財政制度等審議会財政制度分科会
議事録
財政制度等審議会財政制度分科会議事次第
令和元年11月15日(金)10:00~12:00
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)
1.開会
2.議題
とりまとめに向けた審議
3.閉会
分科会長代理 | 増田寛也 | 井上大臣政務官 宮島大臣政務官 太田主計局長 阪田次長 角田次長 宇波次長 阿久澤総務課長 日室司計課長 前田法規課長 斎須給与共済課長 森田調査課長 西山官房参事官 寺岡主計官 大久保主計官 佐藤主計官 吉沢主計官 関口主計官 八幡主計官 一松主計官 中澤主計官 中島主計官 岩佐主計官 坂口主計企画官 井上主計企画官 飯塚主計企画官 | ||
委員 | 大槻奈那 黒川行治 神津里季生 櫻田謙悟 佐藤主光 角和夫 武田洋子 中空麻奈 宮島香澄 | |||
臨時委員 | 上村敏之 宇南山卓 葛西敬之 河村小百合 木村旬 権丈英子 小林慶一郎 小林毅 進藤孝生 末澤豪謙 田近栄治 伊達美和子 田中里沙 土居丈朗 冨田俊基 平野信行 堀真奈美 神子田章博 村岡彰敏 横田響子 |
午前10時00分開会
〔増田分科会長代理〕おはようございます。ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。
皆様方には、ご多用中のところご出席いただきまして、ありがとうございます。
本日は、建議の取りまとめに向けて、お手元にお配りしております「令和2年度予算の編成等に関する建議(案)」について御審議をいただきます。本日は、パソコン上ではなくて紙ペーパーで配られておりますので、そちらのほうで御覧いただき、ご議論いただきたいと思います。
本日、お配りしております建議案につきましては、これまで小林毅委員、田近委員、土居委員、冨田委員、中空委員、吉川委員にご議論いただき、取りまとめていただきました。どうもありがとうございました。
初めに、本日の審議に先立ちまして、今回の建議について、現時点での取りまとめのスケジュールをご説明いたします。お手元に、配付資料で「建議とりまとめスケジュール」という一枚、御覧いただきたいと思います。
まず、11月15日、本日、建議の本体、参考資料(概要)について御審議をいただきます。そして、次回の分科会は、11月25日の月曜日9時から10時と書いてございますが、取りまとめられた建議を同日、麻生財務大臣にお渡しする運びとなっております。このため、円滑な意見集約のために、本日の審議のほか、書面のコメントの機会を設けたいと思います。11月18日12時、書面コメント締め切りということで、タイトではあろうかと思いますが、気がついたところを事務局にメール等でご提出をいただきたいと思います。様式は自由でございます。
本日の審議や、書面で提出いただきましたコメントを踏まえて、起草委員会において改訂版を作成して、次回の会合の前に事務局のほうから各委員の皆様方の手元にお送りするようにいたします。
委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、しかも短い時間でのご確認をお願いすることになり大変恐縮でございますけれども、何とぞご理解をいただきたいと思います。
それでは、議事に移りまして、建議の審議の進行です。全体を4つに分けて審議いたしたいと思います。
まず、建議の総論について、目安がお手元の資料のスケジュールのほうにも書いてあるかと思いますが、ここで大体30分を予定しております。総論を30分程度、各論のうち社会保障について30分程度、地方財政、文教・科学技術、社会資本整備について同じく30分程度、最後に農林水産、エネルギー・環境、中小企業、外交関係、情報システム、防衛を一まとめにして20分程度、おおよそのめどですが、このぐらいの配分にして、全体2時間で審議を終えたいと予定しております。
委員の皆様方から御意見を出していただきまして、本日、私から見て右側に座っていらっしゃる起草委員の方々から、お答えしていただくという形で、これから審議を進めていきたいと思います。
それでは、まず、総論の本文及び参考資料、概要の記載について、御意見をいただきたいと存じます。なお、神津委員、佐藤委員、及び本日欠席の赤井委員から意見書が提出されております。お手元に配付してございますので、お目通しいただきたいと思います。
内容等御覧いただいていると思いますので、早速、御意見ある方はプレートを立てていただいて、こちらから指名いたしますので、御意見を言っていただきたいと思います。極力、全員から御意見をいただきたいと思っておりますので、ご発言、2分程度をめどにお願いしたいのと、文章の修文の提案については、できるだけ具体的な修文案でいただけますと議論が建設的に進むと思われますので、その点も含めてよろしくお願いしたいと思います。
それでは、平野委員から、よろしくお願いいたします。
〔平野委員〕ありがとうございます。
今回、極めて短期間で建議案をまとめていただきました起草委員の皆様に、まずもって感謝したいと思います。
今回の建議では、何といっても社会保障制度改革、とりわけ給付と負担の適正化であるとか、世代間の負担の公平化がポイントだったわけですけれども、ワンコイン制度であるとか、後期高齢者の窓口負担割合の引き上げといった施策を網羅していただきました。加えまして、医療提供体制の問題にもつながる診療報酬本体のマイナス改定にも踏み込んでいただいたことを高く評価したいと思います。
その上で、総論に関しては2点ほど申し上げたいと思います。
まず、7ページ、本日の資料で4行目から10行目前後に書かれております「中期の推計を検証可能な前提とあわせて国民に示して議論を喚起すること」、これは非常にいいことだと思っておりますが、さらに一歩踏み込んで「中長期的な財政計画をつくる必要がある」ということを追加できないかということでございます。社会保障にとどまらず、その他分野も含めた、総合的な財政健全化の政策パッケージの改革効果を含む中長期的な計画を策定して、具体的なアクションプランとKPIをそれに盛り込み、PDCAサイクルを回すと。さらに言えば、そういった計画の策定過程で幾つかのシナリオとオプションを示すことができれば、今後、歳入改革を含めた負担と給付のあり方を国民全体で議論していく上での基盤になるのではないかと思います。もちろん、単年度会計の問題はわかっていますけれども、ただ、私ども民間から見ると、中長期レンジの、何をやったらどうなるのかという姿がよく見えない中で、細かな議論だけやっていてもあまり意味がないのではないかというのが率直な感想であります。
2点目、今回の建議は、来年度の予算編成においてあるべき、今、申し上げた個別的な施策をたくさん指摘しています。これはもちろん重要でありますが、これに加えて、「骨太の方針2020」が来年出るわけでありますけれども、ここで中長期的な財政の持続可能性を担保できるかどうかを左右するという重要な建議でもありますので、9ページの5行目から10行目がその文脈に近いと思うのですけれども、その中に、中長期的な財政の持続可能性確保に必要な改革を「骨太の方針2020」に確実に盛り込むこと、というような注文をちょっとつけ加えることはできないか。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、葛西委員、どうぞお願いいたします。
〔葛西委員〕総論の部分について、今の予算の直面している問題の大きな部分を認識して入れておくということが総論の役割だと思うのですが、その中で言うと、確かに均衡を達成するということは目的ですけれども、その条件として見れば、現在、緊急性というか、リスクが高まっているのは安全保障環境です。したがって、安全保障環境について認識しているということを総論に入れるべきだと思います。
66ページに安全保障環境についての認識は出ておりますが、それと同じようなものでもいいのですけれども、そういう認識がある中で、社会保障その他の予算の制御をいろいろやってバランスを回復するのだという意味で、目標として見ると少し高めになるかもしれませんが、触れておいたほうがいいと思います。多分、この建議は、日本人だけではなくて、海外の方も見ると思うのですが、そういう人たちから見たときに、やはり日本政府の基本の認識の中に安全保障があるのだということが伝わるようにしたほうがいいのではないかと思うのです。
最近、私がアメリカの人などと話していてよく聞くのは、日本が言っていることは常にtoo small too lateであると。昔に比べればよくなったと言うけれども、必要なレベルに対しては常にtoo small too lateである、もうJapan fatigueという気持ちになりつつあると言うのです。Japan fatigue、すなわち日本疲れされてしまうということは、やはり安全保障の基本環境が日米同盟にあるというところから見るとまずいので、具体的な数字の話は別として、方針、考え方の基本として安全保障は大事であると。社会保障も大事でしょうけれども、安全保障は国家の基本であるということを打ち出しておいたほうがいいと思うのです。
もう一点言いますと、後のほうで、66ページ、防衛問題が出てきますが、防衛問題の中身が調達改革だけというのはあまりにもプアですよね。この内容で防衛予算の対策方針だと言っていると、言ってみればばかにされるだけなので、あの部分は削除すべきだと思います。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
上村委員、どうぞお願いします。
〔上村委員〕起草委員の皆様には、取りまとめをやっていただきまして、ありがとうございます。
私からは、まず細かい点ですけれども、7ページ目の16行目と19行目に「引き続き」という言葉が連続しているのが気になっていまして、1つ目のほうは「従来どおり」とかに変更したほうがいいかと思います。お任せいたします。
もう一つですけれども、資料の117ページ、1.1.3公債依存の問題点という資料の左下側に「我が国の財政を家計に例えると」という図が出てきます。こういう図はよく出てくるのですけれども、私はこの4月から委員なので、以前からこういう扱いがされていたのかもしれませんが、政府と家計は条件に非常に差があると思います。政府は寿命がないわけです。それをわかった上で、わかりやすさを追求してこういう図が出ているということだと思いますけれども、何かしらの脚注が必要なのかなと。要は、条件が違うものに対して説明を加えているということですので、わかりやすさを追求してやっているということを、どこかの脚注に加えていただくほうがいいように思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、堀委員、お願いします。
〔堀委員〕取りまとめの委員の先生方、お疲れさまでした。
私も今年度から委員なので、ちょっとわからないところがあるので勘違いかもしれないのですが、春の審議では「セイレーンの誘惑」といった用語があった記憶があります。そういう高尚な比喩のようなものがたまたま今年の春だけのことなのか、毎年、同じようにあるのかというのが、初めての人間なのでわからないのですが、同じ年度の報告なので、春のトーンがそろっていないのはどうなのかな、と思いました。基本的に内容については異論ありません。
5ページの1行目から11行目、正確には4ページの28行目からそうですけれども、「名目金利が名目成長率を下回る」とか、その後、5行目に「名目金利が名目成長率を下回る」、あと、プライマリーバランスの黒字化のところも、用語の繰り返しがあるので、もう少し短くまとめられるのではないか。強調しているという意味ではこのままでもいいのですけれども、読んでいると、また同じことが出てくるという印象を受けたので、できるなら変えられるといいのではないかと思いました。
