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財政制度分科会(令和元年11月1日開催)議事録

財政制度等審議会財政制度分科会
議事録

令和元年11月1日
財政制度等審議会


財政制度等審議会財政制度分科会議事次第

令和元年11月1日(金)10:00~12:10
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)

  • 1.開会

  • 2.議題

    • 社会保障について

    • 文教・科学技術について

  • 3.閉会

出席者

分科会長代理

増田寛也

宮島大臣政務官

太田主計局長

阪田次長

角田次長

宇波次長

阿久澤総務課長

日室司計課長

前田法規課長

斎須給与共済課長

森田調査課長

西山官房参事官

寺岡主計官

大久保主計官

佐藤主計官

渡邉主計官

吉沢主計官

関口主計官

八幡主計官

一松主計官

中澤主計官

中島主計官

岩佐主計官

坂口主計企画官

井上主計企画官

飯塚主計企画官

大槻奈那

黒川行治

神津里季生

十河ひろ美

武田洋子

中空麻奈

南場智子

藤谷武史

宮島香澄

臨時委

宇南山

河村小百合

喜多恒雄

木村

権丈英子

小林慶一郎

末澤豪謙

竹中ナミ

田近栄治

伊達美和子

田中里沙

土居丈朗

冨田俊基

平野信行

真奈美

神子田章博


午前10時00分開会

増田分科会長代理時間が参りましたので、開会したいと思いますが、初めにカメラが入りますので、そのままお待ちいただきたいと思います。

(報道カメラ入室)

増田分科会長代理おはようございます。ただいまから、財政制度等審議会財政制度分科会を開催いたします。

ご多用中のところ、ご出席いただきまして、ありがとうございます。

本日の議題ですけれども、2つでございまして、前半が社会保障、そして後半が文教・科学技術、この2つを議題としております。どうぞよろしくお願いします。

(報道カメラ退室)

増田分科会長代理それでは、審議に入ります。

本日、欠席の赤井委員から文教・科学技術について、そして、進藤委員、広瀬委員より社会保障、文教・科学技術について意見書を提出いただいております。お手元に配付してございますので、こちらもお目通しいただきたいと思います。

それでは、前半の社会保障、本日は医療についてです。八幡主計官から、まず説明をお願いします。

八幡主計官厚生労働第一担当主計官の八幡でございます。

社会保障につきましては、先日、総論と年金、介護等につきましてご議論いただいておりますが、本日は、もう一度、機会を頂戴いたしまして、医療についてご説明を申し上げます。

まず、基本的な考え方という資料をおめくりいただきまして、2ページでございます。医療費の現状でございます。図のほうを御覧いただきますと、この10年間、年平均約2.4%の伸びで推移しておりまして、足元の医療費は43兆円に達しております。

この伸びのうち、薄い青色の部分でございますけれども、いわゆる高齢化による影響の部分で、毎年、約1.1%の伸びとなっております。ここは、人数の増加による影響でありますので、自然増の中でも岩盤のような部分になります。

一方で、濃い青の部分はその他の影響として、箱の中にも新規医薬品の保険収載等、列挙しておりますけれども、この部分につきましては政策的な対応を検討する余地が大きいと考えております。

また、薄い色の部分につきましても、2022年以降は団塊の世代の方々が、順次、75歳に到達されるということでありますので、人数部分の増加率も、今後、上昇が見込まれることには留意が必要と思っております。

資料の右下に赤字で書いておりますけれども、国民の医療費が増加することは国民の負担が増加することでもありますので、これ以上の負担増を防ぐためにも医療費の増加を抑制することが必要と考えております。

3ページをお願いいたします。医療保険制度を支える財源でございます。公費と保険料と自己負担の3つあるわけでございますけれども、公費は既に将来世代にツケ回しておりまして、給付と負担のバランスが損なわれている状況であります。保険料は、下の図の左側に協会けんぽと健保組合の状況を記しておりますけれども、保険料率は年々上昇して、現役世代の大きな負担となって、可処分所得が増えない要因となっているところであります。他方で、自己負担部分につきましては、右側のほうの図に示しておりますけれども、高額療養費の影響もありまして、年々、実効負担率は低下傾向にあるといった状況であります。こうした中で、世界に冠たる日本の医療保険制度をどのように持続可能なものとして改革していくかが重要な課題と考えております。

次の4ページでございます。改革に向けての視点を掲げております。従来より整理しております3つの視点でありますけれども、1つ目が左側、保険給付の範囲の見直しでありまして、大きなリスクは共助、小さなリスクは自助という原則を徹底するといった考え方であります。真ん中の2つ目は、保険給付の中身についての効率的な提供という視点であります。さらに右側の3つ目でありますけれども、高齢化・人口減少下での負担の公平化という点で、年齢ではなく能力に応じた負担といった考え方でございます。

それぞれ主な検討事項を下の3つの箱に記載しております。いずれも重要な項目でありますけれども、時間の関係もありますので、本日、太字の項目について、順次、ご説明したいと思っております。

6ページでございます。給付範囲の1つ目、受診時定額負担の導入についてでございます。右上のグラフにありますとおり、日本の外来受診の回数は極めて多くて、年間の受診率はOECD平均の約2倍で、韓国とともに突出している状況でありまして、医科、歯科の合計で21億回もございます。

日本の医療保険制度は、左の図のイメージのとおり、医療費が高額になっても自己負担額は頭打ちになって、残りはきちんと保険から給付される。すなわち、大きなリスクに備えることが本質でありますけれども、このすぐれた制度を持続させるためにも、21億回ある外来受診に関して少額の負担を導入して、広く負担を分かち合うこともあるのではないか。これによりまして、右の下の図にありますけれども、患者負担の面積分が少し増えて保険給付が少し減るということで、保険料や公費負担が軽減されて、より大きなリスクに備えることが可能となるのではないかと考えております。

次に、7ページでございます。薬剤の自己負担についてでございます。最近は、高額で有効な医薬品が数多く出てきておりますけれども、これらを保険に取り込む一方で、小さいリスクの保険給付のあり方について考える必要があると思います。黒の◆のところに書いておりますけれども、これまでビタミン剤、うがい薬、湿布といった医薬品について、一部保険算定の対象外とする対応を行ってまいりましたが、効果は不十分でございます。

しっかり効果を出すためには、きちんと制度的に対応することが必要でありまして、例えば湿布のような薬局でも買える薬につきましては保険給付から外すような方法。あるいは、右側のほうに行きまして、フランスのように医薬品について重要なものから軽いものまで分類して、それに応じて自己負担割合を設定するというような方法。あるいは、③のスウェーデンのように一定額まで薬は自己負担するというような、さまざまな方法が考えられるかと思っております。いずれの方法も、小さいリスクについての保険給付のあり方の見直しの観点がありますけれども、何らかの対応を行っていく必要があると考えております。

続きまして、視点の2つ目に入りますけれども、保険給付の中身、効率的な提供についてでございます。9ページでございます。

まず、診療報酬改定の基本的な考え方についてでございます。冒頭にも述べましたとおり、国民医療費の伸びのうち、図の濃い青の部分は高齢化以外の要素による伸びでありまして、その代表例が、太字で書いていますけれども、診療報酬改定でございます。この濃い色の部分の伸びは、2.4-1.1の年間1.3%程度であります。矢印で下に太く書いておりますけれども、この部分の伸びを抑制するためには、仮に2年に一度の診療報酬で対応しようとすると、1.3%の2年分、すなわち2%半ば以上のマイナス改定が必要となります。

右側の図にありますとおり、今、国民医療費は予算ベースで46兆円まで行っておりますけれども、1%のマイナス改定で、その1%の4,600億円分の医療費の抑制、すなわち国民負担の軽減がなされることとなります。現在の財政構成から考えますと、公費でいいますと1,800億円、保険料が2,300億円、患者負担が600億円、それぞれ軽減されます。国民負担の軽減のためにも、診療報酬のマイナス改定は不可欠と考えております。

次の10ページ、診療報酬全体の構造を説明しております。医療費は、左から75%分の医科、それから7%程度の歯科、右側19%の調剤となっておりまして、それぞれに技術料と薬剤費等の部分がございます。このうち、上の青い線で囲んだ部分の技術料の改定が、いわゆる診療報酬本体の改定と言っておるものです。黄色い線で囲んだ下の部分が薬の価格、薬価改定の対象でありまして、この2つを合わせて診療報酬改定と言っております。

次の11ページを御覧ください。医療費の伸びの構造を分析しております。医療費の伸びは、医療費の単価の伸びのPと患者の伸びのQで構成されます。この単価の伸びの大きな要素が診療報酬改定ということになりますが、ここ10年の改定率は年平均0.6%で伸びております。この0.6%の伸びの考え方でありますけれども、医療機関の費用構造は人件費65%、物件費35%でありますので、一般の賃金物価のこの10年の同じ比率での加重平均0.1%程度と比較しますと、診療報酬という公定価格はかなり大きく伸ばしてきたことが見てとれるかと思います。医療費はこの単価の伸びに加えまして、患者数の伸びもありますため、右の折れ線グラフで示しておりますけれども、赤い折れ線グラフのように医療費についてはさらに大きく伸びていくという格好になります。

12ページを御覧いただきますと、もう少し長いスパン、20年のスパンで診療報酬本体の伸びを、一般の賃金物価の動きと、さらには中ほどにある医療職種の方々の賃金と比べたものでありますけれども、診療報酬の水準は、これまでの改定によって世の中の水準を大きく上回っている、上昇してきていることがわかるかと思います。繰り返しになりますけれども、医療費の増加は国民負担の増加でありまして、これ以上の負担増を抑えて制度を持続的なものするためには、診療報酬改定のマイナス改定は不可欠でありまして、これ以上、保険料や公費負担を増加すべきではないと考えております。

次の13ページでございますが、診療報酬の配分のめり張りづけの問題点でございます。診療報酬改定は、とかく改定率の話が中心となりますけれども、実際、年末までの予算編成過程におきましては、医科、歯科、調剤のそれぞれの改定率のみが決定されるところであって、具体的な改定の点数の設定につきましては年明けの中央社会保険医療協議会での議論に委ねられることになります。

その結果、右側の図、病院と診療所の収益率を比較しておりますけれども、診療所が病院よりもかなり高い収益率をずっと続けていることがわかります。これはもちろん一例ですけれども、これを見ても、果たして本当に適切な点数設定が中央社会保険医療協議会でされているのか。近年は、病院勤務医の働き方改革が求められておりますけれども、そういう意味でも、このような収益状況が続くのはおかしいのではないか。実は、左下の改定率の推移にも書いておりますけれども、過去、2010年度の改定では、病院と診療所の改定率に差を設けることを予算編成過程におきまして決めたこともありますけれども、こうした配分の大枠については、年末までの予算編成過程において政府として決定するべきではないかと考えております。

さらに、14ページは、もう一つ構造的な問題、医科、歯科、調剤の構造の問題であります。図の下、我々、1対1.1対0.3の問題と言っておりますけれども、医科、歯科、調剤の技術料に相当する部分が、それぞれ80%、90%、20%なわけですけれども、年末に改定率が決まって、これを配分する際には、右側の図にありますように、過去の数度の改定においても、各科の技術料部分の伸びが全く同じになるように改定率が設定されてしまっているということであります。どの分野に厚く配分すべきかというのは、本来、その都度、変わり得るもののはずで、こうした硬直した構造というのは、必要なところに必要な配分がなされていないことを示す一例ではないかと思っております。

この構造を前提に、次の15ページでございますけれども、調剤部分の適正化についてでございます。左の折れ線グラフを見ていただきますと、この10年で医科、歯科、調剤全ての技術料が伸びているのですが、中にも際立って伸びている黄色の折れ線グラフは調剤の技術料であります。その下の表に書いていますけれども、日本の薬剤師数は各国比較で非常に多くて、今後も伸びていくと思います。普通のマーケットであれば、1人当たりの給与水準は下がっていくところですけれども、右側の折れ線グラフの中で赤い折れ線が薬局薬剤師の1人当たりの技術料ですが、あまり下がらない感じになっております。つまり、調剤報酬全体が増加することによって、薬剤師1人当たりの技術料が確保されるという構図になっていることが見てとれるかと思います。

このような問題点を踏まえた上での16ページでございますけれども、調剤の構造につきましても、図の左側にありますように基本料と調剤料と管理料という3つの要素があるのですが、このウエートも硬直的になっておりまして、長らく濃い青の部分、真ん中の部分ですけれども、技術料を評価する調剤料に依存した収益構造が続いております。

