財政制度等審議会財政制度分科会
議事録
財政制度等審議会財政制度分科会議事次第
令和2年6月1日(月)10:00~12:45
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)
1.開会
2.議題
新型コロナウイルス感染症に係る対応について
3.閉会
分科会長 | 榊原定征 | 井上大臣政務官 宮島大臣政務官 太田主計局長 阪田次長 宇波次長 阿久澤総務課長 前田法規課長 斎須給与共済課長 森田調査課長 大久保主計官 佐藤主計官 渡邉主計官 吉沢主計官 関口主計官 八幡主計官 一松主計官 中澤主計官 中島主計官 岩佐主計官 坂口主計企画官 井上主計企画官 飯塚主計企画官 | ||
分科会長代理 | 増田寛也 | |||
委員 | 赤井伸郎 遠藤典子 大槻奈那 黒川行治 神津里季生 佐藤主光 角和夫 十河ひろ美 武田洋子 中空麻奈 南場智子 藤谷武史 宮島香澄 | |||
臨時委員 | 秋池玲子 雨宮正佳 上村敏之 宇南山卓 河村小百合 木村旬 権丈英子 小林慶一郎 進藤孝生 末澤豪謙 竹中ナミ 田近栄治 伊達美和子 田中里沙 土居丈朗 冨田俊基 平野信行 広瀬道明 堀真奈美 神子田章博 横田響子 |
午前10時00分開会
〔増田分科会長代理〕時間も参りましたので、開会をさせていただきたいと思いますが、冒頭でカメラが入ります。今回、ちゃんとカメラが入りますので、このまましばらくお待ちいただきたいと思います。このまましばらくお待ちください。
(報道カメラ入室)
〔増田分科会長代理〕ただいまから、財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。
皆様には、御多用中のところ御出席をいただきまして、ありがとうございます。
本日の分科会は、対面とウェブの両立ての開催となっておりまして、希望いただいた委員の皆様にはテレビ会議システムを通じて御参加いただいております。
また、本日は、井上大臣政務官、宮島大臣政務官に、密を避ける観点からテレビ会議システムを通じて参加をいただいております。
また、各主計官も、同様に遠隔での参加となっております。
本日は、新型コロナウイルス感染症に係る対応について、こちらを議題といたします。
それでは、報道陣の皆様、ここで退室をお願いします。
(報道カメラ退室)
〔増田分科会長代理〕新型コロナウイルスの影響で、会議自体、久しぶりということになりますが、コロナウイルス対策のため、委員の皆様には大変御不便をおかけいたしますが、御協力のほどよろしくお願いします。
会議の進行についてですけれども、途中で5分間程度の休憩を一度、挟みます。そして、換気を行わせていただくことにしております。
また、本日、マスク越し、テレビ会議越しの開催ということになりますので、御参加の委員の方に音声が明瞭に伝わるように、できるだけマイクに近づいて御発言をいただきますように、お願いをいたします。
それから、資料につきまして、通常、パソコンの画面を皆様方に見ていただくような形になっていますが、今回は感染拡大防止の観点から紙配付とさせていただいております。今回、紙配付になっておりますのは、そのような理由になります。
それでは、審議に入ります。
新型コロナウイルス感染症に係る対応につきまして、森田調査課長から説明をお願いします。
〔森田調査課長〕森田でございます。
お手元、右肩に資料とございます資料に沿って御説明申し上げます。
これまでの政府の新型コロナウイルス感染症に係る対応について、簡潔にまとめさせていただきました。また、その財政状況等について、ごく簡潔に御説明を申し上げ、その後、フリーディスカッションに移らせていただければと考えてございます。
表紙をおめくりいただきまして、1ページ目、受けた対応ということで、一番左側に、1月15日の1例目が発症後、本部の設置、専門家会議の設置等々の動きが書いてございまして、直近では緊急事態宣言が5月25日に解除される、こういった大きな流れとなってございます。
真ん中に、財務省にも大きく関わることでございますが、政府の取った経済対策・予算関連の措置ということでまとめてございます。2月13日に緊急対応策の第1弾ということで、帰国者支援、水際対策等を中心とする対応策、それから2月末の学校の臨時休校の要請を踏まえまして、3月10日には緊急対応策の第2弾ということで、学校の臨時休業への対応を含むものをまとめてございます。さらに、18日には、生活不安に対応するための緊急措置ということで、公共料金や税、保険料といったものの猶予の周知徹底を図る、こういったことを措置してございます。
3月末に総理の指示を受けまして、4月7日、20日とございますが、緊急経済対策の閣議決定及びその修正の閣議決定をいたしまして、同日20日に補正予算の第1号を閣議決定し、この補正予算については4月30日に成立をしてございます。一番直近では、5月27日、先週でございますが、補正予算の第2号を閣議決定してございまして、この後、こちらの補正予算の内容を簡単に御説明申し上げます。
一番右側には、参考といたしまして金融政策関連ということで、日本銀行が足並みをそろえて取っているような施策について言及してございます。直近では、5月22日に、財務大臣と日銀総裁の共同談話という形で、企業金融の円滑化と金融市場の安定を図るという旨の談話を発出しているところでございます。
おめくりいただきまして、2ページ目、3ページ目にわたりまして、補正予算(第1号)の概要というものがございます。こちら、既に成立してございますので簡潔にと思いますが、主に局面を2つに分けてございます。
第1局面として、緊急支援フェーズに対応するものが、2ページ目の(1)感染拡大防止策等々、(2)雇用の維持と事業の継続をとにかく図るという話が大きくございます。(2)の中に幾つかポツがございますが、真ん中の3つ目のポツ、中小・小規模事業者等に対する新たな給付金、その後、持続化給付金と称されているものでございます。それから、その1つ下、全国全ての人々への新たな給付金、12兆8,000億円、特別定額給付金ということで1人当たり10万円を給付するという措置でございます。
3ページに参りまして、第2局面、V字回復フェーズに向けた取組ということで、(3)(4)とございます。それから、(5)にコロナウイルス感染症の対策予備費ということで1兆5,000億円を計上し、その後、その下にございます、2.国債整理基金特別会計への繰入れは、こういったものを借金で賄うために発生する利払い費を措置するということで、総額が一番下の25兆6,914億円ということになってございます。
その姿が、4ページ目、いわゆる補正予算のフレームという形でお示ししているものでございますが、25兆6,900億円を、右側、歳入サイドで建設公債、特例公債の増発によって賄うという姿でございます。
続きまして、5ページ目、6ページ目に、先週、閣議決定されました補正予算案(第2号)の概要がございます。
5ページ目から6ページ目にわたりまして、項目が並んでおりますけれども、ポイントだけ申し上げますと、5ページ目にございます(1)と(3)にちょっとまたがりますが、雇用調整助成金の拡充等ということで、単価の引上げ、特例措置の期間の延長等を図っております。人件費に相当する手当、(3)は家賃支援の給付金ということで賃料に対する支援、人件費、家賃といった固定費周り部分の支援をしっかりと行うというものが(1)や(3)にあるものでございます。
(2)にございますのは、資金繰り対応の強化ということで、中小・小規模事業者向け、中堅・大企業向け、資本性資金ということで3つほどカテゴリーがございますけれども、一般会計からの公庫への出資金、あるいは利差補給分の措置、そういったものを一般会計から措置し、さらに財政投融資を原資としてしっかりと補正し、それに自己資金や民間資金を合わせた形で、総額で申し上げますと95兆円ぐらいの措置、1次補正の45兆円と合わせて140兆円規模の資金繰りの支援を行う、こういったことを講じてございます。
3点目でございますが、5ページ目と6ページ目にまたがりますけれども、地方向けの支援措置の徹底に関わる部分でございます。(4)、1つ目のポツにございます新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金と称するものですが、1次補正の段階でも1,500億円ほどで、国2分の1、地方2分の1で措置したものでございますけれども、これを国が10分の10という形でメニューを拡充するなど、使い勝手も、それから実際の現場に即した形で拡充するもの、これが2兆2,370億円ございます。
次の6ページ目に飛びますけれども、(5)の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を拡充してございまして、1次補正で1兆円積んだものを2兆円増額いたしまして合わせて3兆円、前のページで御覧いただいた交付金と合わせまして5兆円規模のものを措置しているという形になってございます。
6ページ目に参りまして、その他の様々なメニューがございますけれども、今回、(6)新型コロナウイルス感染症対策予備費、今後の第2波、第3波、どういう形で表れるのか予断を許さないという不確実性の下で、10兆円余りの予備費を措置しているところでございます。これに、2.利払費等963億円を加え、一方で立法措置が取られました議員歳費の減額20億円を減じて、こちらの規模が31兆9,114億円となってございます。
こちらを先ほどと同じようにフレームの姿で御覧いただきますと、7ページ目に参りまして、左上の1.31.8兆円の対策に、2.利払費と、今、申し上げました議員歳費の減額を足し上げましたものが、トータルでは31兆9,000億円という格好になってございます。これも、右側、歳入でございますが、全て公債金の収入で賄うという姿になってございます。
8ページ目に参りまして、今、御覧いただいた一般会計の補正を核とする対策全体の規模感をお示ししてございます。1次補正等というところまでで、事業規模、左上、117.1兆円程度。財政支出と申しますのは、パブリックセクターから一般会計予算、特別会計予算、それから財投、あるいは地方からの支出ということで、パブリックセクターからしっかりとお金を流すというくくりになりますけれども、48.4兆円程度。2次補正等、今、申し上げましたものを含むものですけれども、事業規模としては同じ117.1兆円程度。財政支出ベースで申し上げますと72.7兆円程度。この内訳といたしまして、国費が33.2兆円、財政投融資が39.3兆円、この33.2兆円の中に先ほどフレームで御覧いただきました31.8兆円が入っていると、こういう姿になってございまして、トータルで申し上げますと、左下、234兆円に上る規模、財政支出というくくりで御覧いただきましても120.8兆円という大きな姿になっているところでございます。
9ページ目に参りまして、一般会計につきまして、結果的に当初予算からどのような姿になっているのかということを簡潔に表しているものでございます。当初予算の規模、こちらちょっと言及ございましたが、102.7兆円だったものに、右下、公債金の欄を御覧いただくと分かると思いますが、1次補正で25.7兆円、2次補正で31.9兆円、締めて57.6兆円がのる形になりますので、トータルの一般会計が160.3兆円という大きさになってございます。公債金、もともと32.6兆円だったものが90.2兆円まで大きく膨れ上がり、公債依存度を計算いたしますと、当初の31.7%という水準から56.3%に跳ね上がるという格好になってございます。こちらのフレームで一般会計のプライマリーバランスを御覧いただきますと、一番下にございますが、当初予算9.2兆円であったものが66.1兆円まで大きく悪化をする姿となってございます。
10ページ目には、簡単な国際比較のグラフをつけてございます。先ほど御覧いただいた234兆円に上る日本の対策規模、GDPがおよそ550兆円程度でございますので、4割を超える対策の規模という姿が一番左側のグラフになってございます。諸外国、様々な措置を取ってございますが、また、いろいろな定義がございますけれども、諸外国の中でも日本の対策規模が抜きんでて大きい姿が御覧いただけるかと思います。なお、こちらの対策につきましては、中央銀行で取っているいろいろな買入れのオペですとか、ファシリティーの設置、こういったものは含まないベースで作成をしておるところでございます。
11ページ目に、これまでワニの口ということで作ってきたグラフですけれども、大きく変容する姿を御覧いただけるかと思います。元年度までは補正後の姿がありますけれども、2年度の部分について、2次補正の案を含めたベースのものを御覧いただきますと160兆円に上る歳出。それから、青い線、こちら税収でございますが、平成30年度までは決算ベースの確定数値でございますが、元年度、2年度は現時点での補正後の数字ということになります。したがいまして、元年度、現在、60.2兆円という小さい数字、こちらが補正後の税収の見積りとなってございますが、7月になりまして決算が出ますと、この60.2兆円も残念ながら下のほうへ移ることは必至かと思います。また、2年度につきましても、納税の猶予、それから経済全体の落ち込み等々ございますので、63.5という数字はあくまで仮の姿ということで、右上にある56.3%の公債依存度もあくまで現時点での数字ということも、念頭に置いておく必要があるかと思います。
12ページには、今、申し上げたフローの悪化をストックに、現時点で分かる情報として焼き直しますと、一番右側、2年度につきましては964兆円という数字がございます。前年度からのGDP比の悪化は、こちらの統計上で申しますと160.8%から169.0%に悪化をするということで、先ほどの国債の増発が57兆円程度でございますので、こういったものが、GDP比でいうと10%弱ぐらいは、ざっくりとした計算でも悪化をさせる要因につながるというものでございます。
13ページには、こういったファイナンスを行う上で念頭に置いておくべき国債の発行年の数字でございます。一番右側に、今回の2次補正を受けた姿がございます。右下にございますのが一般会計の普通国債90.2兆円、その右から3本目に当初予算ございますが、32.6兆円だった当初の計画が90.2兆円に跳ね上がってございます。他方、マーケットとの関係ではこれだけではございませんで、一番上にございます水色の部分、財投債も補正増を行ってございますので、当初では12兆円だった財投債の発行が42兆円強増えて54.2兆円まで増額になっている。こういったものは、全て市中消化ではなくて、ここから一定の年度間調整を行った上で、いわゆるカレンダーベースでマーケットにさばいていきますけれども、253兆円のうちカレンダーベース200兆円を超える水準、これまでで最高額の水準を市場の信認を得ながらファイナンスしていく必要がある、こういったことが現状でございます。
以上が、ごく簡単なコロナの対応、それから現時点で把握できる財政状況の簡潔な説明になりますが、資料はございませんけれども、幾つか補足事項を申し上げさせていただきます。
財政制度審議会の運営の中で、海外調査を予定してございました。4チームに分かれていただきまして、2月と3月に2チームずつ行っていただく予定でございました。2月のうちに、デンマーク、イギリス、それからドイツ、ベルギー、こちらの2チームにつきましては、コロナの影響を受ける寸前のところで何とか滑り込んで、しっかりと帰ってきていただいておりますが、後半の3月に予定しておりましたフランス、スイス、それから米国、カナダは、コロナの状況を見極めて、直前まで意思決定が遅れてしまいましたけれども、残念ながらキャンセルという格好になってございます。無事、行くことができました2つのデリゲーションについては、今後、どういったタイミングで、どういった報告をまとめるか、検討させていただきたいと考えてございます。
