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財政制度分科会(令和2年1月27日開催)議事録

財政制度等審議会財政制度分科会
議事録

令和2年1月27日
財政制度等審議会


財政制度等審議会財政制度分科会議事次第

令和2年1月27日(月)16:15~17:40
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)

  • 1.開会

  • 2.議題

    • 令和2年度予算等について

  • 3.閉会

出席者

分科会長

榊原定征

宮島大臣政務官

阪田次長

角田次長

宇波次長

阿久澤総務課長

日室司計課長

前田法規課長

斎須給与共済課長

森田調査課長

西山官房参事官

渡邉主計官

吉沢主計官

関口主計官

八幡主計官

一松主計官

中澤主計官

中島主計官

岩佐主計官

坂口主計企画官

井上主計企画官

飯塚主計企画官

分科会長代理

増田寛也

赤井伸郎

遠藤典子

大槻奈那

黒川行治

神津里季生

十河ひろ美

武田洋子

宮島香澄

臨時委

秋池玲子

宇南山

河村小百合

木村

権丈英子

小林慶一郎

小林

末澤豪謙

田中里沙

土居丈朗

冨田俊基

平野信行

広瀬道明

堀真奈美

神子田章

村岡彰敏

横田響子


午後4時15分開会

増田分科会長代理それでは、時間が参りましたので、開会いたしたいと思いますが、今日は冒頭でカメラが入りますので、そのままお待ちいただきたいと思います。

それでは、お願いします。

(報道カメラ入室)

増田分科会長代理ただいまから、財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。

皆様方には、御多用中のところ、御出席をいただきまして、ありがとうございます。

本日は、令和2年度予算等を議題としております。

それでは、報道関係の方は御退室をお願いしたいと思います。

(報道カメラ退室)

増田分科会長代理それでは、審議に入ります。令和2年度予算の概要等、そして海外調査の実施、以上2つについて、森田調査課長から説明をお願いします。

なお、従来どおり、資料はペーパーレス化でありますので、会場の両側のスクリーンを御覧いただくか、お手元のパソコン端末で御覧いただきたいと思います。もし、不具合がございましたら、お近くの職員までお申しつけをいただきたいと思います。

それでは、森田調査課長お願いします。

森田調査課長よろしくお願いいたします。

画面上、右上に資料1とございます令和2年度予算の概要等について、まずこちらについて御説明申し上げたいと思います。

1枚おめくりいただきますと、今回の予算編成につきましては、年末、いわゆる3段階で、経済対策の閣議決定、これを受けた補正予算の閣議決定、それから、それを一部とし、かつ消費税の平年度化等を社会保障の充実に充てる、こういったことを主眼とした当初予算の閣議決定、これが3週連続で続くという形で予算編成が仕上がったということでございます。

2ページ目でございます。総合経済対策を一覧にしてございます。上の箱にございますように、台風15号、19号等により広範囲にわたり甚大な被害が発生したこと。2点目として、米中貿易摩擦をはじめ、海外発の下方リスクへの注意がより一層必要となっていることを踏まえるという問題意識のもと、3つの柱を据えてございます。

ローマ数字1、災害からの復旧・復興と安全・安心の確保、ローマ数字2、経済の下振れリスクを乗り越えようとする者への重点支援、ローマ数字3、未来への投資と東京オリンピック・パラリンピック後も見据えた経済活力の維持・向上。下に規模感がございますけれども、左下、事業規模が括弧内26兆円、財政支出、財投を含めたベースでございますが、13.2兆円、この中に地方と国が入ってございまして、国分、注にございますように予備費の0.1兆円を即座に打ちましたが、その後に、その上の箱、4.3兆円の補正予算への反映、それから1.8兆円が当初予算に反映されている、こういったフレームになってございます。

次、3ページ目にございますのが補正予算の概要ということでございます。右側にございますように、4兆3,000億円の経済対策の実行に伴うもの、これが主眼となっている予算でございます。

下に3つほど、■で注記がございますが、その他の追加財政需要、国際分担金等でございますが、これを合わせると4兆4,700億円強の追加歳出。2つ目の点として、財源について言及がございますが、既定経費の減額、前年度剰余金、建設国債の追加等で対応。それから、その際ということで、財政法第6条という定めがございまして、前年度剰余金の2分の1を過去の借金の返済に使うということが原則でございますが、今回のフレームでは、この剰余金を2分の1以上活用する、残りの部分についても当初予算で活用するということになりましたので、今通常国会で特例法を出しておるという状況にございます。3点目として、税収減に対応する形で、いわゆる赤字国債を追加発行しているというフレームでございます。

そのフレームを、次のページに示してございます。今申し上げたもの、左上、1.2.3.が対策の柱、これをファイナンスするための財源として、5.既定経費の減額、右に参りまして、税外収入、剰余金の受け入れ、公債金と続いております。この剰余金受け入れ8,000億円が、前年度決算の1.3兆円の半分を上回る金額になっておるということで、先ほど申し上げた特例法が必要になるという仕掛けでございます。

それから、下半分にございますのは、右側の4.税収減、2.3兆円ほど当初の見積もりからの下振れがございました。これを受けまして、それを穴埋めする形での赤字国債の発行を6.で対応しています。それが必要になる理由として、左側の玉突き事故のように起こります地方交付税交付金の減額、これを一旦、政府のほうで責任を持って穴埋めするために必要となる措置ということでございます。

税収の減額につきましては、後ほどグラフを御覧いただきますが、主に外需の落ち込みを中心とした法人税の減。それから、所得税におきまして一部の特殊要因、子会社との配当のやりとりが、前年度で生じたものを次年度に還付をするといったことで生じている減が大半でございます。

それから、5ページ目に参りまして、次は当初予算ということになります。当初予算では、大きく3点のポイントを御説明申し上げているところです。

1つ目の箱、社会保障の充実ということでございまして、10月から上がった消費税、来年度は4月から3月まで入ってまいりますので、ほぼほぼ平年度化してくる。これを受けて、残りの社会保障の充実分が予算計上されていくということに伴うものです。一番大きいものとして、例示、4つほどしてございますけれども、高等教育の無償化4,882億円が増になる。こういったものを含めて、総額では国費1.2兆円分、これが社会保障の充実ということで計上されている1つ目の箱です。

2つ目の箱、冒頭に申し上げた対策1.8兆円を当初予算でということに関係するもので、やはり例示がございますけれども、キャッシュレス・ポイント還元事業、4月から6月分までの計上、それからオリパラを挟んだ9月から、さらにマイナンバーカードを活用した消費活性化策ということで2,500億円弱、そのほか継続事業である、すまい給付金でございますとか、インフラ対策が含まれているということでございます。

3つ目の箱、歳出改革の取り組みでの進展ということでございますが、こちらには2点ほど言及がございます。新経済・財政再生計画のもとで、いわゆる目安を何とか達成しているという姿でございまして、社会保障関係費につきましては、高齢化による増の範囲に抑えるということで4,000億円強の増額。非社会保障の世界におきましても、330億円ということで、これまでの取り組みの継続の範囲内で目安を達成しているという形でございます。それから、安倍内閣発足以来、国債発行額は8年連続で減額、当初予算ベースの比較でございますが、当初予算の観点から安倍内閣発足後で見れば8年連続、民主党政権から数えれば10年連続で達成しているという状況になります。

これを数字で確認いただくのが、6ページ目のやはりフレームでございますけれども、一番上は税収、63.5兆円という規模でございます。左側が当初予算ベースの数字であることには、少し御留意をいただければと思います。後で、グラフのほうでは補正後の姿で数字、絵姿を御覧いただけます。それから、その下にその他収入ということで、外為特会等からの受け入れ等を通じることによって前年度よりもより増額を図ること。こういった努力も通じまして、新発債、公債金の欄でございますが、1,000億円ほどの減を達成しているというのが、先ほど申し上げた歳出改革の取り組みサイドでの一つのポイントでございます。

