが副業として働ける形を進めるようにしない限り、恐らく今の教員の方たちが兼業、副業をやるという形にするだけでは、教員の所得保障にはなるかもしれませんが、教育の質の確保であるとか、労働環境の改善にはつながらないと思います。そこのところをICT化と同時に進めた方がよいのではないかと思います。
保護者からの対応も、例えばチャットポットの活用であるとかが必要であると我々が言っても、現場の義務教育の機関ではその導入を推進するようなスキルのある人材は少ないと思いますので、どの学校でも移行できるようなサポートシステムや人材を同時に入れることが重要なのではかと思います。あるいは、ICTの活用ではなく、先の話のように、PTAの保護者に兼業、副業でやっていただくというのもあるかもしれません。
学校施設については、先ほどの佐藤委員と同じですが、施設の適正化、集約は管理業務と運営業務をやはり分けて、自治体が責任を持ってやるというやり方が必要なのではないかと思います。
また、これは大学側といいますか、教員を養成する教育系学部の教育システムの課題でもあると思いますが、そもそも教育系の学部、あるいは教員を養成する学部においても、教育を教える際に、エビデンスベースというよりはナラティブ、エピソードベースが多いように感じます。中教審の資料もそうですが、「こうしたエビデンスがあるからこうした教育が必要である」というような書き方ではなく、測定評価がそもそも難しい曖昧で抽象的な記述が非常に多いと思います。できましたら教員免許課程の中で、エビデンスベースの教育、教育においてもパフォーマンスを測定評価するというプログラムを入れると、マインドセットも変わっていくのではないかと思います。
最後に、科学技術の若手研究者の活用というところですが、先ほど中空委員もおっしゃたと思いますが、年齢のみで区切っても実は実態は分からないところがありまして、先ほど主計官からの説明でも分野によっても違うというお話がありましたが、THEの世界ランキング等を見ましても、分野ごとによって引用数も違いますし、補助金の規模も全然違います。また、チームで行う研究、個々人で行う研究もありますので、そこのところを見ながらも、メリハリをつけて、国としてはどういう分野に研究者を増やしていくのか等、そうしたところを見ていく必要があるのではないかと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕宇南山委員、お願いします。
〔宇南山委員〕私は、大学改革のところについて、総論としては非常に賛成ですが、結局は大学関係者の協力が非常に大切になってくるかと思います。その際には、正しいKPIや、大学関係者にとっても自然に受け入れられるKPIを設定するということが非常に重要ではないかと考えています。
具体的に言いますと、例えば32ページ目で、科学技術のところになってしまいますが、今、お話ありましたように、若手研究者に研究費を与えているかどうかのようなところを見たとしても、実は若手が自由に研究できるかどうかは研究代表者である必要はなくて、より高位のところでうまくマネージしてくれる人がいれば、より事務時間等も削減できて、若手が自由に研究できるわけですから、研究代表者の年齢で区切るのは良いかどうか分かりません。
さらに、34ページ目のインブリーディングについても、研究室単位で登用しているのはけしからんということはもっともであると思いますが、そのKPIとして自校出身のようなものを取られてしまうと、例えば東京大学のようなところが競争的に良い研究者を養成し、研究者が実際に育って、その人がトップのポジションを取ったら自校出身者であると言われてしまうような状況であると、研究者は何をしてよいのかよく分からないということになってしまいますので、ここもより綿密なKPIの設定が必要であると思います。
最後、学長の選考について、35ページ目です。外部人材といったときに、必ずしも産業界等の本当の意味での外部人材である必要はなく、重要なことは、学術の世界においてもマネジメント層を育てるということかと思います。研究をリードできる、プロジェクトをマネージできる人、大学をマネージできる人、その意味では高齢、中高年以上の研究者の育成も重要なのではないかと感じました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕福田委員、お願いします。
〔福田委員〕すみません。先に言っていただいて結構です。
〔増田分科会長代理〕それでは、遠藤委員、お願いします。
〔遠藤委員〕遠藤です。
大学ファンドの仕組みを検討する、内閣府の「世界と伍する研究大学専門調査会」なる審議会に参加しておりますので、財審においても意見を申し上げたいと思います。
そもそもベンチマークにしている海外の有名大学では、授業料に加えて、特許料、寄附金等大変な自主的な実績の努力によって資金を獲得し、また、有能なファンドマネジャーに高給を払って、その運用益を大学運営に充てています。今回の大学ファンドは、国からの資本とセットで運用するという仕組みですので、もともと趣旨が違うと考えております。世界と伍する大学の選定手法等詳細はまだ詰められていないのですが、先ほど佐藤委員おっしゃっていましたが、そうすると交付金と同様のばらまきになりかねないという点がありまして、その雰囲気も既に少し感じられるところもありますので、財政当局のチェックを欠かさぬという必要性があると考えます。