それから、最後になります。こちらは政府全体の話でございますけれども、今般のコロナの対応にまずは万全を期すというのが政府の方針となってございます。その結果といたしまして、コロナ感染症への対応に専念する必要があるということで、概算要求について要求期限を9月30日に1か月遅らせている。その基準の内容につきましても、できる限り簡素なものとする。「骨太の方針」についても、1か月ほど遅らせて7月半ばを目途に閣議決定すべく策定作業を進める。また、その記載内容については、極力簡素なものに絞り込んでいくという方針でございます。併せて、一つ各論でございますけれども、政府に置かれておりました全世代型社会保障検討会議、本来であればこの夏に最終取りまとめを行う予定でございましたが、こちらにつきましても、コロナウイルス感染症の拡大に伴い、最終報告を本年末に延期し、7月の時点では第2回目の中間報告でしのぐという格好になってございます。
以上、誠に簡単ではございますが、私からの説明となります。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
新型コロナウイルス感染症への対策では、今、説明がありました財政政策のみならず、金融政策の面でも対応されております。本日、日本銀行から雨宮副総裁にも御参加をいただいておりますので、金融政策に関連し、雨宮委員から簡単に御発言を頂戴したいと思います。
では、よろしくお願いします。
〔雨宮委員〕ありがとうございます。
それでは、せっかくの機会をいただきましたので、私からは、最近の金融政策運営と、財政・金融政策のポリシーミックス、あるいは、よく世の中で財政ファイナンスと言われる論点について、私どもの考え方を申し上げたいと思います。
まず、金融政策運営でございますが、先ほどの資料でも御紹介いただきましたとおり、私ども、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に最大限の貢献を図るという観点から、3月以降、数次にわたり金融緩和の強化を進めていまいりました。これらのこれまでの政策運営は、まとめますと3つの柱から構成されております。
第1の柱は、企業等の資金繰り支援であります。このために、総額約75兆円になります新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラムを導入いたしました。ここには、CP、社債の大規模な買入れですとか、金融機関に対する新しい資金供給オペなどが含まれております。
第2の柱は、金融市場の安定維持であります。具体的には、国債買入れやドルオペによります、円貨、外貨の上限を設けない潤沢な供給であります。国債買入れにつきましては、それまでの年間約80兆円というめどを撤廃しました。本年2月以降でありますけれども、円とドルを合わせまして、既に30兆円の追加資金供給を行っております。
3つ目の柱は、資産市場におけるリスクプレミアムの抑制であります。このための手法はETFやJ-REITの積極的な買入れでありまして、当面、ETFの買入れについては、年間約12兆円という増加ペースで実施する方針であります。
こうした3本柱の措置の効果もありまして、金融市場は4月以降、なお神経質ながらも徐々に安定を取り戻してきておりまして、一頃上昇しかけた、あるいは実際に上昇したCP、社債の発行金利も低下しておりますし、民間金融機関の貸出しも着実に増加しております。
さて、以上の緩和措置のうち、日本銀行の国債買入れについて、財政ファイナンスという論点もありますので、改めて私どもの考え方を2つ申し上げたいと思います。
1つは、ポリシーミックスということでありますけれども、現在のような緊急事態の下では、政府と中央銀行が連携して政策を進めることが重要かつ効果的であります。政策当局が連携して対応する姿勢は、国民や金融市場に安心感を与えることになります。また、政府の積極的な財政措置と、日本銀行の金融緩和措置は相乗効果をもたらすことが期待できるわけで、いわゆる財政金融のポリシーミックスの効果であります。
第2に申し上げたいことは、こうした連携は、政府、中央銀行それぞれの政策目的に基づく役割を明確にして行うことが大事であるという点であります。私どもの積極的な国債買入れは、第1に、債券市場の流動性が低下している下で市場の安定を維持すること、第2に、長短金利操作を実現する観点から、経済、物価、金融情勢を踏まえ、イールドカーブ全体を低位で安定させるという金融政策上の目的で運営されております。
このように、現在の国債買入れは、あくまでこうした金融政策運営上の必要に基づいて実施するものであり、政府による財政資金の調達支援を目的としてはいません。ちなみに、国債を大量に購入すれば財政ファイナンスとしてしまいますと、世界のほとんどの中央銀行は前から財政ファイナンスをしているということになってしまいますので、それ自体としてはあまり意味のある議論ではありません。もう少し幅広く、様々な条件を考える必要があろうかと思います。
いずれにせよ、私どもとしては、こうした低金利政策の将来につきましては、いずれ経済、物価情勢が改善していけば、その改善した景気、物価情勢に応じた金利水準の実現ということを促していく方針であります。これは当審議会でも前から議論されてきたことではありますけれども、こうしたやや長い目で見た財政の姿を考えるに当たっては、低金利がいつまでも続くと想定することは適切でないと考えております。
私からは以上になります。ありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕どうもありがとうございました。
それでは、これまでの説明も踏まえまして御意見等ございましたら、お願いしたいと思います。
まず、この場に御出席されている皆様方で御意見がある場合は、いつもどおりネームプレートを立てて合図をいただきましたら、こちらのほうから指名をするということにいたします。また、テレビ会議システムを通じて御参加いただいている皆様方で御意見がある場合には、テレビ会議システムの画面上に「挙手する」というボタンがあるかと思いますので、そちらのクリックをお願いします。こちらでまた後ほど指名をさせていただきたいと思いますが、システム運営の便宜上、議場に出席されている委員を先に指名いたしまして、その後、テレビ会議システムに御参加の皆様方を指名すると、こういう形で進めていきたいと思います。なお、先ほど申し上げましたとおり、途中、5分間程度の休憩を挟んで換気を行わせていただきますので、その際は、また私のほうから申し上げたいと思います。
それでは、議場の皆様方の指名ということで、大槻委員から順番に進めていきたいと思います。大槻委員、河村委員、木村委員と、こういう順番で行きます。
それでは、お願いします。
〔大槻委員〕ありがとうございます。
御説明ありがとうございました。こういった局面でありますから、財政の使い方、そして規模については、緊急的なものとして、ある程度やむを得ない形での拡大かと思って拝見していました。しかしながら、11ページ目にお示しいただいているワニの形が、既にワニの口という感じではなくなっている、これについてはやはり危機感を感じざるを得ないと思います。
そういう中で、やはり我々として見ていかなければいけないし、お願いしたいこととしては、有効な使い方、この一言に尽きるんだと思います。では、有効といったときに何を気にするかというと、先ほど雨宮委員からもありましたけれども、長期目線ということで考えたときに、今回のコロナからの確実な回復、V字回復という、その先の成長まで見据えたような形での使い方に、ぜひとも目を配っていっていただければと思っています。
具体的には、特に2つほどありまして、1つは教育関係でございます。こちらの資料の中でも、リモート学習ということで、インターネット環境、それからデバイスなどに対しての配慮をしていただいているようですけれども、なかなか現場のほうに、まだそれが完全に伝わって、使われているような印象もない中で、これを後押しするような制度的な枠組みが何か必要なのではないかと思っています。
もう1点は、企業支援であります。企業支援のほうは全方位的にやっていて、徐々に中小企業の方々にも安心感は広がっていると思うのですが、長い目で見た成長といったときに、緊急的な給付金ですとか、短期的な融資に加えて、資本性ということが今、出てきていますが、それについては少し支援先を選んで、長い目での成長を促すようなところに対しての目利きということに、配慮をしてやっていっていただければと思っています。
以上が成長の話ですが、ちょっと補足で、先ほどありました海外調査です。今回は途中までということになったかと思うんですけれども、今後、新型コロナウイルスがある程度落ち着いた時点で、その影響、各国の状況も踏まえて、改めて調査することができればと考えています。
以上です。
〔増田分科会長代理〕はい、ありがとうございました。
それでは、河村委員、お願いします。
〔河村委員〕ありがとうございます。
御説明ありがとうございました。今回の対策について、財政運営全体について意見を言わせていただきたいと思います。本当に突然、こういう状況に陥って、これだけ大きな影響が出ている中、万全を期す必要があるだろうということで、規模とか、数字とか、グラフを見ると、改めてぎょっとしてしまうというか、ぞっとしてしまうような上がり方ですけれども、本当にやむを得ないことではないかと思います。ただ、今は緊急の対応を考えている局面でありますので、もうちょっと先になってからということかもしれませんけれども、もしかしたら、すみません、この審議会に与えられているマンデートを少し超えてしまうかもしれないんですけれども、やはり財政運営全体への目配りということを徐々に考えていくべきだろうと思っております。
常々、私、この国は何でこれだけ借金が積み上がってしまったのかということを考えたときに、やはり一つ、国債の60年償還ルールということが大きいと思います。今は、建設国債だけではなく、赤字国債も1回出すと60年償還が前提になってしまいます。私も海外の主要国の償還について調べたことがあって、照会のメールなどを出すと、私みたいな民間のエコノミストが尋ねても、御丁寧な、本当に理路整然とした御返事をくださる当局が幾つもあったんですけれども、どこの国も借換債を出さないことはありません。出していらっしゃるけれども、日本みたいに、10年たったときに6分の1しか返さないで、6分の5借り換えてしまうというルールなどはない。「それでは河村さん、財政再建なんてできないではないですか、借金の残高なんて減らせないではないですか」なんていうメールが海外の当局から来たりします。みんなどういうふうにやっているかというと、別に幾ら返す、幾ら借り換えしないということを決めているわけではないけれども、なるべくやはりその時点、その時点で、政治の責任でしっかりと財政再建を進める。今の段階、景気が少しいいから借り換えしないで、ちゃんと現金償還しようということでやる。それがある意味、今日も各国の比較のグラフが10ページにありましたけれども、下のほうに債務残高のGDP比が出ていますけれども、これだけ差がついてきてしまった要因の一つではないかと思います。
そういったことを踏まえた上で今回の対策について見ると、もう赤字国債を出して取りあえずやるしかない、それは本当にしようがないと思います。だけど、今回のような危機を60年もかかって償還するような財源にしてしまって本当にいいのか、という気が私はいたします。東日本大震災のときにも同じような議論がありました。めったにない大震災、大地震でしたけれども、現世代の負担で何とか乗り切ろうということで復興債のスキームを考えて、多分、25年だったと思いますけれども、所得税はまだ続いていますので、私たちは今も自分の所得税額の2.1%分を上乗せする形で復興所得税を払っています。でも、それに文句を言う声なんて聞こえてこないじゃないですか。震災であんなにひどい目に遭っても、みんな納得しています。
今回だって、同じことだと思うんです。今回の危機の特徴、私も海外の例などいろいろと調べていますけれども、やはり冷静に見なければいけないのは、大変なんだけれども、影響にはばらつきがある。日本の新聞にも出ていると思います。大変な業界がすごくある一方で、史上最高益という企業や業界も結構あるんです。デジタル関係とか、そういうところもある。それから、個人でも、本当にいろいろな業種が深刻な影響を受けていることは理解しますが、逆に言うと、私もある意味、在宅勤務ができる仕事です。影響を受けた方々に対して本当に申し訳ないぐらいに思ってしまいますけれども、在宅勤務できる人間は本当に幸せです。だから、やはりそういうことも考えると、震災のときのスキームなども少し併せて考えながら、今回、国債を増発する、取りあえずはもう国債を出すしかないからしようがないと思うんですけれども、もうちょっと長い目で見たときにきちんとした償還計画を考えるべきで、こういう感染症の対策費を60年かかって償還することが許されるような話では、私はないと思います。少なくとも、今を生きている私たちの世代が、何年かかかるような形で、みんなで負担しながらやっていくという仕組みを考えていくべきなのではないかと思います。
すみません、一部この財審のマンデートを越えてしまったところがあったかもしれないですけれども、以上でございます。
〔増田分科会長代理〕はい、ありがとうございます。
それでは、木村委員、お願いします。
〔木村委員〕御説明ありがとうございました。
今回、コロナ危機というのは、過去の経済危機といろいろな分野で大きく違って、難しい対応を財政当局も迫られたと思います。その中で、こうやって補正とか、様々、御苦労されてつくり上げられたということで、すごくその御苦労を察したいと思っています。
その上で、3点、質問ですが、1点目は、森田課長おっしゃいましたけれども、今後の段取りです。「骨太の方針」が7月に策定されると伺いました。例年ですと、財審とかを含めて、各省庁の意見を踏まえて「骨太の方針」がつくられると思うんですが、今回、どのような段取りになるのか。それこそ、今日の財政審でも、財政支出の必要性を認めながらも財政規律に関する意見が出たんですけれども、こういうことをきちんと「骨太の方針」にも反映してもらえるのかというのが一つです。
2つ目は、その財政規律に関する意見です。私も、今回のような危機に関しては、これだけの大規模な財政支出はもちろんやむを得ないかとも思いますけれども、一方で最低限の財政規律を維持するということは大事だと考えています。とりわけ、今回、2度の補正の財源、全額国債になってしまったということで、これもやむを得ないかもしれませんが、例えば当初予算の事業の見直しで一定程度の財源を捻出できなかったのか。例えば、コロナ危機で、当初予算に組んだ事業でもある程度先送りしてもやむを得ないとか、したほうがいい事業があったとすれば、そういうところをある程度見直して、今回の補正予算の財源にできなかったのかというのが2点目です。
3点目は、今回の2次補正の予備費です。予備費、臨機応変の対応ということで、当然、必要だと思うんですが、やはり使途を定めない予備費は最低限にとどめるべきではないかという気もしています。そういう意味で、10兆円というのはやや多過ぎるのではないかという感じがします。特に、財政民主主義の観点から言うとちょっと疑問なところもあるので、やはりその都度、補正で、国会承認を得て支出するというのが本来の筋ではないかなと思いますけれども、改めて予備費を10兆円設けたことに関する理由について御説明いただければと思います。
この3点です。よろしくお願いします。
〔増田分科会長代理〕今、3点、御質問がありました。この場での皆様方の御意見をまとめて、その段階で事務局のほうから一度お答えいただくという形にいたしたいと思いますので、しばらくまた質疑のほうを続けたいと思います。