下側に歳出がございますが、中ほど一般歳出、社保と非社保、社会保障以外とございます。社会保障関係費以外のほうは、シンプルに先ほど言及いたしました330億円の増、これにとどめたという目安がすぐに御覧いただけます。その上の社会保障関係費、ここで御覧いただくのは1.7兆円の増ということになってございますけれども、前のページで御覧いただきました消費税の増に伴う増収分を活用した社会保障の充実が1.2兆円、それから目安を何とか達成したという4,111億円ということで0.4兆円、1.2+0.4、それから残りの0.1程度が、消費税自身が上がることで発生する高経済負担に対する対応ということで、これらが合わさっての1.7兆円の数字ということになってございます。それから、一番下に1.8兆円ほどの臨時・特別の措置、経済対策に見合う当初予算計上分を足し上げまして、トータルで102兆6,580億円という姿になったということでございます。

7ページ目には、いつも御覧いただいている円グラフでございます。

次、8ページ目に、いわゆるワニ口のグラフ、更新をしてございます。平成30年度まで決算ベース、令和元年度を補正に直しまして、令和2年度、来年度予算を当初予算という形で数字を組んでございます。

下の国債の発行額を御覧いただきますと、8年連続きれいに落ちているわけではなくて、決算ベースで御覧いただきますと、当然、補正を組んだ年等ででこぼこがございます。他方で、税収が一応、右上がりに上がっているトレンドではあることから、トータルとしては国債発行額を何とか減額のトレンドには乗せているという姿が御覧いただけるかと思います。

それから、青い線ですけれども、足元が63.5兆円まで来たということで、既におととしの決算で過去のピークを抜いているわけですが、このあたりは一応、堅調な税収になっています。他方で、元年度補正後の予算、税収は60.2兆円ということでございますので、一旦、足踏みして、また上がっているという姿、こちらのほうは9ページ目に税収の内訳を参考に載せてございます。

9ページ目を御覧いただきますと、棒グラフのほう、今、申し上げた補正後の60.2兆円から63.5兆円まで、今回は伸びるという姿になってございます。この伸びが少し強過ぎるのではないかということが、エコノミストですとか、新聞のほうにはございますけれども、うち2.4兆円分は消費税の税率アップに伴う部分でございまして、残る部分の伸び率につきましては、政府が見込んでいる経済見通しとほぼほぼ整合的な予算ということになっています。それから、税目を御覧いただきますと、黒い線ですが、遂に消費税が基幹税目の中の筆頭に躍り出るということがよく御覧いただけるかと思います。

10ページ目、11ページ目には、主要経費別ということで数字を整理してございます。11ページ目だけ御覧いただきますと、中ほど、例えば防衛関係費、中期防の対象経費を1.1%伸ばす、プラス559億円を達成しながら、社会保障以外の中では何とか330億円の増にとどめたという姿になってございます。

12ページ目から13ページ目にかけて、各歳出分野の特徴ということで例示がございます。ここに全て言及できるわけではございませんが、財審の建議等でいただいた問題意識の反映につきましても、ここで言及させていただければと思います。

社会保障の箱、建議の中では、目安をしっかり達成する必要、診療報酬改定のマイナス改定、こういった方針を示していただきました。今回の予算では、社会保障関係費、夏の時点では自然増5,300億円と見込まれておったわけですけれども、実勢価格の動向を反映した薬価改定、これまでに決定した社保改革の実施等、さまざまな抑制努力を積み重ね、実質的な伸びを4,111億円に抑えた、先ほど申し上げたとおりでございます。

診療報酬、薬価等改定につきましては、医療費の伸び、保険料などの国民負担や物価賃金の動向、医療機関の収入や経営状況、保険財政や国の財政に係る状況等を踏まえまして、診療報酬のほうで0.55%。それから、消費税増収分を活用した中で、救急病院における勤務医の働き方改革への特例的対応0.08%もあわせて行っています。他方、薬価等につきましては、市場実勢価格を反映する形で▲1.00%としておるということでございます。

次に、教育・科学技術の分野でございます。ここにはちょっとは書き込めていないのですけれども、建議におきましては、量よりも質であるという話、そうした観点から人的・物的リソースの有効活用、自立的なメカニズムの創出を推進すべきといったご提言をいただきました。例えば、教職員の定数につきまして、少子化、学校の統廃合の進展を適切に反映するほか、加配定数をしっかりと合理化して、定数の見直しで減少を図り、他方で、小学校の英語の教科化に対応するような、質の高い英語指導が可能な専科教員を充実する。こういったメリハリを措置しつつ、質の向上を図っていくということでございます。

次の箱、公共事業でございますが、建議の中では、新規対策の厳選、既存ストックの最大限の活用、使い方の改善、こういった方針をいただいてございます。今般の予算でも、安定的な確保を行いながら、使い方の改善という観点から、治水対策を中心とした防災・減災対策等の強化、安全・安心の確保について、例えばダムの利水容量を治水に活用する。それから、下水道、雨水の貯留施設等につきまして内水氾濫対策へ重点化を図る。そういったことで、既存ストックの使い方の見直しを進める。さらには、コンパクトシティーの強化、防災・減災対策との連携を図る、ソフト対策を要件化していく。こういったことで、国土・土地利用の見直しも推進しているところでございます。

次の箱、農林水産業でございますが、建議では、品目横断的な収入保険の仕組みを拡充して、米の転作支援金につきましても餌米から高収益作物へシフトしていくといったような方針をいただきましたが、今般の予算におきましても、米、麦、大豆等、個別品目を対象としたならしなどの縦割り的な制度から、品目横断の収入保険への移行を図る。それから、水田利活用交付金、米の交付金につきましても、餌米のための支援を見直して高収益作物へ一層転換を図る、こういったことを進めているところでございます。

続きまして、次のページ、外交・防衛とございます。外交のほう、ちょっとここには書けてございませんけれども、建議の中では、無償資金協力についても後年度負担を含めた適切な予算管理が必要、予算編成過程からメリハリの議論、執行実績との比較、検討の効率化、そういったことが必要だという方針をいただきました。概算決定時におきまして、地域と分野ごとに想定するような大枠の公表を図る。それから、外務省のほうで、無償資金協力の後年度負担を含めた適正な予算管理を図っていく、こういったことになってございます。

次に、防衛が同じ箱でございますけれども、建議の中では、中期防に基づき実効的、計画的な防衛力整備を行っていくためには、新規の後年度負担額について効率化、合理化の徹底、その水準の抑制といったことを提言いただきました。今回の予算では、中期防対象経費につきまして、中期防の整備計画を踏まえて実質1.1%の伸びを確保して、結果的には5兆688億円の計上。新規の後年度負担につきましては、将来における予算の膠着化を招かないように、防衛関係費全体での抑制を図るということをしてございます。その結果、調達の効率化、合理化につきましても前年度を上回る縮減を実現しているということで、後ほど少し言及が別のパーツでございます。

少し飛びまして、一番最後ですが、地方財政です。建議の中では、一般財源ルールのもとで引き続き歳出の伸びを抑制、臨財債の縮減を確実に進めることが不可欠、こういった御提言でございました。今般の地財対策のセットでも、一般財源総額につきまして、消費税率引上げに伴う社保の充実、それから地方法人課税の偏在是正効果を活用することを踏まえて、前年度の実績と同水準の姿、一般財源ルールを堅持するとともに、折半対象財源不足をゼロにする、臨財債の発行額を縮減するなど、地方財政の健全化をさらに進めているところでございます。

次に、14ページには、途中、当初予算の3つのポイントの中で申し上げました社会保障の充実の話につきまして、もう少し詳しい資料をつけてございます。

15ページは、同様に、2つ目の箱で申し上げました経済対策1.8兆円が反映されている部分について、より詳しい資料でございます。

16ページ、経済データとの関係が並べてございます。一番上の系列に名目GDP成長率、3つ目に実質GDP成長率があるという形になってございますが、令和2年度においては、経済対策の押し上げ効果ということで、前年度との比較において1.0%の押し上げがあるという試算が内閣府からなされているところでございます。

17ページ、予算の重点化、効率化と質の向上ということで、幾つか例示がございます。先ほど、後ほどと申し上げた防衛装備品の話、一番上の丸に書いてございますが、前年度を上回るような効率化、合理化ということで4,313億円の例示がしてございます。
 2つ目の箱には、公共事業の分野でございますけれども、効果的な実施という枠の中で、1行目の後ろのほう、より計画的、集中的に工事を進めるべき事業については個別補助制度を創設する。3行目、地域の実情を踏まえた、きめ細かな対応が必要な事業は地方単独事業で実施、こういったメリハリもつけているところでございます。