また、今回はあくまで時限的措置であって、最終的にはエグジットして、それぞれの大学で運営する手法に変えなければなりません。大学には、そもそも事業計画すらないので、自律を踏まえた制度設計、大学改革になるべきであって、その点も留意すべきであると考えております。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、福田委員、どうぞ。
〔福田委員〕すみません。少しパソコンのバッテリーが切れかけて、トラブルがありました。
大学改革に関してだけ1点、大学関係者としてコメントさせていただきたいと思います。
国立大学法人に対するいろいろな御意見は、大学関係者としても甘んじて受けなければいけないということはおっしゃるとおりであると思います。ただ、一つ強調したいのは、やはり学問は非常に多様ということであると思います。今、起こっていることは、こうした改革の流れの中で、お金を取ってきやすい分野はやはり大学の中で重視される傾向が高まるということは、概してあるだろうと思います。実際、いろいろな形でお金を取ってくることは、大学全体でも大きなメリットがあります。ただ、例えば文系、理系という二分法でよいのかどうか分かりませんが、やはり文系の学部はお金を取ってこられないという中で、大学の中では地位が小さくなっている傾向があります。
今はなくなりましたが、昔、東京大学の中で学内の資金の再配分をするのに、文系と理系が一斉にプロポーザルをして、魅力的なところにお金を配分するということをやったことがありました。その結果、理系が大勝利で、文系は大惨敗ということになりました。やはり理系の学問は不変の真理を探求するもので、なぜ宇宙が誕生したかとか、画期的な治療薬を発見しますとか、そうした魅力的なプロポーザルを行いやすく、お金も取りやすい。これは、イノベーションを高める上で非常に大事なのはそのとおりです。ただ、文系の学問の対象はそうではなくて、答えが必ずしも1個ではない、悩ましい問題も少なくありません。取り扱いテーマも、場合によっては後ろ向きの問題も非常に多くて、理系のプロポーザルと比べてあまり魅力がなくて、お金の配分もされにくい。ただ、文系が対象とする答えが必ずしもない問題も社会生活を行う上では重要であって、そのような分野にどのようにお金を配分するかはなかなか難しい面はあると思います。
そうした意味では、大学のガバナンスの問題は非常に大事であると思っていて、単純にお金があるところは重要視するというような仕組み作りではなくて、やはり学問の多様性も上手くその中で担保できるような仕組み作りを、ぜひとも考えていただきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、上村委員、お願いします。
〔上村委員〕関西学院大学、上村です。
19ページの横断的な実行計画の策定に向けた検討イメージですが、1点です。部局横断的な対応が重要であるという指摘、もっともです。それに加えて、市町村の行政区域をまたがる場合があっても、柔軟に広域で対応できるようにしていくことが重要かと思います。市町村の場合は、都道府県による働きかけも大切かと思います。また、適正配置によって学校が遠い地域が出てくるわけですが、うまくICTを使った遠隔授業を組み合わせることができれば、ある程度のサービス水準は維持できるということを住民側に示すことができますので、合意形成も少しは容易になってくるかと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、時間切れで退席された方、3名おられて、文書を残していっていただきましたので、有利課長から読み上げてもらいます。
〔有利調査課長〕すみません、有利です。
米良委員からは、大学に関して、多様な財源により教育研究の質を確保すべきとの御主張に賛同します。私どもは、大学が抱える課題を解決し、大学の魅力を伝えていく一助となりたい、大学から未来を担う若手を創出したいという思いで、大学と連携したREADYFOR Collegeというサービスを立ち上げました。幸い、現在30程度の大学に賛同いただき、若手育成や研究環境の整備等、従来は運営費交付金など公的資金が担ってきた分野について、単発のプロジェクトのみならず、長期的に大学を支援していただける方と大学を繋ぐことができるよう取り組んでいます。御提案にあるような、ファンドレイジング業務と同窓生業務を連携させた寄附金を集めるための体制整備も重要です。くわえて、クラウドファンディングの実施に当たっては、大学自らが取組や研究等の意義を社会に主体的に発信していく姿勢も求められます。こうした大学側の努力も通じて、公的資金や市場原理に限られない多様な資金の流れが加速していくことを期待します。
横田委員です。義務教育の学校施設横断的実行計画について、先ほどの地方財政制度での発表も含め、自治体リーダーによる経営マネジメント力が問われています。御紹介いただいた石岡市の事例は、非常に大胆で評価に値すると感じました。本件は、教員の配置にも影響します。実行まで踏まえるとスパンの長い話となるため、資料記載にあるとおり、ICTの活用等あるべき姿を描き、計画を練る必要性に同意します。住民との対話も必要で、時間がかかる事案でもあるため、まずは人口減を踏まえ、横断的計画を早期に各自治体に依頼して、検討状況の把握が必要と考えます。