あと、6ページの22行目で、これも表現だけですが、「当審議会として率直に歓迎したい」というのは、そのとおりだと思いますし、資料でも歓迎という言葉が採用されていたのですが、歓迎と言うとちょっと上から目線のイメージがします。もう少し違う表現で「前向きに評価する」とか、「ほかにも同様の推計が出てくることを期待したい」というような表現にするほうが中立的な感じがすると思いました。
次の23行目の「ある試算」という表現ですが、最初から「ある民間機関の試算では」とか、「NIRAの試算では」としたほうがわかりやすいと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕伊達委員、どうぞお願いします。
〔伊達委員〕委員の先生、お疲れさまです。
総論のところですけれども、全体で一歩踏み込んで制度改革を促したいのかなという仮定で見てみますと、節々のところでもう少しはっきり書いてもいいのではないかと感じました。
まず、14ページ目ですけれども、28行目から31目行のところですか、「現役世代に過大な負担を求めることになりかねない」ですけれども、このままいくと、この制度でいけば現役世代に負担がかかるのは、過大になるのはもう明らかなので、「そのようにしない制度改革をしなければならない」と変えてもいいのではないかと思いました。以上です。
〔増田分科会長代理〕 次は、佐藤委員、お願いします。
〔佐藤委員〕私、ちょっと途中退席するものですから、意見書のほうも出させていただきました。
4ページですけれども、ちょっと細かいところで、22行目から23行目に「目安に沿った歳出改革を着実に」とは書いているのだけれども、歳入確保が出てこない。やはり着実な歳出改革及び歳入増収策も講じるべきということは言ったほうがいいと思います。その心はというと、もちろん消費税ですけれども、消費税だけではなくて、例えば公共料金の見直し等々を含めて、今、赤字補塡などで保険料や公共料金が抑えられている面があるので、こういう料金の引き上げ、保険料の引き上げも含めて歳入確保ということがあっていいかと思いました。
それから、5ページの5行目から「名目金利が名目成長率を下回る状況」という言葉が述べられているのですが、その下の7行目「プライマリーバランスの将来にわたる黒字化」は、嘘ではないのですけれども、おそらく理屈から、ドーマー条件的に言えば、金利が成長率を下回る限りプライマリーバランスは赤字です。ただ、赤字とはいっても、野放図に赤字が認められるわけではないということが一つ。それから、いずれ金利が成長率を逆転する可能性もあるわけですから、そのとき公債残高が高ければ一気に利払い費が増えるリスクがあるということなので、財政再建はそういうリスクマネジメントの一環であるということは、やはり指摘したほうがいいと思います。
あと、総論全体にかかわりますけれども、春の建議にはあったと思うのですが、1つはEBPMです。歳出の適正化、歳出改革というのであれば、やはりエビデンスに基づいた政策形成が必要になりますので、EBPMの徹底があっていいのではないか。これは全ての分野にかかわる話なので、強調していいと思いました。
もう一つ、これも春の建議にあったので要らないのかもしれませんが、MMTとか、ヘリコプターマネーとか奇策がまた出てきます。このあたりについても、実はこれは国民のコンセンサスの形成にもかかわってくる話で、こういう奇策に頼っていてはいけないといった旨のことは書いたほうがいいと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、木村委員、お願いします。
〔木村委員〕起草委員の先生方、まとめていただきまして、どうもありがとうございました。
書かれてある方向性、私もうなずける内容なので、これを支持したいと思います。その上での話ですけれども、本日も新聞各紙で、今、税収が減って、赤字国債を増発するかもしれないという話が出ていました。確かに、海外経済が主な要因で、これは不可抗力とも言えるのですけれども、これまで政権の財政運営は、どちらかというと歳出の効率化よりは税収増に頼ってきたことは否めないので、その矛盾が今回、また出てきたという感じがします。海外経済は、これからしばらく不透明な動向が続くでしょうから、そうしたことを前提にすると、より歳出の効率化が重要性を増してくるというようなことを、もう少し総論の中でも表現として、海外経済の不透明な状況を前提とした歳出の効率化の重要性をにじませてもいいのではないかという気がしました。表現はお任せしますが、感じた印象としてはそういうことです。
以上です。
〔増田分科会長代理〕神子田委員、お願いします。
〔神子田委員〕起草委員の先生方、取りまとめありがとうございました。
私、この秋、海外の友人と話をした際、中国は昔、国が弱かったから、植民地になったのだという話を聞いて、日本も今、もう一回、国を強くしなくてはいけないのではないかと、思った次第です。国を強くするのは、軍事力というのはあると思うのですけれども、もちろん軍事大国路線ではないので、やはり経済を強くする、成長力を高める。もう一つは、その基盤となる財政力が重要なのだろうという思いを新たにした次第です。
その観点から見ますと、1ページの17行目、18行目、19行目に成長力を上げるという視点が書いてありまして、やはり成長を大事にしているのかなという感じがしたのですが、結局、両方大事だと書いてある。これまでも、いつでも両方大事なので、ここは「財政健全化にとらわれるあまり成長を犠牲にすることがあってはならない」とか、「財政を健全化しながらも成長に資する予算はきちんと確保する」といった、どちらのメッセージなのかをはっきりさせてもらいたいというのが1点目です。
2つ目は、3ページの14、15行目、いざというとき、というのは、災害と経済危機のほかに、国家安全保障上の対応ということもあってしかるべきではないかと思いました。
3つ目は、7ページ目の5行目、6行目、「財政、社会保障改革は体系的・整合的に議論される必要がある」とあり、これは、前回の有識者の方々のお話が生かされているのではないかと思うのですけれども、私の印象では、各省庁がばらばらにやっているのではなくて、一緒に考えていったらどうかという提言だったと思うので、「財政健全化の議論が必要である」という6行目のところに「省庁横断的な」とあえて入れてはどうか。一応、メッセージとしてはそこなのではないかと思いました。
それと、ここからは質問です。8ページの最後、将来世代について言及しているところは非常によいと思いまして、特に高校生という具体的なターゲットを示して「生徒の考察、探究に関する知見や情報を惜しみなく行っていく」、これは大賛成です。その点で振り返ると、3ページ目の最後の行「わかりやすい財政健全化目標は欠かせない」と書いてあります。これも全く同意なのですけれども、この後、7行目ぐらいからプライマリーバランスの意味合いについて、名目金利とか、名目成長率とか、理屈としてそれは正しいと思うのですがも、第1点は、この話に高校生はついてこられるのかという話があります。
結局、財審は学者の論争みたいなことなのか。もし、こういうことを強調したいのであれば、誰々がこういうことを言っているけれども、それは間違っていて、こういう視点からこういうことが大事だというような言い方をしないと、私、これを読んでみて、なぜこの部分にこんなに行数を使っているのか、そのメッセージがわからなかったわけです。どう直したらいいか、私も言えないので、あまり偉そうなことは言えないのですが、何のためにこれを言うのか。例えば、19行目に「債務残高対GDP比を安定的に下げていくための必要条件であり」と書いてあると、場合によってはこちらのほうが目標なのかと思ってもみるわけです。ですから、プライマリーバランスという明確な目標でいいと思いますので、それをわかりやすい目標として受け取ってもらうためにどういうように書いたらよいのか、考えていただけたらありがたく思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、田中委員、お願いします。
〔田中委員〕取りまとめ、ありがとうございます。
総論の7ページの(4)、国民の理解の促進とコンセンサスの形成の部分です。17、18行目あたりに「理解を得ることの重要性」、また「幅広く深めていく」と23行目にあり、24行目以降は、若い世代、高校生に向けた方針が丁寧に書かれています。17、18行目あたりをまとめて整理するとよいかと思いますが、今回は財政の持続可能性に向けて、国民と共有できるようなビジョンを建議で示していくことがメッセージとして必要かと思っております。従来、制度を運用する中で露呈してきた、例えば有利、不利の是正に取り組むですとか、支え手を増やさねばというメッセージ、イコール一人一人が支え手になるにはどうしたらよいだろうかということを考えるきっかけになるような表現を、入れてはいかがかと思いました。
よろしくお願いいたします。
〔増田分科会長代理〕それでは、武田委員、お願いします。
〔武田委員〕まずは、取りまとめていただきました起草委員の皆様に感謝申し上げます。
全体として、内容に賛成でございます。2点、意見を申し上げます。
1点目、総論の1章目の11行目でございますけれども、「日本の経済、財政にとっての最大の課題は」と書かれております。少子高齢化や現役世代の縮小が重要ということは賛同いたしますが、あわせて、もう少し世界情勢に言及してもいいのではないかと思います。令和最初の予算編成と考えますと、国際情勢が大きく変化する中で日本のプレゼンスが低下しているという点も、日本経済、財政にとって大きなインプリケーションを持つと思います。国内の課題も大事ですが、国際社会における日本の位置づけに関し、一言、何か書いていただいたらよいのではないかと感じました。
2点目、2章目に参ります。2章目の9行目と10行目で、「「団塊の世代」が後期高齢者となりはじめる2022年度が目前に迫っていることも踏まえた改革」と書かれております。ここでの改革の意味ですけれども、ともすると、年金改革により就労を促進する点のみ改革が進む可能性もございますので、ここはもう少し明確に「2022年度が目前に迫っていることも踏まえ、給付と負担のあり方、見直しを含めた改革を速やかに実行すべき」との記述に変更いただけたらと考えます。
以上です。よろしくお願いいたします。
〔増田分科会長代理〕それでは、進藤委員、お願いします。
〔進藤委員〕ありがとうございます。
私も、7ページの16行目です。「今回の消費税率の引上げは…一里塚に過ぎない。引き続き……」と、ここは非常によい表現として評価したいと思います。しかし、私の頭の中には、やはり、いずれ、消費税率10%を超えて、さらに上げていかなければならないことになるだろうという思いがありますので、願わくば、「引き続き財政健全化に向けて、さらなる歳出と歳入の両面の改革が求められることについて」としていただくと、ニュアンスがもう少し強化されるのかなと思います。ただし、取り扱いはお任せいたします。
以上です。
〔増田分科会長代理〕次、小林(慶)委員、お願いします。
〔小林(慶)委員〕起草委員の皆様には、取りまとめいただいて、ありがとうございました。
2つコメントをしたいのですが、1つは、5ページ目の最初の段落あたりで「低金利の環境に安住してはいけない」ということで、先ほど佐藤委員からも財政再建はリスクマネジメントだという話がありましたが、金利が成長率より上がったときのことをあらかじめ考えておくということで、財政に関する信認が得られて、低金利がむしろ続いていくということだと思います。ですので、これは意見で、修文はできないかもしれませんが、低金利環境の中にいる今こそ、金利が上がったときのコンティンジェンシープランのようなものを省庁横断的に考えて用意しておく。もし、そういうことができれば、財政に対する信認がむしろ高まるのではないか。これは私の意見ですが、思っております。
修正案としては、5ページの11行目か12行目あたりで一言、もし金利が成長率よりも高まって、債務比率が増え続けてしまったときの対応策の具体案を提案しないで政策の議論をするような、MMTのような議論は責任ある政策の議論とは言えないのではないか、というような趣旨の文章をつけ加えておくといいのではないかと思いました。これが1点目であります。
