財政制度等審議会財政制度分科会
議事録
財政制度等審議会財政制度分科会議事次第
令和2年10月1日(木)14:00~16:00
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)
1.開会
2.議題
財政総論
麻生財務大臣とのフリーディスカッション
3.閉会
分科会長 | 榊原定征 | 麻生財務大臣 伊藤副大臣 中西副大臣 船橋大臣政務官 元榮大臣政務官 太田事務次官 矢野主計局長 角田次長 宇波次長 青木次長 中山総務課長 日室司計課長 森田法規課長 高田給与共済課長 有利調査課長 中島主計官 大久保主計官 飯塚主計官 渡邉主計官 関主計官 岩佐主計官 一松主計官 坂口主計官 波戸本主計官 藤﨑主計官 渡辺主計官 山川主計企画官 井上主計企画官 | ||
分科会長代理 | 増田寛也 | |||
委員 | 遠藤典子 大槻奈那 黒川行治 佐藤主光 十河ひろ美 武田洋子 中空麻奈 藤谷武史 宮島香澄 | |||
臨時委員 | 秋池玲子 上村敏之 宇南山卓 葛西敬之 河村小百合 喜多恒雄 木村旬 権丈英子 小林慶一郎 小林毅 進藤孝生 末澤豪謙 竹中ナミ 田近栄治 伊達美和子 田中里沙 土居丈朗 冨田俊基 冨山和彦 平野信行 広瀬道明 堀真奈美 神子田章博 村岡彰敏 横田響子 吉川洋 |
午後2時00分開会
〔増田分科会長代理〕それでは、時間が参りましたので、ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。
皆様には、御多用中のところ御出席をいただきまして、ありがとうございます。
前回に引き続きまして、本日の分科会も、新型コロナウイルス対策のために、このようにリアルと、それからウェブでの参加と両立ての開催となってございます。
また、密を避けるという観点から、各主計官はテレビ会議システムを通じての参加となっております。
会場の進行につきましては、マスク越し、それからウェブ越しの開催となりますので、御発言の際は、明瞭に伝わりますよう、できるだけマイクに近づいて御発言をいただきますようお願い申し上げます。
資料につきましても、従来、タブレットでございましたが、紙配付にいたしました。これも、新型コロナウイルス感染症防止ということでございます。それから、今回からアクリル板が設置されましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、財政総論を議題としておりますが、後ほど麻生副総理兼財務大臣にもお越しいただき、皆様方とのフリーディスカッションの場を設けていただくこととなっております。
それでは、本日は政権が交代いたしましてから最初の回ということもあり、伊藤副大臣、中西副大臣、船橋大臣政務官、元榮大臣政務官、皆様方に冒頭から御出席をいただいております。大変ありがとうございます。
初回ですので、両副大臣、両大臣政務官に一言、まず御挨拶を頂戴したいと思います。
初めに、伊藤副大臣から、よろしくお願いいたします。
〔伊藤副大臣〕皆さん、こんにちは。初めまして。9月18日に財務副大臣に就任いたしました伊藤渉と申します。よろしくお願いいたします。主に、主計局と理財局を担当いたします。よろしくお願いいたします。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございます。
続きまして、中西副大臣、お願いいたします。
〔中西副大臣〕財務副大臣を拝命いたしました参議院議員の中西健治でございます。税制、国際関係、そして金融関係を主に担当いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございます。
続きまして、船橋大臣政務官、お願いいたします。
〔船橋大臣政務官〕皆様、こんにちは。このたび、財務大臣政務官を拝命いたしました、衆議院議員、北海道・札幌が選挙区となります船橋利実と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございます。
続きまして、元榮大臣政務官、お願いいたします。
〔元榮大臣政務官〕皆さん、こんにちは。私は、千葉県選出の参議院議員の元榮太一郎と申します。このたび、財務大臣政務官を拝命いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
続きまして、事務方の幹部は、私から名前のみ御紹介させていただきます。
初めに、太田次官でございます。
続きまして、矢野局長です。
続きまして、角田次長です。
続きまして、宇波次長です。
続きまして、青木次長です。
続きまして、中山総務課長です。
最後に、私の隣でございますが、有利調査課長です。
その他、各分野の主計官等についてはオンラインでの参加となっております。自室からオンラインでの参加となっており、お手元に配付の座席表に名前を記載してございますので、御確認いただきたいと思います。
それでは、議事に入ります前に、榊原会長から一言、御挨拶を頂戴したいと思います。
会長よろしくお願いいたします。
〔榊原分科会長〕皆様、こんにちは。榊原でございます。
本日は、委員の皆様におかれましては、大変御多忙の中、御出席をいただきまして誠にありがとうございます。
新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、春の財審は2回しか開催できなかったため、建議をまとめることができなかったわけですが、そうした中、7月2日に、皆様にも御覧いただいた上で、会長談話というものを発出させていただきました。
そのポイントを4点、申し上げます。1つは、感染症対策で機動的な対応がありましたが、そのような機動的な対応は適時かつ的を絞り、一時的なものとすることが大原則であるということ。2点目は、ワイズスペンディング及び選択と集中、これらを徹底しつつ経済・財政一体改革を進めていく必要があること。3点目は、社会保障制度の給付と負担のアンバランスを正し、制度の持続性を確保することが待ったなしの課題であること。最後に、経済再生と財政健全化、この両立に向けて、歳出・歳入両面から不断に取組を進めていく必要があると、会長談話で指摘させていただきました。その上で、本格的な議論は、この秋、今回が初めてでございますが、財審の審議に委ねることにいたしました。
折しも、先月16日に菅新内閣が発足しました。また、昨日は、令和3年度予算の概算要求が締め切られました。引き続き、新型コロナウイルスへの対応に万全を期すとともに、極めて多額の国債発行により財政が悪化する状況にあって、令和3年度予算については、ポストコロナの時代を見据えた新たな時代の予算として、将来世代に対し負担を先送りするのではなく、日本経済の構造的な課題である人口減少、高齢化といった問題にもしっかりと対応しながら、将来に希望を与えるような予算をつくっていかなければならないと思っております。
委員の皆様におかれましては、この秋、これから始まる財審の審議におきましても、財政健全化をはじめとして、令和3年度予算編成の課題について、密度の濃い活発な御議論をいただきたいと思います。それをしっかりとした建議につなげてまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
私からは以上です。
〔増田分科会長代理〕どうもありがとうございました。
それでは、議事に移りますが、まず、財政総論、お手元に資料が配付されていると思いますが、有利調査課長からごく簡潔に説明をお願いいたします。
〔有利調査課長〕有利でございます。
お手元の財政総論の資料、大変分厚くなっておりますが、私からはページを選択して、簡潔に御説明を申し上げます。3つのパーツから成り立っておりまして、1つ目は新型コロナウイルス感染症への対応、2つ目は日本財政の現状、3つ目は日本経済の状況についてです。
まず、1ページおめくりいただいて、2ページでございます。先ほど会長から御紹介ありました通り、7月2日に会長談話を出していただきました。その後、骨太2020の閣議決定があり、7月21日に令和3年度予算の概算要求の具体的方針について財務大臣から閣議で御発言いただき、その後、内閣府の中長期試算が諮問会議に提出されました。その後、予備費の使用に関する閣議決定が3回ほどあり、もともと11.5兆円あったコロナ対策の予備費は、3.7兆円弱使用いたしまして、今、7.8兆円強の残額がございます。
そして、昨日、概算要求が締め切られたということでございます。概算要求については、例年どおり来週中頃をめどに公表の予定ですが、金額を書かずに事項のみで要望しているものが、新型コロナウイルス感染症の対策については多うございまして、去年の予算額、要求額と単純には比較できませんこと、お伝えいたします。
続きまして、6ページでございます。これは、1次補正と2次補正を合わせたものを、各コロナ対策の項目別にまとめた表でございます。合計で57.6兆円ということでございます。これ以外に、雇用調整助成金は労働保険特別会計で措置されているものでありまして、それは(注3)に書いてございます。
7ページ、次のページでございます。これは、いわゆるワニ口のグラフでございますが、今年、補正予算で歳出を大幅に増加させたために赤い線が上に行きまして、ワニ口の上あごが少し折れてしまったような状態になっております。
それから、10ページでございます。経済と雇用の動向でございます。左下のグラフですが、赤い部分、大きく落ち込んでおります。これは、外出自粛、休業要請が行われたことで個人消費が減少しました。それから、世界経済の減速、訪日外国人客数の減少で輸出が減少したということが外需の動きから分かります。それから、7月の完全失業率は2.9%、前月から0.1%上昇しておりますが、踏みとどまっている状況かと思います。休業者は、4月に大幅増加しましたが、7月までにはかなり縮小しております。
次の11ページでございますけれども、足元の可処分所得、それから消費の動向を家計調査から取得したものが左下のグラフです。各年の4月、5月、6月、7月の可処分所得、消費を足し合わせたものでございます。2019年から20年までジャンプアップしておりますが、可処分所得は特別定額給付金、1人10万円の給付金の影響で増えております。一方で、消費は、やはり外出自粛等の影響で抑制されていまして、結果的に貯蓄が増加しております。経済活動が戻る中で、こうした資金が消費に回り、経済を下支えしていくことを期待しております。右上のグラフは、売行きがよかった家電5品目を示しております。一方で、右下のグラフから、外出を伴うサービスは大きく落ち込み、今、回復途上にあるという状況が分かります。
次の12ページでございます。2次補正後の国債発行計画でございます。これは、新発債のほか、借換債、財投債も入っておりますため、金額が大きくなっております。今年は、補正予算、さらには財投も追加ということで、200兆円を超える国債を財務省がマーケットで売っております。市場のニーズを踏まえて、割引短期国債の調達が大幅に増加していることが特徴でございます。