伊達委員です。ITツールの普及により、教育インフラが整ったことはポジティブです。今後のGIGAスクール構想にも期待したいです。AIドリルの導入等により学力向上も期待されますが、生徒も教師も余力の時間が生じますから、導入による効果を最大限にしていただきたいです。余力時間を付加価値に置き換えるに当たり、国、自治体、企業が求める人材像を明確にし、教育機関に対し、基礎知識以外の新しいジャンルを教育に取り込み、多様な人材を育てる必要があることを共有すべきです。教科書を改訂することに注力するだけではなく、例えばデザイン思考、プレゼン能力、プログラミングスキル、多言語、アントレプレナーシップ等と同時に、教師の教育プログラムの提供も必要であると思います。教育のデジタル対応により、リモート学習の併用も可能となれば、副次的な効果として、ファミリー現役世代の働き方改革の流れで、期待される働く場所の選択肢の拡大にもつながります。地方移譲やワーケーション普及にもつながり、地方創生にも資すると思われます。以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、委員からの発言、ここまでとさせていただきます。
それでは、最後、会長のほうから、どうぞお願いします。
〔榊原分科会長〕もう時間もありませんので、手短に、早口で申し上げたいと思います。
今日は、皆様、多くの貴重な御意見、御提言を頂きまして、ありがとうございました。
地方財政ですが、やはり国・地方一体となって財政健全化を進め、国・地方を合わせたPB黒字化を目指すことは皆様の共通認識ではないかと思います。そのための課題ですが、短期的にはやはり徹底的にデジタル化を進めることです。デジタル化では業務プロセスとの一気通貫での改革、それから国と地方の共通のICT化、これを進めるということがキーワードかと思います。そのために、マイナンバーカードを普及させることも絶対的な条件であろうかと思います。
もう1点は、短期的には徹底的な「見える化」を進めて、推進事例を横展開すると、これは極めて重要な課題であると思います。それから、長期的に人口減少は避けられない事実です。今後は、公共インフラのコンパクト化やダウンサイジング、効率化は不可欠であると思いますので、我々、財審においても行政単位の統廃合を進めることは、避けて通れないといったことにも踏み込んで提言する必要があるかと思います。
文教・科学技術分野の課題はたくさんございますが、1点だけ指摘しておきたいことは、やはり若手研究者の研究環境が非常に悪化していて、研究成果が非常に細っています。私も、3年前まで日本化学会の会長をしていまして、化学の分野はノーベル賞をずっと引っ張ってきましたが、これからを見ますと本当に化学の分野からノーベル賞が出るような形になっていません。それは、若手研究者の研究環境が非常に悪いことが原因です。御指摘されたとおり、いろいろなやり方はありますが、教授の定年が延長されたりして若手のポストがなくなっています。昔は、准教授、講師又は助手があって、そこに就職できましたが、若手の方はほとんどポストがない。東大でも、3分の1以上の若手は全然ポストがありません。どうしているかというと、2年、3年の短期の契約でやっているものですから、長期的な研究は何もできません。これではノーベル賞につながるような研究成果につながりませんので、やはり若手への研究費の重点配分を進めるべきであると思います。
今日は、本当にありがとうございました。これからも引き続きよろしくお願いいたします。
〔増田分科会長代理〕それでは、今日の議題は終了といたします。この後、記者会見がございますので、従来どおり個々には御発言いただかないようにお願いしたいと思います。
次回ですが、4月30日、14時から、項目としてはグリーン、公共、農林水産の3分野をテーマに、次回は歳出改革部会として開催を予定しておりますので、部会のメンバーの皆様方、どうぞよろしくお願いします。
それから、次回の審議が終わりますと、いよいよ春の建議の起草に入ります。今日もそうですが、前回も皆様方を御指名して、意見を言いっ放しという格好になって大変申し訳なかったですが、建議の中でまたいろいろ御意見、御発言頂ければと思います。これは、2回ほど予定されることになると思います。
その起草に当たっていただく起草委員につきましては、前体制でもお願いをしておりました方々、小林毅委員、武田委員、田近委員、土居委員、冨田委員、中空委員、及び吉川委員の7名の委員の皆様方に、起草委員として建議を起草していただくことにいたしたいと思っておりますが、よろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
〔増田分科会長代理〕それでは、賛同いただきましたので、7名の起草委員におかれましては、非常にタイトなスケジュールでございますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
今日、途中で少し発言を短くということを申し上げて、大変失礼いたしました。前回もそうでしたが、2時間半ぐらいかかりまして、あとは部会と建議になるので、春はもうこうした形で2時間という格好でやらせていただきたいと思いますが、やはり結構タイトで、あまり短くすると趣旨が伝わらないということにもなっていかがかと思います。また事務局と、あるいは会長とも御相談して、時間の仕方を考えます。実は私、明日も総合資源エネルギー調査会という、エネ基をつくるのは、最初2時間でしたが、最近2時間半で、明日は3時間やるということになって、3時間は少し長いですが、今のままであると2時間半ぐらい取っておかないとまずいのかもしれません。ただ、最初から2時間半というともっと延びる可能性もあるので、秋に向けて、この辺りは宿題で考えさせていただきたく思います。会長と、またよく御相談申し上げたいと思います。
今日は、大変ありがとうございました。
午後5時00分閉会