右の真ん中を御覧いただきますと、調剤料につきましては、今は投薬日数に比例して報酬が階段状で上がるような設定になっているわけです。これは、薬をこねて包んで出すというような、多分、昔ながらの調剤のイメージを前提とした点数かと思いますけれども、今や、その合理性は全くないかと思います。院内調剤の場合、フラットな点数設定になっておるわけですけれども、院外の場合でも同様にフラットにするのは当然であって、しっかり適正化していくことが必要ではないかと考えております。

次に、17ページでございます。今度は、医療提供体制の問題であります。我が国の医療提供体制は、左の表のとおりですけれども、各国と比較しましてベッド数が多くて、その一方でベッド当たりの医師数が少ないという特徴があります。病院の勤務医が大変であることの所以でもあるかと思っております。また、右側の図は都道府県ごとの医療費とベッド数をプロットしたものでありますけれども、明確な相関関係がありまして、高知県のようなベッドの多いところは、医療費も多くなっています。こうした点を踏まえまして、医療提供体制の見直しとか、都道府県の保険者としての機能強化が重要な鍵となると考えております。

まずは、そういう意味で18ページでございますけれども、いわゆる地域医療構想の推進ということで、その一環としまして、先般、厚生労働省は、公立・公的病院等の診療実績を分析して、424の病院について再検証を要請されているところであります。左下の図を御覧いただきますと、2017年現在の131.9万床について、厚生労働省のガイドラインに沿って都道府県が算出した2025年の病床の必要量としまして、4つの病床に区分して合計119.1万床と推計されております。

しかしながら、これまで都道府県において策定された具体的対応方針は、この2025年に実現すべき姿ガイドラインに沿ったものになっておりません。それで、厚生労働省医政局は、まずは公立・公的病院等につきまして再検討を要請したという状況でありまして、今、一生懸命取り組んで、丁寧に説明されているところと思います。今後、この計画の達成状況が不十分の場合には、より実効性が担保されるような方法も同時並行的に検討していくことが必要です。

また、財源的には、右下、既にあります地域医療介護総合確保基金の枠組みを活用して、積極的に取り組む自治体に対してうまくサポートできるように、厚生労働省は自然体だと一律にばらまきがちなわけですけれども、仮に財源を投下する場合には大胆に、めり張りをつけて対応することが必要と考えております。

19ページからは、国民健康保険の保険者の機能強化という点であります。19ページ、左上の図にありますけれども、国保の財源は、都道府県の医療費に対して国庫負担が入るほか、本来、きちんと保険料を徴収することが必要なことは保険原理としては当然でありますけれども、黄色い部分で一般会計繰入とあるとおり、自治体が法定外で税金を投入するといった実態がございます。保険と言いつつも、保険料ではない財源で補塡されているわけでありまして、保険者機能が発揮できなくなる所以でもあります。

その下のところに、法定外繰り入れの推移のグラフがありますけれども、足元、繰り入れの解消は進みつつあるわけですけれども、まだ総額1,751億円の繰り入れが行われている現状があります。

右側の棒グラフは、どの都道府県で繰り入れが残っているかを見たものでありますけれども、2つのパターンがあります。右側の鹿児島、沖縄のような、多分、医療費が高いことが原因と考えられる県もある一方で、真ん中あたりにあるパターンというのは裕福な自治体、とりわけ一番出っ張っているところは東京都であります。本来、東京都でも、医療費を賄うためにはしっかり保険料を上げることは当然であるわけですけれども、それをせずに税金が投入されているということになります。これは、地方財政の問題とも関連するのかもしれませんけれども、保険の財源は保険料で賄うべきでありまして、これらの自治体の保険部局でありますとか、あるいは財政当局もしっかりと保険の意味を理解して、保険者としての自覚を持ってもらうことが必要ではないかと思っています。

それから、国保の関係でもう一つ、20ページでありまして、こちらは厚生労働省保険局のほうの問題かと思っています。国は、国保改革としまして、都道府県内の市町村の保険料率につきまして、同じ所得、世帯構成であれば、同じ水準に統一するということを目指しておりまして、その旨、厚生労働省もガイドラインを出して推進しておられます。一方で、その同じガイドラインにおいて、都道府県内の医療費水準にばらつきがある場合は医療費水準の差を保険料に反映させることを認める、むしろこれを原則とするという趣旨の記載がありまして、保険料の統一を目指す方向と矛盾する内容になっているものが温存されています。

下の表にありますけれども、大阪府、奈良県、北海道といった一部の自治体は統一に向け、既に動いております。さらに、右側の表にある幾つかの自治体は、医療費水準を反映させない、ちょっと技術的で恐縮ですけれども、α=0を目指しているのですが、厚生労働省がα=1でよいというガイドラインを出しているために、39の自治体が易きに流れてしまっているということであります。保険者として機能しようとしている一部の自治体もありますので、こういった自治体に対してはしごを外さないように、厚生労働省自身がガイドラインを変更することが必要ではないかと思っています。

最後に、3つ目の視点でありまして、負担の公平化という観点であります。22ページでありますけれども、まず世代間の負担の不公平の現状を説明しております。

左の図を御覧いただきますと、75歳以上の後期高齢者の医療費は1人当たり約91万円ですけれども、この91万円の財源の内訳は、高齢者自身の負担が窓口7万円、保険料6万円、あとは公費が42万円、このほか現役世代からの支援金が35万円分入っている。一方で、0~74歳につきましては、自身の医療費、約24万円分以外に、約5万円を上の世代に支援しているという形であります。今、人口比が1対7でありますので、この数字ですけれども、今後、人口比が1対5、さらに1対3となっていきますと、さらに支援金が増加することになります。

また、右上の表を御覧いただきますと、黄色が1人当たりの保険料の増加額、青が医療費の増加額であります。ここ7年の実績ですけれども、現役世代の保険料の増加額が大きく伸びておりまして、一方で青色の医療費の増加額は高齢者部分で増加している。まさに高齢者の医療費の増加を、現役世代の保険料負担の増加で支えるというような構図が明らかになっています。

もう一つ、その下のグラフですけれども、窓口での負担感についてのアンケート結果を見ますと、75歳以上の方々は若い世代と比べまして、あまり負担を感じないと回答される方が多いことがわかります。

こうした中で、最後のページでございます。2022年問題を前にしまして、公平な負担のあり方を見直していく必要があると思います。

1つは、左側の図にありますとおり、これから75歳になられる方々について、現在2割負担をそのまま継続していくことが考えられます。既に1割負担になった方を2割に引き上げるということではなくて、現在2割負担の方は75歳になっても継続するということなので、負担増にはつながらない形で実施することになります。

もう一点、右側のほうですけれども、負担能力のある方々にも負担していただくという点であります。現在も、現役並み所得のある方は3割負担となっていますけれども、これに該当する方は7%だけとなっています。これは、現役並み所得の判定基準が、個人の課税所得145万円という条件と、世帯収入520万円という要件があります。例えば、矢印で書いていますけれども、比較的ゆとりのある2人世帯の方でも3割負担の対象にならないという現実がありまして、この要件を見直していく必要があるのではないかというものでございます。

以上、いろいろご説明申し上げましたけれども、2022年問題も残された時間は少なくて、喫緊の課題となっております。いずれも簡単な改革ではございませんけれども、具体的に結論を得るために議論を加速する必要があるのではないかと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

増田分科会長代理ありがとうございました。

これから、御意見、あるいは御質問をお受けしたいと思いますが、11時ぐらいまで医療の関係を議論して、その後、文教・科学技術と、おおよそですが、そのぐらいの目途で考えております。

いつものとおり、御意見等ございます方はネームプレートを立てて、そして合図をしていただければと思います。それでは、大槻委員から、順次、指名していきますので、よろしくお願いいたします。

大槻委員ご説明ありがとうございました。

全般には、本当にこの挙げていただいた改革を進めていただきたいということで、切にお願いしたいと思っております。保障という意味で、いかに個人の方々、国民に安心を与えるかということが主眼となるはずだと思うのですが、直近で私どもがとった、定期的に行っている貯蓄と消費のどちらを先行させるかというアンケートで、やはり消費、投資が伸びていなくて、貯蓄をしたいという方が増えていて、理由は、上から年金、医療、財政の3点セットでございまして、消費税増税のためというのは、挙げた項目の中では比較的というか、最も低いぐらいでありました。この不安が払拭されない限り、昨日も日銀の金融政策決定会合がありましたけれども、何をやっても金融のほうでは、消費はなかなか伸びてこないのかなという印象を持ちました。

具体的には、OTC医薬品のところも、消費者から見ると一物一価になっていないので、これはやはり是正すべきだと強く感じます。受診時定額負担も、お金の問題以外に時間の問題として、21億回も行っているということは、社会人一人一人の時間が、生産性が落ちることにもなっており、お医者様の負担も時間に換算したら相当のものだと思いますので、その是正の一助になるかと思っております。それから、調剤のICT化をもうちょっと進めていただければというのが最後1点です。

以上です。ありがとうございます。

増田分科会長代理それでは、神津委員、お願いします。

神津委員ありがとうございます。

まず、総論的にですが、医療費の抑制の観点についてです。医療費の抑制については、医療資源の適正配置、予防、健康づくりの取り組みの強化、そしてAIやビッグデータの積極的な活用などを進めることが重要だと思います。また、応能負担の徹底によって負担のあり方を見直して、社会全体で負担を公平に分かち合うということも重要と考えます。

6ページ目の受診時定額負担の導入、それから7ページ目の薬剤自己負担の引き上げに関してですが、所得の多寡による医療アクセスの格差を拡大させないか、国民や患者への影響に十分留意して慎重に検討をすべきだと考えます。

それから、11ページから13ページあたりにかけて、診療報酬改定についてですが、社会保障審議会の関係部会でも改定の基本方針が議論されているところです。特に、病院での働き方改革は極めて重要な課題として考える必要があると思います。説明の中にもありますけども、病院における働き方改革に確実に資する診療報酬のあり方を検討すべきと考えます。そんなことも含めて改定率については、医療提供体制の影響が大きいため、それに十分留意して慎重に検討すべきでありますので、マイナス改定ありきの議論は適切ではないと思っています。

そして、17ページの病床数を含む医療提供体制の適正化、それから18ページの地域医療構想、これは大変重要な施策だと思います。医療の効率化の観点から、地域差の是正が非常に重要であります。その上で、地域医療構想を着実に実現するためには、患者の受診行動の変容を促すことを含めて、民間の医療機関も含めた地域一体の取り組みが欠かせないと思います。政府の「骨太方針2019」にもありますように、都道府県知事の権限を強化することによって、適切な進捗管理と病床の機能分化を積極的に進めていくべきであります。ただし、進捗管理に係るKPIの設定は、全国一律ではなくて,地域の実情も勘案した柔軟な運用を認めるべきと考えます。

23ページの後期高齢者医療制度に関してです。年齢ではなくて、負担能力に応じた負担とすることはぜひ進めるべきと考えますが、低所得者に対して負担軽減など配慮をすべきことは言うまでもないと思います。また、現役並み所得の判定基準につきましては、被保険者の安定した生活に支障を来さぬよう慎重に検討していただきたいと考えます。

いずれにいたしましても、医療保険制度は国民の安心の基盤であります。将来にわたり、負担可能な水準で確実に給付が受けられて初めて、安心を国民に提供できるものであります。持続可能性の確保は非常に重要と認識していますが、それだけを優先させることで社会保障の機能が低下してしまえば、本末転倒になりかねません。その観点から、将来にわたる給付割合が法定されていること自体は重たいことでありますので、その約束が守られること自体が国民の安心をもたらすものと考えます。

以上です。

増田分科会長代理それでは、末澤委員、お願いします。

末澤委員どうもありがとうございました。

おととい30日に、アメリカのCDCがあるデータを発表しまして、実は米国人の平均寿命が2014年から3年間で78.9歳が78.6歳に0.3歳短くなったと。男性は76.1歳で0.4歳短くなって、女性は81.1歳で0.2歳短くなっている。日本の場合、1年で0.1歳ほど延びていますから、全く逆行しているのです。これはオピオイド等の影響が大きいと言われていますが、そのアメリカの医療費は幾らか。2017年、先ほど日本の場合は43兆円という数字が出ていましたが、アメリカは政府の統計で3.5兆ドルです。日本円にすると400兆円近い。人口比で見ても、日本の3倍ぐらいかかっている。2027年には6兆ドルになるという試算も出ています。日本円だと700兆円、もうとてつもない金額です。