それでは、続いて神津委員、お願いします。
〔神津委員〕はい、ありがとうございます。
危機的な事態の克服に向けては、財政の力が決定的に重要だということは論を待たないと思います。この間、連合としても、様々な観点で政府に要請をしてきておるんですが、この場におきましては、今後を見通したときに不可欠ではないかと思われる基本的な論点を、以下、3点に絞り込んで発言させていただきたいと思います。
まず、1点目は、国民の不安の解消こそが最も重要である、基本中の基本だということであります。感染の克服及び防御、並びに経済の立て直し、これは決して二律背反ではないと私は思っています。いずれも、国民の不安の解消が基本中の基本であるということだと思います。
新型コロナウイルスの最大の特徴は、感染リスクが見えないということだと思います。この見えない感染リスクと対峙していくためには、いつでも普通に検査を受けられる、そういう環境を実現すること。そして、感染者がその症状に応じて入院、あるいは隔離が遅滞なく施される、そういった体制の確保が不可欠だと思います。このこと自体は言い古されていることではありますが、これを本当に万全なものにすることによってのみ、単に怖がるだけではない日常生活の確保と経済活動の立て直しが可能になるということだと思います。
次なる感染リスクの波は、これまでのウイルスよりも脅威の度合いが高まることもあり得ると思います。たとえそうなっても、医療崩壊は起きない、起こさないという確信を国民が持てるようにするためには、検査数の抜本的拡充、それから病床及び隔離施設のキャパの確保、これが不可欠であります。また、医療従事者の保護、あるいは経営基盤の維持、確保もなくてはならないと思います。補正予算の内容がそのことを担保し得るものなのかということについて、実行面を含めて検証を求めておきたいと思いますし、場合によっては予備費の機動的な執行ということも求めておきたいと思います。
2点目です。雇用の維持に向けた緊急的な対応と、一方での持続性の確保についてであります。先週末に発表されました総務省の労働力調査によりますと、4月の休業者数は約600万人ということで、前月の3月時点の約250万人から急増しています。この差350万人とは何かと言えば、端的に言えば各種の給付、あるいは貸付けを当てにしながら、何とかその場をしのいでいるということにほかならない数だと思います。これを失業に転じさせないためには、一刻も早い給付、貸付けの到達が不可欠であり、あらゆる手立てで促進を図るべきだと思います。
その一方で、事態が長期化をするということも踏まえつつ、今後、こういった緊急対応策だけではなくて、この間に露呈した課題を俎上に上げて、それを克服するための様々な備えを実現していくことも、並行して進めていく必要があると思います。影響が集中して出ている業種、あるいは職種が新しい生活様式を前提とする中で、どのように持続していけるのか、そのサポートとともに、実際に雇用がどういうふうになっていくのかということについては冷静に見極める必要があると思います。一方では、人手不足を高めている業界もあります。あるいは、公務、公共サービスの人材補充も喫緊の課題だと思います。失業なき雇用の移動を担保する仕組みを、国の責任と労使の力で構築をしていく必要があると思います。
そして、先ほど述べた給付、貸付けの到達、これが遅れている状況にあります。あるいは、感染者数とか、検査数、こういった医療情報の把握も、いかにITの技術が実際には使われていないか、宝の持ち腐れになっているということも明白になっていると言わざるを得ないと思います。ITを現場になじませるということも、マンパワーの補充なしには実現しないと思いますので、併せてそのことも申し上げておきたいと思います。
最後、3点目ですけれども、非常時における財政出動の必要性と、一方での財政規律についてであります。雇用のセーフティーネットの確立とともに、生活保障のセーフティーネットもフル稼働させる必要がありますから、その下で生活保護制度は言わば最後のとりででありますので、自殺者を出さないためにも、これは躊躇なく活用されるべきだと思います。
そういったことを含めて、全般にわたって非常事態でありますから、財政出動自体は遅滞なく、十分な規模で行われるべきだと思います。新たな国債発行もやむを得ないと思います。ただし、その分、財政破綻のリスクは従来よりも前倒しになっているということも、覚悟しなければなりません。補正予算が財政規律の尻抜けになっているということは、この審議会で再三指摘されてきましたけれども、今回の予算内容においても、ややもするとその傾向を拭えないのではないか。あるいは、全体の金額を誇示することで対策の評価を求めるような姿勢は、厳に慎むべきではないかと思います。将来世代に対する責任を果たす意味でも、独立財政機関の設置を考えるべきだということも申し添えておきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕はい、ありがとうございます。
それでは、佐藤委員、お願いします。
〔佐藤委員〕ありがとうございます。
では、私のほうからも大きく3点ほど。第1点目ですけれども、やはり今回のコロナは、多分、最初は短期決戦思考だったと思うんです。とにかく水際で抑え込んで何とかしようと。でも、結果的に見れば、我々はもうウィズコロナの時代に入っているので、むしろ共存、ありていに言えば長期戦になっています。そのときに国民の安心をどう確保するかというところで、ぶっちゃけ、今回、補正予算も規模ありきになったのは、大きな規模を打ち出すことによって国民の安心につなげようと思ったのかもしれませんが、多分、つながっていないんです。
何でと言われたら、まず10万円だって給付されていない、つまり執行の迅速性が確保できていないということ。今回、学校休業もそうだし、一律10万円もそうですけれども、政策決定の現場と、政策を実行する自治体を含めた現場の距離感です。ぶっちゃけ、申し訳ないけれども、政策を決めた方々は現場を見ないで決めてしまっていると思うんです。だから、結果的に現場が混乱するんです。結局、それが政策の実効性をかなり低迷させる。これでは、国民は不安なままになるということ。
それから、神津委員からも御指摘ありましたが、やはり今回、所得をどう保障するか、雇用をどう守るかのほうがすごく大事で、恐らくこの後、出てくるのは、消費税を減税して消費を喚起しろという話だと思いますけれども、国民の安心を真に確保するためには、消費を喚起するのではなくて所得をどう保障するかだと思うんです。そのためには、例えば所得が下がった人たちに対してどうやって迅速な手当てができるか。これも、従来のやり方でいけば、どうしても手続が複雑になる。あの書類出せ、この書類出せになりますので、むしろ書類はできるだけ簡素にして、詳しい書類は後から出してもいいという形で事後調整をする。そういった形で、とにかく迅速性をどう担保できるかということにかかってくるかと思います。
2つ目ですけれども、今回のコロナは、別に日本経済にとって新しい問題を生み出したのではなくて、これまであった問題を露呈させただけ、平たく言えばデジタル化がいかに遅れていたかがよく分かったわけであります。また、オンライン申請もそうです。だから、使う側もそうだし、行政側もいかにデジタル化に不慣れかということがよく分かったということ。オンライン診療も、遠隔授業ができないのもそうです。海外では、学校休業になったら明日からもできる、だって遠隔で授業すればいいんだからということになるわけです。私、規制改革推進会議にいるので、デジタルガバメント委員会ワーキング・グループというものがあって、そこでもさんざん議論しているんですけれども、やはりこれを機にどこに金を使うかと言われたら、はっきり言えばデジタル化に金を使いましょうと、これは未来への投資につながると思います。
それから、3つ目、これが最後になりますけれども、やはり財政規模の拡大というのは決して財政規律の喪失を意味してはいけないと思うんです。リーマンショックの後のことを思い出してもらうと、あのときもざっと歳出が増えた後、実は変わっていないんです。1回、風呂敷を広げると、なかなか閉じるのは大変になると思います。ただ、今回、例えば持続給付金であるとか、家賃補助であるとか、明らかに一時的な支出があるわけで、これは明らかにコロナが終わったらやめるべき支出でありますので、この後、広げた風呂敷をどうやって閉めることができるか、ここにかかってくるという気はします。
あと、ちょっと気になっているのは医療の話であります。もちろん、医療従事者の方々、大変苦労されていますし、非常に大変な状況にあるのは分かるんですが、我々は過剰な病床を抱えているという、一方の現実もあるわけであります。今回、コロナで、ベッドが足りなかったわけではないんですが、病床の不足が指摘される傾向がありますけれども、そのことをもって、例えば地域医療構想をやめて病院の数を増やそうとか、ベッドの数はこのままでとなってしまうとちょっと違うかなと。ここは、医療機関の役割分担、病床の機能分担を明確に進めていくことによって対応するという姿勢があっていいかなと。
それから、予備費の話も、先ほど出ましたけれども、多分、10兆円は何かに使い切ってしまいますよね。なので、もし使うのであれば基金化して、少しじっくりというか、あまり拙速な使用はさせない。震災のとき、そうだったわけですが、基金化させていく。もう一つ言うと、これも復興のときそうでしたけれども、コロナ対応は別勘定にして、通常、平時の財政支出と非常時の財政支出に分けて、いずれ閉じるものとしてつくっていく。先ほど河村委員からも御指摘ありましたが、これはどこかの段階で、何というか分かりませんが、コロナ何とか対策税とか何かで、我々の世代の中で何とかけりをつける。そういった形で対応していく必要があるかと思います。基金化と別勘定というのは、少し考えてみたほうがいいのではないかと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、末澤委員、お願いします。
〔末澤委員〕どうもありがとうございます。
私のほうからは、短期的な話と、ちょっと中長期的な話と、2つに分けてお話ししたいと思うんですが、今回のコロナ危機、コロナショックの特徴は、コンテイジョン、感染、伝染のスピードの速さだと思います。過去、今回の危機の12年前にリーマンショックがございました。その前には、例えば金融危機、またバブル崩壊、オイルショックとあったんですけれども、過去は大体、何かのイベントが起きて、最終的に株価が大きく下落するとか、経済が低迷するのに数年のタームがあったんです。
今回は、実は今年2月に、アメリカの株価、日本の株価も最高値をつけて、3月23日、40日で大底、これが大底かどうか分かりませんが、当面の底をつけている。何でこんな速いかというと、これは感染とか、人為的なものではなくて、もう病原体、SARS-CoV-2という今回の新型コロナウイルスがどんどん広がっていく。これをとめるために、昔からの手法ですけれども、隔離をしないといけない。ですから、今回ですと、ロックダウン、都市封鎖を人為的にやって経済を止めている。要は、自動的にだんだんと経済が傷んでいくのではなくて、もう能動的に、政府の権限で止めているというのが今回のショックの特徴ですから、そういうことを考えると、まずはスピード感が大事なんです。ですから、そういう意味で、私は今回の補正、規模は別として、もう少し早くやったほうがよかったのではないかと一つ思っています。
あと、その関係で、今後、経済を止めるのか、再開するのかという問題が緊急事態宣言の再発動とかの問題で出てくると思うんですが、欧米での基準は、経済活動再開の条件として、感染の状況、2つ目は医療体制、3つ目は監視体制です。この監視体制というのは、実は検査とトレースがセットになっているんですが、この3つをスタンダードとして出しています。日本も、今回、ちょっと出ていますけれども、私は最後の監視体制はちょっと弱いと思っていますので、検査とトレースを含めて、予備費の今後の執行条件、どういった形で執行していくのかということと、今回の第1、第2次補正予算で検査の経費、今回、2次補正で660億円という金額がちょっと流れていますが、本当にその程度で大丈夫なのかということをちょっと質問したい。
2点目、これは中長期的な話ですが、先ほどのワニ口の話、11ページです。ちょっと11ページを出していただきたいんですが、私、この会議でも過去、何回も申し上げたのは、実は危機というのは、もう100年に一度、1000年に一度ではなくて、10年に一度は来ますと。2008年にリーマンショックがありました。このグラフですと、前回、ワニの口が開いたのは2008年、2009年です。その前に、1回開いています。これは金融危機、平成10年頃です。その前に開いているのは、平成元年、2年、これはバブル崩壊です。その10年ほど前、昭和55年当時、1980年、これが第2次オイルショックです。たまたまと言えばたまたまですが、大体10年に1回ずつぐらい危機が起きる。
危機が起きると、我が国の場合は、まず税収が落ち込むとともに、今回の補正のように歳出がどーんと膨らみますから、もう一挙にどーんと財政赤字が拡大するんです。逆に言えば、財政健全化をやるのはもう平時しかいないんです。有事にはもうできません。やろうと思っても、税収も減りますし、今回のように緊急対応の予算は絶対です。そういう面では、財政健全化というのは平時にやっていかないといけない。
では、日本は今後、今回のような危機は来ないのかというと、十分まだまだある。例えば、今回のパンデミックはたまたまかというと、私は全くたまたまとは思っていませんで、インフルエンザパンデミックというのは20世紀に入って4回発生しています。直近は2009年、一番古いのは1918年、19年、20年のいわゆるスペイン風邪ですが、実はそれ以外に、今回のコロナウイルスに関して見ると、2002年、03年にSARS、2012年にMERSが発生していまして、要はだんだん、だんだん発生確率が増えているとも言えるんです。この背景には、多分、グローバル化と気候変動がある。つまり、かつて未知の、人が踏み入れないジャングルにいたウイルス、今回のコロナウイルスもコウモリ由来とされていますが、そこに密接する機会が増えているわけです。ということは、今後は、グローバル化のある面、負の側面としてパンデミックがまた増えてきます。
また、地震です。南海トラフ地震は30年来の発生確率が76%、首都直下型地震は30年来の発生確率が70%と言われていますが、これも発生し得る可能性は極めて高い。今回のコロナショックで、雇用不安もあって、少子高齢化が一段と進む可能性もあります。また、グローバル化、インバウンドもなかなか厳しくなっている。そういうことになると、今回の危機を早期に終息させることに全力を注ぐべきですが、その後はやはりもっと中長期の対応を考えた財政健全化と、人口政策の上、国の成長率を上げていく。これを早期に対応していかないと、次の危機にはもうもたなくなる。
私は、今回、相当大きなバッファーが一段と減ったと思いますので、そういう意味では中長期の観点を、どこかでやはりギアを変えていく局面が、これは来年になるか、再来年になるか、もっと先になるかもしれませんけれども、ここだけは当審議会として今後も注視していただきたいと考えています。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、田近委員、お願いします。
〔田近委員〕田近です。手短に。