それから、一番下の箱、行政事業レビューや予算執行調査の反映ということでは、例えば3でございますが、省エネ機器の導入補助ということで補助対象範囲を厳格に見直す、こういったことに取り組んでいるところでございます。
 18ページ目には、改革工程表、さまざまな項目が並んでおるわけですけれども、それを内閣府、経済財政諮問会議のもとでずっとフォローしておるわけですが、こういったことの進展についての参考資料をつけてございます。特に、社会保障分野につきましては、この後で御説明申し上げます全世代型社会保障検討会議の中間報告において、今後、さらに夏までに取り組んでいく検討作業も、こちらの工程表とシンクロしている部分がございます。

19ページ目から、今、申し上げた前者の、全世代型社会保障検討会議の中間報告について参考資料をつけてございます。こちらの決着というか、既によくご案内の方もいらっしゃるかと思いますけれども、紹介させていただければと思います。

20ページ目、改めましてこの会議の概要ということでございます。社会保障全般にわたる改革について検討するために、9月に総理を議長とする会議として設置、5回会議を開催し、12月に中間報告の取りまとめということでございまして、今年の夏に最終報告を取りまとめる予定となってございます。

21ページ目、次のページですが、中間報告の概要が12とつくられておりまして、その1の部分で簡単に、年金について御紹介申し上げます。年金の分野、60歳から70歳まで自分で選択可能となっている年金受給の開始時期につきまして、選択肢を拡大し、上限を75歳に引き上げるということ。厚生年金被用者保険の適用範囲について、最終的には50人を超える規模の企業まで拡大するということ。60歳から64歳まで支給される、いわゆる低在老と言われる、在職老齢年金制度の下の年齢のほうのものですけれども、月収の基準を現行の28万円から、65歳以上、いわゆる高在老と同じ47万円の基準に合わせるということ、こういった点がまとめられてございます。

労働を飛ばしまして、22ページ目、医療でございます。医療につきましては、この中で(2)後期高齢者の自己負担割合のあり方でございまして、75歳以上の高齢者であっても、一定所得以上の方については医療費の窓口負担割合を2割とします。最終報告に向けて、2割負担の具体的な所得基準等について検討、今年の夏までに成案を終えて、速やかに必要な法制上の措置を講ずることとしておるということでございます。

それから、(3)他の医療機関からの紹介状なしで大病院を外来受診した場合に定額負担を求める制度につきまして、対象病院をベッド数200床以上の一般病院に拡大する。支払い額を増額し、増額分について新たに公的医療の保険のほうに繰り入れるように改めるということでございます。最終報告に向けて、具体的な増額分、対象病院の範囲等について検討、今年の夏までに成案を得て、速やかに必要な法制上の措置を講ずることとしてございます。

それから、次のスライド、23ページ目は、こちらの中間報告に係る総理の御発言を参考までにつけておるのと、次の24ページ目に、この中間報告の中に第3章ということで書いてある部分がございます。来年夏の最終報告に向けた検討の進め方、この第3章の抜粋をこちらに持ってきてございます。

ここにございますように、少し見にくくて恐縮ですが、3つ目のパラグラフ、先ほど申し上げた医療保険制度改革の具体化等について、今年夏の最終報告に向けて検討を進めるということ。それから、下から2つ目のパラグラフ、改革工程表にのっとった社会保障改革の推進と一体的な取り組みを進めること。最後のパラグラフですが、地域医療構想、医師の働き方改革、医師偏在対策を三位一体で推進することに加えて、地域における医療提供体制の整備等のためにも、都道府県の保険者機能の適切な発揮、強化等のための取り組み等を通じ、国と地方が協働して実効性のある社会保障改革を進める基盤を整備すること、こういったことが盛り込まれてございます。

特に、最後の点につきましては、本審議会との関係におきますと、昨年5月に大阪で、近畿3府県の知事等をお呼びして開催した地方公聴会で取り上げたテーマ、こういったものにも即した記述となってございまして、今後、制度面での取り組みが進んでいくのではないかということを考えてございます。

それから、最後のパーツですが、25ページ目、中扉を挟みまして26ページ目に、直近の中長期試算、1月17日に内閣府が中長期試算を改定、公表してございますので、こちらを参考資料におつけいたしました。

いつも前回との比較ということで資料が出てまいりますけれども、今回、新しい経済前提を2018年の1月に見直してから通算で5回目になります。したがいまして、2年前になりますけれども、2018年の1月、当時の試算を点線でお示しし、今回の17日の試算を実線でおつけするという形で、少し長いスパンでの動き、どれくらい想定とずれているかをお見せするような形でお示ししてございます。

左上、名目経済成長率ですが、当初、3%台へ向かって堅調に伸びていくという数字、残念ながら足元では足踏みをしながら進んでいるという姿。

左下は、名目長期金利でございます。こちらは、日銀の緩和の出口とも絡みますので、改定を重ねていくたびに右に平行移動しているというのが、結果的に実態でございます。

右上と右下に、プライマリーバランスと債務残高のGDP比ということでおつけしてございます。プライマリーバランスのパスは、実は改定するごとに、このタイミングで改善する、悪化するということが必ずしも特定できない要素がオフセットしてしまいますので、通算5回目ということで、これまで4回ほど改定してございますが、最初の2回は上方向、つまり改善し、一旦は1.1兆円程度まで、2025年度のターゲット年、縮まりましたが、直近2回、悪化しまして、御覧いただきますように2018年1月に想定したパスにちょうど戻ってしまったという姿が現状にございます。

足元の動きは、少しトリッキーでございまして、2017、18、19年のあたり、当時のプロジェクションとはぐちゃぐちゃになっているわけですが、17年、18年の数字、当時、想定したよりも結果的に、SNAベースで、あるいは決算ベースでふたをあけたところ、わりと改善をしていたという姿。他方で、2019、2020年と臨時・特別の措置等を講ずることによって、かなり財政のほうは拡大しておりますので、19、20年と当初のプロジェクションから比べると悪化し、今回の臨時・特別の措置が最後だということで、これがきれいに剝げ落ちる場合には、逆に2020年から2021年にかけてはかなりの改善。その後、また、もとのペースに今のところは戻っている。こちらが成長実現ケースでの御説明になりますが、こんな姿になっているということでございます。

右下にございますのが債務残高GDP比でございまして、こちらはより顕著に、当初見込んだよりは、残念ながら悪化をしている姿が御覧いただけるかと思います。2028年1月の時点でのプロジェクション、中間指標ということで緑色の矢印、180%から185%、このあたりを目指すということがございまして、当時はベースラインでも何とか通過しているというような絵姿でございましたが、こちらが10ポイントほど上方にぶれているという姿、主に分母のGDPがそれほど伸びていない。絶対的な数字だけで比較すると、そういうことになりますけれども、こういう姿になってございます。

特に、安定的に引き下がり始めるポイント、当時は2017年がいわゆる山のサミットになって、そこからは下がっていくであろうということが想定されておったわけですが、残念ながら山の頂上が試算を繰り返すごとに右にずれてきていて、そのピークも徐々に上ってきているということでございますので、これについて少しコンサバティブに考えていく必要があるということを改めて感ずる必要があるかと思います。それから、ブルーのライン、ベースラインですけれども、右肩上がりにやはり戻ってきてしまうという姿が、このプロジェクションの2029年度の間でもより際立ってきているような姿になっているかと存じます。

こういったもののさらなる分析等、また今後、内閣府との場、あるいは財務省のほうでもしっかりとしてまいる必要があると感じておりまして、それをさらに、民間のシンクタンク等の協力を引き続け得ながら、より実効性のある財政規律管理に役立てていくことが必要だと感じるところでございます。

以上、資料1の説明を終えまして、最後、資料2の説明、簡単にさせていただきます。資料2、海外調査の実施についてということでございます。

1ページ目をおめくりいただきまして、趣旨の欄にございますが、おおむね隔年で実施をさせていただいております。おととしに御参加いただいた先生方もいらっしゃいまして、おととしは同じように実施していただき、春の建議に役立てているということでございます。

それから、調査手法の中にございますように、原則、4グループ、委員2名ごとに、2月から3月に実際に行っていただくということで、2ページ目を御覧いただくと早いと思いますが、皆様に事前にいろいろ打診をさせていただきまして、非常にお忙しい中でお時間をお繰り合わせいただき、何とか4グループ、2名ずつのデリゲーションを組めたという状況になってございます。