つまり、お金をかけても必ずしも健康になるとは限らない。ただ、医療の世界というのは国民の生命の安全と健康にかかわっていますから、なかなかカットしづらいところがあるのですけれども、米国の例を見ても必ずしもお金をかければいいわけではないので、もう少しソフトも含めて、きちんと見直しをしないといけない。

そういう意味で、日本は、現時点ではアメリカの3分の1のコストとも言えるのですが、22ページを御覧いただくと後期高齢者支援金は現状35万円です。これは、1対7ですから、1人当たりで見ると現役世代は大体5万円払っているという話になります。ただし、2054年だと3倍になりますから、1人当たりで大体12万円になります。つまり、毎月1万円ぐらい払うという話になってしまう。だから、3倍になるということは、今のアメリカと同じぐらいの構造になるとも言えるわけです。医療費は、放っておくとどんどん膨れ上がりやすいので、生命の安全、健康の保障というのは重要ですけれども、日々見直していかないと、どんどん水膨れしますよということをちょっと申し上げたいと思います。

以上でございます。

増田分科会長代理武田委員、お願いします。

武田委員どうもありがとうございます。

4ページに書かれております制度改革の方向性、全体として賛成でございますので、ぜひ進めていただきたいと考えます。特に、新たに75歳になる方の自己負担のあり方、後期高齢者の自己負担を2割のままとする改革は、団塊世代の方々が2022年から75歳に段階的になられることを考えますと、もはや、先送りはできないと思っており、繰り返しで恐縮ですが、この点、改めて強調させていただきたいと思います。本日、意見書を出されております進藤委員、広瀬委員も、同様のご主張をされていらっしゃると思います。

2番目です。13ページでは、診療報酬の件で、財源配分のめり張りづけに言及されております。いつも、改定率が議論になっているかと存じますが、私も中身の議論もあわせてしていくべきだと考えており、病院の働き方の問題等を含めますと、病院と診療所の間で差をつけていくという見解には賛成の立場でございます。総額の議論だけではなく、中身についても目配せして、丁寧な議論が行われることを望みます。

3点目です。18ページでございますが、地域医療構想の推進についても、これも長年、取り組みを進めているわけですが、実態としては進んでない中で、財源について基金の交付に関してめり張りをつけるべきと考えます。

以上です。ありがとうございます。

増田分科会長代理それでは、伊達委員、お願いします。

伊達委員ありがとうございます。

今回の話は、世代間の公平性と、自助の意識と、適正医療費とは何か、3つに大きく分けられると感じました。2ページ目のグラフを見てみますと、人口が増えていくことによる1.1%の増、それから医療費そのもの、単価による2.4%の増と2つの部分があります。これを抑制していかなければいけないわけです。その中で、世代間についてみますと、公費、保険ということで次世代は十分負担していると考えられます。従って、自己負担、定額負担について、世代間の公平性の観点から、やっていくべきことであって賛成です。

一方で、2.4%の伸びについては、高度医療、診療報酬等々が上がっていっていることが原因だと思いますが、支払い側に合わせた予算を考えますと、単純に増加するから仕方ないという今の考え方ではなくて、本来バジェットを組むべきであって、それに対して高度医療を、どの範囲まで入れ組むことができるのかを考えたり、キャッチ・アンド・リリースで、一般医療について、自己負担をどのぐらい増やすのかという考え方も持つべきだと思います。

診療報酬についても、この部分はこのぐらい必要だという積み上げでは検証すべきであって、バジェットからどのぐらいの分配が可能なのかという逆のほうからも検証しながら、分析していくべきではないかと思います。非常にドライな言い方かもしれませんけれども、そういうチェックもやっていかなければ、間に合わないと思っています。

また、診療報酬のあり方について少し触れていたと思いますけれども、何となくまだ漠とした、トータルの数字が多かったように思いますので、やはり具体的にどういうところで、外来については収支が合うようなものであり、入院についてはバランスのとれない要因が、どのような診療報酬の単価のつけ方によって起きているのかといった細かい分析がもう少しあってもいいのではないかと思いました。

以上です。

増田分科会長代理それでは、土居委員、お願いします。

土居委員今、政府で、全世代型社会保障の改革に取り組んでいるということですので、その線に沿って医療を考えると、健康であるがゆえにということですけれども、若い人はあまり医療機関にかからない、若い世代が医療の給付からより多く恩恵を受けるということはあまり考えにくい。そう考えると、全世代型であるからには、若い世代の人たちの負担をいかに抑制するかという観点から医療を考えるということも、全世代型ということを考える上では重要になってくるのではないかと思います。伊達委員もおっしゃいましたけれども、世代間の負担の公平ということは全世代型社会保障を進める上では極めて重要な鍵になると思います。まず、それがなし遂げなければならないということからすると、75歳以上の患者負担、それから現役並み所得を持つ高齢者の患者負担をどうするかということは、当然、重要性の高いものとして早期に改革すべきだと思います。

来年度の診療報酬改定に際しては、マイナス改定が不可欠という言葉を主計官はおっしゃっていました。過去2回、消費増税分を除く対応ということで言えば、2016年と2018年の改定があって、これは診療報酬全体ではマイナス改定になっているということはしっかり踏まえるべきだと思います。その中で薬価が引き下げられて、診療報酬本体はプラス改定、トータルでマイナスになっているということですから、薬価が市況に応じて引き下げられるということであれば、当然ながら負担軽減はそういう形でマイナス改定に反映されるべきであると思います。

診療報酬改定の際には、常に医療経済実態調査というものが参照されるわけでありますけれども、参考資料1の12ページに、医療分野におけるデータの見える化のさらなる促進ということで、非常に重要なポイントが書かれてあります。実は、医療法で、医療法人は既に事業報告書を都道府県に提出しているということでありますから、こうした形で調査のより負担軽減、さらには分析の厳密化を図る意味では、この情報を積極活用して診療報酬改定に臨むということは、私は非常に重要なポイントになってくるのではないかと思います。

それから、本体の資料1の7ページでOTC医薬品の自己負担の話がありました。これも主計官がお触れになったとおりでありますけれども、もう一点つけ加えるとすると、患者側からすると医薬品が一物二価になっているような状態でありますから、同じ薬効の医薬品であるならば同じ値段で患者に供されると、そういう原則を貫くべきであると思います。そういう意味では、医療機関にかかれば7割引とか、9割引きみたいな話になるのではなくて、処方箋なしに薬局に行けば10割負担になるというようなことにならない形で、OTC医薬品は取り扱われるべきではないかと思います。

最後に、参考資料1の33ページに長期収載品の話があります。長期収載品の薬価についても、しっかり見直していくべきであると思います。これらがあって初めて、毎年改定となった薬価の改定で、実態に合わせた薬価の引き下げが行われるのではないかと思います。

以上です。

増田分科会長代理中空委員、お願いします。

中空委員ありがとうございます。もう皆様言われたので、手短にいきたいと思います。

この分野に限らないのですが、財源が乏しいという日本の情勢に合わせると、やはり何に資金を回すか、という線引きが重要になってくると思います。先ほど伊達委員がおっしゃいましたバジェットの管理が大事でしょうということは、私もそうだと思っています。今回の説明にはありませんでしたが、高額療養費についても、医療品についても、保険収載等の考え方からやはり線引きをきちんとするという考え方は、ドライだけれども必要なのではないかと思います。これが1点目です。

2点目としては、今回、あまり焦点ではなかったのですが、年間21億回も日本人は受診をしているのだなと素直に驚きを禁じえませんでした。大変大きな数字で、仮に日本の人口が1億人だとすると年間21回も病院に行っているという話になります。私自身、そんな行ったかなと思いながら聞いていました。また、「大きなリスクは共助、小さなリスクは自助」というのは正しいことだと思うのですけれども、そのためにも、保険者努力支援制度のインセンティブの見直しを前回は特に強調していたかと思うのですが、努力して病院に行かない仕組みづくりに少し注意を払う必要があるのではないかなと思います。支払わなければいけないものを確保して、どういうように工夫するかということも大事ですが、病院に行かないで済む人たちをどれだけつくるかということも大事な施策だと思いますので、その点についてお話しさせていただきました。

以上です。

増田分科会長代理それでは、平野委員、お願いします。

平野委員ありがとうございます。

私も、先ほどからの皆様の御意見と重なるところが多いのですが、確認のために2つ、短期と中・長期の観点からお話ししたいのですが、まず短期に関して言うと、やはり負担の見直しという点では、世代間の公平の観点から、後期高齢者の負担の引き上げはやるべきである。それから、大きなリスクに備えるという本来の保険の目的から、制度維持のためにも、少額の定額負担、いわゆるワンコインについても、やるべきだと思います。それから、もう一つ、診療報酬の問題についても、やはり診療報酬本体の抑制に手をつけるべきである。先ほどいろいろ御意見はありましたけれども、マクロ的に見ると、12ページのグラフが示すとおりで、やはり過去の賃金物価水準との乖離は明らかであると思います。

次に、医療体制、医療提供体制に関してですけれども、やはり地域医療構想を通じた公立・公的病院の効率化は着実にやらなければいけないと思っております。そもそもフリーアクセスでやるとか、出来高払いといった制度自体が、医療費の削減に向けた供給側のインセンティブを非常に働きにくくさせている。そういう構造を抱える中で、では、どうやって実効性を上げるかというと、これも以前、触れられておりましたけれども、自治体の首長の権限強化に加えて、例えば余剰ベッドの買い上げも含めた財政面でのインセンティブの付与といった仕組みが必要なのではないかと思います。この話は、公立だけではなくて民間病院についても例外ではないわけで、権限の問題等あるのはわかりますけれども、地域医療構想の第2弾のような枠組みを考える必要があると思います。

以上が、短期の視点です。

中・長期の視点ですけれども、今回、財審で示されている一連の社会保障制度改革の施策、私も基本的に賛成でありますが、そもそもこうした個別の施策をどこまでやれば、我が国全体としてどの程度の効果が得られるのか、中・長期的な全体像を提示するという発想が必要だと思います。全世代型社会保障改革での高齢者の活用であるとか、健康寿命の延伸も含めたさまざまな施策を推進することで、我が国の社会保障制度が2040年にサステーナブルな形に本当に落ちつくのかという金額的な試算を示した上で、それと各施策のPDCAをリンクさせて、定期的にモニタリングしていくということをやるべきだと思います。また、こういった全体感であるとか、定量的な分析を踏まえた、中・長期的な歳入改革も含めた給付と負担のあり方を、今後、国民全体で議論していかなければいけない。その上での基盤を形づくっていくのではないかと思います。

最後に1つ、地域医療構想は2025年時点の人口を前提に議論されていますけれども、我が国の人口は、その後、さらに厳しい減少局面を迎えるわけであります。したがって、その先を展望した医療提供体制も、今のうちから議論を進めておくべきだと思います。私ども民間企業は、かつて過剰設備にあえいだわけであります。産業再編も進めてきました。ダウンサイジングには非常に長い時間と痛みを伴うわけでありまして、それを覚悟した上で、早期に取り組んでいくべきだと考えております。

以上です。

増田分科会長代理それでは、堀委員、お願いします。

堀委員4ページ目に挙げられている、国民皆保険を維持しつつ制度の持続可能性を確保していくための制度改革の視点については同意しております。よく誤解されがちですが、受診時定額負担導入というと負担を増やすと思われるかと思うのですが、負担を単純に増やすのではなくて、負担の中身といいますか、あるいは給付の中身を見直すと私は捉えています。

例えば、受診回数が多いことについて、皆様、お話しされていましたが、回数が多いことはアクセスしやすさと考えることもできるでしょうが、本当に質や中身を考えると患者にとっていいことなのか。テクノロジーが進歩する中で、入院が必要であった手術ですら日帰りで済むようになることもあるでしょうし、外来の中身も変わってくると思います。医師数に対して外来受診回数が多いことが示されていますが、医師の働き方改革の視点で見直しが必要だと思います。また、受診回数は高齢患者ほど多くなる傾向にありますが、例えば認知症の患者の方も一月に複数回受診しているというデータがありますが、本当にそれがQOLという視点からいいのか。供給体制の見直しも同時に必要かと思いますが、限られた資源をいかに有効活用するかが求められるという意味でも、給付範囲の見直しは非常に重要な視点ではないかと思っています。