今まで多くの議論、指摘されて、私もそう思うんですけれども、今日、我々がここに集まっている意義というのは、そうした意見をどれだけ適切に、分かりやすく発信するか、そのまとめ方だと思うんです。コロナ禍の緊急対策の在り方とリスクが課題です。もちろん在り方に関して、資金繰り等の事業主支援、あるいは雇用維持、生活維持、その必要性は十分認める、緊急対策の意義をまず認めたとして、コロナ禍の緊急対策の在り方、私は2つ、3つあると思うんですけれども、第1点、雨宮委員の御説明が非常に分かりやすかったんですけれども、最後におっしゃったのは、日銀も必死になって金利が上がらないように支えている、しかし、いつまでそれができるか分からない、低金利がいつまで続くか分からない。我々としては、これが現状認識の最初の一つにあるべきだ。
もう一つ、今回のコロナについて見ていて、私も多少書いたりしたんですけれども、特色は、被災者がすぐに特定できないわけです。地震の場合だと、地域で被災した人たちが分かる。ところが、今度、誰の所得が減ったかというのは、デジタル化のところに絡みますけれども、分からない。私自身は、そういうことを考えて、とにかく一時的に一律給付で、10万円はともかく、配るべきだと。それを書いた途端に、まさかそうなると思わなかったんですけれども、とにかく一律で配る。だけど、一律で配っていいのではなくて、時間がたてば、誰がつらい目に遭って、誰がそうでなかったか分かるはずです。
第2点としては、やはり一律で給付することはやむを得ない、必要だったけれども、それをきちんと回収するんだということは、言葉はきついかもしれませんけれども、必要だと。資金回収です。
第3は、皆様おっしゃったように、私もここまでデジタル化の問題が日本で遅れていると思わなかった。私が例の30万円の現金支給に対して反対した理由は、できっこないだろう、市町村に所得判定なんかさせても窓口がおかしくなってしまう、だから一律だと言ったんです。その一律が窓口にこれだけ混乱を起こすというのは、私も想定できなかった。
そういうことで、やはり我々もここら辺りで所得情報、特に税と財政の連携を図らなければいけないということで、3点、雨宮委員の議論の続きですけれども、日銀の必死の金融緩和でも金利は将来どうなるか分からない。災害の言葉で言わせていただくと、復興対策費の回収をきちんと図るべきだ。そして、デジタル化の推進。要するに、おっしゃった幾つかを明確に取りまとめて、発信していくべきだと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、田中委員、お願いします。
〔田中委員〕田中です。ありがとうございます。私から、4点ほどお話しさせていただければと思います。
まず、今回の財政措置から生み出される、特に支援策を生かした事業の成果を検証して、その活力を見える化することが大切かと思っています。
2つ目は、今回の対策及び予算が社会の課題解決に生きるように、中長期目標も示して、国民が理解できるようにしていくことが大切です。今、この場をしのがなければとか、今が大事という発言が結構出ますけれども、それプラス、やはり中長期の、少し先のビジョンが示されることによる国民の安心というのは非常に大きいと思います。
3つ目は、ほかの先生方もおっしゃっている、ITの遅れについて、IT投資が支援策の中にも、大手企業はもちろんのこと、中小企業やベンチャーなども、ITで新しく変わる時代への新事業のアイデア等が結構あります。コロナによってスタートアップが大変苦戦するという懸念の中で、予算措置も取られていますけれども、このアイデアから結果が出せると、感染症の課題解決になるようなIT技術も幾つかありますので、非接触の技術が物流やいろいろなところに効いてくると。そういうようなところの成果に、しっかり支援できるようになると良いと願っています。
最後は、先ほど河村委員からも、皆様の状況には、国民それぞれ状況にばらつきがあるというお話ありましたし、まさにそうだと思うんですけれども、ちょうどこのコロナの期間に、主婦層など対象を明確にした地方公聴会をやりましょうということで、財務省のほうから御提案いただいて、私もぜひ伺いたいということで期待をしていたところですけれども、これは大変すばらしい企画であると思います。おかれた状況や認識に差があるところに、通常接触するメディアからや、自分の周りだけで理解するだけでなくて、ファクトを知り、分かるきっかけにもなると思いますので、リアルが難しければ、オンライン等でもこの企画ができるといいと思っております。今、例えば給与2割カットとか、7割経済とか言われて、個々人の経済活動への自粛の気持ちが出るかもしれない中、同時にニューノーマルで新しい生活をと、つまり新しい消費生活をとなると思いますので、そういう消費マインドと、今回、取られる措置がしっかりとリンクしていく部分も必要かと思っておりますので御検討いただければと思います。
以上、よろしくお願いします。
〔増田分科会長代理〕それでは、土居委員、お願いします。
〔土居委員〕土居でございます。
これまでの予算対応で、財務省の方々には大変御苦労があったかと思います。まずは、この対応に敬意を表したいと思います。
何人かの委員から、もう少し早くすればいいというお話もありましたが、私は、財政政策には実施ラグがあるということを、きちんと国民が皆、肝に銘じるべきだと。経済政策を経済学で論じるときには、実施ラグというものがあり、そうすぐにはできない。さらには、財政民主主義があるので国会を通さなければいけない。そんなすぐにお金が国庫から国民に配られるわけではないという前提が制度的にあるということは、やはりまず、きちんと知っていただいた上で、それでも実施ラグをできるだけ短くするような努力が必要だと、こういうことだと思います。
それから、資料の8ページにもありますけれども、2点目ですが、「真水」という言葉を、もうこの際、一切廃止すべきだと思います。真水というのは、日米貿易摩擦という古色蒼然とした1980年代、90年代のときに、内需拡大をアメリカから日本に迫られたときに、例えば財政投融資とかで融資枠を積んで量が多いと見えたんだけれども、アメリカ側からそれでは駄目だと言われたときに使われた言葉であって、今さら何の役にも立たない。
このコロナでとても大切なのは、企業への資金繰り支援とか、場合によっては信用保証だったりするわけです。そういうものは、真水という言葉にはもちろん入らないんですけれども、立派な経済支援だと思います。ですから、8ページの表には、うち財政投融資とか御丁寧に書いてある。さらに言うと、これは信用保証枠が入っていないとか、そういうようなことだったりするので、何をもって経済対策としているかということは、もちろん給付は給付で大事だけれども、やはり資金繰り支援で大事な部分もあって、それは何の経済支援にもなっていないなんて誰も思っていないわけですから、真水にこだわらずに、しっかりと経済を支援するということであれば、金額にとらわれずに議論をするべきなのではないかと思います。ただ、できるだけそのお金を使わずに、効果的な、満足度の高い経済支援ができるようにするということは必要だと思います。
あと2点、あるんですけれども、財政出動及び金融支援によって、世の中には相当資金が流れている。かつて「過剰流動性」という言葉があったわけですけれども、今の状況がそれに当たるかどうかは、もう少し判断を見極めなければならないにしても、確実にこれだけ世の中にお金が流れ出た。そして、もちろんこれから特別定額給付金を受け取る国民がおられて、その方々の中で生活が苦しい方は貯めずにそのままお使いになる。だけども、そのお使いになったお金の行く先では誰が受け取るということになるわけで、一旦、政府や日銀から離れたお金は世の中の誰かが持っているということになるわけです。
普通は、標準的な経済学ならば、これでインフレ圧力になるということが想定されるわけです。ただ、これまで日本では、なかなかインフレを経験していないということもあって、どうせこれだけお金を出してもインフレにならないだろうというような話がありますが、もちろんそれは裏側でお金が世の中で滞留していると、ある意味で不幸な部分もあるわけです。もう少し経済学的に言えば、貨幣乗数が低下しているとか、貨幣の所得速度が低下しているということですが、いつまでもそこまで世の中にお金が回らないままなのかということは、やはり今後、気をつけるべきところがある。
しかも、経済が動いていない中でこれだけお金を出したわけですから、当然のことながら世の中に出回るお金が、財政出動も含めてより多くなっているということが、今後、インフレ圧力を生むかもしれないというところは気をつけるべきで、我々はコロナを乗り越えたいと思っているけれども、コロナを乗り越えた後に経済混乱があるということもやはり避けるべきだ。コロナを乗り越えつつ、コロナ後に安定した経済運営ができるような基盤が必要なので、そういう意味で何でもありという形でコロナ対策をするというのは、私はいかがなものかと思っています。
最後に、医療の点ですけれども、医療従事者の方々の労は多としたいと思います。ただ、今後、予算編成で、この財政制度等審議会でも医療費の在り方を議論するわけですけれども、なかなか医療費を抑制すると、抑制するといって削減、前の年度よりも減らしているということではないんだけれども、総額として増え方を抑えるということに対する、これまで以上の抵抗とか、反発が考えられるので、医療費の効率的な使い方をいかに説得力を持って発信できるかということは、これからより腐心する必要があるかと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕はい、ありがとうございました。
それでは、中空委員に御意見いただいて、そこで一旦、休憩を入れますので、中空委員、どうぞ。
〔中空委員〕ありがとうございます。
中空です。私からは、大きく2点、お話しさせていただきたいと思います。今まで諸先生方が既に触れられていますが、金融市場の視点からお話します今はとにかく短期的に必要な措置を取っているので、全て仕方がないことだとは思うのですが、後々問題点となるのではと懸念があるのは、資産市場と実体経済が乖離を始めているということだと思っています。資産市場と実体経済が乖離している最大の理由は、金融政策と財政政策ががっちりサポートしてくれているからに他なりません。でも誰も想像できないのは、これがなくなったときに一体、何が起きているのだろうか、ということです。金融政策と財政政策がなくなるということは、景気がよくなっていて、力強い経済が回復しているはずだという期待感があるものの、そうした期待感の実現可能性が高いのかと言われると非常に心もとないわけです。
そういう状況の中で、例えば予備費として10兆円ありますが、これで足りるのかどうか、追加がもっと出るのではないかという不安が当然あります。それよりも、もっと目の前の話としては、財投債や復興債、国債など大量に出ると考えられますが、これをちゃんと消化できるかという問題だってあるわけです。おそらく現状のマーケットから言えば消化は問題ないということだと思うにせよ、こうした短期的な懸念材料というのは、実はここかしこにあるのではないかと思っております中長期まで引っ張って、まずは景気を良くし、その後財政負担にどう取り組んでいくか、ということも大事ですけれども、短期的にも、既に不安材料はあると点を指摘したいと思います。
しかも、怖いことに、世の中の議論の中に、「今は非常時だから財政再建という場合ではない」という風潮がどうも出てきていることです。MMTにこれで乗っかりましょうという話になってしまうと、それはそれで、また問題になるということで、これは末澤委員がおっしゃったと思うのですが、のりしろをつくることがどれだけ大事かということを、コロナ禍で大変なこの時期にこそ、主張していくことがやはり大事なのではないかと思います。もちろん、まずは財政を使って、コロナ問題を完全に終息させることが大事というのは異論のないところですが、そうしたことを前提にするにせよ、少なくとものりしろをつくることがいかに大事かというキャンペーンを張るというか、そこは忘れないでいたいポイントだと思っています。
もう1点は、質の議論です。ワイズ・スペンディングと言われますように、財政資金を質のいいものに使っていきましょうという話は、コロナ以前から、我々、この財政審では言ってきたと思うんです。質のいいものに使っていきましょうと。その中で、例えば欧州などはグリーンニューディールという話をし始めています。CO2の排出を減らしましょうとか、再生エネルギーがとか、それが本当にいいことなのか、今の日本にとって優先的に必要なことなのかは分かりませんけれども、日本にとって何が必要か、コロナ後、どういう着地を見るか。コロナ前と違う着地を見出すために何にお金を使うべきかというのは、ほかの国がグリーンニューディールと言っているように、日本には日本のやり方で方向性を出していく必要もあるのではないかと思います。それを打ち出せるかどうかは極めて大事だと思います。
その中で、欧州が出そうとしている基金は、デジタル課税とか、新しい財源を基にしてやっていこうとしている。日本の資金源は、全部また債券による調達なので債務一辺倒です。佐藤委員や河村委員がおっしゃったと思うのですが、他国の基金のようにきちんとやっていく必要があると思います。財源も考えて、そこで帳尻を合わせましょうという発想は、ほかの国はやっている、やろうとしているのですから。そう考えると、日本だけ債券・債務に依存してしまって、金利は上がるかも知れない、でも上がったら大変だから下げなければ(上がらないだろう)というようなジレンマの中で生きていていも、それはバランスが悪い、難しいということになってしまいかねません。また、金利上昇やら、何か前提の違いが生じると、日本国債の格下げという話にならないとも限らないので、幾つかの懸念材料については収束させるためにやるべきことがあるのではないかとも思っていることを最後に付け加えます。
以上です。
〔増田分科会長代理〕はい、ありがとうございました。
それでは、ここで一旦、5分間の休憩を挟んで換気を行います。
なお、この時点で、ウェブのほうで挙手するボタンをクリックしていただいている委員の方は、赤井委員、秋池議員、小林慶一郎委員、それから平野委員と、こちらで確認したところ、この4名ということになっております。この順番で、休憩後、こちらのフロアのほうが全部終わりましたら、指名をいたしたいと思っておりますが、もし、ほかにも御発言を希望される委員がいらっしゃいましたら、いま一度、挙手するというボタンをクリックしていただくようにお願いします。もし、御不明点あれば連絡をお願いしたいと思います。
では、よろしくお願いします。ここで休憩します。
(休憩)
〔増田分科会長代理〕それでは、換気が終わりましたので再開いたしますが、フロアのほうで4名の委員の方がおられますので、4名の方、御指名して、その後、御質問もあったので、一度、これは局長になりますか、御質問等も含めて局長のほうからお答えいただいて、それからウェブの参加者の皆様方としたいと思います。実は、先ほど私、ウェブのほうは4名の方、御登録と申し上げたんですが、その後、何人かの方が登録をされましたので、今、9名の方が登録をしておられるという状況です。したがいまして、御発言いただく方、フロア4名、ウェブ9名で13名ということで、御承知のとおり時間が少し足りなくなる可能性あるんですが、12時終了をめどということですが、一つのめどですので、多少延びる可能性がございます。ただ、せっかくの機会でありますが、極力、手短にまとめていただきますと、その後、記者会見等も、記者レク等もございますので、よろしいかと思いますので、すみません、多少その辺り御配慮いただければと思います。
それでは、広瀬委員から御意見を頂戴したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
〔広瀬委員〕はい、ありがとうございます。
