財政制度等審議会財政制度分科会
議事録
財政制度等審議会財政制度分科会議事次第
令和2年11月16日(月)9:30~11:55
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)
1.開会
2.議題
とりまとめに向けた審議
3.閉会
分科会長代理 | 増田寛也 | 伊藤副大臣 元榮大臣政務官 矢野主計局長 角田次長 青木次長 中山総務課長 日室司計課長 森田法規課長 高田給与共済課長 有利調査課長 中島主計官 大久保主計官 飯塚主計官 渡邉主計官 関主計官 岩佐主計官 一松主計官 坂口主計官 波戸本主計官 藤﨑主計官 渡辺主計官 山川主計企画官 井上主計企画官 | ||
委員 | 赤井伸郎 遠藤典子 大槻奈那 黒川行治 神津里季生 佐藤主光 角和夫 十河ひろ美 武田洋子 中空麻奈 藤谷武史 宮島香澄 | |||
臨時委員 | 秋池玲子 雨宮正佳 上村敏之 宇南山卓 葛西敬之 河村小百合 喜多恒雄 木村旬 権丈英子 小林慶一郎 小林毅 進藤孝生 末澤豪謙 竹中ナミ 田近栄治 伊達美和子 田中里沙 土居丈朗 冨田俊基 冨山和彦 平野信行 広瀬道明 別所俊一郎 堀真奈美 神子田章博 村岡彰敏 横田響子 |
午前9時30分開会
〔増田分科会長代理〕皆様、おはようございます。ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。
本日は、建議の取りまとめに向けて、お手元にお配りしております「令和3年度予算の編成等に関する建議(案)」について御審議いただきます。
本日、お配りしている建議(案)につきましては、これまで小林毅委員、田近委員、土居委員、武田委員、冨田委員、中空委員、吉川委員に御議論いただき、取りまとめていただきました。どうもありがとうございました。
本日の審議に先立ちまして、今回の建議について、現時点での取りまとめのスケジュールを御説明いたします。お手元にスケジュールのメモが配られていると思いますので、御覧ください。
まず、本日、これから建議の本体、参考資料、概要について御審議をいただきます。そして、次回の分科会は、11月25日の10時から予定しておりますが、取りまとめられた建議を同日に麻生財務大臣にお渡しする予定となっております。
そうしたスケジュールの関係もございますので、円滑な意見集約のため、本日の御審議のほか、ただいま配付されている案に対しての書面でのコメントの機会を設けます。すなわち、まず、本日の会議において、この場で皆様から御意見をいただき、さらに本日の会議終了後に追加でコメントがある場合は、可能であれば本日中、遅くとも明日17日夕方5時までに、事務局にメール等で御意見を御提出いただきたいと思います。様式は自由でございます。
そして、本日の審議や書面で提出をいただいたコメントを踏まえて、再度、起草委員会において改訂版を作成し、次回の会合の前に事務局から各委員にお送りするという段取りを考えております。
大変短い期間での御確認をお願いすることになり恐縮でございますが、日程の都合もございますので、何とぞ御理解を賜りますようによろしくお願い申し上げます。
続きまして、本日の審議の進行順について御説明をいたします。全体を4つに分けて審議いたします。まず、建議の総論についてのめどですが、これを30分程度。続いて、各論のうち社会保障について30分程度。それから、地方財政、文教・科学技術、社会資本整備、この3つをまとめて30分程度。最後に、農林水産、エネルギー・環境、中小企業、外交関係、情報システム、防衛、これらをまとめて20分程度。時間のおおよその目安ですが、この目安に沿って、大きく4つに分けて審議を進めてまいります。
委員の皆様から御意見をいただき、それぞれのところの最後で、本日、私のほうから見て右側に座っていらっしゃる、先ほど申し上げました起草委員の方々からお答えしていただきます。
なお、神津委員から、ほぼ全分野にわたりまして意見書を御提出いただいております。皆様のお手元にお配りしておりますので、お目通しをお願いいたします。
それでは、早速ですが、審議に入ります。まず、総論の本文、及び参考資料、概要の記載、それぞれについて御意見をいただきたいと思いますが、先ほど申し上げましたとおり、議論の時間目安30分です。総論について、本文で言いますと該当ページは1ページから14ページでございます。
いつものように、御意見のある方はネームプレートを立てていただければと。それから、テレビ会議システムを通じて参加の皆様は「挙手する」ボタンのクリックをお願いします。順番は、まず、こちらの会場に出席されている委員を先に指名させていただきます。大変恐縮でございますが、御発言は2分程度を目安に、可能な限り手短にお願いしたいということと、さらに修文の提案につきましては、できるだけ具体的な修文案でいただけますと議論が建設的に進むと思われますので、この点、何とぞ御協力をお願いしたいと思います。
それでは、早速、指名してまいります。私から見て左側という意味で、佐藤委員から順に、河村委員、田中委員と、こういう順番で行きたいと思います。すみません、一番左側のほうが、少し後だったので、この次に御指名して、それからまた右側のほうに流すようにします。
それでは、初めに佐藤委員からお願いします。
〔佐藤委員〕すみません、ありがとうございます。では手短に。
2ページの一番最後、24行目「事後的に検証していくことが重要」、それはそのとおりですが、どこで検証するかが大事であると思います。恐らく、このままであると検証する場所がないということなので、早急に検証する場を設ける。それは財審でもよいし、行革本部でもよいので、検証の場を設けるということは言っておいたほうが良いということ。
3ページですが、最後のどこかに、非常時の財政の常態化、恒常化は避けるべきであるという旨は明確にしたほうがよろしいかと思います。
最後、少し細かいですが、13ページの上のほうで「省庁等の垣根を超えた」とありますが、デジタル化は省庁だけではないです。やはり国と地方の間でもデジタル化は共有していかなければいけないということもありますので、その辺は言ったほうが良いかと。
それから、これまで景気対策はどうしても短期の需要の喚起に偏ってきたという面もありますので、生産性の向上の話はありますが、中長期の生産性の向上及び成長に資するような支出、ワイズスペンディングに努めるべきであるという旨は、12ページか13ページのところに記載されたらいかがかと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕どうもありがとうございました。
それでは、一番向こう側の神子田委員、お願いいたします。
〔神子田委員〕現状と当面の話については、本当に必要な要点が全て書き込まれていると感じはしたのですが、1つ、未来に向けての意味合いのようなことが入ったらよいかと思っています。具体的には、1つは10ページの上から5行目に「次の世代への責任を果たせるような」という文言が入っているのですが、ここに「今、巨大な赤字を残していくことが子孫の世代の政策の選択肢を奪うことになる」とか、未来へのことも踏まえて今年も予算編成をやっていくというメッセージを入れていただけたらと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございます。
それでは、小林慶一郎委員、お願いいたします。
〔小林(慶)委員〕全体に、大変バランスよく書かれていると思います。
私、1点だけ、3ページの(2)今後の対応の考え方のところですが、最初の行「新型コロナへの対応については、引き続き、万全を期す必要がある。」ということで、ここで全て言い尽くされているとも思うのですが、まさに感染が先週ぐらいからぐーっと上がってきていて、感染対策をやることがこの建議に書かれているような、来年度予算は感染を抑えるということが前提になっていると思いますので、やはり必要であれば医療機関、あるいは医療提供体制へのリソースを迅速に、十分に配分するということが危機管理として必要であると思います。そうした医療へのリソースの配分は、必ずしも3年度の予算に限らず、その前の補正も含めてですが、ただ、それがこの建議に書かれているような方向性を実現するための前提となりますので、「万全を期する必要がある。」のところにもう一、二行加えて、今申し上げた、必要に応じて医療提供体制へのリソース投入を十分にやっていくというような言葉を入れたらどうかと思っております。もし必要であれば、修文案を出したいと思います。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございます。もし可能であれば、修文案などをいただけると助かります。
それでは、引き続き伊達委員、お願いいたします。
〔伊達委員〕
3ページになります。給付金や一律のつなぎ的措置ではなくて、今後は構造変革、生産性向上等に取り組むべきであると記載されており、その通りだと思いますが、生産性向上、構造変革と負の改善の部分に集中しているように思います。経済を持続的に継続させていくことが必要ですので、需要の創出であるとか、投資への促進といった側面も追加していただきたいと思います。
次に、12ページから、今後は生産性向上、人口減少に伴った効率性、デジタル化という3つのポイントで予算を進めていくべきであるという方針が出されています。これ自体はとても良いと思っていますが、後半を読んでいきますと、社会資本整備あたりから、これに関係するコメントが多いのですが、その手前の1.2.の部分に関してはあまり出てきません。したがって、14ページを見てみますと、この四角の中に入っている項目は社会保障や医療に関するものが非常に少ないと思われます。少し概念的で申し訳ないですが、全体のバランス調整をしていただきたいと思っております。
生産性向上に関しては、KPIを示して、経過をチェックしていくという言葉をどこかに入れていただきたいと思います。
以上です。
続きまして、河村委員、お願いいたします。
〔河村委員〕全体として、現下のコロナへの対応でいろいろ必要である状況下、さはさりながら、やはり財政事情は非常に厳しいということがにじみ出るような書きぶりにしていただいていて、大変良いのではないかと思います。そうした中で、現下の状況をどう厳しく受け止めるかということをしっかり書くという意味で、7ページの足元の国債の調達状況、資料Ⅰ-2-8、9辺りで、グラフで御説明いただいています。14行目から15行目「割引短期国債に依存することとなった。このため、短期間で多額の償還と借換えが生じることになる」ということはそうですが、来年の借換えがまた短期国債になってしまうだけではなくて、これを続けていったら、毎年、この状況が続くと、超多額のリファイナンスが続くということは、やはり分かるように書いておいたほうが良いのではないかと思います。案としては、「短期間で多額の償還と借換えが生じ、その状況が、毎年度、続きかねないことになる現状を踏まえれば」という感じで、少し表現を補ってはいかがかと思います。
もう1点、その1つ前のページです。ここは、あくまで総論ということで、中小企業の問題も触れられていて、詳しくは後のところで出てくると思いますが、総論としての位置づけを考えたときに、6ページの20行目「こうした変化をもたらすには、規制・制度改革、企業慣行の見直しなどが必要であり」ということが書かれています。ただ、これだけなのかという気がしまして、やはり税制の問題なども大きいのではないか。一方で、この審議会のミッションから少し踏み出すところには、もしかしたらあまり言及しないということなのかもしれませんが、やはりここは総論の部分ですので、後ろのほうに書き込むということではなく、事業承継の話とか、軽減税率の話とかもありますので、規制・制度改革、企業慣行の見直しと並べて、税制を一言入れておいてもよいのではないかと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございます。
続きまして、田中委員、お願いいたします。
〔田中委員〕ありがとうございます。
大変力強くて、分かりやすい形にまとめていただき、ありがとうございます。このタイミングで出される建議としては、やはり前向きなメッセージを節々に示されると良いと思いました。例えば、3ページの21行目からの3行、「『つなぎ』的な措置といった支援を見直し」とあるのですが、「見直し」は少し強いという感じもしまして、「支援にとどまらず」という表現や、その下の「経済の構造変化への対応や」の後に「生産性の向上」が来ますので、「持続可能な社会を目指しつつ生産性の向上」という表現にしてみてはいかがかと、思いました。
6ページの27行目から「財政支出が必要な場合には効果的・効率的な支出」と表記していただいているのですが、「成長に寄与する支出」とか、効果、効率だけにとどまらない意図が伝わる文言が入ると、共感が高まるのではないかと想像し、御検討いただければと思います。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございます。
それでは、進藤委員、お願いします。
〔進藤委員〕ありがとうございます。
3ページの16行目「持続化給付金の事業者に対する」から始まる部分で、少し違和感を覚えるのですが、「過度に継続することは……適当でない。」は、過度とは何なのか。今、過度に依存している人はいるのかという問題があります。足元は、会社の経営の実体感から言うと、後で雇用のところでも申し上げますが、制度を使って、一生懸命、雇用を維持しているという状況です。ここで「過度」が入っているからよいではないかというような議論はあるかもしれませんが、「適当でない。」と言い切って、今後は重点化するというのは、今の状況からすると少し言い過ぎではないかということが1点。
それから、先ほど少し御意見が出ていましたが、やはりワイズスペンディングはキーワードであると私は思うのです。コロナ感染防止と経済回復をやらなければいけない、しかし財政再建もやらなければいけない。それにカーボンニュートラルが入ってきて、財政需要、スペンディングは増える一方です。さて、どうするかということなので、言葉の厳密な意味ではないかもしれませんが、ワイズスペンディング、やはり頭を使ってやっていこうということが一つのキーワードになるのではないかという意味で、21行目ぐらいにワイズスペンディングについて、よく考えながらやっていこうというニュアンスを入れたらどうかと思います。文案は、明日ぐらいに出します。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、木村委員、どうぞお願いいたします。