御覧いただきますように、1.デンマーク・イギリス、堀委員、宮島委員。2.ドイツ・EU(ベルギー)、竹中委員、田近委員。3.フランス・スイス、権丈委員、末澤委員。4.アメリカ・カナダ、河村委員、横田委員、こういった形で調査に行っていただくということ。

3ページ目に、今回、念頭に置いている主なテーマを少し掲げてございます。1.でございますが、現在の低金利環境下における財政運営のあり方ということでございます。2年前からさらに進展して、世界全体で低金利、かつ低金利下で重立った大規模な金融緩和がなかなか効かない、したがって財政支出を増やすべきではないか、こういったことを含めて低金利にまつわるさまざまな議論がございますので、こういったことについて諸外国の事情の調査ということが念頭にあります。

2番目には、長期推計ということで、前回春の建議で中長期試算の問題点等、長期推計の必要性等を御議論いただきまして、秋に一定のシンクタンクの試作品の紹介をいただいたわけですけれども、そういったことについて改めまして諸外国の事情を調査する。

3番目といたしまして、財政運営に係る国民等の理解を促進するための取り組み、主にどんなコミュニケーション図っているのか、どういった財政教育の現状で、うまく国民の理解を得ているのか、こういったことについて調査を実施していただくようなデリゲーションとしてございます。

簡単でございますが、以上で海外調査の説明を終わりまして、私からの説明といたします。

増田分科会長代理ありがとうございました。

それでは、ただいまの説明に関して御意見等がありましたら、お願いしたいと思うのですが、いつものように、御意見がある場合はネームプレートを立てて合図していただければと思います。ほかに、お手元に参考資料等もいろいろ出ておりますので、今の説明プラス、若干そういうところに及んでも結構でございますが、どうぞよろしくお願いいたします。

そうしましたら、冨田委員のほうからお願いしましょうか。冨田委員、それから土居委員と、こういう順番でお願いしたいと思います。

冨田委員、お願いします。

冨田委員ありがとうございます。

先ほど資料1で、最後のページで御説明あった中長期試算でありますけれども、右上のプライマリーバランスです。これは、ベースラインケースで2025年という目標年度、8兆円余り赤字が発生するという見通しであります。この前提として、先ほどちらっとおっしゃられましたけれども、これから先、補正予算も、それから去年と今年というか、元年度と2年度の当初予算のように、臨時特別の予算は設けないという前提と理解していいかという確認の質問です。

多分、それはない前提でつくられていると思うのですけれども、その上で質問したいことですけれども、まず「骨太2018」のときに中間年度というものを設定いたしました。2025年の目標だと遠過ぎるので、真ん中の2021年度に検証しようということで、中間指標というものが設定されました。その指標は、今日、御説明ははしょられたように思うのですけれども、2021年度、基本ケースですとかなり大きな赤字が見込まれるわけです。それは、当然、見直す方向として、とりわけ歳出改革とか、工程表に反映されるものだと私は理解するのですけれども、その点、どうなっているんだろうと。特に心配なのは、去年の骨太ではそのことは全然出ていないし、今日の御説明でもスキップされたように思うのです。だから、中間指標についての取り扱いいかんということについて質問したいということです。

もう一点、それに関連しての質問ですけれども、「骨太2019」、昨年の骨太におきましては、中長期試算の実績等の乖離については内閣府が検証するとあります。下から3つ目のボックスと4つ目のボックスは、国と地方を別々に示されたものです。これは、予算ベースの、要するに国会における審議を反映したものなのですけれども、目標としている国・地方のプライマリーバランスというのはSNA統計ベースです。だから、予算からSNAベースにどういうように展開、転換しているのかというプロセスが、我々にも明らかになっていないように思うのです。だから、検証は内閣府がおやりになるということですけれども、我々はそれをどうやって検証したらいいか、そのプロセスを公表していただきたい。

特に、国・地方のプライマリーバランス関連支出が決算ベースでどうなっているか、決算ベースというかSNAベースでどうなっているかということも公表されていないのです。そういうデータも公表していただかないと、内閣府が検証すると言われても、本当にプライマリーバランスが黒字化したのかどうかについて、納税者、国民が十分知り得ないのではないかということを懸念するわけでして、ぜひともそのプロセスとデータを公表していただきたいということでございます。

増田分科会長代理はい、ありがとうございます。

それでは、今の関係、事務方のほうからお願いします。

飯塚主計企画官まず、初めの質問ですけれども、補正予算と臨時・特別の措置、これは両方とも計上しておりません、想定しておりません。それと、中間取りまとめですけれども、2018年の骨太によりますと、経済・財政一体改革の進捗については、2021度において評価を行い、2025年度PB黒字化実現に向けて、その後の歳出歳入改革の取り組みに反映するとされております。これは、2021年の骨太、あるいは2022年、ちょっと時期はわかりませんけれども、いずれにせよ、これまでの振り返りと、今後、2025年度に達成するための必要な努力というのは、骨太等で、諮問会議等で議論されるものと考えております。

それと、国の一般会計をSNAに翻訳するプロセスですけれども、これは内閣府のほうで試算をしておりまして、試算の時点では内閣府にいろいろ説明は求めているものの、あまりクリアになっていないところがございます。ただ、事後的には内閣府のSNAを作成している部署でデータが公表されますので、明らかになると思っております。

増田分科会長代理とりあえず以上の点で、次にいきたいと思います。

土居委員、お願いします。

土居委員私も、今の同じスライド、中長期試算に関連して意見と、また、海外調査についてコメントがあります。

冨田委員がおっしゃったように、計算過程が明らかになっていないというのは事実であります。私も、個別に内閣府の方にもいろいろ問い合わせたのですが、残念ながら、ある意味で国の一般会計と地方の普通会計以外は残差というか、差分という感じで表現されるような形で、そこを分解しろとか、計算を明らかにせよと言っても、なかなかそう簡単に内閣府が説明できるような感じにはなっていないと、私は認識しています。

そういう意味では、むしろ一般会計の過去の中長期試算と、例えば今年度予算とかの比較をすることで、特に財政制度分科会ですので、歳出予算が、内閣府は翌年度予算までは改革効果を織り込むけれども、その先は物価等の推移でそのまま延長するという形にしているけれども、実はこつこつと毎年毎年、歳出改革を続けていくことで、歳出は以前に推計されたよりは少なくて済んでいるという効果をきちんと分析して見せると、やはり改革効果というのはそういうところがうまく表せるのではないかと思うわけであります。

例えば、令和2年度予算で言いますと、先ほど御説明あったように、新しい経済政策パッケージで1.2兆円分加わっているところはあるけれども、35.9兆円の社会保障関係費になっていると。ところが、2015年2月の中長期試算では、2020年の社会保障関係費は一般会計で37.2兆円と予測されていたわけです。明らかに、その分だけは歳出改革の効果を上げていると、もちろん毎年のこつこつとした効果が5年間たまって、その分だけ1.何兆円、歳出を抑制することができたと。こういうことなので、やはり毎年の改革効果は大事なのだということがこの中長期試算からでもわかると私は思うので、その点はおそらく内閣府に頼らなくても主計局で分析できるかと思いますので、ぜひチャレンジしていただけるとありがたいと思います。

もう1点だけ、海外調査に関してですけれども、ぜひとも今の関連で、歳出改革を各国でどういうように取り組んでおられるかという実態を調査していただきたい。各国とも、当然ながら歳出改革は評判が悪かったりするという中で、それでも取り組んでおられると思いますので、どういうところに工夫して取り組んでおられるかとか、どういう形で国民に歳出改革の効果を説明しているかとかいうところを、ぜひ調査していただけるとありがたいです。