7ページ、民間の研究機関の試算について引用されているというのは、私は大賛成で、いいことだと思います。先ほど神子田委員からもありましたように、省庁横断的な財政健全化の議論が必要だということも、ぜひ入れていただければと思います。もう一つ、参考資料の87ページに長期的な債務比率の推計の図が描いてあるのですけれども、例えば、本文の7ページの6行目あたりに参考資料1と書いておりますけれども、そのあたりで87ページの図を明記するような形にすれば、どういう将来予想が民間の試算でなされているのかが一般の人にわかりやすいと思います。それこそ、建議の本文に図そのものを引用として載せることがもしできれば、そのほうが一般の国民にとっては大変わかりやすいものになるだろうと思いますので、ご検討いただければと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕黒川委員、お願いします。
〔黒川委員〕ありがとうございました。
起草委員の皆様、事務局の皆様、お疲れさまでした。一行一行、非常に重みがあるというか、含蓄があるようにお書きになられていると拝見しました。3ページから5ページにかけて、債務残高対GDP比の指標を非常に重視して、プライマリーバランスの指標を相対的に軽視することを防ぐために、かなり力説されている。この点については非常に同感というか、わかりました。
さて、私、会計学者の感覚でいきますと、どうしても債務残高と利払い費の実額が返済されるか否かが、最終的な資金ショートを起こすとか、破綻するという感覚を持っているのです。そこで、できれば注4のところに「将来の税収等の収入で返済しなければならない債務残高の実額を」と、ちょっと修飾文をかけていただければいいのかなと。
以上であります。
〔増田分科会長代理〕それでは、末澤委員、お願いします。
〔末澤委員〕起草委員の皆様、どうもお疲れさまでした。
総論につきまして一言申し上げたいのですが、実はここ数年、財審では、財政教育、広報の重要性、また、情報発信の強化ということをずっとテーマにしてきたと思うのですが、そういう観点から見ますと、今回の総論はややあっさりしているかなと。昨年は、相当高尚な言葉があったのですが、今回、なぜあっさりしていると思うかといいますと、実は1ページ目の11行目です。
先ほども武田委員から御指摘ありましたが、「日本の経済・財政にとっての最大の課題は少子高齢化と現役世代の減少であることは論を待たない」と書いているのですが、実はその下は基本的に現役世代の減少のことしか書いていないのです。少子高齢化の話は書いていない。私は、やはり少子高齢化、もう一つ言えばグローバル化なのですが、ここが日本経済・財政にとって最大のリスクだと思いますので、そこをもっと初めにインパクトがあるように書かないと、一般の国民の方は、あまり危機意識がないまま各論のほうに行くと、これは細か過ぎるということで読まなくなる。総論の、特に1ページ目は重要で、ここでもう一段深く読んでみたいという思いを読者に抱かせるような書き方が必要ではないかと思います。
ここで「最大の課題は」と書いているのですから、その課題についてもう少し詳しく、つまり現役世代と高齢世代とのバランスの調整などずっと書いているわけですけれども、子供が減ってお年寄りが増えると。昔で言えば、みこし型が騎馬戦、肩車という図がありましたけれども、話をもう少しわかりやすく書いてあげないと、これを今の若い方が読んでも、そんなに問題ないと思うのではないか。私は、実は総論というのは最も重要なところではないかと思いますので、ここについてもう少し危機感を反映させた、わかりやすい書き方が必要ではないかと考えております。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕今の話は、1ページ目の、具体的に11行目から16行目を、今、言ったようにもっと高齢化の話を書くべきではないかと。
〔末澤委員〕そうです。働き手の減少一貫というのは現役世代の話なのです。実は、少子高齢化についての説明が触れられていない。その部分をもう少し詳しく書いたほうがいいかと思います。
〔増田分科会長代理〕わかりました。今、御意見ということで、以上、承りました。
そうしましたら、起草委員から、とりあえずこの場でお返しすることを、いずれ検討されると思いますが、お願いします。
〔土居委員〕皆様から御意見いただきまして、まことにありがとうございました。全体の整合性を考えながら、できるだけ皆様の御意見を取り入れられるような形で、修文案を改めて皆様にご提示させていただきたいと思います。
葛西委員が御指摘の安全保障環境に関する認識を総論にという話は、3ページの15行目「いざというとき」だけしか書いてありませんので、もう少し踏み込んだ表現を検討させていただきたいと思います。
それから、プライマリーバランス、債務残高に関する議論が4ページ、5ページと書かれているのですが、高校生にもわかるようにとか、多少難しいというような趣旨の御意見をいただいたと思います。今回、起草委員会でいろいろ議論させていただいたときに、金利がこんなに低い状況というのはそう長くは続かない、いずれまた金利が上がるのではないかという種の議論は、なかなか世の中に浸透しないのではないか。いましばらくは低金利が続くと予想している市場関係者も多くて、金利が上がる、金利が上がると言って、また財審はオオカミ少年みたいなことを言っているのではないかと言われかねないと、そういう起草委員の認識といいましょうか、もし皆様の認識とそこにギャップがあるならば、もう少し皆様の御意見を取り入れたいと思います。
低金利はいつまでも続かない、ないしは金利が将来上がるという形で議論を展開すると、読者にオオカミ少年として門前払いされてしまうのではないかという懸念があったものですから、仮に金利が低い状況が続いたとしても、債務残高が増え続けるということであれば、将来、重いツケが残ってしまう、回ってしまうと。こういうところを、いかにリアリティーを失わない形で書けるかというところにちょっとチャレンジしました。
ですから、金利が低い状況が継続したとしても、こういう状況は長続きしないのだという説明の仕方をしていて、金利がもし上がったら大変なことになると、そういうタイプの説明をあまりここではしていないものですから、多少わかりにくいと言いましょうか、神子田委員がおっしゃったように高校生にもわかりやすい説明というのは、プライマリーバランスとは、今年の税収だけでは今年の政策的経費を賄い切れていない、だから、その分だけ将来に負担をツケ回していることだ、それでいいのでしょうかと。おそらく多くの素直な高校生は、変なことが起こっているな、もう少し今を生きる世代がきちんと負担しなければいけないとご理解いただけると思うので、そういうことも少し触れつつ、かといって、そんなことだけでは納得しないぞ、こんなに金利が低い状況だったら国債をもっと増発すればいいではないかという方々に対して、もう少し厳しく言葉を足して説得を試みたというのが、総論の話ということになっております。
もう少し皆様の御意見を取り入れながらブラッシュアップして、また案文を御覧いただきたいと思います。
〔増田分科会長代理〕田近委員、どうぞ。
〔田近委員〕私も起草に加わらせていただきましたけれども、総論をどう書いたか、私の理解ですけれども、世界を見ても、財政規律に対する認識が大分甘くなっているどころか財政出動が求められている。日本も、そういう俎上にあるし、特にこれから補正予算がいろいろ進んでいくのでしょうけれども、それに対して、来年度に向けて財審としてどうスタンスを示すのか。我々のスタンスとしては、2ページの最後の8行目からのパラグラフで、令和2年度予算に向けて、11行目ですけれども、「質の高い予算にするとともに着実に財政健全化を進める」、したがって質の高い予算をつくるべきだと。
では、具体的にどうしていくのかということで、ここは私の理解ですけれども、財審にとって財政健全化の柱というか、我々がそのもとで進めていく柱というのが3ページの26行目からで、財政規律を維持する上で実効的でわかりやすい財政健全化目標は欠かせない、実際には2025年度の国と地方のプライマリーバランスの黒字化です。これは、2018年6月の新経済・財政再生計画で、私の理解は、これを財審の財政健全化の根拠として政府と共有して進めていくということで、質の高い予算、現実的には2025年度の国・地方のプライマリーバランスの黒字化を目指してほしいと。
あと、いろいろ議論いただいて、土居委員からも答えていますけれども、私のほうからつけ加えるとすれば、まず葛西委員のご議論もよくわかって、それはこちらで引き取りますけれども、また、私だけの判断では決めかねますけれども、我々として受けるとすれば、3ページ、国の財政をマネジメントしていくさまざまなリスクがある。あるいは、国のセキュリティーに関しても正面から受けとめなければいけない。この段階では私の意見ですけれども、この辺で受けとめられるのではないか。
佐藤委員、小林(慶)委員からもすごくいい指摘をいただいて、要するにリスクマネジメントではないか、金利が上がる、上がらないかはわからないので、上がったときにどうしていくか、そういう心構えを示すべきだと。それも書いてあると思ったのですけれども、読み直して書く。
それから、佐藤委員から、財政規律が甘くなった中で、表現はともかく、極端なことを言う人もいる中で、財審はそれに対してどう答えるのかと。これは、3ページの3行目から全体を特に受けているのだろうと。つまり、日本の財政赤字というのは、社会保障の給付、負担のアンバランスが生じているので、ここは正さなければいけないということで受けている。
最後に近くなりますけれども、平野委員のおっしゃった、あるいは多くの方のおっしゃった推計との関係で、ここは引き取らせていただいて、私の理解は、平野委員の御指摘は、財政の議論の根拠となるような推計をしっかりしてほしいと、全体的にはそういう御意見ですよね。
〔平野委員〕すみません、それに加えて、やはり中長期的な計画を国もつくるべきではないかという趣旨が含まれています。
〔増田分科会長代理〕国もつくるという意味合いも入っているのですね、先ほどの計画は。
〔平野委員〕そうです。ちょっと大きな議論です。
〔田近委員〕僕が理解したのは、内閣府の中長期試算がそこにはあって、それに対して、最後の点も含めてまとめとしてどう書き込むかということはあると思いました。
〔増田分科会長代理〕以上でよろしいですか。
〔田近委員〕はい。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
いずれにしても、起草委員会のほうでまた検討していただきたいと思います。
冨田委員、どうぞ。
〔冨田委員〕いろいろ御意見をいただいたのですが、まず、これは来年度予算についての建議ということで、「骨太の方針2020」の話とは力点の置き方がまた違うと思うのです。それを大前提に考える必要があるのですが、皆様御指摘のように、より長期的な視点から議論すべきだということは、私もそのとおりだと思いますので、引き取らせていただきたい。
今回も、やはり名目経済成長率と金利の関係が通常と乖離した状態が長く続く中での予算編成で、その問題点をどう考えるかということが一義的に書かれていて、基本的にはやはり財政健全化目標をこれ以上先送りしてはならないという脈絡の中で、補正予算についてもかなり場所をとって言及しているということを御覧いただきたいと思うのです。そういう意味で、一番大事なことは、日本財政への信認が大前提と5ページの中ごろに書いてありますけれども、それが維持されることを基本に置いているということでございます。