〔木村委員〕起草委員の皆様、大変行き届いた内容を書いていただいて、どうもありがとうございました。
その上で、2点ですが、1点は12ページの第3次補正予算のところです。考え方として、現時点の経済の落込みを全て公需で埋めるべきといった議論は適当でないということは、確かに私もそのとおりであると思います、特に、最近、第3次補正予算に関しては規模の話ばかり先行しているので、本当に何が必要なのかというところをよくわきまえた上での議論が必要であると思っています。財政法第29条では、特に緊要となった経費の支出などに限られるとなっていますから、その趣旨に沿った内容にしていただければということで、この書き方でもよいのですが、それこそポストコロナを見据えた経済の構造転換は、補正で組むのはできるだけ最小限にして、できるだけ当初予算で対応するとか、第3次補正予算の規模をできるだけ効率的にやってもらえるような表現が良いと、1つは思っています。
それから、3ページの特別定額給付金のところで、「消費は外出自粛等の影響で抑制され、結果的に貯蓄が増えている」、「このように積み上がった貯蓄が消費に回るようにすべきである。」という表現があります。確かに、消費に回ったほうが望ましいことは望ましいでしょうが、これは受け取りようによっては、国が一般家庭のお金の使い方に介入するものと思われかねません。国が一旦渡したお金を国民がどう使うかはある意味自由なはずです。それこそ、コロナの将来不安があって、生活費を切り詰めて貯蓄に回さざるを得ないという国民も結構多いでしょうから、そうした人たちからあまり無用な反発を受けないような表現に、できれば工夫していただければと思っています。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございます。
それでは、平野委員、お願いいたします。
〔平野委員〕ありがとうございます。
今さら申し上げるまでもありませんが、今回の建議、ウィズコロナ、ポストコロナでの日本の先行きを見据えたものでないといけないし、また、新しい政権が誕生して、基軸となる政策も打ち出されつつあるという局面で、非常に重たい意味を持っていると思います。
その点で、今回の建議の総論に関して言うと、感染拡大防止、経済回復、財政健全化の三兎を追わなければならないと明確に述べていただいて、高く評価したいと思いますが、こうした未曽有の危機を克服して、日本の社会経済が活力を取り戻すために、財政をどう運営すべきかという骨太のトーンがより明確に出るとよいと思います。その意味で、3点、申し上げます。
1点目、コロナ禍からの社会経済の回復のキーワードはビルド・バック・ベターです。ポストコロナのあるべき姿に向けて、日本経済の再生、成長を促すことがまずもって重要であって、重点分野を定めて、戦略的な投資を行っていかなければいけないということであると思います。DXとグリーン化が、まさにそれです。例えば、12ページ、25行目から、先ほども話題になりました14ページの表にかけての予算編成のポイントに、より明確に書き込んでいく。それから、予算の使い方に関しても、これは先ほど神子田委員おっしゃったのですが、未来志向であるとか、未来への投資という大きな概念を、例えば3ページの今後の対応の考え方に盛り込んではどうかと思います。
2点目。それをやるためにも、これは先ほど進藤委員をはじめ何人かの方がおっしゃったのですが、やはりワイズスペンディング、それから危機対応からのイグジット、これはやり方が問題ですが、この2つが重要です。この点についてはさんざん議論しているわけですが、今回の建議(案)を読んでみると、ワイズスペンディングという言葉は6ページの28行目の1か所しか入っていません。麻生大臣も、これは意味が不明確であるというようなことをおっしゃることがあるのですが、したがって、今回、定義を行った上で、財政運営の基軸となる考え方ということを明確にしたらどうかと思います。同様に、危機対応としての施策に関して言うと、時限性であるとか、それからエグジットクライテリアですよね。それをそれぞれの施策に組み込むべきであるということについても、メッセージを出すべきではないかと思います。
3点目、最後です。今回のコロナ禍、各国の財政、特に我が国の財政には大きな打撃を与えているわけでありまして、今後の持続可能性をいかに確保していくか、従来にも増して重大な課題です。そのために、いろいろ工夫が必要なわけですが、ここまで来ると、やはりこれまでになかった仕組みを導入することも必要ではないかと思っております。以前に申し上げたこともありますが、財政の健全化確保のための制度的な対応として、独立財政機関について何らかの形で、「例えば」でも何でもよいのですが、検討の必要性について触れていただくことはできないか。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、末澤委員、どうぞお願いいたします。
〔末澤委員〕どうもありがとうございました。今回、これだけの長い文章、しかも新型コロナウイルス感染症という100年ぶりの危機に際した答申ということで、本当に努力されたと思います。感謝しております。
ただ、その中、1点、指摘したいのは、先ほどありました三兎を追うということです。当面は、やはり新型コロナウイルス感染症の感染封じ込め、これが第一です。そうした面で、まず1ページですが、皆様見られるときは「令和2年」「新型コロナウイルス感染症」「全世界で感染者は5,100万人」、ここを見るわけです。これは10日段階のWHOの統計ですが、今朝、15日段階で見ると、もう既に5,376万人、死者は130万人を超えています。今、足元、WHOの統計で、1日で感染者は70万人増えています。死者も1万人増えている。つまり、このままいくと、これが出る25日の段階では6,000万人を優に超えて、死者も百四十万人前後になっているので、あまり数字が古いと認識が古いのではないかと思われるので、ここのアップデートをぜひお願いしたい。
また、少し細かいですが、1ページの20行に「くわえて」とありますが、これは漢字のほうが良いかと思います。
3ページですが、今後の対応の考え方ということで、先ほど小林(慶)委員もおっしゃいましたが、「新型コロナへの対応については、引き続き、万全を期す必要がある。」で終わりなのは、「三兎を追う」の中ではあまりにもあっさりし過ぎているということで、1つの修文としましては「当面は、既に予算化された新型コロナ対策予備費等を活用し、感染拡大防止策、検査、医療体制の整備に加え、生活困窮者や売上げが急減している中小企業などへの支援に全力を挙げるべきである」。こうした表現を入れることで、今、三兎の第一匹目をやっていますと、ウサギをやっつけていますという話を入れるべきであると。
また、先ほど言い忘れたのですが、死亡者が1,800人を超えているという段落の中で、これを言及するかどうかですが、「今現在、足元では、北半球はいわゆる感染第2波、第3波に見舞われている」というような表現を一文加えることで、現状認識を財審でもきっちりしていますということが分かるのではないかということでございます。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、権丈委員、お願いいたします。
〔権丈委員〕ありがとうございます。
取りまとめ、誠にありがとうございます。全体として支持いたします。
簡潔に、2点、コメントさせていただきます。
6ページ、21行目に「財政支出を増やせば、持続的な経済成長が起きるといった単純な話ではない。」とあります。これは誠にそうでして、その後の27行目に「課題に必要な処方箋を丁寧に考えた上で、財政支出が必要な場合には」とあります。成長戦略に必要な財政支出は相当に限定的になると思いますので、この辺り、しっかりと政策目的とその処方箋の関係を考察してもらいたいと思います。
10ページ、脚注23に、インフレが生じた場合には「社会保障の減額や増税などを行わざるを得ず」とあります。社会保障の研究者が財政の持続可能性を強く言うのもまさにここが理由でして、将来にわたって社会保障、国民の生活を守るためには、現在の財政の持続可能性が不可欠で、そのためには今の給付の改革、負担増を訴えていく必要があると考えています。脚注23の「ひとたび過度な」から「国民生活に悪影響を与えかねない。」までを、本文に移す可能性も含めて御検討いただければと思います。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、神津委員、お願いいたします。
〔神津委員〕ありがとうございます。
具体的な内容、提案については、意見書を御参照いただきたいと思います。時間も限られていますので、これをなぞることはせず、項目ごとに総括的な観点で発言したいと思います。
総論についてですが、足元、新型コロナウイルスの感染が再び拡大をしています。経済の先行きは不透明で、雇用情勢の悪化は予断を許さない状況が続いていると思います。今回の建議は、コロナ禍における初めての建議です。国民が抱いている大きな不安を取り除いていくことに、まずは主眼を置くべきであると思います。言うならば、体が弱っている患者に対して肉体改造を促すのは治癒が終わってからであるように、コロナ禍がいまだ現在進行形で、経済活動に深刻な影響を与えている中では、雇用維持、事業活動維持のための支援、継続は不可欠であると思います。
今回の危機で、有期雇用等、不安定な雇用形態やフリーランスなど、曖昧な雇用の就業者をめぐり、様々な格差が浮き彫りになっています。また、オンラインの対応に関してですが、行政手続、病院での診療、あるいは学校の授業など、デジタル活用の遅れが明白になっており、事業再建、生活再建に多大な影響を及ぼしています。コロナ禍で露呈した日本社会の様々な脆弱性を是正する取組が不可欠であると思います。この点も予算編成のベースとなるべきであると考えます。
そして、今回の国難とも言うべき危機においてこそ、持続可能な社会、レジリエントな経済社会につなげていくために、雇用の質の向上や安全網の確立、格差是正、貧困の解消のための施策につながる歳出項目への予算配分を重点化していくべきと考えます。そのことは、社会の支え手、すなわち納税者を増やすことにもつながると考えます。それらを担保し、将来世代にこの国をしっかりとした姿で引き継いでいくためには、税財政一体で解決を図って、税の財源調達能力の回復、所得再分配機能の強化が一層必要となるということについても言及しておきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、大槻委員、お願いします。
〔大槻委員〕ありがとうございます。
非常に包括的な文章で、御苦労さまでございました。
この時期ですから、相当コントロバーシャルになることを覚悟しなければいけないかもしれないということを考えながら、いかに一般の方に受け入れてもらいつつ、腹落ちさせるかという観点で、幾つか発言させていただきたいと思います。
1点目は、今までも出ているワイズスペンディングをもう少し強調されてもよいかと思って見ていました。例えば、12ページから13ページの予算編成の課題のところにも、もう一度、ワイズスペンディングというキーワードを入れ、いたずらに、やみくもに圧縮することを提言しているわけではないということを強調されては、というのが1点目です。
それから、ページ戻りますが、7ページから8ページにかけて、フォーカスエリアについて、順次、書いていただいているところですが、(4)と(3)を逆にされてもよいかと思いました。趣旨としては、実体経済の次に、人々の生活とか、社会保障に関わるところを先に持ってきて、国債と財政がその後に来るほうが、一般の人には何となくしっくりくるかと思った次第です。
最後に、揚げ足を取られたくないという趣旨で、14ページの表にしていただいているところの一番上の左側の「スクラップ・アンド・ビルド」は取ってもよろしいかと思いました。本文で、制度等に関するスクラップ・アンド・ビルドであるということは分かるのですが、ここにこれを持ってくると、一番上に中小企業の新陳代謝とあるので、中小企業をスクラップすると少し刺激的に読まれないとも限らないと思った次第です。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、この会場での御質問は以上にさせていただきまして、オンラインで発言希望のある委員の方、赤井委員と冨山委員を指名させていただきます。
まず初めに、赤井委員、お願いいたします。
〔赤井委員〕ありがとうございます。
1点だけ、総論のところで、コロナ禍での対応は時間的に限られた中で迅速に行う必要はありますし、特に国民の関心も高いので、国民及び住民の理解が重要であると思います。そのためには、やはり住民に近い地方公共団体としっかり連携することが大事かと思います。コロナ対応は、時間をかけた制度設計をする各分野と異なって、時間をかけずに支出することが重要になっているので、地方の裁量もある程度多いと思います。3ページのところでコロナ対応を書かれていますが、これは日本全体、政府というイメージであると思いますが、地方公共団体もこの考えを共有して、しっかりと対応することが大事であることを、あえて書き込んでもよいかと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕続きまして、冨山委員、どうぞお願いします。
〔冨山委員〕すみません、ありがとうございます。冨山です。
少し刺激的なことを何点か申し上げます。
ワイズスペンディングについて、私、2つの意味があると思っていて、無駄な金を使わないということと、使うのであれば本当に有効な使い方をしようという側面があると思っていて、この緊急事態対策に関して言うと、私は必ずしも賢く使われていないと思っている部分もあります。具体的に言うと、雇調金などは典型的にそうですが、本当に救いたい対象は会社ではないのです。弱い立場にいる労働者です。では、本当に雇調金が弱い立場の労働者に届いているかどうかということはちゃんと検証すべきで、我々の周りにも、悪く言ってしまうと会社の延命に使われているお金はいっぱいある。そうした意味で、皆様が思っているほど中小企業、中堅企業の現場は美しくないので、それはちゃんと検証したほうが良いと思っています。
今、ここで、本当に緊急事態において救うべきは、くどいですが、会社ではありません。本当に弱い立場の労働者です。そうした人たちをどう救うのかということに集中すべきということは、そういう意味でいうと、確かにいろいろな世の中の分かっていない人のリパーカッションは恐れるべきですが、本当に困っている人たちのリパーカッションはないはずなので、そこのワイズスペンディングという意味合いはむしろ大事であると思っています。
