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財政制度分科会(平成30年4月6日開催)議事要旨

 財政制度等審議会 財政制度分科会
〔議事要旨〕

1.日時 平成30年4月6日(金)14:00~16:00

2.場所 財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

3.出席者

(委員)
遠藤典子、倉重篤郎、黒川行治、佐藤主光、角和夫、竹中ナミ、土居丈朗、中空麻奈、永易克典、宮島香澄、雨宮正佳、伊藤一郎、宇南山卓、老川祥一、大槻奈那、岡本國衛、葛西敬之、小林慶一郎、末澤豪謙、十河ひろ美、田近栄治、田中弥生、冨田俊基、増田寛也、神子田章博(敬称略)

(財務省)
岡本主計局長、茶谷主計局次長、大鹿主計局次長、神田主計局次長、青木主計局総務課長 他 

4.議題

○ 委員からのヒアリング 

    • 「「経済・財政再生計画」の下での財政健全化の取組 ~新しい財政健全化計画に向けて~」 - 冨田 俊基 委員

○ 委員からのヒアリング 

    • 「我が国の財政に関する長期推計」 - 土居 丈朗 委員

○ 防衛 


5.議事内容

○ 本日は、「委員からのヒアリング」として、冨田委員及び土居委員から、資料1、資料2に基づいて、それぞれお話を頂き、質疑を行った。また、「防衛」について、事務局から資料3に基づいて説明があり、その後、質疑を行った。
○ 委員による説明、各委員からの質疑や意見は以下のとおり。

【委員からのヒアリング】

<資料1に基づき冨田委員から御説明>

    • 現行の「経済・財政再生計画」の下、歳出改革が着実に行われたが、これはバブル崩壊以降の累次の財政健全化計画の中で初めて。
    • 一方で、プライマリーバランスは、2018年度の目安のみならず、計画策定時の自然体の見通しすら実現できない見込み。
    • 新しい財政健全化計画においては、できるだけ早期にプライマリーバランス黒字化を達成すべく、目標年限を明確に設定するとともに、新しい計画も現行の計画と同様の考え方・枠組みとしつつ、さらに取組を充実させ、また、余裕をもって目標を達成できるよう、歳出改革を徹底すべき。
    • 取組の進捗状況に応じて、歳出・歳入両面から必要な措置を検討する枠組みとすべき。
    • 予定どおりの消費税率引上げは不可欠。

<資料2に基づき土居委員から御説明>

    • 長期的な債務残高対GDP比の安定に必要となる2020年度時点の収支改善幅は、GDPの基準改定による少子高齢化に伴う歳出増(対GDP比)の低下、現下の低金利環境による要収支改善幅の圧縮により、前回試算(2015年10月)と比較すると、 多少縮小しているが、なお巨額であり、欧州主要国と比較しても突出している。
    • 金利情勢に依存した形での財政再建は持続可能とは言えず、金利情勢に左右されることなく、引き続き歳出改革に取り組むことが必要。
    • 基礎的財政収支黒字化の達成年度を1年後ろ倒しするごとに、毎年約1.0~1.2兆円の追加的負担が発生。
    • 財政の持続可能性を確保するためには、引き続き、歳出分野全般にわたって聖域なく改革に取り組むとともに歳入面での取組も継続し、できる限り早期のPB黒字化達成に向けて取り組んでいくことが不可欠。

<その後、委員からの御意見>

    • マクロで見た財政健全化の進捗の遅れの要因として大きなものは補正予算であり、補正予算を組むことを前提に当初予算を作るべきではない。
    • 経済・財政一体改革はボトムアップの改革であり、自治体や医療関係の現場が課題に気付いて動かないと如何ともしがたい。現場に改革マインドをどう浸透させていくかというのが大きな課題であり、現時点では見える化とEBPMがあるが、さらなるテコ入れが必要。
    • 今夏の新しい財政健全化計画の策定に向けては、中長期試算におけるベースラインケースを前提とした計画を作ることが必要。
    • 財政健全化について、欧州では互いに財政悪化に対する抑止力が効いていて、アメリカでは債務上限が定められている。日本でも、抑止力の在り方を考える必要。

【防衛】

<委員からの御意見>

    • 近年、地政学リスクが高まっているが、防衛装備の開発には時間がかかることを踏まえて、戦略的に予算をつけるべき。
    • 防衛装備については、特殊性をもとに、普通の企業が調達・購買の際に当然行っていることがあまりなされていない印象。
    • 防衛装備については、あらゆるものを自国で調達する必要はないが、ものによっては、技術として自国で持つべきものもあり、その見極めをしっかりと行う必要がある。調達問題を単なる調達の問題として捉えるのではなく、日本の存在価値をどこまで高めるか、そのためにどこまで技術水準を高く維持するか、という点も検討すべき。
    • 現在の防衛産業というのは、一社応札で、ゼネコンが取った仕事を下請けで分け合うという構図が昔の公共事業に類似している。防衛機密もあると思うが、手続きの透明化、情報開示を進めるべき。

(以上)