診療報酬に関しましても、自然増の1.3%を削減しなければいけないという指摘はそのとおりかと思うのですが、これもやはり中身の問題が重要だと思います。先ほど武田委員がおっしゃっていましたが、やはり改定率そのものというよりも、診療報酬のあり方という意味で、合理化、適正化というのは非常に重要な視点なのではないかと思っております。

それから、地域医療構想の推進に関しましては本当に大賛成で、先ほど民間も含めてというお話がございましたが、地域によって供給体制はかなり異なっていますので、地域医療構想における都道府県の当事者能力を高めながら、病床の統廃合・再編、病床マネジメントの在り方を質的に転換することを進めていかなければいけないのではないかと思います。それとともに国保の保険者機能の強化も必要だと思います。中・長期的にはもっと大胆な改革が必要かもしれませんが、今、できることは速やかにして、中・長期的なあるべき姿も同時に考えていく必要があると思います。

75歳以上の窓口負担につきましては、ほかの委員の方もおっしゃっていましたが、これは負担を増やすのではなくて維持するという視点で、どこかの世代にツケを回さない、特定の世代に負担を強いらないという意味で、全世代型社会保障も非常に重要だと思いますので、検討すべきだと思います。

1点だけ、ちょっと小さなことですが、質問です。20ページの都道府県内保険料水準の統一のところで、すみません、19ページですか。先ほど説明で、自治体の法定外繰り入れについてのお話がありましたが、都道府県が主体的に法定外繰り入れを解消しようとするとどんなことができるのでしょうか。医療費水準や保険料率設定方法も異なりますが、収納率の相違や住民の年齢構成、所得構成によっても違うと思うのですが、具体的にどういうようにすれば解消できるのか、もしお考えがあったら教えていただければと思います。

以上です。

増田分科会長代理質問は、最後にまとめてお答えいただきます。

それでは、宮島委員、お願いします。

宮島委員まず、医療費の負担の公平化に関しましては、財審で話をしていると、皆、ほぼ方向性が一致していると思うので、改めて言う必要もないとは思いつつも、なぜ今、必要なのかということを改めて確認させていただきたいと思います。

1つ、これは明らかに国民に喜ばれない負担増であることはそうなのですけれども、この皆保険をみんなに引き継ぐために変えなくてはいけない。そして、今、これだけ強い政権であって、かつ社会保障分野にも通じていると信じている政権が、将来への責任としてしっかりやっていただきたい。政治の未来への責任として、今、やっていただきたいというのが強い気持ちです。

そして、2割負担については、しばらく前も申し上げましたが、私は80歳ぐらいの人の負担を2倍にするのは無理とずっと思ってきました。ただ、戦後の経済成長に乗って、そして雇用も守られてきた、今の相対的に恵まれた団塊の世代に関しては、今と同じ負担をお願いするという形で何とかお願いできるのかと思います。この世代は、自分たちの雇用が守られて、そして自分の子供たちが就職氷河期になってしまったということはある程度認識していて、子供たちの世代を助けなければいけない状態になっている家庭が結構多くいます。なので、この世代にさらに押しつけることにいかに持続性がないかということに関しては、理解が少しはあるのではないかと思います。だから、高齢者みんなに2割をお願いするのは到底無理だと思うのですけれども、団塊の世代に今と同じということをとにかく打ち出す。

そして、今を過ぎてしまいますと、団塊の山が越えたのに、その5年後の人から2割というのは、その説得の方法が私はちょっと見つからないので、やはり今、皆様団塊の世代だからお願いしますとお願いしないといけないと思います。今まで記者たちもみんな高齢者全員2割にする策だと思っていましたので、そうではない、負担が増える人は1人もいないということを前提にお話をいただくのがいいのではないかと思います。

ワンコインに関しましては、もっと広くみんなが負担増だと思ってしまうので、広く説得する必要があると思います。これまで、とにかく委員からも、支える範囲の中でバランスしないと最後はだめになるという話がありましたけれども、最終的に重い病気になりました、でも、お金がありませんので、重い病気になってお金のかかる人は諦めてくださいという世界が、将来、来ていいのかという全体感をやはり示す必要があると思います。その中で、軽い病気のときには、貴重な医療資源に関しては少しだけ負担してほしい、医療資源を使うときには少しだけ負担してほしいと。これは、健保組合も声を上げ始めましたけれども、やはり現役世代がこのままでは支え切れないということ、将来は、このすばらしいと言われる皆保険が無理になってしまうけれども、大きなリスクのときに助けてもらうために頑張りましょうということを、相当丁寧に説明する必要があると思います。

そして、3つ目の薬のことですけれども、世の中でも今、この2つをやるという報道が結構多いのですけれども、私自身は3つ目の薬の保険のことに関しても同時に強く進める必要があると思います。なぜなら、上の2つはとにかく負担増という話なので、中身の工夫をしないで、お金がないから減らしますとしか伝わらないのです。もっと中身を何とかしろという気持ちは、国民みんなにあります。特に、多くの人が病院に行って、風邪を引きましたといって5日間とか、7日間の薬をばんともらうわけです。大体、お医者さんに何も言わないから、2日ぐらい寝ていれば治りそうだなと思っても、5日ぐらいの薬をもらってきて、そして家には残薬がある。多分、残薬のないお宅はあまりないのではないかと思います。

多分、ここのところはやはり無駄だと、みんな薄々感じているわけで、こうした無駄が存在するのに、負担を増やすということに対してはなかなか受け入れが難しいと思うので、無駄なところもちゃんと直していくのだということを示す必要があると思います。そうすると、医療に行って、そして薬代だけではなくて、お医者さんに時間をもらうことが、いかにお金を使うことかということもちゃんと言う必要があります。

あと、日本人はやはりちょっと不安なところがあって、何か具合が悪いと、よくわからないけれども、お医者さんに行ってしまうというところがあるので、そこに対しては対処の必要があると思います。このぐらいだったら薬で大丈夫ということを、できるだけわかりやすく、みんながすぐにアクセスできるような情報網を整備することとともにやらないと、みんな怖くて、やはりとりあえず病院に行く。500円ぐらいだったら行ってしまうというところはなかなか変わらないと思うので、情報提供とともに薬の保険の範囲の見直しを進める必要があると思います。

加えて、地域医療構想ですとか、医療法人の経営データなどの見える化は、さらに進めるべきだと思います。

それから、国民健康保険の保険者努力支援制度におきましては、医療費の適正化のインセンティブのためには、今の都道府県に限らず、市町村ごとの状況も指標ごとに公表する必要があると思います。厚生労働省のガイドラインは、まだ全然緩いと見られておりまして、厚生労働省にももっと頑張ってほしいですし、ここはちゃんとやっていく必要があると思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、河村委員お願いします。

河村委員ご説明ありがとうございます。

主計官がお話しくださった2020年問題に向けたいろいろな改革メニュー、喫緊の課題であるという点は本当に全面的に賛成です。私からは、医療提供体制の改革、それから地域医療構想のところにちょっと絞って意見を言わせていただきたいと思います。

資料1の17ページ、18ページあたりでご説明くださいましたけれども、ここへ来て厚生労働省医政局、相当思い切ったと思います。例の公立・公的病院の診療実績等を公表されて、世の中全体、全国にいろいろ波紋が広がっているようではありますけれども、やはりこういったあたりの改革をしっかりと進めていくことができるように、ぜひ財審としても後押しするような形にできればいいのではないかと思っております。

特に、その中身ですが、参考資料1のほうに詳しく書いてありましたけれども、やはり急性期病床が非常に過剰であると、そこをきっちり削減する形、きちんと調整する形、どういう形で最終的にやっていくのが、その地域、地方にとっていいのかと考えながらやっていくことが、ぜひとも必要なのではないかと思います。

地域医療構想といっても、参考資料1の9ページに出ていますけれども、構想がまとまっているところは急性期病床が減らせているかというと、必ずしもそうでもない。やはり改革不十分というところもあるようです。今回、公表の対象になったような地域の公的病院の中には、そもそもそういったことができていないところもあるでしょう。やはりそういう中身も含めて、国民はああいうデータが出されると、地方医療の切り捨てだという感じで非常に感情的な反発になってしまっているところがありますけれども、決してそうではないのだということをいろいろ主張していくべきではないかと思います。

私、これまで独立行政法人評価の関係などで、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会ですとか、今の厚生労働省のほうで関わっておりますし、国の病院の改革の検討に関わる機会もあります。そこで聞く話ですが、今、独立行政法人となっていますJCHO(地域医療機能推進機構)は、RFO(年金・健康保険福祉施設整理機構)時代に水島理事長のもとで、社会保険病院、厚生年金病院など民間に売却できるものは全部売却して、残ったところを束ねて国の病院にしました。そういうスタートラインであったにもかかわらず収支相償です。病床の改革も、転換も含めてきちんとやっていらっしゃいます。尾身理事長が言っていらっしゃることですけれども、何でそういう転換がなかなかできないかというと、やはりお医者様側に急性期信仰のようなものがある、7対1信仰のようなものがある。

やはりそういった意識改革をやっていくことで、お医者様としてやりたい医療ではなくて、地域に必要とされる医療をやろうということで改革されれば、おのずとそういう結果も付いてくる。老健も含めた形できちんと改革していけば、国民、地域のニーズに沿ったものになっていくでしょうし、医療費の問題も、増加傾向に歯どめをかけることもできるでしょうし、本日、取り上げてはいらっしゃいませんでしたけれども、公立病院は結構な経営問題があって、普通会計から繰り出しをしている実態もございます。これは国保のところで主計官がおっしゃられたことと同じで、裕福な自治体ほど安易に出しがち、特に東京都ですけれども、そういう実態もあります。

そういった意味で、地方も含めた国全体の財政負担の軽減にもつながってくると思いますので、ぜひともこういった改革、後押ししていくのがいいのではないかと思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、木村委員、お願いします。

木村委員どうもありがとうございます。

私も、今回、挙げられた制度改革の方向性というのは、どれも重要な論点だと思います。とりわけ、今年は消費税が上がったので、その分だけ、社会保障に関しても国民が納得するような合理的な使い道の方向を打ち出すことがより大事だと思います。そういう意味において、特に挙げられた診療報酬本体のマイナス改定というのは、ぜひ本格的に取り組んでいただけたらと思っています。国民が消費税を負担して、患者さんも窓口で1割から2割ということになると、では医療機関のほうはどういう負担をするのかという観点で、これまでは診療報酬改定というと、大体、薬価をマイナスにして、本体をプラスにして、全体をマイナスにして、言葉は悪いですけれども、帳尻合わせというようなことが多かったのですが、今回は診療報酬本体の抑制にも、ぜひ本格的に取り組んでいただきたいと思っています。

以上です。

増田分科会長代理それでは、権丈委員、どうぞ。

権丈委員ありがとうございます。

私も他の委員の方と同様ですが、さまざまな形で国民が安心できる医療の仕組みをこれからも維持し、改革を進めていこうとされていることを伺いました。そうした取り組みをしっかりと進めてほしいと考えております。

私からは、コメントが1つと質問が1点ございます。

コメントのほうは、先ほど宮島委員も少し触れられたと思いますが、参考資料12ページの保険者努力支援制度についてです。こちらは、都道府県ごとの点数は公表されている一方で、市町村については一部の都道府県で公表されているのみのようでございます。資料に書かれておりますように、きちんとインセンティブを働かせるために、実施主体である市町村ごとの情報を公表するというのは非常に大切だと考えます。

質問のほうでございますが、こちらは資料1の15ページ、そして関連する参考資料1の27ページでございます。15ページの左の図より、調剤の技術料の伸びが他の技術料に比べて大きいことがわかります。また、右の図より、薬剤師数の増加が著しく、薬剤師1人当たりの処方箋枚数は減少している中で、調剤報酬の引き上げにより薬剤師1人当たりの技術料が維持されてございます。また、15ページの左下の国際比較、そして参考資料を見ますと、日本の薬剤師数は人口当たりで突出して高くなっております。薬剤師数の増加についてどのような合理性があるのか、ご存じであればご教示いただきたいと思います。

実は、気になりましたので、OECDのヘルスデータを時系列で見てみました。日本は以前から比較的高いわけですが、そうはいっても、かつては第2位のベルギーなどが日本よりも高く、例えば1987年は人口1,000人当たり、日本0.54、ベルギー0.74でした。それが90年代後半に逆転し、現在、日本は突出してトップということでございます。