もう1点、6ページの議論で、申し訳ないが、私から言えば中小企業白書の出来が悪い。実際、中堅・中小の再生をやっていると分かりますが、これは因果が逆です。規模が大きいから経営が良いのではなく、中堅・中小企業のビジネスは規模の経済性がほとんど利かない。これは因果が逆で、内容の良い会社、労働生産性の高い会社が大きくなってしまう。構造的にサービス産業群は、実はこの瞬間も、うちはバス会社で5,000人を雇用しています。神津委員もいらっしゃるので、よく御存じでしょうが、うちはすごく待遇の良いバス会社です。賃金も高いです。基本的に正規雇用従業員の会社です。だから、うちは成長しているのです。基本的に、運転手はこの瞬間も人手不足です。むしろ、ひどい人手不足です。だから、今、バスの運転手はどんどん運送業から転職してきて、その場合、賃金は増えています。
要は、何が言いたいかというと、この構図は逆で、経営力の高い会社は労働生産性が高くて、そういった会社が経営力の低い、労働生産性も賃金も低い会社を駆逐してきた歴史でありまして、実はこの瞬間もその傾向は変わっていません。むしろ、それが今、進もうとしているので、ここの記述は正直、ずっとICT装備率が低いといいますが、何で資本装備率が低いかというと、残念ながら経営者が無能だからです。それから、お金がないからです。要するに、経営力の高いところが資本装備率を上げられるし、経営力の高いところが大きくなっていくし、経営力の高いところが労働生産性の低い会社を結局、集約、吸収合併していくということになるのです。
これは、恐らくコロナで加速します。ポストコロナでもっと加速します。よく中小企業の再編を廃業とつなげて議論する話が多いですが、実際、廃業で失業者が生まれるという構図ではなくて、大事なことは、力のある会社に力のない会社をどうやって集約していくか、買収、再編していくかということが本当の課題です。だから、漫然と大きくなることは意味がなくて、はっきり言って駄目な会社と駄目な会社がくっついて大きくなると、大駄目の会社になってしまうのがこの世界の現実です。
残念ながら、経営力の格差は非常に大きいです。特に中堅・中小セクターは。なので、その脈絡でここの記述は少し上手に書き換えないと、今、再編論に関してすごくネガティブな反応があるのは、単に弱い会社をとにかく市場から追い出して、そこの雇用も事業も市場から追い出せば生産性が上がるという議論に聞こえてしまうので、実はここは誤解を生んでいる。実態は逆で、変な話、今、バス会社が売りに出れば、うちはどんどん買収します。うちがバス会社を買収したケースでは、必ず労働条件は全部上がっています。神津委員いらっしゃるので、よく御存じですが、うちは私鉄総連の加盟会社です。
ですから、今、そうしたことをむしろ促していくことが大事で、ポストコロナに向けては、それをどう加速させるかというところに上手にお金を使うことが大事であると考えているので、少しここの書き方は誤解を生むかなという感じがしております。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、総論についての御発言はここまでということにして、続いて起草委員の先生方から、全体を通して御発言を賜れればと思いますが、総論については土居委員でよろしいですか。それでは、どうぞお願いします。
〔土居委員〕委員の皆様から、大変多岐にわたり御意見をいただき、ありがとうございました。できるだけ皆様の御意見を反映できるように、これから起草委員とともに検討したいと思います。
冒頭の総論については、起草委員の中でも、基本的なトーンは一致しているのですが、濃淡については様々な意見が出た結果として、今日、お出ししたところであり、今日の皆様からの御意見も多少なりとも濃淡がはっきり、もっと濃く書くべきであるということと、書き過ぎているからもっと薄くしろという御意見が出ましたので、そこは温めて調整して、最終的に固まる前に皆様にも御覧いただきたいと思っております。
個別のところで、全ては網羅できませんが、各ポイントを少し申し上げたいと思います。
ページ番号の前から順番にいきたいと思いますが、1ページの冒頭のところ、末澤委員からいただいたとおりで、これはできる限りアップデートした数字で最終版ということにしたいと思います。それから、文字についても御指摘ありがとうございます。
2ページの24行目の「事後的に検証」というところ、佐藤委員から御意見いただきました。我々の気持ちとしては、財審で検証するということ意図しているのですが、書き方についても改めて、引き取らせていただきたいと思います。
3ページの(2)の「万全を期す」という話について、小林(慶)委員、末澤委員に御意見をいただきました。少し淡白過ぎるのではないかということで、少なくとも予算化された予備費を活用するとか、できることをまずはきちんとやるということぐらいは、ここに書き込めるのではないかと思いますので、その方向で修文を検討したいと思います。
3ページの後半部分について、順不同ですが、木村委員、進藤委員、田中委員、伊達委員、平野委員に御意見をいただいております。この点は非常に重要なポイントですので、書き方については改めて検討したいと思いますが、誤解されないようにという面もありつつ、もう1つは、歳出増圧力がすさまじい状況ですので、うっかりその書き方に、財審でもこういうことを言っているのだから、歳出を出せということだろうと受け止められないようにするというバランスを検討したいと思います。その意味では、平野委員が指摘されていたエグジットクライテリアという考え方は、ここの部分にマッチする話であるかと思っておりますので、改めて皆様にも御覧いただきたいと思います。
第2節、4ページからですが、神津委員から、先ほど御発言もありましたし、今日、別途お配りいただいているものにも詳細に修文案をいただきました。御発言の趣旨、それからセーフティーネットの構築などのところは、本文の趣旨を補強するものということで、できる限り盛り込めるものを盛り込みたいと思っております。
6ページの中小企業の話は、冨山委員から御指摘があったところでして、この点についてもう一度、中小企業白書の書き方、それから現状を確かめながら修文を考えたいと思います。
河村委員から、税制についてここで書けるのではないかという話があって、確かにそれもあるのですが、他部局との調整とかもあるので、引き取らせていただきたいと思います。
6ページから7ページにかけて、それから6ページの終わり頃のところで、田中委員、権丈委員、平野委員、冨山委員に御指摘をいただいていて、特にワイズスペンディングの意味については、もう少し明確になるようなことが書けないかと私自身は思っていて、起草委員会の中で提起をしたいと思います。
7ページの15行目のところで、河村委員から借換えという話があったのですが、実はこの書き方をめぐって起草委員の間でかなり議論があったので、後で冨田委員にこの点についてこだわりをお示しいただけるとありがたいと思います。
10ページのところで、神子田委員から、6行目辺りで次世代への責任というところは、確かにおっしゃるとおりですので、その意味がより伝わるように修文をしたいと思います。
権丈委員から、脚注23、まさに私もそのとおりであると思っているのですが、一方で、インフレなど起こりっこないではないかという世の中の意見もあって、あまりインフレ、インフレと言うと、また狼少年であるとか言われることが嫌であるということで、少し脚注に引っ込んでいるのですが、いやいや、そんな臆病がらずにということであれば、これは起草委員の間で検討したいと思います。
12ページ、13ページです。先ほど、ワイズスペンディングという言葉について御意見をいただいたことと関連する部分ですので、どういう歳出が必要なのかということをより精査するというニュアンスも含めて、直せるところは書き直したいと思います。
ただ、悩ましい問題は、12ページの25行目から13ページの7行目にかけては、各論の頭出しというニュアンスがありまして、各論で書いていないことまでここに書くのはどうしようかということが、今の段階での書き方の立てつけになっております。つまり、ここは何か改めて別途、我々として主張するという形の箇所ではなくて、むしろ各論の要約であるということがあって、各論に書いていないことはここに書かないことにしようという書き方を我々がしていましたので、その平仄と合わせて検討したいと思います。
それは14ページの表も同様でありまして、大槻委員、伊達委員からこの書き方について御指摘をいただきまして、その御意見を踏まえつつ、ここはあくまでも要約というか頭出しなので、位置づけともバランスを取りながら表現を工夫したいと思います。
以上です。ありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕冨田委員、御発言ありますか。それでは、冨田委員、どうぞ。
〔冨田委員〕河村委員、御指摘の点でございます。まず、国債は、日本銀行がたくさん市場から買い入れているわけですが、発行はほとんど全てが公募入札発行です。それをいかに長期的に守っていくかということは、財政規律を守る上で大事であるということで基本的に書いてあります。心は、割引短期国債ですと、もう満期が次から次と来て、借換えが発生して大変なことになるということは、河村委員の御指摘のとおりです。確かに、過去、財政が破綻した国はそういう例が多いです。
ただ、現在、我が国では、そうした懸念と同時に、もう一方で懸念すべきことは、超長期債を出したい、あるいは永久国債だ、あるいはヘリコプターマネーであるという御指摘があります。つまり、借換えの連鎖をあまり強調すると、そちらの意見に行ってしまうリスクもあって、ここでしっかりと財政規律を確保すると書かせていただきました。それは、取りも直さず、これから先の新規国債の発行を抑制していくということと同時に、2回の補正予算では、公募債、公募発行を、100兆円ほど増発したうちの60兆円は、2年債から40年債をあまり増やさずに短期国債で対応したわけです。だけど、これからは1年債も含めて安定的な、しかも透明な発行を行っていくことが大事であるということを心に、ここに書かせていただきました。市場公募を守るためです。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございます。
それでは、小林(毅)委員、お願いします。
〔小林(毅)委員〕皆様から、大変貴重な御意見、ありがとうございます。率直な御意見もありまして、感謝いたします。
1つだけ、財審の今回の建議は、全体的な考え方として、二兎ではなくて三兎であるというところがポイントであると思うのです。つまり、二兎を追うことについては恐らく世界中が同じ考え方である。しかし、日本の場合は、財政健全化ということを常に頭の中に入れなければいけないということです。そうすると、三兎目が、三匹目のウサギがこの建議の眼目である以上、もちろん国民の皆様に理解はしていただかなければいけないし、無用の反発はなるべく避けなければいけないですが、やはりそこの部分はある程度、そこに軸足を置いたというか、力点を置いた形にしていくことが今回の建議の一つの眼目でないかということが、起草委員の中で考えたことです。多少バランスの問題はあるかもしれませんが、それはぜひ御理解いただきたいと思っております。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、どうぞ。
〔田近委員〕いろいろコメント、ありがとうございました。
今、小林(毅)委員から御発言があったように、今回の建議は三兎を追う状況で、新型コロナに対する対応、我々の見識を示そうと。その示すところでいろいろ御意見を承ったのですが、2点、3ページですが、小林(慶)委員から御指摘があって、「新型コロナへの対応については、引き続き、万全を期す必要がある。」に全部気持ちが入っているのだろうと。そのとおりですが、「その上で、感染状況や経済の動向も踏まえつつ」、これは書いている途中でも変わっているのですよね。もう既に変えたところもあって、今、どんどん厳しい状況になっている。そこで、小林(慶)委員は、医療に適切な資源を確保しろという御発言であったと思うのですが、その辺の状況を踏まえた書きぶりということがあるかと。
それから、さんざん議論されたワイズスペンディングですが、3ページにコロナの対応が書いてあると同時に、12ページの令和3年度予算編成の課題の11行からまた書いてあります。今、12ページの11行目を見ていますが、「補正予算が更なる財政状況の悪化をもたらすことを肝に銘じつつ」、今、指摘したところの考えを踏まえて、「ポストコロナを見据えた経済の構造への対応や生産性の向上」、ここが今日、多くの議論をいただいたというか、ワイズスペンディングの話であると思います。だから、ワイズスペンディング、大方のところ、やはりそれはデジタル化、DX、それからグリーン投資というようなことでしょうが、こことワイズスペンディングのところを関連づける必要があるのかなというのが私の印象です。逆に言うと、ワイズスペンディングなら何でも使ってよいわけではないので、そこはきちんと議論しなければいけないと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、ここまでとしますので、起草委員の先生方でまたよく御議論いただきたいと思います。
続きまして、社会保障に入りたいと思います。こちらについて御意見いただきたいと思いますが、少し押しておりますが、こちらも一応30分を目安としまして、該当ページは15ページから48ページ、そのほか参考資料や概要の記載についても御意見を受け付けたいと思います。2分程度で、よろしくお願いいたします。
それでは、先ほどと同じように合図をしていただければと思うのですが、私から見て一番右側の神津委員からお願いします。
〔神津委員〕ありがとうございます。
各論、幾つかありますが、まず医療についてです。医療における現下の最大の課題は、いかに新型コロナウイルスの感染を抑え込むかということです。人口構造の大きな変化に伴う課題認識は堅持をしつつも、今は感染を抑え込み、人々の不安を取り除くということに注力をしなければなりません。医療アクセスを保障することは安心の基盤ですから、財政が果たすべき役割は非常に大きいわけです。
32ページの下段辺りからコロナへの対応の記載があります。診療報酬での対応にも言及されていますが、医療保険による給付は患者に対する給付に直接つながるものを基本とすべきでありまして、医療支援、あるいは基盤整備といったことは財政の役割であると考えます。