今回の新型コロナの問題、いろいろな分野で、いろいろな形で影響があるわけですけれども、先ほどお話がありましたけれども、とりわけ中小・小規模事業者に対する打撃というのは相当深刻なものがあると思っております。表面的に出る数字は倒産件数だけですけれども、それ以外に廃業とか、あるいは解散とか、そういった件数を入れると相当な数に上るのではないかということを危惧しております。商工会議所としても、そうした実態、あるいは声を踏まえて、これまで政府に迅速かつ実効性のある対策をお願いしてきたわけですけれども、先ほどお話がありましたけれども、今回の1次、2次の補正で相当充実した支援策が盛り込まれたと。そういう面で、大変評価し、感謝をしております。
問題は、スキームはできたんですけれども、本当にそれが中小・小規模事業者のもとに実際に届くかどうかということで、これは一部だと思いますけれども、申請の手続が煩雑だとか、時間がかかるとか、関係者の方は相当御努力していただいているわけですけれども、その辺につきましては本当に敬意を表する次第ですけれども、やはりそういう声もあるということであります。先般、商工会議所のほうで、従業員の人員整理を検討、実施するかどうかというアンケート調査をしたんですけれども、まだわずか4.3%にとどまっているんです。これは、本当にまだ踏みとどまっていると言ったほうがいいと思いますけれども、これからは時間との競争になるかと思います。ぜひ、引き続き政府、地方自治体、関係機関の皆様に御支援、御協力をお願いしたいと思います。
それから、これは一段落した後の話になると思うんですけれども、今後、財政再建がこれまで以上に重くのしかかると思うんですけれども、どうも財政再建という言葉自体が、何となくもうお題目みたくなっていて、インパクトがあまりないのではないかという感じがしております。あるいは、再建とか、再生というと、どうしても元に戻るというイメージがあるものですから、正常な姿に戻すという意味はあるんですけれども、どうもイメージとしては、後戻りするとか、昔に返るとか、どうしてもそういうようなイメージがあるのではないかと思っております。
それから、今日は財政学の先生がたくさんいらっしゃいますのであれですけれども、財政も何となく、財政学はいいと思うんですけれども、人ごとというか、あちらの世界のことだよねという感じがしております。そういう面で、この審議会でこれまで何回も議論してきましたけれども、言葉の問題ということではなくて、私は今回、一段落した後、例えば財政を新しく創造するとか、言葉の問題というか、これだけのことがあったわけですから、本当にいいチャンスで、国民の方もこのままいかないというようなことをみんな思っているわけですから、一段落した後、何か呼びかけ、あるいは国民が参加できるような運動といったものを、この機会を逃すとなかなか難しいと思うんですけれども、ぜひ今のうちからそういうアイデアというか、そういうことを考えておいたほうがいいのではないか。私、具体的にアイデアはありませんけれども、今回を逃すと本当に難しくなるので、熱いうちに打てということではありませんけれども、ぜひ国民が我がことに思うような、キャッチフレーズも含めて考えていただければと思います。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕はい、ありがとうございます。
それでは、神子田委員、お願いします。
〔神子田委員〕神子田です。
先ほど、ワニの口を見て、ここ数年、財政審で財政再建のためにといろいろやってきたわけですけれども、赤字が増えてしまったなという感じで見ておったんですが、今はとにかく命が大事だということで、そのためにいろいろな事業活動を止めて、経済が悪くなって、それを政府が補塡してという構図ですから、金が大事か、命が大事かという問題なので、これはもうやるしかないだろう。あと、経済回復なくして財政再建もありませんので、必要なものを積み上げていくということに関しては賛同しています。
そこで、できるだけ効果的なものをやってもらいたいということと、あとはタイミングですね。私、やはりマスクについて思うのは、あれが2月ぐらいに配られたらどんなに喜ばれただろうと。確かに、今でもありがとうございますと言っているおばあさんとか、テレビのインタビューで答えていますけれども、やはりタイムリーにやるということは大事なんだと改めて思いました。
それから、予備費10兆円の話もあって、私は、これから何が起こるか分からないという意味では、これでも足りないのではないかと思うぐらいですけれども、やはり予備費を取ったから使い放題ということではなくて、一回一回説明していくことが大事だと思います。どんな小さな予算に対しても、財務当局はこういうふうに考えて、これが必要だと思いましたとやはり言えるようにするし、それは聞かれなくても積極的に言っていくべきだと思うし、逆に言えないようなことはしないということではないかと思います。
一つ質問は、マイナンバーですけれども、これは前から言われていて何で普及しないのか。私は、前から、健康保険証と同一にしたらいいのではないか、そうすると、国民皆保険でみんな持っているし、いつも使っているし、暗証番号も忘れないし、かつ所得と結びつけば、銀行口座と結びつけば、所得に応じてどれだけ費用を負担するかということもできると。それができるのか、できないのか、ちょっと素人なので分からないんですけれども、もし分かったら教えてください。
それと、2025年度にプライマリーバランスをゼロにするという目標があったと思うんですけれども、何かすごく難しそうですが、いや、まだできると言われてもいいんですけれども、私は、できる、できないにかかわらず、ここはやはりもうフェーズが変わったのだから、一旦、ゼロにして再検討ということでいいのではないか。だから、今年の「骨太」などでは、もう一回、新しいフェーズに応じてこれから検討していくということでいいのではないかと思っております。
それで、ぜひ将来に向けての議論では、夢みたいなことを言うかもしれませんけれども、今、この感染症対策においては、日本は外国からなぜそんなことができたんだとちょっと驚かれていて、それは国民みんなが一つの目標に向かって、心を一つにして頑張ったからではないかと思うんです。日本は、戦後の復興のときはすごい奇跡だと称賛されて、それ以来、失われた何十年といいことがなかったんですけれども、ぜひここでもう一つ、日本人はコンセンサスできるまでは時間がかかるんですけれども、コンセンサスできてからは早いとよく言われていて、この際、変わらないといけないというコンセンサスが出来上がっているということであれば、将来に向けてどういう形にしていくかということを「骨太の方針」で示したらいいと思いますし、それを実効性のあるものにした財政施策が求められていると思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕はい、ありがとうございます。
それでは、宮島委員、お願いします。
〔宮島委員〕はい、ありがとうございます。
先ほど御案内があった海外調査、ぎりぎり2月に行けたイギリス、デンマーク組でした。コロナが広がる前のイギリスだったんですけれども、イギリスは積極財政に変わろうとして、識者の人ももう積極財政でいこうと、訪問先が大体そんな感じだったんですが、それは、10年間とにかくつらい財政再建をやり続けて、やり続けて、もうそろそろ無理だというようなタイミングだったんです。なので、その後、帰国してからコロナがイギリスでも広がりましたけれども、もう財政再建を取りあえず10年間、何とか頑張ってやってきたので、そこで、この危機に対してばーんと、割とちゅうちょなく打ちにいけるんだなということを、現地の情報なども見ながら思っていました。
日本は、もうこれは言ってもしようがないことですけれども、でも結局、皆様もおっしゃるように、景気がいいときに財政再建を進めてこられなかった。でも、危機が来たときにはばーんと打つしかない。特にこれだけ大きなことがあったときですので、本当にこれは、相当な無理をしての大きな支出なんだということを、みんなが心して思わなければいけないと思います。
私たちも、補正予算のニュースをつくるときに、この巨大な予算をどう報道するのかということを、夜のニュースだと3時間ぐらいずっと話し合いました。もちろん、今、消えそうな企業や命がある中で、この命がつながらなければ次世代もなくなるかもしれないという中で、本当に必要なところにスピーディーに渡すということは必要だと。だけど、これはキャスターから、このお金は次の世代にも感謝しながら使いましょう、次の世代にも胸を張れるお金の使い方をしましょうというようなコメントを入れました。やはり明らかに必要なところがあって、そこに投入すると、なぜかその周辺に、あれ、これも一緒なの?みたいな、本当に必要ではないものがその周辺にどうしてもくっついてきてしまう。それは、集団を分断するとスピーディーさが失われるからという部分もあるのですけれども、そこを極力、便乗みたいな形でのっかってくる予算をしっかり見極めて、分けていきたいと思います。特に、国のお金というのは、天から降ってくるものではなくて、改めて国民に、これは自分たちのお金の支え合いだということを伝えたいと思っています。
アベノマスクが話題になっていますけれども、これは何百億円もの支出ということとセットで報道しますと、人によってはですけれども、それはもったいないという反応も出るわけです。このもったいないという気持ち、どこからか降ってくるのではなくて、これはまさに自分たちの支出なのだという意識を、しっかりと国民に持ってもらうことが必要だと思うので、このように使っていく最中でも、これはどこから出てくるのか、これは天から降ってくるものではないんだということをしっかり伝えて、国は信頼したい、困ったときに助けてくれる国であるからこそ、その国はちゃんと自分たちが支えていくんだというような形に認識できるように、何とか報道でも頑張りたいと思います。
細かいところでは、ちょっと心配しているのは、全世代型社会保障の決着が年末になるということなので、議論はこの先だと思いますけれども、詳細が決まっていない高齢者の2割負担のところも、何となくみんな困っているから今までどおりにしてしまおうとか、緩くしてしまおうとか、そういうような空気になるのを心配しております。だからこそ、少し延ばしたから冷静な議論ができるのかもしれませんけれども、コロナで医療の中にも不要不急があるということも割と明確になりました。優先順位をつけなければいけないことが分かりました。その中で、医療がちゃんと回るようにするためには、自分たちがちゃんと負担していかなければいけないんだということを心に置きながら、全世代型社会保障の詳細設計もぜひお願いしたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕はい、どうも。
それでは、横田委員、お願いします。
〔横田委員〕はい、ありがとうございます。私からは、大きく2点申し上げます。
まず、1点目は、今日、このタイミングで、改めて現状を共有する機会をいただけたこと、本当にありがたく思っています。先週、私、緊急事態宣言が解除され、外食で居合わせた酔っ払い女性から、「こんな国がけちだとは思わなかったと」と、10万円給付に対して言われました。国民は、10万円配付することに対してもこれだけ議論が起こるぐらい苦労していて、かつコロナ禍の支出が増えているということを認識が薄いのです。「意外と日本は貧乏なんです」という話をしました。きちんと彼女彼らに国の財政状況を理解してもらうようなメッセージの届け方をしていかなければいけないと痛感しました。
それに当たって、他の先生方も有効なお金の使い方が非常に大事だとお話をされていましたが同感です。例えば中小企業救済。もともと厳しかったところが、たまたまここの危機でさらに厳しくなっているところもありますし、余力が残っているところもあって一様には言えない中で、全てを助けるわけにはいかないのではないか。健全に退出していくことも、時期を見て議論する必要性があり、全てのを助けられないと思っています。
小さな例ですけれども、銀座のバーで、私の先輩がやっている店などは、1か月半、店を休んでおりますが、クラウドファンディングで常連客に支援を求めたら、2日で130万円、2週間で200万円近く集めた。要は、お客さまを持っていたところはちゃんとできたりもします。いま着用しているマスクも、銀座のお洋服屋さん、1か月店舗を休業し、95%は店舗売上げだったんですけれども、閉めた直後に、ワンピースを買ってくれたらマスクをあげると言った瞬間、ウェブ30着はWEBで売れていた。知恵を絞り進むことができる経営者もいれば、支援を待っている経営者もいる。あげると言ってしまうと、その努力をやめてしまう可能性もあったりするので、メッセージの届け方は非常に大事だというのが1点目です。
2点目は、デジタル化の件とも関連する点です。今回、明らかになったのは、やはり家族形態だったり、働き方が非常に多様になる中、企業からお金を配るべきなのか、個人なのか、世帯主ベースで考えていいのかなど、お金を配る上で非常に難しいということも分かってきたかと思います。なので、デジタル化とリンクしていると思いますけれども、税の徴収の仕方、配り方、新しい時代に転換できるチャンスであると考えます。
以上です。
〔増田分科会長代理〕はい、ありがとうございました。
これで、こちらの議場におられる方、全員御発言されました。一旦、ここで太田局長に、少し御質問あった点について御回答いただければと思います。
〔太田主計局長〕ありがとうございます。
たくさんの委員の先生方から、御質問、あるいは御批判、御意見を頂戴したと思っています。時間が押しているので、まとめてお話ししないといけないと思いますので、いろいろ御意見を承る中で、3点にまとめてお話を申し上げたいと思います。
まず、第1点は、いろいろな御意見いただきましたし、今日の中でも多かったし、これから国会の議論でも多くなると思う予備費にまつわる議論、あるいは、その中心となる議論だと思っているんですが、予算当局者として、財政当局者として、このコロナに対する対応というのは、皆様覚えていらっしゃるかどうか、1月の終わり頃に中国の武漢からチャーター機を飛ばすという辺りから対応し始めて、それからということになりますので、それなりの時間がたっています。当初予算を審議している最中は、いろいろな意味で、その次の補正の話というのは政府側からは非常にしにくい。
正直に申し上げれば、当初予算が通れば、そうはいっても100兆円の予算ですから、何か当初予算で積算があって、ものすごく細かく縛られているようですが、基本的に項という項目の中で、その範囲内では相当自由に使える。当初予算が通っているといろいろな意味で動きが取りやすいので、まず、それを通してもらうというのは、別にコロナにかかわらず、いろいろな意味で本当は大きいのでということが中心ではあるんです。その間の補正の議論、あるいは予備費を使う、それから補正をしていく議論という中で、この何か月かやってきて最大の悩みは、正直に申し上げれば、今日、6月1日に皆様からこういう御意見を承っているから、こういう御意見だと思っていますが、仮に1か月前の5月1日にこの会議を開いていて、あるいは2か月前の4月1日にこの会議を開いたときに、皆様の御意見が、今日、言われた意見と同じだったとは、私は思っていません。
それは、私なりに仕事をさせていただく中で、2週間ぐらいの刻みで、世の中の意見なり、政治的な判断なりが相当変わってきているという状況の中で物を決めないといけない。特に、予算を出そうとすれば、政府として考え、党でも議論いただき、それを政府として閣議決定し、さらに物理的に予算書を作って、国会に出して、国会で審議をしていただいてということになると、恐らく相当短期間であっても、こうしたらいいと思って実際に予算が通るまでに、どうやってみても1か月ぐらいかかります。1週間、2週間でものすごく状況が変わるという中で、作って出す頃、あるいは審議して通る頃には、そうではないという意見が非常に大きくなることも事実なので、そういう意味でスピード感と、それに対応できることが極めて大事だし、それがなかなか難しいことから、いろいろな意味での、我々としてももう一つだった、あるいは、そう言われるようなことが生じているとは思っています。