それから、14ページでございます。EU、ドイツでのコロナ対応です。
EUは、復興基金をつくりまして、各国への補助金や融資のために、7,500億ユーロ、日本円にして90兆円ほどの資金を調達することとなっております。それは、全てEU共通債券で調達するのですが、その返済を2058年までにする。そのための税や賦課金についても検討しており、プラスチック賦課金、炭素税、デジタル賦課金などが挙げられております。
ドイツは、7年ぶりに新発債を発行し、その償還計画を20年と決定した。彼ら自身も言っておりますが、もともとドイツは財政黒字であったため、コロナに対して大規模な対応、措置が可能になったということでございます。
引き続きまして、日本の財政をめぐる現状について御説明をさせていただきます。日本の厳しい財政状況は、コロナが要因となっておる部分もございますが、やはり構造的な要因が大きいということでございます。
17ページでございます。平成2年度と令和2年度の国の一般会計歳入・歳出を比較いたしますと、歳出は社会保障費がおよそ25兆円弱伸びまして、一方で、歳入も平成2年はゼロであった特例公債発行額が今では25兆円となり、両方とも25兆円ずつ増えております。社会保障費の増が、やはり国債費の増にもつながっております。
次、21ページに飛んでいただきますと、高齢化による社会保障費の増が、団塊の世代が2022年から24年の間に75歳、すなわち後期高齢者になることで、財政に対する厳しさがさらに増してくるということでございます。また、75歳以上の高齢者は、医療、介護とも国庫負担の金額が跳ね上がります。人数及び1人当たり国庫負担額の増加がダブルで社会保障財政に影響を与えるため、医療分野及び介護分野の給付について効率化、重点化が待ったなしの状況でございます。
次の22ページでございます。内閣府のミニ白書分析ですが、左下の赤いグラフで示される若年世帯では、消費が落ち込んできている一方で貯蓄が増えてきている。理由は何かというと、老後の生活資金に関する不安でございます。若い世代は、どうも将来の不確実性が感じられ、社会保障の不安があるのではないか、そういうことを払拭していくことが重要だということが内閣府の分析でございます。
次の23ページでございます。骨太2018、骨太2020のお話をさせていただきます。骨太2018では、財政健全化目標、すなわち2025年度のプライマリーバランスの黒字化などを定めました。同時に、2019年度から21年度にかけての歳出について、社会保障関係費は実質的な増加を高齢化による増加分に相当する伸びに抑え、非社会保障関係費はこれまでどおり歳出改革の取組を強化することとされました。
これが骨太2020でどうなったかということが、一番下の緑の枠に記載してございます。骨太方針2018及び骨太2019等に基づき、経済・財政一体改革を推進するということでございまして、ピンク色の枠、青色の枠に記載された方針が確認をされているということでございます。
次の24ページでございます。これは、内閣府の中長期試算でございますが、上の段はプライマリーバランスを示しております。左側は成長ケース、右側はベースラインケースでございます。前回の中長期試算で示されたプライマリーバランスの推移は点線で、今回のものは実線です。大きな公債発行をしましたので、実線の部分は、2020年度、大きくえぐれておりますが、2025年度を見ていただくと、これはだんだん経済が回復していくに従って、徐々に元のプライマリーバランスに戻っていくということです。よく2025年度についても、例えば十何兆円のレベルでプライマリーバランスが悪化しているのではないかと思っていらっしゃる方もおられますが、そういうわけではないということでございます。従って、2025年度のプライマリーバランス黒字化に向けて、やはりしっかりと取り組んでいく必要があるだろうということでございます。
次のページ、日本経済について、ポストコロナとかウィズコロナという状態で、新たな経済様式をどうやって考えていくかについてです。新たな生活様式という言葉がありますが、経済もどうするのか、それに際して財政をどう考えるか、そのための材料を少し提供させていただこうと思いまして、日本経済の構造を見てみたいと思っております。ワイズスペンディングなどにも、これがつながっていけばいいと思っております。
次の26ページでございますけれども、日本の潜在成長率でございます。これは、近年、大きく低下しておりまして、労働投入量、資本投入量、それからTFP、いずれも低迷してきているということです。一方で、2016年、17年辺りから、総需要が潜在的供給力を上回る、GDPギャップがプラスの状態になっておりまして、経済が回復すると、再びこのような状態になる可能性もございます。
次に、28ページでございます。左のグラフは先ほどの労働投入量という要素を見るために作成したものでございます。まず、人口、生産年齢人口の減少は不可避であり、一生懸命少子化対策をしておりますが、人口が減るということを前提に政策を組み立てる必要があるということ。それから、赤い線で示されている就業者数は実は伸びてきております。ただ、増加分はパートで働く高齢者、女性の方ですので、就業者数の伸びほどには労働投入量は増えておりません。そうしたことにも留意が必要だと思います。
29ページは、諸外国と比べた部門別の資金過不足の状況です。青い線が企業、赤い線が政府の資金過不足です。特徴的なことは、日本は20年間にわたって青い線が0%以上であること、つまり企業の資金余剰感が強いということでございます。このグラフは暦年で作成されておりますが、四半期で見ると、実はコロナの影響で一番直近の青い線が0%以下になりました。これは売上げが減ったため、企業のお金が足りなくなっているということだろうと思います。設備投資が増えてお金が足りなくなっているわけではないということです。こうしたことから、設備投資がやはり少し伸び悩んでいるのではないか、お金がたまってしまっているのではないかと思われます。
31ページでございます。これは、労働生産性、GDPを全労働者の労働時間で割った数値、つまり1人で1時間働くとどれぐらいGDPが生産されるかを計算したものです。左上のグラフを見ると、日本は、先進国の中でも生産性の伸び率自体は遜色ないところにいます。ところが、右上のグラフで示されているように、1時間でどれぐらいGDPを生産できるかという実額ベースで見ると、アメリカの1時間当たり65ドルに対して日本は1時間当たり42ドルということで、まだ伸びしろはあるのではないかということが分かります。右下のグラフは、製造業、サービス産業の日米、日独の比較でございますが、アメリカ、ドイツと比べると、製造業も生産性はやや低いですが、サービス業はそれに輪をかけて生産性が低いという状況です。こちらのスライドでは、生産性を上げるには効率化も必要ですが、付加価値を引き上げていくこともまた重要だ、ということを申し上げたかったということでございます。
32ページ、33ページは、生産性向上に向けて鍵となるようなことを、幾つか材料として御提供するものです。1つ目は、イノベーションでございます。日米企業の研究開発当初の目的がこちらに出ておりますが、日本は既存事業の強化に重点がある、アメリカは既存事業の強化と新事業の創出、両方をバランスよくやっているということでございます。オープンイノベーション、産学連携、実は日本と欧米とそんなに差がありません。ところが、スタートアップ企業との連携は、やはり日本企業は欧米企業よりも少ないということです。
右側のグラフは、人材投資の強化ということで、民間企業の教育訓練費の推移ですが、91年を境に減っている。右下は、人的資本投資を行うと、労働生産性の低い企業ほど労働生産性が上がるということを示すグラフでございます。
最後のページでございます。33ページ、ICTの投資でございます。これはもう、大企業、中小企業を比較すると、中小企業の資本装備率がかなり低いということです。その理由として、ITを導入できる人材がいない、導入効果が分からない、社員がITを使えないなどが中小企業庁のアンケートでは明らかになっております。右側、中小企業の規模拡大について、製造業、情報通信業の労働生産性は大企業と中小企業を比べると大企業が高い。ここは、規模の利益があるかと思います。その下のサービス産業は、大企業、中小企業とも同じ程度ですが、先ほど日独、日米の比較をしたグラフからお分かりのように、恐らく大企業も生産性が低いという状況なのだろうと思います。右下、これは中小企業庁の白書から引用したものですが、存続している企業はなかなか規模が大きくならず、ステイしているのが現状で、もし中小企業が大きくなることを阻害するような要因があるのであれば、それは取り除いていかなければいけないのではないかということでございます。
私からの説明は以上でございます。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、これから御意見を頂戴しますが、初めに私のほうから段取りを御説明いたします。
こちらの会場にリアルで来られる皆様方におかれましては、御意見がある場合はいつもどおりネームプレートを立てていただければ、こちらから指名いたします。また、テレビ会議システムを通じて御参加いただいている方は、御意見がある場合は「挙手する」というボタンのクリックをお願いします。その上で指名をいたしますが、システムの運営の便宜上、まず、こちらの会場に出席されている委員を先に指名させていただきます。
それから、今日、大臣御出席ということですが、公務の関係上、時間が若干前後する可能性がございます。大臣の御挨拶及びフリーディスカッションを14時45分から開始するため、40分過ぎぐらいを一つの目安として、この場での質疑は一旦中断させていただきたいと思います。
したがいまして、今日は出席が大変多く、ウェブでの出席の方もいらっしゃいますので、限られた時間の中でできるだけ多くの方に御発言いただくために、手短に2分以内でご発言ください。大臣の時間が非常に限られておりますので、私もかなり厳格に時間管理をさせていただきたいと思いますので、どうぞ御協力よろしくお願いいたします。
それでは、御意見ある方、いつもどおりプレートを立てていただければということで、まず、佐藤委員のネームプレートが立っておりますので、佐藤委員から、どうぞお願いいたします。
〔佐藤委員〕すみません。では、2分以内に何とか。
大きく3点です。既にワニの口として御紹介いただきましたが、非常に大きく歳出と歳入のギャップが開いております。概算要求の段階でも100兆円を超えているわけでありますが、今後、いかにワニの口を閉じていくかという観点から見れば、もちろんコロナ対策の事業は大事ですが、一方、既存事業の見直しというのはもっと踏み込んだほうがいいと思います。つまり、優先度が低い、現下において必ずしも優先度が高くない事業については、既存の事業、これまでやってきた事業の見直しがあってしかるべきだということ。