増田分科会長代理ありがとうございました。

海外調査のほうは、調査に行かれる方のほうで今の点も追加していただければと思います。

それでは、田中委員、お願いします。

田中委員田中です。ありがとうございます。

今日、資料1の24ページ、全世代型社会保障検討会議の中間報告で示されている中に、国民の不安をどういうように解消していくのかということにチャレンジし、統計および、アンケートを始めるというお話があり、今回の令和2年度予算のポイントの中にも社会保障の充実と経済対策の実行が示されています。ただ、今後、団塊世代が後期高齢者入りする、例えば2022年から24年あたりの数年間というのは、75歳人口の増加率が一時的にピークを迎えますし、これがアフター五輪のときに重なるということがありますので、国民の不安に寄り添って活力を出す方向に行けるのかどうかということと、現役世代の負担感が拭えるのかというようなところは、課題感として残りますので、このあたりのセットの説明が、今後問われますし、期待されるところと思っております。

海外調査の中でも、コミュニケーションのあり方が一つの観点になっていますが、多様化する国民にどういうように理解を深めていくのかは、各国でいろいろ参考になる事例があるかとも思いますので、ぜひ共有いただいて、検討できればと思います。

増田分科会長代理ありがとうございました。

それでは、武田委員、お願いします。

武田委員御説明いただきまして、どうもありがとうございます。3点ございます。

まず、1点目ですけれども、補正予算の精査についての質問です。本予算、当初予算については、かなり財審のほうでも、いつも熱心に議論を皆様されていらっしゃるわけですけれども、補正予算についてはなかなかそういう場が財審ではないと。経済対策とはいえども、ワイズスペンディングが重要だと思いますので、どのようなプロセスで、どういう項目が決まっていくのか、もし御教示いただけるようでしたら教えていただきたいと思います。

2点目は、消費税の使い方として、社会保障の充実に関しまして14ページに主なものが掲載されております。確かに、幼児教育の無償化であるとか、高等教育の無償化、あるいは年金生活者支援給付金の支給などについては、社会保障の充実と言えるものだと思いますが、下段あたりに並んでいるものは果たして社会保障の充実と捉えるものなのかどうか。この辺、消費税の引上げに対して国民の理解を得るという意味でも重要な点ではないかと思いますので、この点もコメントございましたら、よろしくお願いします。

3点目、経済見通しでございます。令和2年の経済見通しが1.4%ということで、先ほど御紹介をいただきました。必ずしも民間の予測が当たるわけではございませんけれども、平均0.5%でございます。財政のベースとなります経済見通しにつきましては、中長期試算もそうですけれども、やはり政府の成長戦略としての見通しと、財政のベースとなる経済見通しというのは分けて考えるべきではないかと考えております。3点目はコメントでございます。

ありがとうございました。

増田分科会長代理そうしましたら、1点目と2点目。それでは、阪田次長、お願いします。

阪田次長補正のプロセスでございます。今回もそうだったと思いますけれども、典型的には、特に経済対策を契機とする補正予算というのは、そういう補正予算を組みなさいという総理指示から全ての作業が始まるのが通例でございます。総理指示というのは、大抵の場合、第1に災害、第2にリスクに弱い人たちを助ける予算を組む、第3に未来に何とかと、経済対策の考え方が書いてあるのです。それにあわせて、ここからは政府内部の作業になりますけれども、我こそはこの柱のいずれかに合うよい施策を持っていると思う省庁は登録してくださいと言って、対策側の弾の管理は内閣府でやって、それに伴う政策にかかる費用の登録は財務省に来るという形で、ちょっと表に見えない形になってしまうのですけれども、一応、当初予算と似たプロセスで、ある一定の日までにわーっと弾が提出されて、査定作業が始まって、大抵、完全に数字が固まる1週間前に、まず柱の中身が決まって、経済対策が発表されて、概数が出て、その後、1週間かけて細かい政府の概算決定、そこまで持っていくというのが通常のパターンになっております。

増田分科会長代理それでは、社会保障の充実について。八幡主計官、お願いします

八幡主計官厚労担当主計官の八幡でございます。

2点目の質問ですけれども、消費税の増収分をどういう使途に活用するかということであります。14ページに列挙しているのが令和2年度で対応したリストでありますが、多分、下段のほうが、武田委員が御覧になって、本当に充実すべきもの、国民に理解を得られるものかという御質問だと承知しております。

まず、形式的にどういうことになっているかだけ、少し申し上げますと、消費税の使途ですけれども、年金、医療、介護、それから少子化という4つの分野におきまして、制度的に確立したものに対して充てることになっています。したがって、ここに並んでいるものは、法律なり法令で制度として確立した宛先が並んでいるということであります。下のほうに行ってという意味でいうと、例えば予防・健康づくりの強化でありますとか、一番下の医療情報化支援基金の拡充あたりが、委員のほうからの疑問点かと思っております。

これらにつきましては、やはり消費税を充てることにおいて、まさに委員おっしゃったように、自分たちの、国民自身の負担を増やしたからには、社会保障の充実に充てられるというような理解が得られなければいけないということですので、予防・健康づくりにつきましても物によると思いますし、しっかりと、これは都道府県、自治体、市町村のほうで実施されるわけですけれども、有効な使い道に充てられるということを、我々、執行面についてもしっかり管理していかなければいけないと思います。

医療情報化支援基金のところも同じでございまして、これは医療機関のほうでマイナンバーカードを健康保険証として利用することに対しても対応できるようにということで、十分な手当てをするための基金であります。これも法令上、こういう使途に充てるということが、規定もしっかりされることでありますけれども、ダイレクトにということだけではなくて、間接的なことも含めて、国民の医療、健康に資するように、うまく使われるようにということを、執行面も含めて、我々もしっかりと見ていかなければいけないと考えております。

武田委員ありがとうございました。

増田分科会長代理それでは、末澤委員、お願いします。

末澤委員どうもありがとうございます。

先ほどから何名かの委員がおっしゃっていますが、26ページの中長期の経済財政に関する試算、こちらについて少し意見と、質問を1点させていただきたいんですが、26ページにグラフが4つございまして、左上、名目経済成長率、左下、名目長期金利、右下が公債等残高対GDP比、こちらは同じような動きをしております。過去の経済成長率の見通しがやや高過ぎて、それがそうはいかなかったので、結局、長期金利の上昇も先送りされ、公債残高対GDP比の低下も先送りされている。要は、前提の問題かと思います。

ただ、その前提に関しても、先ほど武田委員もおっしゃっていましたが、赤い成長実現ケースがずれるのはしようがないと思うのですけれども、ベースラインケースが大きく下振れるというのは、今後、やはり検討すべき課題ではないか。ちなみに、米国の場合、OMB(行政管理予算局)、これは今の政権の政策を反映した見通しになっていますが、CBO(議会予算局)の前提ですと、私が4年前にヒアリングした際には、この成長率の見通しは民間の見通しの中央値をとっていると。ですから、多分、バイアスは入りにくく、通常時に大きく下振れるようなことにはなりにくい数字だろうと思います。そういったところを、今後、やはり検討すべきではないかということ。

あと、右上、国・地方PB対GDP比に関しては、森田課長も先ほどトリッキーな数字だとおっしゃっていたと思うのですが、多分、トリッキーな数字になっている背景は、前提が毎回、半年ごとに動いているからではないかと思うのです。と言いますのは、税収、歳入については、先ほどの成長率見通しだとか、消費増税のタイミング等で、当然、ずれるのはしょうがないのですけれども、歳出の前提が、過去、こちらでもヒアリングした中では毎回変わっていまして、大体通常、昨年までは、たしか1月段階では、最初の伸びは物価上昇率ベース、それが7月になるとなぜか物価上昇率の半額ベースに変更になっていまして、ですから毎年1月に悪化して、7月に改善するということが繰り返されていました。ただ、報道ベースでございますが、今回はどうも違うらしいと。

それで、少しお伺いしたいのは、今回の中長期財政試算、経済財政に関する試算の今後の歳出の見通しが、物価上昇率対比でどういう試算、前提に置かれているのか。もう一つは、社会保障等の歳出改革がどの年度まで反映されているのか。このあたりを少しお伺いしないと、要は先行きの見通しの実現可能性がなかなか判断できないと考えております。

以上でございます。

増田分科会長代理それでは、今の関係は。

飯塚主計企画官歳出改革は2021年度の当初予算までしか入っておりませんので、2021年度以降は歳出改革を含まない、いわゆる自然体で延伸しているということだと思います。20年度予算まで入っている、したがって21度以降は歳出改革を含まない自然体で延伸していると。