また、医療アクセスの保障という点では、後期高齢者の患者負担割合の引上げや、医薬品の保険給付範囲の見直しについても、安心を損ね、不安を増幅することにならないように十分慎重に検討すべきであると思います。
介護についてですが、人材の確保が喫緊の課題です。連合で毎年調査しているのですが、1年前と比べて人材が不足するようになったとする回答が24.9%、4分の1、その理由の中で、募集に応募する人が少なくなったからという答えが43.2%と最も多く、人材確保が一層厳しくなっています。8月の有効求人倍率、職業計は0.95ですが、介護は3.88と大きく乖離をしています。介護人材の年収は、依然として全産業平均を100万円以上、下回っています。連合調査の中で、他産業との比較のみならず、業務量、業務内容との比較で、いずれも賃金がよくないとする回答が大変多くなっており、さらなる処遇改善が強く求められています。介護サービスは、働く者がいなければ提供されません。菅内閣も看護離職ゼロを掲げています。サービスの維持のために、ぜひ2021年度の介護報酬改定で一層の処遇改善を行っていただきたいと思います。
子供・子育てです。少子化に歯止めがかかっておりません。その危機感をもっと表現すべきではないかと思います。待機児童の解消は急務です。そのためには、保育士が長く勤められるよう、キャリアアップにつながる処遇改善を続けていくことが重要です。保育の質の改善につながる重要な施策であると思います。労働力人口が減少していく今後、仕事と子育ての両立に対する支援を一層充実すべきと思います。
最後、雇用調整助成金です。新型コロナウイルス感染症およびその感染拡大予防策が雇用に与えている影響は極めて大きく、また、特定の業種、業態において一層強く出ています。したがって、こうした中で雇用調整助成金の特例措置は、感染症によります各種の影響が鎮静化するタイミングまでは延長を継続していくことが不可欠であると思います。
また、今回のコロナ禍においては、雇用保険に加入できなかったり、休業しても休業給付が得られなかったりする労働者が、この間、増大してしまったことが浮き彫りになっています。一般会計での対処を含めて、特例措置での休業手当給付が行われてきているわけです。感染症による各種の影響が鎮静化するタイミングまで、延長を継続することは不可避であると思います。
一方で、AIの進展等、今後の技術革新を踏まえるならば、そもそも近未来の雇用の姿は大きく変化をしていきます。失業なき労働移動を混乱なく、確実に進めていける枠組みの構築が不可欠です。在籍出向の活用を含めて、給付と職業訓練、能力開発、そして再就職のマッチングをセットにした雇用のセーフティーネットを策定し、実行に移すべきであると考えます。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、権丈委員、お願いします。
〔権丈委員〕ありがとうございます。
医療と、子供・子育てについて、いくつかコメントと、最後に1つ質問がございます。
17ページの後期高齢者の患者負担割合の在り方についてです。前回も話しましたように、介護には高額介護サービス費制度、医療には高額療養費制度、そして医療と介護の上限負担を調整する合算療養費制度によって、普通の人たちにとって自己負担の上限が無理なものにならない制度があります。その上で、自己負担率に1割という低い水準を設けるのは、低所得者対策をしっかりやるという意味になると思います。1割の範囲を考える際には、そうした観点が必要かとも思います。
24ページ、17行目に「人口減少や高齢化という構造的課題は待ってくれず」とあります。まさにそのとおりでして、ここしばらく医療政策は健康な人向けに比重があったように見えたのですが、この建議が、高齢期に入って病気を抱えざるを得ない人たちのQOLを高めるための政策に転換する大きなきっかけになってくれればと願っています。
45ページ、46ページの待機児童の解消については、利用調整基準によって、フルタイム労働者の子供に比べて、パートタイム労働者の子供が待機児童になりやすい状況があることを指摘することに賛同いたします。ただ、骨太方針に、出産後に女性の正規雇用比率が低下する、いわゆるL字カーブの解消に向け、継続就業率の新たな目標の実現に向けた取組を推進するとともに、女性の正規化を重点的に支援するとあります。仮に、一定の所得があるフルタイム労働者であっても、保育サービスが利用できないために就業継続ができないということがあれば高所得でもなくなるわけです。また、現状、保育サービスが利用できずに、育児休業期間を通常の1年から2年まで延長している場合もあります。本来、受皿整備を早急にすべきところですので、フルタイム労働者の継続就業を抑制したいと受け止められないようにお願いしたいと思います。
47ページです。少子化対策の安定財源確保は極めて大切なことで、将来世代の負担で対策を行うという今日の状況から脱却する必要があります。15行目に「医療保険制度を含め、保険料財源による少子化対策への拠出を拡充する」という考えが、将来の検討課題として挙げられています。こうした話には、本来、税で行うべきであるという反論がいつも出てきますが、税で賄うことが難しいから、医療、年金、介護など賦課方式の社会保険が拠出して子育てを支援するという考え方が、全世代型社会保障を実現する一環として出てきているということを付け加えておきたいと思います。
最後に、45ページの男性の育児休業について質問です。45ページ、16行目に「所得保障の在り方について検討する際は、他の取組の進捗状況も見極めるべきである。」とありますが、この他の取組の進捗状況とはどのようなことを指されているのでしょうか。
以上、よろしくお願いいたします。
〔増田分科会長代理〕質問は、後ほどまとめて起草委員からお答えいただきたいと思います。
続きまして、平野委員、お願いいたします。
〔平野委員〕ありがとうございます。
総論のところです。16ページ、3行目から6行目に消費税率について触れられています。昨年、10%に上がったばかりなので、「当面は給付面からの取組が中心となる。」、これはそのとおりであると思いますが、去年の建議の書き方に比べるとやはり後退感があります。去年はどう書いていたかというと、まず、10%への引上げを率直に評価したいが、「今回の消費税率の引上げは、財政と社会保障制度の持続可能性の確保に向けた長い道のりの一里塚に過ぎない。引き続き、財政健全化に向けて歳出と歳入の両面の改革が求められることについて国民の理解を得ることの重要性を指摘したい。」と言っているわけです。もちろん、このコロナ禍で国民の負担に触れるのはなかなか難しいということはよく分かるのですが、社会保障と税の一体改革の流れを途切れさせてはいけないと私は思うので、将来も展望した何らかのワーディングをここに入れられないかということです。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございます。
それでは、横田委員、お願いします。
〔横田委員〕ありがとうございます。
先ほど、総論でコメントをお伝えできなかったので一言だけ。三兎を追うというシンプルなメッセージは、私は非常に分かりやすくてよかったと思っています。また、7月に会長談話が出た際にやはりメディアの空気が変わったと。要は、歳出増の話ばかりであったのが、少しトーンダウンしてくれたような気がするので、やはり財審としてはそこを明確に伝えていくということが非常に大事なのではないかと、私自身は思っております。
中身に関してですが、雇用調整助成金の点について少し触れたいと思います。48ページの6、7、8行目ですが、全体的に雇用調整助成金の縮減や廃止の方向に向けて動いていかないと、冨山委員がおっしゃっていたように延命措置にならざるを得ないということで、方向性としては賛成していますが、「出向・再就職など」となっています。中小企業はそれだけだと賄い切れないと考えております。例えば、「労働移動を見据えた兼業、副業や、ワークシェアリングなどの導入なども含めて」というようなことが加わっていたほうが、中小企業にとってはよろしいのではないかと思っています。いきなり切ってしまうと、中小企業は雇用を切ってしまう可能性がありますので、その点だけ申し添えます。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、進藤委員、お願いします。
〔進藤委員〕まず、医療について、後期高齢者の9割給付が8割給付になったこと、それから現役並み所得の判定基準の見直し、これは極めてよろしいということで賛同いたします。ただ、何回も申し上げていますが、現役世代の負担を抑えるという視点が少し足りないので、これは個別制度の設計の問題かもしれませんが、現役世代の負担が増加することのないように留意してもらいたいということです。
もう1つ、子供・子育ての件で、例の児童手当の特例給付、さんざん議論してきましたが、今回、明確に廃止すべきと、それから所得算定の考え方については、変更すべきであると明確に言っておられるので、これも賛同いたします。
3番目は、雇用の問題です。雇用調整助成金の特例措置ですが、「雇用情勢が大きく悪化しない限り……できる限り早期に段階的に縮減・廃止していくべきである。」とありますが、失業の予防がこの制度の目的であり、雇用情勢が大きく悪化したらもう遅いのです。先ほど冨山委員から御意見があったように、会社を救って個人には入っていないという場合もあるでしょう、あるかもしれません。しかし、10月末で167万件、2兆円の活用がされているということで言えば、私は十分に機能している制度であると思います。
今、コロナの収束はまだ道筋が立っていないのが現状です。経済、雇用、先行きについても不透明であるということを考えますと、もう少し言い方を変えて、「雇用情勢を慎重に見極めながら、段階的な移行を見据えつつ、慎重に検討すべきである」というようなトーンを出すべきであると思います。ところどころに、雇調金を利用することが産業構造の変化、前向きな変化を抑えているのであるといったニュアンスが見えますが、雇調金をもらっているところは何か悪いことをしているわけではないので、そこは少し見直すべきではないかと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、田中委員、お願いします。
〔田中委員〕ありがとうございます。
39ページの福祉用具貸与の在り方の見直しのところで、少し確認に近い感じで意見を申し上げます。具体的に踏み込んだ記述をしている中で、例えば17、18行に「貸与ではなく販売とすべきである。」と書かれています。審議の段階では、利用者にとって借りるより買うほうが安いこと自体が、そもそもおかしいという制度上の問題点が結構議論されたと思います。社会福祉分野の審議会等の議論の進行等は分からないですが、この事実は身近にも心当たりのある方が多くて、インパクトがあるものになるかと思いますので、この表現が、丁寧に書いていただいていると同時に、販売を推奨するようなところだけに少し焦点が当たると誤解が出るのではないかと懸念を感じ、私の理解不足かもしれませんが、確認をさせていただきたく、よろしくお願いします。
〔増田分科会長代理〕続いて、河村委員、お願いします。
〔河村委員〕コロナ下で、全体として極めて厳しい状況にある中、さはさりながら、やはり負担できる方には負担をお願いするとか、医療の面、それから介護の面でも、交付金などよりは診療報酬であるとか、介護報酬等で対応していく方向に賛成でございます。
私からは1点だけ、33ページ辺りですが、今、少し申し上げた地域医療、診療科ごと、それから地域でのばらつきへどう対応するかということで、この建議文案の書き方については本当にこれでよいと思っておりまして、修文云々ではないですが、少し社会保障の当日に申し上げられなかったことがあるので、1点申し上げますと、小児科の診療の戻り具合が遅いと。恐らく非常に大きく影響しているのは、国ではなくて、各自治体が子供の医療費の無料化を非常に手広くやっている影響が大きく出ているのではないかと思います。
弊社でもいろいろ調べたことがありますが、未就学までか、小学校までか、もっとか、また、外来と通院とどうするかと少し差はありますが、今では本当にもう全国、ほぼあまねく、どこの自治体でも子供の医療費の無料化という措置が採られている。しかも、それが全国にわたっているとともに、かなり長い期間、長い年数が続いていることから、言葉がよいかどうか分かりませんが、過剰診療というか、少し心配になったら、すぐお医者さんに行ってしまう。どうせ自分の持ち出しはなしだし、といった感じの受診行動を患者さんが起こしてしまっていた。これだけの年数が続くと、それがやはり小児科の医療の供給体制に影響を与えて、コロナで感染症が心配になったときにどうかというと、こういう受診結果に表れてきているのではないかと思います。
こうした辺りは、地方財政運営の各論とも関係してくるところであると思います。今回の建議は、本当にこの書きぶりでよいと思いますが、今後、来年以降いろいろ検討していくときに、そうした視野も含めて、地方の動きとかも含めて見ていくとよいのではないかと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、佐藤委員、お願いします。
〔佐藤委員〕ありがとうございます。
まず、28、29ページ、法定外繰入れと保険料の統一について、「一段と加速」という言葉に込められているような気はするのですが、やはりもっと明確に「期限を定めて」とやらないと、いつまでたっても進まないかと思いました。
32ページから33ページ、もちろん医療提供体制、コロナに向けて万全を期すということは当然ですが、やはり便乗は避けるべきで、病床数が足りないのではないかという話がありますが、これは地域医療構想にも関わる議論ではありますが、病床数が不足しているのではなくて、地域の医療機関の間での連携が不足していたわけですから、その辺は明確に、足りないのは要するにベッドの数ではなくて連携であるということ。
それから、交付金でやるのか、診療報酬でやるのか、ここは議論が分かれるところかもしれませんが、大事なことは、コロナへの貢献に応じた補塡というか、支援であるべきであって、単なる経営状況が悪いからという理由での一律のばらまきであってはならないと、その旨は明確であるべきかと思いました。