それから、やはりほかの国々においては、新規の事業においても今後の償還の財源を検討しているので、今、増税と言うとみんなひっくり返りそうですが、コロナ収束後を前提に、やはり財源の確保というのは本格的に議論したほうがいいと思います。それが1点目。
2点目ですけれども、いろいろな事業が玉石混交になっているのかなと。例えば、よく新聞などに出てくるとおり、一方では国土強靱化で防災強化とありますが、他方では立地適正化計画とか、もっと安全な場所に人を誘導しようという議論もあるわけです。そのため、今の防災対策をそのまま続けるというのは、逆に言えば立地適正化とはどう整合性があるのか。文科省の少人数教育の話がありますけれども、一方ではGIGAスクールのようにデジタル化の話があり、個別学習を進めようという議論があります。これはどう整合的なのかを考えることが必要かと思います。
最後に1つ、社会保障費の自然増について、これまでのペースで自然増が起きるとは、多分、考えられないと思います。なぜかというと、やはりコロナによっていろいろな行動変容が起きていて、不要不急の診療を受けなくなってきている。そういう現状を踏まえると、これまでの自然増、例えば5,000億円というのはもう少し見直してもいいかもしれない。それから、今、かかりつけ医を中心に医療提供体制を変えようという動きもあるので、新しい医療提供体制、新しい患者の行動パターンを踏まえた上で、自然増は考えたほうがいいのではないかと思いました。
終わります。
〔増田分科会長代理〕御協力いただきまして、ありがとうございます。
次は、神子田委員、大槻委員、木村委員という順番で行きます。
神子田委員、どうぞお願いいたします。
〔神子田委員〕ありがとうございます。
今日は初回ということで、プライマリーバランスに関してお願いがあります。2025年度の目標が、今年はコロナの関係で大量に国債を発行して、一時的に悪化していると。しかし、来年、再来年と収束していけば、そんなに国債を発行することもないだろうし、2025年度の目標達成は可能なのではないかという見方もある一方で、昨年度でも既にPBは14兆円超の赤字になっております。
こうした中で、2025年度に本当に達成できるのかどうかというのは、もう1回、真剣に検討されてはいかがでしょうか。前回、2020年度の目標のときにも、三、四年前から難しいのではないかと思われながら、いや、できますということでやっていって、結局、直前になってやはりできませんという話になった。前にもこの会で話しましたが、やはりそういう国民とのコミュニケーションの仕方を取っていくと、結局、本当のことを言っていないのではないかというような不信感を持たれて、不信感を持たれると、やはり財政再建に対する国民の理解も得られなくなっていくのではないかと思うので、ぜひその辺のところを真剣に考えてもらいたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、続いて大槻委員、お願いいたします。
〔大槻委員〕ありがとうございます。
1つ目は、先ほどお話があったことに絡みまして、預金の急増についてです。9月の初めに、預金をしている人々に対して、弊社がその理由を尋ねたところ、先ほども少しお話がありましたが、収入が減るとか、そういうことを心配してという人よりも、将来が不安だという人が6ポイントぐらい上回っていまして、やはり御指摘のとおり、そこをどうやって解決していくのかというのは、大いに国民的な関心事だと思った次第です。
もう1つ、もちろんコロナのせいではありますが、最近外からの評価が変わってきていることを危惧しています。フィッチの格付のアウトルックが、ネガティブに変わっていますし、債券、国債のボラティリティーも若干上がりぎみなところがあることを考えますと、この局面でセーブしろとは申し上げないまでも、やはりしっかりと、もちろんワイズスペンディングで、そこの使い方を外からも十分に見られているということを意識するべきだと思っております。
最後に、ベースラインケースとしていただいた試算ですが、もちろんよく練られているということと、一時期落ち込んだところに対してのリカバリーは期待できるものの、2025年度まで、去年のものと比べても成長率が高く置かれている一方で、民間で見ていますと、なかなかモチベーションが戻らなかったりといったことも感じるので、人々のマインドがしっかりと上向きになる、夢が持てる、希望が持てる、成長に向けていけるような予算づくりをしていただきたいと思った次第です。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございます。
それでは、木村委員、お願いいたします。
〔木村委員〕どうもありがとうございます。
今日、たまたま消費税率の引上げから1年ということで、1年前、まさかこういう世界になっているとは誰も思っていなかったと思いますが、コロナで暮らしが厳しい中でも、国民は消費税10%という負担を受け持っているわけです。これからまた、法人税等も企業が赤字になってどんどん減少していくでしょうから、企業は税金をあまり払っていないが、一般の国民はたくさん税金を払うという世界になってくるのかもしれません。そういう国民の痛みに応えるためには、財政の健全化をきっちり進めていくということが政府当局の責任かと思っています。
コロナ対策で、財政資金を随分使っていますけれども、皆様おっしゃるように、やはりそれで財政規律を緩めていいというわけではないので、そこはしっかりやっていただきたいと思います。特に、御説明にもありましたように、それこそコロナ時代に応じた構造改革、それに伴う生産性の向上、あるいはコロナによって必要度の下がった既存事業の見直し、様々なことを通じて財政の規律をしっかり守っていただきたいと思っています。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、続いて末澤委員、権丈委員、十河委員、このお三方、お願いいたします。どうぞ。
〔末澤委員〕どうも、よろしくお願いします。
15ページですけれども、先ほど会長からもお話ございましたが、やはり財政健全化というのは平時でないとなかなか進まない。そういう面で見ると、前回、約10年間、世界経済は好調だったわけです。そこで、やはり、日本はもっと財政再建を進めておくべきだった。一方で、今、危機にありまして、ここはまず、この火消しをやらないといけない。
私は、この10-12月期は割と慎重に見ていまして、1つは、日本時間の昨日、アメリカでもテレビ討論会がございましたが、やはり11月3日のアメリカの大統領選、今年はちょっと1、2日では終わりそうにありません。場合によっては1か月、2か月延長する可能性があって、その頃にはイギリスもブレグジットの問題があります。そのため、政治が混乱する可能性があります。
一方で、実はコロナウイルスというのは、インフルエンザウイルス同様、基本的には秋から冬、気温、湿度、UVが弱まると半減期が長くなって感染力が高まる。ちなみに、今から100年前、1918年から21年にはやったスペイン風邪、日本でのピークは1918年の11月でした。一方で、2009年の新型インフルエンザの日本でのピークは、あのときもそうですが、大体10月、11月でした。普通、新インフルエンザは1月、2月にピークとなりますが、新興感染症、新しい感染症は、恐らく免疫がない、または免疫の痕跡を持っている方も少ないということで、少し早めにはやり出します。
ですから、そういう意味で見ると、今年の11月、12月というのは相当いろいろな面でリスクがあるので、先ほど予備費が相当あるということで安心しましたが、それをうまく、本当に有効に、早く、重点的に活用していただきたいと考えております。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、権丈委員、お願いします。
〔権丈委員〕ありがとうございます。私からは、3つほど申し上げたいと思います。
22ページに、若年世帯において消費性向が下がっており、老後の生活資金のために貯蓄をしている者が増えているということが示されておりました。恒常的な消費不足の中、貯蓄性向の高まりは大きな問題でもありますので、社会保障の持続可能性とこの制度への信頼を高めるため、給付と負担のバランスの取れた税と社会保障の一体的な改革が必要だと考えます。引き続き、国民に理解を求めながら取り組んでほしいと思います。こうしたコロナ禍がいつまで続くのか分からず、予想を立てにくいということでございますが、一方で、必要なところに適切な支援を集中的に届けるために、インフラの整備、具体的にはしっかりと所得を把握して、機動的に給付を行っていくことができる社会保障制度のためのインフラ整備をこの機会に進めていただきたいと思います。
28ページの人口動態については、生産年齢人口の減少を考えると、労働力のこれからの大きな量的拡大は難しいところです。その点、質的側面を高めること、付加価値生産性を高めること、つまり高い賃金を支払うことができる方向に経済構造を転換していく必要があると考えます。この4月から、大企業を対象とした非正規雇用の不合理な待遇差の是正が導入されておりますし、また、被用者保険の適用拡大、最低賃金の引上げ等も含めて、しっかりと労働者のスキルアップ、待遇改善に取り組むことが重要になってきております。そうした点もしっかりと考えて、取り組んでいただきたいと思います。オランダをはじめとしたテレワークの先進国では、労働力の制約が強く意識されている時代に、労働供給を増やすことを目的にしてテレワークを活用し、並行してデジタル化による業務改革も行い、付加価値生産性の向上にもつなげております。この辺り、上手に進めていくといいと思います。
3つ目は、これとも関連いたしますが、こうした形で、テレワークも含めて、様々な大きな変化が現れてございます。そうした変化を望ましい方向へ加速するという政策と、それから雇用調整助成金等の関係をしっかりと整理していただきたいと思います。便利で豊かなライフスタイル、よりよい付加価値生産性に向けた新しい変化に注力する方向に財源をシフトしていくことが、時間とともに大切になってくると思います。
以上でございます。ありがとうございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、十河委員、お願いします。
〔十河委員〕ありがとうございます。私のほうからは、31ページの労働生産性の国際比較というところに関して一言申し上げたいと思います。