それと、試算の前提は、これも内閣府が出している試算によりますと、これまでと変わらずでありまして、社会保障歳出は高齢化要因に加えて物価、賃金上昇等を反映して増加させる試算になっておりますし、それ以外の一般歳出については物価上昇率並みということでありますので、ここについてはこれまでの冬の試算と同じ前提でございます。

末澤委員夏は実勢に近く、冬は100%物価上昇が反映されているということで、ちょっと保守的というか、厳し目になっているということでしょうか。

飯塚主計企画官夏については、次の年の予算が、半ば議論が進行しているところがあります。したがって、物価上昇率の半分を掛けて、進行しつつある予算の歳出改革の努力の一定を見込む。ただ、冬になると予算が余るので、そこは予算にして、予算の後の年度については消費者物価を全部コストに反映させると、そういう繰り返しをやっているはずです。

増田分科会長代理ということで、よろしゅうございますかね。

それでは、小林慶一郎委員、お願いします。

小林(慶)委員ありがとうございます。

私は、もう1点、皆様と同じように26ページのグラフ、中長期試算についてやはり気になるのですけれども、金利の上昇が何か逃げ水のように先に行っている。本当は、名目で見るより実質で、実質金利の上昇が起こるかどうかで見たほうがいいと思うのですが、青い線で見ると実質金利が比較的上がる前提になっているので、債務残高対GDP比が増えないことになっているんですけれども、本当にそうなるのか、若干、気にはなっています。

例えば、サマーズの去年の夏の論文とかを見ますと、OECD全体で、もう過去30年という長期にわたって実質金利の低下傾向が見られて、今、まさにゼロを割り込もうとしていると、こういう説が言われています。それは、結局、予想外の長寿化によって貯蓄が過剰になっている、だから構造的に金利が下がるのだと、こういうロジックですよね。そうだとすると、日本の財政状況にもかかわらず、構造的要因で金利が上がらないという状況は、これからも続くかもしれない。だから、金利の上昇を前提にして債務比率が下がらないという財審のロジックがこれからも通じるかどうか、結構気になるなと。

そのときに考えなければいけないのは、構造的な要因で金利が低いのはしようがないのだけれども、過剰な緩和政策により、これは金融も含めてですけれども、金融の過剰な緩和と財政の過剰な緩和政策によって、本当に日本経済にゆがみとか、コストというのが起きているのではないか。そちらのコストの抽出というか、それをする必要があるのではないか。それこそ今度の海外調査の方々に、そういうところも見ておく必要があるのかなと。要するに、構造的な要因で金利は下がるけれども、それ以上に緩和的な政策による、例えばゾンビ企業がずっと続いてしまうことによる生産性の低下とか、そういう過剰な緩和政策によるコストというものを、各国どういうように見ているのか。あるいは、日本はどう考えればいいのかということをしっかり分析する必要があるのかなと。

すみません、こういうコメントというか、意見でございます。

増田分科会長代理はい、ありがとうございます。それでは、御意見として承っておきます。

神津委員、お願いします。

神津委員はい、ありがとうございます。予算について、幾つかの発言をしておきたいと思います。

まず、足元ですけれども、今年度においては、消費税率を引き上げたにもかかわらず、税収見通しは前年を下回るという状況でありまして、歳入の多くを国債に依存する構造自体は変わっていないということだと思います。一方で、税収の下方修正に伴い、年度途中で赤字国債を追加発行しなければならない。そういった中での2020度の予算案、過去最大の予算編成だということは、重たい事実として認識しておかなければいけないと思います。

それから、補正について、今日も含めて、これまで各委員からも指摘があるわけですが、今回、2019年度の第1次補正予算案と合わせた15カ月予算、この考え方で、財政支出13.2兆円規模の経済対策ということです。災害復旧は、言わずもがなですが、これはもう当然に不可欠でありますが、他のところにおいて、規模ありきの予算計上となっていないのだろうか、あるいは内容が総花的になっていないだろうか、個人消費の拡大にどこまでつながるのだろうかということについては、不透明であると言わざるを得ないと思っています。

そういったことも含めて、この先ですけれども、将来世代への負担を先送りしない、そのために税・財政一体での税収基盤の強化、これを抜本的に行う必要があるだろうと思います。また、この間、20年にわたって格差が拡大してしまったということです。その実態を直視して、雇用の質の向上であるとか、格差の是正、それから貧困の解消、それと雇用のセーフティーネットの確立、そういった施策によって社会の支え手、社会の支え手というのは納税者でもあるわけですけれども、これを増やすことにつなげていく必要があると思います。

それから、社会保障、そして文教に係るところで、絞り込んで発言しておきたいのですが、教育の無償化に向けての内容でありますとか、あるいは地域医療介護総合確保基金の積み増し、ひきこもりなどの相談支援の予算の計上、こういった評価できる内容も多々含まれていると思います。ただ、一方で、子供・子育て支援、保育の質の向上に必要な3,000億円超の財源確保が今回もまた見送られたということについては、極めて遺憾であると思います。

あと、先ほど社会の支え手をしっかりと増やしていかなければいかんということを申し上げました。いわゆる働き方改革ということも、これに通ずる問題だと思っています。民間の企業、労使においては、これから中小企業も含めて、これはもうしっかりと取り組んでいくというステージに入っているわけであります。予算との関係で言えば、いわゆる病院勤務医の過重労働の問題ですとか、教職員の働き方、これらについては、具体的にもう一つ一つ申し上げませんが、相当踏み込んで、実行面を含めて対応していく必要があると思いますので、その点、重ねて申し上げておきたいと思います。

以上です。

増田分科会長代理はい、ありがとうございました。

それでは、権丈委員、お願いします。

権丈委員ありがとうございます。

私は、資料1の21ページ、全世代型社会保障検討会議の中間報告の中の被用者保険の適用拡大についてでございます。神津委員からも、働き方改革、雇用の質の向上ということでお話があったところですが、本分科会の11月の予算の編成等に関する建議でも被用者保険の適用拡大を進めるべきであると書いたところでございます。

こちらの中間報告に示されているように、週20時間以上の短時間労働者について、50人超規模の企業まで厚生年金(被用者保険)の適用範囲を拡大することとなりました。適用拡大を進めるというところでは評価できると考えております。ただし、対象が50人超にとどまっていることと、そのスケジュールが、2020年10月に100人超規模、2024年10月に50人超規模の企業まで適用するということですので、スピード感はあまりないということかと思います。

そうした状況ですが、現在も従業員500人以下の企業においても、労使合意に基づき、企業単位で20時間以上の労働者への任意適用が可能とされております。したがって、より多くの短時間労働者が速やかに適用されるよう、例えば労働市場の逼迫の中で労働者の安定的確保を考える企業に対して、政府は広報活動などを積極的に行うなど努めてほしいと考えております。よろしくお願いいたします。

増田分科会長代理はい、ありがとうございました。

それでは、木村委員、お願いします。

木村委員御説明ありがとうございました。

今回、令和2年度予算は、歳出改革が引き続き求められる一方、防災とか、さまざまな方面への対応が求められて非常に難しい予算編成だったと、ご苦労は十分承知しております。その上でのコメントですが、今回、税収が過去最多の63.5兆円になるということで、特に消費増税の分が大きいのでしょうけれども、本来なら、こうした税収は借金の返済、財政健全化に充てるのが筋だと思います。今回、確かに新規国債の発行は8年連続で減りましたけれども、減ったといっても0.1兆円ですから、32.7兆円が32.6兆円にとどまったということで、この結果は極めて残念だと思っています。これは、引き続き今後の課題としていただければと思っています。

あと、もう1点、中長期試算も悪化してしまったということで、これも残念だと思っています。令和元年度の税収が減ったということで、発射台が低かったという事情は重々承知しているのですけれども、増税に応じた納税者の立場から見ると、財政が悪化するというのはどうにもちょっと理解しがたいという感じはあるのではないか。森田課長、この辺、民間の分析を含めて、今後、精査されるとおっしゃっていましたので、今後、そういう財政管理はしっかりお願いしたいと思っています。

以上でございます。

増田分科会長代理ありがとうございます。

それでは、大槻委員、お願いします。

大槻委員ありがとうございます。

1点質問と、1点コメントですが、質問のほうは、今、木村委員からもありましたけれども、令和2年度予算についてです。大変御苦労された結果ということなのでしょうけれども、建議の内容が反映されたものについてのコメントをいただきましたけれども、逆に反映されなかったもの、課題が残ったものについて、今後の議論を深めるためにも、どういった形であれば、今後、改めて反映される可能性があるのか、少しコメントいただければというのが1点目の質問です。