それから、いつもプライマリーバランスのときに、繰り返しだとは思ったのですが、2ページに注2でも入れておりまして、随分詳しくさせていただいております。黒川委員おっしゃったような形でお読みいただければ、広くご理解が進んでいくのではないかと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕総論は、最初に出てくる部分で、まず、ここから見るのですが、私、最後に一言言わせていただくと、長年にわたってずっと見てきている人間の印象と、初めて見る人と受け取り方が大分違うので、過年度にわたって見ている方だと、昨年とのトーンの違いとかいうのは気がつくと思うのですが、今年、初めてという人にとってみると、これが財審の建議かと。そこをわかりやすくということがあって、実に多様な対象に対していろいろわかりやすく説いていく。それを二律背反しないようにやっていくということだと思いますので、また案をつくってお示ししますけれども、いろいろな観点で御意見いただきたいと思いますが、最後は、もうどこかで割り切らないといけないということがあろうかと思いますので、よろしくお願いします。
それでは、次の社会保障のほうに行きますが、審議に先立って、事務局から若干補足があるので、まず八幡主計官から説明をお願いします。
〔八幡主計官〕厚労第一主計官の八幡でございます。
お手元に、資料2として二枚紙をつけさせていただいております。これは、10月9日の社会保障の1回目の事務局提出資料の49ページに当たるのですが、左下のグラフであります。世帯年収階級別の児童手当の使途のグラフにつきまして、このグラフのもととなりました厚生労働省の調査資料に修正がありまして、昨日、その旨が公表されております。この修正に伴いまして、事務局が作成したこの資料につきましても修正した形でお示しさせていただきます。このグラフに関しましては、高所得者ほど児童手当が必ずしも子供のために充てられていないという趣旨でありますけれども、その趣旨には変更はないものと考えております。なお、既にホームページに掲載しております資料につきましても、この会議の終了後、速やかに修正したものを掲載したいと考えております。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕今の説明に関連して、土居委員から建議の案文についても説明がございます。お願いします。
〔土居委員〕ただいま主計官からご説明があったとおり、資料の修正が厚生労働省からなされたということで、修正前のデータに基づいた記述が、事前にお配りしたものには含んでおりました。本日、席上配付されている資料1は、建議案の26ページの9行目でありますけれども、該当部分を削除したものになります。9行目の第1文「児童手当は」と始まる文章と、第2文であります「特に」と言っている2つの文章の間に1文、厚生労働省が修正する前の調査資料に基づく文章が入っていたのですが、それを削除した形で、この案文をお諮りさせていただきたいと思いますので、ご検討をよろしくお願いいたします。
〔増田分科会長代理〕それでは、伊達委員からお願いしましょうか。よろしくお願いいたします。
〔伊達委員〕14ページ、③時代に即した公平な給付と負担というところで、春からずっと言われている公平の話だと思います。30行目から31行目のところですけれども、「給付費が大幅に増加する中」に対して「増加される可能性は高い」というのは明らかですし、そのように書けばいいと思います。また、「その結果、将来世代にこれ以上ツケ回さないことと、現役世代の過大負担をこれ以上高くしないということを考えた制度設計の変革が必要である」と、明確に言ってもいいのではないかと感じています。
それから、16ページ、だから大もとは15ページですか、医療のところです。医療費、公費、保険料、自己負担、将来世代へのツケ回し、可処分所得が引き下がっている等々の文章がありますけれども、どのぐらい将来世代へのツケ回しが起きているのか、もしくは現役世代の負担がどのぐらい上がっている、可処分所得が下がっているという数字も出しながら、今の自己負担率は下がっているという不公平さをもう少しに明確に出してもいいのではないかと感じています。
それから、世界に冠たる医療保険制度とありますけれども、現行においてそう言えるのかと個人的には思っています。やはり自己否定も必要ではないかという意味で、これは賛同を受けられるかわかりませんけれども、経済成長していて、かつ人口が増えている時代においての制度であって、今、これを変革しなければいけないという立場では、人口減少下において、また、経済成長もある一定にとどまっている中では、これを変えなければいけないということを明確に示していただきたいと思っています。
それから、18ページですね。高齢化等の要因による増加の範囲におさめるためには2%減ということが書いてあるのですけれども、そもそも子供世代なり現役世代の減少と、高齢化世代の増加というアンバランスが起きている状況において、最低限でも高齢化等の要因による増加の範囲におさめなければならない。したがって、2.5%以上のマイナスが必要であるというような形で、もう少し強く言っていただけないかと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、途中で退席されるということでございますので、櫻田委員、どうぞお願いします。
〔櫻田委員〕ありがとうございます。
昨年の建議と今回の建議を比べて、もちろん大変ブラッシュアップされていることと、濃淡を変えておられることは意識できるのですけれども、大きな論点は出尽くしていると思います。問題は、法案を出すわけではないので、文言審議も大変重要ですけれども、これだけ立派な建議書と意見書はもうできたわけですから、この後、どうするかということに力点を置かないといけないのではないかと強く感じているところです。
特に、少し別の観点かもしれませんけれども、気象庁がこの5月に発表した、地球温暖化と今の異常災害は関係しているということをはっきり科学的に認めたわけです。ということは、ここ数年、発生している兆円単位の損害、あるいは被害というのはニューノーマルになったと。そうすると、国土強靱化計画は今のままでいいのか。まさに総理も見直すよう指示をされていますけれども、これは兆円単位のお金が必要になってくるわけであります。そのときに、どこから出すのかと考えると、やはり財政に一番逼迫感を与えている社会保障、ここに手を入れざるを得ないだろうということは、どうしても見逃すべきではないと思います。これが一つです。
そういった意味では、給付と負担の見直しは待ったなしの状況であるということ、先ほど言った自然災害を含めたニューノーマルが発生しつつあるということを忘れてはいけない。異常金利がニューノーマルであるとは認めたくないのですけれども、もしかしたらそうかもしれないという懸念はあります。これについては、47ページ以降、社会資本整備ということで触れられているのでいいのですけれども、もう少し、文章を直せということではないのですが、議論としては重要な観点であると思っています。
それから、これからのあらゆる制度改革に一番重要な視点は何かと聞かれたら、私は、若者が希望を持てる社会を確立していけるかどうかということに尽きると思います。その言葉をサステーナビリティーであるとか、いろいろな言葉に変えることはできるかもしれませんけれども、端的に言えば若い人たち、参政権のない人たちが希望を持てる社会を我々はつくれるだろうか、そのためにこの建議はどう役に立つかという観点で見てみたいと一つ思いました。
そうした観点から、少し具体的ですけれども、まず医療です。しつこいようですけれども、もうそろそろ年齢に応じて機械的に負担割合を決めるということをやめられないのか。やはり応能負担、持っている人が払うということで、年齢基準を捨て去れないかという気持ちはすごく強いです。なかなか全員から賛同していただけないのですが、これはしつこく申し上げておきたいと思います。
2つ目、年金です。入るをもって出るを制すという言葉が妥当かどうかは別として、マクロ経済スライドという画期的な仕組みが導入されているので、これはこれで一つの大きな仕組みではあると思いますけれども、実は国民の理解はほとんどされていないと、私は感じています。この仕組みを含めて、年金を含めて、社会保障制度全体に対する国民の納得感や安心感を得るために、果たして政府が出している推計だけで足りているのだろうか。前提条件やパラメーターを変えたときに、どのような影響が起きるのか。あるいは、一般国民から質問を受けたときに、きちんと答えられるような仕組みはあるだろうかといったときに、答えはノーです。
そういった意味で、経済同友会としては、独立財政機関を設置することを提案しているわけでありますが、これは財務省ともしっかりと議論していきたいと思っている次第であります。ここには、先ほど平野委員が触れましたけれども、50年先を含めた長期的試算も当然ながら必要でありまして、それをしっかりインパクトを持って国民に遡及することが一番大事だと思っています。私は、日本国民は大変賢いと思っています。
最後、介護です。介護については、ご案内のとおり2025年には15兆円という規模になります。ところが、年金や医療と違いまして、介護については論点すらまだまとまっていないと、私は思っています。例えば、介護業界は、万単位の中小企業が存在して、業界としての一定の品質、デファクトスタンダードはありません。一方で、保険料をもっと少なくしなくてはだめだ、あるいは、保険料を効率的に使って、保険料は下げて質を上げろというような議論が起きてくるわけであります。これを運営する業者の一人である我々としては、とてもではないけれども、そう簡単にいかない。
そうすると、エビデンスベースではありませんが、このようなことをやっているところについては、このようなディレギュレーションを認めてあげるというような仕組みを導入してくれないと、とてもではないけれども、サステーナブルな業界にならない。これは、結局、日本人のためにならないということでありまして、この解決策を痛感したところであります。ただ、この点につきましては、建議の22ページと23ページに盛り込んでくださったことを大変ありがたく思っていますし、これを受けて、実際に実行する立場としてしっかりやっていきたいと思っています。
いずれにしましても、これからこれをどう実現していくかという観点で、ぜひ一言申し上げたかったところであります。どうもありがとうございました。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
佐藤委員、よろしいですか。
〔佐藤委員〕介護についてです。23ページ、今後の改革の方向というところで軽度者に関する扱いがありますけれども、医療のほうでは既に16ページのほうで、大きなリスクは共助、小さなリスクは自助といううたい文句を挙げていますので、同じだと思うのです。だから、軽度については自己負担を上げていく。ただし、大きなリスク、要介護度が上がった人たちに対してはそれなりに対応すると、そういう一貫性があっていいのかなと。
あと、ケアマネジメントの話が出ていますけれども、ケアマネジメントの自己負担の有無を考えるときに、ケアマネジャーは誰の代理人なのかということを考えるべきです。もし、ケアマネジャーが保険者の代理人として振る舞うなら、これは保険サービスの一環だから自己負担は要らないはずです。でも、ケアマネジャーが事業者側の人であれば、それは事業サービスの一環、介護サービスの一つですから、当然、自己負担があってしかるべきということになる。本来、ケアマネジャーは、顧客というか、要支援者の代理人でなければいけないのですが、多分、そうなっていないということを踏まえたときに、ケアマネジャーの中立性をどう担保するのかという議論があっていいかと思いました。
あと、25ページ、全体的な話で、これも主な改革の方向なのですけれども、自己負担の2割とか、資産による負担能力の話がありますけれども、どこかの段階で医療と介護は整合的にしたほうがいいのではないか。どちらも、今度、3割負担になります。高額療養費に当たる部分も医療に準じるであるとか、逆に医療にも資産評価を入れるとか、医療と介護における自己負担のあり方について平仄を合わせることが、今後、あっていいかと思います。