先ほどの質問に戻りますが、薬剤師数の増加に関してご説明いただければと思います。

以上でございます。

増田分科会長代理質問は、最後にまとめてお答えするようにします。

小林(慶)委員、お願いします。

小林(慶)委員2点だけ、手短に言いたいと思います。

資料1の13ページ、診療報酬改定に係る基本的な考え方ということで、医療法人の収益率の比較が載っているのですけれども、私の知っているキヤノングローバル戦略研究所の研究者が独自に都道府県から財務データを取り寄せて、病院や診療所の収益率はもっと高いのではないかというような研究をやっていっています。そういう意味で、これは参考資料1の12ページに書いてあることですが、今、制度上、都道府県は請求があれば医療法人の財務データを研究者などに閲覧させるとなっているわけですけれども、請求する手間を考えると、やはりホームページ上などで公開させるというところまで行くと、いろいろな研究者なり、他省庁が医療法人の収益率について公平な立場で検証できると思いますので、そういう制度の改正を目指すべきではないかということが1点。

もう一つは、本体資料の22ページ、23ページに書いてある世代間の公平ということですが、これは2つの議論がまじっているような気がします。団塊の世代が食い逃げして団塊ジュニアが使えないという世代間の問題と、各世代について、高齢期にはお金がかかるけれども、若年期にはお金がかからないという時期の違いの問題が混ざり合っていて、そこがうまく整理されていない議論のような気がしました。ですから、世代間の公平、不公平というところをあまり強調し過ぎるのはどうかと、ちょっと感想として持ちました。むしろ、所得とか、参考資料に書いてあるけれども、本体資料にない資産の多寡による負担の軽減というようなことを、もうちょっと議論の中心に持ってくるべきではないかというような気がいたしました。

以上です。

増田分科会長代理それでは、十河委員、お願いします。

十河委員ありがとうございます。

これまで述べられてきた委員の意見とほぼ同じでございまして、私のほうから一つ申し上げたいのは、やはり長年こういった議論をされて、なかなか進まないという上で、改めて国民の理解をどう得ていくかということの必要性に、今、迫られているのではないかと思います。

そもそも国民皆保険ということに対して、国民がもう当たり前に思っているということ自体が、実は他国を見た場合に大変ありがたいことであって、むしろ一つの権利として受け続けてきた中で、今、こういった分岐点に来ているので、どうやって国民の理解を得ていくかという発信ですね。先ほどの国際比較の中でも、受診回数が年間21億回という非常にインパクトの強い数字が出たときに、これは私のような立場すると、国民に伝えていったときにかなり驚くのではないか。やはりこういったインパクトのある発信を、この1年、2年でもっと強くしていくべきではないか。

あとは、武田委員がおっしゃっていました中身の議論の部分、それから宮島委員がおっしゃっていた団塊の世代が後期高齢者のうちにという部分、やはり全て中身とスピードをより深めていく必要があると思いますので、その点も踏まえて議論していくべきではないかと思いました。

以上です。

増田分科会長代理それでは、田近委員、お願いします。

田近委員 〕

財審でも医療について長く議論してきて、今回のまとめ、私は非常にいいと思いました。というのは、土居委員もおっしゃっていましたけれども、国を挙げて全世代型の社会保障改革をするときに、財審としてどう意見を表明するかということからもいいと思いました。具体的には、既に御指摘のように、4ページに本日の議論が書いてあって、しかも太字で書いているところをしっかりやってくださいと、これはメッセージだと読みました。

その上で2点なのですけれども、第1点は、これももう既に議論があったのですが、地域医療構想の推進はもっとしっかり議論できるのではないか。第2点は、小林(慶)委員が指摘されたことと全く同じですけれども、75歳以上の負担をどう考えるかというところです。

18ページが地域医療構想ですけれども、ここで言いたいことは2つで、これが日本の医療制度改革の一丁目一番地かもしれませんけれども、基本的には、この絵に描かれている病床を急性期以外にも、慢性期まで含めた病床をコントロールしていこうと。なぜかというと、財審の議論としては、バジェット化ということは本日も御指摘の方がいらっしゃいましたけれども、要するに医療の公費負担をどうコントロールして適正化するか、それには給付の適正化が必要だ、給付の適正化で大切なのは何といっても病床だと、そういう論理になるわけです。

指摘させていただきたいのは、地域医療構想の枠の丸の2つ目です。2025年に実現すべき姿に向けてKPI云々と。都道府県知事の権限のあり方とは具体的に何かというと、病床の認可は私の理解する限り都道府県知事にあるわけです。ある意味で伝家の宝刀みたいなものです。だから、財審としては、ここに万感の意がこもっていると思うのですけれども、「権限の在り方を含むより実効性が担保」については、私はもっとしっかり書いてもいいと思いました。

もう一つは、18ページの下で、消費税の機能強化で病床の適正化のためにお金が使われている。地域医療介護総合確保基金というのですが、毎年900億円使っているのです。財審としては、このお金を病床の再編にきちんと生かすように使うべきだと、この検証と改革を求めるべきだと思いました。

次、22ページ、小林(慶)委員と全く同じことを思っていたのですが、医療費は若い人と高齢者、特に75歳以上は違う。この絵を描いたのは、75歳以上の人は医療費が高い、若い人がそれを支えるのはトゥーマッチだ、だから、お年寄りの人たちの自己負担を上げてと、そういうロジックですよね。我々、そういうことをここで議論をしているのか。やっていることは、91万円の医療費をどう適正化しようかと、その結果、負担をみんなで分け合うということです。91万円を前提にして、高齢者、75歳以上の人は医療費を使うから若い人が払えと、こういう絵は正直に言って国民に示すべきではないと、私は思います。

我々がやるべきことは次のページで、高齢であろうと、幾つであろうと、所得のある人はきちんと払ってくださいと。それに対して、右側ですけれども、今の制度は適切でありませんと。だから、高齢になられても、所得のある人はきっちり払ってください、それに対して今の仕組みは望ましくありませんと。そこを財審が強く言うべきで、先ほど言った91万円は大きいぞと、それに対して若い人はこんなに払っているのだから、高齢者はもっと払えというロジックは、私はいかがなものかと思いました。

以上です。

増田分科会長代理それでは、南場委員お願いします。

南場委員重要な論点を整理していただき、ありがとうございます。私からは、手短に2点申し上げます。

小さなリスクは自助、大きなリスクは共助という考え方は非常に重要で、その理念にのっとって推進していくべきで、そういう施策が整備されているということですけれども、小さなリスクはやはり影響を受ける人口が多いものですから、不安を増大するというか、負担増を社会全体が感じるということにもつながりますので、この施策を断固実施するためにも、どうやって納得していただくかということは重要なポイントなってくると思います。例えば、フィットネスなどの健康増進に係る費用について、医療費控除と同様の税制特例を講じるとか、改善効果に基づく支払いなど前向きなイメージの施策もセットでやっていく必要があるのではないかと思いました。

2点目は、都道府県内で国民健康保険の保険料水準を統一するということですけれども、これは受益と負担の見える化という点においても、非常によい取り組みであると思っております。ただ、1点、留意が必要だと感じまして、現状では、生活習慣病の重症化予防など住民に密着した保険施策は市町村がそれぞれ工夫して実施して、取り組み状況もさまざまです。このような状況の中で県内の保険料水準を統一すると、逆に医療費適正化に向けた市町村の個々の取り組みのインセンティブが阻害されてしまうリスクもある。そのために何か工夫が必要だと認識します。少なくとも医療費適正化の効果をきちんと測定して、市町村ごとにそれを評価する仕組みなどは最低限必要ですし、そういったことに留意して、ただ全体としては非常によいことですので、実施していただければと思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、冨田委員、お願いします。

冨田委員ありがとうございます。

私は、これまでの日本の医療保険制度は、保険とはいいながら予算制約がない、出来高払いのもとに国民はブランクチェックを医療のために渡していた。だから、支出が増えるし、負担も増えるというのは当然の理屈だったと思うのです。大胆に言えばですね。この国保の改革でもって、都道府県は保険者機能を発揮してくれることを約束したわけです。だから、それが進めば、当然、医療費の削減、そして供給体制を同時に考えるようになるはずなのです。やはりその方向に向けた取り組みが一番大事だと思います。

19ページを見せていただきまして、確かに都道府県の保険者機能強化のために、これまでたくさんの財政支出を行ってきた。法定繰り入れを実施しているので、2番目の丸にあるように、今や3,400億円を毎年支出している。加えて、保険ですから単年度の収支が変動するので基金を積むということで、もはや既に2,000億円も基金を積んでいる。あとは、きっちりやってもらうだけですが、なかなかそうはいっていないというお話を聞きました。

19ページの左、保険料が黄色で、どんどんそれが減って、そして法定外繰り入れを減らすために、2015年度から、1,700億円を、2018年度からは更に1,700億円を毎年投入している。だから、投入した時点の法定外繰り入れは三千四、五百億円なので、もうゼロになっていいはずです。ところが、上を見ると、速やかにと書いてあるのですが、一体いつ、これをやるのかということが書いていない。やはり目標がないと、本気でやる気があるのかわからないというのが実態ではないでしょうか。

先ほど南場委員御指摘の点ですが、やはり保険者として市町村では限界があるので都道府県にしたわけです。保険というのはやはり大きなプールがないとできないわけですから、都道府県の中で供給体制も保険料もうまく管理できるように、そして、もうたくさん税金を注入しているわけですから、これ以上の補塡というか、財政支出を行わないように、予算制約をきっちりと、長期的にこういうものだということを示して運営していくことが大事だと思うのです。だから、我々として、診療報酬の議論も大事ですけれども、そうした財政制度に係るところをきっちりとつくらないと、いつまでも診療報酬をどうしようという議論になるのです。やはり、都道府県の保険者機能を発揮していただくことによって、より長期的に持続可能な制度になるのではないかと思います。

増田分科会長代理それでは、田中委員、お願いします。

田中委員ありがとうございます。

まず、今回、とるべき対策は4ページのところに明確に出していただいていますので、これが確実に実行できるように、計画どおりいかない分は、まず細かく見て対策をしていくところなのだろうと承知しております。同時に、今回、全世代型で社会保障のあり方を考えて運用していくためには、国民一人一人ができることを考えるきっかけを示すということも問われているかと思います。少子高齢社会においては、若い世代を含んで予防医療の方向にシフトしていくという流れがあると思いますし、予防に関しましては、民間企業やスタートアップもアイデアや力を出しているところがありますし、社員が健康を維持するために企業の取り組みがなされると補助金などもちょっと出る傾向もありますので、成果を出して、インセンティブを働かせて利益につなげていくというところに光を当てたいと思います。

もう一つは、ちょっと体調が悪いと言うと、直ちに病院に行きなさいという声が出たりですとか、行って余分に薬をもらって、それは薬剤耐性の問題にもかかわるとか、そういうような課題も出ています。安心のために病院にかかるとか、念のためにということが21億回につながっているということを改めて理解して、そこの背景に共感してもらうということが大事かと思っております。

その上で、技術料についての細かい展開もお話しいただいたところです。現在は、企業と消費者の間の情報格差がかなり縮まる傾向にありますけれども、医療や医療機関と患者との間というのは、やはり情報格差の存在がまだまだ大きいところかと思います。その中で、診療を受けたときに、例えば医療の明細書で項目を見ても、普通の知識ではなかなか把握できないという状況もあります。同時に、医療の現場も、ITや機械、いろいろなサポートが入ることで、実情はかなり変わってきているところがあると思います。その実情に即した内容が明示され、それを医療の提供を受ける患者側、私どもも理解できるような情報の共有がなされることを期待したいと思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、主計官、幾つか質問ありましたので、お願いします。

八幡主計官幾つか御質問いただいたことに、お答えできればと思います。

堀委員から、法定外繰り入れの件について話がありました。解消するためには基本的に保険料を徴収するしか方法がなくて、ですから市町村と都道府県で、これは難しいのですが、しっかり話し合いをしながら、一般会計繰り入れをなくして保険料をしっかりとっていくということをやるしかないと思っております。ただ、それだけではということもありますので、国のほうでも、保険者が努力することに対して支援する制度というものをつくっておりますので、そういう保険者に対してしっかりと国としてのサポートもしていくということであると思っています。