私の仕事を取り巻く環境の中において、日本のクオリティーであるとか、人のよさであるとか、サービスであるとか、世界的に非常に高い評価を受けているところがあると思います。にもかかわらず、今、なかなかその価値を金銭としてプラスにしていくことができてないのではないかと思います。よくテレビコマーシャルで、いいものを安くというフレーズがございます。確かにいいものを安く手に入れるということは大切ですが、今、いいものを安くの限界に来ているのではないかと思います。何の品物を買うにしても、これでこの値段という驚きがございまして、逆に考えると、その商品が造られるまでにどれぐらいの人の手を経ているのか、その人々にどのぐらいの賃金が行っているのか。それを考えたときに、私は財政の専門ではないので、何をしていくかというところまでは思いつかないのですが、コロナで、1年、ほぼ社会が止まっておりますので、過去を引きずるのではなくて、この際、日本のクオリティーの高さを、価値として、財政としても再び反映していただけたらと思っております。
そのためには、先ほど、今、若者の消費性向が消極的であるということもございましたが、日本人の控え目過ぎる、自信のなさというか、不安というところをどうやって払拭していくかということも大切ではないかと思います。海外から見ると、非常に尊敬され、すばらしいと言われるにも関わらず、国内だと何かとても自信がないというようなムードが漂っております。
コロナに関しましても、政府の皆様の御尽力で、世界的には非常に少ない感染者数と死者数となりながら、コロナにかかってしまうと、まるで犯罪者のような扱いになってしまいます。こうした雰囲気に対して、私、マスコミの一員としても、もっと前向きな発信をしていく必要があると思います。そして、やはり賃金を上げていくことが消費の活発さにつながっていくのではないかと思いますので、その上での財政ということをいま一度考えてみる必要があるのではないかと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、武田委員、どうぞ。
〔武田委員〕ありがとうございます。私からは、社会保障について意見を申し上げます。
22ページで、若い方の社会保障に対する不安について御説明をいただきました。当社でも、毎年6月に、3万人に対して生活に関する調査を行っており、その中に将来不安に関する項目がございます。今年6月の調査で大幅な上昇を見せたのは感染症に対する不安、これが59.8%でございました。一方、毎年高止まりしている項目は何かという点でございますが、答えを申し上げると、社会保障で財政が悪化する、これが73%でございます。この調査は、2011年から継続して行っているものでございますが、常にこの項目が1位です。国民、特に若い方の将来の不安を軽減するためにも、社会保障の制度改革、給付と負担の見直しは先送りせずに、ぜひ実行していただきたいと考えます。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、田近委員、どうぞ。
〔田近委員〕私からは1点、コロナ対策について。6ページの令和2年度1次及び2次一般会計補正予算ですが、その一番大きな支出項目は資金繰り対策の15兆円になっています。補正予算の説明とか見ると、日本政策金融公庫への支出金等が大きい中、質問がございます。このうち、利子補給とか、損失補てんで実質的に給付になるものと、融資として将来的に戻ってくるもの、その区別はどうなっているのだろうか。いずれにしても、資金繰りが15兆円と非常に大きいので、それがどういう形でコロナ対策に寄与していくのか、もう少し説明があったほうがいいのではないかということです。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、御質問等ございましたら、後でまとめてまたお願いしたいと思いますので、伊達委員、どうぞ。
〔伊達委員〕生産性向上についてコメントします。
財政健全化のために、税収という観点から、企業が体力をつけて生産性向上を図っていくべきだということで、このような資料があるかと思いますが、同時に、行政におけるコストコントロール、生産性向上も重要なのではないかと思います。そうした意味で、行政における生産性がどういう状況であるかという指標はないでしょうか。また、概算要求が100兆円を超えたという中で、行政も含めて生産性を上げていくためには、どのような手法を取り、予算を組むのか示すべきかと思います。予算編成の流れそのものを変えていく必要があるかと思います。今までのような積み上げを延々と繰り返すのではなく、仕組みを変えていくということについて少し議論していただければと思っております。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、最後になるかもしれませんけれども、土居委員まで指名いたします。お願いします。
〔土居委員〕どうもありがとうございます。
まず、1点目は、今後の財政運営について。恐らく令和3年度予算は、コロナ対策もきちんとしなければいけないが、財政健全化に向けた取組も併せてしていくということで、それを国民にいかにうまく、分かりやすく説明できるかということが問われるのではないかと思います。今年度予算の臨時・特別の措置という方法がいいのかどうかはよく分かりませんが、少なくとも、コロナ対策できちんと予算を付けた部分は、それはそれとして予算を計上するということですが、歳出改革をきちんとしたということを、国民にも理解いただけるような形で予算に示すことがやはり大事なポイントになってくるのではないかと思います。歳出改革を決して緩めているわけではないということを、国民にも理解していただけるようにしていただければと思います。
それというのは、ちょうど菅総理が自民党総裁選のときに消費税について言及された際に、結局のところ、その続きの話ということには展開しなかったわけですが、消費税をなぜ10%よりも上げる必要があるのかということについての議論の備えがなかった。つまり、恐らくは社会保障のために追加の税財源が必要だということは、おぼろげながら分かっているけれども、では、一体それが具体的に、医療なのか、介護なのか、年金なのか、どこの部分に財源が当たるのかという議論が、これまで残念ながら進められていなかった。そういう意味では、財政制度等審議会においても、社会保障についての議論を通じて、それでもやはり税財源が社会保障のために必要であるということをにじませる、そのような必要な改革を進めつつも、財源が足らないところを具体的に浮き彫りにできるような議論がなされることが必要なのではないかと思います。
消費税の話になりますと、資料の31ページにあるように付加価値を引き上げていく必要があるということ、これは私も同感ですが、消費税が上がると価格転嫁できず、結局のところは増税された分だけ利益が減ってしまうかのような価格設定になることからなかなか抜けられない。やはり価格転嫁をしていく、ないしは自らの製品の価格が多少上がっても需要がそれほど減らない、経済学の言葉では需要の価格弾力性が低い財やサービスにだんだん生産がシフトしていくことで、多少値段が上がっても需要が減らないものが世の中に行き渡ることで、きちんと企業も利益を確保できる、ないしは賃上げの余地ができるということにつなげていく。消費税を言い訳にして価格が上げられないということにならないようにしていく経済構造の転換も必要だと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございます。
大臣、到着されたということなので、ここで一旦、区切らせていただきたいと思います。
初めに、カメラが入ります。まず、カメラに入室していただいて、そのままお待ちいただきたいと思います。
(報道カメラ 入室)
(麻生財務大臣 入室)
〔増田分科会長代理〕それでは、議事を再開いたしたいと思います。
到着早々、恐縮でございますが、麻生大臣、到着されましたので、まず御挨拶をお願いいたしたいと思います。
〔麻生財務大臣〕それでは、財政制度等審議会財政制度分科会の開催に当たりまして、一言、御挨拶をさせていただきます。
御存じのように、新しく菅内閣をスタートさせていただきましたが、引き続き財務大臣、金融担当大臣を約8年務めさせていただいております。そのため、皆様方に御挨拶するのは今回で8回目だと思います。皆様方におかれましては、引き続きよろしくお願い申し上げておきたいと存じます。
今般、政府としては、雇用の維持、そのための事業の継続、そして、国民の不安感を払拭するために、コロナウイルス感染症に対して事業規模約230兆円を超えます対策を行ったところであります。
新型コロナウイルスの下でいろいろなことがありましたが、家庭にいるという巣籠もり状態が起きたことに対応する商品の開発、そういったものを的確に捉えてカップヌードルがやたら売れたとか、長く家にいることで家庭用の家具を買い換えなければいかんということで家具がやたら売れたとか、結果として、人の移動、物の移動が減った分に合わせて、家庭内にいる人に対しての需要が生まれた。
また、各役所でも、どこでも、人が半分ずつしか出勤しないという対応をさせていただいております。したがって、簡単に言えば0.5になるわけで、0.5と0.5を掛けますと0.25になりますから自然体で75%人に会わなくなる。そして、さらに5%だけ会うのを減らせば、結果として8割、人に会わなくなることが達成されますので、そういったことをやらせていただいた。例えば、財務省でも、為替やら、海外との取引をやっておりますところも、あの密室で1人でもコロナ罹患者が出たら騒ぎになります。そのため、半分ずつ勤務をすることとし、さらに働き方改革の中でいろいろ工夫しております。こういった構造変化の中にも新しいチャンスを見つけて、積極果敢にチャレンジしていってもらわなければならないと思っております。
また、コロナ以前から、日本の場合は少子高齢化が中長期的な最大の問題と思っております。こういったことに伴いまして、財政が悪化する。働く人が減って、受益と負担のバランスでいう受益側の数のほうが増えてくるという構造的な課題がありますので、そういった社会保障の中における受益と負担のバランスを正していくことは、引き続き我々にとりましても待ったなしの課題だと思っておりますので、これを着実に進めていくことが必要であると思っております。
コロナという、半年前には何となく先行きがよく分からない話が、少し見えてきたような感じもありますし、国によって大分内容は違いますけれども、日本の場合は100万人当たりおよそ11人とかいう数の死亡者になっております。そういった意味では、アメリカ等の他国と比べて随分状況が違っておるとは思いますが、いずれにしても、こういったものへの対応に万全を期していかなければならないのは確かだと思っております。
令和3年度の予算につきましても、アナログからデジタルトランスフォーメーション等、いろいろな言い方がありますが、デジタルへの移行を効果的に進めていくため、そういったものに的を絞らなければなりません。今までの前例に従った予算というのではなくて、本当にこれをやると効果が上がるのかというようなものに的を絞って、施策の見直しを徹底し、中身を重点化させていきたいと思っております。