残りは、全部、意見書に書いてあるとおりです。
以上です。
〔増田分科会長代理〕今、お二方、先に退席されるということだったので指名しましたが、あとは神津委員、木村委員と指名して、それから宮島委員から上村委員、河村委員という形で順番に指名して、あと、こちら側のほうに行きたいと思います。
それでは、神津委員、お願いします。
〔神津委員〕ありがとうございます。
意見書を配付させていただきました。この場では、時間の関係もありますので、補足したいところに絞って発言させていただきます。
社会保障、まず医療については、安心の基盤として医療保険制度を持続可能なものとしていくことは重要な課題だということは理解した上で、16ページから17ページに記載されている外来受診時の定額負担の導入、それから薬剤自己負担の見直しの提案、これは所得の多寡による医療アクセスの格差の拡大、ひいては国民の健康を後退させることが懸念されると思います。慎重に検討していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
それから、介護ですけれども、我が国、労働力人口の減少が見込まれている中、年間10万人の介護離職者を減らすことが急務です。介護サービスが確実に受けられる体制の整備は極めて重要だと思います。そのための最大の課題は介護人材の安定的な確保だと思います。ぜひ、22ページの介護のところの最初に、介護保険制度の持続可能性の確保に加えて、人材確保には継続的な処遇改善が必要であるという点についても記載をしていただきたいと思います。介護人材は世界で取り合いでありますから、キャッチアップをしておかないと、もうどうにもならなくなるのではないかと、そういう懸念を強く持つものであります。
一方で、制度の持続可能性は、介護についても極めて重要だということは理解しますが、介護離職者が10万人いることとの関係を含めて、施策として、ケアマネジメントへの自己負担の導入、軽度者の訪問・通所介護の地域支援事業への移行、2割負担の対象範囲の拡大、これらが列挙されているわけですが、これだけを見たときに、要介護者とその家族は、どのように暮らしていけばいいのか、心配でたまらないということになるのではないかという懸念を持ちます。今から10年の間に、75歳以上の高齢者が400万人以上増加するということです。ぜひ、介護離職ゼロという政府方針に即した慎重な検討を求めたいということを申し上げておきたいと思います。
最後、子ども・子育てですが、児童手当の支給基準の厳格化等の問題です。本来、やはり子ども・子育ては、社会全体で育てるという理念の中で、所得基準を設けるのではなくて、普遍的な手当とすべきものだということは申し上げておきたいと思います。そして、この間、幼児教育・保育の無償化が先行して進められておりますけれども、待機児童の実態ということで言えば、放課後児童クラブを含めて3万4,000人いるということです。児童虐待が後を絶たない中で、待機児童の早期解消、それから保育の質の向上を進めるなど、全世代型社会保障を実現してほしいということを申し上げておきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕木村委員、お願いします。
〔木村委員〕ありがとうございます。
17ページに取り上げられている診療報酬改定の部分ですけれども、来年度予算は、多分、社会保障分野が最大の焦点になるのではないか、各種報道でも一番大きく取り上げられるのではないかという気がしています。その意味で、本体のマイナス改定に本格的に取り組むというのは非常に重要なことだと思います。その上で、最近、気になるのは、厚生労働省が病院の損益率が悪化したと発表していて、それを踏まえて、経営を安定化させるために、本体のプラス改定が必要ではないかというような議論が出ているとも伝えられています。そういう議論が出ているかどうかはわからないのですけれども、少なくとも損益が悪化していてもマイナス改定は必要なんだという、その説得力を持った論理構成を全面的に打ち出してもいいという気がします。そういうことをご検討いただければと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、宇南山委員、お願いします。
〔宇南山委員〕本日、差しかえられた部分についてです。幾つかありまして、高所得者への児童手当を見直す根拠として、今までは大人の小遣いに回しているということが新聞等で報道されて、かなり注目が上がって、資料の間違いが見つかったという経緯だと思います。その中で、10月9日の時点で主たる根拠にしていたエビデンスが撤回されたときに、それでも政策は変わりませんという方向で出てしまうと、EBPMと言っていながら、都合が悪いところはエビデンスに関係なく維持するのかというところを指摘される可能性があると思いますので、これを維持するのであればもっと慎重に書かなければいけないと思っています。
さらに、この中の書きぶりとして、数万円の現金を支給する意義は乏しいというのもほぼ根拠がなくて、年収1,000万円というと高そうに見えますが、共働きであれば年収500万円の夫婦ということですので、意義が乏しいと言うと現実感がないのではないかということや、扶養控除が廃止されたことに関しても記述がないと何か隠しているではないかと。さらに、本日、差しかえられたグラフの横にありますが、年収1,000万円が16%というのは、時代に即した公平な給付との関係で、世帯年収で表示していると、今、年収1,000万円以上の特例給付を受けている人が16%いるかのような印象を与えるので、非常にミスリードではないか。今は、最も高い人で判断しています。
なので、ここの部分は、先ほど神津委員からもありましたが、そもそも給付制限をすべきかどうかという議論も含めて、今回はなかなか維持するのは難しいのではないか。これは私の意見です。
最後、細かい点ですが、②と③で、おそらく資料2の差し支えがあったせいで、資料1の44と43が逆になっていますので、そこは単純に直していただけるとよろしいかと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、横田委員、お願いします。
〔横田委員〕ありがとうございます。
私は、28ページ、29ページの厚生年金の被用者保険の適用拡大のところで、確認を含めてです。29ページの1行目からある適用拡大の対象となる短時間労働者のところに、就職氷河期世代や、ひとり親のことが記載されていますけれども、どれくらい含まれるかによって重きの書き方を変えたほうがいいのではないかと思っています。というのは、今回の適用拡大、20時間から30時間の人たちを増やす、中小企業にも適用ということですが、私の印象では、パート主婦が主と思っています。中に、どれくらい就職氷河期の人や、ひとり親の人がいるのか。ある程度の母数がいるのであれば、例えば2-30%含まれるなら、これは進めなければいけないよねという強い押し方ができる。そうでないのであれば、どれぐらいその対象に含まれているかによって、書き方を調整したほうがよろしいのではないかと思いました。
あと、総論の点でプライマリーバランスのところ、皆様幾つか御指摘されていたのですが、プライマリーバランスという言葉はわかっているけれども、説明せよと言われたら説明できない私にとっては、今回、非常に丁寧にご説明くださっていたので、ある程度残していただけるとうれしいと思っております。
以上です。
〔増田分科会長代理〕神子田委員、どうぞ。
〔神子田委員〕社会保障の17ページ、4行目「外来受診に対し少額の定額負担を導入し」というところです。「少額の」というところは、どのぐらい少額なのかというイメージがこれだけだとわからなくて、ワンコインと言われていますから、10円とか、50円と考えている人はまずいなくて、100円、500円、100円だと2,100億円みたいな話をよく伺いますけれども、これを本当に真剣にとりに行こうということであれば、やはり具体化して書いたほうがいいのではないか。ですので、私は、「100円単位の少額の定額負担」としたらどうかということを提言したいと思います。
ちょっと戻ってしまうのですが、先ほど田近委員から補正予算にもページを割いたということで、読んだところ、当初と一体でプライマリーバランスを見るべきだというようなことが書いてあって、全くそのとおりだと思います。実は、私、恥ずかしながら、昨日、今年度の補正予算について解説をしまして、その中で、災害にせよ、景気対策にせよ、必要かどうかよく見きわめて、必要最小限にすべきではないかということを言いました。これは、10ページの1行目「真に有効で必要な措置かよく見きわめていくべきである」を真似したわけではないのですけれども、普通に考えるとそういうことで、逆に言えば一解説委員が思いつくような文言だけでよいのか。もうちょっと、プロならではのコンストラクティブな表現を、知恵を絞り出してもらうように、起草委員の方というよりも、調査課の方々にもうちょっと頑張っていただけないかと思います。
〔増田分科会長代理〕では、こちら側のほうで、堀委員からいきますか。堀委員、宮島委員、上村委員と、こういう順番で行きます。堀委員、お願いします。
〔堀委員〕社会保障の13ページの21行目「外来受診時の定額負担など、そもそも一向に前に進まないものも多い」という表現があるのですが、「など」と書いてあるのでたくさんあるのかなと思ってしまうので、具体的にほかにも前に進まないものがたくさんあるならばいいんですけれども、ちょっとよくわかりにくいかと。あと、ここに書くと、なぜ前に進まなかったのかと逆に聞きたくなってしまうので、あえて書かなくてもいいのではないかと思いました。
それから、14ページの6行目からですけれども、「医療・介護等においては、公費、保険料(共助・公助)」と書いてあるのですけれども、多分、順番でいうと「公費、保険料」の順番なので「公助、共助」だと思います。また、その後の文章で、「どこまでをこうした公的保険」とあるのですが、本文全体に社会保険という言葉と公的保険という言葉が混在していますので、統一したほうがいいのではないか。あるいは、そういう問題が起きないように、6行目を最初から「医療・介護等においては、公的医療保険の中でサービスが提供される」としてしまうと、今、言ったことが解消されるかなと。
あと、9行目の「保険給付範囲は拡大を続けてきた」ということですが、私は立体的に考えていて、∑保険給付範囲×量×単価だと思うので、要は高さと長さと広さがあるので、給付範囲が拡大したから範囲を狭めるということではなくて、仮に今の給付範囲でも、量、単価が増えているから医療費が増える、だから中身を見直さなければいけないということかと思いますので、あえて「給付範囲は拡大を続けてきた」と書かずに、普通に「給付は拡大し続けた」であれば事実として言えると思うので、無駄な議論は起きないのではないかと思います。
16行目も、「公的に提供されるサービス」と「公的医療保険で提供されるサービス」の違いがわからないので、「公的医療保険」でいいのではないか。
17行目、18行目、19行目の文章は、多分、一般の人にはわかりづらくなっているかと。おそらく17ページの「診療報酬は医療機関等から見れば収入であるが、国民から見れば受診等にかかる料金」と同じことを言いたいのかと思います。わかりにくいと思いましたので、修文の提案は、後日、できれば提出したいと思っています。
それから、15ページの4行目「予防・健康づくりに関しては」というところです。これは、佐藤委員のコメントにもあって、私、かなり賛同しているのですが、議論を分けて書いたほうがわかりやすいと思っています。要は、12行目、13行目にあるような、「QOLの向上という大きな価値をもたらすものであり、今後も積極的に推進すべき」でも、これは公助、共助、自助というあり方、あるいは、どこまで公的に負担するかというところの議論とは別の話なので、例えば12、13、14行目を最初に書いて、「大きな価値を果たすものであるが、公的負担としてどこまでが適正かを見るために費用対効果を見るべきある。健康増進に関しては、費用対効果、エビデンスを検証すべきである」。あと、「医療費適正化を過剰に期待することによって、医療提供体制や診療報酬の見直しをしないという選択肢はできない」という表現に改めたほうが、シンプルに伝わるのではないかと思いました。