それから、少しテクニカルな話ですが、34ページ、医療機関の経営状況云々の話があるのですが、もともと医療機関の経営状況を知らないままに、我々、診療報酬を決めていた面があるわけです。医療経済実態調査は、事実上、サンプル調査でもあり、回答が少ないということもありますから。なので、本来であれば、医療機関の経営状況等をリアルタイムに、全数的に把握するのが正しいわけでありまして、それができなかったということが、今回、問題として露呈していたと思います。その辺は、もう少し平時から、つまり診療報酬の改定も含めて平時から、本来は医療機関の経営状況はリアルタイムに、全数的に把握することはあってしかるべきという旨は、どこかに記載してよいのではないか。
それから、WAM NETは、気持ちは分かりますが、公立病院と医療法人と社会福祉法人との間で会計基準が統一されていないはずです。もし、本当に比較したいのであれば、医療機関の会計基準の統一が、今後、視野に入ってくるのではないかと思いました。
最後、1点だけ。38ページに、介護事業者の話、運営の効率化がありますが、やはり中小・零細事業者が多過ぎることは非効率です。ただ、冨山委員がおっしゃったように大きくすればよいというわけではないので、要するに規模の経済をうまく働かせるためにやる気のある経営者がM&Aをするなど、今、連携推進法人のようなものがありますので、そうした枠組みを使って、やる気のある経営者が規模を拡大できるような環境整備をする。もし、規制か何かがボトルネックになっているなら、それは速やかに見直すという、その旨の議論はあってよいかと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、伊達委員、お願いします。
〔伊達委員〕15ページになります。先ほどと、少し重なる言い方になるのですが、総論として、令和3年度予算は三重苦であり、だからこそワイズスペンディングである、その具体的なツールとして生産性向上と人口構造の変化への対応とDXがあるという論立である、そのような解釈でよいかと思っていました。15ページの最初についても、それは社会保障でも同じなのではないかと思います。3行目から8行目までの間のところに、大きな方針として、同じ考えを取り込んでいくべきであると記載があってもよいのではないでしょうか。ただ、残念ながら、具体的にあまり生産性向上の話はこの
中にはないので、どうするべきかとは思います。一方で、後で繰り返しにならないように、発言しますが、それは地方財政、文教のところでも同じことをお伝えしたいです。
次に、19ページ、各論の判定基準の見直しのところで、課税前収入で判定していないことに課題ありと記載されています。課税前収入を前提としてよいのではないかと、はっきりと記載してもよいのではないでしょうか。さらに、控除分も考慮して、現役と後期高齢者の負担の不公平性が出ているから、そこを公平にしなければいけないと、明確に言ってもよいと思います。これは、今後、後期高齢者のボリュームが増えているからこそ、早めに指摘しておくべきではないかと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、宮島委員、お願いします。
〔宮島委員〕ありがとうございます。
まず、同じ高齢者の2割負担の部分です。ワーディングですが、「可能な限り広範囲で8割給付」とあります。この受け止めは人によって違うと思っていて、多くの方はほぼ全部と思っているかもしれませんが、見る人によっては、高齢者が無理と言ったらそこまでという感じにも聞こえなくはないので、例えば自民党の小委員会の表現でもあったような、あくまで1割は低所得者配慮であって、「2割以上負担が本則である」「2割以上が基本である」という言葉を少し足していただけるとよいかと思います。全世代型社会保障検討会議の議員の方、予算編成の方、ここは今年、頑張っていただきたいと思います。
次に、児童手当です。47ページ、まず世帯収入で判断するように変えるということは、もちろん公平感という意味で理解します。ただ、この制度変更は、本当に慎重に設計し、説明しないと、炎上の可能性があると思っています。というのは、これは事実上、片働き世帯に優しく、共働き世帯に厳しくなる変更なので、今の世の中の流れと少し逆行している部分がります。ですから、例えば「働き方や収入バランスの変化に配慮しつつ」などという単語を入れて、かつ制度設計も丁寧にやっていただきたいと思います。
特に、一部のSNSでは、もうこの部分で、女性の活躍というフレーズにだまされたとか、子供を産め、働けと言って、いざ頑張って働くと手当はなくなるのかというような声が既にあります。そうでなくても、女性は責任を持って働けと言ってこられたはずなのに、いざコロナになったら、一斉休校で、もう来週から即、子供が家に帰るから、言ってみれば母親が見ろというような態度に急に変わったと見えていて、共働き家庭にはすごく不満があります。また、いざテレワークになって、夫婦ともテレワークになったり、場合によっては夫のほうがテレワークで家にいる時間が多いのに、家事をろくにやってくれないという不満が、今、ワーキングマザー達の中で相当マグマとしてたまっています。そのマグマのところに、世帯収入で、共働きの児童手当を剝ぐということをぼんと投げ込みますと、少し危険な状態ではないかと思います。
少子化対策は非常に大事であるということと、女性が活躍しながら子育てもするることを支援するということ、そして、これからの方向もそうであるということを相当言いながらやらないと、施策の変更がアゲインストなメッセージに伝わってしまうと思います。財源が浮いた部分、もし浮くのであれば、これは別の子育て対策に充てるということもはっきり示しながら、丁寧に対応していただきたいと思います。
〔増田分科会長代理〕それでは、小林慶一郎委員、お願いします。
〔小林(慶)委員〕すみません、2つほどコメントをしたいと思います。
1つ目は、社会保障の前の、全体の総論の話に関わるのですが、三兎を追うということについて一言、言いたいと思います。先ほど起草委員の方々から、コロナ対策と経済回復と財政再建、この3つのバランスを取らなければいけないと。これは、もう全くそのとおりであると思うわけですが、いま一点、気をつけなければいけないと思うことは、その3つの要素が絡み合っているということであると思います。
どう絡み合っているかというと、やはりコロナ対策がうまくいかずに感染がこれから大きく拡大すると、結局、経済を止めなければいけない、経済回復もできないということになります。そうすると、大きな財政支出、春には60兆円も借金が増えたわけですが、そうした大規模な財政支出をまた増やさなければいけないので、これで財政再建もできないということになります。ですので、現状においては、コロナ対策がどうしても全体の基盤になってくるというところは、考えなければいけないことではないかと思います。
例えば、厚生労働省の公衆衛生の専門家、医系機関とか、医療の専門家の方々は、あまり経済や財政についてのコストを意識されていないのかもしれないと思います。コロナ対策で一番よいのは経済を止めることであるというような考え方が、公衆衛生の方々から出てくるわけです。むしろ厚生労働省よりも、財政のことを考えるともっとコロナ対策に注力をするという考え方が、財審、あるいは財政のほうから出てきてもよいのではないかということが1つ目。
2つ目のコメントは、これは少しテクニカルなことかもしれません。19ページのかかりつけ医のところですが、かかりつけ医の機能を強化するということが書かれています。コロナで混乱した医療とか、保健所に業務が集中したことを改善するためにも、やはりかかりつけ医が強くならなければいけないということはそのとおりであると思いますが、ここに一言「システマティックに強化する」と書いたらどうかと思います。その意味は、単に誰でもかかりつけ医になるわけではなくて、ある程度人材を訓練して、総合診療医として訓練を積まなければいけないという人材育成の話、それからゆくゆくは登録制にしていくというような、システマティックに患者さんをかかりつけ医がちゃんと分担する仕組みをつくる方向に持っていくという意味で、「システマティックな」という言葉を入れたらどうかと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、十河委員、お願いします。
〔十河委員〕ありがとうございます。
今回の秋の建議に関しましては、コロナ禍の現状を鑑みたとき、これから日本も第3波到来により例年とは違う深刻な状況になることが予想されます。そのため強く訴える箇所の表現については配慮が必要ではないかと思いました。
特に医療については、コロナ禍と直結しておりますので、大きく削るとか、すべきではないなど、強すぎる表現は国民の反感を買い、かえって進めにくくなるのではないかと懸念いたします。そこで17ページの29行からの箇所ですが、確かに給付は高齢者中心ですが、「まさに構造そのものである」と言い切ってしまうよりは、「まさに」を取って「構造と言わざるを得ない。」というような表現にとどめる。
また、神津委員の意見書にもありますように、例えば21ページの26行目「最大限実現する観点から、全品改定を実施すべきである。」という一文を今回は「実現するよう努めつつ、コロナ禍による影響も考慮しながら改定を実施すべきである。」というような流れにするなど、医療に関しては少しトーンを和らげてはいかがでしょうか。
それから表記と表現におきまして、読みやすさの観点からいくつか提案申し上げます。 まず26ページの1行目から6行目に「すべき」が3か所、さらに27ページの24行目から28行目に「おいて」が3か所、重複が気になります
また、33ページの15行目からは新型コロナに関わるボリュームある内容のため、見出しをつけて、ア)イ)ウ)としたほうが読みやすいと思いました。
さらに44ページ、不妊治療のところのア)からオ)も、読みやすさから黒ポツでまとめてしまってはいかがでしょうか。
最後に、概要につきまして。こちらは記者会見で配られると聞いておりますので、ぱっと見たときの読みやすさと、要点がわかる文字組みにし、総論や社会保障という重要な部分が目立つデザインにしてはと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、オンラインで参加の方を御指名します。堀委員と角委員から要望がありますので、初めに堀委員からお願いします。
〔堀委員〕時間もないので、テクニカルなところは別途メールをいたします。ここでは、2点のみ、お話をさせていただければと思っております。
まず、1点目はメッセージの発し方です。社会保障制度の改革は持続可能性を向上するというところですが、今回のポストコロナ対策としても非常に重要であるということを、どこかに一文入れたらよいのではないかと思っております。社会保障の持続可能性が低下するということは、現役世代や未来へのツケを残すことになります。今、コロナで収入減少や失業などで困窮しておりますが、社会保障制度の恩恵もあり、高齢者の収入ともいうべき年金等への影響は限定的なものとなっており、そこまで深刻な状態にはなっていません。後期高齢者の方にも現役世代と同様に、応分で負担していただくというのは、従前の課題でもありますが、単純に高齢者の負担を増やすというのではなく、高齢者の方にもこの国の社会保障を持続的なものにするために一緒に支えていただくということだと思います。つまり、ポストコロナを踏まえた上でも、非常に重要な視点であることを伝えられると良いのではないかと思いました。
もう1点は、「デジタル化」「デジタル化等」「デジタル化・DX」となっているところがあるのですが、医療における受診行動であるとか、効率化というところでは、単にデジタル化ではなく、恐らくやっている内容を見直すことも含めてDX化が必要であると思いますので、文言を「デジタル化」ではなく「デジタル化・DX化」としていただければよいのではないかと思います。細かいところは、追ってメールで連絡いたします。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、角委員、御発言をお願いします。
〔角委員〕よろしくお願いします。
32ページの生活保護受給者の国保等加入の検討です。これについては大賛成です。来年春にはマイナンバーカードと健康保険証が一体化されるということもありますので、これはぜひともお願いしたい。生活保護については、毎年医療扶助で約1兆円のお金が出ていっているわけです。過去にも何回か議論しましたが、私の意見としては、生活扶助を上げる代わりに、やはり生活保護者といえども受益者負担で、一定の負担は一旦していただく。その代わりに、生活保護受給者の方は、高額療養費制度をかなり低く設定するとかいう対策を取りながら、やはり公平に負担をするという方向でお願いしたいと思います。
高齢者の2割の問題については、もう時間がありませんので、確実に、強く書き込んでいただきたいと思います。
26ページの予防・健康づくりと医療費適正化の関係につきましては、ここに書かれていることはそうなのかも分かりませんが、また別の面から見ますと、例えば糖尿病は重症化することによって、非常に多額の医療費が発生するリスクはかなり高くなります。ここで書かれていることは正しいのかも分からないが、例えば予防で言えば子宮頸がんワクチンについて、7年前に、因果関係はないが、前後関係があるということで、(小学校6年生から高校1年生までの女子学生に3回投与するわけですが)投与したところ全身に痛みが発生するとかいう事象が出たケースがあって、各紙ともかなり反対キャンペーンが起きてしまいました。ただ、全世界的には、ほとんど何の問題もなくやられているわけです。
その後に、その反対キャンペーンを書かれた同じ新聞社がスウェーデンのエビデンスを紹介しておられまして、160万人ぐらいであったと思いますが、子宮頸がんワクチンを打つことによって88%の方が罹患を免れている。日本では、毎年、約1万人の方が罹患されて、そのうち3,000人の方がお亡くなりになる。残りの7,000人の方でも、子供が産めない体になってしまう方もたくさんおられるわけです。広い意味で言えば少子化対策にもなるわけですが、予防でも非常に効果的なことがあるわけなので、子宮頸がんについてはどこかに、来年度でも何でもよいですが、書いていただけたらという気がします。
それと、総論のときに少し手を挙げ忘れたのですが、7ページで「日本国債が比較的高い格付けを維持している」、これは少し言い過ぎではないでしょうか。日本がもう少しきちっとやっておれば、少なくとも韓国よりは上に行くべきではないかと思います。「財政健全化に関して目標をしっかり掲げながら、債務償還に対する真摯な姿勢を保ち」ということは少し言い過ぎではないのかという気がいたします。