それと、もう1点、コメントですが、先ほど、ほかの委員からも出ているコミュニケーションというところですが、26ページ目の中長期試算の公債等残高対GDP比がやはり相当気になる水準であります。景気について、経済成長をこれだけで見通していても、ベースラインでこれだけの高止まりをしてしまう、あるいは上昇してしまうということであると、多分、金融サイクルからいったら、今後、この期間中に1回ぐらいは大きなダウンサイドも見通さなければいけないのではないかと思うと、この比率、もっと上がってくるかもしれないという気がしている中で、国民がそれをどれくらい理解しているのかというのは非常に気になるところでありまして、何らかの施策を、これから新しい形のコミュニケーション等を考えていかなければいけないのではないかと思っております。例えばですが、もうちょっと自分事とするような、ビジュアライズするというか、シナリオ分析などを少し、国民が自分たち自身で考えられるような仕組みづくりなりをしていくべきなのではないかと、改めてこの数字を見て思った次第です。

以上です。

増田分科会長代理はい、ありがとうございました。

1番目の反映されなかったものについてどう考えているか、そこを森田課長からお願いします。

森田調査課長私のほうで、各分野、網羅的に足りていないところを、うまいぐあいにここで御紹介するのはなかなか限界があるのですけれども、例えば工程表の中には、44項目から始まって63項目、いろいろな項目が列挙されている中、まだ完全に丸に至っていないのは、今、申し上げた社会保障の分野の数字ですが、もちろん多々あるかと思います。それと、今回の建議に応じて、一定程度は踏み込めた、あるいは検討にのせた、成案を得るというところまで来たみたいなことで、それぞれの弾が同じように進んでいるわけでは全くございませんし、分野ごとにまた異なると思います。各分野で、一応、反映はしたということで書いてあった、得ているものであっても、厳密に言えば一部、あるいは部分的に反映ということが、より正確な表現というものが大半かと思います。そういったところを引き続き深掘りしていく、違う角度からその議論をもう一回再燃していく、いろいろな角度での努力を、我々、怠るべきではないと考えてございます。ちょっと曖昧なお答えで恐縮です。

それでは、赤井委員、お願いします。

赤井委員ありがとうございます。

資料1の14ページ、消費税率引上げに伴う社会保障の充実ということで、一つ高等教育の無償化が入っていて、これが社会保障かというよりは、ぱっと見たとき、普通の人には教育なのかなという気もします。非課税世帯ということで、全体的には機会の平等を確保するためにという予算ですけれども、消費税を引き上げるというのは大変な作業で、皆様に頑張っていただいて引き上がったことはよかったと思うのですが、それとともに入ったこの施策が本当に有効的に使われているのかは、今後、しっかりと検証していただきたい。

もう一つは、海外調査の項目とも関係するのですけれども、ぜひ海外で、消費税を引き上げたり、財政再建に向けて増税をしていくときに、必要だから歳出を増やすということもあると思うのですけれども、増税のときに痛みを和らげるというか、いろいろ理由はあると思うのですけれども、増税とセットで充実されたものは何なのかとか、実際、増税分のどのぐらいの割合で財政再建がされているのか。今回、一部は財政再建に回っていると思うのですけれども、人によっては、この充実したことで十分、財政再建が行われなかったと見る向きもあると思いますので、各国でどういうバランスで税率を上げながら、そこは国民とのコミュニケーションとも関わると思うのですけれども、そのあたりも調べていただいて、今後も消費税増税はあると思いますので、そのときの参考になるような情報を見て、調べていただければと思います。

以上です。意見です。

増田分科会長代理はい、ありがとうございました。

それでは、こちら側に来て、平野委員ですね。よろしくお願いします。

平野委員はい、ありがとうございます。

おそらく昨年の今ごろは、そもそも消費税、本当に上げられるのかという議論が、この場でも行われていたのではないかと思います。そういう意味でいうと、昨年2019年というのは、我々の財審にとっても、国の財政にとっても極めて意義のある年だったのだろうと思います。

もう一つ、昨年、特に秋の財審では、社会保障の問題がかなり集中的に議論されました。幾つか成果も、確かに先ほど御説明のとおりあったわけで、そもそも社会保障費の伸び全体を高齢化に伴う4,100億円程度に抑えられたと、これも大きな成果だと思います。それから、後期高齢者の窓口負担の引上げの問題も、2割ということが出てきたというのは大変結構なことだと思います。

ですが、先ほどの御指摘ではありませんけれども、できなかったほうを言うと、例えばの話、そうはいってもワンコイン、これは残念ながら落ちました。それから、4,000億円に抑えられたのも、薬価の引下げと介護保険料の総報酬割の拡大ということで、いわゆる本丸と言っていた診療費のマイナスには、残念ながら踏み込めなかったということで、両方あるということであります。

結果として、先ほどから皆様御指摘のとおりでありますけれども、26ページにあるとおりで、残念ながら将来のPB黒字化に向けての道のりはますます厳しくなった。2025年度のバランスは、このままでいくととれない、むしろ赤字が拡大したと、こういうことであろうかと思います。

そういうように考えると、やはり2つ大事だと思っています。1つは、やはり先行きの見通しについて、来年度以降は施策が盛り込まれていないというのは御説明があったとおりでありまして、ここら辺を少し中長期的に示していく必要がやはりあるのではないかと思います。前回、秋の最終回のときにも申し上げたのですが、中長期的な計画と、その政策パッケージを国民、納税者に示して、彼らの理解を深めた上で、これも先ほどからおっしゃっている広報も含めてですけれども、エデュケーションも含めて、説明をした上で、納税者に選択肢を選び取ってもらうという仕組みを入れていく必要があるのではないか、というのが一つ。

もう一つは、やはりこれも先ほどから皆様おっしゃっていますけれども、長期推計の問題で、これは明らかに高いですよね。特に、先行き2%なんていうのがありますけれども、例えばの話、IMFの2021年から24年までの数字というのは0.5%でありまして、ベースラインケースともかなり乖離があるということで、この辺、どういう推計を置いていくのか。これについては、秋に私は、独立財政機関の設置等も春の審議の場では話題にしてもいいのではないかというようなことを申し上げましたけれども、ぜひそのあたり、さらに言えば検証についても、そういった機関が独立的な観点から行っていくというような体制を整えていく。そうした、やや踏み込んだ体制に、今後、ギアを入れかえていく必要があるのではないかと、そんな気がしております。

そういうように考えると、今回の海外調査ですか、いい機会でありますので、今日、挙げていただいている項目はやや漠としているんですが、どの項目にだって入れられるような気がしますので、ぜひ調査団の皆様におかれては、そういった問題意識も念頭に調査を進めていただければと考えております。

以上です。

増田分科会長代理はい、ありがとうございます。

先ほどの赤井委員も海外調査について御要望がございましたので、今の点も含めてよろしくお願いします。

それでは、次、堀委員、お願いします。

堀委員令和2年度の予算のポイントのところからですが、社会保障の充実ということは政策の意思決定として、悪いことではないと思います。支え手を増やすという意味でもいいと思います。ただ、今回、各委員の方から意見がありましたが、歳出改革の側面、充実とセットで見直す負担の議論が少し弱かったのではないかと思います。このままですと、本当に平成の繰り返しになってしまうのではないかと思います。議論が進まない背景にはおそらく、先ほどから皆様からもありますけれども、国民とのコミュニケーション、国民の理解・納得というところだと思いますので、私も海外調査のグループに入っていますので、ぜひ、そこのところは聞いてきたいと思っております。本当にこのままだと「共有地の悲劇」になってしまうのではないかと思っていますので、国民とコミュニケーションをとりながら、どうやって財政的な規律と社会保障の充実を両立できるのかというのは検討課題だと思っています。