それから、16ページの26行目、27行目のところも、これは私が個人として感じることなのですが、先ほどの13ページの「一向に前に進まないものも多い」ということの背景にあるかと思うのですが、書きぶりを、「安心を確保していく必要がある、受診行動の適正化や医療供給体制の改革も必要」というようなことも一緒に書くと、少額定額負担の意味がちゃんと伝わるのではないか。ここだけ強調されて出ていきますと、わからないですけれども、マスコミの人たちの受け取り方が単純に負担だけ増えるとなってしまうかと。私自身の解釈では、負担が増えるというよりも、患者や国民にとって、受診行動が適正化することで、1回当たりの受診の中身もよくなるというような解釈ができるかどうかで、これがまた先送りになるかどうかが随分違うのではないかと思いますので、丁寧に書くと意味合いが伝わるのではないかと思いました。
ほかにもあるのですけれども、細かいところなので、期日までに文言として提出したいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕よろしくお願いします。
それでは、宮島委員、お願いします。
〔宮島委員〕ありがとうございます。
起草委員の方々、短時間の取りまとめ、大変ありがとうございました。そして、大変なご苦労ながら、多分、みんなが72ページを全力で読むことはないだろうという視点のもとに、ちらちらと、どういうポイントで見るかなと思いながら、私は読みました。
まず、今回の建議の議論では、主計官の方々が短いながらも、それぞれの分野について、今後、どうしていきたいかということをわりと前面に打ち出されたので、それはとてもよかったと思います。それを建議にもそのまま、わりと先出しされているところがいいと思っています。
その中で、社会保障は若干わかりにくいと思っております。最初、今の状況と将来見通しがつらつらと書いてありまして、何をしたいのかと思って社会保障改革に向けてというところを読むと、持続可能な取り組みを進めていく必要があるから始まって、2ページぐらいにわたって書いてあります。おそらく団塊世代が75歳になる直前における今は、対立は起こしたくないですけれども、とにかく世代間の公平、次の世代のことを考えて今こそ行動しようということを、もうちょっと前に打ち出したほうがいいのではないかと思います。特に、先ほど伊達委員もおっしゃいましたが、今年のところで何を一番やりたいかということを一番前に打ち出してほしいと思います。
今、国民から見て、全世代型社会保障検討会議なども始まっているのですが、先出しされた年金の議論などを見てみますと、これは高齢者の年金を増やす話だったのかという疑問が湧きます。全世代型というのは、高齢者から若い人を助ける改革だとみんな思っていたのに、高齢者の年金の話だけがわりと目の前に出ていて、この改革はどちらの方向を向いているのかが非常にわかりにくくなっておりますので、まずはこの建議においても、私たちが今年やりたいのはこれですということを打ち出していただければいいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、上村委員、どうぞ。
〔上村委員〕まず、11ページですけれども、12行目「社会保険方式を取りながら」の「取る」は「採る」だと思います。後ろのほうの図は正しい形になっていますので、修正したほうがいいです。
15ページ目の真ん中あたりに、脚注14があります。これは、定量的な医療費適正化効果はいまだ示されていないという話ですけれども、脚注14を見ると、そもそも経済財政諮問会議で試算が示された、その後、政府はとなっていますけれども、この文章をそのまま読むと、多分、経済財政諮問会議の試算はどうなのか、本当にそれで正しいのかということを言いたい脚注だと思います。そうすると、強調するためには、「その後」の前に「しかしながら」と入れたほうがより伝わるような気がします。
16ページ目に行きます。24行目に「日本の年間外来受診回数」と書いています。これは、「年間」の前に「1人当たり」と入れたほうがよりわかりやすいかと。脚注では1人当たりとなっていますので、「1人当たり」を入れる。
その「1人当たり」の「1」ですけれども、例えば17ページの18行目は「2年に1度」となっていますが、ほかのところで、6ページ目「厚生労働省が5年に一度実施している」となっていたり、「1件」となっていたり、「1」の扱いのルールがどうも定まっていないようなので、全体を見渡していただけるといいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
途中で恐縮ですが、まだ大分名札が上がっています。極力手短にということと、もし意見書で出していただければ指摘できる内容もございましたら、そちらに回していただいて、この場での意見は極力絞ってご発言をお願いしたいと思います。
それでは、河村委員、どうぞお願いします。
〔河村委員〕起草委員の皆様、ありがとうございました。
社会保障の全体的な方向性を打ち出しているところ、基本的に賛成でございます。私からは、時間の関係もありますので、1点に絞って意見を言わせていただきます。
先ほど宮島委員もおっしゃられたのですが、この局面で何を打ち出していくべきか。いかに世代間の負担の公平化を図るか、あとは応能的な考え方を入れて負担の公平化を図るかというところだと思います。そこについて、14ページから15ページにかけて、これから後に続く世代で、中には困難な状況を抱えている世代もあるということ、28行目以降のところでお書きくださってありがたいと思うのですが、次のページに行って15ページの頭のところ、「急速な高齢化や人口減少といった時代の変化を踏まえ」と、単に頭数の現象だけという書き方になってしまって、それでいいのかということを感じます。
ここの部分に呼応する形で、22ページにやはり同じような話が4行目あたり、世代間の公平性の話が出てきて、だからこそ例の高齢者の自己負担割合、75歳以上にこれからなられる方については、70歳から74歳までと同じ2割負担の維持ということが打ち出されて、流れでつながっていきます。やはりどちらかと言えば、最初に申し上げた14ページから15ページの1行目のところですが、急速な高齢化や人口減少だけではなくて、できることであれば、後に続く世代における格差の拡大等、経済力が世代全体として弱体化しているといった時代の変化を踏まえといった形で、単に頭数の減少だけではないという記述を入れていただければというのが意見であります。
このあたりは今後の課題ということで、来年以降の財審でどう議論、検討していくかということになると思いますが、頭数の減少だけではなくて、例えば金融資産、どの年代がどれだけ持っているのか、現時点での把握でもいろいろ見えてくることはありますし、10年前、20年前とさかのぼったときに、団塊の世代の方々が40代、50代のときにどうだったかというと、やはり問題がいろいろ見えてくるところがあると思います。それから、世代の中でも、就職氷河期世代、団塊ジュニア世代という言い方をしてもいいかもしれませんけれども、どういう状況に陥っているかといったところも、今後、検討していくことができればというのが意見であります。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、権丈委員、どうぞ。
〔権丈委員〕ありがとうございます。
起草委員の皆様、事務局の皆様、どうもありがとうございます。
社会保障の持続可能性を考えますと、先ほど歳入増のお話もございましたが、そちらも重要だということと、歳入増が見込めないのであれば、基本的に社会保障の給付の伸びを抑える必要がありますので、そのためにできる限りの努力をしていこうという姿勢で今回の建議案が出されていますので、基本的に異論はございません。
細かな点になりますが、1つ修文の検討のお願いでございます。
28ページ、29ページに被用者保険の適用拡大がございまして、そちらはぜひしっかり進めていただきたいと思います。
そして、29ページの4行目に「同一労働同一賃金によって正規・非正規の壁をなくす」という表記がございます。ここについてですが、同一労働同一賃金というのはかなり日本独特の使い方になっておりますので、「いわゆる」とするか、鍵括弧をつけていただいてはどうかと思います。
若干、説明いたします。ご承知のとおり、同一労働同一賃金というキャッチフレーズで法改正も行われたところでございますが、実際、法律には同一労働同一賃金とあるわけではありません。厚生労働省では、同一労働同一賃金の導入は、同一企業・団体における、いわゆる正規雇用労働者、無期雇用フルタイム労働者と、非正規雇用労働者、有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです、と説明しています。
そして、同一労働同一賃金ガイドラインと呼ばれるものがございますが、最終的な正式名称は短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針となっております。指針の中でも、同一労働同一賃金については「我が国が目指す同一労働同一賃金」と限定した表現をしておりまして、この概念が広く普及している欧州の同一労働同一賃金と異なるということを示してございます。
ということで、この点、ご検討いただければと思います。
また、「正規、非正規の壁をなくす」の部分も少し検討したほうがいいかと思います。ガイドラインでは、我が国から非正規という言葉を一掃することを目指すということで、ここの表記も少しご検討いただければと思います。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、末澤委員、お願いします。
〔末澤委員〕ありがとうございます。
11ページの21行目「経済協力開発機構(OECD)諸国と比較しても、「中福祉、低負担」と言わざるを得ない特異な状況となっている」と。ここは、「参考資料Ⅱ-1-3」という、いつもの銀河系のような形をした図がついているのですが、私はこの姿はとてもわかりやすいと思います。ただ、言葉でもう少し刺激的に表現するのであれば、「中福祉、低負担と言わざるを得ない特異な状況となっている。この状況が続けば、将来的には中福祉・高負担、ないし低福祉・中負担に転換せざるを得なくなる可能性もある」と。このとおりに書くかどうかは別ですけれども、つまり今の若い人にとってみると、この状況は持続できなくて、むしろ人口ボーナスがオーナスに変わるとどうなるかに関しもう少しわかりやすく書いたほうが、これは社会保障の1ページ目ですから、読んでいる人へのインパクトは大きいのではないかと考えます。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕それでは、平野委員、お願いします。
〔平野委員 〕1点だけ、医療に関して申し上げます。
地域医療制度、地域医療構想の進捗評価に関してです。先ほど、堀委員も触れられたところですけれども、13ページの20行目では「進捗は十分とは言えない」となっています。あと、19ページにも触れたところがありまして、これは14行目ですけれども、「実現すべき姿に沿ったものとなっていない」となっているのですが、ここは実はあまりはかばかしくないと、私は思っています。したがって、「医療費適正化という観点で進捗が大幅におくれている」といった表現に改める必要があるのではないかと思います。