それと、10ページからの2025年度のプライマリーバランス黒字化目標の達成、これは確かに今年の骨太方針には、よく読めば書かれていることではありますが、今の状況でこれが達成できると思っている人はまずおられないと思いますので、書きぶりをもう少し厳しくしていただければありがたい。以前から申し上げていることは、(関経連も含めまして)今すぐに今回のコロナ補正の償還について決めることはできないかも分かりませんが、将来的には、例えば財政規律基本法を設定して、数値化までは当面無理にしても、財政規律に対する規制をどこかで打ち出していただければありがたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕それでは、起草委員の方から御発言をお願いします。土居委員、どうぞお願いします。
〔土居委員〕委員の皆様から御意見いただきまして、誠にありがとうございました。
社会保障の15ページから順番に、いただいた御意見について申し上げたいと思います。基本的には、皆様からいただいた御意見をできるだけ反映するように、起草委員会の中で検討したいと思っております。
まず、十河委員から、全体として読みやすさについて、それから体裁について御指摘いただきまして、まさにプロフェッショナルからの御指摘ということで、そのとおりにしたいと思います。
15ページの3行目からのところで、伊達委員から御指摘がありました。DXなどの話は長くは書けませんが、頭出しとしてこの段落の中に書けるのではないかと思います。実際、29ページでは医療について、38ページでは介護について、御発言の御趣旨に沿うような内容が盛り込まれておりますので、頭出しでこの段落に何らかの文言を付け加えられるのではないかと思っております。
16ページの4行目、平野委員から消費税率についての御指摘はまさにそのとおりです。社会保障に関してというところなので、そのまま給付という話が続いていますが、何らかの人たちというか、あくまでも一里塚にすぎないことを何か書けるとよいかと思いながら、個人としては、最低でも昨年の建議を脚注で言及するぐらいまでは、できれば本文にということで検討します。
17ページの2行目に制度の持続可能性の言及がありますが、堀委員から御意見いただきまして、制度の持続可能性についての重要性、それから、その認識を国民と共有するということについては、この書き方で足りない部分があれば補足したいと思います。
十河委員から、17ページの最後の行についておっしゃっていた御意見は、確かにそのとおりで、あまりここで角を立ててもしようがないというところで修文の御意見いただきましたので、検討したいと思います。
18ページの16行目、進藤委員から現役世代の負担が多くなっているということについて御意見がありまして、一応、その旨は記されていて、これで足りなければ、もう少し文言を追加することが必要かどうか、少し引き取らせていただきたいと思います。
22行目の高額療養費制度ほか、権丈委員から御指摘があった点、まさにそのとおりですので、より達成度との関連性も含めて、もし必要な修文があれば検討したいと思います。
宮島委員から、18ページの最後の段落のところ、「可能な限り広範囲」という言葉はいろいろな意味を含んでいるのではないかという御意見があって、2割以上が本則という文言は、私としてはまさにそれぐらいのトーンで書きたいところですが、そこまで書き過ぎると、逆に寝た子を起こしてしまうという可能性がないかどうか、少し事務局とも相談しながら、この文言は検討したいと思います。
伊達委員から3割負担について御指摘があり、その御趣旨をできるだけ反映し、3割負担に関しての制度的なゆがみがより強調できるように書き直せればと思っております。
少し飛びまして、29ページに医療に関するデジタル化の話があって、ここのデジタル化だけではないですが、堀委員からDX化という表現がよいのではないかということは、確かにそのとおりですので、それも含めて該当箇所を修正したいと思います。
34ページ、医療機関の経営状態、経営状況という話で、佐藤委員から平時から経営状況を把握することが大事ではないかと。まさにそのとおりです。ただ、来年度予算に限ったところでその話が言えるかどうかは、今、御意見いただいたので、その御意見は踏まえますが、社会保障の会合では議論していなかったところがありますので、どこまで来年度予算と関連して書き込めるかを検討したいと思います。念のため、介護は議論の俎上にのったところでございますので、その点については既に36ページ辺りに記しているところです。
39ページの16行目の辺りで、田中委員から、貸与でなく販売というところは少し強過ぎるのではないかという御意見がありました。一応、「要介護度に関係なく給付対象となっている品目について」という具体的な例を挙げるところでとどめている。一般論的に全部販売であるということまで申しているわけではないということですが、もし言葉が足りていないということであれば、そこは意を尽くせるように検討したいと思います。恐らくは、そのほうが利用者のためになるというニュアンスが出ると言った文言が要るのではないかということかと私は受け止めておりますので、その方向で検討したいと思います。
角委員からは、44ページの不妊治療に関連して、子宮頸がんについて詳細に御意見いただきまして、ありがとうございます。ファクトとしてはそのとおりであると思います。ただ、それが来年度予算との関連で、どこまで子宮頸がんの話を書いて、角委員がおっしゃっている意図が厚労省などに伝わるかというところは、事務局とも相談したいと思います。
45ページの17行目、「他の取組の進捗状況」ということで、権丈委員から御質問いただいております。ここで意図しているものは、男性の育児休業について、産後8週間以内に限らず、分割して複数回取得できるようにするという制度改正があったことを全部書くと少し長くなるので、「他の取組」にしてしまっているということでございます。
児童手当については、宮島委員から角が立つ書き方になっているのでないかという御指摘をいただきました。おっしゃるとおり、変に炎上させたいと思っているわけではないということでございます。ただ、原則論として高所得者にまで現金給付を出すことがこの世の中として果たしてよいのだろうかという問題意識は持っております。働き方との関連ということは、当然、より多く働けば、より所得が増えて、高所得者になるという関係がある点は、女性の働き方との関係できちんと、角が立たないように配慮しなければならないと思いますので、できるだけ賛意を抱いていただけるように修文したいと思います。
〔宮島委員〕そこは、どちらかというと世帯合算の話です。額ではない。
〔土居委員〕もちろんそうです。ですから、そういう意味で、世帯合算でありながら、でも高所得ということなので、高所得者であることと共働きとの関係を誤解されないように文章を考えたいと思います。
48ページ、8行目から11行目辺りに、横田委員と進藤委員から御意見をいただきました。横田委員の、中小企業の方々の労働移動が含められるような文言に改められればということは、まさにおっしゃるとおりですので、そこは含み込めるような文言に書き換えたいと思います。
進藤委員から御指摘いただいた特例措置、ここも結構、起草委員の中で意見が分かれました。分かれましたというか、最初、もう少し強かったのですが、強く書き過ぎているのではないかということで、トーンを柔軟に読めるような文言にしたのですが、それでもまだ強いという御意見であったかと思います。できるだけ早期に、段階的に縮減、いきなりやめるということを申しているわけではないというニュアンスであるというところで、何とか御理解いただきたい。いきなり半減とか、範囲を狭めてしまうということでなくて、緩やかにということも含められているが、判断に遅滞なくという意味で早期にという言葉が入っている。つまり、条件を満たせば遅滞なくというようなニュアンスです。早期にと言うと、来年の1月からというニュアンスでは必ずしもないですが、文言に誤解があってはいけませんので検討したいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、中空委員。意見を入れるところはもう飛ばしていただいて結構ですので、特におっしゃりたいところを。
〔中空委員〕心して時間を使いたいと思います。
角委員から言われた日本国債のところです。実は、日本国債のところは相当悩んだのですが、ここにいらっしゃる皆様は、日本はトリプルAの状態であると信じておられる方が多いと思います。しかしながら、真実はシングルAで、しかもGDP対比で見た財政赤字とか、債務残高が非常に大きくなっていることを考えると、シングルAでも高いぐらいであるという見方が世界からはされている部分があります。それから、ここから先、人口も減っていくことも勘案すると、それに対する解決策がない中、この格付を維持できるかどうかも相当程度難しいということまで勘案すると、言い方としては、日本国債はまだまだましな高い格付ですよねということをニュアンスとして盛り込みたかった。なので、比較的高い格付ということで真意を酌み取っていただければと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、武田委員、どうぞお願いします。
〔武田委員〕ありがとうございます。
先ほど、小林(慶)委員から、三兎を追うについてのコメントをいただきました。コロナ対策がその後の経済回復や財政健全化に強く関係しているということはおっしゃるとおりで重要なご指摘と考えます。ただ、それも一方向の関係ではなく、財政への信認をしっかり維持しなければ、コロナ対応の継続に支障をきたしかねないほか、国としては他の有事への備え、コロナと同時に震災などが起きる可能性も念頭に置いておかなければなりません。また、本日、多くの委員から出ましたとおり、DXやグリーン投資など生産性を高めるための取組も行わなければ、ビルドバックベターは絵に描いた餅になり、結果的に経済力、財政余地も弱まり持続的なコロナ対策を難しくするということで、それぞれが相互に関係している点を一言、検討できればと思います。起草委員の皆様とも御相談して、検討したいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、次のパートに移りたいと思います。地方財政、文教・科学技術、社会資本整備の3分野です。該当ページは、49ページから78ページ、ここまでとなります。冒頭、30分程度と申し上げましたが、少し押しているので、少しというか、大分押していますので、その辺り少し御配慮いただきたいと思います。
それでは、御発言ある方、合図をお願いしたいと思います。初めに、佐藤委員からお願いします。
〔佐藤委員〕ありがとうございます。
まず、51ページ、地方財政計画についてですが、やはり地方財政計画で計上された支出項目が具体的にどのように交付税の基準財政需要に反映されているのか。今は、基準財政需要の財源保障と、地方財政計画がちゃんとつながっていなくて、何かマーブルケーキ的な財源保障になっているのです。その両者を完全に関連づけないと、PDCAサイクルは回らないということであると思いますので、基準財政需要と地方財政計画のリンク、その見える化を進めてもらうということは一つあってよいと思います。
54ページ、55ページですが、今後、地方公共団体の情報システムの標準化、あるいはデジタル化を進めるに当たって、全体としてどれくらいの経費がかかるのかは、どこかで見積もったほうが良いと思うのです。必要であれば、それを地方財政計画に反映させるべきであって、枠計上とか、地方単独事業とかの中で込み込みでやられると、本来、こちらが意図したような標準化が進まない、デジタル化が進まないということもあるかと思います。
また、やはり現場においてなかなか標準化が進まないのは、それぞれみんな自分で好きなように、ガラパゴス的に業務が進化してきたこともあるのですが、それ以外にも、例えば地方公共団体のシステムに一貫性がない、システムの中で分断があるとか、個人情報保護条例などでかなり情報の共有、データの共有が難しくなっているといった実態もあるので、ボトルネックは何なのかをどこかで検証する必要があるかと思いました。
少し飛んで62ページになりますが、GIGAスクールについて一言、前も言いましたが、タブレットの調達を自治体に任せていると、いつまでたっても進まないので、これをどこかで一元的にやるのも一つの選択肢かと。
それから、学校施設の複合化ということは、もうずっと言われている割には全然進まないのです。これは、実は空き教室の実態を自治体が把握していないという問題と、やはり学校長が施設管理責任者なので、責任を負いたくないということがあってなかなか進まない。ここも、やはりボトルネックの検証はあってしかるべきかと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、宇南山委員、お願いします。
〔宇南山委員〕科学技術、64ページから65ページの部分です。日本の科学技術の研究の生産性の低さを指摘した部分ですが、研究の硬直性というところは示されているエビデンスとの関係が若干不明確であると思います。国際的に注目を集める科学領域に日本の研究者が参画していないという部分についてですが、これが新興・融合領域の研究への対応が不十分と理解するのは必ずしも正しくないと思います。国際的に注目を集める研究領域が、例えば医学の範囲の中で収まっている、もしくは物理学の範囲で収まっているという可能性も十分あるわけで、ここのエビデンスがしっかりしていないと、その後の議論がおかしくなるかと思います。
さらに、応募課題数と経費別に配分額が決まる仕組みは固定化させる一因となっていると書いてありますが、これはむしろ柔軟に対応する上で重要な役割を果たしていて、つまり注目を集める研究領域ができて、そこにみんなが参入すれば柔軟に配分額が増えていくわけですので、ここを変えることで本当に柔軟な研究活動につながるのか疑問です。
最終的には、研究領域そのものに関して、何か行政側から強制的に変化させることが良いのかどうかについては疑問があって、ここは硬直性ではなくて機動性ということであれば理解できますので、硬直性という言葉と科研費制度に対する理解について少し御確認いただければと思います。
もう1点だけ、産学連携の弱さについて書かれている部分、68ページです。ここは文教の一部なので、大学側の事情が書かれているのですが、産学連携が進まない一つの理由は、企業側が広くノウハウを公開されてしまうような大学とはやりにくいという側面もあると思うので、企業側についても少し書いていただけると深みが出るかと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、横田委員、お願いします。
〔横田委員〕ありがとうございます。