閣議決定や改革工程表等に基づいて着実に改革を進めることで、人口減少への対応、生産性向上への対応をした質の高い予算というものをつくっていかなければならないと思っておりますので、引き続き皆様方の御支援、活発な御議論をよろしくお願い申し上げて、挨拶に代えさせていただきます。
〔増田分科会長代理〕大臣、どうもありがとうございました。
それでは、報道の皆様方は御退室をお願いします。
(報道カメラ 退室)
〔増田分科会長代理〕それでは、せっかくの機会ですので、皆様方から御意見や御質問等、多々あるかと思います。重ねての願いでありますが、時間が限られておりますので、大臣への御質問などは要点を絞っていただくように、よろしくお願いいたします。それから、多数御希望があるようですので、御質問等は3人まとめて、こちらで順次指名し、その後大臣からお言葉をいただくという形で進めたいと思います。
それでは、初めに、宮島委員からお願いいたします。
〔宮島委員〕ありがとうございます。
日本テレビの宮島です。よろしくお願いします。
安倍政権の間、ずっと財務大臣でいらっしゃった麻生大臣への質問ですが、今般、コロナの影響で、世界の各国が歳出をすごく積み上げています。それはもうしようがないことだと思いますが、国によっては、やはりこれまである程度財政黒字で、あるいは、この10年ぐらい大分絞ってきたところで、少し余裕が出ていたため、早急に対応できたという印象を持っています。一方で、日本は、この10年、景気はよかったけれども、財政再建がそれほど進まなかったという中で、この8年半の財政再建を、今、麻生大臣としてどのように思われているか。それから、次の政権の大臣でいらっしゃって、どういうふうに思われるか。さらに言うと、これはもちろん政治や国民のせいばかりではなく、私ども財政制度等審議会としても、私たちの議論が本当に役に立ったのかという反省もあります。大臣から御覧になって、財審の議論が率直に言って役に立っているかどうか、もっとこうしたらいいのではないかというようなことがあれば伺いたいと思います。お願いします。
〔増田分科会長代理〕それでは、村岡委員、お願いいたします。
〔村岡委員〕読売新聞の村岡でございます。2点、お伺いしたいと思います。
1つは、やはりこのコロナの影響というのは長期化するだろうと思います。1年以内に衆議院選があることも念頭に置きますと、補正予算などで国債増発ということが予想できます。そうしますと、やはりそれへの対応というのは不可欠になると思います。これから編成する予算が菅新政権の最初の予算になるわけでありまして、先ほど土居委員が触れられていましたが、その中で財政規律に関して明確なメッセージを入れていく、説明していくということが大事だと考えます。そして、質問ですが、大臣は、菅総理の財政健全化に対してのお考えを、今、どのように受け止めていらっしゃるか。今のような財政規律を入れた予算編成をきちんとしていけるかどうかということに関してお伺いしたいです。
もう一点は、やはり相当な国債残高に上っていて、その多くを日銀が引き受けています。保有先をもう少し多様化したほうがいいという議論は前からあると思いますが、政治的にも、衆院選を考えても、今すぐには財源を将来の増税とは言えないような状況だと思います。そうしますと、個人の引受手を増やしていくというようなアイデア、こういったものを取り入れることはできないでしょうか、ということが2つ目の質問でございます。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
次、神子田委員を指名します。恐縮ですが、2回目なので簡潔にお願いします。
〔神子田委員〕NHKの神子田と申します。
大臣が言われたように、今、危急の課題はコロナ対応です。予算面でも、今年の概算要求の方針で、通常の予算は去年と同等、それに加えて新型コロナ対策など緊要な予算は別枠で要求ということになっていますけれども、ここに新型コロナ対策などという「など」がついていたおかげで、何かほかにも、コロナ以外でも緊要な予算として要求が上がってきている。国民の感覚からすれば、やはり今はコロナなのではないかと思います。例えば、文科省で小人数教育と言っていますけれども、これは別にコロナでなくても言っていましたよねという話ですし、あるいはコロナが終わった後の景気対策のためと言っても、それは今年要求するものですかというものもありますし、そういった相変わらずの便乗体質みたいなことについて、大臣はどういうふうに思っていらっしゃいますでしょうか。私、規律というのは、数字ではなくて、霞が関で働く人々のそれぞれの心の中にあるものと思います、大臣はどう思われているか、お聞かせください。
〔増田分科会長代理〕それでは、3人、質問ございましたので、大臣のほうからよろしくお願いいたします。全部に対して細かくお答えいただく必要ございませんので、気になったところだけで結構でございます。
〔麻生財務大臣〕宮島委員の8年間の話、8年間の再生の成果という御質問でしたけれども、やはり何だかんだ言って、新規国債発行は13兆円減りました。税収は増え、予算が増え、それで新規国債発行は実質13兆円マイナスです。そういった意味では、間違いなく成果というのはそれなりのものがありました。経済が復興しない限り財政再建はありませんからということを最初から申し上げて、そのとおりにさせていただいたと思っていますので、少なくともコロナまでのことに関しましては、物価が思ったほど、2%に行かなかったという点が1点。金融政策の割に、財政政策がいま一つだったのではないか、もっと財政を早くから出動しておくべきではなかったのか、という意見も世の中にはありますけれども、結果としては財審の議論によって得られたこの8年間の成果は、コロナがなかりせばそれなりのものであったと、後世、歴史家の評価に堪えるようなものではなかったかと思っています。
それから、菅総理の財政健全化の受け止めについての御質問です。官房長官として7年半もおられましたので、この話を私からさせていただくときには同席しておられましたので、財政健全化の必要性については十分認識しておられると思います。また、今回、私がこの職をお引き受けするに当たっても同じような御質問がありましたので、私のほうからも、きちんとした財政再建なくしてということや、経済再生なくて財政健全化なしということに関しまして、再確認をさせていただいております。
日銀の国債引受けの話がありました。いろいろな御意見がありますが、銀行が国債を買って、その国債を日銀が買っている。その銀行に預金しているのは個人ですから、あれは基本的に個人が買っているのと同じことであって、債券というものは、日本銀行券というのは基本的には日本銀行の借金ですから、日本銀行の持っているお札を我々は使っているわけです。国の場合も同じく、国が出しているのは、政府が出している債券ですから、それを買っている国民は債権者であって債務者ではありません。
そこのところだけ帳簿でいう貸方、借方といった頭の整理をきちんとしておかないと、基本的な間違えをすると思っております。また、順調に日本の国債は日本円で買われております。外国人投資家が買っているものも十何%ありますが、全て日本円で買われておりますから、少なくともユーロとか、ドルで買われているわけではない。そういった意味では、ギリシャと同じになるとかいう御意見もあるようですが、私どもは基本的にギリシャと同じになるという発想は全くありません。
それから、コロナの要求の話でしたでしょうか。私どもは基本的には国の財政を預かるという理想を掲げて皆、入ってきて、いろいろな現実にぶつかって、いろいろ苦労しながら政策を最終的につくっていきます。いろいろな話、データを基にし、世論に耳を傾けながら、財政再建や経済再生等、あらゆるもののバランスを取りながら政策運営を行っていくものだと思っております。そうした中で、私どもがどの程度のバランスを取っていくかというのはすごく大事なところで、結果として日本は死亡者がおよそ1,400人と先進国の中で一番少ないです。アメリカは20万人を超えています。いろいろ表現はありますが、人口比で見れば、どう考えてもアメリカが多過ぎるか、日本が少な過ぎるかだと思います。そういった観点から見ると、私どもは右往左往したように書かれていますが、結果論として先進国で死亡者数が一番少なかったということは事実です。このように、国民の皆様のご協力をいただいたおかげで、それなりの成果が出せてきていると思います。各国、発症率のレート等のいろいろなレートがありますが、我々は極めて低い範囲で抑えられてきたこの状況を引き続き維持していかなければいけないと思っております。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、堀委員、広瀬委員、そして中空委員の3名にお願いします。
堀委員、どうぞ。
〔堀委員〕時間もないので2点だけ。
まず、1点目は、様々な要因もあると思いますが、新型コロナ関連対策によって、先ほど大臣がおっしゃったように、世界的に見ても少ない感染者数で推移しており救われた命も少なくないと思います。新型コロナ対応の医療提供体制の整備なども進んできていると思います。一方、新型コロナ以前からの重大な課題ですが、医療を必要とする後期高齢者の方たちが増える中で現役世代が減る時代を迎えているので、持続可能性を維持するための医療制度改革は、待ったなしの状態だと思います。全世代型社会保障改革が新政権になってどうなるのか、まだ道筋は見えていないかもしれませんが、今後、どのように医療改革が進むのか可能な範囲でお話しいただきたいということが第1点です。
もう1点目ですが、先ほどウィズコロナの時代によって巣籠もり需要が増えたというお話もありました。私も大学で授業しておりますが、オンライン授業の普及、遠隔会議の導入など本当に今までと全く違う生活を送るようになりました。対面授業では、この場にあるようなアクリル板なども活用しています。新しい日常ともいわれますが、これまでにないニーズが生まれ、今まで売れなかったものが売れるようになっていると思います。質問なのですが、ウィズコロナの時代によって、経済成長が見込まれる分野が変わっていくとお考えになるのか。もし、変わっていくとすると、財政を投入すべきところにもよりメリハリをつけるといいますが、ワイズスペンディングの財政支出の在り方も今までとは違うところにシフトしていくのではないかと思うのですが・・どうでしょうか。それとも変わらないのかというのを教えていただければと思います。
〔増田分科会長代理〕それでは、広瀬委員、どうぞお願いいたします。
〔広瀬委員〕ありがとうございます。