それから、全世代型社会保障について、後期高齢者の2割負担、ここの建議でも提案されていましたし、採用されたかと思いますが、医療費の自己負担、窓口負担はもともと応益負担です。そこに所得設定を入れるのは、政策的な意思決定についてけちをつけるわけでは全くないのですが、設定の仕方によっては、不合理なものになってしまうのではないかという懸念も。団塊世代が後期高齢者になりはじめる2022年問題に対応することの重要性を述べてきましたが、所得設定いかんでそれに対応するだけの財政的な課題が解決するのか。むしろ、今回、医師の働き方改革の関係で診療報酬もプラスになっていたりもしますし、その部分の整合性がどうなのかということもあります。財政的な効果はチェックしていく必要があるのではないかと思います。

それから、大病院の定額負担についても、公的医療保険の負担軽減につながるようにすると記載されていますが、具体的にどういうものなのか、もしお考えがあるならば、わかれば教えていただければと思っています。

また、24ページで、先ほど地方公聴会の話のところでもあったのですが、やはり給付と負担はセットですが、供給体制の在り方を左右する地域医療構想とかがかなり大きく効いてくると思います。ただ、現状ですと、地域医療構想で都道府県が主体的な権限を発揮できるような環境になっているかというと、なっていないところもありますし、国保の保険料の一般会計の繰入れについても、やはり都道府県が主体的な力を持てるような環境が必要なのではないかと思っています。

医療費の適正化計画につきましても、今の医療費の適正化計画で本当に給付の無駄をなくせるのか、決して抑制ありきという意味ではなく、支出の適正化が本当に図れるのかということもあります。今回、医療保険法改正があると思いますので、そこにあわせて、法改正しなくてもできるところもあると思いますが、改正で必要なところは織り込んでいくようにしないと。私もそうですけれども、誰でもやはり充実されればありがたいと思うと思うのです。しかし、一方で、充実のための原資はかかわるわけで、すべて無料なわけではなくて、コストが必ずかかっていますので、そこのところをやはり意識するためにも、「見える化」というか、給付と負担のガバナンスが徹底できるような仕組みづくりが必要なのではないかと思っております。

以上です。

増田分科会長代理はい、ありがとうございます。今の大病院の定額負担等については、御質問でよろしいでしょうか。

堀委員はい、できれば。

増田分科会長代理それでは、八幡主計官、お願いします。

八幡主計官大病院の定額負担の拡大というところでありますけれども、これは森田課長のほうから紹介しましたとおり、今、平均で5,000円とか、1万円取ったりするところもありますけれども、今の5,000円については単純に病院の収入になっていますけれども、そこからの増額分については保険財政に貢献する形で検討となっております。最終的には、夏に向けて、その段階ではしっかりした結論が出ると思います。これは報告書のほうでも書いておりますけれども、厚生労働省の社会保障制度審議会のほうで議論を始めることになっておりますし、その検討結果を全世代型社会保障検討会議のほうにも諮りつつ、結論を得ることになっております。我々のほうでも、しっかりと議論に参画しながら、この報告書に書かれた内容が具現化できるように、しっかり検討してまいりたいと思っております。

増田分科会長代理それでは、宮島委員、お願いします。

宮島委員はい、ありがとうございます。多くの委員が言われたことで、全く賛成だと思うことも多いのですけれども、それは省きまして、1点だけ医療費の問題のところで申し上げたいと思います。

まず、全世代型社会保障検討会議におきまして、関係の方々の大変な御苦労のもとに、65歳以上の2割負担を入れるということが入ったことはよかったと思います。一方で、どのぐらいの人にこれを適用するかということがこれからの議論になっていまして、会議の中でも、増田委員をはじめ大方の委員がこの2割を主張されていたと伺っていますので、これがすごく薄く、ちょっとだけ2割ということにはならないように、この後もどうぞよろしくお願いします。

加えて、これとの関係で診療報酬ですけれども、まずは説明の上で薬価が切り離されたということはよかったと思います。また、0.07分に関しましては、目的を限った形で上げられたということは、新しい形でよかったと思います。一方で、私たちはこうした議論をずっと眺めている立場ですけれども、ここのところずっと診療報酬を見ていると、結局、前年並みだよねというところからスタートしているような気がします。そこから多くは動かない。これは、もちろん政治的なとか、さまざまな力の中で、現実にそうだとなってしまっていますが、常に前年度の状況からあまり変わらない形を、何とか国民の理解を得て変えることはできないものかと思っておりました。

というのは、65歳の人に2割負担をしてもらうというのはやはり大変なこと、人によってはとても大変なことなんだけれども、それをある程度のんでいただいて、そして、これは若い人のためだと言ってのんでいただくわけです。ですが、この人たちがどのぐらいになるかによっては、意外と診療報酬を上げたことによってその部分が飛んでしまって、若い人のためだと言ったはずなのに全然若い人のためではなく、結局、医療機関のためだったということもあり得るわけです。これは、結局、財審では、本体、過去における本体という言い方をしたところは、マイナスを希望しながら、常に何か聞き置くだけにされて、私たちもなんとか状況を変える方策を考えたほうがいいのではないかと思いました。

診療報酬の改定は、次はないので先になってしまうのですけれども、例えばマスコミの立場で言いますと、診療報酬の改定が上がりましたといって、国民は結構喜んでしまったりするんです。つまり、診療報酬の改定というニュースの出し方では視聴者には何も伝わっていないわけです。0.55とか、何のことか全然わからなくて、一生懸命砕いて、いや、これは医療の価格だからとか、要するに医療が値上げなのですよというところまでは頑張って言うのですけれども、何かそこで話が終わってしまって、ここに対しては何の世論の動くポイントにもなっていなくて、ほとんど単なるセレモニーと化しているという感覚があります。

でも、先ほども申し上げたように、こんなに頑張って65歳以上の2割を入れた分が、診療報酬が上がってしまうと吹き飛ぶことだってあるということを考えますと、確かに他省庁の政策でありますが、財審として何とかここにくぎを打つというか、単にマイナスがいいと毎回言うのではなく、何か工夫をして、あるいはマスコミをうまく巻き込んで、診療報酬のアップによっていかに医療費がふくらむかということを、伝えるためにアプローチを考えなければいけないと思いました。2年後ではありますけれども、多分、すぐにはできないということを考えますと、分析も含めて、これからやりたいと思います。よろしくお願いします。意見です。

増田分科会長代理はい、ありがとうございました。ただいまのは意見だと思いますので、お聞きをしておくということにしたいと思います。

それで、ネームプレートを立てていただいた方には全員指名をしたかと思いますが、時間も大体いっぱいいっぱいですが、よろしゅうございますか。

今日は、令和2年度の予算の内容の報告と、もう一つ海外調査についての御報告を中心に行いました。予算については、いろいろ御指摘なり、御質問ございましたが、それはそれぞれの関係のところで受けとめていただくということと、海外調査については、4チーム、これからでございますので、今日いただいた御意見などをできるだけ取り入れるということで、また実のある調査のほうをよろしくお願いしたいと思います。終わりまして、またこの場で報告会などもあるかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、会長のほうから、お願いします。

榊原分科会長今日、皆様、御指摘されたのはやはり26ページの中長期試算です。これは、毎年、見るたびに悪くなってくる、非常に危機感を感ずるのです。ベースラインケースですと、GDP比率もよくならないし、公債残高の比率も全然改善されない、本当に危機感を感ずるわけです。

そういった意味では、社会保障制度改革、本当に思い切ってやらなければいけないと思うのです。今、全世代型社会保障検討会議でやっているといっても、本当の一部しかできていないという実感を持ちます。本当に危機感を持ちます。ワンコインも見送られてしまいまして、75歳以上も2割といって、本当にごく一部の高所得者だけでは意味がないわけで、やはりマジョリティー、多くの人が負担するといったことにしなければいけないと思うので、そこはやはり財審としてもしっかりと見ていかないといかんと思います。これは、おざなりにせずに、しっかりと痛みを伴う改革をやってもらうように、我々としてはずっと主張し続けることが本当に必要だということを、今日、感じました。

増田分科会長代理はい、ありがとうございました。

それでは、ちょうど時間が参りましたので、以上で本日の議題は終了とさせていただきます。また、いつもどおりでありますが、会議の内容については、会議後の記者会見で御紹介させていただきますので、個々の発言については報道関係者に対してお話しすることのないようにご注意いただきたいと思います。

次回の日程については、調整の上、改めて事務局から御連絡をさせていただきます。

本日は、これで閉会といたします。どうもありがとうございました。

午後5時40分閉会