義務教育のICT化の点で、61ページのところです。GIGAスクール構想の肝は、要はデジタル教材を設けるだけではなくて、教員の在り方もセットで変わっていかなければいけないところで、参考資料の中ではティーチングからコーチングへと書かれていたと思うのですが、本編の中にもツールと教材と教師の在り方とセットで変わっていくことを盛り込んだほうが良いのではないかと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、平野委員、お願いします。
〔平野委員〕1点だけ、54ページから55ページにあります地方公共団体のDXに関して申し上げます。2点です。
まず1つは、情報システムの統一、標準化を進めていく上で重要なのは、業務プロセス自体の標準化ですが、標準化に先立って、そもそも余分な業務であるとか、余分なプロセスをそぎ落とすということは重要ですし、定番的な対応です。それが1つ。もう1つは、統一・標準化に加えて、システムの基礎的なレイヤーは、国と地方を問わず一体化すべきと思います。そうした観点からの文言が、54ページの中段のどこかに加えられないか。すなわち、1,700ある地方自治体と国のシステムを基本的に1つにしてしまえば、その上に必要なアプリケーションを載せていくという構造にすれば、劇的にコストは下がると思います。
2点目、そういうことなので、ここは国の3割削減に比べて、本来はもっと、より劇的に費用は下がるはずです。ただ、55ページの2行目から4行目にかけての書きぶりを見ると、国の3割削減に地方の削減幅が満たなくてもよいのではないかのように読めますので、そこを修文していただいてはどうか。すなわち、一体化を進めれば、さらに大幅な費用削減の効果が見られるはずということです。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、神津委員、お願いします。
〔神津委員〕文教の義務教育関係について、一言、申し述べたいと思います。
コロナの問題で日本社会の弱いところが露呈をしてしまっているわけですが、そうした中で、我が国において既に顕在化をしていました経済状況による教育機会の不均衡、貧困の連鎖を、これ以上、広げてはならないと思います。そのための体制整備という観点で、2つ申し上げたいと思います。
まず1点目は、少人数学級の実現に向けた教職員の定数改善です。教員が一人一人の子供と向き合う時間を確保し、きめ細かな教育を行うためには、少人数学級制が不可欠であると思います。文部科学省による2015年度の全国学力・学習状況調査を見ても、学級規模が小さいほど学習規律、授業態度がよく、また、授業内容、学習意欲は高まる傾向にあるということは明らかです。現状を見ますと、とりわけ都市部を中心に40人程度の学級も多く、特別支援学級との交流時には45人程度となっています。感染症対策の観点からも、少人数は直ちに取り組むべき課題であると思います。少なくとも30人学級を早急に実現するために、教員の定数増をはじめとした環境整備が必要であると思います。
2つ目は、事務職員の定数改善や、外部人材の活用が必要であるという点です。ほかの先進国と比べて、日本においては様々な業務の負担が際立って大きく、加えて、部活動が大きな負担たなっています。過労死、過労自殺を根絶する働き方改革の観点も併せて、教職員の定数の改正に加えて、ICT支援員、あるいは部活動における外部人材の活用、スクールスタッフなどの拡充が必要であると思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、大槻委員、お願いします。
〔大槻委員〕ありがとうございます。
同じく文教のところで、61、62ページ目ぐらいですが、一貫して質の確保と未来志向ということで、冒頭にも書いていただいているとおりであると思うのですが、④教育のICT化のところは少し弱い気がいたしまして、そこをもう少し強調していただけないかと思った次第です。具体的には、ICTは確かに効率化ということではあるのですが、あとは教員の業務の削減ということですが、これがひいては質の向上に結びつく、要は教員に時間的な余裕ができることによって、遅れている子供たちとか、進み過ぎている子供たちに個別最適化の教育を与えることができるという、質に資するということをここに入れていただければと思ったということが1点です。
また、1点、64ページ目のポストコロナ時代の大学教育についてです。これは言い回しだけの問題ではありますが、ここだけ「ポストコロナ時代」になっていて、それ以外のところはほぼ「ウィズコロナ・ポストコロナ」となっておりますので、もしかしたら「ウィズコロナ」も入れておいたほうが一貫性があるかと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕オンラインで参加の赤井委員から希望があります。お願いします。
〔赤井委員〕簡単に1つだけ。地方財政も、社会資本整備のところも丁寧に書いていただいているのでよいと思うのですが、少し初めの総論のところでも言いましたが、今回、やはり地方公共団体にも協力していただかないと、コロナの危機というか、コロナが収まるまで大変なことになりますので、地方財政の冒頭のところに、再度、総論で、国が目指しているような意識を共有して、地方公共団体も気を引き締めて頑張ってほしいというようなことを書き入れてもよいかと、全体を見て少し思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
少し急ぎましたので、もし追加であれば、ペーパーで明日までにお願いしたいと思います。
それでは、起草委員からお願いしたいと思います。冨田委員、どうぞお願いします。
〔冨田委員〕最初に、今、赤井委員が御指摘になった点、検討します。他の項目と平仄を合わせる表現で検討したいと思います。
佐藤委員から御指摘の地方財政計画の適正化のところで、PDCAサイクルを回していくためには基準財政需要をどうするかも組み込む必要があることは、まさに政府全体でPDCAを完結するには必要なわけですが、ここでは、そこに至るプロセスとして地方財政計画における計画と決算の乖離、これは毎年、少しずつ実証が進んでまいりまして、それを通じて、今、御指摘のあった基準財政需要の在り方も、計測も含めたものに、次第にそうした輪ができていくものと考えております。ここは、我慢強くと申しますか、ステップを踏みながら進めていきたいということで、このような書き方になっております。
そして、平野委員が御指摘になりました情報システムの標準化というところです。ここでは、骨太に本年度末までに計画を具体的に示すことになるということが書いてありまして、業務の標準化を全ての公共団体で同じようにやっていけるかどうかという検討も、そうしたことを踏まえてからなのであろうということで、このような書き方にしております。
それから、3割削減ですが、やはり骨太で、財源面を含め国が主導的な支援を行うとしていますので、そこにおける予算制約といたしまして、やはり3割ということが1つの妥当な予算制約の在り方であろうということで示しております。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございます。
それでは、中空委員、どうぞ。
〔中空委員〕ありがとうございます。
時間もないので、お一人お一人にいただいた御意見に対して反応することは差し控えまして、言われたことをそのまま直すということも含めまして、対応したいと思います。
ただ、幾つか申し上げておきたい点がございます。1つは、これは私の無理解でもあり、教えていただきたい点でもあるのですが、宇南山委員から科学技術のところについて、少しエビデンスと違うのではないかという御説明があったと思います。私たちがこの建議のときに話し合ったことはあの表に基づいた話なので、もし、こちらのほうが正しいことを言っているというようなエビデンスがおありになるのであれば、何か示していただければと思います。それに基づいて、硬直性なのか、機動性なのかという文言については選択をしたいと思います。ということで、そこは御協力をお願いしたい。
また、68ページで、産学連携のところで企業側の話もすべきではないかという御指摘がありました。私、民間の人として、この建議を読んでいると、何か難しくなってくると、はい、民間も頑張ってのようなところについ来てしまうような気がしています。年金にしても、何にしてもそうであるという気がしているので、ここも難しくなってくると、はい、企業側の問題もあるよねということはどうかという気もします。ただ、企業側も載せないと、そちらの問題もあるよねという指摘はもっともであると思いますので、そこら辺は指摘していかなければいけないと考えました。
神津委員から御指摘のあった少人数学級のことについてですが、先生のほうでもこれから先、増えそうにないとか、少人数学級も必ずしも学力に結びついていないというデータが、今年、出たと思います。なので、少人数学級がすばらしいというところから少し、こういう違う見方もあるよねということを今回の建議は言っていたと思いますので、それに即した文言になっています。ただ、御指摘いただいた点はありますので、もう1回討議したいと思っていますが、今年に関してはトーンが少人数のところから少し変わっているということは、お含みおきいただきたいということでございます。
とりあえず、以上です。ありがとうございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、このパートは以上とします。
続いて、最後のパートですが、農林水産から一番最後の防衛まで、まとめて行います。該当ページは79ページから101ページまでということになります。もう予定時間を過ぎておりますので、ペーパーでの意見の御提出も含めて簡潔にお願いしたいと思います。
それでは、神津委員、どうぞお願いします。
〔神津委員〕中小企業に関して、一言だけ申し述べたいと思います。
中小企業の生産性向上を図る上で、真のデジタル化・DXに資するものとして、人材確保、育成を含めた取組が不可欠であると思います。コロナ禍以前から構造的に生じている我が国の人口減少、デフレの状況を踏まえますと、より生産性が高く、賃金が相対的に高い優良企業に収れんさせていく、そうしたことに目を向けていく必要があります。適切な形での中小企業の再編が価格の上昇につながり、経済の好循環を生み出すことにつながると考えます。そのためには、国がしっかりとした雇用と生活保障のセーフティーネットを担保した上で、責任を持って導いていく必要があると思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、広瀬委員、お願いします。
〔広瀬委員〕少し戻ってしまうのですが、全体的なスタンスについて一言、申し上げたいと思います。
今、世の中は、感染拡大防止と社会経済活動の両立ということで、それに加えて財政健全化という、まさに財審の財審たるゆえんであると思うのですが、先ほどからいろいろな議論が出ていまして、今回、コロナでいろいろな問題、いろいろな実態、それから立場が出て、非常に複雑になっているのですが、私は、やはり財政健全化をミッションとする財審としては、そうしたスタンスを少し維持、堅持していただいてもよいのではないかと思います。もちろん、財審が冷たいとか、そういう誤解は表現などで少しカバーしていただきたいと思いますが、先ほど土居委員がおっしゃったとおり、財審すらということになってしまうのも非常に怖いことです。ぜひ、いろいろな立場があると思いますが、そのミッションを大事にしていただきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、遠藤委員、どうぞお願いします。
〔遠藤委員〕3つの分野で、少しずつございます。
まず、エネルギー・環境のですが、これまで財審の議論の中では、受益者負担で補えるものというか、受益者負担であるべきものは、そのスタンスでやってきたと思うのですが、今年の建議は、結構、財政負担をしろというような、どちらかというと押しぎみな感じが非常にしております。例えば、86ページの12行目から「予算措置」「総動員」とつながっていきますし、87ページでいけば、8行目の「公的資金に加えて、民間資金」という表記になっています。もちろん、首相の発言、2050年カーボンニュートラルもあるのですが、基本的には受益者負担というスタンスは維持していくべきではないかと思っております。
細かい言葉ですが、86ページの6行目の後ろから「技術面での革新的なイノベーション」とあるのですが、「技術革新やイノベーション、経済社会構造」と続けていくほうがスマートであると思います。また、12行目の予算措置のところが行き過ぎであるとすると「規制的手法やイノベーションの支援策」、省エネ対策に予算措置は必要なのかということがございますので、表記の御検討をお願いしたいと思います。
次に、外交です。総論の90ページの1行目「新型コロナの拡大に伴い、一国主義・反グローバル化の傾向」とあるのですが、これは別に新型コロナがもたらしたものではないので、ここはもう「近年、」として、その後にコロナの話が出てきているので、外務省の基本方針につながっていくのではないかと思います。
防衛についてです。96ページの24行目、25行目、26行目、27行目の辺り、宇宙・サイバー・電磁波が不確実性を増す安全保障環境にということはそのとおりであると思いますが、これは非常に長きにわたって技術開発をしていかなくてはならない領域なので、不確実性を増す安全保障環境のために機動性を結構押しておられると。財政の機動性というよりも、どちらかといえば長期的な安定性のほうが予算の編成には実は求められると思っております。そこでは新規後年度負担の抑制とあるのですが、少しこれは意見的な表明になりますが、サイバー・宇宙・電磁波のところは、機動的に予算をやりくりするというよりも、長期的に科学技術に対して投資を行うことの大切さが、近年はよく議論される内容ではないかと思っておりますので、申し上げたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、末澤委員、お願いします。
〔末澤委員〕ありがとうございます。
本日は、人数も多いですし、時間も限られていますので、私は冒頭部分と末尾部分についてコメントしたいと思っております。