権丈委員のほうから、薬剤師増加の合理的な理由はあるかという御質問がございました。春の財審でも、薬剤師の数が増えていて、薬局の数も多くてという話の中で、これは文科係のほうからもプレゼンをしていたと思うのですけれども、大学の定員が、薬学部は医学部、歯学部と比べても比較的増えてきた経緯がある中で、日本は足元、かなり増えていっていると思います。

御質問の、結局、それが合理的なのかというところは、我々、やはりそこは疑問視をしているところもありまして、しっかり調剤報酬の中でも適正化しなければいけないと考えています。本日、申し上げたこともそうですけれども、増えることが国民の健康であるとか、医療全体に役立つように、薬剤師の能力が発揮できるような仕組みであればいいはずでありますけれども、必ずしも今はそうなっていないのではないかと思っておりますので、その点についてはしっかり議論し、解決を図っていかなければいけないのではないかと思っています。

それから、小林(慶)委員と田近委員から、後期高齢者の75歳の図の考え方について、御質問、ご疑問が提示されていたかと思います。一人当たり医療費91万円というのは、まず大前提として、医療費をしっかりと適正化した上で、どういうように負担がなされているかということを示しております。

より本質的なところは、右の棒グラフでご説明したのですけれども、やはり後期高齢者の医療費がどんどん増えていって、それを現役世代の保険料で賄っているというトレンドがずっと続いておりますので、今回の改革の中で75歳以上の方々にご負担を求めていくということは、とりもなおさず現役世代の負担をこれ以上増やさず、かつ軽減していくという趣旨で議論をするということであります。絵のところは、現状をスタティックに出しておるので、ご懸念があったかもしれませんけれども、改革の趣旨については、まずは医療費全体を適正化する中で、若年者の、現役世代の負担を軽減していくというところに本旨がありますので、ご理解いただければと思います。

このほかの点も御回答を尽くせていないところがありまして、不十分なところがあるかと思いますけれども、本日いただいた御意見を念頭に置きまして、しっかりと検討してまいりたいと思います。ありがとうございます。

増田分科会長代理それでは、まだまだ深めたい点もあるのですけれども、後日、建議の議論をするときにそうした時間をとりたいと思いますので、本日の医療の部分についてはここまでといたしたいと思います。

文教・科学技術のほうに入りたいと思います。初めに、資料の説明を、関口主計官、お願いいたします。

関口主計官文科担当主計官の関口でございます。

それでは、早速ですけれども、資料の1ページ、総論を御覧いただければと思います。さまざま制約がある中で、いかに一人一人の能力を高めて生産性の向上を図っていくかということが大きな課題だと思っていまして、そのための視点としては、1つには教育や研究の質の向上に向けて、いかにリソースを有効に活用していくか。2つ目には、いかに国に頼らない自立的なメカニズムをつくっていくかではないかと思っています。

そうした観点から、ここに挙げられているような課題を取り上げましたので、以下、順次、ご紹介させていただきます。いずれせよ、単に文部科学省ですとか、教育委員会、あるいは大学のみで何とかしようということではなくて、自治体の首長部局や産業界、あるいは世論など幅広く関係者を巻き込んで、着実に改革を行う者の背中を押し続けるということが何よりも重要ではないか、ということが言いたいメッセージでございます。

3ページ、御覧いただければと思います。学校における働き方改革ということで、学校の先生方は忙しい、だから教員の数を増やすのだと言われがちでございますけれども、そもそも教員の仕事を不断に見直していく仕組みも必要なのではないかと考えています。例えば、中央教育審議会の答申においては、学校と保護者や地域との適切な役割分担を進めるのだということで、コミュニティ・スクールや、地域学校協働本部の整備を進めてはどうかという話もありますが、十分に進捗していない実態がございます。こういったことが一体的に推進されることによって、左上にあるとおり、教員の超過勤務時間の縮減が図られているという実態もございますし、首長部局や教育委員会が一体となって連携することによって、こういった取り組みが相当程度進捗している県もございます。したがいまして、教職員定数の改善などに頼り過ぎることなく、保護者や地域の理解や協力を得ながら、コミュニティ・スクールの設置など、教員の仕事を不断に見直す仕組みをつくっていくことが重要ではないかと思っております。

1枚めくって、4ページでございます。学校のICT環境の整備です。法律上、公立小・中学校の設備整備に係る経費というのは市区町村の負担とされていますけれども、これまで国も国庫補助などを講じてきた歴史がございます。表の左上のほうにございますけれども、ちょうど今から10年前の補正予算で1,150億円の国費を投じましたけれども、生徒用のパソコンの整備はあまり進捗しなかったという歴史がございます。

その後、4か年計画、さらに現在進行中の5か年計画に沿って地財措置が講じられていますが、引き続き整備に遅れが生じております。左下にあるとおり、都道府県単位で見ても地方自治体間には大きなばらつきがあります。その右隣にあるとおり、積極的な自治体の中には、1人1台のタブレットの配置などによって児童生徒数の増加という結果につなげている自治体もありますけれども、多くの自治体は、ICTを整備しても学力向上につなげられるかわからない、ICTを活用できる教員がいない、他事業との兼ね合いからICTを優先できないと考えているということでございます。こうした現状を踏まえれば、単にお金を投じればICT化が進んでいくわけでもなくて、自治体の理解を得て、その懸念を払拭していくことが重要ではないかと考えているところでございます。

5ページを御覧いただければと思います。このICT化について、来年度概算要求が出ています。国立、公立、私立の小学校、中学校、高校全ての学校に、1秒間に10ギガバイトもの情報を送れる高速かつ大容量の無線LANを3年間で整備したらどうかと。国の負担は、1年間に375億円、3年間で1,125億円という事業の要求でございます。

この事業には幾つも留意点があると思っていまして、真ん中の①にあるとおり、そもそも10ギガバイトというのは5,000人が一斉に動画を見ることができる容量でございますけれども、日本の学校はほとんどが1,000人以下という現状があります。それから、右横の②にあるとおり、学校内のLANを整備しても、自治体が整備する学校の外の回線が高速かつ大容量でなければ、その性能を生かすことはできない。真ん中下の③にあるとおり、自治体が1人1台の端末を整備しなければ、その性能を生かすことはできない。左の④にあるとおり、今のタブレット端末は無線LANがなくても通信できますので、なぜ無線LANのみに固執するのかという疑問があります。そもそも、ICTを活用できる教員がどれだけいるのかという問題もあります。右側に行って、⑥にあるとおり、通信関連機器の耐用年数は短いので、その他の準備が整うころには、せっかく整備した機器の更新期が来る可能性が高いという問題もあります。

したがいまして、各自治体の状況を考慮しないで、全ての学校に一律に高速、大容量の無線LANを整備することは適当か。仮に国費で支援する場合には、今、実施されている地財措置との関係を整理するとともに、上記のような視点を踏まえて検討していく必要があるのではないかと思うところであります。

次の6ページでございますが、学校施設の整備でございます。学校の施設については、ほかのインフラと同様、長寿命化計画をやるようにということで、2020年度までに計画をつくるようになっていますけれども、約8割の学校施設が未策定となっていますので、早急な対応を求められているところでございます。あと、整備の効率化という観点から、長寿命化も大事でございますけれども、それに加えて、整備手法の工夫によってコストの縮減を図っていくことも重要ではないかと思っていて、例を2つぐらい挙げさせていただいております。

8ページでございます。科学技術関連でございまして、予算の規模は他国に比べて遜色ないという水準にもかかわらず、研究力の低迷が指摘されていて、いかに若手研究者の活力を向上させるのか、研究者の事務負担を軽減させるのか、官民の適切な役割分担をいかに実現するかといった課題があると思っていまして、次ページ以降で、順次、ご紹介していきたいと思います。

9ページを御覧ください。初めに、若い研究者への支援でございます。まず、国立大学におきましては、全体として教員数が増加する中でも、若手は減少しているという実態があります。それから、若手研究者においては、任期つきの採用数が増えて身分が不安定化しているのではないかという指摘もございますけれども、日本における任期つき教員の割合はアメリカと同程度でございます。日本では、むしろ科研費等において若手研究者への支援の重点化を進めておりまして、若手の採択率は上昇しています。競争的資金における支援期間も短いのではないかという指摘もございますけれども、こちらもOECD諸国と同じような水準でございます。

したがいまして、まず若手の処遇については、大学みずからが改革によって改善を図る余地があるのではないかということが一つ。一方で、国としても引き続き科研費等で若手研究者への重点化を推進する必要はあると思っています。同時に、若手の不安というのは、継続的にお金が出てくるのかというところがありますので、資金配分機関の連携などを通じて、若手の人が継続して研究資金を円滑に獲得できるような環境整備をしていくことが重要ではないかと考えております。

10ページを御覧いただければと思います。こちらは、将来ある優秀な学生が博士課程へ積極的にチャレンジする気持ちを引き起こしてもらう一つの方策として、修了者が民間企業に就職する道をもう少し太くできないかという問題意識がございます。修了者の雇用先を見ますと、民間企業の比率は二、三割で、産業界からは活用しづらいという理由で採用しない企業もございます。一方で、実際に採用した企業においては、学士や修士に比べて満足度は高いということが示されています。また、博士課程の修了者が企業でのインターンシップを経験している場合は、企業に就職する割合が大きくなるということもありますけれども、他方で研究者向けのインターンシップを実施している企業は約3割しかないという状況があります。したがいまして、こういった企業への就職促進のためにも、企業でのインターンシップの機会の拡充など、さまざま産業界と大学が協力し合って、改善できる余地があるのではないかと考えるところでございます。

次のページ、研究者の事務負担の軽減でございます。研究費や研究時間の確保は大事でございますけれども、文部科学省の最近の調査によれば、最大の制約要因は大学内の運営業務ということになってございます。国の競争的資金の事務手続については、電子化とか、サポートスタッフの増加とか、いろいろ対策が進められてやっていますけれども、取り組みが不十分という声もございます。一方で、こうした資金の事務手続に要する時間は、年間の研究時間の5%程度という調査結果もあります。こうした現状を踏まえますと、まずは研究現場で実際、何が起きているのかという実態を把握することが大事でございまして、その上で大学における学内業務の効率化、あるいは研究資金における事務手続の簡素化、といったことを検討して、実行に移していく必要があるのではないかと考えております。

次のページは、官民の適切な役割分担と連携でございます。内閣府の科学技術予算である通称SIPと呼ばれる事業では、国の資金の半分が民間企業に投じられているという実態がございます。来年度の中間評価以降、事業化に近い研究開発については、企業にも応分の負担を求めるマッチングファンド方式というものが導入されますけれども、運用に任されている部分も大きく、本来、民間が負担すべき範囲まで国が肩がわりすることのないように厳格な運用が求められると考えています。また、産学連携関係の事業では、ほかの国では民間資金とのマッチングファンド方式の徹底がなされていますけれども、日本ではこうした取り組みは限定的でございますので、実用化を射程に含む研究資金については、民間資金を活用する仕組みを工夫していくことが重要ではないかと考えています。

それでは、14ページに飛んでいただいて、ここからは国立大学関連でございます。今年度、国立大学に渡る運営費交付金は1兆971億円でございまして、今年度から新しく共通の成果指標に基づく相対評価というものが導入されまして、成果に基づき大学間共通の指標で相対評価を行い、交付金のうち700億円を、その結果に応じて配分することになりました。資料の右側に今回の主な評価結果をまとめていますけれども、こういった相対評価によって各大学の実態が明らかになって、交付金の配分に当たっては改革に積極的な大学を重点支援する結果になっているところであります。ただ、一方、下にあるとおり、配分結果については、各大学に配られる運営費交付金のプラスマイナス0.5%程度の増減にとどまっておりまして、めり張りづけとしてはボリューム不足になっています。したがいまして、相対評価の仕組み自体は機能しておりますので、引き続きこの仕組みを継続させる一方、配分総額、増減率を拡充することによって、改革の後押しを進めていくことが重要ではないかと考えております。

次に、15ページを御覧ください。昨年12月に経済財政諮問会議が取りまとめた「改革工程表2018」において、新たな相対評価の仕組みについて、来年度、教育と研究の成果に係る指標を設定し、活用すること、また、配分の総額と増減率を順次、拡大することが求められているところでございます。