予備費には、もちろん財政民主主義という観点で非常に大きい問題があることは事実、それはよくよく承知をした上で、今、申し上げたような観点も含めて、今回、こういう御提案を申し上げて、これから国会で御審議をいただくということだと思っています。
それから、大きい2点目で、要求の話やら、あるいは「骨太」はどうするんだというようなお話もいただきました。私なりに、先ほど申し上げたようなことからすれば、今の時点は、1月の終わりぐらいからスタートして、その中では、ある意味で状況が割とよくなってきているタイミングだと思っていますが、この前の1か月、2か月、3か月を振り返ってみると、その時々、そう思った後で、また状況が悪くなっているということは多々ある。そういう意味で、コロナのこの対応、あるいは、その後どうなるかということも含めて、今、このタイミング、あるいは夏のタイミングで、「骨太」なり、要求なりということで、その時点で考えたものが、来年度予算をつくるために今年の「骨太」なり、要求なりということをやるわけなので、それが今年の年末、最終的に意思決定するときには、状況が相当どうなっているか分からないと思っているので、年末のときまで状況をよく見た上で決めることが一番大事だと思っています。例年であれば、夏の時点でそういうことをきちんと決めて、それから半年間議論するのが基本であることは重々承知をしていますが、この数か月のことを鑑みれば、やはりぎりぎりまでよくよく状況を見た上で、そうでないとある意味では冷静な御議論はいただけないのではないか、と思っているのが2つ目であります。
3つ目に、いろいろな意味でスピードが遅い、あるいはマイナンバーみたいなお話もいただきましたけれども、委員の先生方は御案内だと思っておるんですが、基本的に我が国の政策、特に給付金絡みの話で遅いと言われるのは、最大は、中国はもちろん、アメリカと比較しても、明らかに当局側が国民に関する情報を把握していない、あるいは把握できない、あるいは把握することを国民の皆様が嫌がっておられる結果として、こういうふうになっているわけです。それは、ある意味で、政府が国民の皆様にサービスをしようとすれば、国民の皆様の状況がよく把握できることで的確なサービスが提供できるわけで、一方で、国民の皆様は、自分たちが幾ら稼いでいるかというようなことは国には知られたくないということであれば、政府の対応することにもおのずと限界があるわけです。要すれば、サービスをしないといけない国民の皆様が、サービスを提供する側の国に対して、そういう情報提供したくないというのがこれまでの基本的な姿だと思っていますので、そうである限り、政府が言い訳をするわけでありませんけれども、なかなかそんなにスピーディーにいかないというのが現実だと。
現場が分かっていない、あるいはそうなることが分かっていなかったと言われるとあれですが、大きい声では言えないですが、ある程度そういうことは分かっていたつもりで、要すれば、そういう状況の中で何ができるか、逆に言えば、やはり本当にサービスを提供するためには、国民の皆様にそういう情報を提供していただくということをお認めいただかないと、これから先、また何が起きるか分からないときに、なかなか対応できないのではないかと思っているのが3点目であります。
あと、いろいろな検査の話とか、あるいは医薬関係の話は、一つ一つの個別のお話を頂戴しましたが、それは後ほど担当のほうからきちんと御説明させていただければと思います。
ありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕はい、どうもありがとうございました。
それでは、ウェブの参加者の皆様方のほうから御意見いただいてということで、先ほど私、言いましたとおり、赤井委員、秋池委員、小林委員、平野委員、この順で行きまして、その後、上村委員、黒川委員、角委員、冨田委員、南場委員、藤谷議員、堀委員、最後に井上政務官、こういうことでございますので、時間の関係等もございますが、どうぞよろしくお願いします。
それでは、赤井委員、どうぞお願いします。
〔赤井委員〕それでは、簡単に3点ほど、2点ほどちょっと細かい話と、3点目が大きい話です。
お話に出ていた地方の創生交付金、1次と2次で3兆円ほど積みましたけれども、これまで創生交付金、頑張って取ってきたところはある程度知識もあって、頑張っていると思うんですけれども、対応に格差があるといいますか、これまであまり取ろうとしてこなかったところは、今回、取って使うことになると思うんですけれども、ノウハウがあまりないですので、いろいろマニュアルも出ていますけれども、そういうところを見ていただいて、特に新しい社会への生活スタイルに合わせていけるような、ウィズコロナでも地方創生できるような、地方が頑張ってやっていけるような形の、まさに新たな展開を生み出すような形で交付金を使っていただくのがいいのかなと。これ、もう既に始まっていると思いますが、事後検証を行って、よりどのようにしていくか、特にノウハウのないところにノウハウをどのように与えていくのかということが重要だと思います。
2番目に、もう既に議論が出ていますけれども、デジタル化の話で、今回、強制された形でデジタル化が始まり、特に霞ヶ関でもなかなか、まさに今、こういうウェブ会議もできているわけで、課題もあると思いますけれども、そこで得られた、デジタル化になかなか進まなかったけれども、少し進んだ形で得られた経験を生かして、今後、デジタル化を進めていくときに何をすべきなのか、何が課題なのか、それを考えていくよいきっかけだと考えればいいと思います。それを進めることで、効率的な社会もできれば、財政再建にもつながるのだと思います。
3番目に、今後、またこういうような事態が、しばらくの間、このコロナの状態、続きますけれども、それが収まったとしても、先ほど10年ごとにとありましたように、リスクが起きる可能性は高いですから、日頃の財政効率化はしておくべきで、そのためにより一層、国民との対話、平常時の財政再建の意義を伝えていくべきだと思います。私も今、大学にいるんですけれども、午後の授業でも、学生にまさにこの資料などを使いながら、しっかりとその重要性、さらに、今後、若い学生が財政再建に協力していくことになるわけですから、そういうことも伝えていきたいと思います。
最後に、今回の支出拡大に対しては、既に出ていますように、別の形での特別な所得税なども、今後、落ち着いた頃にはセットをして、みんなでそれを返していくという意識をつくっていくことが大事だと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕はい、ありがとうございました。
それでは、秋池委員。
〔秋池委員〕はい、お願いいたします。
2点です。危機的事態の対策について、いろいろな議論はありますが、先が見越せない中で、そのとき、そのときの判断として最善であるべく動いてこられたと思っています。日本は自然災害も多いですし、グローバル化した社会では、今回のようなことも、また間違いなく起こると思っています。そういう意味では、今回、やったことが、かねてやらなければいけなかった産業構造であるとか、社会の在り方の変容につながって、長期的に見て意味のあったものになる必要があると思っています。そのためにも、今回のお金の使われ方、それから何に効果があったのかということの検証は、落ち着いた頃に重要だと思っています。今回、長期になるものですので、どのタイミングで検証を実施するかについては工夫する必要があると思いますが、そのように考えています。
また、自然災害と同様に、平時にも国民がこのようなことに対して理解を深めておく必要があると考えていまして、感染のような事態のときにはどういうことが起こるのか、また、どういうトレードオフの中で暮らしているのかということについて、啓蒙もしながら、また国民の側も理解を深めることをしていく必要があると思います。自然災害については、大分、日本国民は勉強してきていますが、同様のことが必要だと思います。
もう一つですが、このような事態を踏まえますと、企業などもそうですが、やはり財政に余力があることというのは非常に重要で、そこにつながる議論ですとか、どう回収していくのかということについては、今後、引き続き考えていければと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕はい、ありがとうございます。
それでは、小林委員、お願いします。
〔小林(慶)委員〕では、手短にお話ししたいと思います。
では、私からは2つ、財務省にお願いしたいと思います。要するに、基本は、こういう感染症の危機で、緊急事態宣言が解除されて、最も目指すべきなのは、経済を正常に回していくことで財政の支出も減らし、長期的には財政再建につなげていくということだと思います。
そこで、まず1つ目は、緊急事態宣言が再宣言されるとか、そういうような状況を何としても避ける必要があるのではないかということであります。そのためには、今の状況では、重症者向けの医療提供体制を増強することと、PCRなどの検査体制も増強する必要がある。要するに、医療や検査の上限に感染者数がヒットしてしまうから医療崩壊が起きて、また緊急事態ということになりますので、そうならないように今のうちから、秋のインフルエンザとか、あるいは来年のオリンピックなどを見据えて、医療提供体制と検査体制の増強計画をきちんと立てるということを政府内で促してもらいたい。
残念ながら、これは多分、厚労省の担当分野だと思いますけれども、感染症の危機の状態ですから、厚労省の政策、医療や検査の増強が経済に一番効く、あるいは財政にも効く対策になっているというのが現状だと思いますので、そういう体制強化を計画的に進めるよう促してもらいたい。あるいは、もし厚労省だけではできないのであれば、老人をどうするのかとか、いろいろ問題があるでしょうから、政府全体でうまくコーディネートして、医療と検査の体制強化の計画をつくってもらいたいということが1つ目であります。
2つ目、現在、景気、経済が正常化する上での阻害要因になっているのは、やはり消費者が感染の不安を抱えていること、そして企業が設備投資を行おうと思っても、感染の状況、あるいは医療体制、検査体制の状況が見通せないので、将来の設備投資、将来に向けた設備投資を増やせない、そういう将来不安と現在の感染不安が消費者や企業の行動を抑えているということがあると思います。やはりここでも、先ほど申しました医療体制と検査体制の強化の計画というのが効いてくるわけで、単に計画をつくるだけではなくて、2つ目のお願いは、これを国民に分かりやすく伝えてもらう。
例えば、何月までにどういう数値目標というか、大体どの程度まで検査や医療体制を増やしていくのか、来年の春までにどこまで行くのか、ある程度、企業の行動や消費者の行動にとって不確実性を少なくするような、要するに将来の見通しを持てるような計画を国民に対して広く知らせてもらいたいということであります。この点、検査や医療について、政府内で、経済政策として重要であるということを、ぜひ財務省のほうから議論してもらいたいと思います。それが、今後の経済の正常化と、そして財政の健全化への近道であると考えております。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、平野委員、お願いいたします。
〔平野委員〕はい、ありがとうございます。
まずもって、今回の補正予算編成に当たられた皆様の努力に敬意を表したいと思います。大変だったと思います。こうした危機に直面したときにこそ、国民の生活、あるいは経済を支えるのが財政の役割だという思いを深めたところでありますが、一方で、先ほどから皆様も御指摘しているとおり、ワイズスペンディングの重要性を痛感しているところであります。その意味で、私からは、今後に向けて3点、申し上げます。
まず、1点目、予算配分のプライオリティーに関して言えば、未来志向のお金の使い方を基本に据えるべきであります。すなわち、足元でのウィズコロナの対策もさることながら、社会や経済、あるいは地政学的な状況も変容するであろうアフターコロナの世界で、日本が目指すべき社会、あるいは産業構造を実現する上でのビジョンと、政策意思を持ったリソースの投下を行うべきだと思います。そういった意味では、ESGのEであるとか、S、あるいはSDGsといった視点も重要だろうと思います。
こうした観点は、第2次補正予算の柱の一つである、企業に対する資本性資金の供与に関しても同じであります。コロナ禍に至る前から存続が危ぶまれている先に対して資金を出すことで、新たなゾンビ企業を生み出すのは避けるべきであって、将来の産業を担い、あるいは社会的な要請に応えることができる企業に対して、有効に資本を振り向ける枠組みをつくるべきだと思います。
第2点、財政の健全化に向けた対応です。皆様が既に御指摘のとおり、今回の予算規模の膨張はやむを得ないわけでありますが、ポストコロナの財政健全化の道筋をどのようにつけていくか、やはり考えなければならない。リーマン危機後の超金融緩和政策によって世界にマネーがあふれ、加えて今回の緊急対応で、中央銀行による流動性の供給と、イールドカーブコントロールが有効に機能してる中で、直ちに金利が上がることはないでしょう。また、かねて懸念していたソブリン格付問題も、ムーディーズであるとか、S&Pなどの格付機関が直ちに格下げに動く気配はありません。言葉を変えると、金融政策手段が機能しているために、金利であるとか、格付というリスクインジケーターが有効に機能しなくなっているという、やや皮肉な状況にあると私は見ています。しかしながら、こうした状況が未来永劫続くわけではない中で、財政健全化に向けた規律を働かせるとすると、政策当局者が賢い支出、ワイズスペンディングをポリシーとして追求していくしかないのではないかと、最近、感じます。そして、それを客観的にモニターする機能を見つけるという意味では、独立財政機関の設置も検討されるべきではないかと考えております。
最後、3点目、DX、デジタルトランスフォーメーションです。今回のコロナ禍、先ほどから皆様も御指摘のとおり、日本のデジタル化の遅れは国際的に見て悲惨な状況にあることをさらけ出しました。今回のコロナ禍を機に、企業はもちろんのこと、人々の生活様式、働き方が大きく変わろうとする中で、行政や医療のデジタル化、ひいては社会のデジタルトランスフォーメーションを徹底的に進めていかなければなりません。また、先ほど太田局長から御指摘があったわけでありますが、これまでデジタル化の実効性を阻害する要因となっていた個人データの利活用についても、そのベネフィットを明確に示して、国民の理解を得るチャンスが到来したと見ています。具体的に申し上げれば、行政については、オンライン申請など電子政府の取組を効率的に結びつけていくためのマイナンバーの利活用への予算の措置を大胆に行うべきでありますし、医療では、オンライン診療による効率化を図れるような規制緩和、制度設計に本気で取り組んでいただきたいと考えております。
私からは以上です。
〔増田分科会長代理〕はい、ありがとうございます。
それでは、上村委員、お願いいたします。
〔上村委員〕上村です。時間も限られていますので、簡単に2点、発言させていただきます。