そもそも、原文にあるような表現での評価になってしまっているのはなぜか。あまり進んでいないのに、必ずしもそうは言えないような表現になっているのはなぜかというと、KPIの設定にそもそも問題があるのではないかと思います。例えば、会議を実施して、対応方針で合意したようなことでもKPIが満たされるようなことになっている。プロセスベースのKPIは大事ですけれども、この点については、例えば病床転換に伴う医療費の適正化といった、アウトカムベースの目標に向けたKPIに改めるべきだというような記載を、注でもいいのですけれども、触れられないかということであります。
もう一つ、これも注でもいいのですが、ここは公立系の病院について触れているわけですが、民間病院でも同種の取り組みを行う必要性があるのではないか。それから、2025年以降の人口減少を踏まえた医療提供体制のダウンサイジングの追加的な検討の必要性もあるということについて、席上で意見があった、そういう旨、つけ加えていただければと。注釈で結構でございますので、よろしくお願いいたします。
細かいところは意見書を出します。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
それでは、こちら側、進藤委員、お願いします。
〔進藤委員〕2点だけです。
22ページ、現役並み所得の者について、自己負担割合を3割にするというところです。現役並み所得で3割の自己負担はいいのですけれども、残る7割部分についての公費負担が現行制度のもとではなくなります。それは回り回って現役世代の負担ということになりますので、この部分は、「現役並み所得と判定されることによって公費負担がなくなり、現役世代の負担となる現行制度も同時に見直すことで、現役世代の負担増とならないようにすべき」との旨も記述すべきだと思います。これが1点。
2点目は、30ページの③在職老齢年金制度のところです。この部分については、何を言っているかよくわからないというのが私の率直なところです。結論的には、「在職老齢年金制度の見直しに当たっては、就労への影響や、真に必要な人への給付の重点化という点を考慮しつつ、慎重に検討すべき」とはっきり書いたらいかがかと思います。被用者保険の適用拡大の程度も含めて、バランスのとれた結論としなければならないと言う現在の書きぶりでは、うがった見方をすると、被用者保険を適用拡大し、パートも対象化する、中小企業の負担で在老を縮小して高所得者を優遇すると、こういうセットと捉えられかねないので、はっきり言ったほうがいいのではないかというのが2点目です。
〔増田分科会長代理〕それでは、小林(慶)委員、お願いします。
〔小林(慶)委員〕私も1点だけ。
22ページの9行目から、世代間の公平性の確保のところです。ここは、先ほど進藤委員からもありましたように、現役並み所得のこととともに、できれば資産の問題というか、所得だけではなく資産の把握と、資産の保有状況によって負担を検討するというような文言が何か入らないかということが一つ。
もう一つ、この文章だけ見ますと、負担増だけを書いているので、むしろ所得が低い、あるいは資産の保有量が非常に低い人に対して、どういう軽減措置があるのかということもあわせて記述できれば、より納得感のある応能負担の原則を言っているように読めるのではないかと思います。文章については、そういう改訂を考えてもいいのではないかと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕起草委員のほうで何かありますか。では、土居委員、お願いします。
〔土居委員〕御意見ありがとうございました。できるだけ皆様の御意見を反映させたいと思っているのですが、賛否の分かれているところが多々あります。外来受診時定額負担、在職老齢年金制度など、委員の中でも御意見の分かれているところがありますので、そこは全体の整合性を考えながら検討させていただきたいと思います。
それから、御指摘を受け、それなりに文章を変えなければいけない可能性があるところで言うと、宮島委員、河村委員が御指摘になった、世代間の公平という話をもう少し前面に出したほうがいいのではないかというのはおっしゃるとおりで、診療報酬改定、介護保険制度改正、在職老齢年金制度といった結構ミクロの話で、来年度予算、ないしは今、審議が佳境に入っているものについての記述がどうしても前のめりになってしまったので、大原則というか、ビッグピクチャーの話が薄く記述されているように捉えられたことがあるかと思いますので、そこは改めたいと思います。
横田委員と権丈委員が御指摘された29ページの最初の段落についても、受け入れられるような文章の書き方に改めさせていただければと思います。
堀委員と佐藤委員が予防健康づくりに関して、15ページ4行目からの段落ですけれども、これは③の時代に即した公平な給付と負担と必ずしも関係なくて、実は3行目と4行目の間に、当初の案では1行入れていたのが、くっついてしまったので、③の続きで予防健康づくりという話が来ていて、つながりが変だとか、前後の関係はどうなっているのかと誤解を与えてしまった面があると反省しております。3行目までと4行目の後の関連をどうするかということは、引き取らせていただきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、次に進みます。地財と文教・科学技術、社会資本整備、ページ数に沿って言いますと31ページから51ページまで、この部分になります。
そうしましたら、小林(慶)委員からお願いします。
〔小林(慶)委員〕私は1点だけ。
41ページの15行目からの段落のところですけれども、特に若手の研究者の研究環境を改善するということで、財務省がやるべき話とは少し違うのかもしれないのですけれども、科研費などの事務処理の手続に非常に時間と労力をとられている人が多くて、それが研究に集中することの妨げになっていることが大きいと思いますので、象徴的な意味を込めて、一文、41ページの18行目の真ん中あたりに「科研費等の事務手続の抜本的な簡素化を進めるとともに」というようなことを追加で入れておいていただけるといいのではないかと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、末澤委員お願いします。
〔末澤委員〕すみません、教育のところの38ページの26行目です。これは、私、毎回申し上げているのですが、今回も働き方改革の関係で「教員の業務や勤務の在り方を不断に整理・合理化していく必要がある」という文があるのですけれども、これだけだと、どうやるのかという話になると思うので、少子化が進む中で学校の、教育現場の規模の縮小が続いていると。これによる非効率化があるので、統合化の努力とともに、アウトソーシングが重要であると。加えて言えばICT化ですね。アウトソーシングやICT化は、ここでは地域や保護者との関係強化のところでふれるといいと思いますので、統合化の話は出しておいたほうが、なかなか現場だけでやっても難しい話で、財務省としてはそういうところは意見反映したほうがいいのではないかと思います。
以上でございます。
〔増田分科会長代理〕河村委員、どうぞ。
〔河村委員〕地方財政で1点、それから文教で国立大学について1点、意見を言わせていただきます。
地方財政については、35ページの最後から36ページあたりですが、地方財政計画における歳出効率化効果の反映ということで書いていただいて、大変よかったと思います。ただ、最後のところですが、36ページの8行目あたりだと思うのですけれども、こうやってせっかく地方公共団体のほうがいろいろ効率化をしても、結局、いろいろな形で歳出加算をつけてしまっているという問題点を指摘しているわけです。8行目のところで、「何らかの歳出を加算するのであれば、その内容や必要性、規模の適正性を明らかに」とお書きくださっているのですが、できることであれば、そこに「規模の適正性を明らかにするとともに、事後的な検証も明確に行うべきである」といったことを書いていただけるといいかと思います。結局、使い残りもありますので、そこは基金のチェックあたりにつながってくると思いますが、交付団体の中で、どういうところで、どういう原因で積み上がっているのか。市町村合併の話とかも関係してくると思いますし、そういったことにつながるのではないかと思います。
もう一点は、文教の国立大学のところですが、44ページあたりです。全体として打ち出された方向性は賛成でございます。44ページの8行目以降で、2022年度から始まる国立大学法人の第4期中期目標期間を見据えた話が出てまいります。ここも、おおむね賛成であります。ただ、16行目のところ、「配分に際しては大学の多様性を踏まえることも必要である」という点についてです。まさに、ここにお書きくださっているとおり、現状、やっている評価、部分的にいろいろアウトカムを評価しながらということで、国費の配分でも入れていただいていますが、今はまだ、ある意味試行段階というところで、研究を中心にやっている大学向けにそういった考え方を入れていると思いますが、いずれこれは、教育は教育、研究は研究ということでやっていかなくてはいけなくなると思います。
ただ、そのときに、現状のやり方では大きな壁があるだろう。各国立大学が、教育と研究をどういう配分でやっているかということが、現状、明らかになっておりません。各大学の運営上も、どういうようにお金を使ってやっているのかということが、今、明らかになっていません。運営費交付金を渡した中で、それぞれの大学のご判断でお使いいただくのは当然ですが、国費をこれだけ出してもらっているのだから、実際、結果としてどちらにどれだけということは、本当は国民とか社会に対する説明があってしかるべきだと思うのですが、そういう枠組みになっていません。そういったところの検討をきちんとしていくこと、「令和4年度(2022年度)から始まる第4期中期目標期間に際しては」というところで促すような表現を入れてもいいのではないかと思います。
今年6月の「骨太」でも、国は国立大学の真の自律的経営にふさわしい法的枠組みの再検討を行うことと入っているのですけれども、検討が進んでいるのか、ちょっと定かでないところもありますので、今、申し上げた16行目の「多様性を踏まえることも必要である」の次のあたりのところに、「国立大学法人の自律的な運営にふさわしい、国費の使途を含めた経費の使い方を明確にするような枠組みの検討を促していく」と、そういった表現を盛り込むのがいいのでないかと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕上村委員、お願いします。
〔上村委員〕36ページの1点だけです。
公営企業改革のところに水道事業が取り上げられていますけれども、今般、水道法改正がありましたので、何で上水道がここに入ってこないのかが若干気になったところでございます。基本的には、同じような構図で問題点があって、繰出金による赤字補塡もありますし、これをどうやって変えていくかということは、見える化、受益と負担の明確化、広域化、PFI、コンセッション等々、解決策が示されていますので、上水道事業についても何らかの形を取り入れられないかと思います。ただ、大きく取り上げるのが難しいのだったら、例えば30行目の最後の脚注のところに「なお、上水道についても同様の問題があるので、同じように改革を進めないといけない」など、その辺の文言は任せますけれども、上水道事業についても何らかの言及があってもいいかと思いました。
以上です。
〔増田分科会長代理〕宮島委員、お願いします。
〔宮島委員〕ありがとうございます。
文教・科学技術は、多分、最初の3行のところで、こういうようにしたいということを書いていただていると思います。激しさを増す国際競争とか、一人一人の能力と生産性の向上ということで、多分、問題意識は同じだと思うのですけれども、もう少しはっきり、次の時代に合ったイノベーションを起こせるような人材を育てる教育にしていかないとまずいというようなニュアンスを、もう少しわかりやすい言葉にしていただけるといいかと思います。