まず、最初の指標について申し上げますと、例えば教育については、進学率とか就職率など卒業後の状況を指標にしてはどうか、あるいは研究については、競争的資金の採択実績が指標としてあり得るのではないかと考えているところであります。配分の総額と増減率については、評価の枠組み全体のあり方として、295億円相当の重点支援評価に基づく配分額は縮小していくとともに、700億円相当の相対評価分を拡充していくことが基本ではないかと思っています。その際、今、申し上げた295億円と700億円を足した約1,000億円の評価に基づく配分枠、これをさらに積み上げていくことも念頭に置きながら、改革に取り組む大学への重点支援を強化していくことが重要ではないかと思っております。

それから16ページでございますけれども、資源配分における評価の活用について少し先の話をしたいと思います。今、国立大学の運営というのは、6年間の第3期中期目標期間の後半に入ってきているのですが、令和4年度から第4期中期目標期間が始まりまして、それに向けて資源配分のあり方を考えていく必要があると思っています。下の枠囲いのAというところにありますけれども、第4期中期目標期間に向けては、今回、新たに導入した相対評価の実効性を検証しながら、この枠組みを基本に検討していくことが重要だろうと思っています。その際、配分額を長期にわたって固定するのではなくて、進行中の改革の成果を、毎年度、適切に評価していくことが大事ではないかと思っております。

それから、次の18ページを御覧ください。スポーツでございます。オリンピック・パラリンピックの東京での開催決定などを受けてスポーツ予算が増加してきてございまして、中でも競技力向上事業はこの6年間で3倍超に増加してきているところでございます。この経費は、日本陸連などの中央競技団体の助成費として使われております。ただ、一方で、近年、スポーツ団体の運営の適正性を求める声が高まっているところでありまして、競技力向上事業における助成金の配分に当たっては、各競技団体のガバナンスなども評価事項に含まれてはいるものの、評価のめり張りづけが十分とは言えなくて、また、各団体の具体的な取り組み状況は公表されておりません。スポーツ振興で重要な役割を果たす中央競技団体の支援に当たっては、こうしたガバナンスなどの評価にめり張りをつけるとともに、各団体の具体的な評価結果を公表するなど、見える化を進めていく必要があると考えております。

最後、19ページ、文化でございます。左上、文化財保存・活用向け補助金でございますけれども、稼ぐインセンティブを阻害しないような工夫、改善が必要ではないかと思っています。また、ともすれば保存に傾きがちな補助金の交付先に対して、活用も含めたアクションプランの策定を求めていくことが必要ではないかと思っています。左下の芸術文化の振興でございますけれども、補助金の支援期間が長期化したり、あるいは交付先の収益力が高かったりしていますので、支援の目的を明確化して、成果の見える化を推進するなど、自律的なメカニズムをつくっていく必要があるのではないかと思っています。その右側の博物館でございますけれども、オレンジ色の展示事業等だけの収支で見ると赤字となっている年度もありますので、入場料の引き上げなどの努力が必要ではないかと思っています。また、寄附金などの収入割合も、博物館にせよ、美術館にせよ、1割を切ってございまして、施設の活用など自己収入の拡大に向けた努力が必要と思われるところでございます。

以上が文教・科学技術についての説明でございます。よろしくお願いいたします。

増田分科会長代理ありがとうございました。

これから質疑に入りますけれども、先ほど神津委員が途中退席をされました。在席であれば発言する予定だった意見を、もしそうでない場合には紙で配付してほしいということでありましたので、今、担当者が皆様方に意見書をお配りしております。こちらもお目通しいただければと思います。

ネームプレートを立てていただいて、質疑ということにしたいと思います。それでは、十河委員からお願いできますでしょうか。

十河委員ご説明ありがとうございました。

私、最後のページの文化について申し上げたいと思います。今、日本は観光立国の方向に向かっておりまして、その中で美術館、博物館、あるいは日本の文化は大変重要な意味合いを持っていると思います。その意味におきましては、予算をある程度つけていくということは必要である一方、先ほど主計官もおっしゃられていたように、中身の精査と、インセンティブをつけた上での、ある種の閉塞感を打破していくということは重要であると思います。文字どおり稼ぐ文化ということですけれども、私としては、対外的にはやはり文化で豊かな日本づくりという方向で、こちらを推進していただけたらと思います。

 以上です。

増田分科会長代理次、小林(慶)委員、お願いします。

小林(慶)委員大学の改革は大事だと思います。特に、9ページから言われている若手研究者の研究能力向上という課題は非常に重要だと思うのですが、中でも事務負担の軽減の問題というのはなかなか、それこそ大学の中の文化の問題があるので変えづらいのですが、研究者に対し、とにかく問題を起こさないように何でもかんでもレポートさせようという文化があると思うのです。一つだけ簡単にできそうなことであるのは、科研費の申請だとか、報告にかかわる事務作業を、もう数値目標を決めて、例えば3割、4割カットすると決めて、科研費の事務項目の全面的な見直しをしてもらって、それを減らすということをすれば、そこから大学の事務当局とか、一般の研究者まで意識が変わってくると思いますので、ぜひ科研費の事務作業の見直しを提案したらいいのではないかと思いました。

以上です。

増田分科会長代理それでは、河村委員、お願いします。

河村委員ありがとうございます。

全体的な方向性として、主計官が最初におっしゃられた、教育関係者、直接関係者だけではなくて、社会関係者、企業等も含めて、広く巻き込んで着実に改革を行う者の背中を押し続けると、この方向性には本当に賛成であります。そういった意味でも、まず情報開示が進んでいない。それから、いろいろな指標、効果とかを把握する上でも、基本的な指標などをきちんと把握することが一丁目一番地ではないかと思うのですが、それがこの分野は総じてできていないのではないかと感じますので、そういったあたりもあわせて後押ししていくことが必要ではないかと思います。

あと、大学改革のところ、とりわけ国立大学のお話がございましたので、そこに絞って意見を言わせていただければと思います。15ページ、16ページのあたりで、ここ数年で取り組んでこられた共通の成果指標に基づく相対評価が、金額的にはまだ限られたものではありますが、機能し始めているということで、これを現段階としては着実に進めていくことが大事なのではないかと思います。

15ページで、昨年は指標をとるといっても、まずは研究からということだったと思うのですが、教育にも広げてということで指標のお話が出ておりました。教育の質も、本来であれば、諸外国の例とかいろいろ見ますと、もっといろいろな指標をとることが本当は可能なはずですが、現実にはそういった取り組みが全然進んでいない状況にあります。ここにお書きになっている進学率であるとか、就職率であるとか、この人手不足のご時世に大学関係者に聞いても、就職率をとっても、ある意味いいのが当たり前になっているところもありますので、意味があるかというような声を聞いたりすることもありますが、こういったあたりの指標をとっていくしか、ほかにないのではないかと思っております。

全体的な方向性として、令和4年度、2022年度から、国立大学法人第4期中期目標期間に入るということでお話ありましたけれども、これに向けて、国立大学制度の運営の枠組みを抜本的に見直していく必要があるのではないかと思います。このあたりは、今年6月の「骨太の方針2019」にもしっかり盛り込まれていたところで、きちんと情報開示を徹底するとか、必ずしも客観評価とは言えない枠組みが複数並行しているといった、重点支援評価の問題点というのは、今回の資料でも、参考資料でも御指摘いただいているとおりであると思います。そういったところをきっちりさせていただくことによって、先ほどいろいろな意味での事務負担が現場で重くなっているという話がありましたが、そういったところの本当の意味での軽減にもつながってくると思います。情報開示を進めれば、先ほどのより効率的な国費の投入という意味でも、成果を把握して、本来、支援すべきところに、教育は大事ですので、国費を投入していくことが可能になるのではないかと思います。

そういう方針が、「骨太の方針」にまで入っているにもかかわらず、ちょっと文部科学省の取り組み姿勢、端から見ていて本当にちゃんとやってくださるのかなという感じがあります。たしか「骨太の方針」が出る直前だったと思うのですが、国立大学と徹底対話をやるという宣言をなさった文書を文部科学省は出されていると思うんですが、対話で済むんだったら、とっくにこれまで改革できているのではないかと思います。本腰を入れた改革をやっていただけるように、後押ししていくべきではないかと思っております。

以上です。

増田分科会長代理それでは、宇南山委員、お願いします。

宇南山委員私、大学の現場からの意見として言いたいと思いますが、1つは、研究者の間の競争を促進するというのは非常にいい方向だとは思うのですが、大学間で競争させるということの限界がかなり来ているのではないか。例えば、若手は任期つきが多くて不安定だという点については、競争的資金や運営費交付金もめり張りがつくようになりますと、終身雇用、任期なしに雇えるような枠というのは極めて限られてしまいますので、アメリカと同じだといってもテニュアトラック制で採れるような若手がすごく少ない。これでは、若手研究者はなかなか活力が出せないのではないか。また、若手研究者の比率を共通指標で使っていますが、若手の数が多いというのは、むしろ若手の立場が弱いということの表れでありますので、大学を競争させることは本当にいい方向なのか疑問があります。

もう一つ、成果の評価をきめ細やかにとあります。それは総論としては賛成ですが、11ページ目にあります大学運営業務の負担が非常に大きいということの内実は、きめ細やかな評価をされることの負担でありまして、それが研究時間の削減につながっているようですと本末転倒なのではないかと思います。

最後、共通指標のうち、コスト当たりトップ10%というのが研究者仲間では非常に評判が悪くて、教育部分に相当する運営費交付金も含まれている、もしくは、この比率をとってしまうと、成果が出そうもない研究はやるな、科研費も応募するなというプレッシャーにもなりかねないという意味で、このコスト当たり10%という指標については、ぜひとも何らかの見直しをしていただきたいと思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、宮島委員、お願いします。

宮島委員ありがとうございます。

まず、今の教育が次の世界の状況に合っているものかどうかということに関しては大変強い危機感があります。その中で、ICTは、とにかく自治体を頑張って動かしてでも生きる形で導入する必要があると思います。学力向上の根拠が必要との声もあるようですが、逆に高校生とかを見ていると、もう左手にスマホがくっついているみたいに見えると親がぼやくほど、彼らは普通に使っています。それを教育のほうで使わない手はないですし、これは教育の進め方、指導の進め方もそうですし、教員の働き方にも大きくプラスになるものだと思います。ですので、自治体の行動、お金の入れ方について、すごく詰まっているところであり、最初は大変だけれども、取り組みが進めば本当に使えるものだということをうまくわかってもらうようにして、実態として使える形でICTの環境整備が必要だと思います。

大学は、これから低所得者に対する、いわゆる無償化も始まりますので、いよいよ大学は今までよりもさらに広く国民に対して教育の成果を見せる必要があると思います。これまで何年も大学改革などが進められていますけれども、教授会の負担が重いとか、シニア教授と若い教員のバランスが悪いとか、そういうことはずっと言われてきているものの、何年たっても変わらないと思います。今こそ、大学、研究に関してはもちろん自由でいいのですけれども、ガバナンスに対して国民がしっかり口を出していく状況になっていると思いますので、評価や重点化を進めるべきだと思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、堀委員、お願いします。

堀委員11ページ、研究者の事務負担の軽減というところですが、先ほどの科研費の申請事務の効率化というのは研究者個人としては大賛成ですので、そういう申請関係の書類の事務が、今も一部なっているのですが、ネットでできるようになるといいと思います。

それから、私、実は学部長をしておりまして、先ほど年齢の高い方が、いつまでも新陳代謝しないという話がありましたが、学部の教授会の中で、平均年齢より若い学部長になっております。人事制度もやっており、総合的業績評価で、あと出勤管理等もしています。学部のガバナンスや管理運営としては一定の意義があると思いますのでやっていますし、本気ですればどこでもできると思います。しかし、企業の人事管理とは違いますので、クリエイティビティを高めるとか、若手の研究者を育てるという意味ではどうなのか非常に疑問なところもあります。研究教育に専念できるよう事務負担削減は重要であると思いますし、学部運営においても不要な会議や委員会業務等は減らすように努めています。

しかし、いくら学部や大学独自で事務負担軽減をはかろうとしても、文部科学省の補助金施策や規制によって増やされているところもあります。本日もセンター入試の見直しがあって、延期という話がありましたが、政策が数年前に言われて、大学が準備して、それでまたずれるとか、最近ですとAIを全ての大学で共通でやれという依頼がありましたけれども、それもどういうように、理系ならできるけれども文系はどうするのかと、その都度、議論しなければいけないのです。ですので、政策事業の費用対効果といいますか、これで本当に教育、研究の質が上がるかどうか十分に検証した上での政策、事業にしていただかないと、無駄な労力が増えるばかりです。研究や教育の推進のための補助金施策が、かえって、足をひっぱるというか、本来的に若手研究者を育てたり、日本の教育、研究を推進するという意味では阻害要因になっているのではないかと思いますので、文部科学省の政策、あるいは補助金のあり方については見直していただければと思っております。