第1に、どなたか委員が言われたように、私も10年おきに危機が来るということだからこそ、平時の財政再建が大切だという国民の間での認識の共有が大事だと思っています。今後、減税の要求が出てくるかもしれませんけれども、これまでの経験では、一旦、減税すると恒久化して、平時の財政再建を阻害する可能性があるわけですので、基本的には期限を区切った補助金で対応することが大切だと思っています。財政が健全であることが、今後も来るだろう危機を乗り越えるために必要だという認識を、国民全体で共有できればいいと思っています。
第2に、佐藤委員も言われていましたけれども、東日本大震災の特別会計のような区分経理にするかどうかです。区分経理すると、コロナ対応の歳出や国債がどのように管理されるか、情報開示としては非常に分かりやすいんですけれども、区分経理することで財政が硬直化するということ、効率的な歳出が行われない可能性もありますので、そういった点も検討すべきかと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、黒川委員、お願いします。
〔黒川委員〕皆様、お久しぶりです。本当にうれしく思います。皆様と、懐かしく、お会いできる、あるいはお顔を見ることがこんなにうれしいかと思った次第です。
さて、今日は、私は大学人なので、まず大学のほうの状況を、皆様御存じだとは思うのですが、どう対応したかということを少しお話したいと思います。
私は今、慶應大学をやめて、千葉商科大学の大学院の教授ですけれども、大学全体としては1学年2,000人弱、全体で7,000人くらいの規模です。4月中旬に、5月の連休明けから全てリモート授業というのでしょうか、遠隔授業をするということを決定し、大学自体は全部ロックアウトです。ですから、学生は1人も来られない状態で授業するということを決めたのです。
そこでどうなったかですけれども、65歳を過ぎている私も一生懸命、ITの授業の研修を数日間受けたりして、もう本当に4月中旬から5月の連休明けまでは私ども教師のほうも必死で勉強して、全7,000人ぐらいの学生についてテレビ授業、私の場合は大学院で、オンデマンド方式も含めていますけれども、6科目、やっていくことになりました。
さて、私ども教師は大変な思いをしたと思ったんですが、大学には生活協同組合というものがあります。4月ですと、学生が履修をすると、その教科書は大学の生活協同組合で買うことになっているのですが、学生はキャンパスに入れない。でも、5月の連休明けから授業するということで、それぞれの学生が履修した科目について、大学生協から自宅に教科書を送ったんです。7,000人です。そのときに、大学生協の職員の方々の御苦労を見て、これは私みたいな教師の苦労とは全然違うということに気がついた。そういうふうに頑張っている人たちがとてもいたということ。
それから、2番目、医療関係の話で、実を言うと私の母が5月13日にペースメーカーを入れる緊急手術をしなくてはということになった。これは大学病院ですけれども、コロナ病棟のある病院です。でも、そういう緊急の、その手術をしないと心臓が止まってしまうというので、高齢の母だったんですけれども、してくださいました。長くなるといけないのですけれども、医療の方々の頑張っている姿を見て、本当に感激しました。
今回、それぞれの現場で、何とか頑張って乗り越えようという姿を見て、大変な災難ですけれども、人々の助け合いとか、気持ち、そういうもので乗り越えていけるのではないかということを本当に感じて、それはよかったなと思っています。
そこで、最後のお話なのですが、文明全体のことを考える上でも、今回のことは大きな転換だろうと思う。それは、先ほど言ったように、私はソフトの面というか、人々の気持ち、心、そういうもののポジティブなところに触れたわけですが、文明の進歩というものが今までみたいに大量消費、大量生産というような物的なものから、もう少しソフト面を重視した文明に変わっていく、そういうような文脈で考えてもいいのではないかというのが一つ。
それから、先ほど太田局長がおっしゃったところに関係するのですけれども、プクチンという人がITというものがかつてないほどの中央集権を生むというような論文、本を書いているんです。それも考えておかないといけない。今回のことがあったので、国民全体の情報を政府が集めるということは、逆に言うとレッセフェールという公共哲学から言えば大変な問題なので、こういうような緊急事態のときに議論すべきことではないかもしれない。もっともっと大きな文明の問題、あるいは中央集権というような問題も含んでいるということだけは、我々、知っておかなければいけないのではないかと思いました。
長くなりましたが、以上であります。
〔増田分科会長代理〕それでは、角委員、どうぞお願いいたします。
〔角委員〕ありがとうございます。
今回、いろいろな問題が抽出されましたけれども、その中で2点ほどお願いしたいと思います。
1点目は、医療面での安全保障の件です。医薬品の中間体、原薬等の多くを中国に依存し、一国に供給を大きく依存しているときのリスクがまさに顕在化しましたのは御承知のとおりであります。その中で、ワクチンの開発ですけれども、これは他国に頼るのではなく、一刻も早く自国で達成する必要があります。そういった面で、このワクチンの開発については、大胆な財政支援、あるいは規制改革、承認に関するもう一段の改革が必要ではないか。このことをやっていただきますと、今後、予想される第2波、第3波の対策に要する費用を劇的に減らす効果があると思いますので、戦略的投資という意味でぜひともお願いしたいと思います。
2点目は、文化、スポーツの中で、特にクラシックの演奏者は、以前から非常に安い給料で頑張ってきてくれていました。今回、3密という中で一つ誤解がありますのは、コンサートホールというのは密閉ではありません。ホール、劇場につきましては、空中のCO2の濃度を一定以下にするという基準が設けられておりますので、必ず外気を取り入れて換気をしております。ですから、密閉ではありません。それと、密接についても、クラシックの演奏中にマスクを全員して、まして一言もしゃべらないわけです。これは密接とは言えないので、その辺の誤解がないようにぜひよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕はい、ありがとうございます。
それでは、冨田委員、お願いします。
〔冨田委員〕3点、申し上げたいことがございます。
1点目は、新型コロナウイルスのようなパンデミックは、経済に対してデフレ的な影響を与えるのか、そうではないのか、どの程度のものなのかということについて、私、こういうことを一番最初に押さえないと議論ができないと思ったので、いろいろと調べてみました。死者10万人以上、15のパンデミックがヨーロッパ経済に与えた影響をアラン・テイラーが分析しています。
パンデミックによって労働力が減少いたします。1人当たり賃金が30年から40年かけて5%上がった一方、設備投資の需要は減少いたしまして、資金余剰が起こりまして、実質の自然利子率が危機終息後20年間にわたって、合計で2%ほど低下、それを20年かけて元の状態に向けて上昇ということです。これに対しまして、パンデミックと戦争というのはよく同時に起こったりするわけですけれども、戦争では設備が破壊されて、資本の限界生産性が上昇して、自然利子率は20年で1%上昇するということが推計されます。つまり、パンデミックは、それ自体はやはりデフレ的に作用して、自然利子率を低下させるということになります。
もう一つはロバート・バローがやったものですけれども、スパニッシュ・フルーについての分析です。やはり欧州大陸、欧州各国への影響ということですけれども、死亡率は2.1%、その結果、1人当たりGDPを年率6%、個人消費を8%、2018年から20年の間に減少させたということで、デフレ的な要因、デフレ的な影響が大きいと考えていいと思います。
そういう中で対策ですが、2点目ですけれども、生命と生活を守るという対策ですが、やはり今回のパンデミックの構造がまだ十分解明されていない、よくファクターXと言われているわけですけれども、そのために対応策の効果も不確実なわけで、生命、生活を守るということを最優先とする対策は、勢い規模を最優先にしたものになってしまうということはやむを得なかったのではないかと思います。
また、予備費について、当初予算で5,000億円、1次で1兆5,000億円、今回、10兆円、合わせて12兆円で、毎月1兆円の予備費ということです。これらの大きいくくりの予算につきましては、もうしようがないということではなしに、執行段階で現場から適切なフィードバックを求めまして、真に不足する分野があれば増強ですけれども、検証によって明らかになった場合は効率化を図っていくという手立ては必要だと思います。
3点目、企業の資金繰り対応の強化策ということで、日本銀行の雨宮委員からも御説明ございました。今回、1次補正、2次補正、そして資金繰り対応等の財投の追加を含めまして、100兆円の国債が発行されるわけです。さらに、これから税収減少によります当初予算の穴埋めにも国債増発が必要となってきます。これらによって金利が跳ねてしまいますと逆に悪影響が発生するので、クレジット緩和策ということで日本銀行はやっておられるわけですけれども、それに悪影響を与えることのないように、今回、国債増発は短期国債が中心で行われてまいりました。短期国債というのは、次から次に借換債を発行しないと駄目なわけです。このため、極端な推進論も反対論も、ともにかまびすしくある、いわゆるヘリマネ、ヘリコプターマネーということですけれども、この流動性が高いとか、イールドカーブコントロールが十分効いているがゆえに短期国債を出しているわけですけれども、次から次と借換えの連鎖がこれから生じてしまうわけでして、いわゆるヘリコプターマネーとは一線を画するものだと思っております。
以上、3点でございます。
〔増田分科会長代理〕はい、ありがとうございます。
それでは、続いて南場委員、お願いします。
〔南場委員〕すみません。このような状況のさなかに御説明いただく機会を設けてくださって、ありがとうございます。
企業の立場からですと、今、非常に気になるのは、やはり世界各国で一斉にこの規模で財政出動したという歴史があまりないというか、今後、どうなってしまうのか。BCP的な観点で、会社のバランスシートをどう組み換えていったらいいのかというところは、非常に不安でいっぱいなところです。現金の価値が大きく崩れてしまうようなことは本当にないのかどうか、恐らく経営者は皆、それで頭がいっぱいだと思いますので、ちょっとお伝えしておきます。
もう一つは、当座、必要なことはなされているんですけれども、今後の支援策の方向性について、特に企業に対しての施策の方向性について、一定の転換が必要になるのではないかということです。今回のコロナショックは、人々の生活や仕事のスタイルの変化を余儀なくしたんですけれども、その余儀なくした変化の幾つかは大変に便利だったことの気づきを与えたので、不可逆性に望ましい形で残っていくと思うんです。非接触型とか、遠隔技術を用いた消費、医療、教育、会議、オンラインのコンテンツ配信などはそうですけれども、企業としては、アフターコロナの社会にマッチする事業、ビジネスモデル、ビジネスシステムに転換しないと生き残れないということですけれども、この変化によって業績が伸びる企業と悪化する企業の明暗がくっきり分かれるというのが、今回のショックとリーマンショックと違うところです。
したがって、平野委員のおっしゃったことと非常に似ているんですけれども、今後の支援策においても弱き企業を助けるという観点が続きますと、適応していない企業を助けることになってしまいますので、ビジネスモデルの転換を図る企業を対象とするとか、今後の社会、経済の速やかな転換に資する支援策をやっていく、そういう視点が重要になると思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕はい、どうもありがとうございます。
それでは、藤谷委員、お願いします。
〔藤谷委員〕はい、ありがとうございます。
私は法律家ですので、法律家としてやはり予備費について一言申し上げておきたいと存じます。これは、御案内のとおり、憲法の財政民主主義との関係でいわくつきの論点でございます。
今回の10兆円は、コロナ対策に使われるということで、我々、やむを得ないことだと考えておりますし、また、先ほどの太田局長のスピード感の話もよく分かります。だからこそ、使った者勝ちにならないように、この対策との関連性が薄いものが紛れ込まないようにと、財政当局の責任は大変重いということはぜひ申し上げておきたいと存じます。
これは2つありまして、1つは、予備費は財務省の管理下に置かれますので、各省庁からの支出要求に対しては、もちろんタイムリーさというのはあるんですが、ぜひしっかり精査していただきたい。これは言わずもがなのことだと思います。
むしろ、第2点が重要でありまして、予備費というのは、後日、国会の承認を得なければなりません。ただ、現実には、もう支出してしまったものについて、あれこれ言っても仕方ないということにどうしてもなりがちなのですが、ぜひそこで、いたずらに政局化されないようにしながら、しかし国民に対する透明性が確保されるように、これはこの時点ではやむを得ない支出だと思ったんだけれども、やはりまずかったというようなことも、これ、当局としては嫌なお話になってしまうかもしれませんが、ぜひ隠さずに情報を出していただきたいということであります。それが、この審議会でも繰り返し確認しております、財政運営に対する国民の正しい認識と、当事者意識を持ってもらうということにつながると思いますし、また、予算統制の基本思想の抜本的なアップデートにもつながるものになると思います。コロナ危機、よく言われることですが、単に乗り越えるべき最悪の事態としてだけではなく、財政運営のバージョンアップのチャンスにできればと思います。
以上です。ありがとうございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、堀委員、お願いします。
〔堀委員〕時間もないので、手短にお話しさせていただきます。
新型コロナ感染症予防対策は、経済学でいう外部性のあるものですし、公衆衛生という視点からも、政府が積極的に介入するのは仕方がないというか、当然だと思いますが、今回の財政規模が本当に妥当であるのか、つまり、対GDP比で見たとき、あるいは感染者数、死亡者数等で見たときに、これだけの大きな規模が本当に妥当であるのかどうかというのは、まだ誰も回答はできないと思うんですが、後で見たときに妥当であったかどうかを検証する必要があると思います。また、ワイズスペンディングが重要であると思いますし、投入した費用分の効果が得られるようにしていただきたいと思います。先ほど、ワイズスペンディングの中でもプライオリティーセッティングの必要性を平野委員がおっしゃっていましたが、まさにそのとおりであると思います。私は医療政策の専門家なので、医療供給体制の基盤といいますか機能強化は重要であると思ってはいるのですが、新型コロナと直接関係ないものをどこまで補助をすべきかどうかは検討する必要があると思います。いろいろな要求があるかと思いますので、本当にそれは必要なものかどうかをプライオリティーをつけながら見ていく必要があるのではないかと思っております。
それから、先ほど宮島委員もおっしゃっていましたが、一緒にイギリス、デンマークに行って、財政の健全化が日常的にはかれているからこそ、大盤振る舞いという言葉は悪いですが、緊急時にもいろいろなことができると思います。これから先、新型コロナに限らず、また別の未知の疾患、新興、再興感染症が流行する可能性もありますので、そういうときに備えていくためにも、財政の健全化は平時に必要なことだけれども、非常時のためにも必要だということを強く国民にも言っていく必要があると思います。財務省は、ひょっとすると嫌われる役割になってしまうところがあるのではないかと思いますが財政審としても、非常時のためにも平時のためにも財政の健全化が必要であるという役割があると思います。それがあってこそ、初めて将来、未来、どういうふうに社会を立て直していくかということが議論できると思います。財政の健全化とは必要なお金を出し渋るとか、けちっているとかそういうことではなくて、未来の備えのためにも必要なのだということと、ワイズペンディングの重要性を世の中に訴えていただくようお願いしたいと思っています。