少し意見を言わせていただきたいと思います。当面は、やはり緊急対応でコロナ対策をしっかりやっていくということは非常に必要だと思っております。一方で、先ほど大臣から、的を絞ったということで、賢い支出と言われておりますが、やはりこれから的を絞ったという意味で、私はキーワードが3つあるのではないかと思っております。
1つはグリーン。これはCO2の問題だけではなくて、プラスチックの問題であるとか、水の問題であるとか、いわゆる地球規模の安全、安心をどうするか。2つ目がレジリエンス。これはエネルギーインフラとか、交通インフラだけではなくて、医療も含めた地域規模、地域レベルでの安全、安心をどうするか。それから、3つ目がデジタル。これはもう皆様おっしゃっていますが、これからはデジタルで統一というものがおそらく大きな課題になってくると思います。今、その規格の統一を一生懸命図ろうとしておりますが、もう一つ、もっと大事なことは、レベルをある程度統一していかないと、なかなかデジタル化は進まないのではないかということ。例えば、大企業と、中小企業と、家庭と、そういう大、中、あるいは個人のレベルを合わせていかないと、何かやろうとしてもすぐにできない。
それで、一言だけ中小企業のお話をさせていただきますと、中小企業の経営者でデジタル化を必要だと思っていない人はいません。ただ、先ほど御説明がありましたとおり、やはり人、デジタル人材がいなくて、どこから手をつけていいか、なかなか分からない。各企業にデジタル要員を、というのは難しいので、何かもうちょっと大きな仕組みを導入して中小企業のデジタル化を進めていくということで、今度、デジタル庁ができますけれども、そういう仕組みをつくっていただくことがデジタル庁の大きな一つの仕事になるのではないかと思っています。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、中空委員、お願いします。
〔中空委員〕ありがとうございます。
BNPパリバ証券、中空です。今回から副大臣になられた中西さんの元部下です。私は、1つ麻生大臣に質問と、もう一つは強いお願いがあります。
1つは、先ほどの堀委員や広瀬委員と重なりますが、ワイズスペンディングのポイントです。ほかの国では、例えばグリーンニューディールだとか、そういうことを言い始めています。私は、中西副大臣も携わっておられた金融人材等の高度人材受入れプロジェクトチームで議論されているように、麻生大臣のお膝元の福岡であっても東京であっても構いませんが、金融都市を日本に持ってこられないか、中小企業にたくさん埋もれている技術を何とか輸出できないか、様々やるべきことはあると思っています。そういう意味で、今、麻生大臣が考えておられるワイズスペンディング、これはやるべきというものがあったら教えてください。それが1つ目です。
もう一つはお願いですが、格付です。何年か前に、やはり麻生大臣に格付はどう思いますかとお聞きしたときに、いや、格付は人がつけるからねと笑って仰られたのですが、今、格付が落ちると本当に資金調達コストが上がっていくという大きな問題を抱えています。なので、格付は絶対に下げてはいけないと思います。財政再建ができない、財政を使わなければいけないのはしようがないと思っておりますが、その中で一番重要なキーになるのは麻生大臣みたいな方の意志になります。なので、ぜひ強い口調で、いつも財政再建はしなければならないと、その意志を表明していただきたい。特に、そういう強い立場の方に言っていただくことが、今の日本国債の格付を維持するのに大変役立つので、金融界全員がきっとそう思っていると思いますので、お願いをさせていただきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、ちょうど3人、御発言ありましたので、大臣のほうからお願いいたしたいと思います。
〔麻生財務大臣〕コロナ対策全般で、経済の成長の在り方が変わるかという話を聞いておられると思いますが、いろいろなものが変わることは間違いありません。少なくとも、大きな流れとして既に我々の周りで起きているといえば、今でも新聞等を見ればGDPと書いてあるけれども、今、GDPよりGNIのほうがよほど大きいでしょう。今、間違いないでしょう。グロス・ナショナル・インカムのほうが、グロス・ドメスティック・プロダクトを超えてしまっていますから。石油が下がったから貿易黒字になりましたけれども、1バレル100ドルだったときは貿易赤字でした。それでも、日本は十分にやっていけるわけです。
その大きな理由はGNI、それは間違いなく1985年以降、1ドルが240円から120円まで暴落したとき、多くの新聞はたしか円高不況と書いた。自国通貨が高くなって不況になるということを非常に不思議に思ったのですが、あの後、間違いなくバブルになりました。そして、経営者は、そのお金を使って海外で会社を買い、株を買い、特許を買った。価格は半分になったわけですから、その分買ったものが、GNIとして30年の間に、今、資本収支のほうが増えているという事実に大きく変わっている最たるものだと思っています。
細かいものを挙げれば幾つもありますが、経済成長の在り方はコロナ対策によって変わるというより、コロナ対策でいろいろな働き方が変わって、人の動きがなくなって、物の動きが止まっている。ずっと止まっているわけではありませんが。
例えば、交通面でいけば、出勤ラッシュの電車に乗らなくても、少なくとも週に一回会社に行けばいいという働き方になれば、何も東京の狭いところに住んでいることはない。だったら地方に移ってしまおうじゃないかと。子供が多いからと広々とした場所へ移った。そういう人が役人でもいますから、ほかにもいっぱいいると思います。今度のおかげで、さらにそういったことがやりやすくなってきていますから、そういった人は増えるだろうと思います。しかし、地方の空いた住宅等々の需要、どういうわけか日本には中古住宅市場というものがありません。中古住宅は誰が査定しているか、ぜひ聞きたいと思っています。
広瀬委員の的を絞る、グリーン、レジリエンス、デジタルというのは、間違いなく重要です。グリーンの方向にやらないとやっていけない時代になってきていると思いますし、そういったものに投資をしないとか、資本を投入していないと、会社の評価が上がるとか、下がるとかいう話になります。当然、それに併せてレジリエンスについて、国、地域、いろいろな差が出てくると思います。
デジタルの統一というのは、簡単なようで意外と難しいです。今、この種の話については、政府が規格を統一してやっているわけではありませんから、いろいろな民間会社がある中で、その中のどれか1社に絞ると言えばそれで終わりですが、ほかの会社との関係からそうはいかないというのが実態だと思います。やはり民間の意見等を聞いていくことが重要です。
最後に、中空委員からワイズスペンディングの話がありました。ワイズスペンディングって人によって考え方が違うため、何が一番いいとかいうことはなかなか言えないと思っています。
また、格付の話は、日銀の黒田総裁が当時財務官であったときに、日本の格付がアフリカのボツワナより低いとされたことに対して文章を書いたりしました。今は、現実問題、日本の格付はそんなにきついわけでもありませんし、格付が下がれば、円がもっと下がってみたり、金利がもっと上がってみたりしなくてはおかしいですが、実際にはそうなっていません。
また、御記憶かと思いますが、我々、赤字公債を再発行し始めたのは1994年、約30年前ですけれども、そのときの公債発行残高は270兆円ぐらいの借入金というか、当時の金利は5%ぐらいだったと思います。今、それが1,000兆円になったということで、借金は。この場合、金利は上がらなければおかしいでしょう。それでいながら、金利は5%からゼロ%に下がった。我々が習った経済学では、こういう状況というのは全く対応できません。
だから、今までの発想とは全く違う状態が世界で起きている中、国家運営や経済運営をしなければならないということが今の難しいところです。金利がゼロのうちに財政投融資を借りて、政府支出を出してといったような発想をする必要があります。GDPで言えば、GDPの主な3要素は、間違いなく民間支出、投資、この2つプラス政府支出です。前の2つが止まれば、3番目、政府支出をやらない限りは、この間の10万円の支給でも預金が増えていますから、総額12兆円超にも上りましたが、その結果、間違いなく個人預金が増えました。
そうした意味では、今後、どうやっていくかといったときには、やはりいろいろな要素をよほどよく見ていかないとなかなか言えないので、そうすると遅いではないかという話になりますし、結論は出さないといけない。いろいろ難しいところだとは思いますが、格付に関して言わせていただくと、今、結果論としては、日本はそこそこの格付が得られていますので、引き続き菅政権の下でも経済再生なくして財政再建なし、これはずっとこの8年間、申し上げ続けてきましたけれども、それは引き続き継続させていただこうと思っております。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、次の3人の委員ですが、冨田委員、そして伊達委員、竹中委員の3名です。
冨田委員から、どうぞお願いします。
〔冨田委員〕ありがとうございます。
2点ございまして、1点目は、先ほど大臣がお話しになりましたグロス・ナショナル・インカム、GDPに海外からのネットの受取所得を加えたものでございますが、こちらについてです。今日、事務局から御説明いただいた資料の29ページに、部門別の資金過不足が示されております。これは、通常、海外部門が入っておりますが、我が国の場合、企業、家計は巨額の黒字、それから財政の赤字が示されております。大事なことは、我が国の場合、海外部門が大幅な赤字、財政部門と並んで赤字です。しかし、その赤字の性格が21世紀になってから大きく変わりました。先ほど、大臣が御指摘になりましたように、かつては貿易黒字が原因でしたが、今はそれに代わって投資収益収支が極めて巨額なので海外部門が不足しているという形になっています。
その意味することは、これまで貿易が黒字のときには、海外からすると、日本は失業を輸出しているのではないかということで、内需喚起ということで景気対策を求められました。今は、我が国からの資本輸出というのは、海外において雇用を生み出すのでウエルカムなわけです。同時に、我が国民に対して投資収益収支をもたらすわけです。これを円滑に動かすためには、もう一方の政府部門の赤字を健全化する必要がある。
それは、先ほどの格付とも関係しますが、我が国財政の持続可能性を高めることにより、我が国の国債の信用力を高め、外貨資金調達のコストを低めることによって、資本輸出が安定的にできるようになるわけです。それは、翻って、我が国のGNIを安定的に拡大するものになります。したがって、海外部門の不足についての考え方は大きく変わっている、海外部門の赤字も我が国財政の健全化を要請していると考えるべきだというのが1点目です。