それから、国立大学につきましては、やはり私立大学に比べますと潤沢な資金と時間もあると思いますので、改革は進めていただければと思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、伊達委員、お願いします。

伊達委員教育の問題は、質と生産性の2つだと捉えています。質については、どのように上げていくのかがテーマになると思います。そもそも教育も、義務教育や国立なら公共のコストを使って人材を育成しているということを考えますと、それは社会が将来の人材への投資を行っているのだと思っています。将来の人材はどう育っていただきたいかであり、その答えは、さまざまなところで活躍できる人材であるはずです。

そう考えますと、今、やっている教育の質、目的、やっていることは何かということは抜本的に見直すべきではないかと思います。暗記知識を集中的にやるのであれば、それはITの技術を使い、ビデオ、ネット等で幾らでもやれることですので、そういったところに時間をかけるのではなくて、思考力、創造力、交渉力を担えるような、技術を担えるようなものも考えていくべきです。それから、第2言語たる英語、第3言語たるIT技術は、もう今はなくてはならないツールです。小さいときからやっていかなければ間に合わないと捉えるべきだと思います。

そういう意味では、IOTの話というのはもう必然だと思います。ただし、どのぐらいのハードインフラが必要なのか、それから、それを活用できる人材インフラ、教師の教育をしていかなければいけない。そして、先ほど申し上げたようなカリキュラムそのもののあり方を見直していかなければいけないのではないか。そういった大きな教育のあり方のビジョンを、もう少し文部科学省に考えていただきたいですし、産業界と対話をしていただきたいと思います。

一方で、間接部門、事務負担等々を下げていく話については、国公立、義務教育から大学までの各機関に対してこのように努力をしろと言うような時代ではなくて、1グループ企業体だと考えるとして、中央集権的に統一の方法論を明確にして、そのツールを配布していくほうが速いのではないかと思います。管理会計にしても、部門会計にしても、先ほどの勤怠管理についても、各大学が、各々の方法論をやるのではなくて、ITのいい技術を統一的に使えば、投資も管理も合理的にできるはずであり、国として管理しやすくなります。全ての数字が見える化され、管理の生産性も上がっていく。その生産性を上げていくことによって、教育そのものの質を上げていくということを戦略的に考えたものを、ビジョンとして出していただきたいと思っています。

増田分科会長代理それでは、武田委員、お願いします。

武田委員ありがとうございます。科学技術について意見を延べたいと思います。

人口が減少する中で、日本はTFP、生産性の上昇、イノベーションを促進していくことは極めて大事です。しかし、実態がどうかと申し上げますと、スイスのビジネススクール、IMD世界競争力ランキングによりますと、日本は、平成元年の1位から、2019年には30位に落ちている、これが現状でございます。よって、限られた財源の中で、いかに工夫しながら科学技術競争力を高めていくかということが極めて大切であり、そのためには官民の適切な役割分担、連携を進めつつ、民間のイノベーションの呼び水となるような使い方、民間資金の活用が難しい基礎研究、そして、ここだけは負けてはならないという分野への集中、そうした点を意識し、競争力を上げていく、立て直すことを目標に掲げて予算を組んでいただければと思います。

以上です。

増田分科会長代理ありがとうございます。

それでは、末澤委員、お願いします。

末澤委員2点、申し上げたいと思います。

まず、学校教育ですけれども、世界でも、日本でも働き方改革が相当重要になっていますが、やはり学校現場というのはある面ブラックの代表格で、私の娘も教職の資格を持っているのですけれども、結局、先生にはならない方向です。学校の規模がどんどん縮小してきて、結局、規模の利益が不利益になってきているわけです。

そういう面では、今後、学校教育の質を向上して、しかも先生の処遇を改善するには、私は3つしかないと思っておりまして、1つが統合です。もう一つはアウトソーシング、部活動等です。3つ目がICT化です。ただ、本日、ICT化のご説明を受けても、どうも統合が進んでいないので、人手不足でなかなかICT化が進んでいないという悪循環になってしまっていると思います。私は、統合とアウトソーシングをまずどっと進めて、手があいたところでICT化を一挙に進めると、こういう順番が必要ではないかと思っています。では、学校が余ったらどうするのか。これは、防災拠点として使うとか、地域コミュニティーの拠点として使うということで有効活用ができるのではないか。

あと、一番最後の19ページの博物館のところです。今回、初めて出ましたので、若干言及させていただきたいのですが、日本の場合、やはり問題は、自前の収入といいますか、自己収入が欧米の博物館、美術館に比べて極めて少ない。では、入場料を上げていいのかというと、私はなかなか厳しいと思っています。実は、日本の国立博物館、東京国立博物館の入場料は620円、西洋美術館は500円です。欧米の世界5大美術館のうち、大英博物館は無料です。メトロポリタン美術館は、昨年3月までは実質無料でした。3月からは、ニューヨーク州の住民以外から25ドルを強制で取ることになったのですが、これは3日間で、1日で見ると900円。ルーブル美術館は17ユーロ(2,000円)、スペインのプラド美術館は15ユーロ(1,800円)、ロシアのエルミタージュ美術館は700ルーブル(1,200円)です。

日本の国立博物館は4つあります。4つ全体の展示面積は3万平米。また、国立美術館は5つあります。5つ全体の展示面積は3万平米。大英博物館は1つで5万7,000平米、ルーブル美術館は6万1,000平米、メトロポリタン美術館は19万平米、展示場は半分ぐらいだから10万平米。ですから、もう3倍ぐらい違う。収蔵品は1桁ないし二桁近く違います。例えば、大英博物館は800万、メトロポリタン美術館は300万あります。日本の国立博物館は4つ合わせて12万、国立美術館は5つ合わせて3万3,000なので、そうやって見るとなかなか競争力は厳しい。では、どうすればいいのか。

実は、今、国立博物館で「正倉院展」をやっていますが、これは1,700円です。つまり、日本は、国立博物館、美術館自身はそんなに大きな、有名な展示物はなくても、民間とか、宗教施設とか、たくさんあるわけです。それを持ってきてやって、付加価値を高めて競争力を上げる。あとは寄附です。やはり日本は少な過ぎるので、民間からもっと寄附をもらう。そういったことで自己収入を増やしていかないと、単に単価を上げたら、むしろ来客が減る可能性もありますから、今後の観光立国という観点も含めて入場者数をどうやって増やすのか、これはもうちょっと真剣に考えたほうがいいのではないかと思っております。

以上でございます。

増田分科会長代理黒川委員、お願いします。

黒川委員ありがとうございました。

本日の参考資料2を見ていただきたいのですが、109ページ、大学生の1日当たりの勉強時間は1時間未満が6割以上という資料、これは春の財審でも出していただいていたと思うのです。こういう状況において、日本国の衰退を予感している人が多いと思うのですが、そこで国力増進のために国民の知的レベルの一層の推進という文脈のもとで、大学生への財政支援に着目した政策がとられたのだろうと私は理解しました。

さて、春の財審でも、我々は70歳までの現役続行もにらんでいるわけなので大学生に対する教育だけではなくて、40歳から45歳前後の方々に対する大学及び大学院によるリカレント教育支援政策の重要性を、私の意見として述べたと思います。この検討をしていただきたいということをお願いするとともに、増田分科会長代理もこれについては、春の財審では建議に盛り込めなかったけれども、秋になって検討をお願いしたいということを財審でお話になったと思います。そこで、本日は、もう一度この問題について、検討状況で何か指摘事項がありましたら教えていただきたい。

以上であります。

増田分科会長代理ありがとうございます。

それでは、こちら側のほうに参りまして、神子田委員お願いします。

神子田委員本日の提示された内容とは直接関係ないかもしれないのですが、消費税の引き上げの財源を使って幼保の無償化とか、教育の無償化を進めて、私は、親の経済格差を子に引き継がないということで、教育の機会を均等にするという意味ではすごく意味のあることをやっていると思います。他方で、本日、話題になっている大学入試に民間の英語テストを導入するという話では、低所得者、あるいは遠隔地に住む人たちの平等をどう確保するかという問題が議論になっておりますが、これは見送られたとしてもこれから議論になっていく話だと思います。

そこで、いわゆる「身の丈」発言に関してなのですけれども、身の丈というのは文字どおり自分の背丈に合わせた服を着るということで、これが身の丈に合わせた経営とか、身の丈に合わせた暮らしという自分を律するという意味で使われるのはいいのですけれども、「おまえ、身の丈に合わせろ」と自分の限界を人に決められることがあってはならないと思うんです。そういう意味で、今でも遠隔地の人とか、あるいは低所得者に対する支援の充実は考えられているということですけれども、ぜひ子供の教育の機会均等を奪うことのないように、現状に固定されないように、将来の有益な人材の未来が広がるように、財政の観点からも支援や補助のあり方を、今後、考えていってもらえばと思います。

以上です。

増田分科会長代理それでは、冨田委員、お願いします。

冨田委員ありがとうございます。

今年、この資料にありますのは、新規要求でGIGAスクールネットワーク構想375億円、3年間だから1,000億円の新規の要求です。これに関係して、4ページのように、直近の4か年計画でいくと、パソコンを5人に1人から3.6人が目標なのだけれども、ほとんど進捗していない。

どういうことなのだろうというと、地方財政措置、交付税でやったわけです。これは、使い残しても国に戻ってこない、渡し切りです。その左にある補正予算のときは、補助率2分の1で、補助金を渡して、国のほうは残ればきっちりと清算するわけです。だけど、地方に渡したら渡し切りで、これまた地方財政計画のところで議論することになると思いますけれども、これも行った切りです。そうすると、地方、市町村にやっていただく仕事は、こうやって予算をつけただけではやってもらえないということを、きっちりと認識する必要があると思います。そのお金、どこかに行ってしまったと言ったら叱られますけれども、そういう問題が基本にあるということが問題だと思います。

私は、このGIGAスクールネットワーク構想の重要性は否定するものではありませんけれども、実は私、先ほど来話題になっている2022年問題の団塊の世代なのですけれども、私でも簡単に家の中のLANを、ルーターを買ってきて設定できるんです。それが何でこれだけお金がかかるのか、きっちりとした積み上げがあるのかどうか。そして、その積み上げをきっちりと執行できるかどうか。それをちゃんとこれからの予算編成で査定する必要があるだろうと思います。

増田分科会長代理ありがとうございました。

それでは、最後に主計官のほうで、今、いただいた意見についてお願いします。

関口主計官まず、黒川委員からリカレントというお話ございましたけれども、リカレントについては文部科学省のほうからもいろいろいただいておりますので、しっかり検討させていただきたいと思っております。

それ以外にも様々な御指摘いただきましたけれども、そういった御意見を踏まえて、しっかりと来年度に向けてやっていきたいと思います。ありがとうございました。

増田分科会長代理それでは、本日、少し時間をオーバーして大変恐縮でしたけれども、医療と文教・科学技術のテーマについてここまで議論させていただきました。本日の議題についての議論は、ここまでとさせていただきます。

それから、本日の会議の内容は、会議後、記者会見で私のほうから紹介させていただきますので、従来どおり会議の個々の発言につきましては、皆様方のほうから直接、報道機関等にお話しすることのないようにご注意をお願いしたいと思います。 そして、次回は、11月6日、15時から、前半で地方財政をテーマに審議を予定しております。それから、後半につきましては、最近、民間のシンクタンクから財政の長期推計などについて扱っているレポートが発表されておりますので、この関係について有識者をお呼びしてヒアリングを行うと、こういう2本立てで考えております。

さらに、11月6日、次回の審議が終わりますと、今後はいただいた、本日の御意見なども踏まえた、令和2年度予算の編成等についての建議、いわゆる秋の建議の起草に入っていきます。建議を起草いただく委員につきましては、これまでもお願いしておりますとおり、小林毅委員、田近委員、土居委員、冨田委員、中空委員、吉川委員、以上6名の委員に引き続きお願いすることといたしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、本日、これで閉会をいたします。どうもありがとうございました。

午後0時10分閉会