その上で、学校のICT環境整備に関しましては、前提としてはやはり進めるべきだと、私は強く思っています。今のこの文章ですと、もちろん自治体の進め方とか、ただお金を渡しただけでは全然進まない現実があって、そういうところを一生懸命動かさなくてはいけないということはあるのですけれども、この文章を読んでいくと、「理解を得ることが必要である」「エビデンスが必要である」「何を行うべきか検討する」と書いてあります。教育現場というのは、今の状況のままやりたくて全然動きたくないという方々がたくさんいらっしゃる、というところに問題が一つあると私は理解しているのですが、この文章だと、やりたくない人にやらない理由をたっぷり与えて、何も進まないということになるのではないかと非常に恐れますので、頭のところで、とりあえずICTは進めるべきだということに関しては明確に示していただきたいと思います。
特に、最近、教育問題は、新テストの英語が先送りになったことはいいと思っているのですけれども、今、すごく問題なのは、では今のセンター試験のままがいいのか、大学教育や大学の試験はこのままでいいのかいうところから、ちょっと目がそれているという心配がありますので、本当に次の時代に向けての教育に変えていかなければいけないということを強く打ち出していただきたいと思います。
〔増田分科会長代理〕伊達委員、お願いします。
〔伊達委員〕文教・科学技術のところですが、人的資本の強化と質の向上が上段のところで、最大の目的なのだと思います。それに対して義務教育のところを見ますと、ほとんど生産性向上しかうたっていないと感じます。生産性向上は一つのプロセスであって、それをステップに時間があり、質が向上される時間がとれるのだと思いますけれども、そのためには、やはり将来の人材に合ったカリキュラムを開拓、開発していくこと、それに伴って教員の再教育をしていくことが必要だと思いますので、上段のところにも入れていただきたいし、そういった項目もぜひつくっていただきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、神津委員、お願いします。
〔神津委員〕1点だけ、学校の働き方改革に絞って補足的に申し上げておきたいと思います。
深刻な勤務実態にあること、あるいは全国的に教員のなり手が減って、教員採用試験の倍率が下がっていること等、学校現場は危機的な状況にあることはご承知のとおりだと思います。教員が授業などの本来的な業務に専念し、子どもの学びの質を高めるためには、業務を見直すことと合わせて、教職員定数の改善と給特法の抜本的な見直しがなければ、根本的な解決にはなりません。改めて、業務の削減、教職員定数の改善、給特法の抜本的な見直しを3つの柱とした取り組みを進めていく必要があると考えます。また、ICT化の関係ですけれども、これも下手すると教員の負担増になりかねないのではないかと思います。教員が本来業務に専念するために、ICT支援員の確保や事務職員の定数改善に努めていく必要があるのではないか。このことを申し上げておきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、宇南山委員、お願いします。
〔宇南山委員〕2点あります。
1つは、41ページ目の若手研究への支援の部分ですが、上段で、アメリカでも任期つきが多いから、日本の任期つきは問題ないというような文言があって、それは最終的には15行目あたりの、大学側で人事給与マネジメント改革をするべきというところにつながるのだと思いますが、アメリカの任期つきは、いわば条件つきの任期なしであるテニュアトラックが基本になっていますので、日本と一緒であるというのは、研究者から見ると必ずしも同意できない。実際、これから大学に競争させて予算を変化させようという状況では、個々の大学が人事給与マネジメントで対応できる範囲は限られます。案としましては、15行目「まずは、大学側において」ではなく「大学側においては」というような、大学側の責任はもちろん書くべきかと思いますが、政府側としても、研究者のマーケットをどのように形成していくのか、責任を持って考えていくというような姿勢を示していただきたいと思います。
もう一つ、44ページ、8行目あたりの相対評価の仕組みの点ですが、13行目の終わりから「努力の積み重ねとして現れてくる改革の成果」と、長期的に成果があらわれるという見方を示されているのは非常にいいと思います。にもかかわらず、短期的に大きな変化をさせようとしているように研究者から見られていますので、必ずしも配分額を変えることが目的ではない、結果としての配分額を変えることが目的ではなく、適切な配分をするための努力であるということを明示していただければと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕意見は以上ですね。
そうしましたら、起草委員のほうで何かございますか。それでは、中空委員、お願いします。
〔中空委員〕ありがとうございます。
いろいろな先生方にいただいた意見については、こちらのほうで再認識したいと思います。
宮島委員のお願いは、そこをもうちょっと反映できればと思います。
あと、科研費のところですけれども、ここは実は起草委員の中でもすごくもめたところです。基本的に私はこちら派なのですが、科研費の在り方が相当程度甘いのではないかと考えています。民間でもどこでも無駄はいっぱいあるものですが、田中その無駄さえも自分で処理していく力が必要なので、そこまで書き込んで大切に考えなければいけないと思います。その一方で、やはり日本の研究が遅れを取ってはいけないので、阻むものがあればできるだけ留意していくべきだということも理解できます。そのため、どちらの意見にも配慮して、間に落とした文面になっているつもりでございます。でも、本日、宇南山委員と小林(慶)委員から指摘がありましたので、その辺をもう一回考慮はしたいと思いますが、この状態でもわりと苦肉の策だったということをお伝えしておきたいと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕小林(毅)委員、どうぞ。
〔小林(毅)委員〕今、御意見、御質問は出なかったのですが、社会資本整備で、この分科会の議論ではあまり出てこなかったと思うのですけれども、災害対策のところをこちらの判断で少し入れました。というのは、あの後に台風19号の大きな被害があったということ、それにあわせてハザードマップの有効性、あるいは欠点、それから、前回、前々回ぐらいの建議で入れておりました水害対応タイムラインですとか、多少、新しいデータにしたものを入れておきました。事前にはなかったのですけれども、その点をご了承いただければと思います。
以上です。
〔黒川委員〕科研費について一言だけ。
〔増田分科会長代理〕では、出来るだけ簡潔に、お願いします。
〔黒川委員〕申しわけございません。すみません。
先ほどの中空委員の御指摘もそうですけれども、研究者が無駄を省くべきなのか、それとも大学の事務職というか、事務局がやるべきことなのかというのがあって、多分、そこについての区別があまりできていないのではないか。そこを政府側から指導することで、大学の改革にもつながっていくのではないかと思います。
〔土居委員〕30秒だけ。
〔増田分科会長代理〕では、お願いします。
〔土居委員〕中空委員がおっしゃった起草委員の中で議論があったというのは、私も小林(慶)委員のおっしゃっていることがよくわかるという立場で申し上げたのですが、大学の職員と教員との間で事務のシェアリングをどうするかという話をなぜ財審が引き取るべきなのか、というような御意見が起草委員の中であったということだけ申し上げておきます。
〔増田分科会長代理〕最後のパートで、農林水産から防衛まで、ページ数でいいますと52ページから最後の70ページ、これについて御意見をいただきたいと思いますので、名札を立てて、どうぞお願いします。
それでは、伊達委員、どうぞお願いします。
〔伊達委員 〕
情報システムのところですが、非常にあっさりと書かれていてさみしいところがありますけれども、省庁共通システムをしていくこと自体は大変重要で、よいことですけれども、これだけの新規投資をするわけですから、基本的には投資に対して可視の最大化を目指すべきであって、それがランニングコストのダウンだけでいいかというと、違うのではないかと思います。IT化していく、デジタルトランスフォーメーションが起きていくことによって、社会は何を変えようとしているかというと、今までのやり方全てを変えようとしているわけです。業務のあり方の見直しを含めて、業務自体の生産性も上げていく。それから、データが統一化されていることによって、付加価値あるデータを取得しやすくする。かつ、それを分析し、見える化しながらPDCAに結びつけていくことで、全体の社会的な価値が上がっていくというところまで見据えた投資にしてほしい、ということを入れていただきたいと思います。
〔増田分科会長代理〕それでは、神津委員、お願いします。
〔神津委員〕1点だけ。
中小企業の関係です。内容については意見書を出していますので、思いとして申し述べたいのですけれども、やはり中小企業の生産性が上がらない、それと一体で賃金が上がらない。このことが日本の社会の前進を大きく阻んでいるということが、相当根っこのところにあると思っています。組合のあるところは、それなりに賃金は上がってきているのですけれども、いかんせん労働組合の組織率が中小企業においては極めて低いという現状の中で、本当に意味のある施策が必要だと思います。その観点から言えば、中小企業の生産性向上に係る成長投資には、設備やITなどモノへの投資だけでなく、それを使いこなす人材確保・育成が欠かせません。そのため、成長投資に「人材対策事業費」等、人材の確保・育成にかかわるものも含めるべきと考えます。また、補助金が十分に活用されていない根本的な問題として、中小・零細企業からは、申請の手続きが煩雑で対応できる人手がおらず申請に至らなかった等、補助金が十分に活用されているとは言えない状況が伝わっています。P63の「適切なKPIの設定等を見直す」にあたっては、申請書類や手続きの簡素化、支援窓口のワンストップ化のさらなる推進等の事務負担削減策など利用しやすい環境整備も検討すべきと考えます。
以上です。
〔増田分科会長代理〕それでは、進藤委員、お願いします。
〔進藤委員〕若干ニュアンス的なところですけれども、59ページの省エネ、再エネの導入支援のところです。1行目、2行目で、省エネ、再エネ設備の普及に際し、「自主的取組の後押しと規制的手法が重要である」と記述されています。これでは、規制的手法のほうが重要だというニュアンスが出るので、ここを「規制的手法とともに、自主的取組の後押しが重要である」とすべきだと思います。それ以降は、後押しの話をずっとしているわけで、地球温暖化に対するスタンスも、民と官とが一緒になって技術開発、イノベーションを進めていくという大きな枠組みの話ですので、ここは順序を変えていただければと思います。
以上です。
〔増田分科会長代理〕ありがとうございました。
この部分、ほかにはございますか。よろしいですか。
お気づきの点も後から出てくると思いますので、この場での議論はここまでとさせていただいて、冒頭、申し上げましたけれども、追加の御意見がある場合には、可能であれば本日中、遅くとも週明けの18日になりますが、月曜日の正午までに事務局にメール等で提出していただきたい。様式は任意ですので、箇所と修文案を、やはりこの段階になりますと、ぜひ修文案もつけてメールしていただけるとありがたく思います。
次回は、11月25日、月曜日の9時から会議を開催して、同日中に大臣に建議を手交したいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
なお、本日、お手元に配付しております建議案につきましては、保秘の観点から会議後回収とさせていただきたいと思います。途中の文案がまた変わって最終案になって、そこでの発信ということになりますので、保秘の観点をぜひご協力いただいて、本日の資料は机の上にお残しいただくようにお願いいたします。
それでは、本日の会議はこれにて閉会いたします。どうもありがとうございました。
午前12時00分閉会