防衛の最後、101ページの7行目からです。ここが今回の建議の最終文になるのですが、「上記のほか、防衛省では、陸上自衛隊の富士総合火力演習など、根強い人気のある行事を行っている。各行事の性質・効果も踏まえつつ、例えば、こうした行事の一部座席を有料化するなど、一定の収入確保につなげる工夫を行うべきである。」、これは賛成でありまして、私は総火演にはお伺いしたことがありますし、下にあります自衛隊音楽まつり、こちらは武道館でやっています。ただ、冒頭で新型コロナの感染の問題をやっていますから、仮にこの文章を残すのであれば、「例えば、」の後「新型コロナの感染収束後には」ないしは「新型コロナの感染拡大防止策に留意しつつ」とか、こういう一文を少し入れておかないと、初めと最後を見た人は、少しアンバランスが大き過ぎるのではないかと思います。
〔増田分科会長代理〕それでは、平野委員、どうぞ。
〔平野委員〕86ページのエネルギー・環境に関してです。これから申し上げることは、先ほど遠藤委員がおっしゃったことへの反論のように聞こえると思いますし、失礼があればお許しいただきたいのですが、今回、菅政権が2050年カーボンニュートラルを打ち出したということはコペルニクス的な転回なのです。前回、進藤委員もおっしゃいましたが、このままではできないのです。それをあえてやらなければいけないという、極めて高い国家的な目標を彼は出したわけです。これは、ただの思いつきではなくて、ヨーロッパを中心に進んできたグリーン化の動き、金融を含めて、これは社会のあらゆる分野で進んできた。アメリカも、今回、バイデン政権が成立すると、2兆ドルに及ぶ4年間の環境関連インフラへの支出が決まる。すなわち、国際的な競争場裏に日本も置かれているという認識を強く持つべきであると思います。そう考えると、今回の各論の議論のときもそうでしたが、ここが薄過ぎる。もちろん、財政健全化は重要です。私もかねてから唱えてはいるが、ただ、やはり長期的に考えると、ここはやり遂げないといけない。つまり、成長戦略として、日本の経済を再興させるためにここに投資するということは明確に言ったほうが良いと、私は思っています。したがって、ここの書きぶりが少し淡泊ではないか。
それから、先ほど遠藤委員からは、支援策をパッケージとして総動員するなどということは、あまりしないほうが良いのではないかという話がありましたが、ここはむしろやるべきであって、また、そこに向けたイノベーションをまさに促す政策と財政上の措置をより具体的に書き込むべきではないかと思います。成長戦略として書くと、これが将来的には財政の健全化にもつながるという文脈です。先週の新聞報道では、具体的に税制措置であるとか、研究開発支援の基金の設置などが報じられていますが、そうした施策を例示的にでも良いので、掲げることはできないかということが私の意見です。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、進藤委員、どうぞ。
〔進藤委員〕今、平野委員が言ってくれたのですが、私も大体同じ意見です。86ページの9行目ぐらいまで、カーボンニュートラルを表明したのでイノベーションが必要で、具体的な方向性を早期に示す必要がある、ここまではよいのですが、その後、省エネ政策の推進に当たっての規制的手法とくるので、何を言っているのかなという感じがあります。
この前もお話ししましたが、もうこれはインクリメンタリズムでは駄目です。非連続なイノベーションが不可欠であるということを政府として宣言したわけですので、この創出に向けた新しいリソースを投入していくという姿勢を示す必要があります。ただし、今はまだエネルギー基本計画も何もないので、財審だけが先走るわけにはいかないということは理解できます。最後に財布のひもを締めるのが財審ではないのかという議論もあり、具体的にどのように言うかはなかなか難しいのですが、しかし、そうは言っても、先ほど平野委員も言われたように、そうした動きが始まっているということについて、これから想定される相当な規模の財政への要請に対して、真摯な検討をしないといけないという示唆を何か表現できないかということです。
〔増田分科会長代理〕それでは、村岡委員、どうぞお願いします。
〔村岡委員〕私から、1点だけ申し上げたいと思います。
94ページの情報システムです。菅政権の看板政策ですが、1ページと3行ということで、ほかと比べると取扱いが少し薄めかなという感じを最初に受けました。現時点では、予算の観点から言及することはやりにくい、しづらいとは思いますが、やはり先ほどからずっと出ております様々な、全編を通じましてDXとか、情報システムの標準化等々の話が出まして、やはりポストコロナの非常に大きなポイントになっていくのであろうと思います。
この文章を読んでいますと、10行目に「デジタル人材の確保も課題」と書いてありまして、実はこれがうまくいくかどうかの鍵になるに違いないと思っています。様々な困難を乗り越えるために、菅政権はデジタル庁をつくると言っていますので、やはり優秀な人材をどう確保できるかであると思います。
ただ、この手の人材は特にそうですが、非常に高給取りでありまして、満足する給料を与えるのは財政的にも、制度的にもほぼ不可能であると思います。そうすると、金以外の魅力をどう示すかという必要がありまして、デジタル庁に在籍した経験がキャリアアップにつながるということか、特にデジタル庁のトップ、あるいはプロジェクトリーダーの人事は非常に重要になってくると思います。この人と一緒に働いた、この人の下で働いたということが、その人の経験に非常にプラスになって、その元が取れるという組織にしないと、これは機能しない。機能しないということは、DXも、情報システムの標準化も遅々として進まないか、不細工なものになる。そのようなことを、最後の3行を少し工夫して入れていただけないかということでございます。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、佐藤委員、お願いします。
〔佐藤委員〕ありがとうございます。
昨日、行政事業レビューをやったので、2点、エネルギーと中小企業について1つずつ。
まず、エネルギーですが、今、省エネ補助金があります。現行の水準に比べて5%省エネすればお金をあげるという仕組みになっていますし、大企業も対象であったりするので、少し追い銭感があるのです。なので、もし補助金を給付するのであれば、ベストプラクティス、最先端の省エネ技術に投資した場合に限るとか、かなり重点化しないといけない気がしましたということが1つ。
中小企業ですが、まず一般論になりますが、ウィズコロナにおいて、コロナ対策としていろいろな支援があるのはいいのですが、実はワンストップ化されていないので、しかも支援要件が違ったりしますので、これは手続を煩雑にするという面も否めないということがあります。デジタル化は、実はワンストップとエンド・トゥ・エンドが大きな特徴ですので、支援をするのはよいのですが、手続の簡素化はあってよいかなということ。
それから、今回の建議に載らないのかもしれませんが、昨日の行政事業レビューで大きな問題意識を持ったのは、88ページの16行目「予算面でも」というところのです。この予算には2つの予算があって、1つは当初予算と補正予算です。実は、中小企業庁の予算は当初は1,100億円です。だけど、ものづくり補助金には、毎年1,000億円ぐらいの補正予算がこれまでついてきたという経緯がある。令和元年度から一部が当初予算に回りましたが、実は補正予算で結構面倒を見ている面があるので、当初予算だけコントロールしても中小企業の全体像が見えないという点が1つ。
もう1つは、我々、専門用語でタックスエクスペンディチャーといいますが、実は減税自体が、例えば中小企業に対する減税措置自体が1つの支出です。なので、我々、中小企業に対する支援の全体像を本当につかんでいるのかということ。それから、昨日、別の議論があったのですが、そもそも中小企業の数であるとか、実態を十分把握しているのかという問題もあるので、特に財政面で言えば、我々、減税措置も含めて、中小企業にどれくらいの支援を財政的にやっているかということについては、どこかで把握しておいたほうが良いかと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕オンラインで参加している上村委員、御発言、お願いします。
〔上村委員〕79ページです。一昨日、行政事業レビューで取り上げた農林水産業です。こちら、農林水産物の食品の輸出額を5兆円にするという目標が書かれていますが、昨年1兆円弱を、10年後5倍以上にするということなので、かなり野心的な目標になっています。注意したいことは、この目標を達成したいがために、海外に安売りするようなことがあってならないということです。閣議決定していますので、なかなか表現は難しいかもしれませんが、輸出拡大は農業の収益性、生産性、雇用の向上を伴うものでなければならないということを、念を押しておくことが大切であると思います。
輸出目標に関わる事業の複数のレビューシートを全て見ましたが、ほとんどの事業が収益性や生産性に関するアウトカム指標を持っていません。79ページの10行目に「日本農業の収益性・生産性の向上へ向けて踏み出していかなければならない。」と書いていますが、ここはやはり「アウトカム指標を定め」という文言も入れていただけたらと思います。
82ページの30行目に「輸出5兆円目標の達成に向けて重要である。」と書いていますが、ここも「農業の収益性や生産性の向上に向けて重要である。」という表現に変えていただければと思います。
よろしくお願いします。
〔増田分科会長代理〕それでは、このパートも以上としますので、起草委員の方からお願いします。小林(毅)委員、どうぞお願いします。
〔小林(毅)委員〕ありがとうございます。
今、御指摘のありました農林水産のアウトカム指標については、そうした方向で検討したいと思います。もう1点のほうは、全体のバランスを取りながら考えさせてください。
外交の部分で、冒頭の「新型コロナの拡大に伴い」のくだりです。一国主義・反グローバル化の傾向が始まったのは確かに新型コロナの拡大ではなく、その前からあるのですが、今回のコロナのときにそれがさらに加速したというか、強くなったという声は否めないと思いますので、その辺りも踏まえた上で修文を検討させてください。
それから、情報システムです。村岡委員からお話がありました。今回、目玉の話なのに短いではないかということは、まさにそのとおりですが、実は各章、各分野にまたがってデジタルの話がいろいろと書いてございます。では、そうしたものをここに集約して書くのかというのもなかなか悩ましいところでありまして、ここではまさに情報システムの話に絞って、システム予算ということに絞って書きました。また、デジタル庁の方向性がもう一つはっきりしていないところもあります。来年以降、デジタル庁の話が固まってきて、どういうことをやるのかということが出てくれば、ここの分野になるのか、あるいは、また別にもう1つ分野ができるのかということも検討したいと思います。
ただ、お話にありましたデジタル人材確保の部分、後の防衛のところにも出てきますが、これは最大の問題ですので、少し検討します。
以上です。
〔増田分科会長代理〕中空委員、どうぞ。
〔中空委員〕ありがとうございます。
私のほうからは、まずエネルギー・環境です。実は、このページ、非常に短く見えるかもしれないですが、本当は最初、半分ぐらいしかなかったのです。そこを、地球温暖化などはやはり話題であり、ここを入れないわけにいかないということで、これでも相当程度増やしたということが現状です。増やしただけではなくて、いろいろな議論があります。日本が2050年カーボンニュートラルに行くのに当たって欧州に倣いましょうと。私の所属する会社は欧州の金融機関ですので書き増すことは可能ですが、どこまで書けばいいのかは若干悩むところです。そして、財政制度等審議会で審議したことがあったかを考えて、そことのバランスを取って、今の時点ではこのぐらいに収まっています。
なので、今日、いただきました御意見、遠藤委員から御指摘を受けた受益者負担も決してなくなったわけではないので、何でもかんでもここに行くということではあるとは思っていませんが、受益者負担についても考えながら、だけど、やる気なのであると、誰が前のめりになっていなくても、少なくとも財審は必要であると思っていますということが伝わるように考えたいと思います。そこは御理解いただきたい。
「7.中小企業」についてですが、今日、幾つかいただいた御指摘、検討したいと思います。昨日、行政事業レビュー、佐藤委員とご一緒しましたが、そうした観点であの辺も入れたいと思いますが、ここで話していないことをどこまで入れるかという同じ問題を抱えております。脚注に入れてみるとか、少し補足するような形で補いたいと思いますので、御理解いただきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕冨田委員、どうぞお願いします。
〔冨田委員〕遠藤委員から御指摘をいただきました宇宙・サイバーのところです。ここで最も言いたいことは、新規後年度負担を抑制して防衛予算の硬直化を防ごうということです。実は、サイバーのところは、周辺国が急速に利用を拡大している、それに対して我が国は対応しなくてよいのかという問題意識があったので、機動的にという言葉を入れてしまったのです。御指摘のように、計画的に整備していく必要があるところなので、少し文言を検討します。
末澤委員、本建議の最後の箇所、御指摘ありがとうございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、このパートもここまでとします。
以上で、本日の議題は終了といたします。追加の御意見等がございましたら、可能であれば本日中、遅くとも明日17日17時までに、事務局に任意の形でメール等にて提出をいただきたいと思います。
次回は、11月25日、水曜日、午前10時から会議を開催し、同日中に大臣に建議を手交したいと考えております。
注意点を少し申し上げます。建議の内容や修文につきましては、委員間の率直な意見の交換、審議、ひいては建議の中立性が損なわれるおそれがあるということで、従来、議事録の公開によるほかは公にしておりません。そのため、次回とりまとめに向け、建議の内容、及び審議の途中経過について対外的にはお話にならないよう、委員の皆様の協力をお願い申し上げます。
また、建議とりまとめの日程、先ほど申し上げました11月25日という点も対外的にお話しにならないよう、お願いを申し上げます。
さらに、もう1点ですが、本日お手元に配付しております建議(案)につきましては、会議後、回収とさせていただきますので、お持ち帰りにならず、机の上にお残しいただきますようにお願いいたします。
時間を大分超過して申し訳ございませんでした。本日は、これにて閉会いたします。ありがとうございました。
午前11時55分閉会