もう1点は、近年、20代、30代の若年世代における貯蓄性向が高まってきています。その理由も、物を買うとか、レジャーのためとかではなく、老後の生活資金のためにということが言われております。一方、新内閣の発足以降、いろいろなテレビなどを見ていますと、デジタル庁、携帯電話料金の引下げ、それから判子の廃止、そうしたことが大きな話題として出ておりますが、財政を健全化しようという話は聞こえて来ません。
これは、今申しました若年層の貯蓄率の上昇、消費性向の低下ということを踏まえますと、全世代型の社会保障という考え方の下に、高齢者の医療費の自己負担割合の在り方などについて、やはり発信が内閣からもあってしかるべきだと思います。7月の会長談話にございました「一層悪化した財政から目をそらしてはならない」、これがやはり全国民に対して発せられるべきメッセージだと存じます。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございます。
それでは、伊達委員、どうぞ。
〔伊達委員〕ありがとうございます。2点あります。
デジタル化、行政改革が進むということに関して大変期待しております。一方で、これが目標になりますと、どうしても各省庁が、それらを必然のコストとして捉える傾向があると思います。しかしながら、デジタル化というのは将来のための投資であると考えられると思いますので、ぜひこれはコストではなく投資だと、そして、それは常に成果がなければいけない、冒頭、おっしゃっていたと思いますが、そうした思想に全体として変えていただけないかと思っています。
2点目は、財政健全化の中で社会保障の問題が非常に重いです。それ自体が国民全体の心配事であると思います。ぜひ、社会保障そのものの健全化のために、デジタル化と生産性の徹底的な導入というスローガンも明確に示していただけるような、そんな流れにしていただけたらと思っております。これについて、もし御意見があれば伺わせていただきたいです。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、竹中委員、どうぞ。
〔竹中委員〕障害のある人に補助金より仕事を、と叫び続けて30年になりますナミねぇです。いつもこの考え方に、太郎さんに御意見、御理解いただいていて、本当に心から感謝しておりますし、引き続き副総理、財務大臣、御就任いただけたこともとても喜んでおります。
ただ、国の制度が、国の法律が障害者イコール法定雇用率、それしかありません。法定雇用率というのは、正規雇用を障害のある人が何ポイントされた、その人をポイント数に換算して今でしたら2.数%ですが、というような制度であり、雇用されることが難しい、例えば通勤できないであるとか、それから1日コンスタントに働き続けることができないであるとか、そういう方々はもう働くチャンスすら法律で得られないという状況です。
プロップ・ステーションのような活動をこの30年やってきておりますが、このような仕事と障害のある人を結びつける活動、非営利の活動は全国でも相当増えてきました。私は、そろそろ雇用率だけではなく、例えば発注率というような制度、幾らがふさわしいのか分かりませんが、企業が一定以上の量のお仕事をチャレンジドに、障害のある方にさせてあげたときには1人雇用したとみなすというような、雇用率と結びつけるのがいいのかどうかもちょっとまだ議論の余地はあるとは思いますが、いずれにしても、働けないと言われている人たちが1人でも多くタックスペイヤーになって、国の元気を支えていく側の人になっていく。30年間やってきて、まだまだ雇用率の制度しかない。本当に残念で、ぜひ菅政権において、太郎さんにも力を発揮していただいて、何とかそういった新しい、彼らが仕事のできるチャンスをつかめる制度を発足していただけないでしょうか。
本来は、財審にふさわしくない、厚労省マターのお話かも分かりませんが、厚労省ともお話ししましたが、やはり雇用率を達成することが至上命題だとおっしゃるので、そうすると、この議論はなかなか前へ進みません。ですので、ぜひタックスペイヤーを増やしていくという観点から、財審でこのような発言をさせていただきました。どうぞよろしくお願いします。
〔増田分科会長代理〕ちょうど3名の委員から御発言いただきました。それでは大臣のほうからお願いいたします。
〔麻生財務大臣〕冨田委員の外貨の資金調達コストの引下げという話は、なかなか簡単な話ではありませんが、今、幸い円が強いおかげで、それほど高いわけではありません。石油も、8年前、1バレル百何ドルでしたが、今日、1バレル40ドルぐらいまで下がっています。日本は外貨を持っておりますし、外貨準備率も高いですので、そうしたことを考えますと、今、これがというわけではありませんが、この点は常に頭に置いておかなければならないと思っております。
そして、今、消費性向が全く変わっているのは確かであると思いますが、これは働く人の絶対量が減り、いわゆる高齢者の絶対量が増えていくわけです。それこそ、岸信介総理大臣、昭和35年頃、勤労者9人で高齢者1、9対1ぐらいの比率で国民皆保険というように制度は全部決まっていますが、今は、1対9どころか、1対2に満たなくなっています。今、借金しながらこれを支えているという状況は、とても健全な状況ではありません。
したがって、一定所得以上の高齢者によります自己負担割合を、いわゆる1割負担から2割負担に上げさせてもらいますと、これは安倍内閣最後のときに、この方向性は決定させていただいております。こうしたことを含めて、いろいろな形で、自己負担をある程度上げていかなければ、制度が維持できないことはもうはっきりしています。給付と負担の話を続けていかなければ、今後、2022年以降、急激に75歳以上の方が増えますので、それに合わせてきちんと対応する必要があります。会長談話にも書いてありましたが、我々としても、この間、一層財政健全化ということは言わなければいけないと思っております。
それから、伊達委員の話について、デジタルは単なる手段ですから、目的ではありません。そのため、デジタルを使っていかに生産性が上がるかとか、そちらに行かなければいけないと思います。そうしたものがうまく使われると、竹中委員の話についても、パソコン、ICT、IoTなどというものが発達しない限り、身体障害者の方が職を得るということは考え難かった。それができるようになった最たる例だと思います。私は、プロップ・ステーションに伺ったことがありますけれども、現場を見ると驚くほど仕事は速いし、かなり正確だし、集中力は桁が違う。
また、今、オタクと言われる、コンピューターを3台持って、家で1日中作業しているような方は、実は結構な数いらっしゃいます。その能力を集めて、会社をつくって一部上場した会社がある。アメリカの会社が買いに来た。この能力をぜひと言うのに対して、あなた方でこの子たちが扱えるわけないだろう、英語はおろか、社会性だって、ネクタイだって自分が今日、結び方を教えたばかりだと言ったそうです。
しかし、見ている目の前で、100人のアメリカのプロのコンピューターの技師に対して、こちらは5人、ハッキングさせて、穴がどれぐらい空いているか見つけてくれと。アメリカは100人かけて7つ、こちらは5人で87見つけました。そして、2回やって、2回ともそのぐらいの差がついたので、うちの技師にぜひ教えてやってくれと言ったら、そのうちの若い子が外国人技師100人に向かって、彼らは自分が教えるようなレベルに達していない、もっと優秀な人を呼んでこいと言ってのけた。若い日本人ですよ。
今、実際は、そういう若い子がいます。これは現実の話です。この会社は上場しています。そういう時代になり、機械も変わってきておりますので、いろいろな考え方を変えていかないと、今の時代に追いつけなくなるというのは確かだと思いますが、私らの考えでは機械はもっと進むと思います。多分、入力なんて全部、音声入力に変わってくるでしょうし、全部3Dになったり、いろいろなものが変わって来ます。この国は、それだけで飯が食えるか。金融だけで、GNIだけで飯が食えるか。私は、なかなか1億2,000万人となると、イギリスのように5~6,000万人とは規模が違いますし、アメリカのように3億人の人口がいてもみあう資源がありますが、日本は資源がありません。
となると、何で食っていくのかというのは真剣に考えないと、今までものづくりだったものを、先ほどのお話ではありませんが、アメリカと車で騒ぎになったときは約340万台を輸出していました。今、アメリカで造っている日本の車が約350万台ですから。アメリカ製ホンダ、アメリカ製トヨタなどをアメリカからカナダに、アメリカからメキシコなどに輸出している台数だけで約40万台。かつてとは全く時代が違っておりまして、その分、日本からアメリカに輸出するのは約170万台に減った。それでも、トータル530万台になっていますが、日本で造っている分は約170万台に減っていますから、当然、その分雇用が減ったのです。だから、日本は不況にもなっていない。円が高くなったら、海外に出ていった分だけ日本の国内需要の絶対量が減っていますから。
そういった意味では、ものすごく変わった状況に合わせて苦労したこの30年間だったと思います。今、中国に偏り過ぎて、日本に帰ってこないとサプライチェーンに穴が空くなど、いろいろな話がマスクのおかげで出たりしていますけれども、今の時代に合わせて安全保障とか、経済の安全保障とかいうことを考えないといけなくなりました。この点につきましても、これは民間の話ではありますが、そういったことも併せて考えないといけないですし、経済安全保障も安保会議の中に入れないといけないと思っております。
竹中委員の最後の話は、言っていることは確かですが、一番難しいのは民民の話。民民の話ですから、政府側が、この会社を設立してあげてくださいとはなかなか言えません。おっしゃるとおり、十分配慮したところに何とかするとか、全然別の観点からいけないと、これは今までのルールで正面からいってもなかなか難しいという感じです。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、時間も大分来ておりますので、小林毅委員と黒川委員、この2人でおしまいにしたいと思います。オンライン参加の平野委員、河村委員には大変申し訳ございませんが、今回は指名しませんので、御了解いただきたいと思います。
それでは、どうぞ小林委員、お願いいたします。
〔小林(毅)委員〕どうもありがとうございます。
大臣が、以前、おっしゃっていたことで非常に印象に残っていることは、なぜこれだけ国債を発行していて借金が多い国なのに国債が暴落しないのか。それは、日本がこれまで真面目にお金を返してきた、また、返す意思をずっと見せてきたからだとおっしゃって、それが非常に腑に落ちまして、実態以上に意思を見せていくことが大事であると。この一、二年、今年、それから来年は、まさにそれを形として見せる、あるいは、きちんとそういう姿勢を見せる時期であると思います。これまで何度も出てきましたが、そういう意味では、財審もそういう責任があるということを強調していきたいと思っております。