最後に、質問ですが、今回、二度の補正予算における公債依存度がかなり高かったということもあるんですけれども、国債の発行で賄った財源をどのように返していくかというのは、財務省の中で何か戦略を考えていらっしゃるんでしょうか。いろいろ手段はあると思うのですが、そこだけ、もしお答えいただける範囲であるならば教えていただければと思っています。時間があればお答えいただければと思うのですが、現時点では固まっていないとしたら、今後の重要課題としてご検討いただければ幸いです。
以上です。
〔増田分科会長代理〕はい、ありがとうございました。
登録していただいた委員の皆様方の御発言、ここまでとさせていただきます。少し時間超過して恐縮ですが、ありがとうございました。
それでは、最後の御質問ございましたし、医療関係でもいろいろ御質問があったので、宇波次長でよろしいですか。宇波次長にお話をしていただいて、最後、会長からお話をいただいて、あと井上政務官から御発言がございますので、そういう順番で進めていきたいと思います。
それでは、次長、お願いします。
〔宇波次長〕一言だけ。たくさんの御指摘いただきましたので、説明資料ですと5ページに今回の2次補正予算の医療提供体制の強化がございます。小林委員、末澤委員ほかから、PCR検査体制の整備であるとか、ベッドの確保みたいなことを計画的にというお話がございました。十分御説明し切れてないのは申し訳ないんですけれども、今回の医療包括交付金で2兆円以上を増強した中で、実際にはコロナの専門病床みたいなものをきちんと確保して、今回ですと1万床を全国的に確保する前提で、実際に患者が入っていない場合も、空床の場合もICUの包括点数を保証するような形で、この後、患者がまた多くなったときにも対応できるような医療体制の確保を資することとしています。
それから、(4)のマスク等の配布というところも4,379億円と巨額ですけれども、一定の再生産数が膨らんで、もう一度、大きな波が来たときにも、サージカルマスク等が足りなくならないようにということで、年度末までかなり患者さんが膨らむことを想定して、今からマスクの備蓄等を進めるとしています。PCR検査も、1次補正予算、2次補正予算でもともとついている交付金の中で、ここはお金の制約があるわけではなくて、PCR検査体制の支援をすることとしています。苦しいのは、実際にはマスク等の生産の確保、あるいはPCR検査の検体を採る人員の確保というところが非常に厳しい状況になっておるんですけれども、PCR検査などはもう少し簡易なものの開発を進めて、ここはさらに強化できればということは厚生労働省とも話をしています。
他方で、財政当局的には、土居委員からも御指摘ありましたけれども、救急病床をきちんと確保する一方で、地域医療構想というのはどちらかというと救急病床の数を減らしていこうという構想でありまして、今後、どういうふうに地域医療構想を進めるかとか、冒頭、課長の森田から申し上げたように、実際、本当はこの夏に、後期高齢者の医療の御負担を2割に引き上げるというお話など、高齢化の進展を踏まえた2022年以降の社会保障改革の御議論をしていただく予定であったわけですけれど、これが年末にポストポンになっています。
そういう意味では、非常に難しい環境下で秋以降の議論をしないといけないんですけれども、足元のコロナ体制に向けた医療体制の万全な整備ということと、中期的な高齢化をにらんだ社会保障改革の必要性といったようなことについて、また秋以降、議論をお願いできればと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。
〔増田分科会長代理〕はい、ありがとうございました。
それでは、ここで会長のほうからお話をいただきます。
〔榊原分科会長〕私も、3か月ぶりに皆様とお会いできて、本当にうれしく思っています。やはり定期的にこういった会合を開催することは大事だということ、改めて認識をしたところです。
経済界の人と集まりますと、必ず話が出るのは、ポストコロナの時代の世界、あるいは日本の経済、あるいは社会がどうなるのかということですけれども、やはり全員が思うのは、今までの延長線上では議論できないのではないのかと。今回のコロナ、10年に1回という話ございましたけれども、今までの経済危機とやはりネイチャーが違うのではないのかということだと思います。
このコロナを機に、世界の経済、社会というのは大きく変わる可能性がある。変わる要因の一つは、デジタル化の急速な進展です。日本でも、在宅勤務とか、遠隔会議、国際的な会議を含めて急速に進んでいまして、それが定着する。それから、商品の販売の形態、店舗販売からネット販売に急速に変わっていくといったようなことで大きな動きがある。これは、社会インフラの形にも大きな影響を及ぼすと思います。もう一つは、グローバルサプライチェーン、中国、東南アジアを機軸にしたサプライチェーンを築いているわけですけれども、この急速かつ大幅な見直しが進むのではないか。米中摩擦が大きな契機になって、それが本当に大規模に進んでいくのではないのか。
それから、何よりも大きいのは、世界の経済、社会の分断というんでしょうか、特にアメリカのトランプ大統領の保護主義的な政策、それから自国優先主義の政策が強まってくるということで、今まで世界を牽引してきた自由で開かれた国際経済秩序が揺らぎ始めている、大きく変わってくるのではないのか、貿易の姿も変わってくるのではないのかということだと思うんです。しかも、日本の感染状況は、現時点で比較的順調に抑えられているわけですけれども、諸外国ではまだまだ感染が拡大する方向ですから、やはり2年とか、場合よっては3年というタームで考えなければいけないということで、今までも大きな経済ショックがあったわけですが、それとの回復の姿というのは大分違うのではないのかと思います。
そういった中で、財政健全化に向けての前提となっている経済予測があります。楽観ケースやら、現実ケースがあるんですけれども、多分、我々の前提とすべき経済成長の姿というのは、今までの楽観ケースとか、悲観ケースとはまた違った、ポストコロナケースというものをつくらなければいけないのではないのか。それは、あまり楽観的ではなくて、むしろ相当悲観的というか、覚悟して、少なくともこの何年間のタームでは大きな成長はできないという前提で考えなければいけないと思うんです。
財政再建の柱は3つあって、歳出改革、歳入改革、経済成長それぞれ大事で、今まではまだまだ経済成長を何とか頼りにということもあったんですけれども、少なくともこれから数年のタームでは、経済成長を頼りに財政再建するという基本的なシナリオは取れないのではないのか。そうすると、歳出改革はもっともっと思い切ってやらなければいけない。それから、歳入改革も思い切ったことをしなければいけない。それに向けて、例えば消費税10%で10年という話がありますけれども、それで本当にいいんですか、もっと思い切って消費税の見直しもしないといけない。それから、先ほどございましたけれども、復興特別税みたいな税金の導入、税体系の導入も考えなければいけないといったことで、どうも今回の危機で、今までの考え方を大幅に変えなければいけないのではないかという気がいたします。そういった意味で、財政審の意味というのは非常に重要だと思います。
今回、コロナの影響で、春の財政審の建議は見送ったわけですけれども、こういった状況の中で、やはり財政健全化に向けての国民の関心は非常に高いので、何らかの形で財政審としての意見の表明を考える必要があるのではないのかということで、次回以降、皆様方とよく議論して、どういう形で発信するのがいいのか御相談をしたいと思います。
私からは以上です。
〔増田分科会長代理〕はい、ありがとうございました。
それでは、今日、テレビ会議システムで当初から御参加をいただいております、井上大臣政務官からお話を頂戴したいと思います。
井上政務官、どうぞよろしくお願いします。
〔井上政務官〕今日は、御出席いただきまして、さまざまな貴重な御意見を多くいただきまして、本当にありがとうございます。
本当にこの緊急事態の状況下の中で、今まで2012年から2019年まで、皆様方の御意見で33兆8,000億円の財政健全化をすることができておりました。そういう中で、これだけ巨額の財政支出をしなければいけない状況下になったこと、また、それを本当に有効に使わなければいけないということを改めて感じさせていただきました。
その中で、私のほうから、10点ほど、秋に向けた問題提起も含めて、簡単に話をさせていただきたいと思います。
1つは、生活安全保障であります。サプライチェーンの見直し、今回、マスクや消毒液、防護服など中国に依存していた部分を、できるだけ分散化したり、国内回帰をしなければいけないということがあります。そのことについて、また御意見をいただければと思います。それが1点目。
2点目は、劣後ローン等の資本投入であります。大企業、中小企業に対して、今回、様々な資本投入をしますが、技術は日本が持っている財産でもあります。様々な状況下で他国の企業に買収をされることによって、日本が今度、V字回復をしていかなければいけないときに、日本の財産をなくしてしまわない状況をつくらなければいけない。それと、今、大企業でも大きな穴があいていますので、この穴を埋めておかなければ、中小企業や下請企業へのしわ寄せが来て、中小企業に対して財政支出しなければいけないような状況をできるだけ避けたいという状況もあります。これに対しての御意見をいただきたいということが1点。
医療体制の見直し、平時のときと有事のときでの体制の見直しというものも、今回、問題提起されました。コロナ対応を非常にやっていただいた医療機関というのは、ほかの医療をすることができなくて収入が大幅に落ち込んでいます。そういう状況下の中での拡充をどう考えるのか。それから、今回、経済をやるということになりましたので、PCR検査の拡充や、抗体検査、抗原検査を拡充する費用を明確に打ち出して、陽性である方、陰性である方を明確にすることによって経済を動かしていくほうが効率的ではないのか、という御意見もございます。これについての御意見もいただきたいと思います。
先ほどからお話があります、10年に1回起こることが前提だと。私も、本当にそのとおりだと思っています。その中で、国、企業がそのリスクのための基金を設けたり、平時のときの必要性について、また、世銀やIMF、そしてG7、これもひっくるめて世界的に大きなファンド、基金をつくっておくということをどう考えるのか、そういう御指摘もいただきたいと思います。
それから、発展途上国への支援です。我々、先進国は、ある程度ワクチンが行き届いたときにときに終息をしていきますけれども、発展途上国に対して、GAVIや、CEPIや、WHOを中心に、並行して支援をしていく必要はあると思っています。そういう対応についても、迅速化と、そして対応に対する投資についての御意見をいただければと思います。
今回のコロナで、中小企業の企業再編、新しい生活ということで、例えば前からタクシーに物流をやらせたらというような話がありましたけれども、なかなか進みませんでした。ですが、今回のコロナで、主要な物流はトラックにお任せし、小輸送に関しては地域の交通圏を持っているタクシーでやることによって、これからの労働集約型産業の在り方も大きく変わるのではないかと思っています。それについての御意見をいただければと思います。
テレワーク、大都市一極集中の在り方についての御意見もいただきましたけれども、改めて御意見をいただければありがたいと思っております。
次に、2次補正予算の10兆円というのはあまりにも大きいのではないかという御意見もあります。この10兆円の予備費に関して、中小企業の対策、雇用調整助成金の拡充や持続化給付金の拡充、劣後ローンなどで中企業、大企業に資本を注入するときのサポート体制、コロナ対応で収入が悪化した医療機関に対してのサポート、ワクチン開発の費用、様々なそういうものに対して予備費を活用しなければいけないときが来るかもしれません。そういう状況下の中で、何をもって予備費なのだろうということはぜひ先生方からも御意見をいただければありがたいと思っています。
それから、マイナンバーです。マイナンバーの口座ひもつけの問題というのは、実はマスコミの調査では賛成が35%、反対が55%でありました。このひもつけに関して、国民の皆様方は比較的賛成が多いのではないかと思っていましたけれども、意外な回答が上がっています。それについての御意見を頂戴したいと思います。
先ほどから出ております財政再建ですけれども、本当に次世代に胸を張れるような財政出動をしなければいけないと思っています。
個人資産ですけれども、1,000兆円超える個人資産を持っていますが、今回のコロナでどのくらい個人資産が少なくなったのかということも、きちんと後追いをしておく必要があるのではないかと感じています。
最後に、国費と地方自治の在り方、国と地方自治の在り方、そして国の権限と地方の権限の在り方が、今回、問われたと思っています。その財政出動の在り方も、地方単独で出せるもの、国がやらなければいけないものを、どこまでは国がやらなければいけない、地方単独で出せる費用はないのかということも検討する必要があると感じています。
先ほど太田局長から、国民に対する周知の在り方が問われるという話がありました。実際、私も、3月から、自分のところの地域ですけれども、公民館が開いていません。そのために、公民館で地域の皆様方に周知することもなかなか難しいということもありまして、商工会議所、商工会、税理士、会計士、社労士という皆様方を通じて周知をしていく、商店街の空き地を開放して、そこで相談窓口をつくって対応していくことも並行してやらせていただいて、うちの地域だけで、今、1,745件の対応をしています。それぞれの地域で、自分たちの立場、持ち場で一人でも救えるような状況をつくっていく、口コミで対応していくことが不可欠だと。本当にどうしたらいいのか分からないという方々はたくさんいらっしゃるので、できるだけ多く知らしめて、また、そういう情報を上げたいと思っています。
今日、本当に貴重な御意見をいただいて、これから2次補正を通させていただきますけれども、本当に大事な税金ですので、無駄のないように、そして効率のいい運用をできるように努力していきたいと思います。今日は、御出席いただき、様々な御意見をいただきましたことに心から感謝申し上げ、御挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕井上政務官、どうもありがとうございました。
今日は、時間が大変超過をして恐縮でございます。おわび申し上げますが、大変大事な局面での財政審でありますので、あまり時間にとらわれた運営ということよりも、委員の皆様方の御発言内容をきちんと言っていただくという意味で、大変申し訳ございません、時間が超過しましたが、以上で本日の議題は終了といたします。
そして、この後、記者会見で内容を御紹介させていただきます。しっかりと皆様方の御意見が通じるように、私のほうから紹介させていただきたいと思いますので、個々の発言につきましては報道関係者にお話しすることのないように、御注意をお願いしたいと思います。
今後の審議会の取扱いは、調整の上、改めて事務局から御連絡を申し上げたいと存じます。
本日は、これにて閉会いたします。どうもありがとうございました。
午後0時45分閉会