そういうことを前提として押さえた上で、今年の要求を見ておりますと、コロナ対策ということで各省庁から要求が出てきています。それから、恐らくデジタルということも各省庁から出てきていると思います。これがある種、縦割りというか、省庁別の予算編成、要求が出てくることによって、重複している内容、あるいは類似の内容、こういったものの整理がどこまでうまく効率的にできるのかという気がしております。これは、ある意味、今の財務省側、査定する側の仕組みも少し考えていかなければいけないのではないか。言ってみれば、省庁別の主計官がいるわけですから、そこも少し見ていかなければいけないのではないかと思います。
実は、これまでもずっとそういうことが散見されていたわけですけれども、今回、それが一遍に出てくるのではなかろうか。折角という言い方はよくないですが、コロナに乗っていろいろな形を変えていこうという機運が高まっていることでもありますし、政権が替わってそういう改革機運が高まっていることもあるので、これを一つの好機と捉えて、予算編成の仕組みといったところにも少し議論を踏み込んでいってもいいのではないかと思います。
私のほうからは以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、黒川委員、手短にお願いいたします。
〔黒川委員〕ありがとうございます。
私も大分長くなりまして、麻生大臣とは何回もお会いしていて、いつも大変参考になる意見もいただいております。今でも、まだ大学人でおりますので、少しお口直しの議論を最後にさせていただきたいと思います。
今からもう10年前になってしまう東日本大震災のとき、若者とお話をするときに何を考えたかというと、第一に自然の災害と都市設計を考えました。それから、2番目に、原子力発電所の問題がありましたので、トランスサイエンスの領域の問題といって、確率は小さいですが、一度起こったら大災害になる、これに対してどういうふうに対応するか。この問題などを考えて若者と話をした記憶があります。このトランスサイエンスの問題については、つい昨日、仙台高裁で、結局、人災だったということが出ました。
そういうことで若者と話しておりますところ、今回、コロナの問題はまだ途中でありますが、何が問題なのかということでまたまた悩んでしまう。そこで、麻生大臣に、若者と話すときに何か知恵はないか、知恵をいただきたいのですが、私自身が今、思っているのは、先ほどからいろいろな意見が出ているデジタル化とか、情報の集積とか、こうした問題の行き着く先がAIの問題だと思っております。
昨日、囲碁の名人戦の途中経過も、AIの判断だと、今、挑戦者の優勢だとか判断が出る。要するに、AIが人間の能力を判断していると私は受け取りました。これはとても怖い問題で、我々人間の、文明社会の本当に一つの大きな岐路、我々人間がやることと、デジタル化の先になって、情報集積になって、その判断をAIがやる。人工知能の問題と我々人間社会の問題、ここに行き着くのではないかということを危惧、怖いというか、その役割分担をどういうふうに学生と対話するかということで、とても悩んでいます。
東日本大震災のときは10年後を予測していましたが、AI問題は、これから先、20年先、この辺でどういうふうな社会になっているのかを見据えて考えないといけない。そこで、グランドデザインというのでしょうか、何か麻生大臣が、もう80歳になられたわけですけれども、今までの経験から何か私どもに示唆があれば、お口直しの議論で結構でございます。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、大臣には、これが最後になりますので、全体を通してのことでもし何かございましたら頂戴したいと思います。よろしくお願いします。
〔麻生財務大臣〕日露戦争のときの日本銀行副総裁が、後に有名になりました高橋是清という人です。この人は、掛け算も何も全部英語だったような人ですから、少し日本人離れした方であったことは間違いない。初代特許庁長官、大蔵大臣を計五、六回、三千何百日やっておられる方です。
戦争するのにお金が要りますので、日英同盟に基づいてイギリスに借金を1,000万ポンド、ところがイギリスはお金がないということで500万ポンド。その話を聞いて、ジェイコブ・シフというユダヤ系アメリカ人が高橋是清に「おまえ、何かロシアと戦争するんだってな」「そうです」「勝てるか」と。当時のロシアは世界三大強国の1つですから、勝てるかと聞かれて、とにかく負けると言うわけにはいかない、勝ちますと言ったら、そうか、俺たち同胞のユダヤ人がロシアでえらい被害に遭って差別されているんだ、金を貸してやると、残りの500万ポンドを貸してくれた。負けたら借金は返せませんから、ものすごい度胸で貸してくれた。
幸いにして、日本は日露戦争で、奉天で勝ち、日本海海戦で勝っていますので、そのお金を金利6%か何かで返し始めた。また、翌年にもシフの会社から今度は金利4%でお金を借りましたが、そのお金を日本は一体いつ返し終わったのか。これは、実は、1970年に返しています。その間、日本は、日露戦争の後は第1次世界大戦も第2次世界大戦もやっていますから、しかも第2次世界大戦で我々は負けています。それにもかかわらず、日本はそのお金を延々と返し続けました。戦争中、送金できなくなったときも、お金がなくて返せないとは言わなかった。あのときは送金ができなかった。したがって、お金を貸したアメリカにそう言って納得させた上で日本は返さず、吉田内閣になってからもう一回契約し直して、25年債と35年債にもう15年足して合計75年債にした後、1970年に繰り上げて返し終わっています。ユダヤ人の間に、日本人にお金を貸したら必ず返るという神話をつくったのはこれが基です。
リーマン・ブラザーズが破綻しました。ジェイコブ・シフのつくった会社が後にリーマン・ブラザーズに吸収されたのですが、我々がその間、延々と返し続けた信用が、今日、日本の国債の最大の信用の源だと私は思っています。それ以後も、日本は、第2次世界大戦に負けた後、朝鮮戦争が始まったときに大量のお金を吉田茂は借りています。借りる必要もないのに金を借りて何をするのかと、うちのおやじたちは大分言ったようですが、お金を借りておいたほうが間違いなくアメリカは助けてくれる、金を借りるのが大事だ。金を貸してあるから偉いと思うのは間違っていると。世界中にこんなに対外純資産がある中で、取り返せる手段が日本にはあるのか。私は、いつもそう思います。
ですので、そういった意味では、力の強い者からお金を借りていたほうが、金を補塡するために、債権保全のために強い国は守ってくれるものであると、そのほうが安全保障になるのではないかと思っています。これ、誰に聞いても、この種のことが分かる人は、みんな当たり前の話じゃないかという話をする。
ですから、私は、日本はきちんと返し続けた方が良いという小林委員の意見には全く賛成、もう少々しんどくても返し続けるという姿勢、財政をきちんと再建させる。プライマリーバランスを含めて、基礎的財政収支を含めて、間違いなく進めていくという努力をし続ける、見せ続けるという姿勢は、絶対続けなければいけないと思っております。
黒川委員の話は、少し財務大臣に聞かれても、私のレベルではついていける話ではないですが、本当に今、驚くほど技術といったようなものは、大学ではなくて、若い、小さな小さなところでやっています。何か所か、見に行ったことがあります。私はそうしたものが好きなもので、よく見に行くのですが、えっ、こんなものになるのか、という話になります。
傍ら、ヨーロッパのほうは、やはり一応キリスト教という宗教があるので、生命に関して、その神の領域まで人間が入るということに関しては消極的です。その点、日本は、無宗教みたいなところがありますので、何となくそういったことに関してはどんどん入りやすい。そういうことになっているから進むのかもしれませんが、それはどこかで何かしっぺ返しが来るかもしれないという気持ちを持っておかないと、黒川委員が言われるようなことになるこれ以上、具体的な話を申し上げるわけにはいかないと思っていますが、いずれにしても、神や生命に対する畏れをきちんと腹に持っていないと、今、言われたようなことが将来、起こり得る危険性というのは、確かに頭に入れておかなければいけないところだと、私もそう思います。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。麻生大臣におかれましては、大変御丁寧にいろいろなお話を頂戴いたしまして、感謝申し上げたいと思います。
それでは、フリーディスカッションはここで終了とさせていただきます。
麻生大臣は、所用のため、ここで御退席をされます。
(麻生財務大臣 退室)
〔増田分科会長代理〕それでは、今日は以上ということでありますが、今後の進め方といたしまして、社会保障総論、地方財政総論などの歳出分野、並びに当分科会の中にございます歳出改革部会のほうでは、社会資本整備などの個別の歳出分野について御議論いただきまして、最終的には令和3年度予算の編成に関する考え方を建議として取りまとめたいと考えております。このような進め方で参りますので、どうぞ御理解をよろしくお願い申し上げます。
それでは、時間が参りましたので、以上で本日の議題は終了とさせていただきます。なお、本日の会議の内容につきましては、会議後の記者会見で御紹介させていただくこととしておりますので、いつも同じでございますが、会議の個々の発言につきましては皆様方から報道機関関係者にお話しすることのないよう御注意をいただきたいと思います。今日、大臣のほうもいろいろお話ございましたので、くれぐれもこの点、よろしくお願いいたします。
それから、もう一つ、最後になりますけれども、審議会の資料の保秘について改めて確認をしておきたいと思います。委員間の率直な意見の交換、審議ひいては建議の中立性を確保する観点から、建議の素案などについては対外非公表としてきておりまして、今後もこうした取扱いとさせていただきたいと思います。委員の皆様方におかれましても、対外非公表の資料の取扱い、今、申し上げました建議の素案がまずそれに該当しますが、そのほかに、場合によっては審議途中でそういうものが出てくる可能性もございます。その場合には、必ず右上のほうにクレジットで対外非公表と書くようにはしてございますが、こうした対外非公表の資料の取扱いにつきましても、改めて保秘に御注意をいただくようお願いしたいと思います。この点も確認したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、次回は、10月8日、13時から開催を予定しておりますので、よろしくお願いします。
本日は、これにて閉会いたします。どうもありがとうございました。
午後